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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152975
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】実装基板製造装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H05K3/34 505D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024144563
(22)【出願日】2024-08-26
(62)【分割の表示】P 2022517544の分割
【原出願日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2020079477
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 正幸
(57)【要約】
【課題】基板に電子部品を実装する実装基板製造装置を提供する。
【解決手段】開示される実装基板製造装置400は、基板1と基板1上に半田付けされた電子部品とを含む実装基板を製造する。製造装置400は、半田ペースト供給領域において基板1に半田ペーストを供給する半田ペースト供給部100、および、半田ペーストが供給された基板1を半田プリコートを形成するために加熱する第1の加熱部210を含む半田プリコート形成装置10と、基板1に形成された半田プリコート上に電子部品の端子を搭載する電子部品搭載装置と、電子部品の端子が搭載された半田プリコートを溶融させることによって端子を基板に半田付けするリフロー装置(第2の加熱部)70と、基板1を、半田ペースト供給部100から、第1の加熱部210および電子部品搭載装置を経由して第2の加熱部へ搬送する基板搬送装置300と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と前記基板上に半田付けされた電子部品とを含む実装基板を製造するための実装基板製造装置であって、
半田ペースト供給領域において基板に半田ペーストを供給する半田ペースト供給部、および、前記半田ペーストが供給された前記基板を半田プリコートを形成するために加熱する第1の加熱部を含む半田プリコート形成装置と、
前記基板に形成された前記半田プリコート上に前記電子部品の端子を搭載する電子部品搭載装置と、
前記電子部品が搭載された前記半田プリコートを溶融させることによって前記端子を前記基板に半田付けする第2の加熱部と、
前記基板を、前記半田ペースト供給部から、前記第1の加熱部および前記電子部品搭載装置を経由して前記第2の加熱部へ搬送する基板搬送装置と、
を備えた、実装基板製造装置。
【請求項2】
前記第1の加熱部と前記電子部品搭載装置との間に配置された冷却部をさらに含み、
前記冷却部は、前記第1の加熱部から搬送された前記基板を冷却する、請求項1に記載の実装基板製造装置。
【請求項3】
前記冷却部と前記電子部品搭載装置との間に配置されたフラックス塗布部をさらに含み、
前記フラックス塗布部は、前記電子部品が搭載される前の前記半田プリコート上に半田フラックスを塗布する、請求項2に記載の実装基板製造装置。
【請求項4】
前記基板搬送装置は、前記半田プリコート形成装置と前記電子部品搭載装置と前記第2の加熱部とに配置されたコンベアを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の実装基板製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半田接合で基板に電子部品を実装することによって、電子部品実装基板を製造する電子部品実装方法が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の方法は、ソルダーペーストを印刷する工程と、ソルダーペースト上に電子部品を載置してリフロー半田付けを行う工程とを含む。しかしながら、このような方法(ソルダーペースト印刷工法)では、高密度実装に対応できない場合がある。そのため、近年、電子部品が載置される基板のランドに、半田被膜を予め形成しておく方法(半田プリコート工法)が再び脚光を浴びようとしている(例えば特許文献2)。形成される半田被膜は、「半田プリコート」と称される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-243222号公報
【特許文献2】特開2018-167297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品実装基板を製造する事業者が、半田プリコート工法で電子部品実装基板を製造しようとした場合は、半田プリコートをあらかじめ形成した基板を入手する必要がある。この入手方法には、半田プリコートを形成した基板を外部から調達するか、自前で準備するかの二つの方法がある。しかしながら、外部から調達すると電子部品実装基板の製造コストが高くなる。また、電子部品実装基板の設計変更に迅速に対応することが難しくなる。
【0005】
一方、自前で準備する場合、電子部品実装基板を製造する実装ラインを半田プリコートの形成に流用することは不可能ではない。しかし、その場合には、半田プリコートを形成する場合と電子部品実装基板を製造する場合とで実装ラインの設定等を変更する必要があるため、運用が複雑化して現実的ではない。また、実装ラインは半田プリコート形成専用に作られた設備ではないので、その目的の割には設備の価格は高価であり、またサイズも大型である。
【0006】
