(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153072
(43)【公開日】2024-10-28
(54)【発明の名称】業界地図作成システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/067 20230101AFI20241021BHJP
G06F 16/34 20190101ALI20241021BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241021BHJP
【FI】
G06Q10/067
G06F16/34
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066782
(22)【出願日】2023-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】393024315
【氏名又は名称】栗田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100180208
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 洋
(72)【発明者】
【氏名】栗田 洋
【テーマコード(参考)】
5B175
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175DA10
5B175JA02
5B175KA12
5L010AA06
5L049AA06
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザが設定した特徴要素の視点から業界範囲を限定した業界地図を生成し、業界地図をユーザに提示し、ユーザによる競争戦略等の検討を容易にする業界地図作成システムを提供する。
【解決手段】通信ネットワーク1001を介するサーバ1002とユーザ側のインタフェース装置1003から構成される業界地図作成システムにおいて、インタフェース装置は、検討対象技術表現入力部1012と、特徴要素設定部1013と、業界地図検討部1014と、を含む。サーバは、検討対象技術表現取得部1004と、記憶部1005と、特徴要素設定部1006と、検討対象技術再構成部1007と、検索部1008と、業界設定部1009と、業界地図生成部1010と、競合抽出部1011と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声、テキスト、画像から選ばれる少なくとも一つを含む媒体による検討対象技術の表現を利用して該検討対象となる企業の属する業界地図を作成するシステムであって、
a)設定された特徴要素との関連度に基づいて抽出された前記表現の部位を分離して前記表現を再構成した検討対象技術再構成表現を生成する検討対象技術再構成手段と、
b)前記特徴要素から生成された検索式により、所定の技術文献データベースの検索をする検索手段と、
c)前記検索により取得された技術文献から前記特徴要素との関連度に基づいて抽出された前記技術文献の部位を分離して再構成した技術文献再構成表現を生成する技術文献再構成手段と、
d)前記技術文献再構成表現と前記検討対象技術再構成表現との類似度を計算して、所定の閾値を超える場合に、該技術文献再構成表現の抽出元となる技術文献を業界範囲に属する技術文献と判定する業界設定手段と、
e)前記業界範囲に属する技術文献の分析をして業界地図を生成する業界地図生成手段と、
を含み、
前記検討対象技術再構成表現を基準に限定された業界範囲の業界地図を生成する業界地図作成システム。
【請求項2】
前記分析は、前記業界に属する技術文献の前記技術文献再構成表現同士の類似度計算に基づく技術文献又は権利者同士の位置関係の抽出、前記業界に属する技術文献に記載された請求の範囲同士の類似度計算に基づく技術文献又は権利者同士の位置関係の抽出から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の業界地図作成システム。
【請求項3】
さらに前記分析に基づく位置関係から競合となる技術文献又は権利者を抽出する競合抽出手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の業界地図作成システム。
【請求項4】
前記技術文献は特許文献であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の業界地図作成システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検討対象となる企業の業界地図について、検討対象の自社技術(以下、検討対象技術という)を音声、テキストあるいは画像で表現したもの(以下、検討対象技術表現という)を利用して検討するユーザに対して、企業もしくはその企業の自社技術を位置づける業界地図を提供するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、企業経営者等のユーザが自社技術をベースとして自社の市場を検討する場合に利用するツールの一つとして、自社の属する業界を分析し、分類軸やクラスターを抽出し、自社をマッピングして自社又は自社技術の位置付けを視覚化する業界地図がある。
