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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153136
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像形成装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241022BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241022BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 127B
B41J29/38 203
B41J29/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066785
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】神久 翔
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HJ10
2C061HK05
2C061HK11
2C061HN04
2C061HN15
5C062AA14
5C062AA27
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB08
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE15
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】登録可能なユーザ情報をインポートデータから容易に抽出できる画像形成装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】インポートされた情報を保持可能なストレージと、1以上の命令セットを記憶するメモリと、1以上の命令セットを実行する1以上のプロセッサとを備え、プロセッサは、1以上の命令セットを実行することにより、インポート対象の情報を取得し、ストレージに対して、インポート対象の情報のうちの一部または全てを選択的にインポートする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インポートされた情報を保持可能なストレージと、
1以上の命令セットを記憶するメモリと、
前記1以上の命令セットを実行する1以上のプロセッサと、
を備え、前記プロセッサは、前記1以上の命令セットを実行することにより、
インポート対象の情報を取得し、
前記ストレージに対して、前記インポート対象の情報のうちの一部または全てを選択的にインポートする、画像形成装置。
【請求項2】
ユーザからの指示を受け付ける受付部を更に備え、
前記プロセッサは、
前記受付部で受け付けたユーザの指示に基づいて、前記インポート対象の情報をフィルタリングし、
前記フィルタリングを行うことにより得られた前記インポート対象の情報のうちの前記一部のみを前記ストレージに保持させる、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザに対して情報を表示可能な表示部を更に備え、
前記プロセッサは、前記ストレージに保持させる対象として、前記インポート対象の情報のうちの一部または全ての選択をユーザに促す画面を表示させる、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
取得された前記インポート対象の情報のデータサイズが、前記ストレージにおける空き容量よりも大きいか判定し、
前記データサイズが前記空き容量より大きいと判定された場合に、前記受付部に対して、ユーザからの指示を受け付けさせ、前記インポート対象の情報をフィルタリングする、請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記フィルタリングを行うことにより得られた前記インポート対象の情報のうちの前記一部のデータサイズが、前記ストレージにおける空き容量以下であった場合に、前記インポート対象の情報のうちの前記一部を前記ストレージに保持させる、請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセッサは更に、
前記フィルタリングを行うことにより得られた前記インポート対象の情報の前記一部のデータサイズが前記ストレージにおける空き容量よりも大きいか判定し、
前記インポート対象の情報の前記一部の前記データサイズが前記空き容量より大きいと判定された場合に、前記受付部に対して、ユーザからの指示を再度受け付けさせ、当該指示に基づいて前記インポート対象の情報の前記一部を更にフィルタリングする、請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザに対して情報を表示可能な表示部を更に備え、
前記プロセッサは更に、
前記フィルタリングにより前記ストレージに保持されなかった前記インポート対象の情報を提示すると共に、当該インポート対象の情報のうち、前記ストレージへ保持させるデータの選択をユーザに促す画面を、前記表示部に表示させ、
前記受付部において、前記表示部に表示された前記画面における前記データのうちの一部を選択する旨の指示を受け付けた場合に、当該データのデータサイズが前記ストレージにおける空き容量以下であった場合に、当該データを前記ストレージに保持させる、請求項4記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷用紙に印刷データを印刷可能な印刷部を更に備え、
前記プロセッサは更に、
前記印刷部に対して、前記ストレージに保持されたインポート対象の情報および/または、前記フィルタリングにより前記ストレージに保持されなかったインポート対象の情報に関する画像を印刷させる、請求項2記載の画像形成装置。
【請求項9】
スキャン対象物をスキャン可能なスキャン部を更に備え、
前記印刷部により印刷された印刷物は、前記ストレージに保持されなかったインポート対象の情報のうち、前記ストレージに保持させるデータの選択をユーザに促す画像を含み、
前記プロセッサは更に、
前記スキャン部に対して、前記ユーザの前記選択を受け付けた前記印刷物をスキャンさせ、
前記スキャンの結果に基づいて、前記選択されたデータを前記ストレージに保持させる、請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記スキャンの結果において、前記選択された前記データのデータサイズが前記ストレージにおける空き容量以下であった場合に、前記データを前記ストレージに保持させる、請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記インポート対象の情報は、その要素として、
