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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153150
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】内窓装置における戸車付き引き戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20241022BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20241022BHJP
   E06B 3/22 20060101ALI20241022BHJP
   E06B 3/968 20060101ALI20241022BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
E06B5/00 B
E06B3/46
E06B3/22
E06B3/968 Z
E05D15/06 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066864
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】592238799
【氏名又は名称】株式会社光モール
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】土本 展秀
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮
【テーマコード(参考)】
2E014
2E034
2E035
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA08
2E014BB07
2E014CA01
2E014CB01
2E034BA04
2E034BD02
2E034DA01
2E035AA01
2E035BA02
2E035CA06
2E035CB06
2E035DB01
2E035DC01
2E239AB03
(57)【要約】
【課題】内窓装置における戸車付き引き戸を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の型材から成る枠体の枠内空間にパネルを嵌入することにより引き戸を構成し、枠体の両端部に位置して、枠体に形成された袴部の収納溝に戸車装置を装入した構成において、前記収納溝(19)に保形フレーム(29)が嵌入されており、前記保形フレーム(29)は、前記収納溝における室外側に臨む第1壁部(20A)と室内側に臨む第2壁部(20B)に関して、第1壁部(20A)に重ねられる変形防止手段(32)と、該変形防止手段を第2壁部(20B)に支持する支持手段(33)を構成し、保形フレームの両端には、前記左右の戸車装置の端面に近接状態で臨む移動防止手段(31)を構成している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設窓の内側に設置される断熱用の内窓装置であり、それぞれ合成樹脂製の型材から成る左右の縦枠(7)(7)並びに上横枠(8)及び下横枠(9)により枠組みされた枠体の枠内空間にパネル(10)を嵌入することにより引き戸(5)を構成し、前記下横枠(9)の両端部に戸車装置(24)を装入しており、
前記縦枠(7)及び上横枠(8)は、枠内空間に臨む開口から前記パネルを嵌入する保持溝(11)を備えた内枠部(12)と、前記保持溝の溝底壁を形成する外枠部(13)を一体形成し、
前記下横枠(9)は、枠内空間に臨む開口から前記パネルを嵌入する保持溝(15)を備えた内枠部(16)と、前記保持溝の溝底壁を形成する外枠部(17)と、前記外枠部の下側で下向き開口状の収納溝(19)を備えた袴部(20)を一体形成し、前記収納溝の溝側壁のうち前記既設窓に臨む一方の溝側壁により第1壁部(24A)を構成し、他方の溝側壁により第2壁部(24B)を構成し、前記袴部の端部を前記縦枠の下端部に接合した状態で前記収納溝(19)を保持溝(11)に連通させ、
前記戸車装置(24)は、前記下横枠の袴部の収納溝(19)に嵌入された第1連結部(25a)と前記縦枠の保持溝(11)に嵌入された第2連結部(25b)を備えた車台(25)と、該車台に軸支され前記収納溝の開口から下向きに突出させられる車輪(26)を備えて成る構成において、
