(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152758
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241018BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241018BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241018BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241018BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20241018BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241018BHJP
H10K 50/842 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 422
G06F3/044 125
G09F9/00 366A
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
H10K59/131
H10K77/10
H10K50/842 141
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024129751
(22)【出願日】2024-08-06
(62)【分割の表示】P 2023180175の分割
【原出願日】2014-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2013245397
(32)【優先日】2013-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013245400
(32)【優先日】2013-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】平形 吉晴
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
(57)【要約】
【課題】可撓性を有するタッチパネルを提供すること。または、タッチパネルの薄型化と
、高い検出感度を両立すること。
【解決手段】可撓性を有する第1の基板と、第1の基板上に第1の絶縁層と、第1の絶縁
層上に、トランジスタおよび発光素子と、発光素子上にカラーフィルタと、カラーフィル
タ上に一対のセンサ電極と、センサ電極上に、第2の絶縁層と、第2の絶縁層上に、可撓
性を有する第2の基板と、第2の基板上に、保護層と、を備えるタッチパネルとする。ま
た発光素子とカラーフィルタとの間に第1の接着層を有し、第1の基板および第2の基板
の厚さが1μm以上200μm以下であり、第1の接着層の厚さが、50nm以上10μ
m以下の領域を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板の上方に位置する領域を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の上方に位置する領域を有する導電層と、
前記導電層の上方に位置する領域を有する電極と、
前記電極の上方に位置する領域を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の上方に位置する領域を有する第2の基板と、を有し、
前記第1の絶縁層は、開口部を有し、
前記導電層と前記電極との間には、接着層を有し、
前記接着層は、複数の導電性粒子を有し、
前記複数の導電性粒子のうち1つは、前記第1の絶縁層と重なる領域を有しかつ前記導電層及び前記電極と接する領域を有し、
前記複数の導電性粒子のうちの他の1つは、前記開口部の内側に位置する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。特に、可撓性を有し、湾曲させることのできる
表示装置に関する。また、本発明の一態様は、タッチパネルに関する。特に、可撓性を有
し、湾曲させることのできるタッチパネルに関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、
それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されており、多様化が求められている。例
えば、携帯情報端末としてタッチパネルを備えるスマートフォンやタブレット端末の薄型
化や高性能化、多機能化が進んでいる。
【0004】
また、特許文献1には、フィルム基板上に、スイッチング素子であるトランジスタや有
機EL素子を備えたフレキシブルなアクティブマトリクス方式の発光装置が開示されてい
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可撓性を有するほどに薄型化された表示装置に、ユーザインターフェースとして画面に
指等で触れることで入力する機能を付加したタッチパネルが望まれている。
【0007】
本発明の一態様は、可撓性を有するタッチパネルを提供することを課題の一とする。ま
たは、タッチパネルの薄型化と、高い検出感度を両立することを課題の一とする。
【0008】
または、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。または、新規なタッチセン
サを提供することを課題の一とする。または、新規なタッチパネルを提供することを課題
の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様
は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。また、上記以外の課題は、明
細書等の記載から自ずと明らかになるものであり、明細書等の記載から上記以外の課題を
抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、可撓性を有する第1の基板と、第1の基板上に第1の絶縁層と、第
1の絶縁層上に、トランジスタおよび発光素子と、発光素子上にカラーフィルタと、カラ
ーフィルタ上に一対のセンサ電極と、センサ電極上に、第2の絶縁層と、第2の絶縁層上
に、可撓性を有する第2の基板と、第2の基板上に、保護層と、を備えるタッチパネルで
ある。また発光素子とカラーフィルタとの間に第1の接着層を有し、第1の基板および第
2の基板の厚さが1μm以上200μm以下であり、第1の接着層の厚さが、50nm以
上10μm以下の領域を有する。
【0011】
また、上記第1の絶縁層上に第1の導電膜が設けられ、センサ電極のいずれか一方と、
第1の導電膜とが、導電性の接続体を介して電気的に接続されることが好ましい。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、可撓性を有する第1の基板と、第1の基板上に一対のセ
ンサ電極と、センサ電極上に、第1の絶縁層と、第1の絶縁層上に、トランジスタおよび
発光素子と、発光素子よりも下に、カラーフィルタと、発光素子上に、第2の絶縁層と、
第2の絶縁層上に、可撓性を有する第2の基板と、第1の基板よりも下に、保護層と、を
備えるタッチパネルである。また発光素子と第2の絶縁層との間に第1の接着層を有し、
第1の基板および第2の基板の厚さが1μm以上200μm以下であり、第1の接着層の
厚さが、50nm以上10μm以下の領域を有する。
【0013】
また、上記トランジスタのチャネルが形成される半導体層に、酸化物半導体を有するこ
とが好ましい。
【0014】
また、上記トランジスタのチャネルが形成される半導体層に、多結晶シリコンを有して
いてもよい。
【0015】
また、上記保護層は、酸化アルミニウム、または酸化イットリウムを含むことが好まし
い。
【0016】
また、上記第1の絶縁層と第1の基板との間に第2の接着層を有し、第2の接着層の厚
さが、50nm以上10μm以下であることが好ましい。
【0017】
また、上記第2の絶縁層と第2の基板との間に第3の接着層を有し、第3の接着層の厚
さが、50nm以上10μm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、可撓性を有するタッチパネルを提供できる。または、タッチ
パネルの薄型化と、高い検出感度を両立することができる。
【0019】
または、新規な表示装置、タッチセンサ、またはタッチパネルを提供できる。なお、こ
れらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、
必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項
などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図8】タッチセンサのブロック図及びタイミングチャート図。
【
図10】表示装置のブロック図及びタイミングチャート図。
【
図11】表示装置およびタッチセンサの動作を説明する図。
【
図12】表示装置およびタッチセンサの動作を説明する図。
【
図15】表示装置の動作を説明するタイミングチャート図。
【
図19】CAAC-OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC-OSの断面模式図。
【
図20】CAAC-OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。
【
図21】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。
【
図22】CAAC-OSの電子回折パターンを示す図。
【
図23】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様
の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0023】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0024】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルの構成例について、図面を参照して
説明する。
【0026】
[タッチパネルの構成例]
図1(A)は、以下で例示するタッチパネル100の斜視概略図である。
【0027】
タッチパネル100は、可撓性を有する基板101と可撓性を有する基板102の間に
、少なくとも表示装置110とタッチセンサ120と、を備える。
【0028】
図1(B)は、
図1(A)中のタッチセンサ120を示す斜視概略図であり、
図1(C
)は、
図1(A)中の表示装置110、配線131、配線132、配線144を含む構成
を示す斜視概略図である。
【0029】
タッチセンサ120としては、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電
容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。投影型静電容量
方式としては、主に駆動方式の違いから、自己容量方式、相互容量方式などがある。相互
容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0030】
以下では投影型静電容量方式のタッチセンサを適用する場合について説明する。
【0031】
なお、指等の検知対象の近接または接触を検知することができる様々なセンサ(例えば
光電変換素子を用いた光学式センサ、感圧素子を用いた感圧センサ)などを適用すること
もできる。
【0032】
タッチセンサ120は、複数の電極121と複数の電極122を有する。電極121は
、複数の配線131のいずれかと電気的に接続し、電極122は複数の配線132のいず
れかと電気的に接続する。配線131にはFPC142が電気的に接続される。また配線
132にはFPC143が電気的に接続される。
【0033】
電極121は一方向に延伸した形状を有する。また、電極122は、電極121と交差
する向きに延伸した形状を有する。また電極121と電極122との間には誘電層を有し
、これらの交差部に容量が形成される。タッチセンサ120はこのような複数の電極12
1と複数の電極122と、その間の誘電層により、複数の容量素子がマトリクス状に配置
された構成を有する。
【0034】
また、電極121および電極122は、透光性を有することが好ましい。ここで、
図1
(B)に示すように、電極121と電極122は、これらの間にできるだけ隙間が生じな
いような形状として配置することが好ましい。またこれらの隙間に電極121または電極
122と同一の導電膜を含むダミー電極を設けてもよい。このように、電極121と電極
122との間の隙間をできるだけ少なくすることで、透過率のムラを低減できる。その結
果、タッチセンサ120を透過する光の輝度ムラを低減することができる。
【0035】
表示装置110は、少なくとも複数の画素を含む表示部111と、表示部111に信号
や電力を供給するための配線144を備える。表示部111が有する画素は、トランジス
タおよび表示素子を備えることが好ましい。表示素子としては、代表的には有機EL素子
を用いることができる。
【0036】
また、
図1では、表示装置110は表示部111だけでなく駆動回路112を備える構
成を示している。駆動回路112としては、例えば走査線駆動回路、信号線駆動回路など
として機能する回路を適用できる。
【0037】
配線144にはFPC141が電気的に接続されている。FPC141から配線144
を介して、表示装置110を駆動するための信号や電力を供給することができる。
【0038】
また、
図1では、FPC141上にはCOF方式により実装されたIC114が設けら
れている例を示している。IC114は、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路な
どとして機能するICを適用できる。なお、表示装置110が走査線駆動回路および信号
線駆動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回路や信号線駆動回路として
機能する回路を外部に設け、FPC141を介して表示装置110を駆動するための信号
を入力する場合などには、IC114を設けない構成としてもよい。
【0039】
図1では、第1の基板101側に、表示装置110と、配線131と、配線132が設
けられ、第2の基板102側に、タッチセンサ120が設けられている例を示している。
【0040】
[断面構成例]
図2(A)には、
図1(A)中に示した切断線A1-A2、B1-B2、C1-C2、
およびD1-D2における断面構成の一例を示している。
図2(A)では、表示部111
の例として、表示部111に含まれる1画素分の断面を示している。
【0041】
第1の基板101と第2の基板102は、第1の接着層151によって接着されている
。第1の接着層151は、発光素子180とカラーフィルタ184の間にも設けられてい
てもよい。
【0042】
可撓性を有する第1の基板101および第2の基板102は、その厚さが例えば1μm
以上200μm以下、好ましくは3μm以上100μm以下、より好ましくは5μm以上
50μm以下とすることが好ましく、代表的には20μm程度とすればよい。厚さが1μ
m未満であると、タッチパネル100の機械的強度が不十分であることから、破損の要因
となってしまう。また、厚さが200μmよりも大きいと、可撓性に乏しくなることに加
え、湾曲させたときに発生する曲げ応力が大きくなり、基板自体または基板上に設けられ
る配線や素子などが破損してしまう恐れがある。
【0043】
また、第1の基板101と第2の基板102は、その厚さが等しいまたは概略等しいこ
とが好ましい。第1の基板101と第2の基板102の厚さを揃えることで、これらに装
置される表示装置110およびタッチセンサ120をタッチパネルの中央部に配置するこ
とができる。その結果、タッチパネルを湾曲させたときに発生する曲げ応力の影響が表示
装置110やタッチセンサ120に及ぶことが抑制されるため、湾曲に伴う破損などの不
具合を抑制し、信頼性の高いタッチパネル100を実現できる。例えば、第1の基板10
1の厚さと第2の基板102の厚さのうち、小さい方の厚さが、大きい方の厚さの80%
以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上とすればよい。
【0044】
また、第1の基板101と第2の基板102は、その線熱膨張係数が等しいまたは概略
等しい材料を用いることが好ましい。これらの線熱膨張係数を揃えることで、作製工程に
かかる熱や、使用時の温度が変化した際であっても、タッチパネル100が意図せずに湾
曲してしまうことを抑制できる。またタッチパネルの安定した動作が保証される温度の範
囲を広げることができる。第1の基板101に用いる材料の線熱膨張係数に対する第2の
基板102に用いる材料の線熱膨張係数の差が、例えば0℃から200℃の範囲において
10ppm/K以下、好ましくは5ppm/K以下、より好ましくは2ppm/K以下で
あることが好ましい。
【0045】
図2(A)では、駆動回路112に含まれるトランジスタ161およびトランジスタ1
62、ならびに表示部111の画素に含まれるトランジスタ163およびトランジスタ1
64を示している。各々のトランジスタは、第1の絶縁層171上に設けられている。
【0046】
図1および
図2(A)では、表示部111が形成される第1の絶縁層171上に駆動回
路112が形成された、ドライバ一体型の表示装置の構成を示すが、表示部111が形成
される絶縁表面とは別に走査線駆動回路または信号線駆動回路として機能する回路の一方
または両方を設ける構成としてもよい。例えば、COG方式により駆動回路用ICを実装
してもよいし、またはCOF方式により駆動回路用ICが実装されたFPC(Flexi
ble Printed Circuit)を実装してもよい。
【0047】
図2(A)では、駆動回路112および表示部111に設けるトランジスタの例として
、ボトムゲート型のトランジスタを示している。
【0048】
ここで、表示装置110に設けられる表示部111が備える画素や、駆動回路112等
に用いられるトランジスタとして、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を適用
することが好ましい。特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用す
ることが好ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半
導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0049】
