(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015299
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】吸引アセンブリ付きシリンジアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207757
(22)【出願日】2023-12-08
(62)【分割の表示】P 2022074609の分割
【原出願日】2019-04-11
(31)【優先権主張番号】62/659,840
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー オシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ リゲズ メスキータ
(57)【要約】
【課題】吸引アセンブリ付きシリンジアダプタを提供する。
【解決手段】本発明は、ハウジングと;ハウジング内に配置されたカニューレであって、カニューレは、第1の端部および第1の端部の反対側に第2の端部を有し、カニューレは、移送開口部および弁開口部を画定する、カニューレと;ハウジング内に配置され、ハウジング内で移動可能なシールアレンジメントであって、シールアレンジメントは、膜を含む、シールアレンジメントと;吸引開口部を画成する吸引ハウジングと、を備えシールアレンジメントは、カニューレの第2の端部がシールアレンジメントの膜内に受け入れられた第1の位置と、カニューレの第2の端部が前記シールアレンジメントの膜の外側に配置された第2の位置と、シールアレンジメントが第2の位置にあるときに吸引ハウジングの吸引開口部に係合してシールするシールアレンジメントの膜と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジアダプタであって:
第1の端部と、前記第1の端部の反対側に配置された第2の端部とを有するハウジングであって、前記ハウジングの前記第1の端部に配置され、シリンジバレルに固定されるように構成されたコネクタ本体を含む、ハウジングと;
前記ハウジング内に配置されたカニューレであって、前記カニューレは、第1の端部および前記第1の端部の反対側に第2の端部を有し、前記カニューレは、移送開口部および弁開口部を画定する、カニューレと;
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジング内で移動可能なシールアレンジメントであって、前記シールアレンジメントは、膜を含む、シールアレンジメントと;および
吸引開口部を画成する吸引ハウジングと、を備え
前記シールアレンジメントは、前記カニューレの前記第2の端部が前記シールアレンジメントの前記膜内に受け入れられた第1の位置と、前記カニューレの前記第2の端部が前記シールアレンジメントの前記膜の外側に配置された第2の位置と、前記シールアレンジメントが前記第2の位置にあるときに前記吸引ハウジングの前記吸引開口部に係合してシールする前記シールアレンジメントの前記膜と、を有する、シリンジアダプタ。
【請求項2】
前記吸引ハウジングによって受け取られるフィルタと、および
前記吸引開口部と流体連通する一方向弁と、をさらに備え
前記カニューレの前記弁開口部は、前記吸引ハウジング内に配置される、請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項3】
前記シリンジバレルは、その中に配置されるシリンジプランジャを有し、前記シリンジプランジャが引き抜かれるとき、前記吸引ハウジング内に圧力降下が生じて前記ハウジングを通って、前記吸引開口部を通って、前記フィルタを通って、前記一方向弁を通って、前記カニューレ内へ、およびシリンジ内へ空気を吸引するために前記一方向弁を開くように作用する、請求項2に記載のシリンジアダプタ。
【請求項4】
前記吸引アセンブリは、前記吸引ハウジングに固定され、前記フィルタおよび前記一方向弁と係合するベースをさらに備える、請求項3に記載のシリンジアダプタ。
【請求項5】
前記ベースが前記コネクタ本体に固定されている、請求項4に記載のシリンジアダプタ。
【請求項6】
前記カニューレの前記第1の端部は、前記カニューレが前記ベース、前記一方向弁、前記フィルタ、および前記カニューレの前記第2の端部が前記シールアレンジメントによって受け入れられるように構成された前記吸引ハウジングを通って延びるように、コネクタ本体に固定される、請求項2に記載のシリンジアダプタ。
