(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152939
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20241018BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L23/30 R
H01L21/56 T
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024141026
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2021045845の分割
【原出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐司
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑えつつ電極部材を装置上面から確実に取り出すことができる半導体装置の製造方法を得る。
【解決手段】主電極5と制御電極6を有する半導体チップ1を基板3に接合する。第1の電極8と、第2の電極9と、第1の電極8と第2の電極9とを接続する配線10とを有する配線用チップ2を基板3に接合する。主電極部材12を主電極5に第1の接合材13を介して接合する。制御電極6と第1の電極8とを接続部材16で接続する。これらを金型18に入れ、主電極部材12と金型18との間に設けた緩衝材19に主電極部材12の先端面を押し付けた状態で金型18の中に封止材17を注入して封止する。主電極部材12の先端部が封止材17の上面から突出している。先端部の側面に設けられた封止材17は、膜厚が先端面に向かうほど薄くなるテーパー形状である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電極と制御電極を有する半導体チップを基板に接合する工程と、
第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とを接続する配線とを有する配線用チップを前記基板に接合する工程と、
主電極部材を前記主電極に接合材を介して接合する工程と、
前記制御電極と前記第1の電極とを接続部材で接続する工程と、
接合された前記半導体チップ、前記基板、前記配線用チップ、前記主電極部材、及び前記接続部材を金型に入れ、前記主電極部材と前記金型との間に設けた緩衝材に前記主電極部材の先端面を押し付けた状態で前記金型の中に封止材を注入して、前記半導体チップ、前記基板、前記配線用チップ、前記主電極部材、及び前記接続部材を前記封止材により封止する工程とを備え、
前記主電極部材の先端部が前記封止材の上面から突出し、
前記先端部の側面に設けられた前記封止材は、膜厚が前記先端面に向かうほど薄くなるテーパー形状であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
主電極と制御電極を有する半導体チップを基板に接合する工程と、
主電極部材を前記主電極に接合材を介して接合する工程と、
接合された前記半導体チップ、前記基板、及び前記主電極部材を金型に入れ、前記主電極部材と前記金型との間に設けた緩衝材に前記主電極部材の先端面を押し付けた状態で前記金型の中に封止材を注入して、前記半導体チップ、前記基板、前記主電極部材を前記封止材により封止する工程とを備え、
前記主電極部材の先端部が前記封止材の上面から突出し、
前記先端部の側面に設けられた前記封止材は、膜厚が前記先端面に向かうほど薄くなるテーパー形状であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記封止材を研削しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SiC MOSFETの大面積化が難しいため、SiC MOSFETを使用したモジュールは、電流容量を増やすために、複数のチップを並列接続する必要がある。複数の半導体チップと配線用チップを基板に接合し、配線用チップの回路パターンで各半導体チップの制御電極を並列接続した半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。複数の半導体チップの主電極に主電極部材を接合し、配線用チップの回路パターンに制御電極部材を接合して樹脂封止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では電極部材を封止材から露出させるために封止材を研削する。しかし、研削工程で発塵が生じ、湿式研削の場合は研削面から水分が侵入するという問題があった。また、電極部材の高さバラつきにより研削時に必要以上に電極部材を削るため、材料と加工時間の無駄が発生し、終端検出が難しいという問題があった。さらに、研削自体の加工コストもかかっていた。