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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153195
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20241022BHJP
   B60J 7/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A01C11/02 311Z
B60J7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066949
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大介
(72)【発明者】
【氏名】豊田 浩史
(57)【要約】
【課題】従来、操縦席上方を覆う日除け装置を設けた乗用型田植機がある。日除け装置は、機体左右中央部に設けた前後方向の枢支軸にて左右部が上方に回動して開けられる構成であり、機体上で作業者が苗供給作業等を行なう際に未だ機体左右中央部に日除け装置の枢支軸が低い位置にあって作業の邪魔になり、作業性に課題があった。そこで、機体上で容易に且つ作業性良く作業が行なえるバイザーを装備した苗移植機を提供する。
【解決手段】バイザー11を装備した走行車体2に苗植装置を装着した苗移植機において、バイザー11上面に苗を載置する苗レール23L,23Rを設けると共に、バイザー11を左右に分割した左右バイザー11L,11Rにて構成し、左右バイザー11L,11Rを各々走行車体2の上方を覆うバイザー作用状態と走行車体2の左右外側方に位置する苗供給作業状態に移動自在に設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイザー(11)を装備した走行車体(2)に苗植装置(3)を装着した苗移植機において、バイザー(11)上面に苗を載置する苗レール(23L,23R)を設けると共に、バイザー(11)を左右に分割した左右バイザー(11L,11R)にて構成し、左右バイザー(11L,11R)を各々走行車体(2)の上方を覆うバイザー作用状態と走行車体(2)の左右外側方に位置する苗供給作業状態に移動自在に設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
左右バイザー(11L,11R)を各々走行車体(2)の上方を覆うバイザー作用状態にした際には中央が高くて左右端が低く、走行車体(2)の左右外側方に位置する苗供給作業状態にした際には内側低く外側が高いことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
左バイザー(11L)を機体右側に移動させ、右バイザー(11R)を機体左側に移動させて、左右バイザー(11L,11R)を機体の低い位置に移動させた収納状態とすることを特徴とする項1または請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
バイザー(11)の裏面に肥料袋(F)等の資材をぶら下げて機体前部から後部まで移動させる資材レール(29L,29R)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に苗を植付ける苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操縦席上方を覆う日除け装置を設けた乗用型田植機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-039213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日除け装置は、機体左右中央部に設けた前後方向の枢支軸にて左右部が上方に回動して開けられる構成であり、機体上で作業者が苗供給作業等を行なう際に未だ機体左右中央部に日除け装置の枢支軸が低い位置にあって作業の邪魔になり、作業性に課