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特開2024-15305治療ガスおよび診断ガスの吸入システムおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015305
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】治療ガスおよび診断ガスの吸入システムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240125BHJP
   A61M 16/20 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61M16/00 380
A61M16/00 370
A61M16/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207844
(22)【出願日】2023-12-08
(62)【分割の表示】P 2021138565の分割
【原出願日】2017-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】518263586
【氏名又は名称】ビヨンド エアー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィグレー、カーティス
(72)【発明者】
【氏名】エイナヴ、レビ
(72)【発明者】
【氏名】オフィール、アタイ
(72)【発明者】
【氏名】アヴゲイ、ヨセフ
(57)【要約】
【課題】少なくとも1つの治療ガスを自発呼吸患者に送達するシステムを使用する方法。
【解決手段】少なくとも1つの治療ガスを患者に送達するためのシステムを使用する方法であって、少なくとも1つの治療ガスを供給源から供給するステップと、少なくとも1つの治療用ガスをシステムから患者に送達するステップとを備え、システムは、近位端および遠位端を有する少なくとも1つのリザーバチューブと、少なくとも1つのリザーバチューブの近位端にある少なくとも1つの治療ガス注入口と、吸入逆止弁を介して少なくとも1つのリザーバチューブの近位端に流体的に接続された患者インターフェイスとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの治療ガスを患者に送達するためのシステムを使用する方法であって、 a.前記少なくとも1つの治療ガスを供給源から供給するステップであって、前記供給源が前記システムと連通している、供給するステップと、
b.前記少なくとも1つの治療用ガスを前記システムから患者に送達するステップとを備え、
前記システムは、
i.近位端および遠位端を有する少なくとも1つのリザーバチューブであって、前記遠位端は周囲空気に開放されており、前記患者の呼吸の1回換気量よりも大きな容積を有する、少なくとも1つのリザーバチューブと、
ii.前記少なくとも1つのリザーバチューブの前記近位端にある少なくとも1つの治療ガス注入口であって、送達チューブが当該少なくとも1つの治療ガス注入口および少なくとも1つの治療ガス供給源に接続される、少なくとも1つの治療ガス注入口と、
iii.吸入逆止弁を介して前記少なくとも1つのリザーバチューブの前記近位端に流体的に接続された患者インターフェイスと
を備える、方法。
【請求項2】
前記患者インターフェイスが、前記患者と前記システムとの間に気密シールを形成するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が息を吐いている間に前記吸入逆止弁を閉じるステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の時間平均吸入流量より大きい時間平均流量で、前記少なくとも1つの治療用ガスを前記少なくとも1つの治療用ガス注入口を通して前記近位端にて前記少なくとも1つのリザーバチューブに導入することをさらに含み、前記患者が息を吐いている間に、前記少なくとも1つの治療用ガスが前記少なくとも1つのリザーバチューブに沿って前記近位端から前記遠位端まで流れる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が息を吐いている間に、前記少なくとも1つのリザーバチューブに導入される前記少なくとも1つの治療用ガスの体積が、前記患者の吸入流量より大きい、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が息を吸っている間に、前記吸入逆止弁を開くステップを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記システムが第2の逆止弁をさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記患者が息を吸っている間に前記第2の逆止弁を閉じ、前記患者が息を吐いている間に前記第2の逆止弁を開き、前記第2の逆止弁が前記患者の呼気を排出することを可能にするステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのリザーバチューブが、前記患者が息を吸うのに必要な労力を最小にするようにさらに構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記システムが吐出逆止弁をさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者インターフェースが、フルフェイスマスク、ノーズマスク、マウスピース、およびピローシール鼻カニューレから選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのリザーバチューブが、前記患者が吸入するのに必要な労力を最小化するようにさらに構成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記システムが排気ポートをさらに備え、該排気ポートの直径が、前記患者が息を吐くのに必要な労力を最小にするように構成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのリザーバチューブの前記近位端を通る前記少なくとも1つの治療用ガスの流れの少なくとも1つのパラメータをモニタすることをさらに含み、
前記少なくとも1つのパラメータが、濃度、流量、汚染、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのリザーバチューブが、前記遠位端に流量計をさらに備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのリザーバチューブが、前記近位端にサンプリングポートをさらに備える、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記患者に送達される前記少なくとも1つの治療用ガスをモニタすること、および/または前記患者に送達される前記少なくとも1つの治療用ガスを特徴付けることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの治療用ガスの濃度、流量、またはそれらの組み合わせのいずれか1つのモニタされた値が閾値から逸脱した場合に警告を発することをさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの治療用ガスの濃度、流量、またはそれらの組合せのいずれか1つを変更することをさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの治療用ガスが、一酸化窒素、ヘリウム、二酸化炭素、低酸素ガス、診断ガス、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの治療用ガスが一酸化窒素である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
一酸化窒素の濃度が酸素と窒素の混合物中で160ppmである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
一酸化窒素の濃度が400ppm~0.5ppmである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの治療用ガスがトレーサーガスである、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの治療用ガスの平均送達速度が、患者の平均吸気流量を満たすか超える、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの治療用ガスの平均注入流量を定期的に調整するために、少なくとも1つの患者呼吸期間の時間枠にわたって、前記リザーバ内のガス流から平均注入流量要件を決定することをさらに含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記リザーバの前記遠位端におけるガスの正味の流出または流入をモニタすることをさらに含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの治療用ガスの流量が、前記患者の時間平均吸入流量を超え、それにより前記リザーバの前記遠位端におけるガスの正味の流出を生成する、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記システムがスクラブ要素をさらに含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
バイタルサイン、メトヘモグロビンレベル、肺機能パラメータ、血液化学および血液学的パラメータ、血液凝固パラメータ、炎症マーカーレベル、肝臓および腎臓機能パラメータ、血管内皮活性化パラメータのようなオンサイトおよびオフサイトのパラメータの1つ以上をモニタすることをさらに含む、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2016年1月27日に出願された「SYSTEM FOR NITRIC OXIDE INHALATION」と題する米国特許出願第62/287,652号の優先権を主張するものであり、その全体はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、少なくとも1つの治療ガスを自発呼吸患者に送達するシステムに関し、少なくとも1つの治療ガスの送達速度が患者の吸気流量を超え、かつ少なくとも1つの治療ガスの量が無駄になることが最小限にされるかなくされる。
【背景技術】
【0003】
患者に与える治療ガスの一貫性のない不正確な濃度は、患者に投与される治療ガスの有効性を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムであって、
a.近位端および遠位端を有する少なくとも1つのリザーバチューブであって、患者の呼吸の1回換気量よりも大きな容積を有する、少なくとも1つのリザーバチューブと、
b.少なくとも1つのリザーバチューブの近位端にある少なくとも1つの治療ガス注入口であって、送達チューブが少なくとも1つの治療ガス注入口および少なくとも1つの治療ガス供給源に接続される、少なくとも1つの治療ガス注入口と、
c.逆止弁を介して少なくとも1つのリザーバチューブの近位端に流体的に接続された患者インターフェイスと
を備え、
患者インターフェイスは、患者とシステムとの間に気密シールを形成するように構成され、
吸入逆止弁は、患者が吐き出しているときに閉じられるように構成され、
少なくとも1つの治療ガスは、患者の時間平均吸入流量よりも大きい時間平均流量で、少なくとも1つの治療ガス注入口を通って近位端において少なくとも1つのリザーバチューブに導入され、少なくとも1つの治療ガスは、患者が吐き出している間に、近位端から遠位端に少なくとも1つのリザーバチューブに沿って流れ、
患者が吐き出している間に少なくとも1つのリザーバチューブに導入される少なくとも1つの治療ガスの容積は、患者の吸入する1回換気量よりも大きく、
吸入逆止弁は、患者が吸い込んでいるときに開くよう構成され、
吸入逆止弁は、少なくとも1つの治療ガスが患者に投与されることを可能にするように構成されているシステムを提供する。
【0005】
一実施形態では、システムは、第2の逆止弁をさらに備え、第2の逆止弁は、患者が吸い込んでいる間に閉じ、患者が吐き出している間に開いているように構成され、システムは第2の逆止弁が患者によって吐き出されたガスを排出させるように構成される。
【0006】
一実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、患者が吸い込むか、吐き出すか、または吸い込み吐き出すのに必要とする努力を最小限にするように構成される。
【0007】
一実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、患者が吸い込むか、吐き出すか、または吸い込み吐き出すのに必要とする努力を最小限にするようにさらに構成されている。
【0008】
一実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、少なくとも1つのリザーバチューブの近位端を通るガスの流れをモニタするようにさらに構成される。
【0009】
一実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、少なくとも1つのリザーバチューブの近位端を通るガスの流れの少なくとも1つのパラメータをモニタするようにさらに構成され、
少なくとも1つのパラメータは、濃度、流れ、汚染、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0010】
