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▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153179
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/16 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G01D5/16 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066911
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷲平 雅彦
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA12
2F077JJ01
2F077JJ09
2F077JJ23
2F077TT13
(57)【要約】
【課題】磁気ヒステリシスの影響を抑制して軸周りに移動する磁石の回転方向の位置を安定して検出する。
【解決手段】感磁抵抗MR11および固定抵抗MR12の各々は、延在方向に磁化している複数の直線状延在部が直列に接続されて折り返すように配置された磁気抵抗効果素子で構成されている。固定抵抗MR12において、複数の直線状延在部の全数は、第1方向(Y軸方向)に沿って延在している。感磁抵抗MR12において、複数の直線状延在部の全数または半数は、磁石からの磁界の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想軸の周りを移動可能に設けられ、前記仮想軸に沿う第1方向に着磁された磁石と、
前記仮想軸の径方向において前記磁石より外側に位置し、感磁抵抗および固定抵抗を含むブリッジ回路が形成された感磁面を有する磁気センサとを備え、
前記磁気センサは、前記磁気センサと前記磁石とが最も接近しているときの前記磁石の重心を通過しつつ前記仮想軸と直交する仮想線に対して前記第1方向において偏って位置しており、
前記感磁面は、前記第1方向、および前記仮想線に沿う第2方向の、各々に沿って延在しており、
前記感磁抵抗および前記固定抵抗の各々は、延在方向に磁化している複数の直線状延在部が直列に接続されて折り返すように配置された磁気抵抗効果素子で構成されており、
前記固定抵抗において、前記複数の直線状延在部の全数は、前記第1方向に沿って延在しており、
前記感磁抵抗において、前記複数の直線状延在部の全数または半数は、前記磁石からの磁界の印加方向に傾斜して前記第2方向に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている、位置検出装置。
【請求項2】
前記感磁抵抗において、前記複数の直線状延在部の半数は、前記磁石からの磁界の印加方向に傾斜して前記第2方向に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしており、かつ、前記複数の直線状延在部の残りの半数は、前記磁石からの磁界の印加方向とは反対向きに傾斜して前記第2方向に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている、請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記感磁抵抗において、前記複数の直線状延在部の前記半数が直列に接続されて折り返すように配置された複数の第1折り返し部と、前記複数の直線状延在部の前記残りの半数が直列に接続されて折り返すように配置された複数の第2折り返し部とが、前記第1方向に並んで配置されている、請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記感磁抵抗において、前記複数の直線状延在部の前記半数のうちの2つが直列に接続されて折り返すように配置された第1折り返し部と、前記複数の直線状延在部の前記残りの半数のうちの2つが直列に接続されて折り返すように配置された第2折り返し部とが、前記第1方向に交互に並んで配置されている、請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記感磁抵抗において、前記複数の直線状延在部の前記半数のうちの1つと前記複数の直線状延在部の前記残りの半数のうちの1つとが前記第2方向に並んで接続されたV字状部または逆V字状部が、前記第1方向に並びつつ直列に接続されて折り返すように配置されている、請求項2に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気検出素子の構成を開示した先行技術文献として、特許第3058899号(特許文献1)がある。特許文献1に記載された磁気検出素子においては、強磁性磁気電気抵抗材料により電流通路となる複数の細長い短冊部を折り返し配置する。これらの短冊部を直列に結合した磁気検出用と温度補償用の各抵抗体を、無磁界状態での抵抗値が略等しくなるように絶縁性基板上に形成する。これらの磁気検出用と温度補償用の抵抗体を構成するそれぞれの短冊部を、流れる電流の平均方向が互いに略直角となるように配置する。これらの磁気検出用と温度補償用の抵抗体を直列に結合する。磁気の接近を、磁気電気抵抗効果による磁気検出用抵抗体の電気抵抗の変化で検出する。磁気検出用の抵抗体は、両側の短冊部のなす角度θが0゜<θ≦75゜であって、片側の短冊部がそれぞれ平行に形成されたハの字状に配置されることにより、磁気の接近による磁気電気抵抗効果による電気抵抗変化が温度補償用の抵抗体より大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3058899号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された磁気検出素子は、往復運動するピストンに組み込まれた磁石の磁界を検出することにより直線方向の位置を検出しており、軸周りに移動する磁石の磁界を検出することにより回転方向の位置を検出することについては考慮されていない。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、磁気ヒステリシスの影響を抑制して軸周りに移動する磁石の回転方向の位置を安定して検出可能な位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく位置検出装置は、磁石と、磁気センサとを備える。磁石は、仮想軸の周りを移動可能に設けられ、上記仮想軸に沿う第1方向に着磁されている。磁気センサは、上記仮想軸の径方向において磁石より外側に位置し、感磁抵抗および固定抵抗を含むブリッジ回路が形成された感磁面を有する。磁気センサは、磁気センサと磁石とが最も接近しているときの磁石の重心を通過しつつ上記仮想軸と直交する仮想線に対して第1方向において偏って位置している。感磁面は、第1方向、および上記仮想線に沿う第2方向の、各々に沿って延在している。感磁抵抗および固定抵抗の各々は、延在方向に磁化している複数の直線状延在部が直列に接続されて折り返すように配置された磁気抵抗効果素子で構成されている。固定抵抗において、複数の直線状延在部の全数は、第1方向に沿って延在している。感磁抵抗において、複数の直線状延在部の全数または半数は、磁石からの磁界の印加方向に傾斜して第2方向に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、磁気ヒステリシスの影響を抑制して軸周りに移動する磁石の回転方向の位置を安定して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る位置検出装置の構成を示す斜視図である。
図2図1に示す位置にある磁石から磁気センサの感磁面に印加される磁界を模式的に示す図である。
