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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153260
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241022BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241022BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G21/00 530
G03G15/08 390Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067040
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】孫 撃
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077BA08
2H077BA09
2H077DA10
2H077DA42
2H077EA03
2H077GA04
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA06
2H171FA13
2H171FA28
2H171GA09
2H171JA06
2H171JA48
2H171JA49
2H171KA04
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA29
2H171NA03
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB14
2H171QB32
2H171QB35
2H171QC03
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171WA07
2H171WA23
2H270MC28
2H270MC70
2H270MD12
2H270SA09
2H270SB20
2H270SB30
2H270SC06
(57)【要約】
【課題】現像ユニットの装着時や引き出し時に、冷却ユニットを保護できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、現像ローラー67と現像ハウジング61と、を備え、支持フレーム7に着脱可能に支持される現像装置53と、前記現像装置53が前記支持フレーム7から取り外される前に、前記現像ローラー67が前記感光体ドラムから離間するように前記現像装置53を移動させる離間機構と、冷却ユニットと、備え、前記現像ハウジング61は、他の部位よりも熱伝導性の高い底板73を有し、前記冷却ユニットは、前記底板73に対向する受熱板93と、前記受熱板93に支持された冷却チューブ95と、を備え、前記現像装置53が移動していない状態では、前記底板73が前記冷却チューブ95に接触し、前記離間機構によって前記現像装置53が移動すると、前記底板73が前記冷却チューブ95から離間する。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームに支持された、静電潜像が形成される感光体ドラムと、
前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像剤で現像する現像ローラーと、現像剤を収容する現像ハウジングと、を備え、前記支持フレームに着脱可能に支持される現像装置と、
前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に、前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像装置を移動させる離間機構と、
前記現像装置を冷却する冷却ユニットと、
を備え、
前記現像ハウジングは、他の部位よりも熱伝導性の高い底板を有し、
前記冷却ユニットは、
前記底板に対向する受熱板と、
前記受熱板に支持された冷却チューブと、を備え、
前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態では、前記底板が前記冷却チューブに接触して前記冷却ユニットによって前記現像装置が冷却され、前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に前記離間機構によって前記現像装置が移動すると、前記底板が前記冷却チューブから離間することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記冷却チューブは、前記底板の表面に沿うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受熱板は、前記冷却チューブが嵌め込まれる溝と、前記冷却チューブを前記溝に固定する固定片と、を有し、
