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特開2024-153238画像形成装置、制御方法および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153238
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241022BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G03G21/00 384
G03G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067003
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】直井 慎哉
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA32
2H270KA35
2H270KA53
2H270LA24
2H270LA37
2H270LA44
2H270LA60
2H270LA65
2H270LA70
2H270LA99
2H270LC02
2H270LC14
2H270MA33
2H270MB07
2H270MB09
2H270MB43
2H270MC55
2H270MC78
2H270MD02
2H270MD10
2H270MD14
2H270MD17
2H270MD29
2H270MH16
2H270PA14
2H270PA83
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】連続媒体の変形または変色等を抑えるとともに、連続媒体の損失量を低減することが可能な画像形成装置、制御方法および制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、搬送路に沿って連続媒体を搬送する媒体搬送部24と、搬送された連続媒体にトナー画像を転写する画像形成部25と、連続媒体に転写されたトナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部26と、定着部26よりも上流の搬送路に設けられ、連続媒体を加温可能に構成された補助定着部27と、補助定着部27による連続媒体の加温の有無に基づいて、トナー画像の終端が定着されてから連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御する制御部21とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って連続媒体を搬送する搬送部と、
搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、
前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と、
前記定着部よりも上流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を加温可能に構成された加温部と、
前記加温部による前記連続媒体の加温の有無に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御する制御部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記加温部により前記連続媒体が加温されたとき、前記搬送時間を搬送時間1または前記搬送距離を搬送距離1に制御し、前記加温部により前記連続媒体が加温されていないとき、前記搬送時間を前記搬送時間1よりも短い搬送時間2または前記搬送距離を前記搬送距離1よりも短い搬送距離2に制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、環境温度センサーによって検知された環境温度に基づいて、前記搬送時間または前記搬送距離を制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
搬送路に沿って連続媒体を搬送する搬送部と、
搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、
前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と、
環境温度センサーにより検知された環境温度に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御する制御部と
を備える画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記環境温度が閾値温度を超えるとき、前記搬送時間を搬送時間3または前記搬送距離を搬送距離3に制御し、前記環境温度が前記閾値温度以下であるとき、前記搬送時間を前記搬送時間3よりも短い搬送時間4または前記搬送距離を前記搬送距離3よりも短い搬送距離4に制御する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着部よりも上流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を加温可能に構成された加温部をさらに有し、
前記制御部は、さらに、前記加温部による前記連続媒体の加温の有無に基づいて、前記搬送時間または前記搬送距離を制御する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加温部は、前記転写部よりも上流の前記搬送路に設けられた予備加熱部を含む請求項1または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記加温部は、前記転写部と前記定着部との間の前記搬送路に設けられ、前記トナー画像を前記連続媒体に補助的に定着する補助定着部を含む請求項1または6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記環境温度センサーは、前記画像形成装置内に配置されている請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記環境温度センサーは、前記画像形成装置の外部に配置されている請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、さらに、前記転写部と前記定着部との間の前記搬送路に設けられた媒体温度センサーによって検知された前記連続媒体の媒体温度に基づいて、前記搬送時間または前記搬送距離を制御する請求項1または4に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記定着部は、第1定着部材と、前記第1定着部材と圧接してニップを形成する第2定着部材とを含み、