前記下横枠(9)の袴部(20)の収納溝(19)に保形フレーム(29)が嵌入されており、
前記保形フレーム(29)は、前記収納溝の第1壁部(20A)に重ねられる変形防止手段(32)と、該変形防止手段を第2壁部(20B)に支持する支持手段(33)を構成しており、該保形フレームの両端には、前記左右の戸車装置における第1連結部(25a)の端面に近接状態で臨む移動防止手段(31)が構成されて成ることを特徴とする内窓装置における戸車付き引き戸。
【請求項2】
前記保形フレーム(29)は、金属製の角パイプ(30)から成り、断面矩形とされた4辺の壁部のうち、1辺の壁部(30a)により前記変形防止手段(32)を構成し、他辺の壁部(30b,30c,30d)により前記支持手段(33)を構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の内窓装置における戸車付き引き戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内窓装置を構成する合成樹脂から成る枠組みパネル製の引戸であり、戸車装置を設けた戸車付き引き戸に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に、合成樹脂製の型材から成る枠部材にパネルを嵌入した内窓用の引戸を提案した(特許文献1)。また、その技術を発展させた戸車付き引き戸についても提案した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5322189号公報
【特許文献2】特許第6877276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人が提案した従来技術に係る引き戸を図1ないし図7に基づいて説明する。
【0005】
図1に示すように、矩形に枠組みされた框1に内装された既設窓2は、例えば、アルミニウム製のサッシ枠にガラス板を嵌め入れることにより引き戸3、3を構成し、上下框1a、1bに敷設されたレール部材に沿って引き戸3、3を移動することにより窓を開閉する。
【0006】
これに対して、断熱用の内窓4は、合成樹脂製の型材とパネルをセットにしたDIYキットとして、ホームセンター等で提供され、接着剤や、ビスによる締結手段等を必要とせず、ユーザが家庭において簡単容易に枠組みパネルを組み立てることにより引き戸5を製作することができるように構成されている。そして、製作した引き戸5、5は、既設窓2の内側(室内側)に位置して、上下框1a、1bに両面粘着テープ等で敷設したレール部材6に沿って開閉移動自在に搭載される。
【0007】
引き戸5は、図2に示すように、それぞれ合成樹脂製の型材から成る左右の縦枠7、7並びに上横枠8及び下横枠9により枠組みされた枠体の枠内空間にパネル10を嵌入することにより構成されている。
【0008】
前記縦枠7と上横枠8は、同一の型材により構成されている。従って、同一構成部分は同一符号で示している。そこで、縦枠7及び上横枠8は、枠内空間に臨む開口から前記パネル10を嵌入する保持溝11を備えた内枠部12と、前記保持溝11の溝底壁を形成する外枠部13を一体形成している。
【0009】
前記保持溝11の両側の溝壁には、相対向する弾性リップ14が一体に突設されており、これにより、パネル10は、縁部を保持溝11に挿入した状態で、弾性リップ14、14により弾性的に挟持され保持される。即ち、パネル10の両側縁部は、左右の縦枠7、7の保持溝11に挿入されると共に弾性リップ14により保持され、パネル10の上縁部は、上横枠8の保持溝11に挿入されると共に弾性リップ14により保持されている。
【0010】
前記下横枠9は、枠内空間に臨む開口から前記パネル10を嵌入する保持溝15を備えた内枠部16と、前記保持溝15の溝底壁を形成する外枠部17を一体形成しており、この点の構成は、前記縦枠7及び上横枠8と同様である。
【0011】
そして、下横枠9の保持溝15の両側の溝壁には、相対向する弾性リップ18が一体に突設されており、これにより、パネル10の下縁部を保持溝15に挿入した状態で、弾性リップ18、18により弾性的に保持する。この点の構成も、前記縦枠7及び上横枠8と同様である。
