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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152913
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H01L21/304 651L
H01L21/304 651B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139879
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2020219432の分割
【原出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根來 世
(72)【発明者】
【氏名】折坂 昌幸
(57)【要約】
【課題】気体吐出口から放射状に気体を吐出する構成において、気体の広がりの均一性を向上できる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【解決手段】基板処理装置は、スピンチャックに保持されている基板の上面に対向して配置される流体ノズル12を備える。流体ノズル12は、基板の上面の中心側から周縁側に向かって放射状に気体を吐出する側方気体吐出口72と、側方気体吐出口72に気体を供給する気体流路76であって、鉛直方向に沿う筒形状を有する気体流路76とを含む。気体流路76は、気体流路76における他の箇所よりも流路断面積が大きい気体滞留部80と、気体流路76において気体滞留部80とは異なる部分に設けられ、気体流路76内の気体の流れを整流する整流構造82と、鉛直方向に直線的に延びる直線状流路85と、直線状流路85の途中部を屈曲させる屈曲流路86とを有する。屈曲流路86は水平方向に広がる平面視円環状の流路である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するスピンチャックと、
前記スピンチャックに保持されている基板の主面に対向して配置される流体ノズルとを備え、
前記流体ノズルが、前記基板の主面の中心側から周縁側に向かって放射状に気体を吐出する気体吐出口と、前記気体吐出口に気体を供給する気体流路であって、前記基板の主面に対する交差方向に沿う筒形状を有する気体流路とを含み、
前記気体流路が、前記気体流路における他の箇所よりも流路断面積が大きい気体滞留部と、前記気体流路において前記気体滞留部とは異なる部分に設けられ、前記気体流路内の気体の流れを整流する整流構造と、前記交差方向に直線的に延びる直線状流路と、前記直線状流路の途中部を屈曲させる屈曲流路とを有し、
前記屈曲流路は水平方向に広がる平面視円環状の流路を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記流体ノズルは、複数の前記気体吐出口と、複数の前記気体吐出口にそれぞれ気体を供給する複数の前記気体流路とを含み、
複数の前記気体吐出口が、第1気体吐出口と、前記第1気体吐出口よりも前記交差方向において前記基板の主面から離れた位置に設けられた第2気体吐出口とを有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記気体流路が、前記屈曲流路を複数有する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を保持する基板保持工程と、
前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給工程と、
少なくとも前記処理液供給工程の開始後において、気体を吐出する気体吐出口、および、前記気体吐出口に気体を供給する気体流路を有する流体ノズルであって、前記気体流路には、前記気体流路における他の箇所よりも流路断面積が大きい気体滞留部、前記気体流路において前記気体滞留部とは異なる部分に設けられ前記気体流路内の気体の流れを整流する整流構造、前記気体流路において交差方向に直線的に延びる直線状流路、前記直線状流路の途中部を屈曲させる屈曲流路が設けられ、前記屈曲流路は水平方向に広がる平面視円環状の流路である流体ノズルの前記気体吐出口から気体を吐出し、前記基板の上面の中心側から周縁側に向かう放射状の気流を形成する気流形成工程とを含む、基板処理方法。
【請求項5】
前記流体ノズルは、複数の前記気体吐出口と、複数の前記気体吐出口にそれぞれ気体を供給する複数の前記気体流路とを含み、
複数の前記気体吐出口が、第1気体吐出口と、前記第1気体吐出口よりも前記交差方向において前記基板の主面から離れた位置に設けられた第2気体吐出口とを有する、請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記気体流路おいて、前記屈曲流路を複数有する、請求項4または5に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置と、基板を処理する基板処理方法とに関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウェハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、基板の中心から周縁に向かって基板の上面と平行な不活性ガス流を形成し、その不活性ガス流によって基板の上面を覆うことにより、液滴およびミストが基板の上面に付着することを抑制または防止できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-162847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理液の液滴およびミストの基板の上面への付着を効率良く抑制するためには、吐出口から吐出され基板の上面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を高める必要がある。そこで、この発明の1つの目的は、気体吐出口から放射状に気体を吐出する構成において、気体の広がりの均一性を向上できる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、基板を保持するスピンチャックと、前記スピンチャックに保持されている基板の主面に対向して配置される流体ノズルとを備え、前記流体ノズルが、前記基板の主面の中心側から周縁側に向かって放射状に気体を吐出する気体吐出口と、前記気体吐出口に気体を供給する気体流路であって、前記基板の主面に対する交差方向に沿う筒形状を有する気体流路とを含み、前記気体流路が、前記気体流路における他の箇所よりも流路断面積が大きい気体滞留部と、前記気体流路において前記気体滞留部とは異なる部分に設けられ、前記気体流路内の気体の流れを整流する整流構造と、前記交差方向に直線的に延びる直線状流路と、前記直線状流路の途中部を屈曲させる屈曲流路とを有し、前記屈曲流路は水平方向に広がる平面視円環状の流路を有する、基板処理装置を提供する。以下の特徴の少なくとも1つを前記基板処理装置に加えてもよい。
【0006】
前記流体ノズルは、複数の前記気体吐出口と、複数の前記気体吐出口にそれぞれ気体を供給する複数の前記気体流路とを含み、複数の前記気体吐出口が、第1気体吐出口と、前記第1気体吐出口よりも前記交差方向において前記基板の主面から離れた位置に設けられた第2気体吐出口とを有する。
【0007】
前記気体流路が、前記屈曲流路を複数有する。
【0008】
本発明の他の実施形態は、基板を保持する基板保持工程と、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給工程と、少なくとも前記処理液供給工程の開始後において、気体を吐出する気体吐出口、および、前記気体吐出口に気体を供給する気体流路を有する流体ノズルであって、前記気体流路には、前記気体流路における他の箇所よりも流路断面積が大きい気体滞留部、前記気体流路において前記気体滞留部とは異なる部分に設けられ前記気体流路内の気体の流れを整流する整流構造、前記気体流路において交差方向に直線的に延びる直線状流路、前記直線状流路の途中部を屈曲させる屈曲流路が設けられ、前記屈曲流路は水平方向に広がる平面視円環状の流路である流体ノズルの前記気体吐出口から気体を吐出し、前記基板の上面の中心側から周縁側に向かう放射状の気流を形成する気流形成工程とを含む、基板処理方法を提供する。以下の特徴の少なくとも1つを前記基板処理方法に加えてもよい。
【0009】
前記流体ノズルは、複数の前記気体吐出口と、複数の前記気体吐出口にそれぞれ気体を供給する複数の前記気体流路とを含み、複数の前記気体吐出口が、第1気体吐出口と、前記第1気体吐出口よりも前記交差方向において前記基板の主面から離れた位置に設けられた第2気体吐出口とを有する。
【0010】
前記気体流路おいて、前記屈曲流路を複数有する。
【0011】
本開示の一態様は、基板を保持するスピンチャックと、前記スピンチャックに保持されている基板の主面に対向して配置される流体ノズルとを備える、基板処理装置を提供する。前記流体ノズルは、前記基板の主面の中心側から周縁側に向かって放射状に気体を吐出する気体吐出口と、前記気体吐出口に気体を供給する気体流路であって、前記基板の主面に対する交差方向に沿う筒形状を有する気体流路とを含む。そして、前記気体流路は、前記気体流路における他の箇所よりも流路断面積が大きい気体滞留部と、前記気体流路において前記気体滞留部とは異なる部分に設けられ、前記気体流路内の気体の流れを整流する整流構造とを有する。
【0012】
この構成によれば、気体流路には、気体流路における他の箇所の流路断面積よりも大きい気体滞留部が設けられているため、気体滞留部に供給された気体は気体滞留部内で分散する。そのため、気体滞留部内に供給された気体の流速が低減され、気体流路の周方向の各位置における気体の流速差が低減される。さらに、気体流路において気体滞留部とは異なる部分に設けられた整流構造によって気体流路内の気体が整流される。これにより、気体流路内の気体の移動方向が気体吐出口に向かう方向に整えられて、気体流路内の気体の流速の周方向成分が低減される。そのため、気体吐出口から吐出されて基板の主面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を向上できる。その結果、気体吐出口から放射状に吐出される気体によって、基板の主面を良好に保護することができる。
【0013】
本開示の一態様では、前記流体ノズルは、複数の前記気体吐出口と、複数の前記気体吐出口にそれぞれ気体を案内する複数の前記気体流路とを含む。そして、複数の前記気体吐出口が、第1気体吐出口と、前記第1気体吐出口よりも前記交差方向において前記基板の主面から離れた位置に設けられた第2気体吐出口とを有する。
