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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152822
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20241018BHJP
   B60K 20/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A01C11/02 313A
B60K20/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131748
(22)【出願日】2024-08-08
(62)【分割の表示】P 2023037562の分割
【原出願日】2017-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】國安 恒寿
(57)【要約】
【課題】作業機において、農用資材の供給間隔や供給量を適切に設定することができるようにする。
【解決手段】入力軸45aを有し、入力軸45aに入力された作業伝動系の動力を変速する無段変速装置45と、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、作業伝動系の動力が無段変速装置45を通って作業装置に伝達され、無段変速装置45が、無段変速装置45を操作する操作部45cを有し、操作部45cが、入力軸45aに対して垂直状に設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸を有し、前記入力軸に入力された作業伝動系の動力を変速する無段変速装置と、
機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、
前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、
前記無段変速装置が、当該無段変速装置を操作する操作部を有し、前記操作部が、前記入力軸に対して垂直状に設けられている作業機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗(農用資材に相当)を圃場に植え付ける乗用型田植機や、種子(農用資材に相当)を圃場に供給する乗用型播種機、肥料や薬剤等(農用資材に相当)を圃場に供給する乗用型作業機等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例である乗用型田植機において、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。特許文献1では、エンジン(原動部に相当)の動力が変速装置に伝達され、変速装置の動力が並列的に分岐されて、走行用の車輪及び苗植付装置(作業装置に相当)に伝達されている。
【0003】
これにより、機体の走行方向に沿って事前に設定された株間(供給間隔に相当)で、苗植付装置により苗が田面に植え付けられるのであり、変速装置が操作されて機体の走行速度が変化しても、苗植付装置に伝達される動力が変速装置の動力であるので、苗植付装置による株間は一定間隔に維持される。
【0004】
特許文献1では、変速装置の動力が、株間変速装置を通って苗植付装置に伝達されており、株間変速装置を操作することによって、苗植付装置による株間を所望の間隔に設定することができる。株間を変更することにより、植え付けられる苗の供給量(一つの水田において植え付けられる苗の総量や、単位走行距離当たりの苗の使用量等)を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-70653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、株間変速装置が、ギヤ変速型式の複数段の変速位置を備えた変速装置である。近年では、圃場や農用資材の状態等に応じて、農用資材の供給間隔や供給量(一つの圃場において供給される農用資材の総量や、単位走行距離当たりの農用資材の使用量等)を適切に設定したいという要望が高まっている。
【0007】
本発明は、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置を備えた作業機において、農用資材の供給間隔や供給量を適切に設定することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業機は、入力軸を有し、前記入力軸に入力された作業伝動系の動力を変速する無段変速装置と、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、前記無段変速装置が、当該無段変速装置を操作する操作部を有し、前記操作部が、前記入力軸に対して垂直状に設けられている。
また、本発明の作業機は、原動部の動力が伝達される変速装置と、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、前記変速装置の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、前記走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、前記無段変速装置を操作する操作部が、平面視で、前記無段変速装置と重複する位置に備えられている。
また、本発明の作業機は、原動部の動力が伝達される変速装置と、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、前記変速装置の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、前記走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、前記無段変速装置を操作する操作部が、前記無段変速装置の上面部に備えられて、前記操作部を操作する操作機構が、上下方向において前記無段変速装置よりも高い位置に備えられている。
【0009】
本発明によると、作業伝動系の動力が無段変速装置を通って作業装置に伝達されるのであり、無段変速装置を操作することにより、無段変速委装置の最高速位置と最低速位置との間において、多くの供給間隔や供給量(一つの圃場において供給される農用資材の総量や、単位走行距離当たりの農用資材の使用量等)を設定することができる。
これにより、圃場や農用資材の状態等に応じて、供給間隔や供給量を細かく適切に設定することができるようになって、作業機の作業精度を向上させることができる。
【0010】
前述の無段変速装置を操作する操作機構を備える場合、本発明によると、無段変速装置を操作する操作部が無段変速装置の上面部に備えられて、操作部を操作する操作機構が上下方向において無段変速装置よりも高い位置に備えられている。
これにより、操作機構及び無段変速装置の操作部が、圃場から高い位置に配置されるので、走行用の車輪等により圃場の泥等が飛ばされても、泥等が操作機構や無段変速装置の操作部に付着する可能性は低いものとなり、泥等の付着による操作機構の作動不良や無段変速装置の操作部の作動不良を少なくすることができる。
【0011】
本発明において、
ミッションケースの右又は左の一方の横側部に、前記無段変速装置が設けられ、
前記操作機構が、平面視で前記ミッションケース又は前記無段変速装置と重複するように配置されていると好適である。
【0012】
本発明によると、操作機構の下側にミッションケース又は無段変速装置が位置することになるので、走行用の車輪等により圃場の泥等が飛ばされても、泥等がミッションケース又は無段変速装置に遮られる状態となり易いので、泥等が操作機構に付着する可能性が低いものとなる。
【0013】
本発明において、
前記操作機構が、前記無段変速装置の後側に配置されていると好適である。
【0014】
本発明によると、操作機構が上下方向において無段変速装置よりも高い位置に備えられた状態を維持しながら、操作機構の位置を下げても、操作機構の下部が無段変速装置の上部に干渉することはない。
これにより、例えばフロア等を操作機構の上側に配置する場合、前述のように操作機構の位置を下げることにより、フロア等の位置も下げることができるのであり、フロア等の位置が必要以上に高くなることはなく、操作機構との干渉を避ける改造をフロア等に施す必要が少なくなる。
【0015】
本発明において、
ミッションケースの右又は左の一方の横側部に、前記無段変速装置が設けられ、
前記ミッションケースの右又は左の他方の横側部に、前記変速装置が設けられていると好適である。
【0016】
変速装置及び無段変速装置を備える場合、本発明によると、ミッションケースの右及び左の横側部に、変速装置及び無段変速装置が振り分けて設けられるので、作業機の左右の重量バランスを良いものにすることができる。
【0017】
本発明において、
前記操作部が、前記無段変速装置の上面部から上側に突出して、上下方向の第1軸芯周りに回転操作される操作軸であり、
前記操作機構の上下方向の第2軸芯周りに揺動自在に支持されて前記操作機構により揺動操作される操作アームと、
前記操作軸から水平方向に沿って延出されて前記操作アームに接続された連係部材とが備えられて、
前記操作機構により、前記操作アームが揺動操作され、前記連係部材を介して前記操作軸が回転操作されると好適である。
【0018】
無段変速装置の操作軸と操作機構の操作アームとを、連係部材によって接続して、操作機構により無段変速装置の操作軸を操作するように構成する場合、本発明によると、無段変速装置の操作軸と、操作機構の操作アームとを、上下方向において略同じ高さに配置することができるので、操作機構の操作アームの作動が、連係部材を介して無駄なく無段変速装置の操作軸に伝達されて、無段変速装置の操作軸が無理なく操作される。
【0019】
本発明において、
前記操作機構に、前記操作部を操作する操作力を発生させるアクチュエータが設けられていると好適である。
【0020】
本発明によると、アクチュエータにより無段変速装置の操作部が操作されるので、無段変速装置の操作部を楽に操作することができる。
無段変速装置において各種の制御を行う場合、アクチュエータにより無段変速装置の操作部を制御に沿って操作することが容易に行えるようになる。
【0021】
本発明において、
前記無段変速装置が、静油圧式の無段変速装置であると好適である。
【0022】
本発明によると、無段変速装置が静油圧式の無段変速装置であるので、静油圧式の無段変速装置を操作することによって、作業装置に伝達される動力を少しだけ高速側に変速したり、少しだけ低速側に変速したりというような、細かな変速を無理なく行うことができる。
【0023】
本発明において、
前記作業装置が、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、苗を圃場に間欠的に植え付ける苗植付装置であると好適である。
【0024】
作業機である乗用型田植機では、苗植付装置(作業装置に相当)により、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、苗(農用資材に相当)を圃場に間欠的に植え付ける。
【0025】
本発明によると、作業機である乗用型田植機において、無段変速装置を介して苗植付装置に動力を伝達することにより、無段変速装置によって苗の供給間隔や供給量を細かく適切に設定することができる。
【0026】
本発明において、
前記作業装置が、機体の走行方向に沿って種子を圃場に供給する播種装置であると好適である。
【0027】
作業機である乗用型播種機では、播種装置(作業装置に相当)により、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、種子(農用資材に相当)を圃場に間欠的に供給したり、種子を圃場に連続的に供給したりする。
【0028】
本発明によると、作業機である乗用型播種機において、無段変速装置を介して播種装置に動力を伝達することにより、無段変速装置によって種子の供給間隔や供給量を細かく適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】乗用型田植機の側面図である。
図2】乗用型田植機の平面図である。
図3】ミッションケースにおいて走行伝動系の付近を示す横断平面図である。
図4】ミッションケースにおいて作業伝動系の付近を示す横断平面図である。
図5】制御装置と各部との連係状態を示す図である。
図6】無段変速装置及び操作機構の付近の平面図である。
図7図6のVII方向から視た断面図である。
図8】発明の実施の第1別形態において、無段変速装置及び操作機構の付近の平面図である。
図9】発明の実施の第1別形態において、操作機構の縦断側面図である。
図10】発明の実施の第2別形態において、無段変速装置及び操作機構の付近の平面図である。
図11】発明の実施の第2別形態において、無段変速装置及び操作機構の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態において、圃場(水田)で植付作業を行う作業機の一例である乗用型田植機が示されている。
