(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152946
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】半固形状温感クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20241018BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241018BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20241018BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20241018BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241018BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/26
A61K8/39
A61K8/86
A61Q1/14
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2024141640
(22)【出願日】2024-08-05
(62)【分割の表示】P 2021106135の分割
【原出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】柚口 耕二
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴恵
(72)【発明者】
【氏名】吉村 武志
(72)【発明者】
【氏名】麻生 昌弘
(57)【要約】
【課題】メイク汚れとの馴染みが非常に良好で、格段に優れたクレンジング効果を発揮し、かつ、クレンジング時の最適な温感効果により、毛穴の奥底に詰まった皮脂汚れやメイク汚れを浮かせて取り除くことができる半固形状温感クレンジング化粧料の提供。
【解決手段】
成分A:室温で固形のロウおよび/又は室温で固形の炭化水素油、成分B:モノエステル油、ジエステル油およびトリエステル油から選ばれる1種又は2種以上のエステル油、成分C:非イオン性界面活性剤、並びに成分D:ゼオライトを含有することを特徴とする半固形状温感クレンジング化粧料とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A:室温で固形のロウおよび/又は室温で固形の炭化水素油、成分B:モノエステル油、ジエステル油およびトリエステル油から選ばれる1種又は2種以上のエステル油、成分C:非イオン性界面活性剤、並びに成分D:ゼオライトを含有することを特徴とする半固形状温感クレンジング化粧料。
【請求項2】
前記成分Bが、モノエステル油、ジエステル油およびトリエステル油からなることを特徴とする請求項1に記載の半固形状温感クレンジング化粧料。
【請求項3】
前記エステル油の総量に対する前記トリエステル油の量の質量比(トリエステル油の量/エステル油の総量)が、0.1~0.3の範囲を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の半固形状温感クレンジング化粧料。
【請求項4】
前記成分Dの含有量が、10~30質量%である請求項1~3の何れか一項に記載の半固形状温感クレンジング化粧料。
【請求項5】
さらに、下記成分Eを含有することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の半固形状温感クレンジング化粧料。
成分E:植物油脂
【請求項6】
水を含まないか、又は水を含み且つ化粧料100質量%中の水の含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の半固形状温感クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半固形状温感クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイク汚れや皮脂汚れを除去するクレンジング化粧料は、水クレンジングと称される水性クレンジング化粧料と、オイルクレンジングと称される油性クレンジング化粧料に大別される。クレンジング化粧料の中でも、油性クレンジング化粧料は、多量の油剤が配合されていることから、メイク汚れとの馴染みがよく、優れたクレンジング力を発揮させることができる。その反面、クレンジング後の肌に油特有のべたつき感が残り、使用感が悪いという欠点がある。しかし、メイク汚れをしっかりと落としたいと望む人にとって、油性クレンジング化粧料は魅力的な商品であると言える。
【0003】
近年、油性クレンジング化粧料の一形態として、クレンジングバームと称される半固形状のクレンジング化粧料が注目を浴びている。クレンジングバームは、メイク汚れとの馴染みが非常によく、格段に優れたクレンジング効果を発揮させることができるという特徴を有する。また、固められた油剤が使用時に肌上で柔らかくなり、とろけるような独特な使用感も得られる。このような機能と使用感が人気の理由となっている。そのため、近年、これら半固形状のクレンジング化粧料の開発が盛んに行われている。
【0004】
具体的には、特定の融点を有する固形油、液状油、並びに非イオン性界面活性剤を含有する油性固形クレンジング料(例えば、特許文献1を参照)、特定の融点を有する炭化水素油を特定量、特定量のエステル油、並びに特定のHLB値を有するノニオン界面活性剤を特定量含有する固形状油性クレンジング化粧料(例えば、特許文献2を参照)、特定の融点を有する固形油分を特定量、特定量の液状油分、特定のHLB値を有する非イオン性界面活性剤を特定量、特定粒子径の粉体を特定量、並びに特定量に煙霧状シリカを含む油性固形クレンジング化粧料(例えば、特許文献3を参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、メイク馴染みがよく、メイク汚れ除去効果に優れた効果を発揮する従来の半固形状のクレンジング化粧料であっても、毛穴に詰まった皮脂汚れやメイク汚れを十分に取り除くことができないといった欠点がある。また、粉体を用いることである程度汚れを吸着除去させることは可能となるが、これら試みでは、依然として毛穴の奥底に詰まった汚れまでをも取り除ける効果を十分に発揮させるまでには至っていない。加えて、用いる粉体の種類や大きさによっては、製剤の安定性や、バーム特有のとろけるような使用感に悪影響を及ぼすといった問題もあり、製剤化には創意工夫が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-213726号公報
