(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152970
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20241018BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D65/46
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024144297
(22)【出願日】2024-08-26
(62)【分割の表示】P 2020165610の分割
【原出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】505249067
【氏名又は名称】株式会社柴田合成
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 洋
(72)【発明者】
【氏名】高岡 登志仁
(72)【発明者】
【氏名】新井 優
(57)【要約】
【課題】マイクロプラスチックの問題を軽減することができ、かつ内容物による分解を生じない、樹脂製容器を提供する。
【解決手段】内側層と外側層の2層構造を有し、内側層に内容物を収容する樹脂製容器を、内側層が非生分解性樹脂から成り、外側層が生分解性樹脂から成り、樹脂製容器の上部の開口付近に設けられ、内側層と共に外側層から取り外し可能な蓋をさらに有する構成とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側層と外側層の2層構造を有し、前記内側層に内容物を収容する樹脂製容器であって、
前記内側層が非生分解性樹脂から成り、
前記外側層が生分解性樹脂から成り、
前記樹脂製容器の上部の開口付近に設けられ、前記内側層と共に前記外側層から取り外し可能な蓋をさらに有する
樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂を使用してなる樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラスチックが海中で小さな粒子(マイクロプラスチック)となり、海洋生物に蓄積されることが問題となっている。
このように、プラスチックは、一般的に、自然界で分解されずに残存し続ける。
【0003】
一般的なプラスチックが自然界で分解されない問題に対して、生分解性樹脂と呼ばれる、自然界で分解される樹脂が開発されている。
そして、生分解性樹脂を、容器に使用することが提案されている(例えば、特許文献1等を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、保存容器に生分解性樹脂を使用した場合、保存容器の中に内容物を入れると生分解性樹脂の分解が始まり、耐久性や密閉性が失われる。このため、生分解性樹脂を使用した保存容器は、保存容器として成り立たなくなる。
【0006】
上述した問題の解決のために、本発明は、マイクロプラスチックの問題を軽減することができ、かつ内容物による分解を生じない、樹脂製容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の樹脂製容器は、内側層と外側層の2層構造を有し、内側層に内容物を収容する樹脂製容器である。
そして、本発明の樹脂製容器は、内側層が非生分解性樹脂から成り、外側層が生分解性樹脂から成り、樹脂製容器の上部の開口付近に設けられ、内側層と共に外側層から取り外し可能な蓋をさらに有する。
【発明の効果】
【0008】
上述の本発明の樹脂製容器によれば、内側層が非生分解性樹脂から成ることにより、内容物が生分解性樹脂と接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性が確保できる。
また、外側層は生分解性樹脂から成るので、外側層は自然に戻る。これにより、従来の樹脂製容器と比較して、自然に戻らない一般樹脂(非生分解性樹脂)の量が少なくなるので、マイクロプラスチックの問題が軽減できる。
さらに、将来、一般樹脂と生分解性樹脂の分別が進んだ際に、埋め立てや焼却処理の量が減り、環境破壊を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図2】A~C
図1の樹脂製容器の内側層と外側層を分離する方法を説明する図である。
【
図3】A~C
図1の樹脂製容器の製造方法を説明する図である。
【
図4】第2の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図5】A~B
図4の樹脂製容器の一つの製造方法を説明する図である。
【
図6】A~C
図4の樹脂製容器の他の製造方法を説明する図である。
【
図7】第3の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図8】第4の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図9】A~C
図8の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図10】第5の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図11】A~C
図10の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図12】第6の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図13】A~C
図12の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図14】第7の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図15】A~C
図14の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図16】第8の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図17】A~C
図16の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明の実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要を説明する。
本発明の樹脂製容器は、内側層と外側層の2層構造を有し、内側層に内容物を収容する樹脂製容器である。
そして、本発明の樹脂製容器は、内側層が非生分解性樹脂から成り、外側層が生分解性樹脂から成り、樹脂製容器の上部の開口付近に設けられ、内側層と共に外側層から取り外し可能な蓋をさらに有する。
【0011】
上記本発明の樹脂製容器において、内側層と外側層とが接して配置されている構成とすることが可能である。
また、上記本発明の樹脂製容器において、内側層と外側層とが分離可能である構成とすることが可能である。
この構成において、さらに、内側層に収容された内容物の減少に伴って、内側層が収縮する構成とすることも可能である。
【0012】
本発明の樹脂製容器は、ボトル、碗、皿、蓋付き容器等の各種の容器に適用することができる。
ボトルに適用した場合において、さらにボトル上部に蓋を設けて、ボトルの内部を密閉することが可能である。また、蓋にポンプを設けて、ポンプによってボトル内にある液体等の内容物を吐出させる構成とすることが可能である。
蓋付き容器に適用した場合において、さらに蓋と容器本体とを閉じた状態で密閉される構成とすることが可能である。
【0013】
本発明の樹脂製容器において、内側層と外側層とが接して配置されている構成とすることがより好ましい。
内側層と外側層が接していないと、内容物を収容する内側層と外側層との間に空間が存在する。そのため、空間の分容器が大きくなり、また、樹脂製容器全体の体積に対して内容物を収容できる容積の割合が低下する。
【0014】
本発明の樹脂製容器において、内側層と外側層とが分離可能である構成とすることがより好ましい。
内側層と外側層とが分離可能であれば、内側層と外側層とを分離して、それぞれ別に処理することができる。これにより、内側層の非生分解性樹脂と、外側層の生分解性樹脂とで、それぞれの樹脂に適した処理を行うことができる。
【0015】
これに対して、例えば、内側層の樹脂と外側層の樹脂とが融着している構成や、内側層の樹脂と外側層の樹脂とが接着剤層で接着されている構成では、内側層と外側層との分離が不可能であったり、分離に大きな力が必要になったりする。そして、内側層と外側層が分離できないと、外側層の生分解性樹脂が分解してから、内側層の非生分解性樹脂を処理する必要が生じる。
【0016】
また、内側層と外側層とが分離可能である構成の一種として、内側層に収容した内容物が減少するに従って、内側層が収縮していく構成を採用することができる。
例えば、蓋付きボトルで蓋にポンプを設けた構成として、さらに、ポンプを動作させていない状態において、内側層と蓋によって内側層に収容された内容物が密閉されるように構成する。なお、この構成では、内側層が収縮するように、内側層の非生分解性樹脂の樹脂材料や厚さが選定される。
【0017】
そして、内容物を使用するために、ポンプを動作させて、内容物を吐出させると、内容物が減少するので、これに伴い内側層が収縮して、内側層が外側層から離れる。
内容物の吐出を繰り返して、内容物がほとんどなくなったら樹脂製容器を廃棄するが、このとき、内側層は十分に収縮しているので、内側層を外側層から容易に分離することができる。
これにより、内側層の非生分解性樹脂と外側層の生分解性樹脂とが容易に分離されて、内側層の非生分解性樹脂と外側層の生分解性樹脂をそれぞれ別に処理することができる。 そして、内側層の非生分解性樹脂と、外側層の生分解性樹脂のそれぞれの樹脂に適した処理を行うことができる。
【0018】
本発明の樹脂製容器において、外側層の生分解性樹脂の材料としては、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、等が挙げられる。
そして、これらの生分解性樹脂から選ばれる1種または2種以上を、外側層の生分解性樹脂として用いることができる。
【0019】
本発明の樹脂製容器において、内側層の非生分解性樹脂の材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、現在一般的な容器に使用されている樹脂が挙げられる。
そして、これらの非生分解性樹脂から選ばれる1種または2種以上を、内側層の非生分解性樹脂として用いることができる。
なお、本発明の樹脂製容器において、非生分解性樹脂として食物由来の材料を使用することにより、さらに環境破壊を軽減することができる。食物由来の非生分解性樹脂材料としては、例えば、豊田通商株式会社が販売するGLOBIO(登録商標)等の植物由来のバイオポリエチレンテレフタレート、三井化学株式会社等が販売予定のバイオポリプロピレン、ブラジルBRASKEM社が製造するサトウキビ由来の「グリーンポリエチレン」等のバイオポリエチレン等が挙げられる。
【0020】
