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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152887
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20241018BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139394
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2022192528の分割
【原出願日】2015-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】山蔭 勇介
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 正隆
(57)【要約】
【課題】実装制御の精度向上を図ることができる部品実装機を提供することを目的とする。
【解決手段】部品実装機は、供給位置に供給された電子部品を保持する吸着ノズルと吸着ノズルを自転させる一の回転方向と他の回転方向から角度決めするモータと、吸着ノズルに保持された電子部品を所定の撮像角度で撮像する部品カメラと、所定の撮像角度に対して吸着ノズルを一の回転方向から角度決めする高精度モードと、吸着ノズルを一の回転方向から撮像角度へと角度決めすることを要しない通常モードとを装着サイクルごとに何れかを選択する制御装置と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給位置に供給された電子部品を保持する吸着ノズルと、
前記吸着ノズルを自転させる一の回転方向と他の回転方向から角度決めするモータと、
前記吸着ノズルに保持された前記電子部品を所定の撮像角度で撮像する部品カメラと、
前記所定の撮像角度に対して前記吸着ノズルを前記一の回転方向から角度決めする高精度モードと、前記吸着ノズルを前記一の回転方向から前記撮像角度へと角度決めすることを要しない通常モードとを装着サイクルごとに何れかを選択する制御装置と、
を備える部品実装機。
【請求項2】
供給位置に供給された電子部品を所定の吸着角度で吸着して保持する吸着ノズルと、
前記吸着ノズルを自転させる一の回転方向と他の回転方向から角度決めするモータと、
前記所定の吸着角度に対して前記吸着ノズルを前記一の回転方向から角度決めする高精度モードと、前記吸着ノズルを前記一の回転方向から前記吸着角度へと角度決めすることを要しない通常モードとを装着サイクルごとに何れかを選択する制御装置と、
を備える部品実装機。
【請求項3】
前記吸着ノズルは、ノズル本体の下面形状が異方的である、請求項1または2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記吸着ノズルは、ノズル本体の下面が前記電子部品の外形に応じた形状に形成される、請求項1または2に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記装着サイクルは、供給された前記電子部品を複数の前記吸着ノズルにそれぞれ保持してから当該保持した前記電子部品の数量に等しい回数分の装着動作が繰り返し終えるまでの動作である、請求項1-4の何れか一項に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を回路基板に実装する部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装機は、電子部品を保持する保持部材を移動させる直動機構や保持部材を回転させる旋回機構を構成する駆動装置を備える。部品実装機は、駆動装置におけるバックラッシュやロストモーションによる実装制御への影響を受ける。そのため、部品実装機の制御装置は、例えば特許文献1に示されるように、キャリブレーション処理を予め実行する。部品実装機の制御装置は、実装制御における駆動装置の動作を、キャリブレーション処理の結果に基づいて校正して、バックラッシュ等の影響の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-86687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようにキャリブレーション処理の結果を用いた実装制御においても、少なからずバックラッシュやロストモーションによる影響が残存する。一方で、部品実装機の実装制御には、例えば回路基板製品を小型化するために、電子部品を高密度に且つ高精度に実装することが望まれる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、実装制御の精度向上を図ることができる部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る部品実装機は、供給位置に供給された電子部品を保持する吸着ノズルと前記吸着ノズルを自転させる一の回転方向と他の回転方向から角度決めするモータと、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品を所定の撮像角度で撮像する部品カメラと、前記所定の撮像角度に対して前記吸着ノズルを前記一の回転方向から角度決めする高精度モードと、前記吸着ノズルを前記一の回転方向から前記撮像角度へと角度決めすることを要しない通常モードとを装着サイクルごとに何れかを選択する制御装置と、を備える。
本明細書に記載の部品実装機の制御装置は、供給位置に供給された電子部品を保持部材により保持し、旋回機構の動作によって前記保持部材を回転軸周りに回転させて回路基板上の装着位置に所定の装着角度で当該電子部品を移載する部品実装機に適用され、前記保持部材の回転動作を制御する。前記部品実装機の機内における異なる複数の前記装着位置ごとの前記装着角度のそれぞれに対して前記旋回機構の動作による規定の回転方向および角度にあるそれぞれの角度を、複数の前記装着角度ごとの準備角度とする。制御装置は、前記保持部材を現在角度から前記装着角度へと回転させる場合に、前記装着角度に対応する一つの前記準備角度に前記保持部材を回転させた後に、当該準備角度から前記装着角度へと前記保持部材を回転させる処理を実行する。
【0007】
本明細書に記載の部品実装機の制御方法は、供給位置に供給された電子部品を保持部材により保持し、直動機構の動作によって前記保持部材を水平な推進方向に移動させて回路基板上の装着位置まで当該電子部品を移載する部品実装機に適用され、複数の前記装着位置に前記電子部品を移載する順序が示された制御プログラムに従って前記保持部材の移動動作を制御する。前記部品実装機の機内における前記装着位置を含む複数の処理位置のそれぞれに対して前記直動機構の動作による規定の推進方向および距離にあるそれぞれの位置を、複数の前記処理位置ごとの準備位置とする。
制御方法は、前記保持部材を現在位置から前記処理位置へと移動させる場合に、前記準備位置を経由させる高精度モードであるか、当該準備位置の経由を要しない通常モードであるかを示す制御情報に基づいて、前記高精度モードおよび前記通常モードを切り換え、
前記処理位置への移動動作が前記高精度モードである場合に、前記現在位置から前記処理位置に対応する前記準備位置に前記保持部材を移動させた後に、当該準備位置から前記処理位置へと前記保持部材を移動させ、前記処理位置への移動動作が前記通常モードである場合に、前記現在位置から前記処理位置へと前記保持部材を移動させ、前記制御プログラムは、複数の前記装着位置のうち移動動作が前記高精度モードである複数の前記装着位置に対応したそれぞれの前記準備位置への前記保持部材の移動に伴う当該保持部材の移動量または移動時間に基づいて、前記電子部品を移載する順序を最適化される。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に記載の構成によると、保持部材は、現在位置から装着位置へと移動する際に、準備位置を経由する。これにより、準備位置から装着位置へと移動する際の保持部材の移動量が規定の推進方向の距離に応じて定量となる。そのため、移動後の装着位置においてバックラッシュ等により発生する位置誤差が小さくなる。そのため、当該位置誤差を校正するための校正値を用いて実装制御することにより、実装制御の精度向上を図ることができる。
【0009】
また、保持部材は、現在角度から装着角度へと回転する際に、準備角度を経由する。これにより、準備角度から装着角度への保持部材の回転が規定の回転方向の角度に応じて定量となる。そのため、回転後の保持部材の装着角度においてバックラッシュ等により発生する角度誤差が小さくなる。そのため、当該角度誤差を校正するための校正値を用いて実装制御することにより、実装制御の精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における部品実装機の全体を示す平面図である。
図2図1におけるパレットの斜視図である。
図3図1における装着ヘッドを示す図である。
図4】部品実装機の制御装置を示すブロック図である。
図5】LED素子の上面にLED用の吸着ノズルを併せて示す上面図である。
図6図3におけるLED素子用の専用ノズルを拡大して示す斜視図である。
図7】部品実装機による実装制御を示すフローチャートである。
図8】キャリブレーション処理における吸着ノズルの動作軌跡を示す図である。
図9】部品実装機による装着処理を示すフローチャートである。
図10】高精度モードの装着処理における吸着ノズルの動作軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の部品実装機の制御装置および制御方法を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。部品実装機は、供給位置に供給された電子部品を保持部材により保持して、この電子部品を回路基板上の所定の装着位置に移載することによって装着を行う装置である。
【0012】
<実施形態>
(1.部品実装機1の全体構成)
部品実装機1は、図1に示すように、基板搬送装置10と、部品供給装置20と、部品移載装置30と、部品カメラ15と、基板カメラ16と、制御装置70とを備える。以下の説明において、部品実装機1の水平幅方向(図1の左右方向)をX軸方向とし、部品実装機1の水平長手方向(図1の上下方向に)をY軸方向とし、X軸およびY軸に垂直な鉛直方向(図1の前後方向)をZ軸方向とする。
【0013】
(1-1.基板搬送装置10)
基板搬送装置10は、ベルトコンベアなどにより構成され、回路基板Bdを搬送方向へと順次搬送する。基板搬送装置10は、部品実装機1の機内における所定の位置に回路基板Bdを位置決めする。そして、基板搬送装置10は、部品実装機1による実装制御が実行された後に、回路基板Bdを部品実装機1の機外に搬出する。
【0014】
(1-2.部品供給装置20)
部品供給装置20は、供給位置Psにおいて、回路基板Bdに装着される電子部品を供給する。部品供給装置20は、X軸方向に並んで配置された複数のスロットを有する。複数のスロットには、フィーダ21が着脱可能にそれぞれセットされる。部品供給装置20は、フィーダ21によりキャリアテープを送り移動させて、フィーダ21の先端側(図1の上側)に位置する取出し部において電子部品を供給する。
【0015】
また、部品供給装置20は、例えばリード部品などの比較的大型の電子部品を、パレット22に載置されたトレイ25上に並べた状態で供給する。部品供給装置20は、上下方向に区画された収納棚23に複数のパレット22を収納し、実装制御に応じて所定のトレイパレットを引き出してリード部品などの電子部品を供給する。トレイ25は、図2に示すように、格子状に仕切り25aが設けられて、多数のポケット25bが形成されている。トレイ25のポケット25bには、例えば電子部品であるLED素子80が一つずつ収容される。また、部品供給装置20は、上記の他に、フィーダ21より供給された電子部品を仮置き台に一時的に載置した状態で、当該電子部品を供給する構成を採用し得る。
【0016】
(1-3.部品移載装置30)
部品移載装置30は、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成される。部品移載装置30は、部品実装機1の長手方向の後部側(図1の上側)から前部側の部品供給装置20の上方にかけて配置される。部品移載装置30は、ヘッド駆動装置31と、移動台32と、装着ヘッド40とを備える。ヘッド駆動装置31は、直動機構により移動台32をXY軸(推進軸)方向に移動可能に構成される。
【0017】
装着ヘッド40は、図3に示すように、移動台32にクランプして固定されるヘッド本体41を有する。ヘッド本体41には、R軸モータ42によって所定の角度ごとに回転角度を割り出されるインデックス軸43が回転可能に支持されている。このインデックス軸43の下端には、ツール本体44が固定されている。
【0018】
ツール本体44は、R軸(回転軸)と同心の円周上において周方向に等間隔に複数(例えば、12本)のノズルホルダ45をZ軸方向に摺動可能に且つ回転可能に保持する。ノズルホルダ45は、図略のスプリングの弾性力によりツール本体44に対して上方に付勢されている。これにより、ノズルホルダ45は、外力を付与されていない通常状態では、上昇端に位置している。
【0019】
ノズルホルダ45の下端部には、実装対象の電子部品T1に応じて選択された種類の吸着ノズル46が着脱可能に保持される。吸着ノズル46は、図略の負圧エア供給装置からエア通路を介して供給される負圧エアにより電子部品T1を吸着して保持する保持部材である。吸着ノズル46は、R軸モータ42の駆動に伴ってツール本体44がインデックス軸43を介して回転することにより、R軸周りの所定の角度位置(例えば、ノズルホルダ45を昇降可能な昇降位置)に順次割り出される。
【0020】
インデックス軸43が外周側には、円筒状に形成された回転体47がインデックス軸43に対して相対回転可能に配置される。回転体47には、θ軸中間ギヤ48およびθ軸円筒ギヤ49が同軸上に設けられる。θ軸中間ギヤ48は、ヘッド本体41に設けられたθ軸モータ51の出力軸に固定されたθ軸駆動ギヤ52に噛合する。θ軸円筒ギヤ49は、回転体47の軸線方向(R軸方向)に所定の長さの歯幅となる外歯車が形成されている。
【0021】
ノズルホルダ45の上端部には、ノズルギヤ53が形成されている。ノズルギヤ53は、インデックス軸43の外周側に相対回転可能に支持されたθ軸円筒ギヤ49とR軸方向に摺動可能に噛合している。θ軸中間ギヤ48、θ軸円筒ギヤ49、θ軸モータ51、θ軸駆動ギヤ52、およびノズルギヤ53は、装着ヘッド40における旋回機構を構成する。吸着ノズル46は、上記の旋回機構の動作によりθ軸(回転軸)周りに、ノズルホルダ45と一体的に回転(自転)し、回転角度や回転速度を制御される。
【0022】
また、ヘッド本体41には、ノズル作動部材54が設けられている。ノズル作動部材54は、ガイドバー55によって上下方向(Z軸方向)に摺動可能に案内される。ヘッド本体41に固定されたZ軸モータ56は、ボールねじ機構57を駆動させる。ノズル作動部材54は、ボールねじ機構57の駆動によりZ軸方向に昇降される。
【0023】
ノズル作動部材54は、複数のノズルホルダ45のうちR軸周りの昇降位置に割り出されたノズルホルダ45の上端部に当接するノズルレバー58を有する。ノズルレバー58は、ノズル作動部材54のZ軸方向下方への移動に伴って下降し、当接するノズルホルダ45をZ軸方向下方へと押圧する。ノズル作動部材54、ガイドバー55、Z軸モータ56、ボールねじ機構57、およびノズルレバー58は、装着ヘッド40における昇降機構を構成する。吸着ノズル46は、上記の昇降機構の動作によりZ軸方向に一体的に昇降し、Z方向位置や移動速度を制御される。
【0024】
また、ツール本体44の下面における規定位置には、基準マーク59が付されている。基準マーク59は、吸着ノズル46に保持された電子部品T1を後述する部品カメラ15により撮像して取得された画像データにおいて、装着ヘッド40の基準となる位置を示す。基準マーク59は、例えば所定の直径からなる円形部を有し、部品カメラ15のカメラ視野において規定の範囲を占める形状および寸法に設定される。
【0025】
(1-4.部品カメラ15および基板カメラ16)
部品カメラ15および基板カメラ16は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ15および基板カメラ16は、通信可能に接続された制御装置70による制御信号に基づいてカメラ視野に収まる範囲の撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを制御装置70に送出する。
【0026】
部品カメラ15は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の上向きとなるように部品実装機1の基台に固定され、部品移載装置30の下方から撮像可能に構成される。より具体的には、部品カメラ15は、吸着ノズル46に保持された状態の電子部品T1の下面を撮像可能に構成される。詳細には、部品カメラ15のレンズユニットは、撮像素子から一定の距離にある対象物に焦点が合うように設定される。また、部品カメラ15のレンズユニットのカメラ視野は、装着ヘッド40が支持する全ての吸着ノズル46および基準マーク59が収まる範囲に設定されている。
【0027】
基板カメラ16は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の下向きとなるように部品移載装置30の移動台32に設けられる。基板カメラ16は、回路基板Bdを撮像可能に構成されている。この基板カメラ16から画像データを取得した制御装置70は、画像処理により例えば基板に付された位置決めマークを認識することで、基板搬送装置10による回路基板Bdの位置決め状態を認識する。そして、制御装置70は、回路基板Bdの位置決め状態に応じて吸着ノズル46の位置を補正して、電子部品T1の装着を行うように装着処理を制御する。
【0028】
(1-5.制御装置70)
制御装置70は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成され、部品実装機1を動作させるための制御プログラム、部品カメラ15および基板カメラ16の撮像により取得した画像データに基づいて、回路基板Bdへの電子部品T1の実装を制御する。この制御装置70は、図4に示すように、実装制御部71、画像処理部72、および記憶装置73に、バスを介して入出力インターフェース75が接続されている。入出力インターフェース75には、モータ制御回路76および撮像制御回路77が接続されている。
【0029】
実装制御部71は、モータ制御回路76を介して装着ヘッド40の位置や吸着機構の動作を制御する。より詳細には、実装制御部71は、部品実装機1に複数設けられた各種センサから出力される情報、各種の認識処理の結果を入力する。そして、実装制御部71は、記憶装置73に記憶されている制御プログラム、後述する制御情報、各種センサによる情報、画像処理や認識処理の結果に基づいて、モータ制御回路76に制御信号を送出する。これにより、装着ヘッド40に支持された吸着ノズル46の位置および回転角度が制御される。