検討の時点で業界地図が存在しないような技術を強みとしようとする中小企業等が検討対象である場合、業界範囲を新たに設定し、業界地図を新たに作成する必要があった。業界地図の作成は、業界に精通している専門家が、自らの経験や知識に基づいて業界地図を作成することが一般的であり、中小企業が自社又は自社技術の位置の検討に適した業界地図を作成することは難しかった。
【0003】
専門家の経験や知識のないユーザであっても、検討時点において「業界」と一般認知されていいない範囲を業界として設定し、検討対象技術表現から所望の観点からの業界地図を作成できるシステムが求められていた。
【0004】
特許文献1には、特許分類情報と権利者とを関連付けたデータセットに基づいて、各権利者どうしを技術的な特徴により関連付け、各権利者をノードとし各権利者どうしの関連付けをエッジとし、エッジによる各ノードの結合の状態から、各ノードを相対的に関連度が高いグループにてクラスタリングし、グラフ形式の技術俯瞰図を作成する方法が開示されている。
しかしながら、ユーザが自社の強みとしたい技術の視点から業界範囲を設定し、自社技術もしくは自社の位置付けを検討するに適するように業界地図の作成を操作できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、音声、テキスト、画像から選ばれる少なくとも一つを含む媒体による検討対象技術表現を利用して検討対象の技術を検討する際に、ユーザによって設定された特徴要素(以下、特徴要素設定という)の観点から自社の業界を設定し、その設定された業界の業界地図を生成するシステムを提供することを目的とする。ここで特徴要素は、自社の強みとしたい技術の特徴を示す表現である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の観点では、音声、テキスト、画像から選ばれる少なくとも一つを含む媒体による検討対象技術の表現を利用して該検討対象となる企業の属する業界地図を作成するシステムであって、
a)設定された特徴要素との関連度に基づいて抽出された前記表現の部位を分離して前記表現を再構成した検討対象技術再構成表現を生成する検討対象技術再構成手段と、
b)前記特徴要素から生成された検索式により、所定の技術文献データベースの検索をする検索手段と、
c)前記検索により取得された技術文献から前記特徴要素との関連度に基づいて抽出された前記技術文献の部位を分離して再構成した技術文献再構成表現を生成する技術文献再構成手段と、
d)前記技術文献再構成表現と前記検討対象技術再構成表現との類似度を計算して、所定の閾値を超える場合に、該技術文献再構成表現の抽出元となる技術文献を業界範囲に属する技術文献と判定する業界設定手段と、
e)前記業界範囲に属する技術文献の分析をして業界地図を生成する業界地図生成手段と、
を含み、
前記検討対象技術再構成表現を基準に限定された業界範囲の業界地図を生成する業界地図作成システムが提供される。
ここで、前記技術文献は特許文献である、としてもよい。
技術文献とは、特許文献、企業の技報、学会論文(企業のもの)、公開資料(企業ホームページ等にある技術情報)等の文献をいう。
また特許文献とは、出願中特許、存続中特許、登録後消滅特許、出願中実用新案登録、出願後登録前消滅実用新案登録、存続中実用新案登録、登録後消滅実用新案登録のいずれか一以上の公報をいう。
【0008】
ここで、前記分析は、前記業界に属する技術文献の前記技術文献再構成表現同士の類似度計算に基づく技術文献又は権利者同士の位置関係の抽出、前記業界に属する技術文献に記載された請求の範囲同士の類似度計算に基づく技術文献又は権利者同士の位置関係の抽出から選ばれる少なくとも1つを含む、としてもよい。
ここで権利者とは、特許文献における出願人、特許権者等、技術文献の著作者が属する企業等の組織など、技術文献に記載された技術に対する権利を有するものをいう。
【0009】
前記業界地図生成システムは、さらに前記分析に基づく位置関係から競合となる技術文献又は権利者を抽出する競合抽出手段を含む、としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の業界地図作成システムは、ユーザが自社又は検討対象の競争戦略を検討する際に、ユーザが設定した特徴要素の観点から業界範囲を限定し、その業界地図を生成することにより、ユーザ又は検討対象の技術的特徴の競争に限定した「業界」における競争関係を視覚化できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1のシステムを示した全体図である。
【
図2】
図2は、ヒット文献データの項目構成を示したブロック図である。
