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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152957
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】抽選システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A63F9/00 513
A63F9/00 512B
A63F9/00 508H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024141948
(22)【出願日】2024-08-23
(62)【分割の表示】P 2020127522の分割
【原出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(72)【発明者】
【氏名】菅 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】山根 生也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健作
(57)【要約】
【課題】抽選システムによる抽選において利用者による期待感が維持される時間を適切に確保する。
【解決手段】抽選システムは、抽選体40を保持した状態で目標場所に搬送する搬送体30と、経時的に変化する抽選要素mを表示する表示装置232と、目標場所に抽選体40が到達したことに基づいて、表示装置232に表示されている抽選要素mを、抽選結果として特定する抽選部とを具備する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽選体を保持した状態で目標場所に搬送する搬送体と、
経時的に変化する抽選要素を表示する表示部と、
前記目標場所に前記抽選体が到達したことに基づいて、前記表示部に表示されている抽選要素を、抽選結果として特定する抽選部と
を具備する抽選システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽選システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば球体等の抽選体を利用した物理抽選と、表示装置による画像の表示を利用した電子抽選とを組合せた抽選システムが従来から提案されている。例えば特許文献1の図6には、抽選体が転動する円弧状の通路と、複数の候補を表示する表示部とを具備する抽選システムが開示されている。抽選体が進入可能な排出部が通路に形成される。表示装置が表示する複数の候補は経時的に移動する。以上の構成において、複数の候補のうち抽選体が排出部に進入した時点で特定の位置にある候補が、抽選結果として特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6611100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、抽選体が排出部に進入した瞬間に抽選結果が確定するから、利用者の期待感(関心または興奮)を適切な時間にわたり維持することが困難である。以上の事情を考慮して、本発明のひとつの態様は、利用者による期待感が維持される時間を適切に確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明のひとつの態様に係る抽選システムは、抽選体を保持した状態で目標場所に搬送する搬送体と、経時的に変化する抽選要素を表示する表示部と、前記目標場所に前記抽選体が到達したことに基づいて、前記表示部に表示されている抽選要素を、抽選結果として特定する抽選部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係る抽選システムの構成を例示する平面図である。
図2】第1実施形態におけるゲームの説明図である。
図3】各ステーションの構成を例示する平面図である。
図4】抽選システムの構成を例示するブロック図である。
図5】表示ユニットおよび搬送装置の正面図である。
図6】通常ゲーム処理の手順を例示するフローチャートである。
図7】抽選画面の模式図である。
図8】抽選システムの制御装置が定常的に実行する処理の手順を例示するフローチ ャートである。
図9】特別処理の説明図である。
図10】参照データの模式図である。
図11】特別処理の手順を例示するフローチャートである。
図12】特別処理に関する制御装置の機能的な構成を例示するブロック図である。
図13】抽選装置の正面図である。
図14】抽選装置の平面図である。
図15】搬送装置の側面図である。
図16】抽選体の断面図である。
図17】可動体の説明図である。
図18】追加抽選の具体的な手順を例示するフローチャートである。
図19】追加抽選に関する制御装置の機能的な構成を例示するブロック図である。
図20】第2特別抽選の実行中に表示される画面の模式図である。
図21】抽選テーブルの模式図である。
図22】設定処理の手順を例示するフローチャートである。
図23】第2特別抽選の手順を例示するフローチャートである。
図24】第2特別抽選に関する制御装置の機能的な構成を例示するブロック図であ る。
図25】第2実施形態における参照データの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に記載する実施の形態は、技術的に好適な種々の限定を含む。本発明の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
【0008】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る抽選システム1の構成を例示する平面図である。抽選システム1は、例えば遊技施設に設置されるゲームシステムである。遊技施設は、例えばゲームセンターまたはカジノ等の娯楽施設、またはショッピングセンター等の商業施設である。抽選システム1は、遊技施設内の利用者(すなわちプレイヤ)にゲームを提供する。なお、抽選システム1は、単体の装置として実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置でも実現される。
【0009】
図1に例示される通り、第1実施形態の抽選システム1は、複数のステーション10と中央ユニット20とを具備する。複数のステーション10の各々は、利用者がゲームのプレイに使用するユニットである。複数のステーション10は、中央ユニット20を包囲するように周方向に配列される。相異なる利用者によるゲームが複数のステーション10において並列に進行する。
【0010】
図2は、第1実施形態におけるゲームの概要に関する説明図である。図2に例示される通り、第1実施形態の抽選システム1においては、通常ゲーム処理と第1特別抽選と第2特別抽選と追加抽選とが実行される。通常ゲーム処理は、各利用者がステーション10を使用して定常的にプレイするゲームを制御する処理である。複数のステーション10の各々について通常ゲーム処理が並列に実行される。第1特別抽選は「第1抽選」の一例であり、第2特別抽選は「第2抽選」の一例である。
【0011】
第1特別抽選は、複数のステーション10のうち通常ゲーム処理において所定の条件が成立したステーション10について実行される。第1特別抽選は、特別賞の当選/落選を抽選する抽選処理である。特別賞は、多数の報酬が利用者に付与されるジャックポットである。第1特別抽選は、複数の属性λ1~λ3の何れかについて実行される。各属性λi(i=1~3)は、例えば第1特別抽選に関して利用者が認識可能な特徴である。具体的には、第1特別抽選を象徴する色が属性λ1~λ3の典型例である。例えば、属性λ1は赤色であり、属性λ2は青色であり、属性λ3は黄色である。
【0012】
第1特別抽選の結果が特別賞の落選である場合には通常ゲーム処理に移行する。なお、「特別賞の落選」は、特別賞の当選/落選が択一的に抽選される場合における落選のほか、特別賞を含む複数賞の何れかが抽選される場合における特別賞以外の賞の当選を含む。
【0013】
他方、第1特別抽選の結果が特別賞の当選である場合には、特別賞の当選を演出する処理(以下「特別処理」という)が実行される。図2の追加抽選は、特別処理内において実行される追加的な抽選処理である。
【0014】
第2特別抽選は、通常ゲーム処理において所定の条件が成立した場合に実行される。第2特別抽選は、報酬の数量を抽選により決定し、当該報酬を利用者に付与する抽選処理である。
【0015】
図3は、複数のステーション10の各々の構成を例示する平面図である。図3に例示される通り、第1実施形態のステーション10は、表示装置11と操作パネル12とゲーム装置13と属性抽選装置14とを具備する。表示装置11は、当該ステーション10の利用者に対して画像を表示する。表示装置11は、例えば液晶パネルまたは有機EL(Electroluminescence)パネル等の表示パネルで構成される。
【0016】
操作パネル12は、利用者からの指示を受付ける入力機器である。操作パネル12は、操作部121と受付部122と排出部123とを具備する。操作部121は、利用者が操作可能な操作ボタンである。受付部122は、利用者による遊技媒体Gaの投入を受付ける。遊技媒体Gaは、ゲームに利用されるトークン(メダル)等の円板状の有体物である。排出部123は、遊技媒体Gaを利用者に対して排出する。
【0017】
ゲーム装置13は、利用者にゲームを提供する機構である。第1実施形態のゲーム装置13は、固定テーブル131と可動テーブル132と投入機構133と固定壁部134と供給装置135とを具備するプッシャーゲーム機である。
【0018】
固定テーブル131は、略水平に設置された平板材である。可動テーブル132は、固定テーブル131上で前後に往復する立体的な構造体(プッシャーテーブル)である。構造体は、特定の構造または形状に構成された物体を意味する。固定テーブル131および可動テーブル132には多数の遊技媒体Gaが載置される。投入機構133は、可動テーブル132の上面に遊技媒体Gaを供給する。投入機構133が遊技媒体Gaを供給する時点および方向は、操作部121に対する利用者からの指示に応じて制御される。なお、前述の受付部122は、例えば電子メダルまたはクレジット等の無体の遊技媒体を利用者から受付けてもよい。投入機構133は、利用者から受付けた無体の遊技媒体の消費と引換えに、可動テーブル132の上面に遊技媒体Gaを投入する。
【0019】
固定壁部134は、可動テーブル132の上面に対向する構造体である。可動テーブル132に載置された遊技媒体Gaは、可動テーブル132が後方に移動する過程で固定壁部134により前方に押圧される。固定壁部134により押圧されることで可動テーブル132上の複数の遊技媒体Gaが前方に移動し、可動テーブル132の前縁に到達した遊技媒体Gaが可動テーブル132から落下する。また、固定テーブル131上の複数の遊技媒体Gaは、可動テーブル132が前方に移動する過程で当該可動テーブル132により前方に押圧される。可動テーブル132により押圧されることで固定テーブル131上の複数の遊技媒体Gaが前方に移動し、固定テーブル131の前縁に到達した遊技媒体Gaが固定テーブル131から落下する。固定テーブル131から落下した遊技媒体Gaの数量に応じた遊技媒体Gaが排出部123から排出される。
【0020】
可動テーブル132の前面には複数の抽選孔132aが形成される。可動テーブル132の表面から落下する複数の遊技媒体Gaの一部は抽選孔132aに進入する。抽選孔132aに対する遊技媒体Gaの進入を契機として通常抽選が実行される。通常抽選は、利用者の当選/落選を抽選により決定する抽選処理である。通常抽選の具体例は後述する。
【0021】
供給装置135は、遊技媒体Gaまたは遊技媒体Gbを固定テーブル131の表面に供給する。遊技媒体Gbは、遊技媒体Gaとは別形状の有体物である。例えば球体が遊技媒体Gbとして利用される。遊技媒体Gbは、可動テーブル132の往復に連動して遊技媒体Gaともに前方に移動し、最終的には固定テーブル131から落下する。
【0022】
属性抽選装置14は、複数の属性λ1~λ3の何れかを無作為に選択するための抽選機構である。第1実施形態の属性抽選装置14は、周縁部と比較して中央部が低い略円板状の構造体(いわゆるクルーン)である。属性抽選装置14には、相異なる属性λiに対応する複数の抽選孔H1~H3が形成される。各抽選孔Hiは、球状の抽選体141が進入可能な貫通孔である。供給装置(図示略)から供給される抽選体141は、属性抽選装置14の上面で周方向に転動しながら中央部に徐々に接近し、最終的には複数の抽選孔H1~H3の何れかに進入する。複数の抽選孔H1~H3のうち抽選体141が進入した抽選孔Hiに対応する属性λiが、属性抽選装置14による抽選結果である。
【0023】
図4は、抽選システム1の構成を例示するブロック図である。中央ユニット20は、複数のステーション10により共用される抽選ユニットである。図1および図4に例示される通り、中央ユニット20は、支持体21と複数(3個)の抽選装置22_1~22_3と表示ユニット23と搬送装置24とを具備する。支持体21は、複数の抽選装置22_1~22_3と表示ユニット23と搬送装置24とを支持する構造体である。鉛直方向の回転軸を中心として支持体21が回転することで、複数の抽選装置22_1~22_3の何れかまたは表示ユニット23を、複数のステーション10の何れかの利用者に対向する状態に移動させることが可能である。
【0024】
複数の抽選装置22_1~22_3の各々は、第1特別抽選を実行する抽選機構であり、複数のステーション10により共用される。複数の抽選装置22_1~22_3の各々は、相異なる属性λiに対応する。各属性λiの第1特別抽選においては、複数の抽選装置22_1~22_3のうち当該属性λiに対応する抽選装置22_iが利用される。各抽選装置22_iは、特別賞の当選/落選を抽選する。複数の抽選装置22_1~22_3の各々の構造は相違する。すなわち、第1特別抽選の抽選方法は属性λi毎に相違する。以上の構成によれば、多様な第1特別抽選を実現できる。
【0025】
表示ユニット23は、様々な画像(静止画および動画)を表示する。搬送装置24は、前述の追加抽選に利用される機構である。図5は、表示ユニット23および搬送装置24の正面図である。図5に例示される通り、表示ユニット23は、表示装置231と表示装置232とを具備する。表示装置231および表示装置232の各々は、例えば液晶パネルまたは有機ELパネル等の表示パネルで構成され、画像を表示する。
【0026】
表示装置231と表示装置232とは、横方向に移動可能である。具体的には、表示装置231と表示装置232とは、横方向に移動することで相互に接近または離間する。表示ユニット23は、図5に例示される通り、表示装置231と表示装置232とが相互に隣接する第1状態と、表示装置231と表示装置232とが相互に離間する第2状態との一方から他方に制御される。第1状態において表示装置231および表示装置232の背後に位置する払出装置25が、第2状態においては表示装置231と表示装置232との間に露出する。第1特別抽選の結果が特別賞の当選である場合に、払出装置25は、多数の遊技媒体Gaをゲーム装置13に対して払出する。具体的には、固定テーブル131の上面と可動テーブル132の上面とに払出装置25から多数の遊技媒体Gaが払出される。
【0027】
第2状態において表示装置232は搬送装置24の背後に位置する。搬送装置24の背後に位置する表示装置232と当該搬送装置24とにより抽選装置26が構成される。抽選装置26は、図2の追加抽選を実行する抽選機構である。なお、抽選装置26の具体的な構成については後述する。表示装置232は「表示部」の一例である。
【0028】
図4に例示される通り、抽選システム1は、複数のステーション10と中央ユニット20とに加えて制御装置50と記憶装置55とを具備する。制御装置50は、抽選システム1の全体を制御する単数または複数のプロセッサである。具体的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置50が構成される。なお、制御装置50の機能の一部または全部を各ステーション10に搭載してもよい。
【0029】
記憶装置55は、制御装置50が実行するプログラムと制御装置50が使用する各種のデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置55は、例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、または、複数種の記録媒体の組合せで構成される。なお、抽選システム1に着脱される可搬型の記録媒体、または通信網を介した書込または読出が可能な記録媒体(例えばクラウドストレージ)を、記憶装置55として利用してもよい。
【0030】
図6は、通常ゲーム処理Saの手順を例示するフローチャートである。抽選システム1の動作中においては通常ゲーム処理Saが反復的に実行される。通常ゲーム処理Saは、複数のステーション10の各々について並列に実行される。
【0031】
通常ゲーム処理Saが開始されると、制御装置50は、固定テーブル131の前縁から遊技媒体Gaが落下したか否かを判定する(Sa1)。遊技媒体Gaが落下した場合(Sa1:YES)、制御装置50は、所定量の遊技媒体Gaを排出部123から排出させる(Sa2)。遊技媒体Gaが落下しない場合(Sa1:NO)、遊技媒体Gaの排出(Sa2)は実行されない。
【0032】
制御装置50は、可動テーブル132の抽選孔132aに遊技媒体Gaが落下したか否かを判定する(Sa3)。遊技媒体Gaが抽選孔132aに落下した場合(Sa3:YES)、制御装置50は、通常抽選を実行する(Sa4)。通常抽選は、当選/落選を抽選する抽選処理である。遊技媒体Gaが抽選孔132aに落下しない場合(Sa3:NO)、制御装置50は、処理をステップSa11に移行する。すなわち、通常抽選は実行されない。
【0033】
図7は、通常抽選において表示装置11に表示される画面(以下「抽選画面」という)の模式図である。図7に例示される通り、通常抽選は、ビデオスロットである。抽選画面には複数の回転部112が表示される。複数の回転部112の各々は、仮想的な円柱である。複数の回転部112の各々の外周面には複数の図柄が周方向に配列される。各回転部112の複数の図柄は、複数の数値(1~9)と1以上のオブジェクトOb(Ob1~Ob3)とを含む。各オブジェクトObは、通常抽選の結果に応じて各ステーション10に付与される要素(アイテム)である。各オブジェクトObは、複数の属性λ1~λ3の何れかに対応する。
【0034】