【請求項7】
前記一方向弁が、前記一方向弁からフィルタおよび吸引ハウジングの吸引開口部への流体の流れを防止する、請求項2に記載のシリンジアダプタ。
【請求項8】
前記吸引アセンブリの少なくとも一部は、前記コネクタ本体内に受け入れられる、請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項9】
前記カニューレの前記弁開口部が複数の開口部を含む、請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項10】
前記フィルタおよび前記一方向弁が環状であり、前記一方向弁が前記フィルタ内に受け入れられる、請求項2に記載のシリンジアダプタ。
【請求項11】
前記一方向弁が、弁本体と、前記弁本体に対して半径方向内側に移動可能な弁部材と、を備える、請求項2に記載のシリンジアダプタ。
【請求項12】
前記一方向弁の前記弁部材がエラストマーである、請求項11に記載のシリンジアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジを別の医療デバイスまたは流体コンテナに接続するためのシリンジアダプタ、より具体的には、吸引アセンブリを含むシリンジアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2018年4月19日に出願された「吸引アセンブリを備えたシリンジアダプタ」と題された米国仮出願No.62/659,840の優先権を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
薬剤師や看護師などの医療従事者は、薬剤または溶媒への繰り返しの曝露の結果として、急性および長期の健康リスクにさらされる可能性があり、薬剤の調製、薬剤投与、および他の同様の取り扱い活動中に空気中に逃げる可能性がある。例えば、輸液を行う場合、輸液バッグまたは他の輸液コンテナ内の輸液に薬剤または他の医療物質を注入する必要があることが多い。この注入は、しばしば、問題の医療用液体で満たされたシリンジの針で、注入バッグまたは注入流体ライン上の注入ポートの隔壁または他の流体バリアを貫通することによって実行される。隔壁に貫通する前に、薬液をバイアルからシリンジに移し、次にシリンジからコンテナに移す必要があってもよい。これらのステップのそれぞれでは、臨床医または医療提供者は、例えば、気化した医療用流体またはエアロゾルとして放出された汚染物質からの汚染をもたらす医療用流体にさらされ得る。たとえば、気化した汚染物質やエアロゾル汚染物質を肺に吸い込むことによって汚染が発生するかもしれない。汚染は、気化した汚染物質またはエアロゾル汚染物質が凝縮して、臨床医または医療提供者の皮膚に浸透したときにも発生するかもしれない。場合によっては、そのような凝縮した汚染物質が保護グローブに浸透することさえある。
【0004】
残念ながら、汚染物質への曝露は、長期的には、臨床医または医療提供者の血液または体組織に許容できないほど高濃度の薬剤または汚染物質を生じさせるかもしれない。複雑な注入の準備中に発生しなければならないコンテナ間の多くの移動ステップのために、汚染のリスクが高まる。これらの理由から、クローズドシステム移送デバイス(CSTDs)が開発され、薬剤の移送中に薬剤が移送デバイスに確実に含まれるようになる。CSTDは、一般に、シリンジに接続するためのシリンジアダプタと、バイアル、第2のシリンジ、流体コンテナ、または患者の循環系への流体アクセスを提供する導管に接続するための別のアダプタとを含む。使用中、臨床医またはケア提供者は、それぞれのアダプタの接続を介してシリンジをバイアルに取り付けることにより、粉末または凍結乾燥化合物を生理食塩水または他の再構成媒体で再構成してもよい。次に、シリンジからそれぞれのアダプタを介してバイアルに液体を注入することにより、薬剤を再構成する。場合によっては、再構成された注入液がシリンジに吸引されてもよい。吸引後、アダプタは互いに切り離すことができる。次に、臨床医またはケア提供者は、シリンジを別のアダプタに取り付けて、シリンジから流体導管、または患者に投与するためのIVラインまたはシリンジなどの患者送達デバイスに流体を移送し得る。特定の状況では、空気は最初にシリンジに吸引され、バイアルから流体を引き出す前にバイアルに注入される。