(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152741
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】模擬組織モデルおよび方法
(51)【国際特許分類】
G09B 23/30 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G09B23/30
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024122034
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2023110491の分割
【原出願日】2015-11-09
(31)【優先権主張番号】62/089,919
(32)【優先日】2014-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/079,523
(32)【優先日】2014-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/118,179
(32)【優先日】2015-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/079,479
(32)【優先日】2014-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ホフステッタ グレゴリー ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ブレスリン トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】サレハ コドル
(57)【要約】
【課題】外科的技術を練習させるための模擬組織構造体およびこれら構造体を製造する方法が開示される。
【解決手段】特に、腫瘍または他の望ましくない組織の除去を練習させ、次に同じ外科的処置の一部として残遺欠陥を縫合するための真に迫ったもしくは本物みたいな臓器モデルまたは模擬組織部分が提供される。模擬組織構造体は、欠陥層から分離できる縫合可能なメッシュ層を有するポリープ模造体を含む。互換性がありかつ縫合可能な組織ポッドを備えた模擬結腸モデルもまた完全に縫合可能な直腸モデルおよび統合的な縫合可能かつ除去可能なポリープゾーンを備えた直腸モデルの場合と同様に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模擬組織モデルであって、
実質的に平坦な第1の表面および該第1の表面と反対側の実質的に平坦な第2の表面を備えたシリコーンで作られている第1の層を有し、前記第1の表面と前記第2の表面との間には第1の厚さが定められ、前記第1の層は、外周部および前記外周部内に位置する突出部存在場所のところで前記第1の表面から外方に延びる突出部を有し、前記第1の厚さは、実質的に一定であり、前記突出部は、前記第1の層の第1の厚さの増大によって形成され、
実質的に平坦な第1の表面および該第1の表面と反対側の実質的に平坦な第2の表面を備えたシリコーンで作られている第2の層を有し、前記第1の表面と前記第2の表面との間には第2の厚さが定められ、前記第2の厚さは、実質的に一定であり、前記第2の層は、外周部を有するとともに前記第1の層の前記外周部と前記第2の層の前記外周部が整列するとともに前記第2の層の前記第1の表面が前記第1の層の前記第2の表面に向いて該第2の表面に接触するよう前記第1の層に連結され、前記第1の層と前記第2の層は、前記第1の層と前記第2の層が前記突出部の切除を容易にするよう前記突出部存在場所のところで分離可能であるように前記突出部存在場所の周りに施された接着剤により互いに接着されている、模擬組織モデル。
【請求項2】
内面および外面を備えるとともに長手方向軸線を有する中央ルーメンを備えるシリコーンの実質的に円筒形の管を更に有し、前記第2の層の前記第2の表面は、前記突出部が前記長手方向軸線に向かって前記ルーメン中に延びるよう前記円筒形管の前記内面に取り付けられている、請求項1記載の模擬組織モデル。
【請求項3】
前記円筒形管内に埋め込まれたメッシュ層を更に有する、請求項2記載の模擬組織モデル。
【請求項4】
前記第1の層内に埋め込まれたメッシュ層を更に有する、請求項1~3のうちいずれか一に記載の模擬組織モデル。
【請求項5】
前記接着剤の周囲内で前記突出部存在場所のところで前記第1の層と前記第2の層との間に設けられた剥離層を更に有し、前記剥離層は、前記第2のシリコーン層への前記第1のシリコーン層の接着を阻止する物質から成る、請求項1~4のうちいずれか一に記載の模擬組織モデル。
【請求項6】
前記突出部は、前記第1の層の残部よりも比較的黒い色を有する、請求項1~5のうちいずれか一に記載の模擬組織モデル。
【請求項7】
前記接着剤は、未硬化シリコーンである、請求項1~6のうちいずれか一に記載の模擬組織モデル。
【請求項8】
模擬組織モデルであって、
近位端と遠位端との間に延びる内面および外面を備えた側壁を有するとともに長手方向軸線を有する中央ルーメンを備えた実質的に円筒形の管を有し、前記近位端および前記遠位端のうちの少なくとも一方は開いており、前記円筒形管は、前記側壁を横切って前記内面から前記外面まで延びる少なくとも1つの孔を有し、
前記少なくとも1つの孔中に挿入可能であるとともに前記円筒形管に取り外し可能に連結可能であるように寸法決めされるとともに形作られた少なくとも1つのポッドを有し、前記ポッドは、キャップおよび前記キャップに連結された模擬組織を有し、前記キャップは、フランジを備えるとともに開口部を画定するフレームを有し、前記模擬組織は、内面および外面を備えたシリコーンの少なくとも1つの扁平な層を有し、前記模擬組織は、前記模擬組織の前記外面が前記フランジに連結されるとともに前記模擬組織が前記フレームによって画定された前記開口部をまたぐよう前記フランジに連結され、前記ポッドは、前記模擬組織が前記円筒形管に連結されたときに前記側壁の前記内面と整列するよう前記円筒形管に取り外し可能に連結されている、模擬組織モデル。
【請求項9】
前記模擬組織は、模擬腫瘍を含む、請求項8記載の模擬組織モデル。
【請求項10】
前記模擬組織は、前記内面から延びる突出部を含む、請求項8または9記載の模擬組織モデル。
【請求項11】
前記フレームは、円形開口部を画定し、前記模擬組織は、前記円形開口部を覆っている、請求項8~10のうちいずれか一に記載の模擬組織モデル。
【請求項12】
前記キャップは、前記円筒形管に対する前記キャップの挿入・取り外しを可能にするための互いに反対側に設けられた押し下げ可能な戻り止めを有する、請求項8~11のうちいずれか一に記載の模擬組織モデル。
【請求項13】
前記模擬組織は、前記シリコーン層中に埋め込まれたメッシュ層を有する、請求項8~12のうちいずれか一に記載の模擬組織モデル。
【請求項14】
前記模擬組織は、第1のシリコーン層および第2のシリコーン層を有する、請求項8~13のうちいずれか一に記載の模擬組織モデル。
【請求項15】
模擬組織モデルを製造する方法であって、
少なくとも1つの窪みを備えた外面を有する細長いマンドレルを用意するステップと、
前記マンドレルを回転させるステップと、
未硬化のシリコーンの第1の層を前記マンドレルに被着させるステップと、
前記第1の層が硬化して内面および外面ならびに前記窪みの存在場所のところで前記外面に形成される深さを備えたウェルを有する実質的に管状の構造体を形成することができるようにするステップと、
前記ウェルの形状に実質的に一致した形状および前記ウェルの前記深さに実質的に一致した厚さを有する硬化済みシリコーンの第2の層を用意するステップと、
前記第2の層を前記第1の層の前記ウェル内に配置するステップと、
未硬化のシリコーンの第3の層を前記第1の層および前記第2の層の前記外面に被着させるステップと、
前記第3の層が硬化して前記第1の層および前記第2の層に接着して滑らかな外面を形成することができるようにするステップと、
前記第2の層よりも小さなサイズを有する模擬腫瘍を用意するステップと、
前記第2の層に隣接して位置する前記窪みの存在場所で前記模擬腫瘍を前記第1の層の前記内面に取り付けるステップとを含む、方法。
【請求項16】
模擬組織モデルを製造する方法であって、
外面を備えた細長いマンドレルを用意するステップと、
前記マンドレルを回転させるステップと、
未硬化のシリコーンの第1の層を前記マンドレルに被着させるステップと、
前記第1の層が硬化して内面および外面を備えた実質的に管状の構造体を形成することができるようにするステップと、
前記第1の層よりも小さなサイズを有する模擬腫瘍を用意するステップと、
前記模擬腫瘍を前記第1の層の前記内面上の場所に取り付けるステップと、
前記腫瘍の前記サイズよりも大きなサイズを有する硬化済みシリコーンの第2の層を用意するステップと、
前記第2の層を前記腫瘍の前記存在場所から見て反対側の場所で前記第1の層の前記外面上に配置するステップとを含む、方法。
【請求項17】
メッシュの層を前記第1の層内に埋め込むステップを更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第2の層が前記腫瘍の前記存在場所に接着されるのではなく前記腫瘍の前記存在場所の周りに接着されるよう前記第2の層を前記第1の層の前記外面に接着するステップを更に含む、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
模擬組織モデルを製造する方法であって、
少なくとも1つの外向き戻り止めを備えた外面を有する細長いマンドレルを用意するステップと、
前記マンドレルを回転させるステップと、
未硬化のシリコーンの第1の層を前記マンドレルに被着させるステップと、
前記第1の層が硬化してルーメンを形成する内面、外面および前記外向き戻り止めの存在場所で前記内面に形成された深さを備えたウェルを有する実質的に管状の構造体を形成することができるようにするステップと、
ポリープ模造体を用意するステップと、
前記ポリープ模造体を前記第1の層の前記ウェル内に配置するステップとを含む、方法。
【請求項20】
ポリープ模造体を用意する前記ステップは、請求項1記載の前記ポリープ模造体を提供するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記ポリープ模造体を前記第1の層の前記内面に接着するステップを更に含む、請求項19または20記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、外科的訓練ツールに関し、特に、種々の外科的技術および手技を教示するとともに練習させるための臓器または組織を模倣した解剖学的モデルに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2014年12月10日に出願された米国特許仮出願第62/089,919号(発明の名称:Suturable rectum model)の優先権および権益主張出願であり(この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)、この出願は、2014年11月13日に出願された米国特許仮出願第62/079,523号(発明の名称:Fully suturable rectum)の優先権および権益主張出願であり(この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)、この出願は、2014年11月13日に出願された米国特許仮出願第62/079,479号(発明の名称:One piece polyp simulation)の優先権および権益主張出願であり(この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)、この出願は、2015年2月15日に出願された米国特許仮出願第62/118,179号(発明の名称:Method of making simulated tissue using stencils)の優先権および権益主張出願である(この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)。
【背景技術】
【0003】
