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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153258
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ゲル状組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20241022BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241022BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241022BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALN20241022BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALN20241022BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALN20241022BHJP
   A61P 17/16 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/34
A61K9/06
A61K47/10
A61K47/36
C09K3/00 103L
C09K3/00 103M
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q1/00
A61P17/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067038
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】519041909
【氏名又は名称】株式会社DESIGN京都
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】吉満 英二
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076EE37
4C076FF36
4C076GG45
4C083AB051
4C083AC121
4C083AC122
4C083AD331
4C083AD332
4C083CC03
4C083CC22
4C083CC31
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE07
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】常温保存で調整6カ月後においても高い粘度値を保持することができるゲル状組成物を提供する。
【解決手段】ゲル状組成物は、水と、1,3-ブチレングリコールと、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のヒアルロン酸成分とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
1,3-ブチレングリコールと、
ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のヒアルロン酸成分と、
を有するゲル状組成物。
【請求項2】
水と、
1,3-ブチレングリコールと、
分子量が80万以上160万以下の範囲内である、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のヒアルロン酸成分とを有し、
前記ヒアルロン酸成分の含有量が0.8質量%以上1.2質量%以下であり、
調整6カ月後に測定した、コーンプレートを用いた円錐平板型粘度計による回転数0.1rpm、測定時間120秒、温度30℃の条件下での粘度が20000mPa・s以上であるゲル状組成物。
【請求項3】
水と、
1,3-ブチレングリコールと、
分子量が160万超270万以下の範囲内である、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のヒアルロン酸成分とを有し、
前記ヒアルロン酸成分の含有量が0.8質量%以上1.2質量%以下であり、
調整6カ月後に測定した、コーンプレートを用いた円錐平板型粘度計による回転数0.1rpm、測定時間120秒、温度30℃の条件下での粘度が50000mPa・s以上であるゲル状組成物。
【請求項4】
前記1,3-ブチレングリコールの含有量が12質量%以上49質量%以下である請求項1から請求項3のいずれかに記載のゲル状組成物。
【請求項5】
前記ゲル状組成物の含水率が50質量%以上である請求項1から請求項3のいずれかに記載のゲル状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲル状組成物に関し、より詳細にはヒアルロン酸成分を含有するゲル状組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現状、市場に存在するヒアルロン酸ナトリウム水溶液を製造した後の問題点として挙げられていることとして、ヒアルロン酸はそれ自体では不安定な物質であるため、ナトリウム塩の形で製剤化して適用されてはいるが、ヒアルロン酸ナトリウムの状態であっても水に添加されてゲル状水溶液の状態になると特に経時の粘度安定性に欠けることが懸念されている。
【0003】
これらの問題点の一つにヒアルロン酸粉末成分を水溶液状態にしたものは、ヒアルロン酸粉末に水和している結合水とただ混ざっている普通の状態の水である自由水が系に混在した状態で存在していることが多く、一般的な不均一性が発生しやすい混合攪拌製造工程とそれらに類似した製造工程で製品化されたものは、これらの問題が発生していることを認識および理解せず製品化されている場合が多くある。系の不均一性は製造後、常温保存であっても、低温保存であっても経時変化により自由水が離漿することにより系の粘度低下が誘発されることが顕著である。
