(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152818
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20241018BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/26 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131257
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2021546961の分割
【原出願日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2019169179
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】古賀 方土
(57)【要約】
【課題】異常が発生した時のショベルの状態を示す情報を収集することを目的とする。
【課題を解決するための手段】状態検出センサから収集される診断データに基づき異常を検知する異常検知部と、前記診断データの収集中に前記異常が検知された場合に、前記異常が検知された後も前記診断データの収集を継続するデータ収集部と、を有するショベルである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態検出センサから収集される診断データに基づき異常を検知する異常検知部と、
前記診断データの収集中に前記異常が検知された場合に、前記異常が検知された後も前記診断データの収集を継続するデータ収集部と、を有するショベル。
【請求項2】
前記異常が検知された後に、揮発性メモリに格納された前記診断データを、不揮発性メモリに転送する制御部を有し、
前記診断データを転送する間は、前記制御部を起動した状態に維持する、請求項1記載のショベル。
【請求項3】
前記診断データの転送が完了した後に、前記制御部への電源の供給を停止する、請求項2記載のショベル。
【請求項4】
前記異常が検知される前に収集された前記診断データと、前記異常が検知された後に収集された前記診断データと、前記異常が検知されたことを示す情報と、を対応付けた情報を出力する出力部を有する、請求項1記載のショベル。
【請求項5】
前記診断データを収集したときのショベルの動作を示す情報と、前記異常が検知される前の収集された前記診断データと、前記異常が検知された後に収集された前記診断データと、前記異常が検知されたことを示す情報と、を対応付けた情報を出力する、請求項4記載のショベル。
【請求項6】
前記ショベルの動作は、予め決められた規定動作である、請求項5記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャビン内の表示部に表示された規定動作の指示に沿って、操作者が規定動作を行い、操作者による規定動作の実行中におけるセンサからの検出値を規定動作と対応付けて記憶部に記憶するショベルが知られている(特許文献1参照)。規定動作と対応付けられたセンサからの検出値は、例えば、管理装置へ送信され、ショベルの故障診断等に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、動作中に発生した異常によって、動作が停止した場合については考慮されていない。このため、従来のショベルでは、異常の発生によって動作が停止した場合には、それまでに収集されて一時的に保持された検出値が消滅し、異常が発生した時のショベルの状態を示す情報を取得することができない。
【0005】
そこで、上記事情に鑑み、異常が発生した時のショベルの状態を示す情報を収集することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルは、状態検出センサから収集される診断データに基づき異常を検知する異常検知部と、前記診断データの収集中に前記異常が検知された場合に、前記異常が検知された後も前記診断データの収集を継続するデータ収集部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
異常が発生した時のショベルの状態を示す情報を収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るショベルの側面図である。
【
図2】
図1のショベルPSの駆動系の構成例を示すブロック図である。
【
図4】画像表示部に表示される診断メニューの選択画面の一例を示す図である。
【
図5】ショベルのコントローラの処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下に図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るショベルの一例を示す側面図である。
【0010】
ショベルPSの下部走行体1には、旋回機構2を介して旋回可能に上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられている。アーム5の先端には、アームトップピンP1及びバケットリンクピンP2によりエンドアタッチメント(作業部位)としてバケット6が取り付けられている。エンドアタッチメントとしては、法面用バケット、浚渫用バケット、ブレーカ等が取り付けられてもよい。
【0011】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例として掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。掘削アタッチメントには、バケットチルト機構が設けられてもよい。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3を「姿勢センサ」と称することもある。
【0012】
図1の実施形態では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されている。但し、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3の少なくとも1つは、加速度センサのみで構成されていてもよい。また、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7に取り付けられたストロークセンサであってもよく、ロータリーエンコーダ、ポテンショメータ、又は慣性計測装置等であってもよい。アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3についても同様である。
【0013】
上部旋回体3は、エンジン11等の動力源、車体傾斜センサS4が搭載され、カバー3aにより覆われている。上部旋回体3のカバー3aの上部には、撮像装置80が設けられている。撮像装置80は、前方監視カメラ80F、左側方監視カメラ80L、後方監視カメラ80B、及び右側方監視カメラ80Rを含む。
【0014】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられている。キャビン10の頂部には、GPS装置(GNSS受信機)G1、及び送信装置T1が設けられている。GPS装置(GNSS受信機)G1は、ショベルPSの位置をGPS機能により検出し、位置データをコントローラ30内のマシンガイダンス装置50に供給する。送信装置T1は、ショベルPSの外部に向けて情報を発信する。送信装置T1は、例えば、後述する管理装置90が受信可能な情報を発信する。また、キャビン10内には、コントローラ30、表示装置40、音声出力装置43、入力装置45、及び記憶装置47が設けられている。
【0015】
コントローラ30は、ショベルPSの駆動制御を行う主制御部として機能する。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成されている。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されているプログラムを実行することで実現される。