【0030】
画像処理部72は、撮像制御回路77を介して部品カメラ15および基板カメラ16の撮像による画像データを取得して、用途に応じた画像処理を実行する。この画像処理には、例えば、画像データの二値化、フィルタリング、色相抽出、超解像処理などが含まれ得る。記憶装置73は、ハードディスク装置などの光学ドライブ装置、またはフラッシュメモリなどにより構成される。この記憶装置73には、制御プログラム、制御情報、画像データ、画像処理部72による処理の一時データなどが記憶される。
【0031】
入出力インターフェース75は、CPUや記憶装置73と各制御回路76,77との間に介在し、データ形式の変換や信号強度を調整する。モータ制御回路76は、実装制御部71による制御信号に基づいて、部品移載装置30に設けられた各推進軸(XYZ軸)モータおよび各回転軸(Rθ軸)モータの駆動を制御する。
【0032】
実装制御部71による各推進軸モータの制御によって、移動台32が各推進軸方向に位置決めされるとともに、この移動台32に支持される吸着ノズル46および基板カメラ16の平面位置(XY軸方向位置)が割り出され、また吸着ノズル46の高さ位置(Z軸方向位置)が割り出される。また、実装制御部71による各回転軸モータの制御によって、吸着ノズル46の旋回位置(R軸回転角度、θ軸回転角度)が割り出される。
【0033】
撮像制御回路77は、制御装置70のCPUなどによる撮像の制御信号に基づいて、部品カメラ15および基板カメラ16による撮像を制御する。また、撮像制御回路77は、部品カメラ15および基板カメラ16の撮像による画像データを取得して、入出力インターフェース75を介して記憶装置73に上記の画像データを記憶させる。
【0034】
(2.吸着ノズル46の詳細構成)
(2-1.吸着ノズル46および電子部品T1の概要)
吸着ノズル46は、上述したように、実装対象の電子部品T1に応じて種類を選択され、ノズルホルダ45の下端部に取り付けられて保持される。電子部品T1には、フィーダ21に装填されたキャリアテープに収容された小型部品や、トレイ25または仮置き台上に並べて載置された状態で供給される比較的大型のリード部品、LED素子80が含まれる。
【0035】
(2-2.LED素子80および専用ノズル60)
LED素子80は、図5に示すように、部品本体81と、複数の発光部82と、複数の電極部83とを有する。部品本体81は、平板状に形成される。複数の発光部82は、部品本体81の上面に直線状に並べて配置される。複数の電極部83の各々は、複数の発光部82に対応して電力を供給可能に、部品本体81の上面に形成される。
【0036】
ここで、吸着ノズル46は、負圧エア供給装置から供給される負圧エアにより電子部品T1の上面に吸着して当該電子部品T1を保持する。電子部品T1の上面において、吸着ノズル46に接触して吸着される吸着位置は、上面形状等に基づいて部品種ごとに適宜設定される。また、電子部品T1を適正な姿勢で保持するためには、例えば電子部品T1の上面のうち電子部品T1の重心位置から近い部位に設定された吸着位置において、電子部品T1が吸着により保持されることが望ましい。
【0037】
しかしながら、電子部品T1の上面のうち吸着位置に設定された部位は、吸着ノズル46の先端と接触するため、電子部品T1が回路基板Bd上に装着されたときに吸着ノズル46からある程度の荷重(押し付け力)を受ける。そのため、電子部品T1の上面に耐荷重が低い部位がある場合には、電子部品T1の吸着位置は、電子部品T1の外形中心または重心位置から偏心した位置に吸着位置が設定されることがある。
【0038】
ここで、上記のLED素子80は、重心位置が外形の中心付近にあり、且つ当該部位には発光部82が配置されている。LED素子80の発光部82は、最外にガラスなどの透明素材が用いられており、部品本体と比較して耐荷重が低い。そのため、LED素子80は、外形中心の付近を通常の吸着ノズル46に接触して保持されると、回路基板Bd上への装着の際に吸着ノズル46から耐荷重を超える荷重を受けるおそれがある。そのため、LED素子80の吸着位置は、外形中心から偏心した位置(具体的には、発光部82を除いた上面)に設定されている。
【0039】
しかしながら、このようなLED素子80を外形中心から偏心して設定された吸着位置において、通常の吸着ノズル46を用いて吸着すると、LED素子80が傾動したり、また装着の際に回路基板Bdへの押し付け力が不足したりするおそれがある。そこで、本実施形態において、実装対象がLED素子80のように、吸着位置が偏心して設定された電子部品T1である場合には、専用の吸着ノズル(以下、「専用ノズル」と称する)が適用される。
【0040】
専用ノズル60は、図6に示すように、円筒部61と、ノズル本体62と、吸着面63と、退避部64と、補助面65とを備える。円筒部61は、中空の管状に形成され、ノズルホルダ45の下端部に着脱可能に取り付けられる部位である。ノズル本体62は、全体形状としてはブロック状に形成されている。本実施形態において、ノズル本体62のθ軸に直交する断面は、LED素子80の上面よりも大きく設定されている。ノズル本体62の内部には、円筒部61と連通するエア通路が形成されている。
【0041】
吸着面63は、ノズル本体62の下面の一部であって、円筒部61の軸中心から径方向に離間して位置する。また、吸着面63は、長円形状の開口部63aが形成される。開口部63aは、ノズル本体62の内部に形成されたエア通路を介して、円筒部61と負圧エアが流通可能に連結されている。本実施形態において、吸着面63は、ノズル本体62の下面に複数形成される構成としてもよい。この場合には、それぞれの吸着面63の開口部63aには、ノズル本体62の内部において分岐するエア通路を介して負圧エアが流通可能に連結される。
【0042】
退避部64は、ノズル本体62の下面の一部であって、吸着面63に対して円筒部61側に凹んだ溝形状に形成される。退避部64の溝幅は、LED素子80の発光部82の幅よりも広く設定される。補助面65は、ノズル本体62の下面の一部であって、本実施形態において、吸着面63と同一のθ軸方向位置に形成されている。この補助面65は、LED素子80の上面の形状に応じて、種々の形状に形成され、また吸着面63に対するθ軸方向位置を適宜設定される。
【0043】
上記のように、異方的な下面形状を有する専用ノズル60によって吸着されるLED素子80には、当該LED素子80を保持する際に角度決めされる専用ノズル60の吸着角度がLED素子80の基準(例えば外形中心、上面の特徴部など)に対して所定の角度範囲に制限して設定される。LED素子80を対象とした吸着処理において、制御装置70は、設定された吸着位置および吸着角度に応じて専用ノズル60を位置決めおよび角度決めして、吸着面63および補助面65がLED素子80の上面に接触するように接近させて吸着する。
【0044】
(2-3.専用ノズル60によるLED素子80の保持)
上記のような構成からなる専用ノズル60がLED素子80を吸着して保持した状態において、吸着面63および補助面65は、図5の二点鎖線で示される位置において、LED素子80の上面に接触する。具体的には、吸着面63の開口部63aの内側には、LED素子80における複数の電極部83の各端部が位置する。吸着面63は、複数の電極部83の外周側で且つ複数の発光部82に非接触となる部品本体81の上面に接触する。
【0045】
このとき、専用ノズル60の退避部64は、吸着面63および補助面65よりも円筒部61側に位置していることから、複数の発光部82の何れに対しても非接触の状態が維持される。詳細には、吸着面63と部品本体81との接触点を支点にLED素子80が傾動した場合に、複数の発光部82に対して複数の電極部83とは反対側において部品本体81の上面に補助面65が補助的に接触する。これにより、LED素子80の傾動が抑制され、複数の発光部82に対するノズル本体62の下面の接触が防止される。
【0046】
上記のように、専用ノズル60は、外形の中心付近に耐荷重が比較的低いLED素子80を吸着して保持する際に用いられる態様を例示した。これに対して、専用ノズル60は、外形の中心付近から離れた位置に重心位置がある部品種や、外形の中心付近に耐荷重の低い部位または凹凸があることによって吸着ノズル46を接触できない場合に適用することが特に有用である。
【0047】
(3.部品実装機1による実装制御)
部品実装機1による電子部品T1の実装制御について、図7を参照して説明する。実装制御において、実装制御部71は、先ず複数の吸着ノズル46に電子部品T1を順次吸着させて、電子部品T1を保持する吸着サイクル(ステップ10(以下、「ステップ」を「S」と表記する))を実行する。
【0048】
より詳細には、本実施形態の吸着サイクル(S10)において、実装制御部71は、先ず、吸着する対象の電子部品T1がTVR制御の対象か否かを判定する(S11)。ここで、「TVR制御」とは、電子部品T1の上面にある特徴部に基づいて、回路基板Bdに電子部品T1を装着する際の電子部品T1の姿勢を補正する制御である。例えば、上記のLED素子80における複数の発光部82が並んだ直線方向を、回路基板Bd上の基準線に沿わせてLED素子80を装着する必要がある場合に、複数の発光部82を「電子部品T1の上面にある特徴部」として、当該LED素子80がTVR制御の対象に設定される。
【0049】
そのため、吸着予定の電子部品T1がTVR制御の対象である場合には(S11:Yes)、実装制御部71は、電子部品T1の上面を含む画像データを取得するために、電子部品T1の上面の撮像処理を実行する(S12)。具体的には、部品移載装置30の移動台32に設けられた基板カメラ16がトレイ25の上方に移動され、吸着予定の電子部品T1が基板カメラ16のカメラ視野に収められた状態で基板カメラ16の撮像処理が実行される。
