(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152907
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G06F3/041 662
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139729
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2020106220の分割
【原出願日】2020-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】萩原 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】上野 豊
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 正也
(72)【発明者】
【氏名】小澤 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】中村 優太
(57)【要約】
【課題】意匠性が高くかつ低コストのタッチパネルの提供。
【解決手段】タッチパネル10は、第1導電膜12を有する第1電極基板14と、第1導電膜12に対向する第2導電膜16を有する第2電極基板18と、第2電極基板18に形成された加飾部24と、第1電極基板14を収容するケース22と、を備え、第1電極基板14は第2電極基板18より面積が大きく、ケース22は、第1電極基板14のうち第2電極基板18より大きい外周部28を覆うとともに、第2電極基板18は覆わない庇部30を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電膜を有する第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する加飾部を有する第2電極基板と、
前記第1電極基板を収容するケースと、を備え、
前記第1電極基板は前記第2電極基板より面積が大きく、前記ケースは、前記第1電極基板のうち前記第2電極基板より外側の外周部を覆うとともに、前記第2電極基板は覆わない庇部を有する、タッチパネル。
【請求項2】
前記第1電極基板と前記庇部とは、両面粘着層によって互いに接着されている、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記両面粘着層は、前記第1電極基板に取り付けられたフレキシブルプリント基板の厚さ以上の厚さを有し、前記フレキシブルプリント基板は、前記第1電極基板の端部に沿って下方に延びるように構成されている、請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第1電極基板に形成された配線部と、
前記第1電極基板に取り付けられたフレキシブルプリント基板とを有し、
前記配線部と前記フレキシブルプリント基板とは、前記第1導電膜によって電気的に接続されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記庇部と前記第2電極基板との隙間から視認できる前記第1電極基板の面上に、前記加飾部と同色の絶縁層を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記ケースは、前記第1電極基板の下端を係止するスナップフィット式の係止部を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記ケースは、前記第1電極基板に対して接離する方向に弾性変位可能であり、前記第1電極基板の下端を係止する突起を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記庇部及び前記第1電極基板に形成された貫通孔を通って配置されるスイッチ又はセンサを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項9】
第1導電膜を有する第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する加飾部を有する第2電極基板と、
前記第1電極基板を収容するケースと、を備え、
前記加飾部の外形寸法は前記第2電極基板の外形寸法より小さく、前記ケースは、前記第2電極基板のうち前記加飾部より外側の外周部を覆う庇部を有する、タッチパネル。
【請求項10】
第1導電膜を有する第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する加飾部を有する第2電極基板と、
前記第1電極基板を収容するケースと、を備え、