【
図3】
図3は、業界文献データの項目構成を示したブロック図である。
【
図4】
図4は、競合データの項目構成を示したブロック図である。
【
図5】
図5は、業界地図検討ウインドウを示したイメージ図である。
【
図6】
図6は、検討対象技術表現データの構成の一例を示したブロック図である。
【
図7】
図7は、特徴要素設定の動作の一例を示したフローチャートである。
【
図8】
図8は、特徴要素入力方式選択の誘導をする音声の一例である。
【
図9】
図9は、検討対象技術表現の認識提示の一例を示したブロック図である。
【
図10】
図10は、特徴要素設定データの構成の一例を示したブロック図である。
【
図11】
図11は、検討対象技術表現の再構成動作の一例を示したフローチャートである。
【
図12】
図12は、抽出された関連部位の関連部位データの構成を示したブロック図である。
【
図13】
図13は、検討対象技術再構成表現の一例を示したイメージ図である。
【
図14】
図14は、検索部1008の動作の一例を示したフローチャートである。
【
図15】
図15は、業界設定部1009の動作の一例を示したフローチャートである。
【
図16】
図16は、本実施例の業界地図作成システムを利用した競争戦略検討動作の一例の概要を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで示す各機能構成部の動作は、予め組み込まれたファームウエア等の制御プログラムをシステムの回路のプロセッサで実行し、システムの構成要素となる各種デバイスや所定の学習済みモデルと協働することにより実現される。また、これらのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該プロセッサによって記録媒体から読み出され、ユーザが操作することによって実行される。
【実施例0013】
図1は、本発明の実施例1のシステムを示した全体図である。通信ネットワーク1001を介して、サーバ1002とユーザ側のインタフェース装置1003から構成される。
【0014】
サーバ1002は、検討対象技術表現取得部1004、記憶部1005、特徴要素設定部1006、検討対象技術再構成部1007、検索部1008、業界設定部1009、業界地図生成部1010そして競合抽出部1011という機能構成部から構成される。
【0015】
検討対象技術表現取得部1004は、インタフェース装置1003から送信された検討対象技術表現データを受信して、記憶部1005に保存する。
【0016】
特徴要素設定部1006は、インタフェース装置1003から送信された特徴要素設定データを受信して記憶部1005に保存する。
ここで特徴要素は、検討対象技術の技術的特徴を表現するためのフレーズやキーワードである。
【0017】
検討対象技術再構成部1007は、記憶部1005に保存された検討対象技術表現データを再構成対象として、特徴要素設定データに含まれる特徴要素セットとの関連度に基づいて、検討対象技術表現から関連度の高い部位を抽出し、他の部位と分離して再構成した検討対象技術再構成表現データを生成し、記憶部1005に保存する。
【0018】
ここで関連度の高さは、以下の方式により判断するものとする。所定の学習済みモデルにより特徴要素セットの分散表現を生成し、所定の単位に分割した検討対象技術表現の部位について同様に分散表現を生成する。そして、それぞれの部位について生成した分散表現と特徴要素セットの分散表現との類似度を計算する。計算された類似度が一定の値を超える場合を関連度が高いと判断するのである。
本願発明の関連度はこの方式によるものに限定されるものではなく特徴要素を抽出するための出所となる部位およびその近傍を関連度の高い部位とする方式など適宜採用可能である。
【0019】
検索部1008は、特徴要素設定部1006により設定された特徴要素から生成された検索式によって先行技術文献を検索する。さらに、検索部は検索された先行技術文献から当該特徴要素との関連がある部位を抽出し、他の部位と分離して再構成した技術文献再構成表現を生成し、その文献の権利者情報とともにヒット文献データとして記憶部1005に保存する。
ここで検索は、特徴要素セットに含まれるキーワードによって生成された検索式によって実行されるが、特徴要素セットを基に所定の学習済みモデルによって生成されたテキストである特徴表現を含む検索式によって実行されてもよい。
【0020】
図2は、ヒット文献データの項目構成を示したブロック図である。技術文献を識別する技術文献ID2001、技術文献の所在2002、権利者情報2003そして技術文献再構成表現コンテンツ2004という構成である。
【0021】
業界設定部1009は、前記技術文献再構成表現と前記検討対象技術再構成表現との類似度を計算して、所定の閾値を超える場合に、該技術文献再構成表現の抽出元となる技術文献を業界範囲に属するメンバーの業界文献と判定する。