特に、内容物の減少に伴い内側層の非生分解性樹脂を収縮させる場合は、内側層の非生分解性樹脂として、生分解性樹脂と相溶性が低く剥離しやすいポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)が使用される。
一方、内側層の非生分解性樹脂を収縮させずに外側層の生分解性樹脂との一体性を保つ場合は、内側層の非生分解性樹脂として、生分解性樹脂との相溶性が高いポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられる。
【0021】
本発明の樹脂製容器を製造する方法としては、内側層の非生分解性樹脂と、外側層の生分解性樹脂とについて、それぞれ、ブロー成形や射出成形等の成形方法を採用することができる。
【0022】
なお、生分解性樹脂材料であるポリ乳酸の融点は170℃前後であるが、樹脂の温度を上げ過ぎると脆弱になる傾向があるため、内側層の生分解性樹脂にポリ乳酸を用いた場合、180℃前後の温度で成形する必要がある。
非生分解性樹脂材料であるポリプロピレン(PP)は融点が160℃で低いので問題ないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)は融点が260℃と高い。このため、内側層にPETを用いて、外側層にポリ乳酸を用いた場合には、内側層を成形した後に十分に冷却しないと、その後射出されるポリ乳酸に熱が伝わり脆弱化するので注意が必要である。
【0023】
上述したように、本発明の樹脂製容器は、内側層が非生分解性樹脂から成り、外側層が生分解性樹脂からなる。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性が確保できる。
【0024】
また、外側層は自然に戻るため、従来の樹脂製容器と比較して、自然に戻らない一般樹脂(非生分解性樹脂)の量が少なくなり、マイクロプラスチックの問題が軽減できる。 さらに、将来、一般樹脂と生分解性樹脂の分別が進んだ際に、埋め立てや焼却処理の量が減り、環境破壊を軽減することができる。
【0025】
また、内側層に収容された内容物の減少に伴って、内側層が収縮する構成としたときには、内容物の減少に伴って内側層が収縮するので、内側層が外側層から離れる。
これにより、内側層の非生分解性樹脂と外側層の生分解性樹脂とを容易に分離されるので、それぞれ別に処理することができる。
【0026】
以下、本発明の樹脂製容器の具体的な実施の形態を説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第1の実施の形態を、
図1~
図3を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図1は、第1の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0028】
本実施の形態の樹脂製容器1は、
図1に示すように、内側層4と外側層5とを有する2層構造のボトルである。
樹脂製容器1の上部は、下方の主要部と比較して、直径が小さくなっており、樹脂製容器1の上端に開口を有する。
そして、この樹脂製容器1の上部に、蓋2とポンプ3が設けられている。
【0029】
内側層4は、その内部の空間に内容物を収容する。
蓋2は、容器の上部にある開口付近に設けられ、内側層4の内部の空間を密閉する。
【0030】
ポンプ3は、詳細な図示を省略しているが、蓋2を貫通して内側層4の内部の空間まで延びて形成されている。
そして、ポンプ3の頭部を押し下げる等の操作を行うことにより、内側層4の内部に収容された内容物が吐出される。
【0031】
本実施の形態の樹脂製容器1では、特に、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層4と外側層5とは、接して配置されている。
また、内側層4と外側層5とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0032】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器1における、内側層4と外側層5とを分離する方法を、
図2A~
図2Cを参照して説明する。
図2Aは、
図1に示した樹脂製容器1の内側層4の内部に、液体である内容物6を充填した状態を示している。
【0033】
図2Aに示す状態から、ポンプ3を操作して、内容物6をポンプ3から吐出させると、内側層4の内部の内容物6の量が減少して、内容物6の体積も減少する。内容物6の体積の減少に伴い、内側層4が収縮して外側層5から離れていく。
ポンプ3で吐出可能な限り内容物6を吐出させていくと、
図2Bに示すように、内側層4がかなり収縮して、外側層5から完全に分離される。
【0034】
そして、蓋2を外側層5から取り外すことにより、
図2Cに示すように、蓋2と共に内側層4を外側層5から取り外すことができる。
なお、
図2Cにおいて、蓋2の内部には、外側層5の一部が残存している。
【0035】
その後、外側層5から分離した、蓋2とポンプ3と内側層4は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層5は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層4と外側層5を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層4の非生分解性樹脂と外側層5の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0036】
