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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152746
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】荷受け設備
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/12 20060101AFI20241018BHJP
   A47G 29/122 20060101ALI20241018BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20241018BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241018BHJP
   B64F 1/32 20060101ALI20241018BHJP
   B64U 101/64 20230101ALN20241018BHJP
【FI】
A47G29/12 Z
A47G29/122 Z
B65G61/00 550
B64U10/13
B64F1/32
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125789
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2022006339の分割
【原出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】大谷 宗之
(57)【要約】
【課題】従来に比して、荷運び用ドローン等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物を受け取ることができ、安全確保を図ることが出来るようにする。
【解決手段】荷受け設備10が、上端面に荷受け口21がある収納部20を備えている。また、荷受け設備10が、収納部20の上端部に設けられた荷受け部30を更に備え、荷受け部30は、一側方が荷物Pが投入される投入口とされ、当該一側方を除くその他の側方が壁部とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端面に、荷運び用ドローンによって配達される荷物を受けるための荷受け口がある収納部を備えていることを特徴とする荷受け設備。
【請求項2】
請求項1に記載の荷受け設備において、
前記収納部の上端部に設けられた荷受け部を更に備え、
前記荷受け部は、一側方が荷物が投入される投入口とされ、当該一側方を除くその他の側方が壁部とされていることを特徴とする荷受け設備。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の荷受け設備において、
前記収納部の上端部には、前記荷受け口を開閉する蓋が設けられていることを特徴とする荷受け設備。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の荷受け設備において、
前記収納部は、前記荷受け口から収納された荷物が載せられて前記収納部内を移動可能な移動床部と、側面に形成された荷物の取り出し口と、を有することを特徴とする荷受け設備。
【請求項5】
請求項4に記載の荷受け設備において、
前記移動床部は前記収納部内に複数設けられ、前記取り出し口は前記収納部の側面に複数形成されており、
複数の前記移動床部は、前記収納部内で位置の入れ替えが可能となっていることを特徴とする荷受け設備。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の荷受け設備において、
前記収納部は、水平方向よりも上下方向に長く形成されていることを特徴とする荷受け設備。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の荷受け設備において、
外部との通信を行い、前記荷運び用ドローンによって配達される荷物に係る情報を送受信するための通信部を更に備えることを特徴とする荷受け設備。
【請求項8】
請求項2を引用する請求項3から7のいずれか一項に記載の荷受け設備において、
前記荷受け部における前記投入口の向きを、前記荷受け部における垂直軸の軸回りに変更可能とするための旋回機構を更に備えており、
前記旋回機構は、前記収納部の下端部又は前記収納部と前記荷受け部との間に設けられていることを特徴とする荷受け設備。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の荷受け設備において、
前記収納部を支持するとともに走行可能に構成された走行部を更に備えることを特徴とする荷受け設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受け設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン等の無人飛行体によって配達される荷物を、荷受け設備で受け取る技術が知られている。
特許文献1に開示される荷物受け取り装置は、上下方向に長尺なケーシングと、ケーシングの上面開口に露出するとともにケーシング内部を昇降する載置台と、ケーシングの上面開口を開閉する蓋部材と、ドローンによって載置台に載せられた荷物をケーシング内部に収納し得るように、載置台及び蓋部材の動作を制御する制御部と、を備える。また、必要に応じて、ビーコン等の無線通信技術を用いてドローンを誘導する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6789425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドローン等の無人飛行体による荷物の配達においては、人とドローンとの接触を避けるように安全確保を図ることが最優先とされる。そのために、荷物受け取り装置付近でのドローンの滞在時間を短くしたり、より精度よく荷物を受け取れたりするような工夫が求められている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、従来に比して、荷運び用ドローン等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物を受け取ることができ、安全確保を図ることが出来るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図13図16に示すように、荷受け設備10であって、上端面に、荷運び用ドローン3によって配達される荷物Pを受けるための荷受け口21がある収納部20を備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、荷物Pが荷受け口21から収納部20内に収納される。すなわち、荷運び用ドローン3が荷物Pを投入してから飛び去るだけで、荷物Pの受け取りが可能となるので、短い滞在時間で精度よく荷物Pを受け取ることができ、人と荷運び用ドローン3との接触を避けやすく、安全確保を図ることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図12図16に示すように、請求項1に記載の荷受け設備10において、
前記収納部20の上端部に設けられた荷受け部30を更に備え、
前記荷受け部30は、一側方が荷物Pが投入される投入口31とされ、当該一側方を除くその他の側方が壁部とされていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、例えば図1図12図16に示すように、請求項1又は2に記載の荷受け設備10において、
前記収納部20の上端部には、前記荷受け口21を開閉する蓋22が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、収納部30の上端部には、荷受け口21を開閉する蓋22が設けられているので、荷受け部30の開口から雨が浸入しても、荷受け口21から収納部20内への雨水の浸入を抑えることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、例えば図1図13図16に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載の荷受け設備30において、
前記収納部20は、前記荷受け口21から収納された荷物Pが載せられて前記収納部20内を移動可能な移動床部24(24a~24e)と、側面に形成された荷物Pの取り出し口23(23a~23e)と、を有する。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、収納部20は、荷受け口21から収納された荷物Pが載せられて収納部20内を移動可能な移動床部24(24a~24e)と、側面に形成された荷物Pの取り出し口23(23a~23e)と、を有するので、荷受け口21から収納部20内に収納された荷物Pが移動床部24に載せられたまま、収納部20内を取り出し口23まで移動し、取り出し口23から荷物Pを取り出すことができる。これにより、荷物Pを取り出す位置を、荷受け部30から遠ざけることができるので、人と荷運び用ドローン3との間の距離を取ることができ、安全確保を図ることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、例えば図10図13に示すように、請求項4に記載の荷受け設備10において、