判定された技術文献に記載された権利者情報を抽出し、この技術文献に業界文献IDを付与して、技術文献ID、権利者情報及び類似度を構成に含む業界文献データとして記憶部1005に保存する。
【0022】
図3は、業界文献データの項目構成を示したブロック図である。業界文献ID3001、技術文献ID3002、権利者情報3003そして類似度3004という構成である。
【0023】
業界地図生成部1010は、業界文献の技術文献再構成表現及び検討対象技術再構成表現を業界文献及び検討対象技術のノードとしてそれぞれのノード間の類似度を計算し距離に変換し、所定のクラスタリング手法により、業界文献及び検討対象技術をグループ化して、それらのノードの位置を業界文献及び検討対象技術の位置としてプロットして、業界地図を生成する。業界地図生成部の動作は後で詳細に説明する。
【0024】
競合抽出部1011は、業界地図上の検討対象技術と業界文献との距離に基づいて競合関係にある業界文献を抽出し、競合データとして記憶部1005に保存する。
ここで、複数の業界文献の権利者となっている権利者の位置をそれら複数の業界文献の重心として、その重心と検討対象技術との距離に基づいて競合関係にある権利者を抽出してもよい。
図4は、競合データの項目構成を示したブロック図である。競合文献ID4001、業界文献ID4002、技術文献ID4003、競合権利者情報4004という構成である。
【0025】
インタフェース装置1003は検討対象技術表現入力部1012、特徴要素設定部1013そして業界地図検討部1013から構成される。
ここでは、インタフェース装置としてスマートフォンが採用される。このスマートフォンに予めインストールした業界地図生成検討アプリが起動されることにより、上記機能構成部が実現される。
本実施例では、インタフェース装置としてスマートフォンが採用されたが、本発明で採用可能なインタフェース装置はこれに限定されるものではない。後で説明するユーザからのアクションを検知するマイク、カメラ等のデバイスと、ユーザに対して業界地図生成検討を支援するウインドウを提示する表示装置、ユーザに対して業界地図生成検討を支援する音声を出力するスピーカー等のデバイスを備えたパソコン、VRヘッドセット等を適宜採用可能である。
【0026】
検討対象技術表現入力部1012は、所定の検討対象ファイル指定インタフェースを表示装置にウインドウとして画面表示し、ユーザからの所定の指定アクションを検知して、検討対象技術表現ファイルを取得し、検討対象を識別するための検討対象IDと指定された検討対象技術表現を識別するコンテンツIDを付して、サーバ1002に送信する。
【0027】
特徴要素設定部1013は、所定の特徴要素設定インタフェースを表示装置にウインドウとして画面表示し、ユーザからのテキスト入力、音声入力もしくはテキスト認識された検討対象技術表現の部位選択から選ばれる少なくとも1つの方式により特徴要素をテキストとして取得し、検討対象を識別するための検討対象IDと特徴要素を識別する特徴要素IDを付して特徴要素設定データを生成し、サーバ1002に送信する。
【0028】
業界地図検討部1014は、サーバ1002から業界地図データ、特徴要素設定データそして競合データを取得して、業界地図検討ウインドウをインタフェース装置に画面表示する。
【0029】
図5は、業界地図検討ウインドウを示したイメージ図である。ここで業界地図検討ウインドウ5001は、業界地図を提示する業界地図提示部5002、検討対象の競合を提示す競合提示部5003、設定された特徴要素を提示する特徴要素提示部5004から構成される。
ここで特徴要素提示部5004は、ユーザのアクションによる修正入力を受け入れて、特徴要素を再設定し、サーバへ再設定した特徴要素設定データを送信し、業界地図の再生成を依頼できるように設けられている。
このような業界地図検討ウインドウを提示することにより、検討対象技術を異なった特徴のとらえ方をする特徴要素セットの観点から業界地図を再生して、異なった視点から競争戦略等の検討が可能となる。
【0030】
図6は、検討対象技術表現データの構成の一例を示したブロック図である。
6001で示す検討対象技術表現データを特定するコンテンツID、6002で示す検討対象技術表現が表現する検討対象を特定する検討対象ID、更新日付6003、データ形式6004そして検討対象技術表現が収められたファイルであるコンテンツ6005という構成である。
【0031】
データ6006は、テキストで表現されたコンテンツC1のデータである。データ6007は、画像で表現されたコンテンツC2のデータである。データ6008は、音声で表現されたコンテンツC3のデータである。
【0032】
図7は、特徴要素設定の動作の一例を示したフローチャートである。
特徴要素設定開始ステップ7001において、インタフェース端末1003による予め設定したユーザアクションの検知をトリガにして、特徴要素設定部1013がこれから設定する特徴要素を特定とする番号「n」を「1」として起動する。
【0033】
