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特開2024-152863マスキング剤、施術反応臭のマスキング方法、毛髪変形剤、パーマヘア用毛髪化粧料及びそれらの製造方法並びにそれらに用いる香料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152863
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】マスキング剤、施術反応臭のマスキング方法、毛髪変形剤、パーマヘア用毛髪化粧料及びそれらの製造方法並びにそれらに用いる香料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20241018BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241018BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K8/46
A61Q5/04
A61K8/35
A61K8/34
A61Q13/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024134691
(22)【出願日】2024-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】591011410
【氏名又は名称】小川香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 奈緒
(72)【発明者】
【氏名】石津 武士
(57)【要約】
【課題】チオグリコール酸系及びシステアミン系の毛髪変形剤を毛髪に施術する過程で発生し施術後も数日間残存する、種類の異なる複数の原因物質に起因する強い反応臭をマスキングすることが可能なマスキング剤を提供すること。
【解決手段】(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールから選択される1種又は2種以上の香料を含む毛髪変形剤に由来する臭いのマスキング剤。アセトフェノン、メチルオクチルケトンから選択される少なくとも1種の香料を含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールから選択される1種又は2種以上の香料を含む、毛髪変形剤に由来する臭いのマスキング剤。
【請求項2】
毛髪変形剤がシステアミン又はその塩を含むか、或いは、チオグリコール酸又はその塩もしくはそのエステルを含む、請求項1記載のマスキング剤。
【請求項3】
毛髪変形剤の施術過程で発生する施術反応臭をマスキングする、請求項1又は2記載のマスキング剤。
【請求項4】
毛髪変形剤がシステアミン又はその塩を含み、システアミン又はその塩の施術反応臭が2-アセチル-2-チアゾリンである、請求項3記載のマスキング剤。
【請求項5】
毛髪変形剤がチオグリコール酸又はその塩もしくはそのエステルを含み、チオグリコール酸又はその塩もしくはそのエステルの施術反応臭がプロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールである、請求項3記載のマスキング剤。
【請求項6】
更に、アセトフェノン、メチルオクチルケトンから選択される1種又は2種以上を含む請求項1に記載のマスキング剤。
【請求項7】
請求項1記載のマスキング剤を、前記香料として0.001~5質量%含有する、毛髪変形剤用又はパーマヘア用毛髪化粧料用香料組成物。
【請求項8】
更に、アセトフェノン、メチルオクチルケトンから選択される1種又は2種以上を0.001~5質量%含有する、請求項7に記載の毛髪変形剤用又はパーマヘア用毛髪化粧料用香料組成物。
【請求項9】
請求項1記載のマスキング剤を、前記香料として0.00001~0.25質量%の量で含有する、毛髪変形剤。
【請求項10】
請求項1記載のマスキング剤を、前記香料として0.00001~0.25質量%含有する、パーマヘア用毛髪化粧料。
【請求項11】
更にアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを0.000007~0.25質量%含有する、請求項9に記載の毛髪変形剤。
【請求項12】
更にアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを0.000007~0.25質量%含有する、請求項10に記載のパーマヘア用毛髪化粧料。
【請求項13】
請求項1記載のマスキング剤を毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の全体に対して前記香料として0.00001~0.25質量%添加する、毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の製造方法。
【請求項14】
更にアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の全体に対して0.000007~0.25質量%添加する、請求項13に記載の毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の製造方法。
【請求項15】
請求項1記載のマスキング剤を毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の全体に対して前記香料として0.00001~0.25質量%添加する、毛髪変形剤の施術反応臭をマスキングする方法。
【請求項16】
更にアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の全体に対して0.000007~0.25質量%添加する、請求項15に記載の毛髪変形剤の施術反応臭をマスキングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪変形剤を毛髪に施術する過程で発生する反応臭をマスキングするためのマスキング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアスタイルを変え、これらをファッションとして楽しむための手段として、毛髪変形剤(例えば、パーマネント・ウェーブ用剤、縮毛矯正剤やカーリング料等)が広く利用されている。毛髪変形剤による毛髪変形は、毛髪をロッドで巻き、毛髪ケラチンのジスルフィド結合を第1剤に含まれる還元剤で部分的に切断、次に第2剤に含まれる酸化剤で再結合させることにより、毛髪にウェーブを与え、また、縮れ毛やくせ毛を真っ直ぐにさせ毛髪を変形させることをいう。毛髪変形剤の第1剤に含まれる還元剤には、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン並びにこれらの誘導体及びこれらの塩が使われており、第2剤に含まれる酸化剤には、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素が使われている。
【0003】