このような状況において、本発明は、基板に半田プリコートを形成するための半田プリコート形成装置を提供することを、目的の1つとする。本発明は、基板に半田プリコートを形成し、さらに当該基板に電子部品を実装する実装基板製造装置を提供することを、目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面は、半田プリコート形成装置に関する。当該装置は、基板と前記基板上に半田付けされた電子部品とを含む実装基板を製造するための実装基板製造装置であって、半田ペースト供給領域において基板に半田ペーストを供給する半田ペースト供給部、および、前記半田ペーストが供給された前記基板を半田プリコートを形成するために加熱する第1の加熱部を含む半田プリコート形成装置と、前記基板に形成された前記半田プリコート上に前記電子部品の端子を搭載する電子部品搭載装置と、前記電子部品が搭載された前記半田プリコートを溶融させることによって前記端子を前記基板に半田付けする第2の加熱部と、前記基板を、前記半田ペースト供給部から、前記第1の加熱部および前記電子部品搭載装置を経由して前記第2の加熱部へ搬送する基板搬送装置と、
を備えた、実装基板製造装置。
【0008】
本発明の他の一局面は、実装基板製造装置に関する。当該実装基板製造装置は、基板と前記基板上に半田付けされた電子部品とを含む実装基板を製造するための実装基板製造装置であって、半田ペースト供給領域において基板に半田ペーストを供給する半田ペースト供給部、および、前記半田ペーストが供給された前記基板を半田プリコートを形成するために加熱する第1の加熱部を含む半田プリコート形成装置と、前記基板に形成された前記半田プリコート上に前記電子部品の端子を搭載する電子部品搭載装置と、前記電子部品が搭載された前記半田プリコートを溶融させることによって前記端子を前記基板に半田付けする第2の加熱部と、前記基板を、前記半田ペースト供給部から、前記第1の加熱部および前記電子部品搭載装置を経由して前記第2の加熱部へ搬送する基板搬送装置と、を備える。
この明細書は、以下の技術を開示する。
(技術1)
半田プリコートを基板上に形成するための半田プリコート形成装置であって、
半田ペースト供給領域において基板に半田ペーストを供給する半田ペースト供給部と、
前記基板に供給された前記半田ペーストを、半田プリコートを形成するために加熱する加熱装置を含む加熱部と、
前記半田ペースト供給部において前記基板を搬送する第1の基板搬送部と、
前記加熱部において前記基板を搬送する第2の基板搬送部と、
前記第1および第2の基板搬送部を制御する制御部と、
を備えた、半田プリコート形成装置。
(技術2)
前記加熱部から搬送された前記基板を冷却する冷却部をさらに含む、技術1に記載の半田プリコート形成装置。
(技術3)
前記冷却部において前記基板を搬送する第3の基板搬送部をさらに含み、
前記制御部は前記第3の基板搬送部を制御する、技術2に記載の半田プリコート形成装置。
(技術4)
前記第2の基板搬送部は、前記第1の基板搬送部によって前記半田ペースト供給部から搬送された前記基板を受けて搬送する、技術1~3のいずれか1つに記載の半田プリコート形成装置。
(技術5)
前記半田ペースト供給部は、スクリーン印刷によって前記基板に前記半田ペーストを供給する、技術1~4のいずれか1つに記載の半田プリコート形成装置。
(技術6)
前記加熱装置は、前記基板に供給された前記半田ペーストの一部を局所的に加熱できる局所加熱装置を含む、技術1~5のいずれか1つに記載の半田プリコート形成装置。
(技術7)
前記局所加熱装置は、マイクロ波による加熱、または誘導加熱を行う、技術6に記載の半田プリコート形成装置。
(技術8)
前記加熱部は、前記基板の全体を加熱する基板加熱装置を含む、技術6または7に記載の半田プリコート形成装置。
(技術9)
基板と前記基板上に半田付けされた電子部品とを含む実装基板を製造するための実装基板製造装置であって、
半田ペースト供給領域において基板に半田ペーストを供給する半田ペースト供給部と、
前記基板に供給された前記半田ペーストを、半田プリコートを形成するために加熱する加熱装置を含む第1の加熱部と、
前記基板に形成された前記半田プリコート上に前記電子部品を搭載する電子部品搭載装置と、
前記電子部品が搭載された前記半田プリコートを溶融させることによって前記電子部品を前記基板に半田付けする第2の加熱部と、
前記半田ペースト供給部から、前記第1の加熱部、前記電子部品搭載装置、および前記第2の加熱部へ前記基板を搬送する基板搬送装置と、
を備えた、実装基板製造装置。
(技術10)
前記第1の加熱部と前記電子部品搭載装置との間に配置された冷却部をさらに含み、
前記冷却部は、前記第1の加熱部から搬送された前記基板を冷却する、技術9に記載の実装基板製造装置。
(技術11)
前記第1の加熱部と前記電子部品搭載装置との間に配置されたフラックス塗布部をさらに含み、
前記フラックス塗布部は、前記電子部品が搭載される前の前記半田プリコート上に半田フラックスを塗布する、技術9または10に記載の実装基板製造装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板に半田プリコートを形成するための半田プリコート形成装置、および、基板と当該基板上に半田付けされた電子部品とを含む実装基板製造装置が得られる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の半田プリコート形成装置の一例を示す図である。
図2】本発明の半田プリコート形成装置の一例の一部を示す図である。
図3】本発明の半田プリコート形成装置の一例の一部を示す図である。
図4A】本発明の半田プリコート形成装置で使用される一例の基板とマスクプレートの断面図である。
図4B】本発明の半田プリコート形成装置で使用される一例の基板とマスクプレートの断面図である。
図4C】本発明の半田プリコート形成装置で使用される一例の基板とマスクプレートの平面図である。
図5A】本発明の半田プリコート形成装置を用いた一例のスクリーン印刷の一工程を示す図である。
図5B】本発明の半田プリコート形成装置を用いた一例のスクリーン印刷の一工程を示す図である。
図6】半田プリコートが形成された基板の一例の断面図である。