一実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、遠位端に流量計をさらに備える。
【0011】
一実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、リザーバ内の流量および流れの方向に応答する流量計をさらに備え、便宜上、リザーバの遠位端に配置することができる。
【0012】
一実施形態では、システムは、患者に少なくとも1つの治療ガスを投与するように構成され、さらに、患者に少なくとも1つの治療ガスを投与するように構成されたシステムに導入された少なくとも1つの治療ガスの少なくとも1つのパラメータをモニタするように構成され、少なくとも1つのパラメータは、濃度、流量、流れの体積、汚染レベル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0013】
一実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、近位端にサンプリングポートをさらに備える。
【0014】
一実施形態では、サンプリングポートは、患者にガスを送達し、患者に送達されたガスをモニタし、患者に送達されたガスを特徴付け、またはそれらの任意の組み合わせのために構成される。一実施形態では、ガスは、内容物、汚染レベル、流量、流れの体積、濃度、またはそれらの任意の組み合わせによって特徴付けられる。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、濃度、少なくとも1つの治療ガス、または対応する流量、の任意の1つのモニタされた値が、閾値から逸脱する場合に、警告を発するようにさらに構成される。本明細書で使用される場合、閾値は、境界より上、下、または上および下の両方の組み合わせを含むことができ、それより上、下、またはそれから外れていることの各々で、警戒状態が存在するかどうかを判定するために、モニタされた値が評価される。非限定的な例として、高酸素または低酸素呼吸混合物のいずれかが送達されている場合に、オペレータに警告するために、酸素濃度の許容可能な治療レベルの上限および下限の閾値を、システムにおいて使用することができる。
【0016】
一実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、少なくとも1つの治療ガスの特性の任意の1つのモニタされた値、または流量が、少なくとも1つの閾値から逸脱する場合に、少なくとも1つの治療ガスの流量および/または濃度を変更するようにさらに構成される。
【0017】
一実施形態では、少なくとも1つの治療ガスが、一酸化窒素、ヘリウム、二酸化炭素、高酸素ガス、低酸素ガス、トレーサーガス、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、一酸化窒素の濃度は、酸素と窒素の混合物中で160ppmである。一実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは一酸化窒素である。一実施形態では、一酸化窒素が400ppm~0.5ppmの濃度である。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは診断ガスである。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは酸素である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本明細書に記載の治療方法を必要とする患者の典型的な吸入サイクル中の肺内の典型的な空気量を描写するグラフを示す。
図2(a)】患者の呼吸サイクルに亘るキーポイントにおける本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムの動作を示す。
図2(b)】患者の呼吸サイクルに亘るキーポイントにおける本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムの動作を示す。
図2(c)】患者の呼吸サイクルに亘るキーポイントにおける本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムの動作を示す。
図2(d)】患者の呼吸サイクルに亘るキーポイントにおける本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムの動作を示す。
図3】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、患者はマウスピースを経てリザーバの近位端から呼吸する。
図4】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、患者はノーズマスクから呼吸する。
図5(a)】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示し、ガス送達システムは吸入逆止弁および吐出逆止弁の両方で構成される。
図5(b)】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示し、ガス送達システムは吸入逆止弁および吐出逆止弁の両方で構成される。代替の患者の接続を、図5(a)および図5(b)に示している。
図6】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、送達システムは吸入逆止弁および吐出逆止弁、ならびに排気を患者から遠ざけるための呼気排出チューブの両方で構成される。
図7】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、治療ガスは、リザーバの近位端に別々に送達され、リザーバに別々に注入される2つの成分を含む。
図8】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムをしており、リザーバが2つ以上のチューブから形成され、2つ以上のガスがリザーバに個別にもたらされている。
図9】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、リザーバは、必要な総体積を提供する複数の小さなチューブから作られている。この図はまた、サンプルポートと、リザーバの近位端に存在する少量のガスを、分析およびモニタのために引き出すことができるサンプルラインの両方を導入する。このサンプルポートは吸入弁のすぐ遠位に配置されて、患者の呼気から効果的に隔てられる。
図10】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、長いリザーバチューブがその物理的サイズを縮小するためにコイル状にされている。
図11】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、最終的な治療混合物を形成する複数のソースガスは、リザーバの近位端に注入する前に混合される。図11は、患者が鼻から吸って口から吐くように訓練された、ノーズマスクと1つの吸入逆止弁を使用する構成を強調している。
図12】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、最終的な治療混合物を形成する複数のソースガスは、リザーバの近位端に注入する前に混合される。図12は二重逆止弁「tee」と組み合わせて顔面マスクを使用する実施形態を示しており、teeは、吸入および吐き出したガスを導く吸入および吐出逆止弁を組み込んでいる。
図13】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、最終的な治療混合物を形成する複数のソースガスは、リザーバの近位端に注入する前に混合される。図12と類似しているが、ノーズマスクで代替的に構成されており、吐き出す努力を減少させるために患者が口で任意に息を吐き出すことができるようにしている。
図14】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、最終的な治療混合物を形成する複数のソースガスは、リザーバの近位端に注入する前に混合される。図12と類似しているが、マウスピースで代替的に構成されており、吐き出す努力を減少させるために患者が鼻で任意に息を吐き出すことができるようにしている。
図15】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、吸入および吐出逆止弁を備えたフェイスマスクの変形形態が、注入ポートを備えたリザーバから供給され、前述の注入ポートは、酸素が豊富な空気の定常流の供給源とNOの定常流の供給源の組み合わせが与えられている。
図16】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、1つ以上の治療ガスが1つ以上の希釈ガスと混合され、これらの混合ガスはリザーバに注入される前に混合領域で合流する。
図17】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、複数の流入ガス流を混合して、リザーバに注入された治療ガス混合物全体を作出し、個々のガス流は、単一のユニットを含む流量計量システムにより生成される。
図18】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、2つの流入する定常ガス流を混合して、リザーバに注入された治療ガス混合物全体を作出し、第1の定常ガス流は、豊富な酸素と空気の混合器によって生成され、第2の定常流は、NO流量計量装置によって生成される。
図19】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、複数の流入する定常ガス流が、リザーバの近位端に別々に注入される。
図20】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、図5(a)に示す構成が、吸入および吐出逆止弁の間に、患者が吸入および吐き出したガスをサンプリングする手段を提供するサンプルポートを追加することによって、修正されている。
図21】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、少なくとも1つのリザーバチューブが、遠位端に流量計をさらに備えるように構成され、前述の流量計は、流量および少なくとも1つのリザーバ内の流れの方向に反応する。
図22】本発明のいくつかの実施形態によるガス送達システムを示しており、リザーバは、平均注入流量要件を決定するように構成された治療ガス送達システムの一部として機能するように構成され、平均注入流量要件は、少なくとも1つの患者呼吸期間の時間枠に亘りリザーバ内のガス流から決定され、平均注入流量要件は、少なくとも1つの治療ガスの平均注入流量を定期的に調整するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
限定ではなく、開示を明確にするために、本発明の詳細な説明は、本発明の特定の特徴、実施形態または用途を記載または説明する以下のサブセクションに分けられる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの治療ガスを自発呼吸患者に送達するシステムを提供し、少なくとも1つの治療ガスの平均送達速度が患者の平均吸気流量を満たすか超える。いくつかの実施形態では、無駄になる少なくとも1つの治療ガスの量は、最小限にされるかなくされる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムであって、
a.近位端および遠位端を有する少なくとも1つのリザーバチューブであって、患者の1回換気量よりも大きな容積を有する、少なくとも1つのリザーバチューブと、
b.少なくとも1つのリザーバチューブの近位端にある少なくとも1つの治療ガス注入口であって、送達チューブが少なくとも1つの治療ガス注入口および少なくとも1つの治療ガス供給源に接続される、少なくとも1つの治療ガス注入口と、
c.逆止弁を介して少なくとも1つのリザーバチューブの近位端に流体的に接続された患者インターフェイスと
を備え、
患者インターフェイスは、患者とシステムとの間に気密シールを形成するように構成され、
逆止弁の吸入側は、患者が吐き出しているときに閉じられるように構成され、
少なくとも1つの治療ガスは、患者の時間で平均させた吸入流量(患者の毎分換気量)よりも大きい時間で平均させた流量で、少なくとも1つの治療ガス注入口を通って近位端の少なくとも1つのリザーバチューブに導入され、少なくとも1つの治療ガスは、患者が吐き出している間に、近位端から遠位端に少なくとも1つのリザーバチューブに沿って流れ、
患者が吐き出している間に少なくとも1つのリザーバチューブに導入される少なくとも1つの治療ガスの体積が、患者の吸入する1回換気量よりも多く、
吸入逆止弁は、患者が吸入しているときに開くよう構成され、
吸入逆止弁は、少なくとも1つの治療ガスが患者に投与されることを可能にするように構成されているシステムを提供する。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバは、治療ガスが近位端と遠位端との間を流れ、瞬間的な患者の吸気の流れよりも交互に高くなったり低くなったりする定常注入流として流れるように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバは、長手方向の流れ方向に実質的に混合することなく治療ガスを移動させるように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、リザーバの流路は、典型的には、形状を有する断面を有することができ、形状は、非限定的に、円形、楕円形、八角形、正方形、長方形、六角形などであり得る。
【0026】
本明細書で定義される以下の記号を図面に示している:
【数1】