次に、本実施の形態の樹脂製容器1の製造方法を説明する。
本実施の形態の樹脂製容器1は、ブロー成形機や射出成形機を用いて、製造することができる。
例えば、ブロー成形機で、内側層4と外側層5とを順次形成する方法が考えられる。 また例えば、射出成形機でプリフォームを作製して、プリフォームをブロー成形機で圧延させる方法も考えられる。
【0037】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器1の製造方法の一例を、
図3A~
図3Cに示す。 本例は、射出成形機でプリフォームを作製して、プリフォームをブロー成形機で圧延させる方法である。
まず、
図3Aに示すように、非生分解性樹脂を用いて、内側樹脂11を射出成形する。 次に、
図3Bに示すように、生分解性樹脂を用いて、内側樹脂11の外側に接するように外側樹脂12を射出成形して、プリフォームを作製する。
【0038】
次に、ブロー成形機を使用して、
図3Cに示すように、外側樹脂12に加熱14を行うと共に、内側樹脂11の内部に高圧エア13を注入することにより、内側樹脂11および外側樹脂12を膨張させて、所定のボトルの形状に成形する。
このようにして、
図1に示した樹脂製容器1の2層構造(内側層4と外側層5)を作製することができる。
その後は、図示しないが、
図1に示した蓋2とポンプ3を取り付けて、
図1に示した樹脂製容器1を製造することができる。
【0039】
上述したように、本実施の形態の樹脂製容器1は、内側層4と外側層5の2層構造を有し、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性が確保することができる。
【0040】
また、本実施の形態の樹脂製容器1は、内側層4が蓋2により密閉され、蓋2に取付けられたポンプ3を操作することにより、内側層4の内部に収容された内容物6がポンプ3によって吐出される。そして、内容物6が吐出によって減少するのに伴い、内側層4が収縮していく。
これにより、内容物6を吐出させて、内容物6が十分に減少したときに、内側層4が外側層5から離れるので、内側層4と外側層5とを容易に分離することができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第2の実施の形態を、
図4~
図6を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明の樹脂製容器を、半球形状の碗に適用している。
図4は、第2の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0042】
本実施の形態の樹脂製容器10は、
図4に示すように、内側層4と外側層5とが積層された2層構造を有し、半球形状の碗である。
本実施の形態の樹脂製容器10では、特に、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層4と外側層5とは、接して配置されている。
【0043】
なお、本実施の形態の樹脂製容器10において、内側層4と外側層5とは、接着されている構成、接着されておらず分離可能な構成、のいずれの構成も可能である。
即ち、樹脂製容器10の用途等に応じて、内側層4と外側層5とが接着されている構成、内側層4と外側層5とが接着されておらず分離可能な構成、のいずれかの構成とする。 内側層4と外側層5とが接着されている構成としては、例えば、2層が接着剤層で接着されている構成、または2層の境界部分で互いの樹脂が融着している構成等が考えられる。
【0044】
樹脂製容器10が、内側層4と外側層5とが接着されておらず分離可能な構成である場合には、内側層4と外側層5とを取り外して、容易に分離することができる。
【0045】
樹脂製容器10が、接着剤層で内側層4と外側層5とが接着されている構成である場合であっても、例えば、溶剤等で接着剤層を溶解させたり、応力を加えて接着剤層で剥離させたりすることにより、内側層4と外側層5とを分離することが可能である。
【0046】
次に、本実施の形態の樹脂製容器10の製造方法を説明する。
本実施の形態の樹脂製容器10は、射出成形機等を用いて製造することができる。
例えば、二色成形機を使用して、樹脂製容器10を製造することができる。
また例えば、内側層4を成形した後、外側層5を成形して2層構造にすることにより、樹脂製容器10を製造することができる。
【0047】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器10の製造方法の一例を、
図5A~
図5Bに示す。 本例は、射出成形機でプリフォームを作製して、プリフォームをブロー成形機で圧延させる方法である。
まず、
図5Aに示すように、非生分解性樹脂を用いて、内側層4を射出成形する。
次に、
図5Bに示すように、生分解性樹脂を用いて、内側層4の外側に接するように外側層5を射出成形して、プリフォームを成形する。
次に、ブロー成形機を使用して、所定の形状に成形する。
このようにして、
図4に示した樹脂製容器10を製造することができる。
【0048】
次に、本実施の形態の樹脂製容器10の製造方法の他の例を、
図6A~
図6Cに示す。 本例は、内側層4を成形した後、外側層5をインサート成形して2層構造にする方法である。
まず、図示しないが、非生分解性樹脂を用いて、薄い樹脂シートを作製する。
次に、
図6Aに示すように、半球形状の樹脂製容器10を成形するための、可動側金型15と固定側金型16を用意する。
【0049】
そして、図中左側の一方の可動側金型15に、薄い樹脂シートをセットして、この樹脂シートを内側層4とする。
次に、