ユーザ名、ログイン名、ホームディレクトリパス情報、認証サーバ、所属グループ、課金コード、電子メールアドレス、印刷設定、及び特定のインデックスのうちの少なくともいずれかを含み、
前記プロセッサは、前記含まれる要素に基づいて前記インポート対象の情報をフィルタリングする、請求項2記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記インポート対象の情報は、ユーザ毎の所属グループと印刷設定とを含み、
前記印刷設定は、前記所属グループ毎に共通に設定され、
前記プロセッサは、前記印刷設定において許可及び/または禁止された設定に基づいて、前記所属グループをフィルタリングする、請求項2記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記印刷設定は、カラー印刷、モノクロ印刷、ページ集約印刷、印刷物の紙折り、ステープル、またはパンチのいずれかを含む、請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
プロセッサと、インポートされた情報を保持可能なストレージとを備える画像形成装置の制御方法であって、前記プロセッサが
前記画像形成装置へのインポート対象の情報を取得し、
前記ストレージに対して、前記インポート対象の情報のうちの一部または全てを選択的にインポートする、画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複合機(MFP:Multifunction Peripheral)は、当該複合機のユーザのログイン情報などを含むユーザ情報を外部からインポートできる機能を備えている。しかし、複合機が保持可能なユーザ情報には上限がある。この上限は、ユーザ情報を記憶する記憶装置の容量に依存する。特許文献1には、複合機にユーザ情報をインポートする際において登録件数が上限を超える場合には、既に複合機に登録されているユーザ情報を、最終利用日時に基づいて削除して、新たなユーザ情報をインポートする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-096302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術は、ユーザ情報を追加でインポートする場合に主眼が置かれており、例えば画像形成装置の設置時などに新規にユーザ情報をインポートするようなケースは考慮されていない。その結果、新規にユーザ情報をインポートする際には、インポートデータのデータサイズが記憶装置の容量の上限を超える場合がある。そしてこのような場合にユーザは、インポートデータを別のツールやソフトウェアを利用して加工するという手間が発生する懸念がある。
【0005】
1つの側面として、本開示の目的は、登録可能なユーザ情報をインポートデータから容易に抽出できる画像形成装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る画像形成装置は、インポートされた情報を保持可能なストレージと、1以上の命令セットを記憶するメモリと、1以上の命令セットを実行する1以上のプロセッサと、を備え、プロセッサは、1以上の命令セットを実行することにより、インポート対象の情報を取得し、ストレージに対して、インポート対象の情報のうちの一部または全てを選択的にインポートする。
【0007】
本開示の一態様に係る画像形成装置の制御方法は、インポートされた情報を保持可能なストレージを備える画像形成装置の制御方法であって、プロセッサが画像形成装置へのインポート対象の情報を取得し、ストレージに対して、インポート対象の情報のうちの一部または全てを選択的にインポートする。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面として、本開示によれば、登録可能なユーザ情報をインポートデータから容易に抽出できる画像形成装置及びその制御方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る画像形成システムの全体構成図。
図2】一実施形態に係る画像形成装置のブロック図。
図3】一実施形態に係るプロセッサの機能ブロック図。
図4】一実施形態に係るユーザ情報の概念図。
図5】一実施形態に係るディスプレイの表示画面の模式図。
図6】一実施形態に係るディスプレイの表示画面の模式図。
図7】一実施形態に係るディスプレイの表示画面の模式図。
図8】一実施形態に係るディスプレイの表示画面の模式図。
図9】一実施形態に係るインポート結果を印刷した用紙の模式図。
図10】一実施形態に係るインポート結果を印刷した用紙の模式図。
図11】一実施形態に係るディスプレイの表示画面の模式図。
図12】一実施形態に係るインポート結果を印刷した用紙の模式図。
図13】一実施形態に係るディスプレイの表示画面の模式図。
図14】一実施形態に係る画像形成装置における処理の流れを示すフローチャート。
図15】一実施形態の変形例に係るディスプレイの表示画面の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
一実施形態に係る画像形成装置及びその制御方法について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す全体構成図である。図1に示すように画像形成システム1は、画像形成装置2と複数のパーソナルコンピュータ3を備えており、これらは例えば有線または無線のネットワーク4により相互に通信可能に接続されている。本実施形態において画像形成装置2は、コピー機能、印刷機能、及びスキャン機能などの複数の機能を備えたMFPである。
【0012】
本実施形態に係る画像形成システム1では、画像形成装置2が、パーソナルコンピュータ3の複数のユーザで共有される。そのため画像形成装置2は、当該画像形成装置2を使用するユーザに関する情報(以下、ユーザ情報と呼ぶ)を保持する。ユーザ情報は、ユーザ毎に設定されたユーザ名、画像形成装置2を使用する際のパスワード、及び電子メールアドレス等が含まれる。このようなユーザ情報を画像形成装置2に予め登録しておくことで、登録されたユーザは画像形成装置2を使用可能となる。したがって、例えば画像形成装置2を共有するユーザを追加したり、画像形成装置2を別の画像形成装置に置き換えたり、または新規に画像形成装置2を設置したりする際には、画像形成装置2にユーザ情報をインポートする必要がある。しかし、画像形成装置2に登録可能なユーザ情報の件数には限りがあり、上限を超えた場合には、登録すべきユーザ情報を取捨選択する操作が必要となる。本実施形態は、このユーザ情報のインポート処理を簡易にするものであり、より具体的にはインポートデータに含まれる複数のユーザ情報のうち、ユーザが設定した条件に一致するユーザ情報を抽出し、抽出されたユーザ情報をインポートする方法に関する。以下では、このインポート処理に着目して画像形成装置2につき説明し、その他の機能については説明を省略する。
