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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015309
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】農作物の収穫補助装置および収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 46/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A01D46/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208129
(22)【出願日】2023-12-11
(62)【分割の表示】P 2020000291の分割
【原出願日】2020-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】荻野 友保
(72)【発明者】
【氏名】小倉 尚勝
(72)【発明者】
【氏名】森 晃一
(57)【要約】
【課題】圃場に存在する農作物を集めて収穫機による自動収穫を行いやすくする農作物の収穫補助装置を提供する。
【解決手段】圃場を走行する走行機体1の前方で農作物をピックアップするピックアップ手段2を備えた収穫機10において、上記農作物のピックアップを補助するための農作物の収穫補助装置であって、上記ピックアップ手段2の前方において左右対称に配置される一対のホイールレーキ20A,20Bと、支持構造体30とを備え、上記ホイールレーキ20A,20Bは、回転円板22と、レーキ棒23と、連結リング24とを含んで構成され、上記レーキ棒23は、上記回転円板22に対し、その回転平面に沿うラジアル状に配置され、かつ先端部が回転方向の後ろに向かって屈曲され、上記連結リング24は、上記レーキ棒23の長手方向の途中部に固定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行する走行機体の前方で農作物をピックアップするピックアップ手段を備えた収穫機において、上記農作物のピックアップを補助するための農作物の収穫補助装置であって、
上記ピックアップ手段の前方において左右対称に配置される一対のホイールレーキと、支持構造体とを備え、
上記ホイールレーキは、回転円板と、レーキ棒と、連結リングとを含んで構成され、
上記レーキ棒は、上記回転円板に対し、その回転平面に沿うラジアル状に配置され、かつ先端部が回転方向の後ろに向かって屈曲され、
上記連結リングは、上記レーキ棒の長手方向の途中部に固定されている
ことを特徴とする農作物の収穫補助装置。
【請求項2】
請求項1記載の農作物の収穫補助装置が取り付けられた
ことを特徴とする収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に存在する農作物の収穫を補助するための農作物の収穫補助装置および収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年わが国では高齢化の進行にともなって若年層の労働力が減少しており、今後ますますその傾向が強くなると予測されている。農業就労人口も減少の一途をたどっており、高齢化も激しく進んでいる。食料の安定供給を確保するため、新規就農者の確保と育成が求められる一方、農作業自体の機械化をさらに進め、省力化を促進することが急務となっている。
【0003】
例えば、ジュースやケチャップにする加工用トマトは、生食用のハウストマトと違い、無支柱の地這いで生育させ、極めて省力的な栽培管理ができる。ところが、このように露地で地這い生育させる農作物は、収穫作業となると、いきおい人力・手作業に負うことになり、作業負担が甚大である。
【0004】
そこで、露地で地這い生育させる農作物の収穫作業を機械化する技術の開発が望まれている。
【0005】
上記の問題に関連する先行技術文献として、本出願人は下記の特許文献1~3を把握している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭57-764号公報
【特許文献2】特許第3559521号公報
【特許文献3】特開昭53-44318号公報
【0007】
上記特許文献1は、「加工用のトマトを収穫するトマト収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
[公報第2頁左欄第30行~右欄第3行]