前記制御部は、前記第1定着部材と前記第2定着部材との離間と同時に、あるいは、前記第1定着部材と前記第2定着部材とを離間させた後、前記連続媒体の搬送を停止させる請求項1または4に記載の画像形成装置。
【請求項13】
定着された前記トナー画像の目視が可能な画像確認部をさらに有し、
前記制御部は、前記画像確認部または、前記画像確認部よりも前記搬送路の上流に前記トナー画像の終端を配置して前記連続媒体の搬送を停止させる請求項1または4に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記定着部よりも下流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を挟持して搬送する一対のローラーをさらに有し、
前記一対のローラーの温度は60℃以下である請求項1または4に記載の画像形成装置。
【請求項15】
搬送路に沿って連続媒体を搬送部と、
搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、
前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と、
前記定着部よりも上流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を加温可能に構成された加温部とを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記加温部による前記連続媒体の加温の有無を判断することと、
判断した前記連続媒体の加温の有無に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御することと
を含む制御方法。
【請求項16】
搬送路に沿って連続媒体を搬送部と、
搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、
前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部とを備える画像形成装置の制御方法であって、
環境温度センサーにより検知された環境温度に関する環境温度情報を取得することと、
取得した前記環境温度情報に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御することと
を含む制御方法。
【請求項17】
搬送路に沿って連続媒体を搬送部と、
搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、
前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と、
前記定着部よりも上流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を加温可能に構成された加温部とを備える画像形成装置を制御するコンピューターで実行される制御プログラムであって、
前記加温部による前記連続媒体の加温の有無を判断することと、
判断した前記連続媒体の加温の有無に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記搬送部による前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御することとを含む処理を前記コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【請求項18】
搬送路に沿って連続媒体を搬送部と、
搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、
前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と
を備える画像形成装置を制御するコンピューターで実行される制御プログラムであって、
環境温度センサーにより検知された環境温度に関する環境温度情報を取得することと、
取得した前記環境温度情報に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御することとを含む処理を前記コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、用紙等の記録媒体にトナー像を転写した後、定着部によって記録媒体上のトナー像を定着させる。定着部は、たとえば、2つのローラー等を含んでおり、この2つのローラー等を加熱しながら圧接させることで定着ニップが形成される。画像形成装置は、この定着ニップに記録媒体を通過させて、トナー像を定着させる。記録媒体には、ロール紙等の連続媒体も使用され得る(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-158584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置が連続媒体に画像を形成するとき、搬送路に連続媒体が停滞することがある。たとえば、画像形成開始前のウォームアップ時および画像形成終了後のクールダウン時等には、搬送路に連続媒体が停滞する。このとき、定着部付近に停滞する連続媒体に、定着部の熱に起因して変形または変色等が生じるおそれがある。
【0005】
一方、トナー画像の定着後に、画像形成装置が連続媒体の搬送を続けると、連続媒体が定着部から熱を奪い、定着部が徐々に冷却される。しかし、連続媒体の損失量が増加する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、連続媒体の変形または変色等を抑えるとともに、連続媒体の損失量を低減することが可能な画像形成装置、制御方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)搬送路に沿って連続媒体を搬送する搬送部と、搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と、前記定着部よりも上流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を加温可能に構成された加温部と、前記加温部による前記連続媒体の加温の有無に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御する制御部とを備える画像形成装置。
【0009】
(2)前記制御部は、前記加温部により前記連続媒体が加温されたとき、前記搬送時間を第1搬送時間または前記搬送距離を第1搬送距離に制御し、前記加温部により前記連続媒体が加温されていないとき、前記搬送時間を前記第1搬送時間よりも短い第2搬送時間または前記搬送距離を前記第1搬送距離よりも短い第2搬送距離に制御する上記(1)に記載の画像形成装置。
【0010】
(3)前記制御部は、さらに、環境温度センサーによって検知された環境温度に基づいて、前記搬送時間または前記搬送距離を制御する上記(1)に記載の画像形成装置。
