(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153175
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】半導体装置、表示ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20241022BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241022BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 623F
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 611J
G09G3/20 612T
G09G3/20 642A
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066905
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一倉 宏嘉
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZC23
2H193ZF05
2H193ZF24
2H193ZF33
2H193ZF34
2H193ZF35
5C006AF43
5C006AF44
5C006AF50
5C006AF51
5C006AF52
5C006AF53
5C006AF61
5C006AF71
5C006AF73
5C006AF83
5C006BB11
5C006BC03
5C006BC11
5C006BC23
5C006BF04
5C006BF06
5C006BF14
5C006BF22
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF27
5C006BF29
5C006EB01
5C006EB05
5C006FA22
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD15
5C080DD25
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ07
(57)【要約】
【目的】複数のソースドライバICで表示パネルを駆動する際の色ムラを低減することが可能な半導体装置、表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【構成】本発明は、ロード信号に応じて、各画素の輝度を示す複数の画素データ片を夫々複数の階調電圧に変換して出力する階調電圧生成回路と、階調電圧生成回路から出力された複数の階調電圧を夫々個別に受けて増幅することで複数の駆動信号を生成して表示パネルに形成されている複数のデータ線に出力する複数の出力アンプ回路と、映像信号に含まれる水平同期信号に応じてロード信号を階調電圧生成回路に出力する駆動制御回路と、測定開始信号を受けた場合に、測定開始信号を受けた時点から、複数の出力アンプ回路のうちの1の出力アンプ回路から出力された駆動信号の電圧値が所定の閾値電圧を超える時点までの時間を測定遅延時間として得る遅延時間測定回路と、を含み、駆動制御回路は、ロード信号を出力するタイミングを測定遅延時間と基準遅延時間との差分だけシフトする。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロード信号に応じて、映像信号に基づく各画素の輝度を示す複数の画素データ片を夫々アナログの電圧値を有する複数の階調電圧に変換して出力する階調電圧生成回路と、
前記階調電圧生成回路から出力された前記複数の階調電圧を夫々個別に受けて増幅することで複数の駆動信号を生成し、前記複数の駆動信号を表示パネルに形成されている複数のデータ線に出力する複数の出力アンプ回路と、
前記映像信号を受け、前記映像信号に含まれる水平同期信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に出力する駆動制御回路と、
測定開始信号を受けた場合に、前記測定開始信号を受けた時点から、前記複数の出力アンプ回路のうちの1の出力アンプ回路から出力された前記駆動信号の電圧値が所定の閾値電圧を超える時点までの時間を測定遅延時間として得る遅延時間測定回路と、を含み、
前記駆動制御回路は、前記測定開始信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に供給し、その後は前記測定遅延時間と基準遅延時間との時間差だけ前記ロード信号を出力するタイミングをシフトすることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数の出力アンプ回路のうちの前記1の出力アンプ回路を除く他の1の出力アンプ回路は、
自身に供給された前記階調電圧を非反転入力端子で受けるオペアンプと、
通常動作又は測定動作を指定する動作モード信号を受け、前記動作モード信号が前記通常動作を示す場合には、前記オペアンプの出力端を前記オペアンプの反転入力端子に接続することで前記オペアンプの出力端から前記駆動信号を出力させる一方、前記動作モード信号が前記測定動作を示す場合には、前記1の出力アンプ回路から出力された前記駆動信号を第1の駆動信号として前記オペアンプの反転入力端子に供給すると共に、自身が受けた前記階調電圧を前記閾値電圧として前記オペアンプの非反転入力端子に供給することで前記オペアンプの出力端から、前記第1の駆動信号の電圧値が前記閾値電圧より高いか否かを2値で表す信号を出力タイミング信号として出力されるスイッチ回路と、を含み、
