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特開2024-152898情報配信サーバ及びこれを備えた情報配信システム並びに情報配信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152898
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報配信サーバ及びこれを備えた情報配信システム並びに情報配信方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20241018BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139583
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2023148610の分割
【原出願日】2019-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末次 圭介
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 雅貴
(57)【要約】
【課題】実店舗を運営する事業者が、顧客の顔画像に関する情報を管理する必要なしに、実店舗における各顧客を特定し、実店舗におけるそれら顧客の利用状況を把握する。
【解決手段】情報配信サーバ2は、プロセッサと、実店舗への来店に基づく各顧客の行動に関する行動履歴情報を記憶する行動履歴記憶部54と、を備え、そのプロセッサは、実店舗への来店を特定するための各顧客の顔画像を取得すると共に、事業者サーバ3の会員情報を補完する顔画像を識別するための顔画像識別情報を生成し、実店舗の利用状況に関する1以上のセグメント基準に基づき、行動履歴情報を用いて顧客のセグメンテーションを実行することにより、各顧客を1以上のセグメントに割り当て、セグメントの少なくとも1つに属する複数の顧客に対応する顔画像識別情報の集合である店舗利用情報を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実店舗の複数の顧客に関する会員情報を管理する1以上の事業者用装置に対して前記実店舗における前記顧客の利用状況に関する店舗利用情報を提供する情報配信サーバであって、
プロセッサと、
前記実店舗への来店に基づく前記顧客の行動に関する行動履歴情報を記憶する行動履歴記憶部と、
を備え、
前記プロセッサは、
前記実店舗への来店を特定するための前記顧客の顔画像を取得すると共に、前記会員情報を補完する前記顔画像を識別するための顔画像識別情報を生成し、
前記顧客を1以上のセグメントに割り当て、前記セグメントの少なくとも1つに属する前記顧客に対応する前記顔画像識別情報の集合である前記店舗利用情報を生成する、情報配信サーバ。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記事業者用装置からの送信要求に応じて、前記店舗利用情報を前記事業者用装置に送信する請求項1に記載の情報配信サーバ。
【請求項3】
前記送信要求には、少なくとも1つの前記顧客に関する前記顔画像識別情報が含まれ、
前記プロセッサは、
前記送信要求に含まれる前記顔画像識別情報に対応する前記顧客が属する前記セグメントの少なくとも1つを対象セグメントとして抽出し、
前記各対象セグメントに属する複数の前記顧客に対応する前記顔画像識別情報の集合を、前記店舗利用情報として前記事業者用装置に送信する請求項2に記載の情報配信サーバ。
【請求項4】
前記送信要求には、セグメント基準の識別情報が含まれ、
前記プロセッサは、前記送信要求に含まれる前記セグメント基準の識別情報に対応する前記セグメント基準に基づき、前記行動履歴情報に関する前記顧客のセグメンテーションを実行する請求項2または請求項3に記載の情報配信サーバ。
【請求項5】
前記顧客の顔画像は、前記会員情報を登録するために前記顧客の端末に組み込まれたアプリケーションプログラムを介して取得される請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報配信サーバ。
【請求項6】
前記顧客の顔画像は、前記実店舗に設置されたカメラによって撮影される請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報配信サーバ。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記1以上の事業者用装置のうち、前記顧客から許可された事業者用装置に対してのみ、前記店舗利用情報を送信する請求項1から請求項6のいずれかに記載の情報配信サーバ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の前記情報配信サーバと、前記実店舗の前記顧客の各々に関する前記会員情報を管理する1以上の前記事業者用装置と、を備える情報配信システム。
【請求項9】
前記事業者用装置は、前記店舗利用情報に基づき、前記顧客の購買意欲を高める販売促進情報を、対象となる前記顧客の端末および前記実店舗の従業員の端末の少なくとも一方に配信する請求項8に記載の情報配信システム。
【請求項10】
前記実店舗に配置され、前記顧客によって使用されるタッチポイント端末を更に備え、
前記行動履歴情報には、前記顧客が前記タッチポイント端末を使用して特定の商品またはサービスの情報を閲覧する行動に関するタッチポイント情報が含まれる請求項8または請求項9に記載の情報配信システム。
【請求項11】
実店舗の複数の顧客に関する会員情報を管理する1以上の事業者用装置に対して前記実店舗における前記顧客の利用状況に関する店舗利用情報を提供する情報配信サーバによる情報配信方法であって、
前記実店舗への来店に基づく前記顧客の行動に関する行動履歴情報を記憶し、
前記実店舗への来店を特定するための前記顧客の顔画像を取得すると共に、前記会員情報を補完する前記顔画像を識別するための顔画像識別情報を生成し、
前記顧客を1以上のセグメントに割り当て、前記セグメントの少なくとも1つに属する前記顧客に対応する前記顔画像識別情報の集合である前記店舗利用情報を生成する、情報配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実店舗に関する顧客の利用状況に関する情報を提供する情報配信サーバ及びこれを備えた情報配信システム並びに情報配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上の電子商取引サイトに開設された仮想店舗(オンラインショップ)で消費者が商品を購買する機会が増えている。このような仮想店舗を利用する消費者は、実店舗に来店するが、実店舗で商品の実物を確認するだけで、商品の購買は仮想店舗で行う場合が多く、消費者が実店舗に来店したにも拘わらず商品を購買しないという問題がある。このため、実店舗に来店した顧客に対して、商品の購買につながる有効な方策をその場で実施して、実店舗での商品の販売を促進することが望まれる。
【0003】
ネットワーク上の仮想店舗については、店舗の管理者(例えば、店舗を運営する事業者等)は、例えば、サーバやウェブブラウザに保存された顧客に関する履歴情報などに基づき、個々の顧客の行動の履歴(例えば、購買履歴、閲覧履歴等)を比較的容易に収集することが可能である。一方、実店舗では、店舗の管理者は、個々の顧客の行動の履歴の情報を収集するために、例えば、商品の購入時(あるいは、サービスの提供時)や入店時に、顧客を特定するための情報保持媒体(例えば、会員証、携帯情報端末等)を顧客自身に提示してもらうなどの必要があり、仮想店舗に比べて顧客の利便性を低下させてしまう場合がある。
【0004】
