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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152788
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電池パック、及び、車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20241018BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241018BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241018BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20241018BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241018BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/613
B60K11/02
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130802
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2022204967の分割
【原出願日】2019-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】末吉 敦
(72)【発明者】
【氏名】牧田 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】谷口 勝志
(72)【発明者】
【氏名】野田 圭俊
(57)【要約】
【課題】省スペース化、低コスト化がされた電池パックを提供する。
【解決手段】
電池パックは、電池モジュールを冷却する冷却装置を備え、冷却装置は、少なくとも一部に水を含む第1冷却媒体を流す第1冷却媒体流路と、第2冷却媒体を流す第2冷却媒体流路とを備え、1つの第1冷却媒体流路に対して、複数の第2冷却媒体流路が設けられており、複数の第2冷却媒体流路は、少なくとも第1の第2冷却媒体流路と第2の第2冷却媒体流路から構成され、第1冷却媒体流路を流れる第1冷却媒体は、顕熱変化により電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、第2冷却媒体流路を流れる第2冷却媒体は、潜熱変化により電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、少なくとも1の貫通孔を備え、冷却装置と筐体とを固定する1以上の固定部が、第1の第2冷却媒体流路と第2の第2冷却媒体流路の間に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給を受け回転するモータを備える車両に搭載されるように設定された電池パックであって、
前記モータに前記電力を供給するように設定された電池モジュールと、
前記電池モジュールを冷却するように構成された冷却装置と、
前記電池モジュールと前記冷却装置を収容する筐体と、を備え、
前記冷却装置は、
少なくとも一部に水を含む第1冷却媒体を流す第1冷却媒体流路と、
第2冷却媒体を流す第2冷却媒体流路と、を備え、
1つの前記第1冷却媒体流路に対して、複数の第2冷却媒体流路が設けられており、
前記複数の第2冷却媒体流路は、少なくとも第1の第2冷却媒体流路と第2の第2冷却媒体流路から構成され、
前記第1冷却媒体流路を流れる前記第1冷却媒体は、顕熱変化により前記電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、
前記第2冷却媒体流路を流れる前記第2冷却媒体は、潜熱変化により前記電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、
少なくとも1の貫通孔を備え、前記冷却装置と前記筐体とを固定する1以上の固定部が、前記第1の第2冷却媒体流路と前記第2の第2冷却媒体流路の間に配置された、
電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記第1冷却媒体流路における前記第1冷却媒体の流れる方向と、前記第2冷却媒体流路における前記第2冷却媒体の流れる方向とが、少なくとも部分的に直交する、
電池パック。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電池パックであって、
前記固定部は、前記第1冷却媒体の流れに正対する位置に配置されている、
電池パック。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の電池パックであって、
前記固定部は、前記第1冷却媒体の流れに正対しない位置に配置されている、
電池パック。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池パックであって、
前記固定部の前記貫通孔は、留め部材を通すことが可能である、
電池パック。
【請求項6】
請求項5に記載の電池パックであって、
前記固定部が、2つ以上の前記貫通孔を備える、
電池パック。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電池パックであって、
前記第2冷却媒体流路の少なくとも一部が、前記電池モジュールと重なって配置される、
電池パック。
【請求項8】
請求項7に記載の電池パックであって、
前記冷却装置が冷却する前記電池モジュールは複数の電池モジュールであり、
前記複数の電池モジュール間の隙間が、前記第1の第2冷却媒体流路と前記第2の第2冷却媒体流路の間に対応している、
電池パック。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電池パックであって、
前記冷却装置が冷却する前記電池モジュールは複数の電池モジュールであり、
電池モジュールの熱負荷の高い位置に、第2冷却媒体流路が配置される、
電池パック。
【請求項10】
請求項9に記載の電池パックであって、
第2冷却媒体流路が、複数の電池モジュールの中心に配置された電池モジュールと重なって配置される、