前記遅延時間測定回路は、前記測定開始信号に応じてクロック信号のパルス数のカウントを開始して各パルス毎にカウント値を得ると共に、前記出力タイミング信号の立上り又は立下りエッジのタイミングで得た前記カウント値を前記測定遅延時間として求めることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記駆動制御回路は、前記映像信号に含まれる垂直同期信号に応じて垂直ブランキング期間内で、前記測定動作を示す前記動作モード信号を前記スイッチ回路に供給し、引き続き前記測定開始信号を前記遅延時間測定回路に出力すると共に、前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に出力することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記測定開始信号を受ける外部端子を含み、
前記駆動制御回路は、前記映像信号に含まれる垂直同期信号に応じて垂直ブランキング期間内で、前記測定動作を示す前記動作モード信号を前記スイッチ回路に供給し、引き続き前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に出力することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記駆動制御回路は、前記測定動作を示す前記動作モード信号を前記スイッチ回路に供給すると共に、前記1の出力アンプ回路が受ける前記階調電圧を生成する為の第1の画素データ片、及び前記他の1の出力アンプ回路が受ける前記階調電圧としての前記閾値電圧を生成する為の第2の画素データ片を前記階調電圧生成回路に供給することを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の駆動信号を夫々外部出力する為の複数の外部端子と、
前記複数の出力アンプ回路と前記複数の外部端子との間に個別に設けられており、前記動作モード信号が前記通常動作を示す場合には前記複数の出力アンプ回路と前記複数の外部端子とを個別に接続する一方、前記動作モード信号が前記測定動作を示す場合には前記複数の出力アンプ回路と前記複数の外部端子との間の接続を遮断する出力スイッチ回路と、を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記階調電圧生成回路、前記複数の出力アンプ回路、前記駆動制御回路、及び前記遅延時間測定回路が形成されている長方形の平面形状を有する半導体ICチップを含み、
前記駆動制御回路及び前記遅延時間測定回路が前記半導体ICチップの表面の中央領域に配置されていると共に、前記半導体ICチップの表面における四辺のうちの1の長辺に沿って前記複数の出力アンプ回路が並置されており、
前記1の出力アンプ回路及び前記他の1の出力アンプ回路が、前記半導体ICチップの表面における四辺のうちの1の短辺の最近傍に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記階調電圧生成回路、前記複数の出力アンプ回路、前記駆動制御回路、及び前記遅延時間測定回路が形成されている長方形の平面形状を有する半導体ICチップを含み、
前記駆動制御回路及び前記遅延時間測定回路が前記半導体ICチップの表面の中央領域に配置されていると共に、前記半導体ICチップの表面における四辺のうちの1の長辺に沿って前記複数の出力アンプ回路が並置されており、
並置されている前記複数の出力アンプ回路のうちの中央に前記1の出力アンプ回路及び前記他の1の出力アンプ回路が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項9】
複数のソースドライバICを含み、前記複数のソースドライバICにて表示パネルに形成されている複数のデータ線を駆動する表示ドライバであって、
前記複数のソースドライバICの各々は、
ロード信号に応じて、映像信号に基づく各画素の輝度を示す複数の画素データ片を夫々アナログの電圧値を有する複数の階調電圧に変換して出力する階調電圧生成回路と、
前記階調電圧生成回路から出力された前記複数の階調電圧を夫々個別に受けて増幅することで複数の駆動信号を生成し、前記表示パネルに形成されている複数の前記データ線に出力する複数の出力アンプ回路と、
前記映像信号を受け、前記映像信号に含まれる水平同期信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に出力する駆動制御回路と、
測定開始信号を受けた場合に、前記測定開始信号を受けた時点から、前記複数の出力アンプ回路のうちの1の出力アンプ回路から出力された前記駆動信号の電圧値が所定の閾値電圧を超える時点までの時間を測定遅延時間として得る遅延時間測定回路と、を含み、
前記駆動制御回路は、前記測定開始信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に供給し、その後は前記測定遅延時間と基準遅延時間との時間差だけ前記ロード信号を出力するタイミングをシフトすることを特徴とする表示ドライバ。
【請求項10】
前記複数のソースドライバIC同士を接続する第1のラインを含み、