通常抽選において、制御装置50は、複数の回転部112の各々を回転させ、所定の時点で順次に停止させる。制御装置50は、全部の回転部112が停止した状態(以下「停止状態」と言う)で抽選画面に1個以上のオブジェクトObが表示されているか否かを判定する(Sa5)。抽選画面にオブジェクトObが表示されている場合(Sa5:YES)、制御装置50は、当該オブジェクトObをステーション10に付与する(Sa6)。記憶装置55は、複数の属性λ1~λ3の各々についてオブジェクトObの保有数Ni(N1~N3)を記憶する。属性λi毎の保有数Niは、過去の通常抽選において当該ステーション10に付与された当該属性λiのオブジェクトObの個数(積算値)である。ステップSa6において、制御装置50は、停止状態で抽選画面に表示されている各属性λiのオブジェクトObの個数を、当該属性λiの保有数Niに加算する。他方、停止状態で抽選画面にオブジェクトObが表示されていない場合(Sa5:NO)、オブジェクトObの付与(Sa6)は実行されない。すなわち、記憶装置55に記憶された各保有数Niは更新されない。以上の例示の通り、制御装置50は、複数のステーション10の各々について、当該ステーション10におけるゲームの進行(具体的には通常抽選の結果)に応じて、相異なる属性λiに対応する複数の保有数N1~N3の各々の数値を制御する。
【0035】
制御装置50は、通常抽選において当選条件が成立したか否かを判定する(Sa7)。具体的には、制御装置50は、停止状態において各回転部112の図柄が所定の組合せ(例えば同じ図柄の組合せ)である場合に当選条件が成立したと判定する。当選条件が成立した場合(Sa7:YES)、制御装置50は、図柄の組合せに応じた処理を実行する(Sa8)。
【0036】
例えば特定の数字が1列に配列した場合、制御装置50は、固定テーブル131上に遊技媒体Gbを供給するように供給装置135を制御する。また、例えば他の数字が1列に配列した場合、制御装置50は、当該ステーション10に抽選ステップを付与する。抽選ステップは、第2特別抽選を開始するために必要なオブジェクトである。具体的には、制御装置50は、記憶装置55に記憶された抽選ステップの保有数Kを増加させる。なお、当選条件の成立時に実行される動作は以上の例示に限定されない。
【0037】
制御装置50は、抽選ステップの保有数Kが所定値Kthに到達したか否かを判定する(Sa9)。保有数Kが所定値Kthに到達した場合(Sa9:YES)、制御装置50は、第2特別抽選を開始する(Sa10)。他方、保有数Kが所定値Kthを下回る場合(Sa9:NO)、制御装置50は、第2特別抽選を実行しない。第2特別抽選の詳細については後述する。なお、第2特別抽選を開始するための条件は、以上の例示(抽選ステップの収集)に限定されない。例えば、遊技媒体Gbが固定テーブル131から落下することを条件として第2特別抽選を開始してもよい。通常抽選において当選条件が成立しない場合(Sa7:NO)、図柄の組合せに応じた処理(Sa8)および第2特別抽選(Sa9,Sa10)は実行されない。
【0038】
制御装置50は、遊技媒体Gbが固定テーブル131から落下したか否かを判定する(Sa11)。遊技媒体Gbが落下した場合(Sa11:YES)、制御装置50は、第1特別抽選を開始するための条件が成立したか否かを判定する(Sa12)。例えば、遊技媒体Gbの落下を契機として開始される抽選処理の結果が当選であることを条件として第1特別抽選が開始される。また、例えば、遊技媒体Gbの落下毎に発生する抽選ステップの個数(積算値)が所定値に到達することを条件として第1特別抽選が開始されてもよい。なお、第1特別抽選を開始するための条件は、以上の例示に限定されず任意である。
【0039】
第1特別抽選の実行条件が成立した場合(Sa12:YES)、制御装置50は、第1特別抽選の権利(以下「特別抽選権」という)をステーション10に設定する(Sa13)。例えば、制御装置50は、記憶装置55に記憶されたフラグを無効状態から有効状態に変更する。他方、遊技媒体Gbが落下していない場合(Sa11:NO)、または第1特別抽選の実行条件が成立しない場合(Sa12:NO)、特別抽選権は付与されない。以上が通常ゲーム処理Saの具体的な手順である。
【0040】
図8は、抽選システム1の動作中に制御装置50が定常的に実行する処理の手順を例示するフローチャートである。例えば抽選システム1の起動を契機として図8の処理が開始される。
【0041】
図8の処理が開始されると、制御装置50は、図6を参照して前述した通常ゲーム処理Saを実行する。そして、制御装置50は、特別抽選権がステーション10に設定されているか否かを判定する(Sb)。特別抽選権が設定されていない場合(Sb:NO)、制御装置50は、通常ゲーム処理Saを実行する。すなわち、特別抽選権が付与されるまで通常ゲーム処理Saが反復される。
【0042】
特別抽選権がステーション10に設定されている場合(Sb:YES)、制御装置50は、複数の属性λ1~λ3のうち第1特別抽選に適用される属性λi(以下「第1選択属性λA」という)を複数の属性λ1~λ3から選択する(Sc)。第1実施形態の制御装置50は、属性抽選装置14を利用した抽選(以下「第1属性抽選」という)により複数の属性λ1~λ3(第1属性)の何れかを選択する。制御装置50は、属性抽選装置14の複数の抽選孔H1~H3のうち、抽選体141が落下した抽選孔Hiに対応する属性λiを、第1選択属性λAとして特定する。
【0043】
制御装置50は、第1選択属性λAの第1特別抽選を実行する(Sd)。すなわち、制御装置50は、複数の抽選装置22_1~22_3のうち第1選択属性λAに対応する抽選装置22_iを利用した第1特別抽選を実行する。具体的には、制御装置50は、特別抽選権が設定されたステーション10に複数の抽選装置22_1~22_3のうち第1選択属性λAの抽選装置22_iを接近させ、当該抽選装置22_iを利用した第1特別抽選により特別賞の当選/落選を抽選する。
【0044】
制御装置50は、第1特別抽選の結果が特別賞の当選であるか否かを判定する(Se)。第1特別抽選の結果が特別賞の当選である場合(Se:YES)、制御装置50は、設定処理Sfと特別処理Sgとを実行する。設定処理Sfは、第2抽選処理に適用される数値を設定するための処理である。設定処理Sfの具体的な手順については後述する。特別処理Sgは、特別賞の当選を演出する処理である。他方、第1特別抽選の結果が特別賞の当選でない場合、第1特別抽選の結果に応じた数量の遊技媒体Gaがゲーム装置13に払出される(Sh)。
【0045】
[特別処理Sg]
図9は、特別処理Sgの説明図である。図9に例示される通り、特別処理Sgは、複数の単位処理U(U1~U3,U2a,U3a)を含む処理である。複数の単位処理Uの各々は、演出処理X(X1~X3,Xc)と払出処理Y(Y1~Y3,Yc)とを含む。演出処理Xは、特別賞の当選を演出する処理である。具体的には、演出処理Xは、第2状態の表示ユニット23の表示装置231に演出用の動画を表示する処理である。払出処理Yは、遊技媒体Gaを払出装置25から払出する処理である。特別処理Sg内の複数の単位処理Uの払出処理Yにおいて払出される遊技媒体Gaの数量(以下「第1報酬量」という)W1は、複数の利用者が投入した遊技媒体Gaの数量に応じて設定される。例えば、複数の利用者が投入した遊技媒体Gaの総数量に対して所定の比率に相当する数量が第1報酬量W1として設定される。また、第1特別抽選により第1報酬量W1を決定してもよい。
【0046】
単位処理U1は、演出処理X1と払出処理Y1とを含む。払出処理Y1は、第1報酬量W1のうち数量E1の遊技媒体Gaを払出装置25により払出する処理である。演出処理X1は、払出処理Y1による遊技媒体Gaの払出を演出する動画像V1を表示装置231に表示する処理である。単位処理U1に並行して追加抽選L1が実行される。追加抽選L1は、第1報酬量W1に追加して払出される遊技媒体Gaの数量(以下「追加報酬量」という)A1を抽選する処理である。
【0047】
追加抽選L1の結果について所定の条件C1が成立する場合、単位処理U1に引続いて単位処理U2が実行される。条件C1は、追加報酬量A1が所定値Ath1を上回ることである。単位処理U2は、演出処理X2と払出処理Y2とを含む。払出処理Y2は、第1報酬量W1のうち数量E2の遊技媒体Gaを払出装置25により払出する処理である。演出処理X2は、払出処理Y2による遊技媒体Gaの払出を演出する動画像V2を表示装置231に表示する処理である。単位処理U2に並行して追加抽選L2が実行される。追加抽選L2は、第1報酬量W1に追加して払出される遊技媒体Gaの追加報酬量A2を抽選する処理である。
【0048】
追加抽選L2の結果について所定の条件C2が成立する場合、単位処理U2に引続いて単位処理U3が実行される。条件C2は、追加報酬量A2が所定値Ath2を上回ることである。単位処理U2は、演出処理X3と払出処理Y3とを含む。払出処理Y3は、数量E3の遊技媒体Gaを払出装置25により払出する処理である。数量E3は、第1報酬量W1から数量E1と数量E2とを差引いた残量である。すなわち、単位処理U1の払出処理Y1と単位処理U2の払出処理Y2と単位処理U3の払出処理Y3とにより第1報酬量W1の遊技媒体Gaが払出される。演出処理X3は、払出処理Y3による遊技媒体Gaの払出を演出する動画像V3を表示装置231に表示する処理である。
【0049】
演出処理X1と演出処理X2と演出処理X3とは、相互に連続する一連の演出を構成する。すなわち、演出処理X2は演出処理X1に連続し、演出処理X3は演出処理X2に連続する。具体的には、演出処理X2で表示される動画像V2の内容は、演出処理X1で表示される動画像V1の内容に連続し、演出処理X3で表示される動画像V3の内容は、演出処理X2で表示される動画像V2の内容に連続する。例えば、演出処理X1の動画像V1は、特定のキャラクタが洞窟内に進入する動画像であり、演出処理X2の動画像V2は、当該キャラクタが洞窟内を進行する動画像であり、演出処理X3の動画像V3は、当該キャラクタが洞窟内の目標地点に到達する動画像である。以上野通り、追加抽選L1の条件C1と追加抽選L2の条件C2とが成立した場合、利用者は、内容的に連続する一連の動画像V1~V3を視認することが可能である。
【0050】
単位処理U3に引続いて追加払出処理Zaが実行される。追加払出処理Zaは、追加抽選L1で決定された追加報酬量A1と追加抽選L2で決定された追加報酬量A2との合計値に相当する数量の遊技媒体Gaを払出装置25から払出する処理である。すなわち、条件C1および条件C2が成立した場合、第1報酬量W1に加えて追加報酬量A1および追加報酬量A2の遊技媒体Gaが払出される。
【0051】
追加抽選L1の結果について条件C1が成立しない場合(例えば追加報酬量A1が所定値Ath1を下回る場合)、単位処理U1に引続いて単位処理U2aが実行される。単位処理U2aは、共通演出処理Xcと払出処理Ycとを含む。払出処理Ycは、第1報酬量W1のうち数量E2と数量E3との合計値に相当する数量の遊技媒体Gaを払出装置25により払出する処理である。すなわち、単位処理U1の払出処理Y1と単位処理U2aの払出処理Ycとにより第1報酬量W1の遊技媒体Gaが払出される。
【0052】
単位処理U2aに引続いて追加払出処理Zbが実行される。追加払出処理Zbは、追加抽選L1で決定された追加報酬量A1に相当する数量の遊技媒体Gaを払出装置25から払出する処理である。すなわち、条件C1が成立しない場合、第1報酬量W1に加えて追加報酬量A1の遊技媒体Gaが払出される。以上の例示の通り、条件C1が成立しない場合には追加抽選L2は実行されない。
【0053】
また、追加抽選L2の結果について条件C2が成立しない場合(例えば追加報酬量A2が所定値Ath2を下回る場合)、単位処理U2に引続いて単位処理U3aが実行される。単位処理U3aは、共通演出処理Xcと払出処理Ycとを含む。払出処理Ycは、単位処理U3内の払出処理Y3と同様に、第1報酬量W1のうち数量E3の遊技媒体Gaを払出装置25により払出する処理である。すなわち、単位処理U1の払出処理Y1と単位処理U2の払出処理Y2と単位処理U3aの払出処理Y3とにより第1報酬量W1の遊技媒体Gaが払出される。
【0054】
共通演出処理Xcは、単位処理U2aと単位処理U3aとについて共通に用意された演出処理である。すなわち、共通演出処理Xcは、2以上の単位処理U(U1,U2)後の処理として共通に用意された演出処理である。具体的には、共通演出処理Xcは、演出処理X1の直後の演出としても演出処理X2の直後の演出処理としても内容的に不自然と知覚され難い動画像を表示装置231に表示する処理である。すなわち、共通演出処理Xcの動画像は、演出処理X2の動画像と比較して演出処理X1の動画像に対する関連性が低く、かつ、演出処理X3の動画像と比較して演出処理X2の動画像に対する関連性も低い。
【0055】
単位処理U3aに引続いて追加払出処理Zcが実行される。追加払出処理Zcは、追加払出処理Zaと同様に、追加抽選L1で決定された追加報酬量A1と追加抽選L2で決定された追加報酬量A2との合計値に相当する数量の遊技媒体Gaを払出装置25から払出する処理である。すなわち、条件C2が成立しない場合、第1報酬量W1に加えて追加報酬量A1および追加報酬量A2の遊技媒体Gaが払出される。
【0056】
以上に説明した特別処理Sgには、図10の参照データDが使用される。参照データDは、記憶装置55に記憶される。図10に例示される通り、参照データDは、第1報酬量W1の複数の数値範囲Rn(n=1~3)の各々について演出パターンPx_n(Px_1~Px_3)と払出パターンPy_n(Py_1~Py_3)とを対応付けるデータテーブルである。
【0057】
複数の数値範囲Rnは、第1報酬量W1に想定される値域を区分した範囲である。具体的には、数値範囲R1は、1000以上4999以下の範囲であり、数値範囲R2は、5000以上9999以下の範囲であり、数値範囲R3は、10000以上の範囲である。すなわち、数値範囲R2の下限値は数値範囲R1の上限値を上回り、かつ、数値範囲R3の下限値は数値範囲R2の上限値を上回る。
【0058】
各演出パターンPx_nは、演出処理X1~X3の各々に使用される動画像V(V1~V3)を指定するデータである。すなわち、数値範囲Rnに対応する演出パターンPx_nは、第1報酬量W1が当該数値範囲Rnに属する場合に各演出処理X(X1~X3)に使用される動画像V(V1~V3)を指定する。動画像V1は演出処理X1に使用され、動画像V2は演出処理X2に使用され、動画像V3は演出処理X3に使用される。以上の説明から理解される通り、演出処理Xの態様(具体的には動画像Vの時系列)を指定する演出パターンPx_nが、数値範囲Rn毎に設定される。したがって、参照データDを参照することで、複数の演出パターンPx_1~Px_3のうち第1報酬量W1に対応する演出パターンPx_nを特定することが可能である。各動画像Vは、任意の形式の動画データとして記憶装置55に記憶される。
【0059】
払出パターンPy_nは、払出処理Y1~Y3の各々において払出される遊技媒体Gaの数量E(E1~E3)を指定するデータである。すなわち、数値範囲Rnに対応する払出パターンPy_nは、第1報酬量W1が当該数値範囲Rnに属する場合の各払出処理Y(Y1~Y3)における数量E(E1~E3)を指定する。数量E1は、払出処理Y1において払出される遊技媒体Gaの数量であり、数量E2は、払出処理Y2において払出される遊技媒体Gaの数量である。また、数量E3は、払出処理Y3において払出される遊技媒体Gaの数量であり、第1報酬量W1から数量E1と数量E2とを差引いた数値である。以上の説明から理解される通り、払出処理Yの態様(具体的には数量Eの時系列)を指定する払出パターンPy_nが、数値範囲R毎に設定される。したがって、参照データDを参照することで、複数の払出パターンPy_1~Py_3のうち第1報酬量W1に対応する払出パターンPy_nを特定することが可能である。
【0060】
各数値範囲Rnに対応する演出パターンPx_nの動画像V1は、当該数値範囲Rnの払出パターンPy_nが指定する数量E1の遊技媒体Gaの払出に好適な時間長に設定される。前述の通り、数値範囲R2の下限値は数値範囲R1の上限値を上回る。したがって、数値範囲R2に対応する演出パターンPx_2が演出処理X1に指定する動画像V1は、数値範囲R1に対応する演出パターンPx_1が演出処理X1に指定する動画像V1よりも長い。また、数値範囲R3の下限値は数値範囲R2の上限値を上回る。したがって、数値範囲R3に対応する演出パターンPx_3が演出処理X1に指定する動画像V1は、数値範囲R2に対応する演出パターンPx_2が演出処理X1に指定する動画像V1よりも長い。同様に、各数値範囲Rnに対応する演出パターンPx_nが演出処理X2に指定する動画像V2は、払出パターンPy_nが払出処理Y2に指定する数量E2に好適な時間長に設定される。また、各数値範囲Rnに対応する演出パターンPx_nが演出処理X3に指定する動画像V3は、払出パターンPy_nが払出処理Y3に指定する数量E3に好適な時間長に設定される。以上の説明から理解される通り、各単位処理U(U1~U3)内の演出処理Xに使用される動画像Vは、当該単位処理U内の払出処理Yの所要時間に応じた時間長に設定される。
【0061】
図11は、特別処理Sgの手順を例示するフローチャートである。図8を参照して前述した通り、第1特別抽選の当選を条件として特別処理Sgが実行される。複数のステーション10のうち特別抽選権が設定されたステーション10(以下「当選ステーション10」という)について特別処理Sgが実行される。
【0062】
特別処理Sgが開始されると、制御装置50は、表示ユニット23が当選ステーション10を向くように中央ユニット20を制御し、かつ、表示ユニット23を第1状態から第2状態に変化させる(Sg1)。表示ユニット23が第2状態に遷移することで、搬送装置24と表示装置232とを含む抽選装置26が構成される。
【0063】
制御装置50は、記憶装置55に記憶された参照データDを参照することで、複数の数値範囲R1~R3のうち、今回の特別賞に係る第1報酬量W1を含む数値範囲Rnに対応する演出パターンPx_nおよび払出パターンPy_nを決定する(Sg2)。すなわち、制御装置50は、第1特別抽選の結果が特別賞の当選である場合に、当該特別賞の第1報酬量W1に応じて演出処理Xおよび払出処理Yを決定する。
【0064】
制御装置50は、単位処理U1を実行する(Sg3)。単位処理U1は、演出パターンPx_nが指定する動画像V1を表示装置231に表示させる演出処理X1と、払出パターンPy_nが指定する数量E1の遊技媒体Gaを払出装置25に払出させる払出処理Y1とを含む。
【0065】