前記固定片の近傍では、前記溝の底が開口していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像ハウジングは、現像剤濃度を検知するセンサーを備え、
前記冷却チューブは、前記センサーを避けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記底板は、前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態で前記冷却チューブの一部が入り込む凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記冷却ユニットは、前記冷却チューブの一部を覆うカバー板を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ユニットを冷却する冷却ユニットを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムに形成された潜像を、現像ローラーに担持された現像剤で現像する現像ユニットを備えている。現像ユニットは、メンテナンスや交換のために、支持フレームに着脱可能に支持されている。また、現像ユニットでは、現像ローラーの回転や現像剤の撹拌によって摩擦熱が発生し、現像剤の温度が上昇する。現像剤の温度が上昇すると、現像剤の帯電性に影響を及ぼし、画像品質が低下する虞がある。そこで、画像形成装置には、現像ユニットを冷却する冷却ユニットが備えられている。
【0003】
特許文献1に記載の冷却ユニットは、被冷却体(現像ユニットに対応)に接触して被冷却体の熱を受熱する受熱チューブを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-101749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された冷却ユニットは、現像ユニットを支持フレームから引き出す際に、現像ユニットが受熱チューブに接触して、受熱チューブが傷付く虞がある。
【0006】
本発明は上記事情を考慮し、現像ユニットの装着時や引き出し時に、冷却ユニットを保護できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、支持フレームに支持された、静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像剤で現像する現像ローラーと、現像剤を収容する現像ハウジングと、を備え、前記支持フレームに着脱可能に支持される現像装置と、前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に、前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像装置を移動させる離間機構と、前記現像装置を冷却する冷却ユニットと、備え、前記現像ハウジングは、他の部位よりも熱伝導性の高い底板を有し、前記冷却ユニットは、前記底板に対向する受熱板と、前記受熱板に支持された冷却チューブと、を備え、前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態では、前記底板が前記冷却チューブに接触して前記冷却ユニットによって前記現像装置が冷却され、前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に前記離間機構によって前記現像装置が移動すると、前記底板が前記冷却チューブから離間することを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記冷却チューブは、前記底板の表面に沿うように配置されることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明において、前記受熱板は、前記冷却チューブが嵌め込まれる溝と、前記冷却チューブを前記溝に固定する固定片と、を有し、前記固定片の近傍では、前記溝の底が開口していることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明において、前記現像ハウジングは、現像剤濃度を検知するセンサーを備え、前記冷却チューブは、前記センサーを避けて配置されていることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明において、前記底板は、前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態で前記冷却チューブの一部が入り込む凹部を有していることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明において、前記冷却ユニットは、前記冷却チューブの一部を覆うカバー板を備えることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像装置を取り外す際に、現像ローラーを感光体ドラムから離間させる動作によって、現像装置を冷却ユニット(冷却チューブ)から離間させることもできるので、現像装置を、冷却ユニット(冷却チューブ)を傷付けずに取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、支持フレームに支持された現像装置及びドラムユニットと上方に回動した内カバーとを示す斜視図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、支持フレームに支持された現像装置及びドラムユニットと下方に回動した内カバーを示す斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、現像位置に揺動した現像装置を示す正面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、離間位置に揺動した現像装置を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、現像装置を下方から見た斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、現像装置の底板を下方から見た斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、離間機構(現像装置が現像位置に揺動した状態)を示す側面図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、離間機構(現像装置が現像位置に揺動した状態)を示す側面図である。
図6C】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、離間機構(現像装置が離間位置に揺動した状態)を示す側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、冷却ユニットを模式的に示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、冷却ユニットの受熱板を示す斜視図である。
図9A図8のI-I断面図である。
図9B図8のII-II断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、現像装置と冷却チューブとを下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0016】
図1図2A及び図2Bを参照して、画像形成装置1の全体構成について説明する。図1は画像形成装置1の内部構成を模式的に示す正面図、図2A及び図2Bは支持フレーム7と内カバー5とを示す斜視図である。各図に示すFr、Rr、L、Rは、画像形成装置1の前側、後側、左側、右側をそれぞれ示す。
【0017】
図1に示されるように、画像形成装置1は、略直方体状の中空部を有する筐体3を備える。筐体3の前面の上部には開口(図示省略)が形成されている。開口は、下端部を中心として回動可能に支持された外カバー(図示省略)によって開閉される。さらに、外カバーの内側には、下端部を中心として回動可能に支持された内カバー5(図1には図示省略、図2A及び図2B参照)が設けられている。内カバー5の内側には、筐体3の中空部を上下に仕切るように矩形の板状の支持フレーム7が備えられている。
【0018】
筐体3の中空部には、シートを給紙する給紙部11と、シートに転写されるトナー像を形成する画像形成部13と、トナー像をシートに定着する定着部15と、トナー像が定着されたシートを排出する排出部17と、が収容されている。給紙部11は、筐体3の中空部の下部に設けられる。画像形成部13は、給紙部11の上方に設けられる。定着部15は画像形成部13の上方に設けられ、排出部17は定着部15の上方に設けられる。また、筐体3の上面には、シートが排出される排出口19と、排出口19から排出されたシートが積載される排出トレイ21と、が設けられている。
【0019】
さらに、筐体3の中空部には、給紙部11から画像形成部13と定着部15とを通って排出部17に向かう、シートの搬送路23が形成されている。搬送路23には、画像形成部13よりもシートの搬送方向の上流側に、レジストローラー対25が備えられている
【0020】
画像形成部13は、4色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナーに対応した4個の画像形成ユニット31と、中間転写ベルト33と、4個の画像形成ユニット31に対応した4個の一次転写ローラー35と、二次転写ローラー37と、露光装置39と、冷却ユニット41(図1には図示省略、図7参照)と、を備えている。冷却ユニット41については後述する。
【0021】
4個の画像形成ユニット31はそれぞれ、ドラムユニット51と、現像装置53と、を備えている。ドラムユニット51は、回転可能な感光体ドラム55と、帯電装置57と、クリーニング装置59と、を備えている。
【0022】