電池パック。
【請求項11】
電力の供給を受け回転するモータと、
前記モータに前記電力を供給する電池モジュールと、
前記電池モジュールを冷却するように構成された冷却装置と、
前記電池モジュールと前記冷却装置を収容する筐体と、を備える車両であって、
前記冷却装置は、
少なくとも一部に水を含む第1冷却媒体を流す第1冷却媒体流路と、
第2冷却媒体を流す第2冷却媒体流路と、を備え、
1つの前記第1冷却媒体流路に対して、複数の第2冷却媒体流路が設けられており、
前記複数の第2冷却媒体流路は、少なくとも第1の第2冷却媒体流路と第2の第2冷却媒体流路から構成され、
前記第1冷却媒体流路を流れる前記第1冷却媒体は、顕熱変化により前記電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、
前記第2冷却媒体流路を流れる前記第2冷却媒体は、潜熱変化により前記電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、
少なくとも1の貫通孔を備え、前記冷却装置と前記筐体とを固定する1以上の固定部が、前記第1の第2冷却媒体流路と前記第2の第2冷却媒体流路の間に配置された、
車両。
【請求項12】
請求項11に記載の車両であって、
前記第1冷却媒体流路における前記第1冷却媒体の流れる方向と、前記第2冷却媒体流路における前記第2冷却媒体の流れる方向とが、少なくとも部分的に直交する、
車両。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の車両であって、
前記固定部は、前記第1冷却媒体の流れに正対する位置に配置されている、
車両。
【請求項14】
請求項11又は請求項12に記載の車両であって、
前記固定部は、前記第1冷却媒体の流れに正対しない位置に配置されている、
車両。
【請求項15】
請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の車両であって、
前記固定部の前記貫通孔は、留め部材を通すことが可能である、
車両。
【請求項16】
請求項15に記載の車両であって、
前記固定部が、2つ以上の前記貫通孔を備える、
車両。
【請求項17】
請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の車両であって、
第2冷却媒体流路の少なくとも一部が、前記電池モジュールと重なって配置される、
車両。
【請求項18】
請求項17に記載の車両であって、
前記冷却装置が冷却する前記電池モジュールは複数の電池モジュールであり、
前記複数の電池モジュール間の隙間が、前記第1の第2冷却媒体流路と前記第2の前記第2冷却媒体流路の間に対応している、
車両。
【請求項19】
請求項11から請求項18のいずれか1項に記載の車両であって、
前記冷却装置が冷却する前記電池モジュールは複数の電池モジュールであり、
電池モジュールの熱負荷の高い位置に、第2冷却媒体流路が配置される、
車両。
【請求項20】
請求項19に記載の車両であって、
第2冷却媒体流路が、複数の電池モジュールの中心に配置された電池モジュールと重なって配置される、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パック、及び、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱エネルギーのロスを少なくして温度調節時の効率を維持しながら、電気絶縁性の悪化や腐食の問題がなく、温度変化および温度分布に問題のない電池温調システムを提供すべく、電池温調システムが、圧縮機と、電池を冷却する温度調節用の流体である温調流体を流すポンプと、温調流体の熱を外気に放熱させる外気用熱交換器と、圧縮機からの冷媒が流れる冷媒用熱交換部と、温調流体が流れる温調流体用熱交換部と、電池の冷媒による温度調節を行う電池冷媒間温度調節部位と、温調流体の冷媒による温度調節を行う温調流体冷媒間温度調節部位とを備え、電池冷媒間温度調節部位は、電池と冷媒用熱交換部の間に存在し、温調流体冷媒間温度調節部位は、冷媒用熱交換部と温調流体用熱交換部との間に存在することが記載されている。
【0003】
特許文献2には、液状冷媒の流入と排出のための冷媒流入口および冷媒排出口、冷媒流入口または冷媒排出口に連通している複数の冷媒パイプ、2以上の冷媒パイプが相互連通するようにこれらの間を連結し、連結された冷媒パイプの間で液状冷媒の流れを変更乃至分割する一つ以上のパイプ連結部材、および冷媒パイプのうち少なくとも一つの冷媒パイプに連通している中空型流路を含んでおり、一面に電池モジュールが搭載され、前記中空型流路を通じて液状冷媒が循環する複数の冷却プレート、を含む冷却システムおよびこれを含む電池パックが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-229480号公報
【特許文献2】特表2018-533167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両等に用いられる電池モジュールを冷却する冷却装置は、省スペース化、低コスト化が求められる。
【0006】
本開示は、省スペース化、低コスト化がなされた冷却装置を備えた電池パック及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、電力の供給を受け回転するモータを備える車両に搭載されるように設定された電池パックであって、前記モータに前記電力を供給するように設定された電池モジュールと、前記電池モジュールを冷却するように構成された冷却装置と、前記電池モジュールと前記冷却装置を収容する筐体と、を備え、前記冷却装置は、少なくとも一部に水を含む第1冷却媒体を流す第1冷却媒体流路と、第2冷却媒体を流す第2冷却媒体流路と、を備え、1つの前記第1冷却媒体流路に対して、複数の第2冷却媒体流路が設けられており、前記複数の第2冷却媒体流路は、少なくとも第1の第2冷却媒体流路と第2の第2冷却媒体流路から構成され、前記第1冷却媒体流路を流れる前記第1冷却媒体は、顕熱変化により前記電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、前記第2冷却媒体流路を流れる前記第2冷却媒体は、潜熱変化により前記電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、少なくとも1の貫通孔を備え、前記冷却装置と前記筐体とを固定する1以上の固定部が、前記第1の第2冷却媒体流路と前記第2の第2冷却媒体流路の間に配置された、電池パックを提供する。