【数2】

で、「n」個の可能な構成要素の1つが、それぞれ下付き文字「x」で示され、
【数3】
【0027】
図1は、患者の典型的な吸入サイクル中の肺内部の典型的な空気量を描写するグラフを示す。1回換気量は、例えば、患者の年齢、患者の健康状態、患者の体格などの要因によって変動する可能性がある。本明細書で使用される場合、「1回換気量」は、余分な努力が適用されない場合に、通常の吸気と呼気との間で移動される空気の通常量を表す肺容量を示す。したがって、1回換気量は、通常の緩やかな吸入が終わるまでに取り込まれる最大量である。非限定的な例として、健康で若いヒトの成人では、1回換気量は吸気あたり約500mLまたは体重7mL/kgである。これに対応して、「毎分換気量」

とは、1分あたりの呼吸回数×1分あたりの1回換気量に相当する、毎分の総呼吸量を示す。例えば、500mLの1回換気量を呼吸し、1分間に20回呼吸する患者は、10LPM(=20/分×500mL)の

を有する。
【0028】
図2は、患者の典型的な呼吸サイクル中の本発明のいくつかの実施形態による装置の動作を示す。図2のパネルa)において、患者が呼気しており、「吸入逆止弁」と表示された逆止弁が閉じられ、患者によって吐き出されたガスが少なくとも1つのリザーバチューブに入るのを防止する。代わりに、患者によって吐き出されたガスは、「吐出逆止弁」と表示された逆止弁を介してシステムから排出される。少なくとも1つの治療ガスは、少なくとも1つのリザーバチューブの近位端の吸入逆止弁のリザーバ側に位置する入口ポートを介してシステムに入り、中立の圧力、この場合は周囲の室内空気に開放される少なくとも1つのリザーバチューブの遠位端に向かって流れる。
【0029】
図2のパネルb)において、患者は吸入しており、「吸入逆止弁」と表示された逆止弁が開いており、少なくとも1つのリザーバチューブ内の少なくとも1つの治療ガス、また同時にシステムに入る少なくとも1つの治療ガスが、速度