前記加飾部の外形寸法は前記第2電極基板の外形寸法と等しく、前記ケースは、前記加飾部の一部を覆う庇部を有する、タッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意匠印刷等の加飾部を備えたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜方式、静電容量方式、静電結合方式等の種々のタッチパネルが知られているが、これらのタッチパネルには、意匠性を高めるために、操作面に意匠印刷や意匠シート等の加飾部を設けたものがある(例えば特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-024680号公報
【特許文献2】特開2017-187875号公報
【特許文献3】特開2014-146174号公報
【特許文献4】特開2016-009371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、操作面に加飾部を設け、電極基板の外周部を覆うベゼルやフロントケースを使用しない構造のタッチパネルのニーズが高まっている。しかしこのようなタッチパネルは、意匠性が高い一方で、ベゼルやフロントケースを有するタッチパネルに比べ、製造コストが高くなる傾向がある。
【0005】
そこで本発明は、高い意匠性を確保した上で、低コストで製造可能なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第1導電膜を有する第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する加飾部を有する第2電極基板と、前記第1電極基板を収容するケースと、を備え、前記第1電極基板は前記第2電極基板より面積が大きく、前記ケースは、前記第1電極基板のうち前記第2電極基板より外側の外周部を覆うとともに、前記第2電極基板は覆わない庇部を有する、タッチパネルである。
【0007】
本開示の他の態様は、第1導電膜を有する第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する加飾部を有する第2電極基板と、前記第1電極基板を収容するケースと、を備え、前記加飾部の外形寸法は前記第2電極基板の外形寸法より小さく、前記ケースは、前記第2電極基板のうち前記加飾部より外側の外周部を覆う庇部を有する、タッチパネルである。
【0008】
本開示のさらなる他の態様は、第1導電膜を有する第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する加飾部を有する第2電極基板と、前記第1電極基板を収容するケースと、を備え、前記加飾部の外形寸法は前記第2電極基板の外形寸法と等しく、前記ケースは、前記加飾部の一部を覆う庇部を有する、タッチパネルである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、意匠性の高い低コストのタッチパネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施例に係るタッチパネルの上面図である。
【
図3】
図1のタッチパネルの2つの電極基板のアセンブリを示す図である。
【
図6】
図1のタッチパネルに防水構造を設けた例を示す上面図である。
【
図9】第1電極基板とFPCとの接続状態を示す部分拡大図である。
【
図10】
図9の構造の上部にケースがある状態を示す部分拡大図である。
【
図11】第1電極基板上の銀配線を除去した状態を示す部分拡大図である。
【
図12】
図11の構造の上部にケースがある状態を示す部分拡大図である。
【
図14】第1電極基板をケースに固定する手段の一例を示す図である。
【
図15】第1電極基板をケースに固定する手段の他の例を示す図である。
【
図16】タッチパネルに機械式スイッチを設けた例を示す上面図である。
【
図18】第2実施例に係るタッチパネルの上面図である。
【
図20】
図18のタッチパネルの2つの電極基板のアセンブリを示す図である。
【
図22】第3実施例に係るタッチパネルの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を用いて本開示の実施例を説明する。また、以下の実施例において同一又は類似の要素には共通の参照符号を付けて示し、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。
【0012】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係るタッチパネル10の概略上面図を示し、
図2は
