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特開2024-153155プログラム、サーバ、ユーザ端末、情報処理システムおよび情報処理方法
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  • 特開-プログラム、サーバ、ユーザ端末、情報処理システムおよび情報処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153155
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】プログラム、サーバ、ユーザ端末、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20241022BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066871
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】520434950
【氏名又は名称】株式会社スマートバンク
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 晟
(72)【発明者】
【氏名】森口 貴之
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB65
5L055BB65
(57)【要約】
【課題】 給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供する、プログラム、サーバ、ユーザ端末、情報処理システムおよび情報処理方法を得る。
【解決手段】 サーバ(2)は、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部(221)と、給与振込予測情報に基づいて、給与用口座に前払可能な限度額を算出する前払限度額算出部(222)と、給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部(223)と、前払要求が示す要求金額が限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部(224)と、要求金額が限度額の範囲内であると判定された場合に、給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部(225)と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部と、
前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出する前払限度額算出部と、
前記給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部と、
前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部と、
前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部と、を備えるサーバとして機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
さらに、前記給与用口座への過去の給与振込実績に基づいて前記予測金額を算出する予測金額算出部と、を備える前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記予測金額算出部は、前記予測金額を、複数回の過去の給与振込実績に基づいて算出する、
前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、
前記前払処理部は、過去の給与振込実績が予め定められた回数以下の場合、前記前払処理を行わない、
前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、
前記振込予測情報取得部は、前記給与用口座に対する給与の振込予約情報を、前記給与振込予測情報として取得する、
前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記前払要求取得部は、前記給与用口座のユーザが前記給与用口座を管理するためのユーザ端末から、前記前払要求を取得する、
前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
さらに、店舗端末から前記給与用口座を利用した決済についての決済要求を取得する決済要求取得部と、
前記決済要求が示す決済金額に対して前記給与用口座の残高が不足している場合、不足する金額を前記要求金額とする前記前払要求を、前記前払要求取得部に出力する、決済時前払要求部と、
前記決済金額に対して前記残高が不足していない場合、または、前記前払処理が行われる場合には、決済処理を行い、前記決済金額に対して前記残高が不足しておりかつ前記前払処理が行われない場合には、前記決済処理を行わない、決済処理部と、を備える前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
さらに、前記給与用口座に対して前記給与が振り込まれた場合、前記前払処理により前払いされた金額分を清算する清算処理部と、を備える前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、
さらに、前記予測金額と前記前払処理により前払いされた金額とを表示するための表示情報を生成する表示情報生成部と、を備える前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座のユーザが前記給与用口座を管理するためのユーザ端末であって、
前記給与用口座に対する要求金額分の前払を、前記給与用口座を管理するサーバに要求するための操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報を取得すると、前記要求金額を含めた前払要求を前記サーバに送信する、前払要求送信部と、を備えるユーザ端末として機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のプログラムを実行するサーバ。
【請求項12】
請求項10に記載のプログラムを実行するユーザ端末。
【請求項13】
請求項11に記載のサーバと、
請求項12に記載のユーザ端末と、を備えた
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
サーバが実行する情報処理方法であって、
振込予測情報取得部が、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得するステップと、
前払限度額算出部が、前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出するステップと、
前払要求取得部が、前記給与用口座に対する前払要求を取得するステップと、
範囲内外判定部が、前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定するステップと、
前払処理部が、前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行うステップと、を備えた
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、サーバ、ユーザ端末、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュレス決済の普及または送金サービスの多様化が進む中、いわゆる「給与デジタル払い」の導入が進められている。給与デジタル払いにより、従業員等の給与の受取者(以下「給与受取者」という。)は、自身の勤務先の企業等の給与の支払者(以下「給与支払者」という。)に対し、自身の給与の全部または一部の金額を、資金移動業者が提供する当該給与受取者の口座に振込むように指定することが可能になる。
以下、資金移動業者が提供する口座(以下「資金移動口座」という。)であって、かつ、給与受取者によって指定され、給与デジタル払いに利用される口座のことを「給与用口座」という。また、給与デジタル払いを利用する給与受取者を「ユーザ」ともいう。なお、「給与デジタル払い」とは、より正確には「賃金」のデジタル払いであるが、ここでは、「給与」を「賃金」と同義として扱う。
【0003】
ところで、特許文献1には、金融機関の口座に給与振り込みがなされるユーザ(給与受取者)が、給与の前払いにより資金を調達可能な給与前払いシステムが記載されている。この給与前払いシステムは、ユーザの口座に対して給与振込が所定の期間なされていると判断し、ユーザからの給与前払い要求を受け付けると、ユーザの口座に給与の前払いとして第1の金額の振込を行う、給与前払いシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6870126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給与デジタル払いにおいて、給与前払いが行えるとユーザにとっては便利である。このために、特許文献1に記載されたような金融機関の口座に関する従来の技術を、給与デジタル払いに応用することも考えられる。しかし、従来の技術では、前払額は、すべてのユーザに対して同一の固定の金額(例えば、30,000円)とされているか、すべてのユーザに対して同一の固定の上限額以下(例えば、50,000円以下)の金額を任意に指定できるか、にとどまる。
したがって、仮に金融機関の口座に関する従来の技術を給与デジタル払いに応用したとしても、前払額が固定されるかまたはその上限額が固定されることとなり、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供する、プログラム、サーバ、ユーザ端末、情報処理システムおよび情報処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプログラムは、当該プログラムを実行するコンピュータを、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部と、給与振込予測情報に基づいて、給与用口座に前払可能な限度額を算出する前払限度額算出部と、給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部と、前払要求が示す要求金額が限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部と、要求金額が限度額の範囲内であると判定された場合に、給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部と、を備えるサーバとして機能させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムを実行するコンピュータは、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得し、給与振込予測情報に基づいて、給与用口座に前払可能な限度額を算出し、給与用口座に対する前払要求を取得し、前払要求が示す要求金額が限度額の範囲内か否かを判定し、要求金額が限度額の範囲内であると判定された場合に、給与用口座に対する前払処理を行う。
これにより、本発明に係るプログラムは、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係るサーバの構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係るユーザ端末の構成を示すブロック図である。
図4】予測金額等を示す画面および前払要求操作画面の一例を示す図である。
図5】サーバまたはユーザ端末の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態1に係る情報処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
(情報処理システム)
図1は、実施の形態1に係る情報処理システム1の構成を示す図である。図1において、情報処理システム1は、サーバ2、ユーザ端末3および店舗端末4が、ネットワーク5を介して接続されたシステムである。ネットワーク5としては、既存の電気通信回線を利用できる。ネットワーク5は、例えば、インターネットである。サーバ2、ユーザ端末3および店舗端末4は、ネットワーク5を介して互いに通信可能である。
情報処理システム1は、ユーザAおよびユーザAの勤務先である企業等の給与支払者に、給与デジタル払いのサービスを提供する。
【0011】
給与デジタル払いに利用される給与用口座は、資金移動口座であって、かつ、ユーザA等の給与受取者によって給与の入金先として指定された口座である。
給与デジタル払いのサービスを受けようとするユーザAは、予め、資金移動業者に対して所定の口座開設手続きを行い、ユーザAの氏名等を口座名義とする資金移動口座を開設しておく。開設された資金移動口座には、例えば、その資金移動口座に固有のIDが付与される。そして、ユーザAは、ユーザAの勤務先である企業等の給与支払者に対して、開設済みの資金移動口座のIDを特定する等して、その資金移動口座を給与用口座として指定するとともに、給与の全額または一部の額をその給与用口座に振込むように指定するための、給与用口座指定手続きを行う。
【0012】