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は製造コストを抑えつつ電極部材を装置上面から確実に取り出すことができる半導体装置の製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、主電極と制御電極を有する半導体チップを基板に接合する工程と、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とを接続する配線とを有する配線用チップを前記基板に接合する工程と、主電極部材を前記主電極に接合材を介して接合する工程と、前記制御電極と前記第1の電極とを接続部材で接続する工程と、接合された前記半導体チップ、前記基板、前記配線用チップ、前記主電極部材、及び前記接続部材を金型に入れ、前記主電極部材と前記金型との間に設けた緩衝材に前記主電極部材の先端面を押し付けた状態で前記金型の中に封止材を注入して、前記半導体チップ、前記基板、前記配線用チップ、前記主電極部材、及び前記接続部材を前記封止材により封止する工程とを備え、前記主電極部材の先端部が前記封止材の上面から突出し、前記先端部の側面に設けられた前記封止材は、膜厚が前記先端面に向かうほど薄くなるテーパー形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、主電極部材の高さがバラついて主電極部材と金型との間に隙間が発生しても、緩衝材がその隙間を埋める。従って、封止工程で主電極部材の先端面が封止材で覆われず露出するため、封止工程後に封止材を研削しない。よって、製造コストを抑えつつ電極部材を装置上面から確実に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図8】比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図9】比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図10】比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図11】封止後の主電極部材の先端部を示す断面図である。
【
図12】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の変形例を示す断面図である。
【
図13】実施の形態2に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図15】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図16】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。複数の半導体チップ1と1つの配線用チップ2が基板3に接合されている。半導体チップ1は、裏面側に裏面電極4を有し、表面側に主電極5と制御電極6を有する。半導体チップ1は、例えばMOSFETである。制御電極6は例えばゲート電極又はケルビンソース電極である。半導体チップ1に温度センス素子又は電流センス素子が内蔵されている場合は、それぞれに対応した制御電極を更に備える。
【0011】
裏面電極4は、例えば、半導体チップ1側からシリサイド層/チタン層/ニッケル層/チタン層/金又は銀層をスパッタ法で積層した金属膜である。主電極5及び制御電極6は、例えば、半導体チップ1にアルミ層をスパッタ法で形成し、その上にニッケル層/パラジウム層/金層をめっき法で積層した金属膜である。または、主電極5及び制御電極6は、例えば、アルミ層/チタン層/ニッケル層/チタン層/金又は銀層をスパッタ法で積層した金属膜でもよい。この他、類似の機能を有する積層膜を選択してもよい。
【0012】
配線用チップ2は、裏面側に接合層7を有し、表面側に第1の電極8と、第2の電極9と、第1の電極8と第2の電極9とを接続する配線10とを有する。配線用チップ2は例えば珪素からなる素子であり、Si表面に酸化膜等の絶縁膜が形成され、絶縁膜上に第1の電極8と第2の電極9と配線10が形成されている。第1の電極8と第2の電極9と配線10は例えばアルミからなる配線パターンである。少なくとも第2の電極9上には接合可能な金属層が設けられている。第1の電極8上にも同様の金属層を設けてもよい。接合可能な金属層は、例えば半導体チップ1の主電極5と同様の積層金属膜である。接合層7は、例えば半導体チップの裏面電極4と同様の金属膜である。半導体チップ1の裏面電極4及び配線用チップ2の接合層7はそれぞれ基板3に接合材11を介して接合されている。
【0013】
半導体チップ1の主電極5に主電極部材12が第1の接合材13を介して接合されている。主電極部材12は例えば銅からなる。主電極部材12が複数の半導体チップ1の主電極5に跨る場合、主電極5と接合する部分が突出し、それらをつなぐ部分は主電極5と接合する部分より薄くなっている。これにより、半導体チップ1の周辺耐圧構造を避けて、複数の半導体チップ1の主電極5を同電位に接続することができる。または、複数の半導体チップ1の主電極5同士が独立していて、外部電極に接続される際に同電位になる構造でもよい。
【0014】
配線用チップ2の第2の電極9に制御電極部材14が第2の接合材15を介して接合されている。制御電極部材14は例えば銅からなる複数のブロックである。
【0015】
複数の半導体チップ1の制御電極6と配線用チップ2の第1の電極8が接続部材16で接続されている。接続部材16は例えば金、銀又はアルミからなるワイヤである。金又は銀からなる細線ワイヤを用いると、半導体チップ1の制御電極6の寸法を縮小することができる。このため、有効面積をより広くすることができ、半導体チップ1の製造コストを下げることができる。
【0016】
半導体チップ1、基板3の上面、配線用チップ2、主電極部材12、制御電極部材14及び接続部材16が封止材17により封止されている。封止材17は、例えば、エポキシ樹脂にフィラーを混ぜたものである。主電極部材12及び制御電極部材14の先端部が封止材17の上面から突出し、先端面は封止材17から露出している。
