(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152960
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】化粧料用水中油型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20241018BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20241018BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241018BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20241018BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241018BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/55
A61K8/34
A61K8/31
A61Q5/00
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024142358
(22)【出願日】2024-08-23
(62)【分割の表示】P 2021030330の分割
【原出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】591040144
【氏名又は名称】太陽油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢ヶ崎 惟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄里
(57)【要約】
【課題】 酸性領域において安定であり、使用適性にすぐれた、天然由来成分のみを使用した新規な化粧料用水中油型乳化組成物を提供する。
【解決手段】 化粧料用水中油型乳化組成物であって、前記組成物全体を基準として下記成分(a)~(d)を含み、pHが3~6であり、粘度が15000cp以上である前記組成物。(a)リン脂質及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種 0.3~3質量%、(b)高級アルコール 2~12質量%、(c)油剤 1.5~20質量%、(d)水
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料用水中油型乳化組成物であって、前記組成物全体を基準として下記成分(a)~(d)を含み、pHが3~6であり、粘度が15000cp以上である前記組成物。
(a)リン脂質及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種 0.3~3質量%
(b)高級アルコール 2~12質量%
(c)油剤 1.5~20質量%
(d)水
【請求項2】
前記(a)成分が天然由来である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(a)成分全体を基準として、ホスファチジルコリン及びその誘導体を20~80質量%含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(b)成分が炭素数16~22の直鎖アルコールである、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記(b)成分が天然由来である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記(c)成分が天然由来である、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
さらに(e)多価アルコールを含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
天然由来の成分のみから構成される、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
頭髪用又は肌用の化粧料である、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
頭髪用又は肌用のコンディショニング剤である、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
石けんシャンプーは使用後に頭髪のキューティクルが石けんのアルカリ性により開いてしまう。そのため、石けんシャンプーの使用後は酸性のリンスやコンディショナーを続けて使用することが、良好な使用感を得るうえで好ましい。
一方、近年、消費者の安心安全の志向から、天然由来成分のみで製造された化粧料への要望が大きくなってきている。
【0003】
酸性領域において安定な化粧料について、例えば特許文献1には、有機酸、ポリプロピレングリコール、カチオン界面活性剤、高級アルコール、及びシリコーンをそれぞれ特定量含有し、pHが4.5以下である毛髪化粧料が開示されている。
しかしながら、特許文献1の化粧料は合成のカチオン界面活性剤を必須としており、消費者の安心安全を満足させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況に鑑み、本発明は、酸性領域において安定であり、使用適性にすぐれた、天然由来成分のみを使用した新規な化粧料用水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の化粧料用水中油型乳化組成物を提供できる。
1.化粧料用水中油型乳化組成物であって、前記組成物全体を基準として下記成分(a)~(d)を含み、pHが3~6であり、粘度が15000cp以上である前記組成物。
(a)リン脂質及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種 0.3~3質量%
(b)高級アルコール 2~12質量%
(c)油剤 1.5~20質量%
(d)水
2.前記(a)成分が天然由来である、1に記載の組成物。
3.前記(a)成分全体を基準として、ホスファチジルコリン及びその誘導体を20~80質量%含む、1又は2に記載の組成物。
4.前記(b)成分が炭素数16~22の直鎖アルコールである、1~3のいずれかに記載の組成物。
5.前記(b)成分が天然由来である、1~4のいずれかに記載の組成物。
6.前記(c)成分が天然由来である、1~5のいずれかに記載の組成物。
7.さらに(e)多価アルコールを含む、1~6のいずれかに記載の組成物。
8.天然由来の成分のみから構成される、1~7のいずれかに記載の組成物。
9.頭髪用又は肌用の化粧料である、1~8のいずれかに記載の組成物。
10.頭髪用又は肌用のコンディショニング剤である、1~9のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、酸性領域において安定であり、使用適性にすぐれた、天然由来成分のみを使用した新規な化粧料用水中油型乳化組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の化粧料用水中油型乳化組成物の具体的な実施形態について説明する。
数値範囲について、「X~Y」の表記は「X以上Y以下」を意味するものとし、また、下限値と上限値は任意に組み合わせて数値範囲とすることができるものとする。