前記複数のソースドライバICのうちの1のソースドライバICに含まれる前記駆動制御回路は、前記映像信号に含まれる垂直同期信号に応じて前記測定開始信号を生成しこれを前記1のソースドライバICチップに含まれる前記遅延時間測定回路に供給すると共に、生成した前記測定開始信号を前記第1のラインを介して前記複数のソースドライバICのうちの前記1のソースドライバICを除く他のソースドライバICに含まれる前記遅延時間測定回路に供給することを特徴とする請求項9に記載の表示ドライバ。
【請求項11】
複数のデータ線が形成されている表示パネルと、前記表示パネルの前記複数のデータ線を駆動する複数のソースドライバICと、を含む表示装置であって、
前記複数のソースドライバICの各々は、
ロード信号に応じて、映像信号に基づく各画素の輝度を示す複数の画素データ片を夫々アナログの電圧値を有する複数の階調電圧に変換して出力する階調電圧生成回路と、
前記階調電圧生成回路から出力された前記複数の階調電圧を夫々個別に受けて増幅することで複数の駆動信号を生成し、前記表示パネルに形成されている複数の前記データ線に出力する複数の出力アンプ回路と、
前記映像信号を受け、前記映像信号に含まれる水平同期信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に出力する駆動制御回路と、
測定開始信号を受けた場合に、前記測定開始信号を受けた時点から、前記複数の出力アンプ回路のうちの1の出力アンプ回路から出力された前記駆動信号の電圧値が所定の閾値電圧を超える時点までの時間を測定遅延時間として得る遅延時間測定回路と、を含み、
前記駆動制御回路は、前記測定開始信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に供給し、その後は前記測定遅延時間と基準遅延時間との時間差だけ前記ロード信号を出力するタイミングをシフトすることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
前記複数のソースドライバIC同士を接続する第1のラインを含み、
前記複数のソースドライバICのうちの1のソースドライバICに含まれる前記駆動制御回路は、前記映像信号に含まれる垂直同期信号に応じて前記測定開始信号を生成しこれを前記1のソースドライバICチップに含まれる前記遅延時間測定回路に供給すると共に、生成した前記測定開始信号を前記第1のラインを介して前記複数のソースドライバICのうちの前記1のソースドライバICを除く他のソースドライバICに含まれる前記遅延時間測定回路に供給することを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じて表示パネルを駆動する半導体装置、当該半導体装置を含む表示ドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置には、複数のデータ線と複数の走査線が交差状に配線されている表示パネルと共に、映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した電圧値を有する駆動信号を表示パネルの各データ線に供給するソースドライバが搭載されている。
【0003】
また、近年、表示パネルの大型化及び高精細化に伴い、ソースドライバを複数のICチップに分割して構築した液晶表示装置が製品化されている。
【0004】
しかしながら、製造上のバラツキ等に伴い、複数のソースドライバICの各々に形成されている発振器が生成するクロック信号の周波数に誤差が生じる場合がある。これにより、駆動信号を表示パネルに供給するタイミングがソースドライバIC毎にずれてしまい、表示品質を劣化させるおそれがあった。
【0005】
そこで、ソースドライバIC各々の駆動信号の出力タイミングを、水平同期信号のタイミングに合わせるようにした液晶表示装置が提案された(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の構成を採用した場合であっても、例えば以下の現象により、各ソースドライバIC間において駆動信号の出力タイミングにずれが生じる。つまり、複数のソースドライバIC間において、クロック信号に生じるスキュー、製造上のアンプ特性のバラツキ、或いは、表示パネル側の負荷変動等により、駆動信号の電圧立上り又は立下りの速度、或いは電圧立上り又は立下りの開始タイミングに差が生じる。
【0008】
これにより、当該駆動信号に従って表示パネルに表示される画像内において、各ソースドライバICが担う領域間で色ムラが生じるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、複数のソースドライバICで表示パネルを駆動する際の色ムラを低減することが可能な半導体装置、表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置は、ロード信号に応じて、映像信号に基づく各画素の輝度を示す複数の画素データ片を夫々アナログの電圧値を有する複数の階調電圧に変換して出力する階調電圧生成回路と、前記階調電圧生成回路から出力された前記複数の階調電圧を夫々個別に受けて増幅することで複数の駆動信号を生成し、前記複数の駆動信号を表示パネルに形成されている複数のデータ線に出力する複数の出力アンプ回路と、前記映像信号を受け、前記映像信号に含まれる水平同期信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に出力する駆動制御回路と、測定開始信号を受けた場合に、前記測定開始信号を受けた時点から、前記複数の出力アンプ回路のうちの1の出力アンプ回路から出力された前記駆動信号の電圧値が所定の閾値