そこで、そのような情報保持媒体を用いることなく、実店舗における顧客を特定するための技術として、例えば、店舗で撮像された顧客の顔画像から、当該顧客の顔の特徴を表す顔特徴を抽出し、その抽出された顔特徴に基づき予め記憶した会員情報を取得する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-48462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のような従来技術では、各実店舗の管理者は、各顧客の顔画像(または顔特徴に関するデータ)を厳格に管理する必要があるため、セキュリティ対策などを含む情報管理の負荷が大きくなる。その一方で、顧客にとっては、複数の異なる実店舗(すなわち、異なる事業者)を利用する場合には、自身の顔画像がその都度取得され、それぞれ管理されることになるため、利用する実店舗の数が多くなるほど自身の顔画像の情報の流出のリスクがより高まるという不安が生じる。
【0007】
そこで、本開示は、実店舗を運営する事業者が、自ら顧客の顔画像に関する情報を管理する必要なしに、実店舗における各顧客を特定し、実店舗におけるそれら顧客の利用状況を把握することを可能にする情報配信サーバ及びこれを備えた情報配信システム並びに情報配信方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の情報配信サーバは、実店舗の複数の顧客に関する会員情報を管理する1以上の事業者用装置に対して前記実店舗における前記顧客の利用状況に関する店舗利用情報を提供する情報配信サーバであって、プロセッサと、前記実店舗への来店に基づく前記顧客の行動に関する行動履歴情報を記憶する行動履歴記憶部と、を備え、前記プロセッサは、前記実店舗への来店を特定するための前記顧客の顔画像を取得すると共に、前記会員情報を補完する前記顔画像を識別するための顔画像識別情報を生成し、前記顧客を1以上のセグメントに割り当て、前記セグメントの少なくとも1つに属する前記顧客に対応する前記顔画像識別情報の集合である前記店舗利用情報を生成する構成とする。
【0009】
また、本開示の情報配信システムは、前記情報配信サーバと、前記実店舗の前記顧客の各々に関する前記会員情報を管理する1以上の前記事業者用装置と、を備える構成とする。
【0010】
また、本開示の情報配信方法は、実店舗の複数の顧客に関する会員情報を管理する1以上の事業者用装置に対して前記実店舗における前記顧客の利用状況に関する店舗利用情報を提供する情報配信サーバによる情報配信方法であって、前記実店舗への来店に基づく前記顧客の行動に関する行動履歴情報を記憶し、前記実店舗への来店を特定するための前記顧客の顔画像を取得すると共に、前記会員情報を補完する前記顔画像を識別するための顔画像識別情報を生成し、前記顧客を1以上のセグメントに割り当て、前記セグメントの少なくとも1つに属する前記顧客に対応する前記顔画像識別情報の集合である前記店舗利用情報を生成する構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、実店舗を運営する事業者は、自ら顧客の顔画像に関する情報を管理する必要なしに、実店舗における各顧客を特定し、実店舗におけるそれら顧客の利用状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る情報配信システムの全体構成図
図2】情報配信システムの概要を示す説明図
図3】事業者サーバを示す機能ブロック図
図4】(A)会員登録データベース、(B)購買履歴データベース、および(C)販売促進情報データベースの登録内容一例を示す説明図
図5】情報配信サーバ2を示す機能ブロック図
図6】(A)顔画像データベース、(B)顔特徴量データベース、(C)顔照合履歴データベース、および(D)行動履歴データベースの登録内容の一例を示す説明図
図7】(A)店舗利用データベース、(B)ID連携データベースの登録内容の一例を示す説明図
図8】顧客端末、事業者サーバ、および情報配信サーバによる会員登録の処理の流れを示すフロー図
図9図8に示した会員登録の処理の変形例を示すフロー図
図10図9に示したステップST601で用いられるオプトイン画面の一例を示す説明図
図11】情報配信サーバによる顔照合履歴の生成処理の流れを示すフロー図
図12】情報配信サーバから事業者サーバへの店舗利用情報の配信処理の流れを示すフロー図
図13】情報配信サーバから事業者サーバへの行動履歴情報の配信処理を示すフロー図
図14】情報配信サーバによる顧客のセグメンテーション処理の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、実店舗の複数の顧客に関する会員情報を管理する1以上の事業者用装置に対して前記実店舗における前記顧客の利用状況に関する店舗利用情報を提供する情報配信サーバであって、プロセッサと、前記実店舗への来店に基づく前記顧客の行動に関する行動履歴情報を記憶する行動履歴記憶部と、を備え、前記プロセッサは、前記実店舗への来店を特定するための前記顧客の顔画像を取得すると共に、前記会員情報を補完する前記顔画像を識別するための顔画像識別情報を生成し、前記各顧客を1以上のセグメントに割り当て、前記セグメントの少なくとも1つに属する前記顧客に対応する前記顔画像識別情報の集合である前記店舗利用情報を生成する構成とする。
【0014】
これによると、実店舗を運営する事業者は、自ら顧客の顔画像に関する情報を管理する必要なしに、実店舗における各顧客を特定し、実店舗におけるそれら顧客の利用状況を把握することが可能となる。この場合、情報配信サーバが、複数の異なる事業者用装置(複数の異なる事業者によってそれぞれ運営されるもの)に対して店舗利用情報を提供すれば、顧客は、自身の顔画像がその都度(事業者ごとに)取得されることを回避でき、顔画像の情報の流出のリスクを抑制できる。
【0015】
また、第2の発明は、前記プロセッサは、前記事業者用装置からの送信要求に応じて、前記店舗利用情報を前記事業者用装置に送信する構成とする。
【0016】
これによると、事業者用装置からの送信要求に応じて、適切なタイミングで事業者用装置に対して店舗利用情報を提供することができる。
【0017】
また、第3の発明は、前記送信要求には、少なくとも1つの前記顧客に関する前記顔画像識別情報が含まれ、前記プロセッサは、前記送信要求に含まれる前記顔画像識別情報に対応する前記顧客が属する前記セグメントの少なくとも1つを対象セグメントとして抽出し、前記各対象セグメントに属する複数の前記顧客に対応する前記顔画像識別情報の集合を、前記店舗利用情報として前記事業者用装置に送信する構成とする。
【0018】
これによると、事業者用装置から送信された顔画像識別情報(すなわち、事業者によって選択された顧客)に基づき抽出された対象セグメントに関する顔画像識別情報の集合が、店舗利用情報として事業者用装置に送信されるため、事業者側(事業者用装置)における店舗利用情報の利用価値をより高めることができる。
【0019】
また、第4の発明は、前記送信要求には、セグメント基準の識別情報が含まれ、前記プロセッサは、前記送信要求に含まれる前記セグメント基準の識別情報に対応する前記セグメント基準に基づき、前記行動履歴情報に関する前記顧客のセグメンテーションを実行する構成とする。
【0020】
これによると、事業者用装置から送信されたセグメント基準の識別情報に対応するセグメント基準(すなわち、事業者によって指定されたセグメント基準)に関する顔画像識別情報の集合が、店舗利用情報として事業者用装置に送信されるため、事業者側(事業者用装置)における店舗利用情報の利用価値をより高めることができる。
【0021】
また、第5の発明は、前記顧客の顔画像は、前記会員情報を登録するために前記顧客の端末に組み込まれたアプリケーションプログラムを介して取得される構成とする。
【0022】
これによると、簡易な構成により、情報配信サーバにおいて顧客の顔画像を取得することが可能となる。