バイアルに空気を注入すると、バイアルが加圧され、流体がバイアルから引き出されると、バイアル内の圧力が元の圧力に戻る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、シリンジアダプタは、第1の端部および第1の端部の反対側に配置された第2の端部を有するハウジングを含み、ハウジングは、ハウジングの第1の端部に配置され、シリンジバレルに固定されるように構成されたコネクタ本体を含み、カニューレは、ハウジング内に配置され、カニューレは、第1の端部および第2の端部が第1の端部の反対側にあり、移送開口部および弁開口部を規定し、シールアレンジメントはハウジング内で移動可能に、ハウジング内に配置され、シールアレンジメントは、膜と、ハウジング内に配置された吸引アセンブリと、を含む。吸引ハウジングは、吸引開口部を画成する吸引ハウジングと、吸引ハウジングによって受け取られるフィルタ、および吸引ハウジングによって受け取られる一方向弁を含み、カニューレの弁開口部は、吸引ハウジング内に配置され、空気は、吸引開口部を介してフィルタに流入し、一方向弁に流入し、カニューレの弁開口部に流入するように構成される。
【0006】
吸引アセンブリは、吸引ハウジングに固定され、フィルタおよび一方向弁と係合するベースをさらに含み得る。ベースはコネクタ本体に固定されてもよい。カニューレの第1の端部は、カニューレがベース、一方向弁、フィルタ、およびカニューレの第2の端部がシールアレンジメントによって受け入れられるように構成された吸引ハウジングを通って延びるように、コネクタ本体に固定され得る。一方向弁は、一方向弁からフィルタおよび吸引ハウジングの吸引開口部への流体の流れを妨げるかもしれない。シールアレンジメントは、カニューレの第2の端部がシールアレンジメントの膜内に受け入れられた第1の位置と、カニューレの第2の端部がシールアレンジメントの膜の外側に配置された第2の位置と、シールアレンジメントが第2の位置にあるときに吸引ハウジングの吸引開口部に係合してシールするシールアレンジメントの膜と、を有し得る。吸引アセンブリの少なくとも一部は、コネクタ本体内に受け入れてもよい。カニューレの弁開口部は、複数の開口部を含み得る。フィルタと一方向弁は環状であってもよく、一方向弁はフィルタ内に受け入れられる。一方向弁は、弁本体と、弁本体に対して半径方向内側に相対的に移動可能な弁部材とを含んでもよい。一方向弁の弁部材は、エラストマーであってもよい。
【0007】
さらなる局面では、シリンジアダプタは、第1の端部および第1の端部の反対側に配置された第2の端部を有するハウジングを含み、ハウジングは、ハウジングの第1の端部に配置され、シリンジバレルに固定されるように構成されたコネクタ本体を含み、カニューレは、ハウジング内に配置され、カニューレは、第1の端部および第2の端部が第1の端部の反対側にあり、シールアレンジメントはハウジング内で移動可能に、ハウジング内に配置され、シールアレンジメントは、膜と、ハウジング内に配置された吸引アセンブリと、を含む。吸引アセンブリは、吸引開口部を画定する吸引ハウジングと、吸引ハウジングによって受け取られるフィルタと、および吸引ハウジングによって受け取られる一方向弁とを含み、空気は、吸引開口部を介して、一方向弁を通り、フィルタを通り、吸引ハウジングに流入するように構成される。
【0008】
吸引アセンブリは、吸引ハウジングに固定され、フィルタと係合するベースをさらに含んでもよい。ベースは開口部を画定してもよく、コネクタ本体は、ベースの開口部およびコネクタ本体の中央通路と流体的に連通する開口部を画定してもよい。コネクタ本体は、吸引ハウジングと流体連通する開口部と、コネクタ本体の中央通路とを画定してもよく、ここで、空気は、フィルタを通過してコネクタ本体の開口部に入るように構成されている。カニューレの第1の端部は、コネクタ本体に固定されてもよく、カニューレがフィルタ、一方向弁およびカニューレの第2の端部がシールアレンジメントによって受け入れられるように構成された吸引ハウジングを通って延びるように構成されている。一方向弁は、吸引ハウジング内から吸引開口部への流体の流れを妨げるかもしれない。シールアレンジメントは、カニューレの第2の端部がシールアレンジメントの膜内に受け入れられた第1の位置と、カニューレの第2の端部がシールアレンジメントの膜の外側に配置された第2の位置と、シールアレンジメントが第2の位置にあるときに吸引ハウジングの吸引開口部に係合してシールするシールアレンジメントと、を有し得る。シールアレンジメントが第2の位置にあるとき、膜とシールガスケットのうちの1つは、吸引ハウジングの吸引開口部をシールしてもよい。一方向弁は傘弁であってもよい。