この構成によれば、第1気体吐出口に加えて、第1気体吐出口よりも基板の主面から離れた位置に設けられた第2気体吐出口からも気体が吐出されるため、基板の主面の中心側から周縁側に向かう気体の層を厚くすることができる。したがって、基板の主面を一層良好に保護することができる。
【0014】
本開示の一態様では、前記交差方向における前記第2気体吐出口の幅が、前記交差方向における前記第1気体吐出口の幅よりも狭い。
気体吐出口から気体流路へ空気が入り込むことによって、気体吐出口から吐出される気体に酸素および水蒸気が混入することがある。気体吐出口から吐出される気体への酸素および水蒸気の混入によって基板の主面付近の雰囲気中の酸素濃度および湿度が上昇するおそれがある。
【0015】
気体吐出口(第1気体吐出口)よりも基板から離れた位置に気体吐出口(第2気体吐出口)がもう一つ設けられている構成であれば、基板の主面に比較的近い気体吐出口(第1気体吐出口)への空気の進入が、基板の主面から比較的遠い気体吐出口(第2気体吐出口)から吐出される気体によって抑制される。一方、第2気体吐出口よりも基板の主面から離れた位置には更なる気体吐出口が設けられていないため、第2気体吐出口への空気の進入を抑制する気体の流れは存在しない。そこで、交差方向における第2気体吐出口の幅が交差方向における第1気体吐出口の幅よりも狭くすることによって、第2気体吐出口への空気の進入を抑制できる。これにより、基板の主面付近の雰囲気中の酸素濃度の上昇を抑制できる。これにより、基板の主面を一層良好に保護できる。
【0016】
本開示の一態様では、前記交差方向における前記第2気体吐出口の幅が、前記交差方向における前記第1気体吐出口の幅よりも広い。
基板の主面付近の気圧が場合に、基板の主面に比較的近い第1気体吐出口から吐出される気体が、交差方向において基板の主面側に引き寄せられて、第1気体吐出口から吐出される気体の広がりの均一性が低下するおそれがある。
【0017】
そこで、第1気体吐出口の幅を第2気体吐出口の幅よりも狭くすることで、第1気体吐出口から吐出される気体の線速度を高くすれば、第1気体吐出口から吐出される気体が基板の主面に引き寄せられることを抑制できる。これにより、気体吐出口から吐出されて基板の主面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を向上できる。
本開示の一態様では、前記気体流路の周方向に互いに間隔を隔てて設けられ、前記気体流路の下流側への気体の移動を遮蔽する複数の第1遮蔽部を有する。
【0018】
この構成によれば、周方向に間隔を隔てて設けられた複数の第1遮蔽部によって、気体流路の下流側への気体の移動が遮蔽されている。そのため、周方向に隣り合う2つの第1遮蔽部同士の間を通る際に、気体の流速の周方向成分が低減される。これにより、気体吐出口から吐出される気体の吐出方向を気体流路の半径方向に近づけることができるので、基板の主面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を一層向上できる。
【0019】
本開示の一態様では、前記整流構造が、複数の前記第1遮蔽部よりも前記気体流路の下流側に設けられ、前記気体流路の下流側への気体の移動を遮蔽する複数の第2遮蔽部をさらに有する。そして、前記周方向における複数の前記第2遮蔽部の位置が、前記周方向における複数の前記第1遮蔽部の位置からずれている。
複数の第1遮蔽部によって、周方向に隣り合う2つの第1遮蔽部同士の間を通る気体の流速の周方向成分が低減される一方で、気体流路における複数の第1遮蔽部よりも下流側では、第1遮蔽部と同じ周方向位置を流れる気体の流量が低減される。そこで、複数の第1遮蔽部よりも気体流路の下流側において、気体流路の下流側への気体の移動を遮蔽する複数の第2遮蔽部の周方向位置が複数の第1遮蔽部の周方向位置からずれている構成であれば、第2遮蔽部と同じ周方向位置を流れる気体の流量を低減でき、これにより、周方向の各位置における気体の流量の均一性を向上させることができる。その結果、基板の主面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を一層向上できる。
【0020】
さらに、複数の第1遮蔽部に加えて複数の第2遮蔽部によって気体の速度の周方向成分を低減することができる。すなわち、気体の速度の周方向成分を二段階に低減することができる。これにより、気体吐出口から吐出される気体の吐出方向を気体流路の半径方向に一層近づけることができる。
本開示の一態様では、前記気体流路が、前記交差方向に直線的に延びる直線状流路と、前記直線状流路の途中部を屈曲させる屈曲流路とをさらに有する。直線状流路の途中部で屈曲させることによって、気体の流速が低減され、気体流路の周方向の各位置における気体の流速差が低減される。また、整流構造を屈曲流路に設けることも可能である。
【0021】
本開示の一態様では、前記流体ノズルが、前記基板の主面に対向する対向面、および前記対向面に連結され前記気体吐出口が開口する側面を有し、その内部に前記気体流路が形成されたノズル本体をさらに含む。
この基板処理装置によれば、気体吐出口が、ノズル本体において基板の主面に対向する対向面に連結された筒状の側面に形成されている。そのため、気体吐出口から放射状に気体を広げやすい。
【0022】
本開示の一態様では、前記流体ノズルが、前記基板の主面の中心に向けて気体を吐出する中心気体吐出口をさらに含む。さらに、前記流体ノズルの前記対向面には、前記基板の主面から離れる方向に窪む円錐台状の凹部が形成されており、前記中心気体吐出口が、前記凹部内に位置している。
この構成によれば、中心気体吐出口が凹部内に位置しているため、中心気体吐出口から基板の主面の中心に向けて吐出された気体は、凹部内で広がる。凹部が円錐台状に形成されているため、凹部の周縁の全域から凹部の外側へ気体を均等に広げることができる。基板の主面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を向上できる。
【0023】
本開示の一態様では、前記流体ノズルが、前記凹部内に位置し、前記基板の主面に向けて処理液を吐出する処理液吐出口をさらに含む。そのため、処理液吐出口から基板の主面に処理液を吐出しながら、流体ノズルの側面から開口する気体吐出口から気体を吐出することで、基板の主面上の処理液を外部の雰囲気から保護することができる。たとえば、外部の雰囲気に含まれる酸素および水蒸気が、基板の主面上の処理液に溶け込むことを抑制できる。
【0024】
さらに、中心気体吐出口から気体を吐出させて処理液を基板の周縁へ向けて押し退けることで、基板の周縁から排除することができる。中心気体吐出口から吐出された気体は、凹部の周縁の全域から凹部の外側へ均一に広がるため、基板の主面から処理液を良好に除去できる。
本開示の一態様では、前記ノズル本体が、前記気体流路を区画する表面をそれぞれ有する複数の流路区画部材を含む。この構成によれば、流路区画部材の表面によって、気体流路が区画される。そのため、単一の部材の内部に気体流路を形成する構成と比較して、気体流路の形成が容易である。
【0025】
本開示の一態様では、前記基板処理装置が、前記流体ノズルに接続され、前記基板の主面に対して平行な方向から前記気体流路に気体を供給する気体配管をさらに備える。
そのため、基板の主面に対して平行な方向から気体流路に供給された気体は、気体流路内で周方向に旋回する。気体流路において気体滞留部とは異なる部分に整流構造が設けられているため、気体流路内の気体が整流される。これにより、基板の主面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を向上できる。
【0026】
本開示の他の態様は、基板を保持する基板保持工程と、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給工程と、少なくとも前記処理液供給工程の開始後において、気体を吐出する気体吐出口、および、前記気体吐出口に気体を供給する気体流路を有する流体ノズルであって、前記気体流路には、前記気体流路における他の箇所よりも流路断面積が大きい気体滞留部、および、前記気体流路において前記気体滞留部とは異なる部分に設けられ前記気体流路内の気体の流れを整流する整流構造が設けられている流体ノズルの前記気体吐出口から気体を吐出し、前記基板の上面の中心側から周縁側に向かう放射状の気流を形成する気流形成工程とを含む、基板処理方法を提供する。
【0027】
この構成によれば、上述した基板処理装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための平面図である。
図2図2は、前記基板処理装置に備えられる処理ユニットの構成例を説明するための模式的な断面図である。
図3図3は、前記処理ユニットに備えられた流体ノズルの模式的な平面図である。
図4図4は、図3に示すIV-IV線である。
図5図5は、図4に示すV領域の拡大図である。
図6図6は、図4に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、図4に示すVII-VII線に沿う断面図である。
図8図8は、図4に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図9は、図4に示すIX-IX線に沿う断面図である。
図10図10は、前記基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図11図11は、前記基板処理装置による具体的な基板処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図12A図12Aは、前記基板処理において実行される低表面張力液体処理の様子を説明するための図解的な断面図である。
図12B図12Bは、前記低表面張力液体処理の様子を説明するための図解的な断面図である。
図12C図12Cは、前記低表面張力液体処理の様子を説明するための図解的な断面図である。
図12D図12Dは、前記低表面張力液体処理の様子を説明するための図解的な断面図である。
図13図13は、第1実施形態に係る整流構造の第1変形例を説明するための断面図である。
図14図14は、第1実施形態に係る整流構造の第2変形例を説明するための模式図である。
図15図15は、図14に示すXV-XV線に沿う断面図である。
図16図16は、第1実施形態に係る整流構造の第3変形例を説明するための模式図である。
図17図17は、第1実施形態に係る整流構造の第4変形例を説明するための模式図である。
図18図18は、第2実施形態に係る基板処理装置に備えられている流体ノズルの断面図である。