これまで半世紀以上、還元剤としてチオグリコール酸並びにその誘導体及びその塩を含む毛髪変形剤が中心に用いられてきた。こうしたチオグリコール酸系還元剤は、油分になじみやすく、毛髪内に浸透しやすい特徴を有するので、強いウェーブを出すことができる。しかし、キューティクルの欠損やタンパク質の流失が起きているダメージ毛には作用が強すぎるため、ウェーブのだれ(崩れ)が生じ、さらなる毛髪のダメージを与えることに繋がる。
【0004】
チオグリコール酸系の還元剤の欠点に鑑み、最近は毛髪ダメージが少ない還元剤が多く使われるようになった。
例えば、システイン(L-システイン、L-システイン塩酸塩、DL-システイン、DL-システイン塩酸塩、N-アセチル-L-システインなど)は、システイン(CNOS)が毛髪に含有されるアミノ酸の一つでもあるため、チオグリコール酸よりマイルドな還元力で質感がしっとりして自然なウェーブができるとされ、ダメージによって流出したアミノ酸の一部を補うのでチオグリコール酸系に比べて毛髪への負担が少ない。
【0005】
また、システアミン(CNS)並びにその誘導体及びその塩は、分子量が小さく毛髪になじみやすいため、低pHや少量でも効果が高い。このような作用により、毛髪に与えるダメージが著しく少なくなり、毛髪内の構造変化を起こしにくくなる。このため、システアミン系の還元剤を含む毛髪変形剤は広く受け入れられるようになっている。
【0006】
しかしながら、チオグリコール酸系、システイン系及びシステアミン系の還元剤は、いずれも施術中に強い反応臭が発生し、施術後数日間にわたって残存することが施術者、使用者等に不快感を与えていた。このため、チオグリコール酸、システアミン等の毛髪変形剤に起因する反応臭の消臭やマスキングは重要な課題となっており、これまで様々な方法が提案されている。
【0007】
還元剤としてチオグリコール酸等を用いた場合のマスキングについては、例えば、ジメトール、パラクレジルアセテート、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-イルカルボキシレート、トリシクロデセニルアセテート、3,3-ジメチルシクロヘキシルメチルケトン及びフェニルエチルイソアミルエーテルから選ばれる1種以上を含有するパーマネント・ウェーブ用消臭剤組成物(特許文献1)等が提案されている。また、システアミン系の還元剤を用いた場合のマスキングについては、例えば、リナロール、ジヒドロジャスモン酸メチル、cis-3-ヘキセノール、メチルイオノン、トリプラール、ゲラニオール、γ-デカラクトン、ジヒドロミルセノール、酢酸ジメチルベンジルカルビニル及び酢酸o-tert-ブチルシクロヘキシルからなる群から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とするシステアミン及びシステアミン塩酸塩の少なくとも一種を用いた製剤に添加されるマスキング香料組成物(特許文献2)等が提案されている。
【0008】
本発明者らも還元剤に起因する反応臭のマスキングについて検討を行い、これまでにチオグリコール酸等を含む毛髪変形剤を毛髪に施術した際に発生し施術後も残存する反応臭が、プロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールに基づくこと、システアミンを含む毛髪変形剤を毛髪に施術した際に発生する反応臭のキー物質が2-アセチル-2-チアゾリンであることを解明した。さらにそれぞれの反応臭原因物質のマスキングに有効な香料成分を探索し、チオグリコール酸系の還元剤及びシステアミン系の還元剤それぞれについて有効なマスキング用香料を提案した(特許文献3、特許文献4)。
【0009】
しかし、これまでに提案されている反応臭マスキング用香料はチオグリコール酸系又はシステアミン系のいずれか一方にのみ有効であり、還元剤の種類によってマスキング用香料を使い分ける必要があった。また、施術者によってはチオグリコール酸系の還元剤とシステアミン系の還元剤を併用することがあり、従来の反応臭マスキング用香料では十分に対応できない場合も生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000-344636号公報
【特許文献2】特開2004-137434号公報
【特許文献3】特開2020-40902号公報
【特許文献4】特開2018-70458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、チオグリコール酸系及びシステアミン系の毛髪変形剤を毛髪に施術する過程で発生し施術後も数日間残存する、種類の異なる複数の原因物質に起因する強い反応臭をマスキングすることが可能なマスキング剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らはチオグリコール酸系及びシステアミン系の還元剤を施術することにより発生する反応臭の複数の原因物質をいずれもマスキングできる香料化合物を探索した結果、特定の4種の化合物が反応臭の全ての原因物質をマスキングできることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールから選択される1種又は2種以上の香料を含む、毛髪変形剤に由来する臭いのマスキング剤。
〔2〕
毛髪変形剤がシステアミン又はその塩を含むか、或いは、チオグリコール酸又はその塩もしくはそのエステルを含む、〔1〕記載のマスキング剤。
〔3〕
毛髪変形剤の施術過程で発生する施術反応臭をマスキングする、〔1〕又は〔2〕に記載のマスキング剤。
〔4〕
毛髪変形剤がシステアミン又はその塩を含み、システアミン又はその塩の施術反応臭が2-アセチル-2-チアゾリンである、〔3〕記載のマスキング剤。
〔5〕
毛髪変形剤がチオグリコール酸又はその塩もしくはそのエステルを含み、チオグリコール酸、その塩もしくはそのエステルの施術反応臭がプロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールである、〔3〕記載のマスキング剤。
〔6〕
更に、アセトフェノン、メチルオクチルケトンから選択される1種又は2種以上を含む〔1〕に記載のマスキング剤。
〔7〕
〔1〕記載のマスキング剤を、前記香料として0.001~5質量%含有する、毛髪変形剤用又はパーマヘア用毛髪化粧料用香料組成物。
〔8〕
更にアセトフェノン、メチルオクチルケトンから選択される1種又は2種以上を0.001~5質量%含有する、〔7〕に記載の毛髪変形剤用又はパーマヘア用毛髪化粧料用香料組成物。
〔9〕
〔1〕記載のマスキング剤を、前記香料として0.00001~0.25質量%の量で含有する、毛髪変形剤。
〔10〕
〔1〕記載のマスキング剤を、前記香料として0.00001~0.25質量%含有する、パーマヘア用毛髪化粧料。
〔11〕
更にアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを0.000007~0.25質量%含有する、〔9〕に記載の毛髪変形剤。
〔12〕
更にアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを0.000007~0.25質量%含有する、〔10〕に記載のパーマヘア用毛髪化粧料。