例えば、上記酸化物半導体として、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn
)を含むことが好ましい。また、上記酸化物半導体として、In-M-Zn系酸化物(M
はAl、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)で表記さ
れる酸化物を含むことがより好ましい。
【0050】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面
、または半導体層の上面に対し垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界を有さない
酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
【0051】
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために表示パネルを湾曲させたときの
応力によって酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、
可撓性を有し、湾曲させて用いる表示パネルなどに、このような酸化物半導体を好適に用
いることができる。
【0052】
半導体層としてこのような材料を用いることで、電気特性の変動が抑制され、信頼性の
高いトランジスタを実現できる。
【0053】
また、半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ状態でのソースとドレイ
ン間のリーク電流(オフ電流)が低いため、トランジスタを介して容量に蓄積した電荷を
長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用するこ
とで、各表示領域に表示した画像の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能と
なる。その結果、極めて消費電力の低減された電子機器を実現できる。
【0054】
なお、半導体層に適用可能な酸化物半導体の好ましい形態とその形成方法については、
後の実施の形態で詳細に説明する。
【0055】
また、タッチセンサ120の動作を、画素の駆動を休止している期間に行うことが好ま
しい。このような動作を行うことで、画素の駆動の際に生じるノイズの影響をなくすこと
ができ、タッチセンサ120の検出感度を高めることが可能となる。また、このようなノ
イズの影響をなくすことができるため、タッチセンサと表示部111または駆動回路11
2との距離を極めて小さくすることが可能となる。具体的には、発光素子180とカラー
フィルタ184とが重なる領域において、接着層151の厚さが50nm以上10μm以
下、好ましくは50nm以上5μm以下、より好ましくは100nm以上3μm以下の領
域を有する程度に、第1の基板101と第2の基板102とを近づけることができる。
【0056】
なお、タッチセンサ120および表示装置110の駆動方法の例については、後の実施
の形態で説明する。
【0057】
あるいは、表示装置110に設けられる各表示領域が備える画素や、各駆動回路に用い
られるトランジスタとして、チャネルが形成される半導体層にシリコンを用いてもよい。
シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを
用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなど
を用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成
でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。こ
のような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることができる。
また極めて高精細に画素を有する場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動回路を画
素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減すること
ができる。
【0058】
また、トランジスタ161およびトランジスタ162は、
図2(A)に示すように第2
のゲートを有していてもよい。例えばトランジスタ161の第2のゲートはトランジスタ
161のゲートと電気的に接続されていてもよいし、これらに異なる電位が与えられてい
てもよい。また、必要であれば、トランジスタ163やトランジスタ164にも第2のゲ
ートを設けてもよい。また、不要であればトランジスタ161およびトランジスタ162
は第2のゲートを有さない構成としてもよい。
【0059】
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、タッチパネルを構成する各種配
線および電極としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、
ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、また
はこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。他には
、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二
層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-ア
ルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、
タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタ
ン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上に
チタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜
と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積
層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある
。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。ま
た、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい
。
【0060】
表示部111内の一つの画素は、スイッチング用のトランジスタ163と、電流制御用
のトランジスタ164と、トランジスタ164の一方の電極(ソース電極またはドレイン
電極)に電気的に接続され、絶縁層176上に設けられた第1の電極181を含む。また
第1の電極181の端部を覆う絶縁層175が設けられている。
【0061】
ここで、表示部111、駆動回路112等が備えるトランジスタの構造は、上記に限ら
れない。例えば、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタと
してもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造と
してもよい。
【0062】
図3では、トランジスタ161、トランジスタ162、トランジスタ163、トランジ
スタ164として、チャネル保護型のボトムゲート構造のトランジスタを設ける場合を示
している。トランジスタの半導体層の上面を覆って保護層が設けられ、保護層に設けられ
た開口を介して半導体層とソース電極またはドレイン電極とが電気的に接続されている。
このような構成とすることで、ソース電極及びドレイン電極を加工する際のエッチングに
よって半導体層が薄膜化することを抑制できる。
【0063】
また、
図4では、トランジスタ161、トランジスタ162、トランジスタ163、ト
ランジスタ164として、トップゲート構造のトランジスタを用いた例を示している。
【0064】
トランジスタの半導体層に酸化物半導体を用いる場合には、ボトムゲート構造を用いる
ことが好ましい。アモルファスシリコンよりも高い移動度を有する酸化物半導体は、低温
で形成できるため、半導体層の下に位置するゲート電極の耐熱性は問わず、ゲート電極の
材料の選択肢の幅を大きくすることができる。またボトムゲート構造を用いることで、ト
ップゲート構造と比較して作製工程を簡略化でき、作製コストを低減できる。
【0065】
特に、酸化物半導体として後述するCAAC-OSを用いることで、ソース電極及びド
レイン電極の加工の際のエッチングに対する酸化物半導体の耐性を高めることが可能とな
る。したがって特にCAAC-OSを半導体層に用いる場合には好適にチャネルエッチ構
造を適用することができ、作製工程をより簡略化できるため好ましい。
【0066】
また、トランジスタの半導体層として多結晶シリコンや絶縁層上に転写して形成された
単結晶シリコンを用いる場合には、トップゲート構造を用いることが好ましい。トップゲ
ート構造のトランジスタを適用することで、半導体層よりも上層の配線や電極の材料とし
て、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる
。なお、ゲート電極に耐熱性の高い材料を用いる場合や、多結晶シリコンを極めて低温(
例えば450度未満)の温度で形成する場合には、上述のボトムゲート構造を用いると、
作製工程を削減できるため好ましい。
【0067】
発光素子180は、第1の電極181と、第2の電極183と、これらに挟持されたE
L層182を有する。以下、発光素子180について説明する。
【0068】
発光素子180において、光射出側に設ける電極には、EL層182からの発光に対し
て透光性を有する材料を用いる。
【0069】
透光性を有する材料としては、上述の導電性酸化物、グラフェンのほか、金、銀、白金
、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パ
ラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることがで
きる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、
金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に
薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、
銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高め
ることができるため好ましい。
【0070】
このような電極は、蒸着法や、スパッタリング法などにより形成する。そのほか、イン
クジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、またはメッキ法を用いて形
成することができる。
【0071】
なお、透光性を有する上述の導電性酸化物をスパッタリング法によって形成する場合、
当該導電性酸化物を、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜すると、透光性を向上させ
ることができる。
【0072】
また導電性酸化物膜をEL層182上に形成する場合、酸素濃度が低減されたアルゴン
を含む雰囲気下で成膜した第1の導電性酸化物膜と、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で
成膜した第2の導電性酸化物膜の積層膜とすると、EL層182への成膜ダメージを低減
させることができるため好ましい。ここで特に第1の導電性酸化物膜を成膜する際に用い
るアルゴンガスの純度が高いことが好ましく、例えば露点が-70℃以下、好ましくは-
100℃以下のアルゴンガスを用いることが好ましい。
【0073】
光射出側とは反対側に設ける電極には、該発光に対して反射性を有する材料を用いる。
【0074】
光反射性を有する材料としては、例えばアルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タン
グステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料や、該
金属材料を含む合金材料を用いることができる。また、このような金属材料または合金材
料にランタンやネオジム、ゲルマニウムなどを添加してもよい。合金材料の例としては、
アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジム
の合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や、銀と銅の合金、銀とパラ
ジウムと銅の合金、銀とマグネシウムの合金などの銀を含む合金などが挙げられる。銀と
銅を含む合金は耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウムを含む膜に接して金属
膜、または金属酸化物膜を積層することで、アルミニウムを含む膜の酸化を抑制すること
ができる。アルミニウムを含む膜に接して設ける金属材料、または金属酸化物材料として
は、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。また、上記透光性を有する材料からなる膜と
金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とインジウムスズ酸化物の積層膜、
銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いることができる。
【0075】
このような電極は、蒸着法や、スパッタリング法などにより形成する。そのほか、イン
クジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、またはメッキ法を用いて形
成することができる。
【0076】
EL層182は、少なくとも発光性の有機化合物を含む層(以下、発光層ともいう)を
含めばよく、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されていてもよい。複数の層
が積層された構成としては、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、
並びに電子注入層が積層された構成を例に挙げることができる。なお、発光層を除くこれ
らの層はEL層182中に必ずしも全て設ける必要はない。また、これらの層は重複して
設けることもできる。具体的にはEL層182中に複数の発光層を重ねて設けてもよい。
また、電荷発生領域など他の構成を適宜加えることができる。また、例えば、異なる発光
色を呈する発光層を複数積層する構成としてもよい。例えば補色の関係にある2以上の発
光層を積層することにより白色発光を得ることができる。
【0077】
EL層182は、真空蒸着法、またはインクジェット法やディスペンス法などの吐出法
、スピンコート法などの塗布法、または印刷法などを用いて形成できる。
【0078】
本実施の形態では、第1の電極181として反射性を有する材料を用い、第2の電極1
83として透光性を有する材料を用いる。したがって、発光素子180は上面射出型(ト
ップエミッション型)の発光素子であり、第2の基板102側に光を射出する。
【0079】
以上が発光素子180についての説明である。
【0080】
タッチセンサ120を構成する第2の電極122は、第2の絶縁層172に接して形成
されている。また、第2の絶縁層172を覆って誘電層123が設けられ、誘電層123
を介して第2の電極122と交差する第1の電極121が設けられている。
【0081】
第1の電極121および第2の電極122としては、上述した透光性の導電性材料を用
いることができる。
【0082】
透光性を有する導電性材料を絶縁層172上にスパッタリング法により成膜した後、フ
ォトリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、第1の
電極121および第2の電極122を形成することができる。グラフェンはCVD法のほ
か、酸化グラフェンを分散した溶液を塗布した後にこれを還元して形成してもよい。
【0083】
誘電層123に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキ
サン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの
無機絶縁材料を用いることもできる。
【0084】
またタッチセンサ120を構成する第1の電極121、誘電層123および第2の電極
122を覆って、絶縁層125が設けられている。絶縁層125はタッチセンサ120の
段差を被覆し、カラーフィルタ184の厚さを均一にするための平坦化層としての機能を
有する。
【0085】
また、絶縁層125は、タッチセンサ120を構成する配線や電極と、表示装置110
に含まれる配線や電極との間に形成されてしまう寄生容量を緩和する機能も有する。絶縁
層125としては、比誘電率の低い有機材料を用いることが好ましい。また絶縁層125
の厚さを例えば1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上10μm以下の厚さとす
ると、タッチパネル100の薄型化と寄生容量の緩和を同時に実現できるため好ましい。
【0086】
絶縁層125上の発光素子180と重なる領域には、カラーフィルタ184が形成され
ている。
【0087】
カラーフィルタ184は、画素からの発光を調色し、色純度を高める目的で設けられて
いる。例えば、発光素子180として白色発光の発光素子を設ける場合には、異なる色の
カラーフィルタを設けた複数の画素を用いることで、フルカラーの表示を行うことができ
る。この場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のカラーフィルタを用いても
よいし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。また、R、G、B(及びY
)に加えて白色(W)の画素を用い、4色(又は5色)としてもよい。
【0088】
また、隣接するカラーフィルタの184の間に、ブラックマトリクス185が設けられ
ている。ブラックマトリクス185は隣接する画素から回り込む光を遮光し、隣接画素間
における混色を抑制する。ブラックマトリクス185は異なる発光色の隣接画素間にのみ
配置し、同色画素間には設けない構成としてもよい。ここで、カラーフィルタ184の端
部を、ブラックマトリクス185と重なるように設けることにより、光漏れを抑制するこ
とができる。ブラックマトリクス185は、光を遮光する材料を用いることができ、金属
