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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153171
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】電子装置およびプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20241022BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H05K3/34 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066899
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正人
(72)【発明者】
【氏名】萩原 克将
【テーマコード(参考)】
5E319
5E338
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AC11
5E319CC22
5E319GG20
5E338AA03
5E338BB02
5E338BB16
5E338BB19
5E338BB25
5E338BB75
5E338EE21
(57)【要約】
【課題】基板からの面実装用パッドの剥がれを防止可能な電子装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板の一主面上に面実装用のパッドを設けたプリント配線板と、前記パッドに対して半田を介して面実装されたコネクタとを有し、前記基板は、前記パッドの形成領域に複数の孔部を有し、前記孔部の内周壁には、前記パッドから連続する状態で前記パッドの形成部材からなる固定層が設けられた電子装置である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一主面上に面実装用のパッドを設けたプリント配線板と、前記パッドに対して半田を介して面実装されたコネクタとを有し、
前記基板は、前記パッドの形成領域に複数の孔部を有し、
前記孔部の内周壁には、前記パッドから連続する状態で前記パッドの形成部材からなる固定層が設けられた
電子装置。
【請求項2】
前記孔部の内周壁は、全面が前記固定層で覆われている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記孔部は、前記基板を貫通する貫通孔であるか、または底部を有する凹形状である
請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記コネクタは、信号端子を保持するハウジングと、前記ハウジングの外側に設けられた固定用のペグ端子とを備え、前記ペグ端子において前記パッドに面実装されている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記基板は、内層配線を有する積層基板であり、
前記内層配線が前記固定層に接合されている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記プリント配線板は、前記基板の他主面上に裏面パターンを備え、
前記裏面パターンは、貫通孔からなる前記孔部の内周壁に設けられた前記固定層を介して、前記パッドに接合されている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記孔部は、前記パッドの形成領域において千鳥状に配置されている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
前記孔部には、前記半田が充填されている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
前記プリント配線板は、前記パッドの一部を露出する状態で前記基板の一主面上を覆う保護膜を備え、
前記孔部は、前記保護膜で覆われた領域に設けられている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
前記孔部は、前記保護膜で覆われた領域のみに設けられている
請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記コネクタは、前記プリント配線板に設けられた複数の前記パッドに対して実装され、
前記基板上には、前記複数のパッド同士を接合する接合パターンが設けられた
請求項1に記載の電子装置。
【請求項12】
前記接合パターンは、前記コネクタに重なる領域に設けられた
請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記コネクタは、外部端子が挿入される開口を有し、