図1のA-A′断面を示す。タッチパネル10は、第1導電膜としてのITO(Indium Tin Oxide)12を有する第1電極基板14と、ITO12に対向する第2導電膜としてのITO16を有する第2電極基板18と、第1電極基板14の、第2電極基板18とは反対側に配置されたLCDや有機ELパネル等の表示器20と、第1電極基板14及び表示器20を収容するケース22とを備える。本実施例では、第1電極基板14はガラス基板であり、第2電極基板18は樹脂製フィルム基板である。ケース22は樹脂の射出成形等によって一体的に形成され、側断面視で略L字形状を有する。
【0013】
第2電極基板18は、導電性の加飾部24を有する。加飾部24は意匠印刷として枠状に形成される。また加飾部24の外形寸法は第2電極基板18の外形寸法と実質的に一致している。加飾部24は、両面粘着テープ等の粘着層26によって第1電極基板14に接着されており、意匠性を高めるため、粘着層26は加飾部24からはみ出さないように加飾部24の内周が粘着層26の内周より小さくなるように形成される。
【0014】
図2及び
図3に示すように、第1電極基板14は第2電極基板18より面積が大きく、平面視で第2電極基板18を内包する形状・寸法を有する。ケース22は、第1電極基板14のうち第2電極基板18より大きい外周部28を覆うとともに、第2電極基板18を覆わない庇部30を有する。庇部30により、第1電極基板14の表面のうち、第2電極基板18によって覆われていない部分が、外部からは殆ど視認できないようになっている。また、第1電極基板14の外周部28には、フレキシブルプリント基板(FPC)42が圧着等により取り付けられ、FPC42はガラス側配線40に導通接続される。FPC42は、加飾部24より外側に配置される。
【0015】
図4は、比較例に係るタッチパネル110の側断面を示す。タッチパネル110は、いわゆるベゼル又はフロントケースを有さないタイプであり、第1電極基板114と第2電極基板118はほぼ同じ外形寸法を有し、両部材は両面粘着テープ126等で互いに接着される。第2電極基板118に印刷等により形成された加飾部124の外形寸法は、第2電極基板18の外形寸法にほぼ等しい。また、ケース122の内側寸法と第1電極基板114の外側寸法もほぼ等しく、両部材は両面粘着テープ136等で互いに接着される。
【0016】
タッチパネル110では、第1電極基板114を上方からケース122内に落とし込むようにしてケース122内に固定するので、
図1のケース22のようにケース122の角部にR加工を施す場合、それに合わせて第1電極基板114及び第2電極基板118の角部もR加工する必要がある。このような加工は、特に第1電極基板114がガラス製である場合、コストアップの要因となっていた。
【0017】
また第2電極基板118の外形寸法とケース122の内寸とは完全に同一ではなく、両部材間にいくらかの隙間を設ける必要がある。その場合、タッチパネル110の4辺全てにおいて第2電極基板118とケース122との隙間が均一になるように第1電極基板14をケース122に位置決め・固定することは困難であった。
【0018】
これに対し第1実施例では、第1電極基板14を第2電極基板18より大きく形成し、第1電極基板14の外周部28を覆う庇部30をケース22に設けたので、ガラス製の第1電極基板14の角部をR加工する必要はなく、丸みを有さない直角構造とすることができ、タッチパネル10の製造コストを低減できる。また、
図2に示すように、タッチパネル10の組立工程において第1電極基板14の端部を、側断面視で略逆L字形状のケース22の内側面に突き当てることで、ケース22に対する第1電極基板14の位置決めが容易になる。
【0019】
第1電極基板14の支持・固定は例えば、
図2に示すように、表示器20の下面を支持する板金等のベース材32を、ビス又はネジ34等の締結手段を用いてケース22の下面に固定することによって行われる。また第1電極基板14と表示器20との間には、一方が受けた衝撃が他方に伝播すること等を防止するために、一定以上の厚みを有しクッション性を備えた両面粘着テープ等の粘着層36を配置することが好ましい。
【0020】
タッチパネル10では、意匠性の観点から、第2電極基板18と庇部30との隙間d1は、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。また第2電極基板18の上面(タッチパネル操作面)と庇部30との(操作面に垂直な方向の)高さの差、すなわち段差d2は、意匠性及び操作性の観点から、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。本実施例では、庇部30で画定されるケース22の上部開口部の形状が加飾部24の外形と実質的に等しく、第1電極基板14の外周部28及びFPC42は操作者からは視認できないようになっている。さらに、庇部30と第2電極基板18上部の操作面とが実質面一となっており、意匠性に優れたタッチパネルが提供される。
