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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153293
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/06 20060101AFI20241022BHJP
   B65D 51/16 20060101ALI20241022BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B65D43/06 200
B65D51/16 300
B65D81/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067094
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB08
3E067AB09
3E067AB99
3E067BA02A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB17A
3E067BC02A
3E067BC07A
3E067CA17
3E067EA17
3E067EB17
3E067EB27
3E067FC01
3E067GA01
3E067GB01
3E067GB07
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084DA03
3E084DB09
3E084DB13
3E084DB18
3E084DC03
3E084FC07
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB17
3E084KA04
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】内外嵌合構造を備えた包装用容器において、嵌合部付近に容器内外に通じる通気路を設けながらも転倒したとしても容器内の水分が漏出しにくくした包装用容器を提供する。
【解決手段】包装用容器は、蓋体3に、下方に向かい突出する嵌合凸部34を設け、容器本体2に、下方に凹み、嵌合凸部34を内外嵌合させる嵌合凹部24を設け、嵌合凹部24の一部又は全部を、下方に延長させて形成した貯留部25を備え、嵌合凸部34は、蓋体内側に位置する内側壁面35と、蓋体外側に位置する外側壁面36と、底面39とを備え、嵌合凹部24は、嵌合凸部34を嵌合したとき、内側壁面35と接する内側嵌合面27と、外側壁面36と接する外側嵌合面28とを備え、内側壁面35、内側嵌合面27のいずれか一方に、上下方向に延びる凹溝状の内側通気路部37を設け、外側壁面36、外側嵌合面28のいずれか一方に、上下方向に延びる凹溝状の外側通気路部38を設けたことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、当該容器本体に被せる蓋体とを備えた包装用容器であって、
当該蓋体に、下方に向かい突出する嵌合凸部を設け、
前記容器本体に、下方に凹み、当該嵌合凸部を内外嵌合させる嵌合凹部を設け、
前記嵌合凹部の一部又は全部を、下方に延長させて形成した貯留部を備え、
前記嵌合凸部は、蓋体内側に位置する内側壁面と、蓋体外側に位置する外側壁面と、前記内側壁面と前記外側壁面とを連結する底面とを備え、
前記嵌合凹部は、前記嵌合凸部を嵌合したとき、前記内側壁面と接する内側嵌合面と、前記外側壁面と接する外側嵌合面とを備え、
前記内側壁面、前記内側嵌合面のいずれか一方に、上下方向に延びる凹溝状の内側通気路部を設け、
前記外側壁面、前記外側嵌合面のいずれか一方に、上下方向に延びる凹溝状の外側通気路部を設けた、
包装用容器。
【請求項2】
前記嵌合凹部よりも容器本体内側に、下方に向かい突出する脚部を備えた請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記脚部の下端部が、前記貯留部の下端部よりも下方に突き出した請求項2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記嵌合凸部を前記蓋体のフランジ部に形成し、前記内側壁面及び前記外側壁面の先端部付近に、膨らみ形状の嵌合留め部を設け、前記嵌合凹部を前記容器本体のフランジ部に形成し、前記内側嵌合面及び前記外側嵌合面に当該嵌合留め部を係止する嵌合受部を設けた請求項1又は3に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記蓋体を前記容器本体に嵌め合わせたとき、前記貯留部の上方に、前記内側通気路部及び前記外側通気路部が配される請求項1又は3に記載の包装用容器。