〔13〕
〔1〕記載のマスキング剤を毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の全体に対して前記香料として0.00001~0.25質量%添加する、毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の製造方法。
〔14〕
更にアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の全体に対して0.000007~0.25質量%添加する、〔13〕に記載の毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の製造方法。
〔15〕
〔1〕記載のマスキング剤を毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の全体に対して前記香料として0.00001~0.25質量%添加する、毛髪変形剤の施術反応臭をマスキングする方法。
〔16〕
更にアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料の全体に対して0.000007~0.25質量%添加する、〔15〕に記載の毛髪変形剤の施術反応臭をマスキングする方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の毛髪変形剤用マスキング剤は、チオグリコール酸系及びシステアミン系のいずれの毛髪変形剤に起因する施術時の不快臭に対しても優れたマスキング効果を示し、さらには施術後も数日間残存する反応臭のマスキングにも優れており、種々の毛髪変形剤や毛髪化粧料に好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、その好ましい実施形態を説明する。
〔1〕毛髪変形剤用マスキング剤
本発明の毛髪変形剤に由来する臭いのマスキング剤(以下、単に「本発明のマスキング剤」ともいう。)は、以下の香料から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とし、さらに付加的香料や、製剤化に必要な各種成分を配合することができる。
【0016】
本発明のマスキング剤の有効成分として用いる香料は、(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールから選ばれる1種又は2種以上である(以下、「特定成分」ともいう)。
2,4-へプタジエナールは、(E,E)-2,4-へプタジエナール以外に、立体異性体として、(E,Z)-2,4-へプタジエナール、(Z,Z)-2,4-へプタジエナール、(Z,E)-2,4-へプタジエナールが存在するが、本発明においては、(E,E)-2,4-へプタジエナールを用いることが重要である。
また、3-メルカプト-3-メチルブタノールは、別名3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノールともいう。4-エチルグアヤコールは別名2-メトキシ-4-エチルフェノールともいう。カルバクロールは、別名2-メチル-5-(1-メチルエチル)フェノールともいう。
【0017】
本発明のマスキング剤は、毛髪変形剤に由来する臭いをマスキングするために用いられる。本発明のマスキング剤は、典型的には、パーマネント・ウェーブ用剤、縮毛矯正剤やカーリング料等の毛髪変形剤に含有されるか、或いは、パーマ等の毛髪変形の施術に際して用いられる前処理剤、中間処理剤、後処理剤や、施術後に用いるパーマヘア用トリートメント、パーマヘア用シャンプー、パーマヘア用コンディショナー(リンス)等のパーマヘア用毛髪化粧料に含有される。
【0018】
毛髪変形剤を毛髪に施術した際に発生し施術後も残存する反応臭の原因となる成分は、毛髪変形剤がチオグリコール酸系の還元剤を含む場合はプロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールであり、毛髪変形剤がシステアミン系の還元剤を含む場合は2-アセチル-2-チアゾリンであるが、特定成分4種の香料はいずれの施術反応臭成分に対しても優れたマスキング効果を示す。ここで、反応臭とは毛髪変形剤が毛髪成分と反応して生じる化合物に起因する臭いをいい、施術反応臭とは、施術過程で発生し施術後も残存する反応臭をいう。
本発明のマスキング剤によるマスキング効果は、毛髪変形剤に由来する臭いをマスキング(感じさせない)ものとすることのほかに、他の香り(例えば、マスキング剤ともに配合している香料の香り)のボリュームを向上させたり、当該香りの保持時間を長くする、といった効果を有していてもよい。
【0019】
例えば、チオグリコール酸系の還元剤である毛髪変形剤を毛髪に施術及び反応させた際の施術反応臭は、プロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール、2-メチルチオベンゾチアゾールの複合臭であり、いずれも発生すると数日後まで残存する。例えば、特許文献3記載の発明は、これらの4成分のそれぞれに対して別化合物によるマスキングを行うものであるが、本発明の特定成分は(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールそれぞれが、プロパンチオールに対しても、2,6-ジメチルピラジンに対しても、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールに対しても、それぞれ有効なマスキング剤となる利点がある。
また、システアミン系の還元剤を用いた毛髪変形剤を毛髪に施術した際の施術反応臭は2-アセチル-2-チアゾリンが重要な原因物質(以下、「キー物質」ともいう。)であり、施術直後から数日後まで残存するが、この臭いに関しても、本発明のマスキング剤における特定成分である(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールそれぞれが、有効なマスキング剤となる。
【0020】
本発明のマスキング剤における、(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールから選択される1種又は2種以上の割合は、20質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよく、40質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよい。
【0021】
本発明ではさらにアセトフェノン及びメチルオクチルケトンから選択される1種又は2種を付加的な有効成分として、上記4種の香料と併用することができる。メチルオクチルケトンは、メチルn-オクチルケトンとも呼ばれることがある。アセトフェノンはシステアミン系の還元剤に起因する施術反応臭に、メチルオクチルケトンはチオグリコール酸系の還元剤に起因する施術反応臭成分のマスキングに優れた効果を示す。本発明では、アセトフェノン及びメチルオクチルケトンから選択される1種又は2種を還元剤の種類に応じて上記4種の香料と併用することで、マスキング効果を一層効果的に高めることができる。