制御装置50は、追加抽選L1における追加報酬量A1の目標となる所定値Ath1と、追加抽選の方法を利用者に案内する情報とを当選ステーション10の表示装置11に表示させる(Sg4)。なお、制御装置50は、所定値Ath1と追加抽選の案内とを表示装置231に表示してもよい。制御装置50は、抽選装置26を利用した追加抽選L1を実行する(Sg5)。前述の通り、追加抽選L1は、単位処理U1と並行に実行される。追加抽選L1の具体例については後述する。
【0066】
制御装置50は、追加抽選L1の結果について条件C1が成立するか否かを判定する(Sg6)。具体的には、制御装置50は、追加報酬量A1が所定値Ath1を上回るか否かを判定する。条件C1が成立しない場合(Sg6:NO、A1<Ath1)、制御装置50は、単位処理U2aを実行する(Sg7)。単位処理U2aは、前述の通り、共通演出処理Xcと払出処理Ycとを含む。また、制御装置50は、追加抽選L1で決定された追加報酬量A1の遊技媒体Gaを払出する追加払出処理Zbを実行する(Sg8)。以上の処理を実行すると、制御装置50は、図8の通常ゲーム処理Saに処理を移行する。
【0067】
他方、条件C1が成立する場合(Sg6:YES、A1>Ath1)、制御装置50は、単位処理U2を実行する(Sg9)。単位処理U2は、演出パターンPx_nが指定する動画像V2を表示装置231に表示させる演出処理X2と、払出パターンPy_nが指定する数量E2の遊技媒体Gaを払出装置25に払出させる払出処理Y2とを含む。
【0068】
制御装置50は、追加抽選L2における追加報酬量A2の目標となる所定値Ath2と、追加抽選の方法を利用者に案内する情報とを当選ステーション10の表示装置11に表示させる(Sg10)。なお、制御装置50は、所定値Ath2と追加抽選の案内とを表示装置231に表示してもよい。制御装置50は、抽選装置26を利用した追加抽選L2を実行する(Sg11)。前述の通り、追加抽選L2は、単位処理U2と並行に実行される。追加抽選L2の具体例については後述する。
【0069】
制御装置50は、追加抽選L2の結果について条件C2が成立するか否かを判定する(Sg12)。具体的には、制御装置50は、追加報酬量A2が所定値Ath2を上回るか否かを判定する。条件C2が成立しない場合(Sg12:NO、A2<Ath2)、制御装置50は、単位処理U3aを実行する(Sg13)。単位処理U3aは、前述の通り、共通演出処理Xcと払出処理Ycとを含む。払出処理Ycにおいては、数量E3の遊技媒体Gaが払出される。また、制御装置50は、追加報酬量A1と追加報酬量A2との合計値に相当する数量の遊技媒体Gaを払出する追加払出処理Zcを実行する(Sg14)。以上の処理を実行すると、制御装置50は、図8の通常ゲーム処理Saに処理を移行する。
【0070】
他方、条件C2が成立する場合(Sg12:YES、A2>Ath2)、制御装置50は、単位処理U3を実行する(Sg15)。単位処理U3は、演出パターンPx_nが指定する動画像V3を表示装置231に表示させる演出処理X3と、払出パターンPy_nが指定する数量E3の遊技媒体Gaを払出装置25に払出させる払出処理Y3とを含む。また、単位処理U3に引続いて、制御装置50は、追加報酬量A1と追加報酬量A2との合計値に相当する数量の遊技媒体Gaを払出する追加払出処理Zaを実行する(Sg16)。以上の処理を実行すると、制御装置50は、図8の通常ゲーム処理Saに処理を移行する。なお、単位処理U1および単位処理U2と同様に、単位処理U3に並行して追加抽選Lを実行してもよい。
【0071】
図12は、特別処理Sgに関する制御装置50の機能的な構成を例示するブロック図である。図12に例示される通り、記憶装置55に記憶されたプログラムを実行することで、制御装置50は複数の機能(決定部511、処理部512、抽選部513および払出部514)を実現する。
【0072】
決定部511は、利用者が特別賞に当選した場合(Se:YES)に演出処理Xを決定する(Sg2)。具体的には、決定部511は、第1報酬量W1(すなわち特別賞による遊技媒体Gaの払出数量)に応じて演出処理Xを決定する。第1実施形態の決定部511は、複数の数値範囲Rn(R1~R3)の各々について演出処理X(演出パターンPx_n)を対応付ける参照データDを参照することで、複数の数値範囲Rnのうち第1報酬量W1を含む数値範囲Rnに対応する演出処理Xを決定する。
【0073】
処理部512は、決定部511が決定した演出処理Xと第1報酬量W1の遊技媒体Gaを払出する払出処理Yとを含む当選処理を実行する。当選処理は、演出処理Xと払出処理Yとを各々が含む複数の単位処理Uを含む。複数の単位処理Uの各々は、第1報酬量W1のうち単位処理U毎に設定された数量Eの遊技媒体Gaを払出する払出処理Y(Y1~Y3)を含む。
【0074】
抽選部513は、当選処理に並行して利用者について追加抽選L(L1,L2)を実行する。具体的には、抽選部513は、複数の単位処理Uのうち単位処理U1に並行して追加抽選L1を実行し、単位処理U2に並行して追加抽選L2を実行する。処理部512は、単位処理U(U1,U2)に並行する追加抽選Lの結果に応じて、複数の単位処理Uのうち当該単位処理U後の単位処理Uの態様を変化させる。
【0075】
具体的には、処理部512は、追加抽選L1の結果が第1結果である場合(条件C1が成立する場合)には、単位処理U1内の演出処理X1に連続する演出処理X2を含む単位処理U2を実行する。他方、処理部512は、追加抽選L1の結果が第2結果である場合(条件C1が成立しない場合)には、複数の単位処理Uについて共通に用意された共通演出処理Xcを含む単位処理U2aを実行する。また、処理部512は、追加抽選L2の結果が第1結果である場合(条件C2が成立する場合)には、単位処理U2内の演出処理X2に連続する演出処理X3を含む単位処理U3を実行する。他方、処理部512は、追加抽選L2の結果が第2結果である場合(条件C2が成立しない場合)には、共通演出処理Xcを含む単位処理U3aを実行する。
【0076】
複数の単位処理Uのうち任意の1個の単位処理Uが「第1単位処理」に相当し、当該単位処理U後に実行される単位処理Uが「第2単位処理」に相当する。例えば、単位処理U1を「第1単位処理」とした場合、単位処理U2または単位処理U2aが「第2単位処理」に相当する。また、単位処理U2を「第1単位処理」とした場合、単位処理U3または単位処理U3aが「第2単位処理」に相当する。第1単位処理内の演出処理Xが「第1演出処理」に相当し、第2単位処理内の演出処理Xが「第2演出処理」に相当する。
【0077】
追加抽選Lの結果を、第1結果および第2結果と表現する。第1結果の具体例は、条件C(C1,C2)が成立することであり、例えば追加報酬量Aが所定値Ath(Ath1,Ath2)を上回ることである。第2結果の具体例は、条件C(C1,C2)が成立しないことであり、例えば追加報酬量Aが所定値Athを下回ることである。なお、追加報酬量Aが所定値Athに等しい場合には、第1結果および第2結果の何れと判定されてもよい。払出部514は、追加抽選Lにより決定された追加報酬量A(A1,A2)の遊技媒体Gaを払出装置25により払出する。
【0078】
以上の説明から理解される通り、第1実施形態においては、利用者が特別賞に当選した場合の当選処理(単位処理U1または単位処理U2)に並行して、当該利用者について追加抽選L(L1,L2)が実行される。したがって、利用者が特別賞の当選時に演出処理Xおよび払出処理Yを観覧するだけの構成と比較して、当選処理の実行中にも利用者による期待感を維持できる。また、第1実施形態においては、単位処理Uに並行する追加抽選Lの結果に応じて当該単位処理U後の単位処理Uの態様が変化するから、追加抽選Lに対する利用者の期待感を維持し易いという利点もある。
【0079】
第1実施形態においては、追加抽選Lにより決定された追加報酬量Aの遊技媒体Gaが払出されるから、当選処理の実行中にも利用者による期待感を維持できるという効果は格別に顕著である。また、追加報酬量Aの決定と単位処理Uの態様の決定とに追加抽選Lが兼用されるから、追加報酬量Aと単位処理Uの態様とが相異なる要素により決定される構成と比較して、抽選システム1の構成または動作が簡素化される。
【0080】
第1実施形態においては、第1報酬量W1に応じて演出処理Xが決定されるから、払出処理Yにより払出される遊技媒体Gaの数量Eに対して適切な演出処理Xを実行できる。例えば、遊技媒体Gaの払出の数量Eが多いほど(遊技媒体Gaの払出に必要な時間が長いほど)、長時間の演出処理Xを決定することが可能である。第1実施形態においては特に、単位処理U毎に設定された数量Eの遊技媒体Gaが各単位処理Uの払出処理Yにおいて払出される。したがって、各単位処理Uにおける演出処理Xの時間長を、当該単位処理Uの払出処理Yによる払出の数量Eに応じた適切な時間に設定できる。また、第1報酬量W1に応じた演出処理Xを参照データDの参照により簡便に決定できるという利点もある。
【0081】
[抽選装置26を利用した追加抽選L]
抽選装置26を利用した追加抽選Lについて以下に詳述する。図13は、抽選装置26を水平方向からみた正面図であり、図14は、抽選装置26を鉛直方向の上方からみた平面図である。以下の説明においては、相互に直交するx軸とy軸とz軸とを想定する。z軸は鉛直方向に沿う軸線である。したがって、x-y平面は水平面に相当する。x軸の方向は、利用者の左右の方向(抽選システム1の平面視における周方向)に相当する。y軸の方向は、利用者の前後の方向(抽選システム1の平面視における径方向)に相当する。図15は、搬送装置24をx軸の正方向の地点(図13における右側)からみた側面図である。
【0082】
前述の通り、第1実施形態の抽選装置26は、搬送装置24と表示装置232とを具備する。表示装置232は、搬送装置24からみてy軸の負方向(すなわち当選ステーション10の利用者からみて搬送装置24の背後)に位置する。具体的には、表示装置232は、画像が表示される表示面232aをy軸の正方向(すなわち利用者側)に向けた状態で、搬送装置24に対してz軸の正方向(すなわち鉛直方向の上方)に突出する。
【0083】
搬送装置24は、追加抽選Lに利用される抽選体40を搬送する機構である。抽選体40は、転動可能な球状の構造体である。図13から図15に例示される通り、搬送装置24は、搬送体30と駆動装置34と待機経路35と帰還経路36と複数の隔壁部37(37_1~37_4)と可動体38とを具備する。なお、図14においては駆動装置34の図示が便宜的に省略されている。
【0084】
搬送体30は、抽選体40を保持した状態で所定の場所(以下「目標場所」という)に搬送する。第1実施形態における目標場所は、複数の目標地点Q1~Q3を含む。搬送体30は、複数の目標地点Q1~Q3のうち何れかの目標地点Qk(k=1~3)に抽選体40を搬送する。x軸上における各目標地点Qkの位置は相違する。複数の目標地点Q1~Q3から選択された1個の目標地点Qk1(k1=1~3)が「第1目標地点」の一例であり、他の目標地点Qk2(k2=1~3,k2≠k1)が「第2目標地点」の一例である。
【0085】
第1実施形態の搬送体30は、回転体31と複数の保持部32(32_1~32_3)と複数の突起部33とを含む。回転体31は、x軸に平行な回転軸Axを中心として回転する円柱状の構造体である。回転軸Axは、回転体31の中心軸である。なお、以下の説明においては、回転軸Axを中心とした任意径の仮想円の円周の方向を「周方向」と表記する。駆動装置34は、回転体31を所定の速度(角速度)で回転させるモータ等の電動機である。図15に例示される通り、回転体31は、x軸の正方向に位置する地点からみて時計回りに回転する。したがって、回転体31の外面31aのうちy軸の正方向に位置する部分はz軸の正方向に移動する。
【0086】
複数の保持部32の各々は、抽選体40を保持する構造体である。複数の保持部32は、回転体31の外面31aに相互に間隔をあけて設置される。第1実施形態の各保持部32は、回転体31の外面31aから突出する円柱状の突起である。各保持部32は、永久磁石で構成され、抽選体40を磁力により保持する。図15に例示される通り、回転体31が回転することで、各保持部32に保持された抽選体40は周方向に搬送される。以上の構成によれば、回転体31の回転という簡便な制御により抽選体40を搬送でき、かつ、搬送体30の設置に必要なスペースを削減できるという利点がある。
【0087】
図16は、抽選体40の断面図である。図16に例示される通り、抽選体40は、基体部41と複数の永久磁石42とを具備する。基体部41は、球状の空間が内部に形成された中空の構造体である。例えば半球状の構造体を接合することで基体部41が構成される。基体部41は、非磁性材料で形成される。なお、抽選体40の形状は任意であり、完全な球体である必要はない。例えば、転動可能な多面体で基体部41が形成された構成、または、基体部41の表面に複数の突起が形成された構成も想定される。
【0088】
基体部41の内周面には複数の収容部411が形成される。各収容部411は円形状の窪みである。各収容部411の底面には、基体部41の中心に向けて当該底面から突出する円柱状の突起部412が形成される。複数の収容部411の各々には、円環状の永久磁石42が収容される。収容部411の外径と永久磁石42の外径とは略一致し、収容部411の内径(突起部412の外径)と永久磁石42の内径とは略一致する。突起部412は永久磁石42を貫通する。永久磁石42の外周面が収容部411の内周面に密着し、かつ、永久磁石42の内周面が突起部412の外周面に密着することで、基体部41の内周面に永久磁石42が固定される。基体部41の内周面には、複数の永久磁石42が略均等に分散して配置される。なお、複数の永久磁石42を不均等に配置してもよい。なお、以上の例示の通り、永久磁石42に突起部412が挿入されることで当該永久磁石42は位置決めされる。永久磁石42の外周面が収容部411の内周面に密着する構成等、突起部412によらず永久磁石42が位置決めされる構成であれば、突起部412は省略されてもよい。したがって、永久磁石42の形状は、円環状に限定されず任意である。
【0089】
各保持部32と抽選体40の各永久磁石42との間に発生する磁力により抽選体40は保持部32に保持される。以上の構成によれば、例えば抽選体40が載置される容器状の保持部32を採用した構成と比較して、抽選体40と保持部32との接触が低減される。したがって、抽選体40と保持部32との接触に起因した各々の摩耗または破損を抑制できる。
【0090】
前述の通り、複数の永久磁石42は抽選体40の内周面に分散して配置される。したがって、各保持部32と抽選体40との間に発生する磁力は、保持部32に対する抽選体40の方向に応じて変化する。例えば、抽選体40の表面のうち相異なる第1領域と第2領域とに着目する。第1領域は、永久磁石42に重なる領域である。第2領域は、永久磁石42に重ならない領域である。抽選体40の第1領域が保持部32に対向する状態で抽選体40と保持部32との間に作用する磁力と、第2領域が保持部32に対向する状態で抽選体40と保持部32との間に作用する磁力とは相違する。具体的には、第1領域が保持部32に対向する状態における磁力は、第2領域が保持部32に対向する状態における磁力を上回る。以上の通り、保持部32との間に発生する磁力が抽選体40の表面の位置に応じて相違するから、抽選体40が保持部32に保持されるか否かのランダム性を確保し易いという利点がある。
【0091】
図13および図14に例示される通り、回転体31の外面31aは、相異なる目標地点Qkに対応する複数の搬送領域Fa_1~Fa_3を含む。搬送領域Fa_1は目標地点Q1に対応し、搬送領域Fa_2は目標地点Q2に対応し、搬送領域Fa_3は目標地点Q3に対応する。具体的には、x軸上において搬送領域Fa_kの範囲内に目標地点Qkが位置する。搬送領域Fa_1は搬送領域Fa_2からみてx軸の負方向に位置し、搬送領域Fa_3は搬送領域Fa_2からみてx軸の正方向に位置する。
【0092】
複数の保持部32は、複数の保持部32_1と複数の保持部32_2と複数の保持部32_3とを含む。複数の保持部32_1は搬送領域Fa_1内に設置される。すなわち、複数の保持部32_1は、目標地点Q1に対応する。具体的には、複数の保持部32_1は、回転軸Axの方向において目標地点Q1に対応する位置に設置される。例えば、x軸上における各保持部32_1の位置と、x軸上における目標地点Q1の位置とは略一致する。複数の保持部32_1は、回転体31の周方向に相互に間隔をあけて搬送領域Fa_1内に配列される。
【0093】
同様に、複数の保持部32_2は、回転体31の周方向に相互に間隔をあけて搬送領域Fa_2内に配列される。すなわち、複数の保持部32_2の各々は、目標地点Q2に対応する。具体的には、複数の保持部32_2は、回転軸Axの方向において目標地点Q2に対応する位置に設置される。また、複数の保持部32_3は、回転体31の周方向に相互に間隔をあけて搬送領域Fa_3内に配列される。すなわち、複数の保持部32_3の各々は、目標地点Q3に対応する。具体的には、複数の保持部32_3は、回転軸Axの方向において目標地点Q3に対応する位置に設置される。
【0094】
以上の構成において、複数の保持部32_1の何れかに保持された抽選体40は、回転体31の回転により周方向に移動して目標地点Q1に到達する。同様に、保持部32_2に保持された抽選体40は目標地点Q2に搬送され、保持部32_3に保持された抽選体40は目標地点Q3に搬送される。なお、回転体31の周方向における保持部32_1の位置と保持部32_2の位置と保持部32_3の位置とは、相互に一致してもよいし相違してもよい。複数の保持部32のうち保持部32_k1が「第1保持部」の一例であり、保持部32_k2が「第2保持部」の一例である。
【0095】
複数の突起部33は、回転体31の外面31aに相互に間隔をあけて設置される。搬送領域Fa_1と搬送領域Fa_2と搬送領域Fa_3との各々に1個以上の突起部33が設置される。各突起部33は、回転体31の外面31aから突出する。具体的には、回転体31の周方向に相互に間隔をあけて隣合う2個の保持部32の間に突起部33が設置される。第1実施形態の各突起部33は、回転体31の周方向に対して傾斜する方向に螺旋状に延在する長尺状の突起である。各突起部33は、非磁性材料で形成される。したがって、抽選体40は各突起部33には付着しない。
【0096】
