(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152924
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024140645
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2023029576の分割
【原出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】岡部 大輝
(72)【発明者】
【氏名】戸次 允
(72)【発明者】
【氏名】小林 祥子
(57)【要約】
【課題】水洗大便器において浮遊系汚物の排出と汚物受け面の洗浄の両方を確保する。
【解決手段】水洗大便器1は、汚物を受ける汚物受け面16と、汚物受け面の上部に形成されたリム部18と、汚物受け面の下部に形成されその内部に溜水面20が形成されるツボ部22と、を備えるボウル部6と、リム部に形成された第1吐水口24と、リム部に形成されると共に、第1吐水口及び溜水面よりも後方に設けられた第2吐水口26と、ボウル部の底部に接続された排水管路10と、を有する。ボウル部は、汚物受け面とリム部との間に形成され、第2吐水口からリム部に沿うように延びる棚部32を更に備え、この棚部は、第2吐水口において幅方向外側にある第1部分26aから延びるように形成される一方で、第2吐水口において幅方向内側にある、第1部分以外の第2部分26bには形成されていない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水源から供給される洗浄水により汚物を排出する水洗大便器であって、
汚物を受ける汚物受け面と、この汚物受け面の上部に形成されたリム部と、上記汚物受け面の下部に形成され、その内部に溜水面が形成されるツボ部と、を備えるボウル部と、
上記リム部に形成され、洗浄水を吐水する第1吐水口と、
上記リム部に形成されると共に、上記第1吐水口及び上記溜水面よりも後方に設けられ、洗浄水を吐水する第2吐水口と、
上記ボウル部の底部に接続された排水管路と、を有し、
上記ボウル部は、上記汚物受け面と上記リム部との間に形成され、上記第2吐水口から上記リム部に沿うように延びる棚部を更に備え、
上記棚部は、上記第2吐水口において幅方向外側にある第1部分から延びるように形成される一方で、上記第2吐水口において幅方向内側にある、上記第1部分以外の第2部分には形成されていない、
ことを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
上記ボウル部の上記汚物受け面には、上記第2吐水口の上記第2部分から上記溜水面に向かって延びる凹部が形成されている、請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項3】
上記凹部は、上記第2吐水口の上記第2部分から上記溜水面に向かって広がる扇状に形成されている、請求項2に記載の水洗大便器。
【請求項4】
上記棚部は、上記第2吐水口の上記第1部分から上記リム部に沿って上記第1吐水口に向かって延びている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水洗大便器。
【請求項5】
上記棚部は、上記第1吐水口付近まで延びている、請求項4に記載の水洗大便器。
【請求項6】
上記第2吐水口の上記第1部分は、当該第2吐水口の幅方向中央よりも外側部分であり、上記第2吐水口の上記第2部分は、当該第2吐水口の幅方向中央よりも内側部分である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に係わり、特に、洗浄水源から供給される洗浄水により汚物を排出する水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水洗大便器において、汚物受け面、汚物受け面の上部に形成されたリム部、及び、汚物受け面の下部に形成され溜水面を含むツボ部を備えるボウル部と、リム部に形成され、洗浄水を吐水する2つ以上の吐水口と、ボウル部の底部に接続された排水管路と、を有するものが知られている。
【0003】
この種の水洗大便器が、例えば特許文献1、2に記載されている。特許文献1には、第1吐水口と、この第1吐水口よりも後方に設けられた第2吐水口とを有する水洗大便器において、第2吐水口からの洗浄水を溜水面へ直接流入させる技術が記載されている。また、特許文献2にも、特許文献1と同様の第1及び第2吐水口を有し、分配給水管で分配した洗浄水をこれら吐水口に供給する水洗大便器において、第2吐水口からの洗浄水を溜水面へ直接流入させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-113497号公報