【0017】
続いて、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
図2~7は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。まず、
図2に示すように、半導体チップ1を基板3に接合する。次に、
図3に示すように、配線用チップ2を基板3に接合する。この際に、半導体チップ1の裏面電極4及び配線用チップ2の接合層7はそれぞれ基板3に接合材11を介して接合する。接合材11は例えばはんだでもよいし、銀又は銅からなる接合材を用いて焼結接合によって接合してもよい。焼結接合は、半導体チップ1及び配線用チップ2を上面から電極に圧力をかけ押し付けながら昇温する加圧接合であってもよいし、加圧しない無加圧接合であってもよい。または、加熱することで熱的機械的安定を得られる接着剤等を用いて配線用チップ2を接合してもよい。ただし、珪素からなる配線用チップ2を用いる場合には、配線用チップ2が割れることがあるため、加圧を伴わない接合方法が望ましい。
【0018】
次に、
図4に示すように、主電極部材12を主電極5に第1の接合材13を介して接合する。次に、
図5に示すように、制御電極部材14を第2の電極9に第2の接合材15を介して接合する。第1の接合材13及び第2の接合材15は、例えばはんだでもよいし、銀又は銅からなる接合材を用いて焼結接合によって接合してもよい。焼結接合は、上面から電極に圧力をかけ押し付けながら昇温する加圧接合でもよいが、加圧しない無加圧接合が望ましい。
【0019】
主電極部材12と制御電極部材14は、それ自身の製造公差バラつきにより、互いの厚みにバラつきが生じる。また、第1の接合材13と第2の接合材15の厚みにもバラつきが生じる。このため、接合された主電極部材12の先端面と制御電極部材14の先端面の高さは異なる。
【0020】
次に、
図6に示すように、制御電極6と第1の電極8とを接続部材16で接続する。次に、
図7に示すように、接合された半導体チップ1、基板3、配線用チップ2、主電極部材12、制御電極部材14及び接続部材16を有する半完品を金型18に入れる。この際に、主電極部材12及び制御電極部材14と金型18との間に緩衝材19を設ける。
【0021】
緩衝材19に主電極部材12及び制御電極部材14の先端面を押し付けると、緩衝材19のうち主電極部材12と制御電極部材14が接する箇所の厚みが押圧力により薄くなる。主電極部材12の先端面と制御電極部材14の先端面の高さが異なる場合は、主電極部材12と接した箇所と制御電極部材14と接した箇所で緩衝材19の厚みが異なる。この状態で金型18の中に封止材17を注入するトランスファモールド封止工法によって、半導体チップ1、基板3の上面、配線用チップ2、主電極部材12、制御電極部材14及び接続部材16を封止材17により封止する。
【0022】
封止後に半導体装置を金型18から取り外す際に、緩衝材19も半導体装置の上面から取り除く。以上の工程により、封止材17を研削しなくても主電極部材12及び制御電極部材14の先端面が封止材17から露出した半導体装置が製造される。
【0023】
また、製造された半導体装置を複数用いれば、ハーフブリッジ回路、フルブリッジ回路などの上位の半導体装置を構成することができる。この場合、基板3をドレイン回路パターンにはんだ接合又は焼結接合で電気的・熱的に接続する。主電極部材12をソース回路パターンにワイヤボンド、リボンボンド、又はリードフレームのはんだ接合により電気的に接続する。その後、半導体装置の周辺と回路パターンを、ゲルなどの二次封止材で被覆して上位の半導体装置を製造する。なお、半導体チップ1の接合材としてはんだを使用する場合は、上位の半導体装置に組み立てる際の接合プロセス温度よりも融点が高い高融点はんだを使用することが望ましい。
【0024】
続いて、本実施の形態の効果を比較例と比較して説明する。
図8~10は、比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。比較例では、
図8に示すように、樹脂封止工程において緩衝材19を用いない。このため、金型18と主電極部材12及び制御電極部材14との間に隙間が発生して、封止材17が回り込む。従って、
図9に示すように、主電極部材12又は制御電極部材14が封止材17の表面から露出できない場合がある。このため、
図10に示すように、余剰な封止材17と主電極部材12及び制御電極部材14の一部を研削して主電極部材12及び制御電極部材14を露出させる必要がある。
【0025】
これに対して、本実施の形態では、制御電極部材14と主電極部材12の高さがバラついて主電極部材12及び制御電極部材14と金型18との間に隙間が発生しても、緩衝材19がその隙間を埋める。従って、封止工程で主電極部材12及び制御電極部材14の先端面が封止材17で覆われず露出するため、封止工程後に封止材17を研削しない。よって、製造コストを抑えつつ電極部材を装置上面から確実に取り出すことができる。
【0026】
図11は、封止後の主電極部材の先端部を示す断面図である。緩衝材19に主電極部材12及び制御電極部材14の先端面を押し付けると、制御電極部材14及び主電極部材12と接触する部分の緩衝材19は接触しない部分に比べて薄くなる。接触しない部分から接触する部分に向かって緩衝材19は徐々に薄くなる。この状態で樹脂封止するため、封止材17の形状が緩衝材19の形状に追従する。従って、主電極部材12及び制御電極部材14の先端部の側面に設けられた封止材17は、図面横方向の膜厚が主電極部材12及び制御電極部材14の先端面に向かうほど薄くなるテーパー形状となる。