図3】磁石の回転角度と、磁石から磁気センサの感磁面に印加される磁界の強度との関係を示すグラフである。
図4】磁石の回転角度と、磁石から磁気センサの感磁面に印加される磁界の印加方向との関係を示すグラフである。
図5】比較例に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。
図6】比較例に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が第2方向の一方であるときの状態を示す図である。
図7】比較例に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が第2方向の一方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。
図8】比較例に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が第2方向の他方であるときの状態を示す図である。
図9】比較例に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が第2方向の他方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。
図10】本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。
図11】本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の一方であるときの状態を示す図である。
図12】本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の一方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。
図13】本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の他方であるときの状態を示す図である。
図14】本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の他方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。
図15】本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。
図16】本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の一方であるときの状態を示す図である。
図17】本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の一方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。
図18】本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の他方であるときの状態を示す図である。
図19】本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の他方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。
図20】比較例に係る磁気センサに対して、磁石から磁界を印加する直前に第2方向の一方に磁界を印加して感磁抵抗の直線状延在部の磁化方向を第2方向の一方にした場合の、磁石の回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフである。
図21】比較例に係る磁気センサに対して、磁石から磁界を印加する直前に第2方向の他方に磁界を印加して感磁抵抗の直線状延在部の磁化方向を第2方向の他方にした場合の、磁石の回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフである。
図22】本発明の実施形態2に係る磁気センサに対して、磁石から磁界を印加する直前に第2方向の一方に磁界を印加して感磁抵抗の直線状延在部の磁化方向を直線状延在部の延在方向の一方にした場合の、磁石の回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフである。
図23】本発明の実施形態2に係る磁気センサに対して、磁石から磁界を印加する直前に第2方向の他方に磁界を印加して感磁抵抗の直線状延在部の磁化方向を直線状延在部の延在方向の他方にした場合の、磁石の回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフである。
図24】本発明の実施形態3に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。
図25】本発明の実施形態4に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。
図26】本発明の実施形態5に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。
図27】本発明の実施形態6に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。
図28】本発明の実施形態7に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態および比較例に係る位置検出装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る位置検出装置の構成を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係る位置検出装置100は、磁石120と、磁気センサ110とを備える。磁石120は、仮想軸VAの周りを移動可能に設けられ、仮想軸VAに沿う第1方向(Y軸方向)に着磁されている。すなわち、磁石120の着磁方向D1は、第1方向(Y軸方向)の一方に向いている。磁石120は、仮想軸VAを中心として回転方向D2に移動可能に設けられている。本実施形態においては、磁石120は、中心軸Aに沿って延在する円柱状の形状を有している。中心軸A上に、磁石120の重心Cが位置している。
【0011】
磁気センサ110は、仮想軸VAの径方向において磁石120より外側に位置し、感磁抵抗および固定抵抗を含むブリッジ回路が形成された感磁面111を有する。図1に示すように、磁気センサ110は、磁気センサ110と磁石120とが最も接近しているときの磁石120の重心Cを通過しつつ仮想軸VAと直交する仮想線VLに対して第1方向(Y軸方向)において偏って位置している。本実施形態においては、磁気センサ110は、仮想線VLに対して第1方向(Y軸方向)の一方側のみに位置している。なお、磁気センサ110は、仮想線VLに対して第1方向(Y軸方向)において偏って位置していればよく、仮想線VLに関して第1方向(Y軸方向)の一方側および他方側の両方に位置していてもよい。
【0012】
図2は、図1に示す位置にある磁石から磁気センサの感磁面に印加される磁界を模式的に示す図である。図1および図2に示すように、磁気センサ110の感磁面111は、第1方向(Y軸方向)、および仮想線VLに沿う第2方向(X軸方向)の、各々に沿って延在している。磁気センサ110が仮想線VLに対して第1方向(Y軸方向)の一方側のみに位置していることにより、磁石120の磁界B1は、図2に示すように、第1方向(Y軸方向)に対して斜め方向に、具体的には、第1方向(Y軸方向)の他方かつ第2方向(X軸方向)の一方に向かって磁気センサ110の感磁面111に印加される。
【0013】