【0013】
まず画像形成装置2の構成について図2を用いて説明する。図2は、画像形成装置2の構成を示すブロック図である。図示するように画像形成装置2は、画像読取部10、画像形成部11、ストレージ12、メモリ13、一時(temporary)メモリ14、通信部15、給紙部16、パネルユニット17、画像処理部18、データ処理部19、及びプロセッサ20を備えている。
【0014】
画像読取部10は、給紙部16の原稿セット台24に載置された読取り対象の原稿を走査して読み取ることにより、画像データを生成する。画像読取部10は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)などのイメージセンサを備えたスキャナ装置である。
【0015】
画像形成部11は、画像読取部10で生成されたデータまたはパーソナルコンピュータ3から送信されたデータに基づく画像を、記録媒体としての用紙に印刷する。画像形成部11は、給紙部16から用紙を給紙し、データに基づく画像を用紙上に印刷した後、これを排紙する。より具体的には、画像形成部11は例えばLSU(Laser Scanning Unit)21を備える。そして、データに基づいてLSU21が感光体ドラムにレーザ光を照射し、照射された領域に、トナーカートリッジから供給されるトナーが付着し、用紙上に画像が形成される。
【0016】
給紙部16は、画像形成部11に対して用紙を供給する。給紙部16は、手差トレイ22、給紙カセット23、及び原稿セット台24を備える。そして、手差トレイ22または給紙カセット23から用紙を画像形成部11に供給する。原稿セット台24は、コピーやスキャン対象となる原稿を載置するためのものである。
【0017】
パネルユニット17は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを備え、これらのディスプレイに各種情報を表示し、ユーザに対して画像形成装置2に関する情報を提示する。更にパネルユニット17は、表示操作部25及び物理操作部26を備えている。表示操作部25及び物理操作部26は、いずれもユーザからの画像形成装置2に対する命令を受け付ける。表示操作部25は、例えば上記したLCDや有機ELディスプレイを介してのユーザ入力が可能なタッチパネルである。この場合、タッチパネルの入力方式としては、例えば抵抗膜式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった方式を採用できる。他方で物理操作部26は、物理的なハードキー(例えばテンキー)やボタンなどである。また表示操作部25は、、プロセッサ20の命令に応答して、上記LCDや有機ELディスプレイの表示内容を制御する。
【0018】
通信部15は、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、電話回線、ファクス回線などのネットワーク4を介して、パーソナルコンピュータ3などの他の装置と有線または無線により通信可能なインターフェースを備える。更に通信部15は、USB(Universal Serial Bus)インターフェースを備える。したがって、例えばUSBメモリを通信部15に接続することによって、USBメモリ内のデータを画像形成装置2内に転送することができる。
【0019】
ストレージ12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどのデータストレージ用のメモリ装置である。そしてストレージ12は、画像形成装置2において形成された画像データや、通信部15を介して外部から転送されたデータを記憶する。先に説明した、インポート処理により画像形成装置2に転送されるユーザ情報も、ストレージ12に保持される。
【0020】
メモリ13は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びフラッシュメモリなどのメモリ装置である。そしてメモリ13は、画像形成装置2の動作を制御するために必要な、1以上の命令セットを含むプログラムや各種データを記憶する。なお、図2ではメモリ13とストレージ12とを異なるメモリ装置として記載しているが、1つのメモリ装置がメモリ13とストレージ12の両方の機能を果たしてもよい。
【0021】
一時メモリ14は、例えばRAMなどのメモリ装置である。一時メモリ14は、前述のインポート処理を行う際において、通信部15を介して転送されたユーザ情報を、一時的に保持する。なお一時メモリ14は、ユーザ情報そのものを保持せずに、ユーザ情報の件数を保持する場合であってもよい。また、ストレージ及び/またはメモリ13が、一時メモリ14としての機能を果たしてもよい。
【0022】
画像処理部18は、画像読取部10で読み取られた画像に関する種々の処理や、印刷に関する処理を行う。例えば画像処理部18は、読み取られた原稿や外部の機器(例えばパーソナルコンピュータ3)から受信した画像データを処理したり、印刷したり、画像データを外部の機器へ送信したりする。画像処理部18は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサである。
【0023】
データ処理部19は、例えばパーソナルコンピュータ3を介してユーザから与えられた命令や、パネルユニット17で受け付けたユーザの命令に従って、画像データに対する種々の処理を行う。データ処理部19は、例えばCPUやGPUなどのプロセッサである。
【0024】
プロセッサ20は、例えばCPUなどである。そしてプロセッサ20は、例えばメモリ13に保持されるプログラムを実行することにより、画像形成装置2全体の動作を制御する。また本実施形態に係るプロセッサ20は、ユーザ情報のインポート時に、メモリ13から読み出したインポート処理用のプログラムを実行することにより、インポート対象のユーザ情報を取得し、ストレージ12に対して、インポート対象のユーザ情報のうちの一部または全てを選択的にインポートする。この際、プロセッサ20は、インポート対象となるユーザ情報を選択できるユーザインターフェースを、パネルユニット17のディスプレイを介してユーザに提供する。なお、プロセッサ20が画像処理部18及びデータ処理部19の機能を果たしてもよい。
【0025】
次に、インポート処理時における上記プロセッサ20の機能について説明する。図3は、インポート処理用のプログラム実行時におけるプロセッサ20の機能ブロック図である。図示するようにプロセッサ20は、インポートデータ取得部30、ストレージ容量確認部31、インポート判定部32、フィルタリング条件設定部33、フィルタリング部34、インポート部35、インポート結果印刷部36、スキャンデータ判定部37、ユーザ命令受付部38、及びパネルユニット制御部39として機能する。
【0026】