前記孔部は、前記パッドの形成領域のうち前記コネクタの開口が位置する側の領域に集中して設けられている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項14】
前記半田は、鉛フリー半田である
請求項1に記載の電子装置。
【請求項15】
前記パッドおよび前記固定層は、銅を用いて構成されている
請求項1に記載の電子装置。
【請求項16】
コネクタを面実装するための面実装用のパッドを基板の一主面上に設けたプリント配線板であって、
前記基板は、前記パッドの形成領域に複数の孔部を有し、
前記孔部の内周壁には、前記パッドから連続する状態で前記パッドの形成部材からなる固定層が設けられた
プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置およびプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置およびプリント配線板に関する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、「コネクタの左右にある固定タブの半田付けする部分には、それぞれ3個の貫通孔を設けた。…固定タブの半田付けする部分を(プリント配線板の)パターンに半田付けする。すると、半田のフィレットが、固定タブの半田付けする部分の側面と、貫通孔の内壁に生じ、半田付け強度が大になる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-64608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した構成の電子装置では、コネクタとプコリント配線板との間の半田付け強度が強まる反面、プリント配線板からのパターン剥がれが新たな問題となっていた。すなわち、コネクタに対して外部端子を嵌合/離脱させる際には、コネクタに対してコジリ荷重が加わるが、このコジリ荷重により、コネクタおよび半田と共にプリント配線板の面実装用パッドがプリント配線板から剥がれると言った新たな不具合が生じている。
【0005】
そこで本発明は、基板からの面実装用パッドの剥がれを防止可能な電子装置およびプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、基板の一主面上に面実装用のパッドを設けたプリント配線板と、前記パッドに対して半田を介して面実装されたコネクタとを有し、前記基板は、前記パッドの形成領域に複数の孔部を有し、前記孔部の内周壁には、前記パッドから連続する状態で前記パッドの形成部材からなる固定層が設けられた電子装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、基板からの面実装用パッドの剥がれを防止可能な電子装置およびプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電子装置の分解斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電子装置の要部の分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係る電子装置の要部断面図である。
図4】第1実施形態に係る電子装置の要部平面図である。
図5】第2実施形態に係る電子装置の要部平面図である。
図6】第2実施形態に係る電子装置の要部断面図である。
図7】第3実施形態に係る電子装置の要部平面図である。
図8】第4実施形態に係る電子装置の要部平面図である。
図9】第4実施形態に係る電子装置の効果を説明する図である。
図10】第5実施形態に係る電子装置の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の電子装置およびプリント配線板の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態においては、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る電子装置100の分解斜視図である。この図に示す電子装置100は、例えば車載用の電子制御装置であり、プリント配線板10、およびプリント配線板10に実装されたコネクタ20を有する。コネクタ20が実装されたプリント配線板10は、ベース30に対してビス31によって固定され、コネクタ20の挿通開口21aを外部に晒す状態で、ベース30およびカバー40からなる筐体内に収容される。ベース30およびカバー40は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、またはPA(ナイロン)等の樹脂、もしくはアルミニウムや鉄等を主成分とした金属により構成されている。
【0011】