【請求項6】
前記内側通気路部と前記外側通気路部とが、蓋体の周方向にずれた位置に配した請求項1又は3に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の空気や蒸気を排出できるとともに、容器内の水分などの漏出を防ぐことができる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
薄肉樹脂シート製容器が普及しており、例えば、小売店においては弁当や総菜などの食料品を包装するのに用いられ、また、飲食店ではテイクアウト用として用いられている。
このような容器において、蓋体を容器本体に嵌合して開口部を覆うようにした嵌合構造を備えてあるものが多い。なかでも、内外嵌合構造は、強固に嵌め合わせることができ、密閉性に優れているものである。
【0003】
内外嵌合構造を備えた容器としては、例えば、下記特許文献1には、『容器本体と蓋とを嵌合する包装用容器の内外嵌合構造において、容器本体、蓋のいずれか一方に設けた嵌合凸部と、容器本体、蓋のいずれか他方に設けた、嵌合凸部に嵌め合せ可能な嵌合凹部とを備え、嵌合凸部は、断面において、基端部側に逆テーパ状の下部傾斜面と、先端部側にテーパ状の上部傾斜面と、を備え、嵌合凸部の容器内側に位置する上部傾斜面の長さを、嵌合凸部の容器外側に位置する上部傾斜面の長さよりも長くしたことを特徴とする包装用容器の内外嵌合構造』が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-137124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内外嵌合構造は、蓋を閉じる際に、密閉性がよいため容器内部の空気が抜けきらず、蓋体の天面部が膨らんでしまうことがあった。そこで、上記特許文献1に記載の容器の内外嵌合構造は、嵌合凸部の容器内外における形状を相違させ、容器内部の空気を抜けやすくしたものである。
【0006】
また、電子レンジで加温した場合に蒸気を排出するために、嵌合部付近に容器内外に通じる凹溝部を設けた容器も見受けられる。このような容器は、内部の空気を確実に抜くことができ、嵌合時の蓋体の天面部の膨らみを防止する他、電子レンジの加温により発生する蒸気などを放出することができるなどの利点がある。
しかし、容器の嵌合部に凹溝部を設けてあるため、容器内部が外部に対して常時開放され、容器が揺れたり倒れたりした際に凹溝部から容器内部の水分や油分などが漏出してしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、強固に嵌め合わせることができる内外嵌合構造を備えた包装用容器において、嵌合部付近に容器内外に通じる通気路を設けながらも転倒したとしても容器内の水分などが漏出しにくくした包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態の包装用容器は、容器本体と、当該容器本体に被せる蓋体とを備えた包装用容器であって、当該蓋体に、下方に向かい突出する嵌合凸部を設け、前記容器本体に、下方に凹み、当該嵌合凸部を内外嵌合させる嵌合凹部を設け、前記嵌合凹部の一部又は全部を、下方に延長させて形成した貯留部を備え、前記嵌合凸部は、蓋体内側に位置する内側壁面と、蓋体外側に位置する外側壁面と、前記内側壁面と前記外側壁面とを連結する底面とを備え、前記嵌合凹部は、前記嵌合凸部を嵌合したとき、前記内側壁面と接する内側嵌合面と、前記外側壁面と接する外側嵌合面とを備え、前記内側壁面、前記内側嵌合面のいずれか一方に、上下方向に延びる凹溝状の内側通気路部を設け、前記外側壁面、前記外側嵌合面のいずれか一方に、上下方向に延びる凹溝状の外側通気路部を設けたことを特徴とする。
【0009】
このような構成にすることにより、容器内の空気が嵌合凸部又は嵌合凹部に設けた内側通気路部及び外側通気路部を通り、容器外へ抜けるため、嵌合時の蓋体の天面部の膨らみを防ぎ、電子レンジによる加温による蒸気を放出することができる。また、嵌合凹部に下方に延長させて形成した貯留部を設けてあるため、この部分に水分などを貯めることができ、転倒して容器内の水分などが内側通気路部に浸入したとしても貯留部に貯まり容器外に漏出することを防ぐことができる。