材料や顔料を含む樹脂材料などを用いて形成することができる。なお、
図2(A)に示す
ようにブラックマトリクス185は駆動回路112などの表示部111以外の領域に設け
ると、導波光などによる意図しない光漏れを抑制できるため好ましい。
【0089】
図2(A)に示すように、第2の基板102側にタッチセンサ120を構成する第1の
電極121および第2の電極122を配置し、発光素子180に近い側にカラーフィルタ
184を配置する構成とすることが好ましい。そうすることで、タッチセンサ120とタ
ッチ面との距離を近づけることができタッチセンサ120の感度が向上する。さらにカラ
ーフィルタ184と発光素子180との距離を近づけることにより、発光素子180から
の発光が隣接する画素のカラーフィルタ184に回り込んでしまうことを抑制できる。
【0090】
絶縁層171と絶縁層172は、外部からの不純物の拡散を抑制する材料を用いること
が好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコ
ンなどの半導体の酸化物、窒化物または酸窒化物や、酸化アルミニウム、窒化アルミニウ
ム、酸化窒化アルミニウムなどの、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物などの無機絶
縁材料を用いることが好ましい。または、このような無機絶縁材料の積層膜、または無機
絶縁材料と有機絶縁材料の積層膜を用いてもよい。
【0091】
絶縁層171上には、配線132が設けられている。配線132上には絶縁層176と
導電層166が設けられている。導電層166は絶縁層176に設けられた開口部を介し
て、配線132と電気的に接続されている。ここで、
図2(A)では配線132はトラン
ジスタのソース電極及びドレイン電極と同一の導電膜を加工して形成され、導電層166
は発光素子180の第1の電極181と同一の導電膜を加工して形成されている例を示し
ている。また、
図1における配線131も、配線132と同様の構成とすることが好まし
い。
【0092】
また、第2の基板102側において、タッチセンサ120の電極121が上記導電層1
66と重畳する領域にまで延在して設けられ、その上面(導電層166と対向する面)は
、接着層以外の構造物が設けられていない部分を含む。また図示しないが、電極122に
ついても同様である。
【0093】
タッチセンサ120の電極121と導電層166とは、導電性粒子165によって電気
的に接続されている。導電性粒子165は、接着層151に分散するように設けられてい
る。したがって、電極121と配線132とは導電性粒子165および導電層166によ
って電気的に接続されている。また、
図1における電極122と配線131も同様に、導
電性粒子165によって電気的に接続されている。
【0094】
導電性粒子165は、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料や合金材料な
どの導電性材料で被覆したものを用いることが好ましい。金属材料としてニッケルや金を
用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、
2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。または、導電性
粒子165として、導電性材料の粒子を用いてもよい。
【0095】
電極121と導電層166とに挟持された導電性粒子165は、上下方向にかかる圧力
によって潰れた形状に変形していることが好ましい。このような構成とすることで、導電
性粒子165と電極121(または電極122)若しくは導電層166との接触面積が増
大するため、これらの接続における電気抵抗を低減することができる。なお
図2(A)に
示す断面概略図では、便宜上、導電性粒子165の断面形状として、基板と垂直な向きに
長軸を有する楕円形状に図示しているが、実際に多くの場合では、その断面形状が円形、
または基板と平行な向きに長軸成分を有する楕円形状となる。
図2(B)に、導電性粒子
165の断面が基板と平行な向きに長軸成分を有する楕円形状である一例を示す。
【0096】
基板101の外周部において、配線132の一部は接続端子156を構成している。図
2(A)では、接続端子156として、配線132の一部と、トランジスタのゲート電極
と同一の導電膜を加工して得られる導電層の積層構造とする場合を示している。このよう
に、接続端子156として複数の層の積層構造とすることで、FPC143を圧着する際
の機械的強度を高めることができる。接続端子156とFPC143とは、接続層157
を介して電気的に接続されている。接続層157としては、異方性導電フィルム(ACF
:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト
(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いる
ことができる。
【0097】
また、表示部111または駆動回路112と電気的に接続する配線144が、基板10
1の他の外周部にまで引き回されている。また基板101の外周部において配線144の
一部が、接続端子155の一部を構成している。接続端子155は、上述した接続端子1
56と同様の構成を用いることができる。接続端子155は、接続層158を介してFP
C141と電気的に接続されている。
【0098】
ここで、第1の基板101と絶縁層171とは接着層152によって接着されている。
また、第2の基板102と絶縁層172とは接着層153によって接着されている。
【0099】
接着層152および接着層153は、接着層151と同様の材料を用いることができる
。各接着層としては、熱硬化樹脂や光硬化樹脂、2液混合型の硬化性樹脂などの硬化性樹
脂を用いることができる。例えば、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結
合を有する樹脂などの樹脂を用いることができる。
【0100】
ここで、接着層151、接着層152、接着層153のうち少なくとも2つ、好ましく
は全てに、同一の材料を用いることが好ましい。これらの接着層に同一の材料を用いるこ
とで、線熱膨張係数を等しくすることが可能となり、作製工程にかかる熱や、使用時の温
度が変化した際であっても、タッチパネル100が意図せずに湾曲してしまうことを抑制
できる。またタッチパネルの安定した動作が保証される温度の範囲を広げることができる
。
【0101】
また、接着層151、接着層152、接着層153のうち少なくとも2つ、好ましくは
全部の厚さが概略等しいことが好ましい。例えば上記のうち2つの接着層の厚さのうち、
小さい方の厚さが、大きい方の厚さの50%以上、好ましくは80%以上、より好ましく
は90%以上とすればよい。
【0102】
接着層152、接着層153は、接着層151と同様に、その厚さが50nm以上10
μm以下、好ましくは50nm以上5μm以下、より好ましくは100nm以上3μm以
下の領域を有する程度に薄いことが好ましい。これら3つの接着層の厚さを薄くすること
で、タッチパネル100の厚さを薄くし、可撓性に優れたタッチパネルを実現できる。
【0103】
ここで、接着層152および接着層153のいずれか一方または両方を設けない構成と
してもよい。
図5には、接着層152および接着層153の両方を設けない場合を示して
いる。
図5では、可撓性を有する第1の基板101の上面に接して絶縁層171が設けら
れ、第2の基板102の上面に接して絶縁層172が設けられている。なお、ここでは図
2(A)に示した構成に対して接着層152および接着層153を有さない構成を示した
が、
図2(A)、
図3、
図4等に示す構成に対して接着層152または接着層153のい
ずれか一方または両方設けない構成としてもよい。
【0104】
基板102の表面には、保護層178が設けられていることが好ましい。保護層178
は、セラミックコートとも呼ぶことができ、指やスタイラスなどでタッチパネル100を
操作する際に、基板102の表面を保護する機能を有する。保護層178としては、例え
ば酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア(
YSZ)などの無機絶縁材料を用いることができる。保護層178はスパッタリング法や
ゾルゲル法等で形成することができる。特に後述するエアロゾルデポジション法を用いて
保護層178を形成すると、緻密性の高い膜を形成でき、機械的強度を高めることができ
るため好ましい。
【0105】
ここで、可撓性を有するタッチパネルを形成する方法について説明する。
【0106】
ここでは便宜上、画素や駆動回路を含む構成、カラーフィルタ等の光学部材を含む構成
またはタッチセンサを含む構成を素子層と呼ぶこととする。素子層は例えば表示素子を含
み、表示素子の他に表示素子と電気的に接続する配線、画素や回路に用いるトランジスタ
などの素子を備えていてもよい。
【0107】
またここでは、素子層が形成される絶縁表面を備える支持体のことを、基材と呼ぶこと
とする。
【0108】
可撓性を有する絶縁表面を備える基材上に素子層を形成する方法としては、基材上に直
接素子層を形成する方法と、基材とは異なる剛性を有する支持基材上に素子層を形成した
後、素子層と支持基材とを剥離して素子層を基材に転置する方法と、がある。
【0109】
基材を構成する材料が、素子層の形成工程にかかる熱に対して耐熱性を有する場合には
、基材上に直接素子層を形成すると、工程が簡略化されるため好ましい。このとき、基材
を支持基材に固定した状態で素子層を形成すると、装置内、及び装置間における搬送が容
易になるため好ましい。
【0110】
また、素子層を支持基材上に形成した後に、基材に転置する方法を用いる場合、まず支
持基材上に剥離層と絶縁層を積層し、当該絶縁層上に素子層を形成する。続いて、支持基
材と素子層を剥離し、基材に転置する。このとき、支持基材と剥離層の界面、剥離層と絶
縁層の界面、または剥離層中で剥離が生じるような材料を選択すればよい。
【0111】
例えば剥離層としてタングステンなどの高融点金属材料を含む層と当該金属材料の酸化
物を含む層を積層して用い、剥離層上に絶縁層として窒化シリコン層や酸窒化シリコン層
を複数積層した層を用いることが好ましい。高融点金属材料を用いると、素子層の形成工
程の自由度が高まるためこのましい。
【0112】
剥離は、機械的な力を加えることや、剥離層をエッチングすること、または剥離界面の
一部に液体を滴下して剥離界面全体に浸透させることなどにより剥離を行ってもよい。ま
たは、熱膨張の違いを利用して剥離界面に熱を加えることにより剥離を行ってもよい。
【0113】
また、支持基材と絶縁層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。
例えば、支持基材としてガラスを用い、絶縁層としてポリイミドなどの有機樹脂を用いて
、有機樹脂の一部をレーザ光等を用いて局所的に加熱することにより剥離の起点を形成し
、ガラスと絶縁層の界面で剥離を行ってもよい。または、支持基材と有機樹脂からなる絶
縁層の間に金属層を設け、当該金属層に電流を流して当該金属層を加熱することにより、
当該金属層と絶縁層の界面で剥離を行ってもよい。このとき、有機樹脂からなる絶縁層は
基材として用いることができる。
【0114】
可撓性を有する基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
エチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエ
ーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン
樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。特に、線熱膨張係数
の低い材料を用いることが好ましく、例えば、線熱膨張係数が30ppm/K以下である
ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、
繊維体に樹脂を含浸した基板(プリプレグとも記す)や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜ
て線熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。
【0115】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強
度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のこ
とを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリア
ミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラ
ス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布
または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を可撓
性を有する基板として用いても良い。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる
構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好まし
い。
【0116】
本発明の一態様のタッチパネル100は、可撓性を有する一対の基板の間に表示装置1
10とタッチセンサ120を備える構成を有する。したがって、表示装置110とタッチ
センサ120をタッチパネル100の厚さ方向における中央部に配置することが可能とな
る。その結果、タッチパネル100を湾曲させたときに発生する曲げ応力の影響が表示装
置110やタッチセンサ120に及ぶことが抑制されるため、湾曲に伴う破損などの不具
合を抑制し、信頼性の高いタッチパネル100を実現できる。
【0117】
さらに、本発明の一態様のタッチパネル100は、タッチセンサ120の配線とFPC
とを接続する端子を、表示装置110が設けられている基板側に配置する構成を有する。
さらに当該端子をタッチパネルの外周部の表示装置110の駆動回路が設けられている領
域とは異なる領域に配置することで、FPCを配置する位置の自由度を高めることができ
る。
【0118】
なお、FPC141、FPC142およびFPC143の位置は
図1に示した構成に限
られず、タッチパネル100を組み込む電子機器等の筐体の形状や仕様に合わせて適宜変
更すればよい。例えば、
図6(A)に示すように、配線131と電気的に接続するFPC
142を、FPC143が設けられる側に配置する構成としてもよい。また、
図6(A)
ではFPC142とFPC143を個別に設ける構成としたが、例えば
図6(B)に示す
ように、これらを一つのFPC140で共通化してもよい。また、図示しないが、FPC
142およびFPC143を、第1の基板101のFPC141が設けられる側に配置し
てもよい。
【0119】
なお、本発明の一態様の表示装置は、画素に能動素子を有するアクティブマトリクス方
式、または、画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式を用いることができる。
【0120】
アクティブマトリクス方式では、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)として、ト
ランジスタだけでなく、さまざまな能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いるこ
とができる。例えば、MIM(Metal Insulator Metal)、又はT
FD(Thin Film Diode)などを用いることも可能である。これらの素子
は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる
。または、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上させることができ
、低消費電力化や高輝度化をはかることができる。
【0121】
アクティブマトリクス方式以外のものとして、能動素子(アクティブ素子、非線形素子
)を用いないパッシブマトリクス型を用いることも可能である。能動素子(アクティブ素
子、非線形素子)を用いないため、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留
まりの向上を図ることができる。または、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用
いないため、開口率を向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図るこ
とができる。
【0122】
[変形例]
以下では、上記とは一部の構成が異なるタッチパネルの構成について説明する。なお、
上記と重複する部分については説明を省略し、主な相違点についてのみ説明する。
【0123】
図7(A)に、以下で例示するタッチパネルの断面概略図を示す。
【0124】
図7(A)に示す構成は、ボトムエミッション型の発光素子を備える点、およびタッチ
センサの位置が異なる点で、
図2(A)で例示した構成と主に相違している。
【0125】
第1の基板101上には、接着層192を介して絶縁層172が設けられ、絶縁層17
2の上部にタッチセンサ120を構成する電極121、電極122および誘電層123等
が設けられている。また、電極121、電極122および誘電層123等は接着層191
を介して絶縁層171の下方に設けられている。換言すると、
図7(A)に示すタッチパ
ネルは、タッチセンサ120が表示装置110と第1の基板101の間に設けられた構成
を有している。
【0126】
また、
図7(A)における発光素子180は、ボトムエミッション型の発光素子が適用
される。すなわち、発光素子180からの発光は、第1の基板101側に取り出される。
カラーフィルタ184は発光素子180よりも第1の基板101側に配置される。
図7(
A)では、トランジスタを覆う無機絶縁層と絶縁層176との間に配置された例を示して
いる。なお、トランジスタや配線を覆ってブラックマトリクスを設けてもよい。
【0127】
第1の基板101には、タッチセンサ120の電極121とFPC143(または電極
122とFPC142)との接続端子156が設けられている。接続端子156が設けら
れる領域では、接着層191および接着層191よりも上部の構造物を有さず、少なくと
も接続端子156の上面の一部が露出する。
図7(A)に示すように第1の基板101は
、少なくとも接続端子156が設けられる方向に対して第2の基板102よりも外側に延
伸していることが好ましい。
【0128】
また、第2の基板102の下面(発光素子180側の面)には、絶縁層173を設ける