で、入口ポートを介して患者の気道に入ることが可能になる。「吐出逆止弁」と表示された逆止弁は閉じられ、患者が周囲空気を吸い込まないようにする。患者が吸入すると、中立の圧力の周囲空気が吸入され、少なくとも1つのリザーバチューブの遠位端に入る。しかし、少なくとも1つのリザーバチューブは、入ってくる周囲空気が、リザーバチューブ内に存在する少なくとも1つの治療ガスと不当に混合し希釈することを防止するように構成される。
【0030】
図2のパネルc)において、患者は吸入サイクルの終わり近くであり、「吸入逆止弁」と表示された逆止弁は依然少なくとも部分的に開いており、少なくとも1つのリザーバチューブ内の少なくとも1つの治療ガスが、患者の肺に入るために入口ポートを介してシステムに入る。「吐出逆止弁」と表示された逆止弁は閉じており、依然として患者が周囲空気を吸い込まないようにしている。しかし、少なくとも1つのリザーバチューブの近位端に残っている少量の少なくとも1つの治療ガスが依然として存在する。患者の呼吸サイクルのこの時点で、まさに吸入段階が終了し、吐出段階がまさに始まろうとする。
【0031】
図2のパネルd)において、患者が吐き出しに移行し、「吸入逆止弁」と表示された逆止弁が閉じられ、患者の肺から吐き出されたガスが少なくとも1つのリザーバチューブに入るのを防止する。代わりに、患者によって吐き出されたガスは、少なくとも1つの治療ガスの排出成分を含有し、「吐出逆止弁」と表示された逆止弁を介してシステムから排出される。呼気の間に、少なくとも1つの治療ガスは、前述の入口ポートを介してシステムに継続して入り、少なくとも1つの治療ガスが、患者の次の呼吸に備えて少なくとも1つのリザーバチューブを再充填し、再充填の作用は、少なくとも1つのリザーバチューブの近位端から中立の圧力の遠位端に向かって進んでいく。流入する新鮮な少なくとも1つの治療ガスは、残りの残留治療ガス、および最後の吸入サイクルから少なくとも1つのリザーバチューブの遠位端に向かう残りの周囲空気を移動させ、それらが少なくとも1つのリザーバチューブから空になるようにする。いくつかの実施形態では、吸入逆止弁が閉じているときに、少なくとも1つのリザーバチューブが同時に補充される。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、患者に安全機構を提供するように構成されており、安全機構は、治療ガスのシステムへの流入が本発明のいくつかの実施形態に従って中断された場合に、患者が周囲空気を呼吸できるように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、リザーバチューブは、その断面を描く形状の周囲に沿ってではなく、長手方向(例えば、ホースの2つの端部)に対して「開口している」。いくつかの実施形態では、流路は、空気がリザーバの側面に沿って入ることを可能にする「U」字形または他の開いた側面形状ではない。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは、少なくとも2つのガスの混合物であり、少なくとも2つのガスの混合物は、本発明のいくつかの実施形態によるシステムを使用して患者によって吸入される。
【0035】
したがって、図2A図2Dに示されるいくつかの実施形態では、瞬間振幅

を有する患者によって吸入される治療ガスは、新たに供給される治療ガスの様々な部分

および吸入の準備において少なくとも1つのリザーバチューブの全長に沿って蓄えられたばかりの治療ガスを含み、これは、

の瞬間振幅は、注入された少なくとも1つの治療ガス流量

を、典型的には2~5の範囲(ただし特にこれらの値に限定されない)で顕著に超えることができるからである。しかし、リザーバに貯蔵された治療ガスおよび新たに供給される治療ガスは等しい組成を有するので、2つの混合物はいずれも類似した組成のガスとなる。したがって、患者によって吸入される治療ガスは、各吸入サイクルを通じて一貫した組成を有し、これはまた、最初に注入された治療ガスの組成と実質的に同じである。
【0036】
いくつかの実施形態で、

が、少なくとも1つのリザーバチューブの遠位端からの少なくとも1つの治療ガスのわずかな正味の流出を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、正味の流出は、少なくとも1つのリザーバチューブからの少なくとも1つの治療ガスの先行する吸入後に残っている「最も古い」残留ガス充填物を排出して、少なくとも1つのリザーバチューブ内の例えばNO2などの毒性汚染物質の潜在的な蓄積を低減または排除するように作用する。さらに、少なくとも1つのリザーバチューブに1つの呼吸から次の呼吸を勢いよく流す傾向がある正味の流出を伴いながら、患者は、少なくとも1つの治療ガスの実質的に一貫した濃度で呼吸する。この状況では、予想される総毎分換気量