【0050】
実装制御部71は、次に、上面の撮像処理(S12)により取得された画像データに基づいて、電子部品T1の上面の特徴部を認識する処理を行う(S13)。これにより、実装制御部71は、トレイ25のポケット25bに収容された電子部品T1の姿勢、および電子部品T1の上面の特徴部の位置および角度が認識される。実装制御部71は、認識の結果に基づいて、電子部品T1の吸着位置および吸着角度を割り出す。
【0051】
実装制御部71は、電子部品T1の吸着位置を、専用ノズル60が電子部品T1を吸着する際の当該専用ノズル60の処理位置(XY軸位置)として取得する。また、実装制御部71は、電子部品T1の吸着角度を、専用ノズル60が電子部品T1を吸着する際の当該専用ノズル60の処理角度(θ軸角度)として取得する。
【0052】
続いて、実装制御部71は、電子部品T1の吸着処理を実行する(S14)。吸着予定の電子部品T1がTVR制御の対象である場合には(S11:Yes)、実装制御部71は、専用ノズル60を取得した処理位置に移動させるとともに、専用ノズル60を取得した処理角度に回転させる。実装制御部71は、この状態で、専用ノズル60に負圧エアを供給しつつ下降させて、電子部品T1を吸着させる。
【0053】
一方で、吸着予定の電子部品T1がTVR制御の対象でない場合には(S11:No)、実装制御部71は、後述する装着処理(S30)において、電子部品T1の外形または下面にある特徴部に基づいて、回路基板Bdに電子部品T1を装着する際の電子部品T1の姿勢を補正する。そのため、TVR制御の対象でない電子部品T1の場合には、上面の撮像処理(S12)等が省略される。
【0054】
実装制御部71は、電子部品T1の吸着処理(S14)において、当該電子部品T1が供給されている供給位置Psであって、電子部品T1に設定された吸着位置に吸着ノズル46を移動させる。そして、実装制御部71は、吸着ノズル46に負圧エアを供給しつつ下降させて、電子部品T1を吸着する。
【0055】
実装制御部71は、制御プログラムに基づいて、今回の装着サイクルにおいて吸着予定の全ての電子部品T1の吸着処理が終了したか否かを判定する(S15)。実装制御部71は、全ての吸着処理が終了するまで上記処理(S11~S14)を繰り返し実行して、吸着サイクルを終了する。その後に、制御装置70は、部品移載装置30の動作により装着ヘッド40を部品カメラ15の上方に移動させて、吸着された複数の電子部品T1の下面を撮像する撮像処理を実行する(S20)。
【0056】
実装制御部71は、制御プログラムおよび制御情報に基づいて、複数の電子部品T1を回路基板Bdに順次装着する装着処理(S30)を実行する。そして、実装制御部71は、全ての電子部品T1の装着処理が終了したか否かを判定する(S40)。実装制御部71による装着処理の詳細については後述する。実装制御部71は、装着処理が終了するまで上記処理(S10~S30)を繰り返し実行する。
【0057】
また、部品実装機1による実装制御では、精度向上を図るために、実装制御部71は、吸着ノズル46による電子部品T1の吸着状態に対応して吸着ノズル46の移動を制御する。そのため、実装制御部71は、電子部品T1の下面の撮像処理(S30)により取得された画像データを画像処理部72において画像処理して、吸着ノズル46による電子部品T1の吸着状態を認識するようにしている。
【0058】
ここで、上記の「装着サイクル」とは、部品移載装置30が供給された電子部品T1を複数保持してから当該保持した電子部品T1の数量に等しい回数分の装着動作が繰り返し終えるまでの動作、即ち上記処理(S10~S30)を実行するための部品移載装置30の動作である。装着ヘッド40が12本の吸着ノズル46を支持する場合には、最大で12個の電子部品T1を吸着してから、これらの電子部品T1を全て装着し終えるまでの動作が一の装着サイクルに相当する。
【0059】
また、実装制御部71は、上記の吸着処理(S14)および下面の撮像処理(S20)において、後述する高精度モードの装着処理(S30)と同様に、高精度モードの吸着処理(S14)および下面の撮像処理(S20)を行うことが可能である。高精度モードの吸着処理(S14)および下面の撮像処理(S20)については後述する。
【0060】
なお、以下に説明する装着処理(S30)およびキャリブレーション処理において、吸着ノズル46は、装着ヘッド40に支持された複数の吸着ノズル46のうち昇降位置に割り出された一の吸着ノズル46を指すものとする。つまり、特にR軸周りの旋回動作に言及した場合を除いて、一の装着サイクルにおいては何れか一の吸着ノズル46が昇降位置にあるものとして、当該吸着ノズル46の移動および回転の動作を説明する。
【0061】
(4.装着処理およびキャリブレーション処理)
(4-1.装着処理の概要)
制御装置70の実装制御部71による装着処理(S30)では、電子部品T1を保持する吸着ノズル46が現在位置から回路基板Bd上の所定の装着位置(本発明の「処理位置」に相当する)へと移動されるとともに、吸着ノズル46が現在角度から所定の装着角度(本発明の「処理角度」に相当する)へと回転され、その後に吸着ノズル46が下降されて電子部品T1が回路基板Bdに装着される。このような部品移載装置30の動作が、吸着サイクル(S10)により保持された電子部品T1の数量だけ繰り返される。
【0062】
なお、複数の吸着ノズル46を支持する装着ヘッド40が現在位置から装着位置の上方へと移動する期間において、部品移載装置30は、主として、XY軸方向の位置決め、吸着ノズル46の割り出し、および吸着ノズル46の回転角度決めを行う。上記のXY軸方向の位置決めは、次の装着位置に装着ヘッド40を位置決めするヘッド駆動装置31による動作である。この装着位置には、吸着状態に応じた補正量が含まれる。
【0063】
また、上記の吸着ノズル46の割り出しは、R軸モータ42を含むR軸駆動装置により吸着ノズル46をR軸周りに公転させる動作であって、複数の吸着ノズル46のうち次の装着位置に対応した電子部品T1を保持する吸着ノズル46を昇降位置に割り出す動作である。これにより、次の装着において昇降される吸着ノズル46は、R軸周りに回転して、上記の昇降位置に位置決めされる。
【0064】
また、上記の吸着ノズル46の回転角度決めは、θ軸モータ51を含むθ軸駆動装置により吸着ノズル46を自転させる動作であって、吸着ノズル46をθ軸周りに回転させて次の装着角度とする動作である。この装着角度には、制御プログラムにより指令された回路基板Bdに対する電子部品T1の角度、および当該電子部品T1の吸着状態に応じた補正量が含まれる。
【0065】
(4-2.キャリブレーション処理)
部品移載装置30の動作は、ヘッド駆動装置31やθ軸駆動装置などにおけるバックラッシュやロストモーションによる影響を受ける。そのため、制御装置70は、部品移載装置30の動作に対して、吸着ノズル46による電子部品T1の吸着状態に基づく補正の他に、予め実行されたキャリブレーション処理によって取得された各駆動装置に対応した校正値を用いた校正を行う。
【0066】
キャリブレーション処理において、図8に示すように、例えばキャリブレーション治具90が基板搬送装置10に位置決め固定された状態で、キャリブレーション処理用のダミー部品T2がキャリブレーション治具90上の所定の装着位置fPm1~fPm3に所定の装着角度fAm1~fAm3で装着される。このとき、部品移載装置30の動作は、キャリブレーション用の制御プログラムに従って制御される。
【0067】
なお、本実施形態におけるキャリブレーション処理は、後述する高精度モードの装着処理に対応して、所定の装着位置fPm1~fPm3にダミー部品T2をそれぞれ装着する前に、所定の準備位置fPr1~fPr3を経由する方法を採用する。準備位置fPr1~fPr3は、本実施形態において、装着位置fPm1~fPm3に対して推進軸(XY軸)方向に規定の距離LPx,LPyだけ変位した位置にそれぞれ設定されている。
【0068】
そして、実装制御部71は、吸着ノズル46を準備位置fPr1~fPr3に移動させた際に、ヘッド駆動装置31のXY軸に係る動作を一時停止させて、吸着ノズル46の推進方向(XY軸方向)の移動を一時停止させる。さらに、実装制御部71は、準備位置fPr1~fPr3における吸着ノズル46のθ軸周りの準備角度fAr1~fAr3を、装着位置fPm1~fPm3にてダミー部品T2を装着する際の吸着ノズル46の装着角度fAm1~fAm3に対して回転軸(θ軸)の周方向に規定の角度APθだけ旋回した状態とする。
【0069】
そして、実装制御部71は、吸着ノズル46を準備角度fAr1~fAr3に回転させた際に、θ軸駆動装置のθ軸に係る動作を一時停止させて、吸着ノズル46の回転方向(θ軸方向)の回転を一時停止させる。吸着ノズル46は、上記のように、準備位置Pr1~Pr3に位置決めされ、且つ準備角度Ar1~Ar3に角度決めされて、装着位置fPm1~fPm3に移動および回転する前の準備状態となる。
【0070】
その後に、実装制御部71は、規定の方向(XY軸の軸方向)および距離LPx,LPyに吸着ノズル46を移動させながら、規定の回転方向(θ軸の周方向)および角度APθに吸着ノズル46を回転させて、準備状態から装着位置fPm1~fPm3および装着角度fAm1~fAm3に対応した装着状態へと吸着ノズル46をそれぞれ移行させる。
【0071】