【0021】
図5は、第1電極基板14及び第2電極基板18のアセンブリの分解図である。第1実施例では、第2電極基板18の外形は加飾部24の外形とは実質的に一致している。タッチパネルの意匠性に影響を与え得る銀配線等は、加飾部24で覆われる領域に形成することが好ましい。ITOが形成された第2電極基板18の下面に導電カーボン等の導電性材料を印刷することで枠状の加飾部24を形成し、次に加飾部24の下面に、銀等のフィルム側配線38を印刷等により形成する。一方、ITOが形成された第1電極基板14の上面に、銀等のガラス側配線40を印刷等により形成する。FPC42が加飾部24より外側に配置されることにより、第1電極基板14にFPC42を通すための貫通孔を形成する必要がない。従来は、第1電極基板に貫通孔を形成しない場合、FPCが外部から視認できないようにするとともに、FPCを通すスペースを確保するために第2電極基板を第1導電基板より大きくする必要があり、そのために第2電極基板が折れ曲がる等の不具合があったが、本実施例ではそのような問題が生じない。
【0022】
次に、加飾部24の下方投影領域内に内包される形状(図示例では枠状)の粘着層26を用いて、第1電極基板14と第2電極基板18とを接着する。このとき、粘着層26の一部に孔を形成し、孔に導電性接着剤44を配置してフィルム側配線38とガラス側配線40とを導通接続する。このようにして、
図3に示した第1電極基板14及び第2電極基板18のアセンブリを作製することができる。
【0023】
図6は、タッチパネル10に防水構造を設けた例を示す。
図4の比較例では、ケース122と第2電極基板118との隙間146から進入した水による動作不良等の悪影響を回避するために防水剤(図示せず)を隙間146に充填するが、FPC(図示せず)をタッチパネル110の外側に配置すると十分な防水効果が得られないため、ガラス製の第1電極基板114にFPC(図示せず)を通すための貫通孔115を形成する必要があり、これもコストアップの要因となっていた。
【0024】
そこで
図7及び
図8に示すように、タッチパネル10では、庇部30と第2電極基板18との隙間46から水分や塵埃等が進入することを防止すべく、庇部30の下面と第1電極基板14の外周面との間に、防水性を有する両面粘着テープ等の枠状の粘着層48を配置する。これにより、タッチパネル10とケース22との隙間から内部への水分の進入を防止することができる。防水性を有する両面粘着テープは市販入手可能なので、そのようなテープを使用すればタッチパネル10の製造コストを抑制できる。
【0025】
図8に示すように、FPC42の厚さ以上の厚さを有する粘着層48を用いることにより、第1電極基板14上にFPC42を圧着するための空間を確保することができる。さらに、FPC42を第1電極基板14の端部に沿って下方に延びるように折り曲げて配置して、その下端50を図示しない基板等に接続することにより、防水性を確保しつつ、
図4の比較例のようにガラス基板114に貫通孔115を設けることなく、またケース22に組み込むことができる。
【0026】
図9~
図12は、庇部30と第2電極基板18との隙間46に関するタッチパネルの見栄えを改善する手段を説明する図である。
図9に示すように、第1電極基板14上に印刷されたガラス側配線40とFPC42とが接続されている場合、
図10に示すように隙間46から有色の銀配線40が視認できてしまい、タッチパネルの見栄えが低下することがある。
【0027】
そこで
図11に示すように、隙間46から視認できる部分にはガラス側配線40を印刷・形成しないことにより、タッチパネルの見栄えを改善することができる。その際、加飾部24の下面にあるガラス側配線40とFPC42とは、第1電極基板14に形成された透明のITO16によって接続される。なお図示例では、ガラス側配線40とFPCとは実質4つの配線部40a~40dで電気的に接続されるので、各配線部が互いに導通しないように、ITO16の一部をエッチング等によって線状に除去し、分断ライン52を形成する。このようにして、
図12に示すように、隙間46からは銀配線40が見えず、見栄えのよいタッチパネルを構成することができる。
【0028】
なお、一般にITOは銀等に比べて電気抵抗が大きいので、
図11に示すガラス側配線40とFPC42とを接続するITO16の部分の長さLはできるだけ短く、かつ幅Wはできるだけ長いことが好ましい。具体的には、Lが1mm以下であり、Wが1mm以上であることが好ましい。
【0029】
図11に示したような銀配線40の除去の代わりに又はこれに加え、
