(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152926
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電子コンポーネント、およびハーフブリッジ回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20241018BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20241018BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20241018BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 V
H01L29/80 L
H01L29/80 U
H01L29/80 G
H01L29/78 652T
H01L29/78 656B
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024140667
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2021556408の分割
【原出願日】2020-03-20
(31)【優先権主張番号】62/821,946
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510219556
【氏名又は名称】トランスフォーム テクノロジー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,イーフェン
(72)【発明者】
【氏名】グリッターズ,ジョン カーク
(57)【要約】
【課題】従来と比べて、複雑さおよび組み立て工程のコストを低減させながら、信頼性および/または性能が改善された電子コンポーネントを提供する。
【解決手段】
電子コンポーネントにおいて、デプリーションモードトランジスタのドレイン電極がパッケージのドレインリードに電気的に接続され、エンハンスメントモードトランジスタのゲート電極がパッケージのゲートリードに電気的に接続され、エンハンスメントモードトランジスタのソース電極が導電性構造的パッケージベースに電気的に接続され、デプリーションモードトランジスタのゲート電極が導電性基板と直接的に接触して電気的に接続され、導電性基板が導電性構造的パッケージベースと直接的に接触して電気的に接続され、導電性構造的パッケージベースがパッケージのソースリードに電気的に接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子コンポーネントであって、
エンハンスメントモードトランジスタと、
導電性基板を備えるデプリーションモードトランジスタと、
導電性構造的パッケージベースを備えるパッケージであって、前記パッケージは前記エンハンスメントモードトランジスタおよび前記デプリーションモードトランジスタの双方を囲う、パッケージと、
を備え、
前記デプリーションモードトランジスタのドレイン電極は、前記パッケージのドレインリードに電気的に接続され、
前記エンハンスメントモードトランジスタのゲート電極は、前記パッケージのゲートリードに電気的に接続され、
前記エンハンスメントモードトランジスタのソース電極は、前記導電性構造的パッケージベースに電気的に接続され、
前記デプリーションモードトランジスタのゲート電極は、前記導電性基板と直接的に接触して電気的に接続され、
前記導電性基板は、前記導電性構造的パッケージベースと直接的に接触して電気的に接続され、
前記導電性構造的パッケージベースは、前記パッケージのソースリードに電気的に接続される、電子コンポーネント。
【請求項2】
請求項1において、
前記デプリーションモードトランジスタの前記ゲート電極は、外部ゲートワイヤコネクタなしで前記パッケージの前記ソースリードに電気的に接続される、電子コンポーネント。
【請求項3】
請求項1において、
前記デプリーションモードトランジスタは、前記導電性基板上にIII-N材料構造を備える、電子コンポーネント。
【請求項4】
請求項3において、
前記デプリーションモードトランジスタの前記ゲート電極は、前記III-N材料構造の、前記導電性基板とは反対側上にあり、
前記III-N材料構造は、前記導電性基板へと延びるビアを含み、
前記デプリーションモードトランジスタの前記ゲート電極は、前記ビアを通って前記導電性基板に電気的に接続される、電子コンポーネント。
【請求項5】
請求項4において、
前記ビアは、前記デプリーションモードトランジスタの活性領域の外側にある、電子コンポーネント。
【請求項6】
請求項1において、
前記エンハンスメントモードトランジスタのドレイン電極は、前記デプリーションモードトランジスタのソース電極と直接的に接触して電気的に接続され、
前記エンハンスメントモードトランジスタは、少なくとも部分的に、前記デプリーションモードトランジスタの前記活性領域の上方にある、電子コンポーネント。
【請求項7】
請求項6において、
前記エンハンスメントモードトランジスタの前記ソース電極は、前記導電性基板を通って前記デプリーションモードトランジスタの前記ゲート電極に結合される、電子コンポーネント。
【請求項8】
請求項6において、
前記エンハンスメントモードトランジスタは、前記デプリーションモードトランジスタより低い降伏電圧を有する、電子コンポーネント。
【請求項9】
請求項1において、
前記III-N材料構造は、III-Nバッファ層、III-Nチャネル層およびIII-N障壁層を備え、
前記バッファ層は、鉄、マグネシウムまたは炭素でドープされる、電子コンポーネント。
【請求項10】
前記III-N障壁層と前記III-Nチャネル層との間の組成的相違によって、前記III-Nチャネル層内にラテラル2DEGチャネルが誘導される、請求項9に記載の電子コンポーネント。
【請求項11】
ハーフブリッジ回路であって、
高電圧ノードに接続される高位側スイッチと、
グランドノードに接続される低位側スイッチと、
前記高位側スイッチおよび前記低位側スイッチの間のノードに接続されるインダクタと、を備え、
前記低位側スイッチは、低電圧エンハンスメントモードトランジスタと、高電圧III-Nデプリーションモードトランジスタと、を備え、
前記ハーフブリッジ回路は、第1動作モードにおいて、前記高位側スイッチがオンにバイアスされ、前記低位側スイッチがオフにバイアスされている間に、電流が、前記高位側スイッチを第1方向に通り、前記インダクタを通って流れるように構成され、
第2動作モードにおいて、前記高位側スイッチがオフにバイアスされ、前記低位側スイッチがオフにバイアスされている間に、電流が、前記低位側スイッチを第2方向に通り、前記インダクタを通って流れ、
第3動作モードにおいて、前記高位側スイッチがオフにバイアスされ、前記低位側スイッチがオンにバイアスされている間に、電流が、前記低位側スイッチを前記第2方向に通り、前記インダクタを通って流れ、
前記第2動作モードの間に、前記低位側スイッチを通って流れる逆DC電流は50Aより大きく、
前記第3動作モードの間に、前記III-Nデプリーションモードトランジスタのオン抵抗の増大は5%未満である、ハーフブリッジ回路。
【請求項12】
請求項11において、
前記III-Nデプリーションモードトランジスタのゲート電極は導電性基板に接続され、
前記導電性基板は前記低位側スイッチのパッケージベースに取り付けられる、ハーフブリッジ回路。
【請求項13】
請求項12において、
前記エンハンスメントモードトランジスタの前記ソースは、前記低位側スイッチの前記パッケージベースに接続され、
前記III-Nデプリーションモードトランジスタの前記ソースは、前記エンハンスメントモードトランジスタの前記ドレインに接続される、ハーフブリッジ回路。
【請求項14】
請求項13において、
前記第1動作モードの間に、前記低位側スイッチは600Vより大きい電圧をブロックする、ハーフブリッジ回路。
【請求項15】
請求項11において、
前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間の遷移時間中に、前記III-Nデプリーションモードトランジスタの寄生ゲート・ドレインコンデンサを通って変位電流が流れる、ハーフブリッジ回路。
【請求項16】
請求項15において、
前記第2動作モードの間、前記逆DC電流が前記エンハンスメントモードトランジスタのボディダイオードを通って流れる、ハーフブリッジ回路。
【請求項17】
請求項11において、
前記エンハンスメントモードトランジスタはケイ素MOSFETである、ハーフブリッジ回路。
【請求項18】
請求項11において、
前記高位側スイッチは、第2ハイブリッドデバイスを備え、
前記第2ハイブリッドデバイスは、低電圧エンハンスメントモードトランジスタと、高電圧III-Nデプリーションモードトランジスタと、を備える、ハーフブリッジ回路。
【請求項19】
パッケージ内にケーシングされた電子コンポーネントであって、
前記電子コンポーネントはハイブリッドIII-Nデバイスを備え、前記ハイブリッドIII-Nデバイスは、カスケード構成に配置された低電圧エンハンスメントモードトランジスタおよび高電圧III-Nデプリーションモードトランジスタを備え、
