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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153169
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20241022BHJP
   H01R 13/56 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01R13/629
H01R13/56
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066895
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC29
5E021FC40
5E021GA03
5E021GB06
5E021HB02
5E021HB04
5E021HB05
5E021HC09
5E021KA05
(57)【要約】
【課題】ハウジングからのカバーの脱落を抑制できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、端子を保持するハウジング2と、ハウジングに対して組み付けられるレバー3と、レバーが回転する回転軸の軸線方向に沿ってスライドしながらハウジングに取り付けられるカバー4と、第一回転方向へのレバーの回転を規制し、かつ第二回転方向へのレバーの回転を許容する係止部22と、を備え、レバーのアームには、軸線方向にアームを貫通する切欠き37が設けられており、カバーは、ハウジングによって軸線方向に案内される板状部45を有し、板状部には、ハウジングと係合する係合部が設けられており、板状部は、係止部によって係止されているレバーを第二回転方向R2に回転させながら軸線方向に沿って切欠きに挿入され、係合部は、板状部が切欠きを通過した後にハウジングと係合する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を保持するハウジングと、
前記ハウジングに対して回転可能なように前記ハウジングに対して組み付けられるレバーと、
前記レバーが回転する回転軸の軸線方向に沿ってスライドしながら前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記端子に接続される電線を覆うカバーと、
第一回転方向への前記レバーの回転を規制し、かつ第二回転方向への前記レバーの回転を許容するように前記レバーを係止する係止部と、
を備え、
前記レバーのアームには、前記軸線方向に沿って前記アームを貫通する切欠きが設けられており、
前記カバーは、前記ハウジングによって前記軸線方向に案内される板状部を有し、前記板状部の形状は、前記切欠きを通過可能な形状であり、
前記板状部には、前記ハウジングと係合する係合部が設けられており、
前記板状部は、前記係止部によって係止されている前記レバーを前記第二回転方向に回転させながら前記軸線方向に沿って前記切欠きに挿入され、
前記係合部は、前記板状部が前記切欠きを通過した後に前記ハウジングと係合する
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記切欠きは、前記軸線方向に向いて開口する入口部および出口部を有し、
前記入口部は、前記カバーが前記ハウジングに取り付けられるときに前記板状部が挿入される挿入口であり、
前記出口部は、前記板状部が前記切欠きを通過した後で前記軸線方向において前記板状部と対向し、
前記入口部および前記出口部のうち、前記入口部は、前記板状部を誘い込むテーパ形状を有する
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子は、前記軸線方向と直交する第一方向に沿って前記ハウジングに挿入され、
前記レバーが前記係止部によって係止されている状態において、
前記切欠きは前記第一方向に対して傾斜しており、
前記切欠きの縁部は、前記軸線方向において前記板状部と対向し、前記ハウジングからの前記カバーの脱落を規制する