図7】本発明の実装基板製造装置の一例を示す図である。
図8】電子部品搭載装置の一例を示す図である。
図9A】電子部品を基板に実装する一例の工程の説明図である。
図9B】電子部品を基板に実装する一例の工程の説明図である。
図9C】電子部品を基板に実装する一例の工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の半田プリコート形成装置の一例および実装基板製造装置の一例について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明で用いる図は、すべて模式的な図である。
【0012】
(半田プリコート形成装置)
本発明に係る半田プリコート形成装置は、半田プリコートを基板上に形成するための半田プリコート形成装置である。当該装置は、半田ペースト供給領域において基板に半田ペーストを供給する半田ペースト供給部と、基板に供給された半田ペーストを、半田プリコートを形成するために加熱する加熱装置を含む加熱部と、半田ペースト供給部において基板を搬送する第1の基板搬送部と、加熱部において基板を搬送する第2の基板搬送部と、第1および第2の基板搬送部を制御する制御部と、を備える。
【0013】
制御部は、第1および第2の基板搬送部を制御する。制御部の構成に特に限定はなく、公知の制御部と同様の構成を適用することが可能である。たとえば、制御部は、演算処理装置(CPU)と記憶装置(メモリ)とを含んでもよい。記憶装置に、第1および第2の基板搬送部を制御するためのプログラムが格納されてもよい。
【0014】
半田プリコート形成装置では、第1および第2の基板搬送部を制御部で制御する。そのため、半田プリコート形成装置によれば、基板搬送の制御が容易である。また、半田プリコート形成装置によれば、半田ペーストの供給と半田プリコートを形成するための加熱とを1つの装置で一貫して行うことが可能である。そのため、半田プリコート形成装置は、電子部品実装基板を製造する製造ラインに用いることによって、製造ラインの構成を短く且つ簡単化することが可能である。すなわち、半田プリコート形成装置は、電子部品実装基板を製造する製造ラインに好ましく用いることができる。
【0015】
本発明の半田プリコート形成装置は、加熱部から搬送された基板を冷却する冷却部をさらに含んでもよい。この場合、半田プリコート形成装置は、冷却部において基板を搬送する第3の基板搬送部をさらに含んでもよく、制御部は第3の基板搬送部を制御してもよい。
【0016】
本発明の半田プリコート形成装置において、第2の基板搬送部は、第1の基板搬送部によって半田ペースト供給部から搬送された基板を受けて搬送してもよい。
【0017】
本発明の半田プリコート形成装置において、半田ペースト供給部は、スクリーン印刷によって基板に半田ペーストを供給してもよい。この場合、半田ペースト供給部は、形成される半田プリコートよりも大きい開口部を有するマスクを用いて半田ペーストをスクリーン印刷してもよい。
【0018】
現在、電子部品の微細化に対応して、半田プリコートが形成されるランドも微細化しており、スクリーン印刷で使用するマスクの開口部も微細化している。このようなマスクを用いる場合、適切に半田ペーストを供給するには、微細な半田粒子を含む半田ペーストを用いる必要がある。しかし、微細な半田粒子を含む半田ペーストは高価であるため、電子部品実装基板の製造コストが高くなる。半田プリコートが形成されるランドよりも大きい開口部を有するマスクを用いることによって、安価な半田ペーストを用いることが可能となる。すなわち、半田プリコートを安価に形成することが可能となる。
【0019】
本発明の半田プリコート形成装置において、加熱装置は、基板に供給された半田ペーストの一部を局所的に加熱できる局所加熱装置を含んでもよい。この場合、当該局所加熱装置は、マイクロ波による加熱、または誘導加熱(電磁誘導による加熱)を行ってもよい。局所加熱装置は、ホットエアー、ソフトビーム、赤外線、輻射熱などを用いて加熱を行ってもよい。また、加熱装置が局所加熱装置を含む場合、加熱部は、基板の全体を加熱する基板加熱装置を含んでもよい。基板加熱装置で基板全体を補助的に加熱することによって、局所加熱装置で半田を溶融させることが容易になる。
【0020】
(実装基板製造装置)
本発明の実装基板製造装置は、基板と基板上に半田付けされた電子部品とを含む実装基板を製造するための装置である。当該装置は、半田ペースト供給領域において基板に半田ペーストを供給する半田ペースト供給部と、基板に供給された半田ペーストを、半田プリコートを形成するために加熱する加熱装置を含む第1の加熱部と、基板に形成された半田プリコート上に電子部品を搭載する電子部品搭載装置と、電子部品が搭載された半田プリコートを溶融させることによって電子部品を基板に半田付けする第2の加熱部と、半田ペースト供給部から、第1の加熱部、電子部品搭載装置、および第2の加熱部へ基板を搬送する基板搬送装置と、を備える。
【0021】
本発明の実装基板製造装置によれば、基板上の半田プリコートの形成から電子部品の半田付けまでを、一貫して効率よく実施できる。
【0022】
本発明の実装基板製造装置は、第1の加熱部と電子部品搭載装置との間に配置された冷却部をさらに含んでもよく、冷却部は、第1の加熱部から搬送された基板を冷却してもよい。
【0023】
本発明の実装基板製造装置は、第1の加熱部と電子部品搭載装置との間に配置されたフラックス塗布部をさらに含んでもよく、フラックス塗布部は、電子部品が搭載される前の半田プリコート上に半田フラックスを塗布してもよい。なお、実装基板製造装置が上記冷却部を含む場合には、フラックス塗布部は、上記冷却部と電子部品搭載装置との間に配置される。
【0024】
本発明の実施の形態の半田プリコート形成装置10の一例の構成を、図1に模式的に示す。なお、本明細書では基板1が搬送される方向に沿った方向をX軸とし、垂直方向をZ軸とし、X軸およびZ軸に垂直な方向をY軸とする。またそれぞれの軸に沿った方向をX方向、Y方向、Z方向とする。