移動機体1の前部側にはトマトを株ごと掘出し、ピツクアツプして後方に持ち上げながら搬送するための掘出し・ピツクアツプ・搬送装置Aが配備されるが、この装置Aは前下り状として設定した搬送機構4と、この搬送機構4と協働してトマトを株ごと持ち上げるフイード手段5と、このフイード手段5によって駆動回転されるフイードローラ手段6とから構成され、この装置Aによつてトマトを株ごと全面刈取式に後方に搬送でかるようなつている。トマトを株ごと装置Aで後方に搬送したのち、トマトの果実と茎・茎葉・株を受け止め、しかも果実をそれらより分離し、その他は後方に放てきするための果実分離装置Bが上記掘出・ピツクアツプ・搬送装置Aの後方に配備されている。
果実分離装置Bの後下方に該分離装置Bで分離された果実のみを収容するための果実収容装置Cが配備されている。
【0008】
上記特許文献2は、「レタスやキャベツ等の球状野菜を収穫する球状野菜収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
[0014]
収穫機本体34は、刈り取り刃40、ガイドディスク38、搬送装置36等を備えるフレーム37が、取付用アーム35の前方側に走行手段32に対して左右方向に揺動自在となるように設けられて成る。・・・
[0019]
刈り取り刃40は、ハンドル54を回転させることで上下動可能である。・・・
このように、刈り取り刃40の上下位置を調整可能に設けたことによって、球状野菜22の根部の位置に合わせて確実に刈り取り刃40を配置させ、根部において確実に収穫ができ、球状野菜の葉の部分に刃があたって傷がついてしまうというようなことを防止することができる。
[0020]
ガイドディスク38,38は、フリーに回転可能な円板であって、前方側の縦材50aの下端部に、回転軸60が上下方向(鉛直であっても、鉛直でなくともよい)を向くように取り付けられている。つまり、ガイドディスク38は、刈り取り刃40よりも前方側に設けられており、刈り取り刃40により収穫される直前の球状野菜を挟んで対向する左右両側に設けられている。・・・
[0021]
このガイドディスク38は、植えられている球状野菜が存する方向にフレーム37を向けるために設けられている。
すなわち、球状野菜の列が乱れている場合であっても、両ガイドディスク38のどちらか一方がその列から外れた位置にある球状野菜の外周に当接すれば、そのガイドディスク38が球状野菜からより力を受け、フリーに回動する回動軸42を動かしてそのガイドディスク38側にフレーム37全体が向くようにするのである。
このため、球状野菜の列が乱れている場合でも、乱れた方向にその都度走行手段32を向けなくとも、良好に収穫が可能となる。運転者は球状野菜の列に沿ってほぼまっすぐ運転すれば確実に収穫ができる。これは、フレーム37全体が左右方向に揺動自在に設けられている構成と合わせて発揮できる作用である。
【0009】
上記特許文献3は、「農用トラクターで牽引されるアクロバツトレーキ」に関するものであり、つぎの記載がある。
[公報第1頁左欄第4行~第11行]
2.特許請求の範囲
(1)農用トラクターの後部に、外周面に細線からなる集草爪を放射状に無数に突出させしめたアクロバツト車輪を軸装した枠体を牽引しうるごとく装着したものにおいて、前記枠体の所望の位置には、上下位置調節自在の定規車を所望数付設してなる農用トラクターで牽引されるアクロバツトレーキ。
[公報第3頁左欄第11行~右欄第2行]
本発明は上述の構成であるから、固定ボルト(12)をゆるめ、調節棒(11)を所望の高さに調節して、各アクロバツト車輪(6)の集草爪(7)の先端が、枯草の上部に堆積している牧草のみを掻き出す高さに調節し、その後枠体(1)(4)(5)を牽引すると、定規車(8)(8)があるため具合よく牧草のみを集草するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1は、加工用トマトの収穫機である。上記特許文献1は、移動機体1の前部側に、トマトを株ごと掘出し、ピツクアツプして後方に搬送する掘出し・ピツクアツプ・搬送装置Aが配備された収穫機を開示する。
加工用トマトは一般に、幅90センチ程度で高さ10~30センチ程度の畝を立て、マルチシートをかぶせて定植する。定植後は上述したように地這いで生育させる。この段階で、収穫までのあいだに受ける風雨により、地這いさせた茎と果実が畝から通路に滑り落ちてしまうことが多い。
しかしながら、上記のように、茎と果実が畝から通路に滑り落ちると、上記特許文献1の収穫機では、移動機体1が走行することで通路の果実を踏み潰してしまい、収穫できなくなるという問題がある。
【0011】
上記特許文献2は、畝に沿って列状に植わった球状野菜の根部を刈り取って収穫する収穫機である。上記特許文献2は、列状の球状野菜の外周にガイドディスク38を当接させ、球状野菜の列に沿ってフレーム37を動かし、刈り取り刃40を球状野菜に誘導することで、畝から多少ずれた球状野菜も収穫できる収穫機を開示する。