待機経路35は、保持部32により保持されるまで抽選体40が移動する経路である。待機経路35は、回転体31の外面31aの周囲において回転軸Axに沿って延在する。具体的には、待機経路35は、回転体31に対してy軸の正方向に設置される。待機経路35は、抽選体40の外径を下回る間隔をあけて回転体31の外面31aに併設される。抽選体40は、待機経路35の上面(以下「経路面」という)sAにおいてx軸の方向(正方向および負方向)に転動する。図15に例示される通り、待機経路35の経路面sAは、回転体31の回転軸Axと比較して低い位置にある。図14に例示される通り、待機経路35には、当該待機経路35の外縁に沿う柵部35aが設置される。柵部35aは、経路面sAからの抽選体40の落下を防止するための構造体である。なお、図13においては柵部35aの図示が便宜的に省略されている。
【0097】
待機経路35の経路面sAを移動する抽選体40は、回転体31の回転により周方向に移動する複数の保持部32_1~32_3の何れかにより保持される。具体的には、複数の保持部32_1~32_3の何れかが経路面sAの近傍に到達した時点において、待機経路35上において抽選体40が当該保持部32_kに接近した場合に、抽選体40は当該保持部32_kに保持される。そして、抽選体40は、保持部32_kにより保持された状態で周方向に移動し、最終的には目標地点Qkに到達する。以上の説明から理解される通り、複数の保持部32の何れかに保持されるまで抽選体40は待機経路35上を移動する。したがって、複数の保持部32の何れに抽選体40が保持されるのかを利用者が即座には把握できない興趣性の高い抽選を実現できる。
【0098】
複数の突起部33は、回転体31の回転により周方向に移動し、待機経路35を転動する抽選体40に衝突することで当該抽選体40を付勢する。各突起部33の衝突により、抽選体40は待機経路35上で不規則に移動する。したがって、複数の保持部32の何れに抽選体40が保持されるのかを利用者が即座には把握できない興趣性の高い抽選が実現される。
【0099】
図13に例示される通り、経路面sAは、水平面に対して傾斜する傾斜面である。具体的には、経路面sAは、保持部32_2に対応する地点p2が、保持部32_1に対応する地点p1および保持部32_3に対応する地点p3と比較して低い曲面である。地点p2は、経路面sAのうちx軸の方向における中央の近傍の地点である。地点p1は、経路面sAのうちx軸の負方向に位置する端部の近傍の地点である。地点p3は、経路面sAのうちx軸の正方向に位置する端部の近傍の地点である。なお、地点p2は「第1地点」の一例であり、地点p1および地点p3は「第2地点」の一例である。
【0100】
以上の説明から理解される通り、待機経路35の経路面sAのうち地点p2に位置する場合の抽選体40の高さは、当該経路面sAのうち地点p1または地点p3に位置する場合の抽選体40の高さよりも低い。したがって、抽選体40が地点p2の近傍に位置する確率は、抽選体40が地点p1または地点p3の近傍に位置する確率を上回る。すなわち、複数の保持部32のうち地点p2に近い保持部32_2に抽選体40が保持される確率は、地点p1に近い保持部32_1または地点p3に近い保持部32_3に抽選体40が保持される確率よりも高い。以上の構成によれば、複数の目標地点Q1~Q3の各々に抽選体40が到達する確率を相違させることが可能である。具体的には、複数の目標地点Q1~Q3のうち回転軸Axの方向における位置が地点p2に近い目標地点Q2に抽選体40が到達する可能性を高めることが可能である。
【0101】
図14の帰還経路36は、複数の目標地点Q1~Q3の何れかに到達した抽選体40を搬送体30に向けて帰還させる経路である。第1実施形態の帰還経路36は、第1経路361と第2経路362とを含む。第1経路361は、回転体31の外面31aの周囲において回転軸Axに沿って延在する。具体的には、第1経路361は、回転体31に対してy軸の負方向に位置する。第1経路361は、抽選体40の外径を下回る間隔をあけて回転体31の外面31aに併設される。図15に例示される通り、第1経路361の上面(以下「経路面」という)sBは、回転体31の回転軸Axと比較して高い位置にある。図13に例示される通り、第1経路361の経路面sBは、水平面に対して傾斜する。具体的には、経路面sBは、x軸の正方向の端部が負方向の端部と比較して低い傾斜面である。したがって、第1経路361に供給される抽選体40は、自重によりx軸の正方向に転動する。
【0102】
複数の隔壁部37_1~37_4は、相異なる目標地点Qkに対応する複数の通路q1~q3を形成する構造体であり、第1経路361の経路面sBに設置される。複数の隔壁部37_1~37_4は、相互に間隔をあけてx軸の方向に配列する。図14に例示される通り、隔壁部37_1と隔壁部37_2との間隔は、目標地点Q1に対応する通路q1である。隔壁部37_2と隔壁部37_3との間隔は、目標地点Q2に対応する通路q2である。隔壁部37_3と隔壁部37_4との間隔は、目標地点Q3に対応する通路q3である。
【0103】
搬送体30のうち搬送領域Fa_k内の保持部32_kに保持された状態で搬送された抽選体40は、通路qk内において第1経路361の経路面sBに衝突することで保持部32_kから離間する。保持部32_kに保持された抽選体40が第1経路361の経路面sBに衝突する地点が目標地点Qkである。すなわち、目標地点Q1は通路q1内に位置し、目標地点Q2は通路q2内に位置し、目標地点Q3は通路q3内に位置する。目標地点Qkに到達することで保持部32_kから離間した抽選体40は、第1経路361上をx軸の正方向に転動する。
【0104】
隔壁部37_1には、目標地点Q1に到達した抽選体40を検出する検出器39_1が設置される。同様に、隔壁部37_2には、目標地点Q2に到達した抽選体40を検出する検出器39_2が設置され、隔壁部37_3には、目標地点Q3に到達した抽選体40を検出する検出器39_3が設置される。各検出器39_kは、例えば、発光素子と受光素子とで構成される光学センサ、または、抽選体40の接触を検出する機械式センサである。制御装置50は、各検出器39_kが生成する検出信号を解析することで、複数の目標地点Q1~Q3の何れかに抽選体40が到達したことを検出する。抽選体40が各検出器39_kにより検出される地点を目標地点Qkと表現してもよい。各隔壁部37_kにおける検出器39_kの位置を適宜に調整することで、例えば、保持部32_kに保持された抽選体40が経路面sBに衝突する前の地点を目標地点Qkとすることが可能である。なお、抽選体40が保持部32_kから離間して通路qkを所定の距離だけ移動した地点を目標地点Qkとしてもよい。
【0105】
第2経路362は、第1経路361と待機経路35とを連結する経路である。具体的には、第2経路362は、第1経路361におけるx軸の正方向の端部と、待機経路35におけるx軸の正方向の端部とを連結するようにy軸に沿って延在する。第2経路362の上面(以下「経路面」という)sCは、水平面に対して傾斜する。具体的には、経路面sCは、y軸の正方向の端部(すなわち待機経路35側の端部)が負方向の端部(すなわち第1経路361側の端部)と比較して低い傾斜面である。したがって、第2経路362に供給される抽選体40は、自重によりy軸の正方向に転動する。第2経路362には、当該第2経路362の外縁に沿う柵部363が設置される。柵部363は、経路面sCからの抽選体40の落下を防止するための構造体である。
【0106】
以上の説明から理解される通り、複数の目標地点Q1~Q3の何れかに到達した抽選体40は、第1経路361の経路面sBをx軸の正方向に転動することで第2経路362に到達し、第2経路362の経路面sCをy軸の正方向に転動することで待機経路35に帰還する。すなわち、抽選体40は、待機経路35→搬送体30→目標地点Qk(通路qk)→第1経路361→第2経路362→待機経路35、という経路で循環する。
【0107】
以上の例示から理解される通り、第1実施形態においては、目標地点Qkに到達した抽選体40が帰還経路36を経由して搬送体30に帰還する。したがって、搬送体30に向けて外部から抽選体40を供給する機構を必要とせずに、抽選体40を利用した追加抽選Lを反復することが可能である。目標地点Qから待機経路35までは抽選体40は自重により転動する。したがって、目標地点Qから待機経路35まで抽選体40を移動させる外部動力は不要である。
【0108】
図14に例示される通り、帰還経路36には可動体38が設置される。具体的には、第1経路361と第2経路362との境界の近傍に可動体38が設置される。図17は、可動体38の説明図である。可動体38は、制御装置50による制御のもとz軸の方向に移動可能な壁状の構造体である。図17に例示される通り、可動体38は、阻止状態および解放状態の一方に制御される。阻止状態は、可動体38が第1経路361の経路面sBから突出する状態である。可動体38が阻止状態にある場合、第1経路361を転動する抽選体40は当該可動体38に衝突することで停止し、第2経路362には進入しない。すなわち、阻止状態は、帰還経路36を搬送体30に向かう抽選体40の移動を可動体38により阻止する状態である。他方、解放状態は、可動体38が第1経路361の経路面sBから突出しない状態である。可動体38が解放状態にある場合、第1経路361を転動する抽選体40は、可動体38の上方を通過して第2経路362に進入する。すなわち、解放状態は、帰還経路36を搬送体30に向かう抽選体40の移動を許容する状態である。以上の通り、帰還経路36に設置された可動体38が阻止状態と解放状態との何れかに制御される。したがって、可動体38の状態を制御することで、搬送体30に向けて抽選体40が供給される時点を制御できる。
【0109】
図13に例示される通り、表示装置232の表示面232aは、相異なる目標地点Qkに対応する複数の表示領域Fb_1~Fb_3を含む。各表示領域Fb_kは、z軸に沿って延在する帯状の領域である。表示領域Fb_1は表示領域Fb_2からみてx軸の負方向に位置し、表示領域Fb_3は表示領域Fb_2からみてx軸の正方向に位置する。表示領域Fb_1は目標地点Q1に対応し、表示領域Fb_2は目標地点Q2に対応し、表示領域Fb_3は目標地点Q3に対応する。具体的には、x軸上において表示領域Fb_kの範囲内に目標地点Qkが位置する。各搬送領域Fa_kと各表示領域Fb_kとが相互に対応すると換言してもよい。複数の表示領域Fb_1~Fb_3のうちひとつの表示領域Fb_k1が「第1表示領域」の一例であり、他のひとつの表示領域Fb_k2が「第2表示領域」の一例である。
【0110】
図13に例示される通り、各表示領域Fb_kに対してz軸の負方向に目標地点Qkおよび搬送領域Fa_kが位置する。表示面232aには抽選領域Fcが設定される。抽選領域Fcは、各表示領域Fb_kのうち目標地点Qkに最も近い領域(すなわち表示領域Fb_kの下端部)である。
【0111】
表示装置232は、制御装置50による制御のもとで各表示領域Fb_kに要素列Mk(M1~M3)を表示する。各要素列Mkは、相異なる複数の抽選要素mの配列である。各抽選要素mは、例えば数値である。表示装置232は、各表示領域Fb_kに表示される要素列Mkを経時的に変化させる。具体的には、表示装置232は、要素列Mkをz軸の負方向に移動(スクロール)させる。すなわち、表示装置232は、要素列Mkを構成する各抽選要素mを目標地点Qkに向けて移動させる。例えば、表示領域Fb_1に表示される各抽選要素mは目標地点Q1に向けて移動し、表示領域Fb_2に表示される各抽選要素mは目標地点Q2に向けて移動し、表示領域Fb_3に表示される各抽選要素mは目標地点Q3に向けて移動する。各表示領域Fb_kにおいては、要素列Mkの複数の抽選要素mの何れかが抽選領域Fc内に位置する。表示領域Fb_k内において要素列Mkが移動することで、抽選領域Fc内に位置する抽選要素mが刻々と変化する。制御装置50は、複数の目標地点Q1~Q3の何れかに抽選体40が到達したことに応じて抽選要素mを抽選結果として特定する。具体的には、制御装置50は、目標地点Qkに抽選体40が到達した時点において、複数の表示領域Fb_1~Fb_3のうち当該目標地点Qkに対応する表示領域Fb_kの抽選領域Fc内に表示されている抽選要素mを、抽選結果として特定する。なお、目標地点Qkに抽選体40が到達した時点から例えば所定の時間が経過した時点において表示領域Fb_k内の抽選領域Fc内に表示されている抽選要素mを、制御装置50が抽選結果として特定してもよい。すなわち、抽選体40が目標地点Qkに到達する時点と、抽選結果が確定する時点とは、必ずしも一致する必要はない。
【0112】
図18は、以上に例示した抽選装置26を利用した追加抽選Lの具体的な手順を例示するフローチャートである。前述の通り、特別処理SgにおけるステップSg5およびステップSg11において図18の追加抽選Lが実行される。追加抽選Lが開始される時点においては可動体38が阻止状態に維持され、抽選体40は第1経路361上に停止している。
【0113】
追加抽選Lが開始されると、制御装置50は、駆動装置34を制御することで回転体31の回転を開始させる(La1)。制御装置50は、表示装置232の各表示領域Fb_kに要素列Mkを表示させ、各要素列Mkの複数の抽選要素mを目標地点Qkに向けて移動させる(La2)。
【0114】
以上の処理により回転体31の回転と表示装置232による表示とが維持された状態で、制御装置50は、可動体38を阻止状態から解放状態に遷移させる(La3)。可動体38が解放状態に遷移することで、抽選体40は、帰還経路36を介して待機経路35に供給される。可動体38が解放状態に遷移してから所定の時間が経過すると、制御装置50は、当該可動体38を解放状態から阻止状態に遷移させる(La4)。
【0115】
待機経路35に供給された抽選体40は、各突起部33により随時に付勢されながら待機経路35を反復的に往復し、z軸の正方向に移動する複数の保持部32の何れかにより保持される。保持部32_kに保持された抽選体40は、回転体31の回転により周方向に搬送されることで目標地点Qkに到達する。制御装置50は、複数の目標地点Q1~Q3の何れかに抽選体40が到達するまで待機する(La5:NO)。
【0116】
複数の目標地点Q1~Q3のうち何れかの目標地点Qkに抽選体40が到達すると(La5:YES)、制御装置50は、当該目標地点Qkに対応する表示領域Fb_kに表示される要素列Mkのうち、抽選体40の到達の時点において抽選領域Fc内に位置する抽選要素mを特定する(La6)。制御装置50は、当該抽選要素mが表す数値を追加報酬量Aに加算する(La7)。例えば、追加抽選L1においては追加報酬量A1に当該数値が加算され、追加抽選L2においては追加報酬量A2に当該数値が加算される。
【0117】
制御装置50は、ステップLa3からステップLa7までを1単位とする抽選処理(以下「単位抽選」という)の回数が所定値に到達したか否かを判定する(La8)。すなわち、単位抽選が所定の回数にわたり反復されたか否かが判定される。単位抽選の回数が所定値に到達するまで、以上に説明した単位抽選が反復される(La8:NO)。他方、単位抽選の回数が所定値に到達した場合(La8:YES)、制御装置50は追加抽選Lを終了する。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の追加抽選Lは所定回の単位抽選で構成され、抽選要素mの数値を所定回の単位抽選にわたり合計した数値が追加報酬量Aとして算定される。なお、追加抽選Lが1回の単位抽選で構成されてもよい。また、複数回にわたる単位抽選で選択された抽選要素mのうちの最大値を追加報酬量Aとして選択してもよい。
【0118】
図19は、追加抽選Lに関する制御装置50の機能的な構成を例示するブロック図である。図19に例示される通り、記憶装置55に記憶されたプログラムを実行することで、制御装置50は複数の機能(抽選部521および制御部522)を実現する。
【0119】
制御部522は、抽選装置26を制御する。具体的には、制御部522は、駆動装置34の制御により回転体31を回転させる制御(La1)、および、表示装置232の各表示領域Fb_kに表示される要素列Mkを変化させる制御(La2)を実行する。また、制御部522は、可動体38を阻止状態および解放状態の何れかに制御する(La3,La4)。
【0120】
抽選部521は、目標場所に抽選体40が到達した時点において表示装置232に表示されている抽選要素mを、抽選結果として特定する(La6)。具体的には、抽選部521は、複数の目標地点Q1~Q3のうち何れかの目標地点Qkに抽選体40が到達した時点において、複数の表示領域Fb_1~Fb_3のうち当該目標地点Qkに対応する表示領域Fb_k(抽選領域Fc)に表示されている抽選要素mを、抽選結果として特定する。
【0121】
以上に例示した通り、第1実施形態においては、目標場所に抽選体40が到達した時点において表示装置232に表示されている抽選要素mが抽選結果として特定される。したがって、利用者は、抽選体40が搬送体30により搬送される過程において、目標場所に抽選体40が到達する時点において表示装置232に所望の抽選要素mが表示されることを期待する。搬送体30は、抽選体40を保持した状態で目標場所に搬送するから、搬送体30による抽選体40の保持が開始されてから当該抽選体40が目標場所に到達するまでの時間が適切に確保される。すなわち、利用者による期待感が維持される時間を確保し易いという利点がある。
【0122】
第1実施形態においては特に、複数の目標地点Q1~Q3のうち搬送体30による搬送で抽選体40が到達した目標地点Qkと、抽選体40が目標地点Qkに到達した時点における表示領域Fb_kの表示内容と、に応じて抽選結果が特定される。したがって、利用者は、複数の目標地点Q1~Q3のうち所望の抽選要素mが表示される表示領域Fb_kに対応する目標地点Qkに抽選体40が到達することを期待し、かつ、当該目標地点Qkに抽選体40が到達する時点において表示領域Fb_kに所望の抽選要素mが表示されることを期待する。したがって、複数の目標地点Q1~Q3のうち抽選体40が到達する目標地点Qkのみに応じて抽選結果が確定する構成と比較して、抽選結果に影響する要因が多様で興趣性が高い抽選を実現できる。
【0123】
また、回転軸Axの方向において相異なる目標地点Qkに対応する位置に保持部32_1~32_3が設置される。具体的には、目標地点Qk1に対応する位置に保持部32_k1が設置され、目標地点Qk2に対応する位置に保持部32_k2が設置される。したがって、各保持部32_kに保持された抽選体40が到達する目標地点Qkを利用者が把握し易いという利点がある。第1実施形態においては特に、各目標地点Qkに対応する複数の保持部32_kが回転体31の周方向に相互に間隔をあけて配置される。したがって、目標地点Qk毎に1個の保持部32_kのみが設置された構成と比較して、抽選体40が保持部32_kにより保持される可能性(ひいては目標地点Qkに到達する可能性)を高めることが可能である。ただし、目標地点Qkが1箇所である構成、または、保持部32_kが1個である構成も、本発明の範囲には包含される。