図6Bに示すように、可動側金型15と固定側金型16の間に、生分解性樹脂17を射出成形する。生分解性樹脂17は、右側の固定側金型16に設けられた導入口から導入される。これにより、導入口以外の部分の生分解性樹脂17が外側層5となる。
その後、可動側金型15と固定側金型16、および固定側金型16の導入口の生分解性樹脂17を除去することにより、
図6Cに示すように、内側層4と外側層5とから成る、
図4に示した樹脂製容器10を製造することができる。
【0050】
本実施の形態の樹脂製容器10によれば、第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様に、内側層4と外側層5の2層構造を有し、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0051】
(第2の実施の形態の変形例)
上述した第2の実施の形態の樹脂製容器10は、本発明の樹脂製容器を半球形状の碗に適用した例であった。
第2の実施の形態を変形して、半球形状以外の碗、浅く窪んだ皿、平たい皿等を構成することができる。
そして、これら半球形状以外の碗、浅く窪んだ皿、平たい皿は、
図5A~
図5Bに示した製造方法や、
図6A~
図6Cに示した製造方法を用いて製造することができる。
【0052】
(第3の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第3の実施の形態を、
図7を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明の樹脂製容器を、蓋付き容器に適用している。
図7は、第3の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0053】
本実施の形態の樹脂製容器20は、
図7に示すように、内側層21と外側層22の2層構造である容器本体23、内側層24と外側層25の2層構造である蓋26、を有して構成されている。
本実施の形態の樹脂製容器20では、特に、内側層21および内側層24が非生分解性樹脂から成り、外側層22および外側層25が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層21と外側層22、および内側層24と外側層25は、それぞれ接して配置されている。
【0054】
なお、本実施の形態の樹脂製容器20において、内側層21と外側層22、および内側層24と外側層25は、接着されている構成、または接着されておらず分離可能な構成のいずれの構成とすることもできる。
【0055】
本実施の形態の樹脂製容器20は、図示しないが、第2の実施の形態の樹脂製容器10の製造方法と同様な方法(二色成形機、シートインサート成形等)を採用して製造することができる。
【0056】
本実施の形態の樹脂製容器20によれば、容器本体23および蓋26がそれぞれ、内側層21,24と外側層22,25の2層構造を有し、内側層21,24が非生分解性樹脂から成り、外側層22,25が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性が確保できる。
【0057】
(第4の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第4の実施の形態を、
図8~
図9を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図8は、第4の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
図8は、
図1の樹脂製容器1に設けられていた蓋2やポンプ3のような、容器の開口を閉じる部品を取り外した状態を示している。
【0058】
本実施の形態の樹脂製容器30は、
図8に示すように、内側層4と外側層5とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
また、
図8に示すように、本実施の形態の樹脂製容器30は、直径が細くなっている上部の外周に、ねじ31が形成されている。ねじ31は、容器の開口を閉じる蓋等と、ねじ止めされる。
【0059】
そして、ねじ31の部分は、中間部よりも下側が外側層5となっており、中間部よりも上側が内側層4となっている。
さらに、直径が細い樹脂製容器30の上部において、内側層4と外側層5との境界部にねじ32が形成されており、内側層4と外側層5とがねじ止めされている。ねじ32は、逆ねじで形成されている。
【0060】
本実施の形態の樹脂製容器30は、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層4と外側層5とは、接して配置されている。
また、内側層4と外側層5とは、ねじ32でねじ止めされているだけで、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0061】
本実施の形態の樹脂製容器30における、内側層4と外側層5とを分離する方法を、
図9A~
図9Cを参照して説明する。
図9A~
図9Cは、
図8と同様に、蓋等の図示は省略しており、また、
図2A~
図2Cに示した内容物6の図示も省略している。
図9Aは、
図8と同じ状態を示しており、内側層4が外側層5に接している。
【0062】
図9Aに示す状態から、内側層4の内部の内容物の量と体積が減少すると、この減少に伴い、内側層4が収縮して外側層5から離れていく。
これにより、
図9Bに示すように、内側層4が収縮して、外側層5から完全に分離される。