【0025】
半田プリコート形成装置10は、基板1に半田プリコート部を形成する装置である。図1に示すように、半田プリコート形成装置10は、半田ペースト供給部100、加熱部210、冷却部220を含む。これらは基台101上にX軸方向に一列に並べて配置されている。これらの内部には、X軸方向に沿って基板を搬送する基板搬送部230が配置されている。半田ペースト供給部100は、基板1に半田ペーストを供給する。加熱部210は基板1に供給された半田ペーストを加熱して半田ペーストに含まれる半田粒子を溶融する。冷却部220は溶融した半田粒子(以下、「溶融半田」と称する場合がある)を冷却して固化する。基板搬送部230は基板1を半田ペースト供給部100、加熱部210、冷却部220の順で搬送する。基台101の内部には、半田プリコート形成装置10を制御するための制御部20が配置されている。制御部20は、半田ペースト供給部100、加熱部210、冷却部220並びに基板搬送部230を制御して基板1に半田プリコート部を形成する作業を半田プリコート形成装置10に実行させる。このように、本発明の半田プリコート形成装置10は、半田プリコート形成に必要な半田ペースト供給部100と加熱部210とを一体的に備えた装置となっている。
【0026】
(半田ペースト供給部)
実施形態1で示す半田ペースト供給部100は、スクリーン印刷によって半田ペーストを基板1上に供給する。なお、上述したように、スクリーン印刷以外の方法によって半田ペーストを供給してもよい。理解を容易にするために、図1では、半田ペースト供給部100、加熱部210、および冷却部220のそれぞれに基板1が配置されている一例を示す。
【0027】
半田ペースト供給部100は、移動テーブル102、昇降機構103、印刷ステージ104、印刷ヘッド113、カメラ部115、およびマスクプレート(マスク)116、印刷ステージコンベア(第1の基板搬送部)231、基板搬入コンベア234、基板中継コンベア(第2の基板搬送部)232を含む。
【0028】
基板搬入コンベア234側から印刷ステージ104および印刷ヘッド113の周辺部を見たときの模式図を、図2図3に示す。なお、以下の模式図では、説明に不要な部材の図示を省略する場合がある。
【0029】
基台101には一対の支持フレーム11がX方向に間隔をあけて立設されている。支持フレーム11に挟まれた基台101上には移動テーブル102が配置されている。移動テーブル102には印刷ステージ104を昇降させる昇降機構103が配置されている。移動テーブル102は、昇降機構103を水平方向(X軸およびY軸に沿った方向並びにZ軸を中心とした水平面内での回転方向。以下、同様である。)に移動させることによって、印刷ステージ104を水平方向に移動させる。昇降機構103は、印刷ステージ104をZ軸に沿って移動、すなわち昇降させる。
【0030】
印刷ステージ104は、昇降機構103に結合された基部104aを含む。基部104aの上面には支柱104bが設けられている。支柱104bの上端部には、X軸に沿って延びる基板ガイド104cが結合されている。基板ガイド104cの内側には、基板1を搬送するためのベルトを含む印刷ステージコンベア231が配置されている。
【0031】
印刷ステージコンベア231は、一方の支持フレーム11の開口部を貫通して配設された基板搬入コンベア234と、他方の支持フレーム11の開口部を貫通して配設された基板中継コンベア232との間で基板1を受け渡すことが可能となっている。基板搬入コンベア234によって搬入された基板1は、印刷ステージコンベア231に受け渡されて半田ペースト供給領域PAに搬送され、印刷ステージ104によって保持される。印刷ステージ104において半田ペーストが供給された基板1は、印刷ステージコンベア231の半田ペースト供給領域PAから搬出され、基板中継コンベア232に受け渡される。本実施の形態では、印刷ステージコンベア231は、半田ペースト供給部100(例えば半田ペースト供給領域PA)において基板1を搬送する第1の基板搬送部として機能する。基板中継コンベア232は、加熱部210において基板1を搬送する第2の基板搬送部として機能する。制御部20は、印刷ステージコンベア231(第1の基板搬送部)および基板中継コンベア232(第2の基板搬送部)を制御する。
【0032】
基部104aの上面には、バックアップ昇降機構104eが配置されている。バックアップ昇降機構104eは、基板1を下から支持するバックアップ部104fを昇降させる。印刷ステージコンベア231の半田ペースト供給領域PAに基板1が搬入された状態で、バックアップ部104fを上昇させることによって、基板1の下面をバックアップ部104fで支持する。
【0033】
1対の基板ガイド104cの上面のそれぞれには、X軸に沿って延びるサイドクランパ104dが設けられている。サイドクランパ104dは、駆動機構(図示せず)によって開閉される。バックアップ部104fは基板1の下面を支持すると同時に基板1の上面とサイドクランパ104dの上面がそろう高さまで基板1を上昇させる。基板1とサイドクランパ104dの高さがそろった状態でサイドクランパ104dが閉じることにより、基板1の両側面がサイドクランパ104dで挟まれ、基板1が固定される。このようにして印刷ステージ104は基板1を保持する。
【0034】
1対の支持フレーム11の上端には、印刷ヘッド113を支持する支持ビーム113aが直動ガイド機構11aを介してY方向に移動自在に配置されている。支持ビーム113aの一端部は、送りねじとこれを回転させるモータ等で構成された周知の印刷ヘッド移動機構11bに結合した構成となっている。印刷ヘッド移動機構11bが駆動することによりで印刷ヘッド113は、スキージング方向であるY方向に往復移動する。
【0035】