【0009】
本発明のこれらおよび他の特徴および特性、ならびに構造の関連する要素の動作および機能の方法および部品の組み合わせおよび製造の経済性は、そのすべてが本明細書の一部を形成し様々な図において同様の参照番号は対応する部分を示す添付図面を参照して、以下の説明および添付の特許請求の範囲を考慮すると、より明らかになるであろう。しかしながら、図面は、例示および説明の目的のみのためであり、および本発明の限定の定義として意図されないことは、明確に理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一態様によるシリンジアダプタの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一態様による吸引アセンブリの斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一態様による一方向弁の斜視図である。
【
図6】
図6は、吸引流路を示す、
図1のシリンジアダプタの部分断面図である。
【
図7】
図7は、一方向弁を通る閉じた経路を示す、
図1のシリンジアダプタの部分断面図である。
【
図8】
図8は、
図1のシリンジアダプタの部分断面図であり、シールアレンジメントの第2の位置を示し、シールアレンジメントと吸引アセンブリとの間のシールインターフェースを強調している。
【
図9】
図9は、
図1のシリンジアダプタの部分断面図であり、シールアレンジメントの第2の位置およびシリンジアダプタを通ってシリンジに入る流路を示している。
【
図10】
図10は、本発明のさらなる態様による吸引アセンブリの断面図である。
【
図12】
図12は、
図10の吸引アセンブリの断面図であり、吸引アセンブリを通る流路を示している。
【
図13】
図13は、
図10の吸引アセンブリの断面図であり、一方向弁を通る閉じた経路を示す。
【
図14】
図14は、
図10の吸引アセンブリの断面図であり、第2の位置でのシールアレンジメントを示している。
【
図15】
図15は、
図10の吸引アセンブリの断面図であり、吸引アセンブリを通ってコネクタ本体への流路を示している。
【
図16】
図16は、
図10の吸引アセンブリの断面図であり、本発明のさらなる態様による流路配置および構成を示している。
【
図17】
図17は、本発明の一態様によるシールアレンジメントの断面図である。
【
図18】
図18は、本発明のさらなる態様によるシールアレンジメントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図は、一般に、本開示のシステムおよび方法の好ましい非限定的な側面を示している。本明細書は、デバイスのさまざまな側面を示していますが、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本開示の態様の修正、概念、および適用は、本明細書の図解および説明に含まれるがこれらに限定されないものとして当業者によって解釈されるべきである。
【0012】
以下、説明の目的のために、用語「上部(upper)」、「下部(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直の(vertical)」、「水平の(horizontal)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「横の(lateral)」、「縦の(longitudinal)」、およびそれらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。「近位」という用語は、デバイスの中心または中央領域に向かう方向を指す。「遠位」という用語は、デバイスの中央領域から離れて延びる外向きの方向を指す。しかしながら、本開示は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、および以下の明細書に記載される具体的なデバイスおよびプロセスは、本開示の単なる例示的な側面であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される側面に関連する具体的な寸法および他の物理的な特徴は、限定的なものであるとしてみなされるべきではない。本開示の理解を容易にする目的で、添付の図面および説明は、その好ましい態様を示し、そこから、本開示、その構造の様々な態様、構造および操作方法、ならびに多くの利点を理解し、理解することができる。