【0008】
本開示の一態様は、電力の供給を受け回転するモータと、前記モータに前記電力を供給する電池モジュールと、前記電池モジュールを冷却するように構成された冷却装置と、前記電池モジュールと前記冷却装置を収容する筐体と、を備える車両であって、前記冷却装置は、少なくとも一部に水を含む第1冷却媒体を流す第1冷却媒体流路と、第2冷却媒体を流す第2冷却媒体流路と、を備え、1つの前記第1冷却媒体流路に対して、複数の第2冷却媒体流路が設けられており、前記複数の第2冷却媒体流路は、少なくとも第1の第2冷却媒体流路と第2の第2冷却媒体流路から構成され、前記第1冷却媒体流路を流れる前記第1冷却媒体は、顕熱変化により前記電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、前記第2冷却媒体流路を流れる前記第2冷却媒体は、潜熱変化により前記電池モジュールから熱を奪うことが可能であり、少なくとも1の貫通孔を備え、前記冷却装置と前記筐体とを固定する1以上の固定部が、前記第1の第2冷却媒体流路と前記第2の第2冷却媒体流路の間に配置された、車両を提供する。
【発明の効果】
【0009】
省スペース化、低コスト化がなされた冷却装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両100に配置された筐体αを示す側面図。
図2】2種類の冷却媒体を用いた冷却装置1を示す概念図であり、(a)は電池モジュール20と冷却装置1との関係を示し、(b)は電池モジュール20と冷却装置1とを筐体αに収容した状態を示す図。
図3】本開示の冷却装置1を示す図。
図4】第1冷却媒体流路11の内部構造を示した上面図。
図5】第2冷却媒体流路12A、12B、12Cの上面図。
図6】冷却装置1の構造を示す図であり、(a)第1冷却媒体流路11と第2冷却媒体流路12とを結合した状態を示す図、(b)第1冷却媒体と第2冷却媒体の流れの方向を示す図。
図7】冷却装置1の固定箇所を示す図。
図8】第2冷却媒体流路と、電池モジュールの位置関係のバリエーションを説明する図。
図9】第2冷却媒体流路12と、電池モジュール20の位置関係のバリエーションを説明する第2の図。
図10】冷却装置1の強度を増す為の、第2冷却媒体流路12の配置例を示す図。
図11】第1冷却媒体流路11の変形例を示す図。
図12】複数の冷却プレートを連結して形成した冷却装置5を示す図。
図13】本開示の冷却装置1aを示す図。
図14】3つの第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを、第2冷却媒体渡り流路Pを用いて直列に連通した状態を示す図。
図15図14に示した構成における、第1冷却媒体および第2冷却媒体の流れる方向を示す図。
図16】3つの第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを、第2冷却媒体渡り流路Pを用いて並列に連通した状態を示す図。
図17図16に示した構成における、第1冷却媒体および第2冷却媒体の流れる方向を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
図1は、車両100に配置された筐体αを示す側面図である。なお、理解を容易とするため、図1に示すように、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系が規定される。z軸は、
x軸およびy軸に対して垂直であり、筐体αおよび車両100の高さ方向に延びる。また、各軸の正の方向は、図1における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。ここで、x軸の正方向を「左側」と表現し、x軸の負方向を「右側」と表現し、y軸の正方向側を「後側」と表現し、y軸の負方向側を「前側」と表現し、z軸の正方向側を「上側」と表現し、z軸の負方向側を「下側」と表現することがある。
【0013】
なお、以下の説明において、「平行」、「垂直」は完全な平行、垂直だけでなく、誤差の範囲で平行、垂直からずれている場合も含むものとする。
【0014】
ハイブリッド車や電気自動車等である車両100に、筐体αが設置されている。筐体αは、電池パックとも呼ばれることもある。筐体αは、車体下部に設置される、1以上の電池モジュール20を収容している。なお、図1の例では、3つの電池モジュール20が示されている。これらの電池モジュール20によって、車両100の駆動源であるモータに電力を供給する。
【0015】
電池モジュール20は発熱するため、電池モジュール20を冷却するための冷却装置1が、筐体αの中に収容される。すなわち、筐体αは、電池モジュール20と、冷却装置1とを収容している。冷却装置1には種々の形状があるが、図示しているような薄いプレート型の冷却装置1を用いると、冷却装置1を収容する筐体αも薄くすることができる。
【0016】
電池モジュール20を冷却するために、冷却装置1は冷却媒体(図示省略)を用いる。
冷却媒体の典型例は冷媒や水である。冷却媒体の具体例については後述する。
【0017】
図1に示した冷却装置1の中には、冷却媒体を流すための流路がある。また、図示を省略する配管が、冷却装置1の外から冷却装置1内の流路へと接続される。冷却媒体は配管を通って冷却装置1の中へ流入し、冷却装置1内の流路を流れ、そして、冷却装置1の外へと出ていく。
【0018】
図1に示したように、冷却装置1はプレート状のもの(冷却プレート)であってよい。本実施形態の場合、電池モジュール20は冷却装置1(冷却プレート)の上に載り、電池モジュール20と冷却装置1との接触面を介して、電池モジュール20が冷却される。ただし、冷却装置1と電池モジュール20の形状や配置は、この実施形態には限られない。
【0019】
図2は、2種類の冷却媒体を用いた冷却装置1を示す概念図であり、(a)は電池モジュール20と冷却装置1との関係を示し、(b)は電池モジュール20と冷却装置1とを筐体αに収容した状態を示す図である。
【0020】
