(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152761
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】複数の標的生体分子の多重検出のための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20241018BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20241018BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241018BHJP
C12Q 1/6816 20180101ALI20241018BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20241018BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20241018BHJP
C12Q 1/6841 20180101ALI20241018BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N33/543 575
G01N33/53 M
C12Q1/6816 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6841 Z
C12Q1/6816 Z
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024129908
(22)【出願日】2024-08-06
(62)【分割の表示】P 2022561135の分割
【原出願日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】2050384-3
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】522393099
【氏名又は名称】アプレックス・バイオ・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウミアー・ナシーム
(72)【発明者】
【氏名】ルベン・ラファエル・ゴンサウヴェス・ソアレス
(57)【要約】
【課題】本開示は、複数の標的生体分子の多重検出のための方法に関する。より具体的には、本開示は、請求項1の導入部で定義される複数の標的生体分子の多重検出のための方法、及び請求項15で定義される部品キットに関する。
【解決手段】本開示は、光学的符号化を使用する、複数の標的生体分子の多重検出のための方法に関し、各標的生体分子は、少なくとも1つの検出標的を有し、その方法は、a.複数のナノ粒子を含む1つ以上のナノ粒子タイプを提供するステップであって、各ナノ粒子は、タイプ特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有し、各ナノ粒子は、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する複数のフルオロフォアを含む、提供するステップと、b.複数の標的生体分子を含むサンプルを提供するステップと、c.サンプルを複数のナノ粒子タイプと接触させ、それによってナノ粒子が標的生体分子の検出標的と結合することを可能にするステップと、d.標的生体分子の検出標的に結合したナノ粒子タイプのナノ粒子によって放出されたフルオロフォアシグナルを、放出されたシグナルの波長及び強度を測定することによって、光学的に解読し、それによって標的生体分子の存在及び固有性を検出するステップと、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的符号化を使用する、複数の標的生体分子の多重検出のための方法であって、各標的生体分子が、少なくとも1つの検出標的を有し、
a.複数のナノ粒子を含む複数のナノ粒子タイプを提供するステップであって、各ナノ粒子は、タイプ特異的検出標的に対する前記ナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有し、各ナノ粒子が、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する複数のフルオロフォアを含む、提供するステップと、
b.複数の標的生体分子を含むサンプルを提供するステップと、
c.前記サンプルを前記複数のナノ粒子タイプと接触させ、それによって前記ナノ粒子が前記標的生体分子の前記検出標的と結合することを可能にするステップと、
d.前記標的生体分子の前記検出標的に結合した前記ナノ粒子タイプの前記ナノ粒子によって放出されたグナルを、ナノ粒子タイプに組み込まれた光学的コードをレシオメトリックに特定するために前記放出されたシグナルの波長及び強度を測定することによって、光学的に解読し、それによって前記標的生体分子の存在及び固有性を検出するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
各ナノ粒子タイプが、前記複数のフルオロフォアの制御された比率を含み、それによって前記ナノ粒子タイプからの前記放出されたシグナルの波長及び強度を制御することか、又は(ii)放出されたシグナルの前記強度に影響を及ぼす前記フルオロフォアの特性を変更することによって、光学的に符号化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノ粒子タイプの前記コーティングの前記結合親和性が、リンカーを介して前記ナノ粒子に結合した検出プローブXによって提供され、前記検出プローブXが、核酸分子、抗原、又は抗体から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子の前記コーティングが、リンカーを介して前記ナノ粒子に結合した官能基Yによって提供された反発成分を更に含み、前記官能基Yが、正若しくは負の電荷を有する荷電基、正若しくは負の電荷の両方を含む双性イオン基、又は立体的に反発する官能基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記立体的に反発する官能基が、ポリマー鎖若しくは脂肪族鎖である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記リンカーが、前記コーティングを前記ナノ粒子に繋ぐ少なくとも1つのアンカー基と、任意にスペーサー基と、を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つ以上のリンカーが、1つ以上の検出プローブX及び/若しくは官能基Yを提供することができるか、又は複数のリンカーが、相互接続バックボーンを介して複数の検出プローブX及び/若しくは官能基Yを提供することができる、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のフルオロフォアが、
(i)有機フルオロフォアであって、任意に、前記有機フルオロフォアが、Atto 425、Alexa fluor 405、Alexa Fluor 488、フルオレセイン(fluorescein)、DiO、Atto 488、Cy3、DiI、Alexa fluor 546、Atto 550、Cy5、Alexa fluor 647、テキサスレッド、DiD、Atto647(N)、Atto 655、Cy7、Alexa fluor 680、Alexa fluor 750、Atto 680、及びAtto 700、並びにそれらの組み合わせからなるリストから選択される、有機フルオロフォア、
(ii)無機フルオロフォアであって、任意に、前記無機フルオロフォアが、量子ドット、ロッド、ペロブスカイト量子ドット、金属-リガンド複合体、若しくはそれらの組み合わせからなるリストから選択される、無機フルオロフォア、並びに/又は
(iii)(i)及び(ii)で定義される有機フルオロフォア及び無機フルオロフォアの組み合わせ、から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のナノ粒子が、シリカナノ粒子、半導体ナノ粒子、有機ナノ粒子、無機ナノ粒子、金属ナノ粒子、若しくはポリマーナノ粒子、又はそれらの組み合わせである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のナノ粒子が、300nm未満の平均直径を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のナノ粒子が、3~300nm、3~200nm、3~150nm、又は3~100nmの平均直径を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のナノ粒子が、多孔性ナノ粒子である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップcの前に、前記標的生体分子が、前記タイプ特異的検出標的を含む少なくとも1つの分子にそれらを結合させることによって調製され、その後、増幅ステップが続き、
任意選択で、増幅プロセスが、ローリングサークル増幅(RCA)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、若しくは局在化/クローン増幅の他の手段(ヘアピン連鎖反応など)から選択され、又は、前記増幅プロセスが、増幅前のエキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、又はCRISPR/Casベースの酵素活性の使用に基づく、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記タイプ特異的検出標的を含む分子が、バーコード化された核酸、パドロック(padlock)プローブ、又はイニシエーター配列である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記タイプ特異的検出標的が、RCA又は複数のハイブリダイゼーション事象を使用して増幅されるか、又は増幅される分子を促進する核酸分子を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記解読が、光学イメージングによってなど、光学的解読によって達成される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
1つ以上の分子プローブであって、各分子プローブが、核酸分子、抗原、又は抗体に結合するフルオロフォアを含み、前記タイプ特異的検出標的に対する前記分子プローブの結合親和性を提供する、1つ以上の分子プローブを更に提供する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
部品キットであって、別々の容器に、
(i)複数のナノ粒子を含む複数のナノ粒子タイプであって、各ナノ粒子が、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する複数のフルオロフォアを含む、複数のナノ粒子タイプと、
(ii)前記ナノ粒子の特異的検出標的結合を促進する、制御されたpH、塩濃度、及び添加剤を有する溶液を含む、プローブ緩衝液と、
(iii)請求項1~17のいずれか一項に記載の方法で前記キットを使用するための説明書と、を含む、部品キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の標的生体分子の多重検出のための方法に関する。より具体的には、本開示は、請求項1の導入部で定義される複数の標的生体分子の多重検出のための方法、及び請求項15で定義される部品キットに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの生物分析技術は、典型的には、蛍光法を使用して、様々な標的の多重(2つ以上の)検出を可能にする。組織学、フローサイトメトリー、基本的な細胞及び分子プロトコル、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、DNAシーケンシング、免疫アッセイ、結合アッセイなど、いくつかの用途がこれを行うことで恩恵を受ける。2つ以上の標的を同時に検出することは可能であるが、フルオロフォアを使用することは、まだ、多重化する能力を厳しく制限する。インサイチュハイブリダイゼーションの用途では、インサイチュシーケンシングスキームを介したバーコード解読に焦点を当てた多重化容量の大きさを増やすために、特に新しい技術が登場している。
【0003】