請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線を覆うカバーを有するコネクタがある。特許文献1には、第一のコネクタハウジングからの電線の導出部に設けられて電線を覆うカバーを備えるコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-134579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カバーを有するコネクタにおいて、ハウジングからのカバーの脱落を適切に抑制できることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、ハウジングからのカバーの脱落を抑制できるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、端子を保持するハウジングと、前記ハウジングに対して回転可能なように前記ハウジングに対して組み付けられるレバーと、前記レバーが回転する回転軸の軸線方向に沿ってスライドしながら前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記端子に接続される電線を覆うカバーと、第一回転方向への前記レバーの回転を規制し、かつ第二回転方向への前記レバーの回転を許容するように前記レバーを係止する係止部と、を備え、前記レバーのアームには、前記軸線方向に沿って前記アームを貫通する切欠きが設けられており、前記カバーは、前記ハウジングによって前記軸線方向に案内される板状部を有し、前記板状部の形状は、前記切欠きを通過可能な形状であり、前記板状部には、前記ハウジングと係合する係合部が設けられており、前記板状部は、前記係止部によって係止されている前記レバーを前記第二回転方向に回転させながら前記軸線方向に沿って前記切欠きに挿入され、前記係合部は、前記板状部が前記切欠きを通過した後に前記ハウジングと係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタにおいて、カバーの板状部は、係止部によって係止されているレバーを第二回転方向に回転させながら軸線方向に沿って切欠きに挿入され、カバーの係合部は、板状部が切欠きを通過した後にハウジングと係合する。本発明に係るコネクタによれば、板状部が切欠きを通過した後には、レバーが元の回転位置に戻る。元の回転位置に戻ったアームは、板状部を係止することができる。よって、本発明のコネクタは、ハウジングからのカバーの脱落を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るハウジングの斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るレバーの斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るレバーの断面図である。
図6図6は、実施形態に係るカバーの斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るハウジングおよびレバーの斜視図である。
図8図8は、実施形態に係るハウジングおよびレバーの斜視図である。
図9図9は、実施形態に係るハウジングおよびレバーの側面図である。
図10図10は、ハウジングに取り付けられるカバーの斜視図である。
図11図11は、レバーを回転させる板状部を示す図である。
図12図12は、ハウジングに取り付けられたカバーの斜視図である。
図13図13は、実施形態に係るコネクタの断面図である。
図14図14は、実施形態の板状部と切欠きとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るコネクタにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図14を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、コネクタに関する。図1は、実施形態に係るコネクタの斜視図、図2は、実施形態に係るコネクタの分解斜視図、図3は、実施形態に係るハウジングの斜視図、図4は、実施形態に係るレバーの斜視図、図5は、実施形態に係るレバーの断面図、図6は、実施形態に係るカバーの斜視図、図7および図8は、実施形態に係るハウジングおよびレバーの斜視図、図9は、実施形態に係るハウジングおよびレバーの側面図、図10は、ハウジングに取り付けられるカバーの斜視図、図11は、レバーを回転させる板状部を示す図、図12は、ハウジングに取り付けられたカバーの斜視図、図13は、実施形態に係るコネクタの断面図、図14は、実施形態の板状部と切欠きとの位置関係を示す図である。
【0011】
図1および図2に示すように、本実施形態のコネクタ1は、ハウジング2、レバー3、カバー4、スペーサ5、および端子6を有する。本実施形態のコネクタ1は、レバー3によって嵌合操作に必要な操作力を低減させるレバー式コネクタである。図1に示す相手方のコネクタ100は、基板に配置される基板コネクタである。相手方のコネクタ100は、ハウジング110および端子120を有する。例示された端子120は、オス端子であり、L字形状に屈曲している。
【0012】
ハウジング110は、コネクタ1と嵌合する角筒状の嵌合部111を有している。ハウジング110は、端子120の接続部120aが嵌合部111の内部に突出するように端子120を保持している。端子120における他方の接続部120bは、基板の回路に接続される。