【0009】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、組成物全体を基準として下記成分(a)~(d)を含み、pHが3~6であり、粘度が15000cp以上であるものである。
(a)リン脂質及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種 0.3~3質量%
(b)高級アルコール 2~12質量%
(c)油剤 1.5~20質量%
(d)水
【0010】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、上記の構成とすることにより、酸性領域において安定であり、使用適性にすぐれたものとすることができる。本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、頭髪用及び肌用の化粧料として使用適性にすぐれ、具体的には、塗布したときの延び広がり、水ですすいだときの洗い流し性、使用後の保湿感にすぐれる。
【0011】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、(a)成分として、リン脂質及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を、組成物全体を基準として0.3~3質量%含む。(a)成分は、界面活性剤として機能する。(a)成分を特定の含有量範囲で含むことにより、本発明の組成物を乳化組成物とすることができる。
(a)成分のリン脂質及びその誘導体は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、リゾフォスファチジルコリンなどが挙げられ、材料としては、卵黄レシチン、大豆レシチン、水素添加卵黄リン脂質、水素添加大豆リン脂質などを使用することができる。(a)成分は、二種以上を併用してもよい。
(a)成分は、化粧料製品の成分表示としては、リン脂質、レシチン、水添レシチン、リゾレシチン、水添リゾレシチンなどと記載される。
【0012】
(a)成分は天然由来であることが好ましい。これにより、人への使用適性にすぐれたものとすることができ、廃棄の際の環境負荷をなくすことができる。
(a)成分の含有量は、組成物全体を基準として、下限値は例えば0.3質量%、0.5質量%、1質量%、1.5質量%、2質量%、3質量%などであってもよく、上限値は例えば3質量%、2.5質量%、2質量%、1.5質量%、1質量%、0.5質量%などであってもよい。
リン脂質及びその誘導体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び薄層クロマトグラフィー(TLC)を含む種々の方法により同定し、定量することができる。分析条件は、適宜設定することができる。
【0013】
(a)成分は、(a)成分全体を基準として、ホスファチジルコリン及びその誘導体を、20~80質量%含むことが好ましい。これにより、組成物の乳化安定性を向上することができる。
ホスファチジルコリンの誘導体としては、例えば、コリン部位が任意の官能基で修飾されたものや、二つのアシル基のうち一方又は両方が任意の官能基で修飾されたものなどが挙げられる。商業的に入手可能な材料としては、「NIKKOL レシノール S-10(PC25~30%)」(日光ケミカルズ株式会社製)、「NIKKOL レシノール S-10M(PC55~65%)」(日光ケミカルズ株式会社製)、「NIKKOL レシノール S-GF(PC20~40%)」(日光ケミカルズ株式会社製)、「PHOSPHOLIPON 80H」(Lipoid Kosmetik AG製)、「卵黄レシチン PL-30S(PC30%以上)」(キューピー株式会社製)、「EMULMETIK 320(PC23%)」(LUCAS MEYER COSMETICS社製)などを使用することができる(PCはホスファチジルコリンの含量である。)。
【0014】
ホスファチジルコリン及びその誘導体の含有量は、(a)成分全体を基準として、下限値は例えば20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%などであってもよく、上限値は例えば80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、40質量%などであってもよい。
ホスファチジルコリン及びその誘導体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び薄層クロマトグラフィー(TLC)を含む種々の方法により同定し、定量することができる。分析条件は、適宜設定することができる。
【0015】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、(b)成分として、高級アルコールを、組成物全体を基準として2~12質量%含む。(b)成分は、乳化助剤や粘度調整剤として機能する。
(b)成分の高級アルコールは、炭素数6以上の1価アルコールである。例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの天然由来のものが挙げられる。高級アルコールの炭素数の範囲は、例えば12~28、14~24、16~22であり、16~22が好ましい。また、高級アルコールは、直鎖アルコールが好ましく、直鎖飽和アルコールがより好ましい。(b)成分は、二種以上を併用してもよい。
(b)成分は天然由来であることが好ましい。これにより、人への使用適性にすぐれたものとすることができ、廃棄の際の環境負荷をなくすことができる。
(b)成分の含有量は、組成物全体を基準として、下限値は例えば2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%などであってもよく、上限値は例えば12質量%、11質量%、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%などであってもよい。
【0016】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、(c)成分として、油剤を、組成物全体を基準として1.5~20質量%含む。これにより、組成物にエモリエント効果やコンディショニング効果を付与することができる。
(c)成分の油剤は油溶性の成分である限り特に限定されないが、25℃を超えて75℃以下で液状であるものが好ましい。但し、(b)成分に該当するものを除く。油剤としては、例えば、硬化油、モクロウ、カカオ脂、硬化ヒマシ油、部分水素添加ゴマ油、部分水素添加パーム油などの固形油脂;ドコサンなどの固形炭化水素;ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、部分水素添加ホホバ油、コメヌカロウなどの固形ロウ類(エステル);ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベへン酸などの固形高級脂肪酸;ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、トリミリスチン酸グリセリルなどの固形エステル;オリーブ油、ヒマシ油、ローズヒップ油、マカデミアナッツ油、月見草油、アボカド油などの液状油脂;ホホバ油などの液状ロウ類(エステル)、C15~19アルカン、テトラデカン、スクワランなどの液状炭化水素;イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどの液状脂肪酸モノエステル;トリイソステアリン酸グリセリルなどの液状グリセリンエステル;ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリルなどの液状ポリグリセリンエステル;ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシルなどのアミノ酸エステル;イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの液状高級脂肪酸が挙げられる。また、(c)成分は、(b)成分に該当しないアルコールであって、かつ(e)成分にも該当しないアルコールであってもよい(例えば、(b)成分が直鎖アルコールに限定される場合に、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、又は、(b)成分が直鎖飽和アルコールに限定される場合に、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール)。(c)成分は、二種以上を併用してもよい。