ここで、キャリブレーション治具90の上面には、規定の間隔で多数の校正マークがマトリックス状に付されている。制御装置70は、校正マークおよび装着されたダミー部品T2を基板カメラ16により撮像して、当該撮像により取得された画像データを画像処理部72により画像処理して、部品移載装置30の校正値を取得する。
【0072】
具体的には、画像処理部72は、ダミー部品T2の外形を認識して、校正マークと当該校正マークに対応する装着位置fPm1~fPm3に装着されたダミー部品T2との相対位置、および相対角度を算出する。制御装置70は、算出された上記の相対位置および相対角度に基づいて、ヘッド駆動装置31による推進軸(XY軸)の軸方向および距離に対する校正値と、θ軸駆動装置による回転軸(θ軸)の周方向および角度に対する校正値とを取得する。
【0073】
(4-3.装着処理の詳細)
制御装置70は、図9に示すように、次の装着位置に対応する電子部品T1の装着処理(S30)を、通常モードまたは高精度モードで行うかを制御情報に基づいて判定する(S31)。ここで、通常モードの装着処理(S30)とは、吸着ノズル46を現在状態から装着状態へと移行させる際に、準備状態の経由を要しない処理である。一方で、高精度モードの装着処理(S30)とは、吸着ノズル46を現在状態から装着状態へと移行させる際に、準備状態を経由させる処理である。
【0074】
ここで、吸着ノズル46の「状態」には、推進軸(XY軸)方向の位置と、回転軸(θ軸)の周方向の角度とが含まれる。つまり、吸着ノズル46の「現在状態」とは、現在時刻における吸着ノズル46の状態である。同様に、吸着ノズル46の「装着状態」とは、装着位置Pm1~Pm3において電子部品T1を装着する吸着ノズル46の状態である。また、吸着ノズル46の「準備状態」とは、複数の装着位置Pm1~Pm3に対して設定された準備位置Pr1~Pr3に移動され、準備角度Ar1~Ar3に回転された吸着ノズル46の状態である。
【0075】
また、準備位置Pr1~Pr3は、規定の推進方向(本実施形態において、XY軸の軸方向)および距離LPx,LPyに吸着ノズル46を移動させた場合に装着位置Pm1となる元の位置である。また、準備角度Ar1は、規定の回転方向(本実施形態において、θ軸の周方向)および角度LAθに吸着ノズル46を回転させた場合に装着角度Am1となる元の角度である。
【0076】
記憶装置73に記憶された制御情報は、現在位置Pcから次の装着位置Pm1に吸着ノズル46を移動させる場合に、準備位置Pr1を経由させる高精度モードであるか、当該準備位置Pr1の経由を要しない通常モードであるかを示す情報である。また、制御情報は、現在角度Acから次の装着角度Am1に吸着ノズル46を回転させる場合に、準備角度Ar1を経由させる高精度モードであるか、当該準備角度Ar1の経由を要しない通常モードであるかを示す情報である。
【0077】
制御情報は、高精度モードとするか否かについて、例えば、電子部品T1ごと、部品種ごと、一の装着サイクルごとに設定してもよい。本実施形態においては、一の装着サイクルごとに高精度モードまたは通常モードを切り換える態様を例示する。また、制御情報には、推進軸(XY軸)および回転軸(θ軸)の何れかのみを高精度モードとする設定が可能である。
【0078】
(4-3-1.通常モードの装着処理)
装着処理(S30)を通常モードで実行する場合には(S31:Yes)、図10の二点鎖線の矢印で示す順に、吸着ノズル46が移動される。具体的には、現在位置Pcから次の装着位置Pm1に移動させる場合に、実装制御部71は、先ず、通常モード用の装着位置Pm1および装着角度Am1を算出する(S32)。通常モード用の装着位置Pm1は、キャリブレーション処理により取得したヘッド駆動装置31の動作に係る校正値を、現在位置Pcと次の装着位置Pm1との距離に応じた係数を用いて調整し、調整された校正値に基づいて制御プログラムにおける指令位置を校正し、さらに吸着状態に応じて補正した位置である。
【0079】
また、通常モード用の装着角度Am1は、キャリブレーション処理により取得したθ軸駆動装置の動作に係る校正値を、現在角度Acと次の装着角度Am1との角度差に応じた係数を用いて調整し、調整された校正値に基づいて制御プログラムにおける指令角度を校正し、さらに吸着状態に応じて補正した角度である。そして、実装制御部71は、吸着ノズル46を現在位置Pcから次の装着位置Pm1に移動させるとともに、吸着ノズル46を現在角度Acから次の装着角度Am1に回転させる(S33)。
【0080】
その後に、実装制御部71は、吸着ノズル46を下降させて回路基板Bd上に電子部品T1を装着し、当該吸着ノズル46を上昇させる(S34)。実装制御部71は、制御プログラムに基づいて、今回の装着サイクルにおいて装着予定の全ての電子部品T1の装着処理が終了したか否かを判定する(S35)。実装制御部71は、現在の吸着ノズル46を現在状態として、全ての装着処理が終了するまで上記処理(S32~S34)を繰り返し実行して、装着処理(S30)を終了する。
【0081】
制御装置70は、上記のように、その部品実装機1の固有に発生するバックラッシュやロストモーションに対応するために、キャリブレーション処理により取得した校正値を用いて、通常モード用の装着位置Pm1~Pm3における位置決め誤差および角度決め誤差の低減を図っている。これにより、通常モード用の装着位置Pm1~Pm3における吸着ノズル46の移動動作および回転動作は、ある程度の許容誤差の範囲に収められるように制御される。
【0082】
(4-3-2.高精度モードの装着処理)
通常モードの装着処理(S30)において、吸着ノズル46の推進軸(XY軸)方向の位置、および回転軸(θ軸)周りの角度は、上記の許容誤差の範囲内に収められる一方で、当該範囲内おいてばらつきが生じる。そのため、制御装置70は、より高精度な装着処理(S30)が求められる場合には、上記のばらつきを低減するために、高精度モードの装着処理(S30)を実行する。
【0083】
装着処理(S30)を高精度モードで実行する場合には(S31:No)、図10の太実線の矢印で示す順に、吸着ノズル46が移動される。具体的には、制御装置70の実装制御部71は、吸着ノズル46を現在位置Pcから次の装着位置Pm1へと移動させる場合に、準備状態に吸着ノズル46を移行させた後に、当該準備状態から装着状態へと移行させる。
【0084】
ここで、部品実装機1は、上述したように、吸着ノズル46が準備状態から装着状態へと移行される際に移動する推進軸(XY軸)を対象として、当該推進軸の軸方向および距離に対する校正値を取得するキャリブレーション処理を予め実行されている。上記の規定の推進方向および距離LPx,LPyは、本実施形態において、キャリブレーション処理において吸着ノズル46を、準備位置fPr1~fPr3から装着位置fPm1~fPm3にそれぞれ移動させた推進軸(XY軸)の軸方向および距離LPx,LPyに等しく設定されている。
【0085】
また、本実施形態において、高精度モードの装着処理(S30)の対象に回転軸(θ軸)が含まれる。そのため、実装制御部71は、準備状態において、装着角度に対して規定の回転方向(θ軸の周方向)および角度に吸着ノズル46を回転させた状態とする。具体的には、実装制御部71は、吸着ノズル46を現在位置Pcから次の装着位置Pm1へと移動させる場合に、装着位置Pm1において電子部品T1を装着する吸着ノズル46の装着角度Am1に対して規定の回転方向(θ軸の周方向)および角度APθに吸着ノズル46を回転させた準備角度Ar1とする。
【0086】
ここで、部品実装機1は、上述したように、吸着ノズル46が準備状態から装着状態へと移行される際に回転する回転軸(θ軸)を対象として、当該回転軸の周方向および角度に対する校正値を取得するキャリブレーション処理を予め実行されている。上記の規定の回転方向および角度APθは、本実施形態において、キャリブレーション処理において吸着ノズル46を、準備角度fAr1~fAr3から装着角度fAm1~fAm3にそれぞれ回転させた回転軸(θ軸)の周方向および角度APθに等しく設定されている。
【0087】
このように、吸着ノズル46の準備状態は、装着状態に対して規定の推進方向(XY軸方向)および距離に吸着ノズル46を変位させた状態であり、且つ装着状態に対して規定の回転方向(θ軸の周方向)および角度に吸着ノズル46を旋回させた状態である。
【0088】
高精度モードの実装処理において、実装制御部71は、先ず、高精度モード用の装着位置Pm1および装着角度Am1を算出する(S41)。高精度モード用の装着位置Pm1は、準備位置Pr1から制御プログラムによる指令位置へと移動すると仮定して、当該移動の距離に応じた係数を用いて調整された校正値に基づいて上記の指令位置を校正し、さらに吸着状態に応じて補正した位置である。なお、本実施形態において、規定の距離LPx,LPyがキャリブレーション処理において吸着ノズル46を移動させた距離LPx,LPyに等しく設定されるため、上記の係数は1に設定され、当該係数を用いた校正値の調整は省略される。
【0089】
また、高精度モード用の装着角度Am1は、準備角度Ar1から制御プログラムによる指令角度へと回転すると仮定して、当該回転の角度に応じた係数を用いて調整された校正値に基づいて上記の指令角度を校正し、さらに吸着状態に応じて補正した角度である。なお、本実施形態において、規定の角度APθがキャリブレーション処理において吸着ノズル46を旋回させた角度APθに等しく設定されるため、上記の係数は1に設定され、当該係数を用いた校正値の調整は省略される。
【0090】
実装制御部71は、次に、準備位置Pr1および準備角度Ar1を算出する(S42)。準備位置Pr1は、S41にて算出された校正後の装着位置Pm1に対して、規定の推進方向および距離LPx,LPyに移動させた位置であり、吸着状態に応じた補正量を含む。準備角度Ar1は、S41にて算出された補正後の装着角度Am1に対して、規定の回転方向および角度APθに回転させた角度であり、吸着状態に応じた補正量を含む。
