(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152819
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】撮像情報記憶装置、撮像情報記憶方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131634
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2023097353の分割
【原出願日】2019-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】今枝 洋一
(57)【要約】
【課題】撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、煽り運転を受けたときには撮像情報量を増やすことができる撮像情報記憶装置、撮像情報記憶方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】撮像情報記憶装置1は、撮像情報生成部31と、第2記憶部8とを備える。撮像情報生成部31は自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する。第2記憶部8は、撮像情報生成部31により生成された撮像情報を記憶する。撮像情報記憶装置1は、運転状況検知部4と、フレームレート制御部33とを更に備える。運転状況検知部4は、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する。そして、フレームレート制御部33は、運転状況検知部4により煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する撮像情報生成部と、
当該撮像情報生成部により生成された前記撮像情報を記憶する記憶部と、
前記自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する運転状況検知部と、
当該運転状況検知部により煽り運転が検知されたときに、前記所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて前記撮像情報を生成するフレームレート制御部と、
を備え、
前記運転状況検知部は、前記自車両と前記他車両との車間距離が、前記自車両の速度に応じた許容範囲を超え、かつ、この状況が許容時間を超えたときに、前記他車両の煽り運転を検知し、
前記許容時間は、前記自車両の走行速度に応じた制動時間であること特徴とする撮像情報記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像情報記憶装置、撮像情報記憶方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、運転支援装置が開示されている。この運転支援装置では、自車両のカメラにより撮影された他車両の画像に基づいて、煽り運転か否か、煽り運転が継続されているか否かが判定される。そして、運転支援装置は、煽り運転であると判定し、又煽り運転を継続していると判定したとき、他車両に関する情報を自車両の運転者に対して提供する。自車両の運転者では、他車両に関する情報が提供されるので、自己防衛が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記運転支援装置では、常時、運転状況が録画されているので、録画データの記憶容量に制約され、低いフレームレートにより運転状況が録画されている。このため、他車両の煽り運転が発生したときには、録画データのフレームレート間隔が粗くなり、煽り運転の詳細な状況を録画することができないので、改善の余地があった。これは、発明が解決しようとする課題の一例として挙げられる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、煽り運転を受けたときには撮像情報量を増やすことができる撮像情報記憶装置、撮像情報記憶方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、撮像情報記憶装置において、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する撮像情報生成部と、撮像情報生成部により生成された撮像情報を記憶する記憶部と、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する運転状況検知部と、運転状況検知部により煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成するフレームレート制御部と、を備え、前記運転状況検知部は、前記自車両と前記他車両との車間距離が、前記自車両の速度に応じた許容範囲を超え、かつ、この状況が許容時間を超えたときに、前記他車両の煽り運転を検知し、前記許容時間は、前記自車両の走行速度に応じた制動時間であること特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、撮像情報記憶装置において、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する撮像情報生成部と、当該撮像情報生成部により生成された前記撮像情報を記憶する記憶部と、前記自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する運転状況検知部と、当該運転状況検知部により煽り運転が検知されたときに、前記所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて前記撮像情報を生成するフレームレート制御部と、前記撮像情報に基づく画像解析により前記自車両と前記他車両との車間距離を解析する撮像情報解析部と、を備え、前記運転状況検知部は、前記撮像情報解析部にて解析された前記自車両と前記他車両との車間距離が、前記自車両の速度に応じた許容範囲を超え、かつ、許容時間を超えたときに、前記他車両の煽り運転を検知し、前記許容時間は、前記自車両の走行速度に応じた制動時間であること特徴とする。
【0008】
請求項6に記載の発明は、撮像情報記憶装置において、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する撮像情報生成部と、撮像情報生成部により生成された撮像情報を所定フレームレートに比し低い低フレームレートに変換する撮像情報処理部と、撮像情報処理部により変換された撮像情報を記憶する記憶部と、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する運転状況検知部と、運転状況検知部により煽り運転が検知されたときに、撮像情報処理部において所定フレームレートにより撮像情報を生成し、撮像情報を記憶部に記録させるフレームレート制御部と、を備え、前記運転状況検知部は、前記自車両と前記他車両との車間距離が、前記自車両の速度に応じた許容範囲を超え、かつ、この状況が許容時間を超えたときに、前記他車両の煽り運転を検知し、前記許容時間は、前記自車両の走行速度に応じた制動時間であること特徴とする。
【0009】