ことが好ましい。絶縁層173としては、絶縁層171や絶縁層172と同様の無機絶縁
材料を用いることが好ましい。
【0129】
第1の基板101側が表示面および操作面となるため、第1の基板101の表面には保
護層178を設けることが好ましい。
【0130】
また、
図7(B)に示すように、第1の基板101と絶縁層172との間の接着層19
2を設けない構成とし、第1の基板101の上面に絶縁層172を直接形成する構成とし
てもよい。
【0131】
接着層191および接着層192は、上述の接着層152または接着層153と同様の
構成とすればよい。
【0132】
なお、トランジスタやその周辺の構成は、
図7に示した構成に限られず、
図2乃至
図4
に示したトランジスタの構成など、上記に記載したトランジスタの構造やその周辺の絶縁
層等の積層構造を援用できる。
【0133】
以上が変形例についての説明である。
【0134】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0135】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルの駆動方法の例について、図面を参
照して説明する。
【0136】
[センサの検知方法の例]
図8(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。
図8(A
)では、パルス電圧出力回路501、電流検出回路502を示している。なお
図8(A)
では、パルス電圧が与えられる電極121、電流の変化を検知する電極122をそれぞれ
、X1-X6、Y1-Y6のそれぞれ6本の配線として示している。また
図8(A)は、
電極121および電極122が重畳することで形成される容量503を図示している。な
お、電極121と電極122とはその機能を互いに置き換えてもよい。
【0137】
パルス電圧出力回路501は、X1-X6の配線に順にパルス電圧を印加するための回
路である。X1-X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量503を形成する電
極121と電極122の間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量
503の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または接触を検
出することができる。
【0138】
電流検出回路502は、容量503での相互容量の変化による、Y1乃至Y6の配線で
の電流の変化を検出するための回路である。Y1乃至Y6の配線では、被検知体の近接、
または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または
接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検
出は、積分回路等を用いて行えばよい。
【0139】
なお、上記実施の形態1において、パルス電圧出力回路501および電流検出回路50
2のいずれか一方、または両方を、第1の基板101上に形成してもよい。例えば、表示
部111や駆動回路112と同時に形成すると、工程を簡略化できることに加え、タッチ
パネル100を適用する電子機器の部品数を削減することができるため好ましい。また、
パルス電圧出力回路501および電流検出回路502のいずれか一方、または両方を、タ
ッチセンサ120と電気的に接続するFPC(FPC142、FPC143(またはFP
C140))にCOF方式により実装してもよい。
【0140】
特に、第1の基板101上に形成されるトランジスタとして、チャネルが形成される半
導体層に多結晶シリコンや単結晶シリコンなどの結晶性シリコンを用いると、パルス電圧
出力回路501や電流検出回路502等の回路の駆動能力が向上し、タッチセンサの感度
を向上させることができる。
【0141】
次いで
図8(B)には、
図8(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力
波形のタイミングチャートを示す。
図8(B)では、1フレーム期間で各行列での被検知
体の検出を行うものとする。また
図8(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ
)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なおY1-
Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示している。
【0142】
X1-X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1-
Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1-X6
の配線の電圧の変化に応じてY1-Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接
または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化す
る。
【0143】
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知
することができる。
【0144】
また、
図8(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量503のみを設けるパッ
シブマトリクス方式のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを備えたア
クティブマトリクス方式のタッチセンサとしてもよい。
図9にアクティブマトリクス方式
のタッチセンサに含まれる一つのセンサ回路の例を示している。
【0145】
センサ回路は容量503と、トランジスタ511と、トランジスタ512と、トランジ
スタ513とを有する。トランジスタ513はゲートに信号G2が与えられ、ソース又は
ドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量503の一方の電極およびトラン
ジスタ511のゲートと電気的に接続する。トランジスタ511はソース又はドレインの
一方がトランジスタ512のソース又はドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧V
SSが与えられる。トランジスタ512はゲートに信号G1が与えられ、ソース又はドレ
インの他方が配線MLと電気的に接続する。容量503の他方の電極には電圧VSSが与
えられる。
【0146】
続いて、センサ回路の動作について説明する。まず信号G2としてトランジスタ513
をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ511のゲートが接続されるノ
ードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次いで信号G2としてトランジスタ
513をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
【0147】
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量503の相互容量が変化するこ
とに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
【0148】
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ512をオン状態とする電位を与える。ノー
ドnの電位に応じてトランジスタ511に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が
変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出することが
できる。
【0149】
トランジスタ511、トランジスタ512、トランジスタ513としては、チャネルが
形成される半導体層に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることが好ましい。特
にトランジスタ513のチャネルを形成する半導体層に酸化物半導体を適用することによ
り、ノードnの電位を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを
供給しなおす動作(リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
【0150】
[表示装置の駆動方法例]
図10(A)は、一例として表示装置の構成を示すブロック図である。
図10(A)で
はゲート駆動回路GD、ソース駆動回路SD、画素pixを示している。なお
図10(A
)では、ゲート駆動回路GDに電気的に接続されるゲート線x_1乃至x_m(mは自然
数)、ソース駆動回路SDに電気的に接続されるソース線y_1乃至y_n(nは自然数
)に対応して、画素pixではそれぞれに(1,1)乃至(n,m)の符号を付している
。
【0151】
次いで
図10(B)は、
図10(A)で示す表示装置におけるゲート線およびソース線
に与える信号のタイミングチャート図である。
図10(B)では、1フレーム期間ごとに
データ信号を書き換える場合と、データ信号を書き換えない場合と、に分けて示している
。なお
図10(B)では、帰線期間等の期間を考慮していない。
【0152】
1フレーム期間ごとにデータ信号を書き換える場合、x_1乃至x_mのゲート線には
、順に走査信号が与えられる。走査信号がHレベルの期間である水平走査期間1Hでは、
各列のソース線y_1乃至y_nにデータ信号Dが与えられる。
【0153】
1フレーム期間ごとにデータ信号を書き換えない場合、ゲート線x_1乃至x_mに与
える走査信号を停止する。また水平走査期間1Hでは、各列のソース線y_1乃至y_n
に与えるデータ信号を停止する。
【0154】
1フレーム期間ごとにデータ信号を書き換えない駆動方法は特に、画素が有するトラン
ジスタとしてチャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を適用する場合に有効である
。酸化物半導体が適用されたトランジスタはシリコン等の半導体が適用されたトランジス
タに比べて極めてオフ電流を小さくすることが可能である。そのため、1フレーム期間ご
とにデータ信号の書き換えを行わずに前の期間に書き込んだデータ信号を保持させること
ができ、例えば1秒以上、好ましくは5秒以上に亘って画素の階調を保持することもでき
る。
【0155】
また、画素が有するトランジスタとしてチャネルが形成される半導体層に多結晶シリコ
ンを適用する場合には、画素が有する保持容量の大きさをあらかじめ大きくしておくこと
が好ましい。保持容量が大きいほど、画素の階調を長時間に亘って保持することができる
。保持容量の大きさは、保持容量に電気的に接続するトランジスタや表示素子のリーク電
流に応じて設定すればよいが、例えば、1画素あたりの保持容量を5fF以上5pF以下
、好ましくは10fF以上5pF以下、より好ましくは20fF以上1pF以下とすると
、1フレーム期間ごとにデータ信号の書き換えを行わずに前の期間に書き込んだデータ信
号を保持させることができ、例えば数フレームまたは数10フレームの期間に亘って画素
の階調を保持することが可能となる。
【0156】
[表示装置とタッチセンサの駆動方法の例]
図11(A)乃至(D)は、一例として
図8(A)、(B)で説明したタッチセンサと
、
図10(A)、(B)で説明した表示装置とを1sec.(1秒間)駆動する場合に、
連続するフレーム期間の動作について説明する図である。なお
図11(A)では、表示装
置の1フレーム期間を16.7ms(フレーム周波数:60Hz)、タッチセンサの1フ
レーム期間を16.7ms(フレーム周波数:60Hz)とした場合について示している
。
【0157】
本実施の形態におけるタッチパネルは、表示装置とタッチセンサの動作は互いに独立し
ており、表示期間と平行してタッチ検知期間とすることができる。そのため
図11(A)
に示すように、表示装置およびタッチセンサの1フレーム期間を共に16.7ms(フレ
ーム周波数:60Hz)と設定することができる。タッチセンサと表示装置のフレーム周
波数を異ならせてもよい。例えば
図11(B)に示すように、表示装置の1フレーム期間
を8.3ms(フレーム周波数:120Hz)と設定し、タッチセンサの1フレーム期間
を16.7ms(フレーム周波数:60Hz)とすることもできる。また、図示しないが
、表示装置のフレーム周波数を33.3ms(フレーム周波数:30Hz)としてもよい
。
【0158】
また表示装置のフレーム周波数を切り替え可能な構成とし、動画像の表示の際にはフレ
ーム周波数を大きく(例えば60Hz以上または120Hz以上)し、静止画像の表示の
際にはフレーム周波数を小さく(例えば60Hz以下、30Hz以下、または1Hz以下
)することで、表示装置の消費電力を抑えることができる。またタッチセンサのフレーム
周波数を切り替え可能な構成とし、待機時と、タッチを感知した時とでフレーム周波数を
異ならせてもよい。
【0159】
また本実施の形態におけるタッチパネルは、表示装置におけるデータ信号の書き換えを
行わずに、前の期間に書き換えたデータ信号を保持することで、表示装置の1フレーム期
間を16.7msよりも長い期間とすることができる。そのため、
図11(C)に示すよ
うに、表示装置の1フレーム期間を1sec.(フレーム周波数:1Hz)と設定し、タ
ッチセンサの1フレーム期間を16.7ms(フレーム周波数:60Hz)とすることも
できる。
【0160】
また、本実施の形態におけるタッチパネルは、
図11(C)に示す駆動を行う場合、継
続してタッチセンサの駆動を行うことができる。そのため、
図11(D)に示すようにタ
ッチセンサにおける被検知体の近接または接触を検知したタイミングで、表示装置のデー
タ信号を書き換えることもできる。
【0161】
ここで、タッチセンサのセンシング期間に表示装置のデータ信号の書き換え動作を行う
と、表示装置を駆動させるときのノイズがタッチセンサに伝わることで、タッチセンサの
感度を低下させてしまう恐れがある。したがって特に、表示装置のデータ信号の書き換え
期間と、タッチセンサのセンシング期間とをずらすように駆動することが好ましい。
【0162】
図12(A)では、表示装置のデータ信号の書き換えと、タッチセンサのセンシングと
を交互に行う例を示している。また、
図12(B)では、表示装置のデータ信号の書き換
え動作を2回行うごとに、タッチセンサのセンシングを1回行う例を示している。なお、
これに限られず3回以上の書き換え動作を行うごとにタッチセンサのセンシングを1回行
う構成としてもよい。
【0163】
また、表示装置の画素に適用されるトランジスタが、チャネルが形成される半導体層に
酸化物半導体を用いる場合、オフ電流を極めて低減することが可能なため、データ信号の
書き換えの頻度を十分に低減することができる。具体的には、データ信号の書き換えを行
った後、次にデータ信号を書き換えるまでの間に、十分に長い休止期間を設けることが可
能となる。休止期間は、例えば0.5秒以上、1秒以上、または5秒以上とすることがで
きる。休止期間の上限は、トランジスタに接続される容量や表示素子等のリーク電流によ
って制限されるが、例えば1分以下、10分以下、1時間以下、または1日以下程度とす
ることができる。
【0164】
図12(C)では、5秒間に1度の頻度で表示装置のデータ信号の書き換えを行う例を
示している。
図12(C)では表示装置はデータ信号を書き換えたのち、次のデータ信号
の書き換え動作までの期間は動作を停止する休止期間が設けられている。休止期間では、
タッチセンサがフレーム周波数iHz(iは表示装置のフレーム周波数以上、ここでは0
.2Hz以上)で駆動することができる。また
図12(C)に示すように、タッチセンサ
のセンシングを休止期間に行い、表示装置のデータ信号の書き換え期間には行わないよう
にすると、タッチセンサの感度を向上させることができ好ましい。また、
図12(D)に
示すように、表示装置のデータ信号の書き換えとタッチセンサのセンシングを同時に行う
と、駆動のための信号を簡略化することができる。
【0165】
また、表示装置のデータ信号の書き換え動作を行わない休止期間では、駆動回路への信
号のみの供給を停止してもよいし、これに加えて電源電位の供給も停止することで、より
消費電力を低減することができる。
【0166】
実施の形態1で示したように、本発明の一態様のタッチパネルは、可撓性を有する2つ
の基板に表示装置とタッチセンサが挟持された構成を有し、表示装置とタッチセンサの距
離を極めて近づけることができる。このとき、表示装置の駆動時のノイズがタッチセンサ
に伝搬しやすくなり、タッチセンサの感度が低下してしまう恐れがあるが、本実施の形態
で例示した駆動方法を適用することで、薄型化と高い検出感度を両立したタッチパネルを
実現できる。
【0167】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルの構成と、駆動方法の一例について
、図面を参照して説明する。
【0168】
[タッチパネルの構成]
図13は、以下で例示するタッチパネルの構成例を示すブロック図である。
図13に示
すように、タッチパネル80は表示装置800、制御回路810、カウンタ回路820、
タッチセンサ850を有する。
【0169】
タッチパネル80には、デジタルデータである画像信号(Video)、および表示装
置800の画面の書き換えを制御するための同期信号(SYNC)が入力される。同期信
号としては、例えば水平同期信号(Hsync)、垂直同期信号(Vsync)、および
基準クロック信号(CLK)等がある。
【0170】
表示装置800は、表示部801、ゲートドライバ802、およびソースドライバ80
3を有する。表示部801は、複数の画素PIXを有する。同じ行の画素PIXは、共通
のゲート線L_Xによりゲートドライバ802に接続され、同じ列の画素PIXは共通の
ソース線L_Yによりソースドライバ803に接続されている。
【0171】
表示装置800には、ハイレベル電位(VH)、ローレベル電位(VL)、並びに電源
電位として高電源電位(VDD)および低電源電位(VSS)が供給される。ハイレベル
電位(VH)は、配線L_Hを介して、表示部801の各画素PIXに供給される。また
、ローレベル電位(VL)は、配線L_Lを介して、表示部801の各画素PIXに供給
される。
【0172】
ソースドライバ803は、入力された画像信号を処理し、データ信号を生成し、ソース
線L_Yにデータ信号を出力する。ゲートドライバ802は、データ信号が書き込まれる
画素PIXを選択する走査信号をゲート線L_Xに出力する。
【0173】
