(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153249
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】飛行体、計測システム及び計測方法
(51)【国際特許分類】
B64U 50/11 20230101AFI20241022BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20241022BHJP
B64U 20/80 20230101ALI20241022BHJP
B64D 33/04 20060101ALI20241022BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20241022BHJP
G01W 1/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B64U50/11 ZAB
B64U10/13
B64U20/80
B64D33/04
G01W1/00 A
G01W1/08 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067025
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】513005280
【氏名又は名称】株式会社amuse oneself
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨井 隆春
(57)【要約】
【課題】充分な飛行時間を確保しながらも、検出精度の低下を抑制することが可能な飛行体、計測システム及び計測方法を提供する。
【解決手段】飛行体UAVは、外部環境を検出する検出部5と、回転により揚力を発生させる回転翼30と、回転翼30を回転させる動力部4とを備え、回転翼30の回転により発生させた飛行中に、検出部5にて外部環境を検出する。検出部5は、回転翼30より上方で検出するように配置されている。動力部4は、吸排気を行って動力を発生させるエンジンであり、回転翼30より下方に配置され、かつ下方に向けて排気する排気口42を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境を検出する検出部と、回転により揚力を発生させる回転翼と、前記回転翼を回転させる動力部とを備え、前記回転翼の回転により発生させた揚力による飛行中に、前記検出部にて外部環境を検出する飛行体であって、
前記検出部は、
前記回転翼より上方で検出するように配置されており、
前記動力部は、
吸排気を行って動力を発生させるエンジンであり、
前記回転翼より下方に配置された排気口を有し、
前記排気口は、
下方へ向けて排気する
ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記検出部及び前記動力部の間に、前記動力部の吸排気の影響を抑制する整流板を備える
ことを特徴とする飛行体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の飛行体であって、
前記動力部は、
前記回転翼より下方に配置された吸気口を有し、
前記吸気口は、
下方から吸気する
ことを特徴とする飛行体。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の飛行体であって、
前記検出部は、
大気の動き及び成分を検出する
ことを特徴とする飛行体。
【請求項5】
請求項4に記載の飛行体を備え、
前記飛行体が備える検出部により検出した大気の動き及び成分に基づいて、渦相関法にて大気の状態を計測する
ことを特徴とする計測システム。
【請求項6】
大気の状態を計測する計測装置を用いた計測方法であって、
請求項4に記載の飛行体が備える検出部により大気の動き及び成分を検出し、
検出した大気の動き及び成分に基づいて、渦相関法にて大気の状態を計測する
ことを特徴とする計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体、並びに飛行体を用いた計測システム及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2009年に国連環境計画の報告書において、海洋生態系に取り込まれた炭素が「ブルーカーボン」と命名され、地球温暖化対策としての吸収源の新しい選択肢として提示され、世界的に注目されている。四方を海に囲まれた日本にとって、沿岸域の吸収源としてのポテンシャルは大きく、ブルーカーボンの活用にあたっては、その評価方法が重要である。
【0003】
評価方法の一つとして、渦相関法(乱流変動法)が用いられている。渦相関法は、大気乱流理論に基づいて地表に近い大気の中の物質及び熱エネルギの輸送量を評価する方法であり、例えば、陸域生態系が吸収・放出する二酸化炭素量を群落スケールで定量する際に用いられる。渦相関法による評価を行うため、例えば、森林群落の上方の大気の動き及び成分を検出するセンサを取り付けた高層の観測タワーが用いられる。観測タワーに取り付けられたセンサは、森林群落の上方の大気の動き及び成分、例えば、空気の鉛直方向の動きと二酸化炭素濃度とを検出し、検出結果に基づいて、渦相関法により、鉛直方向の輸送量を測定することができる。