請求項7に記載の発明は、撮像情報記憶方法において、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成するための、撮像情報記憶装置において実行される撮像情報記憶方法であって、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する工程と、撮像情報を記憶する工程と、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する工程と、煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する工程と、を備え、前記煽り運転を検知する工程は、前記自車両と前記他車両との車間距離が、前記自車両の速度に応じた許容範囲を超え、かつ、この状況が許容時間を超えたときに、前記他車両の煽り運転を検知し、前記許容時間は、前記自車両の走行速度に応じた制動時間であること特徴とする。
【0010】
請求項8に記載の発明は、撮像情報生成部、記憶部、運転状況検知部及びフレームレート制御部を備えた撮像情報記憶装置における撮像情報記憶方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、撮像情報生成部が、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する工程と、記憶部が、撮像情報を記憶する工程と、運転状況検知部が、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する工程と、フレームレート制御部が、煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する工程と、を備え、前記運転状況検知部は、前記自車両と前記他車両との車間距離が、前記自車両の速度に応じた許容範囲を超え、かつ、この状況が許容時間を超えたときに、前記他車両の煽り運転を検知し、前記許容時間は、前記自車両の走行速度に応じた制動時間であること特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本発明の第1実施例に係る撮像情報記憶装置のブロック構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される撮像情報記憶装置の撮像情報記憶方法並びにその方法を実行するプログラムにおいて、車間距離を測定する方法を説明する道路を側面方向から見た概略図である。
【
図3】
図3は車両の速度に対する安全な車間距離の目安を説明する図である。
【
図4】
図4は車両の速度に対する安全な制動時間の目安を説明する図である。
【
図5】
図5は
図1に示される撮像情報記憶装置の撮像情報記憶方法並びにその方法を実行するプログラムのフローチャートである。
【
図6】
図6は本発明の第2実施例に係る撮像情報記憶装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1実施態様に係る撮像情報記憶装置は、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する撮像情報生成部と、撮像情報生成部により生成された撮像情報を記憶する記憶部と、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する運転状況検知部と、運転状況検知部により煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成するフレームレート制御部と、を備えている。
【0013】
第1実施態様に係る撮像情報記憶装置は、撮像情報生成部と、記憶部と、を備える。
撮像情報生成部は、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する。記憶部は、撮像情報生成部により生成された撮像情報を記憶する。
ここで、撮像情報記憶装置は、運転状況検知部と、フレームレート制御部とを更に備える。運転状況検知部は、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する。そして、フレームレート制御部は、運転状況検知部により煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する。
このため、煽り運転が検知されないときには、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、煽り運転が検知されたときには、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、煽り運転の状況における撮像情報を増やすことができる。従って、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、煽り運転を受けたときには撮像情報量を増やすことができる撮像情報記憶装置を提供することができる。
【0014】
本発明の第2実施態様に係る撮像情報記憶装置では、第1実施態様に係る撮像情報記憶装置において、撮像情報生成部は、それぞれ撮像された複数種類の撮像情報を所定フレームレートにおいて生成し、記憶部は、撮像情報生成部により生成された複数種類の撮像情報を記憶し、フレームレート制御部は、煽り運転が検知されたときに高フレームレートにおいて複数種類の撮像情報を生成する。
【0015】
第2実施態様に係る撮像情報記憶装置では、撮像情報生成部は、それぞれ撮像された複数種類の撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する。記憶部は、撮像情報生成部により生成された複数種類の撮像情報を記憶する。そして、フレームレート制御部は、煽り運転が検知されたときに高フレームレートにおいて複数種類の撮像情報を生成する。
このため、複数種類の撮像情報は、煽り運転が検知されたときには同一の高フレームレートにより生成され、煽り運転が検知されないときには同一の所定フレームレートにより生成される。従って、複数種類の撮像情報を同時に再生するときに、再生ずれが生じないので、撮像情報を再生した映像を見るユーザの違和感を軽減することができる。
【0016】
本発明の第3実施態様に係る撮像情報記憶装置では、第1実施態様又は第2実施態様に係る撮像情報記憶装置において、運転状況検知部は、自車両の速度に応じた自車両と他車両との車間距離が許容範囲を超え、この状況が許容時間を超えたときに、他車両の煽り運転を検知する。
【0017】
第3実施態様に係る撮像情報記憶装置によれば、運転状況検知部では、自車両の速度、自車両と他車両との車間距離の許容範囲及び許容時間に基づいて、他車両の煽り運転が検知される。このため、自車両の速度に応じた煽り運転の判断基準を一律に定めることができる。
【0018】
本発明の第4実施態様に係る撮像情報記憶装置では、第3実施態様に係る撮像情報記憶装置において、運転状況検知部は、自車両の速度計測部から速度を取得し、かつ、自車両の車間距離計測部から車間距離を取得して煽り運転を検知する。
【0019】
第4実施態様に係る撮像情報記憶装置によれば、自車両の速度計測部から取得された速度と、自車両の車間距離計測部から取得された車間距離とに基づいて、運転状況検知部では煽り運転が検知される。このため、自車両に装着される速度計測部及び車間距離計測部から取得される情報を利用して、運転状況検知部では煽り運転を検知することができるので、撮像情報記憶装置の構成を簡素化することができ、又撮像情報記憶装置を小型化することができる。
【0020】