【0004】
ヒアルロン酸ナトリウム水溶液を製造する場合、系に対して一様に均質的に攪拌羽根のトルクが所定時間掛かることで製造されることが理想的ではあるが、系が均質的な状態でない場合、自由水が形成されやすくこれらの割合が多い状態で仕上げられたものほど製造後、粘度低下現象が早期顕著に発現される。また、系の不均一性は製品外観では判断することは出来ず系内粘度値は一様に安定で一定されたものではないため製品保証期限内であっても出荷前に廃棄せざるを得ない現状も事実としてある。また一般に、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液の安定性はpHによって左右されることも知られている。また更に、フリーラジカルや金属など存在によってヒアルロン酸ナトリウムの分子量が低下して系の粘度安定性が低下することも懸念されている。このため、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液にされたものは、製造直後および経時ではロット間におけるバラツキと経時による粘度低下で製造系に対して一様に粘度安定したものを製造できていない問題が多々あった。
【0005】
そこで、特許文献1では、クエン酸またはクエン酸塩をヒアルロン酸ナトリウム溶液に添加することによってヒアルロン酸ナトリウム溶液の安定性を向上させる技術が提案されている。また特許文献2では、グリセリンをヒアルロン酸ナトリウム溶液に添加することによってヒアルロン酸ナトリウム溶液の安定性を向上させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-104642号公報
【特許文献2】特開平9-176020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
市場に存在する一般的な単純な混合攪拌製造工程によって得られたヒアルロン酸ナトリウム水溶液状態にしたものは、ヒアルロン酸に水和している結合水とただ混ざっている普通の状態の水である自由水が系に混在した状態で存在していることが多く、一般的な混合攪拌製造工程とそれらに類似した製造工程で製品化されたものはこれらの問題が発生していることを理解せず製品化されている場合が多くある。
【0008】
これらの現象は製造後、常温保存であっても、低温保存であっても経時変化により自由水が離漿することにより系の粘度低下が誘発されることが顕著であり、分子量が160万を超えるものではより顕著にこれらの傾向が発現されやすい。また、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液として製造されたものが自由水の割合が多いほどこれらの現象が早期顕著にみられ、これらは製品外観では判断することは出来ず系内粘度値は一様に安定で一定されたものではないため製品保証期限内であっても製造後、製品粘度低下が著しいものは、製品品質規格から外れることが懸念され出荷前に廃棄せざるを得ない現状も事実としてある。
【0009】
本発明は、製造工程によらず系内の自由水生成抑制と、保管方法によって引き起こされるヒアルロン酸成分の分子量低下抑制とを、1,3-ブチレングリコールを配合することによって常温保存6カ月後においても高い粘度値を保持することができるヒアルロン酸ナトリウム水溶液を製造することを目的とするものである。
【0010】
また、本発明は一般的な単純な混合攪拌製造工程とそれら類似した製造工程であっても系の防腐性を担保し、これらの問題を解決できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成する本発明の実施形態に係るゲル状組成物は、水と、1,3-ブチレングリコールと、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のヒアルロン酸成分とを有することを特徴とする。
【0012】
また本発明の他の実施形態に係るゲル状組成物は、水と、1,3-ブチレングリコールと、分子量が80万以上160万以下の範囲内である、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のヒアルロン酸成分とを有し、前記ヒアルロン酸成分の含有量が0.8質量%以上1.2質量%以下であり、調整6カ月後に測定した、コーンプレートを用いた円錐平板型粘度計による回転数0.1rpm、測定時間120秒、温度30℃の条件下での粘度が20000mPa・s以上であることを特徴とする。
【0013】
また本発明のさらに他の実施形態に係るゲル状組成物は、水と、1,3-ブチレングリコールと、分子量が160万超270万以下の範囲内である、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のヒアルロン酸成分とを有し、調整6カ月後に測定した、前記ヒアルロン酸成分の含有量が0.8質量%以上1.2質量%以下であり、コーンプレートを用いた円錐平板型粘度計による回転数0.1rpm、測定時間120秒、温度30℃の条件下での粘度が50000mPa・s以上であることを特徴とする。
【0014】
前記各ゲル状組成物において、前記1,3-ブチレングリコールの含有量は12質量%以上49質量%以下であるのが好ましい。
【0015】