【0012】
ところで、下横枠9は、前記外枠部17の下側で下向き開口状の収納溝19を備えた袴部20を一体形成している。
【0013】
袴部20は、前記収納溝19の溝側壁のうち前記既設窓2に臨む一方の溝側壁により第1壁部20Aを構成し、他方の溝側壁により第2壁部20Bを構成しており、両壁部20A、20Bの下端には収納溝19の溝開口を狭窄するリブ21が形成されている。
【0014】
前記パネル10は、合成樹脂により一体成形されており、間隔をあけて配置した一対のシート板22、22の間に多数のウエブ板23を平行に配置した状態で一体化した中空板により構成されている。
【0015】
この際、パネル10は、ウエブ板23を横向き姿勢として、縦枠7、7並びに上横枠8及び下横枠9により枠組みされた枠内空間に嵌入されている。
【0016】
枠組みされた縦枠7、7の下端部と下横枠9の両端部において、下横枠9の袴部20の収納溝19と縦枠7の内枠部12の保持溝11が相互に連通しており、この部分に戸車装置24が装入される。
【0017】
図3は、第1形態の戸車装置24Aを示している。この場合、戸車装置24Aは、第1連結部25aと第2連結部25bを備えた車台25と、該車台25に内装状態で回転自在に軸支された車輪26により構成されており、車輪26の外周一部を車台25の下方に突出させている。
【0018】
そこで、戸車装置24Aは、車台25の第1連結部25aを収納溝19に嵌入すると共に第2連結部25bを保持溝11に嵌入することにより、下横枠9の両端部に内装される。この際、保持溝11の内部で弾性リップ14が第2連結部25bを保持しており、これにより、戸車装置24Aが固定されている。
【0019】
しかしながら、第1形態の戸車装置24Aの場合、図4に示すように、内窓4の開閉に際して、引き戸5が縦框1cに衝当されることにより反力としての衝撃Fを受け、これにより、図4(B)に示すように、第2連結部25bが保持溝11の内部でずれ動き、戸車装置24Aが抜出し方向Mに移動するおそれがある。
【0020】
この点の問題を解決するために、図5に示す第2形態の戸車装置24Bが提案されている。この場合、第2連結部25bは、保持溝11の内部において、弾性リップ14を挿入させる挿入溝27を設け、保持溝11から突設されたリブ11aを嵌入係止する係止溝28を設けている。これにより、第1形態の戸車装置24Aのような抜出し方向Mへの移動が防止されている。
【0021】
ところで、従来技術に係る引き戸に関して、本発明者は、驚くべき問題があることを発見した。この点の問題を図6及び図7に示している。
【0022】
上述のように、内窓4は、既設窓2の室内側に設置された状態で、既設窓2を介して太陽光を受ける。このため、既設窓2と内窓4の間の空間内が極めて高温となる。そして、引き戸5は、室外側に臨む下横枠9の第1壁部20Aが日差しを直接に受けるので、それ以外の部分よりも強く加熱される。
【0023】
このため、図6に示すように、引き戸5の枠組を構成する縦枠7、7並びに上横枠8及び下横枠9のうち、特に、下横枠9の第1壁部20Aが膨張し、その結果、図6及び図7(A)に示すように、下横枠9が室外側に向けて大きく弓形に湾曲することが判明した。因みに、本発明者の知見によれば、上横枠8には、このような弓形の湾曲は認められず、下横枠9だけに特有の現象として見られることが確認された。
【0024】
そこで、下横枠9が弓形に湾曲すると、次のような問題がある。
(1)内窓4の引き戸5は、レール部材6により開閉移動することが目的とされているが、湾曲した袴部20がレール部材6の溝に密嵌状態とされるので、開閉移動不能となる。
(2)袴部20の湾曲により、図7(A)(B)に示すように、戸車装置24の車輪26が偏位するので、レール部材6に沿って転動し得ない状態となる。
(3)第1形態の戸車装置24Aの場合、図7(A)に示すように、袴部20の湾曲方向に追従して、第2連結部25bが縦枠7の保持溝11から抜出し方向Mに向けてずれ動き、固定状態が解かれてしまうおそれがある。
(4)第2形態の戸車装置24Bの場合、図7(B)に示すように、第2連結部25bが保持溝11の内部でコジレを生じるので、内枠部12が押し広げられることにより破損し、あるいは、リブ21が係止溝28の内部で偏位することにより破損するおそれがある。
【0025】