本発明の第5実施態様に係る撮像情報記憶装置では、第1実施態様又は第2実施態様に係る撮像情報記憶装置において、撮像情報に基づく画像解析により自車両と他車両との車間距離を解析する撮像情報解析部を更に備え、運転状況検知部は、撮像情報解析部の解析結果に基づいて、自車両の速度に応じた自車両と他車両との車間距離が許容範囲を超え、かつ、この状況が許容時間を超えたときに、他車両の煽り運転を検知する。
【0021】
第5実施態様に係る撮像情報記憶装置は、撮像情報解析部を更に備える。撮像情報解析部では、撮像情報に基づく画像解析により自車両と他車両との車間距離を解析することができる。そして、運転状況検知部は、撮像情報解析部の解析結果に基づいて、自車両の速度に応じた自車両と他車両との車間距離が許容範囲を超え、かつ、この状況が許容時間を超えたときに他車両の煽り運転を検知する。
このため、運転状況検知部では、自車両の速度、自車両と他車両との車間距離の許容範囲及び許容時間に基づいて、他車両の煽り運転を検知することができるので、自車両の速度に応じた煽り運転の判断基準を一律に定めることができる。
さらに、撮像情報解析部では、撮像情報に基づいて車間距離を演算することができるので、外付け装置としての車間距離計測部の車間距離情報を補完することができる。また、車間距離計測部を装備していない自車両では、撮像情報解析部を用いて車間距離情報を取得することができるので、撮像情報記憶装置を用いて煽り運転を検知することができる。
【0022】
本発明の第6実施態様に係る撮像情報記憶装置では、第2実施態様に係る撮像情報記憶装置において、撮像情報生成部は、自車両の前方の撮像情報及び自車両の後方の撮像情報を所定フレームレートにおいて生成し、フレームレート制御部は、運転状況検知部により、自車両の前方において煽り運転が検知されたときに、この検知された方向の撮像画像を高フレームレートにおいて生成し、又自車両の後方において煽り運転が検知されたときに、この検知された方向の撮像画像を高フレームレートにおいて生成する。
【0023】
第6実施態様に係る撮像情報記憶装置によれば、撮像情報生成部では、自車両の前方の撮像情報及び自車両の後方の撮像情報が所定フレームレートにおいて生成される。フレームレート制御部では、運転状況検知部により、自車両の前方において煽り運転が検知されたときに、この検知された方向の撮像画像が高フレームレートにおいて生成される。また、フレームレート制御部では、運転状況検知部により、自車両の後方において煽り運転が検知されたときに、この検知された方向の撮像画像が高フレームレートにおいて生成される。
このため、煽り運転が検知されない方向では、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、煽り運転が検知された方向では、高フレームレートにおいて撮像情報が生成されるので、煽り運転の状況における撮像情報を増やすことができる。
【0024】
本発明の第7実施態様に係る撮像情報記憶装置は、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する撮像情報生成部と、撮像情報生成部により生成された撮像情報を所定フレームレートに比し低い低フレームレートに変換する撮像情報処理部と、撮像情報処理部により変換された撮像情報を記憶する記憶部と、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する運転状況検知部と、運転状況検知部により煽り運転が検知されたときに、撮像情報処理部において所定フレームレートにより撮像情報を生成し、撮像情報を記憶部に記録させるフレームレート制御部と、を備えている。
【0025】
第7実施態様に係る撮像情報記憶装置は、撮像情報生成部と、撮像情報処理部と、記憶部と、を備える。
撮像情報生成部は、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する。撮像情報処理部は、撮像情報生成部により生成された撮像情報を所定フレームレートに比し低い低フレームレートに変換する。記憶部は、撮像情報生成部により生成された撮像情報を記憶する。
ここで、撮像情報記憶装置は、運転状況検知部と、フレームレート制御部とを更に備える。運転状況検知部は、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する。そして、フレームレート制御部は、運転状況検知部により煽り運転が検知されたときに、撮像情報処理部において所定フレームレートにより撮像情報を生成し、撮像情報を記憶部に記録させる。
このため、煽り運転が検知されないときには、低フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、煽り運転が検知されたときには、低フレームレートに比し高い所定フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、煽り運転の状況における撮像情報を増やすことができる。従って、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、煽り運転を受けたときには撮像情報量を増やすことができる撮像情報記憶装置を提供することができる。
さらに、撮像情報生成部では、撮像情報処理部において撮像情報が低フレームレートに変換されるまで、低フレームレートに比し高い所定フレームレートにおいて撮像情報が生成される。このため、撮像情報記憶装置では、低フレームレートに変換される前の、撮像情報量が多い撮像情報を利用することができる。
【0026】
本発明の第8実施態様に係る撮像情報記憶方法は、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する工程と、撮像情報を記憶する工程と、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する工程と、煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する工程と、を備えている。
【0027】
第8実施態様に係る撮像情報記憶方法では、所定フレームレートにおいて自車両の周辺が撮像された撮像情報が生成され、撮像情報が記憶される。一方、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転が検知される。煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報が生成される。
このため、煽り運転が検知されないとき、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、煽り運転が検知されたとき、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、煽り運転の状況における撮像情報を増やすことができる。従って、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、煽り運転を受けたときには撮像情報量を増やすことができる撮像情報記憶方法を提供することができる。
【0028】