しかしながら、上記特許文献2の技術では、上述したように、地這いさせた茎と果実が畝から通路に滑り落ちた状態になると、まったく適用できない。
【0012】
上記特許文献3は、農用トラクターでアクロバツト車輪(6)を牽引して集草する集草機を開示する。
しかしながら、上記特許文献3の技術は、トラクターでの牽引であるため、上述したように、地這いさせた茎と果実が畝から通路に滑り落ちた状態では、アクロバツト車輪(6)が作用する前にトラクターが通路の果実を踏み潰してしまい、収穫できない。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するため、つぎの目的をもってなされたものである。
圃場に存在する農作物を集めて収穫機による自動収穫を行いやすくする農作物の収穫補助装置および収穫機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の農作物の収穫補助装置は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
圃場を走行する走行機体の前方で農作物をピックアップするピックアップ手段を備えた収穫機において、上記農作物のピックアップを補助するための農作物の収穫補助装置であって、
上記ピックアップ手段の前方において左右対称に配置される一対のホイールレーキと、支持構造体とを備え、
上記ホイールレーキは、回転円板と、レーキ棒と、連結リングとを含んで構成され、
上記レーキ棒は、上記回転円板に対し、その回転平面に沿うラジアル状に配置され、かつ先端部が回転方向の後ろに向かって屈曲され、
上記連結リングは、上記レーキ棒の長手方向の途中部に固定されている。
【0015】
請求項2の収穫機は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
請求項1記載の農作物の収穫補助装置が取り付けられた。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の農作物の収穫補助装置は、圃場を走行する走行機体の前方で農作物をピックアップするピックアップ手段を備えた収穫機において、上記農作物のピックアップを補助する。そのために本収穫補助装置は、ホイールレーキと支持構造体とを備える。上記ホイールレーキは、上記ピックアップ手段の前方において一対が左右対称に配置される。上記ホイールレーキは、回転円板と、レーキ棒と、連結リングとを含んで構成される。上記レーキ棒は、上記回転円板に対し、その回転平面に沿うラジアル状に配置され、かつ先端部が回転方向の後ろに向かって屈曲される。このため、走行機体の走行に伴って推し進められ、農作物を掻き寄せる際に左右のホイールレーキが回転するとき、レーキ棒から茎葉が抜けやすく、ホイールレーキに茎葉が絡みついて運転不能に陥ることが防止される。さらに、上記連結リングは、上記レーキ棒の長手方向の途中部に固定されているため、各レーキ棒を安定させる。
以上のように、本発明の農作物の収穫補助装置によれば、圃場に存在する農作物を集めて収穫機による自動収穫が行いやすくなる。
【0017】
請求項2の収穫機は、上記レーキ棒は、上記回転円板に対し、その回転平面に沿うラジアル状に配置され、かつ先端部が回転方向の後ろに向かって屈曲されるため、走行機体の走行に伴って推し進められ、農作物を掻き寄せる際に左右のホイールレーキが回転するとき、レーキ棒から茎葉が抜けやすく、ホイールレーキに茎葉が絡みついて運転不能に陥ることが防止される。さらに、上記連結リングは、上記レーキ棒の長手方向の途中部に固定されているため、各レーキ棒を安定させる。以上のように、本発明の収穫機によれば、圃場に存在する農作物を集めて収穫機による自動収穫が行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用することができる収穫機の一例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図2】本発明の農作物の収穫補助装置の実施形態を説明する図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図3】上記実施形態のホイールレーキとアームを説明する図であり、(A)は左ホイールレーキと左アームの平面図、(B)は左ホイールレーキと左アームを内側から見た側面図である。
図4】上記実施形態の農作物の収穫補助装置を走行機体の前方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態は、本発明を、農作物の一例として加工用トマトを収穫する収穫機に適用する例を説明する。