図19図19は、図18に示すXIX領域の拡大図である。
図20図20は、第3実施形態に係る基板処理装置に備えられている流体ノズルの断面図である。
図21図21は、図20に示すXXI領域の拡大図である。
図22図22は、第3実施形態に係る基板処理装置に備えられている流体ノズルの断面図である。
図23図23は、図22に示すXXIII領域の拡大図である。
図24図24は、変形例に係る流体ノズルの断面において、複数の側方気体吐出口およびその周辺の拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<基板処理装置の構成>
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための平面図である。
基板処理装置1は、シリコンウエハなどの基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板処理装置1は、処理液で基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリアCAが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御するコントローラ3とを含む。搬送ロボットIRは、キャリアCAと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
【0030】
処理ユニット2において、基板Wは、一対の主面を有し、いずれかの主面を上方に向けた姿勢で処理される。一対の主面のうち少なくとも一方が、回路パターンが形成されたデバイス面である。一対の主面のうちの一方は、回路パターンが形成されていない非デバイス面であってもよい。
回路パターンは、たとえば、微細なトレンチにより形成されたライン状のパターンであってもよいし、複数の微細孔(ボイドまたはポア)を設けることにより形成されていてもよい。
【0031】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための図解的な断面図である。処理ユニット2は、一枚の基板Wを水平な姿勢で保持しながら、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5と、基板Wを下面(下方側の主面)側から加熱するヒータユニット6と、スピンチャック5を取り囲む筒状の処理カップ7と、基板Wの上面にフッ酸等の薬液を供給する薬液ノズル9と、基板Wの上面(上方側の主面)に脱イオン水(DIW)等のリンス液を供給するリンス液ノズル10と、基板Wの下面に処理流体を供給する下面ノズル11と、基板Wの上面に窒素ガス(N)等の気体およびIPA(イソプロピルアルコール)等の低表面張力液体を供給する流体ノズル12とを備えている。低表面張力液体とは、DIW等のリンス液よりも表面張力が低い液体である。
【0032】
処理ユニット2は、さらに、処理カップ7を収容するチャンバ13(図1参照)を含む。図示は省略するが、チャンバ13には、基板Wを搬入/搬出するための搬入/搬出口が形成されており、この搬入/搬出口を開閉するシャッタユニットが備えられている。
スピンチャック5は、基板Wを所定の保持位置に保持しながら基板Wを回転させる。具体的には、スピンチャック5は、基板Wを把持する複数のチャックピン20と、複数のチャックピン20を支持するスピンベース21と、スピンベース21の下面中央に結合された回転軸22と、回転軸22に回転力を与えるスピンモータ23とを含む。
【0033】
回転軸22は回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びており、この実施形態では中空軸である。スピンベース21は、水平方向に沿う円盤形状を有しており、回転軸22の上端に結合されている。複数のチャックピン20は、スピンベース21の周方向に互いに間隔を空けてスピンベース21の上面の周縁部に配置されている。複数のチャックピン20は、基板Wの周縁部に接触して基板Wを把持する閉位置と、基板Wの周縁部から退避した開位置との間で移動可能である。複数のチャックピン20は、開位置に位置するとき、基板Wの周縁部の下面に接触して、基板Wを下方から支持する。
【0034】
複数のチャックピン20は、チャックピン駆動ユニット25によって、開閉駆動される。チャックピン駆動ユニット25は、たとえば、スピンベース21に内蔵されたリンク機構26と、スピンベース21外に配置された駆動源27とを含む。駆動源27は、たとえば、ボールねじ機構と、それに駆動力を与える電動モータとを含む。
ヒータユニット6は、円板状のホットプレートの形態を有している。ヒータユニット6は、スピンベース21の上面と基板Wの下面との間に配置されている。
【0035】
ヒータユニット6は、プレート本体60およびヒータ61を含む。プレート本体60は、平面視において、基板Wよりも僅かに小さい。プレート本体60の上面が加熱面6aを構成している。ヒータ61は、プレート本体60に内蔵されている抵抗体であってもよい。ヒータ61に通電することによって、加熱面6aが加熱される。
ヒータユニット6の下面には、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びる昇降軸62が結合されている。昇降軸62は、スピンベース21の中央部に形成された貫通孔21aと、中空の回転軸22とに挿入されている。昇降軸62内には、給電線63が通されている。
【0036】
ヒータ61には、給電線63を介してヒータ通電ユニット64から電力が供給される。ヒータ通電ユニット64は、たとえば、電源である。ヒータユニット6は、ヒータ昇降ユニット65によって昇降される。
ヒータ昇降ユニット65は、たとえば、昇降軸62を昇降駆動する電動モータまたはエアシリンダ等のアクチュエータ(図示せず)を含む。ヒータ昇降ユニット65は、ヒータリフタともいう。
【0037】
ヒータ昇降ユニット65は、昇降軸62を介してヒータユニット6を昇降させる。ヒータユニット6は、ヒータ昇降ユニット65によって昇降されて、下位置および上位置に位置することができる。ヒータ昇降ユニット65は、下位置および上位置だけでなく、下位置および上位置の間の任意の位置にヒータユニット6を配置することが可能である。
ヒータユニット6は、上昇する際に、開位置に位置する複数のチャックピン20から基板Wを受け取ることが可能である。ヒータユニット6は、ヒータ昇降ユニット65によって、基板Wの下面に接触する接触位置、または、基板Wの下面に非接触で近接する近接位置に配置されることによって、加熱面6aからの輻射熱によって基板Wを加熱することができる。ヒータユニット6を接触位置に位置させることで、加熱面6aからの熱伝導により、基板Wをより大きな熱量で加熱することができる。
【0038】
処理カップ7は、スピンチャック5に保持されている基板Wから飛散する液体を受ける。処理カップ7は、スピンチャック5に保持された基板Wから外方に飛散する液体を受け止める複数のガード30と、複数のガード30によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ31と、複数のガード30および複数のカップ31を取り囲む円筒状の外壁部材32とを含む。この実施形態では、2つのガード30と、2つのカップ31とが設けられている例を示している。
【0039】
各ガード30は、それぞれ、ほぼ円筒形状を有している。各ガード30の上端部は、スピンベース21に向かうように内方に傾斜している。複数のカップ31は、それぞれ、複数のガード30の下方に配置されている。カップ31は、ガード30によって下方に案内された処理液を受け止める環状の受液溝を形成している。
各ガード30は、ガード昇降ユニット33によって個別に昇降される。ガード昇降ユニット33は、上位置から下位置までの任意の位置に各ガード30を位置させる。図2は、2つのガード30がともに下位置に配置されている状態を示している。上位置は、ガード30の上端がスピンチャック5に保持されている基板Wが配置される保持位置よりも上方に配置される位置である。下位置は、ガード30の上端が保持位置よりも下方に配置される位置である。
【0040】
ガード昇降ユニット33は、たとえば、複数のガード30にそれぞれ結合された複数のボールねじ機構(図示せず)と、各ボールねじ機構に駆動力を与える複数のモータ(図示せず)とを含む。ガード昇降ユニット33は、ガードリフタともいう。
回転している基板Wに液体を供給するときは、少なくとも一つのガード30が上位置に配置される。この状態で、液体が基板Wに供給されると、液体は、基板Wから外方に振り切られる。振り切られた液体は、基板Wに水平に対向するガード30の内面に衝突し、このガード30に対応するカップ31に案内される。基板Wの搬入および搬出において搬送ロボットCR(図1を参照)がスピンチャック5にアクセスする際には、全てのガード30が下位置に位置している。
【0041】
薬液ノズル9は、この実施形態では、水平方向に移動可能な移動ノズルである。薬液ノズル9は、第1ノズル移動ユニット35によって、水平方向に移動される。薬液ノズル9は、水平方向において、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。薬液ノズル9は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の回転中心に対向する。基板Wの上面の回転中心とは、基板Wの上面における回転軸線A1との交差位置である。薬液ノズル9は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。
【0042】
薬液ノズル9は、薬液ノズル9に薬液を案内する薬液配管40に接続されている。薬液配管40には、薬液配管40内の流路を開閉する薬液バルブ50が介装されている。薬液バルブ50が開かれると、薬液が、薬液ノズル9の吐出口から下方に連続流で吐出される。薬液ノズル9が中心位置に位置するときに薬液バルブ50が開かれると、基板Wの上面の回転中心を含む中央領域に薬液が供給される。
【0043】
薬液ノズル9は、この実施形態とは異なり、水平位置および鉛直位置が固定された固定ノズルであってもよい。また、薬液ノズル9は、この実施形態とは異なり、液体と気体とを混合して吐出することができる二流体ノズルの形態を有していてもよい。
薬液ノズル9から吐出される薬液の具体例は、エッチング液および洗浄液である。さらに具体的には、薬液は、フッ酸、APM液(アンモニア過酸化水素水混合液)、HPM液(塩酸過酸化水素水混合液)、バッファードフッ酸(フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)等であってもよい。