このような構成の電子装置100においては、プリント配線板10におけるコネクタ20の実装部分の構成が特徴的である。以下、プリント配線板10の構成を説明するのに先立ち、コネクタ20の構成を説明し、次いでプリント配線板10の構成をコネクタ20の実装部分を中心に説明する。
【0012】
<コネクタ20>
図2は、第1実施形態に係る電子装置100の要部の分解斜視図である。図2に示すように、コネクタ20は、プリント配線板10に対して面実装されるものであり、半田60を用いたリフロー処理により、ここでの図示を省略した他の電子部品と同一工程でプリント配線板10に対して実装可能なものである。このようなコネクタ20は、箱形状のハウジング21と、ハウジング21に保持された複数の信号端子22と、ハウジング21に固定されたペグ端子23とを有する。
【0013】
[ハウジング21]
ハウジング21は、箱形状の一面を、外部端子の挿通開口21aとして開口させた形状を有する。この挿通開口21aは、先に説明したベース30およびカバー40(図1参照)からなる筐体の外部に晒される部分である。ハウジング21は、挿通開口21aに対向する壁面において、複数の信号端子22を保持する。このようなハウジング21は、コネクタ20や他の電子部品をプリント配線板10に実装する際のリフロー温度に耐性を有する耐熱性の高い樹脂(例えばPPS等)によって構成されている。なお、この電子装置100が、車載用の電子制御装置である場合、ハウジング21の挿通開口21aに挿通される外部端子は、主として車両の各種部品と接続されるハーネス端子である。
【0014】
[信号端子22]
信号端子22は、外部端子と、プリント配線板10に実装された電子部品とを、電気的に接続するためのものであり、銅を主成分とした金属端子である。これら信号端子22は、ハウジング21の挿通開口21aに対向する壁面において、ハウジング21の内外に突出して設けられている。各信号端子22において、ハウジング21の内側に突出している部分は、挿通開口21aを囲むハウジング21の側周壁に対して平行に配置され、ハウジング21の挿通開口21aから挿入された外部端子に嵌合される。
【0015】
一方、信号端子22において、ハウジング21の外側に突出している部分は、挿通開口21aを囲むハウジング21の側周壁のうち、プリント配線板10に対向して配置される実装壁21b側に垂下されている。
【0016】
[ペグ端子23]
ペグ端子23は、コネクタ20を、半田60によってプリント配線板10に固定するための部材であって、例えば信号端子22と同様に銅を主成分とした金属材料によって構成されたL字金具である。このようなペグ端子23は、ハウジング21における実装壁21bを挟んで対向する2つの壁部からハウジング21の外側に突出する状態で、ハウジング21に対して固定されている。これらのペグ端子23において、ハウジング21から突出させた部分は、ハウジング21の実装壁21bと略同一の高さにおいて実装壁21bと平行に配置された状態となっている。
【0017】
以上のようなペグ端子23は、次に説明するプリント配線板10のペグ用パッド12上に印刷された半田60を介して、プリント配線板10上に載置され、この状態においてリフロー処理することにより、複数の(ここでは2つの)ペグ用パッド12に対して固定される。
【0018】
<プリント配線板10>
プリント配線板10は、コネクタ20や、ここでの図示を省略した他の電子部品等が搭載される回路基板である。このプリント配線板10は、基板11、基板11に対してコネクタ20が実装される実装面に形成されたペグ用パッド12、および他の部材を備える。ペグ用パッド12は、コネクタ20のペグ端子23が、半田60を用いた面実装によって固定される面実装用のパターンである。なお、半田60は、例えばSn3Ag0.5Cu等の組成から構成される鉛フリー半田である。
【0019】
図3は、第1実施形態に係る電子装置の要部断面図であり、図2のA-A’断面に相当する図である。また、図4は、第1実施形態に係る電子装置の要部平面図であり、図2に示すコネクタ20の実装部分に対応するプリント配線板10の平面図である。これらの図に示すように、プリント配線板10は、基板11およびペグ用パッド12の他に、基板11の裏面側に配置された裏面パターン13、および基板11の実装面側を覆う保護膜14を備える。以下、これらの図基づいて、プリント配線板10を構成するこれらの各部材を説明する。
【0020】
[基板11]
基板11は、例えば複数の配線基板11’を積層した積層基板である。各配線基板11’は、内層配線11bがパターン形成されたものである。このような基板11は、複数の孔部11aを有する。複数の孔部11aは、コネクタ20の実装部であって、ペグ用パッド12と重なる位置に配置されている。これらの孔部11aは、図示したような貫通孔であってもよいし、底部を有する凹形状のものであってもよい。このような孔部11aは、ペグ用パッド12内において、例えば千鳥状に配置されていることが好ましく、これによりペグ用パッド12内に高密度に孔部11aを配置することができる。