【0020】
〔収穫機〕
図1は、本発明を適用することができる収穫機10の一例を示す図である。(A)は平面図、(B)は側面図である。この例で説明する収穫機10は、農作物として加工用トマトを収穫するものである。この収穫機10は、圃場を走行する走行機体1の前方で農作物をピックアップするピックアップ手段2を備えている。以下に詳しく説明する。
【0021】
上記収穫機10は、上述した走行機体1とピックアップ手段2を備え、それ以外に、分別装置3、茎葉排出口4、側部コンベア5、後部コンベア6、収容装置7、運転部8等を備えて構成されている。
【0022】
上記走行機体1は、走行装置1Aを有して圃場を走行する。
【0023】
上記圃場には、加工用トマトを作付けした畝9が設けられている。上記畝9は、たとえばベッド幅90cm、ベッド高さ10~30cmに形成することができる。並んで設けられた畝9同士のあいだには、たとえば60cm~110cmの通路が設けられる。
【0024】
図示した例では、矢印Fが上記走行機体1の走行方向である。上記走行方向Fは上記畝9に沿った方向である。
【0025】
この例における走行装置1Aは、上記走行機体1の左右に配置された無限軌道である。上記走行装置1Aは、圃場に並んで設けられた畝9同士のあいだに設けられた通路9A(つまり畝9の左右に設けられる)を通過する。つまり、上記走行機体1は、上記畝9をまたぐように走行する。
【0026】
上記ピックアップ手段2は、上記走行機体1の前方で農作物をピックアップする。この例におけるピックアップ手段2は、上記畝9のベッド幅に合わせた幅寸法を有するピックアップコンベア2Aである。上記ピックアップ手段2により、上記畝9のベッド面に作付けされた農作物をピックアップする。上記農作物が加工用トマトであれば、果実と茎葉をまとめてピックアップして後方に搬送する(図の矢印A1)。
【0027】
上記分別装置3は、上記ピックアップ手段2の後方に配置され、上記ピックアップ手段2で搬送されてきた果実と茎葉が投入される(図の矢印A2)。上記分別装置3は、投入された果実と茎葉を分別して分離する。上記分別装置3で分別された茎葉は、上記茎葉排出口4から排出される(図の矢印A3)。上記分別装置3で分別された果実は、上記側部コンベア5上に送り出される(図の矢印A4)。
【0028】
上記側部コンベア5は、分別装置3から送り出された果実を後方の後部コンベア6に向かって搬送して受け渡す(図の矢印A5)。上記側部コンベア5上を搬送される果実は、必要に応じて手作業による選別を行うことができる。
【0029】
上記後部コンベア6は、上記側部コンベア5から受け渡された果実を後方の収容装置7に向かって搬送する(図の矢印A6)。
【0030】
上記収容装置7は、上記後部コンベア6の後方に配置され、上記後部コンベア6が搬送してきた果実が収容される(図の矢印A7)。上記収容装置7は、走行手段7Aと収容コンテナ7Bを備えている。上記走行手段7Aは、無限軌道7Cによって上記畝9をまたぐように走行する。上記収容コンテナ7Bは、果実を収容するコンテナである。
【0031】
上記運転部8は、作業者が乗って上記走行機体1の走行等に関する操作を行う場所である。
【0032】
〔補助装置〕
図2は、本発明の実施形態であり、上記収穫機10において上記農作物のピックアップを補助するための農作物の収穫補助装置である。
【0033】
〔全体構造〕
この装置は、一対のホイールレーキ20A,20Bと、支持構造体30とを備えている。
【0034】
上記一対のホイールレーキ20A,20Bは、上記ピックアップ手段2の前方において左右に配置される。上記走行機体1の走行方向Fに対し、左側に左ホイールレーキ20Aが配置され、右側に右ホイールレーキ20Bが配置されている。上記左ホイールレーキ20Aと右ホイールレーキ20Bはそれぞれ、上述した畝9の左側と右側に配置される。
【0035】
〔支持構造体〕
上記支持構造体30は、上記左右のホイールレーキ20A,20Bを上記走行機体1に対して支持させる。
【0036】
上記支持構造体30は、左アーム40Aと右アーム40Bとフレーム50を含んで構成されている。
上記左アーム40Aは、その先端部に上記左ホイールレーキ20Aを軸支する。
上記右アーム40Bは、その先端部に上記右ホイールレーキ20Bを軸支する。
上記フレーム50は、上記走行機体1に取り付けられ、上記左アーム40Aと右アーム40Bの根元部がそれぞれ連結されている。
【0037】
〔フレーム〕
上記フレーム50は、走行機体1のピックアップ手段2の前端部に取り付けられている。具体的には、上記フレーム50は、上記ピックアップ手段2を構成するピックアップコンベア2Aの左右にあるコンベアフレーム2Bに取り付けられている。