【特許文献2】特開2018-204195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、水洗大便器において、ボウル部への汚物の付着を抑制するために、乾燥面である汚物受け面の面積を小さくするように、溜水面を大きく形成することが考えられる。ここで、上述した特許文献1、2に記載されたような水洗大便器では、第2吐水口からの洗浄水を溜水面へ直接流入させているため、溜水面の特定の領域に強い洗浄水が流入することとなる。そのため、このような水洗大便器では、溜水面を大きく形成すると、溜水面の特定の領域のみに強い洗浄水が流入することで溜水面の表面が乱れてしまい、それにより、溜水面の表面に浮遊している浮遊系汚物を十分に排出できない可能性があることが判明した。
【0006】
本発明者らは、鋭意研究した結果、このような溜水面を大きく形成することにより生じる問題点を解決するためには、つまり溜水面に浮遊する浮遊系汚物を確実に排出するためには、溜水面の表面の乱れを抑制すべく、吐水口から吐水される洗浄水により溜水面の各領域にかかる押圧力を一定にするのが良いと考えた。ここで、上述したような第1及び第2吐水口を有する水洗大便器においては、一般的に、後方に設けられた第2吐水口から吐水される洗浄水の溜水面への流入タイミングが、前方に設けられた第1吐水口から吐水される洗浄水の溜水面への流入タイミングよりも遅れる傾向にある。
したがって、第1及び第2吐水口を有する水洗大便器において溜水面の各領域にかかる押圧力を一定にするための1つの方法として、例えば第2吐水口から吐水される洗浄水量を増加させて洗浄水を溜水面へ早期に流入させる方法が考えられる。しかしながら、このように第2吐水口からの洗浄水を溜水面へ早期に流入させるようにすると、汚物受け面を旋回するように流れる洗浄水が減り、汚物受け面の洗浄が確保できない可能性があることが判明した。
【0007】
本発明者らは、第1及び第2吐水口を有する水洗大便器において、上述したような問題点を見いだし、この問題点を解決するために、鋭意研究し、本発明をなし得たのである。
【0008】
本発明は、このような新たな問題点を解決するためになされたものであり、第1及び第2吐水口を有する水洗大便器において、浮遊系汚物の排出と汚物受け面の洗浄の両方を確保することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水により汚物を排出する水洗大便器であって、汚物を受ける汚物受け面と、この汚物受け面の上部に形成されたリム部と、汚物受け面の下部に形成され、その内部に溜水面が形成されるツボ部と、を備えるボウル部と、リム部に形成され、洗浄水を吐水する第1吐水口と、リム部に形成されると共に、第1吐水口及び溜水面よりも後方に設けられ、洗浄水を吐水する第2吐水口と、ボウル部の底部に接続された排水管路と、を有し、ボウル部は、汚物受け面とリム部との間に形成され、第2吐水口からリム部に沿うように延びる棚部を更に備え、棚部は、第2吐水口において幅方向外側にある第1部分から延びるように形成される一方で、第2吐水口において幅方向内側にある、第1部分以外の第2部分には形成されていない、ことを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明では、ボウル部の棚部は、第2吐水口において幅方向外側にある(換言すると第2吐水口において後ろ側(溜水面と反対側)にある)、第1部分から延びるように形成される一方で、第2吐水口において幅方向内側にある(換言すると第2吐水口において前側(溜水面側)にある)、第1部分以外の第2部分には形成されていない。そのため、第2吐水口から吐水される洗浄水は、第2吐水口の第1部分を介して流出する洗浄水と、第2吐水口の第2部分を介して流出する洗浄水と、に分かれることとなる。
こうして第2吐水口の第2部分を介して流出した洗浄水は、溜水面に直接流入することとなる。これにより、第2吐水口から吐水される洗浄水の一部を、溜水面へ早期に流入させることができる。その結果、洗浄水により溜水面の各領域にかかる押圧力を一定にして、溜水面の表面の乱れを抑制することができ、浮遊系汚物の排出を確保することが可能となる。他方で、第2吐水口の第1部分を介して流出した洗浄水は、棚部上をリム部に沿って流れた後、汚物受け面を旋回して溜水面に流入することとなる。これにより、第2吐水口から吐水される洗浄水の一部(上記の第2部分を介して流出した洗浄水を除いた残りの洗浄水)によって、汚物受け面の洗浄を確保することができる。