新たな外科的技術(術式)を学習する医学生ならびに熟練医は、自分達が患者としての人間に対して手術を行う資格を得る前に大がかりな訓練を受ける必要がある。この訓練は、種々の形式の組織を切断し、穿刺し、クランプし、把持し、ステープル留めし、焼灼し、縫合するための種々の医療器具を用いる適正な技術を教示しなければならない。訓練生(トレーニー)が遭遇する場合のある場面の範囲は、広い。例えば、種々の臓器ならびに患者の解剖学的構造および疾患が提示される。種々の組織層の厚さおよびコンシステンシーもまた、身体の一部分と隣りの部分とでは違いがあり、しかも患者ごとに様々な場合があろう。したがって、技術および器械について必要とされる技能またはスキルもまた様々であろう。さらに、訓練者(トレーナー)は、容易に接近できる開放状態の外科的な場所および腹腔鏡下で接近する場所での技術を練習させなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外科用訓練の1つまたは2つ以上の観点について多くの教示補助具、訓練器具、模擬訓練装置(シミュレータ)およびモデル臓器が利用可能である。しかしながら、腫瘍または他の組織構造体の除去を含む内視鏡下、腹腔鏡下、経肛門、低侵襲または他の外科的処置または手技で遭遇する可能性のあるモデル臓器または模擬(模倣)組織要素が要望されている。特に、腫瘍または他の望ましくない組織を除去し、次に同じ外科的処置の一部として縫合またはステープル留めによる標的組織の閉鎖を行うという繰り返し可能な練習のための真に迫ったまたは本物のようなモデル臓器が要望されている。同一のことに鑑みて、本発明の目的は、手術中に遭遇するかかる特定の状況を迫真的に模擬する外科的訓練のための器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、外科的訓練のための模擬組織構造体が提供される。この構造体は、実質的に平坦な第2の表面とは反対側に位置する実質的に平坦な第1の表面を備えたシリコーンで作られている第1の層を有し、第1の表面と第2の表面との間には第1の厚さが定められている。第1の層は、外周部および外周部内に位置する突出部存在場所のところで第1の表面から外方に延びる突出部を有する。第1の厚さは、実質的に一定であり、突出部は、第1の層の第1の厚さの増大によって形成されている。模擬組織構造体は、実質的に平坦な第2の表面とは反対側に位置する実質的に平坦な第1の表面を備えたシリコーンで作られている第2の層を有し、第1の表面と第2の表面との間には第2の厚さが定められている。第2の厚さは、実質的に一定である。第2の層は、外周部を有し、第2の層は、第1の層の外周部と第2の層の外周部が整列するとともに第2の層の第1の表面が第1の層の第2の表面に向いてこの第2の表面に接触するよう第1の層に連結されている。第1の層と第2の層は、第1の層と第2の層が突出部の切除を容易にするよう突出部存在場所のところで分離可能であるように突出部存在場所の周りに施された接着剤により互いに接着されている。
【0006】
本発明の別の観点によれば、外科的訓練のための模擬組織構造体が提供される。模擬組織構造体は、近位端と遠位端との間に延びる内面および外面を備えた側壁を有するとともに長手方向軸線を有する中央ルーメンを備えた実質的に円筒形の管を有する。近位端および遠位端のうちの少なくとも一方は開いている。円筒形管は、側壁を横切って内面から外面まで延びる少なくとも1つの孔を有する。模擬組織構造体は、少なくとも1つの孔中に挿入可能であるように寸法決めされるとともに形作られた少なくとも1つのポッドを有する。ポッドはまた、円筒形管に取り外し可能に連結可能であるように構成されている。ポッドは、キャップおよびキャップに連結された模擬組織を有する。キャップは、フランジを備えるとともに開口部を画定するフレームを有する。模擬組織は、内面および外面を備えたシリコーンの少なくとも1つの扁平な層を有する。模擬組織は、模擬組織の外面がフランジに連結されるとともに模擬組織がフレームによって画定された開口部をまたぐようフランジに連結されている。ポッドは、模擬組織が円筒形管に連結されたときに側壁の内面と整列するよう円筒形管に取り外し可能に連結されている。
【0007】
本発明の別の観点によれば、模擬組織モデルを製造する方法が開示される。本方法は、少なくとも1つの窪みを備えた外面を有する細長いマンドレルを用意するステップと、マンドレルを回転させるステップと、未硬化のシリコーンの第1の層をマンドレルに被着させるステップと、第1の層が硬化して内面および外面ならびに窪みの存在場所のところで外面に形成される深さを備えたウェルを有する実質的に管状の構造体を形成することができるようにするステップとを含む。本方法は、ウェルの形状に実質的に一致した形状およびウェルの深さに実質的に一致した厚さを有する硬化済みシリコーンの第2の層を用意するステップと、第2の層を第1の層のウェル内に配置するステップと、未硬化のシリコーンの第3の層を第1の層および第2の層の外面に被着させるステップと、第3の層が硬化して第1の層および第2の層に接着して滑らかな外面を形成することができるようにするステップとを更に含む。本方法はさらに、第2の層よりも小さなサイズを有する模擬腫瘍を用意するステップと、第2の層に隣接して位置する窪みの存在場所で模擬腫瘍を第1の層の内面に取り付けるステップとを含む。
【0008】
本発明の別の観点によれば、模擬組織モデルを製造する方法が提供される。本方法は、外面を備えた細長いマンドレルを用意するステップと、マンドレルを回転させるステップと、未硬化のシリコーンの第1の層をマンドレルに被着させるステップと、第1の層が硬化して内面および外面を備えた実質的に管状の構造体を形成することができるようにするステップとを含む。本方法は、第1の層よりも小さなサイズを有する模擬腫瘍を用意するステップと、模擬腫瘍を第1の層の内面上の場所に取り付けるステップとを更に含む。本方法は更に、腫瘍のサイズよりも大きなサイズを有する硬化済みシリコーンの第2の層を用意するステップと、第2の層を腫瘍の存在場所から見て反対側の場所で第1の層の外面上に配置するステップとを含む。
【0009】
本発明の別の観点によれば、模擬組織モデルを製造する方法が提供される。本方法は、少なくとも1つの外向き戻り止めを備えた外面を有する細長いマンドレルを用意するステップと、マンドレルを回転させるステップと、未硬化のシリコーンの第1の層をマンドレルに被着させるステップと、第1の層が硬化してルーメンを形成する内面、外面および外向き戻り止めの存在場所で内面に形成された深さを備えたウェルを有する実質的に管状の構造体を形成することができるようにするステップとを含む。本方法は、ポリープ模造体を用意するステップと、ポリープ模造体を第1の層のウェル内に配置するステップとを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のモデル臓器を備えた外科的訓練器具の側面図である。
【
図2A】本発明の模擬組織構造体の断面側面図である。
【
図2B】模擬組織構造体の断面側面図であり、腫瘍が本発明に従って切除された状態を示す図である。
【
図2C】本発明に従って開放縫合糸を備えた模擬組織構造体の断面側面図である。
【
図2D】本発明に従って閉鎖縫合糸を備えた模擬組織構造体の断面側面図である。
【
図3A】本発明に従って円形の欠陥部を有する欠陥層の平面図である。
【
図3B】本発明に従って細長い欠陥を備えた欠陥層の平面図である。
【
図3C】本発明に従って不定形欠陥部を備えた欠陥層の平面図である。
【
図3D】本発明に従ってツーピース(2つの部分から成る)欠陥部を備えた欠陥層の平面図である。
【
図3E】本発明に従ってマルチパート(多数の部分から成る)欠陥層の平面図である。
【
図3F】本発明に従って多数の欠陥部を備えた欠陥層の平面図である。
【
図5】本発明の模擬組織構造体の断面側面図である。
【
図6A】本発明のモジュール式組織構造体および支持体の斜視図である。
【
図6B】本発明のモジュール式組織構造体および支持体の斜視図である。
【
図7】本発明に従って人の子宮にそっくりであるよう構成された模擬組織構造体の断面図である。
【
図8】本発明によるモジュール式組織構造体の平面図である。
【
図9】本発明のモジュール式組織構造体の側面図である。
【
図10A】本発明の模擬組織構造体の斜視図である。
【
図10B】本発明の模擬組織構造体の斜視図である。
【
図11A】本発明の模擬組織構造体の斜視図である。
【
図11B】本発明の模擬組織構造体の斜視図である。
【
図12】縫合糸針および本発明の模擬組織構造体の斜視図である。
【
図13A】本発明によるポリープ模造体の側面透視図である。
【
図13B】本発明によるポリープ模造体の欠陥層の側面図である。
【
図13C】本発明のポリープ模造体のメッシュ層の側面図である。
【
図13D】本発明のポリープ模造体の筋肉層の側面図である。
【
図14A】本発明の筋肉層のためのモールドの側面図である。
【
図14B】本発明の筋肉層のためのモールドの平面図である。
【
図15A】本発明の欠陥層のためのモールドの側面図である。
【
図15B】本発明の欠陥層のためのモールドの底面図である。
【
図16】本発明による欠陥モールド、欠陥層、メッシュ層、モールド剥離層および筋肉層の分解組立て図である。
【
図17A】本発明の取り付け状態の模擬組織部分を備えたポッドを有する組織模造体モデルを示す図である。
【
図17C】本発明のポッド組立体の分解組立て図である。
【
図18】本発明に従って組織部分を備えていないポッドフレームの下から見た斜視図である。
【
図19】本発明の組織模造体モジュールの上から見た断面斜視図である。
【
図20】本発明に従って組織模造体モデルを製造するために用いられるマンドレルの上から見た断面斜視図である。
【
図21】本発明の組織模造体モデルの断面図である。
【
図22】本発明の組織模造体モデルの上から見た斜視図である。
【
図23】本発明の組織模造体モデルの断面図である。
【
図24】本発明に従って組織模造体モデルを製造するためのマンドレルの断面図である。
【
図25】本発明の組織模造体モデルの断面図である。
【
図26A】本発明の組織模造体モデルのメッシュ層の平面図である。
【
図26B】本発明の円筒形スリーブの状態に形成された組織模造体モデルのメッシュ層の平面図である。
【
図27】メッシュスリーブが本発明に従ってマンドレルに嵌着されている状態を示す図である。
【
図28】本発明に従ってマンドレルに嵌められたメッシュスリーブを示す図である。
【
図29】本発明に従って例示の縫合糸経路を備えた完全に縫合可能な直腸モデルの断面端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
患者の胴、例えば腹部領域にそっくりであるように構成された外科的訓練器具10が
図1に示されている。外科的訓練器具10は、ユーザから実質的に隠されていて、モデル臓器または模倣されもしくは生きている組織を受け入れる模擬体腔18を備えている。体腔18への接近は、ユーザが器具を用いて体腔18内に設けられているのが見える組織または臓器20に対して術式を実施することにより穿刺される組織模擬領域19を介して行われる。体腔18は、組織模擬領域19を通って接近可能であるものとして示されているが、変形例として、2011年9月29日に出願された米国特許出願第13/248,449号明細書(発明の名称:Portable Laparoscopic Trainer )に記載されているように手を使った接近器具または単一部位ポート器具を用いて体腔18にアクセスしても良く、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。外科的訓練器具10は、腹腔鏡下または他の低侵襲手術手技を練習するのに特に好適である。
【0012】
外科的訓練器具10は、基部またはベース12およびこのベース12との間に内部体腔18を形成するようベース12に連結されるとともにこれから間隔を置いて配置されたトップカバー14を有する。少なくとも1本の脚部またはレッグ16がトップカバー14とベース12を互いに連結するとともにこれらを互いに離隔させている。モデル臓器または模擬組織20が体腔18内に配置されている。
図1に示されているモデル臓器20は、テザー22によってトップカバー14からつり下げられるとともに少なくとも1本のレッグ24に連結された状態で示されている結腸または腸の一部である。少なくとも1本のレッグ24は、内部腔20に向いた孔(図示せず)を有する。モデル結腸20は、近位端および遠位端を備えた管26を有する。管26の近位端は、レッグ16の孔に相互連結され、孔が管26のルーメンへの接近ポートとなっている。アクセスポートおよび孔は、
図1ではアクセス器具28で閉鎖された状態で示されており、アクセス器具28は、管26の封止遠位端と組み合わさった状態で、ガス注入ポート30を経て送り出し可能な流体でガス注入可能に構成されたモデル臓器20を提供している。軟質材料、例えばシリコーンで作られたオプションとしてのインサート32がアクセスポートのための迫真性のあるインターフェースを作っている。管26の遠位端は、体腔18内に延び、そして体腔18内に浮遊状態になっている。模擬臓器20の管26の内部は、レッグ24のアクセスポートを経てまたは組織模擬領域19または器械挿入ポート34を経て接近可能である。アクセスポートを経て体腔18または臓器20内に挿入された内視鏡カメラが
図1に閉鎖位置で示された折り畳み式ビデオスクリーン36上に表示可能なライブ画像を作る。
図1の模擬臓器20は、経肛門低侵襲手術に関連付けられた手技を練習させるのに理想的であるが、任意の模擬臓器または組織部分を採用することができる。臓器20の特定の一観点は、この臓器に連結された状態で提供されている少なくとも1つの腫瘍または欠陥部38である。
図1に示されているように、腫瘍38は、臓器管26の壁に連結されている。
【0013】
次に