【0022】
本発明のマスキング剤がアセトフェノン及びメチルオクチルケトンから選択される1種又は2種(B)を(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールから選択される1種又は2種以上(A)と組み合わせる場合、(A)と(B)との質量比は、施術反応臭に対するマスキング効果の点から、両者を併用する(A)100質量部に対し、(B)を10質量部以上とすることが好ましく、25質量部以上とすることがより好ましく、50質量部以上とすることが更に好ましい。また、特定成分や特定成分とともに用いられる香料の香りに対する付加的有効成分の影響の点から、(A)100質量部に対し、(B)を200質量部以下とすることが好ましく、150質量部以下とすることがより好ましく、100質量部以下とすることが更に好ましい。
【0023】
限定されるものではないが、本発明のマスキング剤及び後述する香料組成物は、下記組成物a~fを除くものであってもよい。なお、以下の表9のシトラス香料、フルーティー香料、フローラル香料、グリーン香料は下記a~fの組成物に該当しない。ここでシトラス香料は柑橘のもつさわやかな香り、フルーティー香料は柑橘以外のフルーツの香り、フローラル香料は花が発散する香り、グリーン香料は若葉や青葉青草の香りを有する香料である。
a:1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、フルフラール、メントン、ラズベリーケトン、1-アセチル-3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン、イソブチリックアシッド、δ-2-デセノラクトン、グアィアックアセテート、クミニルアセテート、2-メチル-3-フランチオール、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、2-メチル-5-メチルチオフラン、及びシベットアブソリュートを含む組成物。
【0024】
b:1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキサニル)-ヘキサン-3-オール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-(4-メトキシフェニル)-1-ペンテン-3-オン、1-(p-メンテン-6-イル)-1-プロパノン、1-アセチル-3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン、ルーボフィックス、ルーボフロール、シベトン、イソブチリックアシッド、δ-2-デセノラクトン、カリクソール、カルビルアセテート、2-メチル-4-メトキシチアゾール、2-メチル-5-メチルチオフラン、ジャャスミンアブソリュート及びエタノールを含む組成物。
【0025】
c:7-メチル-3-メチレン-1,6-オクタジエン、p-エチルスチレン、2-メチルオクタノール、2-メチルデカノール、イソサフロール、2,4-ドデカジエナール、2,4-ノナジエナール、2,4-ヘキサジエナール、2-オクタノン、2-トリデカノン、2-ノナノン、ファントリド、4-メチル-5-チアゾールエタノールアセテート、4-メチル-5-ビニルチアゾール、4-メチルチアゾール、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、5-アセチル-2,4-ジメチルチアゾール、セロリーオイル及びタイムオイルを含む組成物。
【0026】
d:2,4-ドデカジエナール、2,4-ノナジエナール、2,4-ヘキサジエナール、2-オクタノン、2-トリデカノン、2-ノナノン、δ-テトラデカラクトン、4-メチル-5-チアゾールエタノールアセテート、4-メチル-5-ビニルチアゾール、4-メチルチアゾール、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、5-アセチル-2,4-ジメチルチアゾール、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びジブロピレングリコールを含む組成物。
【0027】
e:ウンデカトリエン、ウンデカン、3-メチル-1-フェニル-3-ペンタノール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-ペンタン-2-オール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、2-ペンチルシクロペンタノン、ホルミルエチルテトラメチルテトラリン及びナルシサスアブソリュートを含む組成物。
【0028】
f:ウンデカトリエン、ウンデカン、4-イソプロピルシクロヘキサノール、3-フェニルプロピオニックアルデヒドジメチルアセタール、4-(2,2,6-トリメチル-2(1)-シクロヘキセン)-2-メチルブタナール、3,3-ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、3,4-ヘキサジオン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルエチルエーテル、3-オキサビシクロ[10.3.0]-ペンタデカ-6-エン、ホルミルエチルテトラメチルテトラリン、δ-トリデカラクトン、δ-ノナラクトン、δ-ヘキサラクトン、ε-デカラクトン、6-sec-ブチルキノリン、8-sec-ブチルキノリン、N-メチル-N-ペンチル-2-メチルブチルアミド、o-チオクレゾール、トルーバルサムオイル、及びプロピレングリコールモノブチルエーテルを含む組成物。
【0029】
〔2〕毛髪変形剤用又はパーマヘア用毛髪化粧料用香料組成物
本発明のマスキング剤は他の香料素材と組み合わせた香料組成物として使用することができる。香料素材としては、例えば、「特許庁公報周知慣用技術集(香料) 第III部香粧品用香料」(2001年6月15日発行、日本国特許庁)等に記載された香料原料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出精油、各種合成香料)、各種植物エキス等が例示され、それぞれ本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0030】
本発明の毛髪変形剤用又はパーマヘア用毛髪化粧料用香料組成物(以下、単に「本発明の香料組成物」ともいう。)には、その他の成分として、例えば、下記に示すような化粧品類、ヘアケア製品類などで通常使用される基剤、添加剤等を併用することができる。
【0031】
(a)各種油脂類:
アボカド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂又はこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)など。
【0032】
(b)鉱物油
流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなど。
【0033】
(c)アルコール類
エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノールなどの合成アルコール。
【0034】
(d)多価アルコール類
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトールなど。
【0035】
(e)ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物
アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、ジェランガム、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイドなどのアルキレン(C2~C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2~C4)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミンなど。
【0036】
(f)界面活性剤
アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤〔カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤〕、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)など。
【0037】
(g)その他
更に上記の他に、これまでに知られている各原料素材、例えば、α-ヒドロキシ酸類、無機顔料、紫外線吸収剤、美白剤、チロシナーゼ活性阻害剤、メラニン色素分解物質、細胞賦活物質、収れん剤、活性酸素消去剤、抗酸化剤、過酸化脂質生成抑制剤、抗炎症剤、抗菌剤、保湿剤、エラスターゼ活性阻害剤、抗アンドロゲン剤、温感剤、冷感剤、色素、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性蛋白質又はその分解物、動・植物性多糖類又はその分解物、動・植物性糖蛋白質又はその分解物、消炎剤・抗アレルギー剤、創傷治療剤、気泡・増泡剤、増粘剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、酵素などと併用することができる。
【0038】
本発明の香料組成物は、マスキング剤の有効成分としての香料、その他の香料素材、及びその他各種化合物を適宜添加及び混合することにより製造することができ、配合する順序や間隔も特に制限されることはない。製剤形態も特に制限されることはなく、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0039】
本発明のマスキング剤の香料組成物への配合量は、施術反応臭に対するマスキング効果の観点から、前記特定成分として、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上である。また、本発明のマスキング剤の香料組成物への配合量は、前記特定成分による香料組成物の香りへの影響の観点から、前記特定成分として好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0040】
更に、付加的な有効成分であるアセトフェノン、メチルオクチルケトンから選択される1種又は2種以上の香料組成物への配合量は、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上である。また、アセトフェノン、メチルオクチルケトンの香料組成物への配合量は、付加的有効成分による香料組成物の香りへの影響の観点から、前記特定成分として好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0041】
〔3〕毛髪変形剤、パーマヘア用毛髪化粧料及びそれらの製造方法、施術反応臭のマスキング方法
本発明のマスキング剤又は香料組成物を適用する毛髪変形剤は、パーマネント・ウェーブ用剤(パーマ剤)、縮毛矯正剤、カーリング料といった、頭髪タンパク質に含まれるシスチン結合を切断する還元剤を含む剤である。パーマ剤は、当該還元剤を含む第1剤と、切断したシスチン結合を再結合させる酸化剤を含む第2剤で構成される二浴式、第2剤を用いずに空気酸化でシスチン結合を再結合させる一浴式、酸化剤と還元剤を使用直前に混合する用時調製二浴式などの形態があり、これらは使用方法により第1剤処理を室温で行うコールド式と60℃以下で行う加温式等に分類される。縮毛矯正剤はコールド二浴式と加温二浴式があり、それぞれ高温整髪用アイロン使用の可否によって4つの形態に分類される。カーリング料はヘアセット料とも呼ばれ、化粧品に該当し、還元剤の配合量はパーマ剤、縮毛矯正剤より制限されているが、髪をセットするメカニズムは同じである。毛髪変形剤にはチオグリコール酸又はその塩類、チオグリコール酸エステル等のチオグリコール酸系化合物、システイン又はその塩類、システアミン又はその塩類、亜硫酸塩類等の還元剤が用いられるが、本発明のマスキング剤の適用対象となるのはチオグリコール酸又はその塩類、チオグリコール酸エステル、システアミン又はその塩類が配合された毛髪変形剤であり、上記のいずれの分類に該当する毛髪変形剤に対しても適用可能である。
【0042】
チオグリコール酸系化合物としては、具体的にはチオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸物エタノールアミン、チオグリコール酸グリセリル等が挙げられる。チオグリコール酸系化合物を還元剤として用いた毛髪変形剤で施術すると、プロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールがキー物質となる施術反応臭が発生するが、本発明のマスキング剤は4種のキー物質のいずれに対しても優れたマスキング効果を示す。
【0043】
システアミン又はその塩類としては、具体的にはシステアミン、システアミン塩酸塩、システアミン酒石酸水素塩等が挙げられるほか、後述するチオグリコール酸システアミン(システアミンチオグリコレート)も挙げられる。システアミン又はその塩類を還元剤として用いた毛髪変形剤で施術すると、2-アセチル-2-チアゾリンがキー物質となる施術反応臭が発生するが、本発明のマスキング剤は2-アセチル-2-チアゾリンに対しても優れたマスキング効果を示し、還元剤がチオグリコール酸系化合物かシステアミン又はその塩類であるかを問わず使用することができる。
【0044】
毛髪変形剤に配合される還元剤は基本的には1種類であるが、チオグリコール酸系化合物とシステアミン又はその塩類を還元剤として併用したり、施術者が複数の毛髪変形剤を組み合わせて施術することもある。また、近年ではチオグリコール酸とシステアミンを結合させたチオグリコール酸システアミン(システアミンチオグリコレート)のような新しい還元剤も開発されている。そのような場合、施術反応臭としてプロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールと、2-アセチル-2-チアゾリンが同時に発生することとなるが、本発明のマスキング剤はこのような場合に特に好適に使用することができる。さらに付加的な有効成分であるアセトフェノン又はメチルオクチルケトンを併用することで、マスキング効果を一層高めることができるので、より好ましい。