また、資金移動業者が、プリペイドカード等の前払式支払手段発行者でもある場合は、給与デジタル払いに利用される給与用口座は、予めユーザAによって開設されていた、プリペイドカード用の口座自体であってもよいし、プリペイドカード内に設けられたポケットの1つであってもよいし、プリペイドカード用の口座と紐づけられた他の資金移動口座であってもよい。ポケットとは、プリペイドカード口座の残高管理の利便性を向上させるため、その口座内に、その口座の残高を例えば目的別に振り分けられるように、プリペイドカードのユーザによって任意に作成される1または複数のサブ口座である。
なお、給与用口座として指定可能なプリペイドカード用の口座は、資金移動口座としての役割も有する口座である。
【0013】
サーバ2は、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得し、給与振込予測情報に基づいて、給与用口座に前払可能な限度額を算出し、給与用口座に対する前払要求を取得し、前払要求が示す要求金額が限度額の範囲内か否かを判定し、要求金額が限度額の範囲内であると判定された場合に、給与用口座に対する前払処理を行う。
【0014】
サーバ2は、通常、資金移動業者によって管理または利用されるものであり、ユーザA等のユーザが行った口座開設手続きによって開設された1または複数の資金移動口座を管理するとともに、それらの資金移動口座のうち、ユーザA等によって指定され、給与デジタル払いに利用される資金移動口座である1または複数の給与用口座を管理するものである。
【0015】
サーバ2により行われる給与用口座を含む資金移動口座の管理には、資金移動口座の開設、資金移動口座に対して行われる入金処理もしくは送金処理、または、それらの入金処理もしくは送金処理に伴う等による残高の管理が含まれ得る。なお、送金処理には、振替処理及び振込処理が含まれ得る。
【0016】
また、サーバ2が、前払式支払手段発行者でもある資金移動者によって、管理または利用される場合、サーバ2は、プリペイドカードの口座を管理するものであってもよい。
なお、サーバ2は、物理的に1台のサーバで構成されていてもよく、複数台のサーバで構成されていてもよい。
サーバ2の詳細については、後述する。
【0017】
ユーザ端末3は、ユーザA等の給与用口座のユーザが、自身の給与用口座を管理するための端末装置である。ユーザ端末3は、ネットワーク5を介してサーバ2と通信可能な端末装置あり、例えば、スマートフォン、タブレット端末またはPC(Personal Computer)である。以下では、ユーザ端末3が、スマートフォンであるものとする。ユーザ端末3からサーバ2へのアクセスは、例えば、サーバ2が提供するAPI(Application Programming Interface)にアクセスすることにより行われる。
【0018】
ユーザ端末3は、ユーザAが操作部34(後述)を操作することによって、操作部34から、給与用口座に対する要求金額分の前払を、給与用口座を管理するサーバ2に要求するための操作情報を取得すると、要求金額を含めた前払要求をサーバ2に送信する。サーバ2は、ユーザ端末3から前払要求を取得すると、前払処理等を行う。
また、ユーザ端末3は、ユーザAから操作を受けて、給与用口座に対する入金を指示する情報、給与用口座から他の口座等への送金を指示する情報を、サーバ2等に送信することができる。サーバ2は、ユーザ端末3からこれらの指示を受けると、入金処理または送金処理を行う。ユーザAは、これらのようなユーザ端末3の機能を利用して、サーバ2によって管理されている自身の給与用口座を管理することができる。
ユーザ端末3の詳細については、後述する。
【0019】
店舗端末4は、給与用口座に関連付けられた決済手段(以下単に「決済手段」ともいう。)を使用した決済が可能な加盟店の店舗に設置された端末装置である。例えば、サーバ2は、決済手段を使用した商取引の決済を管理する機能を有するものとする。店舗においてユーザAが決済手段を使用した商取引の決済を行う場合、店舗端末4は、決済手段に関する情報を読み取り、ネットワーク5を介して決済要求をサーバ2に送信する。決済要求には、決済が行われた加盟店の識別情報、および、決済手段に関する情報が含まれる。
【0020】
決済手段は、例えば、仮想的なカードとして発行されるプリペイドカード等を含むスマートフォン等を利用した決済手段、または、物理的なカードとして発行されるプリペイドカード等である。決済手段に関する情報は、少なくとも1つのある給与用口座と紐づけられた決済手段を特定することができる情報(例えば、決済手段がプリペイドカードであれば、そのプリペイドカードに固有のカード番号)を含む情報である。
以下、決済手段を特定することができる情報を、「決済手段ID」という。また、以下、サーバ2の記憶部23(後述)には、給与用口座IDと紐づけて決済手段IDが記憶されているとする。
【0021】
店舗端末4から送信された決済情報を受信すると、サーバ2は、決済情報に含まれる決済手段IDと紐づけられた給与用口座を特定する。次に、サーバ2は、決済額が示す金額を、特定した給与用口座の残高から加盟店側に支払う処理を行う。その際、サーバ2は、例えば、サーバ2が加盟店への支払い処理を行った日時を記憶するとともに、支払い処理後の給与用口座の残高を計算して前記日時と合わせて記憶する。また、サーバ2は、支払処理が終了したことを示す情報を、ユーザ端末3に送信してもよい。
【0022】
なお、店舗端末4が、ネットワーク5を介してサーバ2に決済情報を送信する際に、サーバ2以外の1つまたは複数の他のサーバ(図1において不図示)を経由してもよい。他のサーバは、例えば、クレジットカード会社が提供するサーバである。
また、決済手段を使用した商取引は、ここまで店舗が実店舗である場合の商取引として示したが、ユーザ端末3を操作して行うインターネット上の店舗との商取引でもよい。
【0023】
(サーバの詳細)
図2は、サーバ2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、サーバ2は、通信部21、演算部22および記憶部23を備える。通信部21は、ネットワーク5(図2において、ネットワーク5は示していない)を介して、ユーザ端末3および店舗端末4と通信を行う。
通信部21は、例えば、LTE、3G、4Gまたは5Gなどの通信方式によるモバイル通信が可能な通信装置である通信部を有する、ユーザ端末3または店舗端末4との間で、ネットワーク5を介して通信可能である。
【0024】
演算部22は、サーバ2の全体動作を制御する。演算部22は、振込予測情報取得部221、前払限度額算出部222、前払要求取得部223、範囲内外判定部224、前払処理部225、予測金額算出部226、決済要求取得部227、決済時前払要求部228、決済処理部229、清算処理部230、および、表示情報生成部231の各機能を備える。演算部22が前払アプリケーションを実行することで、演算部22により、振込予測情報取得部221、前払限度額算出部222、前払要求取得部223、範囲内外判定部224、前払処理部225、予測金額算出部226、決済要求取得部227、決済時前払要求部228、決済処理部229、清算処理部230、および、表示情報生成部231の各機能が実現される。
【0025】
記憶部23は、サーバ2として機能するコンピュータが備える記憶装置であり、HDD(Hard Disk Drive)もしくはSSD(Solid State Drive)等のストレージ、または、後述する図5のメモリ103等を含むものである。
なお、記憶部23は、サーバ2がアクセス可能なものであればよく、サーバ2の外部に設けられていてもよい。
【0026】
記憶部23は、前払アプリケーションを記憶し、演算部22の演算処理に用いるデータを記憶する。記憶部23には、例えば、サーバ2が管理する1または複数の給与用口座のそれぞれについて、ユーザAの氏名またはユーザID等のユーザAを特定する情報、ユーザAの給与用口座の給与用口座ID、給与用口座の残高、給与予測金額、前払済みかつ清算前の金額である前払額、および、決済手段IDが対応付けて記憶されている他、1または複数の給与用口座に共通の情報として、限度額算出式が記憶される。
また、いわゆるSaaS(Software as a Service)の態様でネットワーク5を通じてユーザ端末3に給与用口座等の管理機能を提供するために、サーバ2が口座管理用アプリケーションを実行する場合、記憶部23には、口座管理用アプリケーションも記憶される。
【0027】
(振込予測情報取得部)
振込予測情報取得部221は、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額(給与予測金額)を示す給与振込予測情報を取得する。
振込予測情報取得部221は、サーバ2が管理する1または複数の給与用口座のそれぞれについて、毎月、所定の時期に、給与振込予測情報を取得する。所定の時期は、毎日でもよいし、毎月の特定の日付であってもよい。毎月の特定の日付は、毎月における特定の1つの日付であってもよいし、複数の日付であってもよい。複数の日付は、例えば、毎月の初日すなわち1日(ついたち)と初日から所定の日数ごとの複数の日付(1日、6日、11日・・・等の5日ごと等)であり得る。また、複数の日付は、例えば、給与振込が行われた日の翌日と次回の給与振込の予定日の数日前(3~4日前等)の日付というように、給与振込日を基に時期を特定されたものであり得る。
【0028】
所定の時期の特定方法は、資金移動業者によって予め決定される。資金移動業者は、決定した所定の時期の特定方法を記憶部23に記憶させる。所定の時期の特定方法は、ある資金移動業者がサーバ2によって管理するすべての給与用口座に共通する方法であるが、例えば、所定の時期の特定方法が、給与振込日を基に時期を特定する方法である場合は、給与用口座ごとに給与振込日が異なることから、給与用口座ごとに給与振込予測情報が取得される時期は異なり得る。
振込予測情報取得部221は、例えば毎日、記憶部23から所定の時期の特定方法を取得し、その日に給与振込予測情報を取得する対象となる給与用口座を特定し、特定した給与用口座について、給与振込予測情報を取得する。
【0029】
振込予測情報取得部221が、所定の時期に、給与振込予測情報を取得する方法は、例えば、予測金額算出部226によって予め算出され記憶部23に記憶された給与振込予測情報を取得する場合、または、給与用口座に対する給与の振込予約情報を給与振込予測情報として取得する場合がある。それぞれの場合の詳細については、後述する。
【0030】
振込予測情報取得部221は、取得した給与振込予測情報を、前払限度額算出部222に出力する。振込予測情報取得部221は、前払限度額算出部222に給与振込予測情報を出力する際、給与用口座IDを併せて前払限度額算出部222に出力する。また、特に、振込予測情報取得部221が給与用口座に対する給与の振込予約情報を給与振込予測情報として取得する場合、振込予測情報取得部221は、取得した給与振込予測情報としての振込予約情報を、前払限度額算出部222に出力するとともに、記憶部23に出力して記憶させてもよい。
なお、例えば「振込予測情報取得部221が、ある情報を、前払限度額算出部222に出力する」という場合、振込予測情報取得部221が、その情報を、記憶部23を経由して前払限度額算出部222に取得させることも含む。以下、「出力する」という表現は、同様の意味を有する表現として使用される。
【0031】
(前払限度額算出部)
前払限度額算出部222は、給与振込予測情報に基づいて、給与用口座に前払可能な限度額を算出する。
サーバ2の記憶部23には、給与振込予測情報が示す給与の予測金額(以下「給与予測金額」という。)に対し、ユーザAの給与用口座に前払可能な限度額(以下「前払限度額」という。)を、どのように算出するかを規定した限度額算出式が記憶されている。
限度額算出式は、資金移動業者によって予め決定される。資金移動業者は、決定した限度額算出式を記憶部23に記憶させる。限度額算出式は、ある資金移動業者がサーバ2によって管理するすべての給与用口座に共通する式である。
【0032】
限度額算出式は、例えば、「前払限度額=給与予測金額×0.9(100円未満は切り捨て)」、または、「前払限度額=給与予測金額-10000」等の式であり得る。前者の式において給与予測金額に乗算される「0.9」等の乗数もしくは乗算の結果である積において生じた端数をどのように扱うか、または、後者の式において給与予測金額から減算される「10000」等の数値は、例えば、資金移動業者によって任意に決定される。限度額算出式は、給与予測金額に対して、乗算または減算等の演算を複数組み合わせたものであってもよい。また、限度額算出式は、実際の給与の支払い日に近づくほど、金額が大きくなるような式等、金額以外の種々の要素を含めた式であってもよい。
給与予測金額は、あくまで予測であり実際の給与振込額とは異なる場合がある。したがって、資金移動業者は、前払限度額が実際の給与振込額を超える可能性が低くなるように、限度額算出式を決定する。
【0033】
限度額算出式は、前払限度額が資金移動業者によって予め決定された限度額算出式による限度額以下の額となる範囲で、ユーザA等の給与受取者によって調整可能なものであってもよい。
例えば、資金移動業者によって予め設定される限度額計算式が、上述の「前払限度額=給与予測金額×0.9(100円未満は切り捨て)」という式であれば、ユーザAは、給与予測金額に乗算する「0.9」との数値を、0.9以下の任意の数値(例えば0.8)に調整することができる。また、例えば、資金移動業者によって予め設定される限度額計算式が、上述の「前払限度額=給与予測金額-10000」という式であれば、ユーザAは、給与予測金額から減算する「10000」との数値を、「10000」以上の任意の数値(例えば15000)に調整することができる。
【0034】
このように、限度額算出式は、ある資金移動業者がサーバ2によって管理するすべての給与用口座に共通する式をもとに、給与用口座ごとにユーザA等の給与受取者によって調整され得る。この場合、記憶部23には、各給与用口座に固有のID(以下「給与用口座ID」という。)と紐づけて、各ユーザによる調整後の限度額算出式が記憶される。