【0023】
また、第6の発明は、前記顧客の顔画像は、前記実店舗に設置されたカメラによって撮影される構成とする。
【0024】
これによると、顧客の操作を必要とすることなく、情報配信サーバにおいて顧客の顔画像を取得することが可能となる。
【0025】
また、第7の発明は、前記プロセッサは、前記1以上の事業者用装置のうち、前記顧客から許可された事業者用装置に対してのみ、前記店舗利用情報を送信する構成とする。
【0026】
これによると、店舗利用情報が複数の事業者用装置に対して提供される場合でも、顧客の意に反して顧客に関する情報(顔画像識別情報および店舗利用情報)が事業者用装置に対して提供されることを回避することができる。
【0027】
また、第8の発明は、前記情報配信サーバと、前記実店舗の前記顧客の各々に関する前記会員情報を管理する1以上の前記事業者用装置と、を備える情報配信システムである。
【0028】
これによると、実店舗を運営する事業者は、自ら顧客の顔画像に関する情報を管理する必要なしに、実店舗における各顧客を特定し、実店舗におけるそれら顧客の利用状況を把握することが可能となる。
【0029】
また、第9の発明は、前記事業者用装置は、前記店舗利用情報に基づき、前記顧客の購買意欲を高める販売促進情報を、対象となる前記顧客の端末および前記実店舗の従業員の端末の少なくとも一方に配信する構成とする。
【0030】
これによると、事業者用装置(すなわち、事業者)は、自ら顧客の顔画像に関する情報を管理する必要なしに、各顧客(または実店舗の各従業員)に対して、店舗利用情報に基づき適切な販売促進情報を配信することができる。
【0031】
また、第10の発明は、前記実店舗に配置され、前記顧客によって使用されるタッチポイント端末を更に備え、前記行動履歴情報には、前記顧客が前記タッチポイント端末を使用して特定の商品またはサービスの情報を閲覧する行動に関するタッチポイント情報が含まれる構成とする。
【0032】
これによると、精度の高いリアルタイムの来店情報により、効果的な販売促進情報を配信することができる。
【0033】
また、第11の発明は、実店舗の複数の顧客に関する会員情報を管理する1以上の事業者用装置に対して前記実店舗における前記顧客の利用状況に関する店舗利用情報を提供する情報配信サーバによる情報配信方法であって、前記実店舗への来店に基づく前記顧客の行動に関する行動履歴情報を記憶し、前記実店舗への来店を特定するための前記顧客の顔画像を取得すると共に、前記会員情報を補完する前記顔画像を識別するための顔画像識別情報を生成し、前記顧客を1以上のセグメントに割り当て、前記セグメントの少なくとも1つに属する前記顧客に対応する前記顔画像識別情報の集合である前記店舗利用情報を生成する構成とする。
【0034】
これによると、実店舗を運営する事業者は、自ら顧客の顔画像に関する情報を管理する必要なしに、実店舗における各顧客を特定し、実店舗におけるそれら顧客の利用状況を把握することが可能となる。
【0035】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1は、本実施形態に係る情報配信システム(店舗利用情報配信システム)1の全体構成図である。
【0037】
情報配信システム1は、複数の実店舗(実在する店舗)を利用する顧客に商品の販売やサービスの提供を行う事業者(ここでは、事業者サーバ3)に対し、実店舗における各顧客の利用状況に関する情報(以下、店舗利用情報という。)を提供するものである。リテール業者等の事業者は、提供された店舗利用情報に基づき顧客を特定し、それらの特定した顧客に対し、例えば、家電量販店などの実店舗で利用できるクーポンを発行したり、それら実店舗に来店した顧客に対する接客を店員(店舗の従業員)に指示したりして、実店舗での商品やサービスの販売を促進することができる。
【0038】
ここで、用語「顧客」には、実店舗において商品やサービスを購入する客(特に、お得意客)のみならず、実店舗において商品やサービスを購入する可能性のある潜在的な客も含まれるものとする。また、用語「事業者」は、実店舗を運営する事業者を意味するが、これに限らず、実店舗で扱う商品やサービスのマーケティングを助言する事業者、商品を製造する事業者、または商品やサービスの広告を製作する事業者などであってもよい。
【0039】
情報配信システム1は、情報配信サーバ(店舗利用情報配信装置)2と、事業者サーバ(事業者用装置)3と、顧客端末4と、店員端末5とを備える。それらのサーバや端末は、公知のネットワーク(インターネットやLAN等)6に接続されることにより、必要に応じて相互に通信可能である。
【0040】
情報配信サーバ2は、後述するように、実店舗を利用する顧客の顔画像に関する情報を管理すると共に、1以上の事業者サーバ3に対して店舗利用情報を配信する。
【0041】
事業者サーバ3は、実店舗(通常は複数)を運営する事業者が運用するサーバである。事業者サーバ3は、実店舗を利用する顧客によって登録された会員情報を管理する。ただし、事業者サーバ3が管理する会員情報には、少なくとも顧客の顔画像および顔の特徴量は含まれない。
【0042】
また、事業者サーバ3では、情報配信サーバ2から配信された店舗利用情報に基づいて、顧客の購買意欲を高めるための販売促進情報を顧客端末4および店員端末5の少なくとも一方に配信する。
【0043】
顧客端末4は、顧客によって所持される携帯情報端末であり、例えば、スマートフォンやタブレット端末やPCなどからなる。また、顧客端末4には、顧客の同意を条件に、実店舗を利用するための専用のアプリケーションプログラム(以下、「店舗利用アプリ」という。)がインストールされる。また、顧客端末4には、顧客の同意を条件に、情報配信サーバ2を利用する(例えば、自身の顔画像などの個人情報を管理する)ための専用のアプリケーションプログラム(以下、「情報管理アプリ」という。)をインストールすることができる。店員端末5は、店員によって所持される携帯情報端末であり、顧客端末4と同様に、例えば、スマートフォンやタブレット端末やPCなどからなる。
【0044】
ここでは図示を省略するが、情報配信サーバ2、事業者サーバ3、顧客端末4、および店員端末5の各々は、プロセッサ、メモリ、入力装置(キーボードなど)、及び出力装置(ディスプレイ、スピーカなど)等の公知のコンピュータと同様のハードウェアを備え、また、それらの機能は、それぞれプロセッサが所定の制御プログラムを実行することによって実現される。
【0045】
また、情報配信システム1は、カメラ11と、POS端末12と、タッチポイント端末13と、を備えている。それらの各機器は、必要に応じて、実店舗内の通信ネットワーク(図示せず)や上述のネットワーク6を介して情報配信サーバ2と通信可能に接続される。なお、情報配信サーバ2は、他の情報処理装置(PCやサーバなど)を介して、カメラ11、及びタッチポイント端末13と相互に情報やデータの送受を行うことも可能である。また、事業者サーバ3は、POS端末12と相互に情報やデータの送受を行うことも可能である。
【0046】
カメラ11は、店舗の適所、具体的には、店舗の出入口や、商品の陳列棚の周辺などに設置される。各カメラ11で撮影した撮影画像は情報配信サーバ2に送信される。
【0047】
POS端末12は、店舗の適所、具体的には、顧客が商品の会計を行うレジカウンターに設置される。POS端末12に入力された情報は事業者サーバ3に送信される。
【0048】
タッチポイント端末13は、店舗内の適所、具体的には、店舗の出入口の近傍などに設置される。また、タッチポイント端末13は、店舗外、具体的には、鉄道駅の構内などに設置される。
【0049】