以上述べたことから、本発明によれば、浮遊系汚物の排出と汚物受け面の洗浄の両方を確保することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、ボウル部の汚物受け面には、第2吐水口の第2部分から溜水面に向かって延びる凹部が形成されている。
このように構成された本発明によれば、第2吐水口の第2部分を介して流出する洗浄水を、凹部によって溜水面まで導くことができ、この洗浄水を溜水面へ効果的に早期に流入させることが可能となる。
【0012】
本発明において、好ましくは、凹部は、第2吐水口の第2部分から溜水面に向かって広がる扇状に形成されている。
このように構成された本発明においては、第2吐水口の第2部分を介して流出する洗浄水を、溜水面の広い範囲に流入させることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、棚部は、第2吐水口の第1部分からリム部に沿って第1吐水口に向かって延びている。
このように構成された本発明においては、第2吐水口の第1部分を介して流出する洗浄水を棚部によって効果的に旋回させて、汚物受け面を確実に洗浄することができる。
【0014】
本発明において好適な例では、棚部は、第1吐水口付近まで延びている。
これにより、汚物受け面をより確実に洗浄することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、第2吐水口の第1部分は、当該第2吐水口の幅方向中央よりも外側部分であり、第2吐水口の第2部分は、当該第2吐水口の幅方向中央よりも内側部分である。
このように構成された本発明においては、第2吐水口から吐水される洗浄水を、第1部分を介して流出する洗浄水と、第2部分を介して流出する洗浄水とに均等に分配することができ、それにより、浮遊系汚物の排出と汚物受け面の洗浄の両方を効果的に確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1及び第2吐水口を有する水洗大便器において、浮遊系汚物の排出と汚物受け面の洗浄の両方を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る水洗大便器の平面断面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿って見た、本発明の実施形態に係る水洗大便器の縦断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る水洗大便器の一部を斜め上方から見た断面斜視図である。
【
図4】
図1のIV-IV線に沿って見た、本発明の実施形態に係る第2吐水口の断面図である。
【
図5】
図5(a)は、
図1のVa-Va線に沿って見た、本発明の実施形態に係る凹部の断面図であり、
図5(b)は、
図1のVb-Vb線に沿って見た、本発明の実施形態に係る凹部の断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る水洗大便器の作用及び効果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る水洗大便器について説明する。
なお、本明細書では、使用者から見て、水洗大便器の手前側を前側、奥側を後方、右側を右側、左側を左側、として説明する。
【0019】
まず、
図1乃至
図3を参照して、本実施形態に係る水洗大便器の基本構造について説明する。
図1は、本実施形態に係る水洗大便器の平面断面図であり、
図2は、
図1のII-II線に沿って見た、本実施形態に係る水洗大便器の縦断面図であり、
図3は、本実施形態に係る水洗大便器の一部を斜め上方から見た断面斜視図(詳しくは
図1の平面断面の一部斜視図)である。
【0020】
図1に示すように、水洗大便器1は、その後方側が壁面Wに固定される、いわゆる壁掛け式の水洗大便器である。また、
図1及び
図2に示すように、水洗大便器1は、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す洗い落し式便器である。水洗大便器1は、陶器製の便器本体2と、この便器本体2を洗浄する洗浄水を供給する洗浄水源(不図示)とを備えている。便器本体2は、前方側にボウル部6を備え、後方側には、洗浄水源に連通する共通通水路8が形成されている。また、ボウル部6の後方下部に汚物を排出するための排水管路10が形成されている(