画素PIXは、走査信号により、ソース線L_Yとの電気的接続が制御されるスイッチ
ング素子を有する。スイッチング素子がオンとなると、ソース線L_Yから画素PIXに
データ信号が書き込まれる。
【0174】
制御回路810は、タッチパネル80全体を制御する回路であり、タッチパネル80を
構成する回路の制御信号を生成する回路を備える。
【0175】
制御回路810は、同期信号(SYNC)から、ゲートドライバ802およびソースド
ライバ803の制御信号を生成する制御信号生成回路を有する。ゲートドライバ802の
制御信号として、スタートパルス(GSP)、クロック信号(GCLK)等があり、ソー
スドライバ803の制御信号として、スタートパルス(SSP)、クロック信号(SCL
K)等がある。例えば、制御回路810は、クロック信号(GCLK、SCLK)として
、周期が同じで位相がシフトされた複数のクロック信号を生成する。
【0176】
また、制御回路810は、タッチパネル80外部から入力される画像信号(Video
)のソースドライバ803への出力を制御する。
【0177】
また、制御回路810は、タッチセンサ850から入力されるセンサ信号(S_tou
ch)が入力され、該センサ信号に応じた画像信号への補正を行う。画像信号の補正は、
センサ信号に応じて異なるが、タッチに応じた画像処理を施すことになる。
【0178】
ソースドライバ803は、デジタル/アナログ変換回路804(以下、D-A変換回路
804と呼ぶ。)を有する。D-A変換回路804は、画像信号をアナログ変換し、デー
タ信号を生成する。
【0179】
なお、タッチパネル80に入力される画像信号がアナログ信号である場合は、制御回路
810でデジタル信号に変換し、表示装置800へ出力する。
【0180】
画像信号は、フレーム毎の画像データでなる。制御回路810は、画像データを画像処
理し、その処理で得られた情報を元に、ソースドライバ803への画像信号の出力を制御
する機能を有する。そのため、制御回路810は、画像データを画像処理して、フレーム
毎の画像データから動きを検出する動き検出部811を備える。またセンサ信号が入力さ
れる場合は、センサ信号に従って画像データを元にした画像信号の補正を行うことになる
。
【0181】
動き検出部811において、動きがあると判定されると、制御回路810はソースドラ
イバ803への画像信号の出力を継続する。逆に、動きが無いと判定されると、制御回路
810はソースドライバ803への画像信号の出力を停止する。また再度、動きが有ると
判定すると画像信号の出力を再開する。
【0182】
制御回路810は、動き検出部811の判定によって、動きのある画像の表示(動画表
示)を行うための第1のモードと、動きのない画像の表示(静止画表示)を行うための第
2のモードを切り替えて、表示部801の表示を制御することができる。第1のモードは
、例えば垂直同期信号(Vsync)が60Hzとすると、フレーム周波数を60Hz以
上とするモードである。また第2のモードは、例えば垂直同期信号(Vsync)が60
Hzとすると、フレーム周波数を60Hz未満とするモードである。
【0183】
第2のモードにおいて、設定するフレーム周波数は、画素の電圧保持特性に応じて予め
設定することが好ましい。例えば、動き検出部811において一定期間動きが無いと判定
され、ソースドライバ803への画像信号の出力を停止する場合、画素PIXに書き込ん
だ画像信号の階調に対応する電圧が低下することになる。そのため、同一画像の画像信号
の階調に対応する電圧を、フレーム周波数の周期毎に書き込みを行う(リフレッシュする
ともいう)ことが望ましい。このリフレッシュするタイミング(リフレッシュレートとも
いう)は、例えばカウンタ回路820において垂直同期信号(Vsync)のHレベルを
カウントして得られる信号をもとに、一定期間毎に行う構成とすればよい。
【0184】
カウンタ回路820でリフレッシュレートを1秒間に1回の頻度とする場合、垂直同期
信号(Vsync)の周波数が60Hzであるとすると、垂直同期信号(Vsync)の
Hレベルを60回カウントして得られるカウント信号(Count)をもとに、リフレッ
シュを行えばよい。リフレッシュレートを5秒間に1回の頻度とする場合、垂直同期信号
(Vsync)の周波数が60Hzであるとすると、垂直同期信号(Vsync)のHレ
ベルを300回カウントして得られるカウント信号(Count)をもとに、リフレッシ
ュを行えばよい。またカウンタ回路820は、タッチセンサ850から入力されるセンサ
信号が入力される場合、該センサ信号に応じて強制的に第2のモードから第1のモードに
切り換える構成としてもよい。
【0185】
なお、動き検出部811で行う動き検出のための画像処理としては、特段の制約は無い
。例えば、動き検出方法としては、例えば、連続する2つフレーム間の画像データから差
分データを得る方法がある。得られた差分データから動きの有無を判断することができる
。また、動きベクトルを検出する方法等もある。
【0186】
タッチセンサ850は、上記実施の形態で説明した動作及び構造を適用することができ
る。
【0187】
本実施の形態における表示装置の動作と、タッチセンサ850の動作は互いに独立して
行うことができるため、表示期間と平行してタッチ感知期間と設けることができる。その
ため、制御回路810で第1のモード又は第2のモードを切り換える構成であっても、タ
ッチセンサの動作を独立して制御可能である。また、表示装置800とタッチセンサ85
0の動作を同期させ、表示装置800のデータ信号の書き換え動作とタッチセンサ850
のセンシング動作を異なる期間に行うことでセンシングの感度を高めることができる。
【0188】
[画素の構成例]
図14(A)は、画素PIXの構成例を示す回路図である。画素PIXはトランジスタ
TR1、トランジスタTR2、発光素子EL、容量素子CAPを有する。
【0189】
トランジスタTR1はソース線L_YとトランジスタTR2のゲートとの電気的な接続
を制御するスイッチング素子として機能し、トランジスタTR1のゲートに入力される走
査信号によりオン、オフが制御される。トランジスタTR2は、発光素子ELに流す電流
を制御するためのスイッチング素子として機能する。
【0190】
なお、トランジスタTR1、トランジスタTR2には、チャネルが形成される半導体層
に酸化物半導体、または多結晶シリコンを適用することが好ましい。
【0191】
発光素子ELは、2つの電極間に発光性の有機化合物を含むEL層を挟持する。これら
2つの電極間に流れる電流により、発光素子から発する発光の輝度が変化する。発光素子
の一方の電極は配線L_Lからローレベル電位が与えられ、他方の電極にはトランジスタ
TR2を介して配線L_Hからハイレベル電位が与えられる。
【0192】
容量素子CAPは、トランジスタTR2のゲートの電位を保持する機能を有する。
【0193】
図14(B)は、液晶素子を備える画素PIXの例である。画素PIXは、トランジス
タTR、液晶素子LC、容量素子CAPを有する。
【0194】
トランジスタTRは、液晶素子LCの一方の電極とソース線L_Yとの電気的接続を制
御するスイッチング素子であり、そのゲートから入力される走査信号によりオン、オフが
制御される。
【0195】
なお、トランジスタTRには、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体、または
多結晶シリコンを適用することが好ましい。
【0196】
液晶素子LCは、2つの電極と液晶を有する。液晶は、これら2つの電極間の電界の作
用により配向が変化する。液晶素子LCの2つの電極のうち、トランジスタTRを介して
ソース線L_Yに接続されている一方の電極が画素電極に相当し、Vcomが印加される
コモン線L_comに接続されている他方の電極がコモン電極に相当する。
【0197】
容量素子CAPは、液晶素子LCと並列に接続される。この場合、容量素子の一方の電
極はトランジスタTRのソース又はドレインと接続され、容量素子の他方の電極は容量線
電圧が印加される容量線L_capと接続されている。
【0198】
なお、ここでは、表示素子として、液晶素子LCや、発光素子ELを用いた場合の例を
示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。
【0199】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光
素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々
な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置の一例として
は、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機E
L素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDな
ど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、
電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプ
レイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表
示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シ
ャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレ
ーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、
エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブ、
など、電気磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示
媒体を有するものがある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイ
などがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションデ
ィスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-c
onduction Electron-emitter Display)などがある
。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレ
イ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投
射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク又は電気泳動素子を用いた表示装置の一
例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶デ
ィスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機
能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム
、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMな
どの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減すること
ができる。
【0200】
[タッチパネルの駆動方法例]
以下、
図15に示すタイミングチャートを用いて、動画表示を行う第1のモードと、静
止画表示を行う第2のモードによる表示を行うタッチパネル80の動作を説明する。
図1
5には、垂直同期信号(Vsync)、およびソースドライバ803からソース線L_Y
に出力されるデータ信号(Vdata)の信号波形を示す。
【0201】
図15は一例として、動画表示、次いで静止画表示、そして再度動画表示を行う場合の
タッチパネル80のタイミングチャートである。ここでは、1フレーム目からkフレーム
目までの画像データには動きがあるとする。次いで(k+1)フレーム目から(k+3)
フレーム目まで画像データには動きが無いとする。次いで(k+4)フレーム目以降の画
像データには動きがあるとする。なお、kは2以上の整数である。
【0202】
最初の動画表示期間では、動き検出部811において、各フレームの画像データに動き
があると判定される。従ってタッチパネル80は、第1のモードで動作する。制御回路8
10では、フレーム周波数を垂直同期信号の周波数以上、ここではフレーム周波数f1と
して、画像信号(Video)をソースドライバ803に出力する。そしてソースドライ
バ803は、データ信号(Vdata)のソース線L_Yへの出力を連続的に行うものと
する。なお動画表示期間での1フレーム期間の長さは、1/f1(秒)で表される。
【0203】
次いで静止画表示期間では、動き検出部811において、動き検出のための画像処理を
行い、第k+1フレーム目の画像データに動きが無いと判定する。従ってタッチパネル8
0は、第2のモードで動作する。制御回路810では、フレーム周波数を垂直同期信号の
周波数未満、ここではフレーム周波数f2として、ソースドライバ803に出力する。そ
してソースドライバ803は、データ信号(Vdata)のソース線L_Yへの出力を間
欠的に行うものとする。なお静止画表示期間での1フレーム期間の長さは、1/f2(秒
)で表される。
【0204】
ソースドライバ803がデータ信号(Vdata)の出力を間欠的に行うことができる
ため、ゲートドライバ802およびソースドライバ803への制御信号(スタートパルス
信号、クロック信号等)の供給も併せて間欠的に行えばよく、定期的にゲートドライバ8
02およびソースドライバ803を停止することができる。
【0205】
第2のモードにおける間欠的なソース線L_Yへのデータ信号(Vdata)の出力に
ついて、具体的に説明する。一例としては、
図15に示すように、第(k+1)フレーム
目になると、制御回路810は、ゲートドライバ802およびソースドライバ803へ制
御信号を出力し、フレーム周波数をf
2としてソースドライバ803へ画像信号Vide
oを出力する。ソースドライバ803は、前の期間に書き込んだデータ信号、すなわち第
kフレーム目においてソース線L_Yに出力されたデータ信号(k_data)をソース
線L_Yに出力する。このようにして静止画表示期間では、前の期間に書き込んだデータ
信号(k_data)が、期間1/f
2(秒)毎に、ソース線L_Yに繰り返し書き込ま
れる。そのため、同一画像の画像信号の階調に対応する電圧をリフレッシュすることがで
きる。定期的にリフレッシュをすることで、電圧が低下して起こる階調のずれに起因する
ちらつき(フリッカー)を低減でき、表示品位の向上したタッチパネルとすることができ
る。
【0206】
そして制御回路810では、動き検出部811で、画像データに動きがあるとの判定結
果、又はセンサ信号の入力が得られるまで、第2のモードで動作する。
【0207】
そして、動き検出部811において、第(k+4)フレーム目以降の画像データに動き
があると判定すると、タッチパネル80は再び第1のモードで動作する。制御回路810
では、フレーム周波数を垂直同期信号の周波数以上、ここではフレーム周波数f1として
、画像信号(Video)をソースドライバ803に出力する。そしてソースドライバ8
03は、データ信号(Vdata)のソース線L_Yへの出力を連続的に行うものとする
。
【0208】
実施の形態1で示したように、本発明の一態様のタッチパネルは、可撓性を有する2つ
の基板に表示装置とタッチセンサが挟持された構成を有し、表示装置とタッチセンサの距
離を極めて近づけることができる。このとき、表示装置の駆動時のノイズがタッチセンサ
に伝搬しやすくなり、タッチセンサの感度が低下してしまう恐れがあるが、本実施の形態
で例示した駆動方法を適用することで、薄型化と高い検出感度を両立したタッチパネルを
実現できる。
【0209】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0210】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上述したタッチパネル等の部材表面に保護膜などをエアロゾルデポ
ジション法により成膜する例を以下に示す。
【0211】
エアロゾルデポジション(AD)法は、基板を加熱することなく成膜を行う方法である
。エアロゾルとは、ガス中に分散している微粒子を指している。
【0212】
図16(A)にエアロゾルによる成膜を行うための成膜装置の断面構造の一例を示す。
【0213】
成膜装置は、チャンバー53と、チャンバー53内に設置された、被成膜物(例えば基
板60など)を保持するステージ59と、チャンバー53内を真空排気させるポンプ(メ
カニカルブースターポンプ、ロータリポンプなど)などの排気装置55と、吹き付け手段
(ノズル56など)と、吹き付け手段と供給ラインを介して接続される原料容器63と、
キャリアガスを導入するためのガスラインと、ガスタンク51とを少なくとも有している
。
【0214】
まず、原料容器63内の原料粉末に対して、振動機62によって振動(超音波など)を
加えて加熱することで原料容器63内の水分を除去し、その水分は、排気ラインを介して
排気装置54によって排気する。
【0215】
次に原料容器63内にガスラインを介してキャリアガスを導入して原料粉末をエアロゾ
ル化させる。キャリアガスとしては乾燥空気、酸素、不活性ガス(窒素、ヘリウムガス、
アルゴンガスなど)を用い、キャリアガスの流量は、流量計52によって調節することが
できる。
【0216】
排気装置55によって減圧されたチャンバー53内で無機材料の微粒子(50nm以上
500nm以下)を含むエアロゾルをノズル56から噴出させ、基板60に吹き付けて微
粒子を衝突させることによりエアロゾルを固化させて、基板60の表面に無機材料層を形
成することができる成膜方法をAD法と呼ぶ。ノズル56から噴出させるエアロゾルが所
定の入射角θ(θ=0°以上90°以下)を持って被成膜物(例えば基板60など)に衝
突されるように、被成膜物(例えば基板60など)とノズル56の位置は、適宜設置され
る。入射角は、大きくなると、微粒子が基板60の表面へ衝突する場合の衝撃力は大きく
なる傾向にある。一方、入射角が小さくなると、微粒子の基板60の表面に対する衝撃力
を含めた力学的作用が小さくなる。用いる微粒子の材料によっても被成膜物(例えば基板
60など)に対するエアロゾルの噴出させる最適な入射角θは異なる場合もあるため、こ
の入射角θを適宜設定することは重要である。
【0217】
図16(A)の装置では、入射角θを角度調節手段61によって固定する例を示してい
るが特に限定されない。ノズルを固定し、ステージ59の角度を適宜変更できるような装
置構成としてもよい。
