(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153184
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20240101AFI20241022BHJP
G01D 11/28 20060101ALI20241022BHJP
B60Q 3/18 20170101ALI20241022BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
G01D11/28 T
B60Q3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066922
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛
【テーマコード(参考)】
2F074
3D344
3K040
【Fターム(参考)】
2F074AA01
2F074AA10
2F074BB06
2F074DD03
2F074EE03
2F074FF10
2F074GG07
3D344AA20
3D344AA22
3D344AA27
3D344AB01
3D344AD02
3D344AD13
3K040CA05
3K040DB12
3K040EA04
3K040HA01
3K040HA02
3K040HB03
(57)【要約】
【課題】光源異常時にも警告表示を継続することができる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両用表示装置10は、警告表示領域A1を有する液晶表示パネル20と、液晶表示パネル20に光を照射する複数の光源30Lと、複数の光源30Lの異常の有無を判定する異常判定部と、異常判定部により複数の光源30Lのうち警告表示領域A1を照明する光源33に異常があると判定されたときには、複数の光源30Lのうち光源33の周囲に位置する光源32,34からの光により警告表示領域A1を照明する点灯制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
警告表示領域を有する液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに光を照射する複数の光源と、
前記複数の光源の異常の有無を判定する異常判定部と、
前記異常判定部により前記複数の光源のうち前記警告表示領域を照明する警告光源に異常があると判定されたときには、前記複数の光源のうち前記警告光源の周囲に位置する周囲光源からの光により前記警告表示領域を照明する点灯制御部と、を備える、
車両用表示装置。
【請求項2】
前記点灯制御部は、前記複数の光源の発光輝度を調整可能であり、前記異常判定部により前記警告光源に異常があると判定されたときには、前記周囲光源の発光輝度を、前記複数の光源のうち前記周囲光源以外の光源の発光輝度よりも大きくする、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記複数の光源は、前記周囲光源として予備光源を備え、
前記点灯制御部は、前記異常判定部により前記警告光源に異常がないと判定されたときには前記予備光源を消灯した状態に保ち、前記警告光源に異常があると判定されたときには前記予備光源を点灯することにより前記警告表示領域を照明する、
請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記車両用表示装置は、前記複数の光源が設けられる実装面を有する光源基板を備え、
前記複数の光源は、前記周囲光源と前記警告光源との間の距離が、前記複数の光源のうち前記周囲光源及び前記警告光源以外の光源間の距離よりも小さくなるように、前記実装面に配置されている、
請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記周囲光源は、前記警告表示領域に向けて指向性を有する光を照射する、
請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の表示装置は、カラー液晶パネルと、このカラー液晶パネルの背面に光を照射する複数の光源部が設けられる光源基板と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成においては、光源部の異常時には、異常が生じた光源部に対応する表示が継続できない。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、光源異常時にも警告表示を継続することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る車両用表示装置は、
警告表示領域を有する液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに光を照射する複数の光源と、
前記複数の光源の異常の有無を判定する異常判定部と、
前記異常判定部により前記複数の光源のうち前記警告表示領域を照明する警告光源に異常があると判定されたときには、前記複数の光源のうち前記警告光源の周囲に位置する周囲光源からの光により前記警告表示領域を照明する点灯制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、光源異常時にも警告表示を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る車両用表示装置の正面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る警告表示のための光源の正常時における、
図1のII-II線の概略断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る異常時表示継続処理のフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施形態に係る警告表示のための光源の異常時における、
図1のII-II線の概略断面図である。
【
図5】本開示の第1変形例に係る警告表示のための光源の異常時における、
図1のII-II線の概略断面図である。
【