冷却媒体として冷媒を用いた場合、冷媒を流す配管等の流路に液状の冷媒が隅々まで行き渡らず、温度のばらつきが生じることがある。この温度ばらつきを回避するため、図2に示した実施形態においては、冷却装置1が2種類の冷却媒体を用いている。第1冷却媒体を流す第1冷却媒体流路11が、電池モジュール20に近い側(図2(a)における上側)に配置されている。第2冷却媒体を流す第2冷却媒体流路12が、電池モジュール20から遠い側(図2(a)における下側)に設けられている。
【0021】
第1冷却媒体流路11を流れる第1冷却媒体は、顕熱変化によって前記電池モジュールから熱を奪うことが可能である。第1冷却媒体は少なくとも一部に水を含む液体であり、エンジン冷却液、冷却液、不凍液、エチレングリコールなどが用いられる。ただし、これらには限定されない。
【0022】
一方、第2冷却媒体流路12を流れる冷却媒体は、潜熱変化によって前記電池モジュールから熱を奪うことが可能である。その一例は、HFC(R134a)や、地球温暖化防止にさらに配慮したHFO(R1234yf)等である。ただし、これらには限定されない。
【0023】
このように、2種類の冷却媒体を用いることで、第2冷却媒体が大きな冷却能力を発揮しつつ、その冷却能力を第1冷却媒体が拡散することで、温度ばらつきを減らすことができる。
【0024】
このような冷却装置1を、主に車両用の筐体α(電池パック)に収容する際に、2つの問題点がある。1つ目の問題点は、筐体αは、主に車体の底部に配置されるのだが、車体の底部は平坦であるとは限らないことである(図2(b)参照)。
【0025】
強度維持のため、車体底部には通常、柱やリブ等の補強部材が存在する。すなわち、車体底部には凹凸がある。すると、車体底部に設置する筐体αは、その凹凸に沿った、相補的な形状となる。その結果、筐体αの内面にも凹凸が生じる(図2(b)参照)。
【0026】
なお、筐体αの内部に補強部材が設けられることもある。この場合も、筐体αの内部に凹凸が生じる。
【0027】
つまり、いずれの場合にせよ、筐体αはその内面に凹凸を有し得る。凹部を基準とした場合の凸部Rが、図2(b)に示されている。しかしながら、筐体αが収容する冷却装置1は、安定して電池モジュール20を下から支持して冷却しなければならない。
【0028】
2つ目の問題点として、車体内部のスペースには限りがある。車体は多くの部品を搭載するため、筐体α(電池パック)を配置しようとしても、その配置箇所や配置形状に制約が存在することがある。そのため、筐体αの薄型化、小型化が求められる。
【0029】
そこで本開示の冷却装置1は、図3に示すように、1つの第1冷却媒体流路11に対して、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを備える。そして、前記複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cの間には隙間が設けられている。なお、第1冷却媒体および第2冷却媒体の種類は、図2に基づいて示したものと同様である。
【0030】
図2(b)と同様、図3においても、筐体αの内面には凸部Rがある。しかし、本実施形態の冷却装置1は、その凸部Rを、前記複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cの間に設けられた隙間が吸収する。その結果、筐体αを薄く小型化することができる。
【0031】
また、1つの第1冷却媒体流路11に対して、第2冷却媒体流路12を設ける箇所と、設けない箇所とを適宜設定することができる。すなわち、第2冷却媒体流路12を設ける数や設ける場所は、筐体αの内面が有する凹凸に応じて適宜変更できる。すなわち、上述の筐体αの薄型化を、要求仕様に応じて柔軟に行うことができる。
【0032】
さらに、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cと、電池モジュール20との間には、第1冷却媒体流路11が挟まっている。すなわち、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cに共通の第1冷却媒体流路11が、冷却能力の拡散と、温度調節の機能を果たす。結果、複数の第2冷却媒体同士の温度偏差が緩和され、電池モジュール20の冷却を均一に行うことができる。
【0033】
なお、1つの第1冷却媒体流路11に対する第2冷却媒体流路12の数は、図3の例では12A、12B、12Cの3つであるが、2つや、4つ以上であってもよい。
【0034】
次に、第1冷却媒体および第2冷却媒体の、流れの方向に係る工夫について説明する。
【0035】
図4は、第1冷却媒体流路11の内部構造を示した上面図である。本実施形態における第1冷却媒体流路11は、概して横長長方形の形状を呈している。横長長方形の右側(x軸の負方向)が、前後方向(y軸方向)の寸法を減じられている。ただし、この形状に限定する意図はなく、要求される仕様に応じて第1冷却媒体流路11の形状を適宜変更してよい。
【0036】
第1冷却媒体流路11は、凹部111を備えている。この凹部111が第1冷却媒体(典型的には水)を受容する。なお、図示は省略するが、板状の蓋が凹部111を上側(z軸方向)から塞いでよい。電池モジュール20は、この蓋の上に配置される。
【0037】
第1冷却媒体流路11は、1つ以上の壁部112を備えている。壁部112によって、第1冷却媒体流路11内の、第1冷却媒体の流れの方向が規定される。この流れの方向を白矢印で図4に示してある。
【0038】
本実施形態においては、第1冷却媒体流路11の左側(x軸方向)に、第1冷却媒体の入口113と出口114がそれぞれ設けられている。第1冷却媒体は、白い矢印で示した方向に流れる。すなわち、入口113から前記凹部111へと流入した第1冷却媒体は、前記壁部112による案内により右方向(x軸の負方向)に流れ、Uターンして左方向(x軸方向)に流れ、出口114から流出する。
【0039】
また、第1冷却媒体流路11は、固定部115を備えている。この固定部115にボルト等を挿通し、第1冷却媒体流路11を備える冷却装置1を筐体α等に固定する。なお、固定部115の詳細については後述する。また、図4に示した「第1群」「第2群」の意義についても後述する。
【0040】
図5は、3つの第2冷却媒体流路12A、12B、12Cの上面図である。本実施形態における第2冷却媒体流路12A、12B、12Cは、それぞれ、縦長(y軸方向)の形状を呈しており、中央部に仕切り121が縦方向(y軸方向)に延びている。本実施形態においては、第2冷却媒体流路12A、12B、12Cの厚み(z軸方向)は小さい。