複数のフルオロフォア(色素)の使用は、その物理的特性によって制限され、各色素は、その吸光度及び発光の、ある特定のスペクトル形状を有する(有機色素では約100nm幅)。このため、複数のフルオロフォアを同時に使用するとき、それらの発光は、十分に分離される必要がある。これにより、発光が重なる(スペクトルの重なり)前に、同時に使用できる色素の量が制限され、その結果、1つの色素を別の色素と区別することが難しくなる(典型的には、同時に5~10個未満の色素)。
【0004】
これを克服するために、インサイチュシーケンシング技術が出現している(Strell et al.(FEBS J.(2018),p.14435(Placing RNA in context and space-methods for spatially resolved transcriptomics))及びLein et al.(Science(2017)358,64-69(The promise of spatial transcriptomics for neuroscience in the era of molecular cell typing.))は、この文脈における2つの関連する論文である)。これらは、検出を成功させるために解読される必要がある特有の標的を各々表す分子DNAバーコードを活用する(標的法)か、又は代替として、RNA/DNAの場合、標的の直接シーケンシングを行う(非標的)。解読のプロセスは、DNAシーケンシング化学(シグナルの付加、及び除去)の使用、一度に1つのDNA塩基をステッピングし、所望の多重化のレベルに応じてこれを必要な回数繰り返す反復プロセスであって、この反復プロセス中、サンプルの完全性及び位置を維持すること、各反復間の画像取得、並びに最後に全ての画像を明確にし、整列させて、その後に各標的の固有性を決定するための画像分析を含む。したがって、このプロセス全体は、ワンステップ(直接)検出方法(従来の蛍光インサイチュハイブリダイゼーションなど)よりもはるかに長い時間がかかり、典型的には、訓練を受けた人員、及び/又は化学ステップとイメージングステップとを統合する堅牢なハードウェアが必要であり、その結果、コストが高くなる。更に、プロセスのサブ部分が誤った方向に進むことは、解読全体が完全に失敗するのに十分であるため、いくつかのステップを繰り返し実行するプロセスにより、シーケンシングアプローチがエラー又はミスの影響を受けやすくなる。したがって、シーケンシングプロセスは、直接的なアプローチと比較して、より複雑で、エラーの影響を受けやすく、費用がかかり、かつ時間がかかる。
【0005】
したがって、既存の解決策の問題を考慮して、複数の標的生体分子の多重検出のための改善された方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Strell et al.(FEBS J.(2018),p.14435(Placing RNA in context and space-methods for spatially resolved transcriptomics))
【非特許文献2】Lein et al.(Science(2017)358,64-69(The promise of spatial transcriptomics for neuroscience in the era of molecular cell typing.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、先行技術における上述の欠陥及び欠点のうちの1つ以上を軽減、緩和、又は排除し、少なくとも上述の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、提供されるのは、光学的符号化を使用して複数の標的生体分子の多重検出のための方法であり、各標的生体分子は、少なくとも1つの検出標的を有し、その方法は、
a.複数のナノ粒子を含む複数のナノ粒子タイプを提供するステップであって、各ナノ粒子は、タイプ特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有し、各ナノ粒子は、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する複数のフルオロフォアを含む、提供するステップと、
b.複数の標的生体分子を含むサンプルを提供するステップと、
c.サンプルを複数のナノ粒子タイプと接触させ、それによってナノ粒子が標的生体分子の検出標的と結合することを可能にするステップと、
d.標的生体分子の検出標的に結合したナノ粒子タイプのナノ粒子によって放出されたフルオロフォアシグナルを、放出されたシグナルの波長及び強度を測定することによって、光学的に解読し、それによって標的生体分子の存在及び固有性を検出するステップと、を含む。
【0009】
これにより、光学的に符号化されたナノ粒子を使用して、インサイチュで著しい数(例えば、50~100個)の検出標的をワンステップ直接法で同時に検出する方法が提供される。これは、各ナノ粒子タイプのナノ粒子を調整して、明確に画定されたナノ粒子にフルオロフォアを明確かつ正確に組み込み、それによってそれらを光学的に符号化することによって実現できる。
【0010】
本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、少なくとも2つを指す。
【0011】
本明細書で使用される場合、複数のフルオロフォアを含むナノ粒子に言及するとき、これは、ナノ粒子が、異なる発光波長及び/又は強度を呈する少なくとも2つの異なるフルオロフォアを含むことを意味する。例えば、各ナノ粒子タイプのナノ粒子は、少なくとも2つ、例えば少なくとも3つ、4つ、又は5つの異なるフルオロフォアを含む。
【0012】
加えて、ナノ粒子は、フルオロフォアを保護して、退色を防ぐことができる。強度分布が互いに重なり合うと、組み合わせの数が限られてしまうため、これは、重要である。
【0013】
更に、量子ドットなどの半導体フルオロフォアを利用して、複数のそのようなものを組み込むことによってか、又は有機フルオロフォアと組み合わせることによってのいずれかで、より広い範囲の組み合わせを達成することが可能である。
【0014】
組み合わせの数は、nm-1になり、nは、強度レベルの数であり、mは、色の数である。要するに、組み合わせの数は、強度レベルの数ではなく、色の数に比例して大きくなる。半導体フルオロフォアを使用すると、非常に大きなストークシフトを伴う半導体フルオロフォアを有する可能性に起因して、有機フルオロフォアとともに、より狭い発光スペクトル(スペクトルの重なりが問題になる前に、より多くの色を並行して有効にする)、並びにスペクトル内により多くの色を適合させることの両方を達成することが可能である。
【0015】
ナノ粒子を使用することにより、個々のフルオロフォアの特性を、フルオロフォア間の距離を注意深く制御できる粒子内の組織化された物質に組み込まれるとき、変更することも可能であり、その結果、それらは、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)又は励起エネルギー移動(EET)など、エネルギー的に連結し、導波管/アンテナとして作用できる。これにより、より多くの数の濃度レベル及び/又はより多くの数の色の組み合わせを達成する際の更なる柔軟性が可能になり、最終的により多い数の多重性につながる。
【0016】
一実施形態では、ナノ粒子タイプは、懸濁状態にあり、すなわち、ナノ粒子タイプのナノ粒子は、懸濁状態にある。
【0017】
本発明は、ある特定の特有の固有性を有するナノ粒子がインサイチュで検出標的(DNA/RNA/タンパク質)に結合するプロセスを可能にし、そこで、ナノ粒子のサイズにより細胞の浸透が可能になり、余分なものは洗い流されると同時に、ナノ粒子は、標的上に固定化され得る。好ましくは、検出標的は、複数のナノ粒子が、検出標的のスポット内でナノ粒子のクラスターを形成する少なくとも1つの光学的に分解可能なピクセル内に付着することができるように、設計され、その結果、シグナル強度は、周囲に非特異的に結合し得る単一ナノ粒子からのシグナルと比較して、このクラスターでより高くなり、標的結合時に局在化されたシグナルが検出できるようになり、そこで、ナノ粒子の特有の固有性が標的固有性を符号化する。典型的には、これは、ローリングサークル増幅(RCA)若しくは局在化/クローン増幅の他の手段(ヘアピン連鎖反応など)など、解読の前に標的増幅を実行することによってか、又はプローブが、局在化されたクラスターを形成できるように、伝統的蛍光プローブインサイチュハイブリダイゼーション(FISH)技術と同様の方法でプローブを設計することによって行うことができる。
【0018】
本発明はまた、ある特定の特有の固有性を有するナノ粒子がインサイチュで検出標的又は生体分子標的(DNA/RNA/タンパク質)に結合するプロセスを可能にし、ナノ粒子のサイズにより細胞の浸透が可能になり、余分なものは洗い流されるが、ナノ粒子は、生体分子標的上に固定化され得る。代替として、生体分子標的は、細胞内にあるのではなく、代わりに材料の2D又は3Dマトリックスに固定化されており、依然としてインサイチュにあるとみなされる。例えば、標的生体分子は、顕微鏡スライドの表面上、又は3Dポリマーネットワーク内、又は更に任意に生体分子標的以外の組織成分のほとんどが除去される組織内に固定化することができる。好ましくは、検出標的は、複数のナノ粒子が、検出標的、又は検出標的を含む標的生体分子のスポット内でナノ粒子のクラスターを形成する少なくとも1つの光学的に分解可能なピクセル内に付着することができるように、設計され、その結果、シグナル強度は、周囲に非特異的に結合し得る単一ナノ粒子からのシグナルと比較して、このクラスターでより高くなり、標的結合時に局在化されたシグナルが検出できるようになり、そこで、1つの生体分子標的に結合する複数のナノ粒子が同じナノ粒子タイプのものであるため、標的固有性を符号化するナノ粒子の特有の固有性は、孤立した方法で読み取る/解読することができる。したがって、そのようなシグナルは、空間的に分解され、これは、標的固有性を符号化する各シグナル固有性が、この空間的に分解されたスポット又はボリューム内の別のナノ粒子タイプのシグナルの著しい干渉なしに、ナノ粒子タイプに関して孤立された方法で読み取り/解読できるためであり、シグナルの局在化されたスポットにおける別のナノ粒子タイプからの非特異的に結合したナノ粒子による小さな干渉があったとしても、正しいナノ粒子タイプからの特異的に結合したナノ粒子からのシグナルは、自信を持って固有性を解読するのに十分に強力であることを意味する。典型的には、これは、ローリングサークル増幅(RCA)若しくは局在化/クローン増幅の他の手段(ヘアピン連鎖反応など)など、解読の前に標的増幅を実行することによってか、又はプローブが、空間的に分解された、局在化されたクラスターを形成できるように、伝統的蛍光プローブインサイチュハイブリダイゼーション(FISH)技術と同様の方法でプローブを設計することによって行うことができ、元の生体分子標的のサイズを拡大し、それによって同じナノ粒子タイプの複数のナノ粒子が生体分子標的に結合できるようにする。そのような増幅法は、一般に、クローン増幅法と呼ばれることもある。
【0019】
すなわち、本発明は、ある特定の特有の固有性を有するナノ粒子がサンプル(DNA/RNA/タンパク質)中の検出標的又は生体分子標的に結合するプロセスを可能にし、そこで、ナノ粒子は、検出標的上に固定化され、接触ステップ後に、過剰な非結合ナノ粒子がサンプルから洗い流されることを可能にする。
【0020】
一実施形態では、本発明の方法は、インサイチュ又はエクスサイチュで実施することができる。インサイチュという用語は、材料の2D又は3Dマトリックス上に固定化された後にナノ粒子に接触するサンプルを指す。エクスサイチュという用語は、均一溶液中でナノ粒子に接触するサンプルを指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「材料の2D又は3Dマトリックス」という用語は、ガラス、又はポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンコポリマー、アガロース、生分解性ポリマー(ポリラクチド、ポリ(グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)など)、若しくはそれらの組み合わせなどのプラスチックでできた固相を指す。固相は、サンプルの固定化及び/又は表面のパッシベーションを改善するために、タンパク質及び/又は核酸などの生体分子でコーティングされてもよい。代替として、固相は、コーティングされなくてもよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「サンプル」という用語は、標的生体分子(例えば、複数の標的生体分子)を含有する任意のサンプルを指す。例えば、サンプルは、体液サンプル、組織サンプル、又は単一細胞などの生物学的サンプルであってもよい。サンプルは、均一溶液中のタンパク質及び/若しくは核酸を含むか、又は親和性、静電気、共有結合、若しくはファンデルワールス相互作用、又はそれらの組み合わせを介して材料の「2D」又は「3D」マトリックス上に固定化された生体分子の混合物を更に含み得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「検出標的」という用語は、ナノ粒子が結合できるサンプル中の任意の標的を指す。