【0016】
コントローラ30は、ショベルPSの操作をガイドするマシンガイダンス装置50としても機能する。マシンガイダンス装置50は、例えば、操作者が設定した目標地形の表面である目標面とアタッチメントの作業部位との距離等といった作業情報を操作者に報知する。目標面とアタッチメントの作業部位との距離は、例えば、エンドアタッチメントとしてのバケット6の先端(爪先)、バケット6の背面、エンドアタッチメントとしてのブレーカの先端等と目標面との間の距離である。マシンガイダンス装置50は、表示装置40や音声出力装置43等を介して、作業情報を操作者に報知し、ショベルPSの操作をガイドする。
【0017】
本実施形態では、マシンガイダンス装置50がコントローラ30に組み込まれているが、マシンガイダンス装置50とコントローラ30とは別に設けられてもよい。この場合、マシンガイダンス装置50は、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。マシンガイダンス装置50の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0018】
表示装置40は、コントローラ30に含まれるマシンガイダンス装置50からの指令に応じて各種の作業情報を含む画像を表示する。表示装置40は、例えば、マシンガイダンス装置50に接続される車載液晶ディスプレイである。
【0019】
音声出力装置43は、コントローラ30に含まれるマシンガイダンス装置50からの音声出力指令に応じて各種の音声情報を出力する。音声出力装置43は、例えば、マシンガイダンス装置50に接続される車載スピーカを含む。また、音声出力装置43は、ブザー等の警報器を含んでもよい。
【0020】
入力装置45は、ショベルPSの操作者がマシンガイダンス装置50を含むコントローラ30に各種情報を入力するための装置である。入力装置45は、例えば、表示装置40の表面に設けられるメンブレンスイッチを含んで構成される。また、入力装置45は、タッチパネル等を含んで構成されてもよい。
【0021】
記憶装置47は、各種情報を記憶するための装置である。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、マシンガイダンス装置50を含むコントローラ30等が出力する各種情報を記憶する。
【0022】
ゲートロックレバー49は、キャビン10のドアと運転席との間に設けられ、ショベルPSが誤って操作されるのを防止する機構である。コントローラ30は、ゲートロックレバー49が押し下げられている状態では、ゲートロック弁49a(
図2参照)を「閉」の状態とし、ゲートロックレバー49が引き上げられている状態では、ゲートロック弁49aを「開」の状態とするように制御する。
【0023】
ゲートロック弁49aは、コントロールバルブ17と操作レバー26A~26C(
図2参照)等との間の油路に設けられている切替弁である。なお、ゲートロック弁49aは、コントローラ30からの指令によって開閉する構成になっているが、ゲートロックレバー49と機械的に接続され、ゲートロックレバー49の動作に応じて開閉する構成であってもよい。
【0024】
ゲートロック弁49aは、「閉」の状態において、コントロールバルブ17と操作レバー26A~26C等との間の作動油の流れを遮断して操作レバー26A~26C等の操作を無効にする。また、ゲートロック弁49aは、「開」の状態において、コントロールバルブ17と操作レバー等との間で作動油を連通させて操作レバー26A~26C等の操作を有効にする。即ち、操作者が運転席に乗り込んでゲートロックレバー49を引き上げると、操作者はキャビン10から退出できなくなると共に各種の操作装置26(
図2参照)が操作できる状態になる(ロック解除状態)。操作者がゲートロックレバー49を押し下げると、操作者はキャビン10から退出可能になると共に、各種の操作装置26は操作できない状態になる(ロック状態)。
【0025】
図2は、
図1のショベルPSの駆動系の構成例を示すブロック図である。
図2の例では、ショベルPSは、ショベルPSの管理システム300に含まれる。管理システム300は、ショベルPSと、ショベルPSと通信を行う管理装置90とを含む。なお、管理システム300に含まれるショベルPSの台数は任意であって良い。
【0026】
ショベルPSの駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、コントローラ30、エンジン制御装置(ECU)74、エンジン回転数調整ダイヤル75、操作バルブ100等を含む。
【0027】
エンジン11は、ショベルPSの駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。
【0028】
メインポンプ14は、高圧油圧ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する油圧ポンプであり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0029】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種の油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプであり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0030】
コントロールバルブ17は、ショベルPSにおける油圧システムを制御する油圧制御バルブである。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ(右)1A、走行用油圧モータ(左)1B、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの一又は複数のものに対し、メインポンプ14から供給された作動油を選択的に供給する。なお、以下の説明では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ(右)1A、走行用油圧モータ(左)1B、及び旋回用油圧モータ2Aをまとめて「油圧アクチュエータ」と称する。
【0031】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置であり、パイロットライン25を介して、パイロットポンプ15から供給された作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作レバー26A~26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力とされる。
【0032】
コントローラ30は、ショベルPSを制御するための制御装置であり、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30のCPUは、ショベルPSの動作や機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMに展開しながらプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する処理を実行させる。
【0033】
ECU74は、エンジン11を制御する装置である。ECU74は、例えば、コントローラ30からの指令値に基づき、エンジン回転数調整ダイヤル75により操作者が設定したエンジン回転数(モード)に応じて、エンジン11の回転数を制御するための燃料噴射量等をエンジン11に出力する。
【0034】
エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジンの回転数を調整するためのダイヤルであり、本発明の実施形態ではエンジン回転数を4段階で切り換えできるようにする。例えば、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びIDLEモードの4段階でエンジン回転数を切り換えできるようにする。なお、
図2は、エンジン回転数調整ダイヤル75でHモードが選択された状態を示す。