【0017】
(c)成分は天然由来であることが好ましい。これにより、人への使用適性にすぐれたものとすることができ、廃棄の際の環境負荷をなくすことができる。
(c)成分の含有量は、組成物全体を基準として、下限値は例えば1.5質量%、2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%、10質量%、11質量%、12質量%などであってもよく、上限値は例えば20質量%、19質量%、18質量%、17質量%、16質量%、15質量%、14質量%、13質量%、12質量%、11質量%、10質量%などであってもよい。
【0018】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、(d)成分として、水を含む。(d)成分を含むことにより、本発明の組成物を油中水型乳化組成物とすることができ、化粧料としての使用適性を付与することができる。
(d)成分の水は、例えば、蒸留水、脱塩水、精製水などの純水;超純水などが挙げられる。
(d)成分の含有量は、組成物全体を基準として、下限値は例えば45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%などであってもよく、上限値は例えば90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%などであってもよい。(d)成分の含有量の範囲は、例えば、組成物全体を基準として45~90質量%である。
【0019】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、(e)成分として、多価アルコールを含んでもよい。(e)成分は、保湿剤として機能する。(e)成分の含有量は、例えば、組成物全体を基準として2~20質量%である。
(e)成分の多価アルコールは、例えばグリセリン、ジグリセリン、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオールなどが挙げられる。(e)成分は、二種以上を併用してもよい。
【0020】
(e)成分は天然由来であることが好ましい。これにより、人への使用適性にすぐれたものとすることができ、廃棄の際の環境負荷をなくすことができる。
(e)成分の含有量は、組成物全体を基準として、下限値は例えば2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%、10質量%、11質量%、12質量%などであってもよく、上限値は例えば20質量%、19質量%、18質量%、17質量%、16質量%、15質量%、14質量%、13質量%、12質量%、11質量%、10質量%などであってもよい。
【0021】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、本発明の効果を損なわないことを条件として、任意成分として、当技術分野において既知の香料、pH調整剤、増粘剤、防腐剤、エキス成分などを含んでもよい。これらは、二種以上を併用してもよい。任意成分の含有量は、本発明の効果を損なわないことを条件として、特に限定されず、必要に応じて調節することができる。
香料としては、天然由来であることが好ましく、例えば、ヒノキチオール、ラベンダー油、ペパーミント油、オレンジ油、イランイラン油、フランキンセンス油、ローレル油、ローズウッド油などが挙げられる。
【0022】
pH調整剤としては、当技術分野において既知の任意の無機酸、有機酸、無塩基、有機塩基を使用することができる。有機酸が好ましく、例えば、クエン酸、乳酸、酪酸、グリコール酸などが挙げられる。
増粘剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えばキサンタンガム、カラギーナン、グァガム、タマリンドガムなどが挙げられる。
防腐剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えばヒノキチオール、フェネチルアルコール、チャエキス、乳酸桿菌/ダイコン根発酵液、乳酸桿菌/ワサビ根発酵エキス、シロヤナギ樹皮エキスなどが挙げられる。
【0023】
エキス成分としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えばアシタバエキス、アセンヤクエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アマチャヅルエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、油溶性アルニカエキス、アルモンドエキス、アロエエキス、アンソッコウエキス、イチョウエキス、イラクサエキス、イリス根エキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オクラエキス、オトギリソウエキス、油溶性オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、油溶性オドリコソウエキス、オノニスエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、オレンジフラワー水、海藻エキス、カキタンニン、カッコンエキス、カノコソウエキス、ガマエキス、カモミラエキス、油溶性カモミラエキス、カモミラ水、カラスムギエキス、カロットエキス、油溶性カロットエキス、カロット油、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、カンゾウ抽出末、カンゾウフラボノイド、カンタリスチンキ、キイチゴエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、キョウニンエキス、クインスシードエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミ殻エキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、黒砂糖エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイヒエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、コウホネエキス、ゴボウエキス、油溶性ゴボウエキス、コムギ胚芽エキス、加水分解コムギ末、コメヌカエキス、コメヌカ発酵エキス、コンフリーエキス、サイシンエキス、