図2参照)。洗浄水源には、洗浄水を貯水する貯水タンクや、水道水直圧式のものや、フラッシュバルブを用いたものや、ポンプを使用して洗浄水を供給するものが適用される。
【0021】
なお、水洗大便器1は、サイホン作用を利用してボウル部6内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式の水洗大便器であってもよい。
【0022】
また、
図1乃至
図3に示すように、便器本体2のボウル部6は、ボウル形状の汚物受け面16と、汚物受け面16の上方に形成されたリム部18と、汚物受け面16の下方に形成されその内部に溜水面20を形成するツボ部22と、を有する。例えば、ツボ部22の溜水面20は、略三角形であり、上面視で前後方向が160mm~180mm、幅方向が125mm~145mmであり、従来の水洗大便器の溜水面よりも大きく(拡大されて)形成されている。また、ツボ部22は、例えば、上面視で前後方向が20cm~24cmであり、横方向が15cm~19cmの大きさで、溜水面20よりも卵型(前側が先細の楕円形状)の略三角形を形成している。
【0023】
また、ボウル部6のリム部18には、前方から見て左側の前方側に、洗浄水を吐水する第1吐水口24が形成され、前方から見て右側の後方側に、洗浄水を吐水する第2吐水口26が形成されている(特に
図1)。詳しくは、第1吐水口24は、溜水面20の前端よりも前方に設けられ、第2吐水口26は、第1吐水口24及び溜水面20の後端よりも後方に設けられている。また、ボウル部6には、このような第2吐水口26から延びる棚部32及び凹部34が更に形成されている(
図1乃至
図3)。
【0024】
他方で、上述した共通通水路8は、下流側に向けて、第1通水路28と第2通水路30とに分岐し、第1通水路28は第1吐水口24(第1通水路28の最下流端において開放する開口部に相当)まで延び、第2通水路30は第2吐水口26(第2通水路30の最下流端において開放する開口部に相当)まで延び、洗浄水源から洗浄水を第1吐水口24と第2吐水口26に供給するようになっている(
図1及び
図3)。ここで、第1吐水口24と第2吐水口26は、同一の方向に旋回する旋回流を形成する向きに洗浄水を吐水するようになっている。本実施形態の場合は、反時計回りの旋回流を形成している。
【0025】
次に、
図1乃至
図3に加えて、
図4及び
図5を参照して、上述したようにボウル部6に形成された棚部32及び凹部34について具体的に説明する。
図4は、
図1のIV-IV線に沿って見た、本実施形態に係る第2吐水口26の断面図である。この
図4は、第2通水路30の最下流端部としての第2吐水口26により形成される略矩形の面(吐水面)を示すものである。また、
図5(a)は、
図1のVa-Va線に沿って見た、本実施形態に係る凹部34の断面図であり、
図5(b)は、
図1のVb-Vb線に沿って見た、本実施形態に係る凹部34の断面図である。
【0026】
図1乃至
図3に示すように、ボウル部6の棚部32は、汚物受け面16の上方に形成され、つまり汚物受け面16の上部且つリム部18の下部に形成され、第2吐水口26からリム部18に沿うように延びている。この場合、棚部32は、第2吐水口26から、リム部18に沿うように第1吐水口24に向かって延びている。なお、
図1に示す例では(
図6も参照)、棚部32は、第1通水路28の中央付近に対応する位置までしか延びていないが、第1吐水口24付近まで延ばしてもよい。
【0027】
また、
図4に示すように、棚部32は、第2吐水口26において幅方向の一方側にある第1部分26aから延びるように形成される一方で、第2吐水口26において幅方向の他方側にある、第1部分26a以外の第2部分26bには形成されていない。具体的には、第1部分26aは、第2吐水口26において幅方向外側にある(換言すると第2吐水口26において後ろ側にある)一方で、第2部分26bは、第2吐水口26において幅方向内側にある(換言すると第2吐水口26において前側にある)。なお、第2吐水口26において幅方向外側と幅方向内側は、溜水面20に向かう側を「内」とし、溜水面20から離れる側を「外」として規定されている。例えば、第1及び第2部分26a、26bは、第2吐水口26の幅方向中央位置を境界にして形成されている。すなわち、第1部分26aは、第2吐水口26の幅方向中央よりも外側部分であり、第2部分26bは、第2吐水口26の幅方向中央よりも内側部分である。
【0028】
他方で、
図1乃至
図3に示すように、ボウル部6の凹部34は、第2吐水口26から、詳しくは第2吐水口26の第2部分26bから(
図4)、溜水面20に向かって延びている。また、凹部34は、第2吐水口26の第2部分26bから溜水面20に向かって広がる扇状に形成されている(特に