【0035】
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される作業モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される作業モードであり、2番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルPSを稼働させたい場合に選択される作業モードであり、3番目に高いエンジン回転数を利用する。IDLEモードは、エンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される作業モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された作業モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
【0036】
操作バルブ100は、コントローラ30が油圧アクチュエータの操作のために用いるバルブであり、パイロットライン25を介して、パイロットポンプ15から供給された作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力は、コントローラ30からの制御信号に応じた圧力とされる。操作バルブ100は、アタッチメントを構成するブーム4、アーム5、バケット6のシリンダに対して、規定動作に対応してロッド側とボトム側との少なくとも一方に設けられる。ロッド側とボトム側の両方に設けてもよい。
【0037】
また、走行用油圧モータ(右)1A、走行用油圧モータ(左)1B、及び旋回用油圧モータ2Aにおいては、吐出側と吸入側の少なくとも一方に設けられる。吐出側と吸入側の両方に設けてもよい。
【0038】
この場合、操作装置26が中立位置の状態でも、規定動作を実行することができる。また、操作装置26とコントロールバルブ17との間に配置した減圧弁を操作バルブ100として機能させてもよい。この場合、操作装置26を最大に倒した状態でコントローラ30から減圧弁へ減圧指令を送ることで、コントロールバルブ17に対して安定した動作指令を与えることができる。
【0039】
また、ショベルPSには、表示装置40が設けられる。
【0040】
表示装置40は、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続される。なお、表示装置40は、専用線を介してコントローラ30に接続されてもよい。
【0041】
また、表示装置40は、画像表示部41上に表示する画像を生成する変換処理部40aを含む。変換処理部40aは、撮像装置80の出力に基づいて画像表示部41上に表示するカメラ画像を生成する。そのため、撮像装置80は、例えば専用線を介して表示装置40に接続される。また、変換処理部40aは、コントローラ30の出力に基づいて画像表示部41上に表示する画像を生成する。
【0042】
撮像装置80は、前方監視カメラ80F、左側方監視カメラ80L、後方監視カメラ80B、及び右側方監視カメラ80Rを含む。
【0043】
前方監視カメラ80Fは、キャビン10の前側、例えば、キャビン10の天井部分等に設けられ、ショベルPSの前方、及びブーム4、アーム5、並びにバケット6の動作を撮像する。左側方監視カメラ80Lは、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の左側に設けられ、ショベルPSの左方を撮像する。
【0044】
後方監視カメラ80Bは、上部旋回体3の後側、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の後側に設けられ、ショベルPSの後方を撮像する。右側方監視カメラ80Rは、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の右側に設けられ、ショベルPSの右方を撮像する。前方監視カメラ80F、左側方監視カメラ80L、後方監視カメラ80B、及び右側方監視カメラ80Rは、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を有するデジタルカメラであり、それぞれ撮影した画像をキャビン10内に設けられている表示装置40に送信する。
【0045】
なお、変換処理部40aは、表示装置40が有する機能としてではなく、コントローラ30が有する機能として実現されてもよい。この場合、撮像装置80は、表示装置40ではなく、コントローラ30に接続される。
【0046】
また、表示装置40は、入力部42としてのスイッチパネルを含む。スイッチパネルは、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。スイッチパネルは、例えば、ハードウェアボタンとしてのライトスイッチ42a、ワイパースイッチ42b、及びウインドウォッシャスイッチ42cを含む。
【0047】
ライトスイッチ42aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り換えるためのスイッチである。ワイパースイッチ42bは、ワイパーの作動・停止を切り換えるためのスイッチである。また、ウインドウォッシャスイッチ42cは、ウインドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
【0048】
また、表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。なお、蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置40以外のショベルPSの電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0049】
エンジン11は、ECU74により制御される。ECU74からは、CAN等の通信ネットワークを介して、エンジン11の状態を示す各種のデータ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温を示すデータ)がコントローラ30に常時送信される。
【0050】
したがって、コントローラ30は一時記憶部30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置40に送信することができる。
【0051】
なお、以下の説明では、ECU74からCANを介してコントローラ30に送信される、エンジンの状態を示す各種データを、CANデータと呼ぶ場合がある。したがって、水温センサ11cで検出される冷却水温を示すデータは、CANデータに含まれるデータである。また、CANデータには、ECU74に対してコントローラ30から入力された指令値、エンジン11の回転数、燃料噴射量(エンジン負荷率)等が含まれる。
【0052】
本実施形態では、ECU74を、エンジン11の状態を検出するための状態検出センサの1つしても良い。この場合、CANデータは、状態検出センサの検出値(出力データ)に含まれる。以下の説明では、状態検出センサの検出値に、CANデータも含まれるものとする。
【0053】
また、コントローラ30には以下のように各種のデータが供給され、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。格納されたデータは、必要なときに表示装置40に送信することができる。
【0054】
まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板角度を示すデータがコントローラ30に送信される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送信される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路には、油温センサ14cが設けられており、その管路を流れる作動油の温度を表すデータが、油温センサ14cからコントローラ30に送信される。
【0055】