(患者の呼吸の必要分を供給するため)に合計毎分換気量の3%~10%のようないくらかのマージンを加えて供給することによって、わずかな正味の流出が導入され、所望のわずかな正味の流出が勢いよく流れるようにする。いくつかの実施形態では、測定された濃度は、初期始動設定の数パーセント内で安定し、理想的な160ppm濃度の5%以内である。いくつかの実施形態では、処理中濃度を評価するために使用される流量計およびガス分析器の較正の精度が、開示された濃度の値では約+/-3%であったことから、測定値は、30分の治療の過程でそれ自体に関して濃度が変わる程度になる。いくつかの実施形態では、治療は30分の間に全体で約3%変動した。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によるシステムは、特定の患者インターフェイスを使用して、患者の気道の構成に従って少なくとも1つの治療ガスを患者に送達するように適合される。例えば、いくつかの実施形態では、患者は鼻で吸入し口で吐くが、他の実施形態では、患者は口で吸入し、鼻で吐く。また、例えば、患者は、口または鼻のいずれか単独で吸入および吐くことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、患者は、1つの気道開口部を通して吸入し、異なる気道開口部で吐くように訓練される。例えば、患者は口で吸入し、鼻で吐き出すように訓練されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、患者インターフェイスは、患者とシステムとの間に気密シールを形成する。
【0040】
いくつかの実施形態では、患者インターフェイスは、非限定的にフルフェイスマスク、ノーズマスク、マウスピース、およびピローシール鼻カニューレからなる群から選択される患者インターフェイスである。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、抗窒息性の特徴を提供するように構成され、抗窒息性の特徴は、中立圧力通気性雰囲気に置かれた少なくとも1つのリザーバチューブの開いている遠位端を含む。いくつかの実施形態では、システムの少なくとも1つの治療ガスがシステムへの進入を停止する場合、システムは、患者が周囲空気を吸入できるように構成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、リザーバ内の少なくとも1つの治療ガスを前後に移動させるように構成され、例えば、著しく縦方向に混合することなく、リザーバチューブ内でガスを前後に往復させる、「最初に入って最後に出る」というものが挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、患者インターフェイスは、患者によって定位置に保持される。あるいは、いくつかの実施形態では、患者インターフェイスは、例えば、患者の頭の上に配置された弾性ストラップを介して、患者に取り付けられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、滑らかな内面を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、荒い内面を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、その全長に沿って均一な断面を有する。
【0046】
一例において、図3を参照すると、いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムであって、
a.近位端および遠位端を有する少なくとも1つのリザーバチューブであって、患者の1回換気量よりも大きな容積を有する、少なくとも1つのリザーバチューブと、
b.少なくとも1つのリザーバチューブの近位端にある少なくとも1つの治療ガス注入口であって、送達チューブが少なくとも1つの治療ガス注入口および少なくとも1つの治療ガス供給源に接続される、少なくとも1つの治療ガス注入口と、
c.逆止弁を介して少なくとも1つのリザーバチューブの近位端に流体的に接続された患者インターフェイスと
を備え、
患者インターフェイスは、患者とシステムとの間に気密シールを形成するように構成され、
患者インターフェイスは、患者が唇をすぼめたとき気密シールを形成するように構成されたマウスピースであり、
吸入逆止弁は、患者が吐き出しているときに閉じられるように構成され、
少なくとも1つの治療ガスは、患者の毎分換気量よりも大きい率で、少なくとも1つの治療ガス注入口を通って近位端の少なくとも1つのリザーバチューブに導入され、少なくとも1つの治療ガスは、患者が吐き出している間に、近位端から遠位端に少なくとも1つのリザーバチューブに沿って流れ、
逆止弁は、患者が吸入しているときに開くよう構成され、少なくとも1つの治療ガスが患者に投与されることを可能にするように構成されているシステムを提供する。
【0047】
さらに、図3では、逆止弁は取り外してもよく、システムは、患者が口から呼吸し、鼻で吐くことができるように構成されている。したがって、この例示的な実施形態では、患者は吸入逆止弁機能に影響を与える。
【0048】
別の例では、図4を参照すると、一例において、いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムであって、
a.近位端および遠位端を有する少なくとも1つのリザーバチューブであって、患者の1回換気量よりも大きな容積を有する、少なくとも1つのリザーバチューブと、
b.少なくとも1つのリザーバチューブの近位端にある少なくとも1つの治療ガス注入口であって、送達チューブが少なくとも1つの治療ガス注入口および少なくとも1つの治療ガス供給源に接続される、少なくとも1つの治療ガス注入口と、
c.逆止弁を介して少なくとも1つのリザーバチューブの近位端に流体的に接続された患者インターフェイスと
を備え、
患者インターフェイスは、患者とシステムとの間に気密シールを形成するように構成され、
患者インターフェイスは、患者の鼻の上に配置されたとき気密シールを形成するように構成されたノーズマスクであり、
逆止弁は、患者が吐き出しているときに閉じられるように構成され、
少なくとも1つの治療ガスは、患者の毎分換気量よりも大きい率で、少なくとも1つの治療ガス注入口を通って近位端の少なくとも1つのリザーバチューブに導入され、少なくとも1つの治療ガスは、患者が吐き出している間に、近位端から遠位端に少なくとも1つのリザーバチューブに沿って流れ、
逆止弁は、患者が吸入しているときに開くよう構成され、少なくとも1つの治療ガスが患者に投与されることを可能にするように構成されているシステムを提供する。
【0049】
別の例では、図5Aを参照すると、いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムであって、
a.近位端および遠位端を有する少なくとも1つのリザーバチューブであって、患者の1回換気量よりも大きな容積を有する、少なくとも1つのリザーバチューブと、
b.少なくとも1つのリザーバチューブの近位端にある少なくとも1つの治療ガス注入口であって、送達チューブが少なくとも1つの治療ガス注入口および少なくとも1つの治療ガス供給源に接続される、少なくとも1つの治療ガス注入口と、
c.第1の逆止弁を介して少なくとも1つのリザーバチューブの近位端に流体的に接続された患者インターフェイスと
を備え、
患者インターフェイスは、患者とシステムとの間に気密シールを形成するように構成され、
患者インターフェイスは、患者の口および鼻を覆い、患者の鼻および口の上に配置されたとき気密シールを形成するように構成されたフェイスマスクであり、
第1の逆止弁は、患者が吐き出しているときに閉じるよう構成され、
少なくとも1つの治療ガスは、患者の毎分換気量よりも大きな率で少なくとも1つの治療ガス注入口を通って近位端の少なくとも1つのリザーバチューブに導入され、少なくとも1つの治療ガスは、患者が吐き出している間、少なくとも1つのリザーバチューブに沿って、近位端から遠位端へと流れ、
患者が吐き出している間に少なくとも1つのリザーバチューブに導入される少なくとも1つの治療ガスの容積が、患者の1回換気量よりも多く、
第1の逆止弁は、患者が吸入しているときに開き、少なくとも1つの治療ガスが患者に投与されるよう構成され、
患者インターフェイスは、第2の逆止弁をさらに備えて構成され、
第2の逆止弁は、患者が吸入しているときに閉じられ、患者が吐き出しているときに開くように構成され、
第2の逆止弁は、患者によって吐き出されたガスがシステムを出ることを可能にするシステムを提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、例えば図5bに示すように、マウスピースを介して少なくとも1つの治療ガスまたは少なくとも1つの診断ガスを送達するように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、呼吸の吸入部の間に、自発呼吸患者に、他の希釈性の呼吸可能なガスと組み合わせて、診断ガスまたは治療ガスのほぼ一定の混合物を送達するように構成され、
最終混合物の一部である各構成ソースガスの流れは、最終吸入混合物の所望の最終濃度に適した一定の速度に設定することができ、
このようなソースガスは、1つ以上の接合部に個別にまたは共同して注入し、最終的にリザーバの近位端に注ぎ込み、リザーバは、患者の吸入に必要ではない流入用の一時的な貯蔵場を提供し、係るリザーバは、長手方向の流れ方向に不当に混合することなく、リザーバの全長に沿ってガスを効果的に往復させる、高次の長さ対断面アスペクト比を有し、
リザーバの近位端を患者の気道に取り付ける手段であって、患者がリザーバの近位端と注入されたソースガスの収束から自由に吸入できるが、任意の患者の呼気がリザーバに逆流することが防止され、
前述の伝導性のリザーバの遠位端は、実質的に清浄な呼吸可能な空気が存在する中立圧力領域に開口している。
【0052】
いくつかの実施形態では、コンスタントな個々のソース率流の合計は、時間で平均させた患者の吸入流を超えており、したがって、正味の流出をするガスが、リザーバの遠位端に存在している。この超過分は
【数4】

のように公式に示されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、リザーバの遠位端におけるガスの正味の流出または流入をモニタして、周囲空気が患者によって通例吸入されないことを確実にし、この場合、
【数5】

として公式に示される。この場合にも、最小量の少なくとも1つの治療ガスが患者の治療を行うために必要とされるが、少なくとも1つのリザーバチューブの開口している遠位端は、抗窒息特性を保っている。
【0054】
いくつかの実施形態では、リザーバの容積は、患者の典型的な1回換気量よりわずかに大きい。
【0055】
いくつかの実施形態では、コンスタントな個々のソース率流の合計は、時間で平均させた患者の吸入流を超えており、したがって、正味の流出をするガスが、リザーバの遠位端に存在している。
【0056】
いくつかの実施形態では、コンスタントな個々のソース率流の合計は、時間で平均させた患者の吸入流をわずかな割合で超えており、したがって、正味の流出をするガスが、より古いガスのリザーバを流すべきリザーバの遠位端に存在している。
【0057】
いくつかの実施形態では、リザーバの遠位端におけるガスの正味の流出または流入は、流量計によってモニタされる。
【0058】
いくつかの実施形態では、治療または診断ソースガスは、効果的な患者送達のために必要とされる濃度よりも高い濃度の一酸化窒素を含有し、係るガスは、希釈ガスで希釈して、400ppm~0.5ppmの間の選択された一定濃度で装置によって送達され、残部は空気または空気であり、酸素が豊富である。
【0059】
いくつかの実施形態では、同じ患者が吸入している間に2つ以上の標的ガスの一定濃度を達成するために、2つ以上のタイプの治療または診断ガスを追加の注入点を介して混合する。
【0060】
いくつかの実施形態では、吐き出した患者の呼吸が少なくとも1つのリザーバチューブへ逆流するのを防止する手段は、患者の気道と、リザーバチューブの結合された近位の出口と、ソースガス注入点との間に配置された指向性の流れ逆止弁によって、与えられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、患者の呼気をリザーバに逆流させることを防止する手段は、患者が呼吸パターンを訓練することを伴い、この場合は交互に口と鼻の一方のみで呼吸し、他方では行わず、次いで交互に口と鼻の一方のみで呼吸し、やはり他方では行わない。
【0062】
いくつかの実施形態では、リザーバは、患者の1回換気量に等しいかそれを超える十分な体積を有する単一の長い流路から形成されるが、同時に低い呼吸努力をもたらすのに十分な断面を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、リザーバは、少なくとも1つのリザーバチューブに蓄えられているガスが、患者の吸入の終了前に使い果たされないように、十分な注入流量