また前記各ゲル状組成物において、含水率は50質量%以上であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のゲル状組成物によれば、常温保存で調整6カ月後においても高い粘度値を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図2】実施例2のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図3】実施例3のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図4】実施例4のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図5】実施例5のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図6】実施例6のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図7】実施例7のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図8】実施例8のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図9】実施例9のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図10】実施例10のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図11】比較例1のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図12】比較例2のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
図13】比較例3のゲル状組成物の常温保存で調整6ヶ月後の粘度安定性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るゲル状組成物は、水と、1,3-ブチレングリコールと、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分とを有することを特徴とする。以下、これらの構成について順に説明する。
【0019】
なお、本明細書において「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味するものとする。また本明細書において示す「~」は、特に断りのない限り、その前後に記載の数値を下限値及び上限値として含むものとする。
【0020】
(水)
本発明で使用する水に特に限定はなく、イオン交換水、精製水、自然水、水道水、天然水、アルカリイオン水、電解質イオン水などを用いることができる。
【0021】
(1,3-ブチレングリコール)
1,3-ブチレングリコールの含有量は、12質量%~49質量%の範囲が好ましい。1,3-ブチレングリコールの含有量が12質量%より少ないと、ゲル状組成物の経時的粘度安定性が著しく低くなるおそれがある。1,3-ブチレングリコールの含有量が49質量%よりも多いと、ヒアルロン酸成分が局所的な不溶性によって不均一となるおそれがある。また組成物が固化状ゲルとなって流動性が失活し透明性も損なわれるおそれもある。
【0022】
本発明で使用する1,3-ブチレングリコールとしては医薬部外及び化粧品原料として適合されたものを使用できる。また、本発明で使用する1,3-ブチレングリコールは石油由来のものであっても、植物由来のものであってもよい。具体的には、石油由来の1,3-ブチレングリコールとしてはCAS番号107-88-0に登録されている1,3-ブチレングリコール(製品名:1,3-ブチレングリコール〔1,3-BG〕(株式会社ダイセル))等を使用でき、植物由来の1,ブチレングリコールとしてCAS番号107-88-0に登録されている1,3-ブチレングリコール(製品名:ハイシュガーゲインBG(高級アルコール工業株式会社))等を使用できる。本発明で使用する1,3-ブチレングリコールの例をここに挙げたが、ここに記載するものは一例でありこれに限定されるものではない。
【0023】
本発明のゲル状組成物は、1,3-ブチレングリコール以外の多価アルコールを有してもよい。多価アルコールとしては、1気圧下、室温下で液体状態であれば特に限定はない。例えば、グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のプロピレングリコール類;1,3-プロパンジオール、ブタンジオール(1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールなど)、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のエチレングリコール類などが好適に使用できる。これらの中でも、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオールなどがより好適に使用できる。さらには、グリセリン、ブタンジオールが特に好ましい。多価アルコールは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
(ヒアルロン酸成分)
本発明で使用されるヒアルロン酸成分は、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種である。ヒアルロン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩、亜鉛塩等の塩が挙げられる。ヒアルロン酸誘導体としては、ヒアルロン酸のヒドロキシル基、カルボキシル基等がエーテル化、エステル化、アセチル化、アミド化、アセタール化、ケタール化されて得られるもの等が挙げられる。具体的には、第四級アンモニウム基含有基を有するカチオン化ヒアルロン酸、グリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸、カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸、ヒドロキシ基の一部が第4級窒素含有基で置換された低分子量カチオン化ヒアルロン酸等が挙げられる。
【0025】
本発明で使用するヒアルロン酸成分は、その由来が限定されるものではなく、鶏冠、微生物、その他如何なる由来のものでも用いることができる。例えば、動物組織から抽出したものや微生物の培養による発酵法で生産されたもの等が挙げられる。また、市販品を購入することもできる。