【0038】
上記フレーム50は、前方に配置されたアーム連結部51と、後方に配置された後方部材52と、左右に配置された側方部材53とを含んで構成されている。上記アーム連結部51と後方部材52が上記走行方向Fを横切るように配置され、左右の側方部材53が上記走行方向Fに沿って配置され、上記フレーム50は全体として略枠状に形成されている。上記左右の側方部材53が、上記コンベアフレーム2Bに対して固定部材54を介して固定されている。
【0039】
上記フレーム50のアーム連結部51には、上記左アーム40Aと右アーム40Bの根元部がそれぞれ連結されている。上記左アーム40Aと右アーム40Bの構造については後述する。
【0040】
上記フレーム50の後方部材52にはその左右に、上記左アーム40Aと右アーム40Bをそれぞれ牽引するためのチェーン等の牽引手段55を掛けるフック部56が設けられている。
【0041】
〔ホイールレーキとアーム〕
図3は、上記実施形態のホイールレーキとアームを説明する図である。(A)は左ホイールレーキ20Aと左アーム40Aの平面図、(B)は左ホイールレーキ20Aと左アーム40Aを内側から見た側面図である。右ホイールレーキ20Bと右アーム40Bは、基本的に上記左ホイールレーキ20Aと左アーム40Aと対称に構成されているので、説明を省略した。
【0042】
〔ホイールレーキ〕
上記左ホイールレーキ20Aは、中心軸21と回転円板22と、レーキ棒23と連結リング24とを含んで構成され、上記中心軸21を中心に回転するホイール状のレーキである。
【0043】
上記中心軸21は、上記左ホイールレーキ20Aの回転中心となる軸である。
上記回転円板22は、上記中心軸21が中心に配置され、上記中心軸21を軸として回転する。
【0044】
上記レーキ棒23は、上記左ホイールレーキ20Aを構成するもので、上記回転円板22に対し、その回転平面に沿うラジアル状に配置されている。各レーキ棒23は、根元部が上記回転円板22の板面に固定され、先端側が放射状の外向きに延びている。その状態で上記各レーキ棒23は、それぞれの先端部が回転方向(図示の矢印R)の後ろに向かって屈曲されている。上記各レーキ棒23は、所定の回転角度を隔て、一定間隔で上記回転円板22の全周にわたって配置されている。図示した例では24本のレーキ棒23が配置されている。
【0045】
上記連結リング24は、上記各レーキ棒23の長手方向の途中部に固定され、各レーキ棒23を安定させる。この例では、各レーキ棒23の屈曲部よりも少し内側に固定される。上記連結リング24は、上記回転円板22と同心状である。つまり上記連結リング24は、上記中心軸21をその中心にするよう配置されている。
【0046】
〔アーム〕
上記左アーム40Aは、第1パイプアーム41、第2パイプアーム42、軸受ユニット43、アーム取付ユニット44を含んで構成される。上記左アーム40Aの先端部に、上記左ホイールレーキ20Aが軸支される。上記左アーム40Aの根元部は、上記フレーム50のアーム連結部51に取り付けられる。
【0047】
上記第1パイプアーム41と上記第2パイプアーム42は、ともに角パイプであって、上記第1パイプアーム41の先端から上記第2パイプアーム42の根元側が挿通されることにより連結されている。上記第1パイプアーム41の先端部には、挿通された第2パイプアーム42のスライドを固定する固定機構41Aが設けられている。上記第1パイプアーム41に対して第2パイプアーム42を長手方向にスライドさせて任意の位置で固定することができる。上記固定機構41Aを含む上記の構造が、左アーム40Aの長さ調節機構として機能する。
【0048】
上記第2パイプアーム42の先端には、上記軸受けユニット43が取り付けられている。上記軸受けユニット43は、上記左ホイールレーキ20Aの中心軸21を回転可能に軸支するものである。この例では、上記軸受けユニット43は、左アーム40Aの右側(すなわち走行機体1の左右より内側)に、上記左ホイールレーキ20Aを取り付けるようになっている。
【0049】
上記第1パイプアーム41の根元には、上記アーム取付ユニット44が取り付けられている。上記アーム取付ユニット44は、軸44Aと軸受44Bと取付金具44Cとを含んで構成されている。上記軸44Aは、上記軸受44Bに軸支されるともに、上記第1パイプアーム41の根元部分を回動可能に軸支する。上記取付金具44Cは、上記軸44Aと軸受44Bをフレーム50のアーム連結部51に取り付けるためのものである。
【0050】