図2A及び図2Bに示されるように、画像形成ユニット31(ドラムユニット51と現像装置53)は、支持フレーム7に支持されている。支持フレーム7は、画像形成ユニット31毎に、左右に並んだ4つの区画に仕切られている。各区画に、現像装置53が支持される現像装置支持部とドラムユニット51が支持されるドラムユニット支持部とが左右に並んで設けられている。外カバーと内カバー5とを開くと、支持フレーム7に支持された画像形成ユニット31が筐体3の前面の開口から露出する。現像装置53は、後ろから前に向かう方向に沿って、開口を通って現像装置支持部から取り外し可能である。現像装置53については後述する。
【0023】
再度図1を参照して、中間転写ベルト33は、4個の画像形成ユニット31の上方に配置されて、左右方向に離間して配置された駆動ローラーと従動ローラーとの間に巻き回されて、図1の矢印で示される方向に走行する。中間転写ベルト33の下側の軌道の外面は、4個の画像形成ユニット31の感光体ドラム55に対向して、感光体ドラム55と中間転写ベルト33との間に一次転写ニップを形成している。4個の一次転写ローラー35は、中間転写ベルト33の中空部に配置されて、一次転写ニップに対向している。二次転写ローラー37は、中間転写ベルト33を挟んで駆動ローラーと対向して、二次転写ローラー37と中間転写ベルト33との間に、二次転写ニップを形成している。搬送路23は、この二次転写ニップを通過している。露光装置39は、支持フレーム7(図2参照)の下方に配置されて、支持フレーム7に設けられた開口(図示省略)を通して感光体ドラム55を露光可能である。
【0024】
画像形成動作について簡単に説明する。画像形成部13の各画像形成ユニット31において、帯電装置57が感光体ドラム55を所定の電位に帯電する。その後、感光体ドラム55は、画像データに基づいて露光装置39によって露光され、静電潜像を形成する。静電潜像は、現像装置53によってトナー像に現像される。トナー像は、一次転写ニップにおいて、転写バイアスが印加された一次転写ローラー35によって、感光体ドラム55から中間転写ベルト33に転写される。4個の画像形成ユニット31において、それぞれトナー像が中間転写ベルト33に転写されることで、中間転写ベルト33にフルカラーのトナー像が形成される。
【0025】
一方で、給紙部11からシートが搬送路23に給紙される。シートは、搬送路23に沿って搬送され、レジストローラー対25によってスキューが補正された後、二次転写ニップに搬送される。二次転写ニップにおいて、転写バイアスが印加された二次転写ローラー37によって、中間転写ベルト33からシートへフルカラーのトナー像が転写される。その後、シートは定着部15に搬送され、トナー像が加熱及び加圧されてシートに定着される。シートは排出部17に搬送されて、排出部17によって排出口19を通って排出トレイ21に排出される。
【0026】
次に、現像装置53について、図3A及び図3B図4を参照して説明する。図3A及び図3Bは現像装置53を示す正面図、図4は現像装置53を下方から見た斜視図である。
【0027】
図3A及び図3Bに示されるように、現像装置53は、現像ハウジング61を備えている。現像ハウジング61には、撹拌ローラー63と、供給ローラー65と、現像ローラー67と、ブレード69と、が支持されている。現像ハウジング61には、ドラムユニット51の感光体ドラム55に対向する開口が形成されている。現像ハウジング61の内部の下部は、前後方向に沿った仕切り壁61aによって、2つのローラー収容室に仕切られている。また、現像ハウジング61の下面には、左右方向に離間した左右の係合片61bが設けられている。さらに、現像ハウジング61の後部には、トナーコンテナ(図示省略)からトナーが供給される供給口(図示省略)が設けられている。現像ハウジング61は、例えば、樹脂で作成されている。
【0028】
撹拌ローラー63は、一方のローラー収容室に収容されて、現像ハウジング61に回転可能に支持されている。供給ローラー65は、他方のローラー収容室に収容されて、現像ハウジング61に回転可能に支持されている。現像ローラー67は、供給ローラー65の上方において、一部が開口から露出するように配置されて、現像ハウジング61に回転可能に支持されている。ブレード69は、現像ローラー67と所定の間隔を開けて配置されて、現像ハウジング61に固定されている。
【0029】
トナーコンテナ(図示省略)から現像ハウジング61供給されたトナーは、撹拌ローラー63と供給ローラー65とによって搬送されながら撹拌されて帯電する。帯電したトナーを含む現像剤は、供給ローラー65から現像ローラー67に供給されて、現像ローラー67の表面に磁気ブラシが形成される。磁気ブラシの層厚は、ブレード69によって規制される。このように形成された磁気ブラシに含まれるトナーによって、感光体ドラム55に形成された静電潜像が現像される。
【0030】