電圧を超える時点までの時間を測定遅延時間として得る遅延時間測定回路と、を含み、前記駆動制御回路は、前記測定開始信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に供給し、その後は前記測定遅延時間と基準遅延時間との時間差だけ前記ロード信号を出力するタイミングをシフトすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る表示ドライバは、複数のソースドライバICを含み、前記複数のソースドライバICにより、表示パネルに形成されている複数のデータ線を駆動する表示ドライバであって、前記複数のソースドライバICの各々は、ロード信号に応じて、映像信号に基づく各画素の輝度を示す複数の画素データ片を夫々アナログの電圧値を有する複数の階調電圧に変換して出力する階調電圧生成回路と、前記階調電圧生成回路から出力された前記複数の階調電圧を夫々個別に受けて増幅することで複数の駆動信号を生成し、前記表示パネルに形成されている複数の前記データ線に出力する複数の出力アンプ回路と、前記映像信号を受け、前記映像信号に含まれる水平同期信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に出力する駆動制御回路と、測定開始信号を受けた場合に、前記測定開始信号を受けた時点から、前記複数の出力アンプ回路のうちの1の出力アンプ回路から出力された前記駆動信号の電圧値が所定の閾値電圧を超える時点までの時間を測定遅延時間として得る遅延時間測定回路と、を含み、前記駆動制御回路は、前記測定開始信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に供給し、その後は前記測定遅延時間と基準遅延時間との時間差だけ前記ロード信号を出力するタイミングをシフトすることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る表示装置は、複数のデータ線が形成されている表示パネルと、前記表示パネルの前記複数のデータ線を駆動する複数のソースドライバICと、を含む表示装置であって、前記複数のソースドライバICの各々は、ロード信号に応じて、映像信号に基づく各画素の輝度を示す複数の画素データ片を夫々アナログの電圧値を有する複数の階調電圧に変換して出力する階調電圧生成回路と、前記階調電圧生成回路から出力された前記複数の階調電圧を夫々個別に受けて増幅することで複数の駆動信号を生成し、前記表示パネルに形成されている複数の前記データ線に出力する複数の出力アンプ回路と、前記映像信号を受け、前記映像信号に含まれる水平同期信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に出力する駆動制御回路と、測定開始信号を受けた場合に、前記測定開始信号を受けた時点から、前記複数の出力アンプ回路のうちの1の出力アンプ回路から出力された前記駆動信号の電圧値が所定の閾値電圧を超える時点までの時間を測定遅延時間として得る遅延時間測定回路と、を含み、前記駆動制御回路は、前記測定開始信号に応じて前記ロード信号を前記階調電圧生成回路に供給し、その後は前記測定遅延時間と基準遅延時間との時間差だけ前記ロード信号を出力するタイミングをシフトすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、半導体装置としてのソースドライバICにおいて、測定開始時点から、ロード信号に応じて出力アンプ回路から出力された駆動信号の電圧値が所定の閾値電圧を超えるまでの時間を遅延時間として測定し、その測定遅延時間と基準時間との差分だけ、ロード信号を供給するタイミングを時間シフトする。
【0014】
これにより、複数のソースドライバICによって表示パネルのデータ線に駆動信号を出力するにあたり、各ソースドライバIC間でクロック信号のスキュー、アンプの特性、或いは表示パネルでの負荷変動量に差があっても、各ソースドライバICが担う画像領域の境界での色ムラを低減させた高画質な表示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る半導体装置としての表示ドライバを含む表示装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図2A】ソースドライバIC24Aの内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図2B】ソースドライバIC24Bの内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】遅延時間測定回路243、出力アンプ回路A1及びA2各々の内部構成を示す回路図である。
【
図4】出力タイミング制御の手順を示すフローチャートである。
【
図5A】出力タイミング測定時の動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図5B】出力タイミング補正後の動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図6A】ソースドライバIC24Aの内部構成の他の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図6B】ソースドライバIC24Bの内部構成の他の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図7A】半導体ICチップCHP内での駆動制御回路240、遅延時間測定回路243及び出力アンプ回路A1~Ay各々の配置形態の一例を示す図である。