【0026】
ヒアルロン酸成分の分子量は、ゲル濾過カラムを用いて、基準物質として分子量が既知である複数のヒアルロン酸を液体クロマトグラフィー分析し、測定対象のヒアルロン酸成分を同様に液体クロマトグラフィー分析し、前記基準物質の分子量の検量線を用いて算出することができる。
【0027】
市販品されているヒアルロン酸ナトリウムとしては、例えば、キューピー株式会社製の「ヒアルロンサンHA-LQ」(分子量85万~160万)、「ヒアルロンサンHA-LQH」(分子量120万~220万);スペラネクサス社製の「ヒアルロン酸I.W.90」(分子量80万~120万)、「ヒアルロン酸I.W.120」(分子量110万~160万)、「ヒアルロン酸I.W.200」(分子量180万~270万);キッコーマンバイオケミファ社製の「ヒアルロン酸FCH-120」(分子量100万~140万)、「ヒアルロン酸FCH-200」(分子量180万~220万)等が挙げられる。
【0028】
本発明で使用するヒアルロン酸成分は、所望範囲の分子量を有するもの使用してもよいし、所望範囲の分子量を有するように2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
本発明で使用するヒアルロン酸成分の原粉末は、医薬部外品及び化粧品原料として使用されている試験内容に限定された範囲に適合したものを使用することができる。使用に必要とされるヒアルロン酸の試験項目としては、例えば、性状、確認試験としてポリアニオン骨格・ナトリウム塩・ウロン酸骨格、純度試験として重金属・ヒ素・たん白質・その他の酸性ムコ多糖・溶血性連鎖球菌・溶血性、定量法試験として窒素・グルクロン酸、乾燥減量、強熱残分、透明度、一般生菌数、pH、該当する分子量範囲の原末が挙げられる。これらの試験項目に医薬部外品及び化粧品原料として適合されたヒアルロン酸の原粉末を使用することができる。
【0030】
(その他の成分)
本発明のゲル状組成物は、その他の成分として、一般的に医薬部外品・化粧料等に配合される成分等をその目的に適した量で含むことができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤(ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤)、アルコール類、保湿剤、機能性成分、天然物エキス、タンパク質加水分解物、アミノ酸、カチオン化多糖類、両性高分子樹脂化合物、カチオン性高分子樹脂化合物、粘性調整剤、増粘剤、酸化防止剤、防腐剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、紫外線反射剤、pH調整剤、香料、色素が挙げられる。以下にこれらの例を挙げるが、記載するものは全て一例でありこの限りではない。
【0031】
(界面活性剤)
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルペタイン、アルキルアミドプロピルペタイン、イミダソリニウムペタイン、卵黄レシチン、大豆レシチン等が挙げられる。
【0032】
(アルコール類)
多価アルコール成分以外のアルコール類成分としては(前述の多価アルコールを除く)を含んでいてもよい。例えば、特に制限されず、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
【0033】
(保湿剤)
保湿剤としては、例えば、トレハロース、アテロコラーゲン、ソルビトール、マルチトール、フィトグリコーゲン等が挙げられる。
【0034】
(機能性成分)
機能性成分としては、例えば、レチノール、グリチルレチン酸、トラネキサム酸、L-アスコルビン酸2-グルコシド、エラグ酸、コウジ酸、ビタミンA油、パルミチン酸レチノール、アルブチン、エラスチン、アラントイン、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモンアラントイン等が挙げられる。
【0035】
(天然物エキス)
天然物エキスとしては、例えば、プラセンタエキス、ユーカリエキス、アロエエキス、ローヤルゼリーエキス、茶エキス、モモエキス、レモンエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ローズマリーエキス、アセンヤクエキス、ブナノメエキス、ウコンエキス、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンソウエキス、シヤクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、ジオウエキス、シコンエキスショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、カロットエキス、マロニエエキス、クワエキス、クジンエキス、カジルエキス、海藻エキス、桃葉エキス等が挙げられる。
【0036】
(タンパク質加水分解物)
タンパク質加水分解物としては、例えば、ケラチンペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、コムギペプチド、ミルクペプチド、シルクペプチド、卵白ペプチド、加水分解卵殻膜等が挙げられる。
【0037】
(アミノ酸)
アミノ酸としては、例えば、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、システイン、セリン、L-テアニン等が挙げられる。カチオン化多糖類としては、例えば、カチオン化ヒドロキシェチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化澱粉、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化デキストラン、カチオン化キトサン、カチオン化ハチミツ等が挙げられる。