【0024】
一実施形態では、検出標的は、ポリヌクレオチド配列である。「ポリヌクレオチド配列」という用語には、例えばDNA及び/又はcDNA及び/又はRNA及び/又はタンパク質など、鎖中のヌクレオチドモノマーから構成される任意のバイオポリマーが含まれる。
【0025】
好ましくは、検出標的は、複数のナノ粒子が、検出標的のスポット内でナノ粒子のクラスターを形成する少なくとも1つの光学的に分解可能なピクセル内に付着することができるように、設計され、その結果、シグナル強度は、周囲に非特異的に結合し得る単一ナノ粒子からのシグナルと比較して、このクラスターでより高くなり、標的結合時に局在化されたシグナルが検出できるようになり、そこで、ナノ粒子の特有の固有性が標的固有性を符号化する。典型的には、これは、ローリングサークル増幅(RCA)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、若しくは局在化/クローン増幅の他の手段(ヘアピン連鎖反応など)など、解読の前に標的増幅を実行することによってか、又はプローブが、局在化されたクラスターを形成できるように、伝統的蛍光プローブインサイチュハイブリダイゼーション(FISH)技術と同様の方法でプローブを設計することによって行うことができる。これらの方法は、増幅前のエキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、又はCRISPR/Casベースの酵素活性の使用に基づく場合がある。増幅手順はまた、上記の技術のうちの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、各ナノ粒子タイプは、(i)複数のフルオロフォアの正確に制御された比率を組み込み、それによってナノ粒子タイプからの発光波長及び強度を制御することか、又は(ii)発光強度に影響を及ぼすフルオロフォアの特性を変更することによって、光学的に符号化される。
【0027】
別の言い方をすれば、各ナノ粒子タイプは、所定量の複数のフルオロフォアをナノ粒子内及び/又はナノ粒子上に組み込むことによって光学的に符号化され、それにより、少なくとも1つ、例えば少なくとも2つ、3つ、4つ、又は5つの特定の発光波長及び強度を呈するナノ粒子タイプに到達することができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「組み込む」という用語は、複数のフルオロフォアが装填されたナノ粒子を指す。すなわち、一実施形態では、ナノ粒子にフルオロフォアが装填される。装填は、ナノ粒子の表面上、若しくはナノ粒子自体のマトリックス内、若しくはナノ粒子の細孔内であり得、及び/又はナノ粒子は、フルオロフォアを封入してもよい。
【0029】
「ナノ粒子自体のマトリックス内に装填する」とは、ナノ粒子が合成されるときにフルオロフォアをナノ粒子に組み込み、したがってナノ粒子のマトリックス内にフルオロフォアが埋め込まれることを指す。
【0030】
ナノ粒子のマトリックスにフルオロフォアを封入することにより、フルオロフォアの退色プロセスを遅くすることができる。例えば、脱色は通常、酸素の存在下でより速く進行するため、粒子への酸素の拡散を遅くすることは、脱色を遅くする1つの方法である。他の側面は、光退色の速度が、環境、例えば溶媒条件に依存することである。このようにして、粒子内部の「溶媒条件」は、例えば、ポリマーマトリックスなどの非極性マトリックスにフルオロフォアを封入するとき、粒子外部とは異なるものにすることができる。
【0031】
したがって、本発明は、正確に制御された強度レベルの色素(例えば、フルオロフォア)の組み込みにより合成された、光学的に符号化されたナノ粒子の使用を可能にし、その結果、レベル(比率)の組み合わせの各々が特有の固有性を表し、単一色と比較して、より多い数の複数の固有性を可能にする。組み合わせの数は、nm-1になり、nは、強度レベルの数であり、mは、色の数である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「比率」という用語には、所定の量でナノ粒子に組み込まれている染料/フルオロフォアへの言及が含まれる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、コーティングの結合親和性は、リンカーを介してナノ粒子に結合した検出プローブXによって提供される。一実施形態では、検出プローブXは、核酸分子、抗原、抗体、又はそれらの組み合わせである。
【0034】
一実施形態では、リンカーは、存在せず、プローブXは、ナノ粒子表面に直接結合される。「検出プローブ」は、標的分子又は標的分子の群に特異的に結合する分子を指し、デオキシリボース及び/リボース塩基を有するオリゴヌクレオチド、ゼノ核酸、例えばロックド核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ホスホロイアミデート(phosphoroiamidate)モルホリノオリゴマー(PMO)、ペプチド核酸(PNA)、抗体、抗体フラグメント、合成ペプチド、アプタマー、DARPin、又はそれらの組み合わせを含む。
【0035】
この設計により、様々な標的によりナノ粒子を迅速かつカスタムに変更して、エンドユーザーが望むような新しいパネルを容易に作成することが可能になる。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、コーティングは、リンカーを介してナノ粒子に結合した官能基Yによって提供された反発成分を更に含み、官能基Yは、正若しくは負の電荷を有する荷電基、方法が正若しくは負の電荷の両方を含む双性イオン基、又はポリマー鎖若しくは脂肪族鎖などの立体的に反発する官能基から選択される。
【0037】
一実施形態では、官能基Yは、チオール、ジスルフィド、カルボン酸、アミン、アンモニウムカチオン、ホスホン酸、シラン、オルガノシラン、スルホネート、ホスフィン、ヒドロキシル、カテコール、ガロール、エトキシシラン、メトキシシラン、シラザン、クロロシラン、アルデヒド、アジド、アルキン、シクロオクチン(例えば、(ジベンゾシクロオクチン(DBCO)、トランス-シクロオクテン(TCO))、シクロノネン(ビシクロ[6.1.0]ノネン(BCN))、テトラジン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン(neutravidin)、ビオチン、又はアビジン/ビオチンの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0038】
別の実施形態では、コーティングは、ポリマー鎖又は脂肪族鎖などの官能基Yと同等でもある立体的に反発する基を含む。「立体的に反発する」という用語によって、これは、ナノ粒子が溶液中にあるとき、凝集するのを立体障害によって防止する、ナノ粒子の表面上の基を指す。
【0039】
一実施形態では、ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)/ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリペプチド、ポリグリセロール、及びポリオキサゾリン、並びにそれらの組み合わせなどの水溶性ポリマーであり得る。ポリマーは、立体安定性により溶液中のナノ粒子に安定性を提供するが、それでもタイプ特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを可能にする分子量のものであることが好ましい。
【0040】
ポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート、及びポリ(メチルアクリレート)、並びにそれらの組み合わせからなるリストから任意に選択される、官能性炭化水素であり得る。
【0041】
別の実施形態では、官能基Yは、C6~C18などのC2~C18である。例えば、脂肪族鎖は、ヘキサン、デカン、ペンタデカン、オクタデカン、ポリアセチレン、ポリスチレン、及びポリエチレン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0042】
一実施形態では、ポリマー及び/又は脂肪族鎖は、約150~4000Da、約150~2000Da、例えば約150~1000Daなど、約4000Da未満の分子量を有する。
【0043】
別の実施形態では、ナノ粒子コーティングは、検出プローブX及び/又は官能基Yに共役するように構成された共役基を有する複数のリンカーを含んでもよい。
【0044】
共役基は、アジド、イソチオシアネート、イソシアネート、塩化スルホニル、アルデヒド、カルボジイミド、アシルアジド、無水物、フルオロベンゼン、カーボネート、NHSエステル、イミドエステル、エポキシド、フルオロフェニルエステル、ホスフィン、カルボン酸、マレイミド、ハロアセチル(Br-/I-)、ピリジルジスルフィド、チオスルホネート、ビニルスルホン、アルコキシアミン、及びヒドラジド、並びにそれらの組み合わせからなるリストから選択され得る。
【0045】
一実施形態では、本発明の方法のステップaのナノ粒子は、溶液で提供される。代替として、ナノ粒子は、サンプルと接触する前に、溶液中に分散させるための乾燥した固体の形態で提供されてもよい。
【0046】
したがって、ナノ粒子の慎重に調整された表面コーティングは、反発部分及び誘引部分(検出プローブを含む)を含み、その結果、それらは、相互に反発し、他の表面を反発して、安定した分散を形成する一方で、検出標的(DNA/RNA又は抗体)との特異的誘引結合を形成することができ、結果として、ナノ粒子が検出標的上に付着し、固定化される。反発力がプローブの引力と釣り合っている場合、効率的な付着が生じる。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、リンカーは、コーティングをナノ粒子に繋ぐアンカー基と、任意にスペーサー基と、を含む。
【0048】
コーティングをナノ粒子に「繋ぐ」アンカー基は、アンカー基が共有結合又は非共有結合によってコーティングをナノ粒子に結合すると解釈されるべきである。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上のリンカーは、1つ以上の検出プローブX及び/若しくは官能基Yを提供することができるか、又は複数のリンカーは、相互接続バックボーンを介して複数の検出プローブ及び/若しくは官能基Yを促進、提供することができる。
【0050】
これにより、リンカー並びに検出プローブX及び/又は官能基Yの複数の組み合わせを使用することができる。
【0051】
一実施形態では、1つ以上のフルオロフォアを、本明細書の表3に提供されるリストから選択することができる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上のフルオロフォアは、BODIPY、Brilliant Violet、Cyanine、Alexa、Atto、フルオレシン(fluorescin)、クマリン、ローダミン、キサンテンフルオロフォアファミリー、並びにそれらの誘導体及び組み合わせからなるリストから選択される有機フルオロフォアから選択される。
【0053】
例えば、1つ以上のフルオロフォアは、Atto 425、Alex fluor 405、Alexa Fluor 488、フルオレシン、DiO、Atto 488、Cy3、DiI、Alexa fluor 546、Atto 550、Cy5、Alexa fluor 647、テキサスレッド、DiD、Atto647(N)、Atto 655、Cy7、Alexa fluor 680、Alexa fluor 750、Atto 680、Atto 700、BODIPY、Brilliant Violet、Cyanine、Alexa、Atto、フルオレシン、クマリン、ローダミン、キサンテンフルオロフォアファミリー、並びにそれらの誘導体及び組み合わせからなるリストから選択される有機フルオロフォアから選択される。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、複数のフルオロフォアは、Atto 425、Cy3、Cy5、及びCy7、若しくはそれらの組み合わせからなるリストから選択される有機フルオロフォアか、又は異なる色の無機フルオロフォアから選択され、無機フルオロフォアは、量子ドット、ロッド、ペロブスカイト量子ドット、又は金属-リガンド複合体を含むか、若しくはこれらから選択される。