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、機体上で容易に且つ作業性良く作業が行なえるバイザーを装備した苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、バイザー11を装備した走行車体2に苗植装置3を装着した苗移植機において、バイザー11上面に苗を載置する苗レール23L,23Rを設けると共に、バイザー11を左右に分割した左右バイザー11L,11Rにて構成し、左右バイザー11L,11Rを各々走行車体2の上方を覆うバイザー作用状態と走行車体2の左右外側方に位置する苗供給作業状態に移動自在に設けた苗移植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によると、バイザー11上面に苗を載置する苗レール23L,23Rを設けると共に、バイザー11を左右に分割した左右バイザー11L,11Rにて構成し、左右バイザー11L,11Rを各々走行車体2の上方を覆うバイザー作用状態と走行車体2の左右外側方に位置する苗供給作業状態に移動自在に設けたので、左右バイザー11L,11Rを各々走行車体2の上方を覆うバイザー作用状態から走行車体2の左右外側方に位置する苗供給作業状態に移動することで、苗供給作業等の作業が容易に且つ作業性良く行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、左右バイザー11L,11Rを各々走行車体2の上方を覆うバイザー作用状態にした際には中央が高くて左右端が低く、走行車体2の左右外側方に位置する苗供給作業状態にした際には内側低く外側が高い請求項1に記載の苗移植機である。
【0009】
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の発明の作用効果に加えて、左右バイザー11L,11Rを各々走行車体2の上方を覆うバイザー作用状態にした際には中央が高くて左右端が低いので、雨が降っても水は機体左右外側へ流れて作業者が濡れることが防止でき、水が溜まらないので、バイザー11上に載置した苗が水浸しになることが防止できる。
【0010】
また、左右バイザー11L,11Rを各々走行車体2の左右外側方に位置する苗供給作業状態にした際には内側低く外側が高いので、バイザー11上に載置した苗の供給作業が容易に行なえる。
【0011】
請求項3記載の発明は、左バイザー11Lを機体右側に移動させ、右バイザー11Rを機体左側に移動させて、左右バイザー11L,11Rを機体の低い位置に移動させた収納状態とする項1または請求項2に記載の苗移植機である。
【0012】
請求項4記載の発明は、バイザー11の裏面に肥料袋F等の資材をぶら下げて機体前部から後部まで移動させる資材レール29L,29Rを設けた請求項1または請求項2に記載の苗移植機である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の作用説明用正面図である。
図2】同上乗用型田植機の作用説明用側面図である。
図3】同上乗用型田植機の作用説明用平面図である。
図4】同上乗用型田植機の要部の作用説明用正面図である。
図5】本発明の他の実施形態を示す要部の正面図である。
図6】本発明の他の実施形態を示す要部の側面図である。
図7】本発明の他の実施形態を示す要部の拡大正面図である。
図8】本発明の他の実施形態を示す要部の拡大側面図である。
図9】本発明の他の実施形態を示す要部の作用説明用拡大正面図である。
図10】本発明の他の実施形態を示す要部の作用説明用拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の苗移植機の一実施形態である6条植え乗用型田植機について図面に基づき説明する。
【0015】
なお、本明細書では、乗用型田植機の前進方向に向かって左右をそれぞれ左側と右側といい、前進方向を前側、後進方向を後側という。
【0016】
図1図3に示すように、乗用型田植機1は、走行車体2の後部に昇降リンク機構を介して昇降自在に苗植装置3を装着している。
【0017】