インポートデータ取得部30は、通信部15を介してユーザ情報をインポートする際に、外部から受信したインポート対象のユーザ情報を例えば一時メモリ14から取得する。
【0027】
ストレージ容量確認部31は、ストレージ12の空き容量を確認する。より具体的には、ストレージ12において、ユーザ情報を保持する領域における空き容量を確認する。すなわちストレージ容量確認部31は、画像形成装置2において追加登録可能なユーザ情報の件数を確認する。
【0028】
インポート判定部32は、インポートデータ取得部30において取得されたインポート対象のユーザ情報のデータサイズ、または後述するフィルタリング部34で抽出されたユーザ情報のデータサイズが、ストレージ容量確認部31で確認されたストレージ12における空き容量よりも大きいか否かを判定する。換言すれば、データ取得部30で取得されたユーザ情報や、フィルタリング部34で抽出されたユーザ情報をストレージ12に保持させた際に、当該画像形成装置2におけるユーザ情報の登録件数の上限を超えるか否かを判定する。
【0029】
フィルタリング条件設定部33は、ユーザ命令受付部38で受け付けたユーザによる命令に基づいて、インポートデータ取得部30で取得されたユーザ情報のうち、ストレージ12に登録すべきユーザ情報を選別するためのフィルタリング条件を設定する。フィルタリング条件の具体例などについては後述する。
【0030】
フィルタリング部34は、フィルタリング条件設定部33で設定されたフィルタリング条件に基づいて、インポートデータ取得部30で取得されたユーザ情報をフィルタリングする。すなわち、フィルタリング条件に一致するユーザ情報を抽出する。
【0031】
インポート部35は、例えばインポート判定部32の命令に基づいて、インポートデータ取得部30で取得されたインポート対象となるユーザ情報の全て、またはフィルタリング部34でフィルタリングを行うことにより得られたインポート対象のユーザ情報のうちの一部のみを、ストレージ12に保持させる。すなわちインポート部35は、フィルタリング条件設定部33で設定されたフィルタリング条件に一致し、フィルタリング部34で抽出されたユーザ情報を、画像形成装置2に登録する。あるいはインポート部35は、ユーザによる命令に応じて、フィルタリング処理を経ることなく、全てのユーザ情報を画像形成装置2に登録してもよい。またインポート部35は、インポート判定部32において、ユーザ情報の登録件数が上限を超えない場合に、インポート対象のユーザ情報をストレージ12に保持させる。
【0032】
インポート結果印刷部36は、インポート部35によりストレージ12に保持されたユーザ情報および/または、フィルタリング部34によるフィルタリングによりストレージ12に保持されなかったユーザ情報に関する画像を印刷するよう、画像形成部11に対して命令する。より具体的には、インポート結果印刷部36は、例えばユーザ命令受付部38で受け付けたユーザによる命令と、フィルタリング部34及びインポート部35の処理結果とに基づいて、画像形成装置2に登録されたユーザ情報と、登録されなかったユーザ情報とを、予め定められたフォーマットに従って印刷するよう、画像形成部11に命令する。
【0033】
スキャンデータ判定部37は、インポート結果印刷部36の命令によって印刷された用紙が画像読取部10でスキャンされた際に、例えば文字認識機能などにより、スキャンデータの内容を認識する。そしてスキャンデータ判定部37は、必要に応じてインポート判定部32、フィルタリング条件設定部33、及びインポート部35に対して再度のインポートやフィルタリングが必要な旨を通知する。
【0034】
ユーザ命令受付部38は、パネルユニット17における表示操作部25、物理操作部26で受け付けたユーザの命令を取得する。
【0035】
パネルユニット制御部39は、インポート処理におけるユーザとのインターフェースとなる表示画面をパネルユニット17のディスプレイに表示させる。例えばパネルユニット制御部39は、ストレージ12に保持させる対象として、インポートデータ取得部30で取得されたユーザ情報のうちの一部または全ての選択を促す画面を表示させる。
【0036】
次に、本実施形態に係る画像形成装置2におけるインポート処理につき、具体例を挙げて説明する。図4は、画像形成装置2へのインポート対象であるユーザ情報の概念図である。
【0037】
図示するようにユーザ情報は、パーソナルコンピュータ3のユーザ名と、このユーザ名に関連付けられたパスワード、インデックス、電子メール(Eメール)アドレス、ホームディレクトリパス、認証先、所属グループ、使用枚数制限グループ、デフォルト課金コードに関する情報を含む。なお、図4に示すユーザ情報は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。またユーザ情報は、例えばCSV(Comma Separated Value)ファイルや、テキストファイルなどであってよい。
【0038】
本例においてユーザ名は、ユーザの苗字と居所との組み合わせを含む。パスワードは、例えば各ユーザがパーソナルコンピュータ3から画像形成装置2にアクセスする際に必要な情報である。また各ユーザには、ユーザが所属する事業所の例えば県庁所在地名がインデックスとして割り当てられている。電子メールアドレスは、例えばスキャンデータなどを電子メールでユーザに送信する場合などに使用される。ホームディレクトリパスも同様に、例えばスキャンデータなどの情報をパーソナルコンピュータ3に転送する際の宛先を示す情報である。認証先は、ユーザが画像形成装置2を使用する際に、当該ユーザを認証するための認証処理の宛先を示す情報である。所属グループは、例えばユーザの所属する事業所名である。使用枚数制限グループは、印刷用紙の利用制限に関する情報である。本例では、事業所ごとに、コピーや印刷などで使用する用紙の枚数に上限が設けられている。この上限と事業所名とが関連付けられた情報が、使用枚数制限グループとしてユーザ情報に含まれる。デフォルト課金コードは、印刷用紙やトナーなどの消耗品のために発生する費用の支払いに使用されるコードであり、本例では事業所コード毎に課金コードが設定されている。
【0039】
上記のユーザ情報が、画像形成装置2にインポートされる場合の処理につき、特にパネルユニット17のディスプレイ表示の変化に着目しつつ、以下説明する。まず、図4に示すユーザ情報を保持する例えばUSBメモリが、画像形成装置2の通信部15に接続される。なお、ユーザ情報はUSBメモリに限らず、その他の記憶媒体に保持される場合であってもよいし、ネットワークを介して画像形成装置2にアップロードされてもよく、ユーザ情報を画像形成装置2に転送できる方法であれば限定されない。そして、例えばプロセッサ20によりユーザ情報が一時メモリ14に一時的に記憶される。
【0040】