【0004】
しかしながら、観測タワーを用いた外部環境の検出では、観測点が固定されており、海上での観測等の様々な場所で観測することは考慮されておらず、様々な場所での観測を行うためには、コストが増大するという問題がある。そこで、コストの増大を抑制しながら、測定地点の増加、多様化等の測定に関する自由度を高めるため、例えば、ドローン等の称呼で呼ばれる無人飛行体(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)の利用が検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、風向、風速、気温、湿度、気圧のうちの少なくとも一つの気象データを測定する気象センサを備えた無人航空機が開示されている。また、例えば、特許文献2では、温度計、湿度計、気圧計、二酸化炭素濃度計、放射線測定器の少なくともいずれか一つを備え、モータ、エンジン等の駆動部にてロータを駆動する測定用飛行体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-200116号公報
【特許文献2】特開2013-189036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、渦相関法にて利用可能な外部環境を検出する場合、経時変化の検出も必要なため、検出に時間を要するという問題がある。特許文献1に開示された無人飛行体及び特許文献2に開示されたモータを用いた測定用飛行体による検出では、電池による駆動となるため、検出のための充分な飛行時間を確保できない可能性があるという問題がある。また、特許文献2には、エンジンにて駆動する形態が開示されているが、エンジンを用いた場合、排気による空気の流れ及び温度の変化、並びに排気の成分が外乱要因となり、外部環境の検出精度が低下するという問題がある。
【0008】
本願は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、充分な飛行時間を確保しながらも、検出精度の低下を抑制することが可能な飛行体の開示を目的とする。
【0009】
また、本願では、本願開示の飛行体を用いた計測システム及び計測方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願開示の飛行体は、外部環境を検出する検出部と、回転により揚力を発生させる回転翼と、前記回転翼を回転させる動力部とを備え、前記回転翼の回転により発生させた揚力による飛行中に、前記検出部にて外部環境を検出する飛行体であって、前記検出部は、前記回転翼より上方で検出するように配置されており、前記動力部は、吸排気を行って動力を発生させるエンジンであり、前記回転翼より下方に配置された排気口を有し、前記排気口は、下方へ向けて排気することを特徴とする。
【0011】
また、前記飛行体において、前記検出部及び前記動力部の間に、前記動力部の吸排気の影響を抑制する整流板を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記飛行体において、前記動力部は、前記回転翼より下方に配置された吸気口を有し、前記吸気口は、下方から吸気することを特徴とする。
【0013】
また、前記飛行体において、前記検出部は、大気の動き及び成分を検出することを特徴とする。
【0014】
更に、本願開示の計測システムは、前記飛行体を備え、前記飛行体が備える検出部により検出した大気の動き及び成分に基づいて、渦相関法にて大気の状態を計測することを特徴とする。
【0015】
更に、本願開示の計測方法は、大気の状態を計測する計測装置を用いた計測方法であって、前記飛行体が備える検出部により大気の動き及び成分を検出し、検出した大気の動き及び成分に基づいて、渦相関法にて大気の状態を計測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願開示の飛行体等は、回転翼より上方で検出する検出部と、回転翼より下方に配置され、かつ下方に向けて排気する排気口を備えるエンジンと備える。これにより本願開示の飛行体等は、充分な飛行時間を確保しながらも、検出精度の低下を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本願開示の計測システムの適用例を概念的に示す説明図である。
【
図2】本願開示の飛行体の外観の一例を示す概略正面図である。
【
図3】本願開示の飛行体の外観の一例を示す概略斜視図である。
【
図4】本願開示の飛行体の一部を拡大して示す概略斜視図である。
【