また、限度額算出式は、ある資金移動業者がサーバ2によって管理する1または複数の給与用口座について、資金移動業者によって給与用口座ごとに個別に設定された式であってもよい。
以下、記憶部23に記憶された限度額算出式は、すべての給与用口座に共通する1つの式のみであり、ユーザA等により調整された給与用口座ごとの式はないものとする。
【0035】
前払限度額算出部222は、振込予測情報取得部221から給与振込予測情報および給与用口座IDを取得すると、記憶部23から限度額算出式を取得する。前払限度額算出部222は、取得した給与振込予測情報が示す給与予測金額と、取得した限度額算出式とに基づき、前払限度額を算出する。
【0036】
前払限度額算出部222は、前払限度額を算出すると、算出した前払限度額と給与用口座IDとを記憶部23に出力する。記憶部23は、前払限度額算出部222から前払限度額と給与用口座IDを取得すると、取得した前払限度額と給与用口座IDとを紐づけて記憶する。前払限度額算出部222は、記憶部23に、既に前払限度額が記憶されている場合、今回算出した新たな前払限度額で上書きする。ただし、記憶部23に前払額が記憶されている場合は、前払限度額算出部222は、今回算出した新たな前払限度額から記憶部23に記憶された前払額を減算した結果の額を、新たな前払限度額として、既に記憶されていた前払限度額に上書きする。
振込予測情報取得部221と前払限度額算出部222による処理は、上述のように、サーバ2が管理する1または複数の給与用口座のそれぞれについて、毎月、所定の時期に行われる。
【0037】
(前払要求取得部)
前払要求取得部223は、給与用口座に対する前払要求を取得する。
前払要求取得部223は、例えば、給与用口座のユーザが給与用口座を管理するためのユーザ端末3から、前払要求を取得する。
ユーザAは、ユーザ端末3の操作部34を利用した前払要求のための操作(以下「前払要求操作」という。)を、給与用口座に対する前払が必要と考えた際にいつでも行うことができる。ユーザ端末3は、ユーザAが操作部34を操作することによって、操作部34から、前払要求操作を示す操作情報を取得すると、前払要求を生成し、生成した前払要求をサーバ2に送信する。以下、このようにユーザAの前払要求操作によって生成される前払要求を、「ユーザ発前払要求」ともいう。
ユーザ発前払要求には、少なくとも、ユーザAが前払を要求する金額である要求金額(以下「ユーザ要求金額」ともいう。)と給与用口座IDとが含まれる。
【0038】
ユーザ端末3が、ユーザAによる前払要求操作を受け付けて、ユーザ発前払要求をサーバ2に送信すると、サーバ2の前払要求取得部223は、ユーザ発前払要求を取得する。前払要求取得部223は、ユーザ端末3からユーザ発前払要求を取得すると、取得したユーザ発前払要求を、範囲内外判定部224に出力する。
【0039】
なお、後述のとおり、前払要求取得部223は、決済時前払要求部228から出力される前払要求も取得し得る。以下、決済時前払要求部228から出力される前払要求を、「決済時前払要求」ともいう。決済時前払要求には、少なくとも、決済時前払要求部228が要求する金額である要求金額(以下「決済時要求金額」ともいう。)と給与用口座IDとが含まれる。前払要求取得部223は、決済時前払要求部228から決済時前払要求を取得した場合も、取得した決済時前払要求を、範囲内外判定部224に出力する。
【0040】
以下の範囲内外判定部224および前払処理部225等の説明において、「前払要求」は、特に断りのない限り「ユーザ発前払要求」および「決済時前払要求」を総称した表現として使用される。また、同説明において、「要求金額」は、特に断りのない限り「ユーザ要求金額」および「決済時要求金額」を総称した表現として使用される。
【0041】
(範囲内外判定部)
範囲内外判定部224は、前払要求が示す要求金額が限度額(前払限度額)の範囲内か否かを判定する。
範囲内外判定部224は、前払要求取得部223から前払要求を取得すると、取得した前払要求に含まれる給与用口座IDに基づいて、記憶部23から、その給与用口座IDと紐づけて記憶された前払限度額を取得する。範囲内外判定部224は、取得した前払要求に含まれる要求金額と、取得した前払限度額とを比較し、要求金額が前払限度額の範囲内か否かを判定する。範囲内外判定部224は、要求金額が前払限度額以下の場合には、要求金額が前払限度額の範囲内であると判定し、要求金額が前払限度額を超えている場合には、要求金額が前払限度額の範囲外であると判定する。
範囲内外判定部224は、要求金額が前払限度額の範囲内か否かを判定すると、その判定結果(以下「範囲内外判定結果」という。)および前払要求を前払処理部225に出力する。
【0042】
(前払処理部)
前払処理部225は、要求金額が限度額(前払限度額)の範囲内であると判定された場合に、給与用口座に対する前払処理を行う。
前払処理部225は、範囲内外判定部224から範囲内外判定結果および前払要求を取得し、取得した範囲内外判定結果が、要求金額が前払限度額の範囲内であると判定されたことを示している場合、取得した前払要求に含まれる要求金額と給与用口座IDとに基づいて、前払処理を行う。
【0043】
前払処理部225は、前払処理において、取得した前払要求に含まれる給与用口座IDに基づいて、記憶部23から、その給与用口座IDと紐づけて記憶された給与用口座の残高を取得する。
そして、前払処理部225は、取得した給与用口座の残高に、取得した前払要求に含まれる要求金額を加算し、要求金額を加算後の残高、および、加算した要求金額(以下「前払額」という。)を、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させる。また、前払処理部225は、記憶部23に記憶された現在の前払限度額から前払額を減算した結果を新たな前払限度額とし、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させる。
【0044】
前払処理部225は、前払処理を行った後、ユーザ端末3に前払処理が終了した旨の通知を表示させるための通知表示情報を生成し、生成した通知表示情報を、通信部21を介して、ユーザ端末3に送信してもよい。または、前払処理部225は、前払処理を行った後、前払処理が終了した旨を示す情報を、表示情報生成部231に出力することで、上述の通知表示情報を表示情報生成部231に生成させるとともに、ユーザ端末3への送信をさせてもよい。
ユーザ端末3は、前払処理が終了した旨の通知を表示させるための通知表示情報を取得すると、表示部33に前払処理が終了した旨の通知を表示する。
【0045】
一方、前払処理部225は、範囲内外判定部224から範囲内外判定結果および前払要求を取得し、取得した範囲内外判定結果が、要求金額が前払限度額の範囲外であると判定されたことを示している場合は、上述の前払処理を行わない。
この場合、前払処理部225は、ユーザ端末3に前払処理が行われなかった旨の通知を表示させるための通知表示情報を生成し、生成した通知表示情報を、通信部21を介して、ユーザ端末3に送信してもよい。または、前払処理部225は、前払処理を行わなかった旨を示す情報を、表示情報生成部231に出力することで、上述の通知表示情報を表示情報生成部231に生成させるとともに、ユーザ端末3への送信をさせてもよい。
ユーザ端末3は、前払処理が行われなかった旨の通知を表示させるための通知表示情報を取得すると、表示部33に前払が行われなかった旨の通知を表示する。
【0046】
なお、前払処理部225は、範囲内外判定部224から範囲内外判定結果および前払要求を取得し、取得した範囲内外判定結果が、要求金額が前払限度額の範囲外であると判定されたことを示している場合は、前払限度額までの前払処理を行うものであってもよい。この場合、前払処理部225は、上述と同様に、ユーザ端末3に前払限度額までの前払処理を行った旨の通知を表示させるための処理を行ってもよい。
【0047】
(給与振込予測情報の取得方法の詳細)
上述のように、振込予測情報取得部221が、所定の時期に、給与振込予測情報を取得する方法は、例えば、予測金額算出部226によって予め算出され記憶部23に記憶された給与振込予測情報を取得する場合、または、給与用口座に対する給与の振込予約情報を給与振込予測情報として取得する場合がある。以下、それぞれの場合の詳細について、順に説明する。
【0048】
(予測金額算出部)
まず、振込予測情報取得部221が、所定の時期に、予測金額算出部226によって予め算出され記憶部23に記憶された給与振込予測情報を取得する場合について説明する。
予測金額算出部226は、給与用口座への過去の給与振込実績に基づいて予測金額(給与予測金額)を算出する。
予測金額算出部226による給与予測金額の算出は、例えば、給与用口座への給与振込後の当日中、または、翌日に行われる。
サーバ2は、過去に、給与用口座への給与振込が行われた際の情報(以下「給与振込実績」という。)を記憶部23に記憶させている。給与振込実績には、給与用口座IDと、給与振込の日時、給与振込額等が含まれる。また、予測金額算出部226が過去の給与振込実績に基づいてどのように給与予測金額を算出するか、すなわち、その算出方法(以下「予測金額算出方法」という。)については、資金移動業者が決定し、予め記憶部23に記憶させておく。
【0049】
予測金額算出部226は、ある給与用口座について、例えば、日付(または日時)が、その給与用口座への給与振込後の所定の時期になると、まず、記憶部23から予測金額算出方法を取得し、取得した予測金額算出方法に従って、当該給与用口座の給与用口座IDと紐づけられた直近の給与振込実績を記憶部23から取得する。予測金額算出部226は、さらに、取得した予測金額算出方法に従って、取得した直近の給与振込実績に含まれる給与振込額を給与予測金額として示す給与振込予測情報を生成する。
予測金額算出部226は、生成した給与振込予測情報を、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させておく。
【0050】
その際、予測金額算出部226は、取得した給与振込実績に含まれる過去の給与振込の日時から予測される次回の給与振込の日時(以下「予測振込日時」という。)を算出し、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させておいてもよい。
【0051】
予測金額算出部226は、予測金額(給与予測金額)を、複数回の過去の給与振込実績に基づいて算出してもよい。
この場合、予測金額算出部226は、ある給与用口座について、例えば、日付(または日時)が、その給与用口座への給与振込後の所定の時期になると、まず、記憶部23から予測金額算出方法を取得し、取得した予測金額算出方法に従って、その給与用口座の給与用口座IDと紐づけられた過去の複数回の給与振込実績を記憶部23から取得する。予測金額算出部226は、さらに、取得した予測金額算出方法に従って、例えば、今回の給与振込額も含めた平均の給与振込額を算出し、算出した平均の給与振込額を給与予測金額として示す給与振込予測情報を生成する。
【0052】
また、予測金額算出部226は、取得した予測金額算出方法に従って、過去の複数回の給与振込実績について、例えば、直近の給与振込実績ほど重視されるように、当該過去の複数回の給与振込実績を加重平均した給与振込額を算出し、算出した給与振込額を給与予測金額として示す給与振込予測情報を生成してもよい。
予測金額算出部226による複数回の給与振込実績に基づく給与予測金額の算出方法については、資金移動業者によって、任意の方法が採用され得る。
【0053】
予測金額算出部226は、生成した給与振込予測情報を、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させておく。また、その際、予測金額算出部226は、取得した複数の給与振込実績に含まれる過去の給与振込の日時から予測される次回の予測振込日時を算出し、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させておいてもよい。
【0054】
なお、上述の過去の複数回としては、例えば、過去の3ヶ月分等の月数が設定される。この月数は、資金移動業者によって、すべての給与用口座に共通に予め設定され、記憶部23に記憶されている。予測金額算出部226は、記憶部23に記憶された過去の給与振込実績が設定された月数に満たない場合は、取得可能な月数分だけに基づいて、給与予測金額を算出する。
また、ユーザAによって、予め給与用口座に対する給与振込額が設定されており、当該設定された給与振込額の情報を入手可能な場合は、予測金額算出部226は、当該設定されている給与振込額を予測給与金額として、記憶部23に記憶させておいてもよい。ただし、実際の給与振込額が、予め設定された給与振込額を下回ることも発生し得る。したがって、このような場合であっても、資金移動業者は、上述のような給与振込実績に基づく予測給与金額の算出を採用し得る。
【0055】
振込予測情報取得部221は、このように予測金額算出部226によって予め算出され記憶部23に記憶された給与振込予測情報を、所定の時期に取得する。
なお、サーバ2によって、記憶部23に記憶される給与振込実績には、給与振込を行った企業等の給与支払者の名称等の、ユーザAの勤務先を特定する情報が含まれていてもよい。ユーザAの勤務先として複数の企業等が存在し、ユーザAがある1つの給与用口座をそれらの勤務先からの給与受取用に共通して指定しており、かつ、それぞれの勤務先によって給与支払日が互いに異なる場合がある。このような場合であっても、給与振込実績に勤務先を特定する情報が含まれていれば、予測金額算出部226は、ユーザAの給与用口座の給与用口座IDと紐づけて、勤務先ごとに、給与予測金額を算出して記憶部23に記憶させておくことができる。そして、振込予測情報取得部221は、勤務先に応じた所定の時期に、記憶部23に記憶された給与振込予測情報を行うことができる。
【0056】
