(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153277
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20241022BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067066
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 栄輝
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 和也
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC29
5E021HC09
5E021JA05
5E021KA06
5E021KA15
(57)【要約】
【課題】検知部材とハウジングとの係合解除の作業性を向上することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、相手ハウジング103と嵌合可能なハウジング3と、ハウジング3に移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより相手ハウジング103とハウジング3との嵌合状態を検出する検知部材7とを備える。ハウジング3は、被規制部23を有する。検知部材7は、弾性変形可能な検知ロックアーム37と、検知ロックアーム37に設けられ、検知部材7の本係止位置において、被規制部23と係合し、検知部材の仮係止位置への移動を規制する規制部53とを有する。検知部材7は、検知ロックアーム37を弾性変形させる操作部48を有し、操作部48の正面部49には、操作部48の基端側から先端側に向かうに従いハウジング3の嵌合方向に傾斜する斜面部50が設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手ハウジングと嵌合可能なハウジングと、
前記ハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合状態を検出する検知部材と、を備え、
前記ハウジングは、被規制部を有し、
前記検知部材は、
弾性変形可能な検知ロックアームと、
前記検知ロックアームに設けられ、前記検知部材の本係止位置において、前記被規制部と係合し、前記検知部材の仮係止位置への移動を規制する規制部と、
前記検知部材の本係止位置において前記ハウジングの一部と対向する正面部を有し、前記検知ロックアームを弾性変形させる操作部と、を有し、
前記検知ロックアームは、前記検知部材の本係止位置において弾性変形されて、前記被規制部と前記規制部との係合が解除され、
前記操作部の前記正面部には、前記操作部の基端側から先端側に向かうに従い前記ハウジングの嵌合方向に傾斜する斜面部が設けられている、
コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、
弾性変形可能なロックアームと、
前記ロックアームに設けられ、前記相手ハウジングの被ロック部と係合し、前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合状態を保持するロック部と、
前記ロックアームを弾性変形させる解除操作部と、を有し、
前記検知部材は、前記検知ロックアームに設けられ、前記検知部材の仮係止位置において、前記ロック部と係合して前記検知部材の本係止位置への移動を規制する係止部を有し、
前記検知ロックアームは、前記被ロック部と前記ロック部とが係合した状態において、弾性変形されて前記ロック部と前記係止部との係合が解除され、
前記操作部の前記正面部は、前記検知部材の本係止位置において前記解除操作部の背面部と対向するように配置される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記規制部は、前記検知ロックアームにおいて、前記係止部と異なる位置に配置される、請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、相手ハウジングとしてのアウターハウジングと嵌合可能なハウジングとしてのインナーハウジングを備えている。また、インナーハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することによりアウターハウジングとインナーハウジングとの嵌合状態を検出する検知部材としてのスライド部材を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタでは、アウターハウジングとインナーハウジングとが嵌合している場合、検知部材を仮係止位置から本係止位置に移動させることができ、アウターハウジングとインナーハウジングとが嵌合していることを検出することができる。
【0004】