タッチポイント端末13は、可視光通信によるID信号を顧客端末4に送信する。顧客端末4では、受信したID信号に対応するWebサイトのURLを取得し、取得したURLに基づいて各種の商品に関する情報を提供するWebサイトにアクセスすることができる。これにより、ユーザは、そのWebサイトにおいて商品に関する情報を閲覧することができる。タッチポイント端末13に関連して取得された顧客の情報は、情報配信サーバ2に送信される。
【0050】
なお、タッチポイント端末13は、専用の装置の他に、広告コンテンツなどを表示するデジタルサイネージや、商品の陳列棚に設置されて商品の価格などを表示する電子棚札などに可視光通信の機能を付加することによって構成されてもよい。
【0051】
また、タッチポイント端末13は、可視光通信に限定されず、2次元コードの読取りや、NFC(Near field communication)などの非接触通信(近距離無線通信)により、所要の情報、例えばWebサイトのURLを顧客端末4に送信するものでもよい。
【0052】
また、図1には、1つの情報配信サーバ2のみが示されているが、情報配信サーバ2の機能(各種処理)を複数のサーバが分担して行うことも可能である。また、情報配信システム1では、情報配信サーバ2の代わりに同様の機能を有する他の情報処理装置を用いてもよい。そのようなサーバの機能の分担や、他の情報処理装置の使用については、事業者サーバ3に対しても同様に適用できる。また、本実施形態では、各種のサーバ、各種の端末、およびカメラ等を相互にネットワークを介して接続して所要の情報の受け渡しを行うようにしたが、適宜な記憶媒体を用いて情報を受け渡すようにしてもよい。
【0053】
図2は、情報配信システム1の概要を示す説明図である。
【0054】
顧客は、実店舗を利用する際に、顧客端末4から事業者サーバ3にアクセスすることにより会員登録を行う。この会員登録において、顧客は、顧客端末4において店舗利用アプリを起動し、所定の情報入力画面をディスプレイに表示させることにより、自身に関する情報を入力することができる。入力された顧客の情報は、事業者サーバ3に送信され、会員情報として会員登録データベース31(図3参照)に登録される。
【0055】
また、顧客は、店舗利用アプリにおける会員登録の際に、情報管理アプリから自身の顔画像を登録することができる。このとき、情報管理アプリから入力された顧客の顔画像のデータは、顧客端末4から情報配信サーバ2に送信される。その後、顔画像のデータは、情報配信サーバ2の顔画像データベース51(図5参照)に登録される。店舗利用アプリと情報管理アプリとはアプリ連携により前者が後者を呼び出すようにすることもできるし、店舗利用アプリのメニューから情報管理アプリを呼び出すようにしてもよい。また顧客自身がそれぞれのアプリを起動するようにしてもよい。
【0056】
一方、顧客は、商品(またはサービス)を購入するため、或いは関心のある商品の実物を見るために、実店舗に来店する。このとき、店舗の入口に設置されたカメラ11が顧客を撮影する。また、顧客は、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末13で、入店時に得られる報酬ポイント(実店舗での買い物や、商品の値引きなどに使用できるポイント)を獲得するためのタッチ操作を行う。
【0057】
次に、顧客は、店内を回遊し、売場などに設置されたタッチポイント端末13が関心のある商品に関するものであれば、そのタッチポイント端末13でタッチ操作を行い、これに応じて配信されたURLに基づいて顧客端末4によりWebサイトを閲覧する。
【0058】
また、顧客は、店内を回遊し、関心のある商品の陳列棚の前に来ると、そこに滞在し、棚前行動、すなわち、商品に手を伸ばしたり、商品を陳列棚に戻したり、商品の品定めをしたりする。このとき、陳列棚の近傍に設置されたカメラ11が顧客を撮影する。
【0059】
次に、顧客は、商品の購買を決断すると、レジカウンターで商品の会計を行う。このとき、店員が、販売する商品の情報をPOS端末12に入力する。
【0060】
情報配信サーバ2では、店舗の入口に設置されたカメラ11による撮影画像に含まれる人物の顔照合を行うことにより、顧客の来店を検知して、リアルタイムの来店情報を生成する。したがって、店舗の入口に設置されたカメラ11は、顧客の来店を検知するためのセンサとして機能する。また、情報配信サーバ2では、売場に設置されたカメラ11の撮影画像に含まれる人物の行動解析を行うことにより、顧客の棚前行動(顧客が商品に手を伸ばす行動、商品を陳列棚に戻す行動、商品を品定めする行動など)を検出して、店内行動情報を生成する。さらに、情報配信サーバ2は、各ユーザのタッチポイント端末13の利用状況に関するタッチポイント情報をタッチポイント端末13から収集する。特に、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末13での顧客のタッチ操作により顧客の来店を検知して、リアルタイムの来店情報を生成する。したがって、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末13は、顧客の来店を検知するためのセンサとして機能する。
【0061】
さらに、情報配信サーバ2では、カメラ11およびタッチポイント端末13からの各種情報を収集し、それらの情報を人物(顧客)ごとに統合して、行動履歴情報として蓄積する。
【0062】
また、情報配信サーバ2は、後述するように、顧客ごとの行動履歴情報に対して統計処理などを行うことにより、実店舗の利用状況に関する1以上のセグメント基準に基づき、行動履歴情報に関する顧客のセグメンテーションを実行する。これにより、情報配信サーバ2は、各顧客を1以上のセグメントに割り当てる。さらに、情報配信サーバ2は、所定のセグメントに属する(割り当てられた)顧客の顔ID(顔の識別子)の集合(組)を、店舗利用情報として事業者サーバ3に送信する。
【0063】
事業者サーバ3では、情報配信サーバ2から受信した店舗利用情報に基づいて、全ての会員(登録された顧客)の中から商品等を購入する可能性の高い顧客を抽出し、それら抽出した顧客の購買意欲を高める販売促進情報を顧客端末4や店員端末5に配信する。本実施形態では、顧客向けの販売促進情報として、クーポンや、特定の商品(またはサービス)の案内を顧客端末4に配信することができる。また、事業者サーバ3は、実店舗での接客の必要性がある場合に、店員向けの販売促進情報として、接客指示を店員端末5に配信することができる。
【0064】
なお、店員は、顧客に対する接客が完了すると、接客を行った旨の情報(接客実施情報)を店員端末5に入力して、情報配信サーバ2に送信するようにしてもよい。その場合、接客実施情報は、情報配信サーバ2のデータベースに登録される。これにより、情報配信サーバ2では、接客時と非接客時とで購買の有無を比較することで、接客の効果を評価することができる。
【0065】
図3は、事業者サーバ3を示す機能ブロック図である。図4は、(A)会員登録データベース31、(B)購買履歴データベース32、および(C)販売促進情報データベース33の登録内容一例を示す説明図である。
【0066】
事業者サーバ3は、会員登録部21と、POS情報収集部22と、顧客向け情報配信部23と、店員向け情報配信部24と、会員登録データベース31と、購買履歴データベース32と、販売促進情報データベース33とを備えている。
【0067】
会員登録部21は、顧客の情報を顧客端末4から取得し、その情報を会員情報として会員登録データベース31に登録する。
【0068】
会員登録データベース31は、顧客の会員情報を管理するものである。この会員登録データベース31には、図4(A)に示すように、顧客の会員情報として、会員ID、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレス、および顔ID(顔画像識別情報)に関する情報などが登録される。ここで、会員IDは、会員としての顧客の識別子であり、会員登録時に生成(付与)される。また、顔IDは、顧客の顔画像の識別子であり、顧客端末4から取得される情報(氏名等)とは別に情報配信サーバ2から取得される。これにより、会員登録データベース31に登録された顧客端末4からの会員情報が補完される。