【0124】
第1実施形態においては、各表示領域Fb_kに表示される抽選要素mが目標地点Qkに接近するから、抽選体40が目標地点Qkに到達する時点における各抽選要素mの位置を利用者が予測できる。したがって、抽選体40が目標地点Qkに到達するまでの過程において利用者の関心を維持し易い興趣性の高い抽選を実現できる。
【0125】
また、第1実施形態においては、回転軸Axの方向における位置に応じて経路面sAの高さが相違するから、目標地点Qkに抽選体40が到達する確率が目標地点Qk毎に相違する。以上の構成においては、各目標地点Qkに抽選体40が到達する確率に応じて、各目標地点Qkに対応する要素列Mkの各抽選要素mの数値の大小を調整することが可能である。例えば、抽選体40が到達する確率が低い目標地点Qkに対応する要素列Mkの各抽選要素mは、抽選体40が到達する確率が高い目標地点Qkに対応する要素列Mkの各抽選要素mと比較して大きい数値に設定される。以上の例示の通り、第1実施形態によれば、複数の要素列Mkの何れかが選択される確率と、当該要素列Mkから選択される抽選要素mの数値とのバランス(第2特別抽選の期待値)を調整し易いという利点もある。
【0126】
[第2特別抽選]
第2特別抽選(Sa10)について詳述する。前述の通り、第2特別抽選は、抽選ステップの保有数Kが所定値Kthに到達することを条件としてステーション10毎に実行される抽選処理である。図20は、第2特別抽選の実行中に表示装置11に表示される画面の模式図である。
【0127】
第2特別抽選は、第2属性抽選と数値抽選とを含む。第2属性抽選は、複数の属性λ1~λ3の何れか(以下「第2選択属性λB」という)を選択する抽選処理である。数値抽選は、複数の数値(以下「倍率」という)αの何れかを選択する抽選処理である。図20に例示される通り、複数種のオブジェクトObのうち第2選択属性λBに対応するオブジェクトObの保有数Niと、複数の倍率α(α1,α2,…)のうち数値抽選により選択された倍率αとに応じて、第2特別抽選の報酬量(以下「第2報酬量」という)W2が決定される。具体的には、保有数Niと倍率αとの乗算により第2報酬量W2が決定される。複数の倍率αは「抽選パラメータ」の一例である。
【0128】
第2特別抽選には、図21の抽選テーブルTが利用される。複数の属性λ1~λ3の各々について記憶装置55に抽選テーブルTが記憶される。各属性λiの抽選テーブルTは、第2属性抽選において当該属性λiが選択された場合に、数値抽選に適用される複数の倍率αを指定するデータテーブルである。すなわち、第2属性抽選において選択された属性λiの抽選テーブルTが指定する複数の倍率αの何れかが、数値抽選により選択される。複数の倍率αの各々の数値は、複数の属性λ1~λ3にわたり共通してもよいし属性λi毎に相違してもよい。
【0129】
図21に例示される通り、抽選テーブルTは、通常状態および特別状態の何れかに設定される。特別状態の抽選テーブルTにおける複数の倍率αのうち1個以上の倍率αの数値は、通常状態の抽選テーブルTにおける当該倍率αの数値を上回る。なお、特別状態と通常状態とで数値が共通する倍率αもある。
【0130】
図22は、設定処理Sfの手順を例示するフローチャートである。図8を参照して前述した通り、第1特別抽選の結果が特別賞の当選である場合に設定処理Sfが開始される。したがって、設定処理Sfが開始される時点では、前述の通り、第1特別抽選の開始前の第1属性抽選により、複数の属性λ1~λ3の何れかが第1選択属性λAとして選択されている。なお、特別処理Sgの実行後に設定処理Sfを実行してもよい。
【0131】
設定処理Sfが開始されると、制御装置50は、直前の第1属性抽選で選択された第1選択属性λAを特別属性Λとして記憶装置55に保存する(Sf1)。特別属性Λは、複数の属性λ1~λ3のうち第2特別抽選において有効となる属性λiである。複数のステーション10の何れかの第1特別抽選において特別賞の当選が成立した場合に、当該第1特別抽選における第1選択属性λAが、全部のステーション10にわたる共通の特別属性Λとして設定される。
【0132】
以上の説明から理解される通り、複数のステーション10の何れかにおける特別賞の当選毎に、複数のステーション10における特別属性Λが更新される。したがって、何れかのステーション10の第1特別抽選における当選から、当該当選後に何れかのステーション10について実行される第1特別抽選における最初の当選まで、特別属性Λは維持される。すなわち、第1選択属性λAは第1属性抽選の結果に応じて第1特別抽選毎に更新されるが、第1特別抽選の結果が特別賞の落選である状況が継続する場合には、特別属性Λは更新されず次回の特別賞の当選まで維持される。制御装置50は、複数の属性λ1~λ3のうち、特別属性Λに一致する属性λiの抽選テーブルTを、特別状態に設定する(Sf2~Sf5)。
【0133】
制御装置50は、特別属性Λが複数の属性λ1~λ3の何れに該当するかを判定する(Sf2)。特別属性Λが属性λ1である場合、制御装置50は、当該属性λ1に対応する抽選テーブルTを特別状態に設定し、属性λ2および属性λ3に対応する抽選テーブルTを通常状態に設定する(Sf3)。特別属性Λが属性λ2である場合、制御装置50は、当該属性λ2に対応する抽選テーブルTを特別状態に設定し、属性λ1および属性λ3に対応する抽選テーブルTを通常状態に設定する(Sf4)。また、特別属性Λが属性λ3である場合、制御装置50は、当該属性λ3に対応する抽選テーブルTを特別状態に設定し、属性λ1および属性λ2に対応する抽選テーブルTを通常状態に設定する(Sf5)。
【0134】
以上の説明から理解される通り、複数の属性λ1~λ3のうち、直前に特別賞の当選が成立した第1特別抽選における第1選択属性λA(すなわち特別属性Λ)に一致する属性λiの抽選テーブルTが、選択的に特別状態に設定される。
【0135】
図23は、第2特別抽選(Sa10)の手順を例示するフローチャートである。第2特別抽選が開始されると、制御装置50は、属性抽選装置14を利用した第2属性抽選により、複数の属性λ1~λ3の何れかを第2選択属性λBとして選択する(Sa101)。具体的には、制御装置50は、属性抽選装置14の複数の抽選孔H1~H3のうち、抽選体141が落下した抽選孔Hiに対応する属性λiを、第2選択属性λBとして特定する。制御装置50は、複数のオブジェクトObのうち第2選択属性λBに対応するオブジェクトObの保有数Niを特定する(Sa102)。保有数Niは、前述の通り、通常抽選(Sa4)において当該ステーション10に付与された属性λiのオブジェクトObの個数である。
【0136】
制御装置50は、相異なる属性λ1~λ3に対応する複数の抽選テーブルTのうち、第2選択属性λBに対応する抽選テーブルTを記憶装置55から取得する(Sa103)。制御装置50は、第2選択属性λBの抽選テーブルTが指定する複数の倍率αの何れかを選択する数値抽選を実行する(Sa104)。数値抽選は、複数の倍率αの何れかを無作為に選択する処理である。例えば、制御装置50は、抽選テーブルTが指定する複数の倍率αの各々を順次に選択し、所定の条件が成立した時点(例えば抽選体が抽選孔に落下した時点)で選択している倍率αを抽選結果として確定する。ただし、数値抽選の具体的な方法は任意であり、物理抽選および電子抽選の何れでもよい。
【0137】
前述の通り、直前に特別賞の当選が成立した第1特別抽選における第1選択属性λA(特別属性Λ)の抽選テーブルTは、特別状態に設定される。したがって、第2選択属性λBが特別属性Λに一致する場合の倍率αの数値と、第2選択属性λBが特別属性Λに一致しない場合の倍率αの数値とは相違する。具体的には、第2選択属性λBが特別属性Λに一致する場合には、複数の倍率αのうち1個以上の倍率αの数値が、第2選択属性λBが特別属性Λに一致しない場合と比較して大きい数値に設定される。以上の説明の通り、第1実施形態においては、複数のステーション10の何れかの第1特別抽選における第1選択属性λA(特別属性Λ)が、他のステーション10における第2特別抽選の倍率αに影響する。
【0138】
以上の処理により保有数Niと倍率αとを決定すると、制御装置50は、保有数Niと倍率αとに応じて第2報酬量W2を決定する決定処理を実行する(Sa105)。具体的には、制御装置50は、保有数Niと倍率αとを乗算することで第2報酬量W2を決定する。なお、第2報酬量W2を決定する具体的な方法は以上の例示に限定されない。例えば、保有数Niと倍率αとを変数とする所定の演算により第2報酬量W2を算定する方法、または、保有数Niと倍率αとの組毎に第2報酬量W2が登録されたデータテーブルから第2報酬量W2を検索する方法も想定される。制御装置50は、第2報酬量W2に相当する数量の遊技媒体Gaの払出を払出装置25に実行させる(Sa106)。
【0139】
図24は、第2特別抽選に関する制御装置50の機能的な構成を例示するブロック図である。図24に例示される通り、記憶装置55に記憶されたプログラムを実行することで、制御装置50は複数の機能(制御部531,第1抽選部532,第2抽選部533および設定部534)を実現する。
【0140】
制御部531は、複数のステーション10の各々について、当該ステーション10におけるゲームの進行に応じて、相異なる属性λiに対応する複数の保有数N1~N3の各々の数値を制御する(Sa5,Sa6)。各保有数Niは「ゲームパラメータ」の一例である。
【0141】
第1抽選部532は、複数のステーション10のうち何れかのステーション10について、複数のステーション10により共用される抽選装置22_1~22_3を利用して、複数の属性λ1~λ3(第1属性)から選択された第1選択属性λAに関する第1特別抽選を実行する(Sd)。第2抽選部533は、複数のステーション10の各々について、複数の属性λ1~λ3(第2属性)から選択された第2選択属性λBに関する第2特別抽選を実行する。
【0142】
設定部534は、第1特別抽選の結果が当選であるとき、第2選択属性λBが第1選択属性λAに対応する場合に第2特別抽選に適用される複数の倍率αの数値と、第2選択属性λBが第1選択属性λAに対応しない場合に第2特別抽選に適用される複数の倍率αの数値とを相違させる。
【0143】
以上の態様においては、ステーション10毎に実行される第2特別抽選について選択された第2選択属性λBが、複数のステーション10の何れかにおける第1特別抽選の第1選択属性λA(特別属性Λ)に一致する場合と、当該第1選択属性に一致しない場合とで、第2特別抽選に適用される倍率αが相違する。すなわち、第2選択属性λBが特別属性Λに対応するか否かに応じて第2特別抽選の結果が変化する。したがって、複数のステーション10のうち第1特別抽選が実行される当選ステーション10以外の各ステーション10の利用者は、第1特別抽選について選択される第1選択属性λAと、当該第1特別抽選の結果(当選/落選)に注目する。すなわち、第1特別抽選が実行されるステーション10以外の各ステーション10の利用者について、第1特別抽選に対する関心を維持できるという利点がある。
【0144】
また、第1実施形態においては、第2選択属性λBが特別属性Λに一致する場合に、複数の倍率αのうち1個以上の倍率αの数値が、第2選択属性λBが特別属性Λに一致しない場合と比較して大きい数値に設定される。したがって、第2選択属性λBが特別属性Λに対応する場合の第2報酬量W2は、第2選択属性λBが特別属性Λに対応しない場合の第2報酬量W2と比較して多くなる可能性が高い。すなわち、各ステーション10の利用者に対する第2報酬量W2が、第1特別抽選における第1選択属性λAに影響される。したがって、第1特別抽選に対する各利用者の関心を維持できるという効果は格別に顕著である。
【0145】
第1実施形態においては特に、各ステーション10におけるオブジェクトObの保有数Niに応じて第2報酬量W2が算定される。したがって、各ステーション10の利用者は、相異なる属性λiに対応する複数の保有数N1~N3のうち当該ステーション10において大きい保有数Niの属性λiが、第1特別抽選において選択されることを期待する。以上の構成によれば、各ステーション10の利用者による第1特別抽選に対する関心を維持できるという効果は格別に顕著である。
【0146】
また、第1実施形態においては、何れかのステーション10の第1特別抽選における当選から、当該当選後に何れかのステーション10について実行される第1特別抽選の最初の当選まで、特別属性Λが維持される。したがって、各ステーション10の利用者は、倍率αの変化による利益を享受すべく積極的にゲームをプレイする。すなわち、ゲームのプレイを有効に促進できるという利点がある。
【0147】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0148】
第1実施形態の参照データDにおいては、図10を参照して前述した通り、第1報酬量W1の複数の数値範囲R1~R3の各々について1個の演出パターンPx_nと1個の払出パターンPy_nとが登録される。第2実施形態の参照データDにおいては、図25に例示される通り、複数の数値範囲R1~R3の各々について、複数の演出パターンPx_n(Px_n1~Px_n3)と複数の払出パターンPy_n(Py_n1~Py_n3)とが登録される。図25には、複数の数値範囲R1~R3のうち任意の1個の数値範囲Rnのみが便宜的に例示されている。演出パターンPx_nが演出処理X毎に指定する動画像V(V1~V3)は演出パターンPx_n毎に相違する。同様に、払出パターンPy_nが払出処理Y毎に指定する数量E(E1~E3)は払出パターンPy_n毎に相違する。
【0149】
特別処理SgのステップSg2において、制御装置50は、第1報酬量W1を含む数値範囲Rnに対応する複数の演出パターンPx_nの何れかと、当該数値範囲Rnに対応する複数の払出パターンPy_nの何れかとを選択する。演出パターンPx_nの選択の方法は任意である。例えば、複数の演出パターンPx_nの何れかを制御装置50がランダムに選択する構成、または、複数の演出パターンPx_nの各々を特別処理Sg毎に所定の順番で制御装置50が選択する構成が想定される。同様に、払出パターンPy_nの選択の方法は任意である。例えば、複数の払出パターンPy_nの何れかを制御装置50がランダムに選択する構成、または、複数の払出パターンPy_nの各々を特別処理Sg毎に所定の順番で制御装置50が選択する構成が想定される。
【0150】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態においては、複数の演出パターンPx_nの何れかと複数の払出パターンPy_nの何れかとが選択されるから、各演出処理Xnおよび各払出処理Ynを多様化することが可能である。
【0151】
[変形例]
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で併合してもよい。
【0152】
(1)前述の各形態においては、追加報酬量Aに加算される数値を追加抽選Lにおける抽選要素mとして例示したが、追加抽選Lにおける抽選要素mは数値に限定されない。例えば、複数の抽選要素mが当選および落選を含む構成も想定される。また、追加抽選L1の結果に関する条件C(C1,C2)は、前述の各形態の例示(A>Ath)に限定されない。例えば、複数の抽選要素mが当選および落選を含む形態においては、追加抽選Lの結果が当選であることを条件C(C1,C2)として当該条件Cの成否を判定してもよい。
【0153】
(2)前述の各形態においては、演出処理Xおよび払出処理Yの終了後の追加払出処理Z(Za,Zb,Zc)において追加報酬量Aの遊技媒体Gaを払出する構成を例示したが、追加報酬量Aの遊技媒体Gaを払出する時点は以上の例示に限定されない。例えば、追加抽選Lの終了毎に、当該追加抽選Lによる追加報酬量Aの遊技媒体Gaを払出してもよい。
【0154】
(3)前述の各形態においては、動画像Vの表示を演出処理Xとして例示したが、演出処理Xの内容は以上の例示に限定されない。演出処理Xは、利用者による特別賞の当選を盛上げるための演出を意味する。例えば、表示機器による映像の表示、照明機器による照明の制御、放音機器による音響(例えば効果音)の放音等、利用者が視覚的または聴覚的に知覚可能な各種の演出効果を発生させる任意の動作が、演出処理Xとして採用される。演出処理Xの態様は、表示機器を利用した演出処理Xについては表示画像の内容であり、照明機器を利用した演出処理Xについては照明パターン(発光/消灯または発光色の時間的な変化)であり、音響機器を利用した演出処理Xについては再生音の条件(例えば楽曲の種類)である。
【0155】
(4)遊技媒体Gaの払出処理Yは、利用者が使用可能な状態に遊技媒体Gaを移動させる動作を意味する。具体的には、例えば利用者が使用可能な払出口から遊技媒体Gaを排出する動作が払出処理Yの典型例である。また、遊技面上で往復する移動体(プッシャーテーブル)による押圧で遊技面上の複数の遊技媒体Gaが当該遊技面の周縁から徐々に落下するプッシャーゲームにおいては、遊技面上(フィールド)に遊技媒体Gaを投入する動作が払出処理Yに相当する。また、遊技媒体Gaは、抽選システム1において使用される媒体である。例えば物理メダル(トークン)またはチケット等の有体の媒体が、遊技媒体Gaの典型例である。ただし、仮想空間内で展開される抽選ゲーム(ビデオゲーム)においては、仮想空間内の仮想的な媒体が遊技媒体Gaに相当する。
【0156】
(5)追加抽選Lは、複数の抽選要素の何れかを確率的に選択する処理を意味する。例えば、利用者について当選および落選の何れかを確率的に選択する処理、または、複数の数値の何れかを確率的に選択する処理が、追加処理として例示される。追加抽選Lは、抽選装置を利用した物理抽選、および、演算処理により実現される電子抽選の何れでもよい。また、追加抽選Lの結果に応じた動作は任意である。例えば、追加抽選Lに当選した利用者に遊技媒体Gaを払出する態様が想定される。また、利用者が追加抽選Lに当選した場合に、特別な演出処理を実行する構成も例示される。
【0157】
(6)前述の各形態の追加抽選Lにおいては、単位抽選を所定の回数にわたり反復したが、追加抽選Lを1回の単位抽選で構成し、当該単位抽選で選択された抽選要素を追加報酬量A(A1,A2)として確定してもよい。
【0158】
(7)搬送体30の具体的な構造は以上の例示に限定されない。例えば、複数の突起部33が省略されてもよい。また、前述の各形態においては、円柱状の保持部32を例示したが、保持部32の構成は以上の例示に限定されない。例えば、回転体31の外面31aに埋設された永久磁石(外面31aから突起しない部分)を保持部32として利用してもよい。また、例えば筒状(例えば円筒状または角筒状)の回転体31の内面に設置された永久磁石を保持部32として利用してもよい。すなわち、保持部32は、回転体31の筒状部分を介して抽選体40を回転体の外面31aに保持する。以上の説明から理解される通り、保持部32が回転体31の外面31aに設置される構成は必須ではない。