ここで、振込予測情報取得部221が、所定の時期に、予測金額算出部226によって予め算出され記憶部23に記憶された給与振込予測情報を取得する場合、前払処理部225は、過去の給与振込実績が予め定められた回数(以下「判定回数」という。)以下の場合、前払処理を行わないものであってもよい。
【0057】
上述のように、予測金額算出部226は、過去の給与振込実績に基づいて、予測給与金額を算出し、その予測給与金額を示す給与振込予測情報を生成して、記憶部23に記憶させる。
しかし、例えば、予測金額算出部226が直近の給与振込実績を給与予測金額とする場合、仮に、記憶部23に記憶された給与振込実績が0回であれば、給与予測金額を算出することができない。また、例えば、予測金額算出部226が複数回の給与振込実績に基づいて算出された給与振込額を給与予測金額とする場合、仮に、記憶部23に記憶された給与振込実績が複数回に満たなければ、期待どおりの精度で給与予測金額を算出することができないことが考えられる。
【0058】
したがって、資金移動業者は、前払処理部225に前払処理を行わせるために最低限必要な過去の給与振込実績の回数(以下「最低回数」という。)を決定し、仮に、ある給与用口座について、何らかの前払限度額が記憶部23に記憶されている状態で、取得された前払要求が示す要求金額が、前払限度額の範囲内であったとしても、当該給与用口座に対する給与振込実績の回数が、「最低回数-1回」以下であれば、前払処理部225に前払処理を行わせないことができる。この「最低回数-1回」が、判定回数(予め定められた回数)である。資金移動業者は、判定回数を決定し、記憶部23に記憶させておく。判定回数は、1以上の数である。
【0059】
この場合、前払処理部225は、範囲内外判定部224から範囲内外判定結果および前払要求を取得すると、取得した範囲内外判定結果の内容を確認するか否かにかかわらず、前払要求に含まれる給与用口座IDに基づき、記憶部23から、判定回数、および、当該給与用口座IDと紐づけられた給与振込実績を取得する。そして、前払処理部225は、給与振込実績が1回分も取得できなかった場合、または、取得した給与振込実績の回数が判定回数以下であった場合、前払処理を行わない。
一方、前払処理部225は、取得した給与振込実績の回数が判定回数を超えており、かつ、取得した範囲内外判定結果が、要求金額が前記限度額の範囲内であると判定されたことを示している場合にのみ、前払処理を行う。
【0060】
次に、振込予測情報取得部221が、所定の時期に、給与用口座に対する給与の振込予約情報を給与振込予測情報として取得する場合について説明する。
振込予測情報取得部221は、給与用口座に対する給与の振込予約情報を、給与振込予測情報として取得する。
この場合、サーバ2は、例えば、給与用口座IDと紐づけて、ユーザAの勤務先が利用する給与支払システム(不図示)を特定する情報、または、銀行システム(不図示)を特定する情報(例えば、システムのID)を、記憶部23に記憶させておく。また、記憶部23には、給与用口座IDと紐づけて、予測振込日時が記憶される。予測振込日時については、上述のように予測金額算出部226が算出して記憶部23に記憶させてもよいし、サーバ2が有する他の機能部が同様の算出をして記憶部23に記憶させておいてもよい。
【0061】
振込予測情報取得部221は、サーバ2が管理する1または複数の給与用口座のそれぞれについて、例えば、現在の日付が、予測振込日時が示す日付よりも所定日数前の日付になると、記憶部23から給与用口座IDと紐づいて記憶されたシステムのIDを取得し、取得したシステムのIDが示す給与支払システムまたは銀行システムから、API連携等により、その給与用口座に対する次回の給与振込に関する振込予約情報を取得する。
また、振込予測情報取得部221は、予測振込日時が給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶されていない給与用口座については、毎日、給与支払システムまたは銀行システムからの振込予約情報の取得を試みてもよい。
振込予約情報には、これらのシステムが保有する給与振込予定日の情報および給与振込予定額の情報が含まれる。振込予測情報取得部221は、給与支払システムまたは銀行システムが保有していた振込予約情報を、給与振込予測情報として取得する。
【0062】
なお、給与支払システムまたは銀行システムからの振込予約情報を、実際の給与振込の何日前から取得できるか、つまり、上述の予測振込日時が示す日付よりも所定日数前の日付としていつの日付が妥当かは、これらのシステムまたは勤務先に応じて異なるものとなり得る。
このため、サーバ2は、例えば、給与用口座IDと紐づけて、給与支払システムまたは銀行システムのID、および、振込予約情報が実際の給与振込の何日前から取得できるかに関しての情報等を、記憶部23に記憶させておく。
振込予測情報取得部221は、記憶部23に記憶された当該情報等を参照して、現在の日付が、予測振込日時が示す日付よりも所定日数前の日付として振込予約情報を取得可能な日付になると、上述のシステムにアクセスして、振込予約情報を取得する。振込予測情報取得部221は、その日付に振込予約情報が取得できなかった場合、または、後日により正確な振込予約情報が得られる場合を考慮し、以降、実際に給与振込が行われるまで、例えば毎日、上述のシステムにアクセスして、振込予約情報を取得する。
【0063】
以上、振込予測情報取得部221が、所定の時期に、給与振込予測情報を取得する方法として、予測金額算出部226によって予め算出され記憶部23に記憶された給与振込予測情報を取得する場合、または、給与用口座に対する給与の振込予約情報を給与振込予測情報として取得する場合のそれぞれの詳細について、説明した。
振込予測情報取得部221は、これら2つの方法のいずれか1つのみが採用されたものであってもよいし、これらの2つの方法が両方とも採用されたものであってもよい。
【0064】
例えば、前者の方法、つまり、予測金額算出部226によって予め算出され記憶部23に記憶された給与振込予測情報を取得する場合、次回の給与振込についての給与振込予測情報は、次回の給与振込がなされる相当前、最も早い場合には、直近の給与振込がなされた直後に取得することができる。一方で、この前者の方法では、給与振込予測情報の精度は、後者の方法よりは高くはない。
これに対し、後者の方法、つまり、給与用口座に対する給与の振込予約情報を給与振込予測情報として取得する場合、次回の給与振込についての給与振込予測情報は、次回の給与振込がなされる数日前にならないと取得することができない。一方、この後者の方法では、給与振込予測情報の精度は、前者の方法よりも高い。
【0065】
したがって、振込予測情報取得部221は、直近の給与振込が行われた直後(例えば翌日)からは、前者の方法を利用して給与振込予測情報を取得し、現在の日付が、予測振込日時が示す日付よりも所定日数前の日付になると、後者の方法を利用して給与振込予測情報を取得するものであってもよい。
これによって、振込予測情報取得部221は、直近の給与振込が行われた直後から給与振込予測情報を取得することができ、前払限度額算出部222により算出される前払限度額を最新の給与振込を反映した額に更新しつつ、給与振込日に近づくと、より精度の高い給与振込予測情報に基づき、前払限度額算出部222に、より精度の高い前払限度額を算出させることができる。
【0066】
また、振込予測情報取得部221が後者の方法のみが採用されたものである場合、サーバ2が管理する1または複数の給与用口座のすべてについては、給与支払システムまたは銀行システムを特定する情報が得られるとは限らないため、給与用口座の一部については、振込予測情報取得部221が給与振込予測情報を取得できないことも想定され得る。
これに対し、振込予測情報取得部221が前者の方法および後者の方法の両方が採用されたものである場合は、給与支払システムまたは銀行システムを特定する情報が得られていない給与口座についても、少なくとも前者の方法によって、給与振込予測情報を取得し得る。
【0067】
(給与用口座への入金が給与振込による入金か否かの判定)
ところで、上述のように、サーバ2は、過去に給与用口座への給与振込が行われた際の情報、すなわち、給与振込実績を記憶部23に記憶させている。
しかしながら、給与用口座は、ユーザAが給与支払者に対して給与用口座指定手続きを行うことによって給与用口座として指定され、また、他の資金移動口座とは異なり振替設定情報が紐づけられ得るものの、給与用口座は、通常の資金移動口座としての役割も有するものであるため、給与用口座には給与以外の資金が入金されることがある。
したがって、サーバ2は、給与用口座に給与以外の資金が入金される場合は、給与振込実績を記憶部23に記憶させるために、給与用口座に対する入金が給与振込によるものであるか否かを判定する必要がある。以下、その判定方法について説明する。
【0068】
サーバ2は、例えば、給与用口座への入金が給与振込によるものであるか否かを、給与用口座の設定時に登録された給与用口座のユーザAの勤務先を特定する情報に基づいて判定(以下「判定例1」という。)してもよい。
ユーザAの勤務先の企業等が、ユーザAの給与用口座への給与の振込を行う方法としては、例えば、当該企業等が有する銀行口座(以下「企業銀行口座」という。)から給与用口座へと給与振込としての入金を行う方法、または、その企業等が、給与用口座を提供する資金移動業者と同じ者が提供する資金移動口座(以下「企業資金移動口座」という。)を開設し、企業資金移動口座から給与用口座へ送金する方法があり得る。
【0069】
いずれの方法であっても、例えば、企業銀行口座を管理する銀行システムとサーバ2との連携を行う際、または、企業等が企業資金移動口座を開設する際に、ユーザAの勤務先の名称等を含む勤務先を特定する情報は、サーバ2によって自動的に取得され得るか、または、サーバ2を管理もしくは利用する資金移動業者によって取得され得る。
取得された勤務先を特定する情報は、給与用口座IDと紐づけて、記憶部23に記憶される。サーバ2は、ある給与用口座IDを有する給与用口座への入金を行った者が、記憶部23において、その給与用口座IDと紐づけて記憶された勤務先を特定する情報に対応する者であると、その入金が給与振込によるものであると判定する。
なお、ユーザAの勤務先として、複数の企業等が存在する場合、記憶部23には、1つの給与用口座IDと紐づけて、複数の企業等それぞれについての複数の勤務先を特定する情報が記憶され得る。
【0070】
サーバ2は、給与用口座への入金が給与振込によるものであるか否かを、給与用口座への過去の給与振込時に給与用口座のユーザAが登録したカテゴリ情報に基づいて判定(以下「判定例2」という。)してもよい。カテゴリ情報は、給与用口座に対して行われた入金処理、または、送金処理のそれぞれについて、例えば、ユーザAがユーザ端末3を操作することによって、付与された情報である。
ユーザAは、ユーザ端末3を利用した給与用口座の管理の1つとして、給与用口座に対して過去に行われた入金処理および送金処理の履歴を、サーバ2の記憶部23から取得して、表示させることができる。ユーザ端末3は、ユーザAから履歴を表示させる操作を受けると、サーバ2にアクセスし、履歴取得要求を送信する。履歴取得要求には、給与用口座IDが少なくとも含まれる。また、履歴取得要求には、ユーザAによって指定された履歴取得の対象となる期間(例えば、過去1か月等)を示す情報が含まれていてもよい。
【0071】
ユーザ端末3は、サーバ2から履歴を取得すると、履歴を例えばリスト形式で表示し、リスト中の各入金処理の履歴に、その入金処理の日時と入金を行った者の名称と入金額を併せて表示し、各送金処理の履歴に、その送金処理の日時と送金先の者の名称と送金額を併せて表示する。
【0072】
また、ユーザ端末3は、リスト中の各入金処理の履歴と各送金処理の履歴と併せて、カテゴリ選択を可能とするプルダウンメニューまたはカテゴリ入力を可能とする記入欄を表示する。ユーザAは、プルダウンメニューまたは記入欄を利用して、カテゴリ情報を入力することができる。例えば、選択可能なカテゴリには、少なくとも「給与」を示すカテゴリが含まれる。ユーザAは、一部の履歴のみにカテゴリを付与してもよいし、全部の履歴にカテゴリを付与してもよい。
【0073】
ユーザ端末3は、ユーザAによって、カテゴリを付与する操作および付与したカテゴリを確定する操作がなされると、サーバ2にアクセスして、各入金処理の履歴と各送金処理の履歴と紐づけて、それぞれの履歴に付与されたカテゴリを示すカテゴリ情報を送信する。
サーバ2は、ユーザ端末3から、カテゴリ情報を取得すると、それぞれの履歴に付与されたカテゴリを示すカテゴリ情報を記憶部23に記憶させるとともに、少なくとも「給与」を示すカテゴリが付与された入金処理に関して、入金を行った者の名称を、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させる。
なお、ユーザAの勤務先として、複数の企業等が存在する場合、記憶部23には、1つの給与用口座IDと紐づけて、複数の企業等それぞれの名称が記憶され得る。
【0074】
サーバ2は、ある給与用口座IDを有する給与用口座への入金を行った者が、記憶部23において、その給与用口座IDと紐づけて記憶された名称に対応する者であると、その入金が給与振込によるものであると判定する。
【0075】
サーバ2は、判定例1および判定例2の両方を利用して、入金が給与振込によるものであるか否かを判定してもよい。判定例1および判定例2の両方を利用する判定方法としては、いずれかの判定例に基づく判定結果が、入金が給与振込によるものであることを示す場合は、入金が給与振込によるものであると判定する方法、または、両方の判定例に基づく判定結果が、入金が給与振込によるものであることを示す場合にのみ、入金が給与振込によるものであると判定する方法等がある。
【0076】
なお、サーバ2は、履歴に含まれる入金金額または日時と、入金要求が示す入金額または日時を利用して、入金要求が給与振込か否かを判定してもよい。