【0069】
POS情報収集部22は、会員として登録された顧客の実店舗(または仮想店舗)での購買に関する情報を取得し、その情報を購買履歴データベース32に登録する。購買履歴データベース32は、顧客の購買履歴の情報を管理するものである。この購買履歴データベース32には、図4(B)に示すように、会員ID、購入の日時、購入した商品名(品番)、その商品の価格などの情報が登録される。また、POS情報収集部22は、POS端末12から顧客ごとの顧客購買情報を収集して、その情報を購買履歴の情報として購買履歴データベース32に登録することができる。その場合、購買履歴の情報には、POS端末12の番号や、クーポンの使用の有無に関する情報などを含ませることができる。
【0070】
また、POS情報収集部22は、顧客の購買履歴の情報として、事業者が運営するECサイト(仮想店舗)における顧客ごとの購買履歴情報を用いることもできる。
【0071】
顧客向け情報配信部23は、情報配信サーバ2から配信される店舗利用情報に基づいて、顧客向けの販売促進情報を生成し、これを顧客が所持する顧客端末4に配信する。この場合、顧客向け情報配信部23は、対象の顧客が実店舗に来店中であることを示す情報(例えば、対象の顧客の顔ID)を情報配信サーバ2から取得することにより、来店中の顧客に販売促進情報を配信することもできる。本実施形態では、顧客向けの販売促進情報として、顧客が購買することが予測される商品(購買意欲の高い商品)に関するクーポン(割引券、優待券、無料サービス券など)を、顧客端末4に配信する。
【0072】
なお、顧客向け情報配信部23は、顧客向けの販売促進情報として、商品を顧客に薦めるメッセージ(商品レコメンド情報)を、クーポンに加えて、または、クーポンとは別に顧客端末4に配信するようにしてもよい。
【0073】
また、クーポンでは、対象となる顧客のみの割引率を適用した個人限定としたり、現在来店している店舗で当日だけ利用できる期間限定としたりするとよい。これにより、顧客の購買意欲を効果的に高めて、顧客が来店中にその場で商品の購買を決断させることができる。
【0074】
また、クーポンではなく、対象となる顧客に対するお薦め商品の割引価格を顧客に提示することも可能である。提示の仕方としては、クーポン同様にメッセージで顧客端末4に配信してもよいし、あるいは顧客(顧客端末4)の位置情報に基づき、その顧客の目の前や近くにある電子POP、サイネージ等(図示せず)に対して、お薦め商品の割引価格を配信して表示させたり、お勧め商品の電子棚札に当該顧客向け割引価格を表示させたりすることで、その顧客だけに対する割引価格の提示を行ってもよい。この場合、顧客向け情報配信部23は、例えば、顧客端末4の識別情報に基づき対象の顧客を特定することができる。
【0075】
同じ商品でも顧客ごとに異なる価格を適用する場合、顧客と割引価格との紐づけを行う必要がある。その方法としては、例えば顧客端末4の店舗利用アプリに割引価格を提示した時点で購入・決済する機能を持たせたり、顧客端末4に提示された割引価格でその製品を購入する意思(提示価格への合意)を顧客側で入力したうえで、レジで決済する仕組みを導入することも有効である。レジでの決済の仕組みとしては、例えば、購入意思入力時に当該顧客の会員IDをPOSレジの決済システムに送信し、POSレジでの決済時に会員IDを顧客端末4等から取得してその会員IDを照合することで、当該顧客が合意した割引価格での決済を実施する等の方法がある。
【0076】
なお、割引価格の決定には、顧客の行動履歴から推測されるその商品に対する顧客の要求度合いとともに、該当商品の在庫量や仕入れ量・生産量等も考慮するようにしてもよい(要求度合いが高く、在庫量が少ない場合には、割引率は相対的に低くするが、要求度合いが低く、在庫量も多い場合は、割引率を高くする等)。
【0077】
店員向け情報配信部24は、情報配信サーバ2から配信される店舗利用情報に基づいて、店員向けの販売促進情報を生成し、これを店員端末5に配信する。本実施形態では、店員向けの販売促進情報として、対象となる顧客に対する接客を指示する情報を店員端末5に配信する。
【0078】
この店員向けの販売促進情報では、顧客が高い購買意欲を示す商品、例えば、過去に顧客がインターネット上のサイトで閲覧した商品の情報を店員に提示するようにしてもよい。また、顧客(顧客端末4)の位置情報に基づき、顧客の現在位置を店員に通知するようにしてもよい。この場合、顧客の現在位置を店舗のエリアマップ上に表示する画面を店員端末5に表示させるとよい。この場合、店員向け情報配信部24は、例えば、顧客端末4や店員端末5の識別情報に基づき対象の顧客や店員をそれぞれ特定することができる。
【0079】
なお、店員向け情報配信部24は、店舗利用情報に基づいて、顧客の購買意欲を高める接客方法を決定して、その接客方法を接客指示とともに店員に通知するようにしてもよい。
【0080】
販売促進情報データベース33は、顧客端末4および店員端末5に配信した販売促進情報を管理するものである。この販売促進情報データベース33には、図4(C)に示すように、商品に関する情報(商品カテゴリ、商品名、品番)、クーポンに関する情報(割引率、クーポンのバーコードを取得するサイトのURL)、および販売促進情報の通知メッセージの内容に関する情報などが登録される。なお、販売促進情報データベース33には、接客が必要と判定された顧客に関する情報を登録するようにしてもよい。
【0081】
図5は、情報配信サーバ2を示す機能ブロック図である。図6は、(A)顔画像データベース、(B)顔特徴量データベース、(C)顔照合履歴データベース、および(D)行動履歴データベースの登録内容の一例を示す説明図である。図7は、(A)店舗利用データベースおよび(B)ID連携データベースの登録内容の一例を示す説明図である。
【0082】
図5に示すように、情報配信サーバ2は、撮影画像収集部41と、顔画像処理部42と、顔照合部43と、タッチポイント情報収集部44と、来店情報取得部46と、行動解析部47と、店舗利用情報生成部48と、顔画像データベース51と、顔特徴量データベース52と、顔照合履歴データベース53と、行動履歴データベース(行動履歴記憶部)54と、セグメント基準データベース55と、店舗利用データベース56と、ID連携データベース57と、を備えている。なお、顔画像データベース51は必須ではなく、情報配信サーバ2が顔特徴量データベース52のみを有する構成でもよい。その場合、情報配信サーバ2では、顔画像は、一時的に保持され、顔特徴量が抽出された後に消去される。また、後述するように、情報配信サーバ2では、ID連携データベース57を適宜省略してもよい。
【0083】
撮影画像収集部41は、顧客の撮影画像から抽出した顔画像を収集し、その顔画像を顔画像データベース51に登録する。図6(A)に示すように、顔画像データベース51には、会員ID、および顧客の顔画像のデータなどが登録される。なお、撮影画像からの顔画像の抽出は、カメラ11において実行されてもよい。
【0084】
顔画像処理部42は、撮影画像収集部41により収集された顧客の顔画像から顔の特徴量を抽出し、その特徴量を顔特徴量データベース52に登録する。図6(B)に示すように、顔特徴量データベース52には、会員ID、および顧客の顔画像から抽出した特徴量のデータなどが登録される。
【0085】
顔照合部43は、顔画像データベース51または顔特徴量データベース52を参照することにより、カメラ11の撮影画像に対する顔照合(人物認識)を行う。顔照合部43は、顔照合により、来店した顧客の会員IDを取得する(すなわち、顧客を特定する)ことができる。また、顔照合部43は、顔照合の結果(ここでは、会員IDを取得できた場合のみ)を、顔照合履歴データベース53に登録する。図6(C)に示すように、顔照合履歴データベース53には、会員ID、顔照合を行った日時、及び撮影画像が得られた店舗IDの情報などが登録される。