前記III-Nデバイスは、前記電子コンポーネントのゲートがオフにバイアスされている間、順方向に600Vをブロック可能であり、逆方向に50Aより大きい電流に耐えることができ、
前記電子コンポーネントの前記ゲートがオフにバイアスされている間に、逆方向の前記電流に耐えた後に、前記ゲートがオンにバイアスされている間の前記電子コンポーネントの抵抗増大は、5%未満である、電子コンポーネント。
【請求項20】
請求項19において、
前記III-Nデプリーションモードトランジスタのゲート電極は、ケイ素基板に電気的に接続される、電子コンポーネント。
【請求項21】
請求項20において、
前記ケイ素基板は、導電性構造的パッケージベースと直接的に接触して電気的に接続され、
前記構造的パッケージベースは、回路グランドに接続されるように構成される、電子コンポーネント。
【請求項22】
請求項21において、
前記パッケージのソースリードは、前記導電性構造的パッケージベースに電気的に接続される、電子コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、向上した性能および信頼性を達成するために設計された半導体電子デバイスに関する。
【0002】
[背景]
現在、典型的なパワー半導体(トランジスタ、ダイオード、パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のデバイスを含む)は、ケイ素(Si)半導体材料で製造される。より最近では、ワイドバンドギャップ材料(SiC、III-N、III-O、ダイアモンド)が、それらのより優れた特性によりパワーデバイスについて検討されている。III族窒化物またはIII-N半導体デバイス(窒化ガリウム(GaN)デバイス等)は、大電流を搬送し、高電圧をサポートし、高速なスイッチング時間で超低オン抵抗を提供するための魅力的な候補として出現しつつある。
【0003】
大部分の従来のIII-N高電子移動度トランジスタ(HEMT)および関連するトランジスタデバイスは、ノーマリオン(すなわち、負の閾値電圧を有する)であり、すなわち、ゲート電圧ゼロで導通できる。これらの負の閾値電圧を有するデバイスは、デプリーションモード(Dモード)デバイスとして知られる。パワーエレクトロニクスでは、デバイスの偶発的ターンオンを防止することによってデバイスまたは他の回路コンポーネントへのダメージを回避するために、ゲート電圧ゼロでは実質的に電流を導電させないノーマリオフデバイス(すなわち正の閾値電圧を有するデバイス)を有することが好ましい。ノーマリオフデバイスは、一般的に、エンハンスメントモード(Eモード)デバイスと呼ばれる。
【0004】
これまで、高電圧III-N Eモードトランジスタの信頼性のある製造および作製は、非常に難しいと判明している。単一の高電圧Eモードトランジスタに対する代替策の1つは、高電圧DモードIII-Nトランジスタを、低電圧Eモードトランジスタ(たとえば低電圧ケイ素FET)と、
図1に示す概略図に示すカスケード回路構成で組み合わせてハイブリッドデバイスを形成することである。これは、単一の高電圧EモードIII-Nトランジスタと同じ方法で動作させることができ、多くの場合において単一の高電圧EモードIII-Nトランジスタと同じまたは類似の出力特性を達成する。
図1のハイブリッドデバイスは、高電圧DモードIII-Nトランジスタ23と、低電圧Eモードトランジスタ22とを含み、これらは任意選択で両方を単一のパッケージ10にケーシングすることができ、パッケージは、ソースリード11と、ゲートリード12と、ドレインリード13とを含む。低電圧Eモードトランジスタ22のソース電極31と、高電圧DモードIII-Nトランジスタ23のゲート電極35とは、ソースリード11に電気的に接続される。低電圧Eモードトランジスタ22のゲート電極32は、ゲートリード12に電気的に接続される。高電圧DモードIII-Nトランジスタ23のドレイン電極36は、ドレインリード13に電気的に接続される。高電圧DモードIII-Nトランジスタ23のソース電極34は、低電圧Eモードトランジスタ22のドレイン電極33に電気的に接続される。低電圧Eモードトランジスタ22は、トランジスタ22のチャネルと反平行に延びる内蔵ボディダイオード37を含む。
【0005】
[サマリー]
本明細書には、III-Nデバイスのための集積設計が記載される。これについて、低電圧エンハンスメントモードデバイスと、高電圧デプリーションモードIII-Nデバイスとが、単一の電子コンポーネントパッケージに集積され、ハイブリッドデバイスを形成する。これは、単一の高電圧EモードIII-Nトランジスタと同じ方法で動作でき、かつ/または、同じ出力特性を有する。用語「デバイス」は、一般的に、任意のトランジスタまたはスイッチまたはダイオードについて、それらを区別する必要がない場合に用いられる。
【0006】
第1の態様では、半導体デバイスが記載される。半導体デバイスは、III-Nデバイスおよび電界効果トランジスタ(FET)を備える。III-Nデバイスは、III-N材料構造の第1側上の基板と、第1ゲートと、第1ソースと、III-N材料構造の基板とは反対の側上の第1ドレインと、を備える。FETは、第2半導体材料構造と、第2ゲートと、第2ソースと、第2ドレインとを備え、第2ソースは第2半導体材料構造の第2ドレインから反対の側上にある。FETの第2ドレインは各III-Nデバイスの第1ソースと直接的に接触して電気的に接続され、III-N材料構造の一部を通ってビアホールが形成され、基板の上面の一部を露出させ、第1ゲートは少なくとも部分的にビアホール内に形成され、基板に電気的に接続される。
【0007】
第2の態様では、電子コンポーネントが記載される。電子コンポーネントはエンハンスメントモードトランジスタを備える。電子コンポーネントはさらにデプリーションモードトランジスタを備える。デプリーションモードトランジスタは基板を備える。電子コンポーネントはさらにパッケージを備える。パッケージは導電性構造的パッケージベースを備え、パッケージはエンハンスメントモードトランジスタおよびデプリーションモードトランジスタの双方を囲う。デプリーションモードトランジスタのドレイン電極はパッケージのドレインリードに電気的に接続され、エンハンスメントモードトランジスタのゲート電極はパッケージのゲートリードに電気的に接続され、エンハンスメントモードトランジスタのソース電極は導電性構造的パッケージベースに電気的に接続される。デプリーションモードトランジスタのゲート電極は導電性基板と直接的に接触して電気的に接続され、導電性基板は導電性構造的パッケージベースと直接的に接触して電気的に接続され、導電性構造的パッケージベースはパッケージのソースリードに電気的に接続される。
【0008】
第3の態様では、ハーフブリッジ回路が記載される。ハーフブリッジ回路は、高電圧ノードに接続された高位側スイッチと、グランドノードに接続された低位側スイッチと、高位側スイッチおよび低位側スイッチの間のノードに接続されたインダクタとを備える。低位側スイッチは低電圧エンハンスメントモードトランジスタおよび高電圧デプリーションモードトランジスタを備える。ハーフブリッジ回路は、高位側スイッチがオンにバイアスされ低位側スイッチがオフにバイアスされている間、第1動作モードでは電流が高位側スイッチを第1方向に通り、インダクタを通って流れるように構成される。第2動作モードでは、高位側スイッチがオフにバイアスされ、低位側スイッチがオフにバイアスされている間、電流が低位側スイッチを第2方向に通り、インダクタを通って流れる。第3動作モードでは、高位側スイッチがオフにバイアスされ低位側スイッチがオンにバイアスされている間、電流が低位側スイッチを第2方向に通り、インダクタを通って流れる。第2動作モードの間、低位側スイッチを通る逆DC電流は50Aより大きく、第3動作モードの間、III-Nデプリーションモードトランジスタのオン抵抗の増加は5%未満である。
【0009】
第4の態様では、パッケージ内にケーシングされた電子コンポーネントが記載される。電子コンポーネントはハイブリッドIII-Nデバイスを備える。ハイブリッドIII-Nデバイスは、カスケード構成に配置された低電圧エンハンスメントモードトランジスタおよび高電圧III-Nデプリーションモードトランジスタを備える。パッケージングされた電子コンポーネントは、コンポーネントパッケージのゲートがオフにバイアスされている間に、順方向に600Vをブロックすることができ、逆方向に50Aより大きい電流に耐えることができ、ゲートがオンにバイアスされている間の電子コンポーネントの抵抗は、電子コンポーネントのゲートがオフにバイアスされている間に逆方向の前記電流に耐えた後に5%未満である。
【0010】
本明細書に記載されるデバイスおよびトランジスタのそれぞれは、以下の特徴のうち1つ以上を含むことができる。基板は、1×1019ホール/cm3より大きいホール濃度を有するドープされたp型とすることができる。基板は回路グランドに電気的に結合されてもよい。III-Nバッファ層は、4μmより大きい厚さを有してもよく、600Vより大きいものをブロック可能であってもよい。FETのドレインは、はんだ、はんだペーストまたは導電性エポキシによって、III-Nデバイスのソースに電気的に接続されてもよい。ゲート電極金属は、Ti/AlまたはNi/Auを含んでもよい。III-N材料構造は、Ga極性配向またはN極性配向に配向されてもよい。エンハンスメントモードトランジスタのドレイン電極は、デプリーションモードトランジスタのソース電極と直接的に接触し、電気的に接続される。エンハンスメントモードトランジスタのソース電極は、導電性基板を通してデプリーションモードトランジスタのゲート電極に結合される。エンハンスメントモードトランジスタは、デプリーションモードトランジスタよりも低い降伏電圧を有する。III-Nデプリーションモードトランジスタのゲート電極は、ケイ素基板に電気的に接続されてもよい。ケイ素基板は、導電性構造的パッケージベースと直接的に接触し、電気的に接続されてもよい。構造的パッケージベースは、回路グランドに接続されるように構成される。エンハンスメントモードトランジスタは、ケイ素MOSFETであってもよい。