走行車体2は、機体下部に左右一対の操舵用の左右駆動前輪4,4と左右一対の左右駆動後輪5,5を備え、機体上にフロア6を張設し、該フロア6前側左右中央部に立設したフロントカバー7の上部に操縦ハンドル8を設けている。
【0018】
そして、走行車体2中央部に設けたフロア6を上方へ膨らませたカバ膨出部6a内に原動機9を搭載し、カバ膨出部6a上に操縦席10を設け、走行車体2の上部にはバイザー11を設け、走行車体2の後部には施肥装置の肥料タンク(図示省略)を設けている。
【0019】
苗植装置3は、左右往復移動する苗載置台12,該苗載置台12の下端側に苗分割口を設けた苗受け止め用の苗受け体13、該苗受け体13の苗分割口から一株分の苗を取り出して圃場に植付ける植付装置、後部を枢着して前側が上下動自由に設けて苗植付け圃場面を整地するセンターフロート14a及びサイドフロート14bを装備する。
【0020】
センターフロート14aは、苗植装置3の自動昇降制御用のセンサを兼用し、先端側が所定の姿勢から一定以上に上方へ押し上げられると制御バルブを切り替えて昇降シリンダを作動させて昇降リンク機構にて苗植装置3を上昇し、逆に、所定の姿勢から一定以上に下方へ下がると制御バルブを切り替えて昇降シリンダを作動させて昇降リンク機構にて苗植装置3を下降させる。
【0021】
バイザー11は、左バイザー11Lと右バイザー11Rに左右に分割して構成される。
【0022】
左右バイザー11L,11Rは、走行車体2の前端から後端までの上方を覆う前後長さ、フロア6左右幅を略覆う左右幅に構成され、左右対称の同様の構成である。
【0023】
左バイザー11Lは、走行車体2の機枠に基部が固定された前後の左バイザー支柱20L,20Lに前後方向の下枢支軸21D,21Dにて機体左右方向に回動自在に支持された前後の左下リンク22LD,22LD、該前後の左下リンク22LD,22LD上端部に前後方向の上枢支軸21U,21Uにて上下方向に回動自在に支持された前後の左上リンク22LU,22LU、該前後の左上リンク22LU,22LU先端部に固定した平板上の左バイザー兼苗レール23Lにて構成される。
【0024】
左バイザー兼苗レール23Lは、機体前後方向に3つの苗箱Nを縦長で載置できる左右壁24を有する平板状の左苗レール部25Lと該左苗レール部25Lの左外側に平行に設けた空の苗箱Nをスライド移動する平板状の左空箱スライド部26Lから構成され、該左苗レール部25L及び左空箱スライド部26Lがバイザーとして機能する。
【0025】
左バイザー兼苗レール23Lの右先端部は、下方に曲げられて左係合部27Lが設けられている。
【0026】
左バイザー兼苗レール23Lの下面には、左バイザー11Lを回動させる際に作業者が把持する左把持部28L、肥料袋F等の資材を紐R等でぶら下げて機体前端から後端まで搬送できる左資材レール29Lが設けられている。
【0027】
右バイザー11Rは、走行車体2の機枠に基部が固定された前後の右バイザー支柱20R,20Rに前後方向の下枢支軸21D,21Dにて機体左右方向に回動自在に支持された前後の右下リンク22RD,22RD、該前後の右下リンク22RD,22RD上端部に前後方向の上枢支軸21U,21Uにて上下方向に回動自在に支持された前後の右上リンク22RU,22RU、該前後の右上リンク22RU,22RU先端部に固定した平板上の右バイザー兼苗レール23Rにて構成される。
【0028】
右バイザー兼苗レール23Rは、機体前後方向に3つの苗箱Nを縦長で載置できる左右壁24を有する平板状の右苗レール部25Rと該右苗レール部25Rの右外側に平行に設けた空の苗箱Nをスライド移動する平板状の右空箱スライド部26Rから構成され、該右苗レール部25R及び右空箱スライド部26Rがバイザーとして機能する。
【0029】
右バイザー兼苗レール23Rの左先端部は、下方に曲げられて右係合部27Rが設けられている。
【0030】
右バイザー兼苗レール23Rの下面には、右バイザー11Rを回動させる際に作業者が把持する右把持部28R、肥料袋F等の資材を紐R等でぶら下げて機体前端から後端まで搬送できる右資材レール29Rが設けられている。
【0031】