【0038】
(カチオン化多糖類)
カチオン化多糖類としては、例えば、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化澱粉、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化デキストラン、カチオン化キトサン、カチオン化ハチミツ等が挙げられる。
【0039】
(両性高分子樹脂化合物)
両性高分子樹脂化合物としては、例えば、ベタイン化ジアルキルアミノアルキルアクリレート共重合体等が挙げられる。
【0040】
(カチオン性高分子樹脂化合物)
カチオン性高分子樹脂化合物としては、例えば、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化物、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマー等が挙げられる。
【0041】
(粘性調整剤)
粘性調整剤としては、例えば、ウレタン変性ポリエーテル系化合物、アクリル系重合物、アマイド系化合物、ポリエーテル燐酸エステル系化合物、水添ひまし油系化合物、フュームドシリカ系化合物、ベントナイト系化合物、層状ケイ酸塩系化合物等が挙げられる。
【0042】
(増粘剤)
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、グアーガム等に代表される天然物系増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等に代表される半合成物系増粘剤、及びカルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド等に代表される合成物系増粘剤が挙げられる。
【0043】
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、トコフェノール、BHT等が挙げられる。金属封鎖剤としては、例えば、EDTA-2Na、EDTA-4Na、エデト酸塩、エチドロン酸塩等が挙げられる。
【0044】
(防腐剤)
防腐剤としては、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、エチレングリコールモノフェニルエーテルなどが挙げられる。しかしながら、1,3-ブチレングリコールも医薬部外品・化粧品原料の防腐性のあるものとして汎用的に防腐性能付与原料として使用されており、また、1,3-ブチレングリコールが一定量以上含有されたものは防腐剤を複合的に配合せずとも防腐効力性は担保されているため防腐効力チャレンジ試験(接種後検体の菌数経時変化:標準細菌混合菌、排水混合菌、真菌混合菌)などで防腐効力性を担保できていることを確認されたものであれば実質的には含まれていなくてもよい。
【0045】
(金属封鎖剤)
金属封鎖剤としては、例えば、EDTA-2Na、EDTA-4Na、エデト酸塩、エチドロン酸塩等が挙げられる。
【0046】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等が挙げられる。
【0047】
(紫外線反射剤)
紫外線反射剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等が挙げられる。
【0048】
(pH調整剤)
pH調整剤として、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水酸化物等、及びリン酸、メタンスルホン酸等の酸が挙げられる。
【0049】
(香料)
香料としては、動物または植物より得られる天然香料と、化学的合成手段によって製造される合成香料、およびそれらの混合物である調合香料が挙げられ、特に限定されない。
【0050】
(色素)
色素としては、例えば、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素等が挙げられる。
【0051】
(製造方法)
本発明のゲル状組成物は、例えば、前記の各成分を混合して製造することができる。本発明のゲル状組成物は、保湿系化粧料、紫外線防止化粧料、オールインワン化粧料などの材料として好適に用いることができる。
【0052】
(粘度測定)
ゲル状組成物の粘度は、円錐平板方式の測定装置(東機産業社製の「TVE-35形」)を用い、治具コーンプレート(円錐平板)は1°34’×R24を使用する。温度30℃でコーンプレート回転数0.1rpmで120秒間、ゲル状組成物の粘度を測定する。
ゲル状組成物の均一安定性及び粘度安定性は、測定装置の計器抵抗値である指度値(θ)によって判断する。具体的には、所定測定時間(例えば120秒)内において、当該所定時間に到達する前に指度値(θ)の振れ幅がプラスマイナス1%以内に収まっていることでゲル状組成物の均一安定性及粘度安定性が確保されたと判断し、ゲル状組成物の粘度の指標値とする。
【0053】
ゲル状組成物の粘度測定の準備として、先ず、使用機器を測定環境温度になるように施し、使用する治具コーンプレートに規定されているサンプル量を下部平板固定プレートと上部円錐平板回転コーンプレートの間に気泡を残さない状態で最大容量メモリ1mLのシリンジを用いて測定物をセットし、10分間静置させ測定環境温度に安定させる。10分間静置後、直ちに回転数1rpm、60秒間でサンプルの履歴粘度を崩壊させ更に10分間静置させる。履歴粘度崩壊静置10分後にゲル状組成物の粘度測定が可能となる。
【0054】
ゲル状組成物の粘度測定における測定環境温度は、測定機器の下部平板サンプルカップジャケット内と循環恒温槽とを内径6mm~7mmの保温材で被覆された循環水チューブで繋ぎ、ジャケット内の温度を循環水によって調整する。循環恒温槽は冷却機能付きのサーキュレーターを使用するのが好ましく、例えば、ユラボ社製の冷却循環恒温槽を使用することができる。
【0055】