図1図11において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示している。Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0031】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1(走行用の車輪に相当)と、右及び左の後輪2(走行用の車輪に相当)とを備えた機体11の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
【0032】
苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右側部及び左側部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、フロート9及び苗のせ台10等を備えている。
【0033】
右及び左のマーカー12が、苗植付装置5の右及び左の横側部に備えられている。マーカー12は、田面G(図5参照)に接地する作用姿勢(図1参照)、及び田面Gから上方に離れた格納姿勢に変更自在であり、マーカー12の先端部に回転体12aが回転自在に支持されている。マーカー12の作用姿勢において、マーカー12の回転体12aが田面Gに接地するのであり、機体11の走行に伴ってマーカー12の回転体12aが、回転しながら田面Gに指標を形成する。
【0034】
(運転部の付近の構成)
図1及び図2に示すように、機体11に、運転座席13、及び前輪1を操向操作する操縦ハンドル14が備えられている。
【0035】
機体11の前部の右部及び左部に右及び左の支持フレーム16が備えられており、支持フレーム16に予備苗のせ台15が支持されている。右及び左の支持フレーム16の上部に亘って、支持フレーム17が連結されている。
【0036】
支持フレーム17において、平面視で機体11の左右中央CLに位置する部分に、計測装置18が取り付けられている。計測装置18に、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、機体11の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、計測装置18は機体11の位置を示す測位データを出力する。
【0037】
右及び左の後輪2を支持する後車軸ケース22において、平面視で機体11の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置19が取り付けられている。慣性計測装置19及び計測装置18の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0038】
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)がある。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(機体11)が備える受信装置を使用して、計測装置18の受信装置の位置を計測するものである。
【0039】
慣性計測装置19は、機体11のヨー角度の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置19により計測される慣性情報に、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置18及び慣性計測装置19によって、機体11の位置及び機体11の方位が検出される。
【0040】
(ミッションケースの付近の構成)
図1に示すように、機体11の前部に、ミッションケース20が支持されており、ミッションケース20の右及び左の横側部に連結された前車軸ケース21に、右及び左の前輪1が支持されている。機体11の後部に、後車軸ケース22が支持されており、後車軸ケース22に右及び左の後輪2が支持されている。
【0041】
図1及び図3に示すように、ミッションケース20の前部に、エンジン23(原動部に相当)が支持されている。ミッションケース20の左の横側部に、静油圧型式の無段変速装置24(変速装置に相当)が連結されており、エンジン23の動力が伝動ベルト25を介して無段変速装置24の入力軸24aに伝達される。
【0042】
無段変速装置24は、中立位置、前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されており、操縦ハンドル14の左の横側に備えられた変速レバー30により、無段変速装置24を操作する。
【0043】
(前輪及び後輪への走行伝動系の構成)
図3に示すように、ミッションケース20の右の横側部に、ポンプ26が連結されており、ポンプ26は油圧シリンダ4に作動油を供給する。無段変速装置24の入力軸24aがミッションケース20に入り込んでおり、ポンプ26の入力軸26aと、無段変速装置24の入力軸24aとに亘って伝動軸27が連結されている。
【0044】
ミッションケース20の内部に、伝動軸28,29が左右方向に沿って支持されて、無段変速装置24の出力軸24bが伝動軸28の端部に連結されている。ミッションケース20の内部において、伝動軸28,29に亘って、ギヤ変速型式の副変速装置31が備えられている。
【0045】
副変速装置31は、伝動軸28に連結された低速ギヤ32及び高速ギヤ33、スプライン構造により伝動軸29に一体回転及びスライド自在に外嵌されたシフトギヤ34を備えている。運転座席13の近傍に備えられた副変速レバー(図示せず)により、シフトギヤ34をスライド操作することができる。
【0046】
副変速装置31において、シフトギヤ34を低速ギヤ32に咬合させると、伝動軸28の動力が低速状態で伝動軸29に伝達され、シフトギヤ34を高速ギヤ33に咬合させると、伝動軸28の動力が高速状態で伝動軸29に伝達される。
水田において植付作業を行う場合、副変速装置31を低速状態に操作するのであり、路上等において高速で走行する場合、副変速装置31を高速状態に操作する。
【0047】
右及び左の前輪1に動力を伝達する右及び左の前車軸35が、ミッションケース20及び前車軸ケース21に亘って支持されており、右及び左の前車軸35の間に、前輪デフ装置36が備えられている。伝動軸29に連結された伝動ギヤ37と、前輪デフ装置36のケース36aに連結された伝動ギヤ38とが咬合している。
【0048】
ミッションケース20の後部に出力軸39が前後方向に沿って支持されており、前輪デフ装置36のケース36aに連結されたベベルギヤ40と、出力軸39の前部に形成されたベベルギヤ39aとが咬合している。
【0049】
図1及び図3に示すように、出力軸39の後部に、伝動軸41が自在継手(図示せず)を介して連結されており、伝動軸41の後部が、自在継手(図示せず)を介して、後車軸ケース22の入力軸(図示せず)に連結されている。
【0050】
以上の構成により、無段変速装置24で変速された動力が、無段変速装置24の出力軸24bから、伝動軸28、副変速装置31、伝動軸29、伝動ギヤ37,38、前輪デフ装置36及び前車軸35を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
前輪デフ装置36に伝達された動力が、ベベルギヤ40、出力軸39(ベベルギヤ39a)、伝動軸41、後車軸ケース22の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
【0051】
出力軸39に、多板型式のブレーキ42が外嵌されており、図2に示すブレーキペダル43を踏み操作することにより、ブレーキ42を制動状態に操作することができる。ブレーキ42により出力軸39に制動を掛けることによって、前輪1及び後輪2に制動を掛けることができる。
【0052】
デフロック部材44が、キー構造により左の前車軸35に一体回転及びスライド自在に外嵌されている。運転座席13の下側に備えられたデフロックペダル(図示せず)を踏み操作することにより、デフロック部材44をスライド操作して前輪デフ装置36のケース36aに咬合させることによって、前輪デフ装置36をデフロック状態に操作することができる。
【0053】
以上の構成により、無段変速装置24(変速装置)の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、走行伝動系の動力が前輪1及び後輪2(走行用の車輪)に伝達される状態となっている。
【0054】
(苗植付装置への作業伝動系の構成)
図4に示すように、ミッションケース20の右の横側部に、静油圧型式の無段変速装置45が連結されており、無段変速装置45の入力軸45aと伝動軸28とが連結されている。無段変速装置45の入力軸45aがミッションケース20の反対側に突出しており、無段変速装置45に冷却風を送るファン46が、無段変速装置45の入力軸45aの突出部に連結されている。
【0055】
ミッションケース20の内部に、伝動軸47,48が左右方向に沿って支持されて、無段変速装置45の出力軸45bが伝動軸47の端部に連結されている。
【0056】
円筒状の伝動軸49が、ニードルベアリングを介して伝動軸47の外側に回転自在に外嵌され、2組のギヤを備えた伝動ギヤ50が、ベアリングを介して伝動軸48の外側に回転自在に外嵌されている。伝動軸47に形成された伝動ギヤ47aと、伝動ギヤ50の大径ギヤ部分とが咬合し、伝動軸49に連結された伝動ギヤ51と、伝動ギヤ50の小径ギヤ部分とが咬合している。
【0057】
ミッションケース20の内部において、伝動軸48,49に亘って、ギヤ変速型式の不等速変速装置52が備えられており、伝動軸48にベベルギヤ53が連結されている。ミッションケース20の後部に出力軸54が前後方向に沿って支持され、ベベルギヤ55が出力軸54の前部に植付クラッチ56を介して外嵌されており、ベベルギヤ53,55が咬合している。
【0058】
図1及び図4に示すように、出力軸54の後部に、伝動軸57が自在継手(図示せず)を介して連結されており、伝動軸57の後部が、自在継手(図示せず)を介して、苗植付装置5の入力軸(図示せず)に連結されている。
【0059】
以上の構成により、無段変速装置24で変速された動力が、無段変速装置24の出力軸24bから、伝動軸28及び無段変速装置45の入力軸45aを介して、無段変速装置45に伝達される状態となっている。
【0060】
無段変速装置45で変速された動力が、無段変速装置45の出力軸45bから、伝動軸47(伝動ギヤ47a)、伝動ギヤ50,51、伝動軸49、不等速変速装置52、伝動軸48、ベベルギヤ53,55、植付クラッチ56、出力軸54、伝動軸57を介して、苗植付装置5に伝達される状態となっている。
【0061】
植付クラッチ56を伝動状態に操作すると、苗植付装置5に動力が伝達されて、苗植付装置5が作動する。
苗植付装置5が作動すると、図2に示すように、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図5の反時計方向に回転駆動され、2組の植付アーム8が、苗のせ台10の下部から交互に苗A(農用資材に相当)を取り出して田面Gに植え付ける。これにより、図5に示すように、機体11の走行方向F1に沿って、事前に設定された設定株間L1(供給間隔に相当)で、苗Aが田面Gに間欠的に植え付けられる。
植付クラッチ56を遮断状態に操作すると、苗植付装置5への動力が遮断されて、苗植付装置5が停止し、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
【0062】
以上の構成により、無段変速装置24(変速装置)の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、作業伝動系の動力が無段変速装置45及び不等速変速装置52を通って、苗植付装置5(作業装置)に伝達される状態となっている。
【0063】
(不等速変速装置の構成)
図4に示すように、不等速変速装置52は、伝動軸49に連結された等速ギヤ58及び不等速ギヤ59、伝動軸48に相対回転自在に外嵌された等速ギヤ60及び不等速ギヤ61を備えており、等速ギヤ58,60が咬合し、不等速ギヤ59,61が咬合している。
【0064】
キー状の変速部材62が伝動軸48の内部にスライド自在に支持されており、変速部材62をスライド操作して、等速ギヤ60及び不等速ギヤ61のうちの一つに係合させることにより、変速部材62を係合させた等速ギヤ60及び不等速ギヤ61を伝動軸48に連結状態とすることができる。
【0065】
等速ギヤ58,60は、円形ギヤで同径である。これにより、変速部材62を等速ギヤ60に係合させると、伝動軸49の1回転の動力が、角速度の等速状態で1回転の動力として伝動軸48に伝達される。
【0066】
不等速ギヤ59,61は、楕円ギヤ、偏芯ギヤ又は非円形ギヤである。これにより、変速部材62を不等速ギヤ61のうちの一つに係合させると、伝動軸49の1回転の動力が1回転の動力として伝動軸48に伝達されるのであるが、1回転のうち角速度が高低に変化する。