【0041】
本実施形態においては、第2冷却媒体流路12A、12B、12Cはそれぞれ、前側(y軸の負方向)に、入口123と出口124を有している。第2冷却媒体は、黒い矢印で示した方向に流れる。すなわち、入口123から流入した第2冷却媒体は、後側(y軸方向)へと流れ、Uターンして前側(y軸の負方向)へと流れ、出口124から流出する。
【0042】
図4に示した第1冷却媒体流路11と、図5に示した3つの第2冷却媒体流路12A、12B、12Cとを貼り合わせるように重ねて、図6(a)に示すような冷却装置1が形成される。すると、図6(b)に示すように、第1冷却媒体の流れ(白矢印)と、第2冷却媒体の流れ(黒矢印)が、少なくとも部分的に直交する。このような構成にすることで、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを流れる冷却媒体の温度ばらつきが、第1冷却媒体流路11を流れる第1冷却媒体によって積極的に緩和される。なお、既に説明した図6は、冷却装置1の構造を示す図であり、(a)第1冷却媒体流路11と第2冷却媒体流路12とを結合した状態を示す図、(b)第1冷却媒体と第2冷却媒体の流れの方向を示す図である。
【0043】
以上を踏まえた上で、再び図4等を参照し、第1冷却媒体流路11が備える固定部115の構成について説明する。
【0044】
図4に示されるように、第1冷却媒体流路11は、固定部115を備えている。上述のように、凹部111は第1冷却媒体(通常は水)を受け入れている。第1冷却媒体が漏れ出ないよう、固定部115頂部の島状領域ILDが高い位置(z軸方向)に突出している。この島状領域ILD内に、貫通孔Hが設けられている。この貫通孔Hにボルトを挿通等することで、冷却装置1を筐体α等に固定する。
【0045】
次に、図7は、冷却装置1の固定箇所を示す図である。第2冷却媒体流路12A、12B、12C間の隙間S121、S122が、筐体αの凸部Rを受け入れている。その隙間S121、S122の上方(z軸方向)に、貫通孔Hを有する固定部115を配置する。
【0046】
そして、筐体αの外側(下側)と、前記固定部115との間を、図7に示したような位置でボルト止めする。なお、前記固定部115側からボルトを挿通し、筐体αと、そのさらに下に存在する車体とを共締めしてもよい。また、前記固定部115側からボルトを挿通してよく、逆に、筐体αや車体側(下側)からボルトを挿通してもよい。
【0047】
次に、固定部115と、第1冷却媒体の流れとの関係について、再び図4を参照しつつ説明する。図4には、固定部115の配置箇所につき、第1群と第2群とを示している。
【0048】
第1群に属する固定部115については、下記の通りである。冷却装置1の上に載せられた電池モジュール20(図3等を参照)は、いずれの場所も均一の温度とは限らない。よって、冷却に用いられた第1冷却媒体も、場所により温度がばらつくことになる。
【0049】
そこで、第1群に属する固定部115は、第1冷却媒体の流れに正対する位置に配置されている。このような位置に固定部115を配置すれば、第1冷却媒体の流れはこの島状の固定部115に衝突して、その周囲へと拡散される。すなわち、第1冷却媒体の乱流が起こる。一例を挙げると、第1冷却媒体が水の場合、この水が混ざりあう。従って、上記の温度ばらつきが軽減される。
【0050】
一方、第2群に属する固定部115は、第1冷却媒体の流れに正対しない位置に配置されている。すなわち、第1冷却媒体の流れを可能な限り遮らない位置に配置されている。すると、第1冷却媒体は流れを阻害されることなく円滑に流れ、冷却効率が向上する。
【0051】
次に、固定部115と、強度との関係について説明する。図4に示しているように、一つの固定部115につき、貫通孔Hを2つ以上(2つや4つ)設けている。ここで上述の通り、固定部115は、冷却装置1を筐体α等に固定する為に設けられている。固定部115の島状領域ILDの面積が大きく、1つの固定部に挿通するボルトの数が増加することで、前記固定部115を用いた固定の強度が増す。
【0052】
次に、電池モジュール20をより効率的に冷却するための、第2冷却媒体流路12A、12B、12Cの配置例について説明する。
【0053】
図8は、第2冷却媒体流路と、電池モジュールの位置関係のバリエーションを説明する図である。第2冷却媒体流路12A、12B、12Cと電池モジュール20との間には第1冷却媒体流路11が存在し、この第1冷却媒体流路11が冷却効果の拡散を行うので、温度ばらつきが緩和される。しかし一方で、温度の完全な均一化ができるとは限らない。そこで、図8(a)に示したように、第2冷却媒体流路12の少なくとも一部が、電池モジュール20と重なって配置されるようにする。前記構成により、より効率的に電池モジュール20の冷却を行うことができる。
【0054】
また、電池モジュール20の下(z軸の負方向)には、第2冷却媒体流路12A、12B、12C間の隙間S121、S122が存在するよりも、第2冷却媒体流路12A、12B、12Cが存在した方が、電池モジュール20の冷却効率が高くなる。そこで、図8(b)に示したように、電池モジュール20間の隙間S201、S202に、前記隙間S121、S122が対応するような配置とする。この配置であれば、冷却効率が向上する。
【0055】
図9は、第2冷却媒体流路12と、電池モジュール20の位置関係のバリエーションを説明する第2の図である。なお、図9は、電池モジュール20を上から見ている。電池モジュール20の熱負荷は、どの場所でも同じとは限らない。そこで、電池モジュール20の熱負荷の高い位置に、第2の冷却媒体流路を配置してよい。この配置であれば、電池モジュール20のうち熱負荷の高い箇所を集中的に冷却できるので、冷却効率が向上する。
【0056】
より具体的な例としては、複数の電池モジュール20の中心(重心)に配置された電池モジュール20には、熱がこもりやすく、熱負荷が高い。図9の例では、丸で囲った電池モジュール20が、特に熱負荷が高い。そこで、第2冷却媒体流路12が、複数の電池モジュールの中心に配置された電池モジュールと重なって配置される。この配置であれば、電池モジュール20のうち熱負荷の高い箇所を集中的に冷却できるので、冷却効率が向上する。
【0057】
次に、第2冷却媒体流路12を用いて冷却装置1の強度を増す構成について説明する。