【特許文献2】特開2012-206974号公報
【特許文献3】特開2020-026420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものである。すなわち、メイク汚れとの馴染みが非常に良好で、格段に優れたクレンジング効果を発揮する半固形状温感クレンジング化粧料を提供することを課題とする。また、クレンジング時の最適な温感効果により、毛穴の奥底に詰まった皮脂汚れやメイク汚れを浮かせて取り除くことができる半固形状温感クレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、成分A:室温で固形のロウおよび/又は室温で固形の炭化水素油、成分B:モノエステル油、ジエステル油およびトリエステル油から選ばれる1種又は2種以上のエステル油、成分C:非イオン性界面活性剤、並びに成分D:ゼオライトを含有することを特徴とする半固形状温感クレンジング化粧料を提供する。
【0009】
上記成分Bが、モノエステル油、ジエステル油およびトリエステル油からなることが好ましい。
【0010】
上記エステル油の総量に対する上記トリエステル油の量の質量比(トリエステル油の量/エステル油の総量)が、0.1~0.3の範囲を満たすことが好ましい。
【0011】
上記成分Dの含有量が、10~30質量%であることが好ましい。
【0012】
さらに、上記半固形状温感クレンジング化粧料は、下記成分Eを含有することが好ましい。
成分E:植物油脂
【0013】
上記半固形状温感クレンジング化粧料は、水を含まないか、又は水を含み且つ化粧料100質量%中の水の含有量が1質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、上記構成要件を満たすことにより、優れた製剤安定性を有する。また、延展時にとろけるような独特な使用感と厚みのある使用感が得られることから、皮脂汚れやメイク汚れとの馴染みが非常に良好であり、格段に優れたクレンジング効果(汚れ除去効果)を発揮させることができる。
【0015】
さらに、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、クレンジング時に最適な温感を十分に感じることができることから、毛穴を広げることで毛穴の奥底に詰まった皮脂汚れやメイク汚れを浮かせて取り除くこと(溶解除去および/又は吸着除去すること)ができるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、成分A:室温で固形のロウおよび/又は室温で固形の炭化水素油と、成分B:モノエステル油、ジエステル油およびトリエステル油から選ばれる1種又は2種以上のエステル油と、成分C:非イオン性界面活性剤と、成分D:ゼオライトとを含有する。
【0017】
なお、本明細書において、「半固形状」とは、流動性がなく指の押圧などの応力により変形する固形状の剤型を意味する。また、「流動性がない」とは、化粧料を広口容器に充填し、該容器を斜め45度に30秒間傾けた際に、該化粧料が広口容器から垂れ落ちない状態をいう。
【0018】
以下、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0019】
[成分A]
上記成分Aは、室温で固形のロウおよび/又は室温で固形の炭化水素油である。すなわち、上記成分Aは、室温で固形のロウおよび室温で固形の炭化水素油のうちの一方又は両方である。本発明では、上記成分Aを用いることにより、本発明のクレンジング化粧料を製剤安定性に優れる半固形状とすることができる。また、後述する成分Bと組み合わせることで、延展時にとろけるような独特な使用感と厚みのある使用感を発揮させ、皮脂汚れやメイク汚れとの馴染みを良好にすることができる。
【0020】
なお、本明細書において、「室温で固形」とは、1~30℃の温度範囲で流動性がない性状をいう。また、本明細書において、上記室温で固形のロウを「成分A1」、上記室温で固形の炭化水素油を「成分A2」と称することがある。
【0021】
具体的な成分A1としては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリンなどが挙げられる。これら成分A1は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0022】
具体的な成分A2としては、例えば、セレシン、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス(合成ワックス)、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン末、ワセリンなどが挙げられる。これら成分A2は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0023】
上記成分Aの中でも、製剤安定性に優れる半固形状とすることができる観点、延展時に独特の使用感を発揮させる観点、並びにメイクなどの汚れとの馴染みを良好にする観点から、少なくとも上記成分A2を用いることが好ましい。本発明では、これら成分A2の中でも、フィッシャー・トロプシュワックス(合成ワックス)、ポリエチレンワックス、ポリエチレン末を用いることがより好ましく、フィッシャー・トロプシュワックス(合成ワックス)を用いることが最も好ましい。
【0024】
なお、本発明においては、上記成分Aは市販品を用いることができる。成分Aの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0025】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料中の成分Aの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤安定性に優れる半固形状とする観点、並びに延展時の使用感と、汚れとの馴染みの観点から、化粧料100質量%中、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、製剤が硬くなりすぎることによる使用感の悪化を抑える観点から、化粧料100質量%中、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Aの含有量は、純分に換算した量である。