が、患者の吸入中に、必要な

の流れを十分に供給するように提供されている場合のみ、患者の1回換気量よりも小規模でもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、リザーバは、各々が個々に高次の長さ対断面の広がりアスペクトを呈する複数の平行な流路から形成されており、各個別の流路は、任意のガスを往復させてガスの長手方向の混合を抑制する様式で流路を流すが、並列アンサンブルが、患者の1回換気量に等しいかそれを超えるのに十分な総体積を提供するようにする。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明は、治療ガスまたは診断ガスおよび希釈ガスを含むガスの通気性混合物を提供するように構成された送達装置であり、自発呼吸患者が吸入している間一定割合の成分が望ましい場合のものであり、治療または診断ソースガスおよび希釈ガスの1つ以上の定常流の供給源が、リザーバの近位端に位置する1つまたは複数の隣接するガスポートに注入し、
リザーバは、それらの断面の広がりと比較して長い1つまたは複数の平行な流路から形成され、
リザーバの遠位端は、周囲圧力の通気性ガスの供給源に開いており、
リザーバの正味容積は患者の吸入する1回換気量以上であり、
治療ガスおよび希釈ガスのすべての注入された流れの合計は、患者の毎分体積流量以上であり、
リザーバの近位端およびガス注入ポートは、気密シールによって患者の気道に接続する導管に接続される。
【0066】
いくつかの実施形態では、患者の気道は、リザーバの近位端およびガス注入点から方向性逆止弁によって隔てられる。
【0067】
いくつかの実施形態では、患者の毎分換気量を超えるいかなる注入された流れも、制限なしにリザーバの遠位端から排出される。
【0068】
いくつかの実施形態では、注入される一定のガス流のうちの1つは、固定の比率の一酸化窒素を運び、注入される流れの前述の一酸化窒素は、患者の治療に必要とされる濃度よりも高い濃度であり、患者の治療のために最終的に混合される一酸化窒素は、400ppm~0.5ppmの範囲で調節可能で、希釈バランスの空気または酸素富化空気で送達される。
【0069】
いくつかの実施形態では、診断ガスは、ヘリウム、水素、六フッ化硫黄、一酸化炭素またはそれらの組み合わせを含むがこれに限定されないトレーサーガスを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、装置は、患者の呼気を排出するために、外向きの流れ逆止弁を備えたフローポートを備えている。
【0071】
いくつかの実施形態では、リザーバの遠位端には、リザーバの遠位端を出入りするガスの正味の流れを評価することができる流量モニタが備え付けられている。いくつかの実施形態では、遠位の流れ評価は、自動的に、または手動で、またはそれらの任意の組み合わせで実行することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、少なくとも1つのアラーム、少なくとも1つのモニタ、またはそれらの任意の組み合わせ、例えば非限定的に構成ガス流量、ガス濃度、総流量、総容量、汚染レベル、湿度、温度、時間、またはそれらの任意の組み合わせに関連するものをさらに含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのモニタは、個々のコンスタントなソース率流の合計が時間で平均させた患者吸入流を超えない場合、リザーバの遠位端におけるガスの正味の流出または流入が、患者による周囲空気の吸入を可能にする場合、リザーバの容積部が患者による典型的な吸入の過程で枯渇した場合、個々のコンスタントなソース率流の合計が、時間で平均させた患者吸入流をわずかな割合超えるものではない場合、固定濃度が意図された治療の一部として設定された所定の範囲内にない場合、患者の呼吸の逆流が検出された場合、治療の合計持続時間が規定の時間よりも所定の時間だけ短いか長い場合、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つが満たされている場合、少なくとも1つのエンティティ(例えば、限定されるものではないが、介護者(例えば、非限定的に、医者、看護婦、親など)、医療提供者、精通した患者)に、通知するように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアラームは、少なくとも1つのモニタが本明細書に記載された条件の少なくとも1つを識別しているのであれば、少なくとも1つのエンティティ(例えば、介護者、医療提供者など)に警告するように構成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、単一の対象を治療するために使用したり、複数の対象のために順番に再使用したりすることができる。いくつかの実施形態では、治療は、病院環境内または病院環境外(例えば、家庭、空港、モール、公衆衛生クリニック、隔離施設などであるが、これに限定されない)を利用し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、吐き出されたガスを分析、排出、廃棄または汚染除去領域に搬送するために、図6に示すように排気集合管が必要とされることがある。
【0076】
いくつかの実施形態では、吐き出されたガスの組成を分析して、治療または診断トレーサーガスの成分、あるいは治療ガスの残留成分の患者の摂取を評価することができる。いくつかの実施形態では、吐き出されたガスは、環境に入る前に処置を必要とする汚染物質を含むことがある。例えば、吐き出された残留成分および汚染物質は、吸収されなかったNO、NOの副生成物として生成されたNO2、感染性微粒子、または放射性物質などのガスを含み得る。
【0077】
少なくとも1つのリザーバチューブ
ヒト患者の典型的な1回換気量は、3ml/kg(例えば、非限定に小児)から5ml/kg(例えば、非限定に、成人)の体重に及ぶ。いくつかの実施形態では、ヒト患者の典型的な1回換気量は、50mL(例えば、非限定に小児)から750mL(例えば、非限定に、成人)に及ぶ。
【0078】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、患者の吸入中に流れを支持するのに十分な量の少なくとも1つの治療ガスを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスの十分な体積は、患者の1回換気量に等しい。いくつかの実施形態では、十分な体積は、患者の1回換気量の100%+x%に等しく、ここで、x%は、1回換気量の一部(例えば10%に限定されない)であり、したがって、その場合のリザーバは、その患者の1回換気量の110%を格納するような大きさになる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブの長さ、したがって容積は、特定の患者の特性に合うように調整されることが意図される。いくつかの実施形態では、注入された流れは、特定の患者の特性に合うように調整されることが意図される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブ体積と、注入された流量

との両方が、特定の患者の特性に合うように調整されることが意図される。
【0079】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、滑らかな内壁表面および高次の長さ対断面の広がりの比を有するチューブを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、十分に丸いアスペクトおよび同等の内径を有し、同等の直径は、リザーバの長さのわずかな部分である(例えば、これに限定されないが、リザーバの長さの0.5%~5%)。
【0080】
したがって、例として、内径19mmの少なくとも1つのリザーバチューブを使用する、500mLの1回換気量を有する100kgの患者については、550mLを保持する少なくとも1つのリザーバチューブの長さ(例えば、1回換気量より10%多いマージンのリザーバ体積)は、以下のように計算することができる。
【表1】

