IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社バンダイの特許一覧

<>
  • 特開-構造体 図1A
  • 特開-構造体 図1B
  • 特開-構造体 図2
  • 特開-構造体 図3A
  • 特開-構造体 図3B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015280
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/36 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A63H3/36 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207122
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2021184213の分割
【原出願日】2020-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中元 悠太
(57)【要約】
【課題】より自然な変形を実現可能な人形体を構成するのに有利な技術を提供する。
【解決手段】人形体の頭部の少なくとも一部を構成する構造体であって、口部を形成する上顎部および下顎部を備え、前記下顎部は、前記上顎部から離間することにより前記口部が閉口状態から開口状態となるように前記頭部本体に保持され、前記上顎部は、前記口部を前記閉口状態から前記開口状態とした場合に前記上顎部の後方部が降下するように前記頭部本体に保持されている。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形体の頭部の少なくとも一部を構成する構造体であって、
口部を形成する上顎部および下顎部を備え、
前記下顎部は、前記上顎部から離間することにより前記口部が閉口状態から開口状態となるように前記頭部本体に保持され、
前記上顎部は、前記口部を前記閉口状態から前記開口状態とした場合に前記上顎部の後方部が降下するように前記頭部本体に保持されている
構造体。
【請求項2】
前記上顎部が前記頭部本体に対して回動可能となるように前記上顎部の前方部を保持する第1保持部を更に備える
請求項1記載の構造体。
【請求項3】
前記第1保持部による前記上顎部の回動領域を規制するように前記上顎部の前方部を保持する第2保持部を更に備える
請求項2記載の構造体。
【請求項4】
前記閉口状態から前記開口状態とした場合に前記上顎部の前記後方部に係止する係止部を更に備える
請求項1から請求項3の何れか1項記載の構造体。
【請求項5】
前記下顎部に対して固定された舌部を更に備え、
前記係止部は、前記舌部の後方部に設けられている
請求項4記載の構造体。
【請求項6】
前記人形体は、四足歩行の動物を模した模型玩具である
請求項1から請求項5の何れか1項記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形体の構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人形体の各部位に設けられた関節構造について記載されている。ユーザは、このような人形体を所望の姿勢にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-17264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人形体のなかには、より自然な変形を実現可能に構成されることが求められるものもある。
【0005】
本発明は、より自然な変形を実現可能な人形体を構成するのに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は、人形体の頭部の少なくとも一部を構成する構造体に係り、前記構造体は、口部を形成する上顎部および下顎部を備え、前記下顎部は、前記上顎部から離間することにより前記口部が閉口状態から開口状態となるように前記頭部本体に保持され、前記上顎部は、前記口部を前記閉口状態から前記開口状態とした場合に前記上顎部の後方部が降下するように前記頭部本体に保持されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より自然な変形を実現可能な人形体を構成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】人形体の頭部パーツの閉口状態についての全体斜視図。
図1B】頭部パーツの開口状態についての全体斜視図。
図2】頭部パーツの分解図。
図3A】脚部パーツの閉口状態についての断面模式図。
図3B】脚部パーツの開口状態についての断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1A及び図1Bは、実施形態に係る人形体1の頭部パーツ2の全体斜視図を示す。本実施形態では、人形体1は、四足歩行の動物(例えば犬)を模した模型玩具とするが、例えば、二足歩行の動物(例えばヒト)等を模したものであってもよい。
【0011】
尚、本明細書においては、各部位の位置関係を説明するのに際して、前(前方)、後(後方)、左(左側方)、右(右側方)、上(上方)、下(下方)、内(内方)、外(外方)等と記載する場合があるが、これらの表現は人形体1を基準とした相対的なものである。例えば、前は人形体1正面側に対応し、後は人形体1背面側に対応する。
【0012】