【0011】
本明細書において、「ハイブリッドエンハンスメントモード電子デバイスまたはコンポーネント」(または単に「ハイブリッドデバイスまたはコンポーネント」)は、デプリーションモードトランジスタおよびエンハンスメントモードトランジスタから形成される電子デバイスまたはコンポーネントであって、デプリーションモードトランジスタはエンハンスメントモードトランジスタと比較して高い動作電圧および/または降伏電圧が可能であり、ハイブリッドデバイスまたはコンポーネントは、デプリーションモードトランジスタの降伏電圧および/または動作電圧とほぼ同程度に高い降伏電圧および/または動作電圧を有する単一のエンハンスメントモードトランジスタと同様に動作するように構成される。すなわち、ハイブリッドエンハンスメントモードデバイスまたはコンポーネントは、以下の特性を有する少なくとも3個のノードを含む。第1ノード(ソースノード)および第2ノード(ゲートノード)が同一電圧に維持されている場合、ハイブリッドエンハンスメントモードデバイスまたはコンポーネントは、ソースノードに対して第3ノード(ドレインノード)に印加される正の高電圧(すなわち、エンハンスメントモードトランジスタがブロック可能な最大電圧より大きい電圧)をブロックすることができる。ゲートノードがソースノードに対して十分な正電圧(すなわち、エンハンスメントモードトランジスタの閾値電圧より大きい電圧)に維持されている場合、電流はソースノードからドレインノードへと通過し、または、ソースノードに対して十分な正電圧がドレインノードに印加されている場合には、電流はドレインノードからソースノードへと通過する。エンハンスメントモードトランジスタが低電圧デバイスであり、デプリーションモードトランジスタが高電圧デバイスである場合、ハイブリッドコンポーネントは、単一の高電圧エンハンスメントモードトランジスタと同様に動作することができる。デプリーションモードトランジスタは、エンハンスメントモードトランジスタの降伏電圧および/または最大動作電圧の、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍の、降伏電圧および/または最大動作電圧を有してもよい。
【0012】
本明細書において、III族窒化物またはIII-N材料、層、デバイス、等の用語は、化学量論的式BwAlxInyGazNに従う半導体複合材料からなる材料またはデバイスを指す。ただしw+x+y+zは約1であり、0≦w≦1,0≦x≦1,0≦y≦1,かつ0≦z≦1である。III-N材料、層、またはデバイスは、適切な基板上に直接的に成長させること(たとえば有機金属化学気相成長法)によって、または、適切な基板上に成長させ、元の基板から分離させ、他の基板に接着させることによって、形成または提供することができる。
【0013】
本明細書において、2以上の接点または他の要素(導電性のチャネルまたはコンポーネント等)が「電気的に接続される」とは、いかなるバイアス条件下においても常に、当該各接点または当該各要素の電位が同一となるよう意図される(たとえばほぼ同一となる)ことを確実にするためにそれらが十分な導電性の材料によって接続されていることをいう。
【0014】
本明細書において、「電圧をブロックする」とは、トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントに電圧が印加された場合に、当該トランジスタ、デバイス、またはコンポーネントを通って実質的な電流(たとえば通常導電中の動作電流の0.001倍より大きい電流)が流れることを防止する、当該トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントの能力を指す。言い換えると、トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントが、当該トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントに印加された電圧をブロックしている間は、当該トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントを通過する総電流は、通常導電中の動作電流の0.001倍より大きくならない。この値より大きいオフ状態電流を有するデバイスは、高い損失および低い効率を示し、典型的には多くの用途(とくにパワースイッチング用途)に不向きである。
【0015】
本明細書において、「高電圧デバイス」(たとえば高電圧スイッチングトランジスタ、HEMT、双方向スイッチ、または四象限スイッチ(FQS))は、高電圧用途に最適化された電子デバイスである。すなわち、デバイスがオフである場合には高電圧(たとえば約300V以上、約600V以上、または約1200V以上)をブロックすることができ、デバイスがオンである場合には、それが用いられる用途について十分に低いオン抵抗(RON)を有する(たとえば、当該デバイスを実質的な電流が通過する際に経験する導電損失が十分に低い)。高電圧デバイスは、少なくとも、それが用いられる回路内の高電圧供給または最大電圧に等しい電圧をブロックすることができる。高電圧デバイスは、300V、600V、1200V、1700V、2500V、または用途が要求する他の適切なブロック電圧をブロック可能であってもよい。言い換えると、高電圧デバイスは、0VからVmaxまでのすべての電圧をブロックすることができ、ただしVmaxは回路または電源供給によって供給され得る最大の電圧であり、Vmaxはたとえば300V、600V、1200V、1700V、2500V、または用途が要求する他の適切なブロック電圧であってもよい。双方向スイッチまたは四象限スイッチについて、スイッチがオフである場合には、ブロックされる電圧は、特定の最大値未満の任意の極性であってもよく(±300Vまたは±600V、±1200V、等の±Vmax)、スイッチがオンである場合には、電流は任意の方向であってもよい。
【0016】
本明細書において、「III-Nデバイス」はIII-Nヘテロ構造に基づくデバイスである。III-Nデバイスは、トランジスタまたはスイッチ(デバイスの状態が、ゲート端子によって、または、ゲート端子なしで電流の通過を一方向にブロックし別の方向に導通させる2端子デバイスとして、制御される)として動作するよう設計することができる。III-Nデバイスは、高電圧用途に適した高電圧デバイスであってもよい。そのような高電圧デバイスにおいて、デバイスがオフにバイアスされている場合(たとえばソースに対するゲートの電圧がデバイス閾値電圧未満である場合)、そのデバイスは、そのデバイスが用いられる用途の高電圧以下のすべてのソース・ドレイン電圧(たとえば100V、300V、600V、1200V、1700V、2500V、またはより高い)を少なくともサポート可能である。高電圧デバイスがオンにバイアスされている場合(たとえばソースまたは関連する電力端子に対するゲートの電圧がデバイス閾値電圧より大きい場合)、そのデバイスは、低いオン電圧(すなわち、ソース・ドレイン間または両電力端子間の低電圧)で実質的な電流を導電させることができる。許容可能な最大電圧は、そのデバイスが用いられる用途において維持可能な最大のオン状態電圧である。
【0017】
本明細書において、「上方(over)」、「下方(under)」、「間(between)」および「上(on)」という用語は、ある層の別の層に対する相対的位置を指す。したがってたとえば、別の層の上方または下方に配置された層は、その別の層と直接的に接触してもよいし、1つ以上の層が間に介在してもよい。さらに、2つの層の間に配置された層は、それら2つの層に直接的に接触してもよいし、1つ以上の層が間に介在してもよい。これに対して、第2層「上」の第1層は、第2層と接触する。さらに、ある層の、他の各層に対する相対的位置は、基板の絶対的配向を考慮することなく、基板に対して操作が実行されることを想定して提供される。
【0018】