また、操作レバー26A~26Cを操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、油圧センサ15a、15bで検出され、検出したパイロット圧を示すデータがコントローラ30に送信される。
【0056】
また、エンジン回転数調整ダイヤル75からは、エンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に常時送信される。
【0057】
また、ショベルPSは、通信ネットワーク93を介して管理装置90と相互に通信可能とされている。
【0058】
管理装置90は、例えば、ショベルPSのメーカーやサービスセンタに設置されたコンピュータ等であり、専門スタッフ(設計者等)がショベルPSの状況を遠隔にいながら把握することができる。コントローラ30がショベルPSに含まれる各種の状態検出センサからの検出値のデータを一時記憶部30a等に蓄積し、管理装置90に送信することができる。このように、規定動作中に取得されたデータは、診断データとして管理装置90に送信される。
【0059】
なお、コントローラ30は、無線通信機能を有し、通信ネットワーク93を介して、管理装置90と通信することが可能とされてよい。専門スタッフは、ショベルPSから管理装置90に送信され、管理装置90の受信部90aにより受信された各種の状態検出センサからの検出値のデータを分析し、ショベルPSの状態を判定する。
【0060】
例えば、専門スタッフは、故障や不調の有無を診断し、故障や不調がある場合には、故障や不調の部位、故障や不調の原因を特定する等を行ってよい。これにより、前もって、ショベルPSの修理に必要な部品等を持参することができ、メンテナンスや修理に費やす時間を短縮することができる。コントローラ30の機能の詳細は後述する。
【0061】
また、管理装置90は、処理部90bを有する。処理部90bは、予め定められたプログラムが入力され、プログラムによりショベルPSから送信された各種の状態検出センサからの検出値の演算処理を行ってよい。例えば、処理部90bは、入力された診断プログラムを含み、診断プログラムによりショベルPSから送信された状態検出センサの検出値(CANデータを含む)を用いて故障診断や故障予知を行ってよい。処理部90bによる演算処理結果は、管理装置90の表示部90cに表示されてよい。
【0062】
なお、管理装置90は、ショベルPSのメーカーやサービスセンタに設けられたサーバ等を介して間接的にショベルPSと通信可能な装置であってもよい。また、管理装置90は、メーカーやサービスセンタに配備される常設型コンピュータでもよいし、作業担当者が携帯可能な携帯型コンピュータ、例えば、携帯端末としての多機能型携帯情報端末であるいわゆるスマートフォン、タブレット端末等でもよい。
【0063】
管理装置90が携帯型である場合、点検・修理現場に持ち運びできるため、管理装置90のディスプレイ(表示部90c)を見ながら、点検・修理作業を実施でき、その結果、点検・修理の作業効率が向上する。
【0064】
また、携帯端末を用いる場合には、通信ネットワークを介さずにBluetooth(登録商標)、赤外線通信等の近距離通信により、直接、ショベルと通信を行っても良い。この場合、携帯端末への画面入力や音声入力等の操作により、規定動作の実行指示を携帯端末からショベルに送信する。つまり、規定動作の実行中における状態検出センサからの検出値を規定動作と対応付けて記憶させる指示を携帯端末からショベルへ送信する。そして、規定動作の動作結果をショベルから携帯端末へ送信することで、携帯端末の画面にて規定動作の動作結果を確認することができる。
【0065】
ショベルPSに含まれる各種の状態検出センサは、ショベルPSの各部の動作を検出するセンサである。各種の状態検出センサは、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、車体傾斜センサS4、旋回角度センサS5、走行回転センサ(右)S6A、走行回転センサ(左)S6B等を含む。
【0066】
ブーム角度センサS1は、上部旋回体3におけるブーム4の支持部(関節)に設けられ、ブーム4の水平面からの角度(ブーム角度)を検出する。ブーム角度センサS1には、例えば、ロータリポテンショメータ等、任意の角度センサが用いられてよく、後述するアーム角度センサS2、バケット角度センサS3についても同様である。検出されたブーム角度は、コントローラ30に送信される。
【0067】
アーム角度センサS2は、ブーム4におけるアーム5の支持部(関節)に設けられ、ブーム4に対するアーム5の角度(アーム角度)を検出する。検出されたアーム角度は、コントローラ30に送信される。
【0068】
バケット角度センサS3は、アーム5におけるバケット6の支持部(関節)に設けられ、アーム5に対するバケット6の角度(バケット角度)を検出する。検出されたバケット角度は、コントローラ30に送信される。
【0069】
車体傾斜センサS4は、ショベルPSの水平面に対する2軸方向(前後方向及び左右方向)の傾斜角を検出するセンサである。車体傾斜センサS4には、例えば、液封入静電容量式傾斜センサ、任意の傾斜センサが用いられてよい。検出された傾斜角はコントローラ30に送信される。
【0070】
旋回角度センサS5は、旋回機構2による上部旋回体3の旋回角度を検出する。旋回角度センサS5には、例えば、ロータリーエンコーダ等、任意の角度センサが用いられてよい。検出された旋回角度は、コントローラ30に送信される。
【0071】
走行回転センサ(右)S6A及び走行回転センサ(左)S6Bは、それぞれ走行用油圧モータ(右)1A及び走行用油圧モータ(左)1Bの回転速度を検出する。走行回転センサ(右)S6A及び走行回転センサ(左)S6Bには、例えば、磁気式等、任意の回転センサが用いられてよい。検出されたそれぞれの回転速度は、コントローラ30に送信される。
【0072】
また、上述したとおり、ショベルPSに含まれる各種の状態検出センサとして、レギュレータ14a、吐出圧力センサ14b、油温センサ14c、油圧センサ15a,15b、エンジン回転数調整ダイヤル75、撮像装置80、ECU74等がある。これらにより検出された検出値についても、コントローラ30に送信される。
【0073】
したがって、本実施形態の状態検出センサの検出値には、ショベルPSの各部の動作を示す動作情報と、ショベルPSのエンジンの状態を示す情報とが含まれる。
【0074】
上述したショベルPSに含まれる各種の状態検出センサからコントローラ30に送信されたデータは、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
【0075】
次に、
図3を参照して、本実施形態のコントローラ30の機能について説明する。
図3は、コントローラの機能を説明する図である。
【0076】
本実施形態のコントローラ30は、一時記憶部30a、送信情報記憶部30b、人検知部30c、診断処理部30d、データ収集部30e、データ格納部30f、異常検知部30g、出力部30hを有する。
【0077】
一時記憶部30aは、揮発性メモリによって実現される記憶部である。一時記憶部30aには、ショベルPSに含まれる各種の状態検出センサからの検出値のデータが一時的に格納される。一時記憶部30aに格納される状態検出センサの検出値は、CANデータを含んでも良い。
【0078】
具体的には、一時記憶部30aには、規定動作中に取得された状態検出センサの検出値が格納される。
【0079】
送信情報記憶部30bは、不揮発性メモリによって実現される記憶部である。送信情報記憶部30bには、管理装置90に送信される送信情報が格納される。送信情報の詳細は後述する。
【0080】
人検知部30cは、撮像装置80により撮像したショベルPSの周囲の画像データに基づいて、ショベルPSの周囲に存在する人を検知する。言い換えれば、人検知部30cは、ショベルPSの周囲に人等が存在するか否かを判定する。なお、ショベルPSの周囲に人等が存在するか否かの判定においては、人を検知可能な種々の人体検知センサを用いることができる。
【0081】
診断処理部30dは、状態検出センサの検出値を用いて、ショベルPSの診断箇所等に応じた各種の診断を行う。したがって、状態検出センサの検出値は、診断処理部30dによるショベルPSの診断に用いられる診断データと言える。診断処理部30dの処理の詳細は後述する。