本発明の第9実施態様に係るプログラムは、撮像情報生成部、記憶部、運転状況検知部及びフレームレート制御部を備えた撮像情報記憶装置における撮像情報記憶方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、撮像情報生成部が、自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する工程と、記憶部が、撮像情報を記憶する工程と、運転状況検知部が、自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する工程と、フレームレート制御部が、煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する工程と、を備えている。
【0029】
第9実施態様に係るプログラムでは、撮像情報生成部が自車両の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成し、記憶部が撮像情報を記憶する。一方、運転状況検知部が自車両の周辺を走行する他車両の煽り運転を検知する。そして、フレームレート制御部が、煽り運転が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する。
このため、煽り運転が検知されないとき、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、煽り運転が検知されたとき、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、煽り運転の状況における撮像情報を増やすことができる。従って、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、煽り運転を受けたときには撮像情報量を増やすことができるプログラムを提供することができる。
【実施例0030】
[第1実施例]
以下、
図1~
図5を用いて、第1実施例に係る撮像情報記憶装置1、撮像情報記憶方法及びその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムについて説明する。
なお、図中、適宜、示される矢印FRは一例としての普通自動車を対象とする車両の前方方向を示し、矢印UPは車両上方を示している。これらの方向は、実施例を説明するために便宜的に使用される方向であって、本発明における方向を限定するものではない。
【0031】
(撮像情報記憶装置1及び撮像情報記憶システム100の構成)
図1に示されるように、撮像情報記憶装置1は、ドライブレコーダ部3を主要部として備え、車両の停止中や走行中における車両室外及び車両室内を撮像した撮像情報を記憶する構成とされている。表現を代えると、撮像情報記憶装置1は、車両室外及び車両室内を撮影した映像を録画する構成とされている。
なお、車両として、ここでは普通自動車を一例として説明する。本実施例では、車両として、バス、トラック、二輪車、自転車が少なくとも含まれる。
撮像情報記憶装置1は、更にインターフェイス部2と、運転状況検知部4と、タイマ5と、コンピュータとしての中央演算処理ユニット(CPU)6と、第1記憶部7と、第2記憶部8とを備えている。これらの撮像情報記憶装置1を構築するインターフェイス部2等の各構成要素は、共通バス9を通して相互に電気的に接続されている。
さらに、撮像情報記憶装置1には外部装置としての撮像装置10が組み込まれ、撮像情報記憶装置1及び撮像装置10は撮像情報記憶システム100を構築している。そして、撮像情報記憶装置1は速度計測部15及び車間距離計測部16に接続されている。撮像情報記憶装置1では、速度計測部15からの速度情報及び車間距離計測部16からの車間距離情報を取得することができる。
以下、撮像情報記憶システム100の各構成要素について説明する。
【0032】
(撮像装置10の構成)
図1に示されるように、撮像装置10は、2つの車室外用カメラ(アウターカメラ)11及び車室外用カメラ12と、車室内用カメラ(インナーカメラ)13とを含んで構成されている。
車室外用カメラ11はフロントカメラとして使用されている。車室外用カメラ11は、例えば車両室内のフロントウインドウガラスに近接した位置に車両前方に向けて装着され、車両前方の撮像を行い、この撮像による室外撮像情報を生成する。また、車室外用カメラ12はリアカメラ(バックカメラ)として使用されている。車室外用カメラ12は、例えば車両室内のリアウインドウガラスに近接した位置、リアバンパに近接した位置等に車両後方に向けて装着され、車両後方の撮影を行い、この撮影による室外撮像情報を生成する。
一方、車室内用カメラ13は、例えば車室外用カメラ11と同様の位置に車両後方に向けて装着され、車室内の撮像を行い、この撮像による室内撮像情報を生成する。なお、実施例では、室外撮像情報と室内撮像情報とを総称して、単に「撮像情報」として説明する場合がある。
車室外用カメラ11、車室外用カメラ12、車室内用カメラ13は、いずれも、例えば二次元イメージセンサを主要な撮像デバイスとして構成されている。二次元イメージセンサには例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサが実用的に使用されている。さらに、二次元イメージセンサとしては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを使用することができる。
本実施例では、車両に車室外用カメラ11、車室外用カメラ12及び車室内用カメラ13の3つのカメラが装着されているが、車室外用カメラ11及び車室外用カメラ12だけが車両に装着されていてもよい。また、本実施例では、車室外用カメラ11、車室外用カメラ12及び車室内用カメラ13に加えて、車両側方後側を撮像する車室外用カメラとしてのサイドバックカメラが設けられてもよい。
【0033】
(速度計測部15及び車間距離計測部16の構成)
速度計測部15、車間距離計測部16のそれぞれは、
図2に概略的に示されるように、自車両Vmに装着されている。
速度計測部15は、例えば自車両Vmの車軸回転数を検知し、車軸回転数から自車両Vmの速度を表す数値に変換する。一般的には、速度計測部15は自車両Vmに標準装備され、速度計測部15による計測結果は自車両Vmの図示省略の速度計(スピードメータ)に表示される。また、図示省略の加速度センサの値に基づいて速度が算出されてもよい。
図1に示されるように、速度計測部15は撮像情報記憶装置1のインターフェイス部2に接続され、速度計測部15により計測された速度情報はインターフェイス部2を通して撮像情報記憶装置1へ伝送される。
【0034】
一方、
図2に示されるように、車間距離計測部16は自車両Vmの前部に配置されている。車間距離計測部16では、自車両Vmの前方を走行する他車両Voへ向けて計測信号Lmが送信され、他車両Voにおいて反射された計測信号Lmが受信される。この計測信号Lmの送信から受信までに要する時間に基づいて、自車両Vmから他車両Voまでの距離L1が計測される。距離L1は自車両Vmと他車両Voとの車間距離である。計測信号Lmとして、レーザ光、赤外光、マイクロ波(ミリ波が含まれる)、超音波等を使用することができる。車間距離計測部16は、衝突検知等の安全装置として、標準装備される傾向にある。
図1に示されるように、車間距離計測部16は撮像情報記憶装置1のインターフェイス部2に接続され、速度情報と同様に、車間距離計測部16により計測された車間距離情報はインターフェイス部2を通して撮像情報記憶装置1へ伝送される。
なお、
図2では、自車両Vmの前部に車間距離計測部16が装備されているが、自車両Vmの後部にも同様に車間距離計測部が装備されている。この車間距離計測部16では、自車両Vmと自車両Vmの後方を走行する図示省略の他車両との車間距離が計測される。