【0011】
(4)搬送路に沿って連続媒体を搬送する搬送部と、搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と、環境温度センサーにより検知された環境温度に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御する制御部とを備える画像形成装置。
【0012】
(5)前記制御部は、前記環境温度が閾値温度を超えるとき、前記搬送時間を第3搬送時間または前記搬送距離を第3搬送距離に制御し、前記環境温度が前記閾値温度以下であるとき、前記搬送時間を前記第3搬送時間よりも短い第4搬送時間または前記搬送距離を前記第3搬送距離よりも短い第4搬送距離に制御する上記(4)に記載の画像形成装置。
【0013】
(6)前記定着部よりも上流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を加温可能に構成された加温部をさらに有し、前記制御部は、さらに、前記加温部による前記連続媒体の加温の有無に基づいて、前記搬送時間または前記搬送距離を制御する上記(4)に記載の画像形成装置。
【0014】
(7)前記加温部は、前記転写部よりも上流の前記搬送路に設けられた予備加熱部を含む上記(1)または(6)に記載の画像形成装置。
【0015】
(8)前記加温部は、前記転写部と前記定着部との間の前記搬送路に設けられ、前記トナー画像を前記連続媒体に補助的に定着する補助定着部を含む上記(1)または(6)に記載の画像形成装置。
【0016】
(9)前記環境温度センサーは、前記画像形成装置内に配置されている上記(3)または(4)に記載の画像形成装置。
【0017】
(10)前記環境温度センサーは、前記画像形成装置の外部に配置されている上記(3)または(4)に記載の画像形成装置。
【0018】
(11)前記制御部は、さらに、前記転写部と前記定着部との間の前記搬送路に設けられた媒体温度センサーによって検知された前記連続媒体の媒体温度に基づいて、前記搬送時間または前記搬送距離を制御する上記(1)または(4)に記載の画像形成装置。
【0019】
(12)前記定着部は、第1定着部材と、前記第1定着部材と圧接してニップを形成する第2定着部材とを含み、前記制御部は、前記第1定着部材と前記第2定着部材との離間と同時に、あるいは、前記第1定着部材と前記第2定着部材とを離間させた後、前記連続媒体の搬送を停止させる上記(1)または(4)に記載の画像形成装置。
【0020】
(13)定着された前記トナー画像の目視が可能な画像確認部をさらに有し、前記制御部は、前記画像確認部または、前記画像確認部よりも前記搬送路の上流に前記トナー画像の終端を配置して前記連続媒体の搬送を停止させる上記(1)または(4)に記載の画像形成装置。
【0021】
(14)前記定着部よりも下流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を挟持して搬送する一対のローラーをさらに有し、前記一対のローラーの温度は60℃以下である上記(1)または(4)に記載の画像形成装置。
【0022】
(15)搬送路に沿って連続媒体を搬送部と、搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と、前記定着部よりも上流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を加温可能に構成された加温部とを備える画像形成装置の制御方法であって、前記加温部による前記連続媒体の加温の有無を判断することと、判断した前記連続媒体の加温の有無に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御することとを含む制御方法。
【0023】
(16)搬送路に沿って連続媒体を搬送部と、搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部とを備える画像形成装置の制御方法であって、環境温度センサーにより検知された環境温度に関する環境温度情報を取得することと、取得した前記環境温度情報に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御することとを含む制御方法。
【0024】
(17)搬送路に沿って連続媒体を搬送部と、搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部と、前記定着部よりも上流の前記搬送路に設けられ、前記連続媒体を加温可能に構成された加温部とを備える画像形成装置を制御するコンピューターで実行される制御プログラムであって、前記加温部による前記連続媒体の加温の有無を判断することと、判断した前記連続媒体の加温の有無に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記搬送部による前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御することとを含む処理を前記コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【0025】
(18)搬送路に沿って連続媒体を搬送部と、搬送された前記連続媒体にトナー画像を転写する転写部と、前記連続媒体に転写された前記トナー画像の始端から終端までを加熱定着する定着部とを備える画像形成装置を制御するコンピューターで実行される制御プログラムであって、環境温度センサーにより検知された環境温度に関する環境温度情報を取得することと、取得した前記環境温度情報に基づいて、前記トナー画像の終端が定着されてから前記連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離を制御することとを含む処理を前記コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る画像形成装置、制御方法および制御プログラムでは、加温部による連続媒体の加温の有無に基づいて、あるいは、環境温度に基づいて、トナー画像の終端が定着されてから連続媒体の搬送を停止するまでの搬送時間または搬送距離が制御される。たとえば、加温部が連続媒体を加温していないときには、加温部が連続媒体を加温しているときに比べて、搬送時間または搬送距離を短くする。たとえば、環境温度が閾値温度以下であるときには、環境温度が閾値温度を超えるときに比べて、搬送時間または搬送距離を短くする。これにより、連続媒体の搬送によって定着部を十分に冷却しつつ、搬送時間または搬送距離が抑えられる。したがって、連続媒体の変形または変色等を抑えるとともに、連続媒体の損失量を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を表す図である。
図2図1に示した画像形成装置のブロック図である。
図3図1に示した画像形成装置本体の要部の構成を表す図である。