【0082】
データ収集部30eは、診断処理部30dによる診断を行うための規定動作中に、各種の状態検出センサの検出値を収集(取得)し、一時記憶部30aに格納する。言い換えれば、データ収集部30eは、状態検出センサから、ショベルPSの診断処理に用いられる診断データを収集する。
【0083】
また、本実施形態のデータ収集部30eは、後述する異常検知部30gによって異常が検知された場合には、異常が検知された後も、状態検出センサの検出値を一定の期間継続して収集し、一時記憶部30aに格納する。
【0084】
データ格納部30fは、一時記憶部30aに一時的に格納された状態検出センサの検出値を、管理装置90に送信される送信情報として、送信情報記憶部30bに格納する。
【0085】
具体的には、データ格納部30fは、診断処理部30dによる診断のために実行された規定動作を特定する情報と、状態検出センサの検出値を対応付けて、送信情報記憶部30bに格納する。
【0086】
このとき、データ格納部30fは、規定動作中に異常が検知されずに終了した場合には、この規定動作中に取得した状態検出センサの検出値に対し、このとき実行された規定動作を特定する情報を対応付けた正常時送信情報として、送信情報記憶部30bに格納する。
【0087】
なお、このとき、ショベルPSを特定するための機体識別情報と、規定動作を実行した日を示す情報とが正常時送信情報に含まれても良い。
【0088】
また、データ格納部30fは、規定動作中に発生した異常により、規定動作が途中で終了した場合には、異常が検知される前と、異常が検知された後のそれぞれに取得された状態検出センサの検出値と、規定動作を特定する情報と、規定動作中に異常が検知されたことを示す情報とを対応付けた異常時送信情報として、送信情報記憶部30bに格納する。
【0089】
なお、このとき、異常時送信情報には、ショベルPSを特定するための機体識別情報と、規定動作を行った日を示す情報とが含まれても良い。また、異常時送信情報には、異常検知部30gによって検知された異常の種類を示す異常コードが含まれていても良い。異常コードは、例えば、異常検知部30gにおいて、異常の種類と対応付けられて保持されており、異常検知部30gが異常を検知したときに特定されても良い。
【0090】
このように、送信情報記憶部30bには、規定動作が正常に終了した場合の正常時送信情報と、規定動作中に異常が検知された場合の異常時送信情報と、が格納される。このように、診断データには、正常時送信情報と異常時送信情報とが含まれる。
【0091】
異常検知部30gは、診断処理部30dによる診断を行うための規定動作中における、ショベルPSの異常を検知する。
【0092】
具体的には、異常検知部30gは、データ収集部30eが収集した状態検出センサの検出値に基づき、ショベルPSに発生した異常を検知する。言い換えれば、異常検知部30gは、状態検出センサによる診断データの収集中において、診断データに基づき異常を検知する。
【0093】
異常検知部30gによって検知される異常とは、例えば、エンジン11が停止した状態や、規定動作として決められた指令値がコントローラ30から出力されない状態、パイロット配管の異常等である。
【0094】
出力部30hは、送信情報記憶部30bに格納された送信情報を出力する。より具体的には、本実施形態の出力部30hは、コントローラ30が起動したときに、送信情報記憶部30bに異常時送信情報が格納されていた場合には、この異常時送信情報を管理装置90に送信する。コントローラ30が起動したときとは、コントローラ30に対する電力の供給が開始されたときである。
【0095】
本実施形態では、送信情報記憶部30bに格納された送信情報を管理装置90に送信することを、送信情報を送信する、と表現する場合がある。また、本実施形態では、送信情報記憶部30bに格納された送信情報をショベルPSの表示装置40に表示させることを、送信情報を出力する、と表現する場合がある。
【0096】
次に、本実施形態の診断処理部30dの処理について説明する。
図4は、画像表示部に表示される診断メニューの選択画面の一例を示す図である。
【0097】
図4に示されるように、診断メニューの選択画面は、診断メニュー表示部410を有する。診断メニュー表示部410に表示される画像は、表示装置40の変換処理部40aによって、コントローラ30から送信される各種のデータから生成される。
【0098】
診断メニュー表示部410は、診断箇所等に応じた複数の診断項目の一覧を表示する。
図4に示す例では、診断メニュー表示部410には、「総合診断」、「簡易診断」、「バケット診断」、「エンジン関連」、「油圧関連」、及び「旋回関連」の6つの診断項目の一覧が表示されている。診断項目は、予めコントローラ30のROM等に記憶されている。診断項目の各々は、診断を行うために実行される規定動作が一種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
【0099】
また、画像表示部41には、診断メニューの選択画面の表示を終了する際に用いられる「終了」のメニューが表示されている。操作者は、画像表示部41に表示される診断メニューの選択画面の中から実行したい診断項目をタッチ操作することにより、任意の診断項目を選択できる。なお、診断項目を選択する方法は、タッチ操作に代えて、例えばボタン操作であってもよい。
【0100】
「総合診断」は、ショベルPSの各部が正常であるか否かを総合的に診断する診断項目であり、例えば、エンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作と対応付けられている。
【0101】
操作者が「総合診断」を選択すると、コントローラ30によって、ショベルPSのエンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作が所定の順番で実行され、実行された規定動作を特定する情報と、規定動作中に取得された状態検出センサの検出値とが対応付けられる。また、「総合診断」は、上記の規定動作(エンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作と対応付けられていても良い。
【0102】
この診断データを収集するための規定動作は、自動で実行されてもよく、それぞれの動作を、診断の規定動作を表示装置にガイダンス表示することで、操作者によるレバー操作により手動で実行してもよい。
【0103】
規定動作は、コントローラ30が、予め決められたパターンの指令値に基づきショベルPSを駆動させることで実行される動作であり、人による操作のばらつきを低減させた動作である。
【0104】
「簡易診断」は、ショベルPSの各部が正常であるか否かを簡易的に診断する診断項目であり、例えば、エンジン関連の一部、油圧関連の一部であって、ショベルPSのアタッチメント動作及び旋回動作を含まない規定動作と対応付けられている。操作者が「簡易診断」を選択すると、コントローラ30によって、ショベルPSのエンジン関連の一部、油圧関連の一部の規定動作が実行され、実行された規定動作を特定する情報と、規定動作中に取得された状態検出センサの検出値とが対応付けられる。
【0105】
また、「簡易診断」は、上記の規定動作(エンジン関連の一部、油圧関連の一部の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作と対応付けられていても良い。
【0106】
「エンジン関連」は、エンジン11が正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目である。操作者が「エンジン関連」を選択すると、コントローラ30によって、ショベルPSのエンジン関連の規定動作が実行される。
【0107】
「油圧関連」は、油圧システムが正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目であり、例えば、メインポンプ14、パイロットポンプ15等の油圧ポンプ、油圧アクチュエータを診断するための一又は複数の規定動作を含む。