【0013】
端子6は、導電性の金属で形成されており、相手方の端子120と接続される。本実施形態の端子6は、角筒形状の接続部61を有するメス端子である。各端子6には、電線Wが接続されている。電線Wは、端子6を介して相手方の端子120に電気的に接続される。
【0014】
ハウジング2は、端子6を保持する部材であり、絶縁性の合成樹脂で成型される。ハウジング2は、本体20と、軸部21と、係止部22と、を有する。例示された本体20は、略直方体形状を有する。本体20は、頂面20d、底面20g、および二つの側面20cを有する。
【0015】
本体20は、複数のキャビティ20aを有する。キャビティ20aは、第一方向Xに沿って本体20を貫通している。複数のキャビティ20aは、第二方向Yおよび第三方向Zに沿って配列されている。第二方向Yおよび第三方向Zは、第一方向Xと直交している。また、第三方向Zは、第二方向Yと直交している。
【0016】
スペーサ5は、ハウジング2に挿入された端子6を係止する部材である。スペーサ5は、キャビティ20aに対応する貫通孔5aを有している。ハウジング2の本体20は、スペーサ5が挿入される凹部20bを有している。ハウジング2は、凹部20bに挿入されるスペーサ5を仮係止位置および本係止位置で係止する。スペーサ5が仮係止位置にある場合、端子6は貫通孔5aを通過してキャビティ20aの奥まで挿入される。全ての端子6がキャビティ20aに挿入されると、スペーサ5が本係止位置に移動される。本係止位置にあるスペーサ5は、端子6を係止し、キャビティ20aからの端子6の抜け止めとして機能する。
【0017】
ハウジング2の本体20には、二つの軸部21が設けられている。軸部21は、本体20の側面20cから第二方向Yに向けて突出している。軸部21の形状は、円柱形状である。軸部21は、レバー3を回転可能に支持する。
【0018】
係止部22は、レバー3を係止する部分である。図3に示すように、係止部22は、可撓性のアーム23の先端に配置されている。アーム23は、本体20の頂面20dに配置されている。アーム23は、第一方向Xに延在しており、第三方向Zに撓み変形可能である。係止部22は、アーム23の先端から第三方向Zに向けて突出しており、レバー3を係止する係止面22aを有する。
【0019】
本体20は、カバー4をガイドするガイドリブ25を有する。ガイドリブ25は、本体20における第一方向Xの端部20eに配置されている。端子6は、キャビティ20aに対して端部20eの側から挿入される。ガイドリブ25は、第三方向Zに向けて突出しており、かつ第二方向Yに延在している。ガイドリブ25は、端部20eにおける第二方向Yの両端部に配置されている。また、一対のガイドリブ25は、本体20における第三方向Zの両端に配置されている。
【0020】
本体20は、カバー4を係止する係合凹部26を有する。係合凹部26は、ガイドリブ25に隣接して配置されている。係合凹部26は、第三方向Zに向けて凹んでいる。一つのガイドリブ25に対して一つの係合凹部26が設けられている。従って、カバー4は、第二方向Yの何れの側からも本体20に取り付け可能である。
【0021】
図4に示すように、レバー3は、一対のアーム31と、操作部32と、を有する。レバー3は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。本実施形態のアーム31は、平板形状を有する。レバー3は、一対のアーム31が第二方向Yにおいて互いに対向するようにハウジング2に取り付けられる。アーム31は、貫通孔33、ガイド溝34、および係合部35を有する。貫通孔33は、第二方向Yに沿ってアーム31を貫通している。ハウジング2の軸部21は、貫通孔33に挿入されてレバー3を回転可能に支持する。
【0022】
ガイド溝34は、相手方のハウジング110に設けられた突起112をガイドする溝である。図1に示すように、ハウジング110の嵌合部111には、円柱形状の突起112が設けられている。作業者は、突起112をガイド溝34に挿入させた状態で、レバー3を回転させる。これにより、レバー3に対する操作力が倍力されて第一方向Xの挿入力に変換される。
【0023】
係合部35は、レバー3を仮係止位置に位置付ける。仮係止位置は、ガイド溝34が突起112を受け入れることができる回転位置である。係合部35は、アーム31の先端に配置されており、かつ可撓性を有する。図3に示すように、ハウジング2は、係合部35に対応する仮係止部24を有する。仮係止部24は、本体20の側面20cと対向して配置された壁部である。仮係止部24と側面20cとの間には、アーム31が通過可能な隙間がある。仮係止部24は、係合部35を係止する係止面24aを有する。
【0024】