【0067】
(無段変速装置を操作する操作機構の配置)
図6及び図7に示すように、フロア88(図1及び図2参照)の下側において、機体11に連結されたフレーム67が、平面視で無段変速装置45と重複するように無段変速装置45の上側に配置されており、フレーム67のブラケット67aに操作機構74が連結されている。
【0068】
無段変速装置45の斜板(図示せず)を操作する操作軸45c(トラニオン軸)(操作部に相当)が、無段変速装置45の上面部の前部から上側に突出しており、操作軸45cは上下方向の第1軸芯P1周りに回転自在である。
【0069】
後述する(操作機構の構成)に記載のように、操作機構74と無段変速装置45の操作軸45cとが接続されて、操作機構74により無段変速装置45の操作軸45cが第1軸芯P1周りに回転操作される。
【0070】
これにより、操作機構74が、フロア88(図1及び図2参照)の下側に配置され、上下方向において無段変速装置45よりも高い位置に備えられた状態となっている。操作機構74が、平面視でミッションケース20及び無段変速装置45の両方と重複するように配置された状態となっている。
【0071】
(操作機構の構成)
図6及び図7に示すように、平板状の基板75が備えられている。基板75に、円筒状のボス部75a、及びチャンネル状に折り曲げられた連結部75bが連結されており、基板75の端部が折り曲げられ延出されて、支持部75cが形成されている。基板75の連結部75bが、フレーム67のブラケット67aにボルト連結されている。
【0072】
平面視で小さな扇形状の操作アーム76が備えられており、操作アーム76の端部にギヤ歯76aが形成されている。操作アーム76に連結された支持軸76bが、基板75のボス部75aに回転自在に支持されて、操作アーム76が基板75のボス部75aに、上下方向の第2軸芯P2周りに揺動自在に支持されている。
【0073】
ギヤケース77が基板75の支持部75cの下面部にボルト連結されており、ギヤケース77のピニオンギヤ77aが、操作アーム76のギヤ歯76aに咬合している。ギヤケース77に、電動モータ78(アクチュエータに相当)が連結されており、電動モータ78の動力により、ギヤケース77の内部のウォームギヤ機構(図示せず)を介して、ギヤケース77のピニオンギヤ77aが回転駆動される。
【0074】
無段変速装置45の操作軸45cにアーム45dが連結されており、操作アーム76の上面部と、無段変速装置45のアーム45dの上面部とに亘って、連係部材79が接続されている。連係部材79は、ロッド状であり、ボルト及びナットにより長さ調節自在である。
【0075】
操作機構74の操作アーム76と、無段変速装置45のアーム45dとが、上下方向(側面視)で略同じ高さに配置されている。これにより、連係部材79が、無段変速装置45の操作軸45c(アーム45d)から、側面視で略水平な状態で延出されて、操作機構74の操作アーム76に接続されている。
【0076】
チャンネル状の支持部材80が、基板75のボス部75aを跨ぐように、基板75に連結されており、支持部材80の上面部に、ポテンショメータ型式の角度センサー81が取り付けられている。角度センサー81の検出軸81aが、操作アーム76の支持軸76bの上端部に挿入されて接続されている。
【0077】
以上の構成により、操作機構74は、基板75、操作アーム76、ギヤケース77、電動モータ78、支持部材80及び角度センサー81等を備えている。
【0078】
操作機構74において、電動モータ78によりギヤケース77のピニオンギヤ77aが回転駆動されると、操作アーム76が第2軸芯P2周りに揺動操作され、連係部材79を介して、無段変速装置45の操作軸45c(アーム45d)が第1軸芯P1周りに回転操作されて、無段変速装置45が操作される。
角度センサー81により操作アーム76の角度を検出することによって、無段変速装置45の変速位置が検出される。
【0079】
(無段変速装置を操作する制御系の構成)
図5に示すように、機体11に制御装置63が備えられている。設定株間L1を設定する設定部64が運転座席13又は操縦ハンドル14の近傍に備えられて、設定部64の操作信号が制御装置63に入力されている。
【0080】
設定部64は作業者が人為的に操作する操作レバーの型式であり、最大間隔L11と最小間隔L12との間において、作業者が、設定株間L1を無段階に任意に設定(選択)することができる。
【0081】
図4及び図5に示すように、伝動軸47の伝動ギヤ47aに対して、ピックアップセンサー型式の作業回転数検出部65が備えられており、作業回転数検出部65の検出値が制御装置63に入力されている。
【0082】
これにより、不等速変速装置52の上流側において、無段変速装置45と不等速変速装置52との間の伝動系(無段変速装置45の出力軸45b)の回転数が、作業回転数検出部65によって検出されて、制御装置63に入力される。
【0083】
図3及び図5に示すように、伝動ギヤ38に対して、ピックアップセンサー型式の走行回転数検出部66が備えられており、走行回転数検出部66の検出値が制御装置63に入力されている。これにより、走行回転数検出部66によって、前輪1及び後輪2の回転数が検出されて制御装置63に入力される。
【0084】
制御装置63に、スリップ率検出部68、制御部69、タイマー70、第1走行距離検出部71、第2走行距離検出部72、供給間隔検出部73が、ソフトウェアとして備えられている。
【0085】
(スリップ率の検出)
水田において植付作業を行う場合、前輪1及び後輪2にスリップが発生するので、スリップ率検出部68において、以下説明のようにスリップ率が検出される。
【0086】
この場合、前輪1及び後輪2のスリップが発生した状態とは、前輪1及び後輪2が空転するような状態となり、前輪1及び後輪2が回転している割に、機体11が前進していない状態である。
【0087】
植付作業において、ある第1時点と、第1時点から設定時間が経過した次の第2時点とが、タイマー70により検出される。
第1時点から第2時点において、計測装置18及び慣性計測装置19による機体11の位置及び機体11の方位の検出に基づいて、第1走行距離検出部71により、機体11の実際の走行距離が検出される。この場合、第1走行距離検出部71の検出値には、前輪1及び後輪2のスリップが含まれている。
【0088】
第1時点から第2時点において、前輪1及び後輪2の外径と、走行回転数検出部66の検出値(前輪1及び後輪2の回転数)とによって、第2走行距離検出部72により、機体11の走行距離が検出(演算)される。この場合に、第2走行距離検出部72の検出値には、前輪1及び後輪2のスリップは含まれていない。
【0089】
スリップ率検出部68により、第1走行距離検出部71の検出値と、第2走行距離検出部72の検出値とが比較される。
前輪1及び後輪2のスリップが発生していると、第1走行距離検出部71の検出値が、第2走行距離検出部72の検出値よりも小さくなるのであり、第1走行距離検出部71及び第2走行距離検出部72の検出値の差が大きくなるほど、前輪1及び後輪2のスリップが多く発生していると判断できる。
【0090】
これにより、第1走行距離検出部71の検出値と、第2走行距離検出部72の検出値とに基づいて、スリップ率検出部68によりスリップ率が検出される。
第1時点から第2時点までのスリップ率が検出されると、第2時点から設定時間が経過した次の第3時点までのスリップ率が検出されるのであり、スリップ率の検出が連続的に繰り返して行われる。
【0091】
(植付作業の開始時における株間の設定)
水田において植付作業を行う場合、以下のような操作が行われる。
植付作業の開始時において、前述の(無段変速装置を操作する制御系の構成)に記載のように、作業者は、設定部64により設定株間L1を設定(選択)する。
【0092】
設定部64により株間L1が設定された状態において、植付作業を開始すると、設定株間L1に対応して、制御部69から操作機構74(電動モータ78)に操作信号が出力され、操作機構74(電動モータ78)により、角度センサー81の検出値に基づいて無段変速装置45が操作される。
【0093】
この段階では、前輪1及び後輪2のスリップは考慮されていないので、無段変速装置45の変速位置は一義的に決まるのであり、設定株間L1に対応した変速位置に、無段変速装置45が操作される。
【0094】
無段変速装置45では作動油のリークが生じることがあるので、無段変速装置45の出力軸45bの回転数が、設定株間L1に対応する変速位置での回転数よりも少し低速になり、この分だけ実際の株間L(供給間隔に相当)は、設定株間L1よりも少し大きくなることがある。
【0095】
この場合、作業回転数検出部65の検出値(無段変速装置45の出力軸45bの回転数)に基づいて、無段変速装置45の出力軸45bの回転数が、設定株間L1に対応する回転数となるように、無段変速装置45が、設定株間L1に対応する変速位置から、操作機構74(電動モータ78)により微調節される。
【0096】
(植付作業においてスリップ率の検出に基づく株間の調節)
植付作業の進行に伴って、スリップ率検出部68によりスリップ率が検出されるのに伴って、実際の株間Lが設定株間L1となるように、無段変速装置45が以下の説明のように自動的に操作される。
【0097】
前項の(植付作業の開始時における株間の設定)に記載のように、無段変速装置45が設定株間L1に対応する変速位置に操作された状態において、植付作業の進行に伴って、前項の(スリップ率の検出)に記載のように、スリップ率検出部68によりスリップ率が検出される。
【0098】
作業回転数検出部65の検出値(無段変速装置45の出力軸45bの回転数)と、走行回転数検出部66の検出値(前輪1及び後輪2の回転数)とに基づいて、供給間隔検出部73により、実際の株間Lが検出される。
具体的は、スリップ率に相当する長さが演算されて、設定株間L1からスリップに相当する長さが差し引かれて、実際の株間Lが検出される。
【0099】
これにより、供給間隔検出部73により検出される実際の株間Lが設定株間L1となるように、制御部69から操作機構74(電動モータ78)に操作信号が出力され、操作機構74(電動モータ78)により無段変速装置45が操作される。
【0100】
(設定株間に基づく不等速変速装置の操作)
設定部64により設定された設定株間L1が特に大きなものではない場合や、特に小さなものではない場合、作業者は、不等速変速装置52において、等速ギヤ58,60による動力が伝達される状態を設定しておけばよい。
【0101】
設定部64により設定された設定株間L1が特に大きなものである場合や、特に小さなものである場合、作業者は、不等速変速装置52において変速部材62をスライド操作して、不等速ギヤ59,61のうち、設定部64により設定された設定株間L1に適した不等速ギヤ59,61を選択すればよい(伝動軸48に連結状態とすればよい)。
【0102】
設定部64により設定された設定株間L1が特に大きなものである場合、回転ケース7の回転速度が低速になり過ぎる。
これにより、植付アーム8による苗のせ台10からの苗Aの取り出しから、植付アーム8による苗Aの田面Gへの植え付けまでの領域において、不等速変速装置52により、回転ケース7の回転速度を少し高速にすることができ、苗Aが田面Gに適切に植え付けられるようにすることができる。
【0103】
設定部64により設定された設定株間L1が特に小さなものである場合、回転ケース7の回転速度が高速になり過ぎる。
これにより、植付アーム8による苗のせ台10からの苗Aの取り出しから、植付アーム8による苗Aの田面Gへの植え付けまでの領域において、不等速変速装置52により、回転ケース7の回転速度を少し低速にすることができ、苗Aが田面Gに適切に植え付けられるようにすることができる。
【0104】
(苗のせ台を往復横送りの一方の端部に自動的に停止させる構成)
例えば1日の植付作業の開始時等のように、苗のせ台10に苗Aが全く載置されていない状態において、苗のせ台10に苗Aを補給する場合、苗のせ台10を往復横送りの一方の端部に停止させた状態で、苗のせ台10に苗Aを補給する。
【0105】
図5に示すように、苗のせ台10を往復横送りの一方の端部に自動的に移動させて停止させる端部停止部82が、制御装置63にソフトウェアとして備えられている。端部停止部82の起動用の起動スイッチ83が備えられており、起動スイッチ83の操作信号が制御装置63に入力される。
【0106】
エンジン23の回転数を検出するエンジン回転数検出部84、及び、無段変速装置24(変速レバー)の変速位置を検出する変速位置検出部85が備えられており、エンジン回転数検出部84の検出値、及び、変速位置検出部85の検出値が、制御装置63に入力される。
以上の構成により、作業者が起動スイッチ83を操作すると、端部停止部82により、以下に説明するような操作が行われる。
【0107】
起動スイッチ83が操作されると、エンジン回転数検出部84の検出値及び変速位置検出部85の検出値により、無段変速装置45の入力軸45aに伝達される動力の回転数が検出される。