また、サーバ2は、銀行システムから、給与振込を指示する情報(以下「給与振込指示情報」という。)を取得する場合に、給与振込指示情報に含まれる摘要情報に基づいて入金が給与振込か否かを判定してもよい。
また、サーバ2は、判定例1または判定例2を利用した判定と摘要情報を利用した判定を両方行い、いずれか一方の判定において給与振込と判定されれば最終的に給与振込と判定してもよいし、両方の判定において給与振込と判定された場合のみ最終的に給与振込と判定してもよい。
また、サーバ2は、企業等が給与振込用に企業資金移動口座を有しているのであれば、その企業資金移動口座からの入金要求による入金を給与振込と判定してもよい。
【0077】
判定例1または判定例2等に示したように、サーバ2は、給与用口座に給与以外の資金が入金される場合であっても、その入金が給与振込によるものであるか否かを判定することができる。サーバ2は、給与振込によるものであると判定すると、上述のように、給与振込実績を記憶部23に記憶させることができる。
【0078】
サーバ2は、給与用口座が常に給与振込のみがなされる給与専用の口座である場合には、給与用口座に対する入金が給与振込によるものであるか否かを判定する必要はない。
つまり、サーバ2は、給与専用の口座である給与用口座に対し入金があった場合には、給与振込がなされたと判定(以下「判定例3」という。)してもよい。
判定例1において示したとおり、例えば、企業銀行口座を管理する銀行システムとサーバ2との連携を行う際、または、企業等が企業資金移動口座を開設する際に、ユーザAの勤務先の名称等を含む勤務先の情報は、サーバ2によって自動的に取得され得るか、または、サーバ2を管理もしくは利用する資金移動業者によって取得され得る。そして、取得された勤務先の情報は、給与用口座IDと紐づけて、記憶部23に記憶される。
なお、判定例3においても、ユーザAの勤務先として、複数の企業等が存在する場合、記憶部23には、1つの給与用口座IDと紐づけて、複数の企業等それぞれについての複数の勤務先の情報が記憶され得る。
【0079】
判定例3では、サーバ2は、給与専用の口座として設定された給与用口座の給与用口座IDを指定した入金要求があると、まず、その入金要求が、記憶部23において、その給与用口座IDと紐づけて記憶された名称に対応する者からの要求であるか否かを判定することを前提とする。
サーバ2は、入金要求が、給与用口座IDと紐づけて記憶された名称に対応する者からの要求ではないと判定した場合、入金処理の実行を拒否する。一方、サーバ2は、入金要求が、給与用口座IDと紐づけて記憶された名称に対応する者からの要求であると判定した場合、入金処理を実行する。
または、判定例3では、サーバ2は、銀行システムから、給与振込指示情報を取得する場合に、給与振込指示情報に含まれる摘要情報に基づいて入金が給与振込か否かを判定し、給与振込と判定された場合にのみ、入金処理を実行するものであることを前提としてもよい。
【0080】
また、判定例3の場合、サーバ2は、上述の名称を利用した判定と摘要情報を利用した判定を両方行い、いずれか一方の判定において給与振込と判定されれば入金処理を行うことを前提としてもよいし、両方の判定において給与振込と判定された場合のみ入金処理を行うことを前提としてもよい。
また、判定例3の場合、サーバ2は、企業等が給与振込用に企業資金移動口座を有しているのであれば、その企業資金移動口座からの入金要求のみを許容することを前提としてもよい。
また、判定例3の場合、サーバ2は、履歴に含まれる入金金額または日時と、入金要求が示す入金額または日時を利用して、入金要求が給与振込か否かを判定して、給与振込と判定された場合のみ入金要求を許容することを前提としてもよい。
【0081】
サーバ2は、給与専用の口座である給与用口座に対して入金があった場合は、給与振込がなされたと判定する。
なお、例えば、サーバ2は、すべての給与用口座を給与専用の口座として管理するものであってもよいし、給与受取者が口座開設手続きを行う際または口座開設後に、資金移動口座を給与専用の口座とするか否かを選択でき、給与受取者が資金移動口座を給与専用の口座とすることを選択した場合のみ、サーバ2は、その資金移動口座を、給与専用の口座である給与用口座として管理するものであってもよい。
【0082】
ユーザA等の給与受取者が給与用口座を給与専用の口座とするか否かを選択できる場合、サーバ2は、記憶部23に、給与用口座IDと紐づけて、給与専用の口座か否かを示すフラグを記憶させておく。フラグは、例えば、給与専用の口座の場合は「1」、給与専用の口座ではない場合、つまり、給与振込以外の入金も許容する口座の場合は「0」とされる。
サーバ2は、ある給与用口座IDを有する給与用口座に対して、入金要求があると、記憶部23において、給与用口座IDと紐づけて記憶されたフラグを確認し、フラグが「1」である場合のみ、上述の処理を行う。
【0083】
(決済要求取得部)
決済要求取得部227は、店舗端末4から給与用口座を利用した決済についての決済要求を取得する。
ユーザAは、給与用口座に関連付けられた決済手段を使用して商取引の決済を行うことができる。店舗においてユーザAが決済手段を使用した商取引の決済を行う場合、店舗端末4は、決済手段に関する情報を読み取り、決済要求をサーバ2に送信する。決済要求には、決済金額、決済が行われた加盟店の識別情報、および、決済手段ID等の決済手段に関する情報が含まれる。
サーバ2の決済要求取得部227は、店舗端末4から決済要求を取得すると、取得した決済要求を、決済時前払要求部228に出力する。
【0084】
(決済時前払要求部)
決済時前払要求部228は、決済要求が示す決済金額に対して給与用口座の残高が不足している場合、不足する金額を要求金額とする前払要求(決済時前払要求)を、前払要求取得部223に出力する。
決済時前払要求部228は、決済要求取得部227から決済要求を取得すると、決済要求に含まれる決済手段IDに基づき、記憶部23から、決済手段IDと紐づけて記憶された給与用口座IDとその給与用口座IDが示す給与用口座の残高を取得する。決済時前払要求部228は、取得した決済要求に含まれる決済金額と、取得した残高とを比較して、決済金額に対して残高が不足しているか否かを判定する。
【0085】
決済時前払要求部228は、決済金額と残高との比較の結果、決済金額に対して残高が不足していると判定した場合、不足する金額を要求金額(決済時要求金額)とする前払要求(決済時前払要求)を生成し、生成した決済時前払要求および取得した決済要求を、前払要求取得部223に出力する。決済時前払要求には、少なくとも、決済時前払要求部228が要求する金額である決済時要求金額と給与用口座IDとが含まれる。
前払要求取得部223は、決済時前払要求部228から決済時前払要求および決済要求を取得すると、取得した決済時前払要求および決済要求を範囲内外判定部224に出力する。範囲内外判定部224は、前払要求取得部223から決済時前払要求および決済要求を取得すると、上述のとおりの判定を行い、範囲内外判定結果および決済時前払要求を前払処理部225に出力するとともに、範囲内外判定結果および決済時前払要求を、決済処理部229に出力する。
前払処理部225は、範囲内外判定部224から範囲内外判定結果および決済時前払要求を取得すると、範囲内外判定結果に応じて、上述のとおりの処理を行う。
【0086】
一方、決済時前払要求部228は、決済金額と残高との比較の結果、決済金額に対して残高が不足していないと判定した場合、残高および決済要求を決済処理部229に出力する。
【0087】
なお、決済時前払要求部228は、決済金額と残高との比較を行う前に、記憶部23から、決済手段IDと紐づけて記憶された給与用口座IDが示す給与用口座の残高と前払限度額とを取得し、取得した残高と前払限度額の合計額と、取得した決済要求に含まれる決済金額とを比較して、決済が可能か否を判定してもよい。
この場合、決済時前払要求部228は、決済が不可能と判定すると、例えば、その旨を決済処理部229に送信する。決済処理部229は、店舗端末4に、決済を承認しない旨の情報を送信する。
また、この場合、決済時前払要求部228は、決済が可能と判定すると、次に上述の決済金額と残高との比較を行い、決済金額が残高よりも大きい場合に残高の不足分の前払要求(決済時前払要求)を行う。その際、決済時前払要求部228は、後述のように、決済処理部229が決済処理において店舗端末4に決済を承認した旨の情報を送信することに代えて、決済時前払要求部228自体が、店舗端末4に決済を承認した旨の情報を送信してもよい。また、その際、範囲内外判定部224は、決済時前払要求が示す要求金額が限度額の範囲内か否かを判定する処理などを省略してもよく、さらに、仮に、前払要求取得部223が決済時前払要求のみを取得する構成とされるならば、範囲内外判定部224自体を不要としてもよい。
また、上述では、決済時前払要求部228が、取得した残高と前払限度額の合計額と、取得した決済要求に含まれる決済金額とを比較して、決済が可能か否を判定したが、この判定については、決済時前払要求部228が行うことに代えて、範囲内外判定部224または図示しないその他の機能部が行ってもよい。
【0088】
(決済処理部)
決済処理部229は、決済金額に対して残高が不足していない場合、または、前払処理が行われる場合には、決済処理を行い、決済金額に対して残高が不足しておりかつ前払処理が行われない場合には、決済処理を行わない。
決済処理部229は、決済金額に対して残高が不足していない場合、決済時前払要求部228から、残高および決済要求を取得し、決済処理を行う。決済処理部229は、決済処理において、当該残高から当該決済要求に含まれる決済金額を減算して、減算後の残高を、決済要求に含まれる決済手段IDと紐づく給与用口座IDが示す給与用口座の残高として、当該給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させる。また、決済処理部229は、決済処理において、店舗端末4に、決済を承認した旨の情報を送信する。
【0089】
また、決済処理部229は、範囲内外判定部224から範囲内外判定結果、決済時前払要求および決済要求を取得し、取得した範囲内外判定結果が範囲内であることを示しており、前払処理が行われる場合、決済処理を行う。決済処理部229は、決済処理において、決済要求に含まれる決済手段IDと紐づく給与用口座IDが示す給与用口座の残高を0として、当該給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させる。また、決済処理部229は、決済処理において、店舗端末4に、決済を承認した旨の情報を送信する。
【0090】
また、決済処理部229は、範囲内外判定部224から範囲内外判定結果、決済時前払要求および決済要求を取得し、取得した範囲内外判定結果が範囲外であることを示しており、決済金額に対して残高が不足しておりかつ前払処理が行われない場合、決済処理を行わない。この場合、決済処理部229も前払処理部225も、給与用口座の残高に対して何ら変更を行わない。決済処理部229は、店舗端末4に、決済を承認しない旨の情報を送信する。
【0091】
なお、前払処理部225が、範囲内外判定部224から範囲内外判定結果および決済時前払要求を取得した後、範囲内外判定結果が範囲内を示していた場合の前払処理のタイミングは、決済処理部229による決済処理のタイミングと前後しても同時であってもよい。どのようなタイミングであっても、前払処理部225は、決済時前払要求に含まれる決済時要求額を、前払額として、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させる。また、決済処理部229は、上述のように残高を0として、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させ、店舗端末4には、決済を承認した旨の情報を送信する。
【0092】
なお、ユーザAは、自身の給与用口座から決済を行う場合に、決済時前払要求部228の機能を使用するか否かを選択できるものであってもよい。ユーザAが決済時前払要求部228の機能を使用しないことを選択した場合は、決済要求に含まれる決済金額に対して給与用口座の残高が不足していると、決済処理は行われない。
【0093】
(清算処理部)
清算処理部230は、給与用口座に対して給与が振り込まれた場合、前払処理により前払いされた金額分を清算する(以下「前払分清算処理」という。)。
清算処理部230による前払分清算処理は、給与用口座への給与振込後に行われる。サーバ2は、自身が管理する給与用口座に対して給与振込が行われると、清算処理部230に給与振込が行われたことを示す情報(以下「給与振込情報」という。)を出力する。給与振込情報には、給与振込が行われた給与用口座の給与用口座ID、給与振込額、および、給与振込の日時等が含まれる。
【0094】
清算処理部230は、給与振込情報を取得すると、前払分清算処理を行う。前払分清算処理において、清算処理部230は、記憶部23から、前払額情報と、給与振込情報に含まれる給与用口座IDと紐づけられた残高とを取得する。清算処理部230は、取得した残高から前払額情報に含まれる前払額を減算し、減算後の残高を、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させるとともに、前払額を0として、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させる。または、前払処理時に手数料がかかる場合は、清算処理部230は、取得した残高から前払額情報に含まれる前払額および前払時の手数料を減算し、減算後の残高を、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させるとともに、前払額を0として、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させる。この際、清算処理部230は、さらに、前払分清算処理を行った日時または清算を行った前払額を、給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させてもよい。