図4図2に示した制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図5】変形例1に係る画像形成装置の要部の構成を表す図である。
図6】第2実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を表すブロック図である。
図7図6に示した制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図8】変形例2に係る画像形成装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付した図面とともに、本発明の実施形態が記載されている。しかしながら、本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0029】
<第1実施形態>
[画像形成装置1の構成]
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を表す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、互いに機械的、または電気的に接続された供給装置10、画像形成装置本体20、巻取装置30および画像確認部40を含んでいる。画像形成装置1は、搬送路に沿って、連続媒体91を供給装置10から、画像形成装置本体20、画像確認部40および巻取装置30の順に搬送する。連続媒体91は、たとえば、ロール紙または長尺紙等である。連続媒体91は、長尺のラベル紙であってもよい。ラベル紙では、接着剤を塗布したラベルが、剥離紙に貼り合わされている。
【0030】
供給装置10は、連続媒体91を搬送路下流側に送り出す。画像形成装置本体20は、供給装置10から送り出された連続媒体91に、画像形成を行う。画像形成装置本体20で画像形成された連続媒体91は、搬送路下流側の巻取装置30に搬送される。画像確認部40は、たとえば、画像形成装置本体20と巻取装置30との間の搬送路に設けられている。ユーザーは、この画像確認部40において、連続媒体91に形成された画像を目視により確認することができる。
【0031】
(供給装置10、巻取装置30)
供給装置10はフォルダ11を含んでいる。このフォルダ11には、連続媒体91の元巻90が着脱可能に取り付けられる。巻取装置30は、フォルダ31を含んでいる。このフォルダ31には、元巻90から送り出された連続媒体91が巻き取られる。
【0032】
供給装置10および巻取装置30は各々、さらに、制御部、記憶部、媒体搬送部、および通信部を有している。これらの構成要素は、後述する画像形成装置本体20の対応する名称の構成要素と同等の機能を有する。
【0033】
(画像形成装置本体20)
画像形成装置本体20は、たとえば、制御部21、記憶部22、操作表示部23、媒体搬送部24、画像形成部25、定着部26、予備加熱部27、媒体温度センサー28および通信部29を有している。これらは信号線を介して相互に接続されている。ここでは、画像形成部25が本発明の転写部の一具体例に対応し、予備加熱部27が本発明の加温部の一具体例に対応し、媒体温度センサー28が本発明の第2温度センサーの一具体例に対応する。
【0034】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムにしたがって装置各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部21は、たとえば、通信部29を介して、LAN(Local Area Network)またはWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置との間で、各種データの送受信を行う。制御部21は、たとえば、外部の装置から送信された画像データを受信し、これに基づいて、連続媒体91に画像を形成する。制御部21は、供給装置10および巻取装置30各々との間で、各種データの送受信を行ってもよい。制御部21が実行する処理については、後述する。
【0035】
記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)またはハードディスク等から構成されている。ROMおよびハードディスク等には、たとえば、各種プログラムまたは各種データ等が格納される。RAMには、作業領域として一時的にプログラムまたはデータ等が記憶される。
【0036】
操作表示部23はタッチパネル、テンキー、スタートボタンまたはストップボタン等を有している。この操作表示部23は、たとえば、警告表示等の各種情報の表示に使用される。操作表示部23は、各種の設定および指示等の入力に使用されてもよい。
【0037】
媒体搬送部24は、複数の搬送ローラーを含んでいる。この複数の搬送ローラーによって、連続媒体91の搬送路が形成される。供給装置10および巻取装置30各々の媒体搬送部も、複数の搬送ローラーを含んでおり、これらにより連続媒体91の搬送路が形成される。供給装置10、画像形成装置本体20および巻取装置30は、互いに協働して連続媒体91を搬送する。
【0038】
画像形成部25は、たとえば電子写真方式によりトナー画像を形成した後、このトナー画像を連続媒体91に転写する。画像形成部25は、たとえば、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応した書込部、現像ユニットおよび1次転写部を含んでいる。画像形成部25は、さらに、中間転写ベルトおよび2次転写部等を含んでいる。書込部および現像ユニットで形成された各色のトナー画像が、中間転写ベルト上に転写される。この各色のトナー画像が順次重ねられ、フルカラーのトナー画像が形成される。フルカラーのトナー画像は、2次転写部により連続媒体91に転写される。なお、本実施形態では、中間転写ベルト方式の画像形成部を例示しているが、画像形成部は中間転写ベルトを有していなくてもよい。このとき、画像形成部は、たとえば、感光体ドラムから連続媒体に直接転写する直接転写方式を用いる。
【0039】
通信部29は、供給装置10および巻取装置30等の他の装置と通信するためのインターフェースである。また通信部29は、PC(Personal Computer)等の外部の装置とネットワーク接続するインターフェースでもある。
【0040】
図3は、画像形成装置本体20の要部の構成を表している。図3には、画像形成部25、定着部26、予備加熱部27、媒体温度センサー28および一対の搬送ローラー241,242が示されている。
【0041】
定着部26は、連続媒体91の表面に形成されたトナー画像の始端から終端までを定着ニップで、加熱定着する。定着部26は、たとえば、上側定着部材261、下側定着部材262、送風部263および駆動部264を有している。上側定着部材261は、たとえば、連続媒体91の定着面側に設けられ、下側定着部材262は、たとえば、連続媒体91の定着面と反対側に設けられている。連続媒体91の定着面は、トナー画像が形成されている面である。ここでは、上側定着部材261および下側定着部材262が、本発明の第1定着部材および第2定着部材の一具体例に対応する。
