(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152769
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電気構成要素を動作させるための制御方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/24 20060101AFI20241018BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241018BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20241018BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H02J3/24
H02J3/32
H02J3/14 160
H02J13/00 311R
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130151
(22)【出願日】2024-08-06
(62)【分割の表示】P 2022526527の分割
【原出願日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】1906325.4
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521480651
【氏名又は名称】オープン エネルギ リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ビロニュー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マッケイ,ジェームス
(57)【要約】
【課題】異なる2つの電力消費手段または発電手段において複数の構成要素が同時に関与することを可能にするために、電力供給網に結合される電気構成要素の動作を制御する。
【解決手段】
構成要素は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、且つ0~最大電力C
Dの電力レベルの範囲で動作可能であり、
(a)ある期間にわたって、基準線電力関数B(t)に従って、前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調整を行って構成要素を動作させ
(b)同時に、高速動作電力関数F(t)は前記基準値電力関数に重ねられ、高速動作電力関数F(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行うように、一定期間にわたって、構成要素を動作させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給網に接続される構成要素の動作を制御する方法であって、前記構成要素は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、且つ0~最大電力CDの電力レベルの範囲で動作可能であり、前記方法は、
(a)ある期間にわたって、前記構成要素を動作させるステップであって、前記期間内で、基準線電力関数B(t)に従って、前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調整を行う、動作させるステップと、
(b)同時に、さらに、高速動作電力関数F(t)に従って、前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行うように、前記一定期間にわたって、前記構成要素を動作させるステップであって、前記高速動作電力関数F(t)は前記基準値電力関数に重ねられる、動作させるステップと、を含み、
前記基準値電力関数B(t)は低速動作電力関数D(t)から導出され、前記基準値電力関数B(t)は、前記低速動作電力関数D(t)に等しくなるように設定され、ただし、前記D(t)が0または前記最大電力CDのいずれかの範囲δCD(δ≪1)の中にない条件で、等式は保持され、前記D(t)が前記範囲内にある場合、前記B(t)は、各々、δCDまたは(1-δ)CDのいずれかに設定され、前記低速動作電力関数D(t)に従って、前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う場合、前記構成要素は、前記網路の現行の電気料金の変動または前記網路の電力供給から直接もしくは間接的に導出できる値の変動から経済的な利益を得るだろう、また、
前記高速動作電力関数F(t)に従って前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度に行われる調節は、前記電力供給網を通じる発電量と消費電力との不均衡に応答して対処するような調節であり、これらの調整は前記最大電力CDよりもかなり小さい高い確率がある、という条件で設定される、方法。
【請求項2】
電力供給網に接続される非バッテリー構成要素の動作を制御する方法であって、前記構成要素は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、且つ0~最大電力CDの電力レベルの範囲で動作可能であり、前記方法は、
(a)内部に貯蔵されたエネルギー貯蔵量を示す前記構成要素の物理パラメータを監視するステップと、
(b)代理変数φ(0≦φ≦1)を前記測定された物理パラメータから導出するステップであって、前記代理変数φは、いずれかの時点で前記エネルギー貯蔵量に保持される貯蔵エネルギーのわずかな量を表す、導出するステップと、
(c)前記代理変数φが上限界値と下限界値との間の値を有する場合、低速動作電力関数D(t)に従って、前記構成要素の動作を制御するステップであって、前記低速動作電力関数D(t)に従って、前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う場合、前記構成要素は、前記網路の現行の電気料金の変動または前記網路の電力供給から直接もしくは間接的に導出できる値の変動から経済的な利益を得るだろう、制御するステップと、
(d)前記代理変数φが前記上限界値または前記下限界値の範囲外にある値を有する場合、前記パラメータを前記上限界値と前記下限界値との間の値に戻すことに従う動作電力で前記構成要素を動作させるステップと、
を含む、方法。
【請求項3】
代理変数φ(0≦φ≦1)は前記構成要素のために導出され、前記代理変数は、いずれかの時点で前記エネルギー貯蔵量に保持される前記貯蔵エネルギーのわずかな量を表し、前記測定された物理パラメータから導出され、それによって、構成要素動作の限界値は前記代理変数に関して定義される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記構成要素は発電機である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記構成要素は負荷である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
電力供給網(18)に接続される構成要素(14)の動作を制御するためのシステムであって、前記構成要素(14)は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、且つ0~最大電力CDの電力レベルの範囲で動作可能であり、前記システムは、
前記構成要素(14)の動作の直接制御を働かせ、処理パラメータを監視するように構成される工業プロセス制御器(20)と、
低速動作電力関数D(t)を導出するように構成されるセントラル需要サーバー(30)であって、前記低速動作電力関数D(t)に従って、前記構成要素(14)と前記供給網(18)との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う場合、前記構成要素(14)は、前記網路の現行の電気料金の変動または前記網路(18)の電力供給から直接もしくは間接的に導出できる値の変動から経済的な利益を得るだろう、セントラル需要サーバー(30)と、
前記網路(18)を通じて供給される電力の不均衡を示す信号を提供するように構成されるインジケータ(28)と、
前記工業プロセス制御器(20)及び前記構成要素(14)に関連付けられるローカルデバイス制御器(26)であって、
前記網路(18)を通じて前記インジケータ(28)から供給される電力の不均衡を示す前記信号を受信し、前記低速動作電力関数D(t)を前記セントラル需要サーバー(30)から受信することと、
基準値電力関数B(t)を前記低速動作電力関数D(t)から導出することであって、前記基準値電力関数B(t)は、前記低速動作電力関数D(t)に等しくなるように設定され、ただし、前記D(t)が0または前記最大電力CDのいずれかの範囲δCD(δ≪1)の中にない条件で、等式は保持され、前記D(t)が前記範囲内にある場合、前記B(t)は、各々、δCDまたは(1-δ)CDのいずれかに設定される、基準値電力関数B(t)を前記低速動作電力関数D(t)から導出することと、
高速動作電力関数F(t)を、前記網路(18)を通じて供給される電力の不均衡を示す前記信号から導出することと、
前記工業プロセス制御器(20)に、前記構成要素(14)を動作させる命令を提供し、前記基準値電力関数B(t)に重ねられる前記高速動作電力関数F(t)に従って、前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行うことと、を実施するように構成される、ローカルデバイス制御器(26)と、
を備える、システム。
【請求項7】
電力供給網(18)に接続される構成要素(14)の動作の直接制御を働かせるように構成される工業プロセス制御器(20)に関連付けられるローカルデバイス制御器(26)であって、前記構成要素(14)は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、且つ0~最大電力CDの電力レベルの範囲で動作可能であり、前記ローカルデバイス制御器(26)は、
前記網路(18)を通じてインジケータ(28)から供給される電力の不均衡を示す信号を受信し、低速動作電力関数D(t)をセントラルサーバー(30)から受信することと、
基準値電力関数B(t)を前記低速動作電力関数D(t)から導出することであって、前記基準値電力関数B(t)は、前記低速動作電力関数D(t)に等しくなるように設定され、ただし、前記D(t)が0または前記最大電力CDのいずれかの範囲δCD(δ≪1)の中にない条件で、等式は保持され、前記D(t)が前記範囲内にある場合、前記B(t)は、各々、δCDまたは(1-δ)CDのいずれかに設定される、基準値電力関数B(t)を前記低速動作電力関数D(t)から導出することと、
高速動作電力関数F(t)を、前記網路(18)を通じて供給される電力の不均衡を示す前記信号から導出することと、
前記工業プロセス制御器(20)に、前記構成要素(14)を動作させる命令を提供し、前記基準値電力関数B(t)に重ねられる前記高速動作電力関数F(t)に従って、前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行うことと、を実施するように構成され、