【0218】
また、ノズル56の先端部分の拡大した斜視図を
図16(B)に示す。ここでは幅の広
いノズル口57を図示しているが、特に限定されず、複数のノズル口を有しているノズル
を用いてもよい。
【0219】
また、ノズル56と基板60の間に開口を有するマスクを設置して選択的に成膜するこ
とも可能である。また、ステージ59をX方向またはY方向に移動させる駆動装置58に
よって、基板60をX方向またはY方向に移動させて広い面積に成膜を行うこともできる
。
【0220】
AD法で用いる微粒子の材料としては、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、窒化ア
ルミニウム、炭化シリコン、窒化シリコン、酸化チタンなどの無機材料が挙げられる。
【0221】
エアロゾルデポジション(AD)法を用いることによって樹脂基板や、有機材料層の表
面に室温などの低温で成膜ができる。エアロゾルデポジション(AD)法では、微粒子が
基板表面に衝突した後、微粒子は塑性変形し、場合によっては破砕されて基板上に押し付
けられて微粒子が付着し、この現象が繰りかえされることで膜が成長する。
【0222】
本実施の形態では、例えばエアロゾルデポジション法によって形成された膜をタッチパ
ネル100におけるタッチセンサ側の基板の表面に適用される保護層178等に用いるこ
とができる。例えば、アラミドフィルム上にエアロゾルデポジション法によって膜厚10
0nm以上200nm以下の酸化アルミニウム膜を形成し、保護層178とする。エアロ
ゾルデポジション法によって得られる膜は緻密であり、成膜と同時にフィルム表面に微細
な凹凸を与え、密着力の強い保護膜を実現することができる。
【0223】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルを適用して作製できる電子機器につ
いて、
図17及び
図18を用いて説明する。
【0224】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機とも
いう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタ
ルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、
携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0225】
また、本発明の一態様の装置は可撓性を有するため、家屋やビルの内壁もしくは外壁、
又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0226】
図17(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体740
1に組み込まれた表示部7402のほか、操作ボタン7403、外部接続ポート7404
、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、
本発明の一態様を適用して作製された表示装置を表示部7402に用いることにより作製
される。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯電話機を
歩留まりよく提供できる。
【0227】
図17(A)に示す携帯電話機7400は、指などで表示部7402に触れることで、
情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆ
る操作は、指などで表示部7402に触れることにより行うことができる。
【0228】
また、操作ボタン7403の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7402
に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メイ
ンメニュー画面に切り替えることができる。
【0229】
図17(B)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7100
は、筐体7101、表示部7102、バンド7103、バックル7104、操作ボタン7
105、入出力端子7106などを備える。
【0230】
携帯情報端末7100は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、イン
ターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することがで
きる。
【0231】
表示部7102はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行う
ことができる。また、表示部7102はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面
に触れることで操作することができる。例えば、表示部7102に表示されたアイコン7
107に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0232】
操作ボタン7105は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オ
フ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を
持たせることができる。例えば、携帯情報端末7100に組み込まれたオペレーションシ
ステムにより、操作ボタン7105の機能を自由に設定することもできる。
【0233】
また、携帯情報端末7100は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能
である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリー
で通話することもできる。
【0234】
また、携帯情報端末7100は入出力端子7106を備え、他の情報端末とコネクター
を介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7106を介して充
電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7106を介さずに無線給電により
行ってもよい。
【0235】
携帯情報端末7100の表示部7102には、本発明の一態様を適用して作製された発
光装置が組み込まれている。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性
の高い携帯情報端末を歩留まりよく提供できる。
【0236】
図17(C)には、携帯型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、筐体
7301、表示部7302、操作ボタン7303、引き出し部材7304、制御部730
5を備える。
【0237】
表示装置7300は、筒状の筐体7301内にロール状に巻かれたフレキシブルな表示
部7302を備える。
【0238】
また、表示装置7300は制御部7305によって映像信号を受信可能で、受信した映
像を表示部7302に表示することができる。また、制御部7305にはバッテリをそな
える。また、制御部7305にコネクターを接続する端子部を備え、映像信号や電力を有
線により外部から直接供給する構成としてもよい。
【0239】
また、操作ボタン7303によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り替
え等を行うことができる。
【0240】
図17(D)には、表示部7302を引き出し部材7304により引き出した状態の表
示装置7300を示す。この状態で表示部7302に映像を表示することができる。また
、筐体7301の表面に配置された操作ボタン7303によって、片手で容易に操作する
ことができる。また、
図17(C)のように操作ボタン7303を筐体7301の中央で
なく片側に寄せて配置することで、片手で容易に操作することができる。
【0241】
なお、表示部7302を引き出した際に表示部7302の表示面が平面状となるように
固定するため、表示部7302の側部に補強のためのフレームを設けていてもよい。
【0242】
なお、この構成以外に、筐体にスピーカを設け、映像信号と共に受信した音声信号によ
って音声を出力する構成としてもよい。
【0243】
図18(A)乃至(C)に、折りたたみ可能な携帯情報端末310を示す。
図18(A
)に展開した状態の携帯情報端末310を示す。
図18(B)に展開した状態又は折りた
たんだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の携帯情報端末310を示す。
図18(
C)に折りたたんだ状態の携帯情報端末310を示す。携帯情報端末310は、折りたた
んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の
一覧性に優れる。
【0244】
表示パネル312はヒンジ313によって連結された3つの筐体315に支持されてい
る。ヒンジ313を介して2つの筐体315間を屈曲させることにより、携帯情報端末3
10を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。本発明の
一態様を適用して作製された表示装置を表示パネル312に用いることができる。例えば
、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる表示装置を適用できる。
【0245】
図18(D)、(E)に、折りたたみ可能な携帯情報端末320を示す。
図18(D)
に表示部322が外側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末320を示す。
図1
8(E)に、表示部322が内側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末320を
示す。携帯情報端末320を使用しない際に、非表示部325を外側に折りたたむことで
、表示部322の汚れや傷つきを抑制できる。本発明の一態様を適用して作製された表示
装置を表示部322に用いることができる。
【0246】
図18(F)は携帯情報端末330の外形を説明する斜視図である。
図18(G)は、
携帯情報端末330の上面図である。
図18(H)は携帯情報端末340の外形を説明す
る斜視図である。
【0247】
携帯情報端末330、340は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた
一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞれ用いることが
できる。
【0248】
携帯情報端末330、340は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができ
る。例えば、3つの操作ボタン339を一の面に表示することができる(
図18(F)、
(H))。また、破線の矩形で示す情報337を他の面に表示することができる(
図18
(G)、(H))。なお、情報337の例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・
ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSな
どの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ
受信の強度などがある。または、情報337が表示されている位置に、情報337の代わ
りに、操作ボタン339、アイコンなどを表示してもよい。なお、
図18(F)、(G)
では、上側に情報337が表示される例を示したが、本発明の一態様は、これに限定され
ない。例えば、
図18(H)に示す携帯情報端末340のように、横側に表示されていて
もよい。
【0249】
例えば、携帯情報端末330の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末330を収
納した状態で、その表示(ここでは情報337)を確認することができる。
【0250】
具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末330の上
方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末330をポケットから取り出
すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0251】
携帯情報端末330の筐体335、携帯情報端末340の筐体336がそれぞれ有する
表示部333には、本発明の一態様を適用して作製された表示装置を用いることができる
。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い表示装置を歩留まり
よく提供できる。
【0252】
また、
図18(I)に示す携帯情報端末345のように、3面以上に情報を表示しても
よい。ここでは、情報355、情報356、情報357がそれぞれ異なる面に表示されて
いる例を示す。
【0253】
携帯情報端末345の筐体351が有する表示部358には、本発明の一態様を適用し
て作製された表示装置を用いることができる。本発明の一態様により、湾曲した表示部を
備え、且つ信頼性の高い表示装置を歩留まりよく提供できる。
【0254】
上記で示した電子機器における表示部に、本発明の一態様のタッチパネルを適用できる
。したがって、電子機器の薄型化や軽量化、多機能化が実現されるとともに、高い検出感
度が実現された電子機器とすることができる。
【0255】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0256】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネルに適用可能な半導体装置の半導体層に
好適に用いることのできる酸化物半導体について説明する。
【0257】
酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、酸化物半導体を適切
な条件で加工し、そのキャリア密度を十分に低減して得られた酸化物半導体膜が適用され
たトランジスタにおいては、オフ電流を従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して
極めて低いものとすることができる。
【0258】
適用可能な酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn
)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体
を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザとして、それら
に加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)
、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(例えば
、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd))から選ばれた一種、ま
たは複数種が含まれていることが好ましい。
【0259】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In-Zn系酸
化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸
化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、In-Ga-Zn系酸化物(IGZO
とも表記する)、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-
Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Z
n系酸化物、In-Zr-Zn系酸化物、In-Ti-Zn系酸化物、In-Sc-Zn
系酸化物、In-Y-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸
化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化
物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物
、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、
In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、I
n-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-
Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、I
n-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることができる。
【0260】
ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化
物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外
の金属元素が入っていてもよい。
【0261】
また、酸化物半導体として、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない
)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれ
た一の金属元素または複数の金属元素、若しくは上記のスタビライザとしての元素を示す
。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)
で表記される材料を用いてもよい。
【0262】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga
:Zn=1:3:4、In:Ga:Zn=1:3:6、In:Ga:Zn=3:1:2あ
るいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn-Ga-Zn系酸化物やその組成
の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0263】
酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水
素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジス
タのしきい値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜の形成
後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、又は水分を
除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
【0264】
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から
酸素も同時に減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水
素化処理)によって増加した酸素欠損を補填するために酸素を酸化物半導体膜に加える処
理を行うことが好ましい。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を
、加酸素化処理と記す場合がある。または酸化物半導体膜に含まれる酸素を化学量論的組
成よりも多くする場合を過酸素化処理と記す場合がある。
【0265】
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素または水分
が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化また
はi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。
なお、実質的に真性とは、酸化物半導体層のキャリア密度が、1×1017/cm3未満
であること、好ましくは1×1015/cm3未満であること、さらに好ましくは1×1
013/cm3未満、さらに好ましくは8×1011/cm3未満、さらに好ましくは1
×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10
-9/cm3以上であることを指す。
【0266】
またこのように、i型又は実質的にi型である酸化物半導体膜を備えるトランジスタは
、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体膜を用いたトランジス
タがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10-18A以下、
好ましくは1×10-21A以下、さらに好ましくは1×10-24A以下、または85
℃にて1×10-15A以下、好ましくは1×10-18A以下、さらに好ましくは1×
10-21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル
型のトランジスタの場合、ゲート電圧がしきい値電圧よりも十分小さい状態をいう。具体
的には、ゲート電圧がしきい値電圧よりも1V以上、2V以上または3V以上小さければ
、トランジスタはオフ状態となる。
【0267】
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
【0268】
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度
で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また
、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態を
いう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されてい
る状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」
とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0269】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表
す。
【0270】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けら
れる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。
【0271】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物
半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-
OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
【0272】
まずは、CAAC-OSについて説明する。なお、CAAC-OSを、CANC(C-
Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこ
ともできる。
【0273】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物
半導体の一つである。
【0274】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micr
oscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高
分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一
方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーと
もいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒界に
起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0275】
以下では、TEMによって観察したCAAC-OSについて説明する。
図19(A)に
、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能TEM像を示す。
高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberratio
n Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を
、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、
日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによって行う
ことができる。
【0276】
図19(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を
図19(B)に示す
。
図19(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認でき
る。金属原子の各層の配列は、CAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)
または上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上面と平行となる。
【0277】
図19(B)に示すように、CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。
図19(C
)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。
図19(B)および
図19(C
)より、ペレット一つの大きさは1nm以上3nm以下程度であり、ペレットとペレット
との傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、
ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。
【0278】
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC-OSのペレ
ット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造
となる(
図19(D)参照。)。
図19(C)で観察されたペレットとペレットとの間で
傾きが生じている箇所は、
図19(D)に示す領域5161に相当する。
【0279】
また、
図20(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-OSの平面のC
s補正高分解能TEM像を示す。
図20(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3
)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ
図20(B)、
図20(C)および
図20(D)に示す。
図20(B)、
図20(C)および
図20(D)より、ペレットは
、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しか
しながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0280】
次に、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解析したC
AAC-OSについて説明する。例えば、InGaZnO
4の結晶を有するCAAC-O
Sに対し、out-of-plane法による構造解析を行うと、
図21(A)に示すよ
うに回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGa
ZnO
4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSの結晶がc軸配向
性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0281】
なお、CAAC-OSのout-of-plane法による構造解析では、2θが31
°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°
近傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれること
を示している。より好ましいCAAC-OSは、out-of-plane法による構造
解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
【0282】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-pla
ne法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、I
nGaZnO
4の結晶の(110)面に帰属される。CAAC-OSの場合は、2θを5
6°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析
(φスキャン)を行っても、
図21(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに
対し、InGaZnO
4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφ
スキャンした場合、
図21(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属される
ピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは
、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
【0283】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGa
ZnO
4の結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nm
の電子線を入射させると、
図22(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回
折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO
4
の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても
、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に
略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプロー
ブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを
図22(B)に示す。
図2
2(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても
、CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる
。なお、
図22(B)における第1リングは、InGaZnO
4の結晶の(010)面お
よび(100)面などに起因すると考えられる。また、
図22(B)における第2リング
は(110)面などに起因すると考えられる。
【0284】
また、CAAC-OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。酸化物半導体の欠
陥としては、例えば、不純物に起因する欠陥や、酸素欠損などがある。したがって、CA
AC-OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体ということもできる。また、CAAC-O
Sは、酸素欠損の少ない酸化物半導体ということもできる。
【0285】
酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源と
なる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、
水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0286】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金
属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸
素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、
二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0287】
また、欠陥準位密度の低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体は、キャリア密度を低く
することができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な
酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち
、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体となりやすい。したがって、CA
AC-OSを用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリ
ーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性な
酸化物半導体は、キャリアトラップが少ない。酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲さ
れた電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うこと
がある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体を用いたトラン
ジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。一方、CAAC-OSを用いたトランジ
スタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0288】
また、CAAC-OSは欠陥準位密度が低いため、光の照射などによって生成されたキ
ャリアが、欠陥準位に捕獲されることが少ない。したがって、CAAC-OSを用いたト
ランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0289】
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
【0290】
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領
域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に
含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさ
であることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結
晶であるナノ結晶を有する酸化物半導体を、nc-OS(nanocrystallin
e Oxide Semiconductor)と呼ぶ。nc-OSは、例えば、高分解
能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAA
C-OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc-
OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0291】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるペ
レット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場
合がある。例えば、nc-OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いるXRD装
置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を示
すピークが検出されない。また、nc-OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(
例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行う
と、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OSに対し、ペレ