【0010】
上記形態の包装用容器は、前記嵌合凹部よりも容器本体内側に、下方に向かい突出する脚部を備えることができる。また、前記脚部の下端部が、前記貯留部の下端部よりも下方に突き出すのが好ましい。
このようにすることにより、容器を棚などに載せ置いたときに、脚部が棚面に接して容器を支持するので、嵌合凸部を嵌合凹部に嵌め合わせやすくなる。また、脚部及び貯留部の下端部よりも下方に突き出させることで、常時は脚部で容器を支持するが、嵌合凸部を嵌合凹部に嵌合するときに嵌合凹部が下方に撓んで貯留部の下端部も棚面に接し、両方で容器本体を支持するので、容器本体が安定してより一層に嵌合凸部を嵌合凹部に嵌め合わせやすくなる。
【0011】
上記形態の包装用容器は、前記嵌合凸部を前記蓋体のフランジ部に形成し、前記内側壁面及び前記外側壁面の先端部付近に、膨らみ形状の嵌合留め部を設け、前記嵌合凹部を前記容器本体のフランジ部に形成し、前記内側嵌合面及び前記外側嵌合面に当該嵌合留め部を係止する嵌合受部を設けることができる。
このようにすることにより、嵌合凸部の先端部に設けた嵌合留め部が嵌合受部に嵌り、嵌合凸部が嵌合凹部に入り込み、嵌合位置を調整できるため、嵌合凸部が挿入し過ぎることを防止し、フランジ部同士の密着により開蓋しにくくなることを防ぐことができる。
【0012】
上記形態の包装用容器は、前記蓋体を前記容器本体に嵌め合わせたとき、前記貯留部の上方に、前記内側通気路部及び前記外側通気路部が配されるようにすることができる。
このようにすることにより、内側通気路部に浸入してきた水分などが貯留部に貯まりやすく、容器外部への漏出を防ぐことができる。
【0013】
上記形態の包装用容器は、前記内側通気路部と前記外側通気路部とが、容器の周方向にずれた位置に配することができる。
このようにすることにより、内側通気路部と外側通気路部との距離が長くなるため、両通気路が対向配置する場合に比べて内側通気路部に浸入した水分などが外側通気路部に到達しにくくなり、容器外に漏出することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の包装用容器を示し、開蓋状態での容器本体及び蓋体の斜視図である。
図2図1の包装用容器の容器本体及び蓋体の正面図である。
図3図1の包装用容器の容器本体の平面図である。
図4図1の包装用容器の蓋体の平面図である。
図5図1の包装用容器における角部付近を示し、(A)は開蓋状態、(B)は閉蓋状態での断面図である。
図6図1の包装用容器における長手縁部中間付近を示し、(A)は開蓋状態、(B)は閉蓋状態での断面図である。
図7図6の包装用容器における通気路部の変形例を示した断面図である。
図8図1の包装用容器の容器本体の変形例を示した平面図である。
図9図8の容器本体における長手縁部中間付近を示し、(A)は開蓋状態、(B)は閉蓋状態での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態の包装用容器を図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明の一実施形態の包装用容器1は、図1に示すとおり、容器本体2と、容器本体2に被せて開口部を被覆する蓋体3とを備える。
【0017】
包装用容器1は、横長直方体状に形成してあり、特に限定するものではないが、高さ60mm、長さ200mm、幅150mm程度の大きさにすることができ、例えば、総菜、果物、野菜、ご飯類、麺類などの食料品を収容するのに適している。但し、収容物はこれに限定されるものではない。
【0018】
包装用容器1は、上記形状に限定されるものではなく、例えば、平面視において、円形状、長円形状の他、三角形状、正方形・長方形・平行四辺形・台形などの四角形状、五角形状、六角形状や八角形状などの平面視多角形状にすることができる。
【0019】