【0045】
医薬部外品としてのパーマネント・ウェーブ用剤、縮毛矯正剤などの毛髪変形剤における還元剤の量は、通常、薬機法に基づく製造販売承認基準に規定された濃度の範囲内で、パーマ剤等の形態に合わせて適宜設定される。化粧品としてのカーリング料などの毛髪変形剤における還元剤の量は、日本パーマネントウェーブ液工業組合が作成する自主基準等に定められた濃度の範囲内で適宜設定される。ここでいう量は、毛髪変形剤が還元剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とからなる場合は、第1剤中の還元剤の量をいう。
【0046】
本発明のマスキング剤の毛髪変形剤への使用は特に制限はない。毛髪変形剤が還元剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とからなる場合、第1剤と第2剤のいずれにも配合することができ、施術中に発生する施術反応臭を効果的にマスキングすることができる。特に本発明のマスキング剤を第2剤に含有させると、マスキング対象とする毛髪変形剤に由来する臭い以外の香り(例えばマスキング剤と併用された香料等の香り)が保持されやすかったり、香りが増強しやすいため好ましく、第1剤と第2剤の両方にマスキング剤を含有させた場合はさらに効果が高まるので、より好ましい。
【0047】
毛髪変形剤への直接配合以外にも、パーマ等の施術に際して用いられる前処理剤、中間処理剤、後処理剤や、施術後に用いるパーマヘア用トリートメント、パーマヘア用シャンプー、パーマヘア用コンディショナー(リンス)等のパーマヘア用毛髪化粧料に配合することができる。パーマヘア用毛髪化粧料に本発明のマスキング剤を適用することで、施術後の毛髪に残存する施術反応臭をマスキングすることができる。
【0048】
毛髪変形剤又はパーマ用毛髪化粧料へのマスキング剤の配合量は施術反応臭に対するマスキング効果の点から、有効成分の濃度として好ましくは0.00001質量%以上であり、より好ましくは0.00002質量%以上であり、特に好ましくは0.00003質量%以上である。また、毛髪変形剤又はパーマ用毛髪化粧料へのマスキング剤の配合量はマスキング剤が毛髪変形剤等の香気に及ぼす影響の点から、有効成分の濃度として好ましくは0.25質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、更に好ましくは0.04質量%以下であり、特に好ましくは0.02質量%以下であり、とりわけ好ましくは0.01質量%以下である。ここで、毛髪変形剤が還元剤を含む第1剤、及び酸化剤を含む第2剤からなり、マスキング剤が第1剤又は第2剤に含有されている場合、前記の濃度は、マスキング剤が含有されている剤(第1剤又は第2剤)に対する濃度を指す(以下に記載する毛髪変形剤中のマスキング剤の配合量に関して同様)。
【0049】
更に詳述すると、毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料への(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールから選択される1種又は2種以上の配合量は好ましくは0.00001質量%以上であり、より好ましくは0.00002質量%以上であり、更に好ましくは0.00003質量%以上である。また、毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料への(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールから選択される1種又は2種以上の配合量は好ましくは0.25質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、更に好ましくは0.04質量%以下であり、特に好ましくは0.02質量%以下であり、とりわけさらに好ましくは0.01質量%以下である。
【0050】
また、マスキング剤としてさらにアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを併用する場合、アセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンの毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料への配合量は好ましくは0.000007質量%以上であり、より好ましくは0.00001質量%以上であり、さらに好ましくは0.00002質量%以上である。また、アセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンの毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料への配合量は好ましくは0.25質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以下である。
【0051】
更に、アセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを併用する場合のマスキング剤の毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料への配合量は、特定成分とアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンの合計量として0.000017質量%以上であり、より好ましくは0.000025質量%以上であり、更に好ましくは、0.00003質量%以上である。また、アセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンを併用する場合のマスキング剤の毛髪変形剤又はパーマヘア用毛髪化粧料への配合量は、特定成分とアセトフェノン及び/又はメチルオクチルケトンの合計量として、好ましくは、0.5質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、更に好ましくは0.02質量%以下である。
【実施例0052】
〔試験例1〕(マスキング用香料の評価と選定)
表1~5に示す香料について、還元剤としてチオグリコール酸系化合物を用いた場合の施術反応臭の原因物質(プロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾール)、及び還元剤としてシステアミン又はその塩類を用いた場合の施術反応臭の原因物質(2-アセチル-2-チアゾリン)に対するマスキング効果を、以下の方法で評価した。
[評価方法]
施術反応臭の各原因物質にジプロピレングリコール(DPG)を加えて、各原因物質の0.005質量%DPG溶液を調製した。なお、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールについては、この2種の化合物の等量混合物をDPG溶液として調製した。また、マスキング試験に供する香料については、2質量%香料DPG溶液を調製した。