前記移動床部24(24a~24e)は前記収納部20内に複数設けられ、前記取り出し口23(23a~23e)は前記収納部20の側面に複数形成されており、
複数の前記移動床部24は、前記収納部20内で位置の入れ替えが可能となっていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、移動床部24は収納部20内に複数設けられ、取り出し口23は収納部20の側面に複数形成されており、複数の移動床部24は、収納部20内で位置の入れ替えが可能となっているので、荷受け口21に最も近い位置の移動床部24(例えば第五移動床部24e)に荷物Pが載せられ、荷受け口21から遠い側の移動床部24(例えば第一から第四移動床部24a~24d)に荷物Pが載せられていない場合でも、移動床部24の入れ替えを行って、新たな荷物Pの受け取りが可能となる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、例えば図1図8図10図13図16に示すように、請求項1から5のいずれか一項に記載の荷受け設備10において、
前記収納部20は、水平方向よりも上下方向に長く形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、収納部20は、水平方向よりも上下方向に長く形成されているので、荷受け部30の高さ位置を高くすることができる。これにより、人と荷運び用ドローン3との間の距離を取ることができ、安全確保を図ることができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項1から6のいずれか一項に記載の荷受け設備10において、
外部との通信を行い、前記荷運び用ドローン3によって配達される荷物Pに係る情報を送受信するための通信部を更に備えることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、外部との通信を行い、荷運び用ドローン3によって配達される荷物Pに係る情報を送受信するための通信部を更に備えるので、例えば収納部20が満杯のときに荷受けを取り止めたり、荷受けした荷物Pの情報をユーザーのスマートフォンに送信して荷物Pの取り出しを促したりすることができ、荷受け設備10の利便性を高めることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、例えば図8に示すように、請求項2を引用する請求項3から7のいずれか一項に記載の荷受け設備10において、
前記荷受け部30における前記投入口31の向きを、前記荷受け部30における垂直軸の軸回りに変更可能とするための旋回機構を更に備えており、
前記旋回機構は、前記収納部20の下端部又は前記収納部20と前記荷受け部30との間に設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、荷受け部30における投入口31の向きを、荷受け部30における垂直軸の軸回りに変更可能とするための旋回機構を更に備えており、旋回機構は、収納部20の下端部又は収納部20と荷受け部30との間に設けられているので、収納部20自体を旋回させるか、収納部20に対して荷受け部30を旋回させるかして、荷受け部30における投入口31の向きを、荷受け部30における垂直軸の軸回りに変更できる。これにより、荷運び用ドローン3が飛来してくる方向に合わせて荷受け部30における投入口31の向きを変更できるので、荷物Pが入りやすくなる。その結果、例えば荷受け部30付近で荷運び用ドローン3が飛行する向きを調整する必要がないので、荷運び用ドローン3等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物Pを受け取ることができ、安全確保を図ることができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、例えば図16に示すように、請求項1から8のいずれか一項に記載の荷受け設備10において、
前記収納部20を支持するとともに走行可能に構成された走行部50を更に備えることを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、収納部20を支持するとともに走行可能に構成された走行部50を更に備えるので、収納部20ひいては荷受け設備10全体を移動させることができる。これにより、走行部50が走行できる場所であれば、場所を選ばずに荷受けできるとともに、荷運び用ドローン3が飛来してくる方向に合わせて荷受け部30における投入口31の向きを変更できるので、荷受け設備10の利便性を高めることができるとともに、荷運び用ドローン3等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物Pを受け取ることができて安全確保を図ることができる。
さらに、収納部20は、走行部50に支持されている分、地面に設置される場合よりも荷受け部30の高さ位置を高くすることができるので、人と荷運び用ドローン3との間の距離を取ることができ、安全確保を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来に比して、荷運び用ドローン等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物を受け取ることができ、安全確保を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】荷受け設備を示す斜視図である。
図2】荷運び用ドローンから荷物を受け取る形態を説明する断面図である。
図3】受け取った荷物を収納部内で移動させる形態を説明する断面図である。
図4】荷受け設備を導入した建物を示す断面図である。
図5】荷受け設備を導入した建物を示す断面図である。
図6】天板の変形例を示す斜視図である。
図7】大型の荷物の受け取りに対応した荷受け設備を示す斜視図である。
図8】旋回機構を備えた荷受け設備を示す斜視図である。
図9】上下方向よりも水平方向に長い荷受け設備を示す斜視図である。
図10】移動床部の入れ替え機構を示す断面図である。
図11】移動床部を入れ替える形態を説明する斜視図である。
図12】移動床部を入れ替える形態を説明する断面図である。
図13】移動床部の入れ替え機構の変形例を示す断面図である。
図14】荷吊り用ワイヤーが取り付けられるワイヤーロック装置の取り付け状態を示す斜視図である。
図15】ワイヤーロック装置の構成を示す断面図である。
図16】走行部を備えた荷受け設備を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0026】
図1図3において符号10は、荷受け設備を示す。この荷受け設備10は、無人飛行体である荷運び用ドローン3から荷吊り用ワイヤー3aによって吊り下げられて配達される荷物Pを受け取るための設備であり、上端面に荷受け口がある収納部20と、収納部20の上端部に設けられて一側方に開口する荷受け部30と、を備えている。
なお、荷運び用ドローン3は、荷吊り用ワイヤー3aを繰り出したり巻き取ったりするためのワイヤー巻取部3bを下端部に有する。荷吊り用ワイヤー3aは、配達拠点からの飛行中に風にあおられにくくするため、荷受け設備10に接近したときにのみ繰り出されるものとする。
【0027】
本実施形態の収納部20及び荷受け部30は一体形成されている。換言すれば、これら収納部20及び荷受け部30は共通の筐体によって構成されており、部位として分かれてそれぞれの機能を果たす。また、これら収納部20及び荷受け部30を構成する筐体は、角筒状に形成されている。
【0028】
収納部20は、水平方向よりも上下方向に長く形成されている。すなわち、設置場所から上方にそびえ立つ塔状(タワー状)に形成されている。荷受け部30との境目が、収納部20の上端面とされており、この部分が荷受け口21とされている。
収納部20の上端面は、背面側の縁部が最も高さ位置が低く、かつ、正面側の縁部が最も高さ位置が高くなるように傾斜している。
なお、本実施形態の荷受け口21は、収納部20における筐体の内側面に沿って取り付けられた開口枠(図示省略)によって構成されている。すなわち、開口枠の上面が、収納部20の上端面とされており、開口枠のうち、背面側の縁部が低く、かつ、正面側の縁部が高くなるように傾斜している。
【0029】
そして、収納部20の上端部には、荷受け口21を開閉する蓋22が設けられている。本実施形態においては、蓋22そのものが開口枠の内側に嵌まるか、蓋22が開口枠の内側に嵌まる部分を有するかして、荷受け口21を閉塞できるようになっている。
蓋22は、二枚の板を蝶番で繋いだ折り畳み式の蓋であり、上方に立ち上がり、正面側に寄せられる形で折り畳まれる。また、蓋22には、ロック装置が設けられており、ロックが解除されたときに開閉できるようになっている。
【0030】
また、この収納部20は、左右の側面と背面は閉じられており、正面は部分的に開口している。正面の開口は、収納部20の内部から荷物Pを取り出すための複数の取り出し口23(23a~23e)として機能する。より詳細に説明すると、収納部20の正面部分のうち開口が形成された位置に、複数に開口部分を有するようにエリア分けされた開口枠が取り付けられており、その一つ一つの開口部分が、複数の取り出し口23(23a~23e)となる。本実施形態においては、下から順に、第一取り出し口23a、第二取り出し口23b、第三取り出し口23c、第四取り出し口23d、第五取り出し口23eの、計5段の開口がある。