前記低速動作電力関数D(t)は、前記関数D(t)に従って、前記構成要素と前記供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う場合、前記構成要素(14)は、1日の流れの中で、前記網路によって分配される電気の料金の変動から経済的な利益を得るように導出される、制御器。
【請求項8】
前記構成要素(14)は発電機である、請求項7に記載の制御器。
【請求項9】
前記構成要素(14)は負荷である、請求項7に記載の制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる2つの電力消費手段または発電手段において複数の構成要素が同時に関与することを可能にするために、電力供給網に結合される電気構成要素(発電機及び負荷の両方)の動作を制御するように適応する方法及びシステムに関する。特に、ピーク価格期間中または他の何らかの理由で罰金が発生する期間中、エネルギーを貯蔵するためのいくつかの機構を有し、ひいては、エネルギー消費量を最小にするように動作する傾向があるタイプの電気負荷に関連がある。同様に、電力を蓄えて保持することが可能であり、収益を最大にするために、生成された電力が網路に給送される時間をスケジュールすることを可能にする発電機に関連がある。本発明は、係る実施が、電気の供給と需要を調整することを補助するサービスの設備と互換性があることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
いずれかの電力配電網では、網路に供給される電力を、網路から取られる電力と調整することが重要である。いずれかの不均衡は、短期間でさえも、電力伝達の効率性の低下、電力供給の予測不可能な変動から、停電等のより深刻な影響にわたる様々な問題が生じる可能性がある。
【0003】
英国のNational Grid等の現在の配電網は、十分に精密に秒単位で調整する。発電量と、網路の負荷による消費電力量とのいずれかの不均衡は、意図されるその設定値からの電力供給の動作特徴の逸脱において明らかである。係るパラメータを監視することは、不均衡を検出する、ひいては、補正することを可能にする。通常、そのパラメータは、この目的のために監視されるGridによって供給される電力の周波数である。英国では、電気の幹線は50Hzで供給される。網路の負荷の集合体が供給される量よりも多い電力を取る場合、周波数は低下する。大まかに言えば、この影響は、発電機の負荷の増加により発電機をより遅く動作(回転)させるときに理解できる。逆に、不均衡が過剰発電によって生じる場合、周波数は公称値50Hzを上回って上昇する。
【0004】
電力網の不均衡をもたらし得るいくつかの要因がある。それらの要因は、供給側にあり得る(例えば、発電機における技術的問題が生じる)、または、需要側にあり得る(例えば、テレビ中継されているスポーツイベント中の需要の急増が生じる)。いずれの場合、生成または消費される電力を調節させることによって、補正は適用され得る。概して、供給側で補正するために、網路は、要求に応じて、送電網とオンラインになることができるまたは未接続になることができるアセット(発電機)のバックアップシステムに利用可能になっている。需要側で、網路は、さらに、網路の選択された少なくとも1つの負荷が異なる電力レベルで動作できる機構を有する。応答は動的であり得、動作周波数の秒単位の変化に応答して動作する、または非動的であり得、通常、所定の周波数偏差に応答してトリガされる個別のサービスである。英国では、Gridの網路の調整サービスを行うプロバイダは、自ら周波数偏差の監視を実施する。他の管轄では、網路オペレータ自体は、不均衡の信号を監視し、プロバイダと通信し、要求される調整サービスを直接示す。金銭的インセンティブは、網路オペレータによって、調整サービスの提供を準備しているまたはそれが可能である発電機及び負荷にもたらされる。
【0005】
100%の石炭を燃料とする発電から再生可能エネルギーへの移行に伴い、予測可能な供給レベルを維持する課題はより困難になる。概して、発生する可能性が比較的低い故障の場合だけ、発電所はオフラインになるであろうが、再生可能資源は根本的に信頼性が少ない。風が少ない場合、風力発電基地は生産性が低い。特に、強風の場合、風力発電基地は停止する必要もある。曇りの場合、太陽光発電の発電量は減り、水力発電も天候に依存する。供給レベルは需要と同様であるため、予測するのがより困難になる。これは、配電網の需要側によって提供される調整の要求の増加を促している。全体的に、不均衡に急速に応答する順応性がある調整システムの必要性がある。
【0006】
実用レベルで、送電網は、電力調節のための様々な機構を組み込む必要がある。本発明に関して、完全可変の消費電力で動作可能であるその機構の構成要素間の区別が示される。構成要素として、例えば、バッテリー及びその2値素子(2つの電力レベル(オン及びオフ)だけで動作できる冷凍装置等)が挙げられる。これらの構成要素は両方とも調整サービスを送電網に提供できるが、機構が異なる。
【0007】
バッテリーシステムを使用する1つの電力調節機構は、米国特許出願公開第2016/0013676号明細書に説明されている。公称値からの網路周波数の偏差に対処するために、バッテリーは網路に供給される電力(または網路から取り出される電力)を増加または減少させる。バッテリーは、電荷ひいてはエネルギーを内部に貯蔵する容量を有する。したがって、バッテリーの充電状態(SoC)の測定値は、網路不均衡に応答して、バッテリーの可用性の指標を提供する。概して、バッテリーの充電状態が所定の範囲外に変化しない場合、周波数応答サービスに関与するバッテリーは、このサービスを連続的に提供する。
【0008】
別の機構は、性能が著しく低下することなく、減少した電力で短期間に動作できる負荷のグループによって提供され得る。通常、利用可能である応答性負荷のサブグループの応答の集合は、供給及び需要の調整に寄与する。サブグループは、電力の減少は制限期間にだけ個々の負荷から要求されるように選択される。この機構は、電気アセットのポートフォリオが、グループとして応答サービスに関与することを可能にするが、個々のアセット自体は、係るサービスを提供するために送電網によって設定された技術基準を満たさない。
【0009】
周波数応答サービスのバイナリ負荷の関与を容易にする例示的な方法は、英国特許出願公開第2361118号明細書、国際公開第2006/128709号、及び国際公開第2013/017896号(「Open Energi社のFFRアルゴリズム」)に説明されている。これらの文献の全てにおいて、バイナリ負荷の大きいグループの中から、どの負荷がいずれかの所与の時間で必要な応答を提供するかを決定するために使用され得る選択アルゴリズムが説明されている。負荷のグループは、外部制御から独立して動作する自律デバイスに制御される。制御デバイスが送電網周波数の不均衡を検出するとき、制御デバイスは、網路にわたって検出される不均衡に対処するために統合される電気負荷によって消費される電力を変化させる。負荷内に貯蔵されたエネルギーが変化することが可能になることによって、消費電力は変化する。すなわち、各負荷は、負荷のデューティサイクルに対して変動するエネルギー貯蔵容量を有する。電気負荷のエネルギー貯蔵容量は、電気負荷の動作性能をかなり損なうことなく、負荷のエネルギー消費量の不定期の調節を可能にする。電気負荷ごとに、エネルギー貯蔵容量の閾値は、電気負荷が応答性負荷サービスに寄与するのに利用可能であるとき適用される。
【0010】
上記の先行技術のアルゴリズムを用いると、網路の不均衡の検出に応答して応答性負荷サービスを送達するための電気負荷の選択は、制御デバイスによって各負荷に割り当てられる閾値をトリガする周波数を使用することによって行われる。閾値は時間とともにスムーズまたは個々に変動し得、応答が要求される時点で負荷に貯蔵されたエネルギー量、負荷が応答性負荷サービスを提供するために最後に要求されてからの経過時間、及び送電網周波数の最近の変動の性質等のいくつかの要因を考慮して、閾値は決定され得る。
【0011】
調整サービスに関与するのに利用可能である電気構成要素の数及び種類が多くなるにつれて、サービスに配電網を提供することと、各構成要素の通常の動作挙動に及ぼすいずれかの悪影響を最小にすることとのバランスを良好にとることができる。さらに、大量の電力を電力供給網から取る多くの工業プロセスがあり、これらが応答性負荷サービスを提供する機会を与え得る場合、網路の利益はかなりもたらされるだろう。
【0012】
しかしながら、送電網に接続され得るいくつかの構成要素の周波数応答サービスを実施するのに深刻な経済障壁があり、それは電気料金設定戦略によって生じる。例えば、その戦略は、概して、負荷があるピークの時刻で電気を消費するのによりコストがかかる。これは、エネルギー貯蔵量を貯蔵することが可能であるタイプの多くの負荷が、「ピーク価格回避」または「収益の積み重ね」の挙動に関与することを促進している。すなわち、その戦略は、貯蔵エネルギーがその最大許容値に向かって増加することを可能にするために、ピーク期間の直前にその消費電力を増加させる。ピーク期間中、これらのエネルギーの貯蔵量は、電力よりもむしろ網路から取られる。ピーク期間中に電気消費量の減少は、負荷を動作する経済コストの全体的な減少を可能にする。
【0013】
蓄えて貯蔵されるエネルギー量が変動することが可能であるその発電器のタイプに関して、同様の考察が生じる。例えば、多くの場合、バッテリーのエネルギー貯蔵容量を活用して、電力供給を行うために最も金銭的に利点がある時点で電力が網路に供給されることを確実にすることが望ましく、負荷と同様に、これは、周波数応答サービスの動作と互換性がないと考えられる。
【0014】
米国特許出願公開第2016/0013676号明細書の先行技術のバッテリー貯蔵システムでは、バッテリー充電状態が、応答サービスが提供され得る範囲内に維持される可能性がより高くなる基本周波数応答サービスの改善が説明されている。これは、バッテリーの充電状態が中央範囲から離れるとき、バッテリーを充電/放電することを可能にすることによって、また、充電動作または放電動作の電力レベルの周波数応答調節を行うことによって実現する。しかしながら、これは、内部管理システムであり、ストレージバッテリーへの適用を制限しており、理想的な充電状態の管理で周波数応答サービスを提供する影響を考慮していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0013676号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2361118号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/128709号
【特許文献4】国際公開第2013/017896号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
同時に、いくつかの他の電力消費スキームに従って動作する構成要素の関与を可能にする網路不均衡に応答するシステムの代替の実施手段の必要性が分かる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、状況に応じて、電力供給網に接続される構成要素の動作を制御する方法を提供し、構成要素は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかである。本方法は、