【0026】
[成分B]
上記成分Bは、モノエステル油、ジエステル油およびトリエステル油から選ばれる1種又は2種以上のエステル油である。本発明では、上記成分Bを用いることにより、皮脂汚れやメイク汚れとの馴染みを良好にし、格段に優れたクレンジング効果(汚れ除去効果)を発揮させることができる。本発明においては、これら効果を最大限発揮させることができる室温で液状のエステル油を用いることが好ましい。なお、本明細書において、「室温で液状」とは、1~30℃の温度範囲で流動性がある性状をいう。
【0027】
また、上記成分Bは、延展時にとろけるような独特の使用感と厚みのある使用感を発揮させ、格段に優れたクレンジング効果を付与する観点から、モノエステル油、ジエステル油およびトリエステル油の何れも含み、これら3種のエステル油からなることが好ましい。本発明では、好適な成分Bの中でも、室温で液状のモノエステル油、室温で液状のジエステル油および室温で液状のトリエステル油を用いることが最も好ましい。
【0028】
なお、本明細書において、上記室温で液状のモノエステル油を「成分B1」、上記室温で液状のジエステル油を「成分B2」、上記室温で液状のトリエステル油を「成分B3」と称することがある。
【0029】
具体的な成分B1としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピルなどの直鎖脂肪酸と低級アルコールとのモノエステル油;カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイルなどの直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのモノエステル油;カプリル酸プロピルヘプチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノール酸オクチルドデシルなどの直鎖脂肪酸と分岐アルコールとのモノエステル油;2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、イソステアリン酸ヘキシルなどの分岐脂肪酸と直鎖高級アルコールとのモノエステル油;ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソスエアリン酸オクチルドデシルなどの分岐脂肪酸と分岐アルコールとのモノエステル油などが挙げられる。これら成分B1は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0030】
具体的な成分B2としては、例えば、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールなどの脂肪酸と多価アルコールとのジエステル油;コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシルなどの二塩基酸のジエステル油;炭酸ジカプリリルなどの炭酸のジエステル油などが挙げられる。これら成分B2は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0031】
具体的な成分B3としては、例えば、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンなどの脂肪酸と多価アルコールとのトリエステル油などが挙げられる。これら成分B3は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0032】
なお、本発明においては、上記成分Bは市販品を用いることができる。成分Bの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0033】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料中の成分Bの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、皮脂汚れやメイク汚れとの馴染みを良好にし、格段に優れたクレンジング効果を発揮させる観点、並びに延展時に独特の使用感を発揮させる観点から、化粧料100質量%中、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、製剤が柔らかくなりすぎることによる使用感の悪化を抑える観点から、化粧料100質量%中、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Bの含有量は、純分に換算した量である。
【0034】
本発明では、クレンジング効果をより一層高める観点から、上記エステル油の総量に対する上記モノエステル油の量の質量比(モノエステル油の量/エステル油の総量)が、0.5~0.85の範囲を満たし調製されることが好ましく、0.55~0.8の範囲で調製されることがより好ましい。
【0035】
また、皮脂汚れやメイク汚れとの馴染みをより一層高める観点から、上記エステル油の総量に対する上記ジエステル油の量の質量比(ジエステル油の量/エステル油の総量)が、0.05~0.25の範囲を満たし調製されることが好ましく、0.08~0.2の範囲で調製されることがより好ましい。
【0036】
さらに、延展時にとろけるような独特の使用感と厚みのある使用感をより一層高める観点から、上記エステル油の総量に対する上記トリエステル油の量の質量比(トリエステル油の量/エステル油の総量)が、0.1~0.3の範囲を満たし調製されることが好ましく、0.15~0.25の範囲で調製されることがより好ましい。
【0037】
本発明では、優れた効果を発揮させるには上記したエステル油の総量に対する各エステル油の量の質量比の何れかを満たし調製すればよいが、本発明の延展時における特有の効果を更に一層高める観点から、エステル油の総量に対する各エステル油の量の質量比の全てを満たし調製されることがより好ましい。
【0038】