高電圧スイッチングトランジスタが用いられる典型的なパワースイッチング用途では、大部分の時間の間、トランジスタは2つの状態のうち一方にある。第1状態(一般的に「オン状態」と呼ばれる)では、ソース電極に対するゲート電極の電圧は、トランジスタ閾値電圧より大きく、トランジスタを通って実質的な電流が流れる。この状態では、ソース・ドレイン間の電圧差は典型的には低く、通常は数ボルト以下(たとえば約0.1~5ボルト)である。第2状態(一般的に「オフ状態」と呼ばれる)では、ソース電極に対するゲート電極の電圧は、トランジスタ閾値電圧より低く、トランジスタを通って実質的な電流は流れない(オフ状態漏れ電流を除く)。この第2状態では、ソース・ドレイン間の電圧差は、約0Vから回路高電圧供給の値まで任意に変動し得る(場合によっては100V、300V、600V、1200V、1700Vまたはより高いが、トランジスタの降伏電圧より低くすることができる)。一部の用途では、回路内の誘導性要素がソース・ドレイン間の電圧を回路の高電圧供給よりさらに高くする場合がある。加えて、ゲートがオンまたはオフにスイッチされた直後に、トランジスタが上述の2状態の間の遷移モードにある短い時間が存在する。トランジスタがオフ状態にある場合、それはソース・ドレイン間の「電圧をブロックしている」と言われる。本明細書では、「電圧をブロックする」とは、トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントに電圧が印加された場合に、当該トランジスタ、デバイス、またはコンポーネントを通って実質的な電流(たとえば通常のオン状態導電中の平均動作電流の0.001倍より大きい電流)が流れることを防止する、当該トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントの能力を指す。言い換えると、トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントが、当該トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントに印加された電圧をブロックしている間は、当該トランジスタ、デバイスまたはコンポーネントを通過する総電流は、通常のオン状態導電中の平均動作電流の0.001倍より大きくならない。
【0019】
図1のハイブリッドエンハンスメントモードデバイスが、従来の高電圧Eモードトランジスタに代えて用いられる場合には、ハイブリッドデバイスは、以下のように動作する。ハイブリッドデバイスがオン状態にある場合には、EモードトランジスタのチャネルおよびDモードトランジスタのチャネルの双方を通って電流が流れ、これら2つのトランジスタそれぞれにかかる電圧は小さくでき、典型的には数ボルト以下である。ハイブリッドデバイスがオフ状態にある場合には、ハイブリッドデバイスによってブロックされる電圧は、EモードトランジスタとDモードトランジスタとの間で分割される。Eモードトランジスタは、およそ|V
th,D|とV
br,Eとの間の電圧をブロックし、|V
th,D|はDモードトランジスタの閾値電圧の絶対値であり、V
br,EはEモードトランジスタの降伏電圧である。ハイブリッドデバイスにかかる電圧の残余は、高電圧Dモードトランジスタによってブロックされる。
【0020】
添付の図面および以下の説明において、本明細書に記載される対象の、1つ以上の開示される実装の詳細が明らかにされる。追加の特徴および変形もまた、実装に含まれてもよい。他の特徴、態様、および利点は、当該説明、図面および特許請求の範囲から明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2A】ハイブリッドIII-Nデバイスの断面図。
【
図3】パッケージされた電子コンポーネントデバイスの斜視図。
【
図5A】ハーフブリッジ降圧コンバータ回路を通る電流経路の概略図。
【
図5B】ハーフブリッジ降圧コンバータ回路を通る電流経路の概略図。
【
図5C】ハーフブリッジ降圧コンバータ回路を通る電流経路の概略図。
【
図6A】様々な動作モード中のハーフブリッジ降圧コンバータの低位側スイッチを通る電流経路の概略図。
【
図6B】様々な動作モード中のハーフブリッジ降圧コンバータの低位側スイッチを通る電流経路の概略図。
【
図7A】ハーフブリッジ昇圧コンバータ回路を通る電流経路の概略図。
【
図7B】ハーフブリッジ昇圧コンバータ回路を通る電流経路の概略図。
【
図7C】ハーフブリッジ昇圧コンバータ回路を通る電流経路の概略図。
【
図8】ハイブリッドIII-Nデバイスの別の構成の断面図。
【
図9】ハイブリッドIII-Nデバイスの別の構成の断面図。
【
図10】ハイブリッドIII-Nデバイスの別の構成の断面図。
【0022】
各図の同様の符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[詳細な説明]
本明細書には、単一の電子コンポーネントパッケージ内に組み立てられたデプリーションモードトランジスタおよびエンハンスメントモードトランジスタを含む、ハイブリッドエンハンスメントモード電子コンポーネントが記載される。デプリーションモードトランジスタ(高電圧III-Nデバイスであってもよい)およびエンハンスメントモードトランジスタ(低電圧ケイ素FETデバイスであってもよい)は、カスケード回路構成に配列されてハイブリッドデバイスを形成し、これは、単一の高電圧EモードIII-Nトランジスタと同じ方法で動作することができ、多くの場合において、単一の高電圧EモードIII-Nトランジスタと同一のまたは同様の出力特性を達成できる。デプリーションモードトランジスタは、エンハンスメントモードトランジスタより大きい降伏電圧を有する(たとえば少なくとも3倍大きい)。これらのハイブリッド電子コンポーネントがオフ状態にバイアスされている場合にブロック可能な最大電圧は、少なくとも、デプリーションモードトランジスタの最大ブロック電圧または降伏電圧と同じ大きさである。本明細書に記載されるハイブリッド電子コンポーネントは、従来のパッケージ内のハイブリッドデバイスに比べ、複雑さおよび組み立て工程のコストを低減させながら、信頼性および/または性能が改善されるように構成される。
【0024】
図2Aは、単一の高電圧ハイブリッドIII-Nデバイス100を形成するために、高電圧DモードIII-Nデバイス123(たとえばGaN HEMTデバイス)に電気的に接続された低電圧Eモードデバイス122(たとえばケイ素FETデバイス)を含む電子デバイスの断面図を示す。Eモードデバイス122は、半導体ボディ層25と、半導体ボディ層25の第1側上のFETソース電極131およびFETゲート電極132と、半導体ボディ層25のFETソース電極131と反対側上のFETドレイン電極133とを含む。
【0025】
図2AのDモードIII-Nデバイス123は、適切な導電性基板14上に成長したIII-N材料構造24(たとえばGaNおよびAlGaNの組み合わせ)を含む。これは導電性半導体(たとえばケイ素(たとえばp型またはn型Si)、GaNまたは任意の他の十分に導電性の基板)であってもよい。たとえば、基板は1×10
19ホール/cm
3より大きいホール濃度を有するドープされたp型であってもよく、1×10
19電子/cm
3より大きい電子濃度を有するドープされたn型であってもよい。基板は、熱伝導率が高くても低くてもよく、熱伝導率が低い基板の場合には、基板は熱放散を改善するために薄くされてもよい。基板は、III-N材料構造24の材料層のいずれかと同様の、または異なる格子定数および/または熱膨張率を有してもよい。基板の、III-N材料構造24と反対側の背面側上には、背面金属層42(たとえばTi/Ni/Ag)が形成されてもよい。背面金属層42は、デバイスパッケージベース(たとえばリードフレーム)に、はんだ、はんだペースト、導電性エポキシ、導電性テープまたは他の適切な取り付け方法(デバイスパッケージベースへのデバイス基板14の高品質な機械的、熱的および電気的接続を可能にするもの)で基板を取り付け可能にする接着層として用いることができる。
【0026】
III-N材料構造24は、基板14上に成長したIII-Nバッファ層15(たとえばGaNまたはAlGaN)を含んでもよい。バッファ層15は、層内に転位または点欠陥を含むことによって、または、補償的要素(たとえばFe、C、および/またはMg等)で層をドープすることによって、絶縁性に、または意図しないn型移動性キャリアが実質的に存在しないように、製造されてもよい。バッファ層は、全体を通して実質的に均一な組成を有してもよいし、組成が変化してもよい。たとえば、実装によっては、バッファ層のアルミニウム成分をグレーディングすること等によって、バッファ層が組成的にグレーディングされる(たとえば基板はAlxG1-xNであり、xは基板を通して変化する)。バッファ層15の厚さおよび組成は、高電圧用途に対して最適化されてもよい。すなわち、バッファ層は、それが使用される回路における最大電圧または高電圧供給に等しい電圧をブロックできる。たとえば、バッファ層15は600Vより大きい電圧または900Vより大きい電圧をブロック可能であってもよい。バッファ層15の厚さは4μmより大きくすることができ、たとえばIII-Nバッファ層は5μmと8μmとの間の厚さを有してもよい。
【0027】
III-N材料構造は、さらに、III-Nバッファ層15の上方にIII-Nチャネル層16(たとえばGaN)を含んでもよく、III-Nチャネル層16の上方にIII-N障壁層17(たとえばAlGaN、AlInNまたはAlGaInN)を含んでもよい。III-N障壁層17のバンドギャップは、III-Nチャネル層16のバンドギャップより大きい。III-Nチャネル層16は、III-N障壁層17とは異なる組成を有し、III-N障壁層17の組成の厚さは、III-Nチャネル層16に層17および16の界面に隣接して2次元電子ガス(2DEG)チャネル19(
図2Aに破線により示す)が誘導されるように選択される。
【0028】
典型的には、III-N高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、リアクター内の有機金属化学気相成長法(MOCVD)または分子ビームエピタキシー(MBE)または他の技法によって成長したエピタキシャル(すなわちエピ)III-N材料構造から形成される。
図2Aに示すように、III-N材料構造は、III族極性(たとえばGa極性)配向(たとえば[0 0 0 1](C面)配向)で成長してもよい。すなわち、HEMTのソース、ゲート、およびドレイン接点は、III-N材料構造のIII族面(たとえば[0 0 0 1]面)の上方に形成され、これは典型的には、III-N層が形成される基板からはIII-N材料構造の反対側上である。代替的に、III-N HEMTは、N極性(すなわちN面)配向(たとえば[0 0 0 -1]配向(図示しない)等)で成長したIII-N材料構造上に形成されてもよい。この場合、HEMTのソース、ゲートおよびドレイン接点は、III-N材料構造のN面(たとえば[0 0 0 -1]面)の上方に形成される。ここで、III-N材料構造は、III-Nバッファ層の上方のII-N障壁層と、III-N障壁層17の上方のIII-Nチャネル層16とを含んでもよい。III-N障壁層17のバンドギャップは、III-Nチャネル層16のバンドギャップより大きく、III-N障壁層17の厚さおよび組成は、III-Nチャネル層16に、III-Nチャネル層16およびIII-N障壁層17の界面に隣接して、2次元電子ガス(2DEG)チャネル19が誘導されるように選択される。N極性III-N材料は、III族極性III-N材料とは反対向きの分極フィールドを有し、したがって、III族極性構造を用いて製造できないIII-Nデバイスの実装を可能にし得る。
【0029】
絶縁層18(たとえば誘電層)は、III-N材料構造の上表面の上方に成長または堆積される。絶縁体18は、たとえば酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、SixNy、Al1-xSixN、Al1-xSixO、Al1-xSixONまたは他の任意のワイドバンドギャップ絶縁体から形成されてもよく、またはこれを含んでもよい。絶縁体18は単一層として図示されるが、代替的に、単一の合成絶縁層を形成するために様々な処理工程の間に堆積されるいくつかの層からなるよう形成されてもよい。絶縁層18は、全体が一定であってもよいし、種類が変化する絶縁材料から形成されてもよく、たとえば、絶縁層は、MOCVD SiN(たとえばMOCVDによって堆積したSiN)から形成される第1部分と、PECVD SiN(たとえばPECVDによって堆積したSiN)から形成される第2部分とを有してもよい。
【0030】
ソース電極134およびドレイン電極136は、デバイス100がラテラルIII-Nデバイスとして特徴づけられるように、デバイス100の基板と反対側上に形成される(すなわち、ソースおよびドレインはデバイスの同じ側上にあり、電流はソース134とドレイン136との間でデバイスを通って横方向に流れる)。ソース電極134およびドレイン電極136はオーミック接触し、層16内に形成されるデバイス2DEGチャネル19に電気的に接続される。ソースおよびドレイン電極134,136(たとえばソースおよびドレイン接点)は、金属スタックによって形成されてもよい。ソースおよびドレイン電極134,136から2DEGチャネル19へのオーミック接触を改善できるようにするために、III-N障壁層17内に凹部が形成されてもよい。金属スタックは、Ti/Al/Ni/Au、Ti/Al、または他の適切な金属であってもよい。ソースおよびドレイン接点134,136は、金属蒸着および堆積後アニーリング処理(metal evaporation and post-deposition annealing processes)によって形成されてもよい。スパッタリングおよびドライエッチ処理を含む他のオーミック接触処理を用いてもよい。
【0031】
デバイス100は、さらにゲート電極135(たとえばゲート接点)を含む。ゲート電極135は、
図2Aに示すように、ゲート電極とIII-N材料構造24との間に少なくとも部分的に絶縁層18が存在するように形成されてもよいし、代替的に、ゲート電極135は、III-N材料構造24と接触するように形成されてもよい(図示せず)。ゲート電極135は、金属スタック(たとえばチタン/アルミニウム(Ti/Al)またはニッケル/金(Ni/Au))等の適切な導電性金属から形成されてもよく、金属蒸着またはスパッタリングまたは化学気相成長法または様々な原子層堆積(ALD)によって堆積されてもよい。代替的に、ゲート電極135は、大きな仕事関数を有する半導体材料(たとえばp型ポリシリコン、酸化インジウムスズ、窒化タングステン、窒化インジウム、または窒化チタン)のような、大きな仕事関数を有する1つ以上の材料を含む別の導電性材料または材料スタックであってもよい。
【0032】
ゲート電極135は、
図2Aの破線領域に示すように、基板14の上表面の一部を露出させIII-N材料構造24の一部を通って形成されるビアホール38によって基板14に電気的に接続される(たとえば貫通エピビア(through-epi-via)またはTEV)。III-Nデバイス23のゲート電極135が基板14に電気的に接続されるように、ゲート電極135の金属は、少なくとも部分的に、ビアホール38内に形成される。
図2Aの破線領域は、2DEGチャネル19を貫通するビアホール38を示すが、さらに
図2Bおよび
図2Cに示すように、ビアホール38は、2DEGチャネル19がソース電極134とドレイン電極136との間で連続するような方法で形成される(たとえばビアホールがデバイスの活性領域の外側の領域に形成される)。
【0033】
図2Bおよび
図2Cは、それぞれ
図2AのIII-Nデバイス123の平面図および断面図を示し、
図2Cの断面図は
図2Bの破線27によって示される。デバイスの活性領域は破線領域26で示される。活性領域の外側では、導電性チャネルが存在しないように、半導体材料が典型的にはエッチングまたは他の方法で処理され(たとえばイオン埋め込みによって)、これによって、互いに絶縁されるよう設計されるデバイスの各部間のショートが防止される。
図2Bおよび
図2Cに示すように、ビアホール38および38’は活性領域26の外側に形成され、III-N材料構造24を通って延びて、基板14の上表面の一部を露出させる。ゲート電極135が基板14に電気的に接続されるように、ゲート電極金属は少なくとも部分的にビアホール38および38’内に形成される。本明細書において用いられる場合、トランジスタの「活性領域」とは、
図2Bおよび
図2Cにおいて、ソースおよびドレイン電極134,136の間のデバイスチャネルを含む領域に沿ったソースおよびドレイン領域を指す(すなわち領域26)。
【0034】
さて
図2Aに戻り、低電圧Eモードデバイス122は高電圧DモードIII-Nデバイス123に電気的に接続されてハイブリッドIII-Nデバイス100を形成する。ここで、Eモードデバイス122のドレイン電極133は、絶縁層18の一部の上方に形成されるソースパッド137として示すソース接点の一部を通して、III-Nデバイス123のソース電極134と直接的に接触して(たとえばその上に取り付けられて)電気的に接続される。Dモードデバイス123の活性領域の上方にEモードデバイス122が直接的に取り付けられるように、ソースパッド137は、
図2Aに示すように、Dモードデバイス123の活性領域の上方に延びてもよい。代替的に、絶縁層18はDモードデバイス123の活性領域の外側に延びてもよく、ソースパッド137はDモードデバイス123の活性領域の外側で絶縁層18の上方に延びてもよく、Eモードデバイス122はDモードデバイス123の活性領域の外側でソースパッド137上に実装されてもよい。Eモードデバイス122のドレイン133は、たとえば、はんだ、はんだペースト、導電性エポキシ、導電性テープ、または、ソース電極134のソースパッド137およびFETドレイン電極133の間の、高品質な機械的、熱的および電気的接続を可能にする他の適切な実装方法で、Dモードデバイス123のソースパッド137に接続されてもよい。従来の単一パッケージ内で組み立てられるハイブリッドデバイスは、典型的にはセラミックの絶縁基板(たとえばAlNシム)上に並んで共通パッキングされ、FETドレインからHEMTソースまでの接続を提供する外部ワイヤコネクタを要する。しかしながら、
図2Aに示すように、Dモードデバイス123上にEモードデバイス122を直接的に取り付けることにより、外部ワイヤコネクタおよびセラミック基板の必要性が解消される。これによって、回路の寄生インダクタンスが激減し、より高い電流レーティングおよびより高速なスイッチングスピードが可能になる。
【0035】
図3は、電子コンポーネントパッケージ200内に集積されるハイブリッドIII-Nデバイス100の斜視図である。パッケージ200は、導電性構造的パッケージベース310(たとえばアルミニウム、銅またはニッケルリードフレーム)、ゲートリード312(すなわち第1端子)、ソースリード311(すなわち第2端子)、およびドレインリード313(すなわち第3端子)を備える3端子パッケージであり、ゲートリード312およびドレインリード313は、導電性構造的パッケージベース310から電気的に絶縁され、ソースリード311は導電性構造的パッケージベース310に電気的に接続される。任意選択で取り付け孔29が含まれてもよい。加えて、パッケージ200は、デバイスを囲むプラスチックまたは金属のケース(図示せず)を含んでもよい。ハイブリッドデバイスの基板14は、導電性構造的パッケージベース310に直接的に取り付けられて電気的に接続される。基板14は、たとえば、はんだ、導電性エポキシ、導電性テープ、または、基板14の、構造的パッケージベース310への、高品質な機械的、熱的および電気的接続を可能にする他の適切な取り付け方法で、パッケージベースに取り付けられてもよい。典型的には、従来のハイブリッドデバイスパッケージ手法では、デバイス基板14とパッケージベース310との間にセラミックまたは絶縁性の基板(たとえばAlNシム)が用いられ、基板をパッケージから電気的に絶縁する。パッケージベース310は、ヒートシンク(図示せず)に直接的に取り付けることができ、これによって、パッケージベース310とヒートシンクとが電気的および熱的接触し、すなわちそれらが電気的に接続され、ハイブリッドデバイスによって生成された熱がヒートシンクを通して放散され得る。ヒートシンクは、回路グランドであってもよく、または、回路グランドに電気的に接続されてもよく、その場合には、パッケージベース310と、基板14と、III-Nデバイスのゲート135とは、それぞれ回路グランドと電気的に接続される。
【0036】
パッケージ200のゲートリード312は、コネクタ41によって、Eモードデバイス122のゲート電極132に結合される(たとえば電気的に接続される)。パッケージ200のドレインリード313は、コネクタ43によって、III-Nデバイス123のドレイン電極136に結合される(たとえば電気的に接続される)。導電性構造的パッケージベース310は、コネクタ42によって、Eモードデバイス122のソース電極131に結合される(たとえば電気的に接続される)。III-Nデバイス123のゲート電極135は、導電性基板14およびビアホール38/38’を通して、導電性構造的パッケージベース310に結合される(たとえば電気的に接続される)。コネクタ41,42,43は、それぞれ単一のワイヤボンディング(図示)を備えてもよいし、複数の並列のワイヤボンディング、リボン、導電性金属クリップ、または、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)または他の適切な材料等の導電性材料を含む他のコネクタを備えてもよい。
【0037】
図3に示すように、DモードIII-Nデバイス123のゲート接点135は、III-N材料構造24を通って形成されるビアホール38/38’によって基板14に電気的に接続される。また、上述のように、基板14は、導電性構造的パッケージベース310と電気的に接続されるように、これに直接的に取り付けられる。この構成によれば、従来の手法において要求されるような外部ワイヤコネクタを用いずに、III-Nデバイスのゲート電極135がパッケージデバイス200のソースリード311に電気的に結合される(たとえば電気的に接続される)ことができる。また、この構成によれば、ゲート電極135がEモードデバイス122のソース電極131に電気的に結合される(たとえば電気的に接続される)ことができる。ゲート電極135は、Dモードデバイス123の上表面上に露出される接点パッド領域(デバイステスト(たとえばデバイスプロービング)に実用的となる可能性がある)を含んでもよい(
図3に示す)が、Dモードデバイス123の上表面上にゲート電極135が露出する領域がないように、ゲート電極135の上表面を誘電材料(たとえば誘電層18)で完全にカプセル化することが好ましい場合がある。加えて、従来のハイブリッドデバイス組み立て手法は、典型的には、パッケージソースリード311から基板を電気的に絶縁するために、デバイス基板14とパッケージベース310との間にセラミックまたは絶縁性シム(たとえばAlNシム)を用いる。これは、ゲート電極135をパッケージソースリード311に接続するために追加のワイヤコネクタの使用を要求する。パッケージベース310とDモードデバイスの基板14との間に絶縁シムが含まれる場合には、基板14は固定電位に維持されず、浮動電位(たとえば、Dモードデバイスのゲート135の電位とDモードデバイスのドレイン136の電位との間のどこか)にあり、これによって、結果的に、Dモードデバイスのドレイン136とDモードデバイスの基板14との電圧差が、Dモードデバイスのドレイン136とDモードデバイスのゲート135との間の電圧差より実質的に小さくなる。セラミックシムを除去し、基板14をパッケージベース310に接続することにより、基板電圧が0V(すなわちグランド電位)に固定され、III-Nバッファ層15にゲート・ドレイン電圧の全体がかかる。このように、十分なデバイス降伏電圧特性を維持するために、III-Nバッファ層15に関して、注意深い設計考慮が必要である(たとえば、バッファ層15をより厚くして、バッファ層にかかる電位の増加によって発生する漏れおよび/または絶縁破壊を防止することができる)。このように、ハイブリッドIII-Nデバイス100は、セラミックシムを含まず、3個以下のコネクタでコンポーネントパッケージ200内に組み立てることができ、一方で、従来の組み立て手法(セラミックシムを要するかまたはビアホール38なしで組み立てられる)は、4個以上のコネクタを要する。これによってパッケージの、必要なコンポーネントの数(たとえば部品表またはBOM)が低減され、これによって全体的な組み立てコストが低減される。
図3のコンポーネントパッケージ200は、TO-220またはTO-247等のリードされたパッケージを示す。しかしながら、クアッドフラットノーリード(quad flat no-lead)(QFN)、表面取り付けデバイス(SMD)または無損失パッケージ(loss-free package)(LFPAK)、等のリードなしパッケージを伴う代替的な実施形態を用いることもできる。加えて、パッケージ200のコンポーネントは、設計者およびパッケージ種類のニーズに最もよく適合する態様で配向または配置することができる。
【0038】
図4は、
図1のハイブリッドデバイスの回路概略を示し、また、デバイス内に固有の様々な寄生インダクタンスおよび寄生容量を示す。Dモードデバイス23の寄生ゲート・ドレイン容量(C
GD)は、コンデンサ57として表される。Eモードデバイス22の内蔵ボディダイオードはダイオード37によって表される。Eモードデバイス22のソース接続の寄生インダクタンスはインダクタ54として表され、Dモードデバイス23のゲート接続の寄生インダクタンスはインダクタ53として表される。
図4の回路が
図3のパッケージ200と同様のコンポーネントパッケージ内に実装される場合には、インダクタ54は、Eモードデバイス122のソース131をパッケージベース310に接続するワイヤ(たとえば
図3のワイヤ42)のインダクタンスを表し、
図4の破線56によって囲まれる領域は
図3のパッケージベース310を表す。パッケージソースリード311は、回路グランド55に接続されてもよい。Dモードデバイス23のゲート電極35がEモードデバイス22のソース電極31に接続するために、Dモードデバイス23のゲート電極35をパッケージソースリード11に(またはパッケージベースに)接続するために外部ゲートワイヤコネクタが用いられる。このゲートワイヤコネクタにより、Dモードデバイス23のゲート電極35とパッケージソースリード11(またはパッケージベース)との間に実質的なインダクタンス(インダクタ53によって表す)が発生する。寄生インダクタンス53および54は、デバイスのターンオンおよびターンオフ時間をスローダウンさせ、スッチング損失を増加させる可能性があり、デバイスの性能を悪化させる。
【0039】
図2Aに示すハイブリッドデバイス100において、Dモードデバイス123のゲート電極135は、ビアホール38によって基板14に電気的に接続されている。したがって、
図3に示すようにデバイス100がパッケージ内に実装される場合には、ゲート135が導電性基板14に電気的に接続され、かつ導電性基板14がパッケージベース310に直接的に取り付けられる(したがって電気的に接続されている)ので、Dモードデバイス123のゲート135とパッケージベース310との間の外部ワイヤコネクタは不要である。さらに、ビアホール38を通る基板14へのゲート接続の寄生インダクタンスは、
図1のデバイスについて必要となる外部接続に対応する寄生インダクタンス53に比べて実質的に低減される。結果として、コンポーネントパッケージ200内にケーシングされたデバイス100は、パッケージ100内にケーシングされた
図1のデバイスに比較すると、スイッチング特性の実質的な改善、オン抵抗の劣化低減、および、実質的により低いパッケージングコストを示す。スイッチング特性改善のいくつかは、以下にさらに詳細に説明する。
【0040】
図5A、
図5Bおよび
図5Cは、ハーフブリッジ降圧コンバータ回路を動作させるそれぞれ異なるモードを3つ示す。ハーフブリッジ回路は、高電圧ノード91に接続された高位側スイッチ82と、グランドノード92に接続された低位側スイッチ83とを含む。インダクタ93が、ノード94(低位側スイッチ83と高位側スイッチ8との間)と回路の出力ノードV
OUTとの間に接続される。第1コンデンサ86が、高電圧ノード91とDCグランド92との間に接続される。第2コンデンサ87が、回路の出力ノードV
OUTとDCグランド92との間に接続される。低位側スイッチ83は、降圧コンバータ回路の効率を改善する特性を有するように選択される。具体的には、スイッチ83は、低いオン抵抗(R
DS(ON))および低いスイッチング損失を有するべきである。スイッチ83は、たとえば
図1のハイブリッドデバイスであってもよい。または、スイッチ83は、
図3のコンポーネントパッケージ200内に組み立てられた
図2A~
図2Cのハイブリッドデバイス100として実装されてもよい。
【0041】
図5A~
図5Cの降圧コンバータハーフブリッジは、以下のように動作可能である:
図5Aを参照して、第1動作モードにおいて、高位側スイッチ82のゲートがオンにバイアスされ(すなわちV
GS82>V
TH)、低位側スイッチ83のゲートがオフにバイアスされる(すなわちV
GS83<V
TH)。電流97は、高電圧ノード91から順方向に高位側スイッチ83を通ってノード94へと流れる。この電流は低位側スイッチ83によってブロックされ、電流経路97によって示すようにインダクタ93を通って流れる。デバイスが第1動作モードにおいて動作している間に、高位側スイッチ82のゲート・ソース電圧が低またはオフに切り替えられ(すなわちV
GS82<V
TH)、スイッチ82および83の双方のゲートがオフにバイアスされた場合には、降圧コンバータは
図5Bに示す第2動作モードに切り替わる。電流はインダクタ93を通って流れ続けなければならない。
【0042】
図6Aは、
図5Aおよび
図5Bに示す第1動作モードと第2動作モードとの間の遷移時間T
1中の、低位側スイッチ83を通る電流経路を示す。遷移時間T
1中に、ノード94の電圧(
図5A~
図5Cに示す)が負になるまで低下し、
図6Aの電流経路I
ACによって示されるように、変位電流がDモードデバイス23の寄生ゲート・ドレインコンデンサ57を通って流れる。ノード94の電圧が十分に負になると、Eモードデバイス22の内蔵ボディダイオード37がオンに切り替わり、スイッチ83が逆導通状態となる。これは逆導通モード(すなわちフリーホイールダイオードモード)と呼ばれる。遷移時間T
1の終点において、スイッチ83はオフから逆導通状態に遷移し、電流は、Dモードデバイス22のゲート・ドレインコンデンサ57を通る変位電流から、Eモードデバイス22の内蔵ボディダイオード37およびDモードデバイス23のチャネルを通って流れる逆DC電流(
図6Bの電流経路I
DCによって示す)へと、急激に遷移する。インダクタ93を通る動作電流が高い場合には、電流経路遷移はDモードデバイス23のゲートにわたって電圧スパイクを起こし、リンギングする場合がある。この電圧スパイクは、Dモードデバイス23のゲート誘電体18に電荷を注入し、Dモードデバイスのオン抵抗(R
ON)の増加につながり、これによってハイブリッドデバイスのオン抵抗を増加させる。インダクタ93内の電流は連続的でなければならないので、スイッチ83のゲートがオフにバイアスされている場合でも、
図5Bの回路にはスイッチ83の逆導通が必要である。
【0043】
図5Cに戻り、
図5Bに示すように高位側82のゲートがオフに切り替わった後、低位側スイッチ83がオンに切り替わり(すなわちV
GS83>V
TH)、降圧コンバータを第3動作モードで動作させ、電流は第2モードと同じ方向(逆方向)に低位側スイッチ83を通って流れ続け、ただし低位側スイッチ83はオンにバイアスされる。第3動作モードの間に低位側スイッチをオンにバイアスすることにより、Eモードデバイス22にかかる逆方向の電圧降下は、第2動作モードに比べて低減され、第2動作モードに比べて高い効率が可能となる。高電圧レールが偶発的にグランドに短絡することを防止するために、高位側スイッチ82をオフにする時刻と低位側スイッチ83をオンにする時刻との間に十分な不感時間が必要である。
【0044】
低位側スイッチ83の、逆導通モード中の性能を決定するために、デバイスおよび関連するパッケージの設計は重要な要因になり得る。デバイス100をパッケージ200内に低位側デバイス83として実装することによって、また、これによってDモードデバイス23とパッケージベースとの外部ゲートワイヤ接続を不要とすることによって(Dモードデバイスゲートはビアホール38を通してパッケージベースに接続されているので)、パッケージされたデバイス内の寄生インダクタンス(インダクタ53によって示す)が低減される。これによって、第1動作モードと第2動作モードとの間の電流経路遷移中にDモードデバイス23のゲートが受ける電圧スパイクおよびリンギングが低減される。驚くべきことに、非常に高い逆DC電流で動作する場合に、外部ゲートワイヤを有する従来のパッケージに比べ、デバイスのオン抵抗の劣化(すなわち増大)が実質的に低減されるということが示された。この結果は予想外であった。デバイス100がパッケージ200内に低位側スイッチ83として実装される場合、スイッチ83は、第2動作モードおよび第3動作モード中に、オン抵抗の増大をほとんど示さずに、50Aより大きい(または、さらに70Aより大きい)逆DC電流を伴って動作可能である。たとえば、オン抵抗の増大は5%未満となり得る。外部ゲートワイヤ接続を有する従来のパッケージは、典型的には、30A以下の逆DC電流で動作している間でも、30%より大きい(またはさらに大きい)オン抵抗の増大を示す場合がある。低位側スイッチ83は、第1動作モードの間、600Vより大きい電圧をブロックすることができる。加えて、高位側スイッチ82は、低位側スイッチ83と同じタイプのスイッチであってもよいが、同じ急激な電流遷移条件を受けないので、それほど厳格な要件で設計されなくともよい。
【0045】
図7A、7Bおよび7Cは、ハーフブリッジ昇圧コンバータ回路を動作する3つの異なるモードをそれぞれ示す。ハーフブリッジ回路は、高電圧ノード91に接続された高位側スイッチ84と、グランドノード92に接続された低位側スイッチ85とを含む。インダクタ101が、ノード102(低位側スイッチ85と高位側スイッチ84との間)と、回路の入力ノードVINとの間に接続される。第1コンデンサ88が、入力ノードVINとDCグランド92との間に接続される。第2コンデンサ87が、高電圧ノード91とDCグランド92との間に接続される。ここで、降圧コンバータとは異なり、昇圧コンバータ回路の効率を改善するために、高位側スイッチ84は注意深く選択する必要がある。とくに、スイッチ84は、低いオン抵抗(R
DS(ON))および低いスイッチング損失を有するべきである。スイッチ85は、たとえば
図1のハイブリッドデバイスであってもよい。または、スイッチ85は、
図3のコンポーネントパッケージ200内に組み立てられる
図2A~
図2Cのハイブリッドデバイス100として実装されてもよい。
【0046】
図7A~
図7Cの昇圧コンバータハーフブリッジは、以下のように動作し得る:
図7Aを参照して、第1動作モードにおいて、高位側スイッチ84のゲートはオフにバイアスされ(すなわちV
GS84<V
TH)、低位側スイッチ85のゲートはオンにバイアスされる(すなわちV
GS85<V
TH)。電流は、電流経路103によって示すように、インダクタ101を通ってノード102へ流れ、また、低位側スイッチ85を順方向に通ってグランド92へと流れる。デバイスが第1動作モードで動作している間に、低位側スイッチ85のゲート・ソース電圧がオフの低位に(すなわちV
GS85<V
TH)に切り替わり、スイッチ84および85双方のゲートがオフにバイアスされた場合、昇圧コンバータは
図7Bに示す第2動作モードに切り替わる。電流はインダクタ101を通って流れ続けなければならない。
【0047】
第1動作モードと第2動作モードの間の遷移中に高位側スイッチ84を通る電流経路は、
図6Aおよび
図6Bで説明した電流経路と同様であり得る。遷移中、ノード102の電圧は上昇し、変位電流がスイッチ84に用いられるDモードデバイスの寄生ゲート・ドレインコンデンサを通って流れる。ノード102の電圧が高電圧ノード91より十分に高くなると、スイッチ84に用いられるEモードデバイスの内蔵ボディダイオードがオンに切り替わり、スイッチ84が逆導通状態となる。オフから逆導通への遷移中の高位側スイッチ84の振る舞いおよび影響は、
図5A~
図5Cの降圧コンバータおよび
図6Aおよび
図6Bの低位側スイッチ83において説明したものと同様である。
【0048】
図7Cに戻り、
図7Bに示すように低位側スイッチ85のゲートがオフに切り替わった後、高位側スイッチ84のゲートがオンに切り替わり(すなわちV
GS84>V
TH)、昇圧コンバータを第3動作モードで動作させ、電流は第2モードと同じ方向に高位側スイッチ84を通って流れ続ける。第3動作モードの間に高位側スイッチをオンにバイアスすることにより、スイッチ84のEモードデバイスにかかる逆方向の電圧降下は低減され、第2動作モードに比べて高い効率が可能となる。高電圧レールが偶発的にグランドに短絡することを防止するために、低位側スイッチ85をオフにする時刻と高位側スイッチ84をオンにする時刻との間に十分な不感時間が必要である。ハイブリッドパッケージコンポーネント200が高位側スイッチ84として用いられる場合、
図7A~
図7Cの昇圧コンバータ回路は、
図5A~
図5Cの低位側スイッチ83に関して説明したものと同様の性能特性をサポート可能である。加えて、低位側スイッチ85は、高位側スイッチ84と同じタイプのスイッチであってもよいが、同じ急激な電流遷移条件を受けないので、それほど厳格な要件で設計されなくともよい。