図2に示すように、印刷ヘッド113は支持ビーム113aから下方に延出して設けられた後スキージ113b、前スキージ113cを備えている。支持ビーム113aの上面に設けられたスキージ駆動部113dを駆動することにより、スキージング方向に応じて後スキージ113b、前スキージ113cのいずれかが下降する。
【0036】
印刷ヘッド113の下方にはマスクプレート116が水平な状態で配置されている。マスクプレート116には厚さ方向に貫通した開口が形成されている。この開口は開口部(パターン孔)116a(図4A参照)であり、基板1に形成されたランド1bの配置や形状に対応して形成されている。半田ペースト供給部100は、マスクプレート116の上面に供給された半田ペーストP(図3図5A参照)を後スキージ113bまたは前スキージ113cのいずれかで移動させることで半田ペーストPを所定の印刷パターンで基板1上に供給するスクリーン印刷を実行する。
【0037】
ここで図4A図4Cを参照して、半田プリコートが形成される基板1とスクリーン印刷で使用するマスクプレート116の例について説明する。図4Aは基板とマスクプレートの断面図、図4Bは基板とマスクプレートを位置合わせして重ねた状態を示す断面図、図4Cは基板とマスクプレートを位置合わせして重ねた状態を示す平面図である。図4B図4Cの線A-Aにおける断面図である。図4Aに示すように、基板1は、板状部1aと、板状部1a上に形成された複数のランド1bとを含む。ランド1bは、配線パターンの一部であり、半田プリコートが形成される部分である。
【0038】
図4Aに示すように、マスクプレート116には、複数の開口部116aが形成されている。開口部116aの位置は、ランド1bの位置に対応している。ただし、実施形態1で示す一例では、開口部116aは、対応するランド1bよりも大きい。すなわち、開口部116aの面積は、対応するランド1bの面積よりも大きい。従って、マスクプレート116に基板1を理想的な状態で完璧に位置合わせすると、ランド1bは開口部116aの内側に位置する。
【0039】
ランド1bのサイズが小さい場合に、ランド1bと同じ形状(すなわち同じ面積)を有する開口部116aを採用すると、スクリーン印刷によって開口部116aに充填される半田粒子が足りなくなる場合がある。これを回避するために半田粒子の粒径を非常に小さくした半田ペーストを用いることも考えられるが、その場合には高価な半田ペーストを用いる必要がある。従って、本実施の形態のように対応するランド1bの面積よりも大きい開口部116aを採用することによって、半田が不足するという課題とコストの課題を解決することが可能となる。
【0040】
マスクプレート116の下方にはカメラ部115が配置されている。カメラ部115は支持フレーム11に固定された周知のカメラ移動機構(図示省略)によってX方向とY方向へ移動できるようになっている。カメラ部115は、印刷ステージ104に保持された基板1とマスクプレート116を撮影するカメラを内蔵している。基板1の表面には基板1の位置を認識させるための基板基準マーク(図示せず)が形成されている。一方、マスクプレート116にも同様な目的のマスク基準マークまたは孔が形成されている。制御部20は、カメラ部115によって基板基準マークとマスク基準マークとを撮影して画像を取得し、取得した画像の画像認識を行って基板1とマスクプレート116の相対的な位置ずれを計算する。そして移動テーブル102を駆動して両者の位置ずれがゼロまたは最小になるように印刷ステージ104の位置を調節して基板1とマスクプレート116の位置合わせを行う。
【0041】
(加熱部)
次に加熱部210の構成について説明する。加熱部210は、半田ペースト供給部100から延びた基板中継コンベア232の下流側を覆う筐体213と、筐体213の内部に配置された基板加熱装置211と局所加熱装置212(加熱装置)を含む。筐体213には、加熱によって発生した半田ペーストPからの揮発成分を排気するための通気孔215が形成されている。
【0042】
局所加熱装置212は、基板中継コンベア232の上方に配置されおり、筐体213に配置された移動機構216によって水平方向へ移動可能になっている。局所加熱装置212としては、マイクロ波による加熱または誘導加熱等、基板1を局所的にあるいは半田ペーストPを局所的に加熱するものであればよい。基板中継コンベア232上には加熱領域HAが設けてあり、局所加熱装置212は、加熱領域HAに位置する基板1の半田ペーストPの一部を局所的に加熱して当該一部の半田ペーストPに含まれる半田を溶融させる。基板加熱装置211は基板中継コンベア232の下方に配置され、加熱領域HAに位置する基板1の全体を下方から加熱する。基板加熱装置211による加熱は、局所加熱装置212による半田の溶融を容易にするために補助的に基板1を加熱する。なお、基板加熱装置211がなくても半田ペーストP内の半田を溶融することができる場合には、基板加熱装置211を省略してもよい。
【0043】
基板中継コンベア232上は、半田ペースト供給部100で半田ペーストPが供給された基板1を受け取って加熱領域HAへ搬送する。そして、局所加熱装置212による半田の溶融が終わると、加熱領域HAから基板1を搬出して後述する冷却部220へ送る。本実施の形態では、基板中継コンベア232が、加熱装置による加熱が行われる加熱領域HAにおいて基板1を搬送する第2の基板搬送部となっている。基板中継コンベア232は、半田ペースト供給部100から加熱部210まで延びており、両者で共用されている。これにより、基板1の半田ペースト供給部100から加熱部210への搬送をスムーズに行うことができ、半田プリコート製造装置の簡略化および小型化を実現できる。本実施の形態において、基板中継コンベア232の筐体213で覆われた区間は、加熱部210において基板を搬送する第2の基板搬送部に該当する。なお、基板中継コンベア232を、加熱領域HAを通る区間とそれ以外の区間に区切られた複数の基板搬送コンベアで構成してもよい。この場合、加熱領域HAを通る区間の基板搬送コンベアが第2の基板搬送部に該当する。
【0044】