図4に示されるように、現像ハウジング61の底部の前半部の下面には、現像ハウジング61内のトナーの濃度を検知するトナー濃度センサー71が取り付けられている。一般に、現像剤は、トナーコンテナ(図示省略)から現像ハウジング61の後部に供給され、前述の撹拌ローラー63によって前方に搬送されながら撹拌される。このため、現像ハウジング61の前部において、トナー濃度が安定するようになっている。トナー濃度センサー71は、現像ハウジング61の前部内の現像剤のトナー濃度を検知するように配置されている。
【0031】
さらに、現像ハウジング61の底部の後半部には、長手方向に沿って矩形状の開口が開けられている。開口には、底板73が固定されている。底板73は、現像ハウジング61の材料である樹脂よりも熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウム)で作成されている。
【0032】
図5を参照して、底板73について説明する。図5は底板73を下方から見た斜視図である。底板73は、開口よりも大きい矩形状の平板部73aと、平板部73aの上面に長手方向に沿って形成された壁部73bと、を有している。平板部73aの下面には、長手方向に沿って、断面形状が略半円形の2つの凹部75が形成されている。凹部75は、後述する冷却ユニット41(図7参照)の冷却チューブ95とほぼ同じ半径の円弧状を有している。底板73は、例えば、平板部73aを現像ハウジング61の底部にビス締結することで、開口を閉止すると共に現像ハウジング61に固定される。このように底板73が現像ハウジング61に固定されると、壁部73bは、現像ハウジング61の仕切り壁61aに連続する。
【0033】
現像装置53は、現像ハウジング61の開口から露出した現像ローラー67が感光体ドラム55に近接する現像位置(図3A参照)から、現像ローラー67が感光体ドラム55から離間した離間位置(図3B参照)に、図3A及び図3Bの反時計回り方向に揺動可能に支持フレーム7の現像装置支持部に支持されている。前述のように、現像装置53は、メンテナンスや交換のために支持フレーム7に取り外し可能に支持されている。現像装置53の取り外し及び装着時に現像ローラー67と感光体ドラム55とが接触していると、現像ローラー67等によって感光体ドラム55が傷付く虞がある。そこで、現像装置53の取り外し及び装着時には、離間機構によって、現像装置53を現像位置(図3A参照)から離間位置(図3B参照)に揺動させるようになっている。
【0034】
次に、離間機構81の一例について、図6A図6Cを参照して簡単に説明する。図6A図6Cは離間機構81を示す側面図である。離間機構81は、現像ホルダー83と、スライド部材85と、リンク部材87と、を備えている。図3A及び図3Bには離間機構81は図示省略されている。
【0035】
現像ホルダー83は、現像装置53を支持する枠状の部材であり、支持フレーム7の現像装置支持部に支持されている。現像装置53のトナー濃度センサー71及び底板73は、現像ホルダー83から下方に露出している。また、現像ハウジング61に形成された左右の係合片61bは、現像ホルダー83から下方に突き出している。現像ホルダー83の下面の右端部(右側の係合片61bよりも外側)には、下方に突出する上凸部83aが形成されている。
【0036】
スライド部材85は、現像装置53の長手方向に長いロッド状の部材である。スライド部材85は、上方に突出する下凸部85aを有している。スライド部材85は、下凸部85aと、現像ホルダー83の上凸部83aとが、前後方向において重なるように配置されている。スライド部材85は、現像ホルダー83よりも下方において、支持フレーム7の現像装置支持部の右端部に前後方向に移動可能に支持されている。リンク部材87は、スライド部材85と内カバー5とを連結している。
【0037】
図6Aに示されるように、内カバー5が完全に閉じられた状態では、スライド部材85の下凸部85aは現像ホルダー83の上凸部83aから後方に離間して、現像装置53は、図3Aに示される現像位置に揺動している。図6Bに示されるように、内カバー5を所定位置まで開いた状態では、スライド部材85の下凸部85aは現像ホルダー83の上凸部83aから後方に離間したままで、現像装置53は、図3Aに示される現像位置に維持される。図6Cに示されるように、内カバー5が完全に開かれると、リンク部材87によってスライド部材85が前方に移動して、スライド部材85の下凸部85aが現像ホルダー83の上凸部83aの下方に移動し、現像装置53の右端部がスライド部材85によって持ち上げられる。これにより、現像装置53が、図3Bに示される離間位置に揺動する。
【0038】
このように内カバー5を完全に開くことで、現像装置53が筐体3の開口から露出すると共に現像ローラー67が感光体ドラム55から離間する。したがって、内カバー5を完全に開いた後、現像装置53を前方に引き出すことで、現像ローラー67が感光体ドラム55と干渉することなく、現像装置53を取り出すことができるようになっている。
【0039】
次に、冷却ユニット41について、図7を参照して説明する。図7は冷却ユニット41を模式的に示す斜視図である。冷却ユニット41は、放熱部91と、4つの現像装置53(図2A等参照)毎に設けられた受熱板93と、放熱部91から4枚の受熱板93を通って放熱部91に戻る1本の冷却チューブ95と、を備える。