【0095】
清算処理部230は、残高が前払額に対して不足しており、前払額の全額を清算できない場合は、前払分清算処理において、残高を0として記憶部23に記憶させるとともに、現在の前払額から残高を減算した残りを新たな前払額として、新たな前払額の清算を次の給与振込まで持ち越してもよい。
または、清算処理部230は、残高が前払額に対して不足しており、前払額の全額を清算できない場合は、前払分清算処理において、残高も前払額も変更することなく、清算を次の給与振込まで持ち越してもよい。
【0096】
なお、清算処理部230は、前払額の全額の前払分清算処理ができない場合、その回数のカウント値を給与用口座IDと紐づけて記憶部23に記憶させておき、その回数が所定回数以上(例えば2回以上)になった場合は、所定期間中(例えば、現在存在する前払額についてその全額分の前払分清算処理が終了するまでの間)は、当該給与用口座IDが示す給与用口座についての前払処理を不可としてもよい。
【0097】
(表示情報生成部)
表示情報生成部231は、予測金額(給与予測金額)と前払処理により前払いされた金額(前払額)とを表示するための表示情報を生成する。
振込予測情報取得部221と前払限度額算出部222による処理は、上述のように、サーバ2が管理する1または複数の給与用口座のそれぞれについて、毎月、所定の時期に行われる。振込予測情報取得部221が給与振込予測情報を取得し、前払限度額算出部222が前払限度額を算出すると、表示情報生成部231は、その時点での、給与振込予測情報が示す給与予測金額、および、記憶部23に記憶された前払額を、ユーザ端末3の表示部33に表示するための表示情報(以下「予測金額等表示情報」という。)を生成する。
表示情報生成部231は、予測金額等表示情報を生成すると、生成した予測金額等表示情報を、ユーザ端末3に送信する。
【0098】
(ユーザ端末3の詳細)
図3は、ユーザ端末3の構成を示すブロック図である。図3に示すように、ユーザ端末3は、通信部31、演算部32、表示部33、操作部34、および、記憶部35を備える。
【0099】
通信部31は、他の機器との通信を行うための通信インタフェースである。通信部31は、例えば、LTE、3G、4Gまたは5Gなどの通信方式によるモバイル通信が可能な通信装置であり、ネットワーク5(図3ではネットワーク5は示していない)を介して、サーバ2等の他の機器(図3には図示していない)と通信を行う。また、通信部31は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信手段を備えていてもよい。
【0100】
演算部32は、ユーザ端末3の全体動作を制御する。演算部32は、操作情報取得部321および前払要求送信部322の各機能を備える。前払要求アプリケーションがユーザ端末3にインストールされている場合、演算部32が前払要求アプリケーションを実行することで、演算部32により、操作情報取得部321および前払要求送信部322の各機能が実現される。また、前払要求アプリケーションがサーバ2において実行されるものである場合、演算部32がサーバ2からの指示を受けることで、演算部32により、操作情報取得部321および前払要求送信部322の各機能が実現される。
【0101】
表示部33は、ユーザ端末3が備える表示装置である。表示部33は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)表示装置である。
【0102】
操作部34は、ユーザ端末3が備える表示部33の画面表示に対する操作を受け付ける入力装置である。例えば、ユーザ端末3がスマートフォンまたはタブレット端末である場合、操作部34は、表示部33の画面と一体に設けられたタッチパネルである。また、ユーザ端末3がPCである場合は、操作部34は、例えばマウスまたはキーボードである。
【0103】
記憶部35は、ユーザ端末3として機能するコンピュータが備える記憶装置であり、HDDもしくはSSD等のストレージ、または、図5のメモリ103等を含むものである。記憶部35は、前払要求アプリケーションを記憶し、演算部32の演算処理に用いるデータを記憶する。なお、記憶部35は、ユーザ端末3がアクセス可能なものであればよく、ユーザ端末3の外部に設けられていてもよい。
【0104】
(操作情報取得部)
操作情報取得部321は、給与用口座に対する要求金額分の前払を、給与用口座を管理するサーバ2に要求するための操作情報を取得する。
操作情報取得部321は、ユーザAがユーザ端末3の操作部34を操作することによって、操作部34から、給与用口座に対する要求金額(ユーザ要求金額)分の前払を、給与用口座を管理するサーバ2に要求するための操作を示す操作情報を取得すると、操作情報を前払要求送信部322に出力する。操作情報には、ユーザ要求金額を示す情報が含まれている。
【0105】
(前払要求送信部)
前払要求送信部322は、操作情報を取得すると、要求金額(ユーザ要求金額)を含めた前払要求(ユーザ発前払要求)をサーバ2に送信する。
前払要求送信部322は、操作情報取得部321から操作情報を取得すると、ユーザ発前払要求を生成し、生成したユーザ発前払要求を、サーバ2に送信する。ユーザ発前払要求には、少なくとも、ユーザAが前払を要求する金額であるユーザ要求金額と給与用口座IDとが含まれる。
前払要求送信部322が、ユーザ発前払要求をサーバ2に送信すると、サーバ2の前払要求取得部223が、ユーザ発前払要求を取得する。以後、サーバ2は上述の各種処理を行う。
【0106】
図4を参照して、ユーザ端末3が表示情報生成部231から予測金額等表示情報を取得した場合に、ユーザ端末3の表示部33に表示される予測金額等を示す画面33Aと、画面33Aが表示された後、ユーザAが前払要求のための操作をする際に表示される画面33Bおよび33Cの具体例について説明する。図4は、予測金額等を表示する画面および前払要求操作画面の一例を示す図である。図4は、給与デジタル払いに利用される給与用口座がプリペイドカード口座である場合を示している。
ユーザ端末3が表示情報生成部231から予測金額等表示情報を取得すると、ユーザ端末3は、まず、例えば、図4の左端の画面33Aを表示部33に表示する。画面33Aは、予測金額等を示す画面の一例である。
【0107】
画面33Aの表示欄331には、現在のカードの残高が10,000円であること、および、「(0)」との表記により、カード残高のうち前払額が0円であることが表示されている。また、画面33Aの表示欄332には、12月15日(水)における通知として、「12月25日の給与振込予測額」および「給与予測額:100,000円」との表記により、12月25日に給与振込が予測され、その給与振込の予測額が100,000円である旨の通知が表示されている。また、表示欄332には、「給与振込予測額内で前払要求が可能です。」という表記により、現時点で、100,000円以内の前払要求が可能であることが表示されている。
【0108】
なお、この表記例は、限度額計算式が、例えば「前払限度額=給与予測金額×1.0」または「前払限度額=給与予測金額-0」との式のいずれかである場合、つまり、給与予測金額自体を前払限度額とする場合の表記である。
仮に、限度額計算式が「前払限度額=給与予測金額×0.9(100円未満は切り捨て)」または「前払限度額=給与予測金額-10000」の場合には、表示欄332には、「給与振込予測額内で前払要求が可能です。」という表記に代えて、例えば、「90,000円以下の額の前払要求が可能です。」との表記が表示される。
【0109】
画面33Aにおける表示欄332の下には、「前払要求をする」と表記されたボタン333が表示されている。ボタン333は、ユーザAが前払要求のための操作を開始する場合に操作するボタンである。
ユーザAがボタン333を操作すると、表示部33には、図4の左から2番目の画面33Bが表示される。
【0110】
画面33Bには、「前払要求」というタイトルの下に、ユーザAがテンキー337を使用して入力した前払要求金額を表示するための表示欄334が、「前払要求金額」という表記とともに表示されている。図4の画面33Bの例では、表示欄334には「70,0000円」との金額が表示されている。
表示欄334の下には、「キャンセル」と表記されたボタン335が表示され、さらに、ボタン335の下には、「前払要求を確定」と表記されたボタン336が表示されている。ボタン335は、ユーザAが前払要求の操作を中止する場合に操作するボタンである。ボタン336は、ユーザAが表示欄334に表示された前払要求額で、前払要求を確定する場合に操作するボタンである。ボタン336の下には、上述のテンキー337が表示されている。テンキー337は、ユーザAが前払要求額を入力するためのものである。
【0111】
ユーザAがボタン335を操作すると、表示部33には画面33Aが表示される。また、ユーザAがボタン336を操作すると、表示部33には、図4の左から3番目の画面33Cが表示される。
画面33Cの表示欄338には、12月15日(水)における通知として、画面33Aの場合にも表示されていた表示欄332の上に、新たな通知として表示欄338が表示されている。表示欄338には、「前払完了」、「前払額:70,000円」および「12月25日給与振込予測額:100,000円」との表記により、12月25日に給与振込が予測され、その給与振込の予測額が100,000円であることとともに、その給与振込の予測額のうち70,000円を前払額とする前払が完了したことが表示されている。
また、表示欄331には、上述の前払が完了したことにより、現在のカードの残高が80,000円であること、および、「(70,000)」との表記により、カード残高のうち前払額が70,000円であることが表示されている。
【0112】
なお、表示欄338には、給与振込の予測額が100,000円のうち、今回の前払要求により70,000円が前払されたことにより、現時点では残りの30,000円が前払限度額になっている旨が表示されてもよい。
【0113】
(プログラム)
図5は、サーバ2またはユーザ端末3の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。例えば、サーバ2の機能を実現する演算部22は、ハードウェア構成として通信インタフェース100、入出力インタフェース101、プロセッサ102およびメモリ103を有する。演算部22が備える振込予測情報取得部221、前払限度額算出部222、前払要求取得部223、範囲内外判定部224、前払処理部225、予測金額算出部226、決済要求取得部227、決済時前払要求部228、決済処理部229、清算処理部230、および、表示情報生成部231の各機能は、これらのハードウェア構成によって実現される。
【0114】
通信インタフェース100は、通信部21によって、ネットワーク5を介して、ユーザ端末3または店舗端末4から受信されたデータをプロセッサ102へ出力し、プロセッサ102が生成したデータを、ネットワーク5を介してユーザ端末3または店舗端末4へ送信する。プロセッサ102は、入出力インタフェース101を介して、記憶部23に対するデータの読み書きを制御する。
【0115】
振込予測情報取得部221、前払限度額算出部222、前払要求取得部223、範囲内外判定部224、前払処理部225、予測金額算出部226、決済要求取得部227、決済時前払要求部228、決済処理部229、清算処理部230、および、表示情報生成部231の各機能を実現するためのアプリケーションプログラム(前払アプリケーション)は、メモリ103に記憶されている。メモリ103は、例えば、サーバ2として機能するコンピュータが備える半導体メモリである。プロセッサ102は、入出力インタフェース101を介して記憶部23からメモリ103にロードしたプログラムを実行する。これにより、プロセッサ102は、振込予測情報取得部221、前払限度額算出部222、前払要求取得部223、範囲内外判定部224、前払処理部225、予測金額算出部226、決済要求取得部227、決済時前払要求部228、決済処理部229、清算処理部230、および、表示情報生成部231の各機能を実現する。
【0116】
また、ユーザ端末3の機能を実現する演算部32は、ハードウェア構成として、通信インタフェース100、入出力インタフェース101、プロセッサ102およびメモリ103を有する。演算部32が備える、操作情報取得部321および前払要求送信部322の各機能は、これらのハードウェア構成により実現される。
【0117】
通信インタフェース100は、通信部31により、ネットワーク5を介して各機器から受信されたデータをプロセッサ102へ出力し、プロセッサ102が生成したデータを、ネットワーク5を介して各機器へ送信する。プロセッサ102は、入出力インタフェース101を介して、操作部34から操作情報を取得し、表示部33の表示を制御する。
【0118】
前払要求アプリケーションがユーザ端末3にインストールされている場合、操作情報取得部321および前払要求送信部322の各機能を実現するためのアプリケーションプログラム(前払要求アプリケーション)は、メモリ103に記憶されている。メモリ103は、例えば、スマートフォンに搭載された半導体メモリである。
【0119】
前払要求アプリケーションがユーザ端末3にインストールされている場合、プロセッサ102は、入出力インタフェース101を介して記憶部35からメモリ103にロードされたプログラムを実行する。これにより、プロセッサ102は、操作情報取得部321および前払要求送信部322の各機能を実現する。
【0120】
(情報処理方法)
図6は、実施の形態1に係るサーバ2が実行する情報処理方法を示すフローチャートである。
振込予測情報取得部221が、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得する(ステップST1)。