【0058】
図10は、冷却装置1の強度を増す為の、第2冷却媒体流路12の配置例を示している。上述した通り、冷却装置1の上には電池モジュール20が置かれるのだが、冷却装置1はこの荷重に耐えねばならない。
【0059】
ここで、プレートの如き部材は、その外側に強度が要求される。外側の強度が高ければ、プレート自体の強度が向上する。
【0060】
一方、冷却装置1は、第1冷却媒体流路11と、第2冷却媒体流路12との、2種類の流路を備えている。この2種類の流路が重なっている部分(2層になっている部分)の方が、これらが重なっていない部分(1層になっている部分)よりも強度が強い。そこで、第1冷却媒体流路11と、第2冷却媒体流路12とが重なって、2層になっている部分を、プレートの補強材であると解釈し、プレートの強度が求められる箇所に配置すれば好適である。
【0061】
すなわち、第2冷却媒体流路12を、冷却装置1(冷却プレート)の外縁付近に配置すれば、冷却装置1自体の強度を増すことができる。
【0062】
例えば、図10に示しているように、冷却装置1の外縁と、前記外縁に最も近い前記第2冷却媒体流路12Aとの間の距離をS1とする。複数の前記第2冷媒通流路間(ここでは、12Aと12Bとの間)の隙間の距離をS2とする。このとき、S1<S2となるように、第2冷却媒体流路12Aを配置すれば、第2冷却媒体流路12Aが冷却装置1の外縁近くに配置されることになる。その結果、冷却装置1の外側が第2冷却媒体流路12Aによって補強され、強度の高い冷却装置1が得られる。
【0063】
次に、配管の配置の工夫について説明する。図4図6に既に示したように、第1冷却媒体が流れる方向と、第2冷却媒体が流れる方向とを直交させた場合、それぞれの冷却媒体の出入口が、冷却装置1の相異なる辺に配置されることとなる。すると、前記出入口から冷却装置1の外へと延びる配管が、筐体α内のスペース(図3参照)を圧迫する。
【0064】
この観点から、冷却媒体が流れる方向を一部変更して、第1冷却媒体の出入口と、第2冷却媒体の出入口とを、冷却装置1の同じ辺に配置すると好適である。
【0065】
図11は、1冷却媒体の出入口と、第2冷却媒体の出入口を、冷却装置1の同一の辺に配置するための、第1冷却媒体流路11の変形例を示す図である。図11に示した第1冷却媒体流路11は、図4に示した第1冷却媒体流路11と構成は同様である。しかし、第1冷却媒体が流れる方向を規定する壁部112のうち、いくつかが、90度前後折り曲げられた形で配置されている。このように、壁部112の配置や形状に基づいて第1冷却媒体の流れる方向を制御することで、第1冷却媒体の出入口113、114を、第2冷却媒体の出入口123、124(図5参照)と同一の辺に揃えて配置することができる。すると、冷却装置1から出る配管が一つの辺にまとまるので、冷却装置1の外側の配管がコンパクトになり、配管の取り回しも容易になる。その結果、冷却装置1およびこれを収容する筐体αを省スペース化することができる。
【0066】
次に、本開示の冷却装置1の変形例(以下、冷却装置1a)について説明する。なお、冷却装置1aが備える、前記冷却装置1と同様の部材については、同じ参照符号を付している。
【0067】
まず初めに、本開示の冷却装置1aに対する比較例を示す。図12は、複数の冷却プレートを連結して形成した冷却装置5を示す図である。冷却装置5は、第1冷却媒体を流す第1冷却媒体流路51と、第2冷却媒体を流す第2冷却媒体流路52を備える。
【0068】
第1冷却媒体流路51は、3つの流路51A、51B、51Cを外部の配管によって相互連通することにより形成されている。第2冷却媒体流路52も同様に、3つの流路52A、52B、52Cを外部の配管によって相互連通することにより形成されている。このように複数の流路を相互連通することにより、冷却装置5の面積は大きくなり、より多くの電池モジュールを冷却することができるようになる。
【0069】
しかし、図12に示した構成においては、各流路を相互連通するための配管が多数、冷却装置5の外側に配置される。これらの外部配管は筐体α内で多くのスペースを占有する。そのため、電池モジュール20を搭載するスペースが圧迫され、筐体αの小型化ができない。
【0070】
一方、本開示の冷却装置1aは、各流路を相互連通するための配管を外部に設ける必要が無い為、省スペース化、省コスト化が可能である。以下、その為の構成について説明する。
【0071】
図13に示す、本開示の冷却装置1aは、前記電池モジュールと近い側に配置され、第1冷却媒体を流す第1冷却媒体流路と、前記電池モジュールから遠い側に配置され、第2冷却媒体を流す第2冷却媒体流路と、を備え、1つの前記第1冷却媒体流路11に対して、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cが設けられている。ただし、第2冷却媒体流路12の数は3つでなくともよく、2つや、4つ以上であってもよい。
【0072】
本開示の冷却装置1aは、第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを相互連通させる。この相互連通の為に、第1冷却媒体流路11に設けられている壁部112を活用する。
【0073】
より具体的には、前記第1冷却媒体流路11が、前記第1冷却媒体の流れる方向を規定する壁部を備え、前記第2冷却媒体流路のうちの少なくとも2つの間を渡る、第2冷却媒体渡り流路Pを更に備え、前記第2冷却媒体渡り流路Pが、前記第1冷却媒体流路11の前記壁部112内に設けられる。
【0074】
上記構成の一例を、図14から図17に図示している。
【0075】
図14は、3つの第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを、第2冷却媒体渡り流路Pを用いて直列に連通した状態を示す図である。なお、図による理解を容易とするために、本来存在する部材の一部を省略してある。
【0076】
第1冷却媒体流路11は、図4で既に説明したように、また、図14に示されているように、第1冷却媒体が右側(x軸の負方向)へと流れ、Uターンして左側(x軸方向)へと戻ってくるようになっている。この第1冷却媒体の流れる方向を規定しているのは、既に説明した壁部112である。
【0077】