このため、本発明は、このような問題を解決した内窓装置における戸車付き引き戸を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
そこで、本発明が上記課題を解決するための手段として構成したところは、既設窓の内側に設置される断熱用の内窓装置であり、それぞれ合成樹脂製の型材から成る左右の縦枠並びに上横枠及び下横枠により枠組みされた枠体の枠内空間にパネルを嵌入することにより引戸を構成し、前記下横枠の両端部に戸車装置を装入しており、前記縦枠及び上横枠は、枠内空間に臨む開口から前記パネルを嵌入する保持溝を備えた内枠部と、前記保持溝の溝底壁を形成する外枠部を一体形成し、前記下横枠は、枠内空間に臨む開口から前記パネルを嵌入する保持溝を備えた内枠部と、前記保持溝の溝底壁を形成する外枠部と、前記外枠部の下側で下向き開口状の収納溝を備えた袴部を一体形成し、前記収納溝の溝側壁のうち前記既設窓に臨む一方の溝側壁により第1壁部を構成し、他方の溝側壁により第2壁部を構成し、前記袴部の端部を前記縦枠の下端部に接合した状態で前記収納溝を保持溝に連通させ、前記戸車装置は、前記下横枠の袴部の収納溝に嵌入された第1連結部と前記縦枠の保持溝に嵌入された第2連結部を備えた車台と、該車台に軸支され前記収納溝の開口から下向きに突出させられる車輪を備えて成る構成において、前記下横枠の袴部の収納溝に保形フレームが嵌入されており、前記保形フレームは、前記収納溝の第1壁部に重ねられる変形防止手段と、該変形防止手段を第2壁部に支持する支持手段を構成しており、該保形フレームの両端には、前記左右の戸車装置における第1連結部の端面に近接状態で臨む移動防止手段が構成されて成る点にある。
【0027】
好ましい実施形態において、前記保形フレームは、金属製の角パイプから成り、断面矩形とされた4辺の壁部のうち、1辺の壁部により前記変形防止手段を構成し、他辺の壁部により前記支持手段を構成している。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、引き戸5を構成する下横枠9は、袴部20の収納溝19に保形フレーム29を嵌入している。この際、保形フレーム29の両端は、左右の戸車装置24、24における第1連結部25aの端面に近接状態で臨む移動防止手段31を構成しているので、戸車装置24のずれ動きを防止することができる。
【0029】
そして、前記保形フレーム29は、袴部20の収納溝19の室外側に臨む第1壁部20Aと室内側に臨む第2壁部20Bに関して、第1壁部20Aに重ねられる変形防止手段32と、該変形防止手段32を第2壁部20Bに支持する支持手段33を構成しているので、高温環境により第1壁部20Aが熱膨張させられるように加熱されたときでも、袴部20が弓形に湾曲変形することを抑制することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】既設窓に対して内窓を取付ける前の状態を示す斜視図である。
図2】内窓を構成する引き戸の従来技術を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)は上横枠の断面図、(C)下横枠の断面図、(D)は縦枠の断面図である。
図3】従来技術に関して、第1形態の戸車装置を示しており、(A)は縦枠及び下横枠と戸車装置を分解状態で示す斜視図、(B)は縦枠及び下横枠に内装された戸車装置を示す横断面図である。
図4】従来技術に関する第1形態の戸車装置の問題点を示しており、(A)は斜視図、(B)は横断面図である。
図5】従来技術に関して、第2形態の戸車装置を示しており、(A)は縦枠及び下横枠と戸車装置を分解状態で示す斜視図、(B)は縦枠及び下横枠に内装された戸車装置を示す横断面図である。
図6】従来技術に係る引き戸の問題点を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)はA-A線断面図である。
図7】従来技術に係る引き戸の問題点に関して、(A)は全体を示す横断面、(B)は縦枠及び下横枠と第1形態の戸車装置を示す横断面図、(C)縦枠及び下横枠と第1形態の戸車装置を示す横断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る引き戸を示す斜視図である。