図13に示すように、第2電極基板18の意匠印刷24と同色の絶縁層54を、例えば遮光性の絶縁インクの印刷等によって隙間46から視認できる銀配線40の面上又はITO12の面上に形成してもよい。このようにすれば、絶縁層54の下方のガラス側配線40は隙間46から視認できなくなり、タッチパネルの見栄えが向上する。
【0030】
なお絶縁層54が加飾部24と「同色」であるか否かは、例えば、国際照明委員会(CIE)により規定された色差を表す指標値ΔEで判断することができ、絶縁層54と加飾部24とについてはΔEが0.6以下であることが好ましい。ΔEが0.6以下であると、視覚では両者の色差が殆ど視認できないからである。
【0031】
図13は、
図2に類似するタッチパネル10の側断面図である。
図13は、第2電極基板18の上面と庇部30との段差(
図2のd2に相当)をさらに低減する構造を示す。庇部30の上面を、第2電極基板18に向かって高さが低くなる傾斜面56とすることで、ケース22の剛性・強度を確保しつつ、第2電極基板18の上面と庇部30との段差を
図2の構造よりもさらに小さくすることができる。なお、傾斜面56の水平方向長さS、最小高さH1及び最大高さH2は、タッチパネルの意匠性及びケース22の強度の双方を考慮して決定することが好ましいが、例えばSは意匠性を高めるため2mm以上であり、H1は第2電極基板18の厚さと同程度とするため0.5mm以上であり、H2はケース22の強度を確保するため1mm以上であることが好ましい。
【0032】
図14は、タッチパネルの実装、より具体的には第1電極基板14へのケース22の取り付けを容易にする構造の具体例を示す。庇部30の下面等、ケース22の内側に下方に向かって延びるスナップフィット式の係止部60を設け、第1電極基板14の上端をケース22の内側面31に押し当てつつ、第1電極基板14の下端を係止部60で係止することで、ケース22に対して第1電極基板14を高精度かつ容易に位置決め・固定することができる。
【0033】
この際、
図6~
図8の構成と同様に、庇部30の下面と第1電極基板14の外周面との間に防水性を有する枠状の粘着層48を配置し、第1電極基板14とケース22との隙間から内部への水分の進入を防止するようにしてもよい。さらに、
図2と同様に、表示器20の下面を支持するベース材32を、ネジ34等を用いてケース22の下面に固定するとともに、第1電極基板14と表示器20との間に、一定以上の厚みを有しクッション性を備えた粘着層36を配置してもよい。
【0034】
図15は、
図14の代替例として、ケース22の内側面に、第1電極基板14の嵌め込み用の突起62を設けた例を示す。庇部30の下面と突起62との間に第1電極基板14を挟み込む構造とすることにより、ケース22に対して第1電極基板14を高精度かつ確実に位置決め・固定することができる。この際、突起62は、ケース22内に格納したバネ等の弾性手段(図示せず)によって、矢印64で示す第1電極基板14に対して接離する方向に弾性変位可能とすることができ、第1電極基板14側に変位したときは第1電極基板14の下端を係止するように構成されている。このようにすればタッチパネルの実装がさらに容易になる。
【0035】
また
図15の構成においても、
図6~
図8の構成と同様に、庇部30の下面と第1電極基板14の外周面との間に粘着層48を配置し、第1電極基板14とケース22との隙間から内部への水分の進入を防止するようにしてもよい。さらに、
図14と同様に、表示器20をケース22に固定するためのベース材32、ネジ34、粘着層36等の手段を
図15に適用することもできる。
【0036】
図16及び
図17は、ケース22の領域を有効活用する例を示す。
図16、
図17に示すように、庇部30に貫通孔66を、第1電極基板14に貫通孔68を設け、貫通孔66及び68を貫通する押しボタン等の可動部70を有するスイッチ72を配置することができる。スイッチ72の代わりに又はこれに加え、カメラ等のセンサ74等を配置することもできる。このようにすれば、ケース22を実質的に大きくすることなく、タッチ操作面に加え、種々の操作や処理ができるタッチパネルを提供することができる。
【0037】
(第2実施例)
図18及び
図19は、第2実施例に係るタッチパネル10aの概略上面図を示し、
図2は
図18のE-E′断面を示す。タッチパネル10aは、第1導電膜としてのITO12を有する第1電極基板14と、ITO12に対向する第2導電膜としてのITO16を有する第2電極基板18と、第1電極基板14の、第2電極基板18とは反対側に配置されたLCDや有機ELパネル等の表示器20と、第1電極基板14及び表示器20を収容するケース22とを備える。本実施例では、第1電極基板14はガラス基板であり、第2電極基板18は樹脂製フィルム基板であり、ケース22は樹脂の射出成形等によって一体的に形成され、側断面視で略L字形状を有する。