【
図7B】半導体ICチップCHP内での駆動制御回路240、遅延時間測定回路243及び出力アンプ回路A1~Ay各々の配置形態の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0016】
図1は、本発明に係る半導体装置としての表示ドライバを含む表示装置100の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、表示装置100は、表示パネル20の表面に配置された、ソースドライバIC24A及び24Bと、デマルチプレクサ25A及び25Bと、ゲートドライバ26A及び26Bと、表示部DSPと、を含む。
【0018】
表示部DSPは、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の整数)の走査線S1~Smと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータ線D1~Dnと、を含む。走査線及びデータ線の各交叉部には、画素を担う表示セル(破線に囲まれた領域)が形成されている。
【0019】
ソースドライバIC24A及び24Bは夫々が独立した半導体ICチップから構成されている。
【0020】
ソースドライバIC24Aは、表示部DSPのデータ線D1~Dnを2分したデータ線D1~Dk(kは2以上の整数)及びデータ線D(k+1)~Dnのうちのデータ線D1~Dkの駆動を担う。ソースドライバIC24Bは、データ線D(k+1)~Dnの駆動を担う。尚、ソースドライバIC24A及び24Bは、ラインL1を介して互いに接続されている。
【0021】
ソースドライバIC24Aは、映像信号VDSを受け、当該映像信号VDSに基づき、表示部DSPのデータ線D1~Dkに夫々対応した駆動信号G1~Gy(yは2以上の整数)を生成し、夫々を駆動信号G1A~GyAとしてデマルチプレクサ25Aに出力する。ソースドライバIC24Bは、映像信号VDSを受け、当該映像信号VDSに基づき、表示部DSPのデータ線D(k+1)~Dnに夫々対応した駆動信号G1~Gyを生成し、夫々を駆動信号G1B~GyBとしてデマルチプレクサ25Bに出力する。なお、
図1ではソースドライバIC24A及びソースドライバIC24Bからそれぞれ出力される駆動信号は駆動信号G1~Gyとして示している。
【0022】
デマルチプレクサ25Aは、ソースドライバIC24Aから出力された駆動信号G1A~GyAを受け、これら駆動信号G1A~GyAをデータ線D1~Dkのうちのy個のデータ線に供給する。例えば、デマルチプレクサ25Aは、映像信号VDSに基づく各水平走査期間の前半期間では駆動信号G1A~GyAを、データ線D1~Dkのうちの奇数番目のデータ線の各々に供給する。そして、各水平走査期間の後半期間では、デマルチプレクサ25Aは、当該駆動信号G1A~GyAをデータ線D1~Dkのうちの偶数番目のデータ線の各々に供給する。
【0023】
デマルチプレクサ25Bは、ソースドライバIC24Bから出力された駆動信号G1B~GyBを受け、これら駆動信号G1B~GyBをデータ線D(k+1)~Dnのうちのy個のデータ線に供給する。例えば、デマルチプレクサ25Bは、映像信号VDSに基づく各水平走査期間の前半期間では駆動信号G1B~GyBを、データ線D(k+1)~Dnのうちの奇数番目のデータ線の各々に供給する。そして、各水平走査期間の後半期間では、デマルチプレクサ25Bは、当該駆動信号G1B~GyBをデータ線D(k+1)~Dnのうちの偶数番目のデータ線の各々に供給する。
【0024】
ゲートドライバ26Aは、表示部DSPの走査線S1~Sm各々の一端に接続されており、映像信号VDSに含まれる水平同期信号に応じて水平走査パルスを走査線S1~Smの各々に順次印加する。ゲートドライバ26Bは、表示部DSPの走査線S1~Sm各々の他端に接続されており、映像信号VDSに含まれる水平同期信号に応じて水平走査パルスを走査線S1~Smの各々に順次印加する。
【0025】
図2Aは、ソースドライバIC24Aの内部構成を概略的に示すブロック図であり、
図2Bは、ソースドライバIC24Bの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【0026】
ソースドライバIC24A及び24Bは同一の内部構成、つまり
図2A及び
図2Bに示すように、駆動制御回路240、階調電圧生成回路241、遅延時間測定回路243及び出力アンプ回路A1~Ayを含む。
【0027】
駆動制御回路240は、映像信号VDSを受け、当該映像信号VDSに含まれる水平同期信号に応じて、駆動信号G1~Gyを表示部DSPのデータ線群に出力するタイミングを示すロード信号LOADをデータラッチ部DLTに出力する。尚、駆動制御回路240は、遅延時間測定回路243から供給された測定遅延時間CNTに基づき、ロード信号LOADの出力タイミングを調整する。
【0028】
また、駆動制御回路240は、映像信号VDSに含まれる垂直同期信号を検出した場合に、動作モード信号MMを出力アンプ回路A2に供給する。
【0029】
尚、ソースドライバIC24Aに含まれる駆動制御回路240は、垂直同期信号を検出した場合には、垂直ブランキング期間内で測定開始信号RSTを遅延時間測定回路243に供給すると共に、半導体ICチップの外部端子T0及びラインL1を介してソースドライバIC24Bに供給する。この際、ソースドライバIC24Aに含まれる遅延時間測定回路243は、