図2Aを参照すると、腫瘍38を含む模擬臓器20の一部分の部分断面側面図が示されている。模擬臓器または組織20は、ベース層または臓器壁40を有する。臓器壁40は、本物の生きている組織にそっくりであるよう構成された材料、例えばシリコーンまたは他のポリマーで作られていて、適当に着色されている。様々な厚さおよび着色の1つまたは2つ以上のベース層40が壁40の全体を構成するよう採用可能である。一形態では、臓器壁40は、硬質であり、ポリマー材料で作られる。ベース層40の上方には第2の層または欠陥層42が位置する。欠陥層42は、ベース層40と同じサイズまたはこれよりも小さなサイズのものであり、腫瘍38のための隆起プラットホームを形成している。欠陥層42は、接着剤または当業者に知られている他の手段によってベース層40に連結されており、かかる他の手段としては、単一ユニットとしてベース層40に一体形成されることが挙げられる。欠陥層42は、シリコーンで作られ、一形態では、ベース層40と同色のものであり、その結果、欠陥層42は、ベース層40の背景に溶け込んでいる。欠陥層42は、少なくとも1つの欠陥部または隙間44を有する。一形態では、欠陥部44は、欠陥層42に設けられていて欠陥部を閉じるために縫合、ステープル留めなどによって外科的注意を必要とする引き裂き、切断、除去または他の外科的処置に起因して生じる本物の組織の切開創、隙間または他の空所にそっくりであるあらかじめ作られた破れ目である。かかる状況は、大抵の場合、腫瘍38の除去の際に生じることが多く、かかる除去では、周りの組織もまた、腫瘍38と一緒に除去され、それにより、予防的に、腫瘍全体が切除されるようにし、組織に残遺欠陥が後に残るようにする。欠陥部44は、これらの間に隙間を構成する2つの向かい合った側部または表面を有する。隣り合う側部または表面がベース層40に対して垂直であるように図示されているが、本発明は、これには限定されず、並置された表面または側部は、任意の形状を有することができ、例えば、湾曲していても良い。欠陥部44は、
図3A~
図3Fを参照して説明するように任意の形状のものであって良い。
【0014】
次に
図3Aを参照すると、円形の欠陥部44を有する欠陥層42の平面図が示されている。細長い、長円形のまたは楕円形の形をした欠陥部44を有する欠陥層42が
図3Bに示されている。欠陥部44は、
図3Cに示されているように不定形であっても良くまたは任意形状のものであって良い。欠陥層42は、
図3Dに示されているようにマルチパート(多くの部分から成る)であっても良く、この場合、欠陥層42は、2つまたは3つ以上の隣り合う欠陥層片42a,42bを含み、これら欠陥層片は、これらの間に少なくとも1つの欠陥部44を形成するよう並置されている。別のマルチパート欠陥層42が
図3Eに示されており、この場合、複数の隣り合う欠陥層片42a,42b,42cは、これらの間に1つまたは2つ以上の欠陥部44を形成している。当然のことながら、欠陥層42は、
図3Fに示されているように多数の欠陥部44a,44b,44cを含んでいても良い。欠陥部44は、全て同一であっても良くあるいは
図3Fに示されているように互いに異なる形状のものであっても良い。欠陥部の形状、厚さおよびサイズにより、外科医としての訓練生は、漸変する難易度の欠陥部相互の縫合を練習することができる。一形態では、欠陥層42は、等しい厚さのものではない。それどころか、欠陥層42の厚さは、欠陥部を縫合しまたは閉鎖する難易度を高めるよう欠陥部存在場所48のところで変化している。
【0015】
図2Aに戻ってこれを参照すると、腫瘍38が欠陥層42の上方に位置している。腫瘍38は、好ましくは、ベース層40もしくは欠陥層42またはこれら両方とは異なる色のものであり、したがって、この腫瘍は、訓練生によって容易に識別できる。好ましくは、腫瘍38は、シリコーンまたは他のポリマー材料で作られ、また、色が赤色、黒色、青色または焦げ茶色である。一般的に言って、腫瘍38は、ベース層40または欠陥層42よりも暗い色のものでありまたはスコープで見たときにベース層40または欠陥層42とはコントラストをなしている。一形態では、腫瘍38は、接着剤または当業者に知られている他の手段により欠陥層42に連結されている。別の形態では、腫瘍38は、欠陥層42に連結されておらずまたは取り付けられていないが、欠陥層42上に取り外し可能に配置されている。
【0016】
依然として
図2Aを参照すると、模擬組織構造体20は、腫瘍38の上方に位置するカバー層46を有する。一形態では、カバー層46は、腫瘍38、欠陥層42およびベース層40を覆っている。カバー層46は、好ましくは、色が透明でありまたは半透明であり、ポリマー材料、例えばシリコーンで作られている。別の形態では、カバー層46は、ベース層40または欠陥層42と同じ色のものである。カバー層46は、少なくともベース層40または欠陥層42と同程度の厚さのものであり、一形態では、欠陥層42よりも薄く、別の形態では、ベース層40よりも薄い。カバー層46は、腫瘍38全体および欠陥層42全体を覆うよう寸法決めされており、このカバー層は、一形態では、ベース層40に接触するに足るほど大きい。別の形態では、カバー層46は、腫瘍38全体を覆うとともに欠陥層42に接触するよう寸法決めされている。カバー層46は、接着剤または当業者に知られている他の手段によってベース層40、欠陥層42、腫瘍38または3つの層のうちの任意の2つ以上に連結される。別の形態では、カバー層46は、小さく、欠陥層42だけに連結される。さらに別の形態では、カバー層46は、接着剤または当業者に知られている他の手段によって欠陥層42とベース層40の両方に連結される。カバー層46は、任意の形状または寸法のものであって良く、カバー層は、層状表面を模造腫瘍存在場所に提供するのではなく、滑らかな表面を外科医に提供するよう構成されているのが良い。カバー層46、腫瘍38、欠陥層42またはベース層40は、一形態では、表面模様付けを有する。また、カバー層46は、腫瘍38および欠陥層42をカバー層46とベース層40との間にサンドイッチされた状態に保つのを助け、このことは、腫瘍38が欠陥層42に接着されていない形態では有利である。ベース層40、欠陥層42、カバー層46および腫瘍38の平面図が
図4に示されている。一形態では、ベース層40、欠陥層42およびカバー層46のうちの任意の1つまたは2つ以上は、シリコーンを織物、布またはメッシュ材料、例えばナイロンまたはチーズクロス上に成形したもので作られ、したがって、シリコーン層は、一体形メッシュ構造支持体または他形式の補強材を有する。層38,40,42,46のうちの任意の1つまたは2つ以上は、弾性ポリマー、例えばシリコーンと組み合わされた布またはメッシュ補強材を有するのが良い。メッシュ支持体は、縫合糸、ステープル、または縫合糸針が、これら層のうちの少なくとも1つを引き裂き、特に、縫合糸を引いて隙間44を閉じる際に欠陥層42を引き裂くのを阻止しやすくする。
【0017】
図2Bでは、腫瘍38およびカバー層46の一部分がベース層40から切除された状態で示されている。切除は、腫瘍38を除去するために外科用器械、例えばメスまたは他の医用器械を用いて訓練生によって実施される。訓練生は、腫瘍38の周りでカバー層46を切り開き、腫瘍38を隔離し、腫瘍38を持ち上げてこの部位から取り去って
図2Bに示されているように下に位置する欠陥部44を露出させることになる。次に、
図2Cに示されているように、訓練生は、外科用縫合糸48を用いて欠陥層42のリップまたはエッジを
図2Dに示されているように接着して欠陥部44を縫合し、それにより、腫瘍38の外科的除去によって作られた隙間または創部の閉鎖を練習する。少なくとも1つの層を切って開口部を作り、そして模造腫瘍を除去して隙間を縫合することは、模擬組織構造体が外科用訓練器具の模擬体腔18内に収納されている間に実施され、その結果、模擬組織構造体は、ユーザによって視界から少なくとも部分的に覆い隠されるようになっている。
【0018】
次に
図5を参照すると、第2のまたは欠陥層42にはあらかじめ形成された隙間または欠陥部が存在しない別の形態が示されている。これとは異なり、腫瘍38を切除する際、欠陥部は、ユーザによってカバー層46、欠陥層42、ベース層40およびユーザによって除去されなかった任意の残存する腫瘍部分のうちの1つまたは2つ以上に作られる。ユーザは、次に、これら層38,40,42,46のうちの任意のものに作られた欠陥部の縫合を練習する。かかる一形態では、欠陥層42またはベース層40のうちの一方は、この構成例からは省かれている。別の形態では、腫瘍38は、ベース層40上に配置され、欠陥層42は、欠陥層42が腫瘍38の上方に位置するよう腫瘍38に被せられている。かかる形態では、カバー層46が含まれていても良くそうでなくても良い。カバー層46が含まれる場合、カバー層は、別個の一体的な層として欠陥層と一緒に一体に形成されるのが良い。
図2~
図5を参照して上述した構成例のうちの任意のものに関し、構成例は、引っ繰り返されても良くまたは層は、逆向きに配置されても良く、あるいは構成例は、頂部の方向または底部の方向のいずれかからユーザによって接近可能であっても良く、これら層の厚さおよび色は、本物の組織の模擬効果を提供するよう必要ならばそれに応じて調節される。
【0019】
次に
図6Aおよび
図6Bを参照すると、この説明における形態のうちの任意のものに関し、模擬組織構成例は、モジュール式であるのが良く、したがって、これが模擬臓器20全体と一体に形成されているのではなく、その代わりに、取り外し可能でありかつ互換性があるモジュールとして構成されている。1つまたは2つ以上のモジュール50がモジュール支持体52内に支持されまたは収容されている。モジュール支持体52は、第1の表面51、第2の表面53および支持体52に形成された1つまたは2つ以上の腫瘍モジュール受け入れ部分54,56,58を有する。腫瘍支持体52は、剛性であっても良くまたは柔軟性であっても良く、ポリマー材料で作られている。腫瘍支持体52はまた、エラストマー材料のシートから成っていても良い。モジュール受け入れ部分54,56,58は各々、これに対応して寸法決めされるとともに形作られたモジュール50を受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られている。
図6のモジュール50およびモジュール受け入れ部分54,56,58は、円形のものとして示されているが、腫瘍モジュール50は、任意形状のものであって良く、これと相補形状の受け入れ部分がモジュール支持体52に形成される。支持体52の厚さは、変化していても良く、それにより腫瘍モジュール50の様々な深さが配置された構成例が提供される。モジュール受け入れ部分54,56,58は、腫瘍モジュール50を載せることができる底壁を有するのが良い。変形例として、腫瘍受け入れ部分54,56,58は、第1の表面51および第2の表面53に設けられた開口部相互間で延び、腫瘍38を有するモジュール50は、いずれか一方の表面51,53のところで開口部相互間にもしくはこれら開口部のうちの1つのところで連結されまたは腫瘍受け入れ部分内に浮いた状態で設けられる。一形態では、単一の腫瘍モジュール50が1つまたは2つ以上の腫瘍38を含む。モジュール支持体52には1つまたは2つ以上の腫瘍モジュール50が装填され、模擬組織構成例20は、外科用訓練器具10の体腔18、フレーム構造体または他の胴体モデル中に挿入される。モデル支持体は、訓練器具10のベース12上に配置されても良くまたは訓練器具10の体腔18内に浮いた状態で設けられても良い。模擬組織構成例20および/または訓練器具は、模擬組織構成例20の配置、浮いた状態での配置または訓練器具10への模擬組織構成例20の連結を可能にするために取り付け機構体、例えばクリップ、締結具、ワイヤ、フック・アンド・ループ(hook-and-loop )型ファスナ(面ファスナ)などを備えている。
【0020】
特に
図6Bを参照すると、2つ以上の層を有するモジュール支持体52が示されている。
図6Bのモジュール支持体52は、第2の層55に連結された第1の層57を有する。一形態では、第1の層57は、エラストマー材料のシートで作られ、第2の層55は、任意適当なポリマー材料、例えば低密度エラストマーフォームで作られている。第2の層55は、第1の層57の支持体としての役目を果たす。第2の層55は、さらに、有利には、モジュール支持体52に深さを提供し、これによりモジュール50内での腫瘍38を第1の表面51に対してモジュール支持体52中に深く配置することができる。モジュール受け入れ部分54,56,58は、第1の層57および第2の層55のうちの1つまたは2つ以上に形成される。第2の層55に形成されたモジュール受け入れ部分54,56,58は、同じモジュール受け入れ部分54,56,58が第1の層57内に有する形状とは異なる形状を有しても良い。一形態では、腫瘍モジュール50は少なくとも、第2の層55内に埋め込まれまたは埋設された模擬腫瘍38だけを有し、第1の層57または第2の層55のうちの少なくとも一方は、ユーザが閉鎖を練習することができる欠陥層を構成する。変形例として、第1の層57は、モジュール受け入れ部分を有しておらず、その代わりに、第1の層57は、ユーザが第2の層55に形成された腫瘍受け入れ部分に位置する腫瘍38に接近するよう切開を練習するカバー層としての役目を果たす。かかる形態では、第1の層57は、エラストマー材料、例えばシリコーンのシートであるのが良く、第2の層55は、低密度エラストマーフォームの層である。モジュール支持体52は、
図6Aおよび