上記アーム連結部51に上記取付金具44Cが取り付けられることにより、左アーム40Aの根元がフレーム50に対して取付けられる。この状態で、左アーム40Aは根元の軸44Aを軸に上下に揺動可能である。したがって、上記左アーム40Aの上下揺動に伴って左ホイールレーキ20Aが上下動しうるようになっている。また、上記長さ調節機構により左アーム40Aの長さを調節することにより、フレーム50から左ホイールレーキ20Aまでの距離を調節することができる。
【0051】
上記第1パイプアーム41には、その上側に、長手方向に沿って複数(この例では3つ)のアイボルト41Bが取り付けられている。上記アイボルト41Bは、上述したチェーン等の牽引手段55を掛けるフックとして機能し、これにより、上記フレーム50のフック部56と上記アイボルト41Bを牽引手段55で連結する。このような吊上構造により、上記フレーム50に対して上記左アーム40Aを牽引し、吊り上げるように支持する。
【0052】
図4は、上記実施形態の農作物の収穫補助装置を走行機体1の前方から見た図である。
【0053】
上述したように、左右のホイールレーキ20A,20Bと左右のアーム40A,40Bは、左右対称に構成されている。
【0054】
図2(A)を参照してわかるように、上記左右のホイールレーキ20A,20Bは、上記走行機体1の進行方向に向かって前広がりに配置されている。つまり、左右のアーム40A,40Bが、フレーム50のアーム連結部51に対して前広がりに傾斜するように取り付けられている。
【0055】
図3(A)を参照してわかるように、アーム取付ユニット44の軸44Aに対して、所定の角度をもって第1パイプアーム41が軸支されている。これにより、左アーム40Aが、アーム連結部51に対して傾斜角度βをもって取り付けられる。図3(A)は左アーム40Aを示しているが、上述したように左右のアーム40A,40Bは左右対称の構造である。
【0056】
図4を参照してわかるように、上記左右のホイールレーキ20A,20Bは、キャンバー角αがプラスになるよう配置するのが好ましい。つまり、左右のホイールレーキ20A,20Bは、地面に対して垂直よりも上記角度αだけ上部が外に向かって傾斜する状態で配置される。
【0057】
上記構造において、本実施形態の収穫補助装置は、上記走行機体1の走行に伴って、上記左右のホイールレーキ20A,20Bを走行機体1の進行方向Fに向かって押し進めるように構成される。上記走行機体1が走行すると、それに伴って支持構造30および左右のホイールレーキ20A,20Bが押し進められる。このとき、左右のホイールレーキ20A,20Bの各レーキ棒23が圃場の農作物に当たり、その抵抗で左右のホイールレーキ20A,20Bが回転する。回転方向は矢印Rである。
【0058】
このとき、上述したフレーム50に対する左右アーム40A,40Bの吊上構造により、上記支持構造体30は、上記走行機体1の走行に伴って左右のホイールレーキ20A,20Bが押し進められて回転する際、各レーキ棒23が地面に干渉しない程度に、上記左右のホイールレーキ20A,20Bを支持している。たとえば、左右のホイールレーキ20A,20Bが押し進められて回転するときに、各レーキ棒23の先端が、畝9の側面や通路9Aの表面に突き刺さらないように支持することができる(図2参照)。
【0059】
上記吊上構造におけるフレーム50に対する左右アーム40A,40Bの吊り上げ度合いの調節は、たとえばチェーン等の牽引手段55の長さを変えたり、牽引手段55を掛けるアイボルト41Bを変更してフックの位置を変えたりすることにより行うことができる。
【0060】
〔収穫動作〕
本実施形態の収穫装置を取り付けた走行機体1を走行させることにより、上記一対のホイールレーキ20A,20Bを押し進めると、回転する左右のホイールレーキ20A,20Bの掻き寄せ作用により、圃場に散在する農作物が中央に掻き寄せられる。中央に掻き寄せられた農作物を、上記走行機体1の走行に伴って上記ピックアップ手段2がピックアップすることができる。
【0061】
〔収穫機〕
上記実施形態で説明した収穫補助装置を、たとえば図1に示す収穫機に取り付けて本発明の収穫機を構成することができる。
【0062】
〔実施形態の効果〕
上記実施形態は、つぎの作用効果を奏する。
【0063】