【0121】
前払限度額算出部222が、給与振込予測情報に基づいて、給与用口座に前払可能な限度額を算出する(ステップST2)。
前払要求取得部223が、給与用口座に対する前払要求を取得する(ステップST3)。
範囲内外判定部224が、要求金額が限度額の範囲内か否かを判定する(ステップST4)。例えば、前払要求が示す要求金額が限度額の範囲内ではないと判定された場合(ステップST4;NO)、図6の一連の処理が終了され、再度、ステップST1からの処理が繰り返される。
【0122】
一方、要求金額が限度額の範囲内であると判定した場合(ステップST4;YES)、前払処理部225が、給与用口座に対する前払処理を行う(ステップST5)。
なお、ステップST1およびステップST2の各処理は、ステップST3の前に行われるのではなく、ステップST3の後に行われてもよい。
【0123】
なお、サーバ2の機能としては、少なくとも、振込予測情報取得部221、前払限度額算出部222、前払要求取得部223、範囲内外判定部224、および、前払処理部225の機能を備えていればよく、予測金額算出部226、決済要求取得部227、決済時前払要求部228、決済処理部229、清算処理部230、および、表示情報生成部231は、任意に付加される機能である。
【0124】
以上のように、実施の形態1に係るサーバ2は、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額(給与予測金額)を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部221と、給与振込予測情報に基づいて、給与用口座に前払可能な限度額(前払限度額)を算出する前払限度額算出部222と、給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部223と、前払要求が示す要求金額が限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部224と、要求金額が限度額の範囲内であると判定された場合に、給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部225と、を備える。
したがって、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1のプログラム(前払アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できる。
【0125】
実施の形態1に係るサーバ2は、給与用口座への過去の給与振込実績に基づいて予測金額(給与予測金額)を算出する予測金額算出部226を備えるものであってもよい。
この場合、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、給与用口座への過去の給与振込実績に基づいて予測金額を算出することができる。これにより、実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、ユーザAの給与用口座に対して実際に過去に振込まれた給与額に応じて、給与予測金額が算出され、その給与予測金額に応じた前払限度額が算出されるため、給与デジタル払いのユーザAに対し、ユーザA自身の過去の給与額の実績に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できる。
【0126】
実施の形態1に係るサーバ2において、予測金額算出部226は、予測金額(給与予測金額)を、複数回の過去の給与振込実績に基づいて算出するものであってもよい。
この場合、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、複数回の過去の給与振込実績に基づいて給与予測金額を算出することができる。これにより、実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、ユーザAの複数回の過去の給与振込実績を考慮した、適切な前払限度額を算出することができる。
【0127】
実施の形態1に係るサーバ2において、前払処理部225は、過去の給与振込実績が予め定められた回数以下の場合、前払処理を行わないものであってもよい。
この場合、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、給与用口座に対するユーザAの給与振込実績が不足しているために、適切な給与予測金額の算出および前払限度額の算出ができないと考えられる場合に、前払処理を禁止することができる。
【0128】
実施の形態1に係るサーバ2において、振込予測情報取得部221は、給与用口座に対する給与の振込予約情報を、給与振込予測情報として取得するものであってもよい。
この場合、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、例えば、ユーザAの勤務先が利用する給与支払システムまたは銀行システムから取得可能な振込予約情報を給与振込予測情報として取得するため、過去の給与振込実績に基づく給与予測金額に比べて、より正確な給与予測金額を示す給与振込予測情報を取得することができる。
【0129】
実施の形態1に係るサーバ2において、前払要求取得部223は、給与用口座のユーザAが給与用口座を管理するためのユーザ端末3から、前払要求(ユーザ発前払要求)を取得するものであってもよい。
この場合、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、ユーザAは、自身が所望するタイミングかつ所望する金額の前払要求を行うことができる。
【0130】
実施の形態1に係るサーバ2は、店舗端末4から給与用口座を利用した決済についての決済要求を取得する決済要求取得部227と、決済要求が示す決済金額に対して給与用口座の残高が不足している場合、不足する金額を要求金額(決済時要求金額)とする前払要求(決済時前払要求)を、前払要求取得部223に出力する、決済時前払要求部228と、決済金額に対して残高が不足していない場合、または、前払処理が行われる場合には、決済処理を行い、決済金額に対して残高が不足しておりかつ前払処理が行われない場合には、決済処理を行わない、決済処理部229と、を備えるものであってもよい。
この場合、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、ユーザAが給与用口座と関連付けられた決済手段を使用して商取引の決済を行う場合に、仮に、給与用口座の残高が不足していた場合にも、自動的に前払処理が行われ、決済を行うことができる。このように、実施の形態1に係るプログラムは、店舗端末4からの決済要求に対して、残高のみに基づく決済可否の回答を店舗端末4に行うことなく、残高が不足していても前払いによって決済が可能な場合は、自動で前払処理が実行されることで、店舗端末4において決済エラーを発生させることなく、決済を行うことができる。
【0131】
実施の形態1に係るサーバ2は、給与用口座に対して給与が振り込まれた場合、前払処理部225により前払いされた金額(前払額)分を清算する清算処理部230を備えるものであってもよい。
この場合、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、給与用口座に給与が振込まれた場合には、前払額を自動的に清算することができる。
【0132】
実施の形態1に係るサーバ2は、予測金額と前払処理により前払いされた金額(前払額)とを表示するための表示情報(予測金額等表示情報)を生成する表示情報生成部231を備えるものであってもよい。
この場合、コンピュータをサーバ2として機能させる実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、予測金額等表示情報を生成できる。実施の形態1に係るプログラムは、予測金額等表示情報をユーザ端末3に送信することで、ユーザAに対して、現時点での給与予測金額と既に前払された前払額を認識させることができ、ユーザAは、これらの情報を参考に、自身が意図する金額の前払要求を行うことができる。
【0133】
実施の形態1に係るユーザ端末3は、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座のユーザが給与用口座を管理するためのユーザ端末3であって、給与用口座に対する要求金額分の前払を、給与用口座を管理するサーバに要求するための操作情報を取得する操作情報取得部321と、操作情報を取得すると、要求金額を含めた前払要求をサーバに送信する、前払要求送信部322と、を備える。
したがって、コンピュータをユーザ端末3として機能させる実施の形態1のプログラム(前払要求アプリケーション)は、当該コンピュータによって実行されることで、サーバ2と協働して、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できる。
【0134】
実施の形態1に係るプログラム(前払アプリケーション)を実行するサーバ2は、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できる。
【0135】
実施の形態1に係るプログラム(前払要求アプリケーション)を実行するユーザ端末3は、サーバ2と協働して、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できる。
【0136】
実施の形態1に係る情報処理システム1は、上述のようなサーバ2と、ユーザ端末3と、を備える。この情報処理システム1は、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できる。
【0137】
実施の形態1に係る情報処理方法は、振込予測情報取得部221が、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得するステップST1と、前払限度額算出部222が、給与振込予測情報に基づいて、給与用口座に前払可能な限度額を算出するステップST2と、前払要求取得部223が、給与用口座に対する前払要求を取得するステップST3と、範囲内外判定部224が、前払要求が示す要求金額が限度額の範囲内か否かを判定するステップST4と、前払処理部225が、要求金額が限度額の範囲内であると判定された場合に、給与用口座に対する前払処理を行うステップST5と、を備える。
これにより、実施の形態1に係る情報処理方法は、給与デジタル払いのユーザに対し、ユーザ自身の給与額に応じた柔軟な給与前払を受けるための技術を提供できる。
【符号の説明】
【0138】
1 情報処理システム、2 サーバ、3 ユーザ端末、4 店舗端末、5 ネットワーク、21,31 通信部、22,32 演算部、23 記憶部、33 表示部、34 操作部、35 記憶部、33A,33B,33C 画面、100 通信インタフェース、101 入出力インタフェース、102 プロセッサ、103 メモリ、221 振込予測情報取得部、222 前払限度額算出部、223 前払要求取得部、224 範囲内外判定部、225 前払処理部、226 予測金額算出部、227 決済要求取得部、228 決済時前払要求部、229 決済処理部、230 清算処理部、231 表示情報生成部、321 操作情報取得部、322 前払要求送信部、331,332,334,338 表示欄、333,335,336 ボタン、337 テンキー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座への過去の給与振込実績に基づいて前記給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を算出する予測金額算出部と、
前記予測金額を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部と、
前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出する前払限度額算出部と、
前記給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部と、
前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部と、
前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部と、を備えるサーバとして機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記予測金額算出部は、前記予測金額を、複数回の過去の給与振込実績に基づいて算出する、
前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記前払処理部は、過去の給与振込実績が予め定められた回数以下の場合、前記前払処理を行わない、
前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項4】
ンピュータを、
給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部と、
前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出する前払限度額算出部と、
前記給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部と、
前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部と、
前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部と、を備え、
前記振込予測情報取得部は、前記給与用口座に対する給与の振込予約情報を、前記給与振込予測情報として取得する、