そして、パネルユニット17のディスプレイに表示されるメイン画面において例えば「ユーザデータインポート」をユーザが選択すると、プロセッサ20のパネルユニット制御部39はディスプレイに図5に示す画面を表示させる。図5はパネルユニット17のディスプレイの表示画面の模式図である。本例においてパネルユニット制御部39は、インポートすべきユーザ情報の条件の選択を促すインポートデータ条件ウィンドウ50と、このインポート条件に一致するユーザ情報を示すインポートファイルウィンドウ60とをディスプレイに表示させる。
【0041】
より具体的には、例えばメイン画面において「ユーザデータインポート」が選択されると、プロセッサ20においてインポートデータ取得部30は、ユーザ情報を一時メモリ14から取得する。そしてパネルユニット制御部39が、取得したユーザ情報が保持されているファイル名(CSVファイルなど)をインポートファイルウィンドウ60内に表示させる。またパネルユニット制御部39は、インポートデータ条件ウィンドウ50において、画像形成装置2にインポートするユーザ情報の条件の設定をユーザに促す画面を表示させる。図5の例であると、下記の3つの条件が示されている。
・「全てのデータをインポートする」:インポートデータ取得部30で取得したユーザ情報の全てをインポート対象とする。
・「下記の条件のみインポートする」:ユーザが条件を設定し、その条件を満たすユーザ情報のみをインポート対象とする。
・「ホームディレクトリパスに接続可能なデータのみインポートする」
これらの3つの条件にはそれぞれチェックボックス51~53が表示され、例えば表示操作部25のタッチパネル機能によりユーザによる選択を受け付けることができる。更にウィンドウ50には条件追加ボタン54が表示され、ユーザによる条件追加ボタン54の選択を受け付けることで、複数の条件を設定することができる。
【0042】
図6は、図5においてユーザが条件を設定した際の、パネルユニット17のディスプレイの模式図である。図示するように本例では、図4で説明したユーザ毎に割り当てられた各種情報に基づいて条件を設定する。したがって、チェックボックス52がチェックされる。すると、プロセッサ20のフィルタリング条件設定部33は、ウィンドウ50内において、項目と抽出文字列の選択をユーザに促す。項目は、図4で説明したユーザ名、インデックス、電子メールアドレスなど、ユーザ毎に割り当てられた情報であり、抽出文字列はこれらの情報に含まれる文字列である。図6の例では、まず項目として電子メールアドレスが選択され、文字列として「@*.office.co.jp」がユーザによって選択される。すると、これらの選択をユーザ命令受付部38が受け付け、フィルタリング条件設定部33は、パネルユニット制御部39に対して、この条件を抽出条件としてウィンドウ60に表示させる。すなわち、電子メールアドレスのドメイン名に、「office.co.jp」が含まれるユーザ情報が抽出される。更に条件追加ボタン54が選択されることにより、フィルタリング条件設定部33は更なる条件選択をユーザに促す。この際に選択された条件は、項目がユーザ名であり、文字列が「奈良事業所」である。これらの条件も、フィルタリング条件設定部33は、パネルユニット制御部39に対して抽出条件としてウィンドウ60に表示させる。
【0043】
以上により、図4に示すユーザ情報のうち、インポートすべきユーザ情報の抽出条件が決定する。すなわち、フィルタリング条件設定部33は、電子メールアドレスの文字列の中に「@*.office.co.jp」が含まれ、更にユーザ名に「奈良事業所」が含まれるユーザ情報を抽出条件として設定する。なお、ユーザ情報を保持するファイル(CSVファイルなど)が複数ある場合には、図5の画面において、ユーザに対して複数のファイルのうちのいずれをインポート対象とすべきか、ユーザに選択を促してもよい。その後、抽出条件の設定が行われる。
【0044】
またパネルユニット制御部39は、例えば抽出条件が1つでも設定された段階で、実行ボタン61と条件削除ボタン62をウィンドウ60内に表示させる。実行ボタン61の選択をユーザ命令受付部38が受け付けると、フィルタリング部34が、フィルタリング条件設定部33によって設定された抽出条件に基づいて、ユーザ情報のフィルタリング処理を行い、インポート部35がユーザ情報をインポートする。他方で、条件削除ボタン62の選択をユーザ命令受付部38が受け付けると、フィルタリング条件設定部33は、ユーザの選択に応じて、既に設定されたウィンドウ60内の抽出条件の一部または全ての削除を受け付ける。
【0045】
図7は、図6において実行ボタン61が選択された際のディスプレイの模式図である。実行ボタン61が選択されると、前述したように、フィルタリング部34がフィルタリング処理を行い、ユーザ情報を抽出する。そして、例えば通信部15が、抽出されたユーザ情報に対応する各ユーザにつき、ホームディレクトリパスへの接続を確認し、その旨をメッセージウィンドウ70に表示する。また、ストレージ容量確認部31は、ストレージ12の空き容量を確認する。前述の通りストレージ容量確認部31は、ストレージ12において登録可能なユーザ情報の件数を確認する。この処理は、例えば図5の時点で行われていてもよい。またインポート判定部32は、フィルタリング条件設定部33におけるフィルタリング処理で抽出されたユーザ情報の件数が、ストレージの空き容量に保持できるか判定する。換言すればインポート判定部32は、抽出されたユーザ情報の件数と、既にストレージ12に保持されているユーザ情報の件数との和が、予め定められた上限値を超えるか否かを判定する。
【0046】
上記の結果、ホームディレクトリパスへの接続が可能であり、抽出されたユーザ情報をストレージ12に追加可能と判断された場合に、インポート部35は、抽出されたユーザ情報をストレージ12に保持させる。この際の様子を図8に示す。図8は、図6及び図7と同様にディスプレイの模式図である。
【0047】
図示するように、パネルユニット制御部39は、ディスプレイに登録完了情報ウィンドウ80を表示させ、このウィンドウ80内には、新たにストレージ12に保持されたユーザ情報が表示される。本例の場合、図4において電子メールアドレスに「@*.office.co.jp」が含まれ、更にユーザ名に「奈良事業所」が含まれる下記のユーザ情報が画像形成装置2に新たに登録される。
・山口@奈良事業所
・西村@奈良事業所
・石川@奈良事業所
またパネルユニット制御部39は、ウィンドウ80に終了ボタン81、結果印刷ボタン82、及び追加スキャンボタン83を表示させ、これらのボタン81~83によりユーザの命令を受け付ける。終了ボタン81の選択を受け付けた際には、プロセッサ20はインポート処理を終了する。結果印刷ボタン82の選択を受け付けた際には、インポート結果印刷部36がインポート結果を印刷する。追加スキャンボタン83の選択を受け付けた際には、スキャンデータ判定部37やフィルタリング条件設定部33による条件設定に基づいて、例えば上記と異なる条件でフィルタリング部34がフィルタリング処理を行ってユーザ情報を抽出してインポート部35が画像形成装置2に登録する