容器本体2は、図1乃至図3に示すように、角部を面取りした平面視長方形状の薄型角皿状に形成してあり、図5に示すように、底面部21と、底面部21の周縁の一部を凹ませて形成した脚部26と、脚部26の下端部から上方に立ち上がり、底面部21を囲うように配した周壁面部22と、周壁面部22の上縁部から容器本体外側に水平状に張り出すフランジ部23と、フランジ部23の一部を下向きに凹ませて形成した嵌合凹部24と、嵌合凹部24の容器本体周方向の一部又は全部をさらに下方に延長して形成した貯留部25と、嵌合凹部24の容器本体内側に位置する内側嵌合面27と、嵌合凹部24の容器本体外側に位置する外側嵌合面28と、を備える。
【0020】
底面部21は、図1又は図3に示すように、収容物を載せることができる平面視長方形で水平面状の載置面21aを備え、その周囲に、一定幅で凹ませた溝部21bを形成してある。容器本体2の角部付近は、溝部21bをさらに下方に凹ませて脚部26を形成してある。
【0021】
載置面21aには、図1又は図3に示すように、細長状の凸条部21cを適宜間隔で斜めに並行状に配し、また、円形状に凹ませた微小凹部21dを本体2の中心横断線沿いに適宜間隔で配してある。凸条部21c及び微小凹部21dは収容物を載置面21aに配列する際の基準線又は基準点とすることができる。
【0022】
溝部21bは、食料品などを載置面21aに載せた場合に、それから滲出する水分などを貯めることができる。
脚部26は、平面視L字状の凹部としてあり、その底面が両側から段々に凹む階段状に形成してある。脚部26の底面は接地して容器本体2を支持することができるようにしてある。
【0023】
周壁面部22は、図5に示すように、底面部21の周縁に立ち上がり、上方に向かい拡開する傾斜面状に形成し、周壁面部22の上縁部で形成される開口部が平面視において角部を面取りした長方形状を呈するようにしてある。
【0024】
周壁面部22には、図1に示すように、高さ方向に延びる凹凸状のリブ部22aが設けてあり、容器本体2を補強するようにしてある。リブ部22aは、周壁面部22に部分的に設けてあるが全体的に設けてもよい。
【0025】
フランジ部23は、図5に示すように、周壁面部22の上縁部から容器本体2の外側に水平状に張り出すように形成してある。フランジ部23には、下方に適宜深さで凹ませた嵌合凹部24が容器本体2の全周に渡り設けてあり、後述する嵌合凸部34を嵌め合わせ可能としてある。
嵌合凹部24は、その一部をさらに下方に延長して貯留部25を形成してある。貯留部25を形成した部分は、図5に示すように、断面において縦長U字乃至V字形状を呈し、その両側の内側嵌合面27及び外側嵌合面28を折れ線状に形成してあり、嵌合凹部24の高さ方向の中間付近に外側に膨らむ嵌合受部24aを形成してある。
また、嵌合凹部24の開口付近は、開口幅が上方に向かい漸次拡がるようにして嵌合凸部34を挿入しやすくしてある。
【0026】
貯留部25は、本実施形態では、水分などが貯められるように偏平逆台形状に形成してある。本実施形態では、容器本体2の角部の4か所に設けてあるが、これに限定されるものではなく、適宜位置に設けることができ、また、嵌合凹部24を全周に渡り下方に延ばした形状としてもよい。
貯留部25の下端部は、脚部26の下端部と同じ高さにしもよいが、脚部26の下端部よりも下方に突き出させるようにするのが好ましい。容器本体2を棚や机上などに置いて、嵌合凸部34を嵌合凹部24に挿入するとき、撓んで貯留部25の下端部が接地し、両方の下端部で容器本体2を支持するので嵌合作業がしやすくなる。同じ高さにした場合は、常時に容器本体2が貯留部25及び脚部26で支持されるので安定して置くことができ、嵌め合わせ作業がしやすくなる。脚部26の下端部を貯留部25の下端部よりも幅広に形成しておけば、より一層に安定して置くことができる。
さらに好ましくは、容器本体2の外側から、貯留部25、フランジ部23、脚部26、底面部21の順の配列にすれば、貯留部25及び脚部26の両方の支持により、嵌合凸部34を嵌合凹部24に嵌め合わせる際に作業しやすくなるとともに、収容物を収容した際の収容物の重みによる容器本体2の撓みを防ぐこともできる。
【0027】
また、容器本体2には、図1又は図3に示すように、対角上の角部に、容器本体2の外側に延ばした平面視三角形状の摘み部29を設けてある。
【0028】
蓋体3は、図1図2又は図4に示すように、台形台状に形成してあり、図5に示すように、天面部31と、天面部31の周縁から下方に向かう側壁面部32と、側壁面部32の下縁部から蓋体外側に張り出すフランジ部33と、フランジ部33の一部を下方に向かい突出し、嵌合凹部24に嵌め合わせる嵌合凸部34と、嵌合凸部34の蓋体内側に位置する