評価方法としてはシャーレ内にろ紙を置き、各原因物質の0.005質量%DPG溶液を0.05g、さらにその上から香料のDPG溶液を0.05g添加して賦香した。
上記の工程で作製したサンプルを専門パネル5名が、賦香直後、1日後、3日後の状態を確認し、施術反応臭のマスキング効果について、以下の4段階で判定した。
判定結果を表1~4に示す。
【0053】
◎:完全にマスキングができている。
○:ほぼマスキングができている。
△:マスキングがやや不十分である。
×:マスキングが不十分である。
【0054】
表1:プロパンチオールに対するマスキング評価
【表1】
【0055】
表2:2,6-ジメチルピラジンに対するマスキング評価
【表2】
【0056】
表3:ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールに対するマスキング評価
【表3】
【0057】
表1から3の官能評価の結果、賦香直後、1日後、3日後においてマスキング効果が○又は◎の香料は、施術反応臭の原因物質に対して、マスキング効果が非常に高いと判断した。チオグリコール酸系化合物に起因する4種の反応臭原因物質全てに対して○又は◎の評価を得た香料は(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロール及びメチルオクチルケトンであった。アセトフェノンはプロパンチオールに対しては高いマスキング効果を示したが、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールに対しては十分なマスキング効果を示さなかった。
【0058】
表4:2-アセチル-2-チアゾリンに対するマスキング評価
【表4】
【0059】
システアミン又はその塩類に起因する反応臭原因物質である2-アセチル-2-チアゾリンに対して○又は◎の評価を得た香料は(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロール及びアセトフェノンであった。メチルオクチルケトンは2-アセチル-2-チアゾリンに対しては十分なマスキング効果を示さなかった。
【0060】
〔試験例2〕(マスキング用香料の添加濃度の検討)
次に、各反応臭原因物質に対するマスキング効果に優れると評価された上記6種の香料に関して、有効な添加濃度を決定するための検討を行った。
【0061】
各反応臭原因物質にジプロピレングリコール(DPG)を加えて、0.005質量%のDPG溶液を調製した。なお、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールについては、この2種の化合物の等量混合物をDPG溶液として調製した。また、マスキング試験に供する香料については、0.001質量%、0.01質量%、0.1質量%、1質量%のDPG溶液を調製した。
評価方法としてはシャーレ内にろ紙を置き、0.005質量%の反応臭原因物質のDPG溶液を0.05g、さらにその上から香料のDPG溶液を0.05g添加して賦香した。
上記の工程で作製したサンプルを専門パネル5名が、賦香直後、1日後、3日後の状態を確認し、施術反応臭のマスキング効果について、試験例1と同じ基準で判定した。
判定結果を表5~8に示す。
【0062】
表5:プロパンチオールに対するマスキング評価
【表5】
【0063】
表6:2,6-ジメチルピラジンに対するマスキング評価
【表6】
【0064】
表7:ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールに対するマスキング評価
【表7】
【0065】
表8:2-アセチル-2-チアゾリンに対するマスキング評価
【表8】
【0066】
表5~8の結果に示されるように、(E,E)-2,4-へプタジエナール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エチルグアヤコール、カルバクロールは0.01質量%のDPG溶液を添加することで、賦香直後から3日後までの期間、十分なマスキング効果が得られた。また、アセトフェノンは0.01質量%のDPG溶液の添加でプロパンチオール及び2-アセチル-2-チアゾリンに対して十分なマスキング効果を示し、メチルオクチルケトンは0.1質量%のDPG溶液の添加でプロパンチオール、2,6-ジメチルピラジン、ベンゾチアゾール及び2-メチルチオベンゾチアゾールに対して十分なマスキング効果を示した。
【0067】
〔実施例〕香料組成物
表9の処方により、本発明のマスキング剤を含む毛髪変形剤用香料組成物を調製した。
【0068】
【表9】
【0069】
〔毛髪変形剤〕
香料1~4及び実施例1~5の香料組成物を配合した表10の処方のチオグリコール酸塩を還元剤とした毛髪変形剤第1剤と、表11の処方の毛髪変形剤第2剤を調製した。なお、処方中の「~」は「合計を100.0に合わせる」ことを示す。
【0070】
毛髪変形剤第1剤(還元剤:チオグリコール酸アンモニウム)
【表10】
【0071】
毛髪変形剤第2剤
【表11】
【0072】
毛束(長さ20cm)を表10で調製した毛髪変形剤第1剤に20分間浸漬後、40℃のお湯で15秒間洗浄し、軽く水気を取った。次いで毛束を表11で調製した毛髪変形剤第2剤に20分間浸漬後、40℃のお湯で15秒間洗浄し、水分を拭き取った後、ドライヤーにて乾燥させた。
【0073】
ドライヤー乾燥の直後、1日後、3日後の毛束の施術反応臭を専門パネル5名が下記基準で評価した。結果を表12に示す。
【0074】
◎:完全にマスキングができている。
○:ほぼマスキングができている。
△:マスキングがやや不十分である。
×:マスキングが不十分である。
【0075】
【表12】
【0076】
表12に示す通り、本発明のマスキング剤を添加した実施例1~5の香料を第1剤に配合した実施例7~11では、マスキング剤無添加の香料1~4を添加した比較例1~4に比べて十分な反応臭マスキング効果を示すとともに香りのボリュームと残香がアップした。
【0077】
〔毛髪変形剤〕
表13の処方のチオグリコール酸塩を還元剤とした毛髪変形剤第1剤と、香料1~4及び実施例1~5の香料を配合した表14の処方の毛髪変形剤第2剤を調製した。
【0078】
毛髪変形剤第1剤(還元剤:チオグリコール酸アンモニウム)
【表13】
【0079】
毛髪変形剤第2剤
【表14】
【0080】
実施例12~16及び比較例5~8の毛髪変形剤を用いて実施例7~11と同様に毛束を処理し、施術反応臭のマスキング効果を評価した。結果を表15に示す。
【0081】
【表15】
【0082】
表15に示す通り、毛髪変形剤で処理した後の毛束の施術反応臭を専門パネル5名が評価したところ、本発明のマスキング剤を添加した実施例1~5の香料を第2剤に配合した実施例12~16では、マスキング剤無添加の香料1~4を添加した比較例5~8に比べて十分な反応臭マスキング効果を示すとともに香りのボリュームと残香がアップした。また、マスキング剤を第2剤に配合した実施例12~16の方が、第1剤に配合した実施例7~11よりも香りが長く保持され、より高い効果が示された。