【0042】
上側定着部材261は、たとえば、定着ローラーおよび加熱源を含んでいる。定着ローラーは、たとえば、円筒状の芯金と、その外周面に設けられた弾性層とを含んでいる。加熱源は、制御部21からの指示に基づいて、定着ローラーを定着温度に加熱する。
【0043】
下側定着部材262は、たとえば、加圧ローラーを含んでいる。加圧ローラーは、たとえば、円筒状の芯金と、その外周面に設けられた弾性層とを含んでいる。たとえば、駆動部264によって、定着ローラーに加圧ローラーが圧接されることにより、定着ニップが形成される。画像形成部25が連続媒体91にトナー画像を転写した後、定着部26は、定着ニップにおいて、連続媒体91の加圧および加熱を行いながら、連続媒体91を搬送する。これにより、連続媒体91にトナー画像が定着する。
【0044】
送風部263は、たとえば、冷却ファンを含んでいる。送風部263は、たとえば、一連の画像形成が終了した後、上側定着部材261を冷却する。送風部263は、下側定着部材262を冷却してもよい。
【0045】
駆動部264は、たとえば、加圧ローラーを所定の速度で回転させる。この加圧ローラーの回転駆動にともない、定着ローラーが回転する。駆動部264は、加圧ローラーおよび定着ローラー各々を回転駆動させてもよい。駆動部264は、さらに、加圧ローラーを駆動して、定着ローラーに圧接する。これにより、定着ニップが形成される。駆動部264は、たとえば、制御部21からの指示に基づいて、加圧ローラーを定着ローラーに圧接させる。さらに、駆動部264は、たとえば、制御部21からの指示に基づいて、加圧ローラーを定着ローラーから離間させる。
【0046】
図3には、ローラー加熱方式の定着部26を示したが、定着部26は、他の方式の定着部であってもよく、たとえば、ベルト加熱方式の定着部であってもよい。
【0047】
一対の搬送ローラー241,242は、定着部26よりも下流の搬送路に設けられた搬送ローラーのうち、最も定着部26に近い位置に配置されている。一対の搬送ローラー241,242は、連続媒体91を挟持して搬送する。この一対の搬送ローラー241,242は、定着部26からの熱の影響を受けにくい位置に配置されていることが好ましい。一対の搬送ローラー241,242の温度は、たとえば、ウォームアップ時、画像形成時およびクールダウン時のいずれにおいても60度以下である。これにより、搬送ローラー241,242からの熱に起因した連続媒体91の変形または変色等が抑えられる。また、搬送ローラー241,242の熱膨張に起因した画像不良の発生も抑えられる。たとえば、一対の搬送ローラー241,242は、定着部26から2.2m離れた位置に配置されている。
【0048】
予備加熱部27は、たとえば、搬送ローラーおよび加熱源を含んでいる。この予備加熱部27は、たとえば、画像形成部25よりも上流の搬送路に設けられている。予備加熱部27は、画像形成部25によってトナー画像が転写される前に、連続媒体91を加熱する。予備加熱部27は、たとえば、定着部26の定着温度よりも低い温度に連続媒体91を加熱する。予備加熱部27は、たとえば、40度前後に連続媒体91を加熱する。画像形成部25よりも上流側の搬送路に予備加熱部27を設けることにより、トナー画像を転写する際の連続媒体91の温度を安定的に維持することができる。これにより、安定した画像品質を維持することが可能となる。
【0049】
媒体温度センサー28は、たとえば、画像形成部25と定着部26との間の搬送路に配置されている。この媒体温度センサー28は、たとえば、連続媒体91の媒体温度を検知する。換言すれば、媒体温度センサー28は、定着部26に搬送される前の連続媒体91の媒体温度を検知する。媒体温度センサー28により検知された媒体温度に関する媒体温度情報は、たとえば、制御部21に送信される。
【0050】
(画像確認部40)
画像確認部40は、たとえば、画像形成装置本体20と巻取装置30との間の搬送路に設けられている。この画像確認部40では、ユーザーが、連続媒体91に定着されたトナー画像を目視により確認する。
【0051】
[画像形成装置1の処理]
図4は、画像形成装置1の処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示すアルゴリズムは、記憶部22にプログラムとして記憶されており、制御部21によって実行される。制御部21は、供給装置10および巻取装置30各々の制御部と協働して、処理を実行してもよい。
【0052】
(ステップS11)
制御部21は、まず、媒体搬送部24に連続媒体91の搬送開始を指示する。制御部21は、たとえば、連続媒体91の搬送を開始させた後、定着部26の加熱源の温度を上昇させ、ウォームアップを開始する。
【0053】
(ステップS12)
次に、制御部21は、画像形成部25にトナー画像を形成させ、形成したトナー画像を連続媒体91に転写させる。
【0054】
(ステップS13)
次に、制御部21は、駆動部264を制御することにより、定着部26に定着ニップを形成させ、連続媒体91にトナー画像を定着させる。このとき、トナー画像の始端から終端までがこの順に定着される。トナー画像の終端は、連続媒体91に形成する画像の最終部である。
【0055】
(ステップS14)
次に、制御部21は、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されたか否かを判断する。トナー画像の終端が定着されていないとき(ステップS14:NO)、制御部21はステップS13の処理に戻る。トナー画像の終端が定着されているとき(ステップS14:YES)、制御部21はステップS15の処理に進む。
【0056】
(ステップS15)
ステップS15の処理では、制御部21が、予備加熱部27によって、連続媒体91が加温されていたか否かを判断する。予備加熱部27によって、連続媒体91が加温されていたとき(ステップS15:YES)、制御部21はステップS16の処理に進む。予備加熱部27によって、連続媒体91が加温されていなかったとき(ステップS15:NO)、制御部21はステップS17の処理に進む。
【0057】
(ステップS16、S17)
ステップS16の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送時間を搬送時間1に制御する。ステップS17の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送時間を搬送時間1よりも短い搬送時間2に制御する。搬送時間2は、搬送時間1よりも、たとえば、10%~50%程度短くなっている。即ち、搬送時間2は、搬送時間1の90%~50%程度の時間である。制御部21は、たとえば、トナー画像の終端を連続媒体91に定着した後、上側定着部材261と下側定着部材262との間の定着ニップを維持した状態で、連続媒体91の搬送を継続する。