図5】本願開示の飛行体の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】本願開示の計測システムの適用例を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願開示の計測システムは、無人飛行体(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)を用いたシステムである。以下では、図面を参照しながら、飛行体UAVを例示して説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0019】
図1は、本願開示の計測システムの適用例を概念的に示す説明図である。本願開示の計測システムは、飛行体UAVを使用した計測方法を実施する。計測システムにて用いられる本願開示の飛行体UAVは、例えば、ドローンと呼ばれる小型無人ヘリコプタ等の無人飛行体を用いて実現される。本願開示の計測システムは、例えば、渦相関法(乱流変動法)にて大気の状態を計測する。渦相関法は、大気乱流理論に基づいて大気中の物質及び熱エネルギの輸送量を評価する手法であり、生態系が吸収及び放出する二酸化炭素量の群落スケールでの定量に適している。
図1は、飛行体UAVが、生態系が存在する森林群落、海洋等の観測対象地域の上空を飛行し、観測対象地域の上空の大気の動き及び成分を検出するモデルを概念的に示している。観測対象地域の上空に、大気の略水平方向の大きな動きである風が吹くと、大小さまざまなスケールの渦が発生し、発生した渦により、二酸化炭素等の様々な物質の鉛直輸送が発生する。本願は、このようなモデルにおいて、垂直方向を含む大気の動き及び二酸化炭素等の成分を検出し、渦相関法にて大気の状態を計測する計測システムを開示する。
【0020】
図2は、本願開示の飛行体UAVの外観の一例を示す概略正面図である。
図3は、本願開示の飛行体UAVの外観の一例を示す概略斜視図である。
図4は、本願開示の飛行体UAVの一部を拡大して示す概略斜視図である。飛行体UAVは、全体を制御する制御装置1を、フレーム2に搭載して構成されている。フレーム2には、制御装置1以外にも、飛行機構3、動力部4、検出部5、位置情報取得部6、通信部7等の様々な機構が搭載されている。
【0021】
フレーム2は、長手方向が上下方向となるように配置された4本の支柱20を備え、支柱20により、支持部21、ダンパ22、整流板23、中板24、底板25等の部材を支持している。支持部21は、上部に配置される検出部5、位置情報取得部6、通信部7等の機材を支持する部材であり、振動を吸収するダンパ22を介して4本の支柱20の上端に取り付けられている。ダンパ22は、略円板状をなし、4本の支柱20の間に位置するように支持されている。
【0022】
ダンパ22の下方には、整流板23が配置されている。整流板23は、4本の支柱20に支持された円板部の周縁から斜め上に縁部が張り出した略盆状に形成されている。整流板23は、動力部4の吸排気による検出部5への影響を抑制する機能を有する。また、整流板23の円板部には、制御装置1が載置されている。
【0023】
整流板23の下方には、略円板状をなす中板24が上下2枚配置されている。中板24は、4本の支柱20に支持されている。2枚の中板24の間には、飛行機構3のアーム31が配置されている。2枚の中板24の中央近傍は、平面視略正方形状に開口しており、開口部を上下に通すようにして、動力部4が配置されている。
【0024】
支柱20の下部には、略円板状をなす底板25が配置されている。底板25は、4本の支柱20に支持されており、底板25の上面には、動力部4の燃料タンク44が配置されている。
【0025】
飛行機構3は、支柱20に取り付けられて、4本の支柱20からそれぞれ外側へ延びる4本のアーム31、各アーム31に取り付けらえた4組の回転翼30(ロータ)等の機構を備えている。各回転翼30が回転することにより、飛行体UAVは、飛行及び飛行姿勢の制御を行う。アーム31の付け根は、支柱20に支持された2枚の中板24に上下を挟まれるように配置されている。各回転翼30は、回転面が略水平となるように配置されている。本願では、4枚の回転翼30を有するクアッドコプターを例示して説明するが、6枚の回転翼30を有するヘキサコプター、8枚の回転翼30を有するオクトコプター等の様々な飛行体UAVを使用することができる。
【0026】
動力部4は、ガソリン等の燃料を燃焼して動力とするエンジンを用いて構成されている。動力部4は、エンジン本体となる本体装置40、本体装置40に外気を取り込む吸気口41、本体装置40から外部へ排気する排気口42、燃料を収容する燃料タンク44、エクステンダ43等の構成を備えている。
【0027】
本体装置40は、シリンダ、ピストン等の主要部を収容した略有底円筒状をなし、燃料を燃焼させて動力を発生させる。本体装置40は、2枚の中板24を上下に貫通するように配置されている。
【0028】
吸気口41は、本体装置40の直下で、回転翼30より下方となるように配置されている。吸気口41は、回転翼30より下方で、下方へ向けて開口しており、下方から吸気を行う。従って、本願開示の飛行体UAVは、吸気による外気への影響が、回転翼30を越えて上方の検出部5の検出に及ぶことを抑制する。