そして、ねじ32の部分よりも上の部分の内側層4を持って、ねじ32が解放される方向に内側層4を回転させることにより、
図9Cに示すように、内側層4を外側層5から取り出すことができる。
【0063】
その後、外側層5から分離した内側層4は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層5は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層4と外側層5を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層4の非生分解性樹脂と外側層5の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0064】
上述したように、本実施の形態の樹脂製容器30は、内側層4と外側層5の2層構造を有し、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性が確保できる。
【0065】
また、本実施の形態の樹脂製容器30は、上部の開口付近の外周にねじ31が形成されているので、開口を閉じるための蓋等をねじ止めすることができる。
さらに、本実施の形態の樹脂製容器30は、逆ねじに形成されているねじ32によって内側層4と外側層5とが結合されているので、蓋を取り付けるときに、内側層4と外側層5が分離することがない。
【0066】
(第5の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第5の実施の形態を、
図10~
図11を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図10は、第5の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
図10は、
図1の樹脂製容器1に設けられていた蓋2やポンプ3のような、容器の開口を閉じる部品を取り外した状態を示している。
【0067】
本実施の形態の樹脂製容器40は、
図10に示すように、内側層4と外側層5とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
また、
図10に示すように、本実施の形態の樹脂製容器30は、直径が細くなっている上部が、中間部よりも下側が2層構造となっていて、中間部よりも上側が内側層4のみの1層構造となっている。
【0068】
そして、内側層4のみの1層構造の部分は、下端部にフランジ部33が設けられ、フランジ部33より上側の部分の外周に、ねじ31が形成されている。ねじ31は、容器の開口を閉じる蓋等とねじ止めされる。
さらに、直径が細い樹脂製容器30の上部のうちの下側の2層構造において、内側層4と外側層5の境界部にねじ32が形成されており、内側層4と外側層5とがねじ止めされている。ねじ32は、逆ねじで形成されている。
【0069】
本実施の形態の樹脂製容器40は、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層4と外側層5とは、接して配置されている。
また、内側層4と外側層5とは、ねじ32でねじ止めされているだけで、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0070】
【0071】
図11Aに示す状態から、内側層4の内部の内容物の量と体積が減少すると、この減少に伴い、内側層4が収縮して外側層5から離れていく。
これにより、
図11Bに示すように、内側層4が収縮して、外側層5から完全に分離される。
【0072】
そして、内側層4に設けられたフランジ部33を持って、ねじが解放される方向に内側層4を回転させることにより、
図11Cに示すように、内側層4を外側層5から取り出すことができる。
【0073】
その後、外側層5から分離した内側層4は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層5は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層4と外側層5を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層4の非生分解性樹脂と外側層5の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0074】
上述したように、本実施の形態の樹脂製容器40は、内側層4と外側層5の2層構造を有し、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0075】
また、本実施の形態の樹脂製容器40は、上部の開口付近の外周にねじ31が形成されているので、開口を閉じるための蓋等をねじ止めすることができる。
さらに、本実施の形態の樹脂製容器40は、逆ねじに形成されているねじ32によって内側層4と外側層5とが結合されているので、蓋を取り付けるときに、内側層4と外側層5が分離することがない。
さらにまた、本実施の形態の樹脂製容器40は、内側層4のみの1層構造の部分の下端部にフランジ部33が設けられているので、フランジ部33を持って内側層4を容易に取り外すことができる。
【0076】
(第6の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第6の実施の形態を、
図12~
図13を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図12は、第6の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