【0108】
無段変速装置45の入力軸45aに伝達される動力の回転数に基づいて、操作機構74(電動モータ78)により無段変速装置45が操作されて、作業回転数検出部65の検出値(無段変速装置45の出力軸45bの回転数)が、事前に設定された低速の回転数に維持される。
【0109】
前述の状態で植付クラッチ56が伝動状態に操作されて、苗のせ台10が低速で横送り駆動されるのであり、苗のせ台10が往復横送りの一方の端部に達すると、植付クラッチ56が遮断状態に操作されて、苗のせ台10が往復横送りの一方の端部で停止する。
【0110】
(発明の実施の第1別形態)
操作機構74を、以下の説明のように構成してもよい。
図8及び図9に示すように、操作機構74において、図6及び図7と同様な基板75、操作アーム76、ギヤケース77、電動モータ78、支持部材80及び角度センサー81等が備えられている。
図6及び図7に示す操作機構74と、本項の(発明の実施の第1別形態)の操作機構74とにおいて、異なる点を以下に説明する。
【0111】
図8及び図9に示すように、基板75の連結部75b(図6及び図7参照)は備えられておらず、基板75(支持部75c)の端部が折り曲げられて、連結部75dが形成されている。
【0112】
フロア88(図1及び図2参照)の下側において、機体11に連結されたフレーム86が無段変速装置45の後側に配置されて、基板75の連結部75dがフレーム86にボルト連結されており、操作機構74が、無段変速装置45の後側に配置されている。
【0113】
支持部材80が基板75の下面部に連結されており、支持部材80の下面部に角度センサー81が取り付けられている。角度センサー81の検出軸81aが、操作アーム76の支持軸76bの下端部に挿入されて接続されている。
【0114】
操作機構74の操作アーム76が、無段変速装置45のアーム45dに対して、上下方向(側面視)で少し高い位置に配置されており、操作機構74の操作アーム76の下面部と、無段変速装置45のアーム45dの上面部とに亘って、連係部材79が接続されている。これにより、連係部材79が、無段変速装置45の操作軸45c(アーム45d)から、側面視で略水平な状態で延出されて、操作機構74の操作アーム76に接続されている。
【0115】
以上の構成により、操作機構74が、フロア88(図1及び図2参照)の下側に配置されている。
操作機構74の上面部(基板75の支持部75cの上面部)が、上下方向において無段変速装置45の上面部よりも高い位置に位置し、操作機構74の下面部(角度センサー81の下面部)が、上下方向において無段変速装置45の下面部よりも高い位置に位置しており、操作機構74が、上下方向において無段変速装置45よりも高い位置に備えられた状態となっている。
【0116】
(発明の実施の第2別形態)
操作機構74を、以下の説明のように構成してもよい。
図10及び図11に示すように、操作機構74において、図6及び図7と同様な基板75、操作アーム76、ギヤケース77、電動モータ78、支持部材80及び角度センサー81等が備えられている。
図6及び図7に示す操作機構74と、本項の(発明の実施の第2別形態)の操作機構74とにおいて、異なる点を以下に説明する。
【0117】
図10及び図11に示すように、基板75の連結部75b(図6及び図7参照)は備えられておらず、基板75(支持部75c)の4箇所に、連結部75eが形成されている。
フロア88(図1及び図2参照)の下側において、機体11に連結されたフレーム87が無段変速装置45の後側に配置されて、基板75の連結部75eがフレーム87にボルト連結されており、操作機構74が、無段変速装置45の後側に配置されている。
【0118】
操作アーム76が平面視で扇形状に形成され、支持軸76bが操作アーム76に上向きに連結されている。操作アーム76が基板75の下側に配置されて、操作アーム76の支持軸76bが、基板75のボス部75aに上下方向の第2軸芯P2周りに揺動自在に支持されている。
基板75の支持部75cの上面部にギヤケース77がボルト連結されて、ギヤケース77のピニオンギヤ77aが、操作アーム76のギヤ歯76aに咬合している。
【0119】
支持部材80が基板75の下面部に連結されており、支持部材80の下面部に角度センサー81が取り付けられている。角度センサー81の検出軸81aが、操作アーム76の支持軸76bの下端部に挿入されて接続されている。
【0120】
操作アーム76の上面部に、接続ピン76cが上向きに固定されている。連係部材79の端部にボス部79aが連結されて、連係部材79のボス部79aが操作アーム76の接続ピン76cに回転自在に外嵌されており、連係部材79の他方の端部が、無段変速装置45のアーム45dの上面部に接続されている。これにより、連係部材79が、無段変速装置45の操作軸45c(アーム45d)から、側面視で略水平な状態で延出されて、操作機構74の操作アーム76に接続されている。
【0121】
以上の構成により、操作機構74が、フロア88(図1及び図2参照)の下側に配置されている。
操作機構74の上面部(ギヤケース77の上面部、操作アーム76の接続ピン76cの上端部)が、上下方向において無段変速装置45の上面部よりも高い位置に位置し、操作機構74の下面部(角度センサー81の下面部)が、上下方向において無段変速装置45の下面部よりも高い位置に位置しており、操作機構74が、上下方向において無段変速装置45よりも高い位置に備えられた状態となっている。
【0122】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(植付作業の開始時における株間の設定)において、無段変速装置45の作動油のリークに基づいて、無段変速装置45を、設定株間L1に対応する変速位置に操作された状態で操作機構74(電動モータ78)により微調節する操作を、行わなくてもよい。
【0123】
このように構成すると、前述の(植付作業においてスリップ率の検出に基づく株間の調節)において、供給間隔検出部73により実際の株間Lが検出されると、無段変速装置45の作動油のリーク、及び、前輪1及び後輪2のスリップの両方が考慮された状態で、供給間隔検出部73により実際の株間Lが検出される。
【0124】
この場合、無段変速装置45の作動油のリークが小さく、前輪1及び後輪2のスリップが大きい場合、設定部64により設定された設定株間L1よりも、実際の株間Lが小さくなることがある。
逆に無段変速装置45の作動油のリークが大きく、前輪1及び後輪2のスリップが小さい場合、設定部64により設定された設定株間L1よりも、実際の株間Lが大きくなることがある。
【0125】
(発明の実施の第4別形態)
計測装置18及び慣性計測装置19を廃止してもよい。
この構成において、第1走行距離検出部71により機体11の実際の走行距離を検出する場合、マーカー12の回転体12aに回転数センサー(図示せず)を設け、機体11の走行に伴って、マーカー12の回転体12aが田面Gに接地して回転する際の回転数を検出することにより、機体11の実際の走行距離を検出すればよい。
【0126】
マーカー12の回転体12aに代えて、田面Gに接地して回転する専用の回転体(図示せず)を、機体11や苗植付装置5に設けて、この回転体の回転数を検出するように構成してもよい。
【0127】
(発明の実施の第5別形態)
設定部64において、設定株間L1を無段階に設定(選択)するように構成するのではなく、少しずつ異なる多数の設定株間L1を設定して、多数の設定株間L1のうちの一つを設定部64により設定(選択)するように構成してもよい。
【0128】
(発明の実施の第6別形態)
作業者が不等速変速装置52を手動で操作するのではなく、設定部64による設定株間L1の設定(選択)に基づいて、不等速変速装置52が適切な操作位置に自動的に操作されるように構成してもよい。
【0129】
(発明の実施の第7別形態)
ミッションケース20において、ミッションケース20の右の横側部に、無段変速装置24を設け、ミッションケース20の左の横側部に、無段変速装置45を設けてもよい。
【0130】
無段変速装置24に代えて、ギヤ変速型式の複数段の変速位置を備えた変速装置(図示せず)を設けてもよい。静油圧型式の無段変速装置45に代えて、ベルト無段型式の無段変速装置45を設けてもよい。
【0131】
ミッションケース20の内部において、伝動軸28,29,47,48,49等を、左右方向ではなく前後方向に配置するように構成してもよい。
エンジン23に代えて、電動モータ(図示せず)を原動部として使用してもよい。
【0132】
(発明の実施の第8別形態)
操作機構74において電動モータ78を廃止して、作業者が操作する手動の操作レバー(図示せず)により、操作機構74(操作アーム76)が操作されるように構成してもよい。
【0133】
図6及び図7に示す操作機構74において、平面視でミッションケース20と重複し、無段変速装置45とは重複しないように構成してもよい。逆に、操作機構74が、平面視でミッションケース20とは重複せず、無段変速装置45と重複するように構成してもよい。
【0134】
図6及び図7に示す操作機構74において、操作アーム76を廃止して、ギヤケース77のピニオンギヤ77aにより、無段変速装置45の操作軸45cを直接に回転操作するように構成してもよい。ギヤケース77の出力軸(図示せず)を、無段変速装置45の操作軸45cに同芯状に接続して、ギヤケース77の出力軸(図示せず)により、無段変速装置45の操作軸45cを回転操作するように構成してもよい。
【0135】
無段変速装置45において、操作軸45c(操作部)を、無段変速装置45の下面部に下向き(又は横面部に横向き)に設け、操作機構74を無段変速装置45の下側部又は横側部に設けてもよい。
【0136】
(発明の実施の第9別形態)
例えば一つの水田において、使用される苗Aの総量が決まっている場合、この総量に相当する苗Aを過不足なく田面Gに植え付けるように、実際の株間Lを微調節するという操作を行うことが可能である。
【0137】
前述の作業を行う場合、水田の面積のデータや、機体11をどのような経路で走行させて植付作業を行うかという植付行程のデータを事前に取得しておくと、これらのデータと苗Aの総量とにより、必要な株間Lが演算される。
【0138】
これにより、作業者が設定部64により設定株間L1を設定(選択)した場合、設定部64により設定された設定株間L1が、前述の必要な株間Lから大きく外れていると、必要な株間Lに近い設定株間L1を設定部64により設定するべきことが、作業者に報知される(作業者への注意喚起及び誤解防止の為)。
前述の状態で植付作業を開始すると、実際の株間Lが、前述の必要な株間Lとなるように、無段変速装置45が自動的に操作される。
【0139】
(発明の実施の第10別形態)
例えば一つの水田を小さな領域に区分し、水田の領域の各々において、前年度の稲の生育状態や収穫量が、データとして蓄積されていることがある。
前述の状態において、同じ水田での次年度の植付作業を行う場合、計測装置18及び慣性計測装置19の検出に基づいて、水田の領域の各々において適した実際の株間Lで、植付作業が行われるように、無段変速装置45を自動的に操作することも可能である。
【0140】
(発明の実施の第11別形態)
作業装置を、機体11の走行方向F1に沿って事前に設定された供給間隔L,L1で、種子(農用資材に相当)を圃場に間欠的に供給したり、種子を圃場に連続的に供給したりする播種装置(図示せず)とすることにより、作業機を水田用又は畑作用の乗用型播種機としてもよい。
【0141】
作業装置を、機体11の走行方向F1に沿って事前に設定された供給間隔L,L1で、肥料(農用資材に相当)を圃場に間欠的に供給したり、肥料を圃場に連続的に供給したりする肥料供給装置(図示せず)とすることにより、作業機を水田用又は畑作用の作業機としてもよい。
【0142】
作業装置を、機体11の走行方向F1に沿って事前に設定された供給間隔L,L1で、薬剤(農用資材に相当)を圃場に間欠的に供給したり、薬剤を圃場に連続的に供給したりする薬剤供給装置(図示せず)とすることにより、作業機を水田用又は畑作用の作業機としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、苗や種子、肥料や薬剤等の農用資材を圃場に供給する作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0144】
1 前輪(車輪)
2 後輪(車輪)
5 苗植付装置(作業装置)
11 機体
20 ミッションケース
23 エンジン(原動部)
24 無段変速装置(変速装置)
45 無段変速装置
45c 操作軸(操作部)
74 操作機構
76 操作アーム
78 電動モータ(アクチュエータ)
79 連係部材
A 苗(農用資材)
F1 走行方向
G 田面(圃場)
L 株間(供給間隔)
L1 設定株間(供給間隔)
P1 第1軸芯
P2 第3軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸を有し、前記入力軸に入力された作業伝動系の動力を変速する無段変速装置と、