一方、アウターハウジングとインナーハウジングとが嵌合していない半嵌合状態等である場合には、検知部材を仮係止位置から本係止位置に移動させることができず、アウターハウジングとインナーハウジングとが嵌合していないことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のようなコネクタでは、検知部材を本係止位置から仮係止位置に移動させる作業を行う際には、先ず検知部材とハウジングとの係合を解除する必要がある。この際、検知部材の検知ロックアーム(メインアーム)を下方に向けて弾性変形させながら検知部材(スライド部材基部)を離脱方向に引っ張るという、2方向の力を同時に加える必要があり、検知部材とハウジングとの係合解除の作業性に関して改善の余地がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、検知部材とハウジングとの係合解除の作業性を向上することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係るコネクタは、相手ハウジングと嵌合可能なハウジングと、前記ハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合状態を検出する検知部材と、を備え、前記ハウジングは、被規制部を有し、前記検知部材は、弾性変形可能な検知ロックアームと、前記検知ロックアームに設けられ、前記検知部材の本係止位置において、前記被規制部と係合し、前記検知部材の仮係止位置への移動を規制する規制部と、前記検知部材の本係止位置において前記ハウジングの一部と対向する正面部を有し、前記検知ロックアームを弾性変形させる操作部と、を有し、前記検知ロックアームは、前記検知部材の本係止位置において弾性変形されて、前記被規制部と前記規制部との係合が解除され、前記操作部の前記正面部には、前記操作部の基端側から先端側に向かうに従い前記ハウジングの嵌合方向に傾斜する斜面部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検知部材とハウジングとの係合解除の作業性を向上することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るコネクタの検知部材の仮係止位置における斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置における斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置における背面図である。
【
図6】本実施形態に係るコネクタの検知部材の側面図である。
【
図7】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置において、操作部の斜面部が解除操作部の背面部に接触したときの
図3のA-A線断面に相当する断面図である。
【
図9】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置において、操作部の斜面部が解除操作部の背面部に接触したときの
図3のB-B線断面に相当する断面図である。
【
図10】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置において、操作部をさらに下方に押圧したときの
図3のA-A線断面に相当する断面図である。
【
図11】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置において、操作部をさらに下方に押圧したときの
図3のB-B線断面に相当する断面図である。
【
図12】本実施形態に係るコネクタにおいて、検知部材の本係止を解除したときの
図3のA-A線断面に相当する断面図である。
【
図13】本実施形態に係るコネクタにおいて、検知部材の本係止を解除したときの
図3のB-B線断面に相当する断面図である。
【
図14】本実施形態に係るコネクタの検知部材の仮係止位置における、
図3のA-A線断面に相当する断面図である。
【
図15】本実施形態に係るコネクタの検知部材の仮係止位置における、
図3のB-B線断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
図1~
図2に示すように、本実施形態に係るコネクタ1は、例えば、車両に搭載された電源及び機器等の一方の電気部品に電気的に接続される。
図3~
図5に示すように、コネクタ1は、他方の電気部品に電気的に接続された相手コネクタ101と嵌合可能となっている。コネクタ1は、相手コネクタ101と嵌合することにより、電気部品の間を電気的に接続する。
【0013】
図3~
図5に示すように、相手コネクタ101は、相手ハウジング103と、相手端子(不図示)とを備えている。
【0014】
相手ハウジング103は、例えば、合成樹脂等の絶縁性材料から構成される。相手ハウジング103は、内部にハウジング3が嵌合可能な筐体状に形成されている。相手ハウジング103は、一側が、例えば、電気部品(不図示)が内部に収容された筐体105と連続する一部材で形成され、ハウジング3との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出され、他側が開口されている。相手ハウジング103の開口側には、内部に向けて被ロック部107が突出して設けられている。
【0015】