ットの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回
折を行うと、スポットが観測される。また、nc-OSに対しナノビーム電子回折を行う
と、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リ
ング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
【0292】
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc
-OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有
する酸化物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystal
s)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0293】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため
、nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc-O
Sは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-OSは、C
AAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0294】
次に、非晶質酸化物半導体について説明する。
【0295】
非晶質酸化物半導体は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化
物半導体である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体が一例である。
【0296】
非晶質酸化物半導体は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0297】
非晶質酸化物半導体に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-p
lane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半
導体に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導
体に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンのみが
観測される。
【0298】
非晶質構造については、様々な見解が示されている。例えば、原子配列に全く秩序性を
有さない構造を完全な非晶質構造(completely amorphous str
ucture)と呼ぶ場合がある。また、最近接原子間距離または第2近接原子間距離ま
で秩序性を有し、かつ長距離秩序性を有さない構造を非晶質構造と呼ぶ場合もある。した
がって、最も厳格な定義によれば、僅かでも原子配列に秩序性を有する酸化物半導体を非
晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、少なくとも、長距離秩序性を有する酸化
物半導体を非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。よって、結晶部を有することから
、例えば、CAAC-OSおよびnc-OSを、非晶質酸化物半導体または完全な非晶質
酸化物半導体と呼ぶことはできない。
【0299】
なお、酸化物半導体は、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する場合が
ある。そのような構造を有する酸化物半導体を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a-l
ike OS:amorphous-like Oxide Semiconducto
r)と呼ぶ。
【0300】
a-like OSは、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察され
る場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる
領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
【0301】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-lik
e OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すた
め、電子照射による構造の変化を示す。
【0302】
電子照射を行う試料として、a-like OS(試料Aと表記する。)、nc-OS
(試料Bと表記する。)およびCAAC-OS(試料Cと表記する。)を準備する。いず
れの試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0303】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試
料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
【0304】
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば
、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層
を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。こ
れらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度
であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞
の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と
見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa-b面に対応する。
【0305】
図23は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例であ
る。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。
図23より、a-li
ke OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体
的には、
図23中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程
度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10
8e
-/n
m
2においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc-O
SおよびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
8e
-
/nm
2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、
図23中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc-OSお
よびCAAC-OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度
であることがわかる。
【0306】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合が
ある。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとん
ど見られないことがわかる。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-
OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
【0307】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比
べて密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結
晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc-OSの密度およびCAA
C-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結
晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0308】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よ
って、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体におい
て、a-like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。ま
た、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm
3未満となる。
【0309】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異な
る単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積も
ることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わ
せる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少な
い種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
【0310】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、微結晶酸化
物半導体、CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0311】
CAAC-OS膜は、例えば以下の方法により形成することができる。
【0312】
CAAC-OS膜は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲット
を用い、スパッタリング法によって成膜する。
【0313】
成膜時の基板温度を高めることで、基板到達後にスパッタリング粒子のマイグレーショ
ンが起こる。具体的には、基板温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以
上500℃以下として成膜する。成膜時の基板温度を高めることで、スパッタリング粒子
が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、スパッタリング粒子の平ら
な面が基板に付着する。このとき、スパッタリング粒子が正に帯電することで、スパッタ
リング粒子同士が反発しながら基板に付着するため、スパッタリング粒子が偏って不均一
に重なることがなく、厚さの均一なCAAC-OS膜を成膜することができる。
【0314】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制で
きる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素及び窒素など)を
低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が
-80℃以下、好ましくは-100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0315】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメー
ジを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100
体積%とする。
【0316】
または、CAAC-OS膜は、以下の方法により形成する。
【0317】
まず、第1の酸化物半導体膜を1nm以上10nm未満の厚さで成膜する。第1の酸化
物半導体膜はスパッタリング法を用いて成膜する。具体的には、基板温度を100℃以上
500℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下とし、成膜ガス中の酸素割合を30
体積%以上、好ましくは100体積%として成膜する。
【0318】
次に、加熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜を結晶性の高い第1のCAAC-OS膜
とする。加熱処理の温度は、350℃以上740℃以下、好ましくは450℃以上650
℃以下とする。また、加熱処理の時間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時
間以下とする。また、加熱処理は、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行えばよい。好ま
しくは、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰
囲気での加熱処理により、第1の酸化物半導体膜の不純物濃度を短時間で低減することが
できる。一方、不活性雰囲気での加熱処理により第1の酸化物半導体膜に酸素欠損が生成
されることがある。その場合、酸化性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減する
ことができる。なお、加熱処理は1000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下また
は1Pa以下の減圧下で行ってもよい。減圧下では、第1の酸化物半導体膜の不純物濃度
をさらに短時間で低減することができる。
【0319】
第1の酸化物半導体膜は、厚さが1nm以上10nm未満であることにより、厚さが1
0nm以上である場合と比べ、加熱処理によって容易に結晶化させることができる。
【0320】
次に、第1の酸化物半導体膜と同じ組成である第2の酸化物半導体膜を10nm以上5
0nm以下の厚さで成膜する。第2の酸化物半導体膜はスパッタリング法を用いて成膜す
る。具体的には、基板温度を100℃以上500℃以下、好ましくは150℃以上450
℃以下とし、成膜ガス中の酸素割合を30体積%以上、好ましくは100体積%として成
膜する。
【0321】
次に、加熱処理を行い、第2の酸化物半導体膜を第1のCAAC-OS膜から固相成長
させることで、結晶性の高い第2のCAAC-OS膜とする。加熱処理の温度は、350
℃以上740℃以下、好ましくは450℃以上650℃以下とする。また、加熱処理の時
間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間以下とする。また、加熱処理は、
不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行えばよい。好ましくは、不活性雰囲気で加熱処理を
行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲気での加熱処理により、第2の酸
化物半導体膜の不純物濃度を短時間で低減することができる。一方、不活性雰囲気での加
熱処理により第2の酸化物半導体膜に酸素欠損が生成されることがある。その場合、酸化
性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減することができる。なお、加熱処理は1
000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下または1Pa以下の減圧下で行ってもよ
い。減圧下では、第2の酸化物半導体膜の不純物濃度をさらに短時間で低減することがで
きる。
【0322】
以上のようにして、合計の厚さが10nm以上であるCAAC-OS膜を形成すること
ができる。
【0323】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0324】
51 ガスタンク
52 流量計
53 チャンバー
54 排気装置
55 排気装置
56 ノズル
57 ノズル口
58 駆動装置
59 ステージ
60 基板
61 角度調節手段
62 振動機
63 原料容器
80 タッチパネル
100 タッチパネル
101 基板
102 基板
110 表示装置
111 表示部
112 駆動回路
114 IC
120 タッチセンサ
121 電極
122 電極
123 誘電層
125 絶縁層
131 配線
132 配線
140 FPC
141 FPC
142 FPC
143 FPC
144 配線
151 接着層
152 接着層
153 接着層
155 接続端子
156 接続端子
157 接続層
158 接続層
161 トランジスタ
162 トランジスタ
163 トランジスタ
164 トランジスタ
165 導電性粒子
166 導電層
171 絶縁層
172 絶縁層
173 絶縁層
175 絶縁層
176 絶縁層
178 保護層
180 発光素子
181 電極
182 EL層
183 電極
184 カラーフィルタ
185 ブラックマトリクス
191 接着層
192 接着層
310 携帯情報端末
312 表示パネル
313 ヒンジ
315 筐体
320 携帯情報端末
322 表示部
325 非表示部
330 携帯情報端末
333 表示部
335 筐体
336 筐体
337 情報
339 操作ボタン
340 携帯情報端末
345 携帯情報端末
351 筐体
355 情報
356 情報
357 情報
358 表示部
501 パルス電圧出力回路
502 電流検出回路
503 容量
511 トランジスタ
512 トランジスタ
513 トランジスタ
800 表示装置
801 表示部
802 ゲートドライバ
803 ソースドライバ
804 D-A変換回路
810 制御回路
811 検出部
820 カウンタ回路
850 タッチセンサ
5100 ペレット
5120 基板
5161 領域
7100 携帯情報端末
7101 筐体
7102 表示部
7103 バンド
7104 バックル
7105 操作ボタン
7106 入出力端子
7107 アイコン
7300 表示装置
7301 筐体
7302 表示部
7303 操作ボタン
7304 部材
7305 制御部
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク