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特開2024-152933信号処理装置、信号処理システム、及び信号処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152933
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】信号処理装置、信号処理システム、及び信号処理方法
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G10H1/00 102Z
G10H1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024140863
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2022561714の分割
【原出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】藤島 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】前澤 陽
(57)【要約】
【課題】利用者が目的のタイミングに合わせて適切に動作を行うことを可能とする。
【解決手段】信号処理装置は、音データを含む第1の時系列データと、前記第1の時系列データに基づいて生成され、人の動作タイミングを示すデータを少なくとも含む第2の時系列データとを受信する受信部と、前記第2の時系列データに基づいて、前記動作タイミングを知らせる第3の時系列データを生成する生成部と、前記第1の時系列データにおける前記動作タイミングと、前記第3の時系列データで知らされる前記動作タイミングとが一致するように、前記第1の時系列データに基づく出力信号と、前記第3の時系列データに基づく出力信号とを同期させて出力する処理部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音データを含む第1の時系列データと、前記第1の時系列データに基づいて生成され、人の動作タイミングを示すデータを少なくとも含む第2の時系列データとを受信する受信部と、
前記第2の時系列データに基づいて、前記動作タイミングを知らせる第3の時系列データを生成する生成部と、
前記第1の時系列データにおける前記動作タイミングと、前記第3の時系列データで知らされる前記動作タイミングとが一致するように、前記第1の時系列データに基づく出力信号と、前記第3の時系列データに基づく出力信号とを同期させて出力する処理部と
を備える信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
演奏データなどの時系列データに合わせて、例えば、楽器を演奏して合奏を行うなどの動作を利用者が行うことがある。また、このような合奏を効率的に行うための技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-145221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、演奏データなどの時系列データに合わせて、例えば、楽器を演奏して合奏を行う際に、演奏の開始タイミングなどの動作タイミングがわからずに、適切なタイミングで演奏などの動作を行うことが困難な場合があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、利用者が目的のタイミングに合わせて適切に動作を行うことができる信号処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、音データを含む第1の時系列データと、前記第1の時系列データに基づいて生成され、人の動作タイミングを示すデータを少なくとも含む第2の時系列データとを受信する受信部と、前記第2の時系列データに基づいて、前記動作タイミングを知らせる第3の時系列データを生成する生成部と、前記第1の時系列データにおける前記動作タイミングと、前記第3の時系列データで知らされる前記動作タイミングとが一致するように、前記第1の時系列データに基づく出力信号と、前記第3の時系列データに基づく出力信号とを同期させて出力する処理部とを備える信号処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者が目的のタイミングに合わせて適切に動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態による信号処理システムの一例を示すブロック図である。
図2】指揮者の映像の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態による信号処理システムの動作の一例を示す図である。
図4】第2の実施形態による信号処理システムの一例を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態による信号処理システムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態による信号処理システム、信号処理装置、及び信号処理方法について、図面を参照して説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による信号処理システム1を示すブロック図である。
信号処理システム1は、信号処理装置10と、送信装置20とを備える。
信号処理装置10と送信装置20とは、ネットワークNW1を介して接続可能である。
【0011】
送信装置20は、音データを含む第1の時系列データに基づいて、人の動作タイミングを示すデータを少なくとも含む第2の時系列データを生成し、第1の時系列データと第2の時系列データとを送信する。第1の時系列データは、例えば、演奏などの演奏データ、体操やダンスの映像データなどである。本実施形態では、第1の時系列データが、演奏データである場合について説明する。
【0012】
また、第2の時系列データは、第1の時系列データに基づいて生成されるデータである。第2の時系列データは、例えば、演奏データの拍点の時刻情報を含む拍データなどであり、第1の時系列データよりもデータ量が少ない時系列データである。本実施形態では、第2の時系列データが、拍データである場合について説明する。
また、人の動作タイミングとは、第1の時系列データに基づく出力信号(例えば、演奏データに基づく演奏の音信号)に合わせて、利用者U1が行う動作(例えば、楽器の演奏や歌を歌うなどの動作)のタイミングを示している。動作タイミングには、例えば、演奏の開始タイミング(全体の開始、ソロパートの開始、等)、演奏の終了タイミングなどが含まれる。
【0013】
送信装置20は、NW(ネットワーク)通信部21と、入力部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部40とを備える。
NW通信部21は、ネットワークNW1に接続可能なインターフェース部であり、ネットワークNW1を介して信号処理装置10との間の通信を行う。
【0014】
入力部22は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力装置であり、各種入力を利用者から受け付ける。入力部22は、例えば、演奏データの選択や指定など、送信装置20を使用する際の各種操作に用いられる。
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置であり、演奏データの映像や拍データ、各種操作画面の画像などを表示する。
【0015】
記憶部24は、送信装置20が利用する各種情報を記憶する。記憶部24は、演奏データ記憶部241と、拍データ記憶部242とを備える。
【0016】
演奏データ記憶部241は、拍データを生成する元データとなる演奏データを記憶する。演奏データは、例えば、楽器の演奏や歌声などの音データである。
【0017】
拍データ記憶部242は、演奏データの拍点の時刻を示す拍データを記憶する。拍データは、演奏データに対応するデータである。なお、拍データには、動作の強弱(例えば、演奏の強弱)を示すデータを含んでもよい。
【0018】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、送信装置20を制御する。制御部40は、拍データ生成部41と、送信処理部42とを備える。
【0019】
拍データ生成部41は、演奏データに基づいて、拍データを生成する。拍データ生成部41は、生成した拍データを、拍データ記憶部242に記憶させる。なお、拍データは、演奏データに基づいて生成される圧縮データともいえる。
【0020】
送信処理部42は、演奏データ及び拍データを、信号処理装置10に送信する。送信処理部42は、例えば、NW通信部21及びネットワークを介して、演奏データ及び拍データを、信号処理装置10に送信する。送信処理部42は、演奏データ送信部421と、拍データ送信部422とを備える。
【0021】
演奏データ送信部421は、演奏データを、NW通信部21を介して、信号処理装置10に送信する。
拍データ送信部422は、拍データを、NW通信部21を介して、信号処理装置10に送信する。
【0022】
信号処理装置10は、ネットワークNW1に接続して、送信装置20と通信可能な受信装置である。信号処理装置10は、ネットワークNW1を介して、送信装置20から第1の時系列データ及び第2の時系列データを受信する。信号処理装置10は、第2の時系列データに基づいて動作タイミングを知らせる第3の時系列データを生成する。信号処理装置10は、第1の時系列データにおける動作タイミングと、第3の時系列データの動作タイミングが一致するように、第1の時系列データに基づく出力信号と、第3の時系列データに基づく出力信号とを同期させて出力する。本実施形態では、第3の時系列データが、映像データである場合について説明する。
信号処理装置10は、演奏データ及び拍データを受信する。信号処理装置10は、拍データに基づいて、指揮者の映像を示す映像データを生成し、演奏データに基づく音信号に合わせて、指揮者の映像を出力する。
信号処理装置10は、NW通信部11と、入力部12と、表示部13と、スピーカ14と、記憶部15と、制御部30とを備える。
【0023】
NW通信部11は、NW通信部21と同様の構成及び機能を有している。NW通信部11は、ネットワークNW1を介して送信装置20との間の通信を行う。
【0024】
入力部12及び表示部13は、入力部22及び表示部23と同様の構成及び機能を有している。入力部12は、例えば、指揮者の映像データを生成するための各種設定の選択や指定など、信号処理装置10を使用する際の各種操作に用いられる。また、表示部13は、例えば、指揮者の映像、各種操作画面の画像などを表示する。
【0025】
スピーカ14は、信号処理装置10が用いる各種音信号を出力する。スピーカ14は、例えば、演奏データに基づく音信号を出力する。
【0026】
記憶部15は、信号処理装置10が利用する各種情報を記憶する。記憶部15は、演奏データ記憶部151と、拍データ記憶部152と、生成用情報記憶部153と、映像データ記憶部154とを備える。
【0027】
演奏データ記憶部151は、送信装置20から受信した演奏データを記憶する。
拍データ記憶部152は、送信装置20から受信した拍データを記憶する。
【0028】
生成用情報記憶部153は、映像データを生成する際に用いるデータを記憶する。生成用情報記憶部153は、例えば、指揮者の映像を示す映像データを生成するために、予め機械学習を用いて構築された学習結果である学習済モデルや、映像データを生成する際の各種設定情報などを記憶する。なお、学習済モデルは、入力を第2の時系列データとしたときに第3の時系列データを出力するモデルである。本実施形態において、学習済モデルは、拍データを入力すると指揮者の映像を示す映像データを出力するモデルである。
【0029】
映像データ記憶部154は、演奏などの動作タイミングを知らせる映像データを記憶する。また、指揮者の映像データは、実際に撮像された指揮者の映像を含むものでもよいし、イラストやコンピュータグラフィックによるアニメーションであってもよい。また、指揮者の映像データは、指揮棒及び手の動きを表示するようなものであってもよい。
【0030】
制御部30は、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、信号処理装置10を制御する。制御部30は、受信処理部31と、映像データ生成部32と、出力処理部33とを備える。
【0031】
受信処理部31は、受信部の一例である。受信処理部31は、ネットワークNW1及びNW通信部11を介して、送信装置20から演奏データと拍データとを受信する。受信処理部31は、演奏データ受信部311と、拍データ受信部312とを備える。
【0032】
演奏データ受信部311は、ネットワークNW1を介して、送信装置20から送信された演奏データを受信する。演奏データ受信部311は、受信した演奏データを演奏データ記憶部151に記憶させる。
【0033】
拍データ受信部312は、ネットワークNW1を介して、送信装置20から送信された拍データを受信する。拍データ受信部312は、受信した拍データを拍データ記憶部152に記憶させる。
【0034】
映像データ生成部32は生成部の一例である。映像データ生成部32は、拍データに基づいて、動作タイミングを知らせる指揮者の映像データを生成する。映像データ生成部32は、拍データ記憶部152が記憶する拍データを取得し、取得した拍データと、生成用情報記憶部153が記憶するデータとに基づいて、図2に示すような映像M1の指揮者の映像データを生成する。例えば、映像データ生成部32は、生成用情報記憶部153が記憶する学習モデル情報を用いて、機械学習により、拍データに基づいて、指揮者の映像データを生成する。
【0035】
なお、映像データ生成部32は、拍データに動作の強弱(例えば、演奏の強弱)を示すデータが含まれる場合に、動作の強弱を指示するデータを含む指揮者の映像データを生成する。
映像データ生成部32は、生成した指揮者の映像データを、映像データ記憶部154に記憶させる。
【0036】
出力処理部33は、処理部の一例である。出力処理部33は、演奏データにおける動作タイミングと、指揮者の映像データにおける動作タイミングとが一致するように、演奏データに基づく演奏音信号と、指揮者の映像データに基づく指揮者の映像信号とを同期させて出力する。出力処理部33は、演奏データに基づく演奏音信号を、スピーカ14から出力させ、当該音信号に同期させて、指揮者の映像信号を表示部13から出力させる(図2の指揮者の映像M1を参照)。
【0037】
次に、図3を参照して、本実施形態による信号処理システム1の動作について説明する。
図3は、本実施形態による信号処理システム1の動作の一例を示す図である。
まず、送信装置20は、演奏データに対して、拍データを生成する(ステップS101)。拍データ生成部41は、入力部22の操作によって指定された演奏データを、演奏データ記憶部241から取得する。拍データ生成部41は、演奏データに基づいて、拍点の時刻情報を含む拍データを生成する。拍データ生成部41は、生成した拍データを、拍データ記憶部242に記憶させる。
【0038】
なお、拍データ生成部41は、演奏データ及び生成した拍データとを、表示部23に表示する等、送信装置20の利用者が観測できる状態にして、拍データを確認させ、利用者の指示に基づいて、拍データを調整、又は修正するようにしてもよい。
【0039】
次に、送信装置20は、演奏データを信号処理装置10に送信する(ステップS102)。演奏データ送信部421は、演奏データ記憶部241から取得した演奏データを、信号処理装置10に送信する。これにより、演奏データ受信部311は、送信装置20から演奏データを受信し、受信した演奏データを、演奏データ記憶部151に記憶させる。
【0040】
次に、送信装置20は、拍データを信号処理装置10に送信する(ステップS103)。拍データ送信部422は、拍データを信号処理装置10に送信する。これにより、拍データ受信部312は、送信装置20から拍データを受信し、受信した拍データを、拍データ記憶部152に記憶させる。
【0041】
次に、信号処理装置10は、映像データの選択を受け付ける(ステップS104)。映像データ生成部32は、入力部12を介して、利用者U1による映像データの選択(設定の指定など)を受け付ける。信号処理装置10は、例えば、演奏のタイミングのみに対応する指揮者の映像データの指定や、動作の強弱の指示を含めた指揮者の映像データの指定、等を受け付けてもよい。
【0042】
次に、信号処理装置10は、拍データに基づいて、指揮者の映像を示す映像データを生成する(ステップS105)。映像データ生成部32は、利用者U1による映像データの選択(設定の指定など)に基づいて、拍データと、生成用情報記憶部153が記憶する機械学習の学習結果である学習済モデルから、映像データを生成する。映像データ生成部32は、生成した映像データを、映像データ記憶部154に記憶させる。
【0043】
次に、信号処理装置10は、映像データと、演奏データとを同期させて出力する(ステップS106)。出力処理部33は、演奏データに基づく音信号を、スピーカ14から出力させる。また、出力処理部33は、音信号に同期させて、図2の映像M1のような、映像データに基づく指揮者の映像信号を、表示部13から出力させる。
【0044】
利用者U1は、信号処理装置10が出力する指揮者の映像に合わせて、例えば、楽器の演奏や歌を歌うなどの動作を行う。これにより、利用者U1は、演奏データに基づく音信号に合わせて、楽器の演奏などの動作を適切に行うことができる。
【0045】
図3に示す例では、信号処理装置10は、ステップS105において、拍データに対応する指揮者を示す映像データを生成して、ステップS106において、映像データに基づく指揮者の映像信号を出力している。これは、様々な方法で実現できる。信号処理装置10は、例えば、拍データ全体に対して、ステップS106を1回行ってもよい。また、信号処理装置10は、ステップS105及びステップS106の処理を繰り返して実現してもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態による信号処理装置10は、受信処理部31と、映像データ生成部32と、出力処理部33とを備える。受信処理部31は、音データを含む第1の時系列データと、第1の時系列データに基づいて生成され、人の動作タイミングを示すデータを少なくとも含む第2の時系列データとを受信する。映像データ生成部32は、第2の時系列データに基づいて、動作タイミングを知らせる第3の時系列データを生成する。出力処理部33は、第1の時系列データにおける動作タイミングと、第3の時系列データで知らされる動作タイミングとが一致するように、第1の時系列データに基づく出力信号と、第3の時系列データに基づく出力信号とを同期させて出力する。
【0047】
これにより、本実施形態による信号処理装置10では、第3の時系列データに基づく出力信号と、第1の時系列データに基づく出力信号とを同期して出力するため、利用者U1は、動作タイミングを適切に認識でき、目的のタイミングに合わせて動作を行うことができる。
【0048】
また、本実施形態による信号処理装置10は、第1の時系列データよりもデータ量が少ない拍データを、送信装置20から受信するため、通信データ量を低減でき、第3の時系列データに基づく出力信号の遅延を低減することができる。
【0049】
また、本実施形態では、第1の時系列データは、演奏データであり、動作タイミングには、動作開始タイミングが含まれる。また、第2の時系列データは、動作開始タイミングを少なくとも含む拍を示す拍データである。映像データ生成部32は、拍データに基づいて、映像データを、第3の時系列データとして生成する。出力処理部33は、映像データに基づく映像信号を、演奏データに基づく出力信号に同期させて出力する。
【0050】
これにより、本実施形態による信号処理装置10では、利用者U1は、例えば、演奏の開始タイミングを適切に認識することができる。そのため、利用者U1は、演奏データに基づく出力信号にタイミングを合わせて、適切に楽器の演奏や歌を歌う、等を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、第3の時系列データの映像データは、指揮者の映像データである。
指揮者は種々の動作タイミングを伝える役割を有していることから、指揮者の映像を用いることで、動作の開始タイミングであることをより認識し易くすることができる。よって、利用者U1は、指揮者の映像データに基づく映像信号を視認することで、送信装置20から受信した演奏データのタイミングに合わせて、適切に、楽器などの演奏を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態では、映像データ生成部32は、機械学習により、拍データに基づいて、指揮者の映像データを生成する。
これにより、本実施形態による信号処理装置10は、拍データから、指揮者の映像データを容易に作成することができる。
【0053】
また、本実施形態では、受信処理部31は、第1の時系列データよりデータ量が小さい第2の時系列データを受信する。映像データ生成部32は、第2の時系列データをデコードして、第3の時系列データを生成する。
【0054】
これにより、本実施形態による信号処理装置10は、第1の時系列データよりデータ量が小さい第2の時系列データを受信するため、通信データ量が少なくなり、第1の時系列データの出力に先立って第3の時系列データを生成し出力する。したがって、第1の時系列データに基づく音信号の出力に遅れることなく第3の時系列データに基づく信号を出力することができる。
【0055】
また、本実施形態では、第2の時系列データには、動作の拍を示す拍点データと、動作の強弱を示すデータとが含まれる。映像データ生成部32は、動作の強弱を指示するデータを含む第3の時系列データを生成する。
【0056】
これにより、本実施形態による信号処理装置10では、利用者U1は、動作の強弱のタイミングを認識することができ、第1の時系列データに合わせて、動作の強弱を含めたより適切な動作を行うことができる。すなわち、本実施形態による信号処理装置10では、利用者U1が、例えば、演奏データの出力に合わせて、強弱を含めた表現力の豊かな演奏を行うことできる。
【0057】
また、本実施形態による信号処理システム1は、データを含む第1の時系列データに基づいて、人の動作タイミングを示すデータを少なくとも含む第2の時系列データを生成し、第1の時系列データと第2の時系列データとを送信する送信装置20と、信号処理装置10とを備える。
これにより、本実施形態による信号処理システム1は、信号処理装置10と同様の効果を奏し、利用者U1が目的のタイミングに合わせて適切に動作を行うことができる。
【0058】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による信号処理システム1a及び信号処理装置10aについて説明する。
【0059】
図4は、本実施形態による信号処理システム1aの一例を示すブロック図である。
信号処理システム1aは、複数の信号処理装置10a(10a-1、10a-2、・・・)と、送信装置20aとを備える。複数の信号処理装置10aと送信装置20aとは、ネットワークNW1を介して接続可能である。
【0060】
本実施形態では、送信装置20aが拍データを複数の信号処理装置10aに送信し、複数の信号処理装置10aそれぞれが、拍データに基づく、指揮者の映像を出力することで、複数の利用者の間で合奏を行う場合の一例について説明する。
なお、図4において、図1と同一の構成には同一の符号を付与して、その説明を省略する。また、図4において、信号処理装置10a-1、信号処理装置10a-2、・・・のそれぞれは、同様の構成であり、信号処理システム1aが備える任意の信号処理装置を示す場合、又は、特に区別しない場合には、信号処理装置10aとして説明する。
【0061】
送信装置20aは、基本的な機能が送信装置20と同様であるが、信号処理装置10aに演奏データを送信しない点が、第1の実施形態と異なる。本実施形態では、送信装置20aと信号処理装置10aとの間で、演奏データの楽曲が共有されているものとする。
送信装置20aは、NW通信部21と、入力部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部40aとを備える。
【0062】
制御部40aは、基本的な構成及び機能が制御部40と同様である。制御部40aは、拍データ生成部41と、送信処理部42aを備える。
送信処理部42aは、拍データ送信部422を備え、上述した演奏データ送信部421を備えない点が、送信処理部42と異なる。送信処理部42aは、予め定められた楽曲を演奏した演奏データに基づいて生成された拍データを、複数の信号処理装置10aに送信する。
【0063】
信号処理装置10aは、基本的な機能が信号処理装置10aと同様であるが、送信装置20aから演奏データを受信しない点と、複数の信号処理装置10aの間で合奏を行うための機能が追加されている点が異なる。
信号処理装置10aは、NW通信部11と、入力部12と、表示部13と、スピーカ14と、記憶部15aと、マイク16と、制御部30とを備える。
なお、本実施形態において、利用者U1は、信号処理装置10a-1の利用者であり、利用者U2は、信号処理装置10a-2の利用者に対応する。
【0064】
記憶部15aは、拍データ記憶部152と、生成用情報記憶部153と、映像データ記憶部154とを備え、演奏データ記憶部151を備えない点が、記憶部15と異なる。
マイク16は、信号処理装置10aの周辺の音を収音して、収音した音信号を出力する。マイク16は、合奏の際に、利用者の演奏を収音した音信号を制御部30aに出力する。
【0065】
制御部30aは、基本的な構成及び機能が制御部30と同様である。制御部30aは、受信処理部31aと、映像データ生成部32と、出力処理部33aと、合奏処理部34とを備える。
【0066】
受信処理部31aは、拍データ受信部312を備え、上述した演奏データ受信部311を備えない点が、受信処理部31と異なる。
出力処理部33aは、演奏のタイミングが視覚的に認識されるように、映像データ生成部32が生成した指揮者の映像データに基づく映像信号を出力させる。
【0067】
合奏処理部34は、NW通信部11及びネットワークNW1を介して、他の装置(例えば、他の信号処理装置10aなど)から、演奏音信号を受信し、受信した演奏音信号を、スピーカ14に出力させる。また、合奏処理部34は、マイク16が収音した演奏音信号を、NW通信部11及びネットワークNW1を介して、他の装置(例えば、他の信号処理装置10aなど)に送信する。
【0068】
次に、図5を参照して、本実施形態による信号処理システム1aの動作について説明する。
図5では、送信装置20aから送信された拍データを利用して、利用者U1と利用者U2とで合奏を行う動作の一例について説明する。
【0069】
図5において、ステップS201の処理は、図3に示すステップS101の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
次に、送信装置20aは、拍データを各信号処理装置10a(10a-1、10a―2)に送信する(ステップS202)。拍データ送信部422は、拍データを各信号処理装置10aに送信する。これにより、信号処理装置10aの拍データ受信部312は、送信装置20aから拍データを受信し、受信した拍データを、拍データ記憶部152に記憶させる。
【0070】
続く、信号処理装置10a-1によるステップS203の処理と、信号処理装置10a-2によるステップS205の処理とは、図3に示すステップS105の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0071】
ステップS204において、信号処理装置10a-1は、指揮者の映像を出力した、利用者U1の演奏をマイク16から収音する。出力処理部33aは、例えば、図2の映像M1のような、映像データ記憶部154が記憶する指揮者の映像データに基づく映像信号を、表示部13から出力させる。また、合奏処理部34は、マイク16が収音した利用者U1の演奏の音信号(演奏音信号)を取得する。
【0072】
また、ステップS206において、信号処理装置10a-2は、指揮者の映像を出力した、利用者U2の演奏をマイク16から収音する。出力処理部33aは、例えば、図2の映像M1のような、映像データ記憶部154が記憶する指揮者の映像データに基づく映像信号を、表示部13から出力させる。また、合奏処理部34は、マイク16が収音した利用者U2の演奏音信号を取得する。
【0073】
次に、信号処理装置10a-1及び信号処理装置10a-2は、互いの演奏音信号を送信して、合奏処理を実行する(ステップS207)。信号処理装置10a-1の合奏処理部34は、利用者U1の演奏音信号を信号処理装置10a-2に送信し、利用者U2の演奏音信号を信号処理装置10a-2から受信して、利用者U1の演奏音信号を信号処理装置10a-1のスピーカ14に出力させる。また、信号処理装置10a-2の合奏処理部34は、利用者U2の演奏音信号を信号処理装置10a-1に送信し、利用者U1の演奏音信号を信号処理装置10a-1から受信して、利用者U1の演奏音信号を信号処理装置10a-2のスピーカ14に出力させる。
このように、本実施形態による信号処理システム1aでは、離れた場所にいる複数の利用者の間で合奏を行うことができる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態による信号処理装置10aは、受信処理部31a(受信部)と、映像データ生成部32(生成部)と、出力処理部33a(処理部)とを備える。受信処理部31aは、予め定められた楽曲を演奏した演奏データ(第1の時系列データ)に基づいて生成された、演奏のタイミングを示すデータを少なくとも含む第2の時系列データ(例えば、拍データ)を受信する。映像データ生成部32は、受信処理部31aが受信した第2の時系列データ(例えば、拍データ)に基づいて、演奏のタイミングを視覚的に認識可能にする第3の時系列データ(例えば、指揮者の映像データ)を生成する。出力処理部33aは、演奏のタイミングが視覚的に認識されるように、第3の時系列データ(例えば、指揮者の映像データ)に基づく出力信号(例えば、映像信号)を出力させる。
【0075】
これにより、本実施形態による信号処理装置10a及び信号処理システム1aは、利用者が目的のタイミングに合わせて適切に演奏を行うことができる。また、送信装置20aが、複数の信号処理装置10aに拍データを送信することで、本実施形態による信号処理装置10a及び信号処理システム1aは、例えば、離れた場所にいる複数の利用者間で、直接会わずに、演奏のタイミングを合わせることができ、合奏を行うことができる。
【0076】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
第2の時系列データは、拍データとして説明したが、これに限定されない。第2の時系列データは、位置の基準情報を示すデータであってもよい。位置の基準情報としては、拍点の時刻(事前予告含む)拍点データ、小節境界の時刻、小節番号、拍子、リハーサルマーク、楽章番号及び楽章名称などがあげられる。また、位置の基準情報に加えて他の情報を示すデータであってもよい。他の情報としては、標準テンポ、速度記号、速度変化記号、強弱、強弱変化、発想記号、アーティキュレーション、指揮者表情、指揮者身振り情報、指揮者セリフ、パートごとフレーズ開始、パートごとフレーズ終了、ソロパートの開始、ソロパートの終了及び終了合図などがあげられる。
【0077】
また、第3の時系列データは、映像データに加えて音データを含んでもよい。音データの例としては、指揮者の映像に同期するメトロノームの音があげられる。この場合、映像データは、指揮者の映像に代えてメトロノームの映像としてもよいし、指揮者の映像に加えてメトロノームの映像を示してもよい。
例えば、上記の各実施形態において、信号処理システム1(1a)を楽器の演奏に利用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、利用者が行う動作は、楽器の演奏の他に、ダンスや体操、BGMに合わせた詩の朗読、放送劇などに適用してもよい。
【0078】
また、上記の各実施形態において、第3の時系列データとして、指揮者の映像データを用いる例を適用したが、これに限定されるものではなく、例えば、第1の時系列データが体操やダンスの映像データである場合には、第3の時系列データは、ダンスや体操の開始タイミングを示す合図やセリフの音データ(例えば、「大きく!」「ゆっくりと!」などの掛声や合図)や、インストラクタの映像データ(例えば、表情、身振りが分かる映像)などであってもよい。
【0079】
また、上記の第1の実施形態において、第2の実施形態と同様に、拍データを複数の信号処理装置10に送信して、合奏などを行うようにしてもよい。またこの場合、信号処理装置10は、上述した合奏処理部34を備えるようにしてもよい。