【0048】
まず、図8においてユーザによる結果印刷ボタン82の選択をユーザ命令受付部38が受け付けた場合について説明する。この場合、インポート結果印刷部36は、例えばインポート部35やフィルタリング条件設定部33などから、図4に示すユーザ情報のうち、いずれのユーザ情報が画像形成装置2に登録され、いずれのユーザ情報が登録されなかったかの情報を得る。そしてインポート結果印刷部36は、これらの情報を用紙に印刷するよう、画像形成部11に命令する。この際、インポート結果印刷部36は、予め定められたフォーマットに従ってインポート結果を印刷するよう画像形成部11に命令する。
【0049】
図9は、インポート結果印刷部36の命令によって画像形成部11によりインポート結果の印刷された用紙の模式図である。図示するように用紙90には、登録情報領域91と、未登録情報領域92とが区別して印刷される。更に未登録情報領域92には、未登録のユーザ名毎にチェックボックス93が印刷される。
【0050】
ユーザが、未登録のユーザ情報を追加で登録することを希望する場合、図10に示すように、ユーザはチェックボックス93をチェック(マーキング)することができる。図10の例であると、ユーザは、東京事業所に所属するユーザを追加登録するために、対応するチェックボックスを例えば黒で塗りつぶす。そしてユーザがこの用紙90を原稿セット台24に載置し、図8で説明した追加スキャンボタン83を選択する。すると、画像読取部10が用紙90を読み取り、その結果をプロセッサ20のスキャンデータ判定部37に送信する。
【0051】
スキャンデータ判定部37は、例えば文字認識などの機能を用いて、図10に示す用紙90において、未登録情報領域92においてチェックされた未登録情報の有無を判定する。そして、チェックされた未登録情報が存在する場合、例えば図10の例であると、以下の情報をフィルタリング条件設定部33に送信する。
・太田@東京事業所
・清水@東京事業所
・宮本@東京事業所
そして、上記情報に基づいてフィルタリング条件設定部33がフィルタリング条件を設定し、設定された条件に基づいてフィルタリング部34がフィルタリング処理を行って上記3件のユーザ情報を抽出すると共に、ストレージ容量確認部31が、ストレージ12の空き容量を確認する。更に、インポート判定部32によりユーザ情報の追加登録が可能と判定された場合に、インポート部35が、抽出されたユーザ情報をストレージ12に保持させる。
【0052】
するとパネルユニット制御部39は、図11に示すように、ディスプレイに登録完了情報ウィンドウ80を表示させる。図11は、図8と同様に、ディスプレイの模式図である。このウィンドウ80内には、新たにストレージ12に登録されたユーザ情報が表示される。本例の場合、図8に示された登録済みユーザに加えて、新たに追加登録された3つのユーザ情報が表示される。このとき、新たに追加登録されたユーザ情報は、先に登録されていたユーザ情報と区別可能に表示されてもよい。例えば、先に登録されていたユーザ情報は強調表示がされず、新たに追加登録されたユーザ情報が強調表示されてもよい。
【0053】
そして、図11においてユーザによる結果印刷ボタンの選択をユーザ命令受付部38が受け付けた場合、図9と同様に、インポート結果印刷部36は、例えばインポート部35やフィルタリング条件設定部33などから受信した情報に基づいて、いずれのユーザ情報が画像形成装置2に登録され、いずれのユーザ情報が登録されなかったかの情報を、予め定められたフォーマットに従って印刷するよう画像形成部11に命令する。この結果、印刷された用紙90が図12である。
【0054】
なお、図8及び図11においてユーザによる終了ボタン81の選択をユーザ命令受付部38が受け付けた場合、プロセッサ20(例えばインポート部35)はインポート処理を終了する。
【0055】
また上記の例では、図6で説明した条件に基づいてフィルタリング部34がフィルタリングした結果、抽出されたユーザ情報を追加登録した場合に、ストレージ容量確認部31により確認されたストレージ12の空き容量、すなわち登録可能なユーザ情報の上限を超えない場合について説明した。しかし、インポート判定部32により上限を超えると判定された場合には、インポート部35は、抽出されたユーザ情報の登録を行わない。そして例えばインポート判定部32の命令により、パネルユニット制御部39は、ユーザ登録失敗の旨をディスプレイに表示する。この様子を図13に示す。図13は、ディスプレイの模式図である。図示するようにパネルユニット制御部39は、登録失敗結果画面100をディスプレイに表示する。登録失敗結果画面100は、フィルター結果ウィンドウ101、フィルター条件ウィンドウ102、終了ボタン103、及び再操作ボタン104を含む。ウィンドウ101には、フィルタリング部34におけるフィルタリングの結果、抽出されたユーザ情報の件数が表示される。またウィンドウ102には、図6の画面で設定されたフィルター条件が表示される。これらの表示により、設定された条件では抽出されたユーザ情報の件数が多すぎて、ストレージ12に登録可能な上限を超えてしまうことをユーザは認識できる。このとき、ウィンドウ102には、ユーザ情報の件数を何件程度減らせば登録可能であるかの目安が表示されてもよい。
【0056】
図13において、ユーザによる終了ボタン103の選択をユーザ命令受付部38が受け付けた場合、プロセッサ20はインポート処理を終了する。他方で、再操作ボタン104の選択をユーザ命令受付部38が受け付けた場合、パネルユニット制御部39は、図5または図6の画面をディスプレイに表示させ、ユーザに対してインポートデータ条件の追加の入力を促す。ユーザが条件を追加し、図6における実行ボタン61を選択すると、図7以降の処理が開始される。なお、図12に示す用紙90を用いて追加スキャンを行う場合も同様であり、用紙90で抽出されたユーザ情報をストレージ容量の関係で追加できない場合には、図13の画面が表示され、上記と同様の動作が行われる。
【0057】
また図5において、チェックボックス51が選択された際には、フィルタリング条件設定部33は特にフィルタリング条件の設定を行わず、またフィルタリング部34もフィルタリングを行わず、インポート判定部32が、全ユーザ情報の件数と、既にストレージ12に保持されているユーザ情報の件数との和が、予め定められた上限値を超えるか否かを判定する。また図5においてチェックボックス53が選択された際には、フィルタリング部34はホームディレクトリパスに接続可能なユーザ情報のみを抽出し、抽出されたユーザ情報によって上限値を超えるか否かをインポート判定部32が判定する。それ以降の動作は上記の通りである。
【0058】
上記の動作を実行するための処理の流れを、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態に係るインポート処理を示すフローチャートである。
【0059】