【0038】
第2電極基板18は加飾部24aを有する。加飾部24aは例えば、意匠印刷として枠状に形成される。加飾部24aの外形寸法は、第1実施例のように第2電極基板18の外形寸法と一致しておらず、第2電極基板18よりも小さい。また第2電極基板18のうち加飾部24aよりも外側の部分(外周部)76が、両面粘着テープ等の粘着層26aによって第1電極基板14に接着される。なお
図19に示すように、第1電極基板14の外周部28に形成されているガラス側配線40の上には、絶縁層78が印刷等により形成される。
【0039】
図19及び
図20に示すように、第1電極基板14は第2電極基板18より面積が大きく、平面視で第2電極基板18を内包する形状・寸法を有し、第2電極基板18よりも外側の外周部28を有する。第2実施例の庇部30aは、第1実施例のように外周部28のみを覆うのではなく、第2電極基板18の外周部76も覆うように構成される。よって第2実施例では、第1電極基板14の外周部28に加え、第2電極基板18のうち意匠印刷24aが形成されていない外側部分も庇部30aで覆われるので、意匠印刷24aより外側の電極基板は操作者に視認されず、意匠性の高いタッチパネル10aが得られる。
【0040】
第1実施例では、加飾部24は導電性を有する必要があるが、第2実施例では、
図20に示すように、フィルム側配線38a及びガラス側配線40aはいずれも加飾部24aの外側に配置されるので、加飾部24aを導電性材料で形成する必要はなく、加飾部24aの材料としては絶縁性のインク等も使用できる。一般に、絶縁性のインクは、導電カーボン等の導電性材料に比べて多様な色彩のものが入手できるため、第2実施例では加飾部の色彩に関する制約が少ない、意匠性の高いタッチパネル10aを構築することができる。
【0041】
また第2実施例でも、ガラス製の第1電極基板14の角部をR加工する必要はなく、故にタッチパネル10aの製造コストを低減できる。また
図19に示すように、タッチパネル10aの組立工程において第1電極基板14の端部をケース22の内側面に突き当てることで、ケース22に対する第1電極基板14の位置決めが容易になる。
【0042】
第1電極基板14の支持・固定は、例えば
図19に示すように、表示器20の下面を支持するベース材32を、ビスやネジ34を用いてケース22の下面に固定することによって行われる。第1電極基板14と表示器20との間には、一定以上の厚みを有しクッション性を備えた粘着層36を配置してもよい。
【0043】
図21は、第1電極基板14及び第2電極基板18のアセンブリの分解図である。ITOが形成された第2電極基板18の下面に導電性材料を印刷することで枠状の加飾部24aを形成し、加飾部24aより外側の第2電極基板18の外周部76に、印刷等によりフィルム側配線38aを形成する。一方、ITOが形成された第1電極基板14の上面に銀等のガラス側配線40aを印刷等により形成し、さらにガラス側配線40にFPC42を接続する。
【0044】
次に、外周部76の下方投影領域内に内包される形状(図示例では枠状)の粘着層26aを用いて、第1電極基板14と第2電極基板18とを接着する。このとき、粘着層26aの一部に孔を形成して導電性接着剤44を孔に配置して、フィルム側配線38aとガラス側配線40aとを接続する。このようにして、
図20に示した第1電極基板14及び第2電極基板18のアセンブリを作製することができる。
【0045】
(第3実施例)
図22は、第3実施例に係るタッチパネル10bの側断面を示す。タッチパネル10bは、第1導電膜としてのITO12を有する第1電極基板14と、ITO12に対向する第2導電膜としてのITO16を有する第2電極基板18bと、第1電極基板14の、第2電極基板18bとは反対側に配置されたLCDや有機ELパネル等の表示器20と、第1電極基板14及び表示器20を収容するケース22とを備える。本実施例では、第1電極基板14はガラス基板であり、第2電極基板18bは樹脂製フィルム基板であり、ケース22は樹脂の射出成形等によって一体的に形成され、側断面視で略L字形状を有する。
【0046】
第2電極基板18bは、導電性の加飾部24を有する。加飾部24は、例えば意匠印刷として枠状に形成される。また加飾部24の外形寸法は第2電極基板18bと実質的に一致しており、加飾部24の少なくとも一部は、両面粘着テープ等の粘着層26によって第1電極基板14に接着される。
【0047】