なお、粘性を有する測定サンプルが流動すると熱が発生する。この現象は「粘性発熱」または「ビスカスヒーティング」と呼ばれている。測定サンプルの熱伝導率が低いと、発生した熱は測定サンプルから短時間で外部に逃げることは出来ないので測定サンプルの温度が上昇し、測定するレオロジーデータに影響が現れることがある。このため、粘度測定は+1℃以上のビスカスヒーティングが生じない範囲内で行うのが望ましい。
【0056】
(用途)
本発明に係るゲル状組成物の用途に特に限定はないが、化粧料や外用剤などの基材として好適に使用される。例えば、クリーム、ローション、クレンジングジェル、クレンジングクリーム等の基礎化粧料;ファンデーション、アイシャドウ、リップカラー、リップグロス等のメーキャップ化粧料;ヘアクリーム、スタイリングジェル、ヘアワックス等の頭髪用化粧料;シャンプー、リンス、ハンドソープ、ボディーソープ、洗顔フォーム等の洗浄料;無機顔料を配合したUVケア化粧品;保湿化粧料等の基材として好適に使用されるがこの限りではない。
【0057】
本発明に係るゲル状組成物を含む化粧料または外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧料または外用剤に用いられる各種の成分、例えば、非イオン性界面活性剤、極性脂質、活性成分、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、合成色素、有色顔料、パール剤、香料、無機顔料等を配合できる。
【実施例0058】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例における「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味するものとする。
【0059】
(実施例1)
精製水(ゲル組成物における含有率84%,以下単に%のみで記す。)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(15%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.90」,分子量80万~120万)(1%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例1のゲル状組成物を得た。
得られたゲル状組成物の調整1日後及び調整6ヶ月後の粘度を後述の測定方法で測定した。以下の実施例および比較例でも同様である。図1に、調整6ヶ月後の実施例1のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0060】
(実施例2)
精製水(79%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(20%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.90」,分子量80万~120万)(1%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例2のゲル状組成物を得た。図2に、調整6ヶ月後の実施例2のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0061】
(実施例3)
精製水(69.2%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(30%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.90」,分子量80万~120万)(0.8%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例3のゲル状組成物を得た。図3に、調整6ヶ月後の実施例3のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0062】
(実施例4)
精製水(69.1%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(30%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(キッコーマンバイオケミファ社製「FCH-120」,分子量100万~140万)(0.9%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例4のゲル状組成物を得た。図4に、調整6ヶ月後の実施例4のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0063】
(実施例5)
精製水(69%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(30%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.90」,分子量80万~120万)(1%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例5のゲル状組成物を得た。図5に、調整6ヶ月後の実施例5のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0064】
(実施例6)
精製水(84%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(15%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.200」,分子量180万~270万)(1%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例6のゲル状組成物を得た。図6に、調整6ヶ月後の実施例6のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0065】
(実施例7)