図2Bに示すように、ラインL1を介して外部端子T0で受けた測定開始信号RSTを受ける。
【0030】
ソースドライバIC24A及び24Bの各々に含まれる駆動制御回路240は、映像信号VDSに基づき、各画素を担う表示セル毎にその輝度レベルをデジタル値で表す画素データ片の系列を含む映像データ信号PDを生成し、データラッチ部DLTに供給する。
【0031】
階調電圧生成回路241は、データラッチ部DLT、及びDA(digital to analog)変換部DACを含む。
【0032】
データラッチ部DLTは、映像データ信号PDに含まれる画素データ片をy個取り込む度に、取り込んだy個の画素データ片を画素データP1~Pyとしてロード信号LOADのタイミングでDA変換部DACに出力する。
【0033】
DA変換部DACは、画素データP1~Pyを夫々個別に、その画素データ片にて示される輝度レベルを例えば256段階のアナログの電圧値で表す階調電圧に変換し、得られたy個の階調電圧を階調電圧E1~Eyとして、出力アンプ回路A1~Ayに供給する。
【0034】
出力アンプ回路A1~Ayは、階調電圧E1~Eyを夫々個別に受けるアンプAP1~APyを含む。尚、アンプAP1~APyの各々は、自身の出力端子と反転入力端子とが接続されている、ボルテージフォロワ構成のオペアンプである。出力アンプ回路A1~Ayの各々は、自身の非反転入力端子で階調電圧E1~Eyを個別に受け、これを増幅したものを駆動信号G1~Gyとして、半導体ICチップの外部端子T1~Tyを介して出力する。
【0035】
尚、出力アンプ回路A1~Ayのうちの特定の出力アンプ回路A2には、出力タイミングを測定するためのスイッチ回路SWが含まれている。
【0036】
スイッチ回路SWは、駆動制御回路240から供給された動作モード信号MMに応じて、出力アンプ回路A2を通常動作モード及び測定モードのうちの一方に設定する。
【0037】
例えば動作モード信号MMが、通常動作を示す場合には、スイッチ回路SWは、出力アンプ回路A2に含まれるアンプAP2の出力端子と反転入力端子とを接続して、アンプAP1及びAP3~APyと同様なボルテージフォロワ構成にする。
【0038】
一方、動作モード信号MMが測定動作を示す場合には、スイッチ回路SWは、出力アンプ回路A1に含まれているアンプAP1の出力端子とアンプAP2の反転入力端子とを接続する。これにより、アンプAP2は、アンプAP1から出力された駆動信号G1を自身の反転入力端子で受け、階調電圧E2を自身の非反転入力端子で受けるコンパレータとして機能する。この際、アンプAP2は、階調電圧E2を閾値電圧Vthとし、駆動信号G1の電圧値がこの閾値電圧Vthを超えたときに論理レベルが0から1、又は1から0に遷移する立上り又は立下りエッジを有する2値信号を出力タイミング信号TMとして出力端から出力する。アンプAP2は、この出力タイミング信号TMを遅延時間測定回路243に供給する。
【0039】
遅延時間測定回路243は、測定開始信号RSTを受けた場合に、この測定開始信号RSTを受けた時点から、出力タイミング信号TMの立上り又は立下りエッジの時点までの時間、つまり駆動信号G1の電圧値が閾値電圧Vthを超える時点までの時間を、測定遅延時間CNTとして測定する。そして、遅延時間測定回路243は、この測定遅延時間CNTを駆動制御回路240に供給する。
【0040】
図3は、上記した遅延時間測定回路243、出力アンプ回路A1及びA2各々の内部構成を示す回路図である。
【0041】
図3に示すように、出力アンプ回路A1は、自身の出力端子と反転入力端子とが接続されている、ボルテージフォロワ構成のオペアンプであるアンプAP1を含む。アンプAP1は、自身の非反転入力端子で受けた階調電圧E1を増幅して得られた駆動信号G1を外部端子T1から出力すると共に、当該駆動信号G1を出力アンプ回路A2に供給する。
【0042】
出力アンプ回路A2は、自身の非反転入力端子で階調電圧E2を受けるオペアンプとしてのアンプAP2と、スイッチ回路SWと、を含む。
【0043】
インバータIVは、通常動作を指定する場合には論理レベル0、測定動作を指定する場合には論理レベル1の動作モード信号MMを受け、当該動作モード信号MMの論理レベルを反転させた反転動作モード信号をスイッチ素子S5及びS6に供給する。
【0044】
ここで、当該反転動作モード信号が論理レベル0を示す場合、つまり測定動作が指定されている場合には、スイッチ素子S5及びS6は共にオフ状態となる。一方、反転動作モード信号が論理レベル1を示す場合、つまり通常動作が指定されている場合には、スイッチ素子S5及びS6は共にオン状態となる。これにより、オペアンプとしてのアンプAP2は、階調電圧E2を増幅した信号を駆動信号G2として出力する、ボルテージフォロワとして機能する。
【0045】
スイッチ素子S7及びS8は、動作モード信号MMを受け、当該動作モード信号MMが通常動作を示す論理レベル0である場合には共にオフ状態となる。一方、動作モード信号MMが測定動作を示す論理レベル1である場合には、スイッチ素子S7及びS8は共にオン状態となる。これにより、アンプAP1から出力された駆動信号G1がアンプAP2の反転入力端子に供給され、非反転入力端子で階調電圧E2を受ける状態となり、アンプAP2は、駆動信号G1と階調電圧E2との大きさを比較するコンパレータとして機能する。この際、アンプAP2は、階調電圧E2の電圧値を閾値電圧Vthとし、駆動信号G1の電圧値がこの閾値電圧Vth以下の場合には論理レベル0(又は論理レベル1)の状態を維持する。そして、駆動信号G1の電圧値が閾値電圧Vthを超えたら、アンプAP2は、論理レベル0(又は論理レベル1)から論理レベル1(又は論理レベル0)に遷移する立上り(又は立下り)エッジを有する信号を出力タイミング信号TMとして、遅延時間測定回路243に供給する。