収納部20の正面部分には、各取り出し口23(23a~23e)を開閉する複数の扉が設けられている。複数の扉は、下端部に蝶番が設けられて上下に回転する外側に開くタイプの回転板部である。
【0031】
また、収納部20は、荷受け口21から収納された荷物Pが載せられて収納部20内を移動可能な複数の移動床部24(24a~24e)を有する。本実施形態においては、全ての移動床部24(24a~24e)に荷物Pが載せられた場合において下から順に、第一移動床部24a、第二移動床部24b、第三移動床部24c、第四移動床部24d、第五移動床部24eの、計5段の床部がある。
これら複数の移動床部24(24a~24e)のうち第一移動床部24aは、最初に荷受けする移動床部であって、かつ最も下方に位置するため非折り畳み式とされている。一方、第二から第五移動床部24eは、折り畳まれた状態から荷物Pを受けるときに展開する折り畳み式となっている。展開・折り畳みの機構には、公知の機械機構を利用したものが適宜採用されているものとする。
本実施形態における複数の移動床部24の数は、複数の取り出し口23の数と一致しているが、これに限られるものではなく、適宜変更可能とされている。また、第一移動床部24aに載せられた荷物Pは、必ずしも第一取り出し口23aから取り出さないといけないわけではなく、例えば大人が手を伸ばしやすい高さに近い高さの第四取り出し口23d(他の取り出し口23b,23c,23e)から取り出してもよい(第二から第五移動床部24eも同様)。
なお、本実施形態の移動床部24は、板状に形成された床部とされているが、これに限られるものではなく、例えばパンタグラフ構造のような多節リンク機構によって移動床部24が構成されてもよい。
【0032】
複数の移動床部24(24a~24e)は、左右一対の専用レール25(25a~25e)によって各々支持されている。左右一対の専用レール25(25a~25e)は、収納部20の内部における正面側の左右の隅部と、背面側の左右の隅部とに寄せて設けられている。
複数の専用レール25には、第一移動床部24aを支持する第一専用レール25、第二移動床部24bを支持する第二専用レール25b、第三移動床部24cを支持する第三専用レール25c、第四移動床部24dを支持する第四専用レール25d、第五移動床部24eを支持する第五専用レール25eが含まれる。
【0033】
そして、本実施形態においては、収納部20の内部における正面側の左右の隅部に、左右一対の第一専用レール25a、左右一対の第三専用レール25c、左右一対の第五専用レール25eが隣接して設けられている。これらの各専用レール25a,25c,25eのうち、第五専用レール25eが最も正面側に位置し、その次に第三専用レール25c、最も背面側に第一専用レール25aが位置している。
また、収納部20の内部における背面側の左右の隅部に、左右一対の第二専用レール25b、左右一対の第四専用レール24dが隣接して設けられている。これらの各専用レール24b,24dのうち、第四専用レール25dが最も背面側に位置し、第二専用レール25bが最も正面側に位置している。
【0034】
各々の専用レール25(25a~25e)は、当該専用レール25(25a~25e)に沿ってスライド移動するスライダーを有している。各移動床部24は、左右一対の専用レール25間に配置されるとともに、各専用レール25のスライダーに連結されて支持される。スライダーは、図示しないストッパーによって所定の位置でスライド移動を止めることができ、移動床部24を所定の位置でとどめておくことができる。すなわち、移動床部24を、収納部20の上端部における荷受け口21の直下で荷受けのために待機させたり、取り出し口23の位置でユーザーによる荷物Pの取り出しのために待機させたりすることができる。
【0035】
複数の移動床部24(24a~24e)又は複数の専用レール25(25a~25e)におけるスライダーには、各移動床部24(24a~24e)の上面に荷物Pが載せられたことを検知する重量センサーが設けられている。制御装置は、重量センサーによって検知した情報に基づく荷物Pの配達完了のお知らせデータを、通信部を介して配達側の通信手段に送信することができる。
なお、重量センサーに代えて、もしくは重量センサーと併用して、収納部20の内部に赤外線センサーやカメラ等の他の検知手段を設けるようにしてもよい。
【0036】
収納部20の下端部は、機器収納部26とされている。本実施形態においては、スライダーの動作を制御する制御装置と、外部との通信を行い、荷運び用ドローン3によって配達される荷物Pに係る情報を送受信するための通信部と、が少なくとも収納されている。
【0037】
制御装置は、荷物Pの円滑な荷受けのために必要な各種プログラムや各種データに基づいて、収納部20に設けられた各部の動作を総合的に制御することができる。
スライダーは、例えば図示しない駆動部によって駆動するワイヤーに接続されており、制御装置は、駆動部を制御してワイヤーを動作させることができる。これにより、制御装置は、スライダーの動作を制御することができる。
また、制御装置は、荷受け口21の蓋22開閉動作と、蓋22のロック装置のオンオフも制御することができる。
さらに、制御装置は、複数の移動床部24(24b~24e)の展開・折り畳みの動作も制御することができる。
【0038】
通信部は、例えば荷運び用ドローン3との通信を行ってもよいし、荷物Pの配送拠点における通信部との通信を行ってもよい。また、荷物Pに設けられたICタグ(RFIDタグ)等の通信部との通信を行ってもよい。換言すれば、荷受け設備10側だけでなく、配達(荷運び用ドローン3、荷物Pに付属するICタグ、配達拠点の施設・設備等)側にも通信手段が備えられていることとなる。荷運び用ドローン3との通信を行う場合、ビーコンによる荷運び用ドローン3の誘導を行えるようにしてもよい。
そして、制御装置と通信部は通信可能に接続されて連携しており、例えば荷運び用ドローン3や荷物Pの接近情報を通信部で受けて、その情報に基づいて、制御装置が、蓋22の動作やスライダー(すなわち、移動床部24)の動作を制御し、荷受けを円滑に行うことができる。
【0039】
荷受け部30は、上記のように一側方に開口している。本実施形態においては、背面側に開口している。この開口は、荷運び用ドローン3によって配達された荷物Pが投入される投入口31とされている。
また、本実施形態における荷受け部30は、背面側以外は閉塞されている。すなわち、収納部20及び荷受け部30を構成する共通の筐体は、荷受け部30のうち背面側には設けられていない状態となっている。これにより、投入口31と荷受け口21が、荷受け部30の内部空間を通じて連通する。
【0040】
このような荷受け部30は、荷受け口21の上方に間隔を空けて配置された天板32を有する。この天板32は、開口側の縁部(背面側の縁部)が、天板における他の縁部(正面側の縁部及び左右の側縁部)よりも高さ位置が高くなるように配置されている。
より詳細には、背面側の縁部が最も高さ位置が高く、かつ、正面側の縁部が最も高さ位置が低くなるように傾斜している。上記のように、収納部20の上端面も、背面側の縁部が最も高さ位置が低く、かつ、正面側の縁部が最も高さ位置が高くなるように傾斜しているので、投入口31は、上縁部と下縁部の間が広く形成されることとなる。つまり、荷受け部30の開口である投入口31が上下方向に長くなって開口面積が広くなり、荷物Pが入りやすくなる。
【0041】
天板32のうち開口側の縁部(背面側の縁部)は、一端部(左側端部)から天板中心に向かう第一ガイド縁部32aと、他端部(右側端部)から天板中心に向かう第二ガイド縁部32bと、からなる。
そして、第一ガイド縁部32aの天板中心側端部と第二ガイド縁部32bの天板中心側端部との間が、荷運び用ドローン3から吊り下げられた荷吊り用ワイヤー3aが通されるキャッチャーガイド32cとされている。
第一ガイド縁部32aは、一端部(左側端部)から天板中心に向かって、他端部側に膨らむような弧を描く状態で形成されている。
第二ガイド縁部32bは、他端部(右側端部)から天板中心に向かって、一端部側に膨らむような弧を描く状態で形成されている。
すなわち、天板32における開口側の縁部(背面側の縁部)は、天板中心に向かって先細りするように形成されることとなる。特に、第一ガイド縁部32a及び第二ガイド縁部32bの双方が円弧状に形成されているため、荷吊り用ワイヤー3aをキャッチャーガイド32cに向かって誘導する機能を発揮するとともに、荷受け口21を覆う面積を極力広くすることができる。
【0042】
荷運び用ドローン3が、荷物Pを荷吊り用ワイヤー3aによって吊り下げた状態で飛来し、投入口31から荷物Pを投入しとき、荷物Pは天板32の下方に位置し、荷運び用ドローン3は天板32の上方に位置することとなる。
また、荷物Pと荷運び用ドローン3との間に位置する荷吊り用ワイヤー3aは、天板32の上方と下方に亘って配置される。そして、荷運び用ドローン3が投入口31から荷物Pを投入した勢いで、荷吊り用ワイヤー3aは、天板32における開口側の縁部(背面側の縁部)に接する。また、荷運び用ドローン3が投入口31から荷物Pを投入した勢いで、荷吊り用ワイヤー3aは、第一ガイド縁部32aか第二ガイド縁部32bのどちらかに沿って天板中心側に移動する。つまり、荷吊り用ワイヤー3aは、キャッチャーガイド32cに到達する(キャッチャーガイド32cに直接到達してもよい)。