【0035】
(撮像情報記憶装置1の構成)
(1)インターフェイス部2の構成
図1に戻って、インターフェイス部2は、車室外用カメラ11、車室外用カメラ12及び車室内用カメラ13を含む撮像装置10と、速度計測部15と、車間距離計測部16とのそれぞれに接続され、更に撮像情報記憶装置1の共通バス9に接続されている。インターフェイス部2では、撮像装置10において生成された撮像情報、速度計測部15により計測された速度情報、車間距離計測部16により計測された車間距離情報のそれぞれを撮像情報記憶装置1に取り込むことができる。
【0036】
(2)ドライブレコーダ部3の構成
ドライブレコーダ部3は、撮像情報生成部31と、記録部32とを備えている。ドライブレコーダ部3は更にフレームレート制御部33を備えているが、このフレームレート制御部33の説明は後に詳しく説明する。
撮像情報生成部31では、車室外用カメラ11、車室外用カメラ12、車室内用カメラ13のそれぞれからインターフェイス部2及び共通バス9を通して伝送される撮像情報に基づいて、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成される。ここで、所定フレームレートは例えば1 FPS(Frames Per Second)に設定され、撮像情報の記憶容量が適正に抑制されている。
記録部32は、撮像情報生成部31において生成された撮像情報を、順次、共通バス9を通して第2記憶部8へ伝送する。第2記憶部8では、記録部32から伝送された撮像情報が撮像情報記憶部81に記憶される。
【0037】
(3)運転状況検知部4の構成
運転状況検知部4は、撮像情報解析部41と、煽り運転判定部42とを含んで構成され、
図2に示される自車両Vmの周辺を走行する他車両Voの「煽り運転」を検知する構成とされている。
撮像情報解析部41は、車室外用カメラ11、車室外用カメラ12のそれぞれからインターフェイス部2及び共通バス9を通して伝送される車両前方側の撮像情報、車両後方側の撮像情報に基づいて、「煽り運転」を受けているか否かを画像解析により解析する。
また、
図2に示されるように、撮像情報解析部41では、車両前方側の撮像情報に基づいて、画像解析により、車間距離となる距離L1を演算することができる。少し詳しく説明すると、車室外用カメラ11により撮像された撮像情報には、自車両Vmの前方に走行する他車両Voの車両後方下部の位置BPが撮像される。この位置BPと、自車両Vmの車室外用カメラ11の取付位置P1の高さ寸法hとに基づいて、位置BPと取付位置P1とを結ぶ線(破線)の水平面に対する角度αが演算される。高さ寸法hと角度αとに基づいて、三角関数を利用して、他車両Voの位置BPから自車両Vmの取付位置P1を水平面に投影した取付位置P2までの距離L2を演算することができる。自車両Vmの前端と取付位置P2との距離をこの距離L2から差し引くことにより、距離L1を求めることができる。
同様に、撮像情報解析部41では、車両後方側の撮像情報に基づいて、画像解析により、自車両Vmと後方を走行する図示省略の他車両との車間距離を求めることができる。
【0038】
煽り運転判定部42では、速度計測部15から取得した速度情報と、車間距離計測部16から取得した車間距離情報又は撮像情報解析部41から取得した車間距離情報とに基づいて、「煽り運転」を受けているか否かが判定される。
ここで、煽り運転判定部42の「煽り運転」を受けているか否かの判定方法について、簡単に説明する。
図3には、自車両Vm(又は他車両Vo)の走行速度[km/hour]と、安全な目安とされる車間距離[m]との一般的な関係が示されている。例えば、自車両Vmが時速40 kmにおいて走行しているときには、車間距離が22 mあれば、安全とされている。また、自車両Vmが時速60 kmにおいて走行しているときには、車間距離が44 mあれば、安全とされている。
従って、煽り運転判定部42では、
図3に示される、自車両Vmの走行速度に応じた自車両Vmと他車両Voとの車間距離が「許容範囲」の最大値とされ、この「許容範囲」を基準(閾値)として「煽り運転」を受けたか否かの判定が実行される。例えば、自車両Vmが時速50 kmにおいて走行しているとき、車間距離の「許容範囲」は「32 m」である。煽り運転判定部42は、車間距離が「32 m」以上の長い車間距離、例えば「40 m」であれば「煽り運転」を受けていないと判定する。一方、煽り運転判定部42は、車間距離が「32 m」を超えて短い車間距離、例えば「15 m」であれば、「煽り運転」を受けていると判定する。
【0039】
また、
図4には、自車両Vmの走行速度[km/hour]と、制動時間[sec]との一般的な関係が示されている。例えば、自車両Vmが時速30 km~50 kmにおいて走行しているときには、安全な制動時間として2 秒が必要とされる。また、自車両Vmが時速80 km~110 kmにおいて走行しているときには、制動時間として4 秒が必要とされる。
従って、煽り運転判定部42では、
図4に示される、自車両Vmの走行速度に応じた自車両Vmの制動時間が「許容時間」の最大値とされ、この「許容時間」を基準(閾値)として「煽り運転」を受けたか否かの判定が実行される。
例えば、自車両Vmが時速60 kmにおいて走行しているとき、制動時間は「3 秒」であるので、「許容時間」は「3 秒」とされる。煽り運転判定部42は、車間距離の「許容範囲」を超えている状況(時間)が「3 秒」以内であれば「煽り運転」を受けていないと判定する。一方、煽り運転判定部42は、車間距離の「許容範囲」を超えている状況が「3 秒」を超えて長くなれば、例えば「20 秒」も継続されるようであれば、「煽り運転」を受けていると判定する。
【0040】
図1に示されるように、煽り運転判定部42は、「煽り運転」を受けていると判定したとき、共通バス9を通してフレームレート制御部33へフレームレート制御信号FCSを出力する。フレームレート制御部33では、フレームレート制御信号FCSに基づいて、撮像情報を生成するフレームレートが制御される。
【0041】
(4)タイマ5、中央演算処理ユニット6、第1記憶部7及び第2記憶部8の構成
図1に示されるように、タイマ5は共通バス9に接続されている。ここでは、タイマ5は、運転状況検知部4の煽り運転判定部42における「許容時間」のカウントに使用されている。
中央演算処理ユニット(コンピュータ)6は、共通バス9に接続され、共通バス9を介して撮像情報記憶装置1のドライブレコーダ部3、運転状況検知部4、タイマ5等の各構成要素の動作を制御する。
【0042】
第1記憶部7は、例えば読出し専用記憶回路(例えば、ROM: Read Only Memory)及び書込み読出し記憶回路(例えば、RAM: Random Access Memory)を含んで構成されている。第1記憶部7は共通バス9に接続されている。第1記憶部7には、撮像情報記憶装置1の動作制御に必要なプログラムが格納され、又中央演算処理ユニット6において実行中の情報が一時的に格納される。
第2記憶部8は、撮像情報記憶部81と、地図情報記憶部82とを含んで構成され、共通バス9に接続されている。撮像情報記憶部81は、ドライブレコーダ部3の記録部32から出力される撮像情報を格納し、保存する。地図情報記憶部82には、地図情報が格納されている。第2記憶部8には、例えば不揮発性記憶装置、ハードディスク等、大記憶容量を有する記憶装置が使用されている。