【0027】
主電極部材12及び制御電極部材14の線膨張係数と、封止材17の線膨張係数とに差がある場合、冷熱サイクル等によって両者間に応力が発生する。応力により封止材17にクラックが発生するか又は封止材17が剥離すると、耐湿試験等で水分が侵入して半導体チップ1等まで到達し、半導体装置の寿命を低下させる。これに対して、本実施の形態では、上記のように主電極部材12及び制御電極部材14の先端面に向かうほど封止材17の膜厚が徐々に薄くなる。従って、主電極部材12及び制御電極部材14の端面に向かうほどに応力が小さくなるため、封止材17が制御電極部材14及び主電極部材12から剥離するのを防ぐことができる。
【0028】
また、半導体チップ1に温度センス素子又は電流センス素子が内蔵されている場合、これらの素子はメイン部に比べて静電気に弱いことが多い。従って、主電極部材12及び制御電極部材14の先端面が接触する緩衝材19の表面が導電性を有することが好ましい。これにより、封止中から封止後にかけて端子間に電位差が発生しないため、半導体チップ1の静電気による過電圧破壊を防ぐことができる。
【0029】
図12は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の変形例を示す断面図である。緩衝材19は、電性を有さない封止材17と、封止材17と主電極部材12及び制御電極部材14との間に設けられたカーボンシート又は金属箔などの導電性薄膜20とを有する。導電性薄膜20に主電極部材12及び制御電極部材14の先端面が接触し、端子間に電位差が発生しないため、半導体チップ1の静電気による過電圧破壊を防ぐことができる。また、導電性薄膜20を使用することで、テフロン(登録商標)などの安価な封止材17を用いることができる。または、緩衝材19の主たる成分が炭素であってよい。このような緩衝材19は導電性を有するため、導電性薄膜20を用いずに単一部材で緩衝材19を構成することができる。従って、加工コストを抑えることができる。
【0030】
実施の形態2.
図13は、実施の形態2に係る半導体装置を示す断面図である。本実施の形態では、配線用チップ2及び接続部材16が無く、制御電極部材14が半導体チップ1の制御電極6に第2の接合材15を介して接合されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0031】
続いて、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
図14~16は、実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。まず、
図14に示すように、半導体チップ1を基板3に接合する。次に、
図15に示すように、主電極部材12を主電極5に第1の接合材13を介して接合する。制御電極部材14を制御電極6に第2の接合材15を介して接合する。
【0032】
次に、
図16に示すように、接合された半導体チップ1、基板3、主電極部材12及び制御電極部材14を有する半完品を金型18に入れる。この際に、主電極部材12及び制御電極部材14と金型18との間に緩衝材19を設ける。緩衝材19に主電極部材12及び制御電極部材14の先端面を押し付けた状態で金型18の中に封止材17を注入して、半導体チップ1、基板3、主電極部材12及び制御電極部材14を封止材17により封止する。
【0033】
封止後に半導体装置を金型18から取り外す際に、緩衝材19も半導体装置の上面から取り除く。以上の工程により、封止材17を研削しなくても主電極部材12及び制御電極部材14の先端面が封止材17から露出した半導体装置が製造される。これにより、実施の形態1と同様に、製造コストを抑えつつ電極部材を装置上面から確実に取り出すことができる。小容量の半導体製品など、並列接続する半導体チップ数が少ない場合は、配線用チップ2を用いずに半導体チップ1から個別に電極を取り出して外部回路へ接続する本実施の形態の方が製造コストを抑えられて望ましい場合がある。
【0034】
なお、半導体チップ1は、珪素によって形成されたものに限らず、珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体によって形成されたものでもよい。ワイドバンドギャップ半導体は、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料、又はダイヤモンドである。このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成された半導体チップは、耐電圧性及び許容電流密度が高いため、小型化できる。この小型化された半導体チップを用いることで、この半導体チップを組み込んだ半導体装置も小型化・高集積化できる。また、半導体チップの耐熱性が高いため、ヒートシンクの放熱フィンを小型化でき、水冷部を空冷化できるので、半導体装置を更に小型化できる。また、半導体チップの電力損失が低く高効率であるため、半導体装置を高効率化できる。
【符号の説明】
【0035】
1 半導体チップ、2 配線用チップ、3 基板、5 主電極、6 制御電極、8 第1の電極、9 第2の電極、10 配線、13 第1の接合材、15 第2の接合材、16 接続部材、17 封止材、18 金型、19 緩衝材、20 導電性薄膜