なお、左バイザー11Lの左空箱スライド部26L及び右バイザー11Rの右空箱スライド部26Rに左右側壁を設けて機体前後方向に3つの苗箱Nを縦長で載置できる予備苗載せ部を兼用しても良い。
【0032】
また、走行車体2の前端左右中央部及び後端左右中央部には、各々前中央支柱30F及び後中央支柱30Rが設けられ、該前中央支柱30F及び後中央支柱30Rに左バイザー兼苗レール23Lの左係合部27L及び右バイザー兼苗レール23Rの右係合部27Rを係止して支持する左支持部31L及び右支持部31Rが設けられている。
【0033】
そして、図1の実線に示すように、作業者が左バイザー11Lの左把持部28Lを把持して機体中央側に回動させて、左バイザー兼苗レール23Lの左係合部27Lを前中央支柱30F及び後中央支柱30Rの左支持部31Lに係止支持させ、右バイザー11Rの右把持部28Rを把持して機体中側に回動させて、右バイザー兼苗レール23Rの右係合部27Rを前中央支柱30F及び後中央支柱30Rの右支持部31Rに係止支持させると、左バイザー11L及び右バイザー11Rが日除け及び雨除けのバイザー作用状態となる。
【0034】
なお、左バイザー11L及び右バイザー11Rがバイザー作用状態では、左右中央が高くて左右端が低くなっているので、雨が降っても水は機体左右外側へ流れて作業者が濡れることが防止でき、水が溜まらないので、左バイザー11L及び右バイザー11R上に載置した苗が水浸しになることが防止できる。
【0035】
また、図1の仮想線に示すように、作業者が左バイザー11Lの左把持部28Lを把持して機体左外側に回動させて、左バイザー兼苗レール23Lの左係合部27Lを前後の左バイザー支柱20L,20Lの上端20LUに係止支持させ、右バイザー11Rの右把持部28Rを把持して機体右外側に回動させて、右バイザー兼苗レール23Rの右係合部27Rを前後の右バイザー支柱20R,20Rの上端20RUに係止支持させると、左バイザー11L及び右バイザー11Rが機体の左右外側に位置する苗供給作業状態となる。
【0036】
なお、左バイザー11L及び右バイザー11Rが苗供給作業状態では、機体内側が低くて機体外側(左右端)が高くなっているので、左苗レール部25L及び右苗レール部25Rや左空箱スライド部26L及び右空箱スライド部26Rによる作業者の苗供給作業が容易に行なえる。
【0037】
また、図4に示すように、作業者が左バイザー11Lの左把持部28Lを把持して機体右外側に回動させて、左バイザー兼苗レール23Lの底面を前後の右バイザー支柱20R,20Rの上端20RUに接当させて支持させ、右バイザー11Rの右把持部28Rを把持して機体左外側に回動させて、右バイザー兼苗レール23Rの底面を前後の左バイザー支柱20L,20Lの上端20LUに接当させて支持させると、左バイザー11L及び右バイザー11Rが機体の低い位置に収納状態となる。
【0038】
次に、左バイザー11L及び右バイザー11Rの各種作業状態について説明する。
【0039】
先ず、左バイザー11L及び右バイザー11Rを用いた苗供給作業及び肥料等の資材補給作業について説明する。
【0040】
<苗供給作業>
圃場内で乗用型田植機1の前部を畦や道路に着けて停車し、左バイザー11Lを機体左外側に回動させて左係合部27Lを前後の左バイザー支柱20L,20Lの上端20LUに係止支持させ、右バイザー11Rを機体右外側に回動させて右係合部27Rを前後の右バイザー支柱20R,20Rの上端20RUに係止支持させて、左バイザー11L及び右バイザー11Rを機体の左右外側に位置する苗供給作業状態にする。
【0041】
畦や道路にいる作業者は、畦や道路に置いている苗が育成した苗箱Nを左バイザー11Lの左苗レール部25L及び右バイザー11Rの右苗レール部25R先端部に載せて機体後側に押して移動して、順次3つの苗が育成した苗箱Nを載せる。
【0042】
機体に搭乗している作業者は、左バイザー11Lの左苗レール部25L及び右バイザー11Rの右苗レール部25R後端部に載っている苗が育成した苗箱Nから苗掬い板でマット状土付き苗を掬い出して苗植装置3の苗載置台12に供給し、空になった苗箱Nを左苗レール部25L及び右苗レール部25R後端部から取り出して、順次左空箱スライド部26L及び右空箱スライド部26R後端部に載せて機体前方に向けて押して移動する。