【0013】
本開示の一態様によれば、シリンジ12を別の医療デバイス、例えば患者コネクタ14、または流体容器に接続するためのシリンジアダプタ10が提供される。医療デバイスは、例えば、患者ライン、バイアルアダプタ、流体容器、または注入アダプタであり得る。他の例では、容器は、医療用バイアル、シリンジバレル、IVバッグ、または患者に投与される流体を保持するための同様の容器であり得る。シリンジアダプタ10は、シリンジ12と医療デバイスまたは流体容器との間の流体の閉鎖的な移送を容易にするために使用することができる。
【0014】
図1~9を参照すると、本発明の一態様によるシリンジアダプタ10は、ハウジング20と、ハウジング20内に配置されたカニューレ22と、ハウジング20内に配置され、第1の位置と第2の位置との間でハウジング20内を移動可能なシールアレンジメント24と、ハウジング20内に配置された吸引アセンブリ26とを含む。吸引アセンブリ26は、シリンジアダプタ10がシリンジ12に接続されている間、シリンジ12がシリンジ12に空気を吸引することを可能にするように構成される。上記のように、特定の状況では、シリンジアダプタ10に接続された状態でシリンジ12に空気を吸引することが、バイアルまたは他の容器に空気を注入することを可能にするために望ましい。吸引アレンジメントがない場合、シールアレンジメント24は、シリンジアダプタ10に接続されたときにシリンジ12内に空気が吸引されるのを防ぐであろう。
【0015】
ハウジング20は、第1の端部30と、第1の端部30の反対側に配置された第2の端部32とを有し、ハウジング20の第1の端部30に配置されたコネクタ本体34を含む。コネクタ本体34は、シリンジ12に固定されるように構成される。一態様では、コネクタ本体34は、メスのルアーコネクタ36を含むが、他の好適な接続アレンジメントを利用してもよい。カニューレ22は、第1の端部40と、第1の端部40の反対側にある第2の端部42とを有する。カニューレ22は、移送開口部44および弁開口部46を画定する。移送開口部44は、カニューレ22の第2の端部42に隣接して配置されている。弁開口部46は、カニューレ22の第1および第2の端部40、42の中間に配置されている。シールアレンジメント24は、コレット50およびコレット50内に受け入れられた膜52を含むが、他の好適なシールアレンジメント24を利用してもよい。シールアレンジメント24は、カニューレ22の第2の端部42がシールアレンジメント24の膜52内に受け入れられた第1の位置と、カニューレ22の第2の端部42がシールアレンジメント24の膜52の外側に配置された第2の位置とを有する。シールアレンジメント24は、シリンジアダプタ10を利用する流体の閉鎖的な移送を容易にする。コレット50は、患者コネクタ14などの嵌合コネクタと協働して、コレット50を嵌合コネクタに接続し、シールアレンジメント24を第1の位置から第2の位置に遷移させて、流体がカニューレ22を通って流れることを可能にする。シールアレンジメント24は、本明細書では詳細に論じられず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第2015/0297454号に示され、記載されているシールアレンジメントと同様に機能してもよい。
【0016】
図3~9を参照すると、吸引アセンブリ26は、吸引開口部58を画定する吸引ハウジング56と、吸引ハウジング56によって受け取られるフィルタ60と、および吸引ハウジング56によって受け取られる一方向弁62とを含む。
図6に示されるように、空気は、吸引開口部58を介してフィルタ60に流入し、一方向弁62に流入し、そしてカニューレ22の弁開口部46に流入するように構成される。より具体的には、シリンジプランジャ64が引き抜かれると、吸引ハウジング56内に圧力降下が生じて一方向弁62が開き、ハウジング20を通って、吸引開口部58を通って、フィルタ60を通って、および一方向弁62を通って、弁開口部46を介してカニューレ22に入り、コネクタ本体34の中央通路65を通って、シリンジ12に空気が吸引されるようになる。
【0017】