図6】本開示の第2変形例に係る警告表示のための光源の異常時における、
図1のII-II線の概略断面図である。
【
図7】本開示の第3変形例に係る警告表示のための光源の異常時における、
図1のII-II線の概略断面図である。
【
図8】本開示の変形例に係る光源の配置を示す実装面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る車両用表示装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、車両用表示装置10は、車速、警告表示等を含む各種車両情報を含む画像10Gを画面に表示する。以下の説明では、画像10Gを視認する視認者から見て、左右方向をX方向と規定し、上下方向をY方向と規定し、奥行き方向をZ方向と規定する。
【0010】
車両用表示装置10は、液晶表示パネル20と、複数の光源30Lと、光源基板30と、制御部50と、を備える。
光源基板30は、液晶表示パネル20に対向する実装面30aを有する。実装面30aには、X方向とY方向に並ぶように複数の光源30Lが実装されている。各光源30Lは、光を照射するLED(Light Emitting Diode)である。複数の光源30Lは、制御部50による制御のもと、液晶表示パネル20への照明光の光強度、すなわち、発光輝度を調整可能に構成される。
【0011】
複数の光源30Lは、
図2に示すように、光源31~35を備える。光源31~35は、液晶表示パネル20の後述する警告表示領域A1の周辺にX方向に等間隔で並べられている。光源33は、警告表示領域A1に光を照射するように、警告表示領域A1の直下に設けられている。光源32,34は、光源33のX方向の両隣に位置する。光源31は、光源32の光源33と反対側に位置し、光源35は、光源34の光源33と反対側に位置する。
【0012】
液晶表示パネル20は、制御部50により制御されるTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルから構成される。液晶表示パネル20は、光源基板30の実装面30aに対面するように設けられる。液晶表示パネル20は、X方向に長く、かつY方向に短い長方形板状をなす。液晶表示パネル20は、各光源30Lからの照明光を受けて各種車両情報を含む画像10Gを画面に表示する。液晶表示パネル20は、警告表示領域A1を有する。警告表示領域A1には、警告表示のアイコンを表示可能である。警告表示としては、どのような表示内容であってもよいが、好ましくは、法規にて表示が定められているもの、又は車両の走行に関わるもの、例えば、エンジン異常に係る警告表示である。エンジン異常以外には、ガソリン又はバッテリの残量の低下の警告表示、油圧異常時の警告表示であってもよい。
【0013】
図1に示すように、制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなり、液晶表示パネル20及び複数の光源30Lを制御する。制御部50は、図示しない車載ECU(Electronic Control Unit)からの情報に基づき、液晶表示パネル20に車両情報を表示し、例えば、警告表示のアイコンの表示と非表示を切り替える。
【0014】
制御部50は、機能ブロックとして、異常判定部51と、点灯制御部52と、を備える。
異常判定部51は、複数の光源30Lそれぞれに異常又は故障があるか否かを判定する。異常の有無の判定は、公知の手段、例えば、電流センサにより光源電流を監視してもよいし、輝度検出センサにより光源の発光輝度を監視してもよい。この異常とは、光源30Lが点灯しない、光源30Lの発光輝度が不足している等が挙げられる。警告表示領域A1に対応する光源33に異常が生じた場合でも、後述する異常時表示継続処理により、警告表示領域A1での警告表示が継続可能となる。
【0015】
点灯制御部52は、複数の光源30Lの点灯制御を行う。点灯制御部52は、各光源30Lの状態を点灯状態と消灯状態の間で切り替えつつ、複数の光源30L毎に発光輝度を調整する調光を行う。点灯制御部52は、局所的な調光を意味するローカルディミングが可能な機能を有する。点灯制御部52は、各光源30Lの発光輝度を、通常表示輝度値と、通常表示輝度よりも大きい高輝度値との間で変化させることができる。
【0016】
次に、
図3のフローチャートを参照しつつ、制御部50により実行される異常時表示継続処理について説明する。この異常時表示継続処理は、車両用表示装置10での画像10Gの表示中に繰り返し実行される。
【0017】
異常判定部51は、警告表示領域A1に対応する光源33の異常の有無を判定する(ステップS101)。異常判定部51は、光源33に異常がないと判定すると(ステップS101;NO)、当該異常時表示継続処理を終了する。
一方、異常判定部51は、光源33に異常があると判定すると(ステップS101;YES)、点灯制御部52は、
図4に示すように、光源33を消灯させた状態で、光源33の隣に位置する光源32と34の発光輝度を通常表示輝度値から高輝度値に上げて(ステップS102)、当該異常時表示継続処理を終了する。これにより、光源32,34からの光が警告表示領域A1に到達しやすく、光源33の異常時にも、警告表示領域A1の警告表示が継続される。
【0018】
高輝度値は、光源32,34の光が警告表示領域A1に到達して、警告表示領域A1の警告表示が視認可能となる程度の輝度値に設定されている。高輝度値は、実験又はシミュレーションにより設定され、光源33と32の間の距離、及び光源33と34の間の距離が遠くなるほど、高く設定される。高輝度値は、光源32と34で同一値に設定されてもよいし、異なる値に設定されてもよい。
【0019】
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)車両用表示装置10は、警告表示領域A1を有する液晶表示パネル20と、液晶表示パネル20に光を照射する複数の光源30Lと、複数の光源30Lの異常の有無を判定する異常判定部51と、異常判定部51により複数の光源30Lのうち警告表示領域A1を照明する警告光源の一例である光源33に異常があると判定されたときには、複数の光源30Lのうち光源33の周囲に位置する周囲光源の一例である光源32と34の少なくとも何れか一方からの光により警告表示領域A1を照明する点灯制御部52と、を備える。