加えて、本発明においては、格段に優れた製剤安定性を発揮させるとともに、延展時に独特な使用感を存分に発揮させ、皮脂汚れやメイク汚れとの馴染みを格段に良好とし、優れたクレンジング効果を十分に発揮させる観点から、上記成分Aに対する上記成分Bの含有量の比(成分B/成分A)が、5~25の範囲を満たし調製されることが好ましく、8~20の範囲を満たし調製されることがより好ましく、11~18の範囲を満たし調製されることが最も好ましい。
【0039】
上記含有量の比(成分B/成分A)が5未満の場合、製剤が硬くなりすぎるため、充填容器からの指取れが悪くなるだけでなく、皮脂汚れやメイク汚れとの馴染みに劣り、クレンジング時の使用感が悪化し易くなるために好ましくない。一方、上記含有量の比(成分B/成分A)が25よりも大きい場合、製剤が柔らかくなりすぎるため、延展時にとろけるような独特な感触や厚みのある感触が得られにくく、使用感に劣るために好ましくない。
【0040】
[成分C]
上記成分Cは、非イオン性界面活性剤である。本発明では、上記成分Cを用いることにより、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料の洗い落ちを良好にして、クレンジング後の肌に特有のべたつき感が残らないようにすることができる。加えて、クレンジング効果をより一層高めることが可能となる。更に製剤安定性もより一層高めることが可能となる。
【0041】
上記成分Cとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0042】
上記成分CのHLB値は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、洗い落ちを高める観点から、2~20であることが好ましく、2~16であることがより好ましい。これら成分Cは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0043】
上記成分Cの中でも、クレンジング効果をより一層高めるとともに、クレンジング後の洗い落ちをより一層良好にする観点、並びに製剤安定性をより一層高める観点から、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いることがより好ましい。
【0044】
なお、本明細書において、上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを「成分C1」、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを「成分C2」、上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを「成分C3」と称することがある。
【0045】
上記成分C1、成分C2、並びに成分C3を構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であっても、これら脂肪酸の縮合体(重合体)であっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。また、前記脂肪酸は、直鎖脂肪酸であっても、分岐脂肪酸であっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。加えて、前記脂肪酸は、単鎖型であっても、多鎖型であっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。
【0046】
好適な成分C1としては、例えば、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ラウリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、オレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。これら好適な成分C1は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0047】
上記成分C1における酸化エチレンの平均付加モル数は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、2~60であることが好ましく、2~40であることがより好ましい。上記成分C1の酸化エチレンの平均付加モル数が上記範囲内であると、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料のクレンジング効果を高め、クレンジング後の洗い落ちを良好にすることができる。
【0048】
好適な成分C2としては、例えば、カプリン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、パルミチン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジカプリン酸ポリグリセリル、ジミリスチン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、ジオレイン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリミリスチン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、トリオレイン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトララウリン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリルなどが挙げられる。これら好適な成分C2は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0049】
上記成分C2におけるポリグリセリンの平均重合度は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、2~12であることが好ましく、2~10であることがより好ましい。上記成分C2のポリグリセリンの平均重合度が上記範囲内であると、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料のクレンジング効果を高め、クレンジング後の洗い落ちを良好にすることができるだけでなく、製剤安定性も高めることができる。