【0055】
量子ドットは、周期表のIII族及びV族、又は周期表のII族及びVI族からの元素を含有する合金である量子ドットなどの半導体量子ドットであり得る。更に、量子ドットは、シリコン量子ドットであってもよい。
【0056】
「ロッド」という用語は、本明細書では、長さ/幅の比率が1に等しくない細長い粒子を指す。
【0057】
高い光安定性を備えた十分に分離されたフルオロフォアを使用することにより、スペクトルの重なりを最小限に抑えながら、これらのフルオロフォアの、ナノ粒子への高品質な組み込みを達成することができる。両方の要因は、ナノ粒子の各バッチに対して特有のバーコード固有性(つまり、光学的符号)として作用する、十分に分離された強度分布を達成するために重要である(
図4、5、6を参照)。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、複数のフルオロフォアは、異なる色の有機フルオロフォアと異なる色の無機フルオロフォアとの組み合わせから選択され、無機フルオロフォアは、量子ドット、ロッド、又はペロブスカイト量子ドットを含む。
【0059】
ナノ粒子をプローブとして使用することにより、特に、上記の量子ドットなどの半導体フルオロフォアの場合に関して、フルオロフォアのより幅広い選択を組み合わせる可能性が可能になる。nが強度レベルの数であり、mが色の数である式nmでは、可能な組み合わせの数は、レベルの数(区別可能な染料濃度)と比較して、使用される色の数に比例して大きくなるため、これは重要である。半導体フルオロフォアを使用すると、非常に大きなストークシフトを伴う半導体フルオロフォアを有する可能性に起因して、有機フルオロフォアとともに、より狭い発光スペクトル(スペクトルの重なりが問題になる前に、より多くの色を並行して有効にする)、並びにスペクトル内により多くの色を適合させることの両方を達成することが可能である。
【0060】
一実施形態では、複数のナノ粒子は、シリカナノ粒子、半導体ナノ粒子、有機ナノ粒子、無機ナノ粒子、金属ナノ粒子、若しくはポリマーナノ粒子、又はそれらの組み合わせである。
【0061】
別の実施形態では、複数のナノ粒子は、1000nm未満、例えば500nm、又は300nm未満、又は100nm未満、例えば3~300nm、例えば3~200nm、3~150nm、又は3~100nmの平均直径を有する。
【0062】
ナノ粒子サイズは、透過型電子顕微鏡法(TEM)、散乱電子顕微鏡法(SEM)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、又は動的光散乱(DLS)など、当技術分野で知られている任意の方法によって測定することができる。
【0063】
別の実施形態では、複数のナノ粒子は、メソ多孔性ナノ粒子などの多孔性ナノ粒子である。例えば、複数のナノ粒子は、メソ多孔性シリカナノ粒子であってもよい。
【0064】
別の実施形態では、複数のナノ粒子は、マトリックス内に埋め込まれたフルオロフォアを有するナノ粒子である。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、ナノ粒子は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する:i.シリカ及び/又は半導体、有機、無機、金属及び/又はポリマー材料からなる球状粒子である;ii.300nm未満、好ましくは200nm未満、より好ましくは100nm未満、更により好ましくは50nm未満の直径を有する。
【0066】
球状シリカ粒子は、当分野で知られており、本発明で使用するための代替物である。また、ポリマー及び/又はプラスチックのナノ粒子を使用することもできる。
【0067】
約300nm未満、好ましくは約100nm未満のサイズを有する粒子を使用することにより、細胞への浸透が保証され、その方法は、インサイチュで実施できることが保証される。粒子が(細胞に入った後に)検出標的に結合するためには、典型的には、より小さいサイズが有利である。
【0068】
組織サンプル及び/又は単一細胞中の標的生体分子へのナノ粒子のアクセス可能性を改善するために、後者を局所的に透過処理して、標的生体分子が本明細書で定義される2D又は3D固相に局所的に拡散できるようにすることができ、そこで、それらは、物理吸着、静電気、ハイブリダイゼーション、又は親和性相互作用を介して固定化される。このようにして、標的生体分子は、組織及び/又は細胞マトリックスなしで完全にアクセス可能であり、空間情報は、引き続き取得できる。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、ステップcの前に、本発明の方法は、ナノ粒子と結合させる、例えば標的生体分子を、少なくとも1つの検出標的を含む少なくとも1つの分子と結合させるために標的生体分子を調製し、かつ/又は検出標的をインサイチュで増幅させるステップを含み得る。任意に、このステップにおいて、標的生体分子は、その後の増幅のために、バーコード化された核酸、パドロック(padlock)プローブ、又はイニシエーター配列などの少なくとも1つの分子にそれを結合することによって調製される。
【0070】
これにより、複数のNPを生体分子に結合することよってより強いシグナルを生成するために、酵素増幅が省略されるアッセイでNPプローブが使用できるようになり、例えば少なくとも1つ、好ましくは複数の検出標的が生体分子に結合される通常のインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)方法がある。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、検出標的は、RCA又は複数のハイブリダイゼーション事象を使用して増幅されるか、又は増幅される分子を促進する、核酸分子を含む。
【0072】
したがって、シグナル検出は、(i)より高いシグナル強度、(ii)ランダムに固定化されたナノ粒子を回避するために、該シグナルを生成するための複数の結合事象の必要性、及び(iii)標的を増幅するためのパドロックなどの分子ツールの特異性を利用し、非標的が増幅、したがって検出されるのを防ぐことにより、より簡単かつ堅牢になる。同様に、例えば近接した2つ以上の検出標的の結合を利用して、その後のハイブリダイゼーションが、より強いが特異的なシグナルを生成できるようにする他の増幅方法が達成され得る。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、解読は、光学イメージング/蛍光イメージングによってなど、光学解読によって行われる。
【0074】
代替として、解読は、特異的標的生体分子を提示する個別の要素に匹敵する寸法を有する狭いノズルを通ってサンプルを流すことができるフローサイトメトリー型装置で行うことができる。本明細書に記載される「個別の要素」は、単一細胞又は微粒子であり得る。該微粒子は、符号化されたナノ粒子への提示時に標的分子を特異的に固定化するために、本明細書の定義によるプローブを有することができる。
【0075】
これにより、高解像度の空間情報をイメージングシステムのスループット及び解像度で収集できるようになり、広い領域をスキャンできるようになる。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、標的生体分子は、ナノ粒子とともに小分子染料/プローブで更に共標識される。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の分子プローブを更に提供し、各分子プローブは、核酸分子、抗原、又は抗体に結合するフルオロフォアを含み、特異的検出標的に対する分子プローブの結合親和性を提供する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「分子プローブ」という用語は、「検出オリゴ」と交換可能に呼ばれる。
【0079】
分子プローブのフルオロフォアは、本明細書で詳述される任意のフルオロフォアなどの任意のフルオロフォアであり得る。
【0080】
これにより、堅牢性と多重化の両方が更に向上し、シグナル検出が、ナノ粒子結合事象と分子プローブ結合事象の両方に依存して、非特異的に結合したナノ粒子がデータ分析から確実に除外されるであろう。例えば、ナノプローブシグナル及び検出オリゴシグナルの共局在解析により、ナノプローブシグナルのみ及び検出オリゴシグナルのみから偽陽性を除去できる。これは、組織内と組織外との両方で、インサイチュとエクスサイチュとの両方で有用である。加えて、これは、分子プローブとして作用する、異なる色のフルオロフォアを導入することにより、多重化能力を高めるために更に利用できる。
【0081】
第2の態様によれば、本発明は、部品キットに関し、それは、別々の容器に、
(i)複数のナノ粒子を含む複数のナノ粒子タイプであって、各ナノ粒子は、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する複数のフルオロフォアを含む、ナノ粒子タイプと、
(ii)ナノ粒子の特異的検出標的結合を促進する、制御されたpH、塩濃度、及び添加剤を有する溶液を含む、プローブ緩衝液と、
(iii)本発明の方法による方法でキットを使用するための説明書と、を含む。
【0082】
一実施形態では、各ナノ粒子タイプのナノ粒子は、1つ以上の検出プローブX及び/又は1つ以上の官能基Yに共役するように構成されたコーティングを含む。
【0083】
検出プローブX及び官能基Yは、本発明の方法に関して本明細書で詳述される任意のプローブ又は基であり得る。
【0084】
別の実施形態では、ナノ粒子コーティングは、検出プローブX及び/又は官能基Yに共役するように構成された共役基を有する複数のリンカーを含んでもよい。
【0085】
別の実施形態では、ナノ粒子コーティングは、検出プローブX及び/又は官能基Yに共役している共役基を有する複数のリンカーを含んでもよい。
【0086】
別の実施形態では、各ナノ粒子タイプは、特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有する。
【0087】
本発明の第2の態様の特定の実施形態では、部品キットは、別々の容器に、
(i)懸濁液中の1つ以上のタイプのナノ粒子であって、各ナノ粒子タイプは、特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有し、各ナノ粒子は、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する1つ以上のフルオロフォアを含む、ナノ粒子と、
任意に、懸濁液中の各タイプのナノ粒子であって、各ナノ粒子タイプは、特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性のないコーティングを有し、結合親和性は、リンカーを介してナノ粒子に結合した検出プローブXによって次のステップで提供され、検出プローブXは、核酸分子、抗原、又は抗体から選択される、ナノ粒子と、
(ii)任意に、特異的検出標的に対する結合親和性を有する1つ以上のナノ粒子タイプを提供するための成分であって、リンカーへの検出プローブXの結合を促進する反応緩衝液と、洗浄緩衝液と、コーティングへの結合親和性の導入後にナノ粒子を懸濁するための懸濁緩衝液と、を含む、成分と、
(iii)ナノ粒子の特異的検出標的結合を促進する、制御されたpH、塩濃度、及び添加剤を有する溶液を含む、プローブ緩衝液と、
(iv)本発明の第1の態様による方法でキットを使用するための説明書と、を含む。
【0088】
誤解を避けるために、本発明の第2の態様のナノ粒子タイプは、本発明の第1の態様のナノ粒子タイプの特徴のいずれかを含むことができる。
【0089】
本発明の第3の態様では、複数のフルオロフォアを含むナノ粒子が提供され、ナノ粒子は、検出プローブに共役するように構成された少なくとも1つの共役基でコーティングされる。
【0090】
ナノ粒子は、本発明の第1及び第2の態様に関して本明細書に開示される「ナノ粒子タイプ」のいずれかについてのナノ粒子の特徴のいずれかを有し得る。
【0091】
したがって、本発明の利点及び予想外の効果の中で、以下も開示され得る。
●シーケンシングが複数ステップに対して1ステップであるため、実験的かつイメージング的に時間を節約できる。
●ステップの数が少ないため、コストを抑えることができる。
●本発明の方法は、サンプルの完全性などの取り扱いエラー、及びシーケンシング手順中の失敗の他のリスクの影響を受けにくい。