図1)。換言すると、凹部34の横方向の幅が、溜水面20(つまり下流側)にいくにつれて大きくなっていく。これは、例えば
図5(a)及び(b)に示すように、凹部34の下流側の或る部分の幅(
図5(b))が、これよりも上流側の凹部34の部分の幅(
図5(a))よりも大きくなっていることからも明らかである。
【0029】
次に、
図6を参照して、上述した本実施形態に係る水洗大便器1の作用及び効果について説明する。
図6は、本実施形態に係る水洗大便器1のボウル部6を斜め上方から見た斜視図である。特に、この図は、ボウル部6の第2吐水口26から吐水される洗浄水の流れについての説明図である。
【0030】
上述したように、本実施形態に係る水洗大便器1では、ボウル部6は、汚物受け面16とリム部18との間に形成され、第2吐水口26からリム部18に沿うように延びる棚部32を備えており、この棚部32は、第2吐水口26において幅方向外側にある第1部分26aから延びるように形成される一方で、第2吐水口26において幅方向内側にある、第1部分26a以外の第2部分26bには形成されていない。したがって、第2吐水口26から吐水される洗浄水は、第2吐水口26の第1部分26aを介して流出する洗浄水と(矢印A11)、第2吐水口26の第2部分26bを介して流出する洗浄水と(矢印A21)、に分かれることとなる。
【0031】
第2吐水口26の第2部分26bを介して流出した洗浄水は(矢印A21)、溜水面20に直接流入することとなる(矢印A22)。これにより、第2吐水口26から吐水される洗浄水の一部を、溜水面20へ早期に流入させることができる。その結果、洗浄水により溜水面20の各領域にかかる押圧力を一定にして、溜水面20の表面の乱れを抑制することができ、浮遊系汚物の排出を確保することが可能となる。他方で、第2吐水口26の第1部分26aを介して流出した洗浄水は(矢印A11)、棚部32上をリム部18に沿って流れた後(矢印A12)、汚物受け面16を旋回して溜水面20に流入することとなる(矢印A13)。これにより、第2吐水口26から吐水される洗浄水の一部(第2部分26bを介して流出した洗浄水を除いた残りの洗浄水)によって、汚物受け面16の洗浄を確保することができる。以上述べたことから、本実施形態によれば、浮遊系汚物の排出と汚物受け面16の洗浄の両方を確保することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、ボウル部6の汚物受け面16には、第2吐水口26の第2部分26bから溜水面20に向かって延びる凹部34が形成されている。これにより、第2部分26bを介して流出する洗浄水を、凹部34によって溜水面20まで導くことができ、それにより、この洗浄水を溜水面20へ効果的に早期に流入させることが可能となる。
【0033】
また、本実施形態によれば、凹部34は、第2吐水口26の第2部分26bから溜水面20に向かって広がる扇状に形成されている。これにより、第2部分26bを介して流出する洗浄水を、溜水面20の広い範囲に流入させることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、棚部32は、第2吐水口26の第1部分26aからリム部18に沿って第1吐水口24に向かって延びている。これにより、第2吐水口26の第1部分26aを介して流出する洗浄水を棚部32によって効果的に旋回させて、汚物受け面16を確実に洗浄することができる。好適には、棚部32は、第1吐水口24付近まで延ばすと良い。これにより、汚物受け面16をより確実に洗浄することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、第2吐水口26の第1部分26aは、当該第2吐水口26の幅方向中央よりも外側部分であり、第2吐水口26の第2部分26bは、当該第2吐水口26の幅方向中央よりも内側部分である。これにより、第2吐水口26から吐水される洗浄水を、第1部分26aを介して流出する洗浄水と、第2部分26bを介して流出する洗浄水とに均等に分配することができ、それにより、浮遊系汚物の排出と汚物受け面16の洗浄の両方を効果的に確保することができる。
【0036】
なお、上述した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 水洗大便器
2 便器本体
6 ボウル部
10 排水管路
16 汚物受け面
18 リム部
20 溜水面
22 ツボ部
24 第1吐水口
26 第2吐水口
26a 第1部分
26b 第2部分
28 第1通水路
30 第2通水路
32 棚部
34 凹部