【0080】
また、上記の第1の実施形態において、信号処理装置10は、第3の時系列データに基づく出力信号を第1の時系列データに基づく出力信号に同期させて出力する際に、所定のずらし幅を設定できるようにしてもよい。また、信号処理装置10は、同期した出力を変速、一時停止などを行えるようにしてもよい。
【0081】
また、上記の各実施形態において、信号処理装置10(10a)は、指揮者の映像において、主パートが変更されるようにしてもよい。また、この場合、主パートは、低音楽器やリズム楽器であってもよい。
【0082】
なお、上述の信号処理システム1(1a)が備える各構成は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した信号処理システム1(1a)が備える各構成の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,1a…信号処理システム、10,10a,10a-1,10a-2…信号処理装置、11,21…NW通信部、12,22…入力部、13,23…表示部、14…スピーカ、15,15a,24…記憶部、16…マイク、30,30a,40,40a…制御部、31,31a…受信処理部、32…映像データ生成部、33,33a…出力処理部、34…合奏処理部、41…拍データ生成部、42,42a…送信処理部、151,241…演奏データ記憶部、152,242…拍データ記憶部、153…生成用情報記憶部、154…映像データ記憶部、311…演奏データ受信部、312…拍データ受信部、421…演奏データ送信部、422…拍データ送信部、NW1…ネットワーク、U1,U2…利用者
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏データから生成される動作の拍を示す拍データに基づいて、映像データを生成する生成部と、
前記演奏データに関連付く動作タイミングと、前記映像データに関連付く動作タイミングとが一致するように、前記演奏データに基づく出力信号と前記映像データに基づく出力信号とを同期させて出力する処理部と
を備える信号処理装置。
【請求項2】
前記映像データは、指揮者の映像データである
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、機械学習により、前記拍データに基づいて、前記指揮者の映像データを生成する
請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記演奏データよりデータ量が小さい前記拍データをデコードして、前記映像データを生成する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記動作の強弱を指示するデータを含む前記映像データを生成する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項6】
演奏データに基づいて、動作の拍を示す拍データを生成し、前記演奏データと前記拍データとを送信する送信装置と、信号処理装置とを備え、
前記信号処理装置は、
前記拍データに基づいて、映像データを生成する生成部と、
前記演奏データに関連付く動作タイミングと、前記映像データに関連付く動作タイミングが一致するように、前記演奏データに基づく出力信号と前記映像データに基づく出力信号とを同期させて出力する処理部と
を備える信号処理システム。
【請求項7】
生成部が、演奏データから生成される動作の拍を示す拍データに基づいて、映像データを生成する生成ステップと、
処理部が、前記演奏データに関連付く動作タイミングと、前記映像データに関連付く動作タイミングとが一致するように、前記演奏データに基づく出力信号と前記映像データに基づく出力信号とを同期させて出力する処理ステップと
を含む信号処理方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、信号処理装置、信号処理システム、及び信号処理方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、利用者が目的のタイミ
ングに合わせて適切に動作を行うことができる信号処理装置、信号処理システム、及び信号処理方法を提供することにある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、演奏データから生成される動作の拍を示す拍データに基づいて、映像データを生成する生成部と、前記演奏データに関連付く動作タイミングと、前記映像データに関連付く動作タイミングとが一致するように、前記演奏データに基づく出力信号と前記映像データに基づく出力信号とを同期させて出力する処理部とを備える信号処理装置である。