精製水(79%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(20%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.200」,分子量180万~270万)(1%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例7のゲル状組成物を得た。図7に、調整6ヶ月後の実施例7のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0066】
(実施例8)
精製水(74.1%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(25%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.200」,分子量180万~270万)(0.9%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例8のゲル状組成物を得た。図8に、調整6ヶ月後の実施例8のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0067】
(実施例9)
精製水(69.2%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(30%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.200」,分子量180万~270万)(0.8%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例9のゲル状組成物を得た。図9に、調整6ヶ月後の実施例9のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0068】
(実施例10)
精製水(69%)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル社製)(30%)をホモディスパー(撹拌機)に順に投入し回転数2500rpmで10分間撹拌し、その後、ヒアルロン酸(キッコーマンバイオケミファ社製「FCH-200」,分子量180万~220万)(1%)をホモディスパーに順に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い実施例10のゲル状組成物を得た。図10に、調整6ヶ月後の実施例10のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0069】
(比較例1)
精製水(99%)、ヒアルロン酸(キッコーマンバイオケミファ社製「FCH-120」,分子量100万~140万)(1%)をホモディスパー(撹拌機)に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い比較例1のゲル状組成物を得た。図11に、調整6ヶ月後の比較例1のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0070】
(比較例2)
精製水(99%)、ヒアルロン酸(スペラネクサス社製「I.W.120」,分子量110万~160万)(1%)をホモディスパー(撹拌機)に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い比較例2のゲル状組成物を得た。図12に、調整6ヶ月後の比較例2のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0071】
(比較例3)
精製水(99%)、ヒアルロン酸(キューピー社製「ヒアルロン酸HA-LQH」,分子量120万~220万)(1%)をホモディスパー(撹拌機)に投入し回転数2500rpmで30分間撹拌を行い比較例3のゲル状組成物を得た。図13に、調整6ヶ月後の比較例3のゲル状組成物の指度値の経時変化を示す。
【0072】
(粘度測定)
実施例および比較例で得られたゲル状組成物の粘度は調整翌日と調整6カ月後に測定した。ゲル状組成物の粘度は、東機産業社製のE型粘度計「TVE-35型」を用いて、回転数0.1rpmで120秒間測定した。治具は円錐平板(1°34’×R24)のコーンプレート型を用いた。粘度測定中ゲル状組成物は循環冷却機付きサーキュレーター(ユラボ社製「CORIO(登録商標)CD-200T」)を用いて温度30℃に保持するようにした。
図1図10に、縦軸を計器抵抗値の指度値(θ)とし、横軸を測定時間として、調整6カ月後の、実施例および比較例の測定されたゲル状組成物の粘度安定性として指度値(θ)を示す。
各ゲル状組成物の計器抵抗値の指度値が測定開始後100秒以上においてプラスマイナス1%以内の範囲で一定となり、ゲル状組成物の均一安定性と粘度安定性とが確認されたので、測定開始後120秒におけるゲル状組成物の指度値を粘度の指標値(表1の「粘度値」)とした。
【0073】
【表1】
【0074】
ヒアルロン酸成分の分子量が80万~160万の範囲内である実施例1~実施例5のゲル状組成物は、ヒアルロン酸成分の分子量が80万~160万の範囲内である比較例1,2のゲル状組成物に比べて、調整1日後および調整6ヶ月後の粘度値がいずれも高い値を示した。
【0075】
ヒアルロン酸成分の分子量が160万超270万以下の範囲内である実施例6~実施例10のゲル状組成物は、ヒアルロン酸成分の分子量が120万~220万である比較例3のゲル状組成物に比べて、調整1日後および調整6ヶ月後の粘度値がいずれも高い値を示した。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のゲル状組成物によれば、常温保存で調整6カ月後においても高い粘度値を保持することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13