吸引アセンブリ26はまた、吸引ハウジング56に固定され、フィルタ60および一方向弁62と係合するベース66を含んでもよい。ベース66はコネクタ本体34に固定されてもよい。ベース66は、超音波溶接を介して吸引ハウジング56およびコネクタ本体34に固定され得るが、他の好適な固定アレンジメントも利用され得る。カニューレ22の第1の端部40は、カニューレ22がベース66、一方向弁62、フィルタ60、およびカニューレ22の第2の端部42がシールアレンジメント24によって受け入れられるように構成された吸引ハウジングを通って延びるように、コネクタ本体34に固定される。
【0018】
図7に示されるように、一方向弁62は、一方向弁62からフィルタ60および吸引ハウジング56の吸引開口部58への流体の流れを防止する。
図8および
図9に示されるように、シールアレンジメント24の膜52は、シールアレンジメント24が第2の位置にあるときに、吸引ハウジング56の吸引開口部58と係合してシールする。特に、シールアレンジメント24の膜52は、
図8で強調されているように、吸引アセンブリ26との間にシールされたインターフェース68を形成し、流体または汚染物が吸引アセンブリ26を介してハウジング20に出入りする可能性を防止する。膜52を利用して吸引アセンブリ26に対してシールするのではなく、別のシールガスケットまたは表面をシールアレンジメント24に固定してもよい。
【0019】
図6~9を参照すると、吸引アセンブリ26の少なくとも一部は、コネクタ本体34内に受け入れられる。一態様では、フィルタ60および一方向弁62は環状であり、一方向弁62はフィルタ60内に受け入れられる。吸引ハウジング56は円筒状であるが、他の好適な形状および構成が利用されてもよい。ベース66は、平面の円形部分70から延びる円筒形の延長部72を備えた平面の円形部分70を含む。円筒状延長部72は、吸引ハウジング56と流体連通する1つまたは複数の開口部74を画定する。カニューレ22の弁開口部46は、ベース66内に配置され、ベース66の開口部74は、カニューレ22の弁開口部46と流体連通している。カニューレ22の弁開口部46は、
図6~9に示されるように、1つまたは複数の開口部46を含んでもよい。
【0020】
図4~9を参照すると、一方向弁62は、弁本体76と、弁本体76に対して半径方向内側に相対的に移動可能な弁部材78とを含む。一方向弁62の弁部材78はエラストマーであるが、他の適切な材料を利用してもよい。弁部材78は、他の適切な構成が利用されてもよいが、弁本体76上にオーバーモールドされてもよい。弁部材78は、弁本体76の対応する傾斜面82と協働して、弁部材78の半径方向内向きの動きのみを可能にする傾斜面80を含む。したがって、一方向弁62は、一方向弁62(
図6)およびシリンジ12から吸引アセンブリ26(
図7)への空気の移動を伴う吸引アセンブリ26への空気の吸引を許可することにより、弁部材78の傾斜面80が弁本体76の傾斜面82と係合してシールされ、これにより、一方向弁62を通る流れが防止される。フィルタ60内に一方向弁62が配置されているため、フィルタ60はまた、弁部材78が半径方向外向きに移動するのを防止するように構成される。言い換えれば、フィルタ60は、弁部材78の半径方向外向きの任意の動きを制限する。シリンジ2内への吸引の間、フィルタ60は、空気が吸引アセンブリ26を通ってシリンジ12に吸引されるときに、空気からのあらゆる汚染を濾過するように構成される。フィルタ60は、疎水性および/または疎油性であってもよい。
【0021】
図10~18を参照すると、本発明のさらなる態様による吸引アセンブリ126が提供される。吸引アセンブリ126は、
図1~9の吸引アセンブリ26と同様であり、同様の方法で機能する。吸引アセンブリ126は、
図1~9の吸引アセンブリ26と同様の方法でシリンジアダプタ内に組み込まれる。
図10~18の吸引アセンブリ126は、吸引開口部158を画定する吸引ハウジング156と、吸引ハウジング156によって受け取られるフィルタ160と、吸引ハウジング156によって受け取られる一方向弁162とを含み、ここで、空気は、吸引開口部158を介して、一方向弁162を通り、フィルタ160を通り、吸引ハウジング156に流入するように構成される。吸引アセンブリ126は、吸引ハウジング156に固定され、フィルタ160と係合するベース166を含む。
図1~9のシリンジアダプタ10のようにカニューレ22に弁開口部46を提供するのではなく、ベース166は開口部170を画定し、コネクタ本体34は開口部172を画定する。コネクタ本体34の開口172は、ベース166の開口170およびコネクタ本体34の中央通路65と流体連通している。したがって、