(a)一定期間にわたって、構成要素を動作させるステップであって、一定期間内で、基準値電力関数B(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う、動作させるステップと、
(b)同時に、さらに、高速動作電力関数F(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行うように、一定期間にわたって、構成要素を動作させるステップであって、その結果、高速動作電力関数F(t)は基準値電力関数に重ねられる、動作させるステップと、を含み、
基準値電力関数B(t)は低速動作電力関数D(t)から導出され、低速動作電力関数D(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う場合、構成要素は、網路の現行の電気料金の変動または網路の電力供給から直接もしくは間接的に導出できる値の変動から経済的な利益を得るだろう、また、
高速動作電力関数F(t)に従って構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度に行われる調節は、例えば、電力供給網を通じる発電量と消費電力との不均衡に応答して対処する調節である。
【0018】
本発明を用いて、高速動作電力関数F(t)は基準値電力関数B(t)に重ねられ、さらには、基準値電力関数B(t)は低速動作電力関数D(t)から導出される。これは、構成要素(発電機または負荷)が異なる2つの電力消費手段を同時に従うことを可能にし、低速動作電力関数D(t)から逸脱するコストが許容可能であるように、基準値関数B(t)を決定する。具体的には、低速動作電力関数D(t)は、電力市場の範囲内の金銭力によって決定される。例えば、その値は現行価格であり得、ピーク価格の回避等の手段につながる。代替として、その値は、網路の契約上の義務を違反する負荷オペレータに課される罰金額等の市場デリバティブに基づき得る。次に、負荷オペレータは、その罰金の公開を回避または減らす動作を試み及び制限する。
【0019】
0~最大電力CDの電力レベルの範囲で動作可能である可変速の発電機または負荷に関して、網路不均衡に応答する調節が最大電力CDよりもかなり小さい高い確率があるという条件で、基準値電力関数B(t)は低速動作電力関数D(t)に等しくなるように設定され得る。さらに、D(t)が0または最大電力CDのいずれかの範囲δCD(δ≪1)の中にない場合、B(t)は低速動作電力関数D(t)に等しくなるように設定され得、D(t)がこの範囲内にある場合、B(t)は、各々、δCDまたは(1-δ)CDのいずれかに設定される。
【0020】
本発明の方法の代替の実施形態は、「オフ」または「オン」のいずれかであり、ひいては、2つの電力レベル(0及びCD)だけで動作可能である2値素子で実施するためのものである。2値素子のそれぞれは網路不均衡に応答するサービスを提供するように一緒に動作する構成要素のグループの1つであり、応答の役割は、各構成要素が高確率で応答サービスだけを断続的に提供するように、グループの周りに分配される。本実施態様では、基準値電力関数B(t)は、低速動作電力関数D(t)及びまた高速動作電力関数F(t)の過去値の両方から導出される。
【0021】
本実施形態を用いて、期間は、好ましくは、連続する一連の決定期間を含み、決定期間k=1~Nごとに、決定期間にわたる低速動作電力関数D(t)の平均値Dkの決定に続いて、基準値関数B(t)は複数のステップを使用して導出され、複数のステップは、
(a)決定期間Tkを連続する一連の部分区間に分割するステップと、
(b)部分区間期間sm(m=1~M)のそれぞれで、部分区間期間smの開始点において、構成要素は網路不均衡に応答しないステップであって、
(i)その部分区間期間の開始点の前に、構成要素と供給網との間の平均合計電力伝送量Pkを決定することと、
(ii)部分区間の前に、ステップ(b)の(i)で決定された平均合計電力伝送量Pkを、決定期間にわたる低速動作電力関数D(t)の平均値Dkと比較することと、
(iii)Pk>Dkの場合、その部分区間で基準値関数B(t)をゼロに設定し、Pk<Dkの場合、その部分区間で基準値関数B(t)を最大電力CDに設定することと、を行う、応答しないステップと、を含む。
【0022】
このように、全ての過去の部分区間の消費電力への寄与を考慮する方法によって、一連の部分区間ごとにB(t)の値を決定することによって、F(t)の影響は軽減する。したがって決定期間にわたって、理想的な低速動作電力関数からの逸脱は、単一の部分区間で示される逸脱に限定される。
【0023】
さらに、部分区間期間smの開始点において、構成要素が網路不均衡に応答する場合、部分区間期間smの基準値電力関数B(t)は、好ましくは、直前の部分区間sm-1の基準値電力関数B(t)と同じ値に設定される。
【0024】
第2の態様では、本発明は電力供給網に接続される構成要素を動作させる方法を提供し、本方法は、電力関数P(t)に従って、構成要素と電力供給網との間でエネルギーを伝送する速度を調節することを含み、電力関数は2つの成分(高速動作電力関数F(t)及び基準値電力関数B(t))を含み、基準値関数B(t)は以下のステップによって導出され、当該ステップは、
(a)決定期間Tkにわたって、低速動作電力関数D(t)の平均値Dkを導出するステップと、
(b)決定期間Tkを連続する一連の部分区間sm(m=1~M)に分割するステップと、
(c)部分区間期間sm(m=1~M)のそれぞれで、
(i)部分区間期間smの開始点においてF(t)≠0の場合、その部分区間でB(t)の値を不変のままにし(Bm=Bm-1)、そうでなければ、
(ii)部分区間期間Tkの範囲内で及びその部分区間期間smの開始点の前に、構成要素と供給網との間の平均合計電力伝送量Pkを決定することと、
(iii)部分区間smの前に、ステップ(c)の(ii)で決定された平均合計電力伝送量Pkを、決定期間にわたる低速動作電力関数D(t)の平均値Dkと比較することと、
(iv)Pk>Dkの場合、部分区間で基準値関数Bmをゼロに設定し、Pk<Dkの場合、部分区間で基準値関数Bmを最大電力CDに設定し、そうでなければ、部分区間で基準値関数を不変のままにする(Bm=Bm-1)ステップと、を含む。
【0025】
電力供給網に接続される非バッテリー構成要素の動作を制御する方法であって、構成要素は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、本方法は、
(a)内部に貯蔵されたエネルギー貯蔵量を示す構成要素の物理パラメータを監視するステップと、
(b)代理変数φ(0≦φ≦1)を測定された物理パラメータから導出するステップであって、代理変数φは、いずれかの時点でエネルギー貯蔵量に保持される貯蔵エネルギーのわずかな量を表す、導出するステップと、
(c)代理変数φが上限界値と下限界値との間の値を有する場合、低速動作電力関数D(t)に従って、構成要素の動作を制御するステップであって、低速動作電力関数D(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う場合、構成要素は、網路の現行の電気料金の変動または網路の電力供給から直接もしくは間接的に導出できる値の変動から経済的な利益を得るだろう、制御するステップと、
(d)代理変数φが上限界値または下限界値の範囲外にある値を有する場合、パラメータを上限界値と下限界値との間の値に戻すことに従う動作電力で構成要素を動作させるステップと、を含む。
【0026】
負荷内に貯蔵されたエネルギーの指標として代理変数を使用して、構成要素の消費電力の調整を構成要素動作の詳細知識による調整とは別にすることを可能にする。このように、代理変数はバッテリー充電状態と類似する。これは、消費電力関数をあらゆる種類の発電機及び負荷に適用する際に優れた順応性をもたらす。さらに、代理変数モデルは、2つ以上のパラメータを適切に使用して、構成要素のエネルギー貯蔵量の指標を提供するべきであるシステムに適用されるときに順応性がある。そのような場合、全部の代理変数は、各々の個々のパラメータの代理変数の積として定義され得る。
【0027】
代替の態様では、本発明は、電力供給網に接続される構成要素の動作を制御する方法を提供し、構成要素は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、本方法は、
(a)内部に貯蔵されたエネルギー貯蔵量を示す構成要素の物理パラメータを監視するステップと、
(b)上記に記載した方法に従って、パラメータが上限界値と下限界値との間の値を有する場合、構成要素の動作を制御するステップと、
(c)パラメータが上限界値または下限界値の範囲外にある値を有する場合、パラメータを上限界値と下限界値との間の値に戻すことに従う動作電力で構成要素を動作させるステップと、を含む。
【0028】
本態様では、本発明は、2つの電力消費手段に従った構成要素の同時の動作が、構成要素をその許容可能パラメータ以外で動作させないことを確実にするための便利なアプローチを提供する。
【0029】
好ましくは、本方法は代理変数の使用に基づく。代理変数φ(0≦φ≦1)は構成要素のために導出され、代理変数は、いずれかの時点でエネルギー貯蔵量に保持される貯蔵可能エネルギーのわずかな量を表し、測定された物理パラメータから導出され、それによって、構成要素動作の限界値は代理変数に関して定義される。
【0030】
別の態様では、本発明は、電力供給網に接続される構成要素の動作を制御するためのシステムを提供し、構成要素は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、本システムは、
構成要素の動作の直接制御を働かせ、処理パラメータを監視するように構成される工業プロセス制御器と、
低速動作電力関数D(t)を導出するように構成されるセントラル需要サーバーであって、低速動作電力関数D(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う場合、構成要素は、網路の現行の電気料金の変動または網路の電力供給から直接もしくは間接的に導出できる値の変動から経済的な利益を得るだろう、セントラル需要サーバーと、
網路を通じて供給される電力の不均衡を示す信号を提供するように構成されるインジケータと、
工業プロセス制御器及び構成要素に関連付けられるローカルデバイス制御器であって、
網路を通じてインジケータから供給される電力の不均衡を示す信号を受信し、低速動作電力関数D(t)をセントラル需要サーバーから受信することと、
基準値電力関数B(t)を低速動作電力関数D(t)から導出することと、
高速動作電力関数F(t)を、網路を通じて供給される電力の不均衡を示す信号から導出することと、
工業プロセス制御器に、構成要素を動作させる命令を提供し、基準値電力関数B(t)に重ねられる高速動作電力関数F(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行うことと、を実施するように構成される、ローカルデバイス制御器と、を備える。
【0031】
別の態様では、本発明は、電力供給網に接続される構成要素の動作の直接制御を働かせるように構成される工業プロセス制御器に関連付けられるローカルデバイス制御器を提供し、構成要素は内部にエネルギーを貯蔵することが可能であるタイプの発電機または負荷のいずれかであり、ローカルデバイス制御器は、