【0108】
「油圧関連」は、例えば、規定動作αとして「アームをストロークエンドまで閉じる(アーム閉じ動作)」、規定動作βとして「アームを閉じた状態で、ブームをストロークエンドまで上げる(ブーム上げ動作)」を含む。また、「油圧関連」は、上記の規定動作(規定動作α,β)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作を含んでいてもよい。
【0109】
ここで、ブーム4やアーム5等のアタッチメントに対する規定動作の例を説明する。まず、コントローラ30から操作バルブ100へ指令を出力することで、ブーム4をブーム上げ時のストロークエンドまで回動させる。その後、継続的に負荷を掛ける。つまり、コントロールバルブ17により、ブームシリンダ7へ作動油を流し続ける。この状態において、ブーム4はストロークエンドまで到達しているため、作動油はリリーフ弁からタンクへ吐出する。このように、シリンダのストロークエンドまで到達させることで、継続的に負荷がかかる状態にすることができる。
【0110】
これにより、どのような作業環境であっても、再現性が良く安定した状態で診断用のデータを検出することができる。アーム5やバケット6に対しても、同様である。更に、シリンダのストロークエンドまで到達後に、メインポンプ14のレギュレータ14aを調整すること、若しくは、エンジン回転数を変更することで負荷を変更してもよい。
【0111】
負荷を変更した際におけるブーム4等のアタッチメントのシリンダ圧の変化や、メインポンプ14の吐出圧の変化を検出することで、動的な状態を再現可能となり、診断精度を更に向上させることができる。その結果、油圧回路の診断だけで無く、メインポンプ14やエンジン11を診断することもできる。
【0112】
「旋回関連」は、旋回機構2(旋回用油圧モータ2A、旋回減速機等)が正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目である。「旋回関連」は、例えば、規定動作として「アタッチメントを閉じた状態で旋回する(旋回動作)」を含む。また、「旋回関連」は、上記の規定動作(旋回動作の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作を含んでいてもよい。ここで、旋回や走行等の油圧モータを用いる駆動部に対する規定動作の例を説明する。
【0113】
まず、コントローラ30から操作バルブ100へ指令を出力することで、ブーム4等のアタッチメントを所定の姿勢にする。特に、旋回の診断では、旋回負荷がアタッチメントの姿勢変化に基づく旋回慣性モーメントの影響を大きく受けるためである。このため、アタッチメントが所定の姿勢になるようにブーム4、アーム5、バケット6等を駆動する。
【0114】
更に、バケット6もブレーカなどの比較的重いエンドアタッチメントが装着されている場合には、所定のバケット6へ変更するように、運転者へ音声や画面表示等により報知してもよい。このように、旋回時に発生する慣性モーメントが同一になるように、旋回駆動部を駆動させる前に、アタッチメントの調整を行う。調整完了後、コントローラ30から操作バルブ100へ予め定めた駆動指令を出力することで、旋回動作を実行させる。旋回用油圧モータ2Aを加速、等速、減速させる駆動指令に基づき、旋回用油圧モータ2Aは旋回用の規定動作を実行できる。
【0115】
これにより、旋回用油圧モータ2A、旋回用油圧モータ2A用の油圧回路、旋回減速機の診断を行うことができる。例えば、油圧回路のリリーフ弁へ不具合が生じた場合には旋回加速度が悪くなる。この不具合の場合、旋回用油圧モータ2Aの油圧回路の圧力検出値の変化により把握することができる。
【0116】
次に、
図5を参照して、本実施形態のコントローラ30の処理について説明する。
図5は、コントローラの処理を説明するフローチャートである。
【0117】
本実施形態のコントローラ30は、起動すると、出力部30hにより、送信情報記憶部30bに異常時送信情報が格納されているか否かを判定する(ステップS501)。ステップS501において、送信情報記憶部30bに異常時送信情報が格納されている場合、出力部30hは、この異常時送信情報を管理装置90に送信し(ステップS502)、ステップS503へ進む。
【0118】
ステップS501において、送信情報記憶部30bに異常時送信情報が格納されていない場合、コントローラ30は、ステップS503へ進む。
【0119】
コントローラ30は、診断処理部30dにより、操作者により診断メニューの選択画面から、診断項目が選択されたか否かを判定する(ステップS503)。ステップS503において、診断項目が選択されない場合、コントローラ30は、診断項目が選択されるまで待機する。
【0120】
ステップS503において、診断項目が選択された場合、コントローラ30は、人検知部30cにより、ショベルPSの周囲に人等が存在するか否かを判定する(ステップS504)。
【0121】
ステップS504において、周囲に人が検知された場合、コントローラ30は、表示装置40に、周囲の人が存在することを示す警告を表示させ(ステップS505)、ショベルPSの動作を停止させて、診断処理部30dによる処理を終了させる。
【0122】
ステップS504において、周囲に人が検知されない場合、コントローラ30は、診断処理部30dにより、選択された診断項目と対応付けられた規定動作を開始させる(ステップS506)。
【0123】
続いて、コントローラ30は、データ収集部30eにより、状態検出センサの検出値を収集し、一時記憶部30aに格納する(ステップS507)。
【0124】
続いて、コントローラ30は、診断処理部30dにより、規定動作が終了してか否かを判定する(ステップS508)。ステップS508において、規定動作が終了した場合、後述するステップS513へ進む。
【0125】
ステップS508において、規定動作が終了していない場合、コントローラ30は、異常検知部30gによって、異常が検知されたか否かを判定する(ステップS509)。
【0126】
ステップS509において、異常が検知されない場合、コントローラ30は、ステップS506へ戻る。
【0127】
ステップS509において、異常が検知された場合、コントローラ30は、データ収集部30eによって、一定の期間、状態検出センサの検出値を継続して収集し、一時記憶部30aに格納する(ステップS510)。
【0128】
続いて、コントローラ30は、データ格納部30fにより、状態検出センサの検出値に、規定動作を特定するための情報と、異常が検知されたことを示す情報とを対応付けて、異常時送信情報とし、送信情報記憶部30bへ格納する(ステップS511)。
【0129】
続いて、コントローラ30は、電源をオフし(ステップS512)、処理を終了する。
【0130】
ステップS508において、規定動作が終了した場合、データ格納部30fは、状態検出センサの検出値に、規定動作を特定するための情報を対応付けた正常時送信情報とし、送信情報記憶部30bに格納する(ステップS513)。続いて、コントローラ30は、出力部30hにより、送信情報記憶部30bに格納された正常時送信情報を管理装置90へ送信し(ステップS514)、処理を終了する。
【0131】
管理装置90は、コントローラ30から受信した情報を用いて、予め定められたアルゴリズムに基づいて診断を行う。管理装置90は、アルゴリズムを用いた診断を実行した後に、管理装置90からショベルPSのコントローラ30や支援装置200へ診断結果を送信してもよい。これにより、ショベルPSの表示装置40や支援装置200により診断結果を確認にすることができる。
【0132】
以下に、ステップS509において、異常が検知された場合について、具体的に説明する。本実施形態の異常検知部30gは、例えば、状態検出センサの検出値に含まれるCANデータに基づき、エンジン11の回転数が所定数以下となった場合に、エンジン11が停止したものと判定し、異常として検知する。
【0133】
ショベルPSでは、エンジン11の停止が検知されると、オルタネータ11aによる発電が停止する。このため、コントローラ30への電力の供給元がオルタネータ11aである場合には、エンジン11の停止によってコントローラ30への電力の供給も停止する。