【0050】
好適な成分C3としては、例えば、ラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどが挙げられる。これら好適な成分C3は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0051】
上記成分C3における酸化エチレンの平均付加モル数は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、2~60であることが好ましく、2~40であることがより好ましい。上記成分C3の酸化エチレンの平均付加モル数が上記範囲内であると、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料のクレンジング効果を高め、クレンジング後の洗い落ちを良好にすることができる。
【0052】
なお、本発明においては、上記成分Cは市販品を用いることができる。成分Cの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0053】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料中の成分Cの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、クレンジング効果を高める観点、クレンジング後の洗い落ちを高める観点、並びに製剤安定性を高める観点から、化粧料100質量%中、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。また、製剤安定性の観点から、化粧料100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Cの含有量は、純分に換算した量である。
【0054】
[成分D]
上記成分Dは、ゼオライトである。ゼオライトとは、沸石とも称されるミクロ多孔性の結晶性アルミケイ酸塩のことをいう。その化学組成は、一般式:M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O(nは陽イオンMn原子価、xは2以上の数、yは吸着水量を表す)で表される。
【0055】
本発明では、上記成分Dを用いることにより、クレンジング時に肌に含まれる水分と作用して最適な温感を発揮させることができる。加えて、上記成分Dを用いることで、適度なスクラブ効果によるマッサージ作用によって肌のキメを整える効果も期待できる。
【0056】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料では、上記した如く、クレンジング時に最適な温感を発生させることができることから、温感効果により毛穴を広げて毛穴の奥底に詰まった皮脂汚れやメイク汚れを浮かせることができるようになる。これら浮き上がった汚れは、上記した成分Aと成分Bによって溶解除去することもできるが、成分D自体が多孔性であることから、これら汚れを吸着除去させることも可能である。
【0057】
用いられる上記成分Dは、自然界に存在する天然ゼオライトであっても、人工的に合成された合成ゼオライトであっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されない。ゼオライトの結晶構造は、例えば、A型、X型、L型、Y型、ベータ、ZSM-5、フェリエナイト、モルデナイトなどが挙げられるが、本発明では特に限定されない。また、ゼオライトは、結晶構造の中に陽イオンを有している。具体的な陽イオンとしては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられるが、本発明では特に限定されない。
【0058】
上記成分Dは、親水性ゼオライトであっても、疎水性ゼオライトであっても、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、本発明では、肌に含まれる水分と作用して最適な温感を生じさせることから、水分の吸着能力が極めて高い親水性ゼオライトを用いることが好ましい。
【0059】
さらに、上記成分Dの平均粒径は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、0.001~200μmの範囲を有するゼオライトを用いることが好ましく、0.01~160μmの範囲を有するゼオライトを用いることがより好ましい。上記範囲を満たすゼオライトを用いることにより、優れた温感効果と汚れの吸着除去効果の双方を十分に発揮させることが可能となる。
【0060】
なお、本発明においては、上記成分Dは市販品を用いることができる。成分Dの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。また、本発明においては、上記粒径範囲を満たす市販品をそのまま用いてもよいが、市販品を粉砕機により更に細かく粉砕した調製物を用いてもよい。
【0061】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料中の成分Dの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、最適な温感効果を発揮させる観点、並びに汚れを吸着除去させる観点から、化粧料100質量%中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、延展時の使用感の悪化を抑える観点から、化粧料100質量%中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Dの含有量は、純分に換算した量である。
【0062】
[成分E]
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料には、成分Eとして植物油脂を更に含有させることが好ましい。上記成分Eを用いることにより、延展時の厚みのある使用感を高めるとともに、クレンジング後の肌にエモリエント効果を付与することが可能となる。本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、格段に優れたクレンジング効果を奏することから、クレンジング後の肌へのケアが重要となる。
【0063】