図12は、
図1の樹脂製容器1に設けられていた蓋2やポンプ3のような、容器の開口を閉じる部品を取り外した状態を示している。
【0077】
本実施の形態の樹脂製容器50は、
図12に示すように、内側層4と外側層5とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
また、
図12に示すように、本実施の形態の樹脂製容器50は、直径が細くなっている上部が、中間部よりも下側が2層構造となっていて、中間部よりも上側が内側層4のみの1層構造となっている。
【0078】
そして、内側層4のみの1層構造の部分の外周に、ねじ31が形成されている。ねじ31は、容器の開口を閉じる蓋等とねじ止めされる。
さらに、内側層4のみの1層構造の部分の下端から、下方の外側層5よりも外側に、ストッパー34が設けられている。このストッパー34は、内側層4と同じ樹脂材料で内側層4と一体に形成され、薄肉部でつながっている。
【0079】
本実施の形態の樹脂製容器50は、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層4と外側層5とは、接して配置されている。
また、内側層4と外側層5とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0080】
【0081】
図13Aに示す状態から、内側層4の内部の内容物の量と体積が減少すると、この減少に伴い、内側層4が収縮して外側層5から離れていく。
これにより、
図13Bに示すように、内側層4が収縮して、外側層5から完全に分離される。
そして、内側層4に設けられたストッパー34を内側層4に対して回転させることにより、薄肉部が切れてストッパー34を内側層4から外すことができるので、
図13Cに示すように、内側層4を外側層5から取り出すことができる。
【0082】
その後、外側層5から分離した内側層4は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層5は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層4と外側層5を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層4の非生分解性樹脂と外側層5の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0083】
上述したように、本実施の形態の樹脂製容器50は、内側層4と外側層5の2層構造を有し、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0084】
また、本実施の形態の樹脂製容器50は、上部の開口付近の外周にねじ31が形成されていることにより、開口を閉じるための蓋等をねじ止めすることができる。
さらに、本実施の形態の樹脂製容器50は、内側層4のみの1層構造の部分の下端から、下方の外側層5よりも外側に、ストッパー34が設けられ、このストッパー34が内側層4と同じ樹脂材料で内側層4と一体に形成され、薄肉部でつながっている。
これにより、ストッパー34を内側層4から外すまでは、内側層4と外側層5とが分離しないように保持することができる。
また、ストッパー34を内側層4に対して回転させることによって、薄肉部が切れてストッパー34を内側層4から外すことができるので、内側層4を容易に取り外すことができる。
【0085】
(第7の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第7の実施の形態を、
図14~
図15を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図14は、第7の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
図14は、
図1の樹脂製容器1に設けられていた蓋2やポンプ3のような、容器の開口を閉じる部品を取り外した状態を示している。
【0086】
本実施の形態の樹脂製容器60は、
図14に示すように、内側層4と外側層5とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
また、
図14に示すように、本実施の形態の樹脂製容器60は、直径が細くなっている上部が、中間部よりも下側が2層構造となっていて、中間部よりも上側が内側層4のみの1層構造となっている。
【0087】
そして、内側層4のみの1層構造の部分の外周に、ねじ31が形成されている。ねじ31は、容器の開口を閉じる蓋等とねじ止めされる。
さらに、内側層4のみの1層構造の部分の下端部から、下方の2層構造の部分にわたって、外側に、内側層4および外側層5とは別の部品で形成された、ストッパー35が設けられている。このストッパー35は、内側層4と外側層5をそれぞれ形成した後に、圧入されている。
【0088】
ストッパー35は、樹脂等で構成することができる。例えば、内側層4と同じ非生分解性樹脂、もしくは、内側層4とは異なる非生分解性樹脂によって、ストッパー35を構成することができる。
【0089】
本実施の形態の樹脂製容器60は、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層4と外側層5とは、接して配置されている。
また、内側層4と外側層5とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0090】
【0091】