荷吊り用ワイヤー3aがキャッチャーガイド32cに合致した状態で、荷運び用ドローン3が上方(投入口31側とは異なる横方向でもよい)に飛び去ろうとすると、荷物Pが天板32の下面に引っ掛かる。
そのまま荷運び用ドローン3が上方(投入口31側とは異なる横方向でもよい)に飛び去ると、荷吊り用ワイヤー3aから荷物Pが外れ、その荷物Pが荷受け口21から収納部20内に収納される。
【0043】
なお、図示はしないが、第一ガイド縁部32a及び第二ガイド縁部32bのうち、キャッチャーガイド32c付近の部位に、キャッチャーガイド32cに到達した荷吊り用ワイヤー3aが引っ掛かって抜けないようにするための返し部を形成し、荷運び用ドローン3が投入口31側に飛び去ろうとしても荷吊り用ワイヤー3aがキャッチャーガイド32cから抜けないようにしてもよい。
このようにすれば、荷運び用ドローン3が、下方を除くどの方向に飛び去っても荷物Pを荷吊り用ワイヤー3aから切り離すことができる。荷吊り用ワイヤー3aとローターとの接触を防ぐため、荷吊り用ワイヤー3aがキャッチャーガイド32cの部分に位置している状態のときに、荷運び用ドローン3は下方には飛行しないものとする。
【0044】
続いて、以上のように構成された荷受け設備10によって荷受けする場合の流れについて説明する。
まず、荷受け設備10の通信部と配達側の通信手段との間で、荷物Pに係る情報のやり取りを行い、収納部20の各部における動作の制御を制御装置によって行うようにする。荷運び用ドローン3側に設けられる通信手段を含めて荷物Pに係る情報のやり取りを行うようにしてもよい。
荷物Pに係る情報には、例えば、荷物Pの基本情報と、配達予定時間の情報と、配達完了を知らせる情報と、が含まれている。
また、上記の荷物Pの基本情報は、例えば、送り主や受取人の情報、荷物Pの内容物の情報(個数、サイズ、重量)とされている。荷受け設備10の制御装置は、例えば配達側の通信手段から荷物Pの内容物の情報を受信したときに、収納部20内の荷受け可能容量情報を送信する。収納部20内の荷受け可能容量が足りない場合は、配送拠点からユーザーに連絡するなどの方法が採られる。
【0045】
荷受け設備10の通信部と配達側の通信手段との間で、荷物Pに係る情報のやり取りを行って、配達予定時間が近づくと(接近情報を利用してもよい)、図2(a),(b)に示すように、まずは蓋22が開いて荷受け口21が開放されるとともに、荷受け口21の直下で第一移動床部24aが荷受けの待機状態となる。
【0046】
荷運び用ドローン3は、荷受け設備10に接近するとワイヤー巻取部3bから荷吊り用ワイヤー3aを繰り出して、荷運び用ドローン3から距離を空けた位置に荷物Pを吊り下げる。そして、荷物Pの高さ位置を投入口31の高さ位置に揃えた状態で、かつ、投入口31に向かって荷物Pを投入できる方向に飛行する。
【0047】
図2(c)に示すように、投入口31から荷物Pが投入されると、直接又は第一ガイド縁部32aと第二ガイド縁部32bのうちいずれか一方に沿って荷吊り用ワイヤー3aがキャッチャーガイド32cに到達し、天板32を境に、上方に荷運び用ドローン3が位置し、下方に荷物Pが位置する状態となる。この状態で、図2(d)に示すように荷運び用ドローン3が飛び去ると、図2(e)に示すように、荷物Pが天板32の仮面に当たって荷吊り用ワイヤー3aから切り離される。
荷吊り用ワイヤー3aから切り離された荷物Pは、荷受け口21から収納部20内に入り、待機していた第一移動床部24aの上面に載せられる。
【0048】
そして、荷物Pが載せられた第一移動床部24aは、制御装置の制御によって、複数の取り出し口23のうちいずれかの取り出し口23の高さ位置まで移動させられる。なお、第一取り出し口23aの位置まで移動させられてもよいし、荷受け設備10に配達される荷物Pの総数によって適宜決められるものとしてもよい。本実施形態においては、図3(a)に示すように、第四取り出し口23dの高さ位置まで移動させられる。
【0049】
配達完了のお知らせは、上記の重量センサー等の検知手段に基づいて、荷受け設備10側の通信部から配達側の通信手段に送信される。
なお、これに限られるものではなく、配達完了のお知らせの送信は、荷物Pが荷吊り用ワイヤー3aから切り離されたことを検知する荷運び用ドローン3側に設けられたセンサーに基づいて、荷運び用ドローン3から配達側の通信手段に送信されてもよい。
配達完了のお知らせが配達側の通信手段に送信されると、蓋22が閉まって荷受け口21が閉塞される。
【0050】
二番目の荷物Pが配達される情報を取得すると、図3(b)に示すように、第二移動床部24bが展開して荷受け口21の直下で待機状態となる。そして、一番目の荷物Pと同様に荷受け部30で荷受けすると、二番目の荷物Pは、第二移動床部24bの上面に載せられる。そして、第一移動床部24aは、第四取り出し口23dの位置まで下がり、第二移動床部24bは、第五取り出し口23eの高さ位置まで移動させられる。
なお、二番目(後)の荷物Pが配達される前に一番目(先)の荷物Pが取り出されていれば、二番目(後)の荷物P(すなわち、一番目の荷物Pと同様)は、第一移動床部24aによって荷受けして移動させられることとなる。
【0051】
三番目の荷物Pが配達される情報を取得すると、図3(c)に示すように、第二移動床部24bが展開して荷受け口21の直下で待機状態となる。そして、一、二番目の荷物Pと同様に荷受け部30で荷受けすると、三番目の荷物Pは、第三移動床部24cの上面に載せられる。そして、第一、第二移動床部24a,24bは、一つずつ位置が下がり、第三移動床部24cは、第五取り出し口23eの高さ位置まで移動させられる。
図3(d)~(f)に示すように、四、五番目の荷物Pも同様の流れで荷受けされ、第四、第五移動床部24d,24eも同様の流れで移動させられることとなる。すなわち、図3(f)に示すように、第一から第五移動床部24a~24eの上面に荷物Pがそれぞれ載せられ、順々に上下に並んだ状態となる。
荷物Pを各移動床部24で受け取り、荷物Pを載せた状態の各移動床部24が第五移動床部24e以下の高さまで移動すると、その都度、蓋22が閉まって荷受け口21が閉塞される。また、蓋22はロック装置によってロックされる。そして、次の荷物Pが配達されるときには再度蓋22が開くが、図3(f)に示すように、収納部20が満杯でこれ以上荷受けできない場合には、仮に荷物Pが配達されても蓋22は開かず、荷受けできない状態となる。
【0052】
収納部20から荷物Pを取り出す場合は、複数の取り出し口23a~23eが室内に面していれば、室内側から開け閉めして自由に荷物Pを取り出してもよい。一方、複数の取り出し口23a~23eが屋外に面している場合は、複数の取り出し口23a~23eにロック装置が設けられているものとし、当該ロック装置のロックを解除してから荷物Pを取り出すようにする。なお、ロック解除は、安全上、移動床部24a~24eが移動中の場合は行われない。
また、どの位置の取り出し口23a~23eに荷物Pがあるかを知らせるランプ等の報知部が収納部20に設けられていてもよい。
【0053】
なお、ロック装置が例えば電子ロック装置であって通信部と連動している場合は、例えばユーザーが使用するスマートフォン等の情報端末と通信可能に接続されていてもよい。つまり、ロック装置とスマートフォン等の情報端末が連携し、スマートフォン等の情報端末からロックの解除を行うことができる。
ロック装置とスマートフォン等の情報端末が連携している場合は、上記のランプ等の報知部はなくてもよい。
また、収納部20には、スマートフォン等の情報端末に表示されるバーコード等のコード情報を読み取るリーダーが設けられてもよい。
【0054】
以上のような荷受け設備10は、図4図5に示すように、建物1,2の様々な場所に設置することができる。
【0055】
図4に示す建物1は、戸建て住宅であり、庭1aに荷受け設備10が設けられてもよいし、バルコニー1bに荷受け設備10が設けられてもよい。また、屋外ではなく、室内に設けられてもよい。
【0056】
荷受け設備10が庭1aに設けられる場合は、特に大きな設置条件はないが、取り出し口23が建物1側に向けて設けられることが好ましい。換言すれば、取り出し口23が敷地外に面しないようにすることが望ましい。特に大きな設置条件がないため、既存住宅でも導入しやすい。
【0057】
また、荷受け設備10がバルコニー1bに設けられる場合も特に大きな設置条件はないため、取り出し口23が建物1側に向けて設けられることが好ましく、既存住宅のバルコニーでも導入しやすい。このようにバルコニー1bに荷受け設備10が設けられると、住宅密集地や狭小地等のように、地表付近での荷運び用ドローン3の飛行に支障がある場合に有効となる。
【0058】
荷受け設備10が室内に設けられる場合は、あたかも煙突(あるいは、シャフトやダクト)のように、少なくとも荷受け部30が屋根1cの上方に突出している状態とする。室内に設けられる場合の荷受け設備10は、図4に示すように下階の床から屋根1cの上方にかけての高さに形成されるものとしてもよいし、上階の床から屋根1cの上方にかけての高さに形成されるものとしてもよい。また、天井高の低い屋根裏空間の床から屋根1cの上方にかけての高さに形成されるものとしてもよい。