【0134】
そこで、本実施形態では、コントローラ30は、異常検知部30gによってエンジン11の停止が検知された場合には、電力の供給元を、オルタネータ11aから蓄電池70に切り替える。
【0135】
そして、コントローラ30は、蓄電池70から供給される電力によって、ECU74と通信を行い、エンジン11の停止が検知された後にECU74によって取得されたCANデータを取得する。言い換えれば、コントローラ30は、エンジン11の回転数が所定数以下となった後は、蓄電池70から供給される電力によって動作し、状態検出センサの1つであるECU74から、エンジン11の状態を示す情報を取得する。
【0136】
また、コントローラ30は、エンジン11の回転数が所定数以下となったことが検知されてから、エンジン11の回転が完全に停止するまでの期間、ECU74と通信を行い、エンジン11の状態を示す情報を取得しても良い。
【0137】
コントローラ30は、一時記憶部30aに格納された状態検出センサの検出値が、一時記憶部30aから、永久メモリである送信情報記憶部30bに転送されて保存されてから、蓄電池70からの電力の供給を遮断し、オフする。
【0138】
このように、本実施形態では、エンジン11の停止が検知されたときに、一時記憶部30aに格納されていた検出値を、送信情報記憶部30bに保存してから、コントローラ30をオフする。
【0139】
また、本実施形態では、エンジン11の停止が検知されてから、一定の期間は、継続して検出値を収集し、一時記憶部30aに格納しても良い。そして、コントローラ30は、一時記憶部30aに格納された検出値が異常時送信情報として、永久メモリである送信情報記憶部30bに転送されて保存されてから、オフする。
【0140】
したがって、本実施形態によれば、エンジン11の停止が検知された場合でも、コントローラ30が直ちにオフされず、エンジン11の停止が検知されたタイミング前後の状態検出センサの検出値を取得することができる。このように、規定動作が未完であっても、診断データは、確実に記憶部に記憶される。
【0141】
また、本実施形態では、コントローラ30が起動するときに、送信情報記憶部30bに、未送信の異常時送信情報が格納されているか否かを判定している。送信情報記憶部30bに異常時送信情報が格納されているということは、前回の動作中に異常が検知されて、強制的に動作が終了されたことを示している。
【0142】
したがって、本実施形態のコントローラ30の起動時に、送信情報記憶部30bに異常時送信情報が格納されているか否かを判定し、異常時送信情報が格納されている場合には、この異常時送信情報を管理装置90に送信する。
【0143】
このように、本実施形態では、規定動作が未完であっても、診断データは確実に管理装置90へ送信される。送信される診断データは、例えば、指令値、レバー操作量、エンジン冷却水温度、作動油温度、ブースト圧、エンジン回転数、ポンプ吐出圧、エンジン燃料噴射圧、負荷率、大気圧などである。この診断データにより、指令値が異常であるのか、エンジン等の駆動部が異常であるのか等を分析することができる。
【0144】
また、本実施形態の異常検知部30gは、例えば、コントローラ30からECU74に対して入力される指令値が、規定動作を行わせるための指令値とは異なる値であった場合等に、異常と検知しても良い。
【0145】
このようにすれば、異常の検知によってショベルPSの動作が中断された場合であっても、その異常が検知されたときの異常時送信情報を管理装置90に送信することができる。
【0146】
なお、管理装置90は、ショベルPSから異常時送信情報を受信した場合には、異常時送信情報を管理装置90のディスプレイ等に表示させても良い。また、ショベルPSの出力部30hは、異常時送信情報を、ショベルPSの表示装置40に表示させても良い。
【0147】
図6は、異常時送信情報の表示例を示す図である。
図6に示す画面61は、例えば、管理装置90の表示部90cに異常時送信情報が表示された例を示している。なお、画面61は、ショベルPSの表示装置40に表示されても良い。
【0148】
画面61は、表示領域62、表示領域63、表示領域64を有する。表示領域62は、規定動作中に移動が検知されたことを示す情報が表示される。
【0149】
具体的には、
図6では、表示領域62には、規定動作中に異常が検知されたこと示す情報62aと、検知された異常の種類を示す情報62bとが表示されている。
図6の例では、検知された異常は、エンジンの停止である。
【0150】
また、規定動作とは、予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である。したがって、規定動作は、第一の規定姿勢から開始し、第二の規定姿勢となったときに終了する動作である。第一の規定姿勢と第二の規定姿勢は、それぞれが異なる姿勢であっても良いし、同一の姿勢であっても良い。つまり、規定動作は、ある規定姿勢から他の規定姿勢へ姿勢を変える動作であっても良いし、ある規定姿勢から所定の動作をして、再びある規定姿勢に戻る動作であっても良い。
【0151】
表示領域63は、ショベルPSを特定する機体識別情報と、規定動作が実行された日を示す情報と、実行された規定動作を特定する情報と、異常コードと、が表示される。規定動作を特定する情報とは、例えば、規定動作の名称である。
【0152】
図6では、表示領域62の表示内容と、表示領域63の表示内容から、2019年8月12日に行われた規定動作「ブーム上げ」の動作中に、表示領域64に示すタイミングt1において、エンジン11の停止が検知されたことがわかる。
【0153】
表示領域64には、状態検出センサの検出値のうち、エンジン11の回転数と、コントローラ30から操作バルブ100へ出力されたブーム上げに関する指令値とのそれぞれの時間に対する変動が、グラフとして表示される。
【0154】
表示領域64に表示されたグラフで示されるように、時刻0(s)においてブーム上げ指令が生成される。このブーム上げ指令により、ブーム4だけでなくアーム5、バケット6が上昇する。この時に生じる負荷により、エンジン回転数が低下するものの、ECU74は、このエンジン回転数の低下を検知し、エンジン回転数の低下量に応じた噴射指令を出力する。これにより、エンジン回転数は、時刻2(s)において回復する。
【0155】
ところが、時刻4(s)においてブームシリンダ7内のピストンがストロークエンドに到達すると、油圧回路内の圧力が上昇してしまう。このため、エンジン11へ加わる負荷がより大きくなり、エンジン回転数が再度低下してしまう。
【0156】
このように、表示領域64に表示されたグラフでは、異常検知部30gによって、エンジン11が停止したと判定されたタイミングt1の前から、タイミングt1の後まで、継続して状態検出センサの検出値が取得されていることがわかる。
【0157】
したがって、本実施形態によれば、タイミングt1からエンジン11の回転数が0となるタイミングt2までの間に、回転数がどのように変化しているかを可視化できる。
【0158】
なお、画面61には、表示領域62、63、64に示した情報以外の情報を表示させても良い。具体的には、画面61には、ショベルPSにおいて、異常が発生した箇所を示す情報が、ショベルPSの形状を示す画像等を用いて表示されても良い。また、画面61には、表示領域62、63、64の全てが表示されていなくても良い。画面61には、少なくとも表示領域64が表示されていれば良い。
【0159】
また、表示領域64に表示されたグラフにおいて、時刻「0」とされるタイミングは、診断データの記録を開始した時刻である。また、時刻「0」とされるタイミングは、規定動作を開始した時刻であっても良い。
【0160】
また、作業者は、
図6に示した指令値、エンジン回転数に限られることなく、レバー操作量、エンジン冷却水温度、作動油温度、ブースト圧、ポンプ吐出圧、エンジン燃料噴射圧、負荷率、大気圧などの物理量を、任意に表示できる。
【0161】