図9図8のB-B線断面図である。
図10図8のC-C線断面図である。
図11】(A)は図10のD-D線断面図、(B)は保形フレームを袴部の収納溝に嵌入するときの作用を示す断面図である。
図12】本発明の別の実施形態に係る引き戸を示す斜視図である。
図13図12のE-E線断面図である。
図14】保形フレームの別の実施形態に関し、(A)(B)はそれぞれ実施形態のバリエーションを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図8ないし図14に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0032】
引き戸5の基本的構成は、上述した従来技術と同様である。即ち、引き戸5は、それぞれ合成樹脂製の型材から成る左右の縦枠7、7並びに上横枠8及び下横枠9により枠組みされた枠体の枠内空間にパネル10を嵌入することにより構成され、前記下横枠9の両端部に戸車装置24を装入している。そして、縦枠7、7並びに上横枠8及び下横枠9は、図1ないし図5に示した構成と同一の構成を備えており、従って、それぞれの構成部分は同一符号で示している。尚、戸車装置24は、上述の第1形態の戸車装置24Aと第2形態の戸車装置24Bが選択的に使用される。
【0033】
ところで、パネル10は、一対のシート板22、22の間に多数のウエブ板23を平行配置状態で一体化した合成樹脂製の中空板により構成されており、この点は上述の従来技術と同様であるが、従来技術ではウエブ板23を横向き姿勢として枠内空間に嵌入されているが、本発明の実施形態では、ウエブ板23を縦向き姿勢として枠内空間に嵌入されている。
【0034】
そこで、本発明は、前記下横枠9の袴部20の収納溝19に保形フレーム29を嵌入している。
【0035】
(保形フレームの実施形態)
図8ないし図11に示す実施形態において、保形フレーム29は、アルミニウム等の熱膨張率が小さく、しかも、湾曲方向に変形し難い材質により形成されている。そこで、図示実施形態の場合は、金属製の角パイプ30により形成されており、両端には、左右の戸車装置24、24の第1連結部25aの端面に近接状態で臨まされる移動防止手段31、31が構成されている。
【0036】
保形フレーム29の断面矩形とされた4辺の壁部のうち、即ち、左右2辺となる縦壁部30a、30bと、上下2辺となる上下壁部30c、30dのうち、1つの縦壁部30aを前記収納溝19の第1壁部20Aに重ねることにより変形防止手段32を構成し、その他の縦壁部30b並びに上下壁部30c、30dにより支持手段33を構成している。
【0037】
図11に示すように、前記上壁部30cと縦壁部30a、30bのコーナ部には面取り又はアールを形成することにより挿入ガイド部30eが設けられている。これにより、図11(B)に示すように、袴部20の下方から上壁部30cを収納溝19に押し込むと、挿入ガイド部30eがリブ21、21を押し広げることにより、袴部20の第1壁部20A及び第2壁部20Bが撓んで拡開され、角パイプ29Aを収納溝19に嵌入することができる。
【0038】
嵌入後の角パイプ29Aは、図11(A)に示すように、拡開状態から復元した第1壁部20A及び第2壁部20Bのリブ21、21に係止されることにより保持され、この状態で、縦壁部30a、30bが第1壁部20A及び第2壁部20Bに重ね合わせられている。
【0039】
(作用)
袴部20の収納溝19に嵌入された角パイプ29Aから成る保形フレーム29は、両端の移動防止手段31、31を左右の戸車装置24、24の第1連結部25aの端面に近接状態で臨ませている。従って、戸車装置24は、第2連結部25bを縦枠7の保持溝11に保持された状態で固定される。つまり、第2連結部25bが保持溝11から抜き出される方向への移動を阻止されている。これにより、図4に示した従来技術のように、引き戸5の開閉時における衝撃等により、戸車装置24がずれ動くことはない。
【0040】
また、図6に基づいて説明したように、室外からの日差し等により、引き戸5は、下横枠9における室外側に臨む第1壁部20Aにおいて熱膨張を起こす。この点に関して、第1壁部20Aには、金属製の角パイプ29Aから成る保形フレーム29の変形防止手段32が重ねられているので、弓形に湾曲することが妨げられている。
【0041】