相手端子は、導電性材料から構成され、例えば、棒状に形成された相手接続部を有する雄型端子から構成される。相手端子は、筐体105内の電気部品と電気的に接続され、例えば、筐体105の壁部に圧入等によって固定され、相手接続部が、相手ハウジング103の内部に配置される。
【0016】
図1~
図6に示すように、コネクタ1は、ハウジング3と、端子(不図示)と、検知部材7とを備えている。
【0017】
図1~
図5に示すように、ハウジング3は、例えば、合成樹脂等の絶縁性材料から構成される。ハウジング3は、相手ハウジング103の内部に嵌合可能な筐体状に形成されている。ハウジング3は、端子収容部9と、検知部材収容部11と、ロックアーム13とを備えている。
【0018】
端子収容部9は、ハウジング3の高さ方向の下方に配置され、相手ハウジング103との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出されている。端子収容部9の内部は、ハウジング3の幅方向に沿って複数列に区画されている。端子収容部9の内部には、端子がそれぞれ収容される。端子収容部9の長さ方向の両側は、それぞれ開口されている。端子収容部9の一側の開口には、ハウジング3と相手ハウジング103とが嵌合した状態で、相手端子の相手接続部が挿入される。端子収容部9の他側の開口には、端子が内部に向けて挿入される。端子収容部9の内部の下方には、ハウジング3の高さ方向に弾性変形可能な係止ランス15が設けられている。係止ランス15は、端子と係合し、端子収容部9からの端子の抜け止めを行い、端子を端子収容部9に保持する。
【0019】
検知部材収容部11は、ハウジング3の高さ方向の上方に配置されている。検知部材収容部11は、端子収容部9から上方に向けて突出され、相手ハウジング103との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出された一対のガイドリブ17,17を有する。一対のガイドリブ17,17は、検知部材7の移動における幅方向の変動を抑制し、検知部材7の移動を安定化する。一対のガイドリブ17,17の上部には、一対のガイドリブ17,17に向けて突出された上部ガイドリブ21がそれぞれ設けられている。上部ガイドリブ21は、相手ハウジング103との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出されている。上部ガイドリブ21は、検知部材7の移動における高さ方向の変動を抑制し、検知部材7の移動を安定化する。
【0020】
ロックアーム13は、ハウジング3の高さ方向の上方に配置され、一対のガイドリブ17,17の間に配置されている。ロックアーム13は、相手ハウジング103との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出され、ハウジング3の幅方向に離間して複数(図示例では2つ)配置されている。ロックアーム13は、相手ハウジング103との嵌合方向前側及び嵌合方向後側を検知部材収容部11及び一対のガイドリブ17,17と連続する一部材で形成された基端とし、中間部分をハウジング3の高さ方向に弾性変形可能に配置された弾性変形部分とする。このロックアーム13の中間部分には、下方に向けて突出された被規制部23が設けられている。被規制部23は、検知部材7の移動方向に対して、傾斜している。ロックアーム13と端子収容部9との間は、検知部材7が挿入可能な高さに設定され、検知部材収容部11を構成している。ロックアーム13の弾性変形部分には、複数のロックアーム13を連動可能に連結するロック部25が設けられている。
【0021】
ロックアーム13は、ハウジング3が相手ハウジング103内に挿入されると、ロック部25と被ロック部107とが当接し、ロック部25が被ロック部107を乗り越えるように摺動する。ロック部25と被ロック部107との摺動により、複数のロックアーム13がロック部25を介してハウジング3の下方に向けて弾性変形される。ハウジング3が相手ハウジング103内の正規位置に収容されると、ロック部25が被ロック部107を乗り越える。このとき、複数のロックアーム13は、ロック部25を介してハウジング3の上方に向けて復元され、ロック部25と被ロック部107とが係合される。
【0022】
ロック部25と被ロック部107との係合により、ハウジング3と相手ハウジング103との嵌合状態が保持される。また、ロックアーム13の弾性変形部分には、押圧により複数のロックアーム13を下方に向けて弾性変形させるハウジング指押し部(解除操作部27)が設けられている。解除操作部27を下方に向けて押圧することにより、複数のロックアーム13が下方に向けて弾性変形され、ロック部25と被ロック部107との係合が解除される。ロック部25と被ロック部107との係合解除により、ハウジング3と相手ハウジング103との嵌合を解除することができる。
【0023】
図示はしないが、端子は、導電性材料から構成され、箱状に形成された接続部を有する雌型端子から構成される。端子は、例えば、電気部品に電気的に接続された電線31(
図1及び