この構成によれば、警告表示領域A1を照明する光源33の異常時にも警告表示を継続させることができる。
また、光源33の異常時にも警告表示領域A1の表示位置を変える必要がないため、警告表示の視認性を高めることができる。
【0020】
(2)点灯制御部52は、複数の光源30Lの発光輝度を調整可能であり、異常判定部51により光源33に異常があると判定されたときには、光源32,34の発光輝度を、複数の光源のうち光源32,34以外の光源30Lの発光輝度よりも大きくする。
この構成によれば、警告表示領域A1を照明する光源33の異常時にも、十分な輝度にて、警告表示を継続することができる。
【0021】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0022】
(第1変形例)
第1変形例に係る車両用表示装置110は、
図5に示すように、光源31~35に加えて、予備光源36,37を備える。予備光源36は実装面30aの光源33と32の間に設けられ、予備光源37は実装面30aの光源33と34の間に設けられている。
異常時表示継続処理において、点灯制御部52は、光源33に異常がないと判定されたときには(S101;NO)、予備光源36,37を消灯状態に維持する。一方、光源33に異常があると判定されたときには(S101;YES)、光源33を消灯し、予備光源36,37を点灯させる。このときの予備光源36,37の輝度値は、通常表示輝度値と高輝度値の何れであってもよい。これにより、光源33の異常時にも、警告表示領域A1の警告表示が継続される。
なお、予備光源36,37の数は、2つに限らず、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0023】
以上、説明した第1変形例によれば、以下の効果を奏する。
複数の光源30Lは、周囲光源として予備光源36,37を備える。点灯制御部52は、異常判定部51により光源33に異常がないと判定されたときには予備光源36,37を消灯した状態に保ち、光源33に異常があると判定されたときには予備光源36,37を点灯することにより警告表示領域A1を照明する。
この構成によれば、警告表示領域A1を照明する光源33の異常時にも、予備光源36,37により、十分な輝度にて、警告表示を継続することができる。
【0024】
(第2変形例)
第2変形例に係る車両用表示装置210において、
図6に示すように、実装面30aにおける光源31~35の密集度は、光源33の周囲のエリアAr1において、エリアAr1以外のエリアAr2に比べて高められる。密集度は、実装面30aの所定面積あたりの光源の数により規定される。光源33と32の間の距離L2、又は光源33と34の間の距離L3は、光源35と38の間の距離L1よりも小さい。距離L1は、光源32,33,34以外の光源間の距離、例えば、平均距離である。この構成では、光源33の異常時に、光源32,34からの光が警告表示領域A1に到達しやすく、警告表示の輝度のムラを減らすことができる。この変形例において、光源33の異常時における光源32,34の発光輝度は、通常表示輝度値と高輝度値の何れであってもよい。
【0025】
以上、説明した第2変形例によれば、以下の効果を奏する。
車両用表示装置210は、複数の光源30Lが設けられる実装面30aを有する光源基板30を備える。複数の光源30Lは、光源32又は34と光源33との間の距離L2,L3が、複数の光源30Lのうち光源32,33,34以外の光源35と38の間の距離L1よりも小さくなるように、実装面30aに配置されている。
この構成によれば、警告表示領域A1を照明する光源33の異常時にも、光源32,34により、十分な輝度にて、警告表示を継続することができる。
【0026】
(第3変形例)
第3変形例に係る車両用表示装置310は、
図7に示すように、警告表示領域A1に向けた指向性を持つ光源38を備える。光源38は、図示しないレンズを有し、レンズにより発する光の指向性を強める。光源38は、実装面30aのうち液晶表示パネル20に対向しない液晶表示パネル20の外側に位置しており、この位置から警告表示領域A1に光をZ方向に対して斜めに照射する。この変形例において、光源33の異常時における光源38の発光輝度は、通常表示輝度値と高輝度値の何れであってもよい。
なお、光源38は、液晶表示パネル20に対向する位置に設けられていてもよい。
さらに、光源38は、指向性を変化可能な構成であってもよい。この場合、光源33に異常がないときには、光源38は、液晶表示パネル20のうち光源38の直上部分に光を照射し、光源33に異常があるときには警告表示領域A1に向けて斜めに光を照射してもよい。
【0027】
以上、説明した第3変形例によれば、以下の効果を奏する。
周囲光源の一例である光源38は、警告表示領域A1に向けて指向性を有する光を照射する。
この構成によれば、警告表示領域A1を照明する光源33の異常時にも、十分な輝度にて、警告表示を継続することができる。
【0028】
上記実施形態と各変形例は、適宜、組み合わせてもよい。例えば、第3変形例に係る指向性を持つ光源38を、上記実施形態、第1、第2変形例の光源と置換してもよい。
【0029】
上記実施形態と各変形例では、各光源31~38は、X方向に並べられていたが、X方向に代えて、又はX方向に加えて、Y方向にも同様の観点で並べられていてもよい。例えば、上記実施形態において、
図8に示すように、光源33に異常があるときには、光源33のX方向の両隣の光源32,34に加えて、さらに、光源33のY方向の両隣の光源39a,39bが高輝度で点灯されてもよい。さらに、光源33に異常があるときには、光源33の周囲にある光源であれば、X方向とY方向の隣の光源に限らず、光源33の斜め隣に位置する光源を高輝度で点灯させてもよい。
警告表示領域A1は、液晶表示パネル20の複数の箇所にあってもよい。
【符号の説明】
【0030】
10,110,210,310 車両用表示装置
10G 画像
20 液晶表示パネル
30 光源基板
30L,31~35,38,39a,39b 光源
30a 実装面
36,37 予備光源
50 制御部
51 異常判定部
52 点灯制御部
A1 警告表示領域
L1,L2,L3 距離