ここで、地図情報は、フレームレート制御部33の動作に同期して、地図情報記憶部82から撮像情報生成部31へ読出される。撮像情報生成部31では、地図情報の少なくとも一部の情報、例えば緯度情報及び経度情報が撮像情報に書込まれる。これにより、「煽り運転」を受けた位置を特定することができる。
なお、地図情報は、図示省略の通信機器を介してインターネット経由により外部サーバから取得してもよい。
【0043】
(5)フレームレート制御部33の構成
図1に示されるように、撮像情報記憶装置1はドライブレコーダ部3の一部の構成要素としてフレームレート制御部33を備えている。フレームレート制御部33は共通バス9に接続されている。
フレームレート制御部33は、運転状況検知部4の煽り運転判定部42から出力されるフレームレート制御信号FCSに基づいて、動作を開始する。フレームレート制御部33は、煽り運転判定部42において自車両Vmが「煽り運転」を受けていると判定されると、撮像情報生成部31を制御して所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成させる。高フレームレートは例えば15.5 FPSに設定されている。このフレームレートに設定された撮像情報はLED(Light Emitting Diode)方式を採用する信号機の滅灯タイミングに同期しないので、仮に道路交差点に信号機があるときに信号機の点灯状態にある撮像情報を生成することができる。
【0044】
フレームレート制御部33は、車室外用カメラ11、車室外用カメラ12の各々を用いて撮像された室外撮像情報を高フレームレートにおいて生成するが、本実施例では車室内用カメラ13を用いて撮像された室内撮像情報も高フレームレートにおいて生成される。高フレームレートにおいて生成された室内撮像情報は室外撮像情報と同期されている。
さらに、煽り運転判定部42により自車両Vmの前方において「煽り運転」を受けていると判定すると、フレームレート制御部33は、この「煽り運転」を受けている方向の車室外用カメラ11により撮像された撮像画像を高フレームレートにおいて生成する。逆に、煽り運転判定部42により自車両Vmの後方において「煽り運転」を受けていると判定すると、フレームレート制御部33は、この「煽り運転」を受けている方向の車室外用カメラ12により撮像された撮像画像を高フレームレートにおいて生成する。
【0045】
(撮像情報記憶方法及びプログラム)
図1~
図4を参照しつつ、
図5を用いて、撮像情報記憶装置1を用いた撮像情報記憶方法を説明すると共に、併せて撮像情報記憶方法を実行するためのプログラムについて説明する。
【0046】
まず、自車両Vmの図示省略のパワーユニットが起動される(ステップS1)。パワーユニットが起動されると、自車両Vmでは、速度計測部15による自車両Vmの走行速度の測定が開始され、速度情報が生成される。また、自車両Vmでは、車間距離計測部16による自車両Vmの周囲を走行する他車両Voとの車間距離が測定され、車間距離情報が生成される。
引き続き、撮像情報記憶システム100が起動される(ステップS2)。撮像情報記憶システム100が起動されると、撮像装置10の車室外用カメラ11、車室外用カメラ12、車室内用カメラ13のそれぞれが起動される。車室外用カメラ11では自車両Vmの車両前方側が撮像され、車室外用カメラ12では自車両Vmの車両後方側が撮像される。これらの撮像情報(室外撮像情報)は撮像情報記憶装置1においてインターフェイス部2、共通バス9のそれぞれを通してドライブレコーダ部3へ伝送される。車室内用カメラ13では自車両Vmの車室内が撮像され、この撮像情報(室内撮像情報)は同様にドライブレコーダ部3へ伝送される。
ドライブレコーダ部3の撮像情報生成部31では、伝送された撮像情報が所定フレームレートにおいて生成される。この所定フレームレートにおいて生成された撮像情報は記録部32を経て第2記憶部8へ伝送され、撮像情報は第2記憶部8の撮像情報記憶部81に格納され、保存される(ステップS3)。
【0047】
撮像情報記憶装置1では、運転状況検知部4において、自車両Vmの周辺を走行する他車両Vo(
図2参照)の煽り運転の検知が開始される(ステップS4)。運転状況検知部4では、まず速度計測部15からインターフェイス部2、共通バス9のそれぞれを通して自車両Vmの速度情報が取得され(ステップS5)、同様に車間距離計測部16から車間距離情報が取得される(ステップS6)。車間距離情報は、
図2に示されるように、自車両Vmとその前方に走行する他車両Voとの距離L1である。また、車間距離情報には、自車両Vmとその後方を走行する図示省略の他車両との距離が含まれる。
【0048】
運転状況検知部4の煽り運転判定部42では、自車両Vmが他車両Voから「煽り運転」を受けているか否かが判定される(ステップS8)。
詳しく説明すると、煽り運転判定部42では、まず最初に、速度計測部15からの速度情報と車間距離計測部16からの車間距離情報が取得される。取得された速度情報と車間距離情報とに基づいて、煽り運転判定部42では、自車両Vmの走行速度に応じた自車両Vmと他車両Voの車間距離が許容範囲内か許容範囲を超えているかが最初に判定される。
本実施例では、
図3に示されるように、距離L1が車間距離であり、この車間距離が「許容範囲」に設定されているので、仮に自車両Vmが時速60 kmにおいて走行しているとき、「許容範囲」は「44 m」とされる。「44 m」以上の長い車間距離が維持されていれば、「許容範囲内」であり、煽り運転判定部42は「煽り運転」を受けていないと判定する。逆に、「44 m」を超えて短い車間距離が維持されていれば、「許容範囲を超える」ことになり、煽り運転判定部42は「煽り運転」を受けていると判定する。
【0049】
さらに、煽り運転判定部42では、「煽り運転」を受けているか否かの判定に、「許容時間」が加えられている。本実施例では、自車両Vmの走行速度に応じた自車両Vmの制動時間が「許容時間」に設定されている。
図4に示されるように、上述の例では、自車両Vmの走行速度は時速50 km~80 kmの区分になるので、安全の目安としての制動時間は「3 秒」であり、この「3 秒」が「許容時間」とされる。煽り運転判定部42では、「煽り運転」を受けている状況が、「3 秒」以内の「許容時間内」のとき、最終的に「煽り運転」を受けていないと判定する。逆に、煽り運転判定部42では、「煽り運転」を受けている状況が、「3 秒」を超えて「許容時間を超える」とき、最終的に「煽り運転」を受けていると判定する。
【0050】
ここで、
図3、
図4のそれぞれに示される判定情報は、煽り運転判定部42に内蔵された記憶部に、又は第1記憶部7にテーブルとして格納されている。また、煽り運転判定部42における「煽り運転」を受けている時間の測定にはタイマ5が利用される。
【0051】
一方、運転状況検知部4は撮像情報解析部41を備えているので、撮像情報解析部41では、
図2に示されるように、撮像情報に基づく画像解析により、自車両Vmと他車両Voとの車間距離が演算される(ステップS7)。この演算された車間距離の車間距離情報は、煽り運転判定部42において、「煽り運転」を受けているか否かの判定に使用されている。ここでは、車間距離情報は、車間距離計測部16から取得される車間距離情報の補完情報として、或いは「煽り運転」を受けているか否かを判定する単独情報として使用されている。
【0052】