図3は、磁石の回転角度と、磁石から磁気センサの感磁面に印加される磁界の強度との関係を示すグラフである。図4は、磁石の回転角度と、磁石から磁気センサの感磁面に印加される磁界の印加方向との関係を示すグラフである。図3においては、縦軸に、磁界の強度(mT),横軸に、磁石の回転角度θm(deg)を示している。また、第2方向(X軸方向)の磁界成分を実線、第1方向(Y軸方向)の磁界成分を点線で示している。図4においては、縦軸に、磁界の印加方向(deg),横軸に、磁石の回転角度θm(deg)を示している。
【0014】
なお、磁石の回転角度θmは、磁石120が回転方向D2に回転した角度であり、図1に示す仮想線VLは、回転角度θm=0となる基準線である。磁界の印加方向は、図2に示すように、第2方向(X軸方向)に対する角度であり、第2方向(X軸方向)の一方に向いた方向を0°とし、第1方向(Y軸方向)の一方に向いた方向を90°とする。
【0015】
図3に示すように、磁石120から磁気センサ110の感磁面111に印加される第2方向(X軸方向)の磁界成分の強度は、回転角度θm=0のとき最も大きくなり、回転角度θmが0°から離れるにしたがって小さくなる。磁石120から磁気センサ110の感磁面111に印加される第1方向(Y軸方向)の磁界成分の強度の絶対値は、回転角度θm=0のとき最も大きくなり、回転角度θmが0°から離れるにしたがって小さくなる。
【0016】
図4に示すように、磁界の印加方向の角度は、磁石120の回転角度θm=0のとき-71°で最も大きくなり、磁石120の回転角度θm=±180°のとき-85°で最も小さくなる。すなわち、本実施形態においては、磁石120から磁気センサ110の感磁面111に印加される磁界の印加方向は、14°の範囲内で変化する。
【0017】
図1に示すように磁石120の回転角度θm=0で磁気センサ110と磁石120とが最も接近しているとき、磁石120から磁気センサ110の感磁面111に印加される磁界の強度が最も大きく、かつ、図4に示すように磁界の印加方向の角度が最も大きくなるため、図3に示すように第2方向(X軸方向)の磁界成分の強度および第1方向(Y軸方向)の磁界成分の強度の絶対値が最も大きくなる。磁石120が移動して、磁気センサ110と磁石120との距離が離れるにしたがって磁石120から磁気センサ110の感磁面111に印加される磁界の強度が低下するとともに図4に示すように磁界の印加方向の角度が小さくなるため、図3に示すように第2方向(X軸方向)の磁界成分の強度および第1方向(Y軸方向)の磁界成分の強度の絶対値が小さくなる。
【0018】
ここで、本実施形態に係る磁気センサ110の感磁面111に形成されている感磁抵抗および固定抵抗について、比較例に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗と比較しつつ説明する。
【0019】
図5は、比較例に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。図5に示すように、比較例に係る磁気センサ910の感磁面911には、感磁抵抗MR91および固定抵抗MR92を含むブリッジ回路が形成されている。具体的には、感磁抵抗MR91と固定抵抗MR92とが直列に接続されて、ハーフブリッジ回路が構成されている。感磁抵抗MR91の一端は入力端子Vccに電気的に接続されており、固定抵抗MR92の他端は接地端子Gndに電気的に接続されており、感磁抵抗MR91の他端および固定抵抗MR92の一端は中点端子Voutに電気的に接続されている。
【0020】
感磁抵抗MR91および固定抵抗MR92の各々は、延在方向に磁化している複数の直線状延在部が直列に接続されて折り返すように配置された磁気抵抗効果素子で構成されている。固定抵抗MR92において、複数の直線状延在部の全数は、第1方向(Y軸方向)に沿って延在している。感磁抵抗MR91において、複数の直線状延在部の全数は、第2方向(X軸方向)に沿って延在している。
【0021】
図5に示すように、磁石120の回転角度θm=0のときに磁石120から印加される磁界B1の印加方向と、磁石120の回転角度θm=±180°のときに磁石120から印加される磁界B2の印加方向とのなす角をθとする。図4に示す例では、θ=14°である。磁石120が回転方向に移動することにより、磁石120から第1方向(Y軸方向)に略沿うように印加角度範囲θ内で感磁面911に磁界B1~B2が印加される。
【0022】
固定抵抗MR92における直線状延在部は、第1方向(Y軸方向)に沿って延在しており、第1方向(Y軸方向)に磁化している。そのため、固定抵抗MR92は、磁石120から磁界B1~B2が印加されてもほとんど磁気抵抗効果が現れず、電気抵抗値が略一定となって固定抵抗として機能する。
【0023】
一方、感磁抵抗MR91における直線状延在部は、第2方向(X軸方向)に沿って延在しており、第2方向(X軸方向)に磁化している。そのため、感磁抵抗MR91は、磁石120から磁界B1~B2が印加されると磁気抵抗効果が現れ、電気抵抗値が変化する感磁抵抗として機能する。なお、感磁抵抗MR91を構成する磁気抵抗効果素子の線幅は、固定抵抗MR92を構成する磁気抵抗効果素子の線幅と同一である。磁界が印加されていない状態における、感磁抵抗MR91の電気抵抗値と固定抵抗MR92の電気抵抗値とは、互いに等しい。
【0024】
図6は、比較例に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が第2方向の一方であるときの状態を示す図である。図7は、比較例に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が第2方向の一方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。図6および図7においては、1本の直線状延在部の一部のみを図示している。
【0025】
図6および図7に示すように、比較例に係る磁気センサの感磁抵抗MR91の直線状延在部において、磁石120から磁界が印加される直前の磁化方向D9Aが第2方向(X軸方向)の一方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合、第2方向(X軸方向)における磁化方向D9Aの向きと磁界B1~B2の向きとが同じ向きであるため、磁気ヒステリシスが比較的小さい。
【0026】
図8は、比較例に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が第2方向の他方であるときの状態を示す図である。図9は、比較例に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が第2方向の他方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。図8および図9においては、1本の直線状延在部の一部のみを図示している。
【0027】
図8および図9に示すように、比較例に係る磁気センサの感磁抵抗MR91の直線状延在部において、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向D9Bが第2方向(X軸方向)の他方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合、第2方向(X軸方向)における磁化方向D9Bの向きと磁界B1~B2の向きとは反対向きであるが、最も強度の大きい磁界B1における、磁化方向D9Bと反対向きの磁界成分B91rの強度が弱いため、感磁抵抗MR91の直線状延在部の磁化方向D9Bは磁界成分B91rによっては反転しない。
【0028】
磁気センサ910は、感磁抵抗MR91の直線状延在部が磁化方向D9Bのままで、磁化方向D9Bの向きとは反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する場合、磁気ヒステリシスが比較的大きくなり、磁気センサ910の動作安定性が低下する。
【0029】