サフランエキス、サボンソウエキス、油溶性サルビアエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、シイタケエキス末、ジオウエキス、シコンエキス、油溶性シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、油溶性シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ジュズダマエキス、ショウキョウエキス、油溶性ショウキョウエキス、ショウキョウチンキ、ショウブ根エキス、シラカバエキス、油溶性シラカバエキス、シラカバ樹液、スイカズラエキス、スギナエキス、油溶性スギナエキス、スコルジニン、ステビアエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウネズエキス、セイヨウノコギリソウエキス、油溶性セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、油溶性セージエキス、セージ水、ゼニアオイエキス、セロリエキス、センキュウエキス、センキュウ水、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チャエキス、チャ乾留液、チャ実エキス、チョウジエキス、チンピエキス、ツバキエキス、ツボクサエキス、油溶性テウチグルミエキス、デュークエキス、テルミナリアエキス、トウガラシチンキ、トウキエキス、油溶性トウキエキス、トウキ水、トウキンセンカエキス、油溶性トウキンセンカエキス、豆乳末、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、トルメンチラエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、油溶性ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、油溶性ノバラエキス、バクガエキス、バクガ根エキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、ハダカムギ葉汁濃縮物、蒸留ハッカ水、ハマメリス水、ハマメリス抽出液、バラエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビワ葉エキス、油溶性ビワ葉エキス、フキタンポポエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブッチャーブルームエキス末、ブドウエキス、ブドウ葉エキス、ブドウ水、ヘイフラワーエキス、ヘチマエキス、ヘチマ水、ベニバナエキス、油溶性ボダイジュエキス、ボダイジュ水、ボタンエキス、ホップエキス、油溶性ホップエキス、マツエキス、マリアアザミエキス、マロニエエキス、油溶性マロニエエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、メリロートエキス、モモ葉エキス、油溶性モモ葉エキス、モヤシエキス、ヤグルマギクエキス、ヤグルマギク水、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、油溶性ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ヨモギ水、ラベンダーエキス、ラベンダー水、リンゴエキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズ水、ローズマリーエキス、油溶性ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ワレモコウエキスなどが挙げられる。
【0024】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物の一態様は、ステロールエステルを含まない。
【0025】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物の一態様は、プロピレングリコールモノエステルを含まない。
【0026】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、天然由来の成分のみから構成されることが好ましい。これにより、人への使用適性にすぐれたものとすることができ、廃棄の際の環境負荷をなくすことができる。
【0027】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、25℃でのpHが3~6の酸性領域である。これにより、石けんを使用後にアルカリ性に傾いた頭髪又は肌を弱酸性に速やかに戻すことが可能である。
【0028】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、粘度が15000cp以上である。これにより、経時的に安定な化粧料を提供することができる。
粘度の上限値は、人の頭髪や肌に塗布できる流動性を保持することを条件として、特に限定されないが、例えば100000cp以下、又は60000cp以下である。
粘度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0029】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、そのまま化粧料として使用することができる。適用部位としては、人の頭髪用又は肌用に使用することができ、機能としては、例えばコンディショニング剤として使用することができる。
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物を化粧料として使用する場合の剤形は、液剤、乳液剤などにすることができる。これらは、ボトル、スプレーボトルなど、当技術分野において既知の任意の容器に充填することができる。本発明の化粧料用水中油型乳化組成物を用いた化粧料は、適用部位に塗布したり、噴霧したりし、また塗布後に必要に応じて水で洗い流すことで、適用部位の保湿感やなめらかさを向上することができる。
【0030】
本発明の化粧料用水中油型乳化組成物は、各原料を混合し、懸濁処理を行うことにより、調製することができる。懸濁処理は、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの、当技術分野において既知の任意の機器を用いて、条件を適宜設定して、行うことができる。
【実施例0031】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に何ら限定されるものではない。実施例中、各成分の配合量について「%」は質量%を意味する。
【0032】
実施例1~5及び比較例1~8
表1に示す処方にしたがって、80℃にて、各原料を混合し、ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて懸濁処理を行って、組成物の試料を調製した。各原料の詳細は以下のとおりである。
水添レシチン:NIKKOL レシノール S-10(水素添加大豆リン脂質)、日光ケミカルズ株式会社
ステアリルアルコール:脱臭ステアリルアルコール、高級アルコール工業株式会社、パーム、ヤシ由来である。
ドコサン:PARAFOL 22-95、Sasol Limited
テトラデカン:PARAFOL 14-97、Sasol Limited
グリセリン:化粧品用濃グリセリン、阪本薬品工業株式会社
キサンタンガム:KELTROL CG-SFT、CP Kelco Inc.