【0044】
リンス液ノズル10は、この実施形態では、基板Wの上面の回転中心に向けてリンス液を吐出するように配置された固定ノズルである。リンス液ノズル10には、リンス液配管41内の流路を開閉するリンス液バルブ51が接続されている。リンス液バルブ51が開かれると、リンス液がリンス液ノズル10の吐出口から下方に連続流で吐出されて基板Wの上面の中央領域に供給される。リンス液ノズル10は固定ノズルである必要はなく、少なくとも水平方向に移動する移動ノズルであってもよい。
【0045】
リンス液ノズル10から吐出されるリンス液は、DIWに限られず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、希釈アンモニア水(たとえば、10ppm以上100ppm以下程度)および希釈濃度(たとえば、10ppm以上100ppm以下程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
下面ノズル11は、中空の昇降軸62に挿入され、さらに、ヒータユニット6を貫通している。下面ノズル11は、基板Wの下面の中央領域に対向する吐出口11aを上端に有している。下面ノズル11には、下面ノズル11に処理流体を案内する流体配管42が接続されている。下面ノズル11には、流体配管42内の流路を開閉する流体バルブ52が接続されている。流体バルブ52が開かれると、処理流体が下面ノズル11の吐出口11aから上方に連続流で吐出されて基板Wの下面の中央領域に供給される。供給される処理流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。
【0046】
流体ノズル12は、第2ノズル移動ユニット36によって、水平方向および鉛直方向に移動される。流体ノズル12は、水平方向への移動によって、基板Wの上面の回転中心に対向する中心位置と、基板Wの上面に対向しないホーム位置(退避位置)との間で移動させることができる。そのため、流体ノズル12は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に対向する位置に位置することが可能である。
【0047】
基板Wの上面に対向しないホーム位置とは、平面視において、スピンベース21の外方の位置であり、より具体的には、処理カップ7の外方の位置であってもよい。流体ノズル12は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近させたり、基板Wの上面から上方に退避させたりすることができる。
第2ノズル移動ユニット36は、たとえば、鉛直方向に沿う回動軸36aと、回動軸36aに結合されて水平に延びるアーム36bと、アーム36bを駆動するアーム駆動機構36cとを含む。アーム駆動機構36cは、回動軸36aを鉛直な回動軸線まわりに回動させることによってアーム36bを揺動させ、回動軸36aを鉛直方向に沿って昇降することにより、アーム36bを上下動させる。流体ノズル12はアーム36bに固定されている。アーム36bの揺動および昇降に応じて、流体ノズル12が水平方向および垂直方向に移動する。アーム駆動機構36cは、たとえば、電動モータまたはエアシリンダ等のアクチュエータ(図示せず)を含む。
【0048】
流体ノズル12は、この実施形態では、低表面張力液体を吐出する低表面張力液体ノズル(処理液ノズル)としての機能と、気体を吐出する気体ノズルとしての機能とを有している。流体ノズル12には、低表面張力液体配管43(処理液配管)、中心気体配管44、および、複数の側方気体配管45(第1側方気体配管45A、および、第2側方気体配管45B)が結合されている。
【0049】
低表面張力液体配管43には、その流路を開閉する低表面張力液体バルブ53(処理液バルブ)が介装されている。中心気体配管44には、その流路を開閉する中心気体バルブ54が介装されている。複数の側方気体配管45には、複数の側方気体バルブ55(第1側方気体バルブ55Aおよび第2側方気体バルブ55B)がそれぞれ介装されている。各側方気体配管45内の流路は、対応する側方気体バルブ55によって開閉される。
【0050】
中心気体配管44には、中心気体バルブ54に加えて、中心気体配管44内の流路を流れる気体の流量を正確に調節するためのマスフローコントローラ56が介装されている。第1側方気体配管45Aには、第1側方気体バルブ55Aに加えて、第1側方気体配管45A内の流路を流れる気体の流量を調節するための第1流量可変バルブ57Aが介装されている。第2側方気体配管45Bには、第2側方気体バルブ55Bに加えて、第2側方気体配管45B内の流路を流れる気体の流量を調節するための第2流量可変バルブ57Bが介装されている。さらに、各気体配管(中心気体配管44および複数の側方気体配管45)には、それぞれ、異物を除去するためのフィルタ58が介装されている。
【0051】
流体ノズル12は、低表面張力液体配管43から供給される低表面張力液体を下方に連続流で吐出する低表面張力液体吐出口(処理液吐出口)70と、中心気体配管44から供給される気体を下方に直線状に吐出する中心気体吐出口71と、対応する側方気体配管45から供給される気体を水平方向に向けて放射状に吐出する複数の側方気体吐出口72(第1側方気体吐出口72Aおよび第2側方気体吐出口72B)とを含む。複数の側方気体吐出口72から吐出された気体は、基板Wの上面と平行に流れるガス流である平行気流100を形成する。
【0052】
流体ノズル12から吐出される低表面張力液体は、たとえば、IPA等の有機溶剤である。低表面張力液体として機能する有機溶剤は、たとえば、IPA、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、メタノール、エタノール、アセトン、PGEE(プロピレングリコールモノエチルエーテル)およびTrans-1,2-ジクロロエチレンのうちの少なくとも1つを含む液を含む。
【0053】
低表面張力液体として機能する有機溶剤は、単体成分のみからなる必要はなく、他の成分と混合した液体であってもよい。たとえば、IPAとDIWとの混合液であってもよいし、IPAとHFEとの混合液であってもよい。
流体ノズル12から吐出される気体は、窒素ガスに限られない。流体ノズル12から吐出される気体は、空気であってもよい。また、流体ノズル12から吐出される気体は、窒素ガス以外の不活性ガスであってもよい。不活性ガスとは、窒素ガスに限られず、基板Wの上面に対して不活性なガスのことである。不活性ガスの例としては、窒素ガスの他に、アルゴン等の希ガス類が挙げられる。
【0054】
次に、図3図9を用いて、流体ノズル12の構成について説明する。図3は、流体ノズル12の構成例を説明するための模式的な平面図である。図3は、流体ノズル12が中心位置に位置する状態を示している。
図3を参照して、流体ノズル12が中心位置に位置するとき、中心気体吐出口71が基板Wの上面の中心Cと対向している。通常、基板Wの上面の中心Cは、基板Wの上面の回転中心と一致している。すなわち、基板Wの上面の中心Cを通る鉛直な中心軸線A2は、回転軸線A1と一致している。流体ノズル12が中心位置に位置するとき、各側方気体吐出口72は、基板Wの上面の中心側から周縁側に向かって放射状に気体を吐出する。以下では、特に説明がない場合には、流体ノズル12が中心位置に位置することを前提として流体ノズル12の構成について説明する。
【0055】
図4は、図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図4に示すV領域の拡大図である。図6は、図4に示すVI-VI線に沿う断面図である。図7は、図4に示すVII-VII線に沿う断面図である。図8は、図4に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。図9は、図4に示すIX-IX線に沿う断面図である。
図4を参照して、流体ノズル12は、鉛直方向に延びる略円柱形状を有するノズル本体75と、複数の側方気体吐出口72(第1側方気体吐出口72Aおよび第2側方気体吐出口72B)にそれぞれ気体を供給(案内)する複数の気体流路76(第1気体流路76Aおよび第2気体流路76B)と、対応する側方気体配管45から複数の気体流路76のそれぞれに気体を流入させる複数の気体流入口77(第1気体流入口77Aおよび第2気体流入口77B)とを含む。各側方気体配管45は、水平方向(基板Wの上面に平行な方向)に延びており、対応する気体流入口77に挿入されている。
【0056】
ノズル本体75は、底面(下面)75aと、底面75aに連結され鉛直方向に延びる略円筒状の側面75bとを有する。底面75aは、流体ノズル12が中心位置に位置する状態で、基板Wの上面に対向する対向面である。複数の側方気体吐出口72および複数の気体流路76は、ノズル本体75内に形成されている。
各気体流路76は、鉛直方向に沿う略円筒形状を有する。第2気体流路76Bは、第1気体流路76Aよりも外側で第1気体流路76Aと同軸上に設けられている。第1気体流路76Aおよび第2気体流路76Bは、その中心線A3まわりに回転対称である。流体ノズル12が中心位置に位置するとき、気体流路76の中心線A3は、回転軸線A1および中心軸線A2と一致している。
【0057】
第1側方気体吐出口72Aは、平面視円環形状を有しており、側面75bの下端部から開口している。第2側方気体吐出口72Bは、平面視円環形状を有し、側面75bにおいて第1側方気体吐出口72Aよりも基板Wの上面から離れた位置(底面75aから離れた位置)に設けられている。各側方気体吐出口72から吐出された気体は、側面75bの外方へ向けて放射状に広がる。複数の側方気体吐出口72には、複数の気体流路76がそれぞれ接続されている。
【0058】
第1側方気体吐出口72Aおよび第2側方気体吐出口72Bは、ともに、基板Wの中心軸線A2まわり(気体流路76の中心線A3)に回転対称である。言い換えると、第2側方気体吐出口72Bは、第1側方気体吐出口72Aと同軸上に位置する。側面75bは、その全体が円筒状である必要はなく、側面75bにおいて複数の側方気体吐出口72が開口している領域のみが円筒面を構成していてもよい。
【0059】
基板Wの上面に対する交差方向D1(典型的には、鉛直方向)における第1側方気体吐出口72Aの幅W1は、基板Wの上面に対する交差方向D1(典型的には、鉛直方向)における第2側方気体吐出口72Bの幅W2よりも大きい。幅W1は、たとえば、3mm以上4mm以下であり、幅W2は、たとえば、2mm以上3mm以下である。
各側方気体吐出口72は、ノズル本体75の内部に形成された一対の吐出口区画面78(上側吐出口区画面78Aおよび下側吐出口区画面78B)によって区画されている。各気体流路76は、ノズル本体75の内部に形成された一対の流路区画面79(内側流路区画面79Aおよび外側流路区画面79B)によって区画されている。一対の流路区画面79は、一対の吐出口区画面78のそれぞれと連結されている。