また、本明細書では、人形体1の個々の構成要素を「パーツ」と表現するが、パーツの概念には、ユーザが分解可能な最小単位のものの他、それらを2以上組み合わせて成るものをも指す。よって、以下の説明における「パーツ」という表現は、「部品(component, piece)」、「部材(member)」、「構造体(structure)」、「組立体(assembly)」等に置換されてもよいし、或いは省略されてもよい。例えば、頭部パーツ2は、頭部部品、頭部部材、頭部構造体、頭部組立体等と表現されてもよいし、或いは単に頭部と表現されてもよい。後述の他のパーツについても同様とする。
【0013】
頭部パーツ2は、上顎部パーツ201および下顎部パーツ202を備える。詳細については後述とするが、上顎部パーツ201および下顎部パーツ202は頭部パーツ2本体に保持される。下顎部パーツ202は、頭部パーツ2本体に対して回動可能に保持され、上顎部パーツ201および下顎部パーツ202は、相互に近接した状態では口部の閉口状態を形成し(図1A参照)、また、相互に離間した状態では口部の開口状態を形成する(図1B参照)。
【0014】
図2は、頭部パーツ2の分解斜視図である。頭部パーツ2は、上顎部パーツ201および下顎部パーツ202の他、パーツ203~211を更に備える。頭部パーツ2は、これらパーツ201~211が直接的/間接的に相互に接続されることにより、及び、それらのうちの互いに隣り合う2つが固定的に又は回動(或いは揺動)可能に相互に接続されることにより、構成されうる。理解の容易化のため、図中には、これらパーツ間の接続関係を破線で示す。
【0015】
尚、パーツ間の接続の概念には、一方のパーツを他方のパーツに対して取り付けること、連結すること、固定すること等、多様な接続態様が含まれうる。理解の容易化のため、本明細書では実施態様に則した表現が用いられるものとするが、本発明は、その表現に厳密に限定されるものではない(該表現は同様の表現に置換え可能とする。)。他の表現についても同様とする。
【0016】
パーツ203は、頭部パーツ2の左側部を形成する(左側頭部パーツと称されてもよい。)。パーツ204は、頭部パーツ2の右側部を形成する(右側頭部パーツと称されてもよい。)。これらパーツ203及び204は相互に連結される。詳細については後述とするが、上顎部パーツ201は、これらパーツ203及び204の下方部において保持される。
【0017】
パーツ205は、頭部パーツ2の上側前方部を形成する(前頭部パーツと称されてもよい。)。パーツ206は、前頭部パーツ205の前端部に取り付けられ、鼻部を形成する(鼻部パーツと称されてもよい。)。これらパーツ205~206は、上記相互に連結される左側頭部パーツ203及び右側頭部パーツ204に保持ないし挟持される。
【0018】
パーツ207は、前頭部パーツ205の上部左側に取り付けられ、一方の耳部を形成する(左耳部パーツと称されてもよい。)。パーツ208は、前頭部パーツ205の上部右側に取り付けられ、他方の耳部を形成する(右耳部パーツと称されてもよい。)。
【0019】
パーツ209及び210は、相互に連結されることにより下顎部パーツ202を回動可能に下顎部パーツ202の後方部を支持する(何れも支持パーツと称されてもよい。)。これらパーツ209及び210は、前頭部パーツ205に取り付けられると共に、上記相互に連結される左側頭部パーツ203及び右側頭部パーツ204に保持ないし挟持される。
【0020】
また、パーツ211は、舌部を形成し、下顎部パーツ202に対して固定される(舌部パーツと称されてもよい。)。
【0021】
本実施形態においては、パーツ203~210が頭部パーツ2本体を形成しており、この頭部パーツ2本体に対して、口部を形成する上顎部パーツ201および下顎部パーツ202が保持されることとなる。
【0022】
尚、頭部パーツ2の組立てに際して、パーツ209及び210はパーツ203及び204により挟持される形となるが、このことは、パーツ209及び210が前頭部パーツ205に取り付けられる前に行われればよい。即ち、パーツ201~204及びパーツ209~211は、一体に前頭部パーツ205に対して取り付けられればよい。
【0023】
尚、パーツ201~211には、本実施形態ではポリスチレン等の樹脂が用いられるものとするが、木材、金属等、所望の強度を有する他の材料が用いられてもよい。
【0024】
図3Aは、閉口状態における頭部パーツ2の断面模式図である。図3Bは、開口状態における頭部パーツ2の断面模式図である。構造の理解の容易化のため、図中においては、頭部パーツ2本体、上顎部パーツ201、下顎部パーツ202および下部パーツ211の外形については破線で示され、後述の軸部P1及びP2並びに保持部H1及びH2については実線で示される。
【0025】
図2図3A及び図3Bに示されるように、上顎部パーツ201の前方部には、第1軸部P1と、その後方に位置する第2軸部P2とが設けられる。軸部P1及びP2は、左右方向に延出するように、それぞれ左右一対設けられる。
【0026】
図3A及び図3Bに示されるように、パーツ203(及び204)には第1保持部H1が設けられる。保持部H1は、本実施形態では、軸部P1を嵌合により保持する円形状の開口部であり、上顎部パーツ201が頭部パーツ2本体に対して回動可能となるように上顎部パーツ201の軸部P1を保持する。
【0027】
また、図3A及び図3Bに示されるように、パーツ203(及び204)には第2保持部H2が設けられる。保持部H2は、軸部P2を摺動可能に保持する長孔形状の開口部である。これにより、保持部H2は、保持部H1による上顎部パーツ201の回動領域(或いは可動範囲)を規制可能とする。
【0028】
図3A及び図3Bから分かるように、本実施形態では、軸部P2は軸部P1後方に位置しており(保持部H2は保持部H1後方に位置しており)、これにより、上顎部パーツ201の回動を適切に実現すると共に、その回動領域を適切に規制可能とする。
【0029】