ここで特徴要素設定開始のユーザアクションとしては特定のキーワードを含む発話を採用する。インタフェース装置のマイクに向けて発声された「検討対象K1について特徴要素設定開始」という発話を検知すると特徴要素設定の動作が開始される。
【0034】
第n特徴要素入力インタフェース提示ステップ7002において、特徴要素設定部1013は、インタフェース装置に備えられたスピーカーからユーザによる特徴要素入力方式の選択を誘導する音声を出力する。
【0035】
図8は、特徴要素入力方式選択の誘導をする音声の一例である。
特徴要素入力方式選択の誘導シナリオ8001が、特徴要素設定部1013によって、インタフェース装置に備えられたスピーカーを介して出力される。誘導シナリオ8001は、「第n特徴要素の設定を開始します」という発話音声8002、「入力方式を選択してください」という発話音声8003、「直接入力ですか」という発話音声8004、そして「選択入力ですか」という発話音声8005から構成される。
ここでは音声により提示された誘導シナリオが採用されているが、本発明で採用可能な提示はこれに限定されるものではない。特徴要素入力方式選択メニューの画像提示や動画により形成されたエージェントによる動作を伴う発話による提示などが本発明において適宜採用されうる。
【0036】
入力方式選択ステップ7003において、ユーザが「選択入力ですか」という発話音声8005に対する答えの判断がされる。発話音声8005のタイミングでインタフェース装置に備えられたスピーカーを通して「ハイ」と音声で答えると、特徴要素設定部1013によって、特徴要素設定部の動作が検討対象技術表現認識提示ステップ7004に移行する。ここで検討対象技術表現認識提示は、所定の学習済みモデルによる検討対象技術表現の要約や認識結果のテキストをインタフェース装置の表示装置に提示する動作である。
【0037】
図9は、検討対象技術表現の認識提示の一例を示したブロック図である。
認識提示9001は、コンテンツIDがC1であるテキストコンテンツの要約テキスト9002、コンテンツIDがC2である画像コンテンツの画像認識テキスト9003そしてコンテンツIDがC3である音声コンテンツの音声認識テキスト9004を表示することにより実行される。
ここではインタフェース装置の表示装置による検討対象技術表現のテキスト提示が採用されているが、検討対象技術表現の認識提示はこれに限定されるものではない。インタフェース装置のスピーカーを介したテキスト読上げ音声による提示や動画により形成されたエージェントによる動作を伴う発話による提示などが本発明において適宜採用されうる。
【0038】
選択入力が選択された場合の動作についての説明を続ける。
特徴部位指定ステップ7005において、ユーザが、提示されたものから特徴要素とする部位を指定する。ここでは、提示されたテキストの部位に対して、端末インタフェースに設けた方式の指定アクションを加えることによって行うこととする。
ここでは指定アクションとして、部位の始点にタッチした後に部位の終点にタッチすることにより、行うこととするが、本発明に採用可能な指定アクションはこれに限定されるものではない。パソコンにおけるマウスクリックやキーボードによる特定キーの押下げなどが、適宜採用採用されうる。
また、音声による検討対象技術表現の認識提示がされた場合、上記始点及び終点に相当する読上げのタイミングでユーザによる「ここから」、「ここまで」等の発話による指定アクションが採用される。
【0039】
指定部位編集ステップ7006において、ユーザは、特徴要素設定部1013によって提示された指定部位に対して所望の編集を加え、特徴要素を作成する。ここで編集とは、不要部分の削除、テキストの加筆等により、ユーザの意図する特徴要素と指定部位との乖離を、特徴御要素入力部1012に設けた機能により、修正する作業である。
【0040】
入力方式選択ステップ7003において、ユーザが「直接入力ですか」という発話音声8004に対する判断もされる。発話音声8004のタイミングでインタフェース装置に備えられたスピーカーを通して「ハイ」と音声で答えると、特徴要素設定部1013によって、システム動作が直接入力ステップ6007に移行する。
【0041】
直接入力ステップ7007において、特徴要素設定部1013によって、ユーザによる端末インタフェースに設けた方式の入力アクションに対する特徴要素入力処理が行われる。ここでユーザは、端末インタフェースに設けられたマイクに、ユーザが特徴要素としたいものを音声発話する。
ここでは音声発話によって特徴要素を入力する方式が採用されているが、本発明で採用可能な入力アクションはこれに限定されるものではない。特徴要素設定部1013によって表示された入力ボックスにユーザがキーボード等の入力デバイスを操作して入力する方式などが適宜採用されうる。
【0042】
判断ステップ7008において、特徴要素設定部1013によって、ユーザに対して特徴要素のすべてを入力したか、否かの問いかけ表現を提示し、ユーザからの意思表示アクションを促す。