このように荷受け設備10が室内に設けられる場合は、荷受け部30が屋根1cの上方に配置されるため、荷運び用ドローン3の飛来方向の自由度が高く、しかも安全性や騒音の面で有利となる。また、各階に位置する部分に取り出し口23を形成し、各階での荷物Pの取り出しが可能となる。また、各階間での物品の移動を可能とする小荷物専用昇降機としても利用することができる。
また、収納部20の長さが許す範囲で複数の移動床部24を適宜移動させることができるため、取り出し口23は、各階に一つだけ形成されているものとしてもよい。例えば5つの移動床部24があるとしたら、下階では、最も高い位置の移動床部24(第五移動床部24e)の位置に一つの取り出し口23が形成されればよい。一方、上階では、下階のような条件はなく、ユーザーが取り出しやすい任意の位置に取り出し口23が形成されればよい。
【0059】
図5に示す建物2は、例えば共同住宅や住宅以外の複数層建物であり、各階に屋外通路2bを備えている。図5に示す例の建物2の場合は、荷受け設備10が、敷地2a(庭2a)に設置され、上下階に跨る高さに形成されている。
取り出し口23は、下階(1階)のみに形成されるものとしてもよいし、各階の屋外通路2bに面して形成されるものとしてもよい。
荷受け部30は、屋根の上方に配置されているが、これに限られるものではなく、屋根よりも下方に配置されてもよい。
【0060】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、荷受け口21の上方に間隔を空けて配置された天板32のうち開口側の縁部は、一端部から天板中心に向かう第一ガイド縁部32aと、他端部から天板中心に向かう第二ガイド縁部32bと、からなり、第一ガイド縁部32aの天板中心側端部と第二ガイド縁部32bの天板中心側端部との間が、荷運び用ドローン3から吊り下げられた荷吊り用ワイヤー3aが通されるキャッチャーガイド32cとされているので、荷吊り用ワイヤー3aによって吊り下げられた荷物Pが荷受け部30の開口(投入口31)から荷受け部30内に投入され、荷吊り用ワイヤー3aがキャッチャーガイド32cに合致した状態で、荷運び用ドローン3が上方に飛び去ろうとすると、荷物Pが天板32の下面に引っ掛かる。そして、そのまま荷運び用ドローン3が上方に飛び去ると、荷吊り用ワイヤー3aから荷物Pが外れ、その荷物Pが荷受け口21から収納部20内に収納される。すなわち、荷運び用ドローン3が荷受け部30に荷物Pを投入してから飛び去るだけで、荷物Pの受け取りが可能となるので、短い滞在時間で精度よく荷物Pを受け取ることができ、人と荷運び用ドローン3との接触を避けやすく、安全確保を図ることができる。
【0061】
また、天板32は、開口側の縁部が、天板32における他の縁部よりも高さ位置が高くなるように配置されているので、荷受け部30の開口が上下方向に長くなって開口面積が広くなり、荷吊り用ワイヤー3aによって吊り下げられた荷物Pが入りやすくなる。これにより、荷運び用ドローン3等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物Pを受け取ることができ、安全確保を図ることができる。
【0062】
また、収納部20の上端面は、当該上端面における縁部のうち、天板32における開口側の縁部の下方に位置する縁部が最も高さ位置が低くなるように傾斜しているので、荷受け部30の開口が上下方向に長くなって開口面積が広くなり、荷吊り用ワイヤー3aによって吊り下げられた荷物Pが入りやすくなる。これにより、荷運び用ドローン3等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物Pを受け取ることができ、安全確保を図ることができる。
さらに、収納部30の上端部には、荷受け口21を開閉する蓋22が設けられているので、荷受け部30の開口から雨が浸入しても、荷受け口21から収納部20内への雨水の浸入を抑えることができる。
【0063】
また、収納部20は、荷受け口21から収納された荷物Pが載せられて収納部20内を移動可能な移動床部24(24a~24e)と、側面に形成された荷物Pの取り出し口23(23a~23e)と、を有するので、荷受け口21から収納部20内に収納された荷物Pが移動床部24に載せられたまま、収納部20内を取り出し口23まで移動し、取り出し口23から荷物Pを取り出すことができる。これにより、荷物Pを取り出す位置を、荷受け部30から遠ざけることができるので、人と荷運び用ドローン3との間の距離を取ることができ、安全確保を図ることができる。
【0064】
また、収納部20は、水平方向よりも上下方向に長く形成されているので、荷受け部30の高さ位置を高くすることができる。これにより、人と荷運び用ドローン3との間の距離を取ることができ、安全確保を図ることができる。
【0065】
また、外部との通信を行い、荷運び用ドローン3によって配達される荷物Pに係る情報を送受信するための通信部を更に備えるので、例えば収納部20が満杯のときに荷受けを取り止めたり、荷受けした荷物Pの情報をユーザーのスマートフォンに送信して荷物Pの取り出しを促したりすることができ、荷受け設備10の利便性を高めることができる。
【0066】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0067】
〔変形例1〕
荷受け設備10の通信部と配達側の通信手段との間でやり取りされる荷物Pに係る情報には、荷運び用ドローン3が荷受け設備10に接近したことを知らせる接近情報、ビーコン等の通信技術を用いた荷運び用ドローン3の誘導に係る誘導情報(信号)、荷運び用ドローン3にカメラが搭載された場合の画像情報等が含まれていてもよい。
上記の接近情報は、荷運び用ドローン3から、又は荷運び用ドローン3のGPS情報を入手した配達拠点から、荷受け設備10側に送信される。接近情報を受信した荷受け設備10は、蓋22のロック装置をオフにし、蓋22を開放する。また、折り畳み式の移動床部24の展開動作を行う。
上記の誘導情報(信号)は、ビーコン等の通信技術を用いており、荷受け設備10側に設けられた親機と、荷運び用ドローン3に設けられた子機との間で情報をやり取りしながら、子機を親機側に誘導することができる。
上記の画像情報は、収納部20の蓋22が開いているか、荷物Pが荷受け部30に投入されたかを確認することができる。そのため、天板32は、透明(透視性のある)板材によって構成されることが望ましい。
【0068】
〔変形例2〕
上記の実施形態においては、第一ガイド縁部32a及び第二ガイド縁部32bの双方が円弧状に形成されていたが、本変形例における天板320の第一ガイド縁部320a及び第二ガイド縁部320bは、図6に示すように、直線状に形成されている。
すなわち、第一ガイド縁部320aは、一端部(左側端部)から天板中心に向かって直線状に形成され、第二ガイド縁部320bは、他端部(右側端部)から天板中心に向かって直線状に形成されている。そのため、荷吊り用ワイヤー3aは、キャッチャーガイド32cに向かってストレートに移動することになるので、荷吊り用ワイヤー3aをガイドしやすくなる利点がある。
【0069】
〔変形例3〕
上記の実施形態における荷受け設備10は、上下5段の移動床部24が収納部20の内部に設けられ、計5つの荷物Pを荷受けできるように構成されていたが、本変形例における荷受け設備10Aは、図7に示すように、上下3段の移動床部24が収納部20の内部に設けられ、計3つの荷物Pを荷受けできるように構成されている。これに合わせて取り出し口23Aも計3つ形成されており、それぞれに扉が設けられている。
【0070】
各取り出し口23Aは、上記の実施形態における各取り出し口23と比較して上下寸法が長く形成されている。したがって、本変形例の荷受け設備10Aは、上記実施形態の荷受け設備10よりも、上下寸法の長い荷物Pを荷受けすることができる。すなわち、大きいサイズの荷物Pを荷受けできる。
また、投入口31の上下寸法は、取り出し口23の上下寸法よりも長く、投入口31の左右寸法は、取り出し口23の左右寸法と略等しく設定されている。
【0071】
なお、本変形例における荷受け設備10Aは、筐体のサイズが、上記実施形態の荷受け設備10と共通とされているため、取り出し口23の上下寸法のみ長くすることができるが、筐体のサイズを共通とせずに、幅寸法や奥行寸法を長く設定してもよい。
【0072】
本変形例の荷受け設備10Aは単独で建物1,2に設置されてもよいが、上記実施形態の荷受け設備10と併設してもよい。2台の荷受け設備10,10Aを併設する敷地を確保できない場合は、1台の荷受け設備10(10A)の正面側と背面側に、上下寸法の異なる取り出し口23を形成してもよい。その場合は、荷受けできる荷物Pの数が適宜変更されるものとし、移動床部24の動作は制御装置によって適宜制御される。
【0073】
また、上記のように、大型荷物用と通常サイズ用の2台の荷受け設備10,10Aを併設する場合、もしくは1台の荷受け設備10(10A)で大型荷物と通常サイズの双方に対応させる場合は、双方の荷受け設備10,10Aにおける制御装置同士は連動しているか、統合されてもよい。
配達側の通信手段から送信される荷物Pに係る情報には、荷物Pの重量に係る情報が含まれており、荷受け設備10,10Aにおける制御装置は、その重量情報に応じて、どちらの荷受け設備10,10Aで荷受けするのが適切であるかを判断することができる。