このように、比較例に係る磁気センサ910においては、感磁抵抗MR91の直線状延在部における、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向によって、磁気ヒステリシスが比較的大きくなって、磁気センサ910の動作安定性が低下する場合がある。
【0030】
図10は、本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。図10に示すように、本発明の実施形態1に係る磁気センサ110の感磁面111には、感磁抵抗MR11および固定抵抗MR12を含むブリッジ回路が形成されている。具体的には、感磁抵抗MR11と固定抵抗MR12とが直列に接続されて、ハーフブリッジ回路が構成されている。感磁抵抗MR11の一端は入力端子Vccに電気的に接続されており、固定抵抗MR12の他端は接地端子Gndに電気的に接続されており、感磁抵抗MR11の他端および固定抵抗MR12の一端は中点端子Voutに電気的に接続されている。
【0031】
感磁抵抗MR11および固定抵抗MR12の各々は、延在方向に磁化している複数の直線状延在部が直列に接続されて折り返すように配置された磁気抵抗効果素子で構成されている。本実施形態においては、磁気抵抗効果素子は、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子である。固定抵抗MR12において、複数の直線状延在部の全数は、第1方向(Y軸方向)に沿って延在している。具体的には、固定抵抗MR12において、複数の直線状延在部の全数は、第2方向(X軸方向)に対して直交している。感磁抵抗MR11において、複数の直線状延在部の全数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR11において、複数の直線状延在部の全数は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の他方に位置するように傾斜している。
【0032】
図10に示すように、磁石120が回転方向に移動することにより、磁石120から第1方向(Y軸方向)に略沿うように印加角度範囲θ内で感磁面111に磁界B1~B2が印加される。固定抵抗MR12における直線状延在部は、第1方向(Y軸方向)に沿って延在しており、第1方向(Y軸方向)に磁化している。そのため、固定抵抗MR12は、磁石120から磁界B1~B2が印加されてもほとんど磁気抵抗効果が現れず、電気抵抗値が略一定となって固定抵抗として機能する。
【0033】
一方、感磁抵抗MR11における直線状延在部は、第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たすように延在しており、当該延在方向に磁化している。そのため、感磁抵抗MR11は、磁石120から磁界B1~B2が印加されると磁気抵抗効果が現れ、電気抵抗値が変化する感磁抵抗として機能する。なお、感磁抵抗MR11を構成する磁気抵抗効果素子の線幅は、固定抵抗MR12を構成する磁気抵抗効果素子の線幅と同一である。磁界が印加されていない状態における、感磁抵抗MR11の電気抵抗値と固定抵抗MR12の電気抵抗値とは、互いに等しい。
【0034】
図11は、本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の一方であるときの状態を示す図である。図12は、本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の一方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。図11および図12においては、1本の直線状延在部の一部のみを図示している。
【0035】
図11および図12に示すように、本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗MR11の直線状延在部において、磁石120から磁界が印加される直前の磁化方向D1Aが直線状延在部の延在方向の一方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合、第2方向(X軸方向)における磁化方向D1Aの向きと磁界B1~B2の向きとが同じ向きであるため、磁気ヒステリシスが比較的小さい。
【0036】
図13は、本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の他方であるときの状態を示す図である。図14は、本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の他方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。図13および図14においては、1本の直線状延在部の一部のみを図示している。
【0037】
図13および図14に示すように、本発明の実施形態1に係る磁気センサの感磁抵抗MR11の直線状延在部において、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向D1Bが直線状延在部の延在方向の他方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合、第2方向(X軸方向)における磁化方向D1Bの向きと磁界B1~B2の向きとは反対向きであり、最も強度の大きい磁界B1における、磁化方向D1Bと反対向きの磁界成分B1rの強度が強いため、感磁抵抗MR11の直線状延在部の磁化方向D1Bは磁界成分B1rによって磁化方向D1Aに反転する。
【0038】
このように、本発明の実施形態1に係る磁気センサ110においては、感磁抵抗MR11の直線状延在部の磁化方向D1Bの向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する場合、感磁抵抗MR11の直線状延在部の磁化方向が、磁化方向D1Bから磁化方向D1Aに反転するため、第2方向(X軸方向)における磁化方向D1Aの向きと磁界B1~B2の向きとが同じ向きとなって、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ110の動作安定性を高く維持することができる。
【0039】
すなわち、本発明の実施形態1に係る磁気センサ110においては、感磁抵抗MR11の直線状延在部における、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向によらず、磁気ヒステリシスを比較的小さくして、磁気センサ110の動作安定性を高く維持することができる。
【0040】
本発明の実施形態1に係る位置検出装置100は、磁石120と、磁気センサ110とを備える。磁石120は、仮想軸VAの周りを移動可能に設けられ、仮想軸VAに沿う第1方向(Y軸方向)に着磁されている。磁気センサ110は、仮想軸VAの径方向において磁石120より外側に位置し、感磁抵抗および固定抵抗を含むブリッジ回路が形成された感磁面111を有する。磁気センサ110は、磁気センサ110と磁石120とが最も接近しているときの磁石120の重心Cを通過しつつ仮想軸VAと直交する仮想線VLに対して第1方向(Y軸方向)において偏って位置している。感磁面111は、第1方向(Y軸方向)、および仮想線VLに沿う第2方向(X軸方向)の、各々に沿って延在している。感磁抵抗および固定抵抗の各々は、延在方向に磁化している複数の直線状延在部が直列に接続されて折り返すように配置された磁気抵抗効果素子で構成されている。固定抵抗において、複数の直線状延在部の全数は、第1方向(Y軸方向)に沿って延在している。感磁抵抗において、複数の直線状延在部の全数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。
【0041】