図6Bに示されているように扁平であり、または変形例として、人の解剖学的構造、組織または臓器の一部分にそっくりであるよう形作られる。
【0021】
例えば
図7は、人の子宮にそっくりであるように形作られた支持体52を示している。支持体52は、第2の層55に連結された第1の層57を有する。一形態では、第1の層57は、任意適当なポリマー材料、例えばエラストマー材料のシートで作られ、第2の層55は、任意適当なポリマー材料、例えば低密度エラストマーフォームで作られている。第2の層55は、第1の層57のための支持体としての役目を果たし、第2の層55は、有利には、モジュール50内の腫瘍38をまたは腫瘍38自体を支持体52に連結することができ、それにより腫瘍38が支持体52中に本物のように深く延びて種々の場所および向きで支持体52全体にわたって延びて分散させることができるようにし、このように設けることは、
図7に示されているように第1の層57中への埋め込まれることが挙げられる。腫瘍またはモジュール受け入れ部分61は、第1の層57および第2の層55のうちの少なくとも一方に形成される。腫瘍受け入れ部分61は、第2の層55にあらかじめ形成されたポケットであっても良くまたはスリットを第2の層55に切断形成することによってユーザによって形成されても良い。一形態では、腫瘍38は、人の子宮に一般的に見受けられる線維腫にそっくりであるよう形作られる。支持体に設けられた腫瘍38によって模擬される線維腫の例としては、以下の形式の線維腫、すなわち、懸垂性粘膜下線維腫、漿膜下線維腫、粘膜下線維腫、懸垂性漿膜下線維腫および壁内線維腫のうちの1つまたは2つ以上が挙げられるが、これらには限定されない。ユーザは、支持体52に接近して模擬腫瘍38をアクセスチャネルまたは開口部63経由で第1の表面51または第2の表面53から切除することができる。一形態では、開口部63は、中空部分59の唯一の開口部としての役目を果たしまたは変形例として支持体52は、扁平なC字形構造体の上方または下方からユーザに利用可能なアクセスを備えた実質的にC字形の扁平な形態を有しても良い。
【0022】
一形態では、種々の形態のうちの任意のもののモジュール支持体52は、扁平ではなく、直線構造、他の構造、山、谷および種々のテキスチャを含む風景を備えている。風景の変化により、ユーザが腫瘍存在場所を覆い隠す場合のあるアーチファクトおよび特徴のよけて進まなければならないようにする各腫瘍存在場所に接近する際の種々の難易度がユーザに提供される。腫瘍支持体52のこれら構造的アーチファクトは、腫瘍支持体52と一体成形されてもよく、あるいは、構造が腫瘍モジュール50に類似したモジュール式であっても良く、それにより解剖学的風景モジュールを取り外し可能にかつ交換可能にする。腫瘍モジュール50は、非腫瘍モジュールと互換性があり、かかる非腫瘍モジュールは、例えば、モジュール支持体52の上面51および下面53のうちの1つまたは2つ以上から外方にまたは内方に延びるシリコーンまたは他の材料で作られた特徴およびアーチファクトまたはテキスチャを含む。かかる非腫瘍モジュールの特徴は、隣接の臓器構造体または組織を含む解剖学的構造にそっくりなように種々の形状を有するのが良い。例えば、非腫瘍モジュールは、腸にそっくりであるようシリコーンの管状形態を含むのが良い。非腫瘍および腫瘍モジュール50は、当業者に知られている任意の手段によってモジュール支持体52に取り外し可能に連結されており、それにより、ユーザは、使用後にモジュールを破棄し、次に破棄したモジュールを交換しまたはモジュール支持体52内の隣接のモジュール50に進み、または腫瘍モジュール50を異なる特徴または難易度を有する別の腫瘍モジュール50に交換することによって練習を続行することができる。
【0023】
腫瘍モジュール50の変形例が
図8および
図9に示されている。腫瘍モジュール50は、支持体62に連結された模擬組織部分60を有する。図示の形態では、支持体62は、底部フレーム66に連結された頂部フレーム64を有する。頂部フレーム64および底部フレーム66のうちの少なくとも一方は、窓を有する。窓68を有する頂部フレーム64が
図8に示されている。底部フレーム66は、窓を有しても良く、または窓を有さなくても良い。窓が頂部フレーム64と底部フレーム66の両方に設けられている場合、これらの窓は、少なくとも一部が互いに整列する。支持体62は、頂部フレーム64と底部フレーム66との間に模擬組織部分60を受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られている。頂部フレーム64は、一体型模擬組織部分60または多数の層で作られていて一形態では分離可能な模擬組織部分60を捕捉するよう底部フレーム66に連結可能である。一形態では、フレーム64,66は、スペーサ70を用いて互いに間隔を置いて配置される。さらに、頂部フレーム64および底部フレーム66のうちの少なくとも一方は、腫瘍モジュール50を腫瘍支持体52(図示せず)に固定するよう構成された1つまたは2つ以上の連結特徴部72を有する。
図9では、連結特徴部72は、スナップ嵌め係合関係を生じさせるよう腫瘍支持体52に形成された穴中に対応関係をなして挿入可能に延びているペグとして示されている。摩擦嵌めまたは他のファスナもしくは連結手段、例えばフック・アンド・ループ型材料をマンドレル50およびモジュール支持体52上に採用してモジュール50を取り外し可能な仕方で支持体52に連結するのが良い。
【0024】
依然として
図8および
図9を参照すると、模擬組織部分60は、
図2~
図5を参照して上述した構成例のうちの任意のものであって良い。窓が第1および第2のフレーム64,66の両方に形成されている場合、模擬組織部分60にモジュール50の各側から接近できる。カバー層として上述した任意の層が模擬組織部分60に接近するのがどの側または方向から化に応じて頂部層または底部層として働くことができる。例えば、ベース層はまた、模擬組織部分60に接近するのがどの側または方向であるかに応じて頂部層としてまたは底部層としての役目を果たすことができる。かかる双方向構成例では、層の厚さおよび色は、所望の模擬効果を提供するようそれに応じて調節可能である。
【0025】
図9の模擬組織部分60は、第1の層74および第2の層76を有する。第1および第2の層74,76は、本物の生きている組織にそっくりであるよう構成されたポリマー材料、例えばシリコーンまたは他のポリマーで作られており、これらの層は、任意の1つもしくは2つ以上の適当な色の染料またはメッシュ、布、または他の補強材を有するのが良い。層74,76の各々は、それぞれ腫瘍受け入れ部分78,80を有する。各腫瘍受け入れ部分78,80は、層74,76に形成された凹部、凹み、ポケット半部または層厚さの減少した場所である。腫瘍受け入れ部分78,80は、腫瘍38のためのポケットを形成するよう互いに実質的に整列している。
図9の各層74,76は、腫瘍受け入れ部分78,80を備えた状態で示されているが、一形態では、単一の腫瘍受け入れ部分78,80が第1および第2の層74,76のうちの少なくとも一方に形成される。腫瘍38が1つまたは2つ以上の層74,76に形成された1つまたは2つ以上の腫瘍受け入れ部分78,80によって形成されているポケット内に納められる。腫瘍38は、いずれかの層74,76に接着されても良くまたはポケット内で自由浮動状態にあっても良い。
図9に示されているように、相互に形成されている腫瘍受け入れ部分は、一形式の欠陥であるとみなすことができ、
図9の形態は、2つの欠陥層を有する模擬組織構成例を説明しており、これら2つの欠陥層相互間には腫瘍が存在する。ユーザが模擬組織部分60に接近しているとき、ユーザは、標的腫瘍存在場所を見ることになる。行敵手用38の視覚化は、腫瘍受け入れ部分が層の残部に対して厚さが小さいことによって高められ、この層の薄肉化は、凹部またはポケットによって提供される。次に、ユーザは、腫瘍の全体的存在場所に切れ目を入れて層74,76のうちの少なくとも一方に切り込み、それにより腫瘍38を除去する。1つまたは2つ以上の層の切り開きは、隙間または完全な欠陥部の形成を完了させ、ユーザは次に、隙間または完全欠陥部を縫合しまたは違ったやり方で互いに閉鎖する訓練を行うことができる。別の形態では、層74,76には腫瘍受け入れ部分が形成されていない。かかる形態では、少なくとも1つの腫瘍が2つの層74,76相互間に位置し、層74,76は、実質的に一様な厚さを有し、腫瘍38は、層に小さな膨らみ部を形成する。
【0026】
次に
図10A、
図10B、
図11A、
図11Bおよび
図12を参照すると、別な形態としての模擬組織部分86が示されている。組織部分86は、上述したように一体であっても良くモジュール式であっても良い。組織部分86は、任意適当なポリマー材料、例えばシリコーンまたは他の弾性ポリマーで形成されたベース層88を有し、かかる材料は、縫合糸を運んでいる間または縫合されている間、引き裂きに抵抗する補強材料、例えば布、メッシュ、ナイロンまたは他の補強材料もしくは充填材を含んでも良くあるいは含まなくても良い。ベース層88は、欠陥層90に連結され、この欠陥層は、ベース層88上に重ね合わされている。欠陥層90は、ベース層88から上方に延びる複数の突出部を有する。欠陥層90は、ベース層88と一体に形成されても良くまたはベース層88に接着された別個の層であっても良い。
図10A、
図11Aおよび
図12で理解できるように、欠陥層90は、格子形状のパターンの状態に構成され、したがって格子は、ベース層88の上方に持ち上げられまたはベース層88から上方に突き出ている。格子パターンは、例示であり、任意の形状を欠陥層90によって形成することができ、その結果、このパターンは、複数の隣り合う突出部を有する。ベース層90のこれら突出部は、腫瘍38a,38bを容易な切除を可能にするためにベース層88の上方に持ち上げるために縫合糸針をプラットホーム中に引っ掛けるとともにプラットホームとして引っ掛けるための場所をユーザに提供する。一形態では、腫瘍38a,38bは、欠陥層90に接着されるのが良く、カバー層92が設けられるのが良い。
図10Aおよび
図11Aは、模擬組織部分86の半分解組立て図において、ベース層88、欠陥層90、腫瘍38a,38bおよびカバー層92を示しており、この場合、カバー層92は、他の層よりも上方に持ち上げられている。
図10Aの腫瘍38aは、実質的に扁平であり。この腫瘍は、カバー層92によって
図10Bでは覆われた状態で示されている。
図11Aの腫瘍38bは、高い高さを有し、この腫瘍は、形状が実質的に球形であり、
図11Bは、カバー層92で覆われた球状の腫瘍38bを示しており、後には、構成例に隆起部分または突起が残されている。
図12は、腫瘍38が除去されている状態を示しており、後には、ベース層88に残遺欠陥部94が残るとともに縫合糸針が欠陥部94の隙間を横切り、欠陥部への接近は、カバー層92の下でまたはこれを通って行われる。
【0027】
次に
図13Aを参照すると、本発明のポリープ模造体100が示されている。ポリープ模造体100は、欠陥層102、メッシュ層104、筋肉層106およびモールド剥離手段108を有する。
【0028】
次に
図13Bを参照すると、欠陥層102は、第2の表面112から見て反対側に位置する第1の表面110を有する。欠陥層102は、x‐y平面で見てシリコーン材料の実質的に扁平でありかつ薄手の層である。欠陥層102は、第1の表面110からx‐y平面に垂直な方向でz軸に沿って外方に延びる欠陥部114を有する。欠陥部114は、任意形状のものであって良い。一形態では、欠陥部114は、異常な組織成長部、例えばポリープにそっくりである。一形態では欠陥部114は、幅の狭い細長い茎および球状の遠位端部を有する。別の形態では、欠陥部の遠位端部は、湾曲している。別の形態では、欠陥部114は、大腸ポリープまたは結腸ポリープにそっくりである。一形態では、欠陥部114は、長さが約2~5ミリメートル、幅が1~5ミリメートルである。一形態では、欠陥層102のシリコーンは、赤色または桃色に染色されている。一形態では、欠陥層にはコントラストをなす色に着色されたシリコーンが含まれている。
【0029】
次に
図13Cを参照すると、メッシュ層104は、第2の表面118から見て反対側の第1の表面116を有する。メッシュ層104は、x‐y平面で見てナイロンまたは他のポリマーで作られた繊維のストランド120から成る実質的に扁平なかつ薄手の層である。一形態では、メッシュ層104は、LYCRAで作られている。一形態では、メッシュ層104は、任意の方向に引き伸ばし可能である。別の形態では、メッシュ層は、双方向伸縮特性を有する。ポリマー繊維のストランドは、ウェブまたはネットを形成している。メッシュ層104は、織成されているのがよく、このメッシュ層は、一様なパターンを有する。メッシュ層104は、色が桃色、透明または白色である。
【0030】
次に
図13Dを参照すると、筋肉層106は、第2の表面124から見て反対側に位置する第1の表面122を有する。筋肉層106は、x‐y平面で見てシリコーン材料の実質的に扁平なかつ薄手の層である。一形態では、筋肉層は、色が黄色である。
【0031】