【0043】
畦や道路にいる作業者は、機体に搭乗している作業者が左苗レール部25L及び右苗レール部25R後端部から空になった苗箱Nを取り出すたびに、畦や道路に置いている苗が育成した苗箱Nを左苗レール部25L及び右苗レール部25R先端部に載せて機体後側に押して移動し、左空箱スライド部26L及び右空箱スライド部26R先端部に移動してきた空の苗箱Nを機体から畦に降ろす。
【0044】
以上の作業を繰り返して、左バイザー11Lの左苗レール部25L及び左空箱スライド部26Lと右バイザー11Rの右苗レール部25R及び右空箱スライド部26Rにより、苗植装置3の苗載置台12にマット状土付き苗を容易に且つ作業効率良く供給することができる。
【0045】
<肥料補給作業>
圃場内で乗用型田植機1の前部を畦や道路に着けて停車し、左バイザー11L及び右バイザー11Rを機体の左右外側に位置する苗供給作業状態にする。
【0046】
畦や道路にいる作業者は、畦や道路に置いている肥料袋Fを左バイザー11Lの左資材レール29L及び/または右バイザー11Rの右資材レール29Rの前端に掛けている紐Rで吊るす。
【0047】
機体に搭乗している作業者は、左バイザー11L及び/または右バイザー11Rの左把持部28L及び/または右把持部28Rを把持して機体中央側に回動させて、左係合部27L及び/または右係合部27Rを前中央支柱30F及び後中央支柱30Rの左支持部31L及び/または右支持部31Rに係止支持させると、左資材レール29L及び/または右資材レール29R前端に掛けている紐Rで吊るされた肥料袋Fが機体上に持ち上げられる。
【0048】
そして、機体に搭乗している作業者は、左資材レール29L及び/または右資材レール29R前端に掛けている紐Rで吊るされた肥料袋Fを左資材レール29L及び/または右資材レール29Rの後端まで引っ張って移動し、走行車体2の後部の施肥装置の肥料タンク内に容易に且つ作業効率良く供給することができる。
【0049】
次に、左バイザー11L及び右バイザー11Rを用いた田植作業について説明する。
【0050】
<田植作業>
前記の苗供給作業で苗植装置3の苗載置台12にマット状土付き苗を満載した後に、畦や道路にいる作業者は、畦や道路に置いている苗が育成した苗箱Nを左苗レール部25L及び右苗レール部25R先端部に載せて機体後側に押して移動して、順次3つの苗が育成した苗箱Nを載せる。
【0051】
なお、左空箱スライド部26L及び右空箱スライド部26Rを苗載せ部に兼用している場合は、左空箱スライド部26L及び右空箱スライド部26Rにも順次3つの苗が育成した苗箱Nを載せる。
【0052】
そして、機体に搭乗している作業者は、操縦席10に着座して機体を操縦して畦や道路から離れて圃場の所定の経路を走行して各部を駆動して田植作業を行う。
【0053】
田植作業中に苗植装置3の苗載置台12の苗が残り少なくなれば、機体を停止して、左苗レール部25L及び右苗レール部25R後端部に載っている苗が育成した苗箱Nから苗掬い板でマット状土付き苗を掬い出して苗載置台12に供給し、空になった苗箱Nを左苗レール部25L及び右苗レール部25R後端部から取り出して、順次左空箱スライド部26L及び右空箱スライド部26R後端部に載せて機体前方に向けて押して移動して苗供給を行なって、田植作業を続行する。
【0054】
また、晴天で日差しが強い日や雨天時には、機体に搭乗している作業者が左バイザー11Lの左把持部28Lを把持して機体中央側に回動させて、左バイザー兼苗レール23Lの左係合部27Lを前中央支柱30F及び後中央支柱30Rの左支持部31Lに係止支持させ、右バイザー11Rの右把持部28Rを把持して機体中側に回動させて、右バイザー兼苗レール23Rの右係合部27Rを前中央支柱30F及び後中央支柱30Rの右支持部31Rに係止支持させると、左バイザー11L及び右バイザー11Rが日除け及び雨除けのバイザー作用状態となる。
【0055】
従って、機体に搭乗している作業者は、左バイザー11L及び右バイザー11Rにて日除け及び雨除けされた環境下で快適に操縦席10に着座して機体を操縦して圃場の所定の経路を走行して各部を駆動して田植作業を行うことができる。