【0029】
排気口42は、本体装置40の側方に取り付けられ、下方へ向けて延伸し、回転翼30より下方となるように配置されている。排気口42は、回転翼30より下方で、下方へ向けて開口しており、下方へ向けて排気を行う。従って、本願開示の飛行体UAVは、排気による外気への影響が、回転翼30を越えて上方の検出部5の検出に及ぶことを抑制する。
【0030】
燃料タンク44は、本体装置40に下方、底板25の上に配置されている。燃料タンク44は、ガソリン等の燃料を収容しており、本体装置40へ燃料を供給する。
【0031】
エクステンダ43は、本体装置40の上方に配置されており、本体装置40に駆動されて発電する機能を有する。エクステンダ43の発電により得られた電力により飛行機構3の回転翼30を回転駆動することにより、飛行体UAVは、揚力を得て飛行する。
【0032】
検出部5は、フレーム2の支持部21に取り付けられている。検出部5は、外部環境を検出するセンサである。検出部5は、外部環境として、例えば、大気の動き及び成分を検出する。飛行体UAVは、大気の動きを検出する検出部5として、風向及び風速を検出する風向風速検出部50を備えている。風向風速検出部50が検出する大気の動きは、主として、上下方向の動きである。また、飛行体UAVは、大気の成分を検出する検出部5として、大気中の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素検出部51を備えている。
【0033】
位置情報取得部6は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)衛星等の人工衛星と通信するアンテナを有し、GNSS衛星との通信に基づいて飛行体UAVの位置を示す位置情報を取得し、処理する機構である。位置情報の取得は、GNSSを使用して実施される。GNSSとしては、GPS:Global Positioning System(米国)、GLONASS:GLObal'naya NAvigatsionnaya Sputnikovaya Sistema(ロシア)、ガリレオ:Galileo(欧州)、コンパス:Compass(中国)、QZSS:Quasi-Zenith Satellite System(日本)等のシステムを例示することができる。
【0034】
位置情報取得部6は、GNSS衛星、例えば、GPS衛星から位置情報が重畳された電波を受信する機能を有し、受信した電波に重畳された日時、経緯度、楕円体高等の位置情報を含む情報を取得することができる。GPS衛星から取得する楕円体高とは、地球の重力等のポテンシャル面を示すジオイド面に近似される楕円体の表面に対する垂直な高さであり、楕円体高とジオイド面とから、高度を算出することができる。
【0035】
通信部7は、操作者が操作する操作装置(図示せず)と通信するための回路である。飛行体UAVは、飛行位置、飛行状態、検出部5が検出した検出データ、検出データに基づく計測結果等の各種情報を、通信部7から操作装置へ送信する。また、操作者は、操作装置を操作して、各種命令を送信することにより、通信部7にて命令を受信する飛行体UAVを操縦することができる。
【0036】
次に、本願開示の飛行体UAVの機能構成例について説明する。
図5は、本願開示の飛行体UAVの機能構成例を示すブロック図である。前述のように、飛行体UAVは、制御装置1、飛行機構3、動力部4、検出部5、位置情報取得部6、通信部7等の構成を備えている。
【0037】
制御装置1は、飛行体UAV全体を制御する装置であり、マイクロコンピュータ等のコンピュータを用いて構成されている。制御装置1は、飛行制御部10、検出制御部11、計測制御部12、記憶部13等の構成を備えている。記憶部13には、計測プログラム13a等の各種プログラム及びデータ等の各種情報が記憶されている。
【0038】
飛行制御部10は、飛行機構3を制御し、飛行による移動制御、飛行中の姿勢制御等の制御を実行する。即ち、飛行制御部10は、位置情報取得部6にて自機の位置を取得し、動力部4を動作させて飛行機構3を駆動し、飛行機構3のアーム31及び回転翼30の回転を制御することにより、飛行による移動制御、姿勢制御等の各種制御を実行する。
【0039】
検出制御部11は、検出部5を制御し、検出部5による検出、検出により得られた検出データの取り込み等の検出に関する各種制御を実行する。計測制御部12は、記憶部13に記憶されている計測プログラム13aを実行し、検出部5の検出により得られた検出データに基づいて、大気の状態を計測する制御を行う。即ち、計測制御部12は、風向風速検出部50により検出した風向及び風速等の大気の動き、二酸化炭素検出部51により検出した二酸化炭素濃度等の大気の成分に基づいて、渦相関法にて大気の状態を計測する処理を実行する。なお、計測制御部12は、計測のための計算において、適宜、飛行体UAVの特性に基づき生じる外乱を補正する補正処理を実行する。