モールド剥離手段108は、代表的には液体の形態をしていてモールド剥離領域又は層を形成するよう吹き付けられるモールド剥離剤である。モールド剥離剤は、シリコーン上に用いるのに適した作用剤である。一形態では、モールド剥離層108は、モールド剥離剤の代替例または置換例である。モールド剥離層108は、シリコーン層表面の少なくとも一部分が隣接のシリコーン表面に結合するのを阻止する。一形態では、モールド剥離手段108は、欠陥層102の一部分が隣接の筋肉層106に結合するのを阻止する。別の形態では、モールド剥離手段108は、欠陥層102とメッシュ層104の組み合わせのうちの少なくとも一部分が隣接の筋肉層106に結合するのを阻止する。
【0032】
次に
図14Aおよび
図14Bを参照すると、筋肉層106を成形するための筋肉モールド126が示されている。筋肉モールド126は、第1のウェル128を有する。このウェル128は、円形の筋肉層106を生じさせるよう形状が円形である。第1のウェル128は、任意形状のものであって良い。未硬化シリコーンがモールド中に注ぎ込まれて筋肉層を形成するよう硬化するようになる。硬化後の層を取り出すのを助けるためにモールド剥離手段が採用されるのが良い。取り出さされた層をアルコールで洗浄してモールド剥離手段があればこれを除去するのが良い。
【0033】
次に
図15Aおよび
図15Bを参照すると、欠陥層102を成形するための欠陥モールド130が示されている。欠陥モールド130は、第1の深さを備えた第1のウェル132および第2の深さを備えた第2のウェル134を有する。第2の深さは、第1の深さよりも深い。第2のウェル134は、第1のウェル132内に設けられている。第2のウェル134は、ポリープまたは他の欠陥114の形状を作るためのものである。第2のウェル134の形状は、欠陥114の形状に一致している。第1のウェル132の形状は、これが任意形状を有することができる場合であっても、円形の欠陥層を形成するよう円形である。一形態では、第1のウェル132の寸法形状は、筋肉モールド126の第1のウェル128の寸法形状と同一であり、それにより同一の寸法形状を有するとともに良好なパッチ状模造体100を形成するよう容易に成立するとともに連結できる筋肉層106と欠陥層102が形成される。第2のウェル134は、これが第1のウェル132の周囲内に位置するよう形成される。第2のウェル134は、欠陥層102の残部によって包囲された欠陥114を生じさせる。未硬化シリコーンが欠陥モールド130内に注ぎ込まれて硬化するようになり、その後に取り出される。モールド剥離手段は、欠陥モールド130からの欠陥層102の取り出しを容易にするために採用されるのが良い。別の形態では、コントラストをなす色に着色された硬化済みシリコーン片がポリープまたは他の欠陥の形状を形成する第2のウェル134内に配置される。例えば、第2のウェル134の内部に嵌まるよう寸法決めされた1つまたは2つ以上の赤色に着色されるとともに円筒形に形作られた硬化済みシリコーン片が欠陥モールド中への未硬化シリコーンの注ぎ込みに先立ってまたは未硬化シリコーンが欠陥層102を形成するよう欠陥モールド130中に注ぎ込まれた後に第2のウェル134内に配置される。その結果、コントラストをなす色に着色されたシリコーン片は、模造されている特定の欠陥の特注のかつより迫真性のある構成例を提供するよう欠陥の存在場所で欠陥層102内に埋め込まれることになる。
【0034】
一形態では、欠陥層102は、欠陥層102の第2の表面112がメッシュ層104の第1の表面116に向くようメッシュ層104に連結されている。一形態では、欠陥層102とメッシュ層104との間に接着剤が用いられるのが良く、あるいは、別の形態では、メッシュ層104は、欠陥層102のシリコーンが硬化していない間に欠陥層102中に配置される。その結果、メッシュ層104は、欠陥層102内に埋め込まれる。メッシュ層104が欠陥層102内に埋め込まれる場合、その結果として得られる組み合わせは、欠陥層102の第1の表面110である近位側の表面およびメッシュ層104の近くの表面である遠位側の表面を有する。モールド剥離手段108が選択領域において欠陥/メッシュ層組み合わせの遠位側の表面に塗布される。一形態では、モールド剥離手段108は、周囲の中心に塗布され、その結果、モールド剥離手段108のない環状領域がモールド剥離手段の塗布されている領域を包囲するようになる。別の形態では、モールド剥離手段108が欠陥114の下に塗布され、その結果、モールド剥離手段が施されていない遠位側の表面の領域が、モールド剥離手段108が施されている領域を包囲するようになる。モールド剥離手段を包囲している領域にはモールド剥離手段108が施されておらず、それにより筋肉層106と形状が環状である欠陥層102との間に結合部が作られる。モールドは栗手段108が施されている領域は、筋肉層106を欠陥層102に結合することはなく、それにより筋肉層と欠陥層を欠陥114の存在場所で分離可能にする。次に、筋肉層106を欠陥/メッシュ層組み合わせの遠位側表面に連結する。筋肉層106を一形態では接着剤により連結する。別の形態では、筋肉層106を欠陥層102のシリコーンが依然として未硬化状態にある間に欠陥/メッシュ層組み合わせの遠位側の表面に被着させ、それにより筋肉層106を欠陥/メッシュ層組み合わせ中に埋め込む。
【0035】
ポリープ模造体100を形成する別の方法では、形成プロセスは、2つのモールド、すなわち筋肉モールド126および欠陥モールド130の使用を含む。シリコーンを筋肉モールド126中に流し込んで、筋肉層106を形成する。筋肉層106のシリコーンが硬化するようにする。次に、筋肉層106を筋肉モールド126から取り出す。イソプロピルアルコールを用いて筋肉層106を洗浄する。モールド剥離手段108を筋肉層106の中心にのみまたは欠陥114の下側にのみ塗布する。ステンシルを用いてモールド剥離手段108を第1の表面122に塗布する。モールド剥離手段108が施された筋肉層106を放置する。
図16を参照すると、シリコーンを欠陥モールド130内に流し込んで欠陥層102を形成する。欠陥モールド130内のシリコーンがまだ硬化していない間、第1のウェル132の形状に一致する形状を備えたメッシュ層104を欠陥モールド130内の未硬化シリコーン上に配置し、その結果、このメッシュ層が未硬化シリコーンに連結状態になるようにする。モールド剥離手段108が施された筋肉層106をメッシュ層104の上方に置いてモールド剥離手段108が施されている第1の表面122がメッシュ層104および欠陥層102に向くようにする。モールド剥離手段108が施された筋肉層106をメッシュ層104および欠陥層102の未硬化シリコーンの方へ表を下にした状態でこれらの上に載せる。筋肉層106をこれが未硬化状態にある間に例えば手袋をはめた指で欠陥層102に押し込み、それにより気泡があったとしてもこれらを除去する。欠陥層102のシリコーンが硬化するようにし、その結果得られるポリープ模造体100を欠陥モールド130から取り出す。これら層の全ては、同一の形状を有し、そして互いに整列した状態で重ね合わせて単一の片をなすポリープ模造体100を形成する。モールド剥離手段108の結果として、筋肉層106の一部は、欠陥およびメッシュ層102,104には接着されず、モールド剥離手段108が施されていない筋肉層106の部分を欠陥およびメッシュ層102,104に接着する。選択的接着により、有利には、ポリープ除去の練習に適したポリープ模造体100が作られ、メッシュ層は、ポリープを除去した後の縫合の練習を行うのに適したポリープ模造体を生じさせる。
【0036】
別の方法では、欠陥層102がメッシュ層104を備えた状態でまたは備えていない状態で硬化するようにする。第2の層106が硬化するようにする。ステンシルを欠陥層102および第2の層106のうちの一方の頂部上に置く。ステンシルは、1つまたは2つ以上の孔を有する。1つまたは2つ以上の孔は、接着のために構成されたパターンをなしてステンシル上に配列されている。一パターンは、複数のランダムに間隔を置いて位置するドットまたは円を含む。未硬化状態のシリコーンまたは接着剤を孔の配設場所でステンシル上に塗布し、その結果、未硬化状態のシリコーンまたは接着剤が1つまたは2つ以上の開口部を通過してステンシルが置かれている層に接触するようにする。ステンシルを過剰の接着剤または未硬化シリコーンと一緒に除去し、後には、パターンをなした未硬化シリコーンまたは接着剤が得られる。次に、欠陥層および第2の層106のうちの他方の層の頂部上に載せてこれに接着する。ステンシル上の接着剤に関するパターンは、欠陥の存在場所に作られた円周方向パターンもしくは円形パターンであるのが良くまたは任意他のパターンであって良い。ステンシル孔は、例えば複数の円から成る単一の連続したまたは多数の孔を含むパターンであって良く、かかるパターンは、これらの層の周囲に沿ってかつ/あるいは欠陥の周りにぐるりと大きな円を描き、その結果、2つの層は、塗布された接着剤または塗布された未硬化シリコーンの外部では互いに接着されないようになる。2つの互いに接着された層相互間にモールド剥離手段を用いても良くまたは用いなくても良い。
【0037】
次に、1つまたは2つ以上の結果として得られたポリープ模造体100を模擬組織構造体の別の部分に接着する。例えば、パッチ状ポリープ模造体100を接着剤により一形態ではシリコーンで作られている管状模擬結腸の内面に接着する。ポリープ模造体100を模擬結腸モデルに連結し、欠陥114が結腸の管腔中に延びるようにする。
【0038】
別の形態では、製造を容易にするために追加のメッシュ層104を用いないで筋肉層106と欠陥層102を互いに結合する。別の形態では、筋肉層106と欠陥層102を別々に完全に硬化させ、そしてモールド剥離手段108を全く用いないで互いに接着する。別の形態では、欠陥114を欠陥層102の第1の表面110から延びる一体突出部としては形成しない。その代わりに、欠陥114は、筋肉層106と欠陥層102との間に位置する別個の片である。別の形態では、欠陥114を欠陥層102の第1の表面110から延びる一体突出部としては形成しない。その代わりに、欠陥114は、欠陥114が欠陥層102と筋肉層106との間で浮動するよう筋肉層106と欠陥層102との間に位置する別個の片である。
【0039】
ポリープ模造体100を模擬直腸に用いる。模造体100は、有利には、この模造体中に埋め込まれたメッシュ層104を含み、このメッシュ層により、ユーザは、欠陥114の除去の練習に続き、縫合技術の練習を行うことができる。この模造体100は、欠陥の除去の難易度を高めており、その理由は、層106,102がモールド剥離手段108が施されていない環状領域に起因して容易には分離されないからである。メッシュ層104により、ポリープ模造体100を縫合することができる。縫合技術の練習を、周りのシリコーンを損傷させないでユーザによって行われる。欠陥層102が依然として未硬化状態にある間に2つの筋肉層106を互いに連結した結果として、2つの層の分離の難易度を高めかつ模造体の精度を高める構成例が得られる。埋め込み状態のメッシュ層104は、縫合糸がシリコーンを引き裂き、ひき割りまたは切り開くのを止める。さらに、弱い真空がモールド剥離手段108を有する場所において2つの層102,106相互間に作られるので、筋肉層106を欠陥層102から分離することの難易度が高い。真空は、筋肉層106と欠陥/メッシュ層を互いに密接状態のままにし、それにより接着とほぼそっくりな状態をもたらす。この真空は、外科用器械が2つの層102,106相互間に空間を生じさせてこれらの層を互いに引き離すことによってこの真空を解除し、それによりユーザがこの技術を練習することができる。これは、2つの層相互間にモールド剥離手段が何ら施されていない形態に対して適用および/または解剖学的構造に応じて分離を容易にし、その結果、筋肉層と欠陥層がこれらのインターフェースを取っている表面全体に沿って結合される。
【0040】
次に
図17A~
図17Cを参照すると、外科的処置を練習するための模擬組織モデル200が示されている。
図17に示されているモデル200は、結腸または腸区分の一部分にそっくりなように構成されているが、本発明は結腸または腸には限定されない。モデル200全体は、ある特定の外科的処置を練習することが望ましい臓器または組織区分の少なくとも一部分にそっくりなように構成されるのが良い。模擬組織モデル200は、内面202および外面204を有し、これら表面202,204は、一緒になって厚さを有する側壁を形成する。
図17Aの模擬組織モデル200は、結腸、直腸または腸区分を模倣するよう、近位端部のところの開口部と遠位端部のところの開口部との間で長手方向軸線に沿って延びる中央ルーメン206を備えた筒体の形状を有する。端部のところの開口部のうちの一方は、省かれても良い。内面202および外面204のうちの1つまたは2つ以上のいずれかは、本物の組織にそっくりな表面特徴部またはテキスチャを有するのが良い。例えば、横ひだおよび/または直腸間膜層が設けられるのが良い。模擬横ひだは、外科医の器具の運動に対して障害物となる場合があるとともに/あるいは病変の直接的な視覚化を妨げる場合がある。したがって、横ひだが存在することにより、外科医が経肛門手技を実施しながら直面する場合のある難題が倍加する。単純化されたモデル200では、横ひだが省かれる。モデル200に設けられる模擬直腸間膜層は、有利には、肛門辺縁の近くに位置する標的組織病変に接近するための基準平面となり、かかる標的組織病変は、器械の動きおよびシャープな接近角度に起因して除去するのが困難である。