具体的な成分Eとしては、例えば、アストロカリウムツクマ種子脂、アストロカリウムムルムル種子脂、アフリカマンゴノキ核脂、アボガド脂、イネ脂、カカオ脂、ガルシニアインディカ種子脂、ゴマ種子脂、サラソウジュ種子脂、シア脂、ショレアステノプラテ種子脂、テオブロマグランジフロルム種子脂、トウツバキ種子脂、トリチリアロカ種子脂、トリチリアロカ種子脂、パーム脂、バシアラチホリア種子脂、バッシアブチラセア種子脂、ビロラスリナメンシス種子脂、プラトニアインシグニス種子脂、ペンタデスマブチラセア種子脂、ポウテリアサポタ種子脂、ホホバ脂、マンゴー種子脂などが挙げられる。これら成分Eは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0064】
なお、本発明においては、上記成分Eは市販品を用いることができる。成分Eの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0065】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料中の成分Eの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、延展時の厚みのある使用感を高める観点、並びにエモリエント効果を付与する観点から、化粧料100質量%中、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましい。また、クレンジング効果の悪化を抑える観点から、化粧料100質量%中、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。なお、上記成分Eの含有量は、純分に換算した量である。
【0066】
[その他成分]
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に、室温で固形又は液状の油剤を目的に応じて適宜配合することができる。上記成分Aおよび成分B以外に配合可能な油剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコン油などが挙げられる。また、これら成分以外にも、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの上記成分C以外の界面活性剤;増粘性高分子、粘土鉱物、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、防腐剤、美白剤、抗炎症剤、清涼剤、植物油、植物抽出エキス、植物発酵エキス、pH調整剤、中和剤、香料などを目的や用途に応じて適宜配合することができる。
【0067】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、クレンジング時に最適な温感を発揮させる観点から、水を含まないか、又は水を含み且つ化粧料100質量%中の水の含有量が1質量%以下であることが好ましい。すなわち、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料中の水の含有量は、0~1質量%であることが好ましく、0~0.5質量%であることがより好ましい。
【0068】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、上記各構成成分を混合し、例えば、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ディスパーミルなどを用いて撹拌する方法などが挙げられるが、本発明はこれら製造方法にのみ限定されるものではない。
【0069】
本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、半固形状の形態であることから、容易に取り出すことができる容器に充填されることが好ましい。具体的には、広口ジャー容器に充填されることが好ましい。また、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、化粧品、医薬部外品、指定医薬部外品、雑貨などの形態をとり得る。
【実施例0070】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
なお、配合量は、特記しない限り「質量%」を表し、表中の成分の配合量は全て純分に換算した値である。また、評価は全て恒温下(25±2℃)で実施した。
【0071】
実施例および比較例では、下記成分を用いた。
【0072】
[成分A]
成分A1)ミツロウ:商品名「精製ミツロウ CY-100」(横関油脂工業社製)
成分A2)フィッシャー・トロプシュワックス:商品名「Sasolwax C80」(サゾール社製)
【0073】
[成分B]
成分B1)パルミチン酸2-エチルヘキシル:商品名「コーヨーPOC」(交洋ファインケミカル社製)
成分B1)カプリル酸プロピルヘプチル:商品名「CETIOL Sensoft」(BASFジャパン社製)
成分B2)セバシン酸ジエチルヘキシル:商品名「FineNeo-EHS」(日本精化社製)
成分B2)炭酸ジカプリリル:商品名「CETIOL CC」(BASFジャパン社製)
成分B3)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:商品名「MIGLYOL 812N(F)」(IOI Oleo GmbH社製)
【0074】
[成分C]
成分C1)PEG-7(カプリル/カプリン酸)グリセリズ:商品名「CETIOLHE810」(BASFジャパン社製)
成分C1)トリイソステアリン酸PEG-5グリセリル:商品名「EMALEX GWIS-305」(日本エマルジョン社製)
成分C1)トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル:商品名「MファインオイルISG-20T」(ミヨシ油脂社製)
成分C2)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2:商品名「コスモール 43V」(日清オイリオ社製)
成分C2)テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2:商品名「コスモール 44V」(日清オイリオ社製)
成分C3)テトラオレイン酸ソルベス-30:商品名「レオドール430V」(花王社製)