【0083】
〔毛髪変形剤〕
香料1~4及び実施例1~4、6の香料組成物を配合した表16の処方のシステアミン塩酸塩を還元剤とした毛髪変形剤第1剤と、表17の処方の毛髪変形剤第2剤を調製した。
【0084】
毛髪変形剤第1剤(還元剤:システアミン塩酸塩)
【表16】
【0085】
毛髪変形剤第2剤
【表17】
【0086】
実施例17~21及び比較例9~12の毛髪変形剤を用いて実施例7~11と同様に毛束を処理し、施術反応臭のマスキング効果を評価した。結果を表18に示す。
【0087】
【表18】
【0088】
表18に示す通り、毛髪変形剤で処理した後の毛束の施術反応臭を専門パネル5名が評価したところ、本発明のマスキング剤を添加した実施例1~4及び6の香料を第1剤に配合した実施例17~20では、マスキング剤無添加の香料1~4を添加した比較例9~12に比べて十分な反応臭マスキング効果を示すとともに香りのボリュームがアップした。また、アセトフェノンを配合した実施例21では実施例17~20よりもさらに香りが3日後まで良好に保持され、高い残香性を示した。
【0089】
〔毛髪変形剤〕
表19の処方のシステアミン塩酸塩を還元剤とした毛髪変形剤第1剤と、香料1~4並びに実施例1~4及び6の香料を配合した表20の処方の毛髪変形剤第2剤を調製した。
【0090】
毛髪変形剤第1剤(還元剤:システアミン塩酸塩)
【表19】
【0091】
毛髪変形剤第2剤
【表20】
【0092】
実施例22~26及び比較例13~16の毛髪変形剤を用いて実施例7~11と同様に毛束を処理し、施術反応臭のマスキング効果を評価した。結果を表21に示す。
【0093】
【表21】
【0094】
表21に示す通り、毛髪変形剤で処理した後の毛束の施術反応臭を専門パネル5名が評価したところ、本発明のマスキング剤を添加した実施例1~4及び6の香料を第2剤に配合した実施例22~26では、マスキング剤無添加の香料1~4を添加した比較例13~16に比べて十分な反応臭マスキング効果を示すとともに香りのボリュームがアップした。ま、第1剤にマスキング剤を配合した実施例17~20よりも香りが長く保持され、より高い効果が示された。
【0095】
実施例27
下記の処方で毛髪変形剤用前処理剤を調製した。本前処理剤は、毛髪変形剤の施術反応臭のマスキングを図るために好適に用いることができる。
(毛髪変形剤用前処理剤)
PEG-20(日油(株)製) 1.0質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0質量%
ポリビニルピロリドン(ナカライテスク(株)製) 2.0質量%
尿素 3.0質量%
ジプロピレングリコール 2.0質量%
メチルパラベン 0.1質量%
フィトケラスターZ(一丸ファルコス(株)製) 5.0質量%
実施例32~41の香料組成物 1.0質量%
精製水 残部
【0096】
実施例28
下記の処方で毛髪変形剤用中間処理剤を調製した。本中間処理剤は、毛髪変形剤の施術反応臭のマスキングを図るために好適に用いることができる。
(毛髪変形剤用中間処理剤)
PCA-Na(味の素ヘルシーサプライ(株)製) 1.0質量%
PEG-11 メチルエーテルジメチコン(信越化学工業(株)製) 1.0質量%
セトリモニウムクロリド 3.0質量%
ブチレングリコール 2.5質量%
グリセリン 2.5質量%
メチルパラベン 0.1質量%
エデト酸塩(和光純薬工業(株)製) 0.1質量%
フィトケラスターZ(一丸ファルコス(株)製) 5.0質量%
実施例32~41の香料組成物 1.0質量%
精製水 残部
【0097】
実施例29
下記の処方で毛髪変形剤用後処理剤を調製した。本後処理剤は、毛髪変形剤の施術反応臭のマスキングを図るために好適に用いることができる。
(毛髪変形剤用後処理剤)
セタノール 2.5質量%
グリセリン 2.5質量%
シクロペンタシロキサン(旭化成ワッカーシリコーン(株)製) 2.0質量%
水添ポリイソブテン(東レ・ダウコーニング(株)製) 2.0質量%
ベヘントリモニウムクロリド 3.0質量%
ジリノール酸イソプロピル 2.5質量%
アモジメチコン(旭化成ワッカーシリコーン(株)製) 4.0質量%
イソプロパノール 5.0質量%
ステアルトリモニウムクロリド 2.0質量%
アミノプロピルジメチコン(信越化学工業(株)製) 4.0質量%
イソステアリン酸イソステアリル(高級アルコール工業(株)製) 2.0質量%
メチルパラベン 0.1質量%
コハク酸ナトリウム 0.1質量%
リンゴ酸 0.1質量%
実施例32~41の香料組成物 1.0質量%
精製水 残部
【0098】
実施例30
下記の処方でダメージヘアケア用シャンプーを調製した。このダメージヘアケア用シャンプーは、毛髪変形剤の施術反応臭のマスキングを図るために好適に用いることができる。
(ダメージヘアケア用シャンプー)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 9.0質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 4.0質量%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(川研ファインケミカル(株)製)
3.0質量%
高重合メチルポリシロキサン(旭化成ワッカーシリコーン(株)製)2.0質量%
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(川研ファインケミカル(株)製)
1.0質量%
プロピレングリコール 2.0質量%
塩化O-(2-ヒドロキシ-3-トリメチルアンモニオプロピル)ヒドロキシエチルセルロース(花王(株)製) 0.5質量%
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0質量%
メチルパラベン 0.1質量%
実施例32~41の香料組成物 2.0質量%
精製水 残部
【0099】
実施例31
下記の処方でダメージヘアケア用コンディショナーを調製した。このダメージヘアケア用コンディショナーは、毛髪変形剤の施術反応臭のマスキングを図るために好適に用いることができる。
(ダメージケア用コンディショナー)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(花王(株)製) 2.0質量%
ステアリルアルコール 1.0質量%
セチルアルコール 2.0質量%
高重合メチルポリシロキサン(旭化成ワッカーシリコーン(株)製) 2.0質量%
流動パラフィン(ナカライテスク(株)製) 1.0質量%
グリセリン 6.0質量%
メチルパラベン 0.1質量%
実施例32~41の香料組成物 2.0質量%
精製水 残部
【0100】
〔実施例〕香料組成物
表22の処方により、本発明のマスキング剤を含む毛髪変形剤用香料組成物を調製した。
【表22】
【0101】
毛髪変形剤用香料組成物は、表12、15、18、21の各実施例と同様にして毛髪変形剤を調製して評価される。その結果、表12、15、18、21の各実施例と同様に、毛髪変形剤に由来する臭いが効果的にマスキングされるものである。