これにより、感磁抵抗MR11の直線状延在部における、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向によらず、磁気ヒステリシスを比較的小さくして、磁気センサ110の動作安定性を高く維持することができる。また、5°<α≦20°の関係を満たしていることにより、磁気センサ110の出力電圧が低くなりすぎることを抑制することができる。
【0042】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る位置検出装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る位置検出装置は、磁気センサの感磁抵抗の形状が本発明の実施形態1に係る位置検出装置と異なるため、本発明の実施形態1に係る位置検出装置と同様である構成については同じ符号を付してその説明を繰り返さない。
【0043】
図15は、本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。図15に示すように、本発明の実施形態2に係る磁気センサ210の感磁面211には、感磁抵抗MR21および固定抵抗MR12を含むブリッジ回路が形成されている。
【0044】
本発明の実施形態2においては、感磁抵抗MR21において、複数の直線状延在部の半数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしており、かつ、複数の直線状延在部の残りの半数は、第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。
【0045】
具体的には、感磁抵抗MR21の半分は感磁抵抗MR21aであり、感磁抵抗MR21の残りの半分は感磁抵抗MR21bである。感磁抵抗MR21aにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR21aにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の他方に位置するように傾斜している。
【0046】
感磁抵抗MR21bにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向とは反対向きに傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR21bにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の一方に位置するように傾斜している。
【0047】
本発明の実施形態2に係る磁気センサ210においては、感磁抵抗MR21において、複数の直線状延在部の半数が直列に接続されて折り返すように配置された感磁抵抗MR21aにおける複数の第1折り返し部と、複数の直線状延在部の残りの半数が直列に接続されて折り返すように配置された感磁抵抗MR21bにおける複数の第2折り返し部とが、第1方向(Y軸方向)に並んで配置されている。感磁抵抗MR21aと感磁抵抗MR21bとは、第1方向(Y軸方向)において隣り合っている第2方向(X軸方向)の他方の端部において互いに接続されている。
【0048】
図16は、本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の一方であるときの状態を示す図である。図17は、本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の一方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。図16および図17においては、1本の直線状延在部の一部のみを図示している。
【0049】
図16および図17に示すように、本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗MR21aの直線状延在部において、磁石120から磁界が印加される直前の磁化方向D2Aが直線状延在部の延在方向の一方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合、第2方向(X軸方向)における磁化方向D2Aの向きと磁界B1~B2の向きとが同じ向きであるため、磁気ヒステリシスが比較的小さい。
【0050】
図18は、本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の他方であるときの状態を示す図である。図19は、本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗の直線状延在部において、磁石から磁界が印加される直前の磁化方向が直線状延在部の延在方向の他方であるときに、磁石から磁界が印加された状態を示す図である。図18および図19においては、1本の直線状延在部の一部のみを図示している。
【0051】
図18および図19に示すように、本発明の実施形態2に係る磁気センサの感磁抵抗MR21aの直線状延在部において、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向D2Bが直線状延在部の延在方向の他方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合、第2方向(X軸方向)における磁化方向D2Bの向きと磁界B1~B2の向きとは反対向きであり、最も強度の大きい磁界B1における、磁化方向D2Bと反対向きの磁界成分B1rの強度が強いため、感磁抵抗MR21aの直線状延在部の磁化方向D2Bは磁界成分B1rによって磁化方向D2Aに反転する。
【0052】
このように、本発明の実施形態2に係る磁気センサ210においては、感磁抵抗MR21aの直線状延在部の磁化方向D2Bの向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する場合、感磁抵抗MR21aの直線状延在部の磁化方向が、磁化方向D2Bから磁化方向D2Aに反転するため、第2方向(X軸方向)における磁化方向D2Aの向きと磁界B1~B2の向きとが同じ向きとなって、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ210の動作安定性の低下を抑制することができる。
【0053】
なお、図15に示す磁気センサ210の配置の場合は、感磁抵抗MR21bは、感磁抵抗MR21aのように磁化方向が反転することはないが、仮に、磁気センサ210の配置が180°反転した場合は、感磁抵抗MR21bの直線状延在部の磁化方向D2Bの向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する場合、感磁抵抗MR21bの直線状延在部の磁化方向が、磁化方向D2Bから磁化方向D2Aに反転するため、第2方向(X軸方向)における磁化方向D2Aの向きと磁界B1~B2の向きとが同じ向きとなって、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ210の動作安定性の低下を抑制することができる。
【0054】
すなわち、本発明の実施形態2に係る位置検出装置においては、磁気センサ210の取付方向が180°変化しても、感磁抵抗MR21のうちの感磁抵抗MR21aまたは感磁抵抗MR21bにおいて、直線状延在部の磁化方向D2Bの向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する際に磁化方向D2Bから磁化方向D2Aに反転するため、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ210の動作安定性の低下を抑制することができる。よって、磁気センサ210の取付方向の自由度を確保することができる。
【0055】
ここで、本実施形態に係る磁気センサ210の動作安定性について、比較例に係る磁気センサ910と比較しつつ説明する。
【0056】