●本発明により、位置合わせを必要とする複数の画像の代わりに、一組の画像であるため、より簡単なデータ分析が可能になる。
●本発明は、定期的に訓練されたラボ担当者による簡単なハードウェア設定で使用することができる。
●本発明は、反復化学/イメージングステップのための流体溶液を必要としない。
●本発明は、高度な設備及び機器類を欠く通常の実験室でインサイチュ法を採用するための障壁を下げることができる。
●本発明は、局在化されたシグナルの検出/特定を必要とする複数の用途に使用することができる。
【0092】
本開示は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の実施例は、例示のみを目的として、本開示の好ましい実施形態を開示する。当業者は、詳細な説明のガイダンスから、本開示の範囲内で変更及び修正を行うことができることを理解する。したがって、本明細書に開示される開示は、記載されるデバイスの特定の構成部品又は記載される方法のステップに限定されないことが理解されるべきであり、それは、そのようなデバイス及び方法は、変更し得るからである。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解すべきである。明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said(該)」は、文脈が明示的に指示しない限り、1つ以上の要素があることを意味することを意図していることに留意されたい。したがって、例えば、「1つのユニット」又は「そのユニット」への言及は、いくつかのデバイスを含み得る、などである。更に、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する」、及び同様の文言は、他の要素又はステップを除外するものではない。
【0093】
誤解を避けるために、別段の指定がない限り、上記の実施形態は、合理的にもっともらしい場合、以下の詳細な説明の実施形態と結び付けることができることを意図している。
【0094】
上記の目的、並びに本開示の追加の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて、本開示の例示的な実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を参照することにより、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】本発明の原理を示し、(a)は、1つ以上のナノ粒子(NR)が標的生体分子(回転円積(RCP))中の特異的検出標的に結合する結合親和性を有する状況を示し、(b)は、ナノ粒子が標的生体分子への結合親和性を欠く(すなわち、ナノ粒子に特異的検出標的が生体分子中に存在しない)状況を示す。
【
図2】本発明の標的生体分子の調製のための主要なスキームを示す(「標的調製IP」)。
【
図3】本発明の方法によるナノ粒子のコーティングの原理を示す(「IPのコーティングの詳細」)。
【
図4A】波長及び強度のレシオメトリック制御に基づく特有の光学的符号化を各々が有する3つのナノ粒子タイプによる光学的符号化/解読の原理を示す。球体は、フルオロフォアが組み込まれたナノ粒子タイプを表し、球体の内側にA-Cと表示される。ナノ粒子表面上にコーティングが確立され、検出プローブA-Cによって結合親和性が提供される。解読は、ナノ粒子によって放出される波長及び強度を測定することによって行われ、レシオメトリック解読がそれぞれ、ナノ粒子タイプA、B、及びC(1:3:3)、(1:0:2)、及び(3:3:0)について示される。
【
図4B】波長及び強度のレシオメトリック制御に基づく特有の光学的符号化を各々が有する3つのナノ粒子タイプによる光学的符号化/解読の原理を示す。球体は、フルオロフォアが組み込まれたナノ粒子タイプを表し、球体の内側にA-Cと表示される。ナノ粒子表面上にコーティングが確立され、検出プローブA-Cによって結合親和性が提供される。解読は、ナノ粒子によって放出される波長及び強度を測定することによって行われ、レシオメトリック解読がそれぞれ、ナノ粒子タイプA、B、及びC(1:3:3)、(1:0:2)、及び(3:3:0)について示される。
【
図4C】波長及び強度のレシオメトリック制御に基づく特有の光学的符号化を各々が有する3つのナノ粒子タイプによる光学的符号化/解読の原理を示す。球体は、フルオロフォアが組み込まれたナノ粒子タイプを表し、球体の内側にA-Cと表示される。ナノ粒子表面上にコーティングが確立され、検出プローブA-Cによって結合親和性が提供される。解読は、ナノ粒子によって放出される波長及び強度を測定することによって行われ、レシオメトリック解読がそれぞれ、ナノ粒子タイプA、B、及びC(1:3:3)、(1:0:2)、及び(3:3:0)について示される。
【
図5】3つの波長(フルオロフォア)及び3つの強度レベルの重複した発光スペクトルを示す。
【
図6】3つの波長(フルオロフォアCy3/Cy5/Cy7)及び3つの強度レベル(相対0-1-2)による、n=30の集団を有する多重システムについての、サイズによる強度分布及び強度分布の不完全性の模擬レシオメトリックXYプロットである。
【
図7】3つの波長(フルオロフォアCy3/Cy5/Cy7)及び3つの強度レベル(相対的0-1-2)による、26プレックスシステムについての、各ナノ粒子タイプの集団の平均レシオメトリック値を示す模擬3Dプロットである。
【
図8】ナノ粒子の光学的符号化の実現を示す、染料の取り込みを正確に制御して生成された11個の異なるNPタイプのバッチについて測定された蛍光強度を開示する。
【
図9】ナノ粒子コーティングのプロービング特性の特異性を示す、(A)生体分子(RCP)上の相補的検出標的に特異的に結合するNP、及び(B)非相補的標的に結合しないNPを開示する。
【
図10】(A)、分子プローブとともに生体分子(RCP)に結合(すなわち共標識)された2色符号化NPを示す。(B)、A線プロファイルは、それぞれのチャネル(NPからのCy3及びAtto 425、並びに分子プローブからのCy7)で放出されたシグナルを示す。(C)、画像化された1つのRCPに対するそれぞれのチャネルを示す。(D)、特定のナノ粒子タイプを示すいくつかのRCPからの解読されたNPシグナルの強度分布のXYプロットを示す。
【
図11】増幅された生体分子(RCP)に対する細胞内のNPの結合を示し、NPを用いた生体分子のインサイチュ検出の作用を示す。
【
図12】コーティングされたシリカナノ粒子の特定の実施形態を示す。
【
図13】本発明による7プレックスシステムの絶対発光を示す。
【
図14】本発明による7プレックスシステムの発光マップを示す。
【
図15】溶液中のコーティングされたナノ粒子対コーティングされていないナノ粒子の光学画像及び対応する図を示す。
【
図16】7プレックスシステムにおけるCy3及びCy5フルオロフォアの取り込みのバッチ間滴定を示す。
【
図17】検出オリゴ(分子プローブ)を使用した2プレックス符号化を示し、標的1~7は、コード1(AF750)で、標的8~14は、コード2(Atto425)で区別される。
【発明を実施するための形態】
【0096】
定義
標的生体分子、ナノ粒子、及び/又は検出標的と「結合する」という用語は、核酸分子の相互の「ハイブリダイゼーション」の代替を含むと解釈されるべきである。
【0097】
「光学的符号化」という用語は、複数の波長及び強度のフルオロフォアの組み合わせを組み込むことによって、粒子に特有のシグナルを与えるものとして解釈される。例えば、特有のシグナルは、所定量の少なくとも1つのフルオロフォアをナノ粒子内及び/又はナノ粒子上に組み込み、それによって特定の発光波長及び強度を示すナノ粒子タイプに到達することによって達成され得る。
【0098】
誤解を避けるために、光学的符号化は、ナノ粒子への1つ又は複数のフルオロフォアの組み込みによって達成され得る。
【0099】
「ナノ粒子タイプ」という用語は、特異的検出標的への結合親和性を提供するコーティングと、特有の光学的符号と、を有するナノ粒子として解釈されるべきである。複数の(例えば、少なくとも2つの)ナノ粒子タイプを本発明に従って使用することができ、様々なタイプが、異なる標的に対する結合親和性を有する。各ナノ粒子タイプは、同じコーティング及び光学的符号を有する複数のナノ粒子によって表される。
【0100】
本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、略語「NP」とも交換可能に呼ばれる。
【0101】
ここで、本開示のある態様について更に詳細に説明する。しかしながら、本開示は、他の形態で具体化されてもよく、本明細書に開示された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。開示された実施形態は、開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0102】
本発明の第1の態様は、光学的符号化を使用して、複数の標的生体分子の多重検出のための方法を提供し、各標的生体分子は、少なくとも1つの検出標的を有し、その方法は、
a.複数のナノ粒子を含む複数のナノ粒子タイプを提供するステップであって、各ナノ粒子は、タイプ特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有し、各ナノ粒子は、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する複数のフルオロフォアを含む、提供するステップと、
b.複数の標的生体分子を含むサンプルを提供するステップと、
c.サンプルを複数のナノ粒子タイプと接触させ、それによってナノ粒子が標的生体分子の検出標的と結合することを可能にするステップと、
d.標的生体分子の検出標的に結合したナノ粒子タイプのナノ粒子によって放出されたフルオロフォアシグナルを、放出されたシグナルの波長及び強度を測定することによって、光学的に解読し、それによって標的生体分子の存在及び固有性を検出するステップと、を含む。
【0103】
本発明の別の態様では、光学的符号化を使用する、インサイチュでの1つ以上の標的生体分子の多重検出のための方法が提供され、各標的生体分子は、少なくとも1つの検出標的を有し、その方法は、a.懸濁液中の1つ以上のナノ粒子を提供するステップであって、各ナノ粒子は、特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有し、各ナノ粒子は、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する複数のフルオロフォアを含む、提供するステップと、b.ナノ粒子によって透過される1つ以上の細胞を提供するステップであって、細胞は、1つ以上の標的生体分子を含むステップと、c.任意に、標的生体分子をナノ粒子と結合させる、例えば標的生体分子を検出標的を含む分子と結合させるために標的生体分子を調製し、かつ/又は検出標的をインサイチュで増幅させるステップと、d.細胞を、ナノ粒子を含む懸濁液と接触させ、それによってナノ粒子を細胞に浸透させて、標的生体分子の検出標的と結合させるステップと、e.標的生体分子の検出標的にハイブリダイズされたナノ粒子のフルオロフォアによって放出されたシグナルを、放出されたシグナルの波長及び強度を測定することによって、光学的に解読し、それによって標的生体分子の存在及び固有性を検出するステップと、を含み得る。
【0104】
図1は、本方法の原理を示す。
図2は、多重検出のための標的を調製するための原理を示す。
【0105】
コーティング
図3は、本発明のナノ粒子のコーティングについてのいくつかの代替案を示す。
【0106】
コーティングの結合親和性は、リンカーを介してナノ粒子に結合した検出プローブXによって提供されてもよく、検出プローブXは、核酸分子、抗原、又は抗体から選択される。
【0107】
コーティングは、リンカーを介してナノ粒子に結合した官能基Yによって提供された反発成分を更に含んでもよく、官能基Yは、正若しくは負の電荷を有する荷電基、方法が正若しくは負の電荷の両方を含む双性イオン基、又はポリマー鎖若しくは脂肪族鎖などの立体的に反発する官能基から選択される。
【0108】
また、リンカーは、コーティングをナノ粒子に繋ぐアンカー基Aと、任意にスペーサー基Sと、を含んでもよい。
【0109】
ナノ粒子の表面に応じて、アンカー基及び官能基Yの例については、表1を参照されたい。スペーサー基の例については、表2を参照されたい。これらの基のいずれも、本明細書に記載される本発明の任意の態様の文脈で使用され得る。
【表1-1】
【表1-2】
【表2】
【0110】