【0060】
ノズル本体75の底面75aには、ノズル本体75を窪ませる略円錐台状の凹部75cが形成されている。凹部75cは、基板Wの上面から離れる方向(交差方向D1、典型的には、鉛直方向。)に窪んでいる。
ノズル本体75の中央部には、中心線A3と平行に、中心気体配管44および低表面張力液体配管43が挿入されており、中心気体配管44および低表面張力液体配管43の下端部は、ノズル本体75の凹部75cに位置している。中心気体配管44の下端部は、中心気体吐出口71を構成している。低表面張力液体配管43の下端部は、低表面張力液体吐出口70を構成している。中心気体吐出口71および低表面張力液体吐出口70は、凹部75c内に位置している。低表面張力液体吐出口70は、中心気体吐出口71の側方に位置している。
【0061】
各気体流路76は、同様の構成を有している。そのため、以下では、図4における第1気体流路76Aの周辺を拡大して示す図5を参照して、気体流路76の詳細について説明する。各気体流路76は、気体流路76における他の箇所よりも流路断面積が大きく、その内部に気体Gを滞留させる気体滞留部80と、気体滞留部80および対応する側方気体吐出口72を連結し、気体滞留部80よりも流路断面積が小さい狭小流路81と、狭小流路81(気体流路76において気体滞留部80とは異なる部分)に設けられ、気体流路76の気体の流れを整流する整流構造82とを含む。
【0062】
流路断面積とは、気体流路76に沿う方向(流路方向)に対する直交方向に沿う断面の面積である。気体滞留部80の流路断面積CA1は、水平方向に沿う気体流路76の断面積である。
第1実施形態では、狭小流路81は、気体滞留部80の下流端および対応する側方気体吐出口72の上流端を接続し、気体流路76の中心線A3まわりの周方向CDに対する交差方向D1(典型的には、直交方向であり、鉛直方向でもある。)に直線的に延びる直線状流路85と、直線状流路85の途中部を屈曲させる屈曲流路86とを含む。直線状流路85は、気体滞留部80の下流端および屈曲流路86の上流端に接続され、交差方向D1に直線的に延びる上流直線状流路87と、対応する側方気体吐出口72と屈曲流路86の上流端とに接続され、交差方向D1に直線的に延びる下流直線状流路88とを含む。屈曲流路86は、水平方向に広がる平面視円環状の流路である。
【0063】
整流構造82は、気体流路76の下流側への気体の移動を遮蔽する複数の第1遮蔽部90と、複数の第1遮蔽部90よりも気体流路76の下流側に設けられ、気体流路76の下流側への気体の移動を遮蔽する複数の第2遮蔽部91とを含む。第1実施形態では、複数の第1遮蔽部90は、上流直線状流路87に設けられており、複数の第2遮蔽部91は、下流直線状流路88に設けられている。
【0064】
図6を参照して、複数の第1遮蔽部90は、周方向CDに互いに間隔を隔てて設けられている。上流直線状流路87内の気体G(図8を参照)は、隣り合う第1遮蔽部90の間の隙間(第1整流流路95)を通り、下流側へ流れる。図7を参照して、複数の第2遮蔽部91も、周方向CDに互いに間隔を隔てて設けられている。下流直線状流路88内の気体G(図8を参照)は、隣り合う第2遮蔽部91の間の隙間(第2整流流路96)を通り、下流側へ流れる。
【0065】
図8を参照して、周方向CDにおける複数の第2遮蔽部91の位置(第2遮蔽部91の周方向位相)が、周方向CDにおける複数の第1遮蔽部90の位置(第1遮蔽部90周方向位相)からずれている。言い換えると、複数の第2遮蔽部91の周方向位相が複数の第1遮蔽部90の周方向位相と異なっている。隣り合う第1遮蔽部90の間の第1整流流路95は、交差方向D1に沿う直線状である。隣り合う第2遮蔽部91の間の第2整流流路96は、交差方向D1に沿う直線状である。周方向CDにおける複数の第2整流流路96の位置は、周方向CDにおける複数の第1整流流路95の位置からずれている。言い換えると、複数の第2整流流路96の周方向位相が複数の第1整流流路95の周方向位相と異なっている。
【0066】
このような流体ノズル12を用いることで、以下の効果を奏する。各気体流入口77は、気体流路76の周方向CD(基板Wの上面に平行な方向)から、対応する気体流路76の気体滞留部80に気体Gを流入させる(図5を参照)。気体滞留部80に供給される気体Gは、図9に示すように、周方向CDに沿って気体滞留部80内で旋回気流TGを形成する。気体滞留部80の流路断面積CA1は、気体流路76における他の箇所の流路断面積CA2よりも大きい、すなわち、気体滞留部80の内部が広い空間である。そのため、気体Gは、気体滞留部80内で分散する。そのため、気体滞留部80内に供給された気体Gの流速が低減され、気体流路76の周方向CDの各位置における気体Gの流速差が低減される。すなわち、気体滞留部80に流入した気体が気体滞留部80内に滞留する。
【0067】
気体滞留部80内の気体Gは、その下流端から狭小流路81に流入する。狭小流路81内を流れる気体Gは、整流構造82によって整流されて、気体Gの流速の周方向成分が低減される。これにより、気体Gの移動方向が気体流路76に沿う方向に整えられる。詳しくは、複数の第1遮蔽部90によって周方向CDにおける上流直線状流路87の一部が塞がれているため、周方向CDに隣り合う2つの第1遮蔽部90同士の間(第1整流流路95)を通る際に、気体の流速の周方向成分が低減される。
【0068】
第1整流流路95を通る気体Gの流速の周方向成分が低減される一方で、気体流路76において複数の第1遮蔽部90よりも下流側では、第1遮蔽部90と同じ周方向位置を流れる気体Gの流量が低減される。第1の実施形態では、複数の第1遮蔽部90よりも気体流路76の下流側において、気体流路76の下流側への気体Gの移動を遮蔽する複数の第2遮蔽部91が複数の第1遮蔽部90の周方向CDにずれた位置に配置されている。そのため、第2遮蔽部91と同じ周方向位置を流れる気体Gの流量を低減でき、これにより、周方向CDの各位置における気体Gの流量の均一性を向上させることができる。また、複数の第1遮蔽部90および複数の第2遮蔽部91によって気体Gの速度の周方向成分が二段階に低減される。これにより、気体流路76を流れる気体Gの移動方向を半径方向RDに一層近づけることができる。
【0069】
気体が狭小流路81を流れる際、上流直線状流路87から屈曲流路86に流入する。その際、気体は、流路区画面79において屈曲流路86を区画する部分に衝突し、気体の流速が低減される。これにより、周方向CDの各位置における気体の流速差がさらに低減される。狭小流路81内を通過した気体は、対応する側方気体吐出口72から放射状に吐出される。
【0070】
このように、気体滞留部80および屈曲流路86によって、気体の流速が低減されて、周方向CDにおける気体の流速差が低減される。そのため、対応する側方気体吐出口72から吐出されて基板Wの上面の中心側から周縁側に向かう気体Gの広がり(平行気流100)の均一性を向上できる。整流構造82によって、気体の流速の周方向成分が低減されて側方気体吐出口72からの気体の吐出方向が気体流路76に沿う方向(ここでは、半径方向RD)に整えられる。その結果、基板Wの上面を良好に保護することができる。
【0071】
気体滞留部80は、気体流路76の最も上流側(狭小流路81よりも上流側)に設けられている。そのため、気体滞留部80により流速が低減された気体Gが流れる流路を充分に確保することができる。したがって、気体Gを所望の方向に整流しやすい。
第1側方気体吐出口72Aに加えて、第1側方気体吐出口72Aよりも基板Wの上面から離れた位置に設けられた第2側方気体吐出口72Bからも気体が吐出されるため、基板Wの上面の中心側から周縁側に向かう気体の層(平行気流100)を厚くすることができる。したがって、基板Wの上面を一層良好に保護することができる。
【0072】
側方気体吐出口72が、ノズル本体75において基板Wの上面に対向する底面75aに連結された筒状の側面75bに形成されている。そのため、側方気体吐出口72から放射状に気体を広げやすい。
中心気体吐出口71が凹部75c内に位置しているため、中心気体吐出口71から基板Wの上面の中心Cに向けて吐出された気体は、凹部75c内に広がり、基板Wの上面と凹部75cとの間に充満する。凹部75cが円錐台状に形成されているため、凹部75cの周縁の全域から凹部75cの外側へ気体を均等に広げることができる。基板Wの上面の中心C側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を向上できる。
【0073】
図10は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。コントローラ3は、マイクロコンピュータを備えており、所定の制御プログラムに従って、基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。
具体的には、コントローラ3は、プロセッサ(CPU)3Aと、制御プログラムが格納されたメモリ3Bとを含む。コントローラ3は、プロセッサ3Aが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
【0074】
とくに、コントローラ3は、搬送ロボットIR,CR、スピンモータ23、第1ノズル移動ユニット35、第2ノズル移動ユニット36、ヒータ通電ユニット64、ヒータ昇降ユニット65、ガード昇降ユニット33、チャックピン駆動ユニット25、薬液バルブ50、リンス液バルブ51、流体バルブ52、低表面張力液体バルブ53、中心気体バルブ54、側方気体バルブ55、マスフローコントローラ56、第1流量可変バルブ57A、第2流量可変バルブ57Bを制御するようにプログラムされている。コントローラ3によってバルブが制御されることによって、対応するノズルからの流体の吐出の有無や、対応するノズルからの流体の吐出流量が制御される。
【0075】
以下の各工程は、コントローラ3がこれらの構成を制御することにより実行される。言い換えると、コントローラ3は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。
図11は、基板処理装置1による基板処理の一例を説明するための流れ図であり、主として、コントローラ3が動作プログラムを実行することによって実現される処理が示されている。基板処理装置1による基板処理では、たとえば、図11に示すように、薬液処理(ステップS1)、リンス処理(ステップS2)、低表面張力液体処理(ステップS3)、乾燥処理(ステップS4)がこの順番で実行される。
【0076】