前記サーバとして機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
ンピュータを、
給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部と、
前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出する前払限度額算出部と、
前記給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部と、
前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部と、
前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部と、
舗端末から前記給与用口座を利用した決済についての決済要求を取得する決済要求取得部と、
前記決済要求が示す決済金額に対して前記給与用口座の残高が不足している場合、不足する金額を前記要求金額とする前記前払要求を、前記前払要求取得部に出力する、決済時前払要求部と、
前記決済金額に対して前記残高が不足していない場合、または、前記前払処理が行われる場合には、決済処理を行い、前記決済金額に対して前記残高が不足しておりかつ前記前払処理が行われない場合には、前記決済処理を行わない、決済処理部と、を備えるサーバとして機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記前払要求取得部は、前記給与用口座のユーザが前記給与用口座を管理するためのユーザ端末から、前記前払要求を取得する、
前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1,請求項4または請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
さらに、前記給与用口座に対して前記給与が振り込まれた場合、前記前払処理により前払いされた金額分を清算する清算処理部と、を備える前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1,請求項4または請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
さらに、前記予測金額と前記前払処理により前払いされた金額とを表示するための表示情報を生成する表示情報生成部と、を備える前記サーバとして機能させる
ことを特徴とする請求項1,請求項4または請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
請求項1,請求項4または請求項のいずれか1項に記載のプログラムを実行するサーバ。
【請求項10】
請求項に記載のサーバと、
前記給与用口座のユーザが前記給与用口座を管理するためのユーザ端末であって、前記給与用口座に対する要求金額分の前払を、前記サーバに要求するための操作情報を取得する操作情報取得部と、前記操作情報を取得すると、前記要求金額を含めた前記前払要求を前記サーバに送信する、前払要求送信部とを備えるユーザ端末と、を備え
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
サーバが実行する情報処理方法であって、
予測金額算出部が、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座への過去の給与振込実績に基づいて前記給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を算出するステップと、
振込予測情報取得部が、前記予測金額を示す給与振込予測情報を取得するステップと、
前払限度額算出部が、前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出するステップと、
前払要求取得部が、前記給与用口座に対する前払要求を取得するステップと、
範囲内外判定部が、前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定するステップと、
前払処理部が、前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行うステップと、を備え
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
サーバが実行する情報処理方法であって、
振込予測情報取得部が、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得するステップと、
前払限度額算出部が、前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出するステップと、
前払要求取得部が、前記給与用口座に対する前払要求を取得するステップと、
範囲内外判定部が、前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定するステップと、
前払処理部が、前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行うステップと、を備え、
前記振込予測情報取得部は、前記給与用口座に対する給与の振込予約情報を、前記給与振込予測情報として取得する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
サーバが実行する情報処理方法であって、
振込予測情報取得部が、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得するステップと、
前払限度額算出部が、前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出するステップと、
前払要求取得部が、前記給与用口座に対する前払要求を取得するステップと、
範囲内外判定部が、前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定するステップと、
前払処理部が、前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行うステップと、
決済要求取得部が、店舗端末から前記給与用口座を利用した決済についての決済要求を取得するステップと、
決済時前払要求部が、前記決済要求が示す決済金額に対して前記給与用口座の残高が不足している場合、不足する金額を前記要求金額とする前記前払要求を、前記前払要求取得部に出力するステップと、
決済処理部が、前記決済金額に対して前記残高が不足していない場合、または、前記前払処理が行われる場合には、決済処理を行い、前記決済金額に対して前記残高が不足しておりかつ前記前払処理が行われない場合には、前記決済処理を行わないステップと、を備える
ことを特徴とする情報処理方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座への過去の給与振込実績に基づいて前記給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を算出する予測金額算出部と、
前記予測金額を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部と、
前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出する前払限度額算出部と、
前記給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部と、
前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部と、
前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部と、を備える前記コンピュータとして機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記予測金額算出部は、前記予測金額を、複数回の過去の給与振込実績に基づいて算出する、
前記コンピュータとして機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記前払処理部は、過去の給与振込実績が予め定められた回数以下の場合、前記前払処理を行わない、
前記コンピュータとして機能させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
コンピュータを、
給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得する振込予測情報取得部と、
前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出する前払限度額算出部と、
前記給与用口座に対する前払要求を取得する前払要求取得部と、
前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定する範囲内外判定部と、
前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行う前払処理部と、
店舗端末から前記給与用口座を利用した決済についての決済要求を取得する決済要求取得部と、
前記決済要求が示す決済金額に対して前記給与用口座の残高が不足している場合、不足する金額を前記要求金額とする前記前払要求を、前記前払要求取得部に出力する、決済時前払要求部と、
前記決済金額に対して前記残高が不足していない場合、または、前記前払処理が行われる場合には、決済処理を行い、前記決済金額に対して前記残高が不足しておりかつ前記前払処理が行われない場合には、前記決済処理を行わない、決済処理部と、を備える前記コンピュータとして機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、
前記前払要求取得部は、前記給与用口座のユーザが前記給与用口座を管理するためのユーザ端末から、前記前払要求を取得する、
前記コンピュータとして機能させる
ことを特徴とする請求項1または請求項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
さらに、前記給与用口座に対して前記給与が振り込まれた場合、前記前払処理により前払いされた金額分を清算する清算処理部と、を備える前記コンピュータとして機能させる
ことを特徴とする請求項1または請求項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
さらに、前記予測金額と前記前払処理により前払いされた金額とを表示するための表示情報を生成する表示情報生成部と、を備える前記コンピュータとして機能させる
ことを特徴とする請求項1または請求項に記載のプログラム。
【請求項8】
請求項1または請求項に記載のプログラムを実行するコンピュータ
【請求項9】
請求項に記載のコンピュータと、
前記給与用口座のユーザが前記給与用口座を管理するためのユーザ端末であって、前記給与用口座に対する要求金額分の前払を、前記コンピュータに要求するための操作情報を取得する操作情報取得部と、前記操作情報を取得すると、前記要求金額を含めた前記前払要求を前記コンピュータに送信する、前払要求送信部とを備えるユーザ端末と、を備える
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
予測金額算出部が、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座への過去の給与振込実績に基づいて前記給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を算出するステップと、
振込予測情報取得部が、前記予測金額を示す給与振込予測情報を取得するステップと、
前払限度額算出部が、前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出するステップと、
前払要求取得部が、前記給与用口座に対する前払要求を取得するステップと、
範囲内外判定部が、前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定するステップと、
前払処理部が、前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行うステップと、を備える
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
振込予測情報取得部が、給与デジタル払いに利用される口座である給与用口座に対して振り込まれる給与の予測金額を示す給与振込予測情報を取得するステップと、
前払限度額算出部が、前記給与振込予測情報に基づいて、前記給与用口座に前払可能な限度額を算出するステップと、
前払要求取得部が、前記給与用口座に対する前払要求を取得するステップと、
範囲内外判定部が、前記前払要求が示す要求金額が前記限度額の範囲内か否かを判定するステップと、
前払処理部が、前記要求金額が前記限度額の範囲内であると判定された場合に、前記給与用口座に対する前払処理を行うステップと、
決済要求取得部が、店舗端末から前記給与用口座を利用した決済についての決済要求を取得するステップと、
決済時前払要求部が、前記決済要求が示す決済金額に対して前記給与用口座の残高が不足している場合、不足する金額を前記要求金額とする前記前払要求を、前記前払要求取得部に出力するステップと、
決済処理部が、前記決済金額に対して前記残高が不足していない場合、または、前記前払処理が行われる場合には、決済処理を行い、前記決済金額に対して前記残高が不足しておりかつ前記前払処理が行われない場合には、前記決済処理を行わないステップと、を備える
ことを特徴とする情報処理方法。