1つ以上のリンカーは、1つ以上の検出プローブX及び/若しくは官能基Yを促進することができるか、又は複数のリンカーは、相互接続バックボーンを介して複数の検出プローブ及び/若しくは官能基Yを促進することができる。例えば、検出プローブに連結するための複数のアンカー及び官能基が、鎖に組み込まれ、鎖が、配向し、そのアンカー基を使用してナノ粒子表面に結合し、更に、残りの官能基との結合を形成するリンカーを使用して検出プローブで修飾されることを可能にするように、モノマーに組み込まれた官能基を有するポリマー鎖。
【0111】
フルオロフォア
1つ以上のフルオロフォアは、表3に提供される代替物及びその誘導体から選択され得る。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0112】
ナノ粒子
ナノ粒子は、次の特性を満たすことができる。
-ナノ粒子のサイズは、ナノ粒子が細胞膜を透過できるように十分に小さくてもよく、すなわち、典型的には、100nm未満の直径が必要である。
-ナノ粒子のコーティングは、問題の検出標的へのナノ粒子の特異的標的指向性を可能にし得る。また、コーティングの反発力(例えば、カチオン性、アニオン性、双性イオン性、又は立体的に反発する力)を調整すること、及び/又は検出標的への結合中に使用される緩衝剤の配合を変更することによって、凝集が回避されるようなコーティングであることが重要及び/又は有利である。
-ナノ粒子のプレキシング容量が重要である。好ましくは、50を超え、最大100、又はそれ以上の異なるコードが検出可能であるべきである。したがって、消光、染料の安定性、及びレベル識別の課題を解決する必要がある。ナノ粒子構造を慎重に設計し、任意に、サイズを利用して、有機色素並びに無機色素の両方を更に組み込み、ナノ粒子のマトリックス及び構造を更に変更する可能性により、色素の安定性を高め、並びに同期して機能することができる様々なフルオロフォアの組み合わせの柔軟性を高めて、高度な光学的符号化を生成することができる。
ただし、誤解を避けるために、少なくとも2つのナノ粒子のタイプが使用されている限り、プレキシングは、達成されるであろう。例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、又は10個のナノ粒子タイプでプレキシングが達成され得る。
-好適なサイズ、コーティング、及びフルオロフォア含有量を有する、本発明による使用のためのナノ粒子の合成に関するガイダンスは、Wang et al.(Nanoletters,2005;5:1(37-43))などの当技術分野の文献で見ることができる。
実施例はまた、本発明での使用のためにナノ粒子を合成する方法に関する詳細なガイダンスも提供する。
【0113】
標的生体分子の調製
本発明の方法において、標的生体分子は、それを分子に結合させることによって調製され得、この方法は、HCR又は他の増幅方法のためのバーコード化されたパドロックプローブ又はイニシエーター配列などの検出標的を含む。
【0114】
検出標的は、表4に列挙される方法を使用して増幅される核酸分子又はタンパク質であり得る。
【表4】
【0115】
光学式符号化及び解読
光学的符号化は、正確に制御された比率(強度)で複数のフルオロフォア(例えば、異なる波長の)を組み込むことによって行われてもよく、その結果、波長/強度比の各組み合わせが、解読時に、特有に分離可能になり、それによって各ナノ粒子タイプを光学的に符号化する。強度の異なる比率は、(i)ナノ粒子中のフルオロフォアの濃度を制御すること、及び/又は(ii)フルオロフォアのサイズ又は光学特性を変更して、その発光強度を制御し、それによってレシオメトリック読み取りを達成することによって達成できる。ナノ粒子に組み込まれたフルオロフォアは、そのマトリックスによって封入され、ナノ粒子の表面にも配置され得ることが理解される。
【0116】
更に、各ナノ粒子タイプには、それが、特有の検出標的を認識できるように、そのコーティングを通じて特有の結合親和性が与えられる。
【0117】
解読は、フルオロフォアシグナルの光学イメージングによってなど、光学的解読によって行うことができる。各ナノ粒子タイプからのシグナルは、
図4に示されるように、ナノ粒子タイプに組み込まれた光学的コードをレシオメトリックに特定するために、波長及び強度を測定することによって特定することができる。
【0118】
標的生体分子は、ナノ粒子とともに、小分子プローブ(それら自体のフルオロフォアを含む)で更に共標識することができる。これにより、ナノ粒子と生体分子の検出標的との間で特異的結合が発生する場所を示す制御シグナルを導入することにより、アッセイの堅牢性が向上し、更に、工学的符号化に別の次元が導入され、ナノ粒子から放出されたシグナルを、生体分子から放出されたシグナルと組み合わせることによって多重化の程度を高めることができる。したがって、生体分子の固有性は、非ナノ粒子プローブを用いて生体分子を追加的に符号化することとともに、光学的に符号化されたナノ粒子を使用することによって、例えば分子フルオロフォアを含有するプローブで共標識することによって、ナノ粒子-生体分子複合体によって放出される波長(フルオロフォアシグナル)の数を拡張することによって決定することができる。
【0119】
本発明の特定の実施形態
本発明の特定の実施形態は、以下の段落で提供される。
【0120】
本発明の一実施形態では、光学的符号化を使用する、インサイチュでの1つ以上の標的生体分子の多重検出のための方法が提供され、各標的生体分子は、少なくとも1つの検出標的を有し、その方法は、
a.懸濁液中の1つ以上のナノ粒子タイプを提供するステップであって、各ナノ粒子は、タイプ特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有し、各ナノ粒子は、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する1つ以上のフルオロフォアを含む、提供するステップと、
b.ナノ粒子によって透過される1つ以上の細胞を提供するステップであって、細胞は、1つ以上の標的生体分子を含む、提供するステップと、
c.任意に、ナノ粒子と結合させる、例えば標的生体分子を、少なくとも1つの検出標的を含む少なくとも1つの分子と結合させるために標的生体分子を調製し、かつ/又は検出標的をインサイチュで増幅させるステップと、
d.細胞を、ナノ粒子を含む懸濁液と接触させ、それによってナノ粒子が細胞を透過することを可能にして、標的生体分子の検出標的と結合させるステップと、
e.標的生体分子の検出標的に結合したナノ粒子タイプのナノ粒子によって放出されたフルオロフォアシグナルを、放出されたシグナルの波長及び強度を測定することによって、光学的に解読し、それによって標的生体分子の存在及び固有性を検出するステップと、を含む。
【0121】
好ましくは、各ナノ粒子タイプは、(i)少なくとも1つのフルオロフォアの正確に制御された比率を組み込み、それによってナノ粒子タイプからの発光波長及び強度を制御するか、又は(ii)その発光強度に影響を及ぼすフルオロフォアの特性を変更することによって、光学的に符号化される。
【0122】
有利には、ナノ粒子タイプのコーティングの結合親和性は、リンカーを介してナノ粒子に結合した検出プローブXによって提供され、検出プローブXは、核酸分子、抗原、又は抗体から選択される。
【0123】
好都合なことに、ナノ粒子のコーティングは、リンカーを介してナノ粒子に結合した官能基Yによって提供された反発成分を更に含み、官能基Yは、正若しくは負の電荷を有する荷電基、方法が正若しくは負の電荷の両方を含む双性イオン基、又はポリマー鎖若しくは脂肪族鎖などの立体的に反発する官能基から選択される。
【0124】
好ましくは、リンカーは、コーティングをナノ粒子に繋ぐ少なくとも1つのアンカー基と、任意にスペーサー基と、を含む。
【0125】
有利には、1つ以上のリンカーは、1つ以上の検出プローブX及び/若しくは官能基Yを提供することができ、又は複数のリンカーは、相互接続バックボーンを介して複数の検出プローブX及び/若しくは官能基Yを提供することができる。
【0126】
好都合には、1つ以上のフルオロフォアが以下から選択される。
(i)Atto 425、Cy3、Cy5、及びCy7から選択される有機フルオロフォア、
(ii)異なる色の無機フルオロフォアであって、無機フルオロフォアが量子ドット、ロッド、ペロブスカイト量子ドット、若しくは金属-リガンド複合体を含む、無機フルオロフォア、並びに/又は
(iii)異なる色の有機フルオロフォアと異なる色の無機フルオロフォアとの組み合わせであって、無機フルオロフォアが量子ドット、ロッド、若しくはペロブスカイト量子ドットを含む、組み合わせ。
【0127】
好ましくは、ナノ粒子は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する:
i.それは、シリカ、並びに/又は半導体、有機、無機、金属、及び/若しくはポリマー材料からなる球状粒子である;
ii.それは、300nm未満、好ましくは200nm未満、より好ましくは100nm未満、更により好ましくは50nm未満の直径を有する。
【0128】
有利には、ステップcにおいて、標的生体分子は、その後の増幅のために、バーコード化された核酸、パドロックプローブ、又はイニシエーター配列などの検出標的を含む少なくとも1つの分子をそれに結合させることによって調製される。
【0129】
好都合には、検出標的は、RCA又は複数のハイブリダイゼーション事象を使用して増幅されるか、又は増幅される分子を促進する、核酸分子を含む。
【0130】
好ましくは、解読は、光学イメージングによってなど、光学解読によって行われる。
【0131】
有利には、本方法は、1つ以上の分子プローブを提供するステップを更に含み、各分子プローブは、核酸分子、抗原、又は抗体に結合するフルオロフォアを含み、特異的検出標的に対する分子プローブの結合親和性を提供する。
【0132】
本発明の別の態様では、部品キットが提供され、別個の容器に、
(i)懸濁液中の1つ以上のタイプのナノ粒子であって、各ナノ粒子タイプは、特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性を提供するコーティングを有し、各ナノ粒子は、各ナノ粒子タイプに特有であるシグナルを生成する1つ以上のフルオロフォアを含む、ナノ粒子と、
任意に、懸濁液中の各タイプのナノ粒子であって、各ナノ粒子タイプは、特異的検出標的に対するナノ粒子の結合親和性のないコーティングを有し、結合親和性は、リンカーを介してナノ粒子に結合した検出プローブXによって次のステップで提供され、検出プローブXは、核酸分子、抗原、又は抗体から選択される、ナノ粒子と、
(ii)任意に、特異的検出標的に対する結合親和性を有する1つ以上のナノ粒子タイプを提供するための成分であって、リンカーへの検出プローブXの結合を促進する反応緩衝液と、洗浄緩衝液と、コーティングへの結合親和性の導入後にナノ粒子を懸濁するための懸濁緩衝液と、を含む、成分と、
(iii)ナノ粒子の特異的検出標的結合を促進する、制御されたpH、塩濃度、及び添加剤を有する溶液を含む、プローブ緩衝液と、
(iv)「本発明の特定の実施形態」と題されるセクションの上記の段落のいずれかによる方法でキットを使用するための説明書と、を含む。
【0133】
当業者は、本開示が上記の好ましい実施形態に限定されないことを理解する。当業者は更に、添付の特許請求の範囲内で修正及び変更が可能であることを理解する。更に、開示された実施形態に対する変形が、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求される開示を実施する際、当業者によって理解され及び行われ得る。
【0134】
配列
配列番号1
TTTTTTTTTTCCTCAGTAATAGTGTCTTAC
配列番号2
TTACACCCTTTCTTTGACAA GTGTATGCAGCTCCTCAGTAATAGTGTCTT TGTGCGTCTATTTAGTGGAGCC CATG GACTGTTACTGAGCTGCGTT
配列番号3
TTGTCAAAGAAAGGGTGTAAAACGCAGCTCAGTAACAGTC
配列番号4
TGCGTCTATTTAGTGGAGCC
配列番号5
DBCOオリゴ(SARS-COV-2)
5’-DBCO-TTTTTTTTTTTTCCTCAGTAATAGTGTCTTAC-3’
配列番号6
DBCOオリゴ(HIV)
5’-DBCO-TTTTTTTTTTTGCGTCTATTTAGTGGAGCC-3’
配列番号7
合成標的HIV
5’-CTCTCTCTCTCTATACTATATGTTTTAGTTTATATTGTTTCTTTCCCCCTGGCCTTAACCGAATTTTTT CCCATTTATCTAATTCTCCCCCGCT-3’
配列番号8
合成標的SARS-COV-2
【化1】
配列番号9
パドロックプローブHIV
5’-PO