【0058】
ステップS16の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送距離を搬送距離1に制御してもよい。搬送距離1は、たとえば、3mである。このとき、ステップS17の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送距離を搬送距離1よりも短い搬送距離2に制御する。搬送距離2は、搬送距離1よりも、たとえば、10%~50%程度短くなっており、たとえば、1.5m~2.7mである。
【0059】
本実施形態では、このように、予備加熱部27による連続媒体91の加温の有無に基づいて、搬送時間または搬送距離が制御される。具体的には、加温されているときの搬送時間1または搬送距離1に比べて、加温されていないときの搬送時間2または搬送距離2は短くなっている。加温されていない連続媒体91は、加温されている連続媒体91に比べて、定着部26からより多くの熱を奪いながら搬送路を移動する。即ち、より短時間で定着部26が冷却される。このため、より短い搬送時間で連続媒体91の搬送を停止しても、定着部26からの熱に起因する連続媒体91の変形または変色等を抑えることができる。
【0060】
制御部21は、さらに、媒体温度センサー28により検知された媒体温度に基づいて、搬送時間または搬送距離を制御してもよい。制御部21は、たとえば、予備加熱部27によって、連続媒体91が加温されていたとき(ステップS15:YES)、さらに、媒体温度が所定の温度を超えるか否かを判断する。制御部21は、予備加熱部27によって、連続媒体91が加温されていなかったとき(ステップS15:NO)、さらに、媒体温度が所定の温度を超えるか否かを判断してもよい。制御部21は、ステップS15の判断の結果がいずれの場合(ステップS15:YES,NO)にも、媒体温度が所定の温度を超えるか否かを判断してもよい。制御部21は、たとえば、媒体温度が所定の温度以下であるときの搬送時間または搬送距離を、媒体温度が所定の温度を超えるときの搬送時間または搬送距離よりも短くする。
【0061】
(ステップS18)
制御部21は、ステップS16またはステップS17の処理を行った後、上側定着部材261および下側定着部材262を離間させて、処理を終了する(エンド)。制御部21は、上側定着部材261および下側定着部材262の離間と同時に、あるいは、上側定着部材261および下側定着部材262を離間させた後に、連続媒体91の搬送を停止する。
【0062】
連続媒体91に形成された画像の終端は、連続媒体91の搬送停止時に、画像確認部40の位置または画像確認部40よりも搬送路の上流側に配置されていることが好ましい。換言すれば、定着部26と画像確認部40との間の搬送路の距離は、搬送距離1以上、または搬送時間1と搬送速度との積以上であることが好ましい。これにより、ユーザーは、より確実に連続媒体91に形成された画像を目視により確認することができる。
【0063】
[画像形成装置1の作用効果]
本実施形態に係る画像形成装置本体20および画像形成装置1では、予備加熱部27による連続媒体91の加温の有無に基づいて、搬送時間または搬送距離が制御される。これにより、連続媒体91の搬送によって定着部26を十分に冷却しつつ、搬送時間または搬送距離が抑えられる。したがって、連続媒体91の変形または変色等を抑えるとともに、連続媒体91の損失量を低減することが可能となる。以下、この作用効果について説明する。
【0064】
連続媒体に画像形成を行う際には、連続媒体の搬送停止時に、定着部からの熱に起因する連続媒体の変形または変色等を抑えることが望ましい。このためには、トナー画像の定着後にも、十分な時間または十分な距離、連続媒体の搬送を継続する方法が考え得る。連続媒体の搬送を継続することにより、連続媒体が定着部から熱を奪い、定着部が冷却される。しかし、この方法では、定着部が十分に冷却された後も、連続媒体の搬送を継続し、多量の連続媒体を無駄にするおそれがある。即ち、いわゆるヤレ紙が必要以上に発生するおそれがある。
【0065】
たとえば、トナー画像の定着後、定着部の表面温度を測定し、この表面温度に応じて、搬送時間または搬送距離を制御する方法も考え得る。しかし、この方法では、定着部の表面の温度が一時的に低くなっていたとしても、搬送停止後の時間経過に伴って定着部の内部から表面に熱が伝達され、連続媒体の変形または変色等を引き起こすおそれがある。
【0066】
これに対し、画像形成装置本体20および画像形成装置1では、予備加熱部27による連続媒体91の加温の有無に基づいて、搬送時間または搬送距離が制御される。たとえば、画像形成装置本体20および画像形成装置1は、以下のような制御を行う。連続媒体91が加温され、連続媒体91が定着部26から熱を奪いにくいときには、より長い搬送時間1または搬送距離1に制御する。一方、連続媒体91が加温されず、連続媒体91が定着部26から熱を奪いやすいときには、より短い搬送時間2または搬送距離2に制御する。これにより、連続媒体91の搬送によって定着部26を十分に冷却しつつ、必要以上の搬送時間または搬送距離が抑えられる。よって、連続媒体91の変形または変色等を抑えるとともに、連続媒体91の損失量を低減することが可能となる。
【0067】
また、定着部26の内部から表面への熱の伝達を考慮して、搬送時間1、搬送距離1、搬送時間2および搬送距離2を設定することができる。したがって、定着部26の内部から表面への熱の伝達に起因する連続媒体91の変形または変色等も抑えられる。
【0068】
さらに、画像形成装置本体20および画像形成装置1は、媒体温度センサー28により検知された媒体温度に基づいて、搬送時間または搬送距離を制御することができる。これにより、より効果的に、連続媒体91の損失量を低減することが可能となる。
【0069】
以下、上記第1実施形態で説明した画像形成装置1の変形例および他の実施形態を説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、上記第1実施形態で説明した画像形成装置1の各構成と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0070】
<変形例1>
図5は、変形例1に係る画像形成装置1の要部の構成を表している。この画像形成装置1は、定着部26と画像形成部25との間の搬送路に、補助定着部26Aを有している。ここでは、補助定着部26Aが、本発明の加温部の一具体例に対応する。
【0071】