図2参照)の端末部に、接続部と連続する一部材で形成された電線接続部が、圧着等によって電気的に接続される。端子は、端子収容部9の他側の開口から端子収容部9に挿入され、端子収容部9に収容される。端子収容部9に収容された端子は、接続部に係止ランス15が係合されて端子収容部9に保持され、端子収容部9の他側の開口から電線31がハウジング3の外部に引き出される。端子は、ハウジング3と相手ハウジング103とが嵌合すると、端子収容部9の一側の開口から内部に挿入された相手端子の相手接続部が接続部の内部に挿入され、相手端子と電気的に接続される。
【0024】
図1~
図6に示すように、検知部材7は、合成樹脂等の絶縁性材料から構成される。検知部材7は、ハウジング3に対して、ハウジング3と相手ハウジング103の嵌合方向及び離脱方向に沿って、仮係止位置(
図1、
図14及び
図15参照)と本係止位置(
図2、
図4及び
図5参照)との間を移動可能に組付けられる。また、検知部材7は、CPA(Connector Position Assurance)とも称される。検知部材7は、本体35と、検知ロックアーム37とを備えている。
【0025】
本体35は、検知部材7の移動方向に沿って延出された一対の側部39,39と、一対の側部39,39の一端側で一対の側部39,39を連結するように一対の側部39,39と連続する一部材で形成された連結部41とを有する。また、本体35は、一対の側部39,39の他端側で一対の側部39,39を連結するように一対の側部39,39と連続する一部材で形成された第二連結部42を有してもよい。一対の側部39,39、連結部41及び第二連結部42は、ハウジング3の検知部材収容部11内に収容可能に配置される。本体35は、ハウジング3の検知部材収容部11において、検知部材7の仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に配置される。
【0026】
本体35の連結部41には、移動操作部47が設けられている。移動操作部47は、ハウジング3の検知部材収容部11から露出して配置されている。移動操作部47は、検知部材7の移動方向に向けて押圧されることにより、検知部材7を移動操作する。
【0027】
検知ロックアーム37は、本体35と連続する一部材で形成され、一対の側部39,39の間に、一対の側部39,39と離間して配置されている。検知ロックアーム37は、検知部材7の移動方向に沿って延出されている。検知ロックアーム37は、連続する一部材で形成された連結部41側を基端とし、延出方向の先端側(第二連結部42側)を自由端とするように、ハウジング3の高さ方向に弾性変形可能に設けられている。検知ロックアーム37の基端側には、指押し部(操作部48)が上方に向けて突出して形成されている。操作部48は、複数のロックアーム13の間を移動可能に配置され、ハウジング3の検知部材収容部11から露出して配置される。操作部48は、下方に向けて押圧することにより、検知ロックアーム37の自由端側を下方に向けて弾性変形させる。このため、操作部48の押圧操作により、検知ロックアーム37を直接的に弾性変形させることができる。
【0028】
また、操作部48は、検知部材7の本係止位置において解除操作部27の背面部28と対向する正面部49を有しており、この操作部48の正面部49には、解除操作部27の背面部28へ向けて傾斜する斜面部50が設けられている。すなわち、操作部48の斜面部50は、操作部48の基端側(下端側)から先端側(上端側)に向かうに従いハウジング3の嵌合方向(検知部材7の移動方向)に傾斜している。この斜面部50の傾斜角度θは、例えば10度である(
図6参照)。また、検知部材7の本係止位置において、解除操作部27の背面部28と操作部48の正面部49との間の隙間は僅かにあってもよく、解除操作部27の背面部28と操作部48の正面部49とが当接していてもよい。
【0029】
検知ロックアーム37の自由端側には、係止部51と、規制部53と、が設けられている。
【0030】
係止部51は、検知ロックアーム37の自由端に、検知ロックアーム37と連続する一部材で上方に向けて突出して形成されている。係止部51は、検知部材7の仮係止位置で、且つ、ロック部25と被ロック部107とが係合していない状態において、ロックアーム13のロック部25に当接される。係止部51とロック部25との当接により、検知部材7の仮係止位置から本係止位置への移動が規制される。係止部51は、ハウジング3と相手ハウジング103との嵌合において、ロック部25と被ロック部107とが係合していない状態では、ロック部25との当接が保持される。このため、検知部材7は、仮係止位置から本係止位置に移動することができず、ハウジング3と相手ハウジング103とが嵌合していないことを検知することができる。
【0031】
係止部51は、
図14に示すように、ハウジング3と相手ハウジング103とが正規に嵌合し、ロック部25と被ロック部107とが係合すると、被ロック部107に乗り上げ、検知ロックアーム37を下方に向けて弾性変形させる。このため、検知部材7は、
図4に示すように、仮係止位置から本係止位置に移動することができ、ハウジング3と相手ハウジング103とが正規に嵌合したことを検知することができる。検知部材7の本係止位置では、検知ロックアーム37が上方に向けて復元し、係止部51が、ロック部25に対して、検知部材7の仮係止位置への移動方向に係合可能に対向して配置され、検知部材7の本係止位置が保持される。