4-AAGGCCAGGGGGAAAG AGTAGCCGTGACTATCGACT TGCGTCTATTTAGTGGAGCC
TTAAATGGGAAAAAATTCGGTT-3’
配列番号10
パドロックプローブSARS-COV-2
5’-PO
4-TGTTGTAGCTTGTCACACCGGTGTATGCAGCTCCTCAGTAATAGTGTCTTACGGCATCACTGGTTACGTCTGTTGCTCGCAAACATACAACG-3’
配列番号11
AF750-検出オリゴ(SARS-COV-2)
5’-TCCTCAGTAATAGTGTCTTACTTTT-AF750-3’
配列番号12
Atto425-検出オリゴ
5’-Atto425-CCTCAGTAATAGTGTCTTAC-3’
【実施例0135】
略語のリスト:
NP:ナノ粒子
EtOH:エタノール
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
DEPC:処理されたジエチルピロカーボネート
RCA:ローリングサークル増幅
RCP:ローリングサークル生成物、ローリングサークル増幅の結果
BSA:ウシ血清アルブミン
dNTP:デオキシリボヌクレオチド三リン酸
ATP:アデノシン三リン酸
PEG:ポリエチレングリコール
SSC:生理食塩水クエン酸ナトリウム
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
【0136】
実施例1-懸濁条件
特許請求された方法を実行するために、方法が行われる懸濁液の条件は、以下の成分構成要素及び特徴を有し得る。
【0137】
懸濁条件は、ナノ粒子分散の安定性を維持しながら、検出標的へのナノ粒子の特異的結合が、他の標的又は非標的(他の生物物質/マトリックス又は表面など)への非特異的結合よりも促進されるように、制御することができる。
【0138】
次の構成要素は、標的生体分子へのNP結合を最適化する上で重要な役割を果たす。
【表5】
【0139】
一実施形態では、以下の条件を使用した。
SSC 2X
ホルムアミド 20%
PEG4000 5%
pH7~7.4
【0140】
別の実施形態では、以下の条件を使用した。
SSC 1X
ホルムアミド 10%
PEG4000 5%
pH7~7.4
【0141】
【0142】
一実施形態では、NP表面コーティングは、100μLのNP(125mMのSi、0.62uMのCy3を装填)をH2O(485μL)の溶液に添加し、続いて11-アジドウンデシルトリエトキシシラン(2.5μL、256mM)、mPEG5k-トリエトキシシラン、(10μL、20mM)、最後に水酸化アンモニウム(2μL、28~30%)を添加することによって行った。温度を75℃まで上昇させ、反応混合物を振とうした。3時間後、反応混合物をH2Oで3回、PBSで1回、遠心分離によって洗浄した。コーティングされたNPは、100μLのH2O中に保存した。
【0143】
EtOH(50μL)に、上記のコーティングされたNP(30μL)を添加し、続いてPBS(20μL)、及びDBCO修飾ヌクレオチド配列S04018(3μL、100uM)を添加した。温度を振とう中に37℃まで上昇させた。19時間後、反応混合物をH2Oで3回、遠心分離によって洗浄した。配列で官能化されたNPは、100μLのH2O中で保存した。
【0144】
一実施形態では、RCPは、5’-リン酸化パドロックプローブS03625(1μL、1uM)を、H2O(71.9μL)、phi29反応緩衝液(10μL、10X)、T4リガーゼ(0.4μL、5U/μL)、BSA(10μL、2μg/μL)、ATP(2.7μL、25mM)、続いて標的配列S03844(4μL、30nM)の溶液に添加することによって溶液中で調製した。温度を37℃まで30分間上昇させた。これから、20μL(最初に1:1000に希釈)をH2O(9.2μL)に添加し、続いてBSA(4μL、2μg/μL)、dNTP(2μL、2.5mM)、phi 29反応緩衝液(4μL、10X)、及びphi 29ポリメラーゼ(0.8μL、10U/μL)を添加した。温度を30℃まで2時間上昇させ、続いて65℃まで5分間上昇させた。
【0145】
一実施形態では、RCPに結合するNPは、最初に5μLのRCPを堆積によってSuperfrost Plusスライド(Thermo Scientific)に固定化することによって行った。進行中の反応は、スライドに取り付けられたSecure-seal(Grace Bio-Labs、直径9mm、深さ0.8mm)で行った。ハイブリダイゼーション混合物は、NP(5μL)を、SSC(5μL、20X)、ホルムアミド(10μL)、H2O(24.5μL)、PEG4000(5μL、50%)の溶液に添加し、続いて相補検出オリゴS03798-Cy5(対照プローブ)を添加して調製した。固定されたRCPにハイブリダイゼーション混合物を添加し、温度を37℃まで上昇させた。1時間後、ガラススライドを、PBS-T(0.05%Tween-20を含むDEPC-PBS)で4回、70%EtOHで1回、85%EtOHで1回、最後に99.5%EtOHで洗浄した。
【0146】
一実施形態では、溶液中での代わりにインサイチュでRCP生成を行った。細胞をSuperfrost Plusスライド(Thermo Scientific)上に播種した。細胞が所望の密集度に達したとき、それらをPBS中のパラホルムアルデヒド(3%(w/v))で室温にて固定した。30分後、スライドを、DEPC-PBSで2回、70%EtOHで1回、85%EtOHで1回、最後に99.5%EtOHで各々3分間洗浄した。反応は、スライドに取り付けられたSecure-seal(Grace Bio-Labs、直径9mm、深さ0.8mm)で行った。RNAをcDNA合成により容易に利用できるようにするために、0.1MのHClを室温で10分間、細胞に適用した。これに続いて、DEPC-PBSで2回洗浄した。
【0147】
逆転写は、DEPC-H2O(34.75μL)、TranscriptMe緩衝液(5μL、10X)、dNTP(1μL、25mM)、BSA(0.5μL、20μg/μL)、ランダムデカマー(2.5μL、100uM)、RiboLock RNase阻害剤(Fermentas)(1.25μL、40U/μL)及び逆転写酵素(5μL、200U/μL)の混合物を細胞に添加することによって行い、温度を37℃まで上昇させた。18時間後、反応混合物を除去し、ホルムアルデヒド(3%(w/v))を添加した。30分後、細胞をPBS-Tで2回洗浄した。
【0148】
ライゲーションは、DEPC-H2O(22μL)、Ampligase緩衝液(20mMのTris-HCl、pH8.3、25mMのKCl、10mMのMgCl2、0.5mMのNAD、及び0.01%Triton X-100)、(5μL、10X)、KCl(2.5μL、1M)、ホルムアミド(10μL)、パドロックプローブ(1μL、0.5uM)、BSA(0.5μL、20μg/μL)、Ampligase(5μL、5U/μL))、及びRNase H(4μL、5U/μL)の混合物を細胞に添加することによって行い、温度を37℃まで30分間上昇させ、その後45℃まで上昇させた。1時間後、細胞をPBS-Tで2回洗浄した。
【0149】
RCAは、DEPC-H2O(33μL)、Phi-29緩衝液(5μL、10X)、グリセロール(5μL、50%)、dNTPs(0.5μL、25mM)、BSA(0.5μL、20μg/μL)、エキソヌクレアーゼI(1μL、20U/μL)、Phi-29ポリメラーゼ(5μL、10U/μL)の混合物を細胞に添加し、温度を37℃まで上昇させることによって行った。4時間後、細胞をPBS-Tで2回洗浄した。その後のNPと対照プローブの結合は、スライド上に配置されたRCPと同様に、上記のように行った。
【0150】
一実施形態では、画像取得は、100Wの水銀ランプ、CCDカメラ(C4742-95、Hamamatsu)、及び425、DAPI、FITC、Cy3、Cy3.5、Cy5、及びCy7を可視化するための励起及び発光フィルタを備えたコンピュータ制御のフィルタホイールを備えたAxioplan II落射蛍光顕微鏡(Zeiss)を使用して行った。画像を捉えるために、x20(Plan-Apocromat、Zeiss)、x40(Plan-Neofluar、Zeiss)、又はx63(Plan-Neofluar、Zeiss)の対物レンズを使用した。
【0151】
実施例3-ナノ粒子の合成
材料
シアニン3NHSエステル(Cy3-NHS)、シアニン5NHSエステル(Cy5-NHS)は、ドイツのLumiprobe GmbHから購入した。ジメチルスルホキシド(DMSO)(≧99.9%)、テトラヒドロフラン(THF(99%)(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)、水酸化アンモニウム(NH4OH)(H2O中の28%NH3、≧99.99%)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)(99.999%)、11-アジドウンデシルトリエトキシシラン(97%)、ADIBO-PEG4-酸(90%)は、スウェーデンのSigma Aldrichから購入した。無水エタノール(≧99.8%)は、スウェーデンのVWRから購入した。使用した超純粋MilliQ水は、MilliQ(IQ7010)システムからのものである。
【0152】
フルオロフォアストック
フルオロフォアのストック溶液は、1mlのDMSOを1mgのそれぞれのフルオロフォアに添加することによって調製した。
【0153】
光学的に符号化されたナノ粒子ライブラリ
符号化されたNPは、[0、0.8、1.6、3.2、6.4]μlのCy3-NHS、Cy5-NHS、Cy7-NHSのいずれかをそれぞれ4μLのAPTES溶液に添加し、撹拌又は振とう中に温度を37℃まで上昇さることによって合成した。APTES溶液は、最初に10μlのAPTESを990μlのEtOHに添加することによって調製した。例えば、[8、16、0]を符号化するナノ粒子タイプのバッチを生成するには、0.8μLのCy3-NHS、1.6μLのCy5-NHS、及び0μLのCy7-NHSを添加した。このようにして、上記の実施例に従って、例えば3色及び5レベルを使用して、任意の組み合わせを作製できる。10分後、38μlのH2O、続いてEtOHを添加し、温度を55℃まで上昇させた。EtOHの量は、次の添加後に1mLの最終反応容量に達するように設定し、激しく撹拌しながら、54μlのNH4OHを添加し、続いて38μlのTEOSを添加した。2時間後、NPを、EtOHを使用して3回、遠心分離することによって洗浄した。次に、NPを1mLのEtOHに再分散し、更に使用するまで4℃で保存した。
【0154】
得られたナノ粒子は、SEMで測定して66nm、DLSで測定して75nmの平均直径サイズを有した。
【0155】
一実施形態では、7プレックスで符号化されたNPシステムは、(32:0、32:8、32:16、32:32、16:32、8:32、0:32)の符号により、上記の方法を使用して合成した。
【0156】
別の実施形態では、15プレックスで符号化されたNPシステムは、(8:0:16、16:0:16、32:0:16、0:8:16.8:8:16、16:8:16、32:8:16、0:16:16、8:16:16、16:16:16、32:16:16、0:32:16、8:32:16、16:32:16、32:32:16)の符号により、上記の方法を使用して合成した。
【0157】
7プレックスシステムの絶対発光は、
図13に示され、対応する7プレックスシステムの発光マップは、
図14に示される。
【0158】
ナノ粒子コーティング
図3は、ナノ粒子をコーティングする一般的な概略図を示す。
【0159】
NP表面官能化は、100μLのNP(175mMのSi)をエタノール(248.5μL)、続いてH2O(226.5μL)を添加することによって行った。これに、水酸化アンモニウム溶液(20μL、2.8%、EtOHで1:10希釈)を添加した。最後に、11-アジドウンデシルトリエトキシシラン(10μL、THFで1:4希釈)を添加し、温度を撹拌中に37℃まで上昇させた。18時間後、NPを、THFを用いて3回、遠心分離によって洗浄した。次に、N3-NPを100μLのTHFに再分散し、更に使用するまで4℃で保存した。
【0160】
上記の官能化N3-NP(50μL)をH2O(112.6μL)、続いてDBCO修飾オリゴ(4μL、100μM、配列番号5)に添加した。温度を37℃まで上昇させた。1時間後、ADIBO-PEG4-酸(1.1μL、420mM)を添加した。2時間後、NPを、EtOHを使用して3回、遠心分離によって洗浄した。次に、NPを50μLのEtOHに再分散し、更に使用するまで4℃で保存した。
【0161】