図20は、比較例に係る磁気センサに対して、磁石から磁界を印加する直前に第2方向の一方に磁界を印加して感磁抵抗の直線状延在部の磁化方向を第2方向の一方にした場合の、磁石の回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフである。図21は、比較例に係る磁気センサに対して、磁石から磁界を印加する直前に第2方向の他方に磁界を印加して感磁抵抗の直線状延在部の磁化方向を第2方向の他方にした場合の、磁石の回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフである。図20および図21においては、縦軸に、磁気センサの出力電圧(mV)、横軸に、磁石の回転角度θm(deg)を示している。
【0057】
図20に示すように、比較例に係る磁気センサ910においては、磁石120から磁界が印加される直前の磁化方向D9Aが第2方向(X軸方向)の一方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合は、磁気ヒステリシスが比較的小さいため、磁気センサ910の出力がONとOFFとに切り替わる閾値Thでの磁気センサ910の出力電圧のばらつきは小さい。
【0058】
図21に示すように、比較例に係る磁気センサ910においては、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向D9Bが第2方向(X軸方向)の他方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合は、磁気ヒステリシスが比較的大きくなり、磁気センサ910の出力がONとOFFとに切り替わる閾値Thでの磁気センサ910の出力電圧のばらつきが大きくなるため、磁気センサ910の動作安定性が低下する。
【0059】
図22は、本発明の実施形態2に係る磁気センサに対して、磁石から磁界を印加する直前に第2方向の一方に磁界を印加して感磁抵抗の直線状延在部の磁化方向を直線状延在部の延在方向の一方にした場合の、磁石の回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフである。図23は、本発明の実施形態2に係る磁気センサに対して、磁石から磁界を印加する直前に第2方向の他方に磁界を印加して感磁抵抗の直線状延在部の磁化方向を直線状延在部の延在方向の他方にした場合の、磁石の回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフである。図22および図23においては、縦軸に、磁気センサの出力電圧(mV)、横軸に、磁石の回転角度θm(deg)を示している。
【0060】
図22に示すように、本発明の実施形態2に係る磁気センサ210においては、磁石120から磁界が印加される直前の磁化方向D2Aが直線状延在部の延在方向の一方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合は、磁気ヒステリシスが比較的小さいため、磁気センサ210の出力がONとOFFとに切り替わる閾値Thでの磁気センサ210の出力電圧のばらつきは小さい。
【0061】
図22に示すように、本発明の実施形態2に係る磁気センサ210においては、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向D2Bが直線状延在部の延在方向の他方であるときに、磁石120から磁界B1~B2が印加された場合も、磁気ヒステリシスが比較的小さいため、磁気センサ210の出力がONとOFFとに切り替わる閾値Thでの磁気センサ210の出力電圧のばらつきが小さくなるため、磁気センサ210の動作安定性の低下が抑制される。
【0062】
すなわち、本発明の実施形態2に係る磁気センサ210においては、感磁抵抗MR21の直線状延在部における、磁石120から磁界B1~B2が印加される直前の磁化方向によらず、磁気ヒステリシスを比較的小さくして、磁気センサ210の動作安定性の低下を抑制することができる。
【0063】
本発明の実施形態2に係る位置検出装置の磁気センサ210の感磁抵抗MR21において、複数の直線状延在部の半数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしており、かつ、複数の直線状延在部の残りの半数は、第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。
【0064】
これにより、磁気センサ210の取付方向が180°変化しても、感磁抵抗MR21のうちの感磁抵抗MR21aまたは感磁抵抗MR21bにおいて、直線状延在部の磁化方向D2Bの向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する際に磁化方向D2Bから磁化方向D2Aに反転するため、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ210の動作安定性の低下を抑制することができる。よって、磁気センサ210の取付方向の自由度を確保することができる。また、5°<α≦20°の関係および-20°≦-α<-5°の関係を満たしていることにより、磁気センサ210の出力電圧が低くなりすぎることを抑制することができる。
【0065】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る位置検出装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態3に係る位置検出装置は、磁気センサの感磁抵抗の形状が本発明の実施形態2に係る位置検出装置と異なるため、本発明の実施形態2に係る位置検出装置と同様である構成については同じ符号を付してその説明を繰り返さない。
【0066】
図24は、本発明の実施形態3に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。図24に示すように、本発明の実施形態3に係る磁気センサ310の感磁面311には、感磁抵抗MR31および固定抵抗MR12を含むブリッジ回路が形成されている。
【0067】
本発明の実施形態3においては、感磁抵抗MR31において、複数の直線状延在部の半数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしており、かつ、複数の直線状延在部の残りの半数は、第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。
【0068】
具体的には、感磁抵抗MR31の半分は感磁抵抗MR31aであり、感磁抵抗MR31の残りの半分は感磁抵抗MR31bである。感磁抵抗MR31aにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR31aにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の他方に位置するように傾斜している。
【0069】
感磁抵抗MR31bにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向とは反対向きに傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR31bにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の一方に位置するように傾斜している。
【0070】
本発明の実施形態3に係る磁気センサ310においては、感磁抵抗MR31において、複数の直線状延在部の半数が直列に接続されて折り返すように配置された感磁抵抗MR31aにおける複数の第1折り返し部と、複数の直線状延在部の残りの半数が直列に接続されて折り返すように配置された感磁抵抗MR31bにおける複数の第2折り返し部とが、第1方向(Y軸方向)に並んで配置されている。感磁抵抗MR31aと感磁抵抗MR31bとは、第1方向(Y軸方向)において隣り合っている第2方向(X軸方向)の一方の端部において互いに接続されている。