【0049】
図8を参照して、ハイブリッドIII-Nデバイスの別の構成を示す。
図8のデバイス800は、
図2Aのデバイス100と同様であるが、ただし、III-N材料構造24が、導電性のケイ素基板(
図2Aに示す)に代えて、絶縁基板814(たとえばサファイア基板)上または準絶縁基板(抵抗率≧1E5Ω・cm。たとえば炭化ケイ素基板)上に製造される点を除く。
図2Aのパッケージされたデバイス100について上に説明したように、導電性基板14は0Vにグランドされ、結果として、バッファ層15にゲート・ドレイン電圧の全体がかかっている。これは、III-Nバッファ層15の注意深い設計を必要とし、これによって、デバイス100の高い降伏電圧が制限される。デバイス800内にサファイア(または他の絶縁性または準絶縁性の)基板を用いることにより、デバイス800の降伏電圧はデバイス100のそれより実質的に大きくなり得る。たとえば、デバイス800の降伏電圧は1200Vより大きく、2400Vより大きくなり得、特定の設計実装下では10kVより大きくなり得る。典型的なサファイア基板は、~700μmの公称厚さを有する。しかしながら、基板814は基板の熱性能を改善するために薄くすることができる。たとえば、絶縁基板814は200μm未満の厚さを有してもよい。
【0050】
デバイス800において、ゲートビアホール838はIII-N材料構造24の厚さ全体および絶縁基板814の厚さ全体を通して延び、Dモードデバイス123のゲート135が背面金属層842に電気的に接続可能となっている。背面金属層842は、デバイス100の背面金属層42と同様の特性(たとえば導電率)を有してもよいし、代替的に、層842は異なっていてもよい。たとえば、背面金属層842は、厚さが6μmより大きいNi層またはCu層のようなめっきされた材料であってもよい。ゲートビアホール838は、デバイスにおいてゲートビアホール38と同様の領域(たとえばデバイスの活性領域の外側)に形成されてもよい。ゲートビアホール838は、複数の異なる製造技法を用いて生成可能である。たとえば、ゲートビアホール838は、エッチング(たとえばドライエッチングまたはウェットエッチング)またはレーザーアブレーション(または双方の組み合わせ)によって、III-N料構造24および基板814を通って形成されてもよく、基板の、材料構造24とは反対側を通って孔を形成する。
【0051】
代替的に、ゲートビアホール838は、III-N材料構造24の厚さ全体を通ってエッチングし、かつ、基板814を通って部分的にエッチングする(たとえば700um基板内に200umエッチングする)ことによって形成されてもよい。次に、ゲートビアホール838が、スパッタ堆積またはめっきによって、金属スタック(たとえばAl、NiまたはCu等)で充填されてもよい。金属堆積工程に続いて、基板の、III-N材料スタックとは反対側を研磨することによって、基板838が200um未満の厚さにまで薄くされ、基板の背面上に金属スタックを露出させてもよい。基板薄化の後に、ゲートビアホール内に形成されたゲート金属スタックに対する電気的接続が形成される位置に、背面金属層842が堆積されてもよい。
【0052】
ゲートビアホール838の形成の前に、または後に、背面金属層842が、基板の、III-N材料層24とは反対側上に形成されてもよい。ゲートビアホール838のエッチングの後に、金属堆積工程(基板814の背面上に、および、背面側からゲートビアホール838内に少なくとも部分的に、金属スタックがIII-Nデバイス123のゲート金属135と接触する位置に、金属スタックを形成する)が続いてもよい。
【0053】
単一の処理工程において、ゲートビアホール838がデバイスの前面側からめっきされ、同時に、背面金属層842がデバイスの背面側からめっきされるように、デバイスの前面側およびデバイスの背面側は、同時に両面Cuめっきすることができる。めっきされたCu層は、デバイスの両面上で10μm以上の厚さを有してもよい。ビアホール838(絶縁基板814の厚さ全体を通して延びる)により、デバイス800は
図3のデバイス200のパッケージと同様のパッケージ内に実装可能となり、外部ゲートワイヤコネクタを用いることなく、DモードIII-Nデバイス123のゲート135がパッケージベース310に電気的に接続可能となる。
【0054】
図9を参照して、ハイブリッドIII-Nデバイスの別の実施形態を示す。
図9のデバイス900は、
図2Aのデバイス100と同様であるが、ただし、デバイス100の「ダイオンダイ」構成と対比して、低電圧Eモードデバイス122および高電圧DモードIII-Nデバイス123が「並んだ」構成でデバイス900内にパッケージされる点を除く。「ダイオンダイ」(たとえば
図2Aのデバイス100)について上に説明したように、Eモードデバイス122がDモードデバイス123のソースパッド137上に直接的に取り付けられ、Dモードデバイスのソース電極134をEモードデバイスのFETドレイン電極133に接続するための外部ワイヤコネクタが不要となる。しかしながら,用途によっては、DモードIII-Nデバイス123は小さすぎて、EモードFET122をDモードデバイスの上面側上のソースパッド137に直接的に取り付けるのに十分な面積がなくなる可能性がある。これらのサイズ制限がある用途については、ハイブリッドデバイスは、
図9に示すような「並んだ」構成に配置されてもよい。
【0055】
Eモードデバイス122とパッケージベース310との間に、シム291が取り付けられる。シムは、セラミックまたは絶縁層297(たとえばAlN)を含み、絶縁層297の両側に金属層298および299を有してもよい。金属層299は接着層として機能し、これによって、はんだ、はんだペースト、導電性エポキシ、導電性テープまたは他の適切な取り付け方法(デバイスパッケージベース310へのシム291の高品質な機械的および熱的接続を可能にするもの)で、シムをデバイスパッケージベース310に取り付けられるようにする。デバイス122のドレイン電極133は、はんだ、はんだペースト、導電性エポキシ、導電性テープまたは他の適切な取り付け方法で、絶縁シム291の上面側上の金属層298に取り付けられる。III-Nデバイス123のソース電極134は、ソース電極134から絶縁シム291の上メタライズ表面298へと延びるワイヤコネクタ44によって、Eモードデバイス122のドレイン電極133に電気的に接続される。これによって、ソース電極134とFETドレイン電極133とが電気的に接続される。デバイス900の、他のワイヤ接続および構成は、
図2Aのデバイス100のそれらと同様であってもよい。デバイス900は、より小さい/安価なIII-N HEMTの使用が可能になり得るという点において、デバイス100に対して利点を有し得る。しかしながら、デバイス900はまた、デバイス100に比べて増大したパッケージングの複雑さを要する可能性がある。
【0056】
図10に、別のハイブリッドIII-Nデバイス1000を示す。
図10のデバイス1000は、
図9のデバイス900と同様であるが、ただし、低電圧Eモードデバイスについて代替的な設計が実装され、これによって、EモードデバイスおよびDモードデバイスが、セラミックシムを用いることなく「並んだ」構成でパッケージ可能となった点を除く。典型的なケイ素MOSFET(たとえばデバイス900のFET122等)は、FETドレイン133が半導体ボディ25の底面側上にあり、FETゲート132およびFETソース131が半導体ボディ25の上面側上にあるように製造される、垂直型デバイスである。しかしながら、デバイス1000は、代替的な半導体ボディ125を有するケイ素MOSFETを用いて実装され、FETソース電極231が半導体ボディ125の一面(たとえば底面)側上にあり、FETゲート電極232およびFETドレイン電極233がいずれも、半導体ボディ125の、FETソース電極231とは反対の、同一面(たとえば上面)側上にあり、反転EモードFET124を形成する。このように、FET124は、デバイス900に含まれる絶縁シム291およびソースコネクタ42を不要とするために、デバイス1000内に実装し得る。
【0057】
図10に示すように、反転EモードFET124のソース電極231は、はんだ、はんだペースト、導電性エポキシ、導電性テープまたは他の適切な取り付け方法(FET124とパッケージベース310との間の高品質な機械的、熱的および電気的接続を可能にするもの)で、導電性構造的パッケージベース310に直接的に取り付けられ、電気的に接続され得る。III-Nデバイス123のソース電極134は、ワイヤコネクタ144でEモード124のドレイン電極233に接続される。デバイス1000は、
図9に示すいくつかのパッケージングコンポーネント(絶縁性シム291およびソースコネクタ42を含む)を不要とすることによって、パッケージングの複雑さおよびコストが低減されるという点において、デバイス900に対比して利点を有し得る。
【0058】
いくつかの実施形態を説明した。しかしながら、本明細書に記載される技術およびデバイスの精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を施すことができるということが理解される。したがって、他の実装も添付の特許請求の範囲内である。