図示するように、まずステップS10においてプロセッサ20のインポートデータ取得部30は、ユーザ情報を一時メモリ14から取得する。そしてステップS11においてプロセッサ20は、画像形成装置2に登録すべきユーザ情報を抽出する。具体的には、登録すべきユーザ情報に条件を付与する場合には、図5及び図6で説明したように、フィルタリング条件設定部33がユーザの入力に応じてフィルタリング条件を設定し、フィルタリング部34が、フィルタリング条件設定部33によって設定された条件に基づいて、ユーザ情報のフィルタリング処理を行い、必要なユーザ情報を抽出する。条件を付与しない場合には、一時メモリ14から取得された全てのユーザ情報が抽出される。
【0060】
次にステップS12において、ストレージ容量確認部31がストレージ12の空き容量を確認し、インポート判定部32が、抽出されたユーザ情報の件数と、既にストレージ12に保持されているユーザ情報の件数との和が、予め定められた上限値を超えるか否かを判定する。
【0061】
ステップS12において登録上限を超えない場合(ステップS12でNO)、ステップS13においてインポート部35は、ステップS11で抽出されたユーザ情報をストレージ12に保持させる。すなわち、抽出されたユーザ情報が画像形成装置2に登録される。引き続きステップS14においてパネルユニット制御部39は、図8で説明したようにディスプレイに登録結果画面(登録完了情報ウィンドウ80)を表示させる。そしてステップS15において、終了ボタン81が選択された際には(ステップS15でYES)、プロセッサ20はインポート処理を終了する。
【0062】
ステップS15において終了ボタン81が選択されず、ステップS16において結果印刷ボタン82が選択された際には(ステップS16でYES)、ステップS17においてインポート結果印刷部36が、図9で説明したように登録結果(インポート結果)を印刷する。
【0063】
そしてステップS18において、図10で説明したようにユーザが追加したいユーザ情報のチェックボックス93をマーキングし、ステップS19において図8に示す追加スキャンボタン83が選択されると、ステップS20において画像読取部10が用紙90を読み取り、その結果をスキャンデータ判定部37が読み取る。引き続きステップS21において、フィルタリング部34が、スキャンデータ判定部37で読み取られた結果に基づいて、追加で登録するユーザ情報を抽出する。その後、ステップS12の処理に戻り、インポート判定部32が、抽出されたユーザ情報の件数と、既にストレージ12に保持されているユーザ情報の件数との和が、予め定められた上限値を超えるか否かを判定する。
【0064】
ステップS21またはステップS11の後、ステップS12において、登録上限を超えると判定された場合(ステップS12でYES)、インポート部35は、抽出されたユーザ情報の登録を行わず、ステップS22においてパネルユニット制御部39は、図13で説明したようにユーザ登録失敗の旨をディスプレイに表示する。
【0065】
引き続きステップS23において、再操作ボタン104が選択されると、パネルユニット制御部39は、図5または図6の画面をディスプレイに表示させ、ユーザに対してインポートデータ条件の追加の入力を促す。そしてステップS24においてユーザにより入力された条件を受け付けると、ステップS25においてフィルタリング部34が、フィルタリング条件設定部33によって設定された条件に基づいて、ユーザ情報のフィルタリング処理を行い、ユーザによって選択された条件に対応するユーザ情報を抽出する。そして再度ステップS12の処理を行う。
【0066】
上記のように、本実施形態に係る画像形成装置2であると、インポートされた情報を保持可能なストレージ12と、1以上の命令セットを記憶するメモリ13と、1以上の命令セットを実行する1以上のプロセッサ20とを備える。そしてプロセッサ20は、命令セットを実行することにより、インポート対象の情報(ユーザ情報)を取得し、ストレージ12に対して、インポート対象の情報のうちの一部または全てを選択的にインポートする。
【0067】
本構成によりユーザは、画像形成装置2にユーザ情報をインポートする際に、登録可能なユーザ情報をインポートデータから容易に抽出できる。すなわち、既に画像形成装置2に登録されているユーザ情報はそのままに、外部から画像形成装置2にインポートするユーザ情報を選択的に抽出し、抽出されたユーザ情報を画像形成装置2に登録できる。またこの際、インポート対象のユーザ情報のデータサイズが、ストレージ12の空き容量、換言すれば画像形成装置2に登録可能なユーザ情報の上限を超える場合に、ユーザの指示に基づいてインポート対象のユーザ情報をフィルタリングして、インポート対象のユーザ情報のうちの一部のみをストレージ12に保持させることができる。これにより、例えば画像形成装置の設置時などに、新規にインポートするユーザ情報のサイズが画像形成装置2のストレージ12の記憶容量の上限を超える場合であっても、画像形成装置2とは別のツールやソフトウェアなどを使用してユーザがインポートデータを加工する手間を省くことができる。
【0068】
この際、画像形成装置2は、パネルユニット17のディスプレイに、インポート対象の情報のうちの一部または全ての選択をユーザに促す画面を表示させ(図5図6参照)、また未登録のユーザ情報を表示させると共にこれらの一部またはすべての選択をユーザに促す画面を表示させ、更にフィルタリングによりストレージ12に保持されなかったユーザ情報を印刷し、追加登録対象となるユーザ情報をユーザに選択させて(図10参照)、これをスキャンすることで追加登録を行うことができる。そのため、インポートデータを画像形成装置2で一括して管理ができる。
【0069】
以上のように、ユーザ情報の画像形成装置2へのインポート処理において、インポートデータに含まれるユーザ情報のうち、登録可能なユーザ情報を容易に抽出可能なユーザインターフェースを提供できる。そして、ストレージ12において登録可能な上限内に収まるように、且つユーザの手間を削減しつつ、ユーザ情報を画像形成装置2に登録できる。
【0070】
なお、実施形態は上記説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば図8に示す例では、登録されたユーザ情報のみが表示される例について説明した。しかし、図15に示すように、未登録のユーザ情報が更に表示されてもよい。図15は、上記実施形態の変形例に係るディスプレイの表示画面の模式図であり、図8に対応する。図示するように、ディスプレイには図8と同様に登録されたユーザ情報が表示されると共に、未登録、すなわちフィルタリングの結果除外された未登録のユーザ情報が表示されてもよい。更に未登録のユーザ情報をタッチパネルで選択可能とし、更に追加スキャンボタン83が選択されることで、選択された未登録ユーザ情報に対して図14で説明したステップS11以降の処理が行われてもよい。
【0071】