以下では、基板処理装置1によって実行される基板処理について、主に図2および図11を参照して説明する。
未処理の基板Wは、搬送ロボットIR,CRによってキャリアCAから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック5に渡される(基板搬入工程)。このとき、ヒータユニット6は、下位置に配置されている。また、チャックピン駆動ユニット25は、チャックピン20を開位置に移動させる。その状態で、搬送ロボットCRは、基板Wをスピンチャック5に渡す。この後、基板Wは、搬送ロボットCRによって搬出されるまで、スピンチャック5に保持される(基板保持工程)。その後、チャックピン駆動ユニット25は、複数のチャックピン20を閉位置に移動させる。それにより、複数のチャックピン20によって基板Wが把持される。
【0077】
搬送ロボットCRが処理ユニット2外に退避した後、薬液処理(ステップS1)が開始される。コントローラ3は、スピンモータ23を駆動してスピンベース21を所定の薬液回転速度で回転させる。その一方で、第1ノズル移動ユニット35が、薬液ノズル9を基板Wの上方の薬液処理位置に配置する。薬液処理位置は、中心位置であってもよい。そして、薬液バルブ50が開かれる。それにより、回転状態の基板Wの上面に向けて、薬液ノズル9からフッ酸等の薬液が供給される。供給された薬液は遠心力によって基板Wの全面に行き渡る。
【0078】
一定時間の薬液処理の後、基板W上の薬液をDIW等のリンス液に置換することにより、基板W上から薬液を排除するためのリンス処理(ステップS2)が実行される。具体的には、薬液バルブ50が閉じられ、その代わりに、リンス液バルブ51が開かれる。それにより、回転状態の基板Wの上面に向けてリンス液ノズル10からリンス液が供給される。供給されたリンス液は遠心力によって基板Wの全面に行き渡る。このリンス液によって基板W上の薬液が洗い流される。この間に、第1ノズル移動ユニットが薬液ノズル9を基板Wの上方から処理カップ7の側方へと退避させる。
【0079】
一定時間のリンス処理の後、基板W上のリンス液を、IPA等の低表面張力液体に置換する低表面張力液体処理(ステップS3)が実行される。図12A図12Dは、基板処理装置1によって実行される基板処理の低表面張力液体処理の様子を説明するための模式図である。以下では、図2および図11に加えて、図12A図12Dも適宜参照する。
具体的には、第2ノズル移動ユニット36が、流体ノズル12を基板Wの上方の低表面張力液体処理位置に移動させる。低表面張力液体処理位置は、流体ノズル12に備えられた低表面張力液体吐出口70から吐出される低表面張力液体が基板Wの上面の回転中心に着液する位置であってもよい。
【0080】
そして、リンス液バルブ51が閉じられてリンス液ノズル10からのリンス液の吐出が停止される。リンス液ノズル10からのリンス液の吐出が停止されている状態で、第1側方気体バルブ55Aおよび第2側方気体バルブ55Bが開かれる。それにより、流体ノズル12の第1側方気体吐出口72Aおよび第2側方気体吐出口72Bから、基板Wの中心C側から周縁側に向かって、放射状に気体が吐出される(気体吐出工程)。それにより、図12Aに示すように、平行気流100が形成され、その平行気流100によって基板Wの上面の全域(正確には平面視で流体ノズル12の外側領域)が覆われる(気流形成工程、上面被覆工程)。
【0081】
その状態で、低表面張力液体バルブ53が開かれる。それにより、回転状態の基板Wの上面に向けて、流体ノズル12(低表面張力液体吐出口70)から低表面張力液体が供給される(低表面張力液体供給工程、処理液供給工程)。供給された低表面張力液体は遠心力によって基板Wの全面に行き渡り、基板W上のリンス液を置換する。それによって、基板Wの上面に低表面張力液体の液膜110が形成される(液膜形成工程)。
【0082】
低表面張力液体処理において、スピンモータ23がスピンチャック5の回転を減速して基板Wの回転を停止させる。そして、低表面張力液体バルブ53が閉じられて、低表面張力液体の供給が停止される。それにより、図12Bに示すように、静止状態の基板W上に液膜110が支持されたパドル状態とされる。回転が停止された状態で、チャックピン駆動ユニット25が複数のチャックピン20を開位置に移動させ、ヒータ昇降ユニット65がヒータユニット6を基板Wに向けて上昇させる。それによって、ヒータユニット6が複数のチャックピン20から基板Wを受け取る。ヒータユニット6は、基板Wを持ち上げた状態で加熱する。基板Wの加熱によって、基板Wの上面に接している低表面張力液体の一部が蒸発し、それによって、液膜110と基板Wの上面との間に気相層が形成される。その気相層に支持された状態の液膜110が排除される。気相層は、基板Wの上面の回路パターンの凹部(トレンチ、微細孔)に低表面張力液体が入り込まない厚さで形成されることが好ましい。そうであれば、回路パターンに作用する低表面張力液体の表面張力を低減できる。
【0083】
低表面張力液体の液膜110の排除に際して、第2ノズル移動ユニット36は、流体ノズル12を中心位置に移動させる。そして、中心気体バルブ54が開かれる。これにより、図12Cに示すように、基板W上の液膜110に向けて気体を中心気体吐出口71から直線状に吐出させる(垂直ガス吐出工程)。気体の吐出を受ける位置、すなわち、基板Wの中心Cにおいて、液膜110が気体によって排除され、液膜110の中央に、基板Wの上面を露出させる開口111が形成される(開口形成工程)。基板Wの上面に向けて供給された気体は、基板Wの上面に沿って放射状に広がる平行気流101を形成する。図12Dに示すように、中心気体吐出口71からの気体の吐出を継続することによって、平行気流101によって低表面張力液体が基板Wの周縁に向けて押し退けられ、開口111が拡大される。開口111を拡大することによって、基板W上の低表面張力液体が基板W外へと排出される(開口拡大工程、液膜排除工程)。
【0084】
こうして、低表面張力液体処理を終えた後、スピンモータ23が、基板Wを乾燥回転速度で高速回転させる。それにより、基板W上の液成分を遠心力によって振り切るための乾燥処理(ステップS4)が行われる。
その後、第2ノズル移動ユニット36が流体ノズル12を退避させ、さらに、スピンモータ23がスピンチャック5の回転を停止させる。また、ヒータ昇降ユニット65が、ヒータユニット6を下位置に移動させる。さらに、チャックピン駆動ユニット25がチャックピン20を開位置に移動させる。その後、図1も参照して、搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、スピンチャック5から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する(基板搬出工程)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリアCAに収納される。
【0085】
図12A図12Dに示す低表面張力液体処理では、平行気流100が形成されている状態で、流体ノズル12からの低表面張力液体の供給が開始されるが、必ずしも低表面張力液体の供給に先立って第1側方気体吐出口72Aおよび第2側方気体吐出口72Bから気体を吐出する必要はない。すなわち、低表面張力液体の吐出を気体の吐出よりも先に開始してもよいし、低表面張力液体の吐出終了後、すなわち、パドル状態が形成された後に、第1側方気体吐出口72Aおよび第2側方気体吐出口72Bからの気体の吐出が開始されてもよい。
【0086】
第1実施形態に係る流体ノズル12を用いれば、上述したように、第1側方気体吐出口72Aから気体を吐出させて基板Wの上面の中心C側から周縁側に向かう気体(平行気流100)の広がりの均一性を向上できる。その結果、第1側方気体吐出口72Aから放射状に吐出される気体によって、基板Wの上面を良好に保護することができる。
ここで、側方気体吐出口72から対応する気体流路76へ空気が入り込むことによって、側方気体吐出口72から吐出される気体に酸素および水蒸気が混入することがある。側方気体吐出口72から吐出される気体への酸素および水蒸気の混入によって基板の上面付近の雰囲気中の酸素濃度および湿度が上昇するおそれがある。
【0087】
第1実施形態に係る流体ノズル12では、第1側方気体吐出口72Aよりも基板Wから離れた位置に第2側方気体吐出口72Bがもう一つ設けられている。そのため、第1側方気体吐出口72Aと同様に、第2側方気体吐出口72Bから気体を吐出させて基板Wの上面の中心C側から周縁側に向かう気体(平行気流100)の広がりの均一性を向上できる。
【0088】
第2側方気体吐出口72Bが設けられているため、基板Wの主面に比較的近い第1側方気体吐出口72Aへの空気の進入が、基板Wの上面から比較的遠い第2側方気体吐出口72Bから吐出される気体によって抑制される。一方、第2側方気体吐出口72Bよりも基板Wの上面から離れた位置には更なる側方気体吐出口72が設けられていないため、第2側方気体吐出口72Bへの空気の進入を抑制する気体の流れは存在しない。そこで、交差方向D1における第2側方気体吐出口72Bの幅W2を交差方向D1における第1側方気体吐出口72Aの幅W1よりも狭くすることによって、第2側方気体吐出口72Bへの空気の進入を抑制できる。これにより、基板Wの上面付近の雰囲気中の酸素濃度および湿度の上昇を抑制できる。
【0089】
その結果、基板W上の低表面張力液体への酸素の溶け込みおよび基板W上の低表面張力液体への水の混入を抑制できる。低表面張力液体に水が混入することで回路パターンに作用する表面張力が増大する。したがって、基板Wの上面に形成された回路パターンの意図しない酸化、および、回路パターンの倒壊を抑制できる。
また、上述したように、中心気体吐出口71が円錐台状の凹部75c内に位置するため、中心気体吐出口71から吐出される気体は、放射状に均一に広がりやすい。そのため、液膜110を基板Wの周縁に均等に広げることができる。したがって、基板Wの上面から低表面張力液体(処理液)を良好に除去できる。
【0090】
次に、図13図17を参照して、第1実施形態に係る流体ノズル12の整流構造82の第1変形例~第4変形例について説明する。たとえば、図13に示すように、流路方向の下流側(交差方向D1の下側)に向かって周方向CDにおける第1整流流路95の幅が狭くなっていてもよい。同様に、流路方向の下流側(交差方向D1の下側)に向かって周方向CDにおける第2整流流路96の幅が狭くなっていてもよい。
【0091】
