(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153261
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/74 20060101AFI20241022BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20241022BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01R13/74 J
H02G3/30
F16B2/08 Z
F16B2/08 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067041
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】前田 涼介
【テーマコード(参考)】
3J022
5G363
【Fターム(参考)】
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】組付性を向上することができるワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】電線3と、電線3の外周に配置されるコネクタ5と、電線3の外周にコネクタ5を固定する固定部材7とを備えたワイヤハーネス1において、固定部材7が、電線3の外周に固定される電線固定部25を有し、電線固定部25に、コネクタ5を一体に設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線の外周に配置されるコネクタと、
前記電線の外周に前記コネクタを固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、前記電線の外周に固定される電線固定部を有し、
前記電線固定部には、前記コネクタが一体に設けられているワイヤハーネス。
【請求項2】
前記電線固定部は、長さを調整可能に前記電線の外周に巻き付けられるバンドである請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記固定部材は、対象部材に取り付けられる対象固定部を有する請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、電線と、電線の外周に配置されるコネクタと、電線の外周にコネクタを固定する固定部材としての粘着テープとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。このワイヤハーネスでは、コネクタの上下壁面に、互いに係合可能な係合突起と係合凹部とをそれぞれ形成させている。このようなワイヤハーネスでは、係合突起と係合凹部とを係合させて2つのコネクタを重ね合わせ、電線の外周に、2つのコネクタを粘着テープで固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のようなワイヤハーネスでは、電線の外周に、コネクタを配置した後、電線の外周とコネクタの外面とに対して、粘着テープを巻き付けている。このため、電線の外周に対して、コネクタの配置位置が変動しないように、粘着テープを巻き付ける必要があり、組付性が低下していた。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、組付性を向上することができるワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るワイヤハーネスは、電線と、前記電線の外周に配置されるコネクタと、前記電線の外周に前記コネクタを固定する固定部材とを備え、前記固定部材は、前記電線の外周に固定される電線固定部を有し、前記電線固定部には、前記コネクタが一体に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、組付性を向上することができるワイヤハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るワイヤハーネスの斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るワイヤハーネスのコネクタが相手コネクタと嵌合したときの斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るワイヤハーネスのコネクタと固定部材の斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るワイヤハーネスの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係るワイヤハーネスについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、例えば、車両に搭載された電源と機器との間、或いは機器と機器との間など、電気部品の間を電気的に接続する。ワイヤハーネス1は、車両に対して、周辺部材との干渉を避けるように、所定の形状で配置される。
【0011】
図1~
図4に示すように、ワイヤハーネス1は、電線3と、コネクタ5と、固定部材7とを備えている。
【0012】
図1,
図2,
図4に示すように、電線3は、例えば、複数の電線を束ねた電線束からなり、幹線を構成する。電線3の両端部には、例えば、電気部品の電気接続部に対して嵌合可能なコネクタ(不図示)が電気的に接続されている。電線3を構成する幹線から分岐する複数(ここでは4本)の分岐線(不図示)の端末部には、相手コネクタ9が設けられている。
【0013】
図2に示すように、相手コネクタ9は、相手端子(不図示)と、相手ハウジング11とを備えている。
【0014】
相手端子は、例えば、箱状の相手接続部を有する雌型端子からなる。相手端子は、複数の分岐線に対応して、複数(ここでは4つ)用いられ、それぞれ分岐線の端末部に、分岐線と電気的に接続されている。
【0015】
相手ハウジング11は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。相手ハウジング11は、内部に複数の相手端子を収容可能な端子収容室13が複数(ここでは4つ)設けられている。端子収容室13の内部には、弾性変形可能な係止ランス(不図示)が設けられている。係止ランスは、端子収容室13に収容された相手端子と係合し、相手端子を端子収容室13に保持する。相手ハウジング11の外面には、外方に向けて突出された被ロック部15が複数(ここでは2つ)設けられている。
【0016】
相手コネクタ9は、相手ハウジング11がコネクタ5と嵌合することにより、コネクタ5を介して複数の相手端子が電気的に接続され、複数の分岐線が電気的に接続される。