【0159】
また、回転体31の形状は、回転軸Axの方向の全体にわたり直径が一定である柱体には限定されない。例えば、回転軸Axの方向の位置に応じて直径が相違する柱体(例えば円錐台状の柱体)、または、断面形状が多角形状である柱体を、回転体31として利用してもよい。また、例えば外面31aから放射状に突出する柱状の複数の支持体の各々に保持部32を設置してもよい。例えば回転軸Axに対して相異なる角度に偏心した複数の柱体が回転軸Axの方向に連結された形状(クランクシャフト形状)の回転体31も想定される。
【0160】
(8)前述の各形態においては、待機経路35の経路面sAのうち中央の地点p2が、地点p1および地点p3と比較して低い構成を例示したが、経路面sAの形状は以上の例示に限定されない。例えば、待機経路35のうちx軸の方向における一方の端部が他の部分と比較して低い経路面sAを採用してもよい。また、搬送領域Fa_1と搬送領域Fa_2との境界の近傍の地点、または搬送領域Fa_2と搬送領域Fa_3との境界の近傍の地点において経路面sAが最も低い構成も採用される。搬送領域Fa_1または搬送領域Fa_3と搬送領域Fa_2との境界には保持部32は設置されないから、以上の構成によれば、抽選体40が保持部32に保持され難い興趣性の高い追加抽選Lが実現される。
【0161】
(9)前述の各形態においては、水平面に対して傾斜した傾斜面(曲面または平面)を抽選体40が転動する経路を待機経路35として例示したが、待機経路35の具体的な構造は以上の例示に限定されない。例えば、待機経路35の表面は、例えば高さが相違する複数の面を含む段差面でもよい。また、待機経路35は、抽選体40が転動する表面を具備する経路に限定されない。例えば、抽選体40の外径を下回る間隔をあけて水平に配置された2本の棒により待機経路35を構成してもよい。2本の棒における第1端側の間隔を反対の第2端側の間隔よりも広くする構成により、第2端から第1端に向かう方向に抽選体40を移動させることが可能である。
【0162】
(10)前述の各形態においては、抽選体40が自重により転動するように水平面に対して傾斜する傾斜面(平面または曲面)を含む経路を帰還経路36として例示したが、帰還経路36の具体的な構造は以上の例示に限定されない。例えば、抽選体40を回転体31に向けて移動させる機構が設置された構成においては、帰還経路36の表面は水平面に平行な平面でもよい。また、例えば、抽選体40の外径を下回る間隔をあけて水平に配置された2本の棒により帰還経路36の少なくとも一部を構成してもよい。
【0163】
(11)前述の各形態においては、各表示領域Fb_kに表示される要素列Mkを回転体31の回転とは無関係に移動させたが、回転体31の回転と要素列Mkの移動とを連動させてもよい。例えば、回転体31の回転の速度によっては抽選体40が保持部32に保持され難い状態が発生し得る。以上の状態で保持された抽選体40が目標地点Qkに到達する時点において、抽選領域Fc内に大きい数値の抽選要素mが位置するように、回転体31の回転と要素列Mkの移動とを連動させてもよい。
【0164】
(12)前述の各形態においては回転体31が一定の速度で回転する構成を例示したが、回転体31の回転速度が経時的に変化してもよい。例えば、回転体31の回転速度が周期的または不規則に増減する構成が想定される。抽選体40が保持部32に保持される可能性は、回転体31の回転速度に依存する。例えば、回転体31の回転が高速であるほど、抽選体40が保持部32に保持される可能性は低下する傾向がある。したがって、回転体31の回転速度が変化する構成によれば、抽選体40が待機経路35上の同位置にある場合でも、当該抽選体40が保持部32に保持される可能性が刻々と変化する興趣性の高い抽選が実現される。
【0165】
(13)前述の各形態においては、基体部41の内周面に複数の永久磁石42を点在させたが、永久磁石42の形状や配置は以上の例示に限定されない。例えば、例えば線状または帯状の永久磁石42を基体部41の内周面に設置してもよい。また、前述の各形態においては、保持部32との間で引力を発生させる複数の永久磁石42を抽選体40に設置したが、保持部32との間で引力を発生させる複数の永久磁石42と、保持部32との間で斥力を発生させる永久磁石42とを、基体部41の内周面に設置してもよい。すなわち、磁極が同極の関係にある複数の永久磁石42を抽選体40に設置してもよい。以上の構成によれば、待機経路35上において抽選体40を不規則に移動させることが可能である。また、前述の各形態においては、基体部41の内周面に永久磁石42を設置したが、例えば、中空または中実の基体部41の外表面に永久磁石42を埋設してもよい。基体部41の外表面に対する永久磁石42の深さを調整することで、保持部32との間に発生する磁力を調整することが可能である。また、複数の磁石の積層により抽選体40の各永久磁石42を形成する構成においては、磁石の積層数を調整することで、保持部32との間に発生する磁力を調整することが可能である。例えば、永久磁石42を構成する磁石の積層数を永久磁石42毎に相違させることで、抽選体40の外表面上の位置に応じて磁力を相違させてもよい。
【0166】
なお、以上の説明においては抽選体40の永久磁石42に着目したが、保持部32を構成する永久磁石についても同様の構成が採用される。例えば、保持部32に対する永久磁石の深さまたは積層数を調整することで、当該保持部32と抽選体40との間に発生する磁力を調整することが可能である。また、永久磁石の深さまたは積層数を保持部32毎に相違させることで、保持部32毎に抽選体40との間の磁力を相違させてもよい。
【0167】
(14)前述の各形態においては、保持部32および抽選体40の双方が永久磁石を含む構成を例示したが、保持部32および抽選体40の一方のみが永久磁石を含む構成も想定される。例えば、保持部32を永久磁石で構成した形態においては、抽選体40が磁性体(例えば金属片)を含む構成でもよい。また、抽選体40が永久磁石を含む構成においては、保持部32が磁性体を含む構成でもよい。永久磁石42が設置された抽選体40について例示した形態は、永久磁石42を磁性体に置換した構成にも同様に成立する。以上の例示から理解される通り、保持部32が抽選体40を磁力により保持する構成としては、(A)保持部32が磁石を含み、かつ、抽選体40が磁性体を含む構成、
(B)保持部32が磁性体を含み、かつ、抽選体40が磁石を含む構成、または、
(C)保持部32および抽選体40の双方が磁石を含む構成、
が想定される。保持部32に設置される磁石としては、永久磁石のほかに電磁石も想定される。
【0168】
(15)前述の各形態においては、保持部32が磁力により抽選体40を保持する構成を例示したが、保持部32が抽選体40を保持するための構成は以上の例示に限定されない。例えば、抽選体40が載置される皿状の突起部、または抽選体40を収容する凹部を、保持部32として回転体31に設置してもよい。また、磁力以外の方法で抽選体40を保持する要素を保持部32として利用してもよい。例えば、相互に係合するフックまたはループが形成された面状ファスナーにより抽選体40が着脱される要素、粘着性の物質により抽選体40が付着する要素、または、空気の吸引により抽選体40が付着する要素等、抽選体40を保持可能な任意の要素が保持部32として利用される。
【0169】
(16)前述の各形態においては、単体の回転体31の外面31aを複数の搬送領域Fa_1~Fa_3に区分したが、相互に独立に回転可能な複数の回転体31の各々に搬送領域Fa_kを形成してもよい。すなわち、複数の搬送領域Fa_1~Fa_3の各々が相互に独立に回転してもよい。例えば、複数の回転体31の各々が相異なる速度で回転する構成が想定される。以上の構成によれば、興趣性の高い多様な追加抽選Lを実現できる。また、前述の各形態においては、単体の表示装置232の表示面232aを複数の表示領域Fb_1~Fb_3に区分したが、相互に別体で構成された複数の表示体の各々に表示領域Fb_kを形成してもよい。
【0170】
(17)前述の各形態においては、特別処理Sgのなかで抽選装置26を利用した追加抽選Lを実行したが、抽選装置26が利用される場面は特別処理Sgに限定されない。したがって、抽選装置26を利用した抽選は、第1特別抽選に対して追加的な関係にある抽選に限定されない。すなわち、第1特別抽選とは無関係に、抽選装置26を利用した抽選を実行してもよい。
【0171】
(18)前述の各形態においては、表示装置232の表示領域Fb_kに表示される要素列Mkをz軸の方向に移動(スクロール)させたが、抽選要素mを経時的に変化させる方法は以上の例示に限定されない。例えば、要素列Mkを構成する複数の抽選要素mの何れかを表示領域Fb_kに順次に表示させてもよい。抽選体40が目標地点Qkに到達した時点で表示領域Fb_kに表示されている抽選要素mが抽選結果として特定される。
【0172】
(19)前述の各形態においては、第1属性抽選および第2属性抽選において同種の属性を選択したが、第1属性抽選において選択される複数の属性λ1~λ3(第1属性)と、第2属性抽選において選択される複数の属性λ1~λ3(第2属性)とは、相異なる種類の属性でもよい。例えば、第1属性抽選においては複数の色(第1属性)の何れかが第1選択属性λAとして選択され、第2属性抽選においては複数のオブジェクトOb(第2属性)の何れかが第2選択属性λBとして選択される。以上の説明から理解される通り、第2選択属性λBが第1選択属性λA(特別属性Λ)に「対応する場合」とは、第1選択属性λAと第2選択属性λBとが相異なる種類の属性であって相互に対応する場合と、第1選択属性λAと第2選択属性λBとが同種の属性であって相互に一致する場合との双方を包含する。
【0173】
(20)前述の各形態においては、第2報酬量W2の算定に適用される倍率αを変化させる構成を例示したが、第2選択属性λBと特別属性Λとの異同に応じて変化する抽選パラメータは倍率αに限定されない。例えば、第2特別抽選において複数の報酬量の何れかを抽選により選択する形態においては、抽選対象の複数の報酬量のうち1以上の報酬量が、第2選択属性λBと特別属性Λとの異同に応じて変更されてもよい。また、第2特別抽選において複数の抽選要素(例えばアイテム)の何れかを抽選により選択する形態においては、各抽選要素が選択される確率が、第2選択属性λBと特別属性Λとの異同に応じて変更されてもよい。以上の説明から理解される通り、第2選択属性λBと特別属性Λとの異同に応じて変更される数値は、第2特別抽選に適用される抽選パラメータとして包括的に表現される。
【0174】
(21)前述の各形態においては、各オブジェクトObの保有数Niを第2特別抽選に適用する構成を例示したが、第2特別抽選に適用されるゲームパラメータは、各オブジェクトObの保有数Niに限定されない。各ステーション10におけるゲームの進行に応じて変化する任意の数値が、ゲームパラメータとして第2特別抽選に適用される。
【0175】
(22)前述の各形態においては、第1特別抽選における特別賞の当選から次回の特別賞の当選まで特別属性Λが維持される構成を例示したが、特別属性Λが維持される期間は以上の例示に限定されない。例えば、特別賞の当選の直後に各ステーション10で実行される第2特別抽選についてのみ特別属性Λが有効である構成、特別賞の当選後の所定回にわたる第2特別抽選について特別属性Λが有効である構成、または、特別賞の当選後に所定の条件が成立するまで特別属性Λが有効である構成が想定される
【0176】
(23)属性λiの種類数は、前述の各形態における例示(3種類)に限定されない。すなわち、2種類の属性λiの何れかが選択される構成、または、4種類以上の属性λiの何れかが選択される構成も想定される。また、目標地点Qkの個数は、前述の各形態における例示(3個)に限定されない。すなわち、2個の目標地点Qkの何れかに抽選体40が搬送される構成、または、4個以上の目標地点Qkの何れかに抽選体40が搬送される構成も想定される。したがって、搬送領域Fa_kの個数または表示領域Fb_kの個数も、前述の各形態における例示(3個)には限定されない。第1報酬量W1の数値範囲Rnの個数についても同様に、前述の各形態における例示(3個)には限定されない。例えば、第1報酬量W1の値域が2個の数値範囲Rnに区分された構成、または、第1報酬量W1の値域が4個以上の数値範囲Rnに区分された構成も想定される。
【0177】
(24)前述の各形態においては、相異なる属性λiの第1特別抽選に専用される複数の抽選装置22_1~22_3を抽選システム1が具備する構成を例示したが、例えば、特定の属性λiの第1特別抽選に表示ユニット23を利用してもよい。すなわち、複数の属性λ1~λ3の何れかについては当該属性λiの第1特別抽選に専用される抽選装置22を省略してもよい。なお、相異なる属性λiに対応する複数の抽選装置22_1~22_3を抽選システム1が具備する構成において、複数の抽選装置22_1~22_3のうち1以上の抽選装置22_iを、第1特別抽選以外の抽選処理に流用してもよい。また、特定の属性λiの第1特別抽選に表示ユニット23を流用する構成においては、表示ユニット23を第1特別抽選以外の抽選処理に利用してもよい。
【0178】
(25)前述の各形態においては、各ステーション10のゲーム装置13がプッシャーゲームを提供する構成を例示したが、ゲーム装置13が提供するゲームの種類は以上の例示に限定されない。
【0179】
(26)払出装置25の表面に複数の発光素子(例えばLED)を行列状に配列し、払出装置25による遊技媒体Gaの払出のパターンに応じて複数の発光素子の各々の発光および消灯を制御してもよい。例えば、複数の発光素子のうち、遊技媒体Gaの払出のパターンと同様のパターンを構成する各発光素子を発光させ、他の発光素子を消灯させる構成が想定される。また、複数の発光素子のうち、遊技媒体Gaの払出のパターンと同様のパターンを構成する各発光素子を消灯させ、他の発光素子を発光させる構成も想定される。以上の構成によれば、遊技媒体Gaの払出のパターンを利用者が視認し易いという利点がある。
【0180】
(27)抽選装置22_iを利用した抽選の他例として、例えば、第1報酬量W1を増加させる増加処理(いわゆるダブルアップ)を含めてもよい。第1報酬量W1が決定されると、利用者は、増加処理の有無を選択可能である。増加処理を実行することを利用者が選択した場合、例えば0を含む複数の数値(例えば0,1,5)の何れかを抽選により選択し、当該数値を第1報酬量W1に乗算することで新たな第1報酬量W1を算定する。したがって、第1報酬量W1が0となる可能性がある。他方、増加処理を実行しないことを利用者が選択した場合、最低値が1である複数の数値(例えば1,2,3)の何れかを抽選により選択肢、当該数値を第1報酬量W1に乗算することで新たな第1報酬量W1を算定する。したがって、第1報酬量W1が減少することはない。
【0181】
(28)抽選装置22_iを利用した抽選の他例として、例えば、複数の抽選孔の何れかに球状の抽選体を進入させる物理抽選が想定される。以上の抽選において、複数の抽選孔のうちの1個の抽選孔に抽選体が進入した回数が所定回(例えば3回)に到達すると物理抽選は終了する。他方、全部の抽選孔の各々に抽選体が進入した回数が所定回(例えば2回)に到達した場合(すなわち全部の抽選孔に2回ずつ抽選体が進入した場合)、各抽選孔の回数はゼロに初期化される。すなわち、抽選の回数が増加する。
【0182】
(29)前述の各形態に係る抽選システム1の機能は、制御装置50を構成する1以上のプロセッサと記憶装置55に記憶されたプログラムとの協働により実現される。以上のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記憶装置が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0183】
[付記]
以上の記載から、例えば以下のように本発明の好適な態様が把握される。なお、各態様の理解を容易にするために、以下では、図面の符号を便宜的に括弧書で併記するが、本発明を図示の態様に限定する趣旨ではない。
【0184】
[付記A]
抽選処理の結果に応じて物理メダル等の遊技媒体の払出を実行する抽選装置が従来から提案されている。抽選装置においては、通常の抽選処理と比較して参加条件が厳しい特別抽選により利用者が特別賞(例えばジャックポット)に当選する可能性がある。特別賞に当選した利用者には多数の遊技媒体が払出される。特許第5178244号公報には、ジャックポットに当選した第1利用者に多数のメダルが払出されている期間内に第2利用者がジャックポットに当選した場合に、第2利用者が遊技媒体の払出を待機する時間に応じて、当該第2利用者に対するメダルの払出枚数を増加させる構成が開示されている。
【0185】
特許文献1の技術において、ジャックポットに当選した利用者は、多数の遊技媒体の払出が終了するまでの長時間にわたり、遊技媒体の払出と画像表示等の演出処理とを受動的に観覧するだけである。したがって、演出処理の実行中に利用者による期待感(関心または興奮)を維持することは困難である。以上の事情を考慮して、本発明のひとつの態様(付記A)は、演出処理の実行中にも利用者による期待感を維持することを目的とする。
【0186】
[付記A1]
本発明のひとつの態様(付記A1)に係る抽選システム(1)は、利用者が特別賞に当選した場合に演出処理を決定する決定部(511,Sg2)と、前記決定部(511,Sg2)が決定した前記演出処理(X)と前記特別賞に係る払出数量(E)の前記遊技媒体(Ga)を払出する払出処理(Y)とを含む当選処理を実行する処理部(512,Sg3,Sg7,Sg9,Sg13,Sg15)と、前記当選処理に並行して前記利用者について追加抽選(L)を実行する抽選部(513,Sg5,Sg11)とを具備する。
【0187】
以上の態様においては、利用者が特別賞に当選した場合の当選処理に並行して、当該利用者について追加抽選(L)が実行される。したがって、利用者が特別賞の当選時に演出処理(X)および払出処理(Y)を観覧するだけの構成と比較して、当選処理の実行中にも利用者による期待感を維持できる。
【0188】
「特別賞」は、定常的または反復的に実行される通常抽選と比較して参加条件または当選条件が厳しい特別抽選での当選により発生する賞(例えばジャックポット)である。特別賞による遊技媒体(Ga)の払出数量(E)は、例えば特別賞の当選までの1以上の利用者によるプレイに応じた可変値である。
【0189】