図4に示すように、操作部32は、二つのアーム31をつなぐ部分であり、第二方向Yに延在する。操作部32は、作業者がレバー3を回転させるときの操作力を受けることができるように形成されている。操作部32は、凹部36を有する。凹部36は、操作部32の対向面32aに設けられた凹部である。対向面32aは、ハウジング2と対向する面であり、レバー3が回転するときの軸線Axに向いている。凹部36は、ハウジング2の係止部22を収容できるように形成されている。凹部36は、当接面36aを有する。当接面36aは、係止部22の係止面22aによって係止される。
【0025】
アーム31には、切欠き37が設けられている。切欠き37は、スリットであり、カバー4がハウジング2に対して取り付けられるときに、カバー4の板状部45を通過させる。切欠き37は、レバー3がハウジング2に取り付けられた状態でアーム31を第二方向Yに貫通する。言い換えると、切欠き37は、レバー3が回転する回転軸の軸線Axの方向に沿ってアーム31を貫通している。切欠き37は、アーム31における操作部32に近い基端部に配置されている。
【0026】
図5に示すように、切欠き37は、第二方向Yに向いて開口する入口部37aおよび出口部37bを有する。入口部37aは、アーム31の外側面31aに開口している。出口部37bは、アーム31の内側面31bに開口している。入口部37aおよび出口部37bのうち、入口部37aは、誘い込みのテーパ形状を有している。より詳しくは、入口部37aは、出口部37bから遠ざかるに従って開口幅Wdが大きくなるテーパ形状を有する。例示された入口部37aは、二つの誘い込みの傾斜面37dを有している。二つの傾斜面37dは、出口部37bから遠ざかるに従って相手から離れるように傾斜している。
【0027】
カバー4は、ハウジング2から引き出された電線Wを覆う部材である。カバー4は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。図6に示すように、カバー4は、カバー本体40と、取付部41と、を有する。カバー本体40は、電線Wを覆う部分である。例示されたカバー本体40の形状は、半筒形状である。本実施形態のカバー本体40は、第一方向Xに沿って取付部41から遠ざかるに従って断面積が小さくなるテーパ形状を有している。カバー本体40の先端部には、電線Wを固定するための固定部42が設けられている。コネクタ1に接続される複数の電線Wは、テープや結束バンド等によって固定部42に対して固定される。
【0028】
取付部41は、ハウジング2の本体20に対して取り付けられる部分である。取付部41は、カバー本体40における大径側の端部40aにつながっている。カバー4は、二つの取付部41を有する。二つの取付部41は、第三方向Zの両端に配置されている。二つの取付部41は、第三方向Zにおいて互いに対向する。
【0029】
取付部41は、ハウジング2によってガイドされる板状部45を有する。カバー4は、二つの板状部45をハウジング2に対してスライドさせながらハウジング2に取り付けられる。板状部45は、略平板形状を有しており、カバー本体40における大径側の端部40aにつながっている。板状部45は、端部40aから固定部42の側とは反対側に向けて、カバー本体40の軸方向に突出している。
【0030】
板状部45には、ハウジング2のガイドリブ25に対応する溝43が設けられている。溝43は、板状部45の対向面45aに配置されている。対向面45aは、ハウジング2の外側面と対向する面である。一つの取付部41の対向面45aは、ハウジング2の頂面20dと対向する。他の一つの取付部41の対向面45aは、ハウジング2の底面20gと対向する。溝43は、直線状の溝であり、カバー本体40の軸方向と直交する方向に延在している。ハウジング2のガイドリブ25は、溝43に挿入される。カバー4は、ガイドリブ25によって案内されながら第二方向Yにスライドする。
【0031】
板状部45には、ハウジング2と係合する係合部44が設けられている。より詳しくは、板状部45は、薄肉部45bを有する。薄肉部45bは、板状部45におけるカバー本体40の側とは反対側の縁に設けられている。薄肉部45bは、溝43に隣接している。係合部44は、薄肉部45bにおける内側面に配置された突起であり、ハウジング2の係合凹部26と係合する。係合部44は、溝43の延在方向を向く当接面44aを有する。カバー4は、係合部44を係合凹部26に係合させることでハウジング2によって保持される。係合凹部26に係合部44が係合することで、ハウジング2に対するカバー4の取り付けが完了する。
【0032】
板状部45には、ストッパ46が設けられている。ストッパ46は、第二方向Yにおいてカバー4を位置決めする。ストッパ46は、薄肉部45bにおける外側面に配置された突起であり、ハウジング2に設けられた位置決め部によって係止される。ストッパ46は、ハウジング2によって係止される当接面46aを有する。当接面46aは、溝43の延在方向を向く面である。当接面44a,46aは、互いに逆の方向を向いている。