図15Aに示す状態から、内側層4の内部の内容物の量と体積が減少すると、この減少に伴い、内側層4が収縮して外側層5から離れていく。
これにより、
図15Bに示すように、内側層4が収縮して、外側層5から完全に分離される。
そして、ストッパー35を取り外すことにより、
図15Cに示すように、内側層4を外側層5から取り出すことができる。
【0092】
その後、外側層5から分離した内側層4は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層5は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層4と外側層5を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層4の非生分解性樹脂と外側層5の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0093】
上述したように、本実施の形態の樹脂製容器60は、内側層4と外側層5の2層構造を有し、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0094】
また、本実施の形態の樹脂製容器60は、上部の開口付近の外周にねじ31が形成されていることにより、開口を閉じるための蓋等をねじ止めすることができる。
さらに、本実施の形態の樹脂製容器60は、内側層4のみの1層構造の部分の下端部から、下方の2層構造の部分にわたって、外側に、内側層4および外側層5とは別の部品で形成された、ストッパー35が設けられている。
これにより、ストッパー35を内側層4および外側層5から取り外すまでは、内側層4と外側層5とが分離しないように保持することができる。
また、ストッパー35を内側層4および外側層5から取り外すことによって、内側層4を容易に取り出すことができる。
さらに、ストッパー35が内側層4とは別の部品であるので、ストッパー34を内側層4と同じ樹脂で一体に形成していた第6の実施の形態の樹脂製容器50と比較して、内側層4の構造を単純にすることができる。
【0095】
(第8の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第8の実施の形態を、
図16~
図17を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図16は、第8の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
図16は、
図1の樹脂製容器1に設けられていた蓋2やポンプ3のような、容器の開口を閉じる部品を取り外した状態を示している。
【0096】
本実施の形態の樹脂製容器70は、
図16に示すように、内側層4と外側層5とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
また、
図16に示すように、本実施の形態の樹脂製容器70は、直径が細くなっている上部が、中間部よりも下側が2層構造となっていて、中間部よりも上側が内側層4のみの1層構造となっている。
【0097】
そして、内側層4のみの1層構造の部分の外周に、ねじ31が形成されている。ねじ31は、容器の開口を閉じる蓋等とねじ止めされる。
さらに、2層構造の部分の外側層5において、途中の直径が細い部分から直径が広がる部分との境界付近に、厚さが薄い薄肉部36を有する。
薄肉部36で折ることによって、内側層4と外側層5とを分離できる。このとき、外側層5の薄肉部36よりも上側の部分が、内側層4の方に残る。
【0098】
その後、外側層5から分離した内側層4は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層5は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層4と外側層5を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層4の非生分解性樹脂と外側層5の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0099】
上述したように、本実施の形態の樹脂製容器70は、内側層4と外側層5の2層構造を有し、内側層4が非生分解性樹脂から成り、外側層5が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0100】
また、本実施の形態の樹脂製容器70は、上部の開口付近の外周にねじ31が形成されていることにより、開口を閉じるための蓋等をねじ止めすることができる。
さらに、本実施の形態の樹脂製容器70は、2層構造の部分の外側層5において、途中の直径が細い部分から直径が広がる部分との境界付近に、厚さが薄い薄肉部36を有する。
これにより、薄肉部36で折ることによって、内側層4と外側層5とを分離して、内側層4を取り外すことができる。
【0101】
以上、本発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0102】
1…樹脂製容器、2…蓋、3…ポンプ、4…内側層、5…外側層、6…内容物、10…樹脂製容器、11…内側樹脂、12…外側樹脂、13…高圧エア、14…加熱、15…可動側金型、16…固定側金型、20…樹脂製容器、21…内側層、22…外側層、23…容器本体、24…内側層、25…外側層、26…蓋、30…樹脂製容器、31…ねじ、32…ねじ、33…フランジ部、34…ストッパー、35…ストッパー、36…薄肉部、40…樹脂製容器、50…樹脂製容器、60…樹脂製容器、70…樹脂製容器