煽り運転判定部42は、「煽り運転」を受けていると判定すると、フレームレート制御部33へフレームレート制御信号FCSを出力する。フレームレート制御部33はフレームレート制御信号FCSに基づいて撮像情報生成部31のフレームレートを変化させ、撮像情報生成部31では高フレームレートにおいて撮像情報が生成される(ステップS9)。
このとき、撮像情報生成部31では、地図情報記憶部82に格納された地図情報から現在位置情報を取得し、この現在位置情報が撮像情報に合成される(ステップS10)。これにより、「煽り運転」を受けた地図上の現在位置を撮像情報に加えることができる。なお、自車両Vmの現在位置情報は、撮像情報記憶装置1に内蔵された図示省略の全地球測位システム(GPS: Global Positioning System)を用いる衛星航法に基づいて、又は自律航法に基づいて、取得される。
高フレームレートにおいて生成された撮像情報は、第2記憶部8の撮像情報記憶部81に格納され、保存される(ステップS11)。
なお、ステップS8において「煽り運転」を受けていないと判定されたときは、ステップS12へ移行する。
【0053】
次に、撮像情報記憶システム100の動作を終了させるか否かが判定される(ステップS12)。動作を終了させないと判定されたとき、ステップS4に戻る。動作を終了させると判定されたとき、撮像情報記憶システム100の動作は終了し、本実施例に係る撮像情報記憶方法並びにその方法を実行するためのプログラムは終了する。
【0054】
(作用効果)
本実施例に係る撮像情報記憶装置1は、
図1に示されるように、撮像情報生成部31と、第2記憶部8と、を備える。
撮像情報生成部31は、自車両Vm(
図2参照)の周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する。第2記憶部8は、撮像情報生成部31により生成された撮像情報を記憶する。
ここで、撮像情報記憶装置1は、運転状況検知部4と、フレームレート制御部33とを更に備える。運転状況検知部4は、自車両Vmの周辺を走行する他車両Voの「煽り運転」を検知する。そして、フレームレート制御部33は、運転状況検知部4により「煽り運転」が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する。
このため、「煽り運転」が検知されないときには、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、「煽り運転」が検知されたときには、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、「煽り運転」の状況における撮像情報を増やすことができる。従って、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、「煽り運転」を受けたときには撮像情報量を増やすことができる撮像情報記憶装置1を提供することができる。
【0055】
また、撮像情報記憶装置1では、
図1に示されるように、撮像情報生成部31は、それぞれ撮像された複数種類の撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する。第2記憶部8は、撮像情報生成部31により生成された複数種類の撮像情報を記憶する。そして、フレームレート制御部33は、「煽り運転」が検知されたときに高フレームレートにおいて複数種類の撮像情報を生成する。
このため、複数種類の撮像情報は、「煽り運転」が検知されたときには同一の高フレームレートにより生成され、「煽り運転」が検知されないときには同一の所定フレームレートにより生成される。従って、複数種類の撮像情報を同時に再生するときに、再生ずれが生じないので、撮像情報を再生した映像を見るユーザの違和感を軽減することができる。
【0056】
さらに、撮像情報記憶装置1によれば、
図1~
図4に示されるように、運転状況検知部4では、自車両Vmの走行速度、自車両Vmと他車両Voとの車間距離(距離L1)の許容範囲及び許容時間に基づいて、他車両Voの「煽り運転」が検知される。このため、自車両Vmの速度に応じた「煽り運転」の判断基準を一律に定めることができる。
【0057】
また、撮像情報記憶装置1では、
図1に示されるように、自車両Vmの速度計測部15から取得された速度(速度情報)と、自車両Vmの車間距離計測部16から取得された車間距離(車間距離情報)とに基づいて、運転状況検知部4では「煽り運転」が検知される。このため、自車両Vmに装着される速度計測部15及び車間距離計測部16から取得される速度情報及び車間距離情報を利用して、運転状況検知部4では「煽り運転」を検知することができるので、撮像情報記憶装置1の構成を簡素化することができる。加えて、速度計測部15及び車間距離計測部16は撮像情報記憶装置1に備える必要が無いので、撮像情報記憶装置1を小型化することができる。
【0058】
さらに、撮像情報記憶装置1では、
図1に示されるように、撮像情報解析部41を更に備える。撮像情報解析部41では、
図2に示されるように、撮像情報に基づく画像解析により自車両Vmと他車両Voとの車間距離(距離L1)を解析することができる。そして、運転状況検知部4は、撮像情報解析部41の解析結果に基づいて、自車両Vmの走行速度に応じた自車両Vmと他車両Voとの車間距離が許容範囲を超え、かつ、この状況が許容時間を超えたときに他車両Voの「煽り運転」を検知する。
このため、運転状況検知部4では、自車両Vmの走行速度、自車両Vmと他車両Voとの車間距離の許容範囲及び許容時間に基づいて、他車両Voの「煽り運転」を検知することができるので、自車両Vmの走行速度に応じた「煽り運転」の判断基準を一律に定めることができる。
さらに、撮像情報解析部41では、撮像情報に基づいて車間距離を演算することができるので、外付け装置としての車間距離計測部16の車間距離情報を補完することができる。また、車間距離計測部16を装備していない自車両Vmでは、撮像情報解析部41を用いて車間距離情報を取得することができるので、撮像情報記憶装置1を用いて「煽り運転」を検知することができる。
【0059】
また、撮像情報記憶装置1では、
図1に示されるように、撮像情報生成部31では、自車両Vmの前方の撮像情報及び自車両Vmの後方の撮像情報が所定フレームレートにおいて生成される。フレームレート制御部33では、運転状況検知部4により、自車両Vmの前方において煽り運転が検知されたときに、この検知された方向の撮像画像が高フレームレートにおいて生成される。また、フレームレート制御部33では、運転状況検知部4により、自車両Vmの後方において煽り運転が検知されたときに、この検知された方向の撮像画像が高フレームレートにおいて生成される。
このため、煽り運転が検知されない方向では、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、煽り運転が検知された方向では、高フレームレートにおいて撮像情報が生成されるので、煽り運転の状況における撮像情報を増やすことができる。
【0060】
さらに、撮像情報記憶方法では、
図1~
図5に示されるように、所定フレームレートにおいて自車両Vmの周辺が撮像された撮像情報が生成され、撮像情報が記憶される(ステップS3)。一方、自車両Vmの周辺を走行する他車両Voの「煽り運転」が検知される(ステップS4)。「煽り運転」が検知されたときに(ステップS8)、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報が生成される(ステップS9)。