【0091】
実装制御部71は、現在位置Pcおよび現在角度Acにある吸着ノズル46を、準備位置Pr1に移動させるとともに、準備角度Ar1に回転させる(S43)。これにより、吸着ノズル46は、次の装着状態に対応した準備状態へと移行される。制御装置70は、吸着ノズル46の準備状態において、当該準備状態から装着状態へと吸着ノズル46が移行される際に駆動される駆動装置の動作を一時停止させる(S44)。
【0092】
具体的には、制御装置70の実装制御部71は、準備位置Pr1に吸着ノズル46が到達した際に、ヘッド駆動装置31のXY軸に係る動作を一時停止させる。これにより、吸着ノズル46のX軸方向およびY軸方向の速度は一時的に0となる。同様に、制御装置70の実装制御部71は、準備角度Ar1に吸着ノズル46が到達した際に、θ軸駆動装置のθ軸に係る動作を一時停止させる。これにより、吸着ノズル46のθ軸周りの旋回速度は一時的に0となる。
【0093】
そして、実装制御部71は、吸着ノズル46を準備位置Pr1から次の装着位置Pm1に移動させるとともに、吸着ノズル46を準備角度Ar1から次の装着角度Am1に回転させる(S45)。その後に、実装制御部71は、吸着ノズル46を下降させて回路基板Bd上に電子部品T1を装着し、当該吸着ノズル46を上昇させる(S46)。実装制御部71は、制御プログラムに基づいて、今回の装着サイクルにおいて装着予定の全ての電子部品T1の装着処理が終了したか否かを判定する(S47)。実装制御部71は、現在の吸着ノズル46を現在状態として、全ての装着処理が終了するまで上記処理(S41~S46)を繰り返し実行して、装着処理(S30)を終了する。
【0094】
上述したように、制御装置70は、装着処理(S30)において、吸着ノズル46を複数の装着位置Pm1~Pm3へと順次移動させる際に、また吸着ノズル46を複数の装着角度Am1~Am3へと順次回転させる際に、制御情報に基づいて高精度モードおよび通常モードを切り換えて吸着ノズル46の移動動作を制御する。これにより、装着処理(S30)が高精度モードで実行される場合には(S31:No)、図10の太実線の矢印で示す順に、吸着ノズル46が移動および回転される。
【0095】
このとき、高精度モードの装着処理(S30)においては、それぞれの装着位置Pm1~Pm3への移動に伴う吸着ノズル46の直前動作は、規定の軸方向(XY軸方向)および距離LPx,LPyとなり共通する。これにより、現在位置Pcから直接的に装着位置Pm1~Pm3へと順次移動させる通常モードと比較して、吸着ノズル46のXY軸方向位置のばらつきが低減するので、高精度な位置決めが可能となる。
【0096】
また、高精度モードの装着処理(S30)においては、それぞれの装着角度Am1~Am3への回転に伴う吸着ノズル46の直前動作は、規定の回転方向(θ軸の周方向)および角度APθとなり共通する。これにより、現在位置Pcにおける吸着ノズル46のθ軸周りの角度から直接的に装着角度Am1~Am3へと順次回転させる通常モードと比較して、吸着ノズル46のθ軸周りのばらつきが低減するので、高精度な角度決めが可能となる。
【0097】
(5.制御プログラムの最適化)
部品実装機1の制御装置70は、実装制御において、複数の装着位置Pm1~Pm3に電子部品T1を移載する順序が示された制御プログラムに従って吸着ノズル46の移動動作および回転動作を制御する。また、制御装置70は、制御プログラムに示される装着位置Pm1~Pm3に対する電子部品T1の装着処理について、高精度モードで実行するか否かを判定して(S31)する。これにより、吸着ノズル46が装着状態に移行される前に、準備状態を経由するか否かが決定することになる。
【0098】
つまり、制御装置70は、制御情報に高精度モードが設定されている場合には、装着状態へと吸着ノズル46を移行する前に、準備位置Pr1~Pr3への移動を挿入する。そのため、吸着ノズル46の移動経路は、図10の二点鎖線の矢印にて示される通常モードと、同図の太実線の矢印にて示される高精度モードとでは相違する。
【0099】
そこで、本実施形態において、実装制御に用いられる制御プログラムは、複数の装着位置Pm1~Pm3への吸着ノズル46の移動に伴う吸着ノズル46の移動量または移動時間に基づいて、電子部品T1を移載する順序を最適化される。より詳細には、最適化処理において、共通する準備位置から装着位置への移動を一の移動グループとして、複数の移動グループの順序を入れ換えた複数の順序パターンにおける移動量または移動時間が算出される。そして、移動量が少なく、または移動時間が短い順序パターンを最適な移載の順序であるものとして採用して、制御プログラムが最適化される。
【0100】
(6.実施形態の構成による効果)
本実施形態に係る制御装置70(制御方法)は、供給位置Psに供給された電子部品T1を保持部材(吸着ノズル46)により保持して回路基板Bd上の装着位置Pm1~Pm3まで当該電子部品T1を移載する部品実装機1に適用され、当該保持部材(吸着ノズル46)の移動動作を制御する。
制御装置70は、保持部材(吸着ノズル46)を現在位置Pcから部品実装機1の機内における所定の処理位置(装着位置Pm1~Pm3)へと移動させる場合に、当該処理位置(装着位置Pm1~Pm3)に対して規定の推進方向および距離LPx,LPyに設定された準備位置Pr1~Pr3に保持部材(吸着ノズル46)を移動させた後に、当該準備位置Pr1~Pr3から処理位置(装着位置Pm1~Pm3)へと保持部材(吸着ノズル46)を移動させる。
【0101】
このような構成によると、吸着ノズル46は、現在位置Pcから装着位置Pm1~Pm3へと順次移動する際に、準備位置Pr1~Pr3を経由する。これにより、準備位置Pr1~Pr3から装着位置Pm1~Pm3へと移動する際の吸着ノズル46の移動量が規定の距離LPx,LPyに応じて定量となる。そのため、移動後の装着位置Pm1~Pm3においてバックラッシュ等により発生する位置誤差が小さくなる。そのため、当該位置誤差を校正するための校正値を用いて実装制御することにより、実装制御の精度向上を図ることができる。
【0102】
また、部品実装機1は、保持部材(吸着ノズル46)が準備位置Pr1~Pr3から処理位置(装着位置Pm1~Pm3)へと移動される際に変位する推進軸(XY軸)を対象として、当該推進軸(XY軸)の軸方向および距離LPx,LPyに対する校正値を取得するキャリブレーション処理を予め実行される。規定の推進方向および距離LPx,LPyは、キャリブレーション処理において保持部材(吸着ノズル46)を移動させた推進軸(XY軸)の軸方向および距離LPx,LPyに設定される。
【0103】
このような構成によると、規定の推進方向および距離LPx,LPyがキャリブレーション処理における推進軸(XY軸)の軸方向および距離LPx,LPyと等しく設定される。ここで、キャリブレーション処理における推進方向の移動距離と規定の距離LPx,LPyが異なる場合には、その差異に基づく係数を用いて校正値を調整する必要がある。これに対して、上記構成とすることにより、上記係数が1となるため、校正値の調整を省略できる。また、キャリブレーション処理により取得された校正値を、準備状態から装着状態へと移行する吸着ノズル46の移動に正確に反映させることができる。
【0104】
また、準備位置Pr1~Pr3は、校正値を用いて校正された処理位置(装着位置Pm1~Pm3)に対して規定の推進方向および距離LPx,LPyに設定される。
このような構成によると、吸着ノズル46は、キャリブレーション処理により取得された校正値に基づいて校正された装着位置Pm1~Pm3から推進方向に規定の距離LPx,LPyに変位させた準備位置Pr1~Pr3を経由する。これにより、準備位置Pr1~Pr3から装着位置Pm1~Pm3への移動に際しては、キャリブレーション処理により取得された校正値を調整することなく用いることができる。よって、制御処理の精度向上を図ることができる。
【0105】
また、制御装置70は、保持部材(吸着ノズル46)を準備位置Pr1~Pr3に移動させた際に、当該保持部材(吸着ノズル46)の推進方向の移動を一時停止させる(S44)。
このような構成によると、吸着ノズル46は、現在位置Pcから準備位置Pr1~Pr3に移動される際に、ヘッド駆動装置31の推進軸(XY軸)に係る動作を一時停止される。これにより、吸着ノズル46は、高精度モードの制御対象である推進軸(XY軸)の軸方向速度を一時的に0とされる。よって、吸着ノズル46の現在位置Pcに関わらず、準備位置Pr1~Pr3から装着位置Pm1~Pm3への移動における移動量をより確実に定量とすることができる。よって、移動後の吸着ノズル46の位置誤差が小さくなるので、実装制御の精度向上を図ることができる。
【0106】
また、制御装置70は、現在位置Pcから処理位置(装着位置Pm1~Pm3)へと保持部材(吸着ノズル46)を移動させる場合に、準備位置Pr1~Pr3を経由させる高精度モードであるか、当該準備位置Pr1~Pr3の経由を要しない通常モードであるかを示す制御情報を有する。制御装置70は、保持部材(吸着ノズル46)を複数の処理位置(装着位置Pm1~Pm3)へと順次移動させる際に、制御情報に基づいて高精度モードおよび通常モードを切り換えて保持部材(吸着ノズル46)の移動動作を制御する。
【0107】