網路を通じてインジケータから供給される電力の不均衡を示す信号を受信し、低速動作電力関数D(t)をセントラルサーバーから受信することと、
基準値電力関数B(t)を低速動作電力関数D(t)から導出することと、
高速動作電力関数F(t)を、網路を通じて供給される電力の不均衡を示す信号から導出することと、
工業プロセス制御器に、構成要素を動作させる命令を提供し、基準値電力関数B(t)に重ねられる高速動作電力関数F(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行うことと、を実施するように構成され、
低速動作電力関数D(t)は、この関数D(t)に従って、構成要素と供給網との間でエネルギーを伝送する速度の調節を行う場合、構成要素は、1日の流れの中で、網路によって分配される電気の料金の変動から経済的な利益を得るように導出される。
【0032】
ここで、本発明は、ほんの一例として、添付図を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明に従った電力消費手段で動作し得る応答性負荷を組み込む電力供給システムを示す。
【
図2a】周波数応答サービスを供給網に提供する、負荷デバイスまたはデバイスのグループの集合に関する消費電力対の時間の代表的なグラフである。
【
図2b】ピーク価格の回避を実施する負荷デバイスに関する消費電力対の時間の代表的なグラフである。
【
図3】電気負荷のデュアル電力消費手段を実施することに関わる処理ステップを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
全体的に10で示される電力供給システムは
図1に示される。電力供給システム10は、1つ以上の電力発電機12及び複数の電気負荷14、16を含む。電力発電機12は、電気エネルギーを電気負荷14,16に電力配電網18(以後、「網路18」)を介して供給する。
【0035】
この特定の実施形態では、発電機は、本発明に従って、サービスを提供すると考えられない。これは、その発電機が役に立たないのではなく、単に便宜上のためである。発電機が適切な性能基準を満足する場合、その発電機とともに本発明を実施することが可能であることは当業者には明らかである。しかしながら、以下では、説明は負荷動作に注目する。
【0036】
図1に一緒に表されるが、いくつかの電力発電機12は同じタイプと考えられない。一方は石炭発電所であり得、他方は風力発電基地、水力発電機、または発電し電気を網路に供給することが可能であるいくつかの既知のシステムのいずれかであり得る。概して、各発電機は、設定した電気量を網路に供給するために網路マネージャーと連携する。この設定量は、送電網にある程度の調整を提供するために、発電機の契約要求事項に従って調節され得る。
【0037】
さらに、電気負荷14,16は本来異なる。概して、それらの電気負荷は要求に応じて電力を送電網から取り、制限されたサブセットだけで、応答サービスを提供し、網路不均衡に対処することが可能である。しかしながら、能力がある電気負荷は、個別に、または応答性負荷サービスをまとめて提供するために動作する複数の負荷の集合体として適応し得、そのサービスは、網路の供給及び需要の調整することを補助するように適応する。
【0038】
電気負荷について、本発明は、主に、かなり電力消費する負荷に関する。これは、例えば、工業プロセス、電気自動車、及び加熱システムならびに冷却システムを含む。しかしながら、本発明は、電気消費を少なくする負荷が実装できなく、全く、係る負荷の経済的利益がコストを上回る可能性が低くなる技術的な理由がない。
【0039】
コストが高いときに送電網から取られる電力を最小にする電気負荷に関して、明らかに金銭的インセンティブがある。ピーク期間の直前に消費が増加する結果として、内部に何らかの形態でエネルギーを貯蔵する容量を有する負荷は、ピーク価格期間中、蓄積されているエネルギー貯蔵量を利用することが可能である。電力を送電網に供給するバッテリーの能力を保持しながら、バッテリーが保持する充電レベルの変動を可能にするバッテリーが簡単な例として挙げられる。別の例として、公称設定点を中心とする範囲内で建物温度を維持する建物管理システム(BMS)が挙げられる。したがって、そのシステムは、建物温度がこの範囲の最小値を上回る場合、エネルギーを貯蔵すると考えることできる。
【0040】
図1に示される負荷14,16は、エネルギーを貯蔵する容量を有する工業プロセス負荷である。他の複数の負荷及び負荷のタイプは当然ながら網路にも接続され得るが、これらは図に示されない。工業プロセス負荷14,16は、全て、ローカル工業プロセス制御器20,22に関連付けられる。工業プロセス制御器20,22は、概して、負荷の動作を制御及び監視する役割がある。この目的を達成するために、工業プロセス制御器20,22は、適切に位置付けられる検出器24を含む、または検出器24と通信し、検出器24は、負荷内に貯蔵されたエネルギー貯蔵量を示すパラメータを監視するように構成される。これにより、プロセス制御器によって、エネルギー貯蔵量がプロセス全体にわたる許容範囲内に維持されることを確実にすることを可能にする。
【0041】
検出器24の細部は負荷14を提供する特定の工業プロセスに依存する。検出器24は、必ず、負荷特性、具体的には、エネルギーを負荷に貯蔵する形態に依存するパラメータを測定するように適応する。上記の例を使用して、バッテリーは、バッテリーを充電または放電する電圧の観察から、瞬時充電状態(SoC)を推察するように適応する制御器を有する。他方では、建物管理システムの検出器24は、温度計、熱電対、または制御されている建物の温度を測定する同様のデバイスを含む。2つ以上のパラメータがエネルギー貯蔵量の信頼性の高い指標を提供する必要がある他の工業プロセス負荷を用いると、工業プロセス制御器20,22のそれぞれに関連付けられる2つ以上の検出器24を有するのが適切になり得る。
【0042】
図1に示される2つのタイプの負荷と制御器との差は、第1のタイプ14,20が網路18に提供されている応答性負荷サービスに関与するように適応することである。他の負荷16、22は関わらない。本実施形態では、応答性工業用負荷14は、サービスをまとめて提供する応答性負荷のグループの中のバイナリ負荷であることが想定される。グループ内の負荷14は同じであり得る、または異なり得る。グループ構成要素の細部に関係なく、不均衡に対する応答を要求するときいつでも、単一の負荷または負荷のサブグループは、グループの代わりに、応答を提供することが要求される。どの特定の負荷またはどの負荷のサブグループがいつでも応答を提供するかを決定するために採用され得る先行技術で既知である多くの選択アルゴリズムがある。上述の非限定例は、Open Energi社のFFRアルゴリズムによって提供される。各負荷に行われた過去の応答要求、負荷内部パラメータ、及び網路で検出された不均衡の程度に基づいて、選択が行われ得る。これらのアルゴリズムの細部は、その影響を受けるほど、本発明にはとても重要ではない。大部分は、負荷のグループ全体の中で応答要求を均等に分配しようとし、各々の負荷のそれぞれが正常の動作性能の低下の観点から、同様のコストが生じることを確実にする。係る状況では、一般的な応答性負荷「スイッチ」の期間、すなわち、網路不均衡の結果として、ポートフォリオ内の特定の負荷がその消費を調節するのに必要な時間は数分かかる。
【0043】
本発明とともに使用するのに適切なバイナリ負荷動作のためのアルゴリズムは、要求の均等な分配の推論として、いずれかの「決定」期間内に個々の負荷のそれぞれの低い利用度の影響をもたらすアルゴリズムである。これに関連して、決定期間は、一般的な応答性負荷スイッチの期間よりも長い期間であるが、1日(24時間)よりもかなり短い。例えば、30分の決定期間はFFRに適切である。長期間(多くの決定期間)にわたるバイナリ負荷のポートフォリオに関して、全体的に応答サービスのためにグループに行われた要求は、常に、グループの総電気消費量のほんのわずかな量である。いくつかの他の低速動作電気消費手段と一緒に応答サービスを実施することを可能にする本発明は、さらに、個々の負荷が応答サービスを提供することが要求されるいずれかの決定期間内の時間のわずかな期間が短くなることが要求される。これは、上述の先行技術に説明されるアルゴリズムに当てはまるが、一般的ではない。
【0044】
非バイナリ負荷または可変速負荷に関して、要件は異なる。係る負荷は、その動作電力を連続的に調節し、網路不均衡に対処する。したがって、その負荷は、各負荷が応答を断続的に提供することだけが要求される負荷のポートフォリオの一部ではない。むしろ、この場合の低利用条件は、常に、負荷の総電気消費量のほんのわずかな量を使用して、応答サービスを提供することである。
【0045】
応答性負荷14及び工業プロセス制御器20のそれぞれはローカル応答性負荷制御器26に関連付けられる。応答性負荷制御器26はプロセス制御器20に接続され及びそれと通信し、それらは共同して働く。ローカル応答性負荷制御器26は周波数モニタ28を含みまたは周波数モニタ28に接続され、周波数モニタ28は、網路によって供給される電力周波数を監視するように適応する。用語「ローカル」は、制御器26が、制御されている負荷14の物理的に近くにある、またはさらに負荷14と一体であることを示すために使用される。網路18の不均衡に秒単位で応答することが意図される構成要素を用いて、通信遅延を最小にすることが重要である。いくつかの実施形態(図示しない)では、複数の電気負荷14は、単一の負荷制御器26によって、グループとしてまとめて制御され得る。
【0046】
現在、周波数の一時的な変動を監視することは、網路18にわたって電力供給の不均衡を検出する好ましいアプローチであるが、網路18にわたって供給される電力の不均衡を表す電力供給網18の他の特徴の変動を検出するように適応する代替のモニタが想定され、周波数モニタ28の代わりになり得る。米国のPJM配電網及び豪州のAEMO網等の市場に適切な代替の実施形態では、周波数モニタ28は受信機に取り換えられ得る。これらの網路の両方は、網路オペレータが不均衡を検出することを自己監視する。不均衡の程度または少なくとも要求される補正の程度を決定するアルゴリズムは、送電網周波数が公称値からどの程度逸脱しているかを簡単に監視することよりも複雑になり得る。例えば、周波数の変化率を考慮する要因を含み得る。しかしながら、いったん不均衡が検出されると、網路は、それに応答して、消費電力を調節することが要求されるいずれかの負荷に信号を送信する。本発明は、高確率で、いずれかの個々の負荷が、決定期間内のほんのわずかの時間に応答サービスだけを提供することが要求されることを確実にするいずれかの応答性アルゴリズムが実装され得る。
【0047】
ローカル負荷制御器26は、負荷消費電力に関するコマンドを工業プロセス制御器20に送信するように適応する。これが消費電力の調節を要求する場合、どんな理由であれ、これは、負荷エネルギー貯蔵量が許容可能な動作範囲内に維持される条件で、プロセス制御器20によって実施され得る。負荷エネルギー貯蔵量がこの範囲外である場合またはローカル負荷制御器26によって要求される消費電力の調節がこの範囲外であることが分かった場合、工業プロセス制御器20はローカル負荷制御器26の信号に応答しなく、次に、負荷14を独立して動作させる。さらに、それは、ローカル負荷制御器26に、負荷14が応答性負荷サービスを提供するのに利用可能ではないことの信号を送る。