上記実施形態は、圃場を走行する走行機体1の前方で農作物をピックアップするピックアップ手段2を備えた収穫機10において、上記農作物のピックアップを補助する。そのために本収穫補助装置は、ホイールレーキ20A,20Bと支持構造体30とを備える。上記ホイールレーキ20A,20Bは、上記ピックアップ手段2の前方において一対が左右対称に配置される。上記ホイールレーキ20A,20Bは、回転円板22と、レーキ棒23と、連結リング24とを含んで構成される。上記レーキ棒23は、上記回転円板22に対し、その回転平面に沿うラジアル状に配置され、かつ先端部が回転方向の後ろに向かって屈曲される。このため、走行機体1の走行に伴って推し進められ、農作物を掻き寄せる際に左右のホイールレーキ20A,20Bが回転するとき、レーキ棒23から茎葉が抜けやすく、ホイールレーキ20A,20Bに茎葉が絡みついて運転不能に陥ることが防止される。さらに、上記連結リング24は、上記レーキ棒23の長手方向の途中部に固定されているため、各レーキ棒23を安定させる。以上のように、本実施形態によれば、圃場に存在する農作物を集めて収穫機による自動収穫が行いやすくなる。
【0064】
上記実施形態は、圃場を走行する走行機体1の前方で農作物をピックアップするピックアップ手段2を備えた収穫機10において、上記農作物のピックアップを補助する。そのために本収穫補助装置は、ホイールレーキ20A,20Bと支持構造体30とを備える。上記ホイールレーキ20A,20Bは、上記ピックアップ手段2の前方において一対が左右に配置される。上記支持構造体30は、上記左右のホイールレーキ20A,20Bを上記走行機体1に対して支持させる。そして、上記走行機体1の走行に伴って、上記ホイールレーキ20A,20Bを押し進めるように構成した。
上記走行機体1を走行させることにより上記一対のホイールレーキ20A,20Bを押し進め、圃場に散在する農作物が左右のホイールレーキ20A,20Bによってその中央に掻き寄せられる。中央に掻き寄せられた農作物を、上記走行機体1の走行に伴って上記ピックアップ手段2がピックアップすることができる。
たとえば、上記農作物として加工用トマトに適用する場合、地這いさせた茎と果実が畝9から通路9Aに滑り落ちていたとしても、上記左右のホイールレーキ20A,20Bによって中央の畝9に掻き寄せることができる。畝9の上に掻き寄せた茎と果実を上記ピックアップ手段2でピックアップすることができる。走行機体1前方のホイールレーキ20A,20Bで果実を畝9に掻き寄せたあと、走行機体1の車輪が通路9Aを走行することになるため、通路9Aの果実を踏み潰してロスすることがない。
以上のように、本実施形態によれば、圃場に存在する農作物を集めて収穫機10による自動収穫が行いやすくなる。
【0065】
上記実施形態は、上記左右のホイールレーキ20A,20Bが、上記走行機体1の進行方向に向かって前広がりに配置されている。
前広がりに配置された左右のホイールレーキ20A,20Bにより、圃場に散在する農作物がその中央に効果的に掻き寄せられる。
【0066】
上記実施形態は、上記左右のホイールレーキ20A,20Bが、キャンバー角αがプラスになるよう配置されている。
つまり、左右のホイールレーキ20A,20Bを地面に対して垂直よりも上部が外に向かって傾斜させた状態で回転させる。これにより、ホイールレーキ20A,20Bのレーキ棒23に地面の近くで絡まった茎葉が、ホイールレーキ20A,20Bの回転に伴って上部に持ち上げられたときに、左右のそれぞれ外側に向かって離れやすくなる。このため、ホイールレーキ20A,20Bに茎葉が絡みついて運転不能に陥ることが防止される。
【0067】
上記実施形態は、上記支持構造体30が、上記走行機体1の走行に伴って左右のホイールレーキ20A,20Bが押し進められて回転する際、各レーキ棒23が地面に干渉しない程度に、上記左右のホイールレーキ20A,20Bを支持している。
このため、走行機体1の走行に伴って推し進められ、農作物を掻き寄せる際に左右のホイールレーキ20A,20Bが回転するとき、各レーキ棒23が地面に突き刺さって運転不能に陥ることが防止される。
【0068】
◆変形例
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を踏まえたさらに各種態様の変形例を包含する趣旨である。
【符号の説明】
【0069】
1:走行機体
1A:走行装置
2:ピックアップ手段
2A:ピックアップコンベア
2B:コンベアフレーム
3:分別装置
4:茎葉排出口
5:側部コンベア
6:後部コンベア
7:収容装置
7A:走行手段
7B:収容コンテナ
7C:無限軌道
8:運転部
9:畝
9A:通路
10:収穫機
20A:左ホイールレーキ
20B:右ホイールレーキ
21:中心軸
22:回転円板
23:レーキ棒
24:連結リング
30:支持構造体
40A:左アーム
40B:右アーム
41:第1パイプアーム
41A:固定機構
41B:アイボルト
42:第2パイプアーム
43:軸受ユニット
44:アーム取付ユニット
44A:軸
44B:軸受
44C:取付金具
50:フレーム
51:アーム連結部
52:後方部材
53:側方部材
54:固定部材
55:牽引手段
56:フック部
図1
図2
図3
図4