【0040】
まず、放熱部91について説明する。放熱部91は、冷却水を貯留するタンクと、冷却水を冷却する冷却ファンと、タンクから冷却チューブ95へ冷却水を汲み上げるポンプ等(いずれも図示省略)を備えている。放熱部91は、支持フレーム7の側方(例えば左側)に配置されている。
【0041】
次に、受熱板93について、図8図9A及び図9Bを参照して説明する。図8は受熱板93を示す斜視図、図9A及び図9Bは受熱板93を示す断面図である。
【0042】
受熱板93は、現像装置53の現像ハウジング61の底部に対向する矩形状の板部材であり、熱伝導性の高い材料で作成される。受熱板93は、支持フレーム7の各現像装置支持部(離間機構81の現像ホルダー83の下方、スライド部材85の側方)に支持されている。
【0043】
図8に示されるように、受熱板93には、冷却チューブ95が収容される溝101が形成されている。受熱板93の前端の右端部には、冷却チューブ95の入口と出口となる切り欠き93aが形成されている。溝101は、切り欠き93aに連通する直線部101aと、直線部101aに連通する環状部101bと、を有している。直線部101aは、冷却チューブ95の径の2倍程度の幅を有し、受熱板93の前半部の右端部に沿って前後方向に延びている。環状部101bは、冷却チューブ95の径程度の幅を有し、受熱板93の後半部に環状に形成されている。このように、溝101は、受熱板93の前半部では、現像ハウジング61の底部の下面に取り付けられたトナー濃度センサー71を避けて配置され、受熱板93の後半部では、現像ハウジング61の底部に取り付けられた底板73に対向するように配置される。
【0044】
また、受熱板93には、所定の位置に、溝101の内側に突出する固定片103が設けられている。図9Aに示されるように、固定片103の近傍では、溝101の底面に開口101xが形成されている。一方で、図9Bに示されるように、固定片103が設けられていない箇所では、溝101の底面は閉止されている。
【0045】
さらに、受熱板93には、溝101の両側に、前後方向に沿った左右のレール105が形成されている。この左右のレール105に、離間機構81の現像ホルダー83から突き出た現像ハウジング61の左右の係合片61bが係合して、現像装置53が受熱板93に支持されている。現像装置53の引き出し時及び装着時には、係合片61bがレール105に沿って前方及び後方に案内される。なお、前述の離間機構81によって現像装置53が離間位置に揺動すると、左右の係合片61bは、左右のレール105内を上方に移動する(図3A及び図3B参照)。
【0046】
次に、冷却チューブ95について、再度図7を参照して説明する。冷却チューブ95は、熱伝導性及び弾性を有するゴム等の材料で作成されて、一例として、半径は6mmである。冷却チューブ95の行き部分95aは、放熱部91と、放熱部91から最も遠い(最も右側の)受熱板93の切り欠き93aとの間に配置されている。行き部分95aに接続する受熱部分95bは、最も遠い受熱板93の溝101の直線部101aと環状部101bとに収容されている。詳細には、受熱部分95bは、溝101の直線部101aには、前後方向に平行な姿勢で左右方向に並んで収容され、溝101の環状部101bには環状に収容されている。この際、溝101の固定片103の近傍では、冷却チューブ95が溝101の開口101x(図8図9A参照)から下方にやや沈んだ状態で固定片103に係止されるようになっている。このように冷却チューブ95が溝101に収容されると、冷却チューブ95の上部は、受熱板93よりも上方に突き出す。
【0047】
再度図7を参照して、受熱部分95bに接続する接続部分95cは、放熱部91から最も遠い受熱板93の切り欠き93aと、放熱部91から二番目に遠い受熱板93の切り欠き93aとの間に配置されている。接続部分95cに接続する受熱部分95bは、二番目に遠い受熱板93の溝101に前述と同様に収容されている。さらに、受熱部分95bに接続する接続部分95cは、二番目に遠い受熱板93の切り欠き93aと、放熱部91から三番目に遠い受熱板93の切り欠き93aとの間に配置されている。接続部分95cに接続する受熱部分95bは、三番目に遠い受熱板93の溝101に前述と同様に収容されている。さらに、受熱部分95bに接続する接続部分95cは、三番目に遠い受熱板93の切り欠き93aと、放熱部91に最も近い受熱板93の切り欠き93aとの間に配置されている。接続部分93cに接続する受熱部分95bは、最も近い受熱板93の溝101に前述と同様に収容されている。受熱部分95bに接続する戻り部分95dは、最も近い受熱板93の切り欠き93aと放熱部91との間に配設されている。
【0048】
冷却チューブ95と現像装置53について、図10を参照して説明する。図10は現像装置53と冷却チューブ95とを下方から見た斜視図である。図10に示されるように、受熱板93(図10には図示省略)の溝101の直線部101aに収容された冷却チューブ95(受熱部分95b)は、トナー濃度センサー71の側方に配設されている。受熱板93の溝101の環状部101bに収容された冷却チューブ95(受熱部分95b)は、底板73に沿って配設されている。