第1実施例及び第2実施例とは異なり、タッチパネル10bの第2電極基板18bは第1電極基板14と実質的に同じ外形寸法を有し、加飾部24の外形寸法は第2電極基板18bの外形寸法と実質的に等しい。一方、庇部30bは、加飾部24を部分的に覆うように構成される。加飾部24の幅L1が10~30mmである場合、庇部30bは加飾部24の外周からL1より短い距離L2だけ加飾部24を覆うように構成される。L2は例えば2~5mmである。このようにすれば、上面視で第2電極基板18bと庇部30bとの隙間はないため、タッチパネルの意匠性を損なわず、ケース22への組み込みが容易となる。さらに加飾部24と粘着層26を重ねることで庇部30bを粘着層26の内周より外側に設けても粘着層26を見えなくすることができ、タッチパネルの意匠性を損なわず、庇部30bが掌等によってタッチパネルに押し付けられてもタッチパネルとしての誤入力を防止することができる。
【0048】
また第3実施例でも、ガラス製の第1電極基板14の角部をR加工する必要はなく、タッチパネル10bの製造コストを低減できる。また
図22に示すように、タッチパネル10aの組立工程において第1電極基板14の端部をケース22の内側面に突き当てることで、ケース22に対する第1電極基板14の位置決めが容易になる。
【0049】
第1電極基板14の支持・固定は例えば、
図22に示すように、表示器20の下面を支持するベース材32を、ビスやネジ34を用いてケース22の下面に固定することによって行われる。また第1電極基板14と表示器20との間には、一定以上の厚みを有しクッション性を備えた粘着層36を配置してもよい。
【0050】
なお上述の実施例は、適宜相互に組み合わせることもできる。例えば、第2実施例に係るタッチパネル10a又は第3実施例に係るタッチパネル10bに、第1実施例において説明したスナップフィット構造(
図14又は
図15)、傾斜面を有する庇部(
図13)、或いは機械式スイッチ又はセンサ(
図17)の少なくとも1つを適用することもできる。
【0051】
なお上述の実施例ではいずれも抵抗膜方式タッチパネルを対象として説明したが、本開示はこれに限られない。例えば、本開示に係るタッチパネルは静電容量方式又は静電結合方式でもよいし、抵抗膜方式である場合でも4線式、5線式、7線式又は8線式等のいずれでもよい。さらに銀配線は、銅配線、導電ポリマー配線又は導電カーボン配線に置換されてもよいし、ITOも導電ポリマー等に置換されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 タッチパネル、12 ITO、14 第1電極基板、16 ITO、
18 第2電極基板、20 表示器、22 ケース、24 加飾部、
26 粘着層、28 外周部、30 庇部、32 ベース材、
34 ネジ、36 粘着層、38 フィルム側配線、40 ガラス側配線、
42 FPC、44 導電性接着剤、48 防水性粘着層、50 FPC下端、
52 分断ライン、54 絶縁層、56 傾斜面、60 係止部、 62 突起、
66,68 貫通孔、70 可動部、72 機械式スイッチ、74 センサ
【手続補正書】
【提出日】2024-09-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一態様は、第1導電膜を有する第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する第2電極基板と、前記第1電極基板を収容するケースと、前記第1電極基板の下面に設けられ、前記ケースと締結手段により固定されるベース材と、を備え、前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に加飾部を有し、前記第1電極基板は前記第2電極基板より面積が大きく、前記ケースは、前記第1電極基板のうち前記第2電極基板より外側の外周部を覆うとともに、前記第2電極基板は覆わない庇部を有する、タッチパネルである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示の他の態様は、第1導電膜を有する第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する第2電極基板と、を備え、前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に加飾部を有し、庇部を有するケースに収容され、前記第1電極基板の端部が前記ケースの内側面のうち少なくとも1面に当接するタッチパネルであって、前記第1電極基板は前記第2電極基板より面積が大きく、前記第1電極基板のうち前記第2電極基板より外側の外周部は前記庇部に覆われるとともに、前記第2電極基板は前記庇部に覆われない、タッチパネルである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示のさらなる他の態様は、