【0048】
ローカル負荷制御器26は、また、周波数モニタ28によってまたは別の方法で検出される網路周波数を監視するように適応する。
【0049】
本発明の本実施形態では、負荷は、トリガ周波数をポートフォリオ内の各負荷に割り当てるアルゴリズムに従ってその応答サービスを提供する。需要応答の分配はトリガ周波数の均一な再割り当てによって確実になる。したがって、ローカル負荷制御器26は、また、負荷14が正常動作から網路周波数偏差に応答する動作に切り替わるトリガ周波数に関する情報を保持するように適応する。網路周波数がその公称値から負荷のトリガ周波数を超える程度まで逸脱する場合、ローカル負荷制御器26は、工業プロセス制御器20に、応答サービスが要求され(必要に応じて)応答のレベルを示す信号を送信する。同様に、ローカル負荷制御器は、応答性負荷サービスが工業プロセス制御器20に過去の動作のレベルに戻すことを要求しない及び通知しないタイミングを決定する。工業プロセス制御器20は、負荷処理パラメータ(例えば、貯蔵されたエネルギー貯蔵量)をローカル負荷制御器26に報告するように適応する。
【0050】
ローカル負荷制御器26は、双方向通信に適応する通信用インターフェースを含む。これは、ローカル負荷制御器26とリモートセントラル需要サーバー30との間の網路を通じてデータ交換を可能にする。セントラル需要サーバー30は、複数のローカル負荷制御器26と通信し得る。セントラル需要サーバー30によって送信されるデータ信号は、比較的低速で変化する基準に従った電力管理に関する。本発明の本実施形態では、それはピーク価格回避手段に関する。応答性負荷サービスとは異なり、ピーク価格回避に関わりながら行われた消費電力の調節は、数日前、数週間前、または数ヶ月前に知られている。比較して、網路を通じて情報伝達のいずれかの時間遅延は無視できる。これは、単一のセントラル需要サーバー30は、電力調節に関する情報を多くのローカル負荷制御器26に網路を通じて提供し得ることを意味する。要求される調節パターンは、下記により詳細に説明される負荷14のそれぞれの特定の動作要件に合わせられる。ローカル負荷制御器26によってセントラル需要サーバー30に提供されるデータは、例えば、負荷によって消費される瞬時の合計電力に関する情報を含み得る。経時的に、これは、セントラル需要サーバー30が、負荷消費電力パターンを記録及び分析することを可能にし、ひいては、応答性負荷及びピーク価格回避手段の成功等を検証することを可能にする。
【0051】
図2は、動作時の(a)需要側面の周波数応答サービス及び(b)ピーク価格回避スキームに関する負荷の数時間にわたる消費電力パターンの変動を図で示す。グラフ34,36のそれぞれは、日中の時間に対する可変速負荷デバイス(またはバイナリ負荷の集合グループ)による消費電力がプロットされている。
【0052】
図2aを参照すると、欧州及び他の場所の多くの配電システムのオペレータは、送電網周波数が標的周波数50Hzから0.01Hzよりも大きく逸脱するとすぐに安定化手段を開始することを要求することが留意される。システム10では、送電網の周波数は周波数モニタ28によって監視される。送電網周波数が50.01Hzに上昇するまたは49.99Hzに下がる場合、この閾値に着目し、負荷制御器26の少なくとも1つは、周波数偏移に対処する負荷14の各々の消費電力を調節することによって応答する。英国では、応答性負荷サービスのプロバイダは、いくつかの特定の性能基準を満足することが要求される。例えば、安定周波数応答(FFR)の条件を満たすために、プロバイダは、周波数偏差を検出して10秒または30秒以内にオンラインになり、最小1MWの応答エネルギーを提供するのに利用可能であることが要求される。改善周波数応答(EFR)は、周波数偏差を登録するのに1秒(または1秒未満)で全電力調節を提供できるサービスである。送電網周波数が秒単位で監視されるとき、英国のFFR及びEFRプロバイダは、潜在的に、同様の時間スケールで集合した負荷消費電力を変化させる。これは、
図2aで観察されたように、FFRサービスを動作させる集合デバイスの合計消費電力24の急速な変動に反映される。
【0053】
図2bを参照すると、ピーク価格回避による例示的な負荷動作の消費電力が示される。この送電網システムに関して、4:00pm~7:00pmに消費される電気は日中の他の時間よりもコストがかかる。システムが仕様まで動作するこの負荷の通常の消費電力レベルは、2:00pm~3:00pm及び7:00pm~8:00pmに示されるレベルである。しかしながら、3:00pmにおいて、デバイスは1時間にわたって最大電力で動作する。これは、4:00pm~7:00pmのピーク時間中に負荷がゼロ消費電力で動作することを提供できるエネルギーの十分な貯蔵量を貯蔵することを可能にする。次に、負荷は正常の動作電力に戻る。当然ながら、これは、ピーク価格回避を可能にする挙動の単なる例である。特定の詳細は関連する負荷に依存する。例えば、負荷は、最大電力で1時間よりも長く動作し、全エネルギー貯蔵量を蓄積することを要求し得る。エネルギー貯蔵量は、ピーク期間全体にわたってゼロ消費電力で動作を維持するのに十分ではない場合があり、ひいては、いくつかの形態の低電力動作が要求される。さらに、消耗するエネルギー貯蔵を増強するために、ピーク期間後、より高い消費電力で負荷は動作し得る。特定の詳細にかかわらず、ピーク価格回避が低速で時間とともに変化する消費電力プロファイル36が生じることが理解できる。
【0054】
ピーク価格回避は、低速動作可変消費電力が生じる挙動だけではない。これに関連して、「低速動作」は、通常、30分毎のほんのわずかに1回の変化であるはずである一方、「高速動作」が秒毎に変化し得ることを意味する。ほとんどの配電網では、発電機及び負荷の両方から柔軟な応答を要求するために電力及び権利を購入する複数の市場が提供される。契約上の制限の範囲内で動作を促進するために、プロバイダにインセンティブが与えられ、ペナルティが課される。応答性周波数市場の関与が急速の応答を要求するが、いくつかの他の市場は低速動作パターンで変動する消費電力だけを要求する。例えば、1日前の最適化に関与するために、使用の1日前に設定される価格で電力を購入し、ひいては、動作電力レベルは購入量に一致するように設定される。調整メカニズムサービスは、発電または需要の予測誤差及び予想外の損失を補正する手動で命令する応答を提供する。これらのタイプの変動は、事前のどこかの時点で知らされる。低速動作消費電力プロファイルを要求する他の手段は、当業者に知られている他の多くの手段の中でも、プロジェクトTERRE、不均衡追跡、DNO制御信号を含む。
【0055】
過去には、周波数応答サービスに同時に関与するピーク価格回避に関わる負荷には可能であると考えられていなかった。これは、係る負荷のオペレータが、これらの市場の金銭的利益を享受することを防止する。また、それは、負荷が低速動作関数と互換性がある他のサービスを送電網に提供する容量を使用する傾向があり、FFR等のサービスを提供する能力を低下させ、ひいては、送電網に提供され得る調整サービスの品質が損なうことを意味する。同様に、いくつかの発電機は、低速動作市場関数に従って、電力を送電網に入力するために可変容量で動作し得る。これまで、係る発電機は、FFR等の周波数応答サービスの同時の関与も不可能であった。
【0056】
しかしながら、本発明を用いて、係る負荷及び発電機(具体的には、いくつかの形態でエネルギーを貯蔵する容量を有するもの)は、同時に、両方の実施に関わることが可能である。本発明は、構成要素(負荷または発電機)が完全可変の消費電力で動作可能であるか、または構成要素が2値素子であるかによって、異なる実施形態を有する。両方の状況の本発明の実施態様は、下記に詳細に説明される。
【0057】
ただし、大まかに言うと、理想的な低速動作消費電力からの小さな偏差が許可される条件で、同時に低速動作手段に従うことを目標にしながら、負荷は消費電力F(t)の高速動作変動をもたらすFFR等の実施に自由に関与することが可能である。偏差が小さいままであることを確実にするために、FFRを実施せず単独で低速動作手段に従わない場合、平均して、FFRを実施するアセットによって消費される合計電力が高確率で消費される合計電力に一致するように、低速動作基準値消費電力B(t)を導出する必要がある。
【0058】
上記の「高確率」の言及は、固定時間にFFRを提供する負荷に関して、その期間は無限大になる傾向があるため、確率は1になる傾向になることを意味する。
【0059】
関数B(t)を用いて、FFRを実施する負荷によって、時間tで消費される瞬時合計電力は、
P(t)=B(t)+F(t)で表すことができる。
【0060】
すなわち、瞬時電力は、2つの関数(低速動作基準値関数B(t)及び高速動作FFR項F(t))の重ね合わせとしてモデル化できる。FFRを提供する可変速アセットまたは応答性負荷サービスを提供するアセットのグループの1つとして関与するバイナリアセットの平均電力及び瞬時電力の変動の両方に関する様々な制約により、B(t)を導出するための補正アルゴリズムに従う条件で、このモデルは有効である。
【0061】
例えば、ピーク価格のときに消費を回避する低速動作手段によって要求される消費電力プロファイルは、低速動作需要プロファイルと呼ばれ、D(t)で示される。簡単なアプローチで注意を働かせるべきであり、低速動作需要プロファイルD(t)に等しい基準値関数B(t)を設定し、結果的に、負荷によって消費される合計電力はD(t)+F(t)になる。理想的な需要プロファイルからの偏差が有意である場合、コストは、F(t)に従って手段を実施する結果として生じるいずれかの利益に関してかなり大きくなる。さらに、バイナリ負荷の場合、誤差は有意に大きくなる。係る負荷は「オン」または「オフ」だけであり得る。両方の手段は、同時に、負荷を「オン」にすることを要求する場合、重ね合わせは、結果として、負荷が最大電力の2倍を消費することになり、明らかに、起こり得ない状況をもたらす。したがって、負荷は従っている手段の1つから逸脱せざるを得なく、罰金を被る可能性が最も高くなる。
【0062】
代替のアプローチ(その後に本発明が行われる)は、D(t)の代わりに、基準値消費電力プロファイルとして導出された関数B(t)を使用する。B(t)は、既定の期間(決定期間)にわたって、負荷が低速動作需要プロファイルに従って動作する場合、負荷によって消費される合計電力量は、消費されているだろう電力と同じである高確率をもたらするように抑制される。周波数応答電力調節が要求される一般的な期間よりもかなり長く、消費電力の調節が低速動作需要プロファイルに要求される時間の長さと比較して短くなるように、期間を選択する。周波数応答調節の期間は、当然ながら、使用されるアルゴリズムの細部に依存するが、一般的に、約1~3分である。結果として、負荷が、(例えば)FFRに自由に関わることを可能にするが、また、上述した抑制を受ける基準値プロファイルにも従う必要がある。したがって、1日が連続する一連の決定期間に分割され、この手段が1日の流れを通して各決定期間に進む場合、結果として、FFRの関与によって生じる理想的な低速動作需要プロファイルからの短期間の偏差がいくつかあるが、結果は各決定期間にわたって最小になる。したがって、電力調節手段の両方に関与する負荷にかかる全コストは安いままになる。