大型荷物用の荷受け設備10Aでは、通常サイズの荷物Pの荷受けも出来るため、通常サイズ用の荷受け設備10が満杯になった場合は、大型荷物用の荷受け設備10Aで荷受けする判断を行う。一方、通常サイズ用の荷受け設備10では大型荷物の荷受けができないため、大型荷物用の荷受け設備10Aが満杯の場合は、通信部を通じて、荷受け不可の情報を、配達側に送信して荷受けを保留する。
同時に、ユーザー(受取人)にも同様の情報を送信して大型荷物の引き取りを促し、大型荷物用の荷受け設備10Aの収納部20内に空きが生じたら再配達が行われるものとする。
【0074】
〔変形例4〕
本変形例における荷受け設備10Bは、図8に示すように、荷受け部30における投入口31の向きを、荷受け部30における垂直軸(仮想的な軸線)の軸回りに変更可能とするための旋回機構を備えている。
本変形例の旋回機構は、収納部20の下端部に設けられている。すなわち、地面や床に設置される部分である機器収納部26の内部に、収納部20を旋回させるための旋回駆動部が設けられており、旋回駆動部は、制御装置によって制御される。
【0075】
本変形例においては、荷受け設備10の通信部と配達側の通信手段との間でやり取りされる荷物Pに係る情報に、荷運び用ドローン3がどの方向から飛来するかを知らせる飛来方向情報が含まれているものとする。
飛来方向情報は、荷運び用ドローン3から、又は荷運び用ドローン3のGPS情報を入手した配達拠点から、荷受け設備10B側に送信される。
飛来方向情報を受信した荷受け設備10においては、制御装置が、荷受け設備10Bの位置情報と荷運び用ドローン3の飛来方向情報に基づいて、機器収納部26に収納された旋回駆動部を制御し、収納部20を旋回させる。これにより、荷受け部30における投入口31の向きを、飛来方向情報に合わせて変更することができる。そして、荷受け設備10Bは、蓋22のロック装置をオフにし、蓋22を開放する。また、折り畳み式の移動床部24の展開動作を行う。
【0076】
本変形例において旋回機構は、収納部20の下端部に設けられているものとしたが、これに限られるものではなく、収納部20と荷受け部30との間に設けられてもよい。つまり、旋回駆動部が、収納部20の上端部と荷受け部30の下端部との間に、荷受け口21を避けた状態で配置されている。これにより、収納部20を固定状態としたうえで、収納部20に対して荷受け部30を旋回させることができる。
【0077】
なお、上記のように大型荷物用と通常サイズ用の2台の荷受け設備を併設する場合、これらの荷受け設備を接する状態にしてしまうと、旋回機構を動作させることができない。そのため、大型荷物用と通常サイズ用の2台の荷受け設備を併設する場合は、これらの荷受け設備を離間して配置することが好ましい。狭小地において双方の荷受け設備を接する状態に併設しなければならない場合は、双方又は一方の荷受け設備の筐体を円筒状に形成するなどして旋回機構を動作できるようにする。
【0078】
本変形例によれば、荷受け部30における開口の向きを、荷受け部30における垂直軸の軸回りに変更可能とするための旋回機構を更に備えており、旋回機構は、収納部20の下端部又は収納部20と荷受け部30との間に設けられているので、収納部20自体を旋回させるか、収納部20に対して荷受け部30を旋回させるかして、荷受け部30における投入口31の向きを、荷受け部30における垂直軸の軸回りに変更できる。これにより、荷運び用ドローン3が飛来してくる方向に合わせて荷受け部30における投入口31の向きを変更できるので、荷物Pが入りやすくなる。その結果、例えば荷受け部30付近で荷運び用ドローン3が飛行する向きを調整する必要がないので、荷運び用ドローン3等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物Pを受け取ることができ、安全確保を図ることができる。
【0079】
〔変形例5〕
本変形例における荷受け設備10Cは、収納部20Cが、図9に示すように、上下方向よりも水平方向に長く形成されている。すなわち、収納部20Cは、横に寝かせられた状態に配置されている。
荷受け口21Cは、収納部20Cの長さ方向一端部の上面に形成されている。そして、荷受け口21Cの位置に、荷受け部30が設けられている。
【0080】
図示はしないが、収納部20Cは、荷受け口21から収納された荷物Pが載せられて収納部20内を移動可能な複数の移動床部24と、側面に形成された荷物Pの複数の取り出し口23と、を有する。
各移動床部24は、荷物Pの待機時においては荷受け口21Cの直下に配置され、荷物Pが載せられると位置が下がり、収納部20Cの長さ方向他端部に向かってスライド移動する。そして、複数の取り出し口23のいずれかの位置で停止し、荷物Pの取り出しを待機する状態となる。
機器収納部26Cは、水平方向に長い収納部20Cの下端部に設けられているので、上下方向に長い収納部よりも収納スペースの容積を大きくすることができる。そのため、制御装置や通信部だけでなく、複数の移動床部24を動作させるための機構等の全てが、機器収納部26C内に納められるようにしてもよい。
【0081】
本変形例の荷受け設備10Cは、少なくとも荷受け部30が、人の出入りが少ない場所に配置されるように設置される。すなわち、例えばバルコニーに仕切壁を設置し、その仕切壁の一方を、鍵付きの扉を設けるなどして人の出入りが少ない空間とする。そして、仕切壁の下端部に形成された開口に荷受け設備10Cの収納部20Cを通して、かつ、仕切壁の一方側の空間に荷受け部30が配置されるようにする。
これにより、空間的に人と荷運び用ドローン3との接触が避けやすくなり、安全確保を図ることができる。
【0082】
〔変形例6〕
上記の実施形態における荷受け設備10は、第一移動床部24aから第五移動床部24eまで順々に荷物Pが載せられ、順々に位置が下がって、ユーザーによる荷物Pの取り出しを待機することとなる。このような荷受け設備10の場合、戸建て住宅に設置される分には問題は生じにくいが、複数の世帯が入居する共同住宅においては、住人ごとに荷物Pを取り出すタイミングが異なるため、上方に位置する移動床部24の荷物Pが取り出されないと、下方に位置する移動床部24は荷受けできない状況が生じてしまう場合がある。つまり、例えば第五移動床部24eの荷物Pが取り出されない限り、第四移動床部24d以下の各移動床部24a~24cは、荷物Pが載っていなくても荷受けできないということになる。
これに対し、本変形例の荷受け設備10Dは、図10図12に示すように、複数の移動床部24D(24Da~24De)の位置を入れ替える入れ替え機構を備えている。すなわち、入れ替え機構によって、複数の移動床部24Da~24Deが、収納部20D内で位置の入れ替えが可能となっており、荷物Pが載せられていない移動床部24Dを最も上方に配置して荷受けすることができる。
【0083】
本変形例において、第一移動床部24Daは、収納部20Dの背面側壁部(つまり、筐体の背面側部)の内側面に互いに間隔を空けて設けられた一対の第一専用レール25Daに対して、一対のスライダーSLを介して設けられている。
第二移動床部24Dbは、収納部20Dの右側壁(筐体の右側部)の内側面に設けられた一本の第二専用レール25Dbに対して、スライダーSLを介して設けられている。
第三移動床部24Dcは、収納部20Dの右側壁(筐体の右側部)の内側面に、第二専用レール25Dbと間隔を空けて設けられた第三専用レール25Dcに対して、スライダーSLを介して設けられている。
第四移動床部24Ddは、収納部20Dの左側壁(筐体の左側部)の内側面に設けられた第四専用レール25Ddに対して、スライダーSLを介して設けられている。
第五移動床部24Deは、収納部20Dの左側壁(筐体の左側部)の内側面に、第四専用レール25Ddと間隔を空けて設けられた第五専用レール25Deに対して、スライダーSLを介して設けられている。
すなわち、第一移動床部24Daは、一対の第一専用レール25Daによって二点支持されており、第二から第五移動床部24Db~24Deは、それぞれ一本の専用レール25Db~25Deによって一点支持されている。一点支持の第二から第五移動床部24Db~24Deは、比較的軽量な荷物Pに対応するものとされており、二点支持の第一移動床部24Daは、比較的重量のある荷物Pに対応するものとされている。
【0084】
なお、上記の大型荷物用の荷受け設備10Aでは、本変形例における二点支持の移動床部(一対の専用レール)が、収納部の背面側壁部と右側壁部と左側壁部のそれぞれに設けられているものとする。
【0085】
本変形例における複数の移動床部24D(24Da~24De)は、折り畳まれた状態から荷物Pを受けるときに展開する折り畳み式となっている。
そして、各移動床部24D(24Da~24De)は、矩形状の本体板部と、本体板部の一縁部に一体形成されて当該一縁部からスライダーSLに向かって突出し、突出方向先端部がスライダーSLに対して上下方向に回転可能に接続された突出部と、を備える。
【0086】
第一移動床部24Daは、一対の第一専用レール25Daによって二点支持されているので、二つの突出部を備えている。ただし、第一移動床部24Daは、二つの突出部を備えずに、本体板部がスライダーSLに対して上下方向に回転可能に接続されるものとしてもよい。
一方、第二から第五移動床部24Db~24Deは、一本の専用レール25Db~25Deによって一点支持されているので、それぞれ一つの突出部を備えている。