当選処理と追加抽選(L)とが「並行する」とは、当選処理が実行される期間と追加抽選(L)が実行される期間とが少なくとも部分的に重複することを意味する。例えば、当選処理を構成する演出処理(X)および払出処理(Y)の少なくとも一方に時間軸上で重複するように追加抽選(L)が実行される。
【0190】
[付記A2]
付記A1の具体例(付記A2)において、前記当選処理は、複数の単位処理(U)を含み、前記抽選部(513,Sg5,Sg11)は、前記複数の単位処理(U)のうち第1単位処理(U)に並行して前記追加抽選(L)を実行し、前記処理部(512,Sg3,Sg7,Sg9,Sg13,Sg15)は、前記第1単位処理(U)に並行する前記追加抽選(L)の結果に応じて、前記複数の単位処理(U)のうち前記第1単位処理(U)後の第2単位処理(U)の態様を変化させる。以上の態様においては、第1単位処理(U)に並行する追加抽選(L)の結果に応じて当該第1単位処理(U)後の第2単位処理(U)の態様が変化するから、追加抽選(L)に対する利用者の期待感を維持し易い。
【0191】
複数の単位処理(U)の各々は、演出処理(X)と払出処理(Y)とを含む。単位処理(U)の態様とは、例えば、当該単位処理(U)内の演出処理(X)の内容、単位処理(U)(演出処理(X)および払出処理(Y)の少なくとも一方)の時間長、または、当該単位処理(U)内の払出処理(Y)の条件(例えば単位時間毎の払出数量(E))等、単位処理(U)に関する種々の条件を意味する。
【0192】
追加抽選(L)の結果とは、典型的には、追加抽選(L)における利用者の当選または落選である。また、追加抽選(L)が、複数の数値の何れかを無作為に選択する複数の処理を含む場合、当該複数の処理で選択された数値の合計値が所定値を上回るか否かを、追加抽選(L)の結果としてもよい。
【0193】
「追加抽選(L)の結果に応じて第2単位処理(U)の態様を変化させる」とは、追加抽選(L)の結果について所定の条件が成立する場合と成立しない場合とで、第2単位処理(U)の態様が相違することを意味する。
【0194】
[付記A3]
付記A2の具体例(付記A3)において、前記複数の単位処理(U)の各々の前記払出処理(Y)においては、前記特別賞による払出数量(E)のうち、前記単位処理(U)毎に設定された数量の遊技媒体(Ga)を払出する。以上の態様においては、単位処理(U)毎に設定された数量の遊技媒体(Ga)が各単位処理(U)の払出処理(Y)において払出される。したがって、各単位処理(U)における演出処理(X)の時間長を、当該単位処理(U)の払出処理(Y)による払出数量(E)に応じた適切な時間に設定できる。
【0195】
[付記A4]
付記A2または付記A3の具体例(付記A4)において、前記処理部(512,Sg3,Sg7,Sg9,Sg13,Sg15)は、前記第1単位処理(U)に並行する前記追加抽選(L)の結果が第1結果である場合に、当該第1単位処理(U)内の第1演出処理(X)に連続する第2演出処理(X)を含む前記第2単位処理(U)を実行し、前記第1単位処理(U)に並行する前記追加抽選(L)の結果が前記第1結果とは相違する第2結果である場合に、前記複数の単位処理(U)のうち2以上の単位処理(U)後の演出処理(X)として共通に用意された共通演出処理(X)を含む第2単位処理(U)を実行する。以上の態様においては、追加抽選(L)の結果が第1結果である場合に、第1単位処理(U)内の第1演出処理(X)に連続する第2演出処理(X)を含む第2単位処理(U)が実行されるから、追加抽選(L)の結果が第1結果となることを希望する誘因を利用者に付与できる。したがって、追加抽選(L)に対する利用者の期待感を維持し易い。また、追加抽選(L)の結果が第2結果である場合に、追加抽選(L)に再挑戦する誘因を利用者に付与できる。なお、第2演出処理(X)が第1演出処理(X)に「連続する」とは、例えば、第2演出処理(X)の内容が第1演出処理(X)の内容に連続することを利用者が認識できる関係を意味する。
【0196】
[付記A5]
付記A4の具体例(付記A5)において、前記追加抽選(L)は、数値を決定する処理であり、前記第1結果は、前記数値が所定値を上回ることであり、前記第2結果は、前記数値が前記所定値を下回ることである。以上の態様によれば、数値が所定値を上回るように追加抽選(L)が進行することを希望する誘因を利用者に付与できる。したがって、追加抽選(L)に対する利用者の期待感を維持し易い。
【0197】
数値を決定する「追加抽選(L)」は、例えば、複数の数値の何れかを無作為に数値として決定する1回の抽選処理である。また、複数の数値の何れかを無作為に選択する処理を複数回にわたり反復し、複数回にわたる当該数値の合計値を数値とする処理を「追加抽選(L)」としてもよい。
【0198】
[付記A6]
付記A5の具体例(付記A6)において、前記数値に応じた数量の前記遊技媒体(Ga)を払出する払出部(514,Sg6,Sg12)を具備する。以上の態様においては、追加抽選(L)により決定された数値に応じた数量の遊技媒体(Ga)が払出されるから、当選処理の実行中にも利用者による期待感を維持できるという効果は格別に顕著である。また、遊技媒体(Ga)の払出数量(E)に反映される数値の決定と、第2単位処理(U)の態様の決定とに、追加抽選(L)が兼用されるから、数値と第2単位処理(U)の態様とが相異なる要素により決定される構成と比較して、抽選システム(1)の構成または動作が簡素化される。
【0199】
「数値に応じた数量の遊技媒体(Ga)を払出する」とは、追加抽選(L)により決定された数値と同数の遊技媒体(Ga)を払出する場合のほか、当該数値に応じた可変の数量の遊技媒体(Ga)を払出する場合も包含する。後者の場合としては、例えば、追加抽選(L)により決定された数値に対する所定の係数の乗算で算定される数量の遊技媒体(Ga)を払出する場合が例示される。
【0200】
[付記A7]
付記A1から付記A4の何れかの具体例(付記A7)において、前記追加抽選(L)の結果に応じた数量の前記遊技媒体(Ga)を払出する払出部(514,Sg6,Sg12)を具備する。以上の態様においては、利用者が追加抽選(L)に当選した場合に遊技媒体(Ga)が払出されるから、当選処理の実行中にも利用者による期待感を維持できるという効果は格別に顕著である。
【0201】
追加抽選(L)の結果に応じた数量の遊技媒体(Ga)の払出(以下「追加払出」という)の時期は任意である。例えば、当選処理に並行して追加払出が実行されてもよいし、当選処理の終了後に追加払出が実行されてもよい。
【0202】
追加抽選(L)の結果に応じた数量とは、追加抽選(L)が数値を決定する処理である態様においては当該数値に応じた数量を意味する。また、追加抽選(L)が例えば当選/落選を決定処理である態様においては、当選および落選の各々について設定された数量(例えば当選ならば200枚、落選ならば50枚)が「追加抽選(L)の結果に応じた数量」に相当する。
【0203】
[付記A8]
付記A1から付記A7の何れかの具体例(付記A8)において、前記決定部(511,Sg2)は、前記特別賞による遊技媒体(Ga)の払出数量(E)に応じて前記演出処理(X)を決定する。以上の態様においては、特別賞による払出数量(E)に応じて演出処理(X)が決定されるから、払出数量(E)に対して適切な演出処理(X)を実行できる。例えば、払出数量(E)が多いほど(すなわち遊技媒体(Ga)の払出に必要な時間が長いほど)、長時間の演出処理(X)を決定することが可能である。
【0204】
「払出数量(E)に応じた演出処理(X)の決定」とは、払出数量(E)が第1数量である場合と、払出数量(E)が第1数量とは相違する第2数量である場合とで、演出処理(X)の態様(例えば演出内容または演出時間)を相違させることを意味する。例えば、払出数量(E)の数値域を区分した複数の数値範囲(Rn)の各々に相異なる態様の演出処理(X)が対応付けられ、複数の数値範囲(Rn)のうち、利用者が当選した特別賞における払出数量(E)を含む数値範囲(Rn)に対応付けられた演出処理(X)が、決定部(511,Sg2)により決定される。
【0205】
[付記A9]
付記A8の具体例(付記A9)において、前記決定部(511,Sg2)は、複数の数値範囲(Rn)の各々について演出処理(X)を対応付ける参照データ(D)を参照することで、前記複数の数値範囲(Rn)のうち、前記特別賞による払出数量(E)を含む数値範囲(Rn)に対応する演出処理(X)を決定する。以上の態様においては、特別賞による払出数量(E)に応じた演出処理(X)を、参照データ(D)の参照により簡便に決定できるという利点がある。
【0206】
[付記A10]
本発明のひとつの態様(付記A10)に係る抽選システム(1)の動作方法は、利用者が特別賞に当選した場合に演出処理(X)を決定し、前記決定した前記演出処理(X)と前記払出数量(E)の前記遊技媒体(Ga)を払出する払出処理(Y)とを含む当選処理を実行し、前記当選処理に並行して前記利用者について追加抽選(L)を実行する。
【0207】
[付記A11]
本発明のひとつの態様(付記A11)に係るプログラムは、利用者が特別賞に当選した場合に演出処理(X)を決定する決定部(511,Sg2)、前記決定部(511,Sg2)が決定した前記演出処理(X)と前記払出数量(E)の前記遊技媒体(Ga)を払出する払出処理(Y)とを含む当選処理を実行する処理部(512,Sg3,Sg7,Sg9,Sg13,Sg15)、および、前記当選処理に並行して前記利用者について追加抽選(L)を実行する抽選部(513,Sg5,Sg11)、としてコンピュータシステムを機能させる。
【0208】
[付記B]
例えば球体等の抽選体を利用した物理抽選と、表示装置による画像の表示を利用した電子抽選とを組合せた抽選システム(1)が従来から提案されている。例えば特許第6611100号公報の図6には、抽選体が転動する円弧状の通路と、複数の候補を表示する表示部とを具備する抽選システム(1)が開示されている。抽選体が進入可能な排出部が通路に形成される。表示装置が表示する複数の候補は経時的に移動する。以上の構成において、複数の候補のうち抽選体が排出部に進入した時点で特定の位置にある候補が、抽選結果として特定される。
【0209】
特許第6611100号公報の構成では、抽選体が排出部に進入した瞬間に抽選結果が確定するから、利用者の期待感(関心または興奮)を適切な時間にわたり維持することが困難である。以上の事情を考慮して、本発明のひとつの態様(付記B)は、利用者による期待感が維持される時間を適切に確保することを目的とする。
【0210】
[付記B1]
本発明のひとつの態様(付記B1)に係る抽選システム(1)は、抽選体(40)を保持した状態で目標場所に搬送する搬送体(30)と、経時的に変化する抽選要素(m)を表示する表示部(232)と、前記目標場所に前記抽選体(40)が到達したことに基づいて、前記表示部(232)に表示されている抽選要素(m)を、抽選結果として特定する抽選部(521,La6)とを具備する。
【0211】
以上の態様においては、目標場所に抽選体(40)が到達したことに基づいて、表示部(232)に表示されている抽選要素(m)が抽選結果として特定される。したがって、利用者は、抽選体(40)が搬送体(30)により搬送される過程において、目標場所に抽選体(40)が到達したことに対応する時点において表示部(232)に所望の抽選要素(m)が表示されることを期待する。搬送体(30)は、抽選体(40)を保持した状態で目標場所に搬送するから、搬送体(30)による抽選体(40)の保持が開始されてから当該抽選体(40)が目標場所に到達するまでの時間が適切に確保される。すなわち、利用者による期待感が維持される時間を確保し易いという利点がある。
【0212】
「抽選体(40)」は、抽選に利用される任意の物体である。抽選体(40)の典型例は、平面上で転動可能な立体物(例えば球体)であるが、抽選体(40)の形状は以上の例示に限定されない。例えば、円板状の抽選体(40)(例えば物理メダル)を利用してもよい。
【0213】
表示部(232)に表示される抽選要素(m)が「経時的に変化する」とは、例えば、当該抽選要素(m)が移動(スクロール)する態様、または、当該抽選要素(m)の態様が経時的に切替わる態様を包含する。
【0214】
目標場所に抽選体(40)が到達したことに基づいて、表示部(232)に表示されている抽選要素(m)を、抽選結果として特定する抽選部(521,La6)は、例えば、目標場所に抽選体(40)が到達した時点において表示部に表示されている抽選要素(m)を、抽選結果として特定する要素である。ただし、抽選体(40)が目標場所に到達した時点と抽選結果が特定される時点との異同は不問である。例えば、抽選体(40)が目標場所に到達した時点から所定の時間が経過した時点において表示部(232)に表示されている抽選要素(m)が、抽選結果として特定されてもよい。以上の例示から理解される通り、目標場所に抽選体が到達したことに起因して抽選要素が特定される構成であれば、「目標場所に抽選体(40)が到達したことに基づいて」という要件を充足する。
【0215】
[付記B2]
付記B1の具体例(付記B2)において、前記搬送体(30)は、回転軸(Ax)を中心として回転する回転体(31)と、前記回転体(31)に設置され、前記抽選体(40)を保持する保持部(32)とを含む。以上の態様においては、保持部(32)により保持された抽選体(40)が回転体(31)の回転により搬送されることで目標場所に到達する。したがって、回転体(31)の回転という簡便な制御により抽選体(40)を搬送でき、かつ、搬送体(30)の設置に必要なスペースが削減されるという利点がある。
【0216】
[付記B3]
付記B2の具体例(付記B3)において、前記保持部(32)は、前記抽選体(40)を磁力により保持する。以上の態様においては、保持部(32)が抽選体(40)を磁力により保持するから、例えば抽選体(40)が載置される保持部(32)を採用した構成と比較して、抽選体(40)と保持部(32)との接触が低減される。したがって、抽選体(40)と保持部(32)との接触に起因した各々の摩耗または破損を抑制できる。
【0217】
[付記B4]
付記B3の具体例(付記B4)において、前記抽選体(40)の表面のうち第1領域が前記保持部(32)に接触する状態で前記抽選体(40)と前記保持部(32)との間に作用する磁力と、当該表面のうち前記第1領域とは相違する第2領域が前記保持部(32)に接触する状態で前記抽選体(40)と前記保持部(32)との間に作用する磁力とは相違する。以上の態様においては、抽選体(40)が第1領域を向けた状態で保持部(32)に接近した場合と、抽選体(40)が第2領域を向けた状態で保持部(32)に接近した場合との間において、抽選体(40)が保持部(32)に保持される確率が相違する。すなわち、抽選体(40)の挙動(保持部(32)に保持されるか否か)のランダム性を確保し易いという利点がある。
【0218】
[付記B5]
付記B1の具体例(付記B5)において、前記目標場所は、複数の目標地点(Qk)を含み、前記搬送体(30)は、前記複数の目標地点(Qk)の何れかに前記抽選体(40)を搬送し、前記表示部(232)は、経時的に変化する抽選要素(m)を表示する複数の表示領域(Fb_k)を含み、前記抽選部(521,La6)は、前記複数の目標地点(Qk)のうち何れかの目標地点(Qk)に前記抽選体(40)が到達したことに基づいて、前記複数の表示領域(Fb_k)のうち当該目標地点(Qk)に対応する表示領域(Fb_k)に表示されている抽選要素(m)を、前記抽選結果として特定する。
【0219】
以上の態様においては、複数の目標地点(Qk)のうち搬送体(30)による搬送で抽選体(40)が到達した目標地点(Qk)と、抽選体(40)が目標地点(Qk)に到達したことに対応する時点における表示領域(Fb_k)の表示内容と、に応じて抽選結果が特定される。したがって、利用者は、複数の目標地点(Qk)のうち所望の抽選要素(m)が表示される表示領域(Fb_k)に対応する目標地点(Qk)に抽選体(40)が到達することを期待し、かつ、当該目標地点(Qk)に抽選体(40)が到達すしたことに対応する時点において表示領域(Fb_k)に所望の抽選要素(m)が表示されることを期待する。したがって、複数の目標地点(Qk)のうち抽選体(40)が到達する目標地点(Qk)のみに応じて抽選結果が確定する構成と比較して、抽選結果に影響する要因が多様で興趣性が高い抽選を実現できる。
【0220】
複数の表示領域(Fb_k)の各々は、典型的には、単体の表示装置に形成される領域である。ただし、相互に別体で構成された複数の表示装置の各々に表示領域(Fb_k)が形成されてもよい。すなわち、表示部(232)は、単体の表示装置で実現されてもよいし複数の表示装置で実現されてもよい。
【0221】
「複数の表示領域(Fb_k)のうち当該目標地点(Qk)に対応する表示領域(Fb_k)に表示されている抽選要素(m)」とは、例えば、複数の抽選要素(m)の何れかが各表示領域(Fb_k)に順次に表示される態様においては、複数の表示領域(Fb_k)のうち目標地点(Qk)に対応する表示領域(Fb_k)に表示されている抽選要素(m)を意味する。また、例えば、複数の抽選要素(m)の何れかが各表示領域(Fb_k)内において移動(例えばスクロール)する態様においては、複数の表示領域(Fb_k)のうち目標地点(Qk)に対応する表示領域(Fb_k)のうち特定の領域に表示されている抽選要素(m)を意味する。
【0222】
[付記B6]
付記B5の具体例(付記B6)において、前記複数の目標地点(Qk)は、前記回転軸(Ax)の方向における位置が相違する第1目標地点(Qk1)と第2目標地点(Qk2)とを含み、前記搬送体(30)は、回転軸(Ax)を中心として回転する回転体(31)と、前記抽選体(40)を保持する複数の保持部(32)とを含み、前記複数の保持部(32)は、前記回転軸(Ax)の方向において前記第1目標地点(Qk1)に対応する位置に設置された1以上の第1保持部(32_k1)と、前記回転軸(Ax)の方向において前記第2目標地点(Qk2)に対応する位置に設置された1以上の第2保持部(32_k2)とを含む。以上の態様においては、回転体(31)の回転軸(Ax)の方向において相異なる目標地点(Qk)に対応する位置に保持部(32)が配置される。具体的には、第1目標地点(Qk1)に対応する位置に1以上の第1保持部(32_k1)が設置され、第2目標地点(Qk2)に対応する位置に1以上の第2保持部(32_k2)が設置される。したがって、各保持部(32)に保持された抽選体(40)が到達する目標地点(Qk)を利用者が把握し易いという利点がある。
【0223】
[付記B7]