【0046】
遅延時間測定回路243は、クロック発生回路11、カウンタ12及びDフリップフロップ(以下DFFと称する)13を含む。
【0047】
クロック発生回路11は、高周波数の2値の発振信号をクロック信号CLKとして発生し、これをカウンタ12のクロック端子に供給する。
【0048】
カウンタ12は、測定開始信号RSTを受ける度に自身のカウント値をゼロにリセットし、そこからクロック信号CLKのパルスの数をカウントし、その数をカウント値CNとしてDFF13に供給する。
【0049】
DFF13は、測定開始信号RSTを受ける度に自身に保持されている値をゼロにリセットし、出力タイミング信号TMの立上り又は立下りエッジのタイミングでカウンタ12のカウント値CNを取り込んでこれを保持する。DFF13は、この保持したカウント値CNを測定遅延時間CNTとして駆動制御回路240に供給する。
【0050】
以下に、
図2A及び
図2Bに示す駆動制御回路240、遅延時間測定回路243、出力アンプ回路A1及びA2によって行われる駆動信号G1~Gyに対する出力タイミング制御について説明する。
【0051】
先ず、駆動制御回路240が、映像信号VDS中から垂直同期信号を検出する度に
図4に示すフローに沿った出力タイミング制御を実行する。これにより、映像信号VDSに含まれる垂直ブランキング期間内で当該出力タイミング制御が行われる。
【0052】
図4において、駆動制御回路240は、測定動作を示す動作モード信号MMを出力アンプ回路A2に供給する(ステップS11)。これにより、出力アンプ回路A2は、階調電圧E2と、出力アンプ回路A1から出力された駆動信号G1との大きさの比較結果を2値(論理レベル0、1)の出力タイミング信号TMとして出力するコンパレータとして機能する。
【0053】
次に、駆動制御回路240は、例えば最大輝度レベルを表し且つ駆動信号G1の基となる画素データ片[1]と、閾値電圧Vthに対応した輝度レベルを表し且つ駆動信号G2の基となる画素データ片[2]を含む映像データ信号PDをデータラッチ部DLTに送出する(ステップS12)。
【0054】
ステップS12の実行後、ソースドライバIC24Aの駆動制御回路240は、測定開始信号RSTを自身の遅延時間測定回路243に送出すると共に、当該測定開始信号RSTを、ラインL1を介してソースドライバIC24Bの遅延時間測定回路243に送出する(ステップS13)。尚、ソースドライバIC24Bの駆動制御回路240は、当該ステップS13において上記した測定開始信号RSTの送出は行わない。
【0055】
かかる測定開始信号RSTを受けることで、ソースドライバIC24A及び24B各々の遅延時間測定回路243に含まれるカウンタ12のカウント値CNが
図5Aに示すようにゼロにリセットされる。そして、引き続きカウンタ12は、
図5Aに示すようにクロック信号CLKのパルス数をカウントし、そのカウント値CNをDFF13に供給する。更に、測定開始信号RSTを受けることで、ソースドライバIC24A及び24B各々のDFF13に保持されている測定遅延時間CNTもゼロにリセットされる。
【0056】
ステップS13の実行後、駆動制御回路240は、ロード信号LOADをデータラッチ部DLTに送出する(ステップS14)。例えば、
図5Aに示す一例では、ソースドライバIC24Aの駆動制御回路240は、自身に供給された映像信号VDSに含まれるクロック信号に同期したタイミングである時点t1でロード信号LOADをデータラッチ部DLTに送出する。同様にソースドライバIC24Bの駆動制御回路240も、自身に供給された映像信号VDSに含まれるクロック信号に同期したタイミングでロード信号LOADをデータラッチ部DLTに送出する。ただし、
図5Aに示す一例では、ソースドライバIC24A及び24B各々に供給された映像信号VDSに含まれるクロック信号同士にはクロックスキューが生じている為、ソースドライバIC24Bの駆動制御回路240は、時点t1からスキュー時間Cskだけ遅れた時点t2でロード信号LOADをデータラッチ部DLTに送出している。
【0057】
ここで、上記したステップS13の実行により、上記した画素データ片[1]に対応した電圧値を有する階調電圧E1がソースドライバIC24A及び24B各々の出力アンプ回路A1のアンプAP1に供給される。更に、上記した画素データ片[2]に対応した電圧値を有する階調電圧E2がソースドライバIC24A及び24B各々の出力アンプ回路A2のアンプAP2に供給される。
【0058】
すると、ソースドライバIC24AのアンプAP1は、時点t1で、階調電圧E1に対応した駆動信号G1の出力を開始する。これにより、駆動信号G1の電圧値は、
図5Aの太実線にて示すように、時点t1から、画素データ片[1]にて表される輝度レベルに対応した電圧Vmxに向けて徐々に上昇する。
【0059】
一方、ソースドライバIC24BのアンプAP1は、時点t2で、階調電圧E1に対応した駆動信号G1の出力を開始する。これにより、駆動信号G1の電圧値は、
図5Aの太破線にて示すように、時点t2から、上記した電圧Vmxに向けて徐々に上昇する。
【0060】