機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、
前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、
前記無段変速装置が、当該無段変速装置を操作する操作部を有し、
前記無段変速装置と別体であり、前記操作部を操作するアクチュエータを有し、
前記無段変速装置の速度の検出を行う角度センサーを有し、
前記アクチュエータは、前記角度センサーの検出値に基づいて前記操作部を操作することによって前記無段変速装置を操作する作業機。
【請求項2】
前記アクチュエータによって操作されて前記操作部を操作する操作機構を有し、
前記角度センサーは、平面視において前記操作機構と重複している請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記操作機構に前記アクチュエータによって揺動操作される操作アームが備えられ、
前記角度センサーの検出軸が前記操作アームの支持軸の上端部に接続されている請求項2に記載の作業機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗(農用資材に相当)を圃場に植え付ける乗用型田植機や、種子(農用資材に相当)を圃場に供給する乗用型播種機、肥料や薬剤等(農用資材に相当)を圃場に供給する乗用型作業機等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例である乗用型田植機において、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。特許文献1では、エンジン(原動部に相当)の動力が変速装置に伝達され、変速装置の動力が並列的に分岐されて、走行用の車輪及び苗植付装置(作業装置に相当)に伝達されている。
【0003】
これにより、機体の走行方向に沿って事前に設定された株間(供給間隔に相当)で、苗植付装置により苗が田面に植え付けられるのであり、変速装置が操作されて機体の走行速度が変化しても、苗植付装置に伝達される動力が変速装置の動力であるので、苗植付装置による株間は一定間隔に維持される。
【0004】
特許文献1では、変速装置の動力が、株間変速装置を通って苗植付装置に伝達されており、株間変速装置を操作することによって、苗植付装置による株間を所望の間隔に設定することができる。株間を変更することにより、植え付けられる苗の供給量(一つの水田において植え付けられる苗の総量や、単位走行距離当たりの苗の使用量等)を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-70653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、株間変速装置が、ギヤ変速型式の複数段の変速位置を備えた変速装置である。近年では、圃場や農用資材の状態等に応じて、農用資材の供給間隔や供給量(一つの圃場において供給される農用資材の総量や、単位走行距離当たりの農用資材の使用量等)を適切に設定したいという要望が高まっている。
【0007】
本発明は、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置を備えた作業機において、農用資材の供給間隔や供給量を適切に設定することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業機は、入力軸を有し、前記入力軸に入力された作業伝動系の動力を変速する無段変速装置と、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置と、が備えられ、前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、前記無段変速装置が、当該無段変速装置を操作する操作部を有し、前記無段変速装置と別体であり、前記操作部を操作するアクチュエータを有し、前記無段変速装置の速度の検出を行う角度センサーを有し、前記アクチュエータは、前記角度センサーの検出値に基づいて前記操作部を操作することによって前記無段変速装置を操作する
本発明において、
前記アクチュエータによって操作されて前記操作部を操作する操作機構を有し、前記角度センサーは、平面視において前記操作機構と重複していると好適である。
本発明において、
前記操作機構に前記アクチュエータによって揺動操作される操作アームが備えられ、前記角度センサーの検出軸が前記操作アームの支持軸の上端部に接続されていると好適である。
本発明の作業機は、入力軸を有し、前記入力軸に入力された作業伝動系の動力を変速する無段変速装置と、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、前記無段変速装置が、当該無段変速装置を操作する操作部を有し、前記操作部が、前記入力軸に対して垂直状に設けられている。
また、本発明の作業機は、原動部の動力が伝達される変速装置と、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、前記変速装置の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、前記走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、前記無段変速装置を操作する操作部が、平面視で、前記無段変速装置と重複する位置に備えられている。
また、本発明の作業機は、原動部の動力が伝達される変速装置と、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場に供給する作業装置とが備えられ、前記変速装置の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、前記走行伝動系の動力が走行用の車輪に伝達され、前記作業伝動系の動力が無段変速装置を通って前記作業装置に伝達され、前記無段変速装置を操作する操作部が、前記無段変速装置の上面部に備えられて、前記操作部を操作する操作機構が、上下方向において前記無段変速装置よりも高い位置に備えられている。
【0009】
本発明によると、作業伝動系の動力が無段変速装置を通って作業装置に伝達されるのであり、無段変速装置を操作することにより、無段変速装置の最高速位置と最低速位置との間において、多くの供給間隔や供給量(一つの圃場において供給される農用資材の総量や、単位走行距離当たりの農用資材の使用量等)を設定することができる。
これにより、圃場や農用資材の状態等に応じて、供給間隔や供給量を細かく適切に設定することができるようになって、作業機の作業精度を向上させることができる。
【0010】
前述の無段変速装置を操作する操作機構を備える場合、本発明によると、無段変速装置を操作する操作部が無段変速装置の上面部に備えられて、操作部を操作する操作機構が上下方向において無段変速装置よりも高い位置に備えられている。
これにより、操作機構及び無段変速装置の操作部が、圃場から高い位置に配置されるので、走行用の車輪等により圃場の泥等が飛ばされても、泥等が操作機構や無段変速装置の操作部に付着する可能性は低いものとなり、泥等の付着による操作機構の作動不良や無段変速装置の操作部の作動不良を少なくすることができる。
【0011】
本発明において、
ミッションケースの右又は左の一方の横側部に、前記無段変速装置が設けられ、
前記操作機構が、平面視で前記ミッションケース又は前記無段変速装置と重複するように配置されていると好適である。
【0012】
本発明によると、操作機構の下側にミッションケース又は無段変速装置が位置することになるので、走行用の車輪等により圃場の泥等が飛ばされても、泥等がミッションケース又は無段変速装置に遮られる状態となり易いので、泥等が操作機構に付着する可能性が低いものとなる。
【0013】
本発明において、
前記操作機構が、前記無段変速装置の後側に配置されていると好適である。
【0014】
本発明によると、操作機構が上下方向において無段変速装置よりも高い位置に備えられた状態を維持しながら、操作機構の位置を下げても、操作機構の下部が無段変速装置の上部に干渉することはない。
これにより、例えばフロア等を操作機構の上側に配置する場合、前述のように操作機構の位置を下げることにより、フロア等の位置も下げることができるのであり、フロア等の位置が必要以上に高くなることはなく、操作機構との干渉を避ける改造をフロア等に施す必要が少なくなる。
【0015】
本発明において、
ミッションケースの右又は左の一方の横側部に、前記無段変速装置が設けられ、
前記ミッションケースの右又は左の他方の横側部に、前記変速装置が設けられていると好適である。
【0016】
変速装置及び無段変速装置を備える場合、本発明によると、ミッションケースの右及び左の横側部に、変速装置及び無段変速装置が振り分けて設けられるので、作業機の左右の重量バランスを良いものにすることができる。
【0017】
本発明において、
前記操作部が、前記無段変速装置の上面部から上側に突出して、上下方向の第1軸芯周りに回転操作される操作軸であり、
前記操作機構の上下方向の第2軸芯周りに揺動自在に支持されて前記操作機構により揺動操作される操作アームと、
前記操作軸から水平方向に沿って延出されて前記操作アームに接続された連係部材とが備えられて、
前記操作機構により、前記操作アームが揺動操作され、前記連係部材を介して前記操作軸が回転操作されると好適である。
【0018】
無段変速装置の操作軸と操作機構の操作アームとを、連係部材によって接続して、操作機構により無段変速装置の操作軸を操作するように構成する場合、本発明によると、無段変速装置の操作軸と、操作機構の操作アームとを、上下方向において略同じ高さに配置することができるので、操作機構の操作アームの作動が、連係部材を介して無駄なく無段変速装置の操作軸に伝達されて、無段変速装置の操作軸が無理なく操作される。
【0019】
本発明において、
前記操作機構に、前記操作部を操作する操作力を発生させるアクチュエータが設けられていると好適である。
【0020】
本発明によると、アクチュエータにより無段変速装置の操作部が操作されるので、無段変速装置の操作部を楽に操作することができる。
無段変速装置において各種の制御を行う場合、アクチュエータにより無段変速装置の操作部を制御に沿って操作することが容易に行えるようになる。
【0021】
本発明において、
前記無段変速装置が、静油圧式の無段変速装置であると好適である。
【0022】
本発明によると、無段変速装置が静油圧式の無段変速装置であるので、静油圧式の無段変速装置を操作することによって、作業装置に伝達される動力を少しだけ高速側に変速したり、少しだけ低速側に変速したりというような、細かな変速を無理なく行うことができる。
【0023】
本発明において、
前記作業装置が、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、苗を圃場に間欠的に植え付ける苗植付装置であると好適である。
【0024】
作業機である乗用型田植機では、苗植付装置(作業装置に相当)により、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、苗(農用資材に相当)を圃場に間欠的に植え付ける。
【0025】
本発明によると、作業機である乗用型田植機において、無段変速装置を介して苗植付装置に動力を伝達することにより、無段変速装置によって苗の供給間隔や供給量を細かく適切に設定することができる。
【0026】
本発明において、
前記作業装置が、機体の走行方向に沿って種子を圃場に供給する播種装置であると好適である。
【0027】
作業機である乗用型播種機では、播種装置(作業装置に相当)により、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、種子(農用資材に相当)を圃場に間欠的に供給したり、種子を圃場に連続的に供給したりする。
【0028】
本発明によると、作業機である乗用型播種機において、無段変速装置を介して播種装置に動力を伝達することにより、無段変速装置によって種子の供給間隔や供給量を細かく適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】乗用型田植機の側面図である。
図2】乗用型田植機の平面図である。
図3】ミッションケースにおいて走行伝動系の付近を示す横断平面図である。
図4】ミッションケースにおいて作業伝動系の付近を示す横断平面図である。
図5】制御装置と各部との連係状態を示す図である。
図6】無段変速装置及び操作機構の付近の平面図である。
図7図6のVII方向から視た断面図である。
図8】発明の実施の第1別形態において、無段変速装置及び操作機構の付近の平面図である。
図9】発明の実施の第1別形態において、操作機構の縦断側面図である。
図10】発明の実施の第2別形態において、無段変速装置及び操作機構の付近の平面図である。