【0017】
図1~
図3に示すように、コネクタ5は、バスバ17と、ハウジング19とを備えている。
【0018】
バスバ17は、例えば、相手端子の相手接続部に挿入可能なタブ状の接続部21を複数(ここでは4つ)有している。バスバ17は、接続部21が相手接続部に挿入されて相手接続部に接触することにより、複数の相手端子を電気的に接続する。
【0019】
ハウジング19は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。ハウジング19は、相手ハウジング11と嵌合可能に設けられ、相手ハウジング11側に向けて接続部21が露出するように、バスバ17が圧入などによって固定されている。なお、ハウジング19は、接続部21を外部に露出させるように、バスバ17をインサート成形して設けられてもよい。ハウジング19の外面には、相手ハウジング11の被ロック部15に対応して、被ロック部15に係合可能で弾性変形可能なロック部23が設けられている。被ロック部15とロック部23との係合により、相手ハウジング11とハウジング19との嵌合状態が保持される。
【0020】
コネクタ5は、相手コネクタ9と嵌合する前の状態において、固定部材7を介して電線3の外周に配置される。
【0021】
図1~
図4に示すように、固定部材7は、電線固定部25と、対象固定部27とを備えている。
【0022】
電線固定部25は、電線3の外周に巻き付けて固定されるバンドとなっている。電線固定部25は、電線3の周方向の長さより長い長さを有する。電線固定部25には、電線3の外周に巻き付けたときに、枠状の調節部29を挿通した状態で、調節部29に固定される複数の調節係合部31が設けられている。電線固定部25は、調節係合部31を調節部29に固定することにより、電線3の外周に対して、長さを調整可能に巻き付けて固定される。このため、電線3の径が異なる様々な種類の電線3に対して、電線固定部25を巻き付けて固定することができる。なお、電線固定部25は、調節部29から張り出す余長部分が、治具などによって切断される。
【0023】
電線固定部25には、例えば、接着、溶着などによって、コネクタ5が一体に設けられている。電線固定部25とコネクタ5とを一体にすることにより、電線固定部25を電線3の外周に固定することによって、コネクタ5を電線3の外周に配置することができる。このため、電線3の外周に対して、コネクタ5の配置位置が変動しないように保持する作業を必要とすることがなく、組付性を向上することができる。
【0024】
対象固定部27は、電線固定部25と一体に設けられ、固定突起33と、一対の弾性片35,35とを備えている。
【0025】
固定突起33は、電線固定部25側から外方に向けて突出され、先端側から電線固定部25側に向けて弾性変形可能に延出された一対の弾性変形部37,37を有する。固定突起33は、固定部材7が取り付けられる対象部材としての、例えば、車両のパネル、ワイヤハーネス1を製造するときの作業治具などに設けられた孔部(不図示)に挿入される。孔部に挿入された固定突起33は、一対の弾性変形部37,37が孔部の開口周縁に係合し、固定部材7が対象部材に固定される。
【0026】
一対の弾性片35,35は、それぞれ電線固定部25側から外方の固定突起33の先端側に向けて延出されている。一対の弾性片35,35は、電線固定部25側を基端とし、延出方向の先端を自由端とするように、弾性変形可能に設けられている。一対の弾性片35,35は、固定突起33が孔部に挿入された状態で、自由端が対象部材を弾性変形からの復元力によって付勢する。一対の弾性片35,35の対象部材への付勢により、対象部材に対する固定部材7の固定を安定化することができる。
【0027】
ここで、ワイヤハーネス1は、対象部材に対して、複数の固定部材7を介して取り付けられ、固定部材7が位置する部分が固定点となる。
図4に示すように、隣り合う固定部材7,7(固定点)の間に位置する電線3は、車両における走行時、製造における搬送時などの振動によって、振れることがある。なお、
図4に示す仮想線は、電線3が最大に振れたときの電線3の軌跡39を示している。電線3に振れが発生する位置にコネクタ5を配置してしまうと、コネクタ5が移動して、周辺部材と干渉する可能性がある。
【0028】
そこで、コネクタ5が一体に設けられた固定部材7に対象固定部27を設けることにより、ワイヤハーネス1が対象部材に取り付けられた状態で、コネクタ5を対象部材の固定点に配置することができる。このため、電線3に振れが発生しても、コネクタ5が移動することがなく、コネクタ5と周辺部材との干渉を防止することができる。
【0029】
このようなワイヤハーネス1では、電線3と、電線3の外周に配置されるコネクタ5と、電線3の外周にコネクタ5を固定する固定部材7とを備えている。また、固定部材7は、電線3の外周に固定される電線固定部25を有する。そして、電線固定部25には、コネクタ5が一体に設けられている。
【0030】
電線固定部25には、コネクタ5が一体に設けられているので、電線固定部25を電線3の外周に固定することによって、コネクタ5を電線3の外周に配置することができる。このため、電線3の外周に対して、コネクタ5の配置位置が変動しないように保持する作業を必要とすることがない。
【0031】
従って、このようなワイヤハーネス1では、組付性を向上することができる。
【0032】
また、電線固定部25は、長さを調整可能に電線3の外周に巻き付けられるバンドである。
【0033】
このため、電線3の径が異なる様々な種類の電線3に対して、電線固定部25を巻き付けて固定することができる。
【0034】
また、固定部材7は、対象部材に取り付けられる対象固定部27を有する。
【0035】
対象固定部27を介してワイヤハーネス1を対象部材に取り付けた状態では、振動などによって電線3に振れが発生することのない固定点にコネクタ5を配置することができる。このため、電線3に振れが発生しても、コネクタ5が移動することがなく、コネクタ5と周辺部材との干渉を防止することができる。
【0036】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0037】
例えば、本実施形態に係るワイヤハーネスでは、電線固定部が、バンドとなっているが、これに限るものではない。例えば、電線固定部は、電線の外周に嵌合可能なクランプ、電線の外周を挟み込むクリップなど、電線の外周に固定することができるものであれば、電線固定部はどのような形態であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 ワイヤハーネス
3 電線
5 コネクタ
7 固定部材
25 電線固定部
27 対象固定部