補助定着部26Aは、たとえば、定着部26とほぼ同様の構成を有している。具体的には、補助定着部26Aは、上側定着部材261A、下側定着部材262A、送風部263Aおよび駆動部264を有している。上側定着部材261A、下側定着部材262A、送風部263Aおよび駆動部264は、各々、上側定着部材261、下側定着部材262、送風部263および駆動部264と同様の構成および機能を有している。この補助定着部26Aは、補助的に連続媒体91にトナー画像を加熱定着する。即ち、補助定着部26Aおよび定着部26によって、連続媒体91にトナー画像が加熱定着される。このような補助定着部26Aを設けることにより、トナー画像の定着性を向上させ、安定した画像品質を維持することが可能となる。画像形成装置1は、予備加熱部27(図3)および補助定着部26Aを有していてもよい。
【0072】
この画像形成装置1の制御部21は、たとえば、以下の処理を実行する。制御部21は、ます、上記第1実施形態で説明したステップS11~ステップS14の処理を行う。次に、制御部21は、補助定着部26Aによって、連続媒体91が加温されていたか否かを判断する。補助定着部26Aによって、連続媒体91が加温されていたとき(YES)、制御部21はステップS16の処理に進む。補助定着部26Aによって、連続媒体91が加温されていなかったとき(NO)、制御部21はステップS17の処理に進む。この後、制御部21はステップS18の処理を行って、処理を終了する。
【0073】
このような変形例1に係る画像形成装置1も、上記第1実施形態で説明したのと同様に、補助定着部26Aによる連続媒体91の加温の有無に基づいて、搬送時間または搬送距離が制御される。これにより、連続媒体91の搬送によって定着部26を十分に冷却しつつ、搬送時間または搬送距離が抑えられる。したがって、連続媒体91の変形または変色等を抑えるとともに、連続媒体91の損失量を低減することが可能となる。
【0074】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る画像形成装置2の概略構成を表している。この画像形成装置2の画像形成装置本体20は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、媒体搬送部24、画像形成部25、定着部26、予備加熱部27、媒体温度センサー28および通信部29に加えて、環境温度センサー41を有している。この点を除き、画像形成装置2は、上記第1実施形態で説明した画像形成装置1と同様の構成を有している。画像形成装置2は、予備加熱部27に代えて、あるいは、予備加熱部27とともに、補助定着部26A(図5)を有していてもよい。
【0075】
環境温度センサー41は、環境温度を検知する。環境温度は、たとえば、画像形成装置2付近の気温である。環境温度センサー41は、たとえば、画像形成装置2内に配置されている。たとえば、環境温度センサー41は、画像形成装置本体20の筐体内に配置されている。環境温度センサー41は、画像形成装置2の外部に配置されていてもよい。環境温度センサー41によって検知された環境温度に関する環境温度情報は、制御部21に送られる。
【0076】
図7は、画像形成装置2の処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示すアルゴリズムは、記憶部22にプログラムとして記憶されており、制御部21によって実行される。制御部21は、供給装置10および巻取装置30各々の制御部と協働して、処理を実行してもよい。
【0077】
(ステップS21~S24)
制御部21は、まず、上記第1実施形態で説明したステップS11~S14(図4)と同様にして、ステップS21~S24の処理を行う。ステップS24の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されたか否かを判断する。トナー画像の終端が定着されていないとき(ステップS24:NO)、制御部21はステップS23の処理に戻る。トナー画像の終端が定着されているとき(ステップS24:YES)、制御部21はステップS25の処理に進む。
【0078】
(ステップS25)
ステップS25の処理では、制御部21が、環境温度センサー41によって検知された環境温度が閾値温度を超えているか否かを判断する。閾値温度を超えていたとき(ステップS25:YES)、制御部21はステップS26の処理に進む。閾値温度を超えていなかったとき(ステップS25:NO)、制御部21はステップS27の処理に進む。閾値温度は、たとえば、15度~25度である。
【0079】
(ステップS26、S27)
ステップS26の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送時間を搬送時間3に制御する。ステップS27の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送時間を搬送時間3よりも短い搬送時間4に制御する。搬送時間4は、搬送時間3よりも、たとえば、10%~50%程度短くなっている。
【0080】
ステップS26の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送距離を搬送距離3に制御してもよい。このとき、ステップS27の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送距離を搬送距離3よりも短い搬送距離4に制御する。搬送距離4は、搬送距離3よりも、たとえば、10%~50%程度短くなっている。上記第1実施形態で説明したのと同様に、制御部21は、さらに、媒体温度センサー28により検知された媒体温度に基づいて、搬送時間または搬送距離を制御してもよい。
【0081】
(ステップS28)
制御部21は、ステップS26またはステップS27の処理を行った後、上側定着部材261および下側定着部材262を離間させて、処理を終了する(エンド)。
【0082】
このような画像形成装置2では、環境温度センサー41によって検知された環境温度に基づいて、搬送時間または搬送距離が制御される。たとえば、画像形成装置2は、以下のような制御を行う。環境温度が閾値温度を超え、定着部26への風冷効果が比較的低いときには、より長い搬送時間3または搬送距離3に制御する。一方、環境温度が閾値温度以下であり、定着部26への風冷効果が比較的高いときには、より短い搬送時間4または搬送距離4に制御する。これにより、連続媒体91の搬送によって定着部26を十分に冷却しつつ、必要以上の搬送時間または搬送距離が抑えられる。よって、上記第1実施形態で説明したのと同様に、連続媒体91の変形または変色等を抑えるとともに、連続媒体91の損失量を低減することが可能となる。
【0083】
<変形例2>
図8は、変形例2に係る画像形成装置2の処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示すアルゴリズムは、記憶部22にプログラムとして記憶されており、制御部21によって実行される。制御部21は、供給装置10および巻取装置30各々の制御部と協働して、処理を実行してもよい。
【0084】
(ステップS31~S34)