図11】発明の実施の第2別形態において、無段変速装置及び操作機構の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態において、圃場(水田)で植付作業を行う作業機の一例である乗用型田植機が示されている。
図1図11において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示している。Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0031】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1(走行用の車輪に相当)と、右及び左の後輪2(走行用の車輪に相当)とを備えた機体11の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
【0032】
苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右側部及び左側部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、フロート9及び苗のせ台10等を備えている。
【0033】
右及び左のマーカー12が、苗植付装置5の右及び左の横側部に備えられている。マーカー12は、田面G(図5参照)に接地する作用姿勢(図1参照)、及び田面Gから上方に離れた格納姿勢に変更自在であり、マーカー12の先端部に回転体12aが回転自在に支持されている。マーカー12の作用姿勢において、マーカー12の回転体12aが田面Gに接地するのであり、機体11の走行に伴ってマーカー12の回転体12aが、回転しながら田面Gに指標を形成する。
【0034】
(運転部の付近の構成)
図1及び図2に示すように、機体11に、運転座席13、及び前輪1を操向操作する操縦ハンドル14が備えられている。
【0035】
機体11の前部の右部及び左部に右及び左の支持フレーム16が備えられており、支持フレーム16に予備苗のせ台15が支持されている。右及び左の支持フレーム16の上部に亘って、支持フレーム17が連結されている。
【0036】
支持フレーム17において、平面視で機体11の左右中央CLに位置する部分に、計測装置18が取り付けられている。計測装置18に、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、機体11の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、計測装置18は機体11の位置を示す測位データを出力する。
【0037】
右及び左の後輪2を支持する後車軸ケース22において、平面視で機体11の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置19が取り付けられている。慣性計測装置19及び計測装置18の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0038】
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)がある。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(機体11)が備える受信装置を使用して、計測装置18の受信装置の位置を計測するものである。
【0039】
慣性計測装置19は、機体11のヨー角度の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置19により計測される慣性情報に、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置18及び慣性計測装置19によって、機体11の位置及び機体11の方位が検出される。
【0040】
(ミッションケースの付近の構成)
図1に示すように、機体11の前部に、ミッションケース20が支持されており、ミッションケース20の右及び左の横側部に連結された前車軸ケース21に、右及び左の前輪1が支持されている。機体11の後部に、後車軸ケース22が支持されており、後車軸ケース22に右及び左の後輪2が支持されている。
【0041】
図1及び図3に示すように、ミッションケース20の前部に、エンジン23(原動部に相当)が支持されている。ミッションケース20の左の横側部に、静油圧型式の無段変速装置24(変速装置に相当)が連結されており、エンジン23の動力が伝動ベルト25を介して無段変速装置24の入力軸24aに伝達される。
【0042】
無段変速装置24は、中立位置、前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されており、操縦ハンドル14の左の横側に備えられた変速レバー30により、無段変速装置24を操作する。
【0043】
(前輪及び後輪への走行伝動系の構成)
図3に示すように、ミッションケース20の右の横側部に、ポンプ26が連結されており、ポンプ26は油圧シリンダ4に作動油を供給する。無段変速装置24の入力軸24aがミッションケース20に入り込んでおり、ポンプ26の入力軸26aと、無段変速装置24の入力軸24aとに亘って伝動軸27が連結されている。
【0044】
ミッションケース20の内部に、伝動軸28,29が左右方向に沿って支持されて、無段変速装置24の出力軸24bが伝動軸28の端部に連結されている。ミッションケース20の内部において、伝動軸28,29に亘って、ギヤ変速型式の副変速装置31が備えられている。
【0045】
副変速装置31は、伝動軸28に連結された低速ギヤ32及び高速ギヤ33、スプライン構造により伝動軸29に一体回転及びスライド自在に外嵌されたシフトギヤ34を備えている。運転座席13の近傍に備えられた副変速レバー(図示せず)により、シフトギヤ34をスライド操作することができる。
【0046】
副変速装置31において、シフトギヤ34を低速ギヤ32に咬合させると、伝動軸28の動力が低速状態で伝動軸29に伝達され、シフトギヤ34を高速ギヤ33に咬合させると、伝動軸28の動力が高速状態で伝動軸29に伝達される。
水田において植付作業を行う場合、副変速装置31を低速状態に操作するのであり、路上等において高速で走行する場合、副変速装置31を高速状態に操作する。
【0047】
右及び左の前輪1に動力を伝達する右及び左の前車軸35が、ミッションケース20及び前車軸ケース21に亘って支持されており、右及び左の前車軸35の間に、前輪デフ装置36が備えられている。伝動軸29に連結された伝動ギヤ37と、前輪デフ装置36のケース36aに連結された伝動ギヤ38とが咬合している。
【0048】
ミッションケース20の後部に出力軸39が前後方向に沿って支持されており、前輪デフ装置36のケース36aに連結されたベベルギヤ40と、出力軸39の前部に形成されたベベルギヤ39aとが咬合している。
【0049】
図1及び図3に示すように、出力軸39の後部に、伝動軸41が自在継手(図示せず)を介して連結されており、伝動軸41の後部が、自在継手(図示せず)を介して、後車軸ケース22の入力軸(図示せず)に連結されている。
【0050】
以上の構成により、無段変速装置24で変速された動力が、無段変速装置24の出力軸24bから、伝動軸28、副変速装置31、伝動軸29、伝動ギヤ37,38、前輪デフ装置36及び前車軸35を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
前輪デフ装置36に伝達された動力が、ベベルギヤ40、出力軸39(ベベルギヤ39a)、伝動軸41、後車軸ケース22の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
【0051】
出力軸39に、多板型式のブレーキ42が外嵌されており、図2に示すブレーキペダル43を踏み操作することにより、ブレーキ42を制動状態に操作することができる。ブレーキ42により出力軸39に制動を掛けることによって、前輪1及び後輪2に制動を掛けることができる。
【0052】
デフロック部材44が、キー構造により左の前車軸35に一体回転及びスライド自在に外嵌されている。運転座席13の下側に備えられたデフロックペダル(図示せず)を踏み操作することにより、デフロック部材44をスライド操作して前輪デフ装置36のケース36aに咬合させることによって、前輪デフ装置36をデフロック状態に操作することができる。
【0053】
以上の構成により、無段変速装置24(変速装置)の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、走行伝動系の動力が前輪1及び後輪2(走行用の車輪)に伝達される状態となっている。
【0054】
(苗植付装置への作業伝動系の構成)
図4に示すように、ミッションケース20の右の横側部に、静油圧型式の無段変速装置45が連結されており、無段変速装置45の入力軸45aと伝動軸28とが連結されている。無段変速装置45の入力軸45aがミッションケース20の反対側に突出しており、無段変速装置45に冷却風を送るファン46が、無段変速装置45の入力軸45aの突出部に連結されている。
【0055】
ミッションケース20の内部に、伝動軸47,48が左右方向に沿って支持されて、無段変速装置45の出力軸45bが伝動軸47の端部に連結されている。
【0056】
円筒状の伝動軸49が、ニードルベアリングを介して伝動軸47の外側に回転自在に外嵌され、2組のギヤを備えた伝動ギヤ50が、ベアリングを介して伝動軸48の外側に回転自在に外嵌されている。伝動軸47に形成された伝動ギヤ47aと、伝動ギヤ50の大径ギヤ部分とが咬合し、伝動軸49に連結された伝動ギヤ51と、伝動ギヤ50の小径ギヤ部分とが咬合している。
【0057】
ミッションケース20の内部において、伝動軸48,49に亘って、ギヤ変速型式の不等速変速装置52が備えられており、伝動軸48にベベルギヤ53が連結されている。ミッションケース20の後部に出力軸54が前後方向に沿って支持され、ベベルギヤ55が出力軸54の前部に植付クラッチ56を介して外嵌されており、ベベルギヤ53,55が咬合している。
【0058】
図1及び図4に示すように、出力軸54の後部に、伝動軸57が自在継手(図示せず)を介して連結されており、伝動軸57の後部が、自在継手(図示せず)を介して、苗植付装置5の入力軸(図示せず)に連結されている。
【0059】
以上の構成により、無段変速装置24で変速された動力が、無段変速装置24の出力軸24bから、伝動軸28及び無段変速装置45の入力軸45aを介して、無段変速装置45に伝達される状態となっている。
【0060】
無段変速装置45で変速された動力が、無段変速装置45の出力軸45bから、伝動軸47(伝動ギヤ47a)、伝動ギヤ50,51、伝動軸49、不等速変速装置52、伝動軸48、ベベルギヤ53,55、植付クラッチ56、出力軸54、伝動軸57を介して、苗植付装置5に伝達される状態となっている。
【0061】
植付クラッチ56を伝動状態に操作すると、苗植付装置5に動力が伝達されて、苗植付装置5が作動する。
苗植付装置5が作動すると、図2に示すように、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図5の反時計方向に回転駆動され、2組の植付アーム8が、苗のせ台10の下部から交互に苗A(農用資材に相当)を取り出して田面Gに植え付ける。これにより、図5に示すように、機体11の走行方向F1に沿って、事前に設定された設定株間L1(供給間隔に相当)で、苗Aが田面Gに間欠的に植え付けられる。
植付クラッチ56を遮断状態に操作すると、苗植付装置5への動力が遮断されて、苗植付装置5が停止し、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
【0062】
以上の構成により、無段変速装置24(変速装置)の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、作業伝動系の動力が無段変速装置45及び不等速変速装置52を通って、苗植付装置5(作業装置)に伝達される状態となっている。
【0063】
(不等速変速装置の構成)
図4に示すように、不等速変速装置52は、伝動軸49に連結された等速ギヤ58及び不等速ギヤ59、伝動軸48に相対回転自在に外嵌された等速ギヤ60及び不等速ギヤ61を備えており、等速ギヤ58,60が咬合し、不等速ギヤ59,61が咬合している。
【0064】
キー状の変速部材62が伝動軸48の内部にスライド自在に支持されており、変速部材62をスライド操作して、等速ギヤ60及び不等速ギヤ61のうちの一つに係合させることにより、変速部材62を係合させた等速ギヤ60及び不等速ギヤ61を伝動軸48に連結状態とすることができる。
【0065】
等速ギヤ58,60は、円形ギヤで同径である。これにより、変速部材62を等速ギヤ60に係合させると、伝動軸49の1回転の動力が、角速度の等速状態で1回転の動力として伝動軸48に伝達される。
【0066】