(冷却部)
次に冷却部220の構成について説明する。冷却部220は、基板搬出コンベア233を覆う筐体224と、筐体224の内部に配置された冷却ファン(冷却装置)221とを含む。筐体224には、冷却用の空気を導入および排出するための通気孔220aおよび220bが形成されている。冷却ファン221を作動させることによって基板搬出コンベア233上の基板1を冷却する。これにより、加熱部210で溶融した半田を冷却して固化させる。本実施の形態において、基板搬出コンベア233は基板搬送部230を構成する基板搬送コンベアに属するものであり、冷却部において基板を搬送する第3の基板搬送部に該当する。
【0045】
本実施の形態の半田プリコート形成装置10は以上のような構成である。以下、半田プリコート形成装置10の動作とともに半田プリコート形成方法を説明する。制御部20は、基板搬入コンベア234と印刷ステージコンベア231とを作動させて半田プリコートが形成されていない基板1を半田ペースト供給領域PAへ搬送する。制御部20は、半田ペースト供給領域PAに基板1が搬送されてきたらバックアップ昇降機構104eを作動させてバックアップ部104fに基板1を支持させ、サイドクランパ104dによって基板をクランプさせる。これにより、印刷ステージ104は基板1を保持する。
【0046】
次に、マスクプレート116に対する基板1の水平方向の位置を位置合わせする。位置合わせは、まず、基板1をマスクプレート116に当接させる前に、印刷ステージ104に保持された基板1の基板基準マークをカメラ部115で撮影する。そして、撮影された画像を処理することによって、基板1の水平位置に関する位置情報が取得される(基板認識)。なお、マスクプレート116の水平位置に関する位置情報はあらかじめカメラ部115で撮像したマスク基準マークより取得されている(マスク認識)。制御部20は、基板1の水平位置に関する位置情報とマスクプレート116の水平位置に関する位置情報より基板1とマスクプレート116の相対的な位置ずれを計算し、移動テーブル102を駆動して両者の位置ずれがゼロまたは最小になるように印刷ステージ104の位置を調節する。
【0047】
次に、制御部20は、昇降機構103を駆動することによって基板1を上昇させてマスクプレート116の下面に当接させる。図4Bにはマスクプレート116の下面に基板1が接触した状態を示している。
【0048】
次に、制御部20は、印刷ヘッド113を作動させて半田ペーストPを基板1上にスクリーン印刷する。スクリーン印刷では、まずマスクプレート116の上面の半田ペーストPを後スキージ113bまたは前スキージ113cを用いてマスクプレート116上を移動させる。これによって、開口部116aを通過した半田ペーストPの一部が開口部116aに充填される。図5Aには、後スキージ113bでスクリーン印刷している様子を示す。後スキージ113bがマスクプレート116の上面に接した状態で矢印X1の方向へ移動すると、マスクプレート116の上面の半田ペーストPは後スキージ113bによって押されてマスクプレート116上を移動する。そして、半田ペーストPが開口部116aを通過するとその一部が開口部116a内に充填されてランド1bの表面に供給される。
【0049】
次に、制御部20は、昇降機構103を駆動することによって基板1をマスクプレート116から引き離す(版離れ)。図5Bは、引き離された基板1とマスクプレート116とを示す断面図である。基板1をマスクプレート116から引き離すと、開口部116aに充填された半田ペーストPはマスクプレート116から分離されてランド1bへ転写される。ランド1bに転写された半田ペーストPは、基板1の表面に島状に分布するが、ランド1b間の距離が小さい場所では、隣接するランド1b上の半田ペーストPがつながった連結部P1を形成してしまう場合がある。
【0050】
次に、制御部20は、サイドクランパ104dとバックアップ昇降機構104eを作動させてサイドクランパ104dによる基板1の固定を解除するとともにバックアップ部104fを下降させて基板1を印刷ステージコンベア231のベルト上に載置する。そして、制御部20は、印刷ステージコンベア231および基板中継コンベア232を作動させて基板1を加熱部210内の加熱領域HAに搬送する。
【0051】
次に、制御部20は、加熱領域HAに位置する基板1の半田ペーストPを局所加熱装置212によって加熱して、半田ペーストPに含まれている半田を溶融する。加熱領域HAに搬送されてきた基板1は、基板加熱装置211によって加熱される。これは局所加熱装置212による半田の溶融を容易にするためであり補助的な加熱である。基板加熱装置211による加熱が所定時間経過すると、制御部20は、移動機構216を作動させて、基板1に供給された半田ペーストPに局所加熱装置212を順次対峙させていく。これにより、半田ペーストP内の半田が溶融してランド1bの表面に塗れ広がる。なお、隣接するランド1b間に連結部P1がある場合でも、局所加熱装置212でランド1b上の半田を先に溶融させるので連結部P1の半田は溶融した半田に引き寄せられる。そのため、いわゆる半田ブリッジは発生しない。
【0052】
次に、制御部20は、局所加熱装置212による半田の溶融作業が終わると、基板中継コンベア232と基板搬出コンベア233を作動させて基板1を冷却部220へ搬送する。冷却部220は、冷却ファン221を作動させて通気孔220aおよび/または通気孔220bから取り込んだ空気を基板1に吹き付けて冷却する。なお、基板1を特別に冷却する必要がない場合には、冷却部220による冷却を省略してもよい。
【0053】
冷却された基板1は、基板搬出コンベア233を駆動することによって冷却部220から排出される。このようにして、基板1上のランド1bに半田プリコート2が形成される(図6)。
【0054】