【0086】
情報配信サーバ2では、このような顔照合により顧客を特定することにより、その特定された顧客の行動履歴を収集することが可能となる。
【0087】
タッチポイント情報収集部44は、タッチポイント端末13で顧客がタッチ操作を行った際に取得したタッチポイント情報を収集して、その情報を行動履歴の一部として行動履歴データベース54に登録する。なお、タッチポイント情報は、顧客がタッチ操作を行った際に取得する会員ID(または顧客端末4の識別情報)に基づき、所定の顧客(会員情報)と紐付けられる。
【0088】
また、POS情報収集部22(図3参照)を情報配信サーバ2に含む場合には、POS端末12から顧客ごとの顧客購買情報を収集して、その情報を行動履歴の一部として行動履歴データベース54に登録してもよい。
【0089】
また、来店情報取得部46は、実店舗における顧客の来店情報を取得して、その情報を行動履歴データベース54に登録する。来店情報は、顔照合部43の照合結果に基づいて(またはカメラ11の撮影画像の解析により)取得される。本実施形態では、来店情報として、日時、店舗ID、来店時間を取得する。また、来店情報取得部46は、顔照合部43の照合結果に基づいて、退店する顧客を検知して、退店時間を取得することができる。
【0090】
行動解析部47は、カメラ11の撮影画像に写る人物の行動を検出して、店舗内での顧客の行動に関する店内行動情報を取得し、その情報を行動履歴の一部として行動履歴データベース54に登録する。具体的には、行動解析部47は、商品の陳列棚の前での顧客の滞在を検出する。また、行動解析部47は、顧客が商品に手を伸ばす行動、商品を陳列棚に戻す行動、商品を品定めする行動を検出する。また、行動解析部47は、顧客(顧客端末4)が滞在する位置や顧客の手の位置に基づいて、顧客の行動の対象となる商品、すなわち、顧客が関心を示した商品に関する情報(商品カテゴリ、商品名、品番などの商品情報)を取得する。
【0091】
行動履歴データベース54は、上述のような顧客ごとの行動履歴情報を管理するものである。この行動履歴データベース54には、図6(D)に示すように、会員ID、来店情報、店内行動情報、タッチポイント情報などが登録される。来店情報には、日時、店舗ID、来店時間、退店時間が含まれる。また、店内行動情報には、棚前の滞在、陳列棚の商品に手を伸ばす動作、商品を陳列棚に戻す動作、商品を品定めする動作の各行動の対象となる商品(商品カテゴリ、商品名、品番)に関する情報などが含まれる。タッチポイント情報には、タッチポイント端末13の関連商品に関する情報が含まれる。また、情報配信サーバ2が顧客の購買履歴情報を取得できる構成であれば、その購買履歴情報には、例えば、POS端末12の番号、クーポンの使用の有無に関する情報、購入した商品に関する情報(商品名(品番)、価格)を含むようにしてもよい。
【0092】
店舗利用情報生成部48は、行動履歴データベース54に登録された顧客の行動履歴の情報を用いて、顧客のセグメンテーションを行う。セグメント基準データベース55には、1以上のセグメント基準が登録されており、店舗利用情報生成部48は、そのセグメント基準に基づき、顧客のセグメンテーションを実行することにより、各顧客を1以上のセグメント(対象のセグメント基準に関する類似度に基づき分類された顧客のグループ)に割り当てることができる。セグメント基準としては、例えば、各顧客が複数の実店舗に来店した日時のパターンや、各店舗への来店頻度(例えば、各月の来店回数の平均値)などを用いることができる。情報配信サーバ2において、顔画像から年齢・性別等の属性を推定してこれを行動履歴情報として取得している場合であれば、セグメンテーションの基準として、年齢・性別等の属性を使うこともできる。例えば、男性・〇〇歳で特定店舗に直近1週間以内に来店し、さらに商品xxを手に取った(興味あり)のセグメント等も構成することができる。また、セグメント基準に関する情報は、事業者サーバ3と共有することができる。
【0093】
また、店舗利用情報生成部48は、顧客のセグメンテーションの結果をセグメント基準ごとに店舗利用データベース56に登録する。図7(A)に示すように、店舗利用データベース56には、顧客の顔ID、セグメントID、およびセグメント属性などが登録される。セグメントIDは、対象のセグメント基準に関する各セグメントを識別するための識別子である。また、セグメント属性は、各セグメントの特徴や性質を示す。なお、図7(A)に示す顧客のセグメンテーションの結果は、セグメント基準ごとに生成される。
【0094】
また、店舗利用情報生成部48は、店舗利用データベース56に登録されたセグメンテーションの結果から抽出される店舗利用情報を事業者サーバ3からの送信要求に応じて(或いは、送信要求に拘わらず所定のタイミングで)、事業者サーバ3に対して配信することができる。この場合、店舗利用情報生成部48は、事業者サーバ3からの送信要求(顔IDを含む)によって1以上の顧客が指定された場合、店舗利用データベース56において、その指定された顧客と同一のセグメントIDを有する顧客に対応する顔IDの集合(組)を抽出し、それを店舗利用情報として生成する。
【0095】
例えば、図7(A)に示す例では、事業者サーバ3からの送信要求によって顔ID「111」を有する顧客が指定された場合、顔ID「333」は、それと同一のセグメントID「Aaa」を有している(すなわち、同じセグメントに属する)ため、店舗利用情報として生成される顔IDの集合に組み込まれる。ここでは詳細な説明を省略するが、通常は、顔ID「333」に加え、顔ID「111」と同一のセグメントIDを有するより多くの顔IDが店舗利用情報として生成される顔IDの集合に組み込まれる。
【0096】
店舗利用情報生成部48は、実質的に1つの事業者が運営する事業者サーバ3のみに対して、店舗利用情報を配信することができる。このとき、情報配信サーバ2では、ID連携データベース57を省略できる。また、事業者サーバ3では、情報配信サーバ2から店舗利用情報として取得した各顔IDと、会員登録データベース31の会員IDとの紐づけを行うことができる。
【0097】
一方、後に詳述するように、店舗利用情報生成部48は、複数の異なる事業者が運営する事業者サーバ3に対して、店舗利用情報を配信することが可能である。このとき、店舗利用情報生成部48は、各顧客の顔IDと各事業者(または事業者が運営する実店舗)のIDとの連携状況を示すID連携情報に基づき、各事業者サーバ3に対する店舗利用情報の配信の可否を決定することができる。顧客は、顧客端末4(情報管理アプリ)の操作によりID連携情報について予め設定することができ、設定されたID連携情報は、ID連携データベース57に登録される。図7(B)に示すように、ID連携データベース57には、ID連携情報として、顔ID、事業者ID、および会員IDなどが登録される。
【0098】
図8は、顧客端末4、事業者サーバ3、および情報配信サーバ2による会員登録の処理の流れを示すフロー図である。
【0099】
顧客(顧客端末4)は、実店舗を利用するための会員登録を行う際に、店舗利用アプリを用いて会員情報を入力する(ST101)。入力された会員情報は、顧客端末4から事業者サーバ3に送信され、事業者サーバ3の会員登録データベース31に保存される(ST201)。
【0100】
また、顧客は、会員登録を行う際に、店舗利用アプリによる顔画像の登録機能により、自身の顔画像を登録する(ST102)。ここで、登録される顔画像は、顧客端末4に搭載されたカメラによって撮影される。撮影された顔画像のデータは、顧客端末4から情報配信サーバ2に送信される。ただし、顧客は、顔画像をカメラで撮影する代わりに、予め顧客端末4に保存してあった顔画像を利用(選択)してもよい。