【0032】
ところで、ハウジング3と相手ハウジング103との嵌合を解除する場合には、検知部材7を本係止位置から仮係止位置へ移動させる必要がある。従来の一般的なコネクタでは、検知部材7の本係止位置の保持が、係止部51とロック部25との係合のみで行われていた。従来の一般的なコネクタでは、検知部材7を本係止位置から仮係止位置へ移動させることにより、係止部51がロック部25と摺動し、検知ロックアーム37が下方に向けて弾性変形することによって、係止部51とロック部25との係合が解除されていた。このため、従来の一般的なコネクタでは、検知部材7に強い外力が加わると、検知部材7が本係止位置から仮係止位置へ移動してしまうことがあった。仮係止位置に移動した検知部材7は、ハウジング3の仮係止位置側(離脱方向側)の端縁から突出した状態となっている。ハウジング3から突出された検知部材7に外力が加わると、検知部材7が破損してしまう可能性があった。そこで、検知部材7には、検知部材7の本係止位置から仮係止位置への移動を規制する規制部53が設けられている。
【0033】
規制部53は、検知ロックアーム37の自由端に、検知ロックアーム37と連続する一部材で側方に向けて突出して一対形成されている。規制部53は、検知部材7の本係止位置において、ハウジング3の被規制部23に対して、検知部材7の仮係止位置への移動方向に係合可能に対向して配置される。規制部53は、検知部材7が、本係止位置から仮係止位置へ移動しようとすると、被規制部23に係合される。このため、検知部材7に強い外力が加わっても、検知部材7が本係止位置から仮係止位置へ移動することがない。したがって、検知部材7を本係止位置に安定して保持することができる。このため、検知部材7は、本係止位置において、従来の一般的なコネクタのように、ハウジング3の仮係止位置側(離脱方向側)の端縁から突出することはない。
【0034】
ところで、被規制部23は、検知部材7の移動方向に傾斜しており、規制部53に対して、検知ロックアーム37の弾性変形方向に対向して配置されている。このため、規制部53と被規制部23とが係合した状態では、検知ロックアーム37が弾性変形することがなく、規制部53と被規制部23との係合が解除されることがない。規制部53と被規制部23との係合は、操作部48を下方に向けて押圧し、検知ロックアーム37を下方に向けて弾性変形させることによって、解除することができる。
【0035】
加えて、規制部53は、検知ロックアーム37の自由端において、係止部51と異なる位置に配置されている。検知ロックアーム37において、係止部51と規制部53とを同じ位置に配置してしまうと、同一位置で係止部51と規制部53との設計を行う必要があり、コネクタ1が大型化してしまう。このため、検知ロックアーム37において、係止部51と規制部53とを異なる位置に配置することにより、異なる位置で係止部51と規制部53との設計を独立して行うことができ、コネクタ1の大型化を抑制することが可能である。
【0036】
規制部53は、
図15に示すように、検知部材7の仮係止位置において、被ロック部107に係止部51が乗り上げ(
図14参照)、検知ロックアーム37が下方に弾性変形した状態で、被規制部23の下方に配置される。このため、検知部材7は、仮係止位置から本係止位置に移動することができる。規制部53は、
図5に示すように、検知部材7の本係止位置において、検知ロックアーム37の上方に向けた復元により、被規制部23に対して、検知部材7の仮係止位置への移動方向に係合可能に対向して配置される。このため、規制部53が被規制部23に係合することにより、外力等によって、検知部材7が仮係止位置へ移動することがなく、検知部材7を本係止位置に安定して保持することができる。規制部53は、
図10に示すように、検知部材7の本係止位置において、操作部48(
図11参照)を下方に向けて押圧し、検知ロックアーム37を下方に向けて弾性変形させることにより、被規制部23との係合を解除することができる。このため、操作部48による検知ロックアーム37の弾性変形操作により、検知部材7を本係止位置から仮係止位置へ容易に移動することができる。
【0037】
相手ハウジング103とハウジング3との嵌合を解除する嵌合離脱作業を行う際は、先ず、検知部材7を本係止位置から仮係止位置に移動させる。
図4及び
図5に示す検知部材7の本係止位置において、検知部材7の操作部48を下方に向けて押圧すると、検知ロックアーム37が下方に向けて弾性変形する。その際、
図7~
図9に示すように、検知ロックアーム37の弾性変形に伴い、操作部48が解除操作部27側へ傾き、操作部48の斜面部50(正面部49)が解除操作部27の背面部28と当接する。その状態から、
図10及び
図11に示すように、操作部48をさらに下方に向けて押圧すると、検知ロックアーム37がさらに下方に向けて弾性変形して、操作部48が斜面部50に沿ってハウジング3の仮係止位置側(離脱方向側)へ押される。すると、
図12及び
図13に示すように、検知部材7がハウジング3の仮係止位置側(離脱方向側)へ移動して、被規制部23と規制部53との係合が解除され、係止部51がロック部25に乗り上げた状態となる。そして、その状態から、移動操作部47をハウジング3の仮係止位置側(離脱方向側)へ引っ張って、検知部材7をハウジング3の仮係止位置側(離脱方向側)へさらに移動させて、検知部材7を、