舌部パーツ211の後方部には、上顎部パーツ201の後方部に係止可能な係止部E1が設けられる。前述のとおり、本実施形態においては、舌部パーツ211は下顎部パーツ202に対して固定されている。そのため、図3A及び図3Bから分かるように、口部が閉口状態から開口状態となるように下顎部パーツ202を回動させた場合、係止部E1は上顎部パーツ201の後方部に係止する。これにより、下顎部パーツ202の回動に伴って上顎部パーツ201の後方部は下方に移動する。一方、口部が開口状態から閉口状態となるようにした下顎部パーツ202を回動させた場合、上顎部パーツ201は舌部パーツ211により下方から押圧されることとなり、上顎部パーツ201の後方部は上方に移動する。
【0030】
以上のような構造により、上顎部パーツ201は、下顎部パーツ202の回動に伴って部分的に上下動する。本実施形態では、上顎部パーツ201の上下動は舌部パーツ211により実現される態様を例示したが、舌部パーツ211は下顎部パーツ202に対して固定されるため、下顎部パーツ202と舌部パーツ211とは他の実施形態として一体成形されていてもよい。或いは、舌部パーツ211を省略して、舌部パーツ211の機能を下顎部パーツ202に兼ねさせてもよい。
【0031】
また、下顎部パーツ202の回動に伴って上顎部パーツ201が部分的に上下動する上記構造は、本実施形態に限られるものではなく、他の構造が採用されてもよい。例えば、本実施形態においては、保持部H2を長孔形状の開口部としたが、保持部H2を円形状の開口部とし(保持部H1同様)、上顎部パーツ201を可撓性の材料(例えばゴム)で構成してもよい。このような構造においても、上顎部パーツ201は、下顎部パーツ202の回動に伴って部分的に上下動することとなる。
【0032】
以上、本実施形態によれば、上顎部パーツ201は、口部を閉口状態から開口状態とした場合に、上顎部パーツ201の後方部が降下するように頭部パーツ2本体に保持される。このような構造によれば、口部を閉口状態から開口状態とした場合に顎が外れているような違和感が解消され、人形体1における自然な変形を適切に実現可能となる。
【0033】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1:人形体、2:頭部パーツ、201:上顎部パーツ、202:下顎部パーツ。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形体の頭部の少なくとも一部を構成する構造体であって、
口部を形成する上顎部パーツおよび下顎部パーツを備え、
前記人形体の少なくとも前頭部および側頭部を構成する頭部パーツを含み、
前記上顎部パーツは、前記頭部パーツの下方に保持されており、
前記下顎部パーツは、前記上顎部パーツから離間することにより前記口部が閉口状態から開口状態となるように前記頭部パーツに保持され、
前記下顎部パーツは、係止部を備え、
前記上顎部パーツは、前記口部を前記閉口状態から前記開口状態とする場合に、前記係止部によって前記上顎部パーツの後方部が押し下げられるように前記頭部パーツに保持されている、
構造体。
【請求項2】
前記頭部パーツは、前記上顎部パーツが前記頭部パーツに対して回動可能となるように前記上顎部パーツの前方部を保持する第1保持部を備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記頭部パーツは、前記第1保持部による前記上顎部パーツの回動領域を規制するように前記上顎部パーツの前方部を保持する第2保持部を更に備える、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記開口状態から前記閉口状態とする場合に、前記上顎部パーツの前記後方部は、前記下顎部パーツに押圧されて上方に移動する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の構造体。
【請求項5】
前記上顎部パーツの前記後方部は、前記下顎部パーツに押圧されて前記上方に移動することにより、前記係止部により押し下げられる前の位置に復帰する、請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
前記下顎部パーツに対して固定された舌部を更に備え、
前記係止部は、前記舌部の後方部に設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
前記人形体は、四足歩行の動物を模した模型玩具である、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の構造体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一つの側面は、人形体の頭部の少なくとも一部を構成する構造体に係り、前記構造体は、口部を形成する上顎部および下顎部を備え、前記下顎部は、前記上顎部から離間することにより前記口部が閉口状態から開口状態となるように前記頭部本体に保持され、前記上顎部は、前記口部を前記閉口状態から前記開口状態とした場合に前記上顎部の後方部が降下するように前記頭部本体に保持されている。 本発明の一つの側面は更に、人形体の頭部の少なくとも一部を構成する構造体であって、口部を形成する上顎部パーツおよび下顎部パーツを備え、前記人形体の少なくとも前頭部および側頭部を構成する頭部パーツを含み、前記上顎部パーツは、前記頭部パーツの下方に保持されており、前記下顎部パーツは、前記上顎部パーツから離間することにより前記口部が閉口状態から開口状態となるように前記頭部パーツに保持され、前記下顎部パーツは、係止部を備え、前記上顎部パーツは、前記口部を前記閉口状態から前記開口状態とする場合に、前記係止部によって前記上顎部パーツの後方部が押し下げられるように前記頭部パーツに保持されている。