別の実施形態では、上記の官能化されたN3-NP(50μL)をH2O(112.6μL)、続いてDBCO修飾オリゴ(4μL、100μM、配列番号5)及びADIBO-PEG4-酸(0.3μL、115mM))を添加した。5時間後、NPを、EtOHを使用して3回、遠心分離によって洗浄した。次に、NPを50μLのEtOHに再分散し、更に使用するまで4℃で保存した。
【0162】
図12は、このステップで到達したナノ粒子全体の概略図である。
【0163】
別の実施形態では、NP表面官能化は、100μLのNP(175mMのSi)をH2O(448μL)に添加することによって行った。これに、水酸化アンモニウム溶液(2μL、28%)、続いてmPEG5k-トリエトキシシラン(45μL、H2O中の20mM)及びN3-PEG5k-トリエトキシシラン(5μL、H2O中の10mM)を添加した。温度を、撹拌又は振とう中に75℃まで上昇させた。18時間後、NPを、H2Oを使用して3回、遠心分離によって洗浄した。次に、PEG-NPを100μLのH2Oに再分散し、更に使用するまで4℃で保存した。
【0164】
別の実施形態では、NP表面機能化は、100μLのNP(175mMのSi)をH2O(448μL)に添加することによって行った。これに、水酸化アンモニウム溶液(2μL、28%)、続いてmPEG2k-トリエトキシシラン(45μL、H2O中の20mM)及びN3-PEG5k-トリエトキシシラン(5μL、H2O中の10mM)を添加した。温度を、撹拌又は振とう中に75℃まで上昇させた。18時間後、NPを、H2Oを使用して3回、遠心分離によって洗浄した。次に、PEG-NPを100μLのH2Oに再分散し、更に使用するまで4℃で保存した。
【0165】
上記の官能化されたPEG-NP(30μL)をH2O(5μL)、続いてDBCO修飾オリゴ(5μL、100μM、配列番号5)に添加した。温度を37℃まで上昇させた。18時間後、NPを、H2Oを使用して3回、遠心分離によって洗浄した。その後、NPを300μLのH2Oに再分散し、使用するまで4℃で保存した。
【0166】
特に驚くべきことは、4000Da以上のPEG鎖を使用した場合、ナノ粒子分散液に対する安定性が提供されたが、オリゴは、標的部位に結合できなかったことである。しかしながら、短いPEG4鎖を使用した場合、安定性は、維持され、オリゴは、標的部位に結合することができた。
【0167】
図15は、ナノ粒子が、必須の安定性を必要としないコーティングを有する場合、どのようにそれらが凝集し、溶液から出て行くかを示す。一方、コーティングが適切な場合、それらは、溶液中で懸濁し、安定したままになる。
【0168】
ナノ粒子からRCPへのハイブリダイゼーション
RCPストック(30μL)は、120μLのSSC 1x緩衝液を、RCPストックを含有するPCRチューブ(200μL)に添加することによって、SSC 1x緩衝液(Invitrogen)で[1:5]希釈した。Superfrost-plusスライド(25×75×2mm、VWR)にダイヤモンドチップペンを使用して円をマークした。次に、4.5μLの希釈したRCP溶液を、マークを付けた円の上に滴として添加し、37℃のオーブンで5分間乾燥させた。乾燥したRCPを有するマークの付いた円は、200μLのPBS-tween20(0.01M、0.05%tween20、Invitrogen)をピペッティングすることによって洗浄し、洗浄ステップを2回繰り返し、マークの付いた円の周囲の領域を、マイクロファイバーティッシュを使用して清掃した。
【0169】
ハイブリダイゼーションチャンバ(Grace Bio-labs、Secure-sealハイブリダイゼーションチャンバ、直径8~9mm×深さ0.8mm)を、superfrost-plusスライド上の印を付けた円の上に取り付けた。次に、標識溶液を調製した。130.6μLのH2Oをエッペンドルフチューブ(1.5mL)、45μLのSSC緩衝液(4×、Invitrogen)に添加し、続いて溶液を最大設定で10秒間ボルテックスした。次に、1.8μLのAF750検出オリゴ(1μM、配列番号11)を添加し、続いて最大設定で10秒間ボルテックスした。上で調製されたオリゴ官能化ナノ粒子ストックを20秒間超音波処理した。オリゴ官能化ナノ粒子ストック(2.5μL)をエッペンドルフチューブに添加し、続いて最大設定で5秒間ボルテックスし、10秒間超音波処理し、最大設定で10秒間ボルテックスした。
【0170】
調製された標識溶液をハイブリダイゼーションチャンバに、チャンバがいっぱいになるまで(45~50μL)添加した。ハイブリダイゼーションチャンバの穴に、粘着性のプラスチックカバー(3M VHB)を取り付けた。次に、調製されたスライドをオーブン内で37℃にて1時間インキュベートした。インキュベーション後、ピンセットを使用してプラスチックカバーを取り外し、標識溶液を除去して、ハイブリダイゼーションチャンバを空にした。次いで、サンプルを以下の手順を使用して洗浄した。50μLのPBS-tween20緩衝液をハイブリダイゼーションチャンバに添加し、ピペットを使用して液体をチャンバに10回除去及び添加することによってチャンバを洗浄した。その後、PBS-tween20緩衝液を廃棄した。洗浄ステップを3回繰り返した。
【0171】
次に、ピンセットを使用してハイブリダイゼーションチャンバをsuperfrost-plusスライドから取り外した。スライドを段ボール箱で覆い、室温で5分間乾燥させた。次に、7μLのslowfade(Gold褪色防止用封入剤、Invitrogen)を、印を付けた円に添加し、カバーガラス(Menzel-Glaser 24×50mm #1,5)で覆った。
【0172】
画像取得
全ての蛍光顕微鏡イメージングは、外部LED光源(Lumencor SPECTRA X 光エンジン)を備えた標準的な落射蛍光顕微鏡(Zeiss Axio Imager.Z2)を使用して行った。顕微鏡のセットアップでは、フィルタパドル(395/25、438/29、470/24、555/28、635/22、730,50)を備えた光エンジンを使用した。画像は、対物レンズ20x(0.8NA、空気、420650-9901)及び5x(0.16NA、空気、420630-9900)を使用して、sCMOSカメラ(2048×2048、16ビット、ORCA-Flash4.0LT Plus、Hamamatsu)で取得した。このセットアップでは、クワッドバンドChroma 89402(DAPI、Cy3、Cy5)及びクワッドバンドChroma 89403(Atto425、テキサスレッド、AiexaFluor750)を含む波長分離用のフィルタキューブを使用した。全てのサンプルは、自動マルチスライドステージ(PILine、M-686K011)に取り付けた。ナノ粒子は、100ミリ秒の露出を使用して、Cy3及びCy5チャネルで画像化した。検出オリゴは、200ミリ秒の露出を使用して、AF750チャネルで画像化した。画像は、高さ5μm、スライス厚0.25μmのZスタックを使用して取得し、21スライスになった。全ての画像は、周囲の暗い顕微鏡室条件で撮影した。
【0173】
画像処理及びシグナル解読
典型的な画像及びシグナル解読手順を
図10に示す。画像は、ZEN3.2(ブルーエディション)ソフトウェア又はImageJを使用して分析した。一実施形態では、直交投影は、Zスタック画像からの最大投影法を使用して行った。別の実施形態では、平均投影法を使用して直交投影を行った。別の実施形態では、直交投影は行わず、代わりにシグナルスポットを3次元で分割し、シグナルを3次元空間で分析した。
【0174】
図10(a)は、全チャネル合成直交画像を示す。
図10(b)は、
図10(a)に示される白いボックス、及びその個々のチャネル(それぞれCy3、Atto425、及びCy7)に対応する拡大領域を示す。Cy3及びAtto425の蛍光シグナルは、ナノ粒子に由来し、Cy7シグナルは、共標識検出オリゴ(DO)に由来する。これら全てのチャネル(NP、DO)間の共局在化は、生体分子へのNP結合を確実にする方法として機能するため、偽陽性を除外するために使用できる。この場合、偽陽性は、非特異的に結合した粒子又は粒子の凝集体である可能性がある。
【0175】
一実施形態では、ナノ粒子タイプの固有性を解読するために、生体分子(RCP)に結合したナノ粒子のクラスターを含有する空間分解シグナルスポットについて、それぞれのチャネルで蛍光強度/プロファイルを測定した。単一のスポットを分析し、ナノ粒子タイプの固有性を光学的に解読する方法は、
図10(b)に拡大して示されている1つのスポット上に線プロファイルを描くことによって行われる。放射波長(取得チャネルCy3、Atto 425、及びCy7によって分離されている)並びに各チャネルからの強度プロファイルは、そのような線プロファイルから
図10(c)に示される。これらのプロファイルから、各チャネル及び対応するバックグラウンドシグナルについて、最大強度値を測定し、これは、強度プロファイルの下部の平坦な部分から平均化した。別の実施形態では、各チャネルの平均バックグラウンド強度(線プロファイル)は、シグナルスポットが見つからなかった領域から平均化した。次いで、最大強度からバックグラウンド強度を差し引くことによって発光強度を測定した。各波長の発光強度を分析することで、ナノ粒子タイプの固有性を解読できる。解読のためにCy3及びCy5をナノ粒子に組み込む上記の7プレックスシステムについて、上記の方法を使用して、各ナノ粒子タイプの10個のスポットからの発光強度を
図13にプロットする。
【0176】
別の実施形態では、ナノ粒子タイプの固有性を解読するために、1つのスポット上に線プロファイルを描く代わりに、スポットの周りに円を描いた。円内の各チャネルの最大強度を測定し、シグナルスポットが見つからなかった領域に配置された同等のスポットでバックグラウンドシグナルを平均化することによって、バックグラウンドシグナルを差し引いた。別の実施形態では、バックグラウンドシグナルは、円内の最小値を使用することによって平均化した。別の実施形態では、バックグラウンドシグナルは、第1の円の周りに第2の円を描き、第1の円からピクセル情報を取り除き、より大きい円からの残りのピクセル情報の平均強度を測定することによって平均化した。
【0177】
上記の7プレックスシステムからの発光マップは、ナノ粒子が、他の2つの発光色を参照するために使用できる3番目の発光色を含有する場合か、又は絶対発光が分析前に較正されている場合、
図14に示されるようにプロットできる。更に、発光マップは、式4
2-1=15に従って合計15プレックスシステムにつながる(2色、4つの強度レベル、ダークモードを差し引く)、7プレックスシステムの性能を外挿することによって区別できる8つの追加のナノ粒子符号を生成するために使用できる追加の固有性を示す。
【0178】
これは、
図16に示される滴定プロットによって更に裏付けられており、各フルオロフォアの取り込みを高精度で制御できることが示され、それは、
図14に示されるいかなる強度レベルも達成されることを意味する。
【0179】
2プレックス分子プローブで共標識された7プレックスナノ粒子ライブラリを備えた14プレックス検出システム
別の実施形態では、2つの検出オリゴを用いて、標識溶液を調製した。130.6μLのH2Oをエッペンドルフチューブ(1.5mL)、45μLのSSC緩衝液(4x、Invitrogen)に添加し、続いて溶液を最大設定で10秒間ボルテックスした。次に、1.8μLのAF750検出オリゴ(1μM、配列番号11)及びAtto425検出オリゴ(1μM、配列番号12)を添加し、続いて最大設定で10秒間ボルテックスした。上記で調製したオリゴ官能化ナノ粒子ストックを20秒間超音波処理した。オリゴ官能化ナノ粒子ストックをエッペンドルフチューブに添加し(7×2.5μL)、続いて最大設定で5秒間ボルテックスし、10秒間超音波処理し、最大設定で10秒間ボルテックスした。次いで、ナノ粒子からRCPへのハイブリダイゼーション、画像取得、処理、及びシグナル解読のプロセスを上記に従って適用した。結果は、上述され、
図10に示されるものと同じシグナル解読の原理を使用するナノ粒子の解読については
図13及び
図14に、2プレックスの検出オリゴ(分子プローブ)ライブラリと共標識された7プレックスのNPライブラリを組み合わせることによって確率された14プレックスシステムを示す、検出オリゴの解読について
図17に視覚化した。
【0180】
別の実施形態では、30プレックスシステムが、2プレックスの検出オリゴ(分子プローブ)ライブラリと共標識された上記の15プレックスのNPライブラリを組み合わせることによって達成される。
【0181】
オリゴ官能化及びその後のRCPへのハイブリダイゼーションについて説明した手順では、下の表に列挙される次の配列を使用した。
【表7】
【0182】
この書類で説明されている手順のために使用されるDBCOオリゴ、合成標的、及びパドロックプローブの核酸配列は、上の表に列挙されている。