ここで意思表示アクションとして、音声発話が採用される。「YES」と端末インタフェース装置のマイクに発話すれば、すべてを入力したことになり、特徴要素設定部1013の動作はサーバへ送信ステップ7009に移行する。
ユーザが「NO」と端末インタフェース装置のマイクに発話すれば、まだすべてを入力していないことになり、特徴要素設定部1013の動作は、n=n+1とインクリメントした上で第n特徴要素入力インタフェース提示ステップ7002に移行する。
【0043】
サーバへ送信ステップ7009において、特徴要素設定部によって、入力された特徴要素のすべてを含む特徴要素設定データが生成され、サーバ1002に送信される。
【0044】
設定ステップ7010において、特徴要素設定部1006によって、サーバに送信された特徴要素設定データが検討対象K1について特徴要素設定として記憶部1005に保存される。
【0045】
図10は、特徴要素設定データの構成の一例を示したブロック図である。
特徴要素設定データは、10001で示す特徴要素を特定する特徴要素ID、10002で示す設定の対象となる検討対象を特定する検討対象ID、この特徴要素を選択入力する元となった検討対象技術表現を特定する選択元所在10003そして特徴要素の内容となる特徴要素コンテンツ10004という項目からなり、複数の特徴要素データを含む特徴要素セットである。ここでは、特徴要素データ10005から特徴要素データ10008までのセットとして構成されている。
ここで選択元所在10003として、検討対象技術表現データのコンテンツIDが採用されている。また、特徴要素コンテンツ10004として、特徴要素となるテキストのテキストファイルが採用されている。第n特徴要素データは、特徴要素IDが「Tn」の特徴要素データとなる。
【0046】
図11は、検討対象技術表現の再構成動作の一例を示したフローチャートである。
特徴要素設定又は特徴要素修正が完了すると、検討対象技術再構成部1007が起動してスタートステップ11001となる。ここで検討対象技術再構成部1007は、特徴要素データを特定とする番号「n」を「1」として起動する。
【0047】
第n特徴要素データ取得ステップ11002において、検討対象技術再構成部1007によって、特徴要素IDが「Tn」である第n特徴要素データが記憶部1005に格納された特徴要素設定データから取得される。
【0048】
特徴要素関連部位抽出ステップ11003において、検討対象技術再構成部1007によって、第n特徴要素データに含まれる特徴要素コンテンツとの関連度が所定の値を超える検討対象技術表現の関連部位が抽出される。
特徴要素コンテンツとの関連度は、特徴要素コンテンツの分散表現と、検討対象技術表現の部位の分散表現とを比較して計算する既知の類似度を計算することにより行う。
【0049】
ここでは類似度の計算は以下の手順で行われる。
まず、テキストとして認識された検討対象技術表現(以下、検討対象技術表現テキストという。)を段落又は文の単位で複数の部位に分割し、それぞれの部位について分散表現を生成する。次に、それぞれの分散表現と特徴要素コンテンツの分散表現との類似度を計算し、所定の類似度を越える部位を関連部位として抽出する。類似度として、分散表現同士のコサイン類似度を採用するものとする。
本発明で採用可能な関連度の計算は、類似度の計算に限定されるものではない。例えば、ユーザが特徴要素設定部1006の動作の特徴部位指定ステップ7005において指定アクションを加えた部位からの文字数でカウントされた距離を基準にして関連度を生成してもよい。
【0050】
抽出部位保存ステップ11004において、検討対象技術再構成部1007によって、抽出された検討対象技術表現テキストの関連部位が特徴要素を特定する特徴要素ID、関連部位の所在と関連付けて保存される。
【0051】
図12は、抽出された関連部位の関連部位データの構成を示したブロック図である。
12001で示す関連部位ID、12002で示す検討対象を特定する検討対象ID、12003いずれの特許要素に関連しているかを特定する特徴要素ID、いずれの検討対象技術表現のどの部位かを特定する関連部位所在12004そして抽出された検討対象技術表現テキストの関連部位のテキストファイルである第n特徴要素関連部位コンテンツ12005という構成である。
【0052】
判断ステップ11005において、検討対象技術再構成部1007によって、設定されたすべての特徴要素について関連部位の抽出が行われたかの判断がされ、「NO」すなわち「すべてでない」場合は、特徴要素を特定する番号「n」を「n+1」にインクリメントして第n特徴要素データ取得ステップ11002に動作が移行する。「YES」すなわち「すべて抽出している」場合は、再構成表現合成ステップ11006に動作が移行する。
【0053】
再構成表現合成ステップ11006において、検討対象技術再構成部1007によって、特徴要素毎に特徴要素関連部位のテキスト(以下、特徴要素関連部位テキストという)をその他の部位と分離して提示する検討対象技術再構成表現を合成する。
【0054】