【0056】
最後に、左バイザー11L及び右バイザー11Rを収納状態にした路上走行やトラックへの積載や納屋等への格納について説明する。
【0057】
<路上走行やトラックへの積載や納屋等への格納>
作業者が左バイザー11Lの左把持部28Lを把持して機体右外側に回動させて、左バイザー兼苗レール23Lの底面を前後の右バイザー支柱20R,20Rの上端20RUに接当させて支持させ、右バイザー11Rの右把持部28Rを把持して機体左外側に回動させて、右バイザー兼苗レール23Rの底面を前後の左バイザー支柱20L,20Lの上端20LUに接当させて支持させて、左バイザー11L及び右バイザー11Rを機体の低い位置にした収納状態とする(図4参照)。
【0058】
そして、作業者は、操縦席10に着座して機体を操縦して路上走行を行なう。また、作業者は、乗用型田植機1をトラックへの積載、納屋等に格納する。
【0059】
その時、左バイザー11L及び右バイザー11Rを機体の低い位置にした収納状態として、車高が低く然も機体左右外側に大きくはみ出していないので、路上走行が安全に行なえ、トラックへの積載や納屋等の格納をコンパクトに行える。
【0060】
<別実施形態>
【0061】
(1)図5図8は、乗用型田植機1の走行車体2前部の左右に予備苗載台40を設けた他の実施例を示す。
【0062】
予備苗載台40は、走行車体2前部の機枠に基部を固着した四角パイプ材よりなる支持柱41に3つの上苗台40a,中苗台40b,下苗台40cが設けられている。
【0063】
3つの上苗台40a,中苗台40b,下苗台40cは、電動モータ42にて回動するリンク機構43にて連繋されており、3つの上苗台40a,中苗台40b,下苗台40cが上下に位置する3段状態と上苗台40aが中苗台40bの前方に移動し下苗台40cが中苗台40bの後方に移動して前後に長い平板状になった苗レール状態に変更自在である。
【0064】
支持柱41の上下中途部には、前後方に貫通孔44が設けられている。
【0065】
貫通孔44は、機体前側が低く後側が高くなる傾斜状に設けられ、苗箱Nから土付きマット状苗を掬い取る苗取り板45が挿し込まれるサイズに形成されている。
【0066】
貫通孔44の上方位置の支持柱41に基部が固定され、前部が貫通孔44の前方に位置する杆体よりなる平面視でU字状の苗取り板ガイド46が設けられている。
【0067】
苗取り板45を使用しない時、作業者が苗取り板45を支持柱41の貫通孔44に後方から挿し込むと、苗取り板45は苗取り板ガイド46にガイドされて貫通孔44を後方から貫通して苗取り板ガイド46先端に接当して保持される。
【0068】
従って、貫通孔44を機体前側が低く後側が高くなる傾斜状に設けているので、苗取り板45は貫通孔44及び苗取り板ガイド46により適確に保持されて収納され、機体の振動等による脱落が防止できる。
【0069】
また、従来の苗取り板45を収納する収納枠体等を削減でき、機体の軽量化と作業者の作業性及び安全性が向上する。
【0070】
他の実施例として、支持柱41を丸パイプにして貫通孔44及び苗取り板ガイド46を同様に設けても良い。
【0071】
また、支持柱41を四角パイプまたは丸パイプにして、上下中途部を左右方向に潰して、該潰して凹んだ部分の側面に板を設けて、貫通孔44を形成しても良い。
【0072】
また、支持柱41を2本または4本の丸パイプにて構成し、左右に間隔をあけて設けた丸パイプの隙間を貫通孔44としても良い。
【0073】
また、図9及び図10に示すように、支持柱41を断面コ字状に形成して貫通孔44を形成した左板体50Lと断面コ字状に形成した右板体50Rを溶接固定して構成しても良い。
【符号の説明】
【0074】
2 走行車体
3 苗植装置
11 バイザー
11L,11R 左右バイザー
23L,23R 苗レール(左右バイザー兼苗レール)
29L,29R 資材レール(左右資材レール)
F 肥料袋
N 苗箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10