不等速ギヤ59,61は、楕円ギヤ、偏芯ギヤ又は非円形ギヤである。これにより、変速部材62を不等速ギヤ61のうちの一つに係合させると、伝動軸49の1回転の動力が1回転の動力として伝動軸48に伝達されるのであるが、1回転のうち角速度が高低に変化する。
【0067】
(無段変速装置を操作する操作機構の配置)
図6及び図7に示すように、フロア88(図1及び図2参照)の下側において、機体11に連結されたフレーム67が、平面視で無段変速装置45と重複するように無段変速装置45の上側に配置されており、フレーム67のブラケット67aに操作機構74が連結されている。
【0068】
無段変速装置45の斜板(図示せず)を操作する操作軸45c(トラニオン軸)(操作部に相当)が、無段変速装置45の上面部の前部から上側に突出しており、操作軸45cは上下方向の第1軸芯P1周りに回転自在である。
【0069】
後述する(操作機構の構成)に記載のように、操作機構74と無段変速装置45の操作軸45cとが接続されて、操作機構74により無段変速装置45の操作軸45cが第1軸芯P1周りに回転操作される。
【0070】
これにより、操作機構74が、フロア88(図1及び図2参照)の下側に配置され、上下方向において無段変速装置45よりも高い位置に備えられた状態となっている。操作機構74が、平面視でミッションケース20及び無段変速装置45の両方と重複するように配置された状態となっている。
【0071】
(操作機構の構成)
図6及び図7に示すように、平板状の基板75が備えられている。基板75に、円筒状のボス部75a、及びチャンネル状に折り曲げられた連結部75bが連結されており、基板75の端部が折り曲げられ延出されて、支持部75cが形成されている。基板75の連結部75bが、フレーム67のブラケット67aにボルト連結されている。
【0072】
平面視で小さな扇形状の操作アーム76が備えられており、操作アーム76の端部にギヤ歯76aが形成されている。操作アーム76に連結された支持軸76bが、基板75のボス部75aに回転自在に支持されて、操作アーム76が基板75のボス部75aに、上下方向の第2軸芯P2周りに揺動自在に支持されている。
【0073】
ギヤケース77が基板75の支持部75cの下面部にボルト連結されており、ギヤケース77のピニオンギヤ77aが、操作アーム76のギヤ歯76aに咬合している。ギヤケース77に、電動モータ78(アクチュエータに相当)が連結されており、電動モータ78の動力により、ギヤケース77の内部のウォームギヤ機構(図示せず)を介して、ギヤケース77のピニオンギヤ77aが回転駆動される。
【0074】
無段変速装置45の操作軸45cにアーム45dが連結されており、操作アーム76の上面部と、無段変速装置45のアーム45dの上面部とに亘って、連係部材79が接続されている。連係部材79は、ロッド状であり、ボルト及びナットにより長さ調節自在である。
【0075】
操作機構74の操作アーム76と、無段変速装置45のアーム45dとが、上下方向(側面視)で略同じ高さに配置されている。これにより、連係部材79が、無段変速装置45の操作軸45c(アーム45d)から、側面視で略水平な状態で延出されて、操作機構74の操作アーム76に接続されている。
【0076】
チャンネル状の支持部材80が、基板75のボス部75aを跨ぐように、基板75に連結されており、支持部材80の上面部に、ポテンショメータ型式の角度センサー81が取り付けられている。角度センサー81の検出軸81aが、操作アーム76の支持軸76bの上端部に挿入されて接続されている。
【0077】
以上の構成により、操作機構74は、基板75、操作アーム76、ギヤケース77、電動モータ78、支持部材80及び角度センサー81等を備えている。
【0078】
操作機構74において、電動モータ78によりギヤケース77のピニオンギヤ77aが回転駆動されると、操作アーム76が第2軸芯P2周りに揺動操作され、連係部材79を介して、無段変速装置45の操作軸45c(アーム45d)が第1軸芯P1周りに回転操作されて、無段変速装置45が操作される。
角度センサー81により操作アーム76の角度を検出することによって、無段変速装置45の変速位置が検出される。
【0079】
(無段変速装置を操作する制御系の構成)
図5に示すように、機体11に制御装置63が備えられている。設定株間L1を設定する設定部64が運転座席13又は操縦ハンドル14の近傍に備えられて、設定部64の操作信号が制御装置63に入力されている。
【0080】
設定部64は作業者が人為的に操作する操作レバーの型式であり、最大間隔L11と最小間隔L12との間において、作業者が、設定株間L1を無段階に任意に設定(選択)することができる。
【0081】
図4及び図5に示すように、伝動軸47の伝動ギヤ47aに対して、ピックアップセンサー型式の作業回転数検出部65が備えられており、作業回転数検出部65の検出値が制御装置63に入力されている。
【0082】
これにより、不等速変速装置52の上流側において、無段変速装置45と不等速変速装置52との間の伝動系(無段変速装置45の出力軸45b)の回転数が、作業回転数検出部65によって検出されて、制御装置63に入力される。
【0083】
図3及び図5に示すように、伝動ギヤ38に対して、ピックアップセンサー型式の走行回転数検出部66が備えられており、走行回転数検出部66の検出値が制御装置63に入力されている。これにより、走行回転数検出部66によって、前輪1及び後輪2の回転数が検出されて制御装置63に入力される。
【0084】
制御装置63に、スリップ率検出部68、制御部69、タイマー70、第1走行距離検出部71、第2走行距離検出部72、供給間隔検出部73が、ソフトウェアとして備えられている。
【0085】
(スリップ率の検出)
水田において植付作業を行う場合、前輪1及び後輪2にスリップが発生するので、スリップ率検出部68において、以下説明のようにスリップ率が検出される。
【0086】
この場合、前輪1及び後輪2のスリップが発生した状態とは、前輪1及び後輪2が空転するような状態となり、前輪1及び後輪2が回転している割に、機体11が前進していない状態である。
【0087】
植付作業において、ある第1時点と、第1時点から設定時間が経過した次の第2時点とが、タイマー70により検出される。
第1時点から第2時点において、計測装置18及び慣性計測装置19による機体11の位置及び機体11の方位の検出に基づいて、第1走行距離検出部71により、機体11の実際の走行距離が検出される。この場合、第1走行距離検出部71の検出値には、前輪1及び後輪2のスリップが含まれている。
【0088】
第1時点から第2時点において、前輪1及び後輪2の外径と、走行回転数検出部66の検出値(前輪1及び後輪2の回転数)とによって、第2走行距離検出部72により、機体11の走行距離が検出(演算)される。この場合に、第2走行距離検出部72の検出値には、前輪1及び後輪2のスリップは含まれていない。
【0089】
スリップ率検出部68により、第1走行距離検出部71の検出値と、第2走行距離検出部72の検出値とが比較される。
前輪1及び後輪2のスリップが発生していると、第1走行距離検出部71の検出値が、第2走行距離検出部72の検出値よりも小さくなるのであり、第1走行距離検出部71及び第2走行距離検出部72の検出値の差が大きくなるほど、前輪1及び後輪2のスリップが多く発生していると判断できる。
【0090】
これにより、第1走行距離検出部71の検出値と、第2走行距離検出部72の検出値とに基づいて、スリップ率検出部68によりスリップ率が検出される。
第1時点から第2時点までのスリップ率が検出されると、第2時点から設定時間が経過した次の第3時点までのスリップ率が検出されるのであり、スリップ率の検出が連続的に繰り返して行われる。
【0091】
(植付作業の開始時における株間の設定)
水田において植付作業を行う場合、以下のような操作が行われる。
植付作業の開始時において、前述の(無段変速装置を操作する制御系の構成)に記載のように、作業者は、設定部64により設定株間L1を設定(選択)する。
【0092】
設定部64により株間L1が設定された状態において、植付作業を開始すると、設定株間L1に対応して、制御部69から操作機構74(電動モータ78)に操作信号が出力され、操作機構74(電動モータ78)により、角度センサー81の検出値に基づいて無段変速装置45が操作される。
【0093】
この段階では、前輪1及び後輪2のスリップは考慮されていないので、無段変速装置45の変速位置は一義的に決まるのであり、設定株間L1に対応した変速位置に、無段変速装置45が操作される。
【0094】
無段変速装置45では作動油のリークが生じることがあるので、無段変速装置45の出力軸45bの回転数が、設定株間L1に対応する変速位置での回転数よりも少し低速になり、この分だけ実際の株間L(供給間隔に相当)は、設定株間L1よりも少し大きくなることがある。
【0095】
この場合、作業回転数検出部65の検出値(無段変速装置45の出力軸45bの回転数)に基づいて、無段変速装置45の出力軸45bの回転数が、設定株間L1に対応する回転数となるように、無段変速装置45が、設定株間L1に対応する変速位置から、操作機構74(電動モータ78)により微調節される。
【0096】
(植付作業においてスリップ率の検出に基づく株間の調節)
植付作業の進行に伴って、スリップ率検出部68によりスリップ率が検出されるのに伴って、実際の株間Lが設定株間L1となるように、無段変速装置45が以下の説明のように自動的に操作される。
【0097】
前項の(植付作業の開始時における株間の設定)に記載のように、無段変速装置45が設定株間L1に対応する変速位置に操作された状態において、植付作業の進行に伴って、前項の(スリップ率の検出)に記載のように、スリップ率検出部68によりスリップ率が検出される。
【0098】
作業回転数検出部65の検出値(無段変速装置45の出力軸45bの回転数)と、走行回転数検出部66の検出値(前輪1及び後輪2の回転数)とに基づいて、供給間隔検出部73により、実際の株間Lが検出される。
具体的は、スリップ率に相当する長さが演算されて、設定株間L1からスリップに相当する長さが差し引かれて、実際の株間Lが検出される。
【0099】
これにより、供給間隔検出部73により検出される実際の株間Lが設定株間L1となるように、制御部69から操作機構74(電動モータ78)に操作信号が出力され、操作機構74(電動モータ78)により無段変速装置45が操作される。
【0100】
(設定株間に基づく不等速変速装置の操作)
設定部64により設定された設定株間L1が特に大きなものではない場合や、特に小さなものではない場合、作業者は、不等速変速装置52において、等速ギヤ58,60による動力が伝達される状態を設定しておけばよい。
【0101】
設定部64により設定された設定株間L1が特に大きなものである場合や、特に小さなものである場合、作業者は、不等速変速装置52において変速部材62をスライド操作して、不等速ギヤ59,61のうち、設定部64により設定された設定株間L1に適した不等速ギヤ59,61を選択すればよい(伝動軸48に連結状態とすればよい)。
【0102】
設定部64により設定された設定株間L1が特に大きなものである場合、回転ケース7の回転速度が低速になり過ぎる。
これにより、植付アーム8による苗のせ台10からの苗Aの取り出しから、植付アーム8による苗Aの田面Gへの植え付けまでの領域において、不等速変速装置52により、回転ケース7の回転速度を少し高速にすることができ、苗Aが田面Gに適切に植え付けられるようにすることができる。
【0103】
設定部64により設定された設定株間L1が特に小さなものである場合、回転ケース7の回転速度が高速になり過ぎる。
これにより、植付アーム8による苗のせ台10からの苗Aの取り出しから、植付アーム8による苗Aの田面Gへの植え付けまでの領域において、不等速変速装置52により、回転ケース7の回転速度を少し低速にすることができ、苗Aが田面Gに適切に植え付けられるようにすることができる。
【0104】
(苗のせ台を往復横送りの一方の端部に自動的に停止させる構成)
例えば1日の植付作業の開始時等のように、苗のせ台10に苗Aが全く載置されていない状態において、苗のせ台10に苗Aを補給する場合、苗のせ台10を往復横送りの一方の端部に停止させた状態で、苗のせ台10に苗Aを補給する。
【0105】
図5に示すように、苗のせ台10を往復横送りの一方の端部に自動的に移動させて停止させる端部停止部82が、制御装置63にソフトウェアとして備えられている。端部停止部82の起動用の起動スイッチ83が備えられており、起動スイッチ83の操作信号が制御装置63に入力される。
【0106】
エンジン23の回転数を検出するエンジン回転数検出部84、及び、無段変速装置24(変速レバー)の変速位置を検出する変速位置検出部85が備えられており、エンジン回転数検出部84の検出値、及び、変速位置検出部85の検出値が、制御装置63に入力される。
以上の構成により、作業者が起動スイッチ83を操作すると、端部停止部82により、以下に説明するような操作が行われる。
【0107】