【数6】
【0081】
したがって、内径19mmの1.76メートルのリザーバチューブにより、500mLのリザーバの内部容積が得られる。10%のマージンの体積を作るには、長さを1.94メートルに増やす必要がある(そうすると、リザーバが550mLに増える)。
【0082】
いくつかの実施形態では、並列に動作する複数のチューブがリザーバを形成することができ、十分な容量の少なくとも1つの治療ガスを依然として保持しながら、全長をより短くし得る。これらの平行なチューブの配列は、2つの平行なチューブを含むことができ、またはより小さな直径の平行な多数のチューブに延びることができる。これらの実施形態の例を図7~9に示す。これらの例では、それ自体の右側の各チューブは、高次の長さ対断面の広がりの比を示し、アセンブリは一般に短くなる。
【0083】
したがって、例として、500mlの1回換気量を有し、総リザーバ体積Vが510mL(例えば、これは1回換気量に対して2%のマージンを表す)で構成される19mmの内径を有する少なくとも1つのリザーバチューブを使用する100kgの患者について、複数のリザーバチューブを使用できる場合、リザーバの構成は以下のように決定することができる。
【0084】
チューブの長さは、使用されるチューブの数と、各チューブの内径の関数である。例えば、510mLの所望のリザーバ容積Vで、類似の丸いチューブの数Nが30であり、各々が6mmの内径Dtubeを選択した後、各小チューブの長さは:
【数7】

【数8】

と決定される。
【0085】
このようにして、図9に示すような「ストローの束」構成を構成することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、十分な量の少なくとも1つの治療ガスが少なくとも1つのリザーバチューブに導入される速度は、患者の呼吸サイクルの吐き出し段階中に十分な量を導入するように構成される。いくつかの実施形態では、十分な量の少なくとも1つの治療ガスが少なくとも1つのリザーバチューブに導入される速度は、患者が1分30回呼吸するときに約2秒間十分な量を導入するように構成される。
【0087】
いくつかの実施形態では、リザーバの容積は、患者の呼気の1回換気量と等しいかまたは軽く超える(例えば、最大10%まで)ものなければならない。いくつかの実施形態では、入ってくる治療ガス流量の合計は、患者の体積と等しいか軽く超えるものでなければならない。例示的な実施形態では、患者の呼吸パターンを利用して、本発明のシステムを誘導しており、その場合、患者が500mLの1回換気量を有し、患者が毎分30回呼吸し、リザーバ体積が510mLである。したがって、患者の毎分換気量

は、(500mL/呼吸×30呼吸/分)、または15リットル/分(LPM)に等しい。したがって、

は、わずかに増加した(510mL×30呼吸/分)または15.3LPMのレベルに設定するべきである。
【0088】
少なくとも1つの治療ガスの少なくとも1つのリザーバチューブへの導入は、乱流を誘発しないが、リザーバの全長に沿うガスのバルク流を誘発する速度で行われるべきである。いくつかの実施形態では、ガスの導入は、少なくとも1つの治療ガスの流れが層流である速度で行われる。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブの内部断面の広がりおよび/または少なくとも1つのリザーバチューブの内面テクスチャは、少なくとも1つの治療ガスの流れが、リザーバの全長に沿う層であり続けられるよう選択する。
【0089】
例えば、例として、レイノルズ数は、ガスの流れの層状または乱流性の指標である。2,300未満のレイノルズ数は層流であると考えられる。配管またはチューブ内の流れの場合、レイノルズ数Reは一般に次のように定義される。
【数9】

ただし、
【表2】
【0090】
したがって、この例示的な実施形態では、19mmのリザーバチューブおよびリザーバチューブ内の16LPMの想定流量(前の

から切り上げ)は、リザーバ充填中に次の結果をもたらす:
【数10】
【0091】
したがって、この例では、16LPMのリザーバ充填率を有すると、層流状態でRe値が得られる。いくつかの実施形態では、吸入段階中の少なくとも1つのリザーバチューブ内の少なくとも1つの治療ガスの流れは、まだ層状である。例として、約40LPMのピーク吸気流量(約0.75秒で500mLを取り込み、図1の周期的な流れパターンを参照する)で、前の例と同様の計算に従って患者が呼吸すると仮定すると、吸入の間リザーバへの要求は約24LPMとなる(すなわち、40LPMから16LPMを減じた吸入流が治療ガスの注入流によって直接供給される)。したがって、誘起されたリザーバ流量は約1730のレイノルズ数に関係し、これはまだ層流であると考えられる範囲内にある。
【0092】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブがコイル状にされる。コイル状チューブの内部の流れは、直線状チューブの場合よりも、同等のRe値の高い流れで粘性領域にとどまる傾向がある。曲率誘起らせん渦(Dean渦)は、乱流の開始と層流からの遷移の遅延を抑制する傾向がある。層流から乱流への遷移を記す臨界レイノルズ数Recrは、
【数11】