半田プリコート形成装置10は単独で使用することも可能であるが、実装基板製造装置に組み込んだ状態で使用可能である。次に、半田プリコート形成装置10を備えた実装基板製造装置400について図7図8を参照して説明する。なお、図8では、半田フラックス3の図示を省略する。
【0055】
本発明の実施の形態の実装基板製造装置400の構成の上面図を図7に模式的に示す。実装基板製造装置400は、ローダー80、半田プリコート形成装置10、半田プリコート検査装置30、フラックス塗布装置(フラックス塗布部)40、電子部品搭載装置(電子部品搭載部)50a,50b,50c、部品搭載状態検査装置60、リフロー装置(第2の加熱部)70、およびアンローダー90を含む。半田プリコート形成装置10は、半田ペースト供給部100と、加熱部(第1の加熱部)210と、冷却部220と、基板1を搬送する基板搬送部230とを備えている。基板搬送部230は、基板1を供給するローダー80から受け取った基板1を、半田ペースト供給部100、加熱部210、冷却部220の順に搬送する。なお、半田プリコート形成装置10は、これまで説明したものと同じであるので詳細な説明は省略する。
【0056】
半田プリコート検査装置30は、基板1に形成された半田プリコート2(図6)の形状を検査するものである。半田プリコート検査装置30は、カメラや三次元計測機等、光学的な計測装置を用いて半田プリコート2の形状や体積を計測し、あらかじめ定めた基準を満たすかどうかを判断する。半田プリコート検査装置30は、基板1を搬送する基板搬送コンベア330を備えている。基板搬送コンベア330は、半田プリコート検査装置30の基板搬送部230から、半田プリコート2が形成された基板1を受け取って装置内へ搬送し、検査を終えた基板1を下流の装置へ搬出する。
【0057】
フラックス塗布装置40は、半田プリコート2に半田フラックス3(図9A参照)を塗布する。フラックス塗布装置40は、スクリーン印刷、ディスペンサ、噴霧器等の塗布機構を備えている。また、フラックス塗布装置40は、基板1を搬送する基板搬送コンベア340を備えている。基板搬送コンベア340は、半田プリコート検査装置30から受け取った基板1を装置40内へ搬入し、フラックスを塗布した基板1を下流の装置へ搬出する。
【0058】
電子部品搭載装置50a,50b,50cは、半田フラックス3で覆われた半田プリコート2に電子部品4を搭載する。電子部品搭載装置50a,50b,50cは、基板1を搬送する基板搬送コンベア350a,350b,350cを備えている。基板搬送コンベア350a,350b,350cは上流の装置から受け取った基板1をそれぞれの装置内へ搬入し、電子部品4を搭載した基板1を下流の装置へ搬出する。なお、電子部品搭載装置50b,50cは電子部品搭載装置50aと同一構成であるため、ここからは電子部品搭載装置50aについてのみ詳細に説明し、電子部品搭載装置50b,50cの説明は省略する。
【0059】
図8を参照して、電子部品搭載装置50aは、基板搬送コンベア350aの側方に配置された複数の部品供給ユニット58と、搭載ヘッド51と、基板支持部55とを備えている。基板搬送コンベア350aは、X方向に平行に延びた一対の基板ガイド53L,53Rと、基板ガイド53L、53Rの対向する面に設けたベルトコンベア54L,54Rとを備えている。
【0060】
ベルトコンベア54R,54Lは基板1のY方向の両端部を下方から支持し、図示しない駆動源によって駆動されて基板1をX方向へ搬送する。基板搬送コンベア350aのX方向における中間部分は、基板1に電子部品4を搭載する作業エリアWとなっている。この作業エリアWの下方には、基板1を下から支持する基板支持部55が配置されている。
【0061】
基板支持部55は、基板1の下面を支持する複数のバックアップピン56と、バックアップピン56を昇降させるバックアップピン昇降部57とを備えている。また、基板ガイド53L、53Rの作業エリアWに該当する箇所には、ベルトコンベア54L,54Rの上方を覆う上面押さえ59L,59Rが装着されている。ベルトコンベア54R,54Lによって基板1が作業エリアWへ搬入された状態でバックアップピン昇降部57が駆動すると、バックアップピン56は基板1を押し上げるとともにそのY方向の両端部の上面を上面押さえ59L,59Rに押し付ける。これにより、基板1は複数のバックアップピン56と一対の上面押さえ59L,59Rによって上下から挟まれた状態で作業エリアWに一時的に固定される。電子部品搭載装置50aの基板搬送コンベア350aは、上流から受け取った基板1を装置内の作業エリアWへ搬入し、電子部品4の搭載を終えた基板1を下流の装置へ搬出する。
【0062】
電子部品搭載装置50aは、搭載ヘッド51と、搭載ヘッド51をX方向とY方向へ移動させる移動機構(図示せず)とを含む。搭載ヘッド51は、電子部品4を吸引して保持する複数の吸着ノズル52を備えており、さらに吸着ノズル52に昇降動作並びにZ軸を中心に回転させるノズル駆動機構(図示せず)を内蔵している。搭載ヘッド51は、部品供給ユニット58によって供給された電子部品4を吸着ノズル52で保持して、作業エリアWに一時的に固定された基板1へ搭載する作業を実行する。
【0063】
部品搭載状態検査装置60は、基板1における電子部品4の搭載状態を検査するものである。検査項目としては、電子部品4の、搭載ズレ、姿勢不良、有無等がある。部品搭載状態検査装置60は、カメラや三次元計測機等の光学的な計測装置を用いて電子部品4の搭載位置、姿勢、有無等の搭載状態を認識し、あらかじめ定めた基準を満たすかどうかを判断する。部品搭載状態検査装置60は、基板1を搬送する基板搬送コンベア360を備えている。基板搬送コンベア360は、電子部品搭載装置50cの基板搬送コンベア350cから電子部品4が搭載された基板1を受け取って装置内へ搬送し、検査を終えた基板1を下流の装置へ搬出する。
【0064】