【0021】
このような孔部11aは、内周壁に、以降に説明するペグ用パッド12から連続する固定層12’が設けられ、ペグ用パッド12にペグ端子23を固定するための半田付けリフロー処理により、半田60が充填された状態となっている。これにより、基板11に対するペグ端子23の半田付け強度を高めることができる。
【0022】
また特に、基板11を構成する各配線基板11’において、ペグ用パッド12に重なる位置に配置された内層配線11bは、孔部11aの内周壁に露出するように形成されていることが好ましい。これにより、内層配線11bが、次に説明するペグ用パッド12から連続する固定層12’と接合し、ペグ用パッド12の基板11に対する接合強度を高めることができる。なお、ペグ用パッド12から連続する固定層12’に接合する内層配線11bは、例えばグランドパターンとして用いることができる。
【0023】
[ペグ用パッド12]
ペグ用パッド12は、コネクタ20のペグ端子23が、半田60を用いた面実装によって固定される面実装用のパッドであって、基板11の実装面に形成される導電パターンのうちの一つとして構成されたものである。導電パターンは、電子部品等を基板11に対して実装するための面実装用のパッドおよび挿入実装用のランド、さらには配線パターンなどである。また、コネクタ20の信号端子22(図2参照)が半田接続されるパッド12-1(図4のみに図示)も、導電パターンの一つである。
【0024】
このようなペグ用パッド12は、他の導電パターンと同一工程で形成された銅パターンであってよく、メッキ処理によって形成されることとする。ペグ用パッド12をメッキ処理によって形成することにより、基板11の孔部11aの内周壁の全面に、ペグ用パッド12に連続して銅などのパッドや配線材料の層が、固定層12’としてメッキ成膜される。この場合、ペグ用パッド12は、挿入実装に用いられるランドと同様の構成となる。また、孔部11a内には、この固定層12’を介して半田60が充填された状態となる。
【0025】
[裏面パターン13]
裏面パターン13は、基板11における実装面に対する裏面に形成される導電パターンのうちの一つであって、ペグ用パッド12と重なる位置に設けられている。この裏面パターン13は、基板11の孔部11aの内周壁に形成された固定層12’を介してペグ用パッド12に接合された構成であることが好ましい。このような裏面パターン13は、例えばペグ用パッド12の形成工程と同一のメッキ処理によって形成することができる。これにより、ペグ用パッド12の基板11に対する接合強度を高めることができる。
【0026】
[保護膜14]
保護膜14は、基板11の実装面上に形成された配線パターンを保護するために設けられた膜であって、基板11の実装面上を覆って配置されている。この保護膜14は、ペグ用パッド12などの実装用のパッドやランドを露出する開口部14aを有し、例えばレジスト材料からなる。
【0027】
<電子装置100の製造手順>
以上のような構成の電子装置100の製造は、次のような手順で実施される。先ず、ペグ用パッド12、裏面パターン13などの導電パターン、および保護膜14を有するプリント配線板10を用意する。次いで、プリント配線板10において、保護膜14の開口部14aに露出するペグ用パッド、他のパッド、およびランドの上部に半田60を印刷する。次に、印刷された半田60を介して、プリント配線板10の実装面上に、コネクタ20および他の電子部品を所定状態で載置する。その後、リフロー処理を実施することより半田60を溶融させ、その後、半田60を硬化させることによりコネクタ20および他の電子部品をプリント配線板10に固定する。このリフロー処理においては、溶融した半田60がペグ用パッド12の孔部11a、およびここでの図示を省略した挿入実装用のランドの孔部に充填される。
【0028】
以上の後、図1に示したように、コネクタ20および他の電子部品が実装されたプリント配線板10を、ビス31によってベース30に固定し、コネクタ20の挿通開口21aを外部に晒す状態でカバー40によって覆うことで電子装置100を得る。
【0029】
<第1実施形態の効果>
以上説明した第1実施形態によれば、基板11における孔部11aの配置箇所にペグ用パッド12を設け、孔部11aの内壁にペグ用パッド12の構成部材を連続的に配置したことにより、ペグ用パッド12と基板11との接合強度を強めることができる。これにより、基板11からのペグ用パッド12の引き剥がし耐性を向上させることができる。この結果、ペグ用パッド12に対して固定されたコネクタ20に対し、外部端子を嵌合/離脱させる際のコジリ荷重が加わった場合であっても、基板11からのペグ用パッド12の剥がれを防止することが可能となり、コジリ耐力の向上を図ることができる。