この際、変形防止手段32は、支持手段33を介して、第2壁部20Bに支持されているので、それ自体の変形も阻止されており、金属製の角パイプ30により、第1壁部20A及び第2壁部20Bを剛性一体化することにより、従来技術のような弓形の湾曲変形が防止されている。
【0042】
その結果、高温環境においても、引き戸5の袴部20は、弓形に湾曲変形することが抑制され、所期の直線状の形態を保持することができる。
【0043】
(保形フレームの別の実施形態)
図12及び図13は、保形フレーム29の別の実施形態を示している。この場合、保形フレーム29は、アルミニウム等の押出成形された金属製の型材34により形成されており、両端には、左右の戸車装置24、24の第1連結部25aの端面に近接状態で臨まされる移動防止手段31、31が構成されている。
【0044】
型材34は、断面をH形としており、左右一対の縦壁34a、34bと、両縦壁を連結する横壁34cを備えており、一方の縦壁部34aを前記収納溝19の第1壁部20Aに重ねることにより変形防止手段32を構成し、その他の壁部34b、34cにより支持手段33を構成している。尚、一対の縦壁34a、34bの上端の外側縁には挿入ガイド部34dが設けられている。
【0045】
このような型材34により構成した保形フレーム29は、上述した角パイプ30の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
(保形フレームの更に別の実施形態)
図14は、上記と同じ作用効果を奏することができる保形フレーム29の更に別の実施形態のバリエーションを示している。図14(A)に示す実施形態の場合、保形フレーム29は、金属等を素材として下向き又は上向きに開口する断面溝形の型材35により形成されており、両端には、左右の戸車装置24、24の第1連結部25aの端面に近接状態で臨まされる移動防止手段31、31(図示省略)が構成されている。断面溝形の溝側壁35a、35bと溝底壁35cのうち、一方の溝側壁35aを前記収納溝19の第1壁部20Aに重ねることにより変形防止手段32を構成し、その他の溝側壁35b及び溝底壁35cにより支持手段33を構成している。尚、溝底壁35cの左右外側縁には挿入ガイド部35dが設けられている。
【0047】
図14(B)に示す実施形態の場合、保形フレーム29は、金属等を素材として横向きに開口する断面溝形の型材36により形成されており、両端には、左右の戸車装置24、24の第1連結部25aの端面に近接状態で臨まされる移動防止手段31、31(図示省略)が構成されている。断面溝形の溝側壁36a、36bと溝底壁36cのうち、溝底壁36cを前記収納溝19の第1壁部20Aに重ねることにより変形防止手段32を構成し、その他の溝側壁36a、36bにより支持手段33を構成している。即ち、溝側壁36a、36bは、溝底壁36cから横向きに延びて第2壁部20Bに至る。尚、上側の溝側壁36aの左右外側縁には挿入ガイド部36dが設けられている。
【符号の説明】
【0048】
1 框
1a 上横框
1b 下横框
1c 縦框
2 既設窓
3 引き戸
4 内窓
5 引き戸
6 レール部材
7 縦枠
8 上横枠
9 下横枠
10 パネル
11 保持溝
11a リブ
12 内枠部
13 外枠部
14 弾性リップ
15 保持溝
16 内枠部
17 外枠部
18 弾性リップ
19 収納溝
20 袴部
20A 第1壁部
20B 第2壁部
21 リブ
22 シート板
23 ウエブ板
24 戸車装置
24A 第1形態の戸車装置
24B 第2形態の戸車装置
25 車台
25a 第1連結部
25b 第2連結部
26 車輪
27 挿入溝
28 係止溝
29 保形フレーム
30 角パイプ
30a、30b 縦壁部
30c 上壁部
30d 下壁部
30e 挿入ガイド部

31 移動防止手段
32 変形防止手段
33 支持手段
34 型材
34a、34b 縦壁
34c 横壁
34d 挿入ガイド部
35 型材
35a、35b 溝側壁
35c 溝底壁
35d 挿入ガイド部
36 型材
36a、36b 溝側壁
36c 溝底壁
36d 挿入ガイド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12
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図14