【0041】
側壁は、模擬組織モデル200の中央ルーメン206によって画定された内部空間をモデル200の外部空間から分離する。モデル200は、側壁を貫通して内面202から外面204まで延びる1つまたは2つ以上の孔208を有する。各孔208は、モジュールまたはポッド210を受け入れるよう形作られるとともに構成されている。側壁は、ポッド受け入れ孔208を包囲している領域が実質的に一様な厚さを有する。複数の孔208がモデル200の長さに沿って近位端部から遠位端部まで、そして種々の場所で側壁周りに形成されている。モデル200の側壁は、硬質または半硬質材料、例えばプラスチックで作られている。別の形態では、モデル200の側壁は、軟質であるとともに/あるいは軟質および半硬質または硬質の部分と組み合わされている。モデル200の側壁は、ポッド210をモデル200に取り付けることができるよう構成されている。
【0042】
各ポッド210は、キャップとも呼ばれている組織キャリヤ210に連結された模擬組織部分212を有する。組織キャリヤ214が
図18に示されている。キャリヤ214は、フレーム218に連結されたフランジ216を有している。一形態では、フレーム218は、形状が実質的に円筒形であり、このフレームは、近位端部のところに開口部220を有するとともに閉鎖された遠位端部を有する。フランジ216は、近位端部のところに配置された状態で少なくとも部分的に開口部220を包囲している。フレーム218は、実質的に円形の近位開口部220を備え、フランジ216は、少なくとも開口部220の周囲の一部に沿って延びている。フランジ216は、フレーム218の円筒形側壁に実質的に垂直であり、このフランジは、近位端部のところが半径方向外方に延びている。フランジ216は、組織部分212に連結されてこれを浮いた状態になるよう構成された表面222を有する。ポッド210は、孔208を埋める組織インサートとしての役目を果たすよう構成され、フランジ表面222は、これが受け入れられる内面202の部分にマッチするよう輪郭付けられている。例えば、モデル200の内面202が凹状である場合、フランジ216の表面222もまたこれに対応して形状が凹状である。フレーム218は、ポッド210をモデル200に連結したりポッド210をモデル200から連結解除したりするために内方に撓み、次に外方にスプリングバックするよう構成された互いに反対側に位置する戻り止め224を有する。ポッド210をモデル200の孔208中に挿入しながらユーザの指を用いて戻り止め224を内方に押す。ポッド210をモデルの内部空間から挿入してモデル200の側壁が戻り止め224上をこれに沿って進み、それにより戻り止めを内方に撓ませ、戻り止め224が側壁を越えた後に戻り止めが外方にスナップ動作で戻って、モデル200の側壁を戻り止め224とフランジ214との間に捕捉し、それによりポッド210をモデル200に連結する。モデル200の内面202は、
図19に示されているように各孔208を包囲している凹部226を有する。各凹部226は、孔208の周りに延びていて、ポッド210のフランジ216を受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られており、その結果、連結状態の組織部分212またはフランジ216がモデル200の内面202と実質的に同じ高さに位置しまたはこれと面一をなすようにする。組織部分212が連結されているポッド210が
図17Aおよび
図19ではモデル200の孔208中に挿入された状態で示されている。組織部分212は、ポッド210のフランジ216に連結されている。具体的に説明すると、組織部分212は、組織部分212の少なくとも一部分が浮いた状態で設けられまたは近位開口部220を横切ってまたぐように接着剤または接合によってフランジ216の表面222に連結されている。浮いた状態で設けられている組織部分212は、ポッド210内で自由に撓んだり伸縮したりすることができ、この組織部分は、模擬手技において切開される。この手技に続き、ポッド210をモデル200から取り出して破棄し、そして外科的処置の次の訓練および練習のために新たなポッド210で置き換え、これをモデル200の円筒形側壁中に配置する。組織部分212を備えた各ポッド210は、管状の形状を備えた模擬モデル200に取り付け可能に構成されている。管状の形状は、ポッド210を挿入したりこれを取り出したりするためのクラム(clam)として開くよう構成されているのが良い。
【0043】
各ポッド210の組織部分212は、柔軟性があり、この組織部分は、少なくとも、扁平な第1の層228を有する。第1の層228は、第1の面または側部および第2の面または側部を有する。第1の層228は、第1の面がモデル200の内部に向くようフランジ表面222に連結されている。第1の層228は、開口部220を覆うとともにフランジ216に取り付けられるよう寸法決めされるとともに形作られている。したがって、連結状態の第1の層228は、開口部220を覆っている。第1の層228の中央部分は、外科用器械との衝突に応答して自由に撓むことができる。第1の層228はまた、ブレード、例えばメスまたは他の器具で切離されるとともに外科用器械によって把持されまたは外科的処置を練習する外科医によって必要に応じて操作されるよう構成されている。第1の層228の中央部分は、トランポリンのような仕方で浮いた状態で設けられている。第1の層228は、シリコーンで作られており、この第1の層は、第1の層228が引裂かれることなく縫合糸を保持することができる縫合可能な品質を第1の層228に与えるメッシュ層、繊維、布または他の補強材を有しても良くまたは有さなくても良い。別の形態では、第1の層228は、KRATON(登録商標)で作られる。
【0044】
別の形態では、組織部分212は、実質的に扁平な第1の層228およびこの第1の層228に連結された模擬標的または腫瘍232を有する。第1の層228は、第1の面がモデル200の内部に向くようフレーム218に連結されている。模擬腫瘍232は、模擬腫瘍232がモデル200の内部に向き、一形態では、長手方向軸線に向かって突出するよう第1の層228の第1の面に連結されている。この形態では、第1の層228と模擬腫瘍232の両方は、シリコーンで作られている。第1の層228は、全体がモデル200の内面202の周りの色と同じ色を有するよう染色されており、したがって、この第1の層は、周りの内面202から識別できないようになっている。第1の層228は、色が全体として桃色または赤色である。模擬腫瘍232は、第1の層228よりも暗いまたはこれとは対照的な色、例えば暗赤色、茶色または黒色に染色されるのが良い。模擬腫瘍232は、第1の層228の第1の表面から外方に延びている。別の形態では、
図13~
図16のポリープ模造体100は、ポッド210に取り付けられる。
【0045】
別の形態では、組織部分212は、第1の面または側部および第2の面または側部を備えた実質的に扁平な第1の層228、第1の面または側部および第2の面または側部を備えた偏平な第2の層230および模擬標的または腫瘍232を有する。第1の層228は、実質的に扁平であり、この第1の層は、第1の面がモデル200の内部に向くようフレーム218に連結されている。第1の層228は、シリコーンで作られており、この第1の層は、桃色または赤色に染色されている。第2の層230は、実質的に扁平であり、この第2の層は、第1の面または側部および第2の面または側部を有する。第2の層230は、第2の層230の第1の面が第1の層228の第2の面に向くよう第1の層228に連結されている。一形態では、第1の層と第2の層を互いに連結するよう第1または第2の層の少なくとも一部分に接着剤が施された状態で用いられる。別の形態では、層228,230のうちの一方が未硬化状態にある間に他方の層に被着され、かかる層が硬化して他方の層に接着するようにし、その結果、これらの層は、接着剤の使用に対応して容易に分離される。第2の層230は、シリコーンで作られており、この第2の層は、黄色に染色されている。模擬腫瘍232は、第1の層228に取り付けられまたはこれと一体に形成され、その結果、模擬腫瘍232は、第1の層228の第1の面に連結されまたは第1の層228の第1の面から外方に延びている。第2の層230は、色が黄色であり、この第2の層は、粘膜化層を模倣している。第1の層228は、桃色であり、直腸壁を模倣している。模擬腫瘍232は、腫瘍、病変または他の外科的に望ましい標的を模倣している。一形態では、第2の層230は、外面および内面を備えた偏平な形態を有し、この第2の層は、第1の層228と同じ寸法形状であるよう構成されており、腫瘍230は、第1および第2の層228,230よりも小さく寸法決めされている。外科医は、経肛門方式を練習する際、外科用器械をモデル200の近位端部または遠位端部のうちの1つまたは2ついじょうのところの開口部中に挿入する。外科医は、切開創を第1の層228に入れて切開創を第1の層228を貫通するとともに模擬腫瘍232の周りに延長させるためにメスを用いる練習を行う。第2の層230は、切断を停止させて第2の層230中に切り込まないようにするための指標または警告を外科医に対してもたらす。したがって外科医は、模擬腫瘍232の注意深いかつ正確な切除を練習することができる。したがって、視覚化の際、黄色の第2の層230は、外科医にとっての基準面としての役目を果たす。一形態では、腫瘍232および第1の層228の少なくとも一部分の切除を容易にするため、模擬腫瘍232に隣接して位置しまたはこの下に位置する第1の層228の領域は、接着剤で第2の層230に接着されることはない。一形態では、第1の層228は、模擬腫瘍232の周りに円周方向にのみ第2の層230に接着され、それにより第1の層228を切れ目が接着部の周囲に入れられた場合に第2の層230から容易に分離できるようにする。接着剤のこの種の配置は、有利には、外科医がより正確な切除を行うよう案内するのを助ける。別の形態では、模擬腫瘍230の下に位置する第1の層228の領域は、接着剤なしで同じ材料の表面接着特性によりまたは組織部分212の作製の際に一方の層を他方の層上に硬化させることによって第2の層230にくっつけられる。主要そう232を除去した後、外科医は、結果として得られる欠陥または隙間を縫合糸で縫合して閉じる練習を行うことができる。第1および/または第2の層228,230は、縫合可能な材料で作られるのが良い。例えば、縫合可能な材料としては、繊維、メッシュまたは布状にオーバーモールドされた熱硬化性ポリマー、熱可塑性エラストマー、または繊維、メッシュまたは布状にオーバーモールドされた熱可塑性エラストマーが挙げられる。布メッシュ材料はまた、双方向伸縮特性を有するのが良い。
【0046】
組織部分212の少なくとも一部分は、模擬組織部分212の後ろに模擬腫瘍232および/または組織部分212の操作を可能にする空間が得られるようフレーム218によってつるされている。つるされた部分は、組織部分212の中間部分であり、その周囲は、フレーム218に取り付けられている。その結果、取り付け状態の組織部分212は、直腸壁の弾性を模倣し、そして一形態では、周りの材料の弾性とは異なる弾性またはばね特性を有する。
【0047】
次に
図20を参照して、組織モデルの別の形態について今説明する。
図20は、本発明の模擬組織モデルを形成するためのマンドレル234を示している。マンドレル234は、少なくとも1つの窪み236を備えている。マンドレル234は、結果として得られる組織モデルに横ひだを形成するための長手方向軸線に実質的に垂直な1つまたは2つ以上の割れ目238を更に有するのが良い。結果として得られる組織モデルの断面が
図21に示されている。未硬化シリコーンの第1の層240が