付記B6の具体例(付記B7)において、前記1以上の第1保持部(32_k1)は、前記回転体(31)の周方向に間隔をあけて配置された2以上の第1保持部(32_k1)であり、前記1以上の第2保持部(32_k2)は、前記回転体(31)の周方向に間隔をあけて配置された2以上の第2保持部(32_k2)である。以上の態様においては、第1目標地点(Qk1)に対応する位置に2以上の第1保持部(32_k1)が設置され、第2目標地点(Qk2)に対応する位置に2以上の第2保持部(32_k2)が設置される。したがって、1個の第1保持部(32_k1)と1個の第2保持部(32_k2)とが設置された構成と比較して、抽選体(40)が保持部(32)により保持される可能性(ひいては目標地点(Qk)に到達する可能性)を高めることが可能である。
【0224】
[付記B8]
付記B5から付記B7の何れかの具体例(付記B8)において、前記複数の表示領域(Fb_k)は、前記回転軸(Ax)の方向において前記第1目標地点(Qk1)に対応する第1表示領域(Fb_k1)と、前記回転軸(Ax)の方向において前記第2目標地点(Qk2)に対応する第2表示領域(Fb_k2)とを含み、前記表示部(232)は、前記第1表示領域(Fb_k1)に表示される前記抽選要素(m)を前記第1目標地点(Qk1)に向けて移動させ、前記第2表示領域(Fb_k2)に表示される前記抽選要素(m)を前記第2目標地点(Qk2)に向けて移動させる。以上の態様においては、各表示領域(Fb_k)に表示される抽選要素(m)が目標地点(Qk)に近付くように移動するから、抽選体(40)が目標地点(Qk)に到達したことに対応する時点における各表示領域(Fb_k)の抽選要素(m)の位置を、利用者が予測できる。したがって、抽選体(40)が目標地点(Qk)に到達するまでの過程において利用者の関心を維持し易い興趣性の高い抽選を実現できる。
【0225】
[付記B9]
付記B2から付記B4および付記B6から付記B8の何れかの具体例(付記B9)において、前記回転体(31)の周囲において前記回転軸(Ax)に沿って延在する待機経路(35)を具備し、前記抽選体(40)は、前記搬送体(30)に保持されるまで前記待機経路(35)上を転動する。以上の態様においては、搬送体(30)(具体的には保持部(32))に保持されるまで抽選体(40)が待機経路(35)上を移動する。したがって、複数の保持部(32)の何れに抽選体(40)が保持されるのかを利用者が即座には把握できない興趣性の高い抽選を実現できる。
【0226】
[付記B10]
付記B9の具体例(付記B10)において、前記待機経路(35)のうち前記回転軸(Ax)の方向における第1地点にある場合の前記抽選体(40)の高さは、前記待機経路(35)のうち前記回転軸(Ax)の方向において前記第1地点とは相違する第2地点にある場合の前記抽選体(40)の高さよりも低い。以上の態様においては、第1地点にある場合の抽選体(40)の高さが、第2地点にある場合の抽選体(40)の高さよりも低いから、抽選体(40)が第1地点の近傍に位置する確率は、抽選体(40)が第2地点の近傍に位置する確率を上回る。すなわち、複数の保持部(32)のうち第1地点に近い保持部(32)に抽選体(40)が保持される確率は、第2地点に近い保持部(32)に抽選体(40)が保持される確率よりも高い。以上の構成によれば、複数の目標地点(Qk)の各々に抽選体(40)が到達する確率を相違させることが可能である。具体的には、複数の目標地点(Qk)のうち回転軸(Ax)の方向における位置が第1地点に近い目標地点(Qk)に抽選体(40)が到達する可能性を高めることが可能である。
【0227】
回転軸(Ax)の方向における第1位置および第2位置は任意である。例えば、回転軸(Ax)の方向における回転体(31)の中央部の近傍の位置を第1位置とし、当該回転体(31)の端部の近傍の位置を第2位置とすれば、回転体(31)の中央部の近傍の保持部(32)に抽選体(40)を集中させることが可能である。
【0228】
[付記B11]
付記B9または付記B10の具体例(付記B11)において、前記搬送体(30)は、前記回転体(31)の外面(31a)から突出する複数の突起部(33)を含み、前記複数の突起部(33)は、前記待機経路(35)上で転動する前記抽選体(40)を付勢する。以上の態様においては、複数の突起部(33)からの付勢(例えば衝突)により待機経路(35)上の抽選体(40)が不規則に移動する。したがって、複数の保持部(32)の何れに抽選体(40)が保持されるのかを利用者が即座には把握できない興趣性の高い抽選が実現される。
【0229】
[付記B12]
付記B1から付記B11の何れかの具体例(付記B12)において、前記目標場所に到達した抽選体(40)を前記搬送体(30)に向けて帰還させる帰還経路(36)を具備する。以上の態様においては、目標場所に到達した抽選体(40)が帰還経路(36)を経由して搬送体(30)に帰還する。したがって、搬送体(30)に向けて外部から抽選体(40)を投入する機構を必要とせずに、抽選体(40)を利用した抽選を反復することが可能である。
【0230】
[付記B13]
付記B12の具体例(付記B13)において、前記帰還経路(36)に設置された可動体(38)と、前記搬送体(30)に向かう前記抽選体(40)の移動を阻止する阻止状態と、前記搬送体(30)に向かう前記抽選体(40)の移動を許容する解放状態との何れかに前記可動体(38)を制御する制御部(522,La3,La4)とを具備する。以上の態様においては、帰還経路(36)に設置された可動体(38)が、抽選体(40)の移動を阻止する阻止状態と抽選体(40)の移動を許容する解放状態との何れかに制御される。したがって、可動体(38)の状態を制御することで、搬送体(30)に向けて抽選体(40)が供給される時点を制御できる。
【0231】
[付記C]
抽選処理の結果に応じて物理メダル等の遊技媒体の払出を実行する抽選装置が従来から提案されている。抽選装置においては、通常の抽選処理と比較して参加条件が厳しい特別抽選により利用者が特別賞(例えばジャックポット)に当選する可能性がある。特別賞に当選した利用者には多数の遊技媒体が払出される。特許第5178244号公報には、ジャックポットに当選した第1利用者に多数のメダルが払出されている期間内に第2利用者がジャックポットに当選した場合に、第2利用者が遊技媒体の払出を待機する時間に応じて、当該第2利用者に対するメダルの払出枚数を増加させる構成が開示されている。
【0232】
従来の構成においては、複数の利用者のうち特別賞に当選した利用者のみが多数の報酬を獲得できるだけであり、特別賞のための抽選の進行または結果は、他の利用者にとって無関係である。なお、以上の説明では特別賞のための抽選に着目したが、他の抽選についても同様の事情が想定される。以上の事情を考慮して、本発明のひとつの態様(付記C)は、抽選が実行されるステーション以外の各ステーションの利用者について、当該抽選に関する関心を維持することを目的とする。
【0233】
[付記C1]
本発明のひとつの態様(付記C1)に係る抽選システム(1)は、相異なる利用者がゲームをプレイする複数のステーション(10)のうちの何れかのステーション(10)について、前記複数のステーション(10)により共用される抽選装置(22-i)を利用して、複数の第1属性(λi)から選択された第1選択属性(λA)に関する第1抽選を実行する第1抽選部(532,Sd)と、前記複数のステーション(10)の各々について、複数の第2属性(λi)から選択された第2選択属性(λB)に関する第2抽選であって、抽選パラメータ(α)が適用される第2抽選を実行する第2抽選部(533,Sa10)と、前記第1抽選の結果が当選であるとき、前記第2選択属性(λB)が前記第1選択属性(λA)に対応する場合に前記第2抽選に適用される前記抽選パラメータ(α)の数値と、前記第2選択属性(λB)が前記第1選択属性(λA)に対応しない場合に前記第2抽選に適用される前記抽選パラメータ(α)の数値とを相違させる設定部(534,Sf)とを具備する。
【0234】
以上の態様においては、複数のステーション(10)のうち何れかのステーション(10)について実行される第1抽選の結果が当選であるときに、ステーション(10)毎の第2抽選について複数の第2属性(λi)から選択された第2選択属性(λB)が、第1抽選について複数の第1属性(λi)から選択された第1選択属性(λA)に対応する場合と、当該第1選択属性(λA)に対応しない場合とで、第2抽選に適用される抽選パラメータ(α)の数値が相違する。すなわち、第2選択属性(λB)が第1選択属性(λA)に対応するか否かに応じて第2抽選の結果が変化する。したがって、複数のステーション(10)のうち第1抽選が実行されるステーション(10)以外の各ステーション(10)の利用者は、第1抽選について選択される第1選択属性(λA)に注目する。すなわち、第1抽選が実行されるステーション(10)以外の各ステーション(10)の利用者について、第1抽選に対する関心を維持できるという利点がある。
【0235】
「第1属性(λi)」は、第1抽選に関する特徴である。例えば、第1抽選の方法または条件、第1抽選に利用される抽選装置(22-i)、および第1抽選の実行中の演出処理等、第1抽選に関する動作が、複数の第1属性(λi)から選択される第1選択属性(λA)に応じて変化する。第1選択属性(λA)は、例えば、第1抽選の実行前の抽選により選択される。
【0236】
「第2属性(λi)」は、第2抽選に関する特徴である。例えば、第2抽選の方法または条件、および第2抽選の実行中の演出処理等、第2抽選に関する動作が、複数の第2属性(λi)から選択される第2選択属性(λB)に応じて変化する。第2選択属性(λB)は、例えば、第2抽選の実行前の抽選により選択される。第1属性(λi)と第2属性(λi)とは、同種の属性でもよいし異種の属性でもよい。
【0237】
「抽選パラメータ(α)」は、第2抽選の結果に影響する任意のパラメータである。例えば、第2抽選が、数値を決定する処理である場合、当該数値の算定に適用される変数が抽選パラメータ(α)に相当する。また、第2抽選が、複数の要素の何れかを確率的に選択する処理である場合、各要素が選択される確率が抽選パラメータ(α)に相当する。
【0238】
「第1選択属性(λA)と第2選択属性(λB)とが対応する場合」とは、第1選択属性(λA)と第2選択属性(λB)とが所定の関係にあることを意味する。例えば、第1選択属性(λA)と第2選択属性(λB)とが、同種の属性である場合、または相互に関連する属性である場合に、第1選択属性(λA)と第2選択属性(λB)とが対応すると言える。他方、「第1選択属性(λA)と第2選択属性(λB)とが対応しない場合」とは、第1選択属性(λA)と第2選択属性(λB)とが所定の関係にないことを意味する。例えば、第1選択属性(λA)と第2選択属性(λB)とが、別種の属性である場合、または関連性が低い属性である場合に、第1選択属性(λA)と第2選択属性(λB)とは対応しないと言える。
【0239】
典型的な態様において、各第1属性(λi)と各第2属性(λi)とは1対1に対応するが、第1属性(λi)と第2属性(λi)との数的な対応は以上の例示に限定されない。例えば、複数の第1属性(λi)のうち2以上の第1属性(λi)がひとつの第2属性(λi)に対応する場合、または、複数の第2属性(λi)のうち2以上の第2属性(λi)がひとつの第1属性(λi)に対応する場合もあり得る。
【0240】
結果が当選である第1抽選の第1選択属性(λA)が維持される期間の条件は任意である。例えば、当選した第1抽選の直後に実行される第2抽選についてのみ第1選択属性(λA)が有効である態様、当選した第1抽選後に所定回の第2抽選が実行されるまで第1選択属性(λA)が有効である態様、当選した第1抽選以降の全部の第2抽選において第1選択属性(λA)が有効である態様、または、当選した第1抽選後に所定の条件が成立するまでの期間において第1選択属性(λA)が有効である態様、等が想定される。
【0241】
[付記C2]
付記C1の具体例(付記C2)において、前記抽選パラメータ(α)は、複数の数値を含み、前記第2抽選は、前記複数の数値の何れかを抽選により選択する数値抽選(Sa104)と、前記数値抽選(Sa104)により選択された数値に応じて報酬量(W2)を決定する決定処理(Sa105)とを含み、前記設定部(534,Sf)は、前記第2選択属性(λB)が前記第1選択属性(λA)に対応する場合に、前記複数の数値のうち少なくともひとつの数値を、前記第2選択属性(λB)が前記第1選択属性(λA)に対応しない場合と比較して大きい数値に設定する。以上の態様においては、第2選択属性(λB)が第1選択属性(λA)に対応する場合の報酬量(W2)が、第2選択属性(λB)が第1選択属性(λA)に対応しない場合の報酬量(W2)と比較して多くなる可能性が高い。すなわち、各ステーション(10)の利用者に付与される報酬量(W2)が、第1抽選における第1選択属性(λA)に影響される。したがって、各ステーション(10)の利用者による第1抽選に対する関心を維持できるという効果は格別に顕著である。
【0242】
数値の変更は、例えば、当該数値に対する所定の係数の加算または乗算等の演算により実現されてもよいいし、複数の数値の系列を切替えることで実現されてもよい。
【0243】
[付記C3]
付記C2の具体例(付記C3)において、前記複数のステーション(10)の各々について、当該ステーション(10)におけるゲームの進行に応じて、相異なる第2属性(λi)に対応する複数のゲームパラメータ(Ni)の各々の数値を制御する制御部(531,Sa5,Sa6)を具備し、前記決定処理(Sa105)は、前記複数のゲームパラメータ(Ni)のうち前記第2選択属性(λB)に対応するゲームパラメータ(Ni)の数値と、前記数値抽選(Sa104)により選択された数値とに応じて前記報酬量(W2)を算定する処理である。以上の態様においては、各ステーション(10)におけるゲームパラメータ(Ni)の数値に応じて報酬量(W2)が算定される。したがって、各ステーション(10)の利用者は、複数種のゲームパラメータ(Ni)のうち当該ステーション(10)において数値が大きいゲームパラメータ(Ni)の第2属性(λi)に対応する第1属性(λi)が、第1抽選において選択されることを期待する。以上の態様によれば、各ステーション(10)の利用者による第1抽選に対する関心を維持できるという効果は格別に顕著である。
【0244】
「ゲームパラメータ(Ni)」は、ゲームの進行に応じて数値が変化する任意のパラメータである。例えば、アイテム等のオブジェクトが利用者に付与されるゲームにおいては、当該オブジェクトの付与数が「ゲームパラメータ(Ni)」として例示される。「オブジェクト」は、ゲームに登場する仮想的な要素(例えば宝石)である。第2属性(λi)の典型例はオブジェクトの色であり、第1属性(λi)の典型例は、第1抽選を象徴する色(例えば第1抽選に使用される抽選機の代表的な色)である。
【0245】
[付記C4]
付記C1から付記C3の何れかの具体例(付記C4)において、前記第1抽選における当選から、当該当選後の第1抽選における最初の当選まで、前記第2抽選について有効となる前記第1選択属性(λA)は維持される。以上の態様においては、第1抽選における当選から、当該当選後の第1抽選における最初の当選まで第1選択属性(λA)が維持されるから、各ステーション(10)の利用者は、抽選パラメータ(α)の変化による利益を享受すべく積極的にゲームをプレイする。
【0246】
[付記C5]
本発明のひとつの態様(付記C5)に係る抽選システム(1)の動作方法は、相異なる利用者がゲームをプレイする複数のステーション(10)のうちの何れかのステーション(10)について、前記複数のステーション(10)により共用される抽選装置(22-i)を利用して、複数の第1属性(λi)から選択された第1選択属性(λA)に関する第1抽選を実行し、前記複数のステーション(10)の各々について、複数の第2属性(λi)から選択された第2選択属性(λB)に関する第2抽選であって、抽選パラメータ(α)が適用される第2抽選を実行し、前記第1抽選の結果が当選であるとき、前記第2選択属性(λB)が前記第1選択属性(λA)に対応する場合に前記第2抽選に適用される前記抽選パラメータ(α)の数値と、前記第2選択属性(λB)が前記第1選択属性(λA)に対応しない場合に前記第2抽選に適用される前記抽選パラメータ(α)の数値とを相違させる。
【0247】
[付記C6]
本発明のひとつの態様(付記C6)に係るプログラムは、相異なる利用者がゲームをプレイする複数のステーション(10)のうちの何れかのステーション(10)について、前記複数のステーション(10)により共用される抽選装置(22-i)を利用して、複数の第1属性(λi)から選択された第1選択属性(λA)に関する第1抽選を実行する第1抽選部(532,Sd)、前記複数のステーション(10)の各々について、複数の第2属性(λi)から選択された第2選択属性(λB)に関する第2抽選であって、抽選パラメータ(α)が適用される第2抽選を実行する第2抽選部(533,Sa10)、および、前記第1抽選の結果が当選であるとき、前記第2選択属性(λB)が前記第1選択属性(λA)に対応する場合に前記第2抽選に適用される前記抽選パラメータ(α)の数値と、前記第2選択属性(λB)が前記第1選択属性(λA)に対応しない場合に前記第2抽選に適用される前記抽選パラメータ(α)の数値とを相違させる設定部(534,Sf)、としてコンピュータシステムを機能させる。
【符号の説明】
【0248】
1…抽選システム、10…ステーション、11…表示装置、112…回転部、12…操作パネル、121…操作部、122…受付部、123…排出部、13…ゲーム装置、131…固定テーブル、132…可動テーブル、Ha…抽選孔、133…投入機構、134…固定壁部、135…供給装置、14…属性抽選装置、141…抽選体、H1~H3…抽選孔、20…中央ユニット、21…支持体、22_1,22_2,22_3…抽選装置、23…表示ユニット、231…表示装置、232…表示装置、232a…表示面、24…搬送装置、25…払出装置、26…抽選装置、30…搬送体、31…回転体、31a…外面、32_k(32_1,32_2,32_3)…保持部、33…突起部、34…駆動装置、35…待機経路、35a…柵部、36…帰還経路、361…第1経路、362…第2経路、363…柵部、37(37_1,37_2,37_3,37_4)…隔壁部、38…可動体、39_k(39_1,39_2,39_3)…検出器、40…抽選体、41…基体部、411…収容部、412…突起部、42…永久磁石、50…制御装置、55…記憶装置、511…決定部、512…処理部、513…抽選部、514…払出部、521…抽選部、522…制御部、531…制御部、532…第1抽選部、533…第2抽選部、534…設定部。
図1
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