このような構成によると、装着処理に要求される精度に応じて装着処理を実行することができる。高精度モードの装着処理(S30)は、準備位置Pr1~Pr3を経由するため、全体の移動距離および移動時間が通常モードの装着処理(S30)と比較して増加する。そのため、例えば部品種などに応じて、通常モードによる精度で足りる場合には通常モードで装着処理(S30)を実行し、より高い精度が要求される場合には高精度モードの装着処理(S30)とすることにより、要求される精度を確保しつつ、制御全体に必要な実装時間の増大を抑制できる。
【0108】
本実施形態に係る制御装置70(制御方法)は、供給位置Psに供給された電子部品T1を保持部材(吸着ノズル46)により保持して回路基板Bd上の装着位置Pm1~Pm3まで当該電子部品T1を移載する部品実装機1に適用され、当該保持部材(吸着ノズル46)の回転動作を制御する。
制御装置70は、保持部材(吸着ノズル46)を現在角度Acから当該保持部材(吸着ノズル46)を所定の処理角度(装着角度Am1~Am3)へと回転させる場合に、当該処理角度(装着角度Am1~Am3)に対して規定の回転方向および角度APθに設定された準備角度Ar1~Ar3に保持部材(吸着ノズル46)を回転させた後に、当該準備角度Ar1~Ar3から処理角度(装着角度Am1~Am3)へと保持部材(吸着ノズル46)を回転させる。
【0109】
このような構成によると、吸着ノズル46は、現在角度Acから装着角度Am1~Am3へと回転する際に、準備角度Ar1~Ar3を経由する。これにより、準備角度Ar1~Ar3から装着角度Am1~Am3への吸着ノズル46の回転が規定の回転方向の角度APθに応じて定量となる。そのため、回転後の吸着ノズル46の装着角度Am1~Am3においてバックラッシュ等により発生する角度誤差が小さくなる。そのため、当該角度誤差を校正するための校正値を用いて実装制御をすることにより、実装制御の精度向上を図ることができる。
【0110】
また、部品実装機1は、保持部材(吸着ノズル46)が準備角度Ar1~Ar3から処理角度(装着角度Am1~Am3)へと回転される際に旋回する回転軸(θ軸)を対象として、当該回転軸(θ軸)の周方向および角度に対する校正値を取得するキャリブレーション処理を予め実行される。規定の回転方向および角度APθは、キャリブレーション処理において保持部材(吸着ノズル46)を回転させた回転軸(θ軸)の周方向および角度APθに設定される。
【0111】
このような構成によると、規定の回転方向および角度APθがキャリブレーション処理における回転軸(θ軸)の周方向および角度APθと等しく設定される。ここで、キャリブレーション処理における回転方向の回転角度と規定の角度APθが異なる場合には、その差異に基づく係数を用いて校正値を調整する必要がある。これに対して、上記構成とすることにより、上記係数が1となるめ、校正値の調整を省略できる。また、キャリブレーション処理により取得された校正値を、準備状態から装着状態へと移行する吸着ノズル46の移動に正確に反映させることができる。
【0112】
また、準備角度Ar1~Ar3は、校正値を用いて校正された処理角度(装着角度Am1~Am3)に対して規定の回転方向および角度APθに設定される。
このような構成によると、吸着ノズル46は、キャリブレーション処理により取得された校正値に基づいて校正された装着角度Am1~Am3から回転方向に規定の角度APθに旋回させた準備角度Ar1~Ar3を経由する。これにより、準備角度Ar1~Ar3から装着角度Am1~Am3への回転に際しては、キャリブレーション処理により取得された校正値を調整することなく用いることができる。よって、制御処理の精度向上を図ることができる。
【0113】
また、制御装置70は、保持部材(吸着ノズル46)を準備角度Ar1~Ar3に回転させた際に、当該保持部材(吸着ノズル46)の回転方向の回転を一時停止させる(S44)。
このような構成によると、吸着ノズル46は、現在角度Acから準備角度Ar1~Ar3に回転される際に、θ軸駆動装置の回転軸(θ軸)に係る動作を一時停止される。これにより、吸着ノズル46は、高精度モードの対象である回転軸(θ軸)の回転速度を一時的に0とされる。よって、吸着ノズル46の現在角度Acに関わらず、準備角度Ar1~Ar3から装着角度Am1~Am3への回転における回転量をより確実に定量とすることができる。よって、回転後の吸着ノズル46の回転誤差が小さくなるので、実装制御の精度向上を図ることができる。
【0114】
また、制御装置70は、現在角度Acから処理角度(装着角度Am1~Am3)へと保持部材(吸着ノズル46)を回転させる場合に、準備角度Ar1~Ar3を経由させる高精度モードであるか、当該準備角度Ar1~Ar3の経由を要しない通常モードであるかを示す制御情報を有する。制御装置70は、保持部材(吸着ノズル46)を複数の処理角度(装着角度Am1~Am3)へと順次回転させる際に、制御情報に基づいて高精度モードおよび通常モードを切り換えて保持部材(吸着ノズル46)の回転動作を制御する。
【0115】
このような構成によると、装着処理に要求される精度に応じて装着処理を実行することができる。高精度モードの装着処理(S30)は、準備角度Ar1~Ar3を経由するため、全体の回転量および開店時間が通常モードの装着処理(S30)と比較して増加するおそれがある。そのため、例えば部品種などに応じて、通常モードによる精度で足りる場合には通常モードで装着処理(S30)を実行し、より高い精度が要求される場合には高精度モードの装着処理(S30)とすることにより、要求される精度を確保しつつ、制御全体に必要な実装時間の増大を抑制できる。
【0116】
また、処理位置(装着位置Pm1~Pm3)には、回路基板Bd上の装着位置Pm1~Pm3が含まれる。制御装置70は、複数の装着位置Pm1~Pm3に電子部品T1を移載する順序が示された制御プログラムに従って保持部材(吸着ノズル46)の移動動作を制御する。制御プログラムは、複数の装着位置Pm1~Pm3に対応したそれぞれの準備位置Pr1~Pr3への保持部材(吸着ノズル46)の移動に伴う当該保持部材(吸着ノズル46)の移動量または移動時間に基づいて、電子部品T1を移載する順序を最適化される。
【0117】
ここで、制御プログラムが準備状態の経由を考慮しないで最適化されると、連続する装着位置Pm1~Pm3と準備位置Pr1~Pr3との方向および距離の関係によっては、準備位置Pr1~Pr3への経由によってサイクルタイムが却って延びるおそれがある。これに対して、上記のような構成によると、制御プログラムが準備状態の経由を想定して最適化される。これにより、実装制御の精度向上を図りつつ、サイクルタイムの増大を防止して効率的な実装制御を行うことができる。
【0118】
<実施形態の変形態様>
(高精度モードの装着処理について)
実施形態において、制御装置70は、吸着ノズル46を準備状態に移行させた際に、ヘッド駆動装置31のXY軸に係る動作、およびθ軸駆動装置のθ軸に係る動作を一時停止させる。これに対して、制御装置70は、保持部材(吸着ノズル46)を準備位置Pr1~Pr3に移動させた際に、当該保持部材(吸着ノズル46)の推進方向の移動速度を一定範囲に制限してもよい。同様に、制御装置70は、保持部材(吸着ノズル46)を準備角度Ar1~Ar3に回転させた際に、当該保持部材(吸着ノズル46)の回転方向の回転速度を一定範囲に制限してもよい。
【0119】
このような構成によると、吸着ノズル46は、準備状態に移行されて駆動装置の動作を制限されて、当該駆動軸(推進軸(XY軸)または回転軸(θ軸))の軸方向速度を所定値に設定される。これにより、現在の状態に関わらず、準備状態から装着状態への移行に伴う吸着ノズル46の動作をより確実に定量とすることができる。また、駆動軸の軸方向速度を0より大きく維持することにより、準備状態で吸着ノズル46の動作を一時停止させる構成と比較して、準備状態を経由することによるサイクルタイムの増大を抑制できる。但し、より位置誤差を小さくするという観点からは、実施形態にて例示した構成が好適である。
【0120】
また、実施形態において、制御装置70は、推進軸であるX軸およびY軸、および回転軸であるθ軸を対象として、これらの駆動軸に係る駆動装置の誤差を低減する高精度モードの装着処理を実行した。これに対して、制御装置70は、推進軸としてX軸またはY軸の何れか一方のみを対象として、また回転軸としてR軸のみまたはθ軸と複合的に対象として、高精度モードの実装処理を実行してもよい。このような構成においても、対象とされる推進軸または回転軸について、実施形態と同様の効果を奏する。
【0121】
また、実施形態において、準備状態から装着状態へと移行させる際の規定の距離LPx,LPy、および規定の角度APθは、キャリブレーション処理における推進方向(XY軸方向)の距離LPx,LPy、および回転方向(θ軸の周方向)の角度APθにそれぞれ等しく設定される。これに対して、規定の距離LPx,LPy、および規定の角度APθは、キャリブレーション処理における動作の距離および角度とは異なる値に設定してもよい。
【0122】
この場合には、規定の距離LPx,LPy、および規定の角度APθに応じた係数(実施形態においては1)を用いて校正値が調整され、調整された校正値に基づいて装着位置Pm1~Pm3および装着角度Am1~Am3が校正される。このような構成は、例えば、キャリブレーション処理における動作の距離に対して連続する装着位置の間隔が短い場合、またはキャリブレーション処理における動作の角度に対して連続する装着角度の角度差が小さい場合などに適用することが考えられる。
【0123】
但し、係数を算出することなく、キャリブレーション処理により取得された校正値の調整を省略して装着処理を実行するという観点からは、実施形態にて例示した構成が好適である。このように、キャリブレーション処理により取得された校正値に基づいて装着位置Pm1~Pm3および装着角度Am1~Am3を校正することにより、キャリブレーション処理の結果を適正に反映して、実装制御の精度向上を図ることができる。