図20のマンドレル234の周りに均等に被着され、この第1の層は、マンドレル234上で硬化して腸区分または結腸にそっくりな実質的に円筒形の形状を有するモデル200を形成するようになる。第1の層240は、シリコーンを支持しまたは注ぎ込むブラシまたは他の器具のスワイプにより塗布された未硬化シリコーンの多数の塗布部を有するのが良い。シリコーンは、硬化し、その結果、第1の層240は、内面244、外面246および少なくとも1つのマンドレル窪み236の配設場所で外面246に形成された少なくとも1つの凹部242を有する。凹部242内に嵌まるよう寸法決めされるとともに形作られている第2の層248が凹部242の内部に配置された状態で設けられている。第2の層248は、実質的に扁平であり、内面および外面を備えている。第2の層248は、内面が第1の層240の外面246に向くよう凹部242内に配置されている。第2の層248は、第1の層240に合致するよう撓む黄色に染色されたシリコーンで作られている。接着剤を用いて第2の層248を第1の層240に結合するのが良い。次に、第3の層250を第1の層240および第2の層248に被着させて第2の層248を第1の層240と第3の層250との間に捕捉する。第3の層250は、透明でありまたは色が桃色であるシリコーンで作られている。第3の層250は、代表的には、シリコーンが未硬化状態にある間に均等に被着され、それにより実質的に一様な厚さを有する層を形成する。第3の層250は、当然のことながら、シリコーンが硬化しているときに第1の層240にくっつく。模擬腫瘍252、病変または組織標的を第2の層248から見て内方に隣接して位置する場所で第1の層240の内面244にくっつける。一形態では、第2の層248は、外面および内面を備えていて第1の層240よりも小さく寸法決めされた扁平な形態を有するパッチ状であり、腫瘍252は、第2の層248よりも小さく寸法決めされている。模擬腫瘍252は、第1の層240の内面244から内部中に突き出ている。複数の模擬腫瘍252が組織モデル200全体を通じて複数の凹部242および第2の層248に隣接して配置されている。模擬組織252はまた、内面および外面を備えた層として形成されても良く、外面は、第1の層240の内面に連結される。第1の層240は、1つまたは2つ以上の模擬腫瘍252が内方に突き出た状態で内部に向いた実質的に滑らかな内面をもたらす。第3の層250の外面は、実質的に滑らかであり、と言うのは、第2の層248ならびに第1の層240および第3の層250とのそのインターフェースが第3の層250の湿潤状態のシリコーンで埋められるからである。それにより、模擬腫瘍を含む腸区分が模擬腫瘍252の後ろに位置する第2の層248によって提供される指示層を備えた状態で設けられる。別の形態では、接着剤が模擬腫瘍252の存在場所の周りに位置する場所で第1の層240と第2の層248との間に塗布され、その結果、接着剤なしの第2の層248の中央部分が第1の層240から容易に分離できるようになる。追加の接着剤が第2の層248と第3の層250との間に塗布されるのが良く、それにより第1の層240および取り付け状態の腫瘍252が除去されるときに第2の層248を定位置に保つ。さらに別の形態では、第1の層240と第2の層248との間には接着剤が塗布されず、その結果、2つの隣り合う層を容易に分離することができるようになっている。切開創の適切な配設場所に関して外科医に対してフィードバックをもたらすあらかじめ選択された領域で第1の層240を第2の層248から分離することができるようにすることが望ましい。例えば、訓練生が腫瘍252の存在場所から離れたところに切開創を作った場合、訓練生には、第1の層240と第2の層248との間のグルーが施された領域を互いに分離するのが困難なときがあり、これに対し、腫瘍252の近くに切開創が作られると、その結果として、外科医は、腫瘍252に隣接したところにグルーの施されていない領域に遭遇し、2つの層240,248を互いに容易に分離する。別の形態では、第1の層240と第2の層248との間には接着剤が用いられないが、両方の層がシリコーンで作られるとともに一方の層が他方の層の頂部上で硬化するので、グルーによる結合なしで自然なくっつきが得られ、それにより層を互いにくっつけるが、容易に分離できるようにする。訓練生が近位開口部または遠位開口部のうちの一方を通ってモデルの中央ルーメン内から模擬腫瘍252に外科的に接近して第1の層240を切り開き始めているとき、第2の層248は、それにより第2の層248中に深すぎるほどのまたはこれを貫通する切断を停止させるための指標または視覚的基準層としての役目を果たす。腫瘍252の周りを切断して第1の層240中に切り込むことによって腫瘍252を除去した後、医師は、第2の層248が切開創越しに視覚化されてこれに接近したときに色の変化を見ることができ、それにより訓練生を訓練して訓練生が切離の際に的確であるようにする。第1の層240は、縫合糸を保持するよう構成された繊維、メッシュまたは布を含むのが良く、その結果、外科医は、第1の層240中に作られている隙間を閉鎖するよう縫合糸を配置する練習を行うことができる。補強された第1の層240は、縫合糸を保持するのを助け、その結果、縫合糸がシリコーンを切り通すことがないようにし、補強された第1の層は、伸縮可能なメッシュ材料を含むのが良い。
【0048】
図22に示されている模擬組織モデル200の別の形態では、未硬化シリコーンをマンドレル上に注ぎかけまたははけ塗りし、これが硬化して第1の層240を形成した後に未硬化シリコーンを除去する。円筒形マンドレルの周りに成形された結果的に得られる第1の層240は、開口近位端および/または開口遠位端ならびに内面244および外面246を有する実質的に円筒形の形状を形成する。第1の層240は、長手方向軸線に対して少なくとも部分的に垂直にかつ円周方向に延びる折り目を有するのが良い。第1の層240は、桃色に染色されている。1つまたは2つ以上の模擬腫瘍252(
図22には示されていない)が内面244に取り付けられている。模擬腫瘍252は、暗い色を呈するシリコーンで作られている。複数の第2の層248が模擬腫瘍252に対向した場所で第1の層240の外面に取り付けられている。第2の層248は、色が黄色に染色されたシリコーンであり、接着剤で取り付けられる。第2の層248は、第1の層240より小さく寸法決めされた外面および内面を備える偏平な形態を有するパッチ状である。腫瘍252は、第2の層248よりも小さく寸法決めされている。第2の層248の内面は、第1の層240の外面246に向いている。この実施形態では、第1の層240の内面244は、実質的に滑らかである。特に、第1の層240の内面244は、模擬腫瘍252の周りの領域が滑らかである。模擬腫瘍252は、内面244から内方に突き出ている。黄色の第2の層248は、第1の層240越しに僅かに見える。第1の層240の外面246は、第2の層248の外方に突き出たパッチで途切れている。それ故、モデル200は、オーバーコート円滑化層が被着されていないので外部からは滑らかには見えず、しかしながら、モデル200は、内部からは滑らかに見える。第1の層240が上述したように縫合を容易にするためのメッシュ、布または繊維を含むのが良い。黄色の第2の層248は、模擬脂肪層を破ることがないよう訓練生に対して指示層としての役目を果たす。第1の層240を通過した後、訓練生は、下に位置する第2の層248に対してコントラストの大きな色または明るい色を見ることになる。訓練生は、模倣に続いてモデル200を検査することができ、それにより第2の層248がフィードバックを訓練生に提供するために破られたかどうかを検査することができる。
【0049】
上述の形態のうちの任意のものに関し、第2の層246は、その周囲に沿って第1の層240の外面246に取り付けられるのが良く、その結果、第2の層248の全体として中央の領域が第1の層240の外面246から容易に分離でき、それにより訓練生が第1の層240および取り付け状態の腫瘍252をモデル200の残部から、特に第2の層248から分離するのを助ける。変形例として、第2の層248は、第2の層248の内面の全体ではない部分が第1の層240の外面246にくっつくよう選択的に取り付けられても良い。
【0050】
次に
図23を参照すると、モデル200の別の形態では、未硬化シリコーンの第1の層240が円筒形マンドレルに被着されている。第1の層240は、桃色に着色されていて硬化するようにしてある。次に、シリコーンの第2の層248を第1の層240の外面246に被着させ、そして硬化するようにしてあり、その結果、第2の層248は、第1の層240に取り付け状態になる。次に、中央ルーメン206中に内方に延びるオプションとしての横ひだ254を有する結腸または腸区分を真似るよう寸法決めされるとともに形作られている管状スリーブであるマンドレルからモデル200を取り外す。次に、シリコーンで作られている摸擬腫瘍252を第1の層240の内面244のどこかの場所だけに取り付ける。第1の層240は、色が桃色であり、この第1の層は、直腸壁を模倣している。一形態では、第1の層240は、ユーザによって加えられた力を受けて伸びるよう構成された縫合可能な壁を作るとともにシリコーン層を引き裂かないで縫合糸を保持するためのメッシュ、布または繊維を含む。第2の層248は、黄色であり、この第2の層は、直腸間膜層を模倣している。第2の層248の外面は、モデル200の長さに沿って全体として滑らかであり、横ひだ254は、長手方向軸線に向かって内方に突き出ている。内面244もまた、モデル200の長さに沿って全体として滑らかであり、横ひだ254は、中央ルーメン206中に突き出ている。滑らかな内面244は、内面244に取り付けられている内方に突き出た模擬腫瘍252によって途切れている。模擬腫瘍252は、第1の層240の色とコントラストをなす色、例えば黒色または暗赤色を呈している。モデル200の滑らかな内面および外面は、医師にとって迫真性のあるアプローチをもたらす。また、中央ルーメン206から切除されるべき病変に接近するユーザは、第1の層240に切開創を作ることができ、それ故、第1の層240は、切開可能である。第1の層240を穿刺した後、ユーザは、黄色の第2の層248を直接見ることになり、この第2の層は、第1の層240が穿刺されたことおよび切開が第2の層248中に更に進むべきではないことをユーザに指示するための基準層としての役目を果たす。第2の層248は、第1の層240に接着されておらず、そして第1の層240上で硬化するようになっているので、第1の層240は、模擬腫瘍252と一緒に、第2の層248から容易に分離される。腫瘍252を除去した後、ユーザは、模擬腫瘍252が取り付けられていた第1の層240に結果として生じる隙間を縫合するという練習を行うことができるが、その手段として、縫合糸を第1の層240に通して隙間を閉じる。モデル200のこの形態の利点により、腫瘍252をモデルの長さに沿うどこかの場所に配置することができ、その結果、ユーザは、到達しがたい領域に位置する腫瘍252の除去を練習することができる。
【0051】
次に
図24および
図25を参照して、モデル200の別の形態について今説明する。
図24は、外向き戻り止め256を有するマンドレル234を示しており、この外向き戻り止めは、マンドレル234の外面から外方に突き出ている。シリコーンまたは他の材料の第1の層240をマンドレル234上にオーバーモールドした後、管状のモデル200をマンドレル234から取り外し、後には、第1の層240に形成された複数の凹部242を備えたモデル200が残される。凹部242は、模擬腫瘍252を凹部242内に受け入れるためのウェルを形成するよう内面244から外方に延びている。模擬腫瘍252をポッドの一部として形成するのが良い。
図13A~
図16を参照して上述したポリープ模造体100を凹部242内に配置してウェルの底である第1の層240の内面に取り付けるのが良い。
図25に示されている一形態では、腫瘍ポッド258は、内面262および外面264を備えた第1の層260を有している。第1の層260は、実質的に扁平であり、形状がこれを挿入する凹部242の形状に一致した形状を有する。第1の層260は、シリコーンで作られていて色が桃色であり、第1の層240の色に一致している。模擬腫瘍252が第1の層260の内面262に取り付けられている。腫瘍252もまたシリコーンで作られており、この腫瘍は、腫瘍を表す色のコントラストをもたらすよう色が第1の層260よりも暗い。腫瘍252は、第1の層260の内面262から外方に延び、それにより突出部が形成されている。腫瘍252は、第1の層260よりも狭い面積を有する。腫瘍ポッド258は、内面268および外面270を備えた第2の層266を有する。第2の層266は、直腸間膜を模倣するよう色が黄色であるシリコーンで作られている。第2の層266は、層260,266のうちの一方が依然として未硬化状態にある間に互いに連結されて未硬化層が他方の層上で硬化することができるようにすることによって第1の層260に取り付けられる。それにより、第1の層260は、グルーでの接着と比較して、第2の層266から一層容易に分離される。別の形態では、第1の層260は、層260,266のうちの一方の表面を接着剤でカレンダー掛けして2つの層を互いに取り付けることによって第2の層266に接着されている。第2の層266の内面268は、取り付けられると第1の層260の外面264に向く。さらに別の形態では、接着剤は、第1の層260の外面264上または第2の層266の内面268上で腫瘍252の存在場所の周りに選択的に塗布されて互いに接着されていない第1の層260と第2の層266との間の領域を作り、それによりこの領域を互いに容易に分離できるようにする。第1の層260と第2の層266の総合厚さは、これらの層が配置される凹部242の深さとほぼ同じ厚さであり、それにより第1の層260の内面262を第1の層240の内面と実質的に面一をなしまたは同じ高さにしている。別の形態では、第1の層260と第2の層266の総合厚さは、第1の層240の全体厚さよりも僅かに小さく、その結果、腫瘍262が僅かに引っ込められている。ユーザは、腫瘍252を視覚化して器械を用いて中央ルーメン246を経てモデル200の端部のところに設けられている1つまたは2つ以上の開口部から接近する。ユーザは、腫瘍252に隣接して位置する場所で腫瘍ポッド258の第1の層260を切開するとともに腫瘍252の周りでブレードを案内して腫瘍を切除する。ユーザは、黄色の第2の層266中に切り込むことがないよう注意しながら黄色の第2の層266に達した時を視覚化することによって深さ切り込みの練習を行う。第1の層260および取り付け状態の腫瘍252を第2の層266から分離してモデル200から取り出す。ユーザは、モデル200の長さに沿う他の場所でかかる取り出しを繰り返し練習することができる。凹部242により、モデル200の実質的に滑らかな外面および滑らかな内面を維持しながらモジュール式ポッド258を挿入することができ、他方、切開創の形成により深さについての認識の練習を行うための基準層を提供する。基準層としての役目を果たす第2の層266は、第1の層260を通って第1の層260の内面262から第1の層260の外面264までの切開経路を定め、次に第1の層260と第2の層266との間のインターフェースに沿う分離を助ける。第1の層260および取り付け状態の腫瘍252を第2の層266から引き離す。第1の層260は、この層が腫瘍252を除去した後に縫合糸を保持することができるようにするメッシュ材料を更に含むのが良い。ユーザはまた、縫合糸で残遺隙間を閉じるという練習を行うことができる。縫合可能な層は、上述したメッシュ材料を備えたシリコーンを含むのが良く、あるいは、変形例として、メッシュ、布または繊維補強材のないKRATON(登録商標)、例えばVERSAFLEX(登録商標)で作られても良い。