また、図14および図15に示すように、第1整流流路95が流路方向(交差方向D1)に沿う円筒状を有しており、第2整流流路96が流路方向(交差方向D1)に沿う円筒状を有していてもよい。この場合、隣接する第1遮蔽部90の周方向端部が連結されており、複数の第1遮蔽部90が全体として、複数の貫通孔(第1整流流路95)が形成された遮蔽板を構成している。図示は省略するが、隣接する第2遮蔽部91の周方向端部が連結されており、複数の第2遮蔽部91が全体として、複数の貫通孔(第2整流流路96)が形成された遮蔽板を構成している。
【0092】
また、図16に示すように、第1遮蔽部90が、半径方向RDに直線的に延びる直線羽根形状を有していてもよい。また、図17に示すように、第1遮蔽部90が、半径方向RDの外側端が内側端よりも周方向CDの一方側に位置するように湾曲する湾曲羽根形状を有していてもよい。第2遮蔽部91も、第1遮蔽部90と同様に、羽根形状を有していてもよい。
【0093】
<第2実施形態>
図18は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pの処理ユニット2に備えられる流体ノズル12Pの構成例を説明するための模式的な断面図である。図19は、図18に示すXIX領域の拡大図である。図18および図19において、前述の図1図17に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0094】
第2実施形態に係る基板処理装置1Pは、流体ノズル12Pを除いて、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の構成を有する。第2実施形態に係る流体ノズル12Pが、第1実施形態に係る流体ノズル12と主に異なる点は、狭小流路81が、複数の屈曲流路86を含む点である(図19を参照)。流体ノズル12Pの狭小流路81は、気体滞留部80の下流端および対応する側方気体吐出口72の上流端を接続する直線状流路85と、直線状流路85の途中部を屈曲させる複数の屈曲流路86(第1屈曲流路86Aおよび第2屈曲流路86B)とを含む。各屈曲流路86は、水平方向に広がる平面視円環形状を有する。
【0095】
直線状流路85は、気体滞留部80の下流端と第1屈曲流路86Aの上流端とに接続され、交差方向D1に直線的に延びる上流直線状流路87と、第1屈曲流路86Aの下流端と第2屈曲流路86Bの上流端とに接続され、交差方向D1に直線的に延びる中流直線状流路89と、第2屈曲流路86Bの下流端と対応する側方気体吐出口72とに接続され、交差方向D1に直線的に延びる下流直線状流路88とを含む。上流直線状流路87、中流直線状流路89および下流直線状流路88は、それぞれ、交差方向D1に延びる円筒形状を有する。
【0096】
第2実施形態では、整流構造82の複数の第1遮蔽部90は、中流直線状流路89に設けられており、複数の第2遮蔽部91は、下流直線状流路88に設けられている。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。第2実施形態によれば、さらに、屈曲流路86が複数設けられている。そのため、屈曲流路86が単一である構成と比較して、気体の流速が低減されて、周方向CDにおける気体の流速差を一層低減できる。そのため、対応する側方気体吐出口72から吐出されて基板Wの上面の中心C側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を向上できる。
【0097】
<第3実施形態>
図20は、第3実施形態に係る基板処理装置1Qの処理ユニット2に備えられる流体ノズル12Qの構成例を説明するための模式的な断面図である。図21は、図20に示すXXI領域の拡大図である。図20および図21において、前述の図1図18に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0098】
第3実施形態に係る基板処理装置1Qは、流体ノズル12Qを除いて、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の構成を有する。第3実施形態に係る流体ノズル12Qが、第2実施形態に係る流体ノズル12Pと主に異なる点は、狭小流路81が、気体滞留部80の半径方向内方端よりも半径方向外方端に近い位置に接続されている点である。流体ノズル12Qでは、第2実施形態の流体ノズル12Pと同様に屈曲流路86が複数設けられているが、第2実施形態の流体ノズル12Pとは異なり、中流直線状流路89が、上流直線状流路87および下流直線状流路88よりも半径方向内方に位置する。
【0099】
第3実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果を奏する。
<第4実施形態>
図22は、第4実施形態に係る基板処理装置1Rの処理ユニット2に備えられる流体ノズル12Rの構成例を説明するための模式的な断面図である。図23は、図22に示すXXIII領域の拡大図である。図22および図23において、前述の図1図21に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0100】
第4実施形態に係る基板処理装置1Rは、流体ノズル12Rを除いて、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の構成を有する。第4実施形態に係る流体ノズル12Rが、第1実施形態に係る流体ノズル12と主に異なる点は、整流構造82が、屈曲流路86に設けられている点である。詳しくは、整流構造82の一部を構成する複数の第1遮蔽部90が、屈曲流路86に設けられている。そのため、当然、複数の第1整流流路95も屈曲流路86の途中部に設けられている。
【0101】
<その他の実施形態>
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、第2実施形態~第4実施形態においても、第1実施形態の各変形例(図13図17)を適用することができる。また、各実施形態を組み合わせることも可能である。たとえば、第2実施形態の流体ノズル12Pまたは第3実施形態の流体ノズル12Qにおいて、第4実施形態と同様に、整流構造82が屈曲流路86に設けられていてもよい。流体ノズル12Pまたは流体ノズル12Qであれば、複数の第1遮蔽部90および複数の第2遮蔽部91を、それぞれ、複数の屈曲流路86に設けることができる。
【0102】
上述の各実施形態では、ノズル本体75が一部材で構成されており、その内部に気体流路76が形成されている。しかしながら、上述の各実施形態とは異なり、ノズル本体75が複数の部材によって構成されていてもよい。具体的には、ノズル本体75が、気体流路76を区画する表面をそれぞれ有する複数の流路区画部材を含んでいてもよい。そうであれば、単一の部材の内部に気体流路76を形成する構成と比較して、気体流路76の形成が容易である。
【0103】
また、上述の実施形態では、基板処理装置1が、搬送ロボットIR,CRと、複数の処理ユニット2と、コントローラ3とを備えている。しかしながら、基板処理装置1,1Pは、単一の処理ユニット2とコントローラ3とによって構成されており、搬送ロボットIR,CRを含んでいなくてもよい。あるいは、基板処理装置1は、単一の処理ユニット2のみによって構成されていてもよい。言い換えると、処理ユニット2が基板処理装置の一例であってもよい。
【0104】
また、上述の実施形態では、流体ノズル12,12P,12Q,12Rが、基板Wの上面に対向している。しかしながら、上述の実施形態とは異なり、流体ノズル12,12P,12Q,12Rが、基板Wの下面に対向するように構成されていてもよい。
また、上述の各実施形態では、狭小流路81の直線状流路85は、鉛直方向に延びている。しかしながら、直線状流路85は、必ずしも鉛直方向に延びている必要はなく、直線状流路85が延びる方向は、周方向CDに対して交差する方向(基板Wの上面に対して交差する方向)であれば、鉛直方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0105】
また、上述の各実施形態では、図6に示すように、第1気体流路76Aの複数の第1整流流路95の周方向位相と、第2気体流路76Bの複数の第1整流流路95の周方向位相とが概ね重なっており、図7に示すように、第1気体流路76Aの第2整流流路96の周方向位相と、第2気体流路76Bの第2整流流路96の周方向位相とが概ね重なっている。しかしながら、図6および図7に示す例とは異なり、第1気体流路76Aの第1整流流路95の周方向位相が、第2気体流路76Bの第1整流流路95の周方向位相と異なっていてもよいし、第1気体流路76Aの第2整流流路96の周方向位相が、第2気体流路76Bの第2整流流路96の周方向位相と異なっていてもよい。
【0106】
また、上述の各実施形態では、図8に示すように、各気体流路76において、複数の第1整流流路95の周方向位相が複数の第2整流流路96の周方向位相と異なっている。しかしながら、図8に示す例とは異なり、複数の第1整流流路95の周方向位相と複数の第2整流流路96の周方向位相とが重なっていてもよい。
上述の各実施形態では、図4に示すように、第2側方気体吐出口72Bの幅W2が、第1側方気体吐出口72Aの幅W1よりも狭い。しかしながら、図4に示す例とは異なり、図24に示すように、第2側方気体吐出口72Bの幅W2が、第1側方気体吐出口72Aの幅W1よりも広くてもよい。
【0107】
中心気体吐出口71から吐出される気体の流量が比較的低い場合(たとえば、5L/min以上15L/min以下である場合)には、基板Wの上面付近の気圧が低下しやすい。基板Wの上面付近の気圧が比較的低い場合には、基板Wの上面に比較的近い第1側方気体吐出口72Aから吐出される気体が、基板Wの上面側に引き寄せられて、第1側方気体吐出口72Aから吐出される気体の広がりの均一性が低下するおそれがある。
【0108】
そこで、第1側方気体吐出口72Aの幅W1を第2側方気体吐出口72Bの幅W2よりも狭くすることで、第1側方気体吐出口72Aから吐出される気体の線速度を高くすれば、第1側方気体吐出口72Aから吐出される気体が基板Wの上面に引き寄せられることを抑制できる。これにより、第1側方気体吐出口72Aから吐出される気体の均一性を向上できる。ひいては、複数の側方気体吐出口72から吐出されて基板Wの上面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を向上できる。
【0109】
中心気体吐出口71から吐出される気体の流量が比較的大きい場合(たとえば、50L/min程度である場合)には、上述の各実施形態のように、第2側方気体吐出口72Bの幅W2が、第1側方気体吐出口72Aの幅W1よりも狭い構成が好適である。
図24に示す構成、すなわち、第2側方気体吐出口72Bの幅W2が、第1側方気体吐出口72Aの幅W1よりも広い構成は、上述の各実施形態に適用することができる。また、図4および図24とは異なり、第2側方気体吐出口72Bの幅W2と第1側方気体吐出口72Aの幅W1とが同じであってもよい。