【0030】
特に、半田60が、例えばSnAg0.5Cu等の組成から構成される鉛フリー半田の場合、半田60が固く強固である。このため、コネクタ20に対してコジリ荷重が加わった場合、ペグ用パッド12が基板11から剥がれる問題が発生し易くなるが、これを防止することが可能である。
【0031】
≪第2実施形態≫
図5は、第2実施形態に係る電子装置の要部平面図であり、図6は、第2実施形態に係る電子装置の要部断面図である。これらの図に示す第2実施形態の電子装置が、第1実施形態の電子装置と異なるところは、プリント配線板10aに設けたペグ用パッド12aの大きさにある。他の構成は第1実施形態の電子装置と同様であるため、ここでの重複する説明は省略する。
【0032】
すなわち、ペグ用パッド12aは、コネクタ20のペグ端子23を面実装するために必要十分な領域を超えて、さらに広い領域に拡大された大きさ、形状を有する。また基板11は、これらのペグ用パッド12aに重なる部分に孔部11aを有する。孔部11aの構成は、第1実施形態で説明した孔部11aと同様であり、孔部11aの内壁にはペグ用パッド12aに連続して銅などの固定層12’がメッキ成膜されている。
【0033】
なお、保護膜14は、ペグ用パッド12aを面実装するために必要十分な領域を開口して設けられている。このため、ペグ用パッド12aにおいて、コネクタ20のペグ端子23を面実装するために必要十分な領域を超えて拡大されている領域は、保護膜14で覆われた状態となっている。そして、保護膜14の開口部14a内に半田60が印刷形成され、その後リフロー処理されるため、拡大された領域の孔部11a内は、半田60が充填されることはなく、空洞となっている。
【0034】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の構成によれば、ペグ用パッド12aの形成領域を、面実装のための必要十分な領域を超えて拡大し、拡大した領域にも孔部11aを設けたことにより、第1実施形態の構成と比較して、さらにペグ用パッド12aと基板11との接合を強くすることができる。これにより、さらにコジリ耐力の向上を図ることが可能となる。なお、拡大した領域と重なる基板11部分には、孔部11aを設けなくてもよく、その場合であっても、ペグ用パッド12aを拡大したことにより、第1実施形態の構成と比較して、さらにペグ用パッド12aと基板11との接合を強くする効果を得ることができる。
【0035】
≪第3実施形態≫
図7は、第3実施形態に係る電子装置の要部平面図である。図7に示す第3実施形態の電子装置が第1実施形態の電子装置と異なるところは、プリント配線板10bに設けた2つのペグ用パッド12a間に、これらを接合するための接合パターン12bを設けたところにある。他の構成は第1実施形態の電子装置と同様であるため、ここでの重複する説明は省略する。なお、ペグ用パッド12aは、第2実施形態で説明した構成のものを図示したが、第1実施形態のペグ用パッド12(図4参照)であってもよい。
【0036】
接合パターン12bは、2つのペグ用パッド12aと同様に導電パターンの一部として構成され、ペグ用パッド12a同士を接合する状態で配置されている。なお、2つのペグ用パッド12aは、1つのコネクタを面実装するためのものであるが、これに限定されることはない。この様な接合パターン12bは、プリント配線板10bに実装されたコネクタ20(図1および図2参照)に重なる位置に設けられており、プリント配線板10bにおける、他のパッド、ランド、および配線パターンの形成に影響を及ぼすことはない。
【0037】
この接合パターン12bが配置された領域に重なる基板11部分も、孔部11aを有する。孔部11aの構成は、第1実施形態で説明した孔部11aと同様であり、孔部11aの内壁にはペグ用パッド12aに連続して銅などの固定層12’(例えば図6参照)がメッキ成膜されている。ただし、接合パターン12bは保護膜14で覆われるため、接合パターン12bが配置された領域の孔部11a内に半田60が充填されることはなく、空洞であることは、第2実施形態と同様である。
【0038】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の構成によれば、各ペグ用パッド12aから連続する接合パターン12bを設け、この接合パターン12bの領域にも孔部11aを設けたことにより、第1実施形態および第2実施形態の構成と比較して、さらにペグ用パッド12aと基板11との接合を強くすることができる。これにより、さらにコジリ耐力の向上を図ることが可能となる。なお、接合パターン12bと重なる基板11部分には、孔部11aを設けなくてもよく、その場合であっても、接合パターン12bを設けたことにより、第1実施形態および第2実施形態の構成と比較して、さらにペグ用パッド12aと基板11との接合を強くする効果を得ることができる。