このため、「煽り運転」が検知されないとき、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、「煽り運転」が検知されたとき、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、「煽り運転」の状況における撮像情報を増やすことができる。従って、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、「煽り運転」を受けたときには撮像情報量を増やすことができる撮像情報記憶方法を提供することができる。
【0061】
また、撮像情報記憶方法をコンピュータに実行させるためのプログラムでは、
図1~
図5に示されるように、撮像情報生成部31が自車両Vmの周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成し、第2記憶部8が撮像情報を記憶する。一方、運転状況検知部4が自車両Vmの周辺を走行する他車両Voの「煽り運転」を検知する。そして、フレームレート制御部33が、「煽り運転」が検知されたときに、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報を生成する。
このため、「煽り運転」が検知されないとき、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、「煽り運転」が検知されたとき、所定フレームレートに比し高い高フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、「煽り運転」の状況における撮像情報を増やすことができる。従って、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、「煽り運転」を受けたときには撮像情報量を増やすことができるプログラムを提供することができる。
【0062】
[第2実施例]
図6を用いて、第2実施例に係る撮像情報記憶装置1、撮像情報記憶方法及びその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムについて説明する。
なお、本実施例において、第1実施例に係る撮像情報記憶装置1の構成要素と同一の構成要素又は実質的に同一の構成要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。撮像情報記憶方法又はプログラムのステップついても、同様である。
【0063】
(撮像情報記憶装置1及び撮像情報記憶システム100の構成)
本実施例に係る撮像情報記憶装置1は、
図6に示されるように、ドライブレコーダ部3に、撮像情報処理部34を備えている。ここで、ドライブレコーダ部3の撮像情報生成部31では、所定フレームレートにおいて撮像情報が生成されるが、所定フレームレートは例えば15.5 FPSの高フレームレートに設定されている。撮像情報処理部34では、撮像情報生成部31において生成された撮像情報が、所定フレームレートに比し低い低フレームレートに変換される。低フレームレートは例えば1 FPSに設定されている。この変換された撮像情報は第2記憶部8の撮像情報記憶部81に格納され、保存される。
【0064】
フレームレート制御部33では、煽り運転判定部42からフレームレート制御信号FCSが出力されると、所定フレームレートを維持した状態において撮像情報が生成される。この撮像情報は、第2記憶部8に格納され、保存される。
【0065】
(撮像情報記憶方法及びプログラム)
本実施例に係る撮像情報記憶方法並びにこの方法を実行するためのプログラムは、フレームレートの設定が逆になるだけで、前述の
図5を用いて説明した第1実施例に係る撮像情報記憶方法並びにプログラムと実質的に同一であるので、説明を省略する。
【0066】
(作用効果)
本実施例に係る撮像情報記憶装置1、撮像情報記憶方法並びにこの方法を実行するためのプログラムでは、第1実施例に係る撮像情報記憶装置1、撮像情報記憶方法並びにプログラムにより得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
また、撮像情報記憶装置1は、
図6に示されるように、撮像情報生成部31と、撮像情報処理部34と、第2記憶部8と、を備える。
撮像情報生成部31は、自車両Vmの周辺が撮像された撮像情報を所定フレームレートにおいて生成する。撮像情報処理部34は、撮像情報生成部31により生成された撮像情報を所定フレームレートに比し低い低フレームレートに変換する。第2記憶部8は、撮像情報生成部31により生成された撮像情報を記憶する。
ここで、撮像情報記憶装置1は、運転状況検知部4と、フレームレート制御部33とを更に備える。
運転状況検知部4は、自車両Vmの周辺を走行する他車両Voの「煽り運転」を検知する(
図2参照)。そして、フレームレート制御部33は、運転状況検知部4により「煽り運転」が検知されたときに、撮像情報処理部34において所定フレームレートにより撮像情報を生成し、撮像情報を第2記憶部8に記録させる。
このため、「煽り運転」が検知されないときには、低フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、撮像情報の記憶容量を適正に抑制することができる。一方、「煽り運転」が検知されたときには、低フレームレートに比し高い所定フレームレートにおいて撮像情報が生成され、かつ、この撮像情報が記憶されるので、「煽り運転」の状況における撮像情報を増やすことができる。従って、撮像情報の記憶容量を適正に抑制しつつ、「煽り運転」を受けたときには撮像情報量を増やすことができる撮像情報記憶装置1を提供することができる。
さらに、撮像情報生成部31では、撮像情報処理部34において撮像情報が低フレームレートに変換されるまで、低フレームレートに比し高い所定フレームレートにおいて撮像情報が生成される。このため、撮像情報記憶装置1では、低フレームレートに変換される前の、撮像情報量が多い撮像情報を利用することができる。例えば、撮像情報生成部31から撮像情報処理部34へ至る伝送経路において、数秒から数十秒程度、シリアルに一時的に撮像情報を保存する回路が配設されれば、経時的に遡って高フレームレートの撮像情報を得ることができる。
【0068】
[その他の実施例]
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変形可能である。
例えば、上記実施例では、ドライブレコーダ部3、運転状況検知部4、タイマ5、第2記憶部8等の各構成要素を内蔵回路として撮像情報記憶装置1が構築されている。本発明では、少なくとも1つの構成要素が外付け装置として組み付けられ、撮像情報記憶装置1が構築されてもよい。
また、上記実施例では、自車両Vmの車両前方側、車両後方側のいずれか一方からの「煽り運転」を検知して画像情報が記憶されているが、本発明は、自車両Vmの車両前方側及び車両後方側の双方同時の「煽り運転」も検知して画像情報を記憶してもよい。
さらに、上記実施例では、自車両Vmが「煽り運転」を受けている場合(被害者側)について説明がなされているが、本発明は、自車両Vmが「煽り運転」を行っている場合(加害者側)にも適用可能である。
また、「煽り運転」は繰り返し行われる場合があるので、本発明は、「煽り運転」の判定がなされてから、所定の時間が経過するまで、高フレームレートによる画像情報を生成する構成としてもよい。ここでの「所定の時間」は、例えは数十秒~数分とされる。