【0110】
また、上述の基板処理装置1,1P,1Q,1Rでは、ヒータユニット6が設けられているが、必ずしもヒータユニット6が設けられている必要はなく、ヒータユニット6以外の手段で基板Wを加熱することも可能である。また、そもそも基板Wを加熱する手段が設けられていなくてもよい。
また、上述の基板処理における低表面張力液体処理(図12A図12Cを参照)では、ヒータユニット6によって基板Wを加熱して液膜110と基板Wとの間に気相層が形成されている状態で低表面張力液体が基板W上から除去される。しかしながら、低表面張力液体処理は、気相層を形成することなく液膜110を基板W上から排除する処理であってもよい。流体ノズル12は、気相層を形成することなく、加熱によって液膜110内に発生する対流の作用、気体の吹き付け力および基板Wの回転の遠心力の少なくともいずれかによって基板W上から低表面張力液体を排除する低表面張力液体処理に適用することも可能である。
【0111】
なお、上述の実施形態では、「沿う」、「水平」、「直交」、「鉛直」といった表現を用いたが、厳密に「沿う」、「水平」、「直交」、「鉛直」であることを要しない。すなわち、これらの各表現は、製造精度、設置精度等のずれを許容するものである。
この明細書および添付図面からは、特許請求の範囲に記載した特徴以外にも、以下のような特徴が抽出され得る。これらの特徴は、課題を解決するための手段の項に記載した特徴と任意に組み合わせ可能である。
【0112】
(付記1-1)
底面および底面に連結される側面を有するノズル本体と、
前記ノズル本体の内部に形成された筒状の気体流路と、
前記ノズル本体の前記側面から開口し、前記側面の外方に向けて放射状に気体を吐出する環状の気体吐出口とを含み、
前記気体流路が、前記気体流路における他の箇所よりも流路断面積が大きい気体滞留部と、前記気体流路において前記気体滞留部とは異なる部分に設けられ、前記気体流路内の気体の流れを整流する整流構造とを有する、流体ノズル。
【0113】
付記1-1によれば、気体流路には、気体流路における他の箇所の流路断面積よりも大きい気体滞留部が設けられているため、気体滞留部に供給された気体は気体滞留部内で分散する。そのため、気体滞留部内に供給された気体の流速が低減され、気体流路の周方向の各位置における気体の流速差が低減される。さらに、気体流路において気体滞留部とは異なる部分に設けられた整流構造によって気体流路内の気体が整流される。これにより、気体流路内で気体が移動する方向が気体流路に沿う方向に整えられる。そのため、気体吐出口から吐出される気体の放射状の広がりの均一性を向上できる。そのため、たとえば、ノズル本体の底面を基板の主面に対向させて気体吐出口から気体を吐出することで、基板の主面を保護することができる。
【0114】
(付記1-2)
前記流体ノズルは、複数の前記気体吐出口と、複数の前記気体吐出口にそれぞれ気体を案内する複数の前記気体流路とを含み、
複数の前記気体吐出口が、環状の第1気体吐出口と、前記第1気体吐出口よりも前記底面から離れた位置に設けられた環状の第2気体吐出口とを有する、付記1-1に記載の流体ノズル。
【0115】
付記1-2によれば、第1気体吐出口に加えて、第1気体吐出口よりもノズル本体の底面から離れた位置に設けられた第2気体吐出口からも気体が吐出されるため、放射状に広がる気体の層を厚くすることができる。
(付記1-3)
前記第2気体吐出口の幅が、前記第1気体吐出口の幅よりも狭い、付記1-2に記載の流体ノズル。
【0116】
気体吐出口(第1気体吐出口)よりもノズル本体の底面から離れた位置に気体吐出口(第2気体吐出口)がもう一つ設けられているため、ノズル本体の底面に比較的近い気体吐出口(第1気体吐出口)への空気の進入が、ノズル本体の底面から比較的遠い気体吐出口(第2気体吐出口)から吐出される気体によって抑制される。一方、第2気体吐出口よりもノズル本体の底面から離れた位置には更なる気体吐出口が設けられていないため、第2気体吐出口への空気の進入を抑制する気体の流れは存在しない。そこで、環状の第2気体吐出口の幅が環状の第1気体吐出口の幅よりも狭くすることによって、第2気体吐出口への空気の進入を抑制できる。そのため、たとえば、ノズル本体の底面を基板の主面に対向させた場合には、基板の主面付近の雰囲気中の酸素濃度の上昇を抑制でき、基板の上面を一層良好に保護できる。
【0117】
(付記1-4)
前記第2気体吐出口の幅が、前記第1気体吐出口の幅よりも広い、付記1-2に記載の流体ノズル。
付記1-4によれば、第1気体吐出口から吐出される気体の線速度を高くなる。そのため、そのため、たとえば、ノズル本体の底面を基板の主面に対向させた場合には、第1気体吐出口から吐出される気体が基板の主面に引き寄せられることを抑制できる。これにより、気体吐出口から吐出されて基板の主面の中心側から周縁側に向かう気体の広がりの均一性を向上できる。
【0118】
(付記1-5)
前記整流構造が、前記気体流路の周方向に互いに間隔を隔てて設けられ、前記気体流路の下流側への気体の移動を遮蔽する複数の第1遮蔽部を有する、付記1-1~付記1-4のいずれかに記載の流体ノズル。
付記1-5によれば、周方向に間隔を隔てて設けられた複数の第1遮蔽部によって、気体流路の下流側への気体の移動が遮蔽されている。そのため、周方向に隣り合う2つの第1遮蔽部同士の間を通る際に、気体の流速の周方向成分が低減される。これにより、気体吐出口から吐出される気体の吐出方向を気体流路の半径方向に近づけることができるので、気体吐出口から吐出される気体の広がりの均一性を一層向上できる。
【0119】
(付記1-6)
前記整流構造が、複数の第1遮蔽部よりも前記気体流路の下流側に設けられ、前記気体流路の下流側への気体の移動を遮蔽する複数の第2遮蔽部をさらに有し、
前記周方向における複数の前記第2遮蔽部の位置が、前記周方向における複数の前記第1遮蔽部の位置からずれている、付記1-5に記載の流体ノズル。
【0120】
複数の第1遮蔽部によって、周方向に隣り合う2つの第1遮蔽部同士の間を通る気体の流速の周方向成分が低減される一方で、気体流路における複数の第1遮蔽部よりも下流側では、第1遮蔽部と同じ周方向位置を流れる気体の流量が低減される。そこで、複数の第1遮蔽部よりも気体流路の下流側において、気体流路の下流側への気体の移動を遮蔽する複数の第2遮蔽部の周方向位置が複数の第1遮蔽部の周方向位置からずれている構成であれば、第2遮蔽部と同じ周方向位置を流れる気体の流量を低減でき、これにより、周方向の各位置における気体の流量の均一性を向上させることができる。その結果、気体吐出口から吐出される気体の広がりの均一性を一層向上できる。
【0121】
さらに、複数の第1遮蔽部に加えて複数の第2遮蔽部によって気体の速度の周方向成分を低減することができる。すなわち、気体の速度の周方向成分を二段階に低減することができる。これにより、気体吐出口から吐出される気体の吐出方向を気体流路の半径方向に一層近づけることができる。
(付記1-7)
前記気体流路が、前記気体流路の周方向に対する交差方向に直線的に延びる直線状流路と、前記直線状流路の途中部を屈曲させる屈曲流路とをさらに有する、付記1-1~付記1-6のいずれかに記載の流体ノズル。付記1-6によれば、直線状流路の途中部で屈曲させることによって、気体の流速が低減され、気体流路の周方向の各位置における気体の流速差が低減される。
【0122】
(付記1-8)
前記流体ノズルが、前記基板の主面の中心に向けて気体を吐出する中心気体吐出口をさらに含み、
前記流体ノズルの前記底面には、円錐台状の凹部が形成されており、
前記中心気体吐出口が、前記凹部内に位置している、付記1-1~付記1-7のいずれかに記載の流体ノズル。
【0123】
付記1-8によれば、中心気体吐出口が円錐台状の凹部内に配置されている。そのため、たとえば、ノズル本体の底面を基板の主面に対向させた場合には、ノズル本体の底面を基板の主面に対向させて中心気体吐出口から気体を吐出することで、基板の主面の中心に供給された気体は、凹部内に広がりながら、基板の周縁側へ向かう。凹部が円錐台状に形成されているため、凹部の周縁の全域から凹部の外側へ気体を均等に広げることができる。気体吐出口から吐出される気体の広がりの均一性を向上できる。
【0124】
(付記1-9)
前記凹部内に位置し、前記基板の主面に向けて処理液を吐出する処理液吐出口をさらに含む、付記1-7に記載の流体ノズル。そのため、たとえば、ノズル本体の底面を基板の主面に対向させた場合には、処理液吐出口から基板の主面に処理液を吐出しながら、流体ノズルの側面から開口する気体吐出口から気体を吐出することで、基板の主面上の処理液を外部の雰囲気から保護することができる。たとえば、外部の雰囲気に含まれる酸素が、基板の主面上の処理液に溶け込むことを抑制できる。
【0125】
さらに、中心気体吐出口から気体を吐出させて処理液を基板の周縁へ向けて押し退けることで、基板の周縁から排除することができる。中心気体吐出口から吐出された気体は、凹部の周縁の全域から凹部の外側へ均一に広がるため、基板の主面から処理液を良好に除去できる。
(付記1-10)
前記気体流路の周方向から前記気体流路に気体を流入させる気体流入口をさらに含む、付記1-1~付記1-9のいずれかに記載の流体ノズル。
【0126】
そのため、気体流路の周方向から気体流路に供給された気体は、気体流路内で周方向に旋回する。気体流路において気体滞留部とは異なる部分に整流構造が設けられているため、気体流路内の気体が整流される。これにより、気体吐出口から吐出される気体の広がりの均一性を向上できる。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0127】
1 :基板処理装置
1P :基板処理装置
1Q :基板処理装置
1R :基板処理装置
2 :処理ユニット(基板処理装置)
5 :スピンチャック
12 :流体ノズル
12P :流体ノズル
12Q :流体ノズル
12R :流体ノズル
45 :気体配管
70 :低表面張力液体吐出口
71 :中心気体吐出口
72 :側方気体吐出口(気体吐出口)
72A :第1側方気体吐出口(第1気体吐出口)
72B :第2側方気体吐出口(第2気体吐出口)
75 :ノズル本体
75a :底面(対向面、下面)
75b :側面
76 :気体流路
80 :気体滞留部
82 :整流構造
90 :第1遮蔽部
91 :第2遮蔽部
C :中心
CD :周方向
D1 :交差方向
RD :半径方向
W :基板
W1 :第1気体吐出口の幅
W2 :第2気体吐出口の幅
図1
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