【0063】
前述に留意したように、最小コストを目標とする電力消費手段の実施態様は、負荷が可変消費電力で動作可能であるか、または負荷が単にオンもしくはオフのいずれかになる必要があるどうかによって異なる。これらの異なるシナリオで本発明に従って使用されるアルゴリズムの例は、下記に別々に記載される。
【0064】
可変速需要アセット
可変速需要アセットは設定可能な速度で電気を消費する能力を有する負荷である。すなわち、その瞬時消費電力はP(t)であり、ここで、0≦P(t)≦CD、CDは負荷の最大消費電力である。
【0065】
図1及び可変速負荷14の場合を参照すると、別の2つの電力調節手段に同時に関与できるように負荷14を動作させるステップは、ここで、説明される。準備中、セントラル需要サーバー30は、低速動作需要プロファイルD(t)に関連する記憶された情報であるデータベースについて知らされ、またはそのデータベースにアクセスする。ピーク価格回避に関して、これは、一日中の電気コストを含む。また、それは、本発明に従って、動作している負荷または負荷14のタイプに特有である履歴データを含む。これらは、ローカル工業プロセス制御器20から取得され得、ひいては、負荷に特有であり得、または、概して、同じタイプの負荷に関して定義され得る。係るデータは、限定ではないが、動作電力に応じて、貯蔵されたエネルギー貯蔵量の変動等の動作制約を含む。さらに詳細に、例示的な工業プロセスに関して以下に説明される。このデータから、セントラル需要サーバーは、負荷14の動作制約を受ける最安の動作コストを提供する低速動作需要プロファイルD(t)の最適化を計算する。この需要プロファイルD(t)は、これは負荷が関与する唯一の電力調節手段であることを想定して導出される。セントラル需要サーバー30は、網路18に接続される1つ以上の負荷14に関する需要プロファイルD(t)の最適化を提供するように構成され得る。
【0066】
2つ以上の負荷がこの需要サーバー30に制御されて動作する場合、最適化した需要プロファイルD(t)は、網路を通じてローカル応答性負荷制御器26またはローカル応答性負荷制御器26のそれぞれに伝達される。可変速負荷のためのローカル応答性負荷制御器26は、基準値関数B(t)を設定する。
CD-Δ<D(t)≦CDの場合、B(t)=CD-Δ
0≦D(t)<Δの場合、B(t)=Δ
そうでなければ、B(t)=D(t)
【0067】
Δが小さい定数(≪CD)である場合、その定数の起源は以下に明らかになる。これまで、D(t)及びF(t)の係る簡単な重ね合わせは、かなり費用がかかると考えられている。すなわち、このアプローチが働くことは多少意外である。そのアプローチは、D(t)が基準値関数として直接使用できないゼロまたは全動作電力に近づくときだけ行われ、小さな調節Δを行う。応答性負荷デマンドがオフ期間中または最大容量における動作期間中に行われる場合、この小さな調節はいくつかのヘッドルームを残すためだけに必要である。
【0068】
ローカル周波数モニタ28は、応答性負荷制御器26の送電網周波数の指標を提供する。ローカル負荷制御器26は、応答性負荷サービスの技術分野で既知であるように、検出された周波数偏差に従って行われる必要がある負荷消費電力のいずれかの調節を計算する。すなわち、ローカル負荷制御器26はF(t)を計算する。
【0069】
次に、ローカル応答性負荷制御器26は、ローカル工業プロセス制御器20に命令して、プロファイルに従って、負荷が電力を送電網から取り出すように負荷を動作させる。
P(t)=B(t)+F(t)
【0070】
この動作手段は、同時にFFRサービスの全て関与することを可能にしながら、負荷の基準値消費が低速動作信号に厳密に従うことを可能にする。負荷がおおよそ全電力またはおおよそゼロ電力で動作し得るときに、基準値消費だけが低速動作需要プロファイルから逸脱する。
【0071】
2つの消費電力プロファイルの重ね合わせに従って負荷を動作させることによって、異なる2つのサービスへの同時の関与が以下の3つの条件が満たされることに依存することに留意されたい。
-負荷は可変速負荷であり、ひいては、消費が制限値の範囲内に維持される条件で、行うことができる電力調節に対する制限がない。
-高速動作関数F(t)は低い利用条件を満足する。
-F(t)は平均回帰条件を満足する。
【0072】
低利用について、アセットが周波数応答サービスF(t)を提供することが要求されるときはいつでも、電力調節要求の大きさが利用可能な全電力のほんのわずかな量である可能性が高いことを意味する。すなわち、
|F(t)|≦δCD
ここで、高確率で、δ≪1である。
【0073】
実際に、概して、可変速負荷に関して、FFR利用率は約6%であり、これは、アセットの消費電力プロファイルのわずかに小さい摂動を表すことが認識される。すなわち、FFR応答を提供するために使用される容量のわずかな一部は、一般的に、提供されるFFR利用可能量の6%(δ~0.06)である。他のアルゴリズムを使用して、異なる利用率を有するFFR(または他の周波数応答サービス)を実施し得るが、δ≪1の条件で、これらの他のアルゴリズムは、さらに、低利用条件を満足する。
【0074】
低利用条件が瞬時周波数応答電力調節に適用されるが、平均回帰条件は動作Tの長期間にわたる応答F(t)の挙動に関する。いずれかの所与の瞬時応答で、F(t)調節は正(負荷の増加)または負(発電の増加)であり得る。したがって、期間Tにわたって、結果として、ある機会に、応答調節は正であり、他の機会では、負である。理想的には、決定期間Tにわたって、応答サービスはエネルギーニュートラルであり、すなわち、F(t)の平均値はゼロになる。実際には、これは稀な場合であり、この期間にわたるF(t)の平均値は値εによって境界が決まる。平均回帰条件では、決定期間Tにわたって行われた応答性電力調節の平均値(すなわち、ε)は、高確率で、利用電力のわずかな一部のように小さくすべきであることが要求される。すなわち、
【0075】
【0076】
すなわち、εの全体にわたって平均応答電力調節は、利用率δで負荷に関する長期間Tのいずれかの時点で行われた可能性が高い最大電力調節よりも有意に小さい。
【0077】
決定期間Tの過程にわたって、F(t)はある時点で正であり、他の時点において負であるため、平均回帰条件は主に満足する。
【0078】
需要関数がアセットの最大消費電力または最小消費電力に近くならない場合、基準値関数B(t)が可変速需要アセットに関して低速動作需要関数D(t)に等しくなるように設定されることを思い出すだろう。D(t)がこれらの制限値に近づく場合、B(t)はD(t)から量Δだけ変位し、Δの値は、行うことが要求される場合、周波数応答サービスF(t)を提供するために、十分なヘッドルームがアセットに残されるように選択される。アセットが低利用条件を満足する場合、F(t)の値は、いずれかの時点で、δCD(δ≪1)を超える可能性が低い。したがって、結果として、Δだけが、十分に適応する応答サービスに関してδCDに設定する必要がある。δ≪1である場合、結果として、Δ≪CDになり、ひいては、このB(t)の調節は、理想的な需要プロファイルからほんの小さい偏差を表す。
【0079】
代替の実施形態では、基準値関数は、この関数がCDまたは0に近づくときでさえも、常に、理想的な需要関数に従う。このシナリオでは、負荷がこれらの制限値の近くで動作する時点で、負荷は、応答調整を提供するのに利用可能である負荷のポートフォリオから取り外される必要がある。すなわち、基準値がCDである場合、高周波送電網の偏位が生じるとき、負荷は調整サービスを提供できないが、それでも、低周波偏位に応答して、消費電力を減らすのに利用可能である。同様に、負荷がゼロ電力基準値で動作している場合、応答サービスを低周波偏位に提供できないが、送電網周波数がかなり高くなる場合、応答に関与するのに利用可能である。
【0080】
これらの代替の実施形態のうちのどれが好ましいかは、応答性負荷サービスを利用しないペナルティが理想的な低速動作需要関数から量Δの偏差の増加されたコストを超えるかどうかを検討して、主に経済コストによって決定される。
【0081】
概して、アセットに行われいずれかの応答需要F(t)に自由に従うままであり、期間T(PT)にわたって低速動作需要プロファイルに従う基準値関数B(t)に従って動作するアセットの平均消費電力は、下式によって与えられる。
【0082】
【0083】
上述したように、期間TにわたるF(t)の平均値は、平均回帰条件が保持される条件で、値ε(小さな値)以下の値になる。すなわち、
【0084】
【0085】
ここで、BTはこの期間Tにわたる基準値項の平均値である。BTが理想的な平均低速動作需要プロファイルDTに一致することを確実にするためにBTが導出されたとき、結果として、このアルゴリズムに従った負荷14を動作させるコストは理想的な平均消費電力プロファイルから小さな偏差(ε)がある。これは、かなり多くの場合、応答性負荷サービスに関与する利益が上回る許容可能コストを表す。
【0086】
非可変速需要アセット
非可変速需要アセットでは、負荷によって取られる電力は、2つの値(ゼロまたは全動作容量)の1つだけであり得る。係る負荷の例は、ビチューメンタンク等の圧縮器(冷蔵用)及びリレー動作式工業用ヒータである。これらの負荷は、両方の消費電力プロファイルの簡単な重ね合わせによって、ピーク価格回避及び周波数応答サービス(FFR等)の両方に効果的に関与できない。アセットはオンまたはオフのいずれかであり、ひいては、アセットがオンでありFFR要求に応答するとき、F(t)はCDに等しい。
【0087】
上記に詳述したように、基準値関数B(t)が可変速アセットのために導出されたアルゴリズムは、低利用条件を満足するために高速動作関数F(t)を要求した。それは、高確率で、
|F(t)|≦δCD、δ≪1である。
【0088】
明らかに、非可変速アセットの場合、この条件は保持されない。応答性スイッチが要求される場合、δ=1である。さらに、予測不可能なF(t)から切り離して基準値関数B(t)を導出することが可能でない。アセットが全電力よりも大きい電力で動作できないため、条件B(t)+F(t)≦CDを満足する必要があり、ひいては、B(t)はF(t)の変化に応答する必要がある。すなわち、より複雑なアルゴリズムは基準値関数B(t)を導出することが要求される。
【0089】
しかしながら、非可変速アセットに関して、平均回帰条件は保持される。これは、主に、以下の2つの要因の結果として満足される。
-決定期間Tの過程にわたって、F(t)はある時点で正であり、他の時点において負である場合、
-単一の負荷がFFR(または同様の)市場の応答性グループの要素に関与する場合、この負荷は、ほとんど確実に、応答を提供することだけが断続的に要求され、さらには、これは、期間Tのほんのわずかな期間にわたって、F(t)はゼロ以外になることを意味する(グループ動作を実証するFFRアルゴリズムが、応答グループの周りで十分に均等な分配を確実にすることが条件である)。
【0090】
非可変速アセットである負荷14に関して、可変速の場合と同様に、基準値関数B(t)を導出するための方法を開始する。セントラル需要サーバー30は、負荷14の動作制約を受ける最安の動作コストを提供する低速動作需要プロファイルD(t)の最適化を計算する。この需要プロファイルD(t)は、これは負荷が関与する唯一の電力調節手段であることを想定して導出される。セントラル需要サーバー30は、網路18に接続される1つ以上の負荷14に関する需要プロファイルD(t)の最適化を提供するように構成され得る。