図13は、検討対象技術再構成表現の一例を示したイメージ図である。
検討対象技術再構成表現13001は、第1特徴要素についての再構成表現部分13002、第2特徴要素についての再構成表現部分13003、第3特徴要素についての再構成表現部分13004そして第4特徴要素についての再構成表現部分13005から構成される。
第1特徴要素についての再構成表現部分13002に第1特徴要素関連部位テキスト13006が提示される。同様に、第2特徴要素についての再構成表現部分13003に第2特徴要素関連部位テキスト13007、第3特徴要素についての再構成表現部分13004に第3特徴要素関連部位テキスト13008、そして第4特徴要素についての再構成表現部分13005に第4特徴要素関連部位テキスト13009が提示される。
【0055】
再構成表現保存ステップ11007において、合成された検討対象技術再構成表現が記憶部1005に保存される。
【0056】
図14は、検索部1008の動作の一例を示したフローチャートである。
特徴要素設定又は特徴要素修正が完了すると、検討対象技術再構成部1007と同様に検索部1008も起動して検索開始ステップ14001となる。
【0057】
特徴要素取得ステップ14002において、検索部1008によって、記憶部1005に格納された特徴要素設定データから特徴要素が取得される。
【0058】
検索式生成ステップ14003において、検索部1008によって、既知の自然語処理方法により特徴要素に含まれるキーワードを抽出し、予め設定した期間、文献の種類、文献内の項目等の検索範囲の情報を追加した検索式を生成する。
ここでは特徴要素からキーワードを抽出して、キーワードを含む検索式を生成しているが、本発明の検索式の生成はこれに限定されるものではない。例えば、テキストの分散表現を直接入力可能な検索エンジンが利用可能な場合、特徴要素から分散表現を抽出し、この分散表現を含む検索式を生成してもよい。
【0059】
検索実行ステップ14004において、検索部1008によって、上記生成された検索式により予め設定した文献データベースから検索式にマッチする文献の所在を検索する。
ヒット文献取得ステップ14005において、検索部1008によって、上記所在から技術文献の記載内容を格納した技術文献データを取得される。
権利者情報抽出ステップ14006において、検索部1008によって、技術文献の書誌情報から権利者情報を抽出する。
技術文献再構成ステップ14007において、検索部1008によって、上記キーワードを含む部位を上記検索でヒットした技術文献毎に抽出領域として抽出し、他の部位と分離して再構成した技術文献再構成表現を生成する。
ヒット文献格納ステップ14008において、検索部1008によって、技術文献ID、技術文献の所在、権利者情報、技術文献再構成表現コンテンツからなるヒット文献データを記憶部1005に格納する。
【0060】
ここでは先行技術文献として書誌情報の明確な特許文献を想定した技術文献から当該特徴要素との関連がある部位を抽出し、他の部位と分離して再構成した技術文献再構成表現を生成し、その文献の権利者情報とともにヒット文献データとして記憶部に保存しているが、これに限られるものではない。例えば企業のホームページの技術情報、企業の技報・企業の構成員の論文・企業の製品、サービスカタログ等から特徴要素と関連がある部位と権利者情報を抽出してもよい。
【0061】
図15は、業界設定部1009の動作の一例を示したフローチャートである。
検索部の動作が完了すると、業界設定部1009が起動して業界設定開始ステップ15001となる。
技術文献再構成表現と検討対象技術再構成表現との類似度計算ステップ15002において、業界設定部1009によって、技術文献再構成表現と検討対象技術再構成表現との類似度が計算される。
【0062】
業界文献データ生成ステップ15003において、業界設定部1008によって、上記類似度計算において所定の値を超える文献を業界に所属する業界文献と判断し、業界文献IDを付与し、その技術文献ID、権利者情報そして類似度を含む業界文献データを生成する。
業界文献データ格納ステップ15004において、業界設定部1008によって、記憶部1005に保存する。
ユーザが設定する特徴要素の観点から再構成した検討対象技術再構成表現と、技術文献再構成表現との類似度が所定の値を超える範囲を業界に属すると判断することにより、業界地図を構成する企業や技術をユーザの戦略検討を容易にする範囲に限定することができる。
【0063】
業界地図生成部1010は、業界設定部1009において限定された範囲の業界文献を対象に既知の業界地図作成方法により業界地図を生成する。
ここでは、検討対象技術再構成表現をユーザ技術の特徴とし、業界文献の特徴を技術文献再構成表現とする。そして、それぞれの特徴間の類似度を計算し、所定のクラスタリング手法により、ユーザ技術及び業界文献をグループ化して、ユーザ技術及び業界文献をノードとしてプロットして業界地図とする。