【0075】
[成分D]
ゼオライト1:商品名「ゼオラム LB-310D」(東ソー社製)
ゼオライト2:商品名「ゼオラム A-4」(東ソー社製)
【0076】
[成分E]
シア脂:商品名「CROPURE SHEA BUTTER-SO-(JP)」(クローダジャパン社製)
アストロカリウムムルムル種子脂:商品名「精製ムルムルバター」(香栄興業社製)
テオブロマグランジフロルム種子脂:商品名「精製クプアスバター」(香栄興業社製)
【0077】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1~8および比較例1~8の化粧料を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果を表1および表2に併記する。
【0078】
(試験例1:製剤安定性の評価)
実施例および比較例で得られた各試料を、90g容量の広口容器にそれぞれ充填し、40℃の恒温槽にて1週間保管した。保管後の剤の状態を目視観察し、下記評価基準に従い評価した。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0079】
<製剤安定性の評価基準>
○(良好):製造直後と対比して、均一状態を維持し続けている(変化が全く認められない)
△(不十分):製造直後と対比して、均一状態を維持しているが、僅かな離液が認められる
×(不良):製造直後と対比して、均一状態を維持しておらず、明らかな離液が認められる、若しくは半固形状とならない
【0080】
上記試験例1の製剤安定性の評価において、「○(良好)」、「△(不十分)」の結果が得られた各試料について下記試験に供した。
【0081】
(試験例2:延展時の使用感の評価)
各試料1gを、口紅で汚した手の甲に塗布し、指先で小さな円を描くように延び広げた時の「剤の変化とその感触(使用感(1))」、「厚みのある感触(使用感(2))」、並びに「メイク汚れとの馴染み」について、下記評価基準に従って官能評価した。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0082】
<延展時の使用感(1)の評価基準>
○(良好):半固形状の剤がとろける様に崩れさる使用感が得られる
△(不十分):半固形状の剤がとろける様に崩れさる使用感に劣る
×(不良):半固形状の剤がとろける様に崩れさる使用感が得られない
【0083】
<延展時の使用感(2)の評価基準>
○(良好):厚みのある使用感が得られ、滑らかに延び広かる
△(不十分):滑らかに延び広かるものの、厚みのある使用感に劣る
×(不良):厚みのある使用感が得られない
【0084】
<メイクとの馴染みの評価基準>
○(良好):指に力を入れなくとも、メイク(汚れ)と容易に馴染む
△(不十分):メイク(汚れ)と馴染ませるには、若干指に力を入れて擦る必要がある
×(不良):メイク(汚れ)と馴染ませるには、かなりの力で擦る必要がある
【0085】
(試験例3:クレンジング時の評価)
各試料3gを、メイクを施した顔全体に塗布後、メイク汚れが気になる箇所を中心に指先で小さな円を描くように1分間クレンジングを行い、その後、40℃の温水で十分に洗い流してタオルドライにより顔の水分を拭き取ってもらった。
【0086】
使用試験は、クレンジング時の「温感」、洗浄時の「洗い落ち」、タオルドライ後の「クレンジング効果(メイク汚れ、並びに毛穴に詰まった皮脂汚れの除去効果)」について行い、下記評価基準に従って官能評価した。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合して決定した。
【0087】
<温感の評価基準>
○(良好):最適な温感を十分に感じる
△(不十分):温感を感じるが十分でない
×(不良):温感を感じない
【0088】
<洗い落ちの評価基準>
○(良好):洗い落ちに優れる
△(不十分):洗い落ちに劣る
×(不良):洗い落ちが悪い
【0089】
<クレンジング効果の評価基準>
○(良好):クレンジング行為により、メイク汚れだけでなく、毛穴に詰まった皮脂汚れまでも除去できた感覚が得られる
△(不十分):クレンジング行為により、メイク汚れは除去できるものの、毛穴に詰まった皮脂汚れまでも十分に除去できた感覚が得られない
×(不良):クレンジング行為により、メイク汚れや皮脂汚れを十分に除去できない
【0090】
【0091】
【0092】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られた本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、各比較例で得られたものと対比して、製剤の分離や離液がなく、格段に優れた製剤安定性を有していることが分かる。また、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、延展時にとろけるような独特な使用感を生み出し、厚みのある使用感が十分に得られることから、皮脂汚れやメイク汚れとの馴染みが非常に良好であることが分かる。
【0093】
さらに、本発明の半固形状温感クレンジング化粧料は、メイク汚れを単に取り除くだけでなく、クレンジング時に最適な温感を発生させることで毛穴の奥底に詰まった皮脂汚れまでをも取り除くことできることから、従来のクレンジング化粧料に比べて格段に優れたクレンジング効果を発揮するものであることが分かる。
【0094】
これに対し、本発明の必須構成成分である成分Aを含まない比較例1~2、並びに成分Bを含まない比較例3~4では、半固形状の剤型とならない。また、本発明の必須構成成分である成分Cを含まない比較例5~6では、製剤安定性に劣ることから、本発明の特有の塗布時の使用感が得られず、洗い落ちも悪いことから、優れたクレンジング効果が得られないことが分かる。さらに、本発明の必須構成成分である成分Dを含まない比較例7~8では、クレンジング時に最適な温感が得られないことから、クレンジング効果に劣っていることから分かる。これら結果からも本発明の必須構成成分を充足することで初めて本発明の特有の効果を最大限に発揮できることが分かる。
水を含まないか、又は水を含み且つ化粧料100質量%中の水の含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の半固形状温感クレンジング化粧料。