また、本実施形態では、エンジンの回転数が0となるタイミングt2までの間に収集されて一時記憶部30aに格納された検出値を、タイミングt2からタイミングt3までの間に、送信情報記憶部30bに転送しても良い。この間、コントローラ30は、蓄電池70から電力が供給されて、オン状態を維持する。
【0162】
また、本実施形態では、タイミングt1からタイミングt3までを所定の期間として、タイミングt3までの状態検出センサの検出値を収集して一時記憶部30aに格納しても良い。その場合、コントローラ30は、タイミングt3以降に、一時記憶部30aからに格納された検出値の送信情報記憶部30bへ転送が完了するまで、コントローラ30はオン状態となる。言い換えれば、コントローラ30は、揮発性メモリである一時記憶部30aから、不揮発性メモリである送信情報記憶部30bに診断データが転送されるまでの間、起動した状態を維持する。
【0163】
このように、本実施形態では、異常検知部30gによってエンジン11の停止が検知された場合でも、コントローラ30のオン状態を維持し、一時記憶部30aに格納されたショベルPSの状態を示す情報を、送信情報記憶部30bへ転送する。
【0164】
そして、コントローラ30は、転送が完了した後に、オフ状態となる。言い換えれば、本実施形態では、揮発性メモリである一時記憶部30aから、不揮発性メモリである送信情報記憶部30bへの診断データの転送が完了すると、コントローラ30への電力の供給が遮断される。
【0165】
したがって、本実施形態によれば、異常が発生したタイミングにおける、ショベルPSの各部の動作を示す動作情報と、エンジンの状態を示す情報とを収集し、保存することができる。つまり、本実施形態によれば、異常が発生した時のショベルPSの状態を示す情報を収集することができる。
【0166】
さらに、本実施形態によれば、異常が検知された後も、ショベルPSの各部の動作を示す動作情報と、エンジンの状態を示す情報とを取得することができる。したがって、本実施形態によれば、異常が発生する前のショベルPSの状態と、異常が発生した後のショベルPSの状態とを比較することができる。
【0167】
さらに、本実施形態では、エンジンの状態を示す情報と共に、ショベルPSの動作を示す動作情報も収集している。したがって、本実施形態によれば、例えば、エンジン11に異常が検知された時におけるショベルPSの動作を対応付けることができる。
【0168】
これらのことから、本実施形態は、ショベルPSに発生した異常の原因の特定に貢献することができる。
【0169】
なお、
図6の例では、状態検出センサの検出値の変化として、エンジン11の回転数と、指令値とがグラフとして表示されるものとしたが、これに限定されない。本実施形態では、例えば、エンジン11の回転数と指令値以外の値が表示されても良い。
【0170】
また、本実施形態では、異常検知部30gは、規定動作中において、異常の発生を検知するものとしたが、これに限定されない。異常検知部30gは、例えば、暖機運転や排ガス処理装置の再生運転等のように、ショベルPSを静止させた状態で、エンジン11のみを運転する場合においても、異常を検知することができる。
【0171】
また、異常検知部30gは、規定動作中以外の動作をショベルPSが行っている最中に異常を検知しても良い。具体的には、異常検知部30gは、例えば、操作者がショベルPSを操作して作業を行っている最中であっても、異常が発生した場合には、この異常を検知しても良い。
【0172】
コントローラ30は、異常検知部30gによって異常が検知された場合には、上述した規定動作中と同様に、異常が検知された後も、継続して状態検出センサの検出値を収集すれば良い。
【0173】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0174】
また、本国際出願は、2019年9月18日に出願された日本国特許出願2019-169179に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願2019-169179の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0175】
PS ショベル
30 コントローラ
30a 一時記憶部
30b 送信情報記憶部
30c 人検知部
30d 診断処理部
30e データ収集部
30f データ格納部
30e 異常検知部
30h 出力部
40 表示装置
42 入力装置
80 撮像装置
80B,80F,80L,80R カメラ
90 管理装置
92B,92F,92L,92R マイク
300 管理システム
【手続補正書】
【提出日】2024-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機能を有する駆動源と、
蓄電池と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、
状態検出センサから収集される診断データに基づき前記駆動源の異常を検知する異常検知部と、
前記診断データの収集中に前記駆動源の異常が検知された場合に、前記駆動源の異常が検知された後も前記診断データの収集を継続するデータ収集部と、を含み、
前記駆動源の前記発電機能により発電した電力、又は、前記蓄電池から供給される電力により動作する、ショベル。
【請求項2】
前記制御部は、
前記駆動源の異常が検知された後に、揮発性メモリに格納された前記診断データを、不揮発性メモリに転送し、前記診断データを転送する間は、起動した状態に維持される、請求項1記載のショベル。
【請求項3】
前記診断データの転送が完了した後に、前記制御部への電源の供給を停止する、請求項2記載のショベル。
【請求項4】
前記駆動源の異常が検知される前に収集された前記診断データと、前記駆動源の異常が検知された後に収集された前記診断データと、前記駆動源の異常が検知されたことを示す情報と、を対応付けた情報を出力する出力部を有する、請求項1記載のショベル。
【請求項5】
前記診断データを収集したときのショベルの動作を示す情報と、前記駆動源の異常が検知される前の収集された前記診断データと、前記駆動源の異常が検知された後に収集された前記診断データと、前記駆動源の異常が検知されたことを示す情報と、を対応付けた情報を出力する、請求項4記載のショベル。
【請求項6】
前記ショベルの動作は、予め決められた規定動作である、請求項5記載のショベル。
【請求項7】
前記規定動作は、選択された診断項目に対応付けられている、請求項6に記載のショベル。
【請求項8】
異常検知後に診断データの収集が行われる、請求項1に記載のショベル。
【請求項9】
前記規定動作の開始前に、前記ショベルの周囲に人が存在するか否かを判定する、請求項6に記載のショベル。
【請求項10】
前記データ収集部は、前記診断データの収集中に前記駆動源の異常が検知された場合、前記診断データに、予め決められた規定動作を特定するための情報と異常が検知されたことを示す情報とを対応付けて記憶部に格納する、請求項1に記載のショベル。
【請求項11】
前記データ収集部は、前記診断データの収集が正常に終了した場合、前記診断データと予め決められた規定動作を特定するための情報とを対応付けて記憶部に格納する、請求項1に記載のショベル。
【請求項12】
前記制御部は、
前記データ収集部により収集されて揮発性メモリに格納された、前記駆動源の異常が検知された後の一定の期間が経過するまで前記診断データを、送信情報として不揮発性メモリに格納するデータ格納部と、
起動時に、前記不揮発性メモリに、異常が検知されたことを示す送信情報が格納されていた場合に、前記異常が検知されたことを示す送信情報を外部装置に出力する出力部と、
を有する請求項1記載のショベル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルは、発電機能を有する駆動源と、蓄電池と、制御部と、を有し、前記制御部は、状態検出センサから収集される診断データに基づき前記駆動源の異常を検知する異常検知部と、前記診断データの収集中に前記駆動源の異常が検知された場合に、前記駆動源の異常が検知された後も前記診断データの収集を継続するデータ収集部と、を含み、前記駆動源の前記発電機能により発電した電力、又は、前記蓄電池から供給される電力により動作する。