【0101】
情報配信サーバ2では、顧客端末4から受信した顔画像のデータを識別するための顔ID(顔画像識別情報)を生成(付与)する(ST301)。続いて、情報配信サーバ2は、生成した顔IDを顧客端末4に送信し(ST302)、顧客端末4は、受信したその顔IDを事業者サーバ3に転送する(ST103)。
【0102】
事業者サーバ3では、顧客端末4から受信した顔IDを、ステップST201で会員登録データベース31に保存した対応する会員情報に追加する(ST202)。これにより、事業者サーバ3及び情報配信サーバ2は、各顧客の顔画像の情報を直接送受信することなく、それらの顧客を顔IDによって特定することが可能となる。
【0103】
また、情報配信サーバ2では、顧客端末4から受信した顔画像のデータ及びそれに付与した顔IDを顔画像データベース51に保存する(ST303)。これと並行して、情報配信サーバ2では、その顔画像から特徴量を抽出し(ST304)、その抽出した顔特徴量を顔特徴量データベース52に保存する(ST305)。これにより、顧客の会員登録の処理が完了する。
【0104】
なお、上述のステップST102では、顧客端末4から情報配信サーバ2に対して顔画像を送信する代わりに、顧客端末4から事業者サーバ3に対して顔画像を送信し、その顔画像を事業者サーバ3から情報配信サーバ2に転送してもよい。その場合、事業者サーバ3では、顔画像のデータを一時的に記憶し、顔画像のデータの情報配信サーバ2への転送が正常に完了すると、その一時的に記憶していた顔画像のデータを消去する。
【0105】
図9は、図8に示した会員登録の処理の変形例を示すフロー図である。図10は、図9に示したステップST601で用いられるオプトイン画面の一例を示す説明図である。なお、図9の変形例に関し、以下で特に言及しない事項については、図8に示した処理と同様に実行され得る。
【0106】
図9に示す変形例では、顧客は、複数の事業者に対する顔画像の登録を同時に行う(すなわち、顔画像を共有する)。ここで、顧客は、図8の場合と同様に、店舗利用アプリにより事業者ごとの会員情報を登録するが、顔画像を情報管理アプリによって一括登録する点において図8の場合とは異なる。
【0107】
顧客(顧客端末4)は、図8のステップST101と同様に、店舗利用アプリを用いて会員情報を入力する(ST401)。ここでは事業者Aの店舗利用アプリと、事業者Bの店舗利用アプリがそれぞれ顧客端末4にインストールされていることを前提として、事業者A,Bのそれぞれの店舗利用アプリから入力された会員情報は、顧客端末4から事業者A、Bがそれぞれ運営する事業者サーバ3に送信され、それぞれの事業者サーバ3の会員登録データベース31に保存される(ST501A、ST501B)。これにより、顧客による各事業者に対する会員登録は完了する。
【0108】
一方、顧客は、情報管理アプリを用いて自身の会員IDおよび情報提供先を入力する(ST601)。入力された会員IDおよび情報提供先(事業者ID)は、情報配信サーバ2に送信される。
【0109】
続いて、情報配信サーバ2は、顧客端末4から受信した会員IDおよび情報提供先(事業者IDを含む)を、ID連携情報としてID連携データベース57に保存する(ST701)。
【0110】
ここで、「情報提供先」は、顧客が自身の情報の提供を許可する事業者を意味する。顧客は、例えば、図10に示すように、顧客端末4のディスプレイ60に表示されたオプトイン画面において、自身の情報(ここでは、顔ID等)の提供を許可する事業者を選択することができる。ここでは、顧客の情報の提供を許可された事業者として、「コンビニA社」及び「ポイントD社」が入力された(Yesが選択された)例が示されている。なお、情報配信システム1では、オプトイン画面において顧客により多くの事業者に情報の提供を許可してもらうために、顧客が所定の事業者を選択するごとに、報酬ポイントを付与することができる。報酬ポイントの設定は、各事業者がそれぞれ行ったうえで、情報配信サーバ側にあらかじめ伝えたうえで、情報管理アプリに表示させるようにしてもよい。
【0111】
次に、顧客は、図8のステップST102と同様に、情報管理アプリの顔画像の登録機能により、自身の顔画像を登録する(ST602)。これにより、顔画像のデータが、顧客端末4から情報配信サーバ2に送信される。
【0112】
続いて、情報配信サーバ2は、顧客端末4から受信した顔画像のデータを識別するための顔IDを生成(付与)する(ST702)。続いて、情報配信サーバ2は、生成した顔IDをID連携データベース57に保存する(ST703)。このとき、顔IDは、ステップST701で保存されたID連携情報に追加される(すなわち、1以上の事業者IDと紐付けられる)。
【0113】
また、情報配信サーバ2は、図8のステップST303-ST305とそれぞれ同様のST704-ST705を実行する。
【0114】
さらに、情報配信サーバ2は、ID連携データベース57のID連携情報に基づき、顧客に情報の提供を許可された事業者が運営する事業者サーバ3に対し、顔IDとそれに対応する当該事業者の会員IDを送信する(ST707)。ここで送信される会員IDは、事業者ごとに設定された異なる会員IDであるが、これに限らず、同一の会員IDが複数の異なる事業者で共有されてもよい。
【0115】
その後、各事業者サーバ3では、顧客端末4から受信した顔IDを、ステップST501A、501Bで会員登録データベース31に保存された顧客の会員情報にそれぞれ追加する(ST502A、ST502B)。
【0116】
なお、図9では、説明の便宜上、店舗利用アプリを用いた顧客の会員情報の登録に関する処理と、情報管理アプリを用いた顧客の顔画像の登録に関する処理とを一連の処理として示したが、それらの処理は互いに独立して(すなわち、異なるタイミングで)実行され得る。
【0117】
図11は、情報配信サーバ2による顔照合履歴の生成処理の流れを示すフロー図である。
【0118】
情報配信サーバ2では、実店舗のカメラ11から撮影画像を受信すると(ST801)、その撮影画像に含まれる顔画像から特徴量を抽出する(ST802)。
【0119】
その後、情報配信サーバ2では、ステップST802で抽出した顔の特徴量と、顔特徴量データベース52に予め登録された各顧客の顔画像の特徴量とを比較することにより、顔照合を実施する(ST803)。
【0120】
ステップST803の照合が成功すると(ST804:Yes)、その照合結果の情報を顔照合履歴データベース53に登録する(ST805)。このような顔照合により、撮影画像に写る人物(すなわち、実店舗に来店した顧客)を特定することが可能となる。
【0121】
図12は、情報配信サーバ2から事業者サーバ3への店舗利用情報の配信処理の流れを示すフロー図である。
【0122】
事業者サーバ3は、店舗利用情報を必要とする場合、情報配信サーバ2に対して店舗利用情報の送信要求を送信する(ST901)。事業者サーバ3は、情報配信サーバ2への送信要求に、少なくとも1人の指定した顧客の顔IDを含めることができる。ここで指定される顧客は、事業者が販売促進情報の送信対象を抽出するために、モデルとして選択した(すなわち、販売促進の対象であるまたは他の顧客の販売促進の参考になる)既存の顧客である。
【0123】
なお、事業者サーバ3は、ステップST901において、上述の顔IDと共に、あるいは、上述の顔IDの代わりに、少なくとも1つのセグメント基準に関する情報(例えば、セグメント基準の識別情報)を送信要求として情報配信サーバ2に送信することができる。
【0124】
情報配信サーバ2では、事業者サーバ3から店舗利用情報の送信要求を受信すると(ST1001:Yes)、送信要求に含まれる顔IDに基づき、対応する(すなわち、当該顔IDを含む)セグメンテーションの結果を店舗利用データベース56から抽出する(ST1002)。さらに、情報配信サーバ2は、そのセグメンテーションの結果の各々において、送信要求に含まれる顔IDが属するセグメント(対象セグメント)を抽出し、当該セグメントに属する顔IDの集合(組)を店舗利用情報として事業者サーバ3に送信する(ST1003)。