で計算できるが、ここで
【表3】
【0093】
コイル状をした少なくとも1つのリザーバチューブを有する本発明のシステムの実施形態の例を図10に示す。
【0094】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブの流量および流れ方向をモニタして、リザーバの動作を評価することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、例えば図21に示すように、遠位端に流量計をさらに備える。
【0096】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、図21の流量計を再配置することによって、少なくとも1つのリザーバチューブの近位端を通るガスの流れをモニタするようにさらに構成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、例えばサンプリングポートとラインを介して図10図20に示しているように、患者に少なくとも1つの治療ガスを投与するように構成されたシステムに導入された少なくとも1つの治療ガスをモニタするように、さらに構成される。
【0098】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、近位端にサンプリングポートをさらに備える。
【0099】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、少なくとも1つの治療ガスの濃度の任意の1つのモニタされた値、または流量が、閾値から逸脱する場合に、警告を発するようにさらに構成される。
【0100】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムは、少なくとも1つの治療ガスの構成ガスの濃度の任意の1つのモニタされた値、または流量が、閾値を超えて逸脱する場合に、少なくとも1つの治療ガスの流量および/または濃度を変更するようにさらに構成される。
【0101】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブの近位端は、2つ以上の入口ポートを有する。いくつかの実施形態では、治療ガスを1つの入口ポートを介してシステムに導入し、希釈ガスを第2の入口ポートを介してシステムに導入することができる。いくつかの実施形態では、治療ガスおよび希釈ガスは、システムに導入する前に混合してもよい。図11図17は、治療ガスと希釈ガスとがシステムに導入される前に混合される実施形態を示す。図18図20は、治療ガスと希釈ガスとがシステムに導入される前に混合される実施形態を示す。図21は、少なくとも1つのリザーバチューブが、遠位端に流量計を備えるようにさらに構成されている実施形態を示す。
【0102】
図22は、本発明のいくつかの実施形態で説明したようなリザーバ装置を示しており、リザーバは、
注入された平均流量要件を周期的に判定し、
この場合係る周期的な決定は、リザーバ内の平均的な流れおよび流れの方向に応答する流量計から得られる流量測定信号に基づいており、
流量要件の判定が、1呼吸より長いが30呼吸よりも短い時間フレームで実行され、
注入された治療ガスの総流量が、決定されたばかりの平均注入流量要件のパターンに基づいて周期的に調整され、その調整は同時に実行されて個々の構成ガス流率を所定の固定の比率に維持し、リザーバの正味の流出は、平均的に一般に放出方向に維持され、その結果、リザーバは、新鮮な治療ガスで定期的に勢いよく流れる、
ことが可能な治療ガス送達システムの一部として機能するように構成されている。いくつかの実施形態では、本発明のシステムのいくつかの実施形態は、個々の呼吸サイクル中に流れを中断または調整する必要なく、患者の呼吸リズムにおけるより長期の変動に応答する。いくつかの実施形態では、流れの調整は、システムオペレータ(例えば、これに限定されるものではないが、当技術分野で知られているアナログ、デジタルまたは計算手段を介してこの機能を実装する自動化装置)によって実行される。いくつかの実施形態では、システムは、リザーバの流出をモニタし、患者の呼吸パターンの自然な変化に応答することによって、注入される治療ガスの総流量を調整するように構成される。
【0103】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、吸入、吐き出しのいずれか、または吸入と吐き出し双方のために患者が必要とする努力を最小限にするようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブの直径は、吸入、吐き出しのいずれか、または吸入と吐き出し双方のために患者が必要とする努力を最小限にするように構成されている。
【0104】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、患者が吸うのに必要とする努力を最小限にするようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、排気ポートの直径およびリザーバチューブの直径は、患者が吐き出すのに必要な努力を最小限にするように構成されている。
【0105】
少なくとも1つの治療ガス
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは、酸素、一酸化窒素、一酸化炭素、および亜酸化窒素からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは、エアロゾル化粒子、微粒子、ナノ粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含み、エアロゾル化粒子、微粒子、ナノ粒子、またはそれらの任意の組み合わせは、治療要求と一致する期間、典型的に、また非限定的に少なくとも1日、エアロゾル懸濁で安定している。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、スクラブ要素(例えば、非限定的にヘリウムガス、NO、酸素を含む治療ガスの一部を除去するように構成された機構)を備えていない。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、スクラブ要素(例えば、非限定的に診断ガス、例えばトレーサーガスを含む治療ガスの一部を除去するように構成された機構)を備えている。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、初期流量が確立された後に治療ガスが患者へ流れるのを調節、抑制、制御するため、またはそれらの任意の組み合わせのために使用する機構を含まない。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、初期流量が確立された後に治療ガスが患者へ流れるのを調節、抑制、制御するため、またはそれらの任意の組み合わせのために使用する機構を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは、本発明のシステムに導入される前に希釈される。しかし、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは、本発明のシステムに導入されると希釈される。
【0111】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを希釈するために使用されるガスは、酸素を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを希釈するために使用されるガスは、酸素、および窒素などの不活性ガスを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスを希釈するために使用されるガスは圧縮空気である。
【0112】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスは、補給酸素とともに投与される。
【0113】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療ガスおよび少なくとも1つの治療ガスを希釈するために使用されるガスは、圧縮ガスボンベに格納される。いくつかの実施形態では、ガスは、限定されるものではないが、ローターメーター、マスフローメーターおよび容積式ポンプなどの当技術分野で知られているガスフロー制御装置を使用して分配される。
【0114】
いくつかの実施形態では、治療ガスはガスの混合物であり、治療ガスは呼吸可能な空気と混合される。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、患者の気道と吸入逆止弁との間での患者の接続における「デッドボリューム」を減少させ、それによってNO2の形成の可能性を低減するようにさらに構成される。
【0116】
いくつかの実施形態では、一酸化窒素は、医療グレードの医薬ガスを含むシリンダーに貯蔵され、シリンダーから分配される。
【0117】
いくつかの実施形態において、患者は、米国特許出願公開第2015/0044305号に開示された方法を介して、本発明のシステムを用いて治療される。いくつかの実施形態では、治療方法は、バイタルサイン、メトヘモグロビンレベル、肺機能パラメータ、血液化学および血液学的パラメータ、血液凝固パラメータ、炎症マーカーレベル、肝臓および腎臓機能パラメータ、および血管内皮活性化パラメータなどのオンサイトおよびオフサイトのパラメータの1つ以上をモニタするステップをさらに含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、患者は、国際公開第2013/132497号に開示された方法を介して、本発明のシステムを用いて治療される。
【0119】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、遠位端に流量計をさらに備える。
【0120】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリザーバチューブは、近位端にサンプリングポートをさらに備える。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの治療ガスを患者に投与するように構成されたシステムであって、
a.近位端および遠位端を有する少なくとも1つのリザーバチューブであって、患者の呼吸の1回換気量の±20%以内の容積を有する、少なくとも1つのリザーバチューブと、
b.少なくとも1つのリザーバチューブの近位端にある少なくとも1つの治療ガス注入口であって、送達チューブが少なくとも1つの治療ガス注入口および少なくとも1つの治療ガス供給源に接続され、リザーバの遠位端は、周囲圧力の通気性ガス供給源に開放されている、少なくとも1つの治療ガス注入口と、
c.逆止弁を介して少なくとも1つのリザーバチューブの近位端に流体的に接続されている患者インターフェイスと
を備え、
患者インターフェイスは、患者とシステムとの間に気密シールを形成するように構成され、
逆止弁の吸入側は、患者が呼気しているときに閉じられるように構成され、
少なくとも1つの治療ガスは、少なくとも1つのリザーバチューブに蓄えられる少なくとも1つの治療ガスすべてを患者の典型的な単一吸入の間に費やすことを防止するのに十分な流量で、少なくとも1つの治療ガス注入口を介して近位端の少なくとも1つのリザーバチューブ内へ導入され、
少なくとも1つの治療ガスは、患者が吐き出している間に近位端から遠位端まで少なくとも1つのリザーバチューブに沿って流れ、
逆流防止弁の吸入側は、患者が吸入しているときに開いているように構成され、
逆止弁の吸入側は、少なくとも1つの治療ガスが患者に投与されることを可能にするように構成されているシステムである。
【0122】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、これに限定されるものではない。
【実施例0123】
実施例1:少なくとも1つのリザーバチューブのコイルの半径が層流および少なくとも1つのリザーバチューブ内の一酸化窒素濃度に及ぼす影響
下記の表に示すコイル半径を有するコイル状リザーブチューブに導入された160ppmの一酸化窒素を用いて、実験を行った。呼吸サイクルをシミュレートするリザーバチューブ内でガスが前後に往復した後、リザーバチューブ内の一酸化窒素濃度を理想的な160ppm値と比較した。
【表4】
【0124】
NO濃度の大きな変化は認められなかった。リザーバチューブが断面で著しく捻ったり変形させたりすることなく、約145mmのコイル半径を利用することができることが確認された。145mmのコイル半径を利用すると仮定すると、臨界レイノルズ数Recrは約2100となる。この公称のRecrの値が与えられれば、層流は呼吸サイクルを通して維持されるはずである。
【0125】
この文献を全体で引用される刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
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