【0049】
現像装置53が現像位置に揺動した状態(図3A参照)において、受熱板93に収容された冷却チューブ95の上部は、現像ハウジング61の底部に固定された底板73の凹部75に入り込んで、底板73に接触している。また、受熱板93の一部が底板73に接触してもよい。
【0050】
上記構成を有する画像形成装置1において、冷却ユニット41による現像装置53の冷却作用と、現像装置53取り外し時の冷却ユニット41とについて説明する。冷却ユニット41は、画像形成動作中、すなわち、現像装置53の動作中に動作する。現像装置53の動作中、現像剤の撹拌作用によって発生する摩擦熱によって現像ハウジング61内の温度が上昇し、現像ハウジング61の底部に固定された底板73の温度も上昇する。また、底板73の熱が、底板73に接触する冷却ユニット41の受熱板93と冷却チューブ95とに伝わり、これらの温度も上昇する。
【0051】
冷却ユニット41の放熱部91においては、ポンプが駆動されて冷却液がタンクから冷却チューブ95に汲み上げられる。冷却チューブ95を通って冷却水が受熱板93に達すると、受熱板93と冷却チューブ95とに伝わった熱が冷却水に奪われ、冷却水の温度が上昇する。このように受熱板93と冷却チューブ95とを介して底板73の熱が冷却水に奪われるので、底板73の温度上昇が抑えられる。すなわち、現像ハウジング61の温度上昇が抑えられる。
【0052】
冷却水は、4枚の受熱板93を経由して、冷却チューブ95を通って放熱部91に戻る。放熱部91に戻った冷却水は、冷却ファンで冷却された後、タンクに供給される。そして、冷却された冷却水が冷却チューブ95を通って、放熱部91と4枚の受熱板93との間を循環するようになっている。
【0053】
前述のように、現像装置53のメンテナンスや交換時には、現像装置53は支持フレーム7から取り外される。この際、外カバーを開いた後、図2Bに示されるように内カバー5を開く。内カバー5を開くと、図6A図6Bを参照して説明したように、リンク部材87によってスライド部材85が移動して、現像装置53が現像位置から離間位置に揺動する。現像装置53が離間位置に揺動すると、現像ローラー67が感光体ドラム55から離間すると共に、図3Bに示されるように、現像ハウジング61が受熱板93及び冷却チューブ95から上方に離間する。その後、現像装置53を筐体3の開口を通して前方に引き出す。この際、現像ローラー67は感光体ドラム55から離間しているので、現像ローラー67によって感光体ドラム55が傷付くことが抑制されると共に、冷却チューブ95も現像ハウジング61から離間しているので、冷却つーぶ95が現像ハウジング61によって傷付くことが抑制される。
【0054】
上記説明したように、本発明によれば、冷却ユニット41によって底板73を主に冷却することで、現像装置53の温度上昇を効率的に抑制できる。さらに、現像装置53を取り外す際に、現像ローラー67を感光体ドラム55から離間させる動作によって、現像装置53を冷却ユニット41(冷却チューブ95)から離間させることもできる。これにより、現像装置53を、冷却ユニット41(冷却チューブ95)を傷付けずに支持フレーム7から取り外すことができる。
【0055】
また、冷却チューブ95は、底板73の表面に沿うように配置されているので、底板73の熱を効率的に冷却水に伝えることができる。また、冷却チューブ95は、溝101の固定片103の近傍では、溝101の開口101xから下方にやや沈んだ状態で固定片103に係止されるようになっているので、冷却チューブ95を溝101に収容しやすくなっている。
【0056】
また、現像ハウジング61の底部の形状は、トナー濃度センサー71の寸法や構成等によって変更される場合がある。この場合、冷却ユニット41の受熱板93の形状も変更される。この際、例えば、溝101の直線部101aに収容される冷却チューブ95の上面が、底板73よりも高くなることもある。このような場合、現像装置53の取り外し時に底板73と冷却チューブ95とが干渉する可能性がある。そこで、このような場合は、図10に示されるように、溝101の直線部101aに収容された冷却チューブ95を覆うカバー板111を備えることが好ましい。カバー板111は、例えば、ビス締結によって受熱板93に固定される。
【0057】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
7 支持フレーム
41 冷却ユニット
53 現像装置
55 感光体ドラム
61 現像ハウジング
67 現像ローラー
71 センサー
73 底板
75 凹部
81 離間機構
93 受熱板
95 冷却チューブ
101 溝
103 固定片
111 カバー板
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10