ここでは、業界文献の特徴を技術文献再構成表現として、特徴同士の類似度計算をしたが、本発明の類似度計算に採用可能な業界文献の特徴はこれに限定されるものではない。業界文献が特許文献の場合、その業界文献に記載された請求の範囲を特徴として、請求の範囲同士の類似度計算を採用してもよい。
【0064】
ここでは、業界文献をノードとして業界地図にプロットしたが、業界文献の権利者をノードしてプロットしてもよい。
権利者をノードとする場合は、業界文献のクラスタリング結果から権利者の位置を各権利者に所属する業界文献のノードの重心とすることにより、権利者の位置をプロットすることができる。
これにより、業界文献の権利者がどの技術領域に焦点を当てているかを視覚的に把握しやすくなる。
【0065】
競合抽出部1011は、上記業界地図作成部においてユーザ技術と同じグループにグループ化された業界文献を類似の技術や機能を持っていると判断し、競合として抽出する。
業界地図上で権利者間の距離が近いほど、技術や機能が類似していると判断する方式も採用可能である。この場合、特徴間の類似度から計算される距離指標が所定の範囲にある業界文献を競合として抽出する。
また、業界文献の権利者の位置をノードとして生成した業界地図を生成して、権利者のクラスタリング結果からユーザと同じグループにグループ化された権利者を競合として抽出してもよい。
【0066】
図16は、本実施例の業界地図作成システムを利用した競争戦略検討動作の一例の概要を示したフローチャートである。
検討対象入力ステップ16001において、インタフェース端末1003を操作するユーザによって、所定の検討対象技術表現ファイルをサーバ1002に送信する。
【0067】
特徴要素設定ステップ16002において、インタフェース端末1003を操作するユーザよって、検討したい特徴要素を含む特徴要素設定データがサーバ1002に送信される。
【0068】
検討対象表現再構成ステップ16003において、検討対象技術再構成部1007によって、記憶部1005に保存された検討対象技術表現データを特徴要素設定データに含まれる特徴要素セットとの関連度に基づいて、関連度の高い部位を抽出し、他の部位と分離して再構成した検討対象技術再構成表現データを生成し、記憶部1005に保存する。
【0069】
検索ステップ16004において、検索部1008によって、特徴要素設定データに含まれる特徴要素から生成された検索式により検索された技術文献からヒット文献データが生成され、記憶部1005に保存される。
【0070】
業界設定ステップ16005において、業界設定部1009によって、ヒット文献データに含まれる技術文献再構成表現と検討対象技術再構成表現との類似度を基に、業界に所属する業界文献と判断し、業界を設定する。ここで業界文献IDを付与し、その技術文献ID、権利者情報そして類似度を含む業界文献データを生成する。
【0071】
業界地図作成ステップ16006において、業界地図生成部1010によって、業界地図が生成され、記憶部1005に保存される。
【0072】
検討ステップ16007において、業界地図検討部1014によって、記憶部1005に保存された業界地図データ、特徴要素設定データそして競合データから生成された業界地図検討ウインドウをインタフェース装置に画面表示する。ユーザは業界地図検討ウインドウに表示された業界地図、検討対象技術の競合、そして特徴要素の設定を閲覧し、競争戦略等を検討する。
ここでユーザは、検討の視点となる特徴要素自体、その特徴要素の視点から限定された業界範囲で生成された業界地図そして競合を一覧できるので、検討が容易になる。
【0073】
検討終了判断ステップ16008において、ユーザによって、この特徴要素設定による検討でよいか、否かの判断がされる。検討終了とユーザが判断するのであれば、予め設定した「YES」のアクションをインタフェース装置1003に加え、検討終了16009となる。
設定した特徴要素について修正して再検討を望むのであれば、予め設定した「NO」のアクションをインタフェース装置1003に加え、特徴要素修正ステップ16010に動作は移行する。
【0074】
特徴要素修正ステップ16010において、ユーザは、インタフェース装置1003によって提示された特徴要素に直接にアクションを加えるか、修正する特徴要素を指定して差し替える特徴要素の表現を入力することによって行われる。
特徴要素修正の方式としては、以下の通り画面上の編集、音声入力、これらの組合せが可能である。すなわち、画面表示により提示された特徴要素に対する直接編集方式、修正された特徴要素のテキスト入力方式あるいはインタフェース装置に設けられたマイクによる音声入力方式、以上の方式の組合せが採用可能な方式である。
【0075】
特徴要素修正が行われると、システムの動作は検討対象技術表現再構成16003から繰り返される、
従来であれば煩雑であった特徴要素設定、検討、特徴要素修正そして再検討という動作を、本発明のシステムの支援を受けることにより、ユーザが検討に満足するまで効率的に繰り返し、業界地図による競争戦略等の検討を進めることが可能となる。