【0040】
以上のように本願開示の計測システムは、外部環境を検出する検出部5を備え、動力部4により回転翼30を回転させる飛行体UAVを用いる。本願開示の飛行体UAVは、検出部5が回転翼30より上方で検出するように配置されており、エンジン、吸気口41及び排気口42を有する動力部4を備える。吸気口41は、飛行体UAVの回転翼30より下方に配置され、かつ下方から吸気する。排気口42は、回転翼30より下方に配置され、かつ下方に向けて排気する。本願開示の飛行体UAVは、動力部4がエンジンを用いて構成されているので、長時間の飛行が可能となる。従って、本願開示の飛行体UAVは、例えば、検出に時間を要する渦相関法にて利用可能な外部環境を検出することが可能となる等、優れた効果を奏する。更に、本願開示の飛行体UAVは、吸気及び排気による影響を抑制した状態で、検出部5が外部環境を検出することが可能である等、優れた効果を奏する。しかも、本願開示の飛行体UAVは、検出部5及び動力部4の間に、吸排気の影響を抑制する整流板23を備えるため、検出精度を向上させることが可能である等、優れた効果を奏する。
【0041】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0042】
例えば、前記実施形態では、飛行体UAVが備える制御装置1にて、検出データに基づいて検出データに基づく大気の状態を計測する処理を実行する形態を例示したが、本願開示の計測システムは、様々な構成とすることが可能である。
【0043】
図6は、本願開示の計測システムの適用例を概念的に示す説明図である。
図6は、本願開示の計測システムの他の実施形態を例示している。
図6に例示する形態では、飛行体UAVとは別に、モバイル型コンピュータ等のコンピュータを用いた計測装置8を用いる形態を示している。
図6に実施する形態において、飛行体UAVは、検出部5の検出により得られた検出データを、通信部7を介して計測装置8へ送信し、又は記憶部13に記憶する。計測装置8は、飛行中の飛行体UAVから検出データを受信し、又は回収後の飛行体UAVの記憶部13に記憶された検出データを読み取り、検出データを得る。そして、計測装置8は、検出データとして得られた大気の動き及び成分に基づいて、渦相関法にて大気の状態を計測する。このように本願開示の計測システムは、様々な構成に展開することが可能である。
【0044】
また、前記実施形態では、大気の動き及び成分として、主として鉛直方向の大気の動き及び二酸化炭素濃度を検出する形態を例示したが、本願開示の計測システムはこれに限るものではない。本願開示の計測システムは、例えば、温度、湿度、放射線量、微小粒子状物質、二酸化硫黄濃度等の様々な外部環境の検出に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
UAV 飛行体
1 制御装置
2 フレーム
23 整流板
3 飛行機構
30 回転翼
4 動力部(エンジン)
40 本体装置
41 吸気口
42 排気口
43 エクステンダ
44 燃料タンク
5 検出部
50 風向風速検出部
51 二酸化炭素検出部
6 位置情報取得部
7 通信部
8 計測装置
【手続補正書】
【提出日】2024-10-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境を検出する検出部と、回転により揚力を発生させる回転翼と、前記回転翼を回転させる動力部とを備え、前記回転翼の回転により発生させた揚力による飛行中に、前記検出部にて外部環境を検出する飛行体であって、
前記検出部及び前記動力部の間で、前記検出部及び前記動力部から離隔した位置に、前記動力部の吸排気を抑制する整流板を備え、
前記検出部は、
前記回転翼より上方で検出するように配置されており、
前記動力部は、
吸排気を行って動力を発生させるエンジンであり、
前記回転翼より下方に配置された排気口を有し、
前記排気口は、
下方へ向けて排気するようにしてあり、
前記整流板は、
円板部の周縁から斜め上に縁部が張り出した盆状に形成されている
ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記動力部は、
前記回転翼より下方に配置された吸気口を有し、
前記吸気口は、
下方から吸気する
ことを特徴とする飛行体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の飛行体であって、
前記検出部は、
大気の動き及び成分を検出する
ことを特徴とする飛行体。
【請求項4】
請求項3に記載の飛行体を備え、
前記飛行体が備える検出部により検出した大気の動き及び成分に基づいて、渦相関法にて大気の状態を計測する
ことを特徴とする計測システム。
【請求項5】
大気の状態を計測する計測装置を用いた計測方法であって、
請求項3に記載の飛行体が備える検出部により大気の動き及び成分を検出し、
検出した大気の動き及び成分に基づいて、渦相関法にて大気の状態を計測する
ことを特徴とする計測方法。