【0052】
完全に縫合可能な直腸モデル300が開示されている。直腸モデル300は、メッシュ材料が埋め込まれたシリコーンで作られている。直腸モデル300は、完全に縫合可能であり、このことは、管状直腸モデル300の長さ全体がメッシュを含むことを意味し、この直腸モデルは、縫合可能であるのが良く、それにより、外科医およびユーザは、模擬結腸に対する縫合技術の練習を行うことができる。シリコーンはそれ自体、容易にしかも迫真性をもって縫合可能というわけではなく、と言うのは、縫合糸がシリコーン材料を保持せず、容易にこれを切り開くからである。メッシュ、例えばSPANDEXの追加により、縫合糸がシリコーンを切開するのが止められる。その結果、シリコーン直腸モデルは、厚すぎるので、厚さ全体を通過する縫合糸に対して高すぎるほどの抵抗をもたらす。医師は、ある特定の縫合技術、例えば財布のひもを締める練習または単に閉じられた欠陥を縫合する練習を行う必要がある。本発明は、かかる縫合可能な直腸モデルを提供する。
【0053】
次に
図26Aを参照すると、メッシュ層302が示されている。メッシュ層302は、第2の表面306から見て反対側に位置する第1の表面304を有する。メッシュ層302は、x‐y平面で見てナイロンまたは他のポリマーで作られた繊維のストランドから成る実質的に扁平でありかつ薄手の層である。一形態では、メッシュ層302は、LYCRAで作られている。一形態では、メッシュ層302は、SPANDEXである。一形態では、メッシュ層302は、任意の方向に延伸可能である。別の形態では、メッシュ層は、双方向伸縮特性を有する。ポリマー繊維のストランドは、ウェブまたはネットを形成している。メッシュ層302は、織成されているのがよく、このメッシュ層は、一様なパターンを有する。メッシュ層302は、色が赤色、桃色、透明または白色である。
【0054】
依然として
図26Aを参照するとともに更に
図26Bを参照すると、メッシュ層302の適当な長さおよび幅が提供されている。
図26Bに示されているように、メッシュ層302は、筒体の状態に形成され、長手方向シーム308がバーシーラを用いられて作られている。バーシーラは、メッシュ層302を互いにヒートシールしてシーム302を形成する。円筒形メッシュ層302は、
図27に示されているように中央ルーメン310を有するスリーブ312を形成している。
【0055】
次に
図27および
図28を参照すると、マンドレル314が提供されている。モールド剥離剤が例えばマンドレル314にモールド剥離手段を吹き付けることによりまたはマンドレル314をモールド剥離手段でブラシがけすることによってマンドレル314に塗布されている。モールド剥離置換物または代替物もまた採用できる。モールド剥離手段をマンドレル314に塗布した後、マンドレル314をスリーブ312の中央ルーメン310中に挿入する。スリーブ312は、本物の結腸にそっくりである寸法形状を備えたマンドレル314に嵌まるよう寸法決めされるとともに構成されている。スリーブ312の内径は、マンドレル314の外径と同じ直径を有しまたはこれよりも僅かに大きい直径を有する。マンドレル314は、回転ピン316を有し、この回転ピンは、マンドレル314をその長手方向軸線回りに回転させるよう構成されたモータに連結されている。マンドレル314が回転している間、未硬化シリコーンをメッシュのスリーブ312に塗布する。未硬化シリコーンを例えばスリーブ312の近位端部および遠位端部のところでまたはマンドレル314をスリーブ312中に挿入する前に回転マンドレル314に塗布するのが良い。未硬化シリコーンをブラシまたは他の小出し機構体により均等に塗布する。未硬化シリコーンを繰り返し塗布するとともにスリーブ312へのシリコーンの先の塗布に重ねて行う。一形態では、未硬化シリコーンを塗布し、その後マンドレル314をスリーブ312中に挿入する。
【0056】
シリコーンの塗布が完了し、メッシュを完全にまたは製品の所望の厚さに達するまで覆った後、シリコーンが完全に硬化するようにする。次に、硬化済みのシリコーンおよびメッシュ製品をマンドレル314から取り外す。結果として、メッシュ層302がシリコーン中に埋め込まれ、それにより全体に沿って縫合可能な管状結腸モデル300が形成される。メッシュのスリーブ312をシリコーン中に埋め込むことにより、結腸モデル300の縫合の練習中にシリコーンの切断および引裂きが阻止される。結腸モデル300が完全に縫合可能であるという結果として、複雑な縫合技術、例えば縫合糸の小銭入れまたは財布のひもを用いるような配置の仕方が
図29に示されている。
図29では、完全に縫合可能な結腸モデル300がその長手方向軸線318に沿って見える。縫合糸320が、埋め込み状態のメッシュ構造の結果として結腸モデル壁が引き裂かれることなく、ひなぎくのようなパターンで結腸モデル300に出入りするよう通される。次に、縫合糸320の端部を小銭入れのように掴んで結腸モデル300の中央ルーメンを締め付けるのが良い。
【0057】
一形態では、メッシュ材料の円筒形スリーブ312の代わりに、メッシュ材料の1本または2本以上のストリップをマンドレル上に直接配置し、そして定位置に保持しまたはマンドレル314上にブラシ掛けされた未硬化シリコーン上に配置し、次に未硬化シリコーンの連続的な塗布をマンドレル314の周りに均等な仕方で行ってメッシュ材料の1本または2本以上のストリップを埋め込む。
【0058】
2011年10月21日に出願された米国特許仮出願第61/549,838号(発明の名称:Simulated tissue structure for surgical training)の優先権主張出願である2012年10月19日に出願された米国特許出願第13/656,467号(発明の名称:Simulated tissue structure for surgical training)を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0059】
理解されるように、種々の改造を本明細書において開示したシステムの実施形態に対して行うことができる。したがって、上述の説明は、本発明を限定するものとみなされてはならず、単に好ましい実施形態の例示であるとみなされるべきである。当業者であれば、本願の開示内容の範囲および精神内に含まれる他の改造例を想到するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模擬組織モデルであって、
近位端と遠位端との間に延びる内面および外面有し長手方向軸線を有する中央ルーメンを構成する実質的な円筒形管であって、前記円筒形管の内面は、前記中央ルーメンに向かって内方に延び前記長手方向軸線に向かって突出する1または2以上の横ひだを有するように構成され、第1の円筒状側壁を有する第1の層と第2の円筒状側壁を有する第2の層とを備える円筒形管と、
前記長手方向軸線に沿って前記円筒形管の内壁に取付けられた1または2以上の模擬腫瘍と、を備えている、
ことを特徴とする模擬組織モデル。
【請求項2】
前記第1の円筒状側壁と第2の円筒状側壁のそれぞれが、内面と外面とを有し、
前記第2の円筒状側壁の内面と第1の円筒状側壁の外面とが接触するように、前記第1の層が前記第2の層に取付けられている、
請求項1に記載の模擬組織モデル。
【請求項3】
前記円筒形管の内面と外面とが、第1の円筒状側壁の内面と第2の円筒状側壁の外面とに、それぞれ、対応する、
請求項2に記載の模擬組織モデル。
【請求項4】
前記第1の円筒状側壁と第2の円筒状側壁とが、シリコーンで形成されている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の模擬組織モデル。
【請求項5】
前記第1の層が、直腸壁を模しピンク色であり、前記第2の層が直腸間膜を模し黄色である、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の模擬組織モデル。
【請求項6】
前記第1の層が、使用者が加える力によって延び引裂かれることなく縫合糸を保持するように構成されたメッシュ、繊維、またはファイバを備えている、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の模擬組織モデル。
【請求項7】
前記円筒形管の内面および外面は実質的に円滑であり、
前記内面は前記円筒形管の内面から内方に向かって突出する1または2以上の模擬腫瘍で分断されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の模擬組織モデル。
【請求項8】
前記1または2以上の模擬腫瘍が、前記第1の層と対照的な色を有するシリコーンで作られ、
前記1または2以上の模擬腫瘍は黒色または濃い赤色である、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の模擬組織モデル。
【請求項9】
前記円筒形管の第1の層は、1または2以上の模擬腫瘍の除去を実施するために切開可能であり、前記1または2以上の模擬腫瘍は、前記長手方向軸線に沿った到達困難な領域に位置する、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の模擬組織モデル。
【請求項10】
1または2以上の模擬腫瘍の切除後に第一層に生じる残存欠損または隙間が、縫合糸またはステープルで外科的に閉鎖可能である、
請求項9に記載の模擬組織モデル。
【請求項11】
前記円筒形管の第2の層は、1または2以上の模擬腫瘍の切除を容易にするための視覚的フィードバックを提供するように構成されている、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の模擬組織モデル。
【請求項12】
前記円筒形管の近位端と遠位端の少なくとも一方は開いている、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の模擬組織モデル。
【請求項13】
模擬組織モデルを製造する方法であって、
マンドレルの長手方向軸線に対して少なくとも部分的に垂直かつ円周方向に延びる1または2以上の割れ目を有する外面を有する細長いマンドレルを用意するステップと、
前記マンドレルを回転させるステップと、
未硬化シリコーンの第1の層を前記マンドレル上に均一につけるステップと、
前記未硬化シリコーンの第1の層を硬化させ、中央ルーメンを形成する内面と、外面と、前記1または2以上の裂け目の位置で中央ルーメン内で内方に延びる1または2以上の横ひだと、を有する実質的な管状構造体を形成するステップと、
前記硬化したシリコーンの第1の層の外面に、未硬化のシリコーンの第2の層を均一につけるステップと、
前記未硬化シリコーンの第2の層を、前記第2の層がシリコーンの硬化した第1の層の外面に付着して滑らかな外面を形成するように硬化させるステップと、
前記硬化した第1および第2のシリコーン層から形成された管状構造体を前記マンドレルから取外すステップと、を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記シリコーンの硬化した第1および第2の層よりも小さいサイズを有する少なくとも1つの模擬腫瘍を用意するステップと、
前記少なくとも1つの模擬腫瘍を、前記管状構造体の内面の位置に取付けるステップと、をさらに含んでいる、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記未硬化シリコーンの第1の層内にメッシュの層を埋め込むステップであって、前記未硬化シリコーンの第1の層を硬化させるステップの前に実行されるステップをさらに含んでいる、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記未硬化シリコーンの第1の層内にメッシュの層を埋め込むステップが、前記管状構造体のための縫合可能な側壁を形成するステップを含み、前記縫合可能な側壁が、使用者によって加えられる力で伸張し、前記シリコーンの第1の層を通って裂けることなく縫合糸を保持するように構成されている、
請求項15に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【外国語明細書】