【0087】
第二専用レール25Db及び第四専用レール25Ddは、図10に示すように、一対の第一専用レール25Da及び折り畳み状態の第一移動床部24aよりも正面側に位置している。これにより、折り畳み状態の第一移動床部24aは、第二から第五移動床部24Db~24Deが折り畳み状態であっても展開した状態であっても、収納部20内を上下に昇降移動可能となっている。
【0088】
第二から第五移動床部24Db~24Deにおける各突出部は、本体板部の一縁部から突出しているため、移動床部24Dが折り畳み状態から展開したときに、例えば図11に示すように、各専用レール25Dの表面から各本体板部の一縁部までの間に、突出部の長さ分の隙間27Dが形成されることとなる。
そして、隙間27Dは、収納部20Dにおける同一の側に設けられた折り畳み状態の他の移動床部24Dが通過できるようになっている。すなわち、この隙間27Dは、移動床部24Dの入れ替え用空間として機能する。
図11を例に挙げて説明すると、第三移動床部24Dcが展開した状態であれば、入れ替え用空間である隙間27Dが形成される。第三移動床部24Dcよりも下方に位置していた第二移動床部24Dbは、荷物Pが取り出されて折り畳み状態となると、隙間27Dを通過できる状態となり、隙間27Dを通って第三移動床部24Dcよりも上方に移動することが可能となる。
なお、第四移動床部24Dd及び第五移動床部24Deも同様にして入れ替えが可能となっている。
【0089】
第二から第五移動床部24Db~24Deにおける本体板部は、展開した状態においては、先端部(専用レール25D側とは反対側の端部)が、対面側の移動床部24Dには届かない長さに設定されている。
図12を例に挙げて説明すると、展開した状態の第二及び第三移動床部24Db,24Dcの先端部は、向かい側の第四及び第五移動床部24Dd,24Deを支持する第四及び第五専用レール25Dd,25Deから十分な間隔を開けて配置されている。したがって、展開した状態の第二及び第三移動床部24Db,24Dcの先端部は、向かい側の、折り畳み状態の第四及び第五移動床部24Dd,24Deとの間にも隙間が形成されることとなる。
換言すれば、展開した状態の第二及び第三移動床部24Db,24Dcの先端部は、対面側の、折り畳み状態の第四及び第五移動床部24Dd,24Deには届かない長さに設定されている。そのため、これら対面側の第四及び第五移動床部24Dd,24Deの昇降移動が妨げられない。
【0090】
また、本体板部の幅寸法は、収納部20Dにおける同一の側に設けられた一方の専用レール25Dと他方の専用レール25Dとの間隔寸法よりも短く設定されている。
図11を例に挙げて説明すると、第二専用レール25Dbに支持された第二移動床部24Dbの本体板部は、第三専用レール25Dcには到達しない幅寸法に設定されている。これにより、展開した状態の第三移動床部24Dcにおける一縁部側に形成された隙間27Dを、折り畳み状態の第二移動床部24Dbが通過する場合に、第二移動床部24Dbが、第三移動床部24Dcの突出部に接触しないので、第二移動床部24Dbの昇降移動が妨げられない。
【0091】
さらに、下方から上方に移動しようとする移動床部24Dの回転軌道上に他の移動床部24Dが位置していると、折り畳み時に接触して折り畳めない。すなわち、各移動床部24Dの位置を入れ替えることができない。そこで、移動しようとする移動床部24Dと、これよりも上方に位置する移動床部24Dは一旦上方に位置変更し、移動しようとする移動床部24Dの折り畳み用スペースを確保してから、移動しようとする移動床部24Dを折り畳み状態とする。
図12を例に挙げて説明すると、荷物Pが取り出し口23D取り出されて、移動しようとする第二移動床部24Dbと、その上方に位置する第三から第五移動床部24Dc~24Deを上方に移動させて折り畳み用スペースを確保し、第二移動床部24Dbを折り畳む。折り畳み状態の第二移動床部24Dbは、同一サイドの第三移動床部24Dcの入れ替え用空間である隙間27Dを通過して上方に移動する。第二移動床部24Dbよりも上方に位置していた第三から第五移動床部24Dc~24Deは順次下方に移動する。そして、他の移動床部24Dよりも上方に移動した第二移動床部24Dbは、制御装置の制御に基づいて荷受け待機の状態となる。
【0092】
本変形例によれば、複数の移動床部24Dは、収納部20D内で位置の入れ替えが可能となっているので、例えば、荷受け口21Dに最も近い位置の移動床部24D(第五移動床部24De)に荷物Pが載せられ、荷受け口21から遠い側の移動床部24D(第一から第四移動床部24Da~24Dd)に荷物Pが載せられていない場合でも、移動床部24Dの入れ替えを行って、新たな荷物Pの受け取りが可能となる。
【0093】
図13は、入れ替え機構の他の例を示している。この例においては、複数の移動床部240Dが、収納部200D(つまり、筐体)の正面、背面、左側面、右側面の内側面に互いに間隔を空けて設けられた一対の専用レール250Dに対して、一対のスライダーSLを介して設けられている。
より詳細に説明すると、各移動床部240Dは、一対の専用レール250D間に配置されており、これら専用レール250D間を入れ替え用空間(隙間270D)として、上下方向に昇降移動できるようになっている。また、隣り合う一方の内側面に設けられた一方の専用レール250Dと、他方の内側面に設けられた他方の専用レール250Dは、平面視において僅かにずれて配置されているので、移動床部240Dが展開した場合に、隣り合う内側面に設けられた他の専用レール250Dに接触しない。つまり、一の移動床部240Dの展開・折り畳み動作が、他の移動床部240Dや専用レール250Dによって阻害されることを防ぐことが可能となる。
なお、各内側面における一対の専用レール250Dは互いに離間しているため、取り出し口230Dからの荷物Pの取り出しも阻害されにくくなっている。
【0094】
〔変形例7〕
本変形例における配達側の通信手段には、図14図15に示すように、荷物Pに装着されて、荷運び用ドローン3の荷吊り用ワイヤー3aが接続される配送モジュール40が含まれている。この配送モジュール40は、荷受け設備10の通信部及び配達拠点の通信手段と通信可能に構成されている。
【0095】
配送モジュール40は、必要な機能が筐体41の内部に収納されている。筐体41は、平断面視において四角形状に形成されている。そして、第一側面41aと、第一側面41aに直交する第二側面41bと、第二側面41bに直交し、かつ第一側面41aと平行な第三側面41cと、第一側面41a及び第三側面41cに直交し、かつ第二側面41bと平行な第四側面41dと、を有する。
筐体41の内部には、第一ベルト巻取部42と、第二ベルト巻取部43と、制御ユニット44と、バッテリー45と、ワイヤーロック部46と、が収納されている。
【0096】
第一ベルト巻取部42は、第一固定ベルト42aを繰り出したり巻き取ったりするためものであり、筐体41における第一側面41aの内側に配置されている。筐体41の第一側面41aには、第一固定ベルト42aが通るスリットが形成されており、第一固定ベルト42aの先端部42bは、当該スリットから常時突出した状態となっている。そして、先端部42bを指でつまんで第一固定ベルト42aを引っ張り出せるようになっている。
筐体41における第三側面41cには、第一固定ベルト42aの先端部42bが通るスリットが形成されており、スリットの内側には、ベルト係止部が設けられている。すなわち、第一固定ベルト42aを、筐体41の第一側面41aから第三側面41cに向かって配置し、先端部42bを筐体41に係止することができる。
また、図15(b)に示すように、筐体41の下面における第三側面41c側には、凹部が形成され、その凹部の位置に、上記のベルト係止部を構成するベルトリリースボタン42cが下方に突出して設けられている。ベルトリリースボタン42cを上方に向かって押すことで先端部42bがベルト係止部から解放され、第一固定ベルト42aが第一ベルト巻取部42によって巻き取られることとなる。
【0097】
第二ベルト巻取部43は、第二固定ベルト43aを繰り出したり巻き取ったりするためものであり、筐体41における第二側面41bの内側に配置されている。筐体41の第二側面41bには、第二固定ベルト43aが通るスリットが形成されており、第二固定ベルト43aの先端部43bは、当該スリットから常時突出した状態となっている。そして、先端部43bを指でつまんで第二固定ベルト43aを引っ張り出せるようになっている。
筐体41における第四側面41dには、第二固定ベルト43aの先端部43bが通るスリットが形成されており、スリットの内側には、ベルト係止部が設けられている。すなわち、第二固定ベルト43aを、筐体41の第二側面41bから第四側面41dに向かって配置し、先端部43bを筐体41に係止することができる。また、先端部43bは、図示しないベルトリリースボタンを押すことでベルト係止部から開放され、第二固定ベルト43aが第二ベルト巻取部43によって巻き取られる。
【0098】
第一固定ベルト42aは、筐体41の第一側面41aから第三側面41cに向かって配置され、第二固定ベルト43aは、筐体41の第二側面41bから第四側面41dに向かって配置されるので、配送モジュール40を荷物Pの上面における中心部に配置すれば、第一固定ベルト42aと第二固定ベルト43aによって荷物Pを抱持できる。