図14及び
図15に示す仮係止位置へと移動させる。
【0038】
このように、コネクタ1は、相手ハウジング103と嵌合可能なハウジング3と、ハウジング3に移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより相手ハウジング103とハウジング3との嵌合状態を検出する検知部材7とを備える。ハウジング3は、被規制部23を有する。検知部材7は、弾性変形可能な検知ロックアーム37と、検知ロックアーム37に設けられ、検知部材7の本係止位置において、被規制部23と係合し、検知部材7の仮係止位置への移動を規制する規制部53とを有する。検知部材7は、検知部材7の本係止位置においてハウジング3の一部と対向する正面部49を有し、検知ロックアーム37を弾性変形させる操作部48を有する。検知ロックアーム37は、検知部材7の本係止位置において弾性変形されて、被規制部23と規制部53との係合が解除される。操作部48の正面部49には、操作部48の基端側から先端側に向かうに従いハウジング3の嵌合方向に傾斜する斜面部50が設けられている。
【0039】
コネクタ1では、検知部材7を本係止位置から仮係止位置に移動させる作業を行う際には、先ず検知部材7とハウジング3との係合を解除する必要がある。この際、検知部材7に設けられた指押し部(操作部48)を下方に向けて押圧しながら検知部材7を離脱方向に引っ張る、という2方向の力を同時に検知部材7に加える必要はない。斜面部50の形成によって、指押し部(操作部48)を下方に向けて押圧する作業のみで、検知部材7とハウジング3との係合解除が可能である。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、検知部材7とハウジング3との係合解除の作業性を向上することができるコネクタ1を提供することができる。
【0041】
また、検知部材7の本係止位置において、検知部材7に外力などが加わっても、規制部53と被規制部23との係合により、検知部材7が、本係止位置から仮係止位置へ移動することがない。このため、検知部材7を本係止位置に安定して保持することができる。
【0042】
また、コネクタ1では、ハウジング3は、弾性変形可能なロックアーム13と、ロックアーム13に設けられ、相手ハウジング103の被ロック部107と係合し、相手ハウジング103とハウジング3との嵌合状態を保持するロック部25とを有する。ハウジング3は、ロックアーム13を弾性変形させる解除操作部27を有する。検知部材7は、検知ロックアーム37に設けられ、検知部材7の仮係止位置において、ロック部25と係合して検知部材7の本係止位置への移動を規制する係止部51を有する。検知ロックアーム37は、被ロック部107とロック部25とが係合した状態において、弾性変形されてロック部25と係止部51との係合が解除される。操作部48の正面部49は、検知部材7の本係止位置において解除操作部27の背面部28と対向するように配置される。
【0043】
規制部53は、相手ハウジング103とハウジング3との嵌合状態を保持する相手ハウジング103の被ロック部107とハウジング3のロック部25とが係合した状態で、弾性変形する検知ロックアーム37に設けられている。そして、規制部53は、検知部材7の本係止位置において、検知ロックアーム37の弾性変形からの復元により、被規制部23に対して、係合可能に配置される。このため、検知部材7を仮係止位置から本係止位置に移動するだけで、被規制部23に対して、規制部53を係合可能に配置することができる。
【0044】
さらに、コネクタ1では、規制部53は、検知ロックアーム37において、係止部51と異なる位置に配置される。
【0045】
このため、検知ロックアーム37の異なる位置で係止部51と規制部53との設計を独立して行うことができ、コネクタ1の大型化を抑制することができる。
【0046】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0047】
例えば、ロックアームは、ハウジングに2つ設けられているが、これに限らず、ロックアームを1つ、或いは3つ以上としてもよい。また、検知ロックアームは、検知部材に1つ設けられているが、これに限らず、検知ロックアームを2つ以上としてもよい。検知ロックアームを複数設ける場合には、複数の検知ロックアームが連動するように、複数の検知ロックアームを連結すればよい。
【0048】
また、検知部材の移動方向は、ハウジングと相手ハウジングとの嵌合方向及び離脱方向と同一方向となっているが、これに限るものではない。例えば、検知部材の移動方向を、ハウジングと相手ハウジングとの嵌合方向及び離脱方向と直交する方向にしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 コネクタ
3 ハウジング
7 検知部材
13 ロックアーム
23 被規制部
25 ロック部
27 解除操作部
28 背面部
37 検知ロックアーム
48 操作部
49 正面部
50 斜面部
51 係止部
53 規制部
103 相手ハウジング
107 被ロック部