【0033】
板状部45は、レバー3の切欠き37を通過可能な形状を有する。すなわち、板状部45の各部の厚さは、切欠き37の幅よりも小さい。板状部45は、カバー4がハウジング2に取り付けられるときに、第二方向Yに沿ってレバー3の切欠き37を通過する。
【0034】
図7には、ハウジング2に対して組み付けられたレバー3が示されている。図7に示すレバー3の位置は、本係止位置である。ハウジング2の係止部22は、レバー3を本係止位置で係止する。レバー3が本係止位置にある場合、アーム31の側面31cは、ハウジング2の端面20fと同一面上に位置付けられる。端面20fは、ハウジング2の本体20が有する面であって、キャビティ20aの挿入口が形成された面である。端子6は、レバー3を本係止位置に位置付けた状態でキャビティ20aに挿入される。アーム31の側面31cとハウジング2の端面20fとが連続した一つの面を形成することにより、ハウジング2に対して端子6が挿入されるときの作業性が向上する。
【0035】
図8には、全ての端子6が挿入された後のハウジング2が示されている。係止部22は、第一回転方向R1へのレバー3の回転を規制する。第一回転方向R1は、レバー3が本係止位置から仮係止位置に向けて回転する方向である。第二回転方向R2は、第一回転方向R1と反対の回転方向である。
【0036】
レバー3は、例えば、操作部32の当接面36aを係止部22の係止面22aに接触させて停止するように構成される。このような接触を実現する手段として、例えば、レバー3の自重が利用される。この場合、当接面36aを係止面22aに接触させる力が発生するように、レバー3の重心位置が設定される。
【0037】
図8および図9に示すように、レバー3が本係止位置にある場合、切欠き37は、第一方向Xに対して傾斜する。図8および図9のコネクタ1の姿勢は、ハウジング2の頂面20dを鉛直方向の上側に向けた姿勢である。つまり、操作部32および係止部22がハウジング2の本体20に対して上側に位置している。切欠き37は、第一方向Xに沿って切欠き37の奥部37cへ向かうに従って上側へ向かうように傾斜している。
【0038】
上記のように傾斜している切欠き37は、カバー4がハウジング2に取り付けられるときの板状部45の軌跡と交差する。図10には、ハウジング2に対する取り付け開始位置に位置付けられたカバー4が示されている。レバー3の溝43は、ハウジング2のガイドリブ25の延長線上に位置している。上側に位置する板状部45は、レバー3の切欠き37に挿入される。このときに、カバー4の板状部45が切欠き37の傾斜面37dに接触する。
【0039】
板状部45は、傾斜面37dに接触し、傾斜面37dに対して摺動することでレバー3を第二回転方向R2に回転させる。言い換えると、レバー3は、第二回転方向R2に回転することにより、切欠き37が板状部45のスライドを阻害しない位置に逃げる。図11に示すように、板状部45は、切欠き37に対して上向きの力F1を作用させる。レバー3は、力F1により、切欠き37が第一方向Xに対して水平となる位置まで回転する。つまり、板状部45は、レバー3を第二回転方向R2に回転させた状態で切欠き37を通過する。ハウジング2のガイドリブ25は、板状部45の溝43に挿入され、カバー4を第二方向Yにガイドする。
【0040】
図12および図13には、ハウジング2に対する取り付けが完了したカバー4が示されている。カバー4の板状部45は、レバー3の切欠き37を通過しており、二つのアーム31の間に収容されている。図13に示すように、カバー4の係合部44は、ハウジング2の係合凹部26と係合しており、かつ係合凹部26によって係止されている。係合部44が係合凹部26と係合することにより、板状部45は、レバー3と干渉しない退避位置に位置付けられる。レバー3が板状部45からの力F1を受けなくなることにより、レバー3は自動的に本係止位置まで第一回転方向R1に回転する。レバー3は、操作部32の当接面36aをハウジング2の係止面22aに当接させる位置で停止する。
【0041】
なお、係合部44が係合凹部26に対して半係合または未係合の場合、カバー4は、レバー3の回転軌跡と干渉し、レバー3の回転を規制する。例えば、カバー4のカバー本体40がレバー3の操作部32と干渉し、レバー3を係止する。例えば、カバー4の板状部45がレバー3のアーム31と干渉し、レバー3を係止する。これにより、作業者は、ハウジング2に対するカバー4の取り付けが完了していないことを知ることができる。
【0042】
以下に説明するように、本実施形態のレバー3は、ハウジング2からのカバー4の抜けを規制することができる。ハウジング2に対するカバー4の取り付けが完了すると、図13に示すように、アーム31が第二方向Yにおいて板状部45と対向する。