ヒノキチオール:ヒノキチオール 20%、八雲香産株式会社
クエン酸:精製クエン酸(結晶)、扶桑化学工業株式会社
【0033】
実施例1~6及び比較例2、4、6の試料は、目視にて良好な乳化状態を呈することを確認した。これにより、これらの試料は水中油型乳化組成物であることを確認できた。
比較例1及び3の試料は、懸濁処理により乳化状態とした直後に試料表面に油浮きが確認され、乳化状態を良好に保持できなかった。
比較例5の試料は、懸濁処理を行っても滑らかなクリーム状の乳化状態とすることができなかった。
【0034】
試料の評価
実施例1~5及び比較例2、4、6の試料について、物性を確認し、経時安定性と使用適性を評価した。
物性は、pHと粘度を測定した。pHは、試料調製の翌日に25℃にて測定した。粘度は、試料調製の翌日に、B型粘度計(製品名:VISCOMETER(MODEL LVP)、BROOKFIELD社製)を用いて、25℃にてローターNo.4を使用し、6rpmで1分間回転させた後の値を測定した。結果を表1に示す。
経時安定性は、試料を50℃の環境に置き、2週間経過した後の様子を観察して評価した。結果を表1に示す。
【0035】
使用適性は、試料を人の腕及び頭髪に塗布して評価した。腕についての評価項目は、腕の内側を水で濡らした後、試料を塗布したときの延び広がりと、腕を水ですすいだときの洗い流し性と、水分を拭き取った後の腕の保湿感の三項目とした。頭髪についての評価項目は、頭髪を石けんシャンプーで洗った後、試料を塗布したときの延び広がりと、塗布後の頭髪のなめらかさと、頭髪を水ですすいだときの洗い流し性と、水分を拭き取った後の頭髪の保湿感の四項目とした。尚、評価は、5人のパネルで行い、すべての試料について塗布量を統一した。
【0036】
各評価項目について、「5点:非常に良い」「4点:良い」「3点:普通」「2点:やや悪い」「1点:悪い」の五段階の評点をつけ、パネル5人の平均評点を算出した。評価の前には、評価パネル5人の間で、それぞれの評価項目についてどの程度変化したら加点又は減点するのかを共通にした。さらに、平均評点に基づいて、「◎:平均評点4.5点以上」「〇:平均評点3.5点以上4.5点未満」「△:平均評点2.5点以上3.5点未満」「×:平均評点2.5点未満」の四段階の基準で判定した。結果を表2に示す。
【0037】
【0038】
【0039】
評価に供したすべての試料について、調製翌日のpHは3.1~3.7の酸性範囲であり、安定していた。
評価に供したすべての試料について、調製翌日の粘度は15000cp以上であり、安定していた。
経時安定性は、試料調製直後に乳化状態の不具合が観察された比較例1、3、5を除くすべての試料において、離水などの乳化状態の変化は確認されず、安定していた(表1中、「〇」と示す。)。
使用適性について、実施例1~6の試料は、判定が「×」となった評価項目がなく、腕と頭髪に好適に使用できることが確認された。比較例2、4、6の試料は、判定が「×」となった評価項目があり、腕と頭髪の両方に対する使用適性は確認されなかった。
本発明によれば、新規な化粧料用水中油型乳化組成物を提供することができ、かかる組成物は、酸性領域において安定であり、頭髪用及び肌用の化粧料として使用適性にすぐれる。さらに、天然由来の原料で構成できることから、産業上の利用可能性が高い。