図12に示されるように、吸引ハウジング156の吸引開口158を通り、一方向弁162を通り、フィルタ160を通り、ベース166の開口170を通り、コネクタ本体34の開口172を通り、コネクタ本体34の中央通路65に流入する流路が提供される。
【0022】
図12~18を参照すると、カニューレ22の第1の端部40は、コネクタ本体34に固定され、カニューレ22がフィルタ160、一方向弁162およびカニューレ22の第2の端部42がシールアレンジメント24によって受け入れられるように構成された吸引ハウジング158を通って延びるように構成されている。一方向弁162は、吸引ハウジング156内から吸引開口部158への流体の流れを妨げる。
図1~9に関連して上述したシリンジアダプタ10と同様に、シールアレンジメント24は、シールアレンジメント24が第2の位置にあるときに、吸引ハウジング156の吸引開口158に係合してシールする。シールアレンジメント24の膜52は、
図14および17に示されるように、吸引開口部158と係合してシールしてもよい。あるいは、
図18に示されるさらなる態様では、シーリングガスケット176がコレット50によって受け取られ、シーリングガスケット176は、吸引ハウジング156の吸引開口158に係合してシールする。一方向弁162は傘弁であるが、他の適切な構成が提供され得る。一方向弁162は、通路182を画定する中央本体180と、中央本体180から延びる傘形状のフランジ184とを含む。
図12に示されるように、傘形状のフランジ184は弾力性があり、空気がシリンジ12を介して吸引開口部158を通ってベース166の開口部170とコネクタ本体34の開口172に向かって吸引されると、吸引ハウジング156の吸引開口部158から離れるように持ち上げられるように構成される。特に、シリンジ12のプランジャ64を引き抜くと、吸引ハウジング156内に圧力降下が生じ、これにより、一方向弁162が開き、上述したように吸引開口158を介して空気が吸引される。
図13および14に示されるように、コネクタ本体34の中央通路65を通って、コネクタ本体34の開口部172、ベース166の開口170、および吸引ハウジング156に流れる空気または流体は、一方向弁162の傘状フランジ184を吸引ハウジング156に対して強制的に押し付けて、吸引開口部157を塞ぐ。複数の吸引開口部158が示されているが、1つまたは複数の吸引開口部158が提供されてもよい。吸引中、フィルタ160は、吸引ハウジング156を通ってコネクタ本体34に通過するあらゆる汚染物を濾過する。フィルタ160は、疎水性および/または疎油性であってもよい。
【0023】
吸引ハウジング156は円筒状であるが、他の好適な形状および構成が利用されてもよい。ベース166は、平面の円形部分188から延びる円筒形の延長部190を備えた平面の円形部分188を含む。フィルタ160は環状であり、ベース166の円筒形延長部190の上に配置されている。ベース166の円筒形延長部190はまた、一方向弁162の中央本体180の通路182を通って延びる。一方向弁162およびベース166の一部は、吸引ハウジング156から延びるが、他の適切な構成を利用してもよい。
【0024】
図16を参照すると、
図15に示されるようにベース166を提供するのではなく、コネクタ本体34は、フィルタ160、一方向弁162、および吸引ハウジング156を通って延びる円筒形状延長部194を提供してもよい。コネクタ本体34の開口172は、吸引開口158を通って一方向弁162を通過して吸引ハウジング156に入り、フィルタ160を通って、コネクタ本体34の開口部172に入り、コネクタ本体34の中央通路65につながる流体経路が形成された状態で、吸引ハウジング156と直接流体連通している。
【0025】
本発明は、現在最も実用的で好ましい態様であると現在考えられていることに基づいて、例示の目的のために詳細に説明されたが、そのような詳細は単にその目的のためであり、及び、本発明は、開示された態様に限定されないが、逆に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にある修正および同等の配置を包含することが意図されていることを理解されよう。例えば、本発明は、可能な範囲で、任意の態様の1つ又は複数の特徴を、他の任意の態様の1つ又は複数の特徴と組み合わせられることを企図していることを理解されよう。