リフロー装置70は、基板1を搬送する基板搬送コンベア370で搬送される基板を加熱する複数の加熱装置(図示省略)と、加熱された基板1を冷却する冷却装置(図示省略)とを含む。加熱装置は、半田の融点よりも高い温度になるまで基板1を加熱して半田プリコートを溶融させる。冷却装置は、基板1に冷却用のエアーを吹き付けて基板1を冷却して溶融した半田プリコートを固化する。リフロー装置70は、基板搬送コンベア370によって加熱装置から冷却装置の順で基板1を搬送することにより、電子部品4を基板1に半田付けする。基板搬送コンベア370は、半田付けを終えた基板1(電子部品実装基板)をアンローダー90へ搬出する。アンローダー90は、基板を基板搬送コンベア370から回収する。
【0065】
図1を参照して、実装基板製造装置400は、半田プリコート形成装置10の基板搬送部230と、各装置に備えられた基板搬送コンベア330、340、350a,350b,350c、360、370とによって構成された基板搬送装置300を備えている。基板搬送装置300は、半田プリコート形成装置10の半田ペースト供給部100から、加熱部210(第1の加熱部)、部品搭載装置(50a,50b,50c)、リフロー装置70(第2の加熱部)へ基板1を搬送する。このように、半田プリコート形成装置10からリフロー装置70までの各装置を連結することにより、基板1への半田プリコートの形成から電子部品4を基板1に半田付けする工程を連続して行うことができる実装基板製造装置400を実現することができる。
【0066】
次に、実装基板製造装置400における実装基板の製造方法の一例について、以下に説明する。まず、ローダー80が半田プリコート形成装置10に基板1を供給する。半田プリコート形成装置10はローダー80から受け取った基板1に半田プリコート2を形成し、半田プリコート2を形成した基板1を半田プリコート検査装置30へ搬出する。なお、半田プリコート形成装置10による半田プリコート2の形成方法の説明は上述した内容と重複するので省略する。
【0067】
次に、半田プリコート形成装置10は基板1に形成された半田プリコート2の検査を行い、検査を終えた基板1をフラックス塗布装置40へ搬出する。フラックス塗布装置40は、図9Aに示すように、半田プリコート2を覆うように半田フラックス3を塗布する。図9Aには、半田フラックス3を複数の半田プリコート2を覆う範囲で基板1上に一様に塗布した一例を示す。しかし、個々の半田プリコート2に対応するように点状に半田フラックス3を塗布してもよい。半田プリコート形成装置10は、半田フラックス3を塗布した基板1を電子部品搭載装置50aへ搬出する。
【0068】
次に、電子部品搭載装置50aは、半田フラックス3が塗布された基板1に電子部品4を搭載する。図9Bに示した一例では、電子部品4は、2つの端子部4aと、素子部4bとを含む。電子部品搭載装置50aは、端子部4aを半田プリコート2に位置合わせして電子部品4を半田フラックス3が塗布された半田プリコート2上に配置する。電子部品4の搭載作業は、基板搬送コンベア350aによって作業エリアWに搬入され、作業エリアWにおいて基板支持部55で一時固定された基板1に対して行われる。搭載ヘッド51は、部品供給ユニット58から供給された電子部品4を吸着ノズル52で保持して作業エリアWの基板1に搭載する(図8)。搭載された電子部品4は、粘着性を有する半田フラックス3により基板1に仮固定される。これにより、基板1が搬送による振動で半田プリコート2から位置ズレすることが防止される。電子部品搭載装置50aは、電子部品の搭載作業を終えた基板1を、下流の電子部品搭載装置50bへ搬出する。そして、電子部品搭載装置50b,50cでも同様に電子部品の搭載作業が行われる。
【0069】
次に、部品搭載状態検査装置60は、電子部品搭載装置50cから搬出された基板1に搭載されている電子部品4の搭載状態を検査する。検査を終えたら下流のリフロー装置70へ基板を搬出する。
【0070】
次に、リフロー装置70は、基板1を加熱して電子部品4の半田付けを行う。リフロー装置70は、基板搬送コンベア370で搬送される基板1を、基板搬送コンベア370の上下に配置された加熱装置で加熱して、複数の電子部品4が配置された基板1上の半田プリコート2を溶融させる。そして、基板搬送コンベア370の終端側に配置された冷却装置で基板1を冷却して溶融した半田プリコートを固化させる。これによって、電子部品4が、半田接合部5(溶融後に固化した半田プリコート)を介してランド1bと電気的に接続される。すなわち、電子部品4が基板1に実装される。このようにして、電子部品実装基板1xが製造される。
【0071】
本実施の形態は以上であるが、本発明を逸脱しない範囲で変更してもよい。半田ペースト供給部としては、基板の所定の領域に半田ペーストを供給できるものであればスクリーン印刷以外でもよく、ディスペンサなどの塗布装置で構成してもよい。ただし、コストや生産性を考慮すればスクリーン印刷を採用する本実施の形態が好ましい。また、加熱装置としては、局所加熱である必要はなく。基板全体を加熱するものやホットプレートに基板を載置して加熱するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、半田プリコート形成装置および実装基板製造装置に利用できる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
【符号の説明】
【0073】
1:基板
2:半田プリコート
5:半田接合部
10:半田プリコート形成装置
20:制御部
50a、50b、50c:電子部品搭載装置
100:半田ペースト供給部
210:加熱部
211:基板加熱装置
212:局所加熱装置
220:冷却部
230:基板搬送部
231:印刷ステージコンベア(第1の基板搬送部)
232:基板中継コンベア(第2の基板搬送部)
233:基板搬出コンベア(第3の基板搬送部)
234:基板搬入コンベア
300:基板搬送装置
400:実装基板製造装置
HA:加熱領域
P:半田ペースト
PA:半田ペースト供給領域
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C