【0125】
ここで、ステップST1002において、事業者サーバ3からの送信要求に顔IDと共にセグメント基準が含まれる場合には、情報配信サーバ2は、そのセグメント基準に対応するセグメンテーションの結果のみについて、送信要求に含まれる顔IDが属するセグメント(対象セグメント)を抽出し、当該セグメントに属する顔IDの集合を店舗利用情報として事業者サーバ3に送信する。
【0126】
一方、ステップST1002において、事業者サーバ3からの送信要求に顔IDが含まれずにセグメント基準が含まれる場合には、上記ステップST1003では、情報配信サーバ2は、そのセグメント基準に対応するセグメンテーションの結果において、各セグメント(セグメントID)のうち、最も多数の顔ID(顧客)を含むセグメントに関する顔IDの集合を抽出し、それらを店舗利用情報として事業者サーバ3に送信することができる。
【0127】
なお、ステップST1002において、事業者サーバ3からの送信要求にセグメント基準が含まれない場合には、上記ステップST1003では、情報配信サーバ2は、新たにセグメント基準を生成することもできる。その場合、情報配信サーバ2によるセグメント基準の生成を容易とするために、事業者サーバ3からの送信要求には、顧客に関する特定の行動パターンの情報を含ませることができる。
【0128】
事業者サーバ3は、情報配信サーバ2から受信した店舗利用情報(顔IDの集合)に基づき、会員登録データベース31から該当する(すなわち、店舗利用情報に含まれた顔IDを有する)顧客を抽出する(ST902)。
【0129】
続いて、事業者サーバ3は、それら抽出した顧客に対して販売促進情報(例えば、ターゲット広告)を生成し(ST903)、その生成した販売促進情報を、電子メール等を用いて顧客に対して送信する(ST904)。
【0130】
図13は、情報配信サーバから事業者サーバへの行動履歴情報の配信処理を示すフロー図である。
【0131】
事業者サーバ3は、特定の顧客に関する店舗利用情報として行動履歴の情報を必要とする場合、情報配信サーバ2に対して行動履歴情報の送信要求を送信する(ST1101)。この送信要求には、その特定の顧客に関する顔IDが含まれる。
【0132】
情報配信サーバ2では、事業者サーバ3から行動履歴情報の送信要求を受信すると(ST1201:Yes)、その送信要求に含まれる顔IDに基づき、それに対応する会員IDを有する顧客の行動履歴情報を行動履歴データベース54から抽出する(ST1202)。
【0133】
続いて、情報配信サーバ2は、抽出した行動履歴情報を事業者サーバ3に送信する(ST1203)。
【0134】
一方、事業者サーバ3は、情報配信サーバ2から受信した行動履歴情報に基づき、その特定の顧客に対して販売促進情報(例えば、ターゲット広告)を生成し(ST1103)、その生成した販売促進情報を、電子メール等を用いてその特定の顧客に対して送信する(ST1104)。
【0135】
図14は、情報配信サーバ2による顧客のセグメンテーション処理の一例を示す説明図である。
【0136】
情報配信サーバ2は、顧客のセグメンテーション処理として、行動履歴データベース54に登録された顧客ごとの行動履歴情報について統計処理を実行する。
【0137】
統計処理では、所定のセグメント基準に基づき、人物ごとの行動履歴情報を分析することで分類処理(セグメンテーションまたはクラスタリング)を行う。すなわち、各顧客の行動履歴パターン(特定店舗への来店頻度、複数店舗の立寄り順序パターン、特定商品への接触頻度など)や属性(年齢、性別など)に基づいて、所定の行動履歴パターンや属性を有する人物群を抽出して一つのセグメント(人物の集合)を生成したり、類似した行動履歴パターンや属性を有する人物を同じセグメントに属する人物として分類(クラスタリング)したりする。所定のセグメント基準としては、行動履歴パターンや属性を指定せずに「指定した顔IDの人物と類似する行動履歴パターンや属性を有するセグメント」という形で指定してもよいし、あるいは人物を指定せずに「〇〇の行動履歴パターンや属性を有するセグメント」という形で指定してもよい。
【0138】
図14に示す例は、顧客の行動履歴パターンに関するセグメント基準に基づくものであり、横軸が、実店舗への顧客の来店日時であり、縦軸が、実店舗を識別するための店舗ID(A、B、C、D...)である。これにより、各顧客が、過去にどのような実店舗にどのような順序や時間間隔で来店したかを時系列の行動履歴パターン(複数店舗の立寄りパターン)として確認することができる。
【0139】
ここでは、各顧客の複数店舗の立寄りパターンが表現された時系列パターンの形状の類似度(時系列パターンである折れ線間の距離)に基づきグループ化(クラスタリング)し、各グループに属する顧客を、それぞれ各セグメントに割り当てることができる。ここでは、同一のグループに属する顧客に対して同一のセグメントIDが付与されて、行動履歴データベース54に登録される。
【0140】
なお、このセグメンテーション処理では、機械学習モデルを用いるようにしてもよい。その場合には、特定の顧客の行動履歴情報を入力情報として、最適なセグメンテーションを実行するための機械学習モデルを、事業者サーバ3による販売促進施策の効果を用いて学習する。具体的には、あるセグメント基準で生成した店舗利用情報を用いて事業者サーバ3の顧客向け情報配信部23で生成した販売促進情報が、どれだけの販売促進の効果(売上や来店人数の増加率、クーポン利用率、クーポン対象商品の併売率など。以下、販促効果という)を示すかについて測定し、特定の顧客の行動履歴情報が指定されたときに、どのようなセグメント基準でセグメンテーションすれば(特定の顧客の類似人物集合としてどのような人物群を抽出すれば)、販促効果が高くなるかについて、ニューラルネットワーク等を用いて学習することで機械学習モデルを構築することができる。
【0141】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本開示に係る情報配信サーバ及びこれを備えた情報配信システム並びに店舗利用情報配信方法は、実店舗を運営する事業者が、自ら顧客の顔画像に関する情報を管理する必要なしに、実店舗における各顧客を特定し、実店舗におけるそれら顧客の利用状況を把握することを可能にする効果を有し、実店舗に関する顧客の利用状況に関する情報を提供する情報配信サーバ及びこれを備えた情報配信システム並びに店舗利用情報配信方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0143】
1 :情報配信システム(店舗利用情報配信システム)
2 :情報配信サーバ(店舗利用情報配信装置)
3 :事業者サーバ(事業者用装置)
4 :顧客端末
5 :店員端末
6 :ネットワーク
11:カメラ
12:POS端末
13:タッチポイント端末
21:会員登録部
22:情報収集部
23:情報配信部
24:情報配信部
31:会員登録データベース
32:購買履歴データベース
33:販売促進情報データベース
41:撮影画像収集部
42:顔画像処理部
43:顔照合部
44:タッチポイント情報収集部
45:POS情報収集部
46:来店情報取得部
47:行動解析部
48:店舗利用情報生成部
51:顔画像データベース
52:顔特徴量データベース
53:顔照合履歴データベース
54:行動履歴データベース(行動履歴記憶部)
55:セグメント基準データベース
56:店舗利用データベース
57:ID連携データベース
60:ディスプレイ
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