【0124】
(高精度モードの撮像処理について)
実施形態において、制御装置70は、本発明における「部品実装機の機内における所定の処理位置」として装着位置Pm1~Pm3を適用し、また「保持部材の処理角度」として装着角度Am1~Am3を適用し、高精度モードで装着処理(S30)を実行する。これに対して、制御装置70は、上記の高精度モードにおける動作を、電子部品T1の下面を撮像する撮像処理(S20)に適用してもよい。このとき、制御装置70は、「部品実装機の機内における所定の処理位置」として撮像位置を適用し、また「保持部材の処理角度」として撮像角度を適用する。
【0125】
ここで、制御装置70は、通常モードの下面の撮像処理(S20)により取得された画像データを画像処理する場合に、先ず、装着ヘッド40の基準マーク59を認識する。そして、制御装置70は、当該基準マーク59に対する相対位置に基づいて、吸着ノズル46による電子部品T1の吸着状態を認識する。
【0126】
しかしながら、基準マーク59が付されていない装着ヘッドの場合には、例えばカメラ視野の中心にR軸を一致させるようにヘッド駆動装置31を移動させて撮像を行う。そして、画像処理においては画像データの中心をR軸とみなして吸着状態が認識される。そのため、上記のヘッド駆動装置31のXY軸方向の位置決めに誤差が含まれていると、吸着状態にも同様に誤差が含まれることになる。
【0127】
そこで、制御装置70は、高精度モードの下面の撮像処理(S20)において、準備状態を経由してから撮像状態へと移行して、部品カメラ15による撮像を行う。具体的には、制御装置70は、下面の撮像処理(S20)において位置決めされる装着ヘッド40の撮像位置(本発明の「処理位置」に相当する)を取得する。また、制御装置70は、下面の撮像処理(S20)においてR軸周りに角度決めされるツール本体44の撮像角度(本発明の「処理角度」に相当する)、およびθ軸周りに角度決めされる吸着ノズル46の撮像角度(本発明の「処理角度」に相当する)の少なくとも一方を取得する。
【0128】
制御装置70は、取得した撮像位置および撮像角度に対応する準備位置および準備角度を設定する。そして、制御装置70は、現在位置から準備位置を経由して撮像位置へと移動するように部品移載装置30の移動動作を制御するとともに、現在角度から準備角度を経由して撮像角度へと回転するように部品移載装置の回転動作を制御する。その後に、制御装置70は、ツール本体44の下方に位置する部品カメラ15により撮像を行う。
【0129】
これにより、推進軸(XY軸)および回転軸(Rθ軸)を対象として、下面の撮像処理(S20)に高精度モードの動作を適用した場合には、撮像状態における吸着ノズル46のXY軸方向の位置決め、およびRθ軸の周方向の角度決めの誤差が低減される。よって、基準マーク59が付されていない装着ヘッドであっても、当該装着ヘッド40の吸着ノズル46に保持された電子部品T1を対象とした下面の撮像処理(S20)の精度、および吸着状態の認識処理の精度を向上できる。
【0130】
(高精度モードの吸着処理について)
実施形態において、制御装置70は、本発明における「部品実装機の機内における所定の処理位置」として装着位置Pm1~Pm3を適用し、また「保持部材の処理角度」として装着角度Am1~Am3を適用し、高精度モードで装着処理(S30)を実行する。これに対して、制御装置70は、上記の高精度モードにおける動作を、電子部品T1を吸着する吸着処理(S14)に適用してもよい。このとき、制御装置70は、「部品実装機の機内における所定の処理位置」として吸着位置を適用し、また「保持部材の処理角度」として吸着角度を適用する。
【0131】
制御装置70は、吸着処理(S14)を通常モードで実行する場合には、供給位置Psに供給された電子部品T1に設定された吸着位置に吸着ノズル46を位置決めするとともに、当該電子部品T1に設定された吸着角度に吸着ノズル46を角度決めする。なお、吸着位置が設定されていない場合には、例えば外形中心を吸着位置とし、また吸着角度が設定されていない場合には、任意の吸着角度での吸着が許容される。
【0132】
しかしながら、実装対象の電子部品T1がLED素子80のように、吸着位置が外形中心や重心位置から偏心して設定されている場合には、当該吸着位置に吸着ノズル46をより正確に位置決めすることが要求される。また、電子部品T1の吸着に異方的な下面形状を有する専用ノズル60を用いる場合には、電子部品T1に設定される吸着角度に専用ノズル60をより正確に角度決めすることが要求される。
【0133】
そこで、制御装置70は、高精度モードの吸着処理(S14)において、準備状態を経由してから撮像状態へと移行して、専用ノズル60により電子部品T1を吸着して保持する。具体的には、制御装置70は、電子部品T1に対して予め設定されている吸着位置(本発明の「処理位置」に相当する)、および吸着角度(本発明の「処理角度」に相当する)を取得する。
【0134】
なお、上記の吸着位置および吸着角度は、電子部品T1の上面にある特徴部に対する相対位置および相対角度として設定されることがある。このような場合には、制御装置70は、TVR制御の過程で取得される特徴部に基づいて、吸着位置および吸着角度を確定する。具体的には、制御装置70は、供給位置Psに供給された電子部品T1の上面を撮像(S12)して取得された画像データに基づいて、当該電子部品T1を吸着する際に位置決めされる専用ノズル60の吸着位置を処理位置として取得する。同様に、制御装置70は、供給位置Psに供給された電子部品T1の上面を撮像(S12)して取得された画像データに基づいて、当該電子部品T1を保持する際に角度決めされる専用ノズル60の吸着角度を処理角度として取得する。
【0135】
そして、制御装置70は、専用ノズル60を現在位置Pcから吸着位置へと移動させる場合に、吸着位置に対応する準備位置に専用ノズル60を移動させた後に、当該準備位置から吸着位置へと専用ノズル60を移動させる。また、制御装置70は、専用ノズル60を現在角度Acから吸着角度へと回転させる場合に、吸着位置に対応する準備角度に専用ノズル60を回転させた後に、当該準備角度から吸着角度へと専用ノズル60を回転させる。その後に、制御装置70は、専用ノズル60に負圧エアを供給しつつ下降させて、電子部品T1を吸着させる。
【0136】
これにより、推進軸(XY軸)および回転軸(θ軸)を対象として、電子部品T1の吸着処理(S14)に高精度モードの動作を適用した場合には、吸着状態における吸着ノズル46のXY軸方向の位置決め、およびθ軸の周方向の角度決めの誤差が低減される。よって、吸着位置および吸着角度が設定された電子部品T1を対象とした場合であっても、当該電子部品T1を対象とした吸着処理(S14)の精度を向上できる。
【0137】
また、上記の構成において、吸着ノズル46は、電子部品T1の上面のうち当該電子部品T1の外形中心または重心位置から偏心した位置に吸着位置が設定された電子部品T1(LED素子80)を吸着して保持する専用ノズル60である。また、吸着ノズル46は、吸着角度が電子部品T1の基準に対して所定の角度範囲に制限して設定された電子部品T1(LED素子80)を吸着して保持する専用ノズル60である。
このような構成によると、電子部品T1の上面のうち外形中心または重心位置に近い部位に接触して吸着できないLED素子80のような電子部品T1を対象として、専用ノズル60を用いて吸着することによって確実に電子部品T1を保持できる。また、専用ノズル60が異方的な下面形状を有する場合には、電子部品T1の吸着位置および吸着角度に対してより正確に位置決めおよび角度決めする必要性が高い。そのため、専用ノズル60を用いた吸着処理(S14)を高精度モードで実行することは特に有用である。
【0138】
(保持部材について)
実施形態において、保持部材は、負圧エアを供給されて電子部品T1を吸着して保持する吸着ノズル46(専用ノズル60を含む)を採用される。これに対して、部品実装機1は、チャックにより電子部品T1を把持により保持する把持装置を、保持部材として採用してもよい。このような構成においても実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0139】
1:部品実装機
30:部品移載装置、 31:ヘッド駆動装置
40:装着ヘッド、 46:吸着ノズル(保持部材)
60:専用ノズル(保持部材)
61:円筒部、 62:ノズル本体
63:吸着面、 63a:開口部
64:退避部、 65:補助面
70:制御装置、 71:実装制御部
80:LED素子(電子部品)
81:部品本体、 82:発光部、 83:電極部
Bd:回路基板、 T1:電子部品
Ps:供給位置
LPx:(X軸方向の)規定の距離
LPy:(Y軸方向の)規定の距離
APθ:(θ軸方向の)規定の角度
Pc:現在位置、 Ac:現在角度
Pm1~Pm3:(高精度モードの装着処理における)装着位置
Pr1~Pr3:(高精度モードの装着処理における)準備位置
fPm1~fPm3:(キャリブレーション処理における)装着位置
fPr1~fPr3:(キャリブレーション処理における)準備位置
Am1~Am3:(高精度モードの装着処理における)装着角度
Ar1~Ar3:(高精度モードの装着処理における)準備角度
fAm1~fAm3:(キャリブレーション処理における)装着角度
fAr1~fAr3:(キャリブレーション処理における)準備角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10