また上記実施形態では、ユーザがユーザデータインポートを選択した際に、初めに図5に示す画面が表示されて、全てのデータをインポートするか、または条件付きでインポートするかをユーザが選択する場合を例に説明した。しかし、ユーザがユーザデータインポートを選択した際には、ストレージ容量確認部31とインポート判定部32とが、例えばUSBメモリ内の全ユーザ情報をストレージ12に保持させることが可能か否かを判定し、可能である場合には、図5に示す画面が表示されることなく、インポート部35が全ユーザ情報を画像形成装置2に登録する場合であってもよい。そして、ストレージ12の空き容量が十分ではなく、全ユーザ情報をストレージ12に保持させることができない場合に、図5の画面を表示して、フィルタリング処理を行ってもよい。またその際には、図5においてストレージ12の空き容量が十分でない旨のメッセージを表示させつつ、「全てのデータをインポートする」なる選択肢を削除、無効化する等して、選択不可状態にしてもよい。
【0072】
また上記実施形態では、図4に示すようにインポート対象のユーザ情報は、その要素としてユーザ名、パスワード、インデックス(居所)、電子メールアドレス、ホームディレクトリパス情報、認証サーバ、所属グループ、使用枚数制限グループ、及びデフォルト課金コードを含む場合を例に説明した。しかし、ユーザ情報の要素はこれらに限定されるものではない。例えばログイン名、印刷設定、及び特定のインデックスを含むことができる。
【0073】
上記印刷設定は、カラー印刷、モノクロ印刷、ページ集約印刷、印刷物の紙折り、ステープル、及びパンチの少なくともいずれかを含むことができる。更に、例えば所属グループ毎に共通に設定されてもよい。そして、印刷設定において許可及び/または禁止された設定に基づいて、所属グループをフィルタリングする場合であってもよい。一例としては、所属グループとして、東京事業所、福岡事業所、及び奈良事業所が含まれ、印刷設定としてカラー印刷が含まれ、奈良事業所のみがカラー印刷が許可されている、という場合において、プロセッサは、カラー印刷が許可されていることを条件にフィルタリングしてもよい。この場合には、インポート対象のユーザ情報として、カラー印刷が許可されている奈良事業所に属するユーザ情報が、画像形成装置2への登録対象として抽出される。もちろん、これは一例に過ぎず、種々の組み合わせにより抽出条件が設定され得る。
【0074】
更に、上記実施形態において図5図6図7図8図11、及び図13に示すディスプレイの画面は一例に過ぎず、ユーザが抽出条件を容易に選択・認識でき、また登録結果(登録されたユーザ情報(及び未登録のユーザ情報))を認識可能であり、登録失敗結果を容易に認識可能な画面であれば限定されない。
【0075】
また、図9図10、及び図12に示す印刷パターンも一例に過ぎず、少なくとも未登録ユーザ情報のユーザによる選択状況(図10参照)を画像形成装置2が認識可能なように印刷されればよい。この際、前述のように画像形成装置2は文字認識機能によって追加登録対象のユーザ情報を認識できる。また画像形成装置2は一定のフォーマットに従って印刷を行い、用紙90内における位置座標と、当該位置座標に印刷した内容との関係を保持してもよい。そして、未登録のユーザ情報に対応するチェックボックス93の座標にマーキングがなされている場合に、当該ユーザ情報が追加登録対象であると認識してもよい。具体的には、印刷時に画像形成装置2は、未登録情報として「太田@東京事業所」なる内容と、この情報が用紙90に印刷される際の用紙90内の位置座標(x、y)を保持する。その後、図10に示す用紙90をスキャンし、用紙90における位置座標(x、y)に対応するチェックボックス93の位置座標の状況を確認する。そしてチェックボックス93がマーキングされていれば、位置座標(x、y)は「太田@東京事業所」に対応するので、画像形成装置2は「太田@東京事業所」が追加登録対象であると認識できる。もちろん、上記も一例に過ぎず、種々の方法が適用できる。
【0076】
更に上記実施形態では、図1に示すように画像形成装置2がパーソナルコンピュータ3に接続される例を説明したが、パーソナルコンピュータ3に限らず、画像形成装置2にアクセス可能なデバイスであればよく、例えばタブレット端末や、スマートフォンなどの携帯端末であってもよい。また図1の例では、画像形成装置2が複数のパーソナルコンピュータ3に接続される例を説明したが、単一のデバイスであってもよく、この単一のデバイスが複数のユーザによって使用され、且つ各ユーザにユニークなアカウントで画像形成装置2にアクセスされる場合であってもよい。更に上記実施形態では、プロセッサ20が図3に示す機能を実現する場合を例に説明したが、図3の機能の一部が別のプロセッサにより実現される場合や、プロセッサとは別のハードウェアにより実現される場合であってもよく、画像形成装置2として図14に示す処理を実現可能な構成であればよい。
【0077】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態で説明するフローチャートの処理の順序は、可能な限り入れ替えることができる。
【0078】
上記実施形態の機能を実現するプログラムは、半導体媒体や光記録媒体、光磁気記録媒体等の非一時的な記録媒体に格納される。半導体媒体としては、例えば、不揮発性のメモリカード等が適用され得る。光記録媒体、光磁気記録媒体としては、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等が適用され得る。また、上記プログラムは、伝送可能な任意の伝送媒体を介してコンピュータに供給されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…パーソナルコンピュータ、4…ネットワーク、10…画像読取部、11…画像形成部、12…ストレージ、13…メモリ、14…一時メモリ、15…通信部、16…給紙部、17…パネルユニット、18…画像処理部、19…データ処理部、20…プロセッサ、21…LSU、22…手差トレイ、23…給紙カセット、24…原稿セット台、25…表示操作部、26…物理操作部、30…インポートデータ取得部、31…ストレージ容量確認部、32…インポート判定部、33…フィルタリング条件設定部、34…フィルタリング部、35…インポート部、36…インポート結果印刷部、37…スキャンデータ判定部、38…ユーザ命令受付部、39…パネルユニット制御部39、50…インポートデータ条件ウィンドウ、51~53、93…チェックボックス、54…条件追加ボタン、60…インポートファイルウィンドウ、61…実行ボタン、62…条件削除ボタン、70…メッセージウィンドウ、80…登録完了情報ウィンドウ、81…終了ボタン、82…結果印刷ボタン、83…追加スキャンボタン、90…用紙、91…登録情報領域、92…未登録情報領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15