また、第一固定ベルト42aと第二固定ベルト43aは、第一ベルト巻取部42及び第二ベルト巻取部43によって常に巻き取られるので、荷物Pのサイズや形状が定まっていなくても、各固定ベルト42a,43aの長さが許す範囲で抱持できる。
【0099】
制御ユニット44は、筐体41における第三側面41cの内側に配置されている。
このような制御ユニット44は、荷受け設備10の通信部及び配達拠点の通信手段との間で通信を行うための通信部を有している。そして、例えば荷受け設備10に近づいたら荷受け設備10との間で通信を行ったり、ワイヤーロック部46が解除されたら配達拠点との間で通信を行ったりするといった通信部に係る制御を行うことができる。
【0100】
バッテリー45は、筐体41における第四側面41dの内側に配置されている。
このようなバッテリー45は、制御ユニット44の制御・通信に必要な電力を供給したり、その他の機能を発揮するのに必要な電力を供給したりするためのものである。
【0101】
ワイヤーロック部46は、荷吊り用ワイヤー3aの下端部を挟持する挟持部47と、挟持部47が差し込まれて挟持部47及び荷吊り用ワイヤー3aの下端部を保持する保持部48と、を有する。
【0102】
挟持部47は、軸部47aと、頭部47bと、ワイヤー通孔47cと、係止部47dと、を備えている。そして、頭部47bが、筐体41の上面よりも上方に配置されている。筐体41の上面部には軸部47aが通る開口部が形成されており、軸部47aが通されている。
【0103】
軸部47aは、保持部48の差込孔48aに差し込まれる前の状態においては、上端部の径と下端部の径とが略等しい。保持部48の差込孔48aに差し込まれると、下端部に向かって徐々に細くなるように変形する。すなわち、軸部47aは弾力性を有している。
【0104】
頭部47bは、軸部47aと一体形成されるとともに軸部47aよりも大径に設定されている。なお、頭部47bは弾力性を有していなくてもよい。
【0105】
ワイヤー通孔47cは、軸部47aの下端面から頭部47bの上端面にかけて貫通して形成されており、荷吊り用ワイヤー3aが通される。本変形例においては貫通孔とされているが、頭部47bの部分では貫通孔とし、軸部47aの部分ではスリットとして形成されてもよい。なお、荷吊り用ワイヤー3aの下端部には、荷吊り用ワイヤー3aの径よりも大径で、かつワイヤー通孔47cの最小内径よりも小径に設定された留め部が一体形成されている。
【0106】
係止部47dは、軸部47aの側面に一体形成された爪状部分であり、保持部48の差込孔48aに形成された溝部48bに差し込まれる。
【0107】
保持部48は、挟持部47が差し込まれる差込孔48aと、差込孔48aの内側面に形成された溝部48bと、を備えている。このような保持部48は、筐体41内部の中央に配置されている。
【0108】
差込孔48aは、下端部に向かって徐々に細くなるように形成されている。そして、挟持部47の軸部47aが差し込まれる。軸部47aは、上記のように弾力性を有しているので、差込孔48aに差し込まれることで、下端部に向かって徐々に細くなるように変形する。
【0109】
溝部48bは、差込孔48aの内側面に形成されて、軸部47aにおける係止部47dが差し込まれる。本変形例の溝部48bは、保持部48の上面には貫通しないように形成されて、係止部47dが引っ掛かるようになっている。ただし、これに限られるものではなく、溝部48bは、保持部48の上面に貫通していてもよい。その場合は、筐体41の上面部に、係止部47dが引っ掛かる。
係止部47dが溝部48bに差し込まれることにより、軸部47aが差込孔48aから抜け出すことを防ぐことができる。
【0110】
筐体41の上面には、荷吊り用ワイヤー3aがキャッチャーガイド32cに合致し、荷運び用ドローン3が飛び去ろうとしたときに天板32の下面に当接する環状当接部41eが一体形成されている。
環状当接部41eの中央に形成された穴の底部に、挟持部47の軸部47aが通る開口部が位置しており、当該穴に、頭部47bが設けられた状態となっている。
挟持部47は、係止部47dが溝部48bの上端に引っ掛かったときの上端部の高さ位置が、環状当接部41eの上端部の高さ位置を越えないように設定されている。したがって、環状当接部41eが天板32の下面に当接したときに、荷運び用ドローン3が更に飛び去ろうとすると、挟持部47の軸部47aが保持部48の差込孔48aから外れる。その時、軸部47aは変形前の状態に戻るので、ワイヤー通孔47cが開いた状態となり、荷吊り用ワイヤー3aの留め部が抜け出ることになる。これにより、荷物Pを荷吊り用ワイヤー3aから切り離すことができる。
【0111】
なお、筐体41の下面には、配送モジュール40の返送先情報が記載されている。返送先情報は、例えばバーコード等のコード情報であってもよいし、住所等の表記があってもよい。これにより、配送モジュール40を荷物Pから取り外した後に、そのまま郵便ポストに投函するだけで、配送モジュール40の返却を行うことができる。
【0112】
また、本変形例においては、配送モジュール40を荷物Pに装着することで、荷物Pに通信機能を付与させることができるが、配送モジュール40と略同様の機能を持たせた折り畳み式の専用コンテナを用いて荷物の配達を行ってもよい。
専用コンテナの上面には、環状当接部41e及びワイヤーロック部46の機能が付与されており、表面には、返送先情報が記載されている。また、制御ユニット44やバッテリー45を適宜有している。ただし、ベルト巻取部42,43及び固定ベルト42a,43aに係る機能は有していないものとする。
【0113】
なお、本変形例におけるワイヤーロック部46は、挟持部47と保持部48とを備えて構成されたものとなっているが、これに限られるものではない。例えば荷吊り用ワイヤー3aの下端部に磁石につく金属片を取り付けておき、ワイヤーロック部46を電磁石で構成することにより、バッテリー45からの電力供給を制御ユニット44で制御する構造をワイヤーロック部として用いてもよい。
【0114】
〔変形例8〕
本変形例の荷受け設備10は、図16に示すように、収納部20を支持するとともに走行可能に構成された走行部50を備えている。本変形例においては、走行部50の上面に収納部20が載置されて連結された状態となっている。
走行部50は、前輪51及び後輪52(すなわち、車輪)と、これら前輪51及び後輪52のうち少なくとも一方を駆動させる駆動部(図示省略)と、駆動部の動作及び前輪51のステアリングを制御・操作する制御部(図示省略)と、を有する。これにより、走行部50は、自律走行が可能に構成されているものとする。
また、制御部は、外部の操作用端末との間で通信を行うための通信機能を有していてもよい。これにより、走行部50は、外部の操作用端末からの遠隔操作が可能となる。
【0115】
以上のように構成された走行部50は、収納部20ひいては荷受け設備10全体を移動させることができる。したがって、敷地(庭)内の様々な場所に荷受け設備10を移動させて荷受けできるとともに、敷地外でも荷受けすることができる。そのため、例えば、地域単位で一つの荷受け設備10を共有できるようにしてもよい。
【0116】
なお、本変形例における走行部50は、車輪51,52を備えるものとしたが、これに限られるものではなく、無限軌道を備えるものとしてもよい。これにより、走行部50が走行できる場所の選択肢が増えるため好ましい。
【0117】
また、収納部20は、本変形例においては走行部50から取り外し可能に構成されていてもよい。すなわち、本変形例の収納部20は、走行部50に対して着脱可能に連結されている。ただし、これに限られるものではなく、収納部20と走行部50は、一体形成されていてもよい。
【0118】
本変形例によれば、荷受け設備10が、収納部20を支持するとともに走行可能に構成された走行部50を備えるので、収納部20ひいては荷受け設備10全体を移動させることができる。これにより、走行部50が走行できる場所であれば、場所を選ばずに荷受けできるとともに、荷運び用ドローン3が飛来してくる方向に合わせて荷受け部30における開口の向きを変更できるので、荷受け設備10の利便性を高めることができるとともに、荷運び用ドローン3等の飛行体から、短い滞在時間で精度よく荷物Pを受け取ることができて安全確保を図ることができる。
さらに、収納部20は、走行部50に支持されている分、地面に設置される場合よりも荷受け部30の高さ位置を高くすることができるので、人と荷運び用ドローン3との間の距離を取ることができ、安全確保を図ることができる。
【符号の説明】
【0119】
P 荷物
3 荷運び用ドローン
3a 荷吊り用ワイヤー
3b ワイヤー巻取部
10 荷受け設備
20 収納部
21 荷受け口
22 蓋
23 取り出し口
23a 第一取り出し口
23b 第二取り出し口
23c 第三取り出し口
23d 第四取り出し口
23e 第五取り出し口
24 移動床部
24a 第一移動床部
24b 第二移動床部
24c 第三移動床部
24d 第四移動床部
24e 第五移動床部
25 専用レール
25a 第一専用レール
25b 第二専用レール
25c 第三専用レール
25d 第四専用レール
25e 第五専用レール
26 機器収納部
30 荷受け部
31 投入口
32 天板
32a 第一ガイド縁部
32b 第二ガイド縁部
32c キャッチャーガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16