起動スイッチ83が操作されると、エンジン回転数検出部84の検出値及び変速位置検出部85の検出値により、無段変速装置45の入力軸45aに伝達される動力の回転数が検出される。
【0108】
無段変速装置45の入力軸45aに伝達される動力の回転数に基づいて、操作機構74(電動モータ78)により無段変速装置45が操作されて、作業回転数検出部65の検出値(無段変速装置45の出力軸45bの回転数)が、事前に設定された低速の回転数に維持される。
【0109】
前述の状態で植付クラッチ56が伝動状態に操作されて、苗のせ台10が低速で横送り駆動されるのであり、苗のせ台10が往復横送りの一方の端部に達すると、植付クラッチ56が遮断状態に操作されて、苗のせ台10が往復横送りの一方の端部で停止する。
【0110】
(発明の実施の第1別形態)
操作機構74を、以下の説明のように構成してもよい。
図8及び図9に示すように、操作機構74において、図6及び図7と同様な基板75、操作アーム76、ギヤケース77、電動モータ78、支持部材80及び角度センサー81等が備えられている。
図6及び図7に示す操作機構74と、本項の(発明の実施の第1別形態)の操作機構74とにおいて、異なる点を以下に説明する。
【0111】
図8及び図9に示すように、基板75の連結部75b(図6及び図7参照)は備えられておらず、基板75(支持部75c)の端部が折り曲げられて、連結部75dが形成されている。
【0112】
フロア88(図1及び図2参照)の下側において、機体11に連結されたフレーム86が無段変速装置45の後側に配置されて、基板75の連結部75dがフレーム86にボルト連結されており、操作機構74が、無段変速装置45の後側に配置されている。
【0113】
支持部材80が基板75の下面部に連結されており、支持部材80の下面部に角度センサー81が取り付けられている。角度センサー81の検出軸81aが、操作アーム76の支持軸76bの下端部に挿入されて接続されている。
【0114】
操作機構74の操作アーム76が、無段変速装置45のアーム45dに対して、上下方向(側面視)で少し高い位置に配置されており、操作機構74の操作アーム76の下面部と、無段変速装置45のアーム45dの上面部とに亘って、連係部材79が接続されている。これにより、連係部材79が、無段変速装置45の操作軸45c(アーム45d)から、側面視で略水平な状態で延出されて、操作機構74の操作アーム76に接続されている。
【0115】
以上の構成により、操作機構74が、フロア88(図1及び図2参照)の下側に配置されている。
操作機構74の上面部(基板75の支持部75cの上面部)が、上下方向において無段変速装置45の上面部よりも高い位置に位置し、操作機構74の下面部(角度センサー81の下面部)が、上下方向において無段変速装置45の下面部よりも高い位置に位置しており、操作機構74が、上下方向において無段変速装置45よりも高い位置に備えられた状態となっている。
【0116】
(発明の実施の第2別形態)
操作機構74を、以下の説明のように構成してもよい。
図10及び図11に示すように、操作機構74において、図6及び図7と同様な基板75、操作アーム76、ギヤケース77、電動モータ78、支持部材80及び角度センサー81等が備えられている。
図6及び図7に示す操作機構74と、本項の(発明の実施の第2別形態)の操作機構74とにおいて、異なる点を以下に説明する。
【0117】
図10及び図11に示すように、基板75の連結部75b(図6及び図7参照)は備えられておらず、基板75(支持部75c)の4箇所に、連結部75eが形成されている。
フロア88(図1及び図2参照)の下側において、機体11に連結されたフレーム87が無段変速装置45の後側に配置されて、基板75の連結部75eがフレーム87にボルト連結されており、操作機構74が、無段変速装置45の後側に配置されている。
【0118】
操作アーム76が平面視で扇形状に形成され、支持軸76bが操作アーム76に上向きに連結されている。操作アーム76が基板75の下側に配置されて、操作アーム76の支持軸76bが、基板75のボス部75aに上下方向の第2軸芯P2周りに揺動自在に支持されている。
基板75の支持部75cの上面部にギヤケース77がボルト連結されて、ギヤケース77のピニオンギヤ77aが、操作アーム76のギヤ歯76aに咬合している。
【0119】
支持部材80が基板75の下面部に連結されており、支持部材80の下面部に角度センサー81が取り付けられている。角度センサー81の検出軸81aが、操作アーム76の支持軸76bの下端部に挿入されて接続されている。
【0120】
操作アーム76の上面部に、接続ピン76cが上向きに固定されている。連係部材79の端部にボス部79aが連結されて、連係部材79のボス部79aが操作アーム76の接続ピン76cに回転自在に外嵌されており、連係部材79の他方の端部が、無段変速装置45のアーム45dの上面部に接続されている。これにより、連係部材79が、無段変速装置45の操作軸45c(アーム45d)から、側面視で略水平な状態で延出されて、操作機構74の操作アーム76に接続されている。
【0121】
以上の構成により、操作機構74が、フロア88(図1及び図2参照)の下側に配置されている。
操作機構74の上面部(ギヤケース77の上面部、操作アーム76の接続ピン76cの上端部)が、上下方向において無段変速装置45の上面部よりも高い位置に位置し、操作機構74の下面部(角度センサー81の下面部)が、上下方向において無段変速装置45の下面部よりも高い位置に位置しており、操作機構74が、上下方向において無段変速装置45よりも高い位置に備えられた状態となっている。
【0122】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(植付作業の開始時における株間の設定)において、無段変速装置45の作動油のリークに基づいて、無段変速装置45を、設定株間L1に対応する変速位置に操作された状態で操作機構74(電動モータ78)により微調節する操作を、行わなくてもよい。
【0123】
このように構成すると、前述の(植付作業においてスリップ率の検出に基づく株間の調節)において、供給間隔検出部73により実際の株間Lが検出されると、無段変速装置45の作動油のリーク、及び、前輪1及び後輪2のスリップの両方が考慮された状態で、供給間隔検出部73により実際の株間Lが検出される。
【0124】
この場合、無段変速装置45の作動油のリークが小さく、前輪1及び後輪2のスリップが大きい場合、設定部64により設定された設定株間L1よりも、実際の株間Lが小さくなることがある。
逆に無段変速装置45の作動油のリークが大きく、前輪1及び後輪2のスリップが小さい場合、設定部64により設定された設定株間L1よりも、実際の株間Lが大きくなることがある。
【0125】
(発明の実施の第4別形態)
計測装置18及び慣性計測装置19を廃止してもよい。
この構成において、第1走行距離検出部71により機体11の実際の走行距離を検出する場合、マーカー12の回転体12aに回転数センサー(図示せず)を設け、機体11の走行に伴って、マーカー12の回転体12aが田面Gに接地して回転する際の回転数を検出することにより、機体11の実際の走行距離を検出すればよい。
【0126】
マーカー12の回転体12aに代えて、田面Gに接地して回転する専用の回転体(図示せず)を、機体11や苗植付装置5に設けて、この回転体の回転数を検出するように構成してもよい。
【0127】
(発明の実施の第5別形態)
設定部64において、設定株間L1を無段階に設定(選択)するように構成するのではなく、少しずつ異なる多数の設定株間L1を設定して、多数の設定株間L1のうちの一つを設定部64により設定(選択)するように構成してもよい。
【0128】
(発明の実施の第6別形態)
作業者が不等速変速装置52を手動で操作するのではなく、設定部64による設定株間L1の設定(選択)に基づいて、不等速変速装置52が適切な操作位置に自動的に操作されるように構成してもよい。
【0129】
(発明の実施の第7別形態)
ミッションケース20において、ミッションケース20の右の横側部に、無段変速装置24を設け、ミッションケース20の左の横側部に、無段変速装置45を設けてもよい。
【0130】
無段変速装置24に代えて、ギヤ変速型式の複数段の変速位置を備えた変速装置(図示せず)を設けてもよい。静油圧型式の無段変速装置45に代えて、ベルト無段型式の無段変速装置45を設けてもよい。
【0131】
ミッションケース20の内部において、伝動軸28,29,47,48,49等を、左右方向ではなく前後方向に配置するように構成してもよい。
エンジン23に代えて、電動モータ(図示せず)を原動部として使用してもよい。
【0132】
(発明の実施の第8別形態)
操作機構74において電動モータ78を廃止して、作業者が操作する手動の操作レバー(図示せず)により、操作機構74(操作アーム76)が操作されるように構成してもよい。
【0133】
図6及び図7に示す操作機構74において、平面視でミッションケース20と重複し、無段変速装置45とは重複しないように構成してもよい。逆に、操作機構74が、平面視でミッションケース20とは重複せず、無段変速装置45と重複するように構成してもよい。
【0134】
図6及び図7に示す操作機構74において、操作アーム76を廃止して、ギヤケース77のピニオンギヤ77aにより、無段変速装置45の操作軸45cを直接に回転操作するように構成してもよい。ギヤケース77の出力軸(図示せず)を、無段変速装置45の操作軸45cに同芯状に接続して、ギヤケース77の出力軸(図示せず)により、無段変速装置45の操作軸45cを回転操作するように構成してもよい。
【0135】
無段変速装置45において、操作軸45c(操作部)を、無段変速装置45の下面部に下向き(又は横面部に横向き)に設け、操作機構74を無段変速装置45の下側部又は横側部に設けてもよい。
【0136】
(発明の実施の第9別形態)
例えば一つの水田において、使用される苗Aの総量が決まっている場合、この総量に相当する苗Aを過不足なく田面Gに植え付けるように、実際の株間Lを微調節するという操作を行うことが可能である。
【0137】
前述の作業を行う場合、水田の面積のデータや、機体11をどのような経路で走行させて植付作業を行うかという植付行程のデータを事前に取得しておくと、これらのデータと苗Aの総量とにより、必要な株間Lが演算される。
【0138】
これにより、作業者が設定部64により設定株間L1を設定(選択)した場合、設定部64により設定された設定株間L1が、前述の必要な株間Lから大きく外れていると、必要な株間Lに近い設定株間L1を設定部64により設定するべきことが、作業者に報知される(作業者への注意喚起及び誤解防止の為)。
前述の状態で植付作業を開始すると、実際の株間Lが、前述の必要な株間Lとなるように、無段変速装置45が自動的に操作される。
【0139】
(発明の実施の第10別形態)
例えば一つの水田を小さな領域に区分し、水田の領域の各々において、前年度の稲の生育状態や収穫量が、データとして蓄積されていることがある。
前述の状態において、同じ水田での次年度の植付作業を行う場合、計測装置18及び慣性計測装置19の検出に基づいて、水田の領域の各々において適した実際の株間Lで、植付作業が行われるように、無段変速装置45を自動的に操作することも可能である。
【0140】
(発明の実施の第11別形態)
作業装置を、機体11の走行方向F1に沿って事前に設定された供給間隔L,L1で、種子(農用資材に相当)を圃場に間欠的に供給したり、種子を圃場に連続的に供給したりする播種装置(図示せず)とすることにより、作業機を水田用又は畑作用の乗用型播種機としてもよい。
【0141】
作業装置を、機体11の走行方向F1に沿って事前に設定された供給間隔L,L1で、肥料(農用資材に相当)を圃場に間欠的に供給したり、肥料を圃場に連続的に供給したりする肥料供給装置(図示せず)とすることにより、作業機を水田用又は畑作用の作業機としてもよい。
【0142】
作業装置を、機体11の走行方向F1に沿って事前に設定された供給間隔L,L1で、薬剤(農用資材に相当)を圃場に間欠的に供給したり、薬剤を圃場に連続的に供給したりする薬剤供給装置(図示せず)とすることにより、作業機を水田用又は畑作用の作業機としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、苗や種子、肥料や薬剤等の農用資材を圃場に供給する作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0144】
1 前輪(車輪)
2 後輪(車輪)
5 苗植付装置(作業装置)
11 機体
20 ミッションケース
23 エンジン(原動部)
24 無段変速装置(変速装置)
45 無段変速装置
45c 操作軸(操作部)
74 操作機構
76 操作アーム
78 電動モータ(アクチュエータ)
79 連係部材
A 苗(農用資材)
F1 走行方向
G 田面(圃場)
L 株間(供給間隔)
L1 設定株間(供給間隔)
P1 第1軸芯
P2 第3軸芯