尚、この間、ソースドライバIC24A及び24B各々の出力アンプ回路A2は、駆動信号G1と閾値電圧Vth(=階調電圧E2)との大きさを比較するコンパレータとして機能する。つまり、出力アンプ回路A2は、駆動信号G1の電圧値が閾値電圧Vth以下である場合には例えば論理レベル0の状態を維持し、駆動信号G1の電圧値が閾値電圧Vthより高くなった時に論理レベル0から論理レベル1に遷移する信号を出力タイミング信号TMとして出力する。
【0061】
上記したステップS14の実行後、駆動制御回路240は、DFF13から出力された測定遅延時間CNTがゼロであるか否かの判定(ステップS15)を、ゼロでは無いと判定するまで繰り返し行う。
【0062】
この間、遅延時間測定回路243のDFF13は、測定開始信号RSTに応じてリセットされた状態、つまり
図5Aに示すようにゼロを表す測定遅延時間CNTの出力状態を維持している。しかしながら、その後、出力タイミング信号TMの論理レベルが変化する立上り又は立下りエッジのタイミング、つまり、駆動信号G1の電圧値が閾値電圧Vthを超えるタイミングで、DFF13がカウンタ12のカウント値CNを取り込む。これにより、遅延時間測定回路243は、測定開始信号RSTを受けた時点から、駆動信号G1の電圧値が閾値電圧Vthを超える時点までの時間を測定遅延時間CNTとして得る。
【0063】
例えば、ソースドライバIC24AのアンプAP1から出力された駆動信号G1の電圧値は、
図5Aの太実線にて示すように時点t3で閾値電圧Vthを超える。この際、ソースドライバIC24AのDFF13は、
図5Aに示すように、時点t3でのカウント値CNである「8」を取り込み、当該「8」を示す測定遅延時間CNTを出力する。
【0064】
これに対して、ソースドライバIC24BのアンプAP1から出力された駆動信号G1の電圧値は、
図5Aの太破線にて示すように、時点t3より遅れた時点t4で閾値電圧Vthを超える。この際、ソースドライバIC24GBのDFF13は、
図5Aに示すように、時点t4でのカウント値CNである「10」を取り込み、当該「10」を示す測定遅延時間CNTを出力する。尚、
図5Aに示すように、ソースドライバIC24Aから出力された駆動信号G1が閾値電圧Vthに到達する時点t3と、ソースドライバIC24Bから出力された駆動信号G1が閾値電圧Vthに到達する時点t4との間の時間差Tlagは、スキュー時間Cskと共に、アンプの特性のバラツキや表示部DSPでの負荷変動分を含んでいる。よって、
図5Aに示すように、時間差Tlagは上記したスキュー時間Cskよりも長くなる可能性がある。
【0065】
ここで、駆動制御回路240は、測定遅延時間CNTがゼロでは無いと判定(ステップS15)すると、引き続き当該測定遅延時間CNTから所定の基準遅延時間Refを減算した結果を、時間差Tlagに対応した時間差CTとして算出する(ステップS16)。
【0066】
そして、駆動制御回路240は、ロード信号LOADをデータラッチ部DLTに出力するタイミングを、次回からは時間差CTの分だけ時間シフトした出力タイミングとなるように自身の設定を変更する。
【0067】
例えば、基準遅延時間Refを「8」とした場合、ソースドライバIC24Aでは、測定遅延時間CNTと基準遅延時間Refとが共に「8」であるので、時間差CTはゼロとなる。よって、ソースドライバIC24Aの駆動制御回路240は、次回からも
図5Bに示すように、測定開始信号RSTに対して時点t1のタイミングでロード信号LOADをデータラッチ部DLTに供給する。
【0068】
一方、ソースドライバIC24Bでは、
図5Aに示すように測定遅延時間CNTは「10」であるので、時間差CTは「2」となる。よって、ソースドライバIC24Bの駆動制御回路240は、次回からは、
図5Bに示すように、前回のロード信号LOADの出力タイミングである時点t2よりも時間差CTにて示されるカウント値「2」の時間分だけシフトした時点t0で、ロード信号LOADをデータラッチ部DLTに供給するようになる。
【0069】
これにより、
図5Bに示すように、ソースドライバIC24A及び24Bの各々から出力される駆動信号G1~Gyは共に、時点t3でその電圧値が閾値電圧Vthに到達するようになる。
【0070】
したがって、上記した構成によれば、ソースドライバIC24及び24B間で、クロック信号のスキュー、アンプの特性、或いは表示部DSPの負荷変動量に差が生じていても、ソースドライバIC24及び24Bが夫々担う画像領域の境界での色ムラを低減させた高画質な表示を行うことが可能となる。
出力スイッチ回路250は、出力アンプ回路A1~Ayと外部端子T1~Tyとの間に個別に設けられており、動作モード信号MMが通常動作を示す場合には一斉にオン状態となり、動作モード信号MMが測定動作を示す場合にはオフ状態となるy個のスイッチを含む。このように、測定動作時には、ソースドライバIC24A及び24Bと、表示部DSPとの接続を遮断することで、ソースドライバIC24A及び24B各々から出力される駆動信号G1が表示部DSPによる負荷の影響を受けなくなる。これにより、駆動信号G1の電圧値の立ち上がり波形が急峻となり、当該駆動信号G1の電圧値が閾値電圧Vthを超えたか否かの判定が確実に為されるようになる。
また、上記した実施例1及び2では、出力タイミングを測定する為に、出力アンプ回路A2にスイッチ回路SWを設け、出力アンプ回路A1から出力された駆動信号G1を当該出力アンプ回路A2に供給する構成を採用している。すなわち、実施例1及び2では、出力アンプ回路A1~Ayのうちの一対の出力アンプ回路A1及びA2に、出力タイミング測定用の機能を付加している。