【0071】
本発明の実施形態3に係る位置検出装置においても、磁気センサ310の取付方向が180°変化しても、感磁抵抗MR31のうちの感磁抵抗MR31aまたは感磁抵抗MR31bにおいて、直線状延在部の磁化方向の向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する際に磁化方向が反転するため、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ310の動作安定性の低下を抑制することができる。よって、磁気センサ310の取付方向の自由度を確保することができる。また、5°<α≦20°の関係および-20°≦-α<-5°の関係を満たしていることにより、磁気センサ310の出力電圧が低くなりすぎることを抑制することができる。
【0072】
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4に係る位置検出装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態4に係る位置検出装置は、磁気センサの感磁抵抗の形状が本発明の実施形態1に係る位置検出装置と異なるため、本発明の実施形態1に係る位置検出装置と同様である構成については同じ符号を付してその説明を繰り返さない。
【0073】
図25は、本発明の実施形態4に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。図25に示すように、本発明の実施形態4に係る磁気センサ410の感磁面411には、感磁抵抗MR41および固定抵抗MR12を含むブリッジ回路が形成されている。
【0074】
本発明の実施形態4においては、感磁抵抗MR41において、複数の直線状延在部の半数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしており、かつ、複数の直線状延在部の残りの半数は、第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。
【0075】
具体的には、感磁抵抗MR41の半分は感磁抵抗MR41aであり、感磁抵抗MR41の残りの半分は感磁抵抗MR41bである。感磁抵抗MR41aにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR41aにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の他方に位置するように傾斜している。
【0076】
感磁抵抗MR41bにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向とは反対向きに傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR41bにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の一方に位置するように傾斜している。
【0077】
本発明の実施形態4に係る磁気センサ410においては、感磁抵抗MR41において、複数の直線状延在部の半数のうちの1つと複数の直線状延在部の残りの半数のうちの1つとが第2方向(X軸方向)に並んで接続された逆V字状部が、第1方向(Y軸方向)に並びつつ直列に接続されて折り返すように配置されている。
【0078】
本発明の実施形態4に係る位置検出装置においても、磁気センサ410の取付方向が180°変化しても、感磁抵抗MR41のうちの感磁抵抗MR41aまたは感磁抵抗MR41bにおいて、直線状延在部の磁化方向の向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する際に磁化方向が反転するため、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ410の動作安定性の低下を抑制することができる。よって、磁気センサ410の取付方向の自由度を確保することができる。また、5°<α≦20°の関係および-20°≦-α<-5°の関係を満たしていることにより、磁気センサ410の出力電圧が低くなりすぎることを抑制することができる。
【0079】
(実施形態5)
以下、本発明の実施形態5に係る位置検出装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態5に係る位置検出装置は、磁気センサの感磁抵抗の形状が本発明の実施形態4に係る位置検出装置と異なるため、本発明の実施形態4に係る位置検出装置と同様である構成については同じ符号を付してその説明を繰り返さない。
【0080】
図26は、本発明の実施形態5に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。図26に示すように、本発明の実施形態5に係る磁気センサ510の感磁面511には、感磁抵抗MR51および固定抵抗MR12を含むブリッジ回路が形成されている。
【0081】
本発明の実施形態5においては、感磁抵抗MR51において、複数の直線状延在部の半数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしており、かつ、複数の直線状延在部の残りの半数は、第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。
【0082】
具体的には、感磁抵抗MR51の半分は感磁抵抗MR51aであり、感磁抵抗MR51の残りの半分は感磁抵抗MR51bである。感磁抵抗MR51aにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR51aにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の他方に位置するように傾斜している。
【0083】
感磁抵抗MR51bにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向とは反対向きに傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR51bにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の一方に位置するように傾斜している。
【0084】
本発明の実施形態5に係る磁気センサ510においては、感磁抵抗MR51において、複数の直線状延在部の半数のうちの1つと複数の直線状延在部の残りの半数のうちの1つとが第2方向(X軸方向)に並んで接続されたV字状部が、第1方向(Y軸方向)に並びつつ直列に接続されて折り返すように配置されている。
【0085】
本発明の実施形態5に係る位置検出装置においても、磁気センサ510の取付方向が180°変化しても、感磁抵抗MR51のうちの感磁抵抗MR51aまたは感磁抵抗MR51bにおいて、直線状延在部の磁化方向の向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する際に磁化方向が反転するため、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ510の動作安定性の低下を抑制することができる。よって、磁気センサ510の取付方向の自由度を確保することができる。また、5°<α≦20°の関係および-20°≦-α<-5°の関係を満たしていることにより、磁気センサ510の出力電圧が低くなりすぎることを抑制することができる。
【0086】
(実施形態6)