画像形成装置2の制御部21は、まず、上記第1実施形態で説明したステップS11~S14(図4)と同様にして、ステップS31~S34の処理を行う。ステップS34の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されたか否かを判断する。トナー画像の終端が定着されていないとき(ステップS34:NO)、制御部21はステップS33の処理に戻る。トナー画像の終端が定着されているとき(ステップS34:YES)、制御部21はステップS35の処理に進む。
【0085】
(ステップS35)
ステップS35の処理では、制御部21が、予備加熱部27によって、連続媒体91が加温されていたか否かを判断する。連続媒体91が加温されていたとき(ステップS35:YES)、制御部21はステップS36の処理に進む。予備加熱部27によって、連続媒体91が加温されていなかったとき(ステップS35:NO)、制御部21はステップS39の処理に進む。制御部21は、ステップS35の処理の前にステップS36およびステップS39の処理を行ってもよく、ステップS35、ステップS36およびステップS39の処理を同時に行ってもよい。
【0086】
(ステップS36)
ステップS36の処理では、制御部21が、環境温度センサー41によって検知された環境温度が閾値温度を超えているか否かを判断する。閾値温度を超えていたとき(ステップS36:YES)、制御部21はステップS37の処理に進む。閾値温度を超えていなかったとき(ステップS36:NO)、制御部21はステップS41の処理に進む。
【0087】
(ステップS37、S41)
ステップS37の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送時間を搬送時間5に制御する。ステップS41の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送時間を搬送時間5よりも短い搬送時間6に制御する。
【0088】
(ステップS39)
ステップS39の処理でも、制御部21が、環境温度センサー41によって検知された環境温度が閾値温度を超えているか否かを判断する。閾値温度を超えていたとき(ステップS39:YES)、制御部21はステップS42の処理に進む。閾値温度を超えていなかったとき(ステップS39:NO)、制御部21はステップS43の処理に進む。
【0089】
(ステップS42、S43)
ステップS42の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送時間を搬送時間7に制御する。ステップS43の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送時間を搬送時間7よりも短い搬送時間8に制御する。
【0090】
搬送時間5、搬送時間6、搬送時間7および搬送時間8は、以下の式(1)、(2)を満たす。
【0091】
【数1】
【0092】
搬送時間6は、搬送時間7より短くなっていても、長くなっていてもよい。搬送時間6および搬送時間7は、同じであってもよい。
【0093】
ステップS37の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送距離を搬送距離5に制御してもよい。このとき、ステップS41の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送距離を搬送距離5よりも短い搬送距離6に制御する。
【0094】
ステップS42の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送距離を搬送距離7に制御してもよい。このとき、ステップS43の処理では、制御部21が、トナー画像の終端が連続媒体91に定着されてから連続媒体91の搬送を停止するまでの搬送距離を搬送距離7よりも短い搬送距離8に制御する。
【0095】
搬送距離5、搬送距離6、搬送距離7および搬送距離8は、以下の式(3)、(4)を満たす。
【0096】
【数2】
【0097】
搬送距離6は、搬送距離7より短くなっていても、長くなっていてもよい。搬送距離6および搬送距離7は、同じであってもよい。
【0098】
上記第1実施形態で説明したのと同様に、制御部21は、さらに、媒体温度センサー28により検知された媒体温度に基づいて、搬送時間または搬送距離を制御してもよい。
【0099】
(ステップS38)
制御部21は、ステップS37、ステップS41、ステップS42またはステップS43の処理を行った後、上側定着部材261および下側定着部材262を離間させて、処理を終了する(エンド)。
【0100】
このような変形例2に係る画像形成装置2では、予備加熱部27による連続媒体91の加温の有無と、環境温度センサー41によって検知された環境温度とに基づいて、搬送時間または搬送距離が制御される。これにより、連続媒体91の搬送によって定着部26を十分に冷却しつつ、必要以上の搬送時間または搬送距離が抑えられる。よって、上記第1実施形態で説明したのと同様に、連続媒体91の変形または変色等を抑えるとともに、連続媒体91の損失量を低減することが可能となる。
【0101】
以上に説明した画像形成装置1および画像形成装置2の構成は、上記の実施形態および変形例の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な画像形成装置が備える構成を排除するものではない。
【0102】
たとえば、上記第2実施形態では、閾値温度を超えるか否かに応じて、制御部21が、搬送時間3または搬送時間4に制御する例について説明した。制御部21は、より細かく搬送時間を制御してもよい。たとえば、環境温度センサー41によって検知された環境温度に応じて、制御部21は、3つ以上の搬送時間に制御してもよい。
【0103】
また、上記変形例2では、ステップS35の処理で、制御部21が予備加熱部27による連続媒体91の加温の有無に基づいて、搬送時間または搬送距離を制御する例について説明した。ステップS35の処理では、制御部21が補助定着部26Aによる連続媒体91の加温の有無に基づいて、搬送時間または搬送距離を制御してもよい。
【0104】
また、上述した実施形態に係る画像形成装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、USBメモリーやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1、2 画像形成装置
10 供給装置
20 画像形成装置本体
21 制御部
22 記憶部
23 操作表示部
24 媒体搬送部
25 画像形成部
26 定着部
261 上側定着部材
262 下側定着部材
263 送風部
264 駆動部
26A 補助定着部
27 予備加熱部
28 媒体温度センサー
29 通信部
30 巻取装置
41 環境温度センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8