第1導電膜を有する第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する第2電極基板と、を備え、前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に加飾部を有し、庇部を有するケースに収容されるタッチパネルであって、前記加飾部の外形寸法は前記第2電極基板の外形寸法より小さく、前記第2電極基板のうち前記加飾部より外側の外周部は前記庇部に覆われており、前記加飾部の前記外周部は、粘着層により前記第1電極基板に接着される、タッチパネルである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電膜を有する第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する第2電極基板と、
前記第1電極基板を収容するケースと、
前記第1電極基板の下面に設けられ、前記ケースと締結手段により固定されるベース材と、を備え、
前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に加飾部を有し、
前記第1電極基板は前記第2電極基板より面積が大きく、前記ケースは、前記第1電極基板のうち前記第2電極基板より外側の外周部を覆うとともに、前記第2電極基板は覆わない庇部を有する、タッチパネル。
【請求項2】
前記ケースは、前記第1電極基板の下端を係止するスナップフィット式の係止部を有する、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記ケースは、前記第1電極基板に対して接離する方向に弾性変位可能であり、前記第1電極基板の下端を係止する突起を有する、請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
第1導電膜を有する第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する第2電極基板と、を備え、
前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に加飾部を有し、
庇部を有するケースに収容され、前記第1電極基板の端部が前記ケースの内側面のうち少なくとも1面に当接するタッチパネルであって、
前記第1電極基板は前記第2電極基板より面積が大きく、前記第1電極基板のうち前記第2電極基板より外側の外周部は前記庇部に覆われるとともに、前記第2電極基板は前記庇部に覆われない、タッチパネル。
【請求項5】
前記第1電極基板の角部は直角であり、前記第2電極基板の角部は丸みを有する、請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記第1電極基板は、前記庇部に接着される両面粘着層を有する、請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記両面粘着層は、前記第1電極基板に取り付けられたフレキシブルプリント基板の厚さ以上の厚さを有し、前記フレキシブルプリント基板は、前記第1電極基板の端部に沿って下方に延びるように構成されている、請求項6に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記第1電極基板に形成された配線部と、
前記第1電極基板に取り付けられたフレキシブルプリント基板とを有し、
前記配線部と前記フレキシブルプリント基板とは、前記第1導電膜によって電気的に接続されている、請求項4又は6に記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記庇部と前記第2電極基板との隙間から視認できる前記第1電極基板の面上に、前記加飾部と同色の絶縁層を有する、請求項4又は6に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記第1電極基板に形成された貫通孔を通って配置されるスイッチ又はセンサを有する、請求項4又は6に記載のタッチパネル。
【請求項11】
第1導電膜を有する第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する第2電極基板と、を備え、
前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に加飾部を有し、
庇部を有するケースに収容されるタッチパネルであって、
前記加飾部の外形寸法は前記第2電極基板の外形寸法より小さく、前記第2電極基板のうち前記加飾部より外側の外周部は前記庇部に覆われており、
前記加飾部の前記外周部は、粘着層により前記第1電極基板に接着される、タッチパネル。