以下、本発明の実施形態6に係る位置検出装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態6に係る位置検出装置は、磁気センサの感磁抵抗の形状が本発明の実施形態1に係る位置検出装置と異なるため、本発明の実施形態1に係る位置検出装置と同様である構成については同じ符号を付してその説明を繰り返さない。
【0087】
図27は、本発明の実施形態6に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。図27に示すように、本発明の実施形態6に係る磁気センサ610の感磁面611には、感磁抵抗MR61および固定抵抗MR12を含むブリッジ回路が形成されている。
【0088】
本発明の実施形態6においては、感磁抵抗MR61において、複数の直線状延在部の半数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしており、かつ、複数の直線状延在部の残りの半数は、第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。
【0089】
具体的には、感磁抵抗MR61の半分は感磁抵抗MR61aであり、感磁抵抗MR61の残りの半分は感磁抵抗MR61bである。感磁抵抗MR61aにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR61aにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の他方に位置するように傾斜している。
【0090】
感磁抵抗MR61bにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向とは反対向きに傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR61bにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の一方に位置するように傾斜している。
【0091】
本発明の実施形態6に係る磁気センサ610においては、感磁抵抗MR61において、複数の直線状延在部の半数のうちの2つが直列に接続されて折り返すように配置された感磁抵抗MR61aにおける第1折り返し部と、複数の直線状延在部の残りの半数のうちの2つが直列に接続されて折り返すように配置された感磁抵抗MR61bにおける第2折り返し部とが、第1方向(Y軸方向)に交互に並んで配置されている。
【0092】
本発明の実施形態6に係る位置検出装置においても、磁気センサ610の取付方向が180°変化しても、感磁抵抗MR61のうちの感磁抵抗MR61aまたは感磁抵抗MR61bにおいて、直線状延在部の磁化方向の向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する際に磁化方向が反転するため、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ610の動作安定性の低下を抑制することができる。よって、磁気センサ610の取付方向の自由度を確保することができる。また、5°<α≦20°の関係および-20°≦-α<-5°の関係を満たしていることにより、磁気センサ610の出力電圧が低くなりすぎることを抑制することができる。
【0093】
(実施形態7)
以下、本発明の実施形態7に係る位置検出装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態7に係る位置検出装置は、磁気センサの感磁抵抗の形状が本発明の実施形態6に係る位置検出装置と異なるため、本発明の実施形態6に係る位置検出装置と同様である構成については同じ符号を付してその説明を繰り返さない。
【0094】
図28は、本発明の実施形態7に係る磁気センサの感磁面に形成されている感磁抵抗および固定抵抗の構成を示す平面図である。図28に示すように、本発明の実施形態7に係る磁気センサ710の感磁面711には、感磁抵抗MR71および固定抵抗MR12を含むブリッジ回路が形成されている。
【0095】
本発明の実施形態7においては、感磁抵抗MR71において、複数の直線状延在部の半数は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしており、かつ、複数の直線状延在部の残りの半数は、第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。
【0096】
具体的には、感磁抵抗MR71の半分は感磁抵抗MR71aであり、感磁抵抗MR71の残りの半分は感磁抵抗MR71bである。感磁抵抗MR71aにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向に傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度αが5°<α≦20°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR71aにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の他方に位置するように傾斜している。
【0097】
感磁抵抗MR71bにおける複数の直線状延在部は、磁石120からの磁界B1~B2の印加方向とは反対向きに傾斜して第2方向(X軸方向)に対してなす角度(-α)が-20°≦-α<-5°の関係を満たしている。したがって、感磁抵抗MR71bにおける複数の直線状延在部は、第2方向(X軸方向)の一方にいくにしたがって第1方向(Y軸方向)の一方に位置するように傾斜している。
【0098】
本発明の実施形態7に係る磁気センサ710においては、感磁抵抗MR71において、複数の直線状延在部の半数のうちの2つが直列に接続されて折り返すように配置された感磁抵抗MR71aにおける第1折り返し部と、複数の直線状延在部の残りの半数のうちの2つが直列に接続されて折り返すように配置された感磁抵抗MR71bにおける第2折り返し部とが、第1方向(Y軸方向)に交互に並んで配置されている。
【0099】
本発明の実施形態7に係る位置検出装置においても、磁気センサ710の取付方向が180°変化しても、感磁抵抗MR71のうちの感磁抵抗MR71aまたは感磁抵抗MR71bにおいて、直線状延在部の磁化方向の向きとは第2方向(X軸方向)において反対向きに印加される磁界B1~B2を検出する際に磁化方向が反転するため、磁気ヒステリシスが比較的小さくなり、磁気センサ710の動作安定性の低下を抑制することができる。よって、磁気センサ710の取付方向の自由度を確保することができる。また、5°<α≦20°の関係および-20°≦-α<-5°の関係を満たしていることにより、磁気センサ710の出力電圧が低くなりすぎることを抑制することができる。
【0100】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0101】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
100 位置検出装置、110,210,310,410,510,610,710,910 磁気センサ、111,211,311,411,511,611,711,911 感磁面、120 磁石、A 中心軸、B1r,B91r 磁界成分、B1,B2 磁界、C 重心、D1A,D1B,D2B,D2A,D9A,D9B 磁化方向、D1 着磁方向、D2 回転方向、Gnd 接地端子、MR11,MR21,MR21a,MR21b,MR31,MR31a,MR31b,MR41a,MR41b,MR41,MR51a,MR51b,MR51,MR61,MR61a,MR61b,MR71,MR71a,MR71b,MR91 感磁抵抗、MR12,MR92 固定抵抗、Th 閾値、VA 仮想軸、VL 仮想線、Vcc 入力端子、Vout 中点端子。
図1
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