【0039】
≪第4実施形態≫
図8は、第4実施形態に係る電子装置の要部平面図である。図8に示す第4実施形態の電子装置が第1実施形態の電子装置と異なるところは、プリント配線板10cに設けた2つのペグ用パッド12の領域における孔部11aの配置状態にあり、他の構成は第1実施形態の電子装置と同様である。
【0040】
すなわち、孔部11aは、ペグ用パッド12におけるコネクタ20の挿通開口21a(図1および図2参照)側に集中して設けられている。孔部11aは、コネクタ20の信号端子22の突出側には設けられていなくてよく、設けられている場合であっても挿通開口21a側よりも少なくてよい。
【0041】
孔部11aの構成は、第1実施形態で説明した孔部11aと同様であり、孔部11aの内壁にはペグ用パッド12に連続して銅などの固定層12’(図4参照)がメッキ成膜されており、孔部11a内には半田60が充填された状態となっている。
【0042】
<第4実施形態の効果>
第4実施形態の構成によれば、ペグ用パッド12におけるコネクタ20の挿通開口21a側に孔部11aを集中させたことにより、コジリ耐力の向上を図りつつも、孔部11aの実数を減らすことができる。
【0043】
図9は、第4実施形態に係る電子装置の効果を説明する図であり、電子装置のコネクタ20に加わるコジリ荷重[F]を示す図である。図9に示すように、電子装置のコネクタ20に対して外部端子を嵌合/離脱させる際には、コネクタ20の挿通開口21aに対する最遠部を支点にした上下左右のコジリ荷重[F]が加わる。このため、コジリ荷重[F]は、コネクタ20の挿通開口21aにおいて最も大きくなく。したがって、第4実施形態の構成では、ペグ用パッド12におけるコネクタ20の挿通開口21a側に孔部11aを集中させたことにより、孔部11aの実数を抑えながらも、効果的にコジリ耐力の向上を図ることが可能である。
【0044】
さらに、孔部11aの実数を減らすことにより、孔部11aをドリル形成する際の手間を軽減することが可能であり、孔部11a内の固定層12’および半田60の量を減らして廉価な構造にすることができる。しかも、半田付けのリフロー時において、孔部11aからの放熱が防止されるため、半田60を十分なリフロー温度に加熱して半田上がり性を確保した半田付けを実施できる。
【0045】
≪第5実施形態≫
図10は、第5実施形態に係る電子装置の要部平面図である。図10に示す第5実施形態の電子装置が第1実施形態の電子装置と異なるところは、プリント配線板10dに設けた2つのペグ用パッド12aの大きさと、孔部11aの配置状態にあり、他の構成は第1実施形態の電子装置と同様である。
【0046】
すなわち、ペグ用パッド12aは、コネクタ20のペグ端子23を面実装するために必要十分な領域を超えて、さらに広い領域に拡大された大きさ、形状を有する。また孔部11aは、ペグ端子23を面実装するために必要十分な領域を超えて拡大された領域において、ペグ用パッド12aにおけるコネクタ20の挿通開口21a(図1および図2参照)側に集中して設けられている。つまり、孔部11aは、ペグ端子23が面実装される領域には配置されず、保護膜14で覆われた領域のみに設けられている。また孔部11aは、コネクタ20の信号端子22の突出側には設けられていなくてよく、設けられている場合であっても挿通開口21a側よりも少なくてよい。
【0047】
孔部11aの構成は、第1実施形態で説明した孔部11aと同様であり、孔部11aの内壁にはペグ用パッド12aに連続して銅などの固定層12’(例えば図6参照)がメッキ成膜された状態となっている。ただし、全ての孔部11aは、保護膜14に覆われているため、内部に半田60が充填されることはなく、空洞となっている。
【0048】
<第5実施形態の効果>
第5実施形態の構成によれば、ペグ端子23の面実装に必要十分な領域に対して、拡大した領域のみに孔部11aを有することにより、ペグ用パッド12aにおいて半田付けされる領域には孔部11aが設けられず、孔部11aに半田60が充填されることがない。これにより、リフロー処理の際に半田60が基板11の裏面側に漏れ出てくるつらら不良の発生を防止可能である。
【0049】
なお、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
10,10a,10b,10c,10d…プリント配線板
11…基板
11a 孔部
11b…内層配線
12,12a…ペグ用パッド(パッド)
12’…固定層
12b…接合パターン
14…保護膜
13…裏面パターン
20…コネクタ
21 ハウジング
21a…挿通開口(開口)
22…信号端子
23…ペグ端子
60…半田
100…電子装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10