【0043】
図14には、第二方向Yに沿ってアーム31に投影された板状部45の断面が示されている。第二方向Yから見た場合に、切欠き37の縁部37eは、板状部45と重なる。縁部37eは、板状部45が通過する通路を囲む部分である。カバー4がハウジング2から外れようとした場合に、アーム31は縁部37eによって板状部45を係止することができる。切欠き37の出口部37bは、入口部37aとは異なり、誘い込みの傾斜面37dを有していない。従って、出口部37bは、カバー4の抜けを適切に規制することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のコネクタ1は、端子6を保持するハウジング2と、レバー3と、カバー4と、係止部22と、を有する。レバー3は、ハウジング2に対して回転可能なようにハウジング2に対して組み付けられる。カバー4は、第二方向Yに沿ってスライドしながらハウジング2に取り付けられ、かつ端子6に接続される電線Wを覆う。第二方向Yは、レバー3が回転する回転軸の軸線方向である。係止部22は、第一回転方向R1へのレバー3の回転を規制し、かつ第二回転方向R2へのレバー3の回転を許容するようにレバー3を係止する。
【0045】
レバー3のアーム31には、第二方向Yに沿ってアーム31を貫通する切欠き37が設けられている。カバー4は、ハウジング2によって第二方向Yに案内される板状部45を有する。板状部45の形状は、切欠き37を通過可能な形状である。板状部45には、ハウジング2と係合する係合部44が設けられている。板状部45は、係止部22によって係止されているレバー3を第二回転方向R2に回転させながら第二方向Yに沿って切欠き37に挿入される。係合部44は、板状部45が切欠き37を通過した後にハウジング2と係合する。上記のように板状部45がレバー3を第二回転方向R2に回転させながら切欠き37を通過することで、板状部45の通過後にはレバー3が元の回転位置に戻る。元の回転位置に戻ったアーム31は、板状部45を係止してハウジング2からのカバー4の脱落を抑制することができる。
【0046】
本実施形態の切欠き37は、第二方向Yに向いて開口する入口部37aおよび出口部37bを有する。入口部37aは、カバー4がハウジング2に取り付けられるときに板状部45が挿入される挿入口である。出口部37bは、板状部45が切欠き37を通過した後で第二方向Yにおいて板状部45と対向する入口部37aおよび出口部37bのうち、入口部37aは、板状部45を誘い込むテーパ形状を有する。テーパ形状を有していない出口部37bは、ハウジング2からのカバー4の脱落を適切に抑制することができる。
【0047】
本実施形態の端子6は、第二方向Yと直交する第一方向Xに沿ってハウジング2に挿入される。レバー3が係止部22によって係止されている状態において、切欠き37は第一方向Xに対して傾斜しており、かつ切欠き37の縁部37eは、第二方向Yにおいて板状部45と対向し、ハウジング2からのカバー4の脱落を規制する。このように構成されたレバー3は、カバー4がハウジング2に取り付けられる際には、板状部45が切欠き37を通過することを許容できる。また、このように構成されたレバー3は、板状部45が切欠き37を通過した後は、板状部45が切欠き37を通過できないように板状部45を係止することができる。
【0048】
なお、切欠き37は、二つのアーム31のうち何れか一方のみに設けられてもよい。この場合、カバー4は、切欠き37が設けられたアーム31の側からハウジング2に取り付けられる。
【0049】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:コネクタ
2:ハウジング、 3:レバー、 4:カバー、 5:スペーサ、 5a:貫通孔
6:端子
20:本体、 20a:キャビティ、 20b:凹部、 20c:側面
20d:頂面、 20e:端部、 20f:端面、 20g:底面
21:軸部、 22:係止部、 22a:係止面、 23:アーム
24:仮係止部、 24a:係止面、 25:ガイドリブ、 26:係合凹部
31:アーム、 32:操作部、 33:貫通孔、 34:ガイド溝、 35:係合部
36:凹部、 36a:当接面
37:切欠き、 37a:入口部、 37b:出口部、 37c:奥部
37d:傾斜面、 37e:縁部
40:カバー本体、 41:取付部、 42:固定部、 43:溝、 44:係合部
45:板状部、 45a:対向面、 46:ストッパ
100:相手方のコネクタ、 110:ハウジング、 111:嵌合部
112:突起、 120:端子、 120a,120b:接続部
X:第一方向、 Y:第二方向、 Z:第三方向
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