この第1冷却媒体流路11に含まれる壁部112の内側に、第2冷却媒体渡り流路Pを設ける。そして、第2冷却媒体渡り流路Pの下部(z軸の負方向)に開口A1~A10を設ける。この開口A1~A10は、破線で図示した3つの第2冷却媒体流路12A、12B、12Cと連通している。
【0078】
図15は、図14に示した構成における、第1冷却媒体および第2冷却媒体の流れる方向を図示したものである。冷却装置1aの左側の辺に設けられた入口123から流入した第2冷却媒体は、壁部112内に設けられた第2冷却媒体渡り流路Pを通り、黒矢印で示したように、開口A1を通って第2冷却媒体流路12Aへと流入する。
【0079】
この第2冷却媒体は、第2冷却媒体流路12Aを図の反時計回りに流れ、開口A2を通って第2冷却媒体渡り流路Pへと戻る。この冷却媒体はそのまま図の右側へと進み、中央の第2冷却媒体流路12Bへと流入する。
【0080】
第2冷却媒体は、以下同様に、第2冷却媒体流路と第2冷却媒体渡り流路Pとの間を行き来し、第2冷却媒体流路12Cへと流入する。そしてこの第2冷却媒体は、第2冷却媒体流路12C内を反時計回りに流れ、開口A6を通って第2冷却媒体渡り流路Pへと戻る。
【0081】
この第2冷却媒体は、同様に、開口A6、A7、A8を通って、第2冷却媒体流路と第2冷却媒体渡り流路Pとの間を行き来し、開口A9へとたどり着く。
【0082】
開口A9を通った第2冷却媒体は、第2冷却媒体流路12Aへと流入し、反時計回りに流れ、そして開口A10を通って第2冷却媒体渡り流路Pへと戻る。
【0083】
最後に、第2冷却媒体は、第1冷却媒体流路11の、図の左側の辺に設けられた出口124を通って、外部へと流出する。
【0084】
このように、第2冷却媒体渡り流路Pは、第2冷却媒体が、複数の第2冷却媒体流路12A~12Cの間を直列に流れるように、橋渡しの機能を発揮する。その結果、複数の第2冷却媒体流路12A~12Cに対する、第2冷却媒体の出入口を、冷却装置1aの1辺(図の左側の辺)にまとめることができる。
【0085】
図16は、3つの第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを、第2冷却媒体渡り流路Pを用いて並列に連通した状態を示す図である。なお、図による理解を容易とするために、本来存在する部材の一部を省略してある。
【0086】
第1冷却媒体流路は、図示されているように、第1冷却媒体が右側へ流れ、Uターンして左側へと戻ってくるようになっている。この冷却媒体の流れを規定しているのは、既に説明した壁部112である。
【0087】
この第1冷却媒体流路11に含まれる壁部112の内部に、第2冷却媒体渡り流路Pを設ける。そして、第2冷却媒体渡り流路Pの下部に開口A1~A6を設ける。この開口A1~A6は、図示した3つの第2冷却媒体流路12A、12B、12Cと連通している。
【0088】
図17は、図16に示した構成における、第1冷却媒体および第2冷却媒体の流れる方向を図示したものである。第1冷却媒体流路11の左側の辺に設けられた入口123から流入した第2冷却媒体は、その一部が、壁部112内に設けられた第2冷却媒体渡り流路Pを通り、開口A1を通って、第2冷却媒体流路12Aへと流入する。第2冷却媒体の残りの一部は、第2冷却媒体渡り流路Pを通り、第2冷却媒体流路12Bへと流れる。
【0089】
第2冷却媒体流路12Aの中に流入した第2冷却媒体は、第2冷却媒体流路12Aを図の反時計回りに流れ、開口A2を通って第2冷却媒体渡り流路Pへと戻る。そして、第1冷却媒体流路11の、図の左側の辺に設けられた出口124を通って、外部へと流出する。
【0090】
一方、第2冷却媒体流路12Bへと流れた、第2冷却媒体の残りの一部は、そのさらに一部が開口A3を通って、第2冷却媒体流路12Bへと流入する。残った冷却媒体は、第2冷却媒体渡り流路Pを通って、第2冷却媒体流路12Cへと流れる。
【0091】
第2冷却媒体流路12Bの中に流入した第2冷却媒体は、第2冷却媒体流路12Bを図の反時計回りに流れ、開口A4を通って第2冷却媒体渡り流路Pへと戻る。そして、第2冷却媒体流路12Aを通り過ぎ、第1冷却媒体流路11の、図の左側の辺に設けられた出口124を通って、外部へと流出する。
【0092】
最後に、第2冷却媒体流路12Cへと流れた、第2冷却媒体の残りの一部は、開口A5を通って、第2冷却媒体流路12Cへと流入する。第2冷却媒体流路12Cの中に流入した第2冷却媒体は、第2冷却媒体流路12Cを図の反時計回りに流れ、開口A6を通って第2冷却媒体渡り流路Pへと戻る。そして、第2冷却媒体流路12Bおよび12Aを通り過ぎ、第1冷却媒体流路11の、図の左側の辺に設けられた出口124を通って、外部へと流出する。
【0093】
このように、第2冷却媒体渡り流路Pは、第2冷却媒体が、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cの間を並列に流れるように、橋渡しの機能を発揮する。その結果、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cに対する、第2冷却媒体の出入口123、124を、冷却装置1aの1辺(図の左側の辺)にまとめることができる。
【0094】
図14図17に示した例では、前記第1冷却媒体流路11における第1冷却媒体の流れる方向と、前記第2冷却媒体流路12A、12B、12Cにおける第2冷却媒体の流れる方向とが、少なくとも部分的に直交している。このような構成にすることで、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを流れる第2冷却媒体の温度ばらつきが、第1冷却媒体流路11を流れる第1冷却媒体によって積極的に緩和される。
【0095】
また、図14図17から明らかなように、第2冷却媒体渡り流路Pを第1冷却媒体流路11の壁部112内部に設けたことによって、第1冷却媒体流路の出入口113、114と、第2冷却媒体流路の出入口123、124とを、前記冷却装置の同一の辺に設けることができるようになる。
【0096】
第2冷却媒体渡り流路Pを設ける壁部112として、第1冷却媒体流路11を左右(x軸方向)に横断する壁部112を用いたが、この壁部112の向きは、その他の向きであってもよい。ただし、複数の第2冷却媒体流路の間で、第2冷却媒体を橋渡しできるような位置、長さを有している壁部112に限られる。
【0097】
なお、第2冷却媒体渡り流路Pを設けた上記の実施形態は、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cのそれぞれの間に隙間が無くとも、同様の効果を奏することができる。