【0091】
高速動作サービスF(t)(例えば、FFR)の関与及びセントラル需要サーバー30によって導出される低速動作需要プロファイルD(t)に従うことの両方を可能にする電力消費手段を実施することに関わるステップを示すフローチャートは、
図3に記載される。参照しやすいように、高速動作サービスF(t)はFFRであることが想定されるが、これは、ほんの一例であり、限定ではない。
【0092】
第1のステップ40において、1日をNの決定期間に分割する(開始時点tk(k=1,2,.....N,N+1)(tN+1は真夜中))。各決定期間の長さが等しくなることが要求されないが、実際には、FFR及びピーク価格回避に関して、30分の決定期間が有効であり、英国電力市場の規則に従う。
【0093】
第2のステップ42において、決定期間ごとに、セントラル需要サーバー30は、低速動作需要プロファイルだけに従っている場合、負荷14が動作しているだろう平均消費電力量を計算する。すなわち、k番目の決定期間にわたって、平均需要消費電力量Dkは下式によって与えられる。
【0094】
【0095】
この平均需要プロファイルDk∀kは、ローカル応答性負荷制御器26に送信される。
【0096】
次の一連のステップにわたって、ローカル応答性負荷制御器26は、負荷Pkの平均消費電力が可能な限りDkに近い値にすべきである要件に基づいて、決定期間の長さTkにわたって、決定期間ごとに関数Bkを導出する。前述に示したように、負荷14は量CDの消費電力またはオフのいずれかであり得る。すなわち、いずれかの所与の瞬間tで、P(t)は0またはCDのいずれかである必要がある。したがって、Dkまでのk番目の決定期間にわたって平均消費電力を抑制するために、負荷14は期間Tkの適切なわずかな期間でオンになる必要がある。すなわち、k番目の決定期間にわたって、Bk=Dk,∀kになるように、B(t)を導出する。
【0097】
したがって、負荷は、オン/オフパターンで変調して駆動されることにより、決定期間の長さにわたって、「オン」の位相の全期間が所望の低速動作需要関数に一致する。
【0098】
このB(t)の導出では、可変速アセットと同様に、合計消費電力のF(t)の寄与を無視する。可変速アセットに関して、コストは、上記に示したように、理想的な需要消費電力プロファイルから小さな偏差εになった。このコストは、F(t)が低利用条件及び平均回帰条件を満足する状況で、容認できるほど安くなることが分かっている。すなわち、F(t)が利用可能である電力のわずかな部分を消費する場合、F(t)は負と同じくらい、正である可能性が高い。
【0099】
非可変速アセットの場合、F(t)は、ゼロ以外である場合、全ての利用可能である電力を消費する必要がある。B(t)をDkから単独で導出することは、k番目の決定期間にわたって、下式になることを意味する。
【0100】
【0101】
アセットがこの期間中にFFR応答スイッチを提供することが要求される場合、F(t)項によってもたらされる寄与は有意であり得ることが容易に理解できる。決定期間に長さにわたって、平均消費電力Pkが理想的な値よりも有意に大きくなるように、需要を増加させるFFR要件に応答して、「オン」時間をかなり長くすることが要求されない。同様に、網路不均衡により、決定期間中に、アセットに対する需要の減少及び「オン」時間の短縮が要求される場合、Pkの値は、理想的な低速動作需要プロファイルに従うことが要求される値よりも有意に小さくなり得る。次に、アセットは、ピーク価格期間を通して見ると、十分なエネルギーを貯蔵し得ない。したがって、決定期間中に行われるいずれかのFFRスイッチの結果を考慮する方法によって、B(t)を導出することも必要である。
【0102】
ステップ44において、ローカル応答性負荷制御器26は、そのアルゴリズムを開始し、k番目の決定期間にわたってB(t)を計算する。各決定期間は変調部分区間に分割される。k番目の決定期間の変調部分区間は、時間sj(tk≦sj<tk+1)から開始し、時間sj+1(sj<sj+1≦tk+1)で終了する。F(t)の影響を無視する場合、例えば、アセットを1つの部分区間で「オン」に切り替え、次の部分区間で「オフ」に切り替え、「オン」、「オフ」に切り替えること等によって、また、アセットが「オン」である決定期間のわずかな一部でDkの平均消費が生じるように、部分区間の期間を設定することによって、B(t)を導出し得る。しかしながら、F(t)を無視することで、後続の決定期間だけにわたって合成される誤差を発生させる。これを回避するために、部分区間の動的割り当てのシステムを採用する。
【0103】
第1の部分区間s1に関して、B(s1)はCDまたは0のいずれかに設定され(44)、適切な命令は、工業プロセス制御器20に送信される(46)。この設定は、ランダム割当によって、またはDk≧0.5CD(そうでなければ0)の場合、B(s1)=CD等の最初のルールに従うことによってなされ得る。その後I分毎に、本方法は、1つの部分区間割当ループを実行する。すなわち、B(t)の値は、次の(m番目)の部分区間に関して決定される。これは、ステップ48において、ローカル応答性負荷制御器が、現在、負荷14が応答性負荷サービスを提供しているかどうかを確認することを開始する。提供している場合、変化しないで、負荷14は、次の部分区間でFFRに自由に関与する状態のままである。FFR要件が負荷14で「オン」にセットされない場合、ステップ50において、k番目の決定期間の全ての過去の部分区間にわたる負荷の平均合計消費電力は、応答性負荷制御器26によって計算される、またはそうでなければ取得されるのいずれかが行われる。m番目の部分区間に関して、この部分区間までの平均合計消費電力は、下式によって与えられる。
【0104】
【0105】
ここで、λjは、j番目の部分区間で負荷が「オン」である場合に1の値を有し、そうではない場合に0の値を有する関数である。
【0106】
その点までの決定期間にわたる負荷の平均消費電力のこの値は、いくつかの方法で取得され得る。FFRの場合、工業プロセス制御器20は、負荷消費電力を連続的に監視し、この実データを応答性負荷制御器26に提供し、応答性負荷制御器26が要求される情報を抽出することを可能にする。他の実施態様では、応答性負荷制御器26は、それが工業プロセス制御器20に通信する命令データを記憶するように構成される。次に、応答性負荷制御器26は、それがこれらの命令に従って動作していることを想定して、この記憶された履歴データを使用して、全ての過去の部分区間にわたって、負荷の平均合計消費電力を計算し得る。何らかの理由で、工業プロセス制御器20が応答性負荷制御器26を無効にする場合、例えば、貯蔵エネルギー貯蔵量が不十分である場合、この情報は工業プロセス制御器20によって伝えられ、状況に応じて、応答性負荷制御器26が計算を調節することを可能にする。
【0107】
ステップ52において、低速動作需要プロファイル(Dk)だけに従って動作している場合、これまでの平均消費電力(Pk)は、負荷14が消費しているだろう理想的な平均電力と比較される。負荷14が過剰な電力を使用する場合、ステップ54において、m番目の部分区間で、B(t)は0に設定される。他方では、負荷14によって要求されている電力が不十分である場合、m番目の部分区間で、B(t)はCDに設定される(56)。いずれの場合、部分区間のB(t)の値は、応答性負荷制御器26によって、ローカルプロセス制御器20に送信される(58)。m番目の部分区間の期間にわたって、ローカルプロセス制御器20は、これがいずれかのFFR要件によって無効にならない場合、負荷14がB(t)の決定値に従って動作することを確実にする。ステップ52において、平均消費電力量が理想的な需要関数に等しくなることが分かった場合、動作を行わない。次に、プロセスは、部分区間割当ループ48~58を繰り返しが終わるまで、さらにI分待機し、状況に応じて、(m+1)番目の部分区間のB(t)及び命令された負荷14の動作を決定する。この手順は決定期間の最後まで継続する。
【0108】
B(t)がこのアルゴリズムに従って決定される場合、F(t)を補償するようにB(t)を効果的に調節することにより、高確率で、Pkはその目標値の近い値に維持される。部分区間の長さは、決定期間に従って選択され、おそらく特定の負荷14の要求によっても選択される。
【0109】
明らかに、可変速アセットと同様に、FFR等の高速動作応答サービスの関与を可能にすることによって、低速動作需要関数からの偏差に関していくつかのコストが生じる。このコストを決定する必要がある。コストがかなり大きい場合、ピーク価格回避等の手段を定期的に動作する負荷は、同時にこの手段及びFFRの両方の関与を可能にするために、この技術を採用する意図がない場合がある。
【0110】
上記に留意したように、低利用条件は非可変速アセットで保持される。しかしながら、例えば、国際公開第2006/128709号に説明されるアルゴリズムに従って、FFRに関与するアセットのグループに関して、特定のアセットが送電網の周波数偏差に応答してそのエネルギー消費量を調節することが要求されてからの経過時間は、今後発生し得る偏差に対する応答の可能性を決定する際に考慮される。これは、十分に長い期間Sにわたって、FFR応答は、正常な動作挙動に関して、比較的小さな摂動を表す結果をもたらす。したがって、結果として、期間SにわたってFFR応答によって生じる合計消費電力の変化も小さくなる。すなわち、
【0111】
【0112】
それによって、δ≪1になるように、Sの値が存在する。基準値に対するFFT遮断が不定期に起きるときに従うこの弱い低利用条件は、
図3に関して説明したように、部分区間ごとに、{0;C
D}値の動的割り当てが、周波数応答サービスを提供する要求により1つ(または1つ以上)の部分区間に導入される誤差を高確率で後続の部分区間で補正するように、B(t)を導出することを可能にすることを意味する。
【0113】
F(t)を考慮しないで、
図3に記載された割当ルールに従って、決定期間T
kにわたる平均消費電力が値D
kを追従する傾向になることが理解できる。例えば、理想的な需要が0.7C
Dである状況を考慮する。アルゴリズムは、下記の表1に記載される変調パターンに従って負荷を動作させる。
【0114】
【0115】
理解できるように、Pkの値は少ない第1の変調部分区間にわたって有意に変動し得るが、その値は、後の部分区間で理想値70%あたりを変動する傾向がある。各部分区間の負荷の動作電力が消費される合計電力の小さいわずかな一部を表すとき、後続の部分区間はPkに対する小さな割合の変化の増加をもたらす。
【0116】
いずれかの時点で、負荷がFFRスイッチを始めることが要求され、F(t)がゼロ以外になる場合、アルゴリズムは、補償するように負荷の動作を変調する。繰り返すが、スイッチが発生した部分区間に従う部分区間の数が大きくなるにつれて、Dkに対するリカバリが良くなる。
【0117】
例えば、上記のように0.7CDの平均需要プロファイルに従うことを試みる負荷が、6番目の部分区間s6の期間の半分にわたって、0の電力へのFFRスイッチを受けることが要求される状況を検討されたい。次に、負荷挙動は下記の表2に記載される。