【0098】
また、前述と同様に、第2冷却媒体流路12を、冷却装置1aの外縁付近に配置して、冷却装置の強度増強を図ることができる。
【0099】
既に説明した図10の例と同様に、冷却装置1aの外縁と、前記外縁に最も近い前記第2冷却媒体流路12Aとの間の距離をS1とする。複数の前記第2冷媒通流路間(ここでは、12Aと12Bとの間)の隙間の距離をS2とおく。このとき、S1<S2となるように、第2冷却媒体流路12Aを配置すれば、第2冷却媒体流路12Aが冷却装置1aの外縁近くに配置されることになる。その結果、冷却装置1aの外側が第2冷却媒体流路12によって補強され、強度の高い冷却装置1aが得られる。
【0100】
本開示の冷却装置は以上のような構成を有するが、上記構成において、前記第1冷却媒体流路における第1冷却媒体の流れる方向と、前記第2冷却媒体流路における第2冷却媒体の流れる方向とが、少なくとも部分的に直交してよい。前記構成により、複数の第2冷却媒体流路12A、12B、12Cを流れる冷却媒体の温度ばらつきが、第1冷却媒体流路11を流れる第1冷却媒体によって積極的に緩和される。
【0101】
上記構成において、第1冷却媒体は水であってよい。また、第2冷却媒体は冷媒であってよい。前記構成により、冷媒による冷却能力を水によって拡散することで、温度のばらつきを緩和することができる。
【0102】
上記構成において、前記冷却装置を、前記冷却装置を収容する所定の筐体に固定する、1以上の固定部を、複数の前記第2冷却媒体流路の間に備えてよい。前記構成により、第2冷却媒体流路を間に挟むことなく、冷却装置1(1a)を筐体αに固定することができる。そのため、厚みが減らされ、筐体αを省スペース化することができる。
【0103】
上記構成において、冷却装置が、前記第1冷却媒体の流れに正対する位置に配置されている前記固定部を備えてよい。前記構成により、第1冷却媒体の流れは固定部115に衝突して、その周囲へと拡散される。すなわち、流れを拡散する機能を固定部115が果たすことにより、温度ばらつきの改善がなされる。
【0104】
上記構成において、前記第1冷却媒体の流れに正対しない位置に配置されている前記固定部を備えてよい。前記構成により、第1冷却媒体は流れを阻害されることなく円滑に流れ、冷却効率が向上する。
【0105】
上記構成において、前記固定部が、留め部材を通すための貫通孔を備えてよい。前記構成により、この貫通孔Hにボルトを挿通することで、冷却装置1を筐体α等に固定することができる。
【0106】
上記構成において、前記固定部が、2つ以上の前記貫通孔を備えてよい。前記構成により、固定部115の前記島状領域ILDが大きく、1つの固定部について挿通するボルトの数が増加することで、前記固定部115による固定の強度が増す。
【0107】
上記構成において、第1冷却媒体流路の出入口と、第2冷却媒体流路の出入口とが、前記冷却装置の同一の辺に設けられるようにしてよい。前記構成により、冷却装置1から出る配管が一つの辺にまとまるので、冷却装置1(1a)の外側の配管がコンパクトになり、また、配管の取り回しも容易になる。その結果、冷却装置1(1a)およびこれを収容する筐体αを省スペース化することができる。
【0108】
前記構成において、第2冷却媒体流路の少なくとも一部が、前記電池モジュールと重なって配置されてよい。前記構成により、より効率的に電池モジュール20の冷却を行うことができる。
【0109】
前記構成において、前記冷却装置が冷却する前記電池モジュールは複数の電池モジュールであり、前記複数の電池モジュール間の隙間が、前記複数の第2冷却媒体流路間の隙間と対応していてよい。前記構成により、電池モジュール20のうち熱負荷の高い箇所を集中的に冷却できるので、冷却効率が向上する。
【0110】
上記構成において、前記冷却装置が冷却する前記電池モジュールは複数の電池モジュールであり、電池モジュールの熱負荷の高い位置に、第2冷却媒体流路が配置されてよい。前記構成により、電池モジュール20のうち熱負荷の高い箇所を集中的に冷却できるので、冷却効率が向上する。
【0111】
上記構成において、第2冷却媒体流路が、複数の電池モジュールの中心に配置された電池モジュールと重なって配置されてよい。前記構成により、電池モジュール20のうち熱負荷の高い箇所を集中的に冷却できるので、冷却効率が向上する。
【0112】
上記構成において、前記冷却装置の外縁と、前記外縁に最も近い前記第2冷却媒体流路と間の距離が、複数の前記第2冷却媒体流路間の隙間の距離よりも小さくなるように、前記第2冷却媒体流路を配置してよい。前記構成により、第2冷却媒体流路12Aが冷却装置1の外縁近くに配置されることになる。その結果、冷却装置1の外側が第2冷却媒体流路12によって補強され、強度の高い冷却装置1が得られる。
【0113】
前記構成において、前記第2冷却媒体渡り流路は、前記複数の第2冷却媒体流路の中を前記第2冷却媒体が直列あるいは並列に流れるように、配置されてよい。前記構成により、その結果、複数の第2冷却媒体流路12A~12Cに対する、第2冷却媒体の出入口123、124を、冷却装置1aの1辺にまとめることができる。そのため、配管のスペースが削減され、筐体αの省スペース化が実現できる。
【0114】
また、筐体が、1以上の電池モジュールと、前記電池モジュールを冷却する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の冷却装置を備えてよい。前記構成により、省スペース化、省コスト化された筐体(電池パック)を得ることができる。
【0115】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 冷却装置
1a 冷却装置
5 冷却装置
11 第1冷却媒体流路
12 第2冷却媒体流路
12A~12C 第2冷却媒体流路
20 電池モジュール
51 第1冷却媒体流路
52 第2冷却媒体流路
51A~51C 流路
52A~52C 流路
111 凹部
112 壁部
113 入口
114 出口
115 固定部
121 仕切り
123 入口
124 出口
A1~A10 開口
H 貫通孔
ILD 島状領域
P 流路
R 凸部
S121 隙間
S122 隙間
α 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17