【0118】
【0119】
理解できるように、平均電力はスイッチ後に異なるが、補償できる第1の部分区間である7番目の部分区間に従って、平均消費電力量は、その理想値の6%以内のままである。
【0120】
これは、低速動作需要プロファイルに従っていることに加えて、応答性負荷サービスを提供する負荷を補償する際に、このアルゴリズムの挙動を明らかにするために与えられたただ1つの特定の例であることが理解される。ただし、一般的な原理が適用される。F(t)スイッチは少ない数の部分区間の範囲内で補償される。決定期間に存在する部分区間が多くなるにつれて、低速動作需要関数の平均値に対するその期間で消費される平均電力の収束が良くなる。
【0121】
k番目の決定期間での平均基準値関数Bkの導出に戻すと、これは、この期間にわたる低速動作需要関数Dkの平均値に等しくなるように設定されることを思い出すだろう。しかしながら、理想的な低速動作需要プロファイルがこの期間にわたって0またはCDの制限値に近づく場合、FFRに関与するために残っている容量がない(または、少なくとも、1つの方向にはない)。可変速アセットに関して、需要関数D(t)がいずれかの制限値に近づいた場合、B(t)は制限値から離れた値δCDに設定された。非可変速アセットに関して、Bkを導出するとき、同様のアプローチを使用する。しかしながら、この場合、Bkは最大の関心事である基準値関数の平均値であるため、この場合で使用するためのより適切な調整係数は、この決定期間にわたる周波数応答関数Fkの平均値である。これは、上記で導出した量εである。平均回帰条件が保持される条件で、εは比較的小さな値(≪CD)である。
【0122】
上記の計算で使用される決定期間は30分に設定される。これは、主に、その決定期間が英国エネルギー市場の規則に適合するためである。期間が一般的なFFRスイッチの長さよりも有意に長いままあることを条件として、同様に、長い期間または短い期間を使用し得る。FFRに応答して基準値関数を補正することが長時間になるが、より多くFFRスイッチを補正するため、決定期間をより長くすることに影響はない。決定期間の最後にFFRスイッチが発生する最悪のシナリオは同様の頻度で生じる。また、短い決定期間は、その長さが一般的なFFRスイッチの長さに近くならない場合ほとんど影響はない。この状況では、いずれかのFFRスイッチの影響を補正する時間は不十分である。
【0123】
発電アセット
上記のアルゴリズムが需要アセットへの適用に関して説明されるが、そのアルゴリズムが同様に発電機に利用可能であることは、当業者には明らかである。発電機がエネルギーを送電網に給送し、これが低速動作需要プロファイルを提供できる金銭的に好ましいときがある。出力を上げるまたは下げることができる発電機は、電気が流れる方向の適切な調節により、発電機が本明細書に説明されるアルゴリズムに従う場合、同時に応答サービスに関与できる。
【0124】
負荷エネルギー貯蔵の例
上述のアルゴリズムを実施する際(可変速の場合及び非可変速の場合の両方)、アセットに貯蔵されたエネルギー貯蔵量を追跡することは重要である。アセットが要求される期間にわたって非理想的エネルギー消費量で動作するのに十分な貯蔵量を有する場合、アセットはいずれかの可変消費手段にだけ関わることが可能になり得る。
【0125】
再度、
図1を参照すると、工業プロセス制御器20は検出器24を含む、または検出器24と通信し、検出器24は、負荷内に貯蔵されたエネルギー貯蔵量を示すパラメータを監視するように構成される。すなわち、本発明に従って動作する発電機または負荷システムのそれぞれに関して、システム内に貯蔵され、可変電力消費手段に従って動作を可能にするために蓄えて保持されるエネルギーの「代理」として働くシステムの測定可能なパラメータを導出することが必要である。この代理変数は検出器によって監視され、工業プロセス制御器20に伝えられる。代理変数が安全制限値を超える場合、工業プロセス制御器20は、応答性負荷制御器26を無効にし、負荷(または発電機)をその理想的な動作電力レベルに戻す。
【0126】
ここで、代理変数のいくつかの非限定例は、本発明に従って動作するアセットのポートフォリオに含まれ得る異なるシステムに関して説明される。バッテリーエネルギー貯蔵システムの類推及びそのシステムの充電状態(SoC)の測定によって、各代替システムの代理変数は0~1の実数であり、これは、システム内に現在貯蔵されている貯蔵可能エネルギーのわずかな一部を表す。
【0127】
ビチューメンタンクは、リキッドビチューメンで部分的に満たされている断熱された円筒コンテナである。安全性及び品質保証の理由で、タンクの温度は下限閾値Tminと上限閾値Tmaxとの間に維持する必要がある。ビチューメンタンクは、概して、高度に断熱され、これは、そのタンクがこのエネルギーを熱に変換することによって、長期間にわたってエネルギーを貯蔵することを可能にするが、ビチューメンタンクの温度がTminとTmaxの間のままである条件である。この場合、タンクの温度及び閾値温度を使用して、適切な代理変数φを定義できる。
【0128】
【0129】
建物管理システムは、一般的に、建物を維持する理想的な温度に対応する温度設定点Tsetに設定される。実際には、その温度は、システムが挙動を変化させることなく、この設定点を下回るまたは上回るように、量ΔTだけ下がるまたは上がることを可能にする。すなわち、本システムは、Tset-ΔTからTset+ΔTに長くなる有効な不感帯をもたらし、これは、システム内に貯蔵されたエネルギーが変動することを可能にする。加熱システムが「オン」である場合、加熱システムが不感帯に入るように温度を上げる、温度が不感帯から抜け出るように十分に高くなるまで、加熱はオフになる。したがって、現在の建物温度T、設定点Tset、及び不感帯の幅2ΔTを使用して、本システムの代理変数φを定義する。
【0130】
【0131】
活性汚泥処理(ASP)は廃水処理で使用される工業プロセスの種類である。その処理は、バクテリア及び原虫による下水の有機含有量及び汚染物質の生物学的分解を含む。空気または酸素は生下水に吹き込まれ、バクテリアが取り除かれる。以下のように、処理中に様々なパラメータを監視及び制御する。
-溶解酸素のレベルはバクテリアをサポートすることを維持する必要がある。
-汚泥容量指標は汚泥の沈降特性の指標を提供する。
-水の汚染物質であるアンモニアのレベルは、バクテリアを窒素と化合する環境感度により、いずれかのプロセス調節の必要性の早期指摘を提供する。
【0132】
間違いなく、アンモニアのレベルは、認可レベルに違反した場合にかなりの額の罰金につながるため、最も重要な変数である。この理由から、ASPの可変電力動作の使用のための最も単純な代理変数は、現在のアンモニアレベルL及び最大許容制限値Lmaxに基づくものである。
【0133】
【0134】
しかしながら、これらの処理では、溶解酸素Dもまた重要である。溶解酸素Dがかなり低い値に下がる場合、バクテリアは死滅し得、より低濃度のバクテリアは処理の効率性を低下させる。変動需要の場合がアンモニアのレベルだけに基づく場合、アンモニアレベルが低い状況が生じ得、一定期間にわたって処理をオフにすることを可能にする。しかしながら、この「オフ」の時間中、酸素は汚泥に吹き込まれなく、酸素がバクテリアによって使い尽くされるため、酸素レベルの低下をもたらす。これは、明らかに、バクテリアを死滅するリスクがあり、水処理プロセスに深刻な影響をもたらす。
【0135】
処理のための安全動作制限値を定義する際に考慮する必要がある2つ(または2つ以上)の臨界パラメータがある場合、複合代理変数を定義する必要がある。この場合、同様に、溶解酸素レベルの代理変数だけを導出するべきである。低い溶解酸素レベルがバクテリアにダメージを与えることになる可能性のある速度を反映するために、溶解酸素レベルDがその最小閾値Dminに近づくにつれて、関数が急速にゼロに近づくように、代理関数を構成する。酸素レベルが閾値から離れている場合、代理変数は1に近くなる。適切な関数は、
【0136】
【0137】
ここで、Cは、どのように関数がゼロに積極的に近づくべきかをパラメータ化するために使用される定数である。
【0138】
次に、利用可能であるエネルギーのわずかな一部として、このシステム全体に貯蔵されたエネルギーのわずかな一部を示す代理値は、2つの代理関数の積に設定される。
【0139】
【0140】
いくつかの例では、電力市場条件を利用する手段の関与を可能にするために、工業用システムの瞬時能力のインジケータを提供し、その消費電力を調節するために、どのように充電状態の代理変数を導出できるかが実証されている。明らかに、インジケータの細部は、関連する工業プロセスの仕様に依存する。送電網から電力を取らないとき、システム自体のリソースを使用するために処理能力を示すために使用できる支配的変数はどれか?ASP等のシステムでは、使用される変数は異なる2つの処理パラメータの積である。このアプローチは、2つ、3つ、または4つ以上のインジケータが決定された上限閾値または下限閾値の間に維持する必要がある処理に外挿できる。
【0141】
充電状態の代理変数φは、本発明の上述の実施形態の多くの要素に有用であることを証明し得るパラメータである。この単一パラメータは、貯蔵されたエネルギー貯蔵量のすぐに使用できる量の指標を与え、ひいては、網路不均衡に対処することが要求される電力調節に応答する負荷14の能力のすぐに使用できる指標を与える。特定の負荷14の充電状態の代理変数φの経時的な変動に従って、これを負荷消費電力にマッピングすることを可能にする。これは、セントラル需要サーバー30が、その負荷の充電状態の代理変数φを定義された範囲内に維持すべきである要求に基づいて、各負荷に提供される低速動作需要プロファイルに合わせることを可能にする。さらには、これは、網路状態に従って行われたいずれかの電力調節にもかかわらず、負荷がその正常の動作範囲内で動作することを確実にする。さらに、充電状態の代理変数φを監視することで、負荷14が応答性負荷サービスに利用できないときについて、すなわち、工業プロセス制御器20がローカル負荷制御器26からのコマンドを無効にするとき、工業プロセス制御器20による決定が可能になる。最後に、工業プロセスの細部がポートフォリオ内の各負荷によって操作されることにかかわらず、単一アルゴリズムに従って応答性負荷サービスの実施を可能にする単一パラメータを提供する。
【0142】
上記に説明した本発明の実施形態は、全て、市況に反応して消費電力を調節する負荷を使用して実施されるが、本発明の実施形態は、市況に反応する網路に給送される電力を調整することが可能である発電機に同様に適用される。例えば、下水の嫌気性消化に基づく水処理プラントは、バイオガスの生成をもたらす。このバイオガスは、ガスエンジンによって、電気エネルギー及び熱エネルギーに変換され、プラントを動作させるために必要なエネルギーを超過して取得されるいずれかの電気エネルギーは送電網に販売される。係る多くの発電機は、ガスバッグ等の緩衝技術に取り付けられる。緩衝しているガス量は、電気を提供する発電機の潜在的指標である。さらに、緩衝ガスは、エネルギー貯蔵容量を制限する圧力閾値を下回るように維持されることが要求される。すなわち、このパラメータは、本システムの充電状態の代理変数として使用され得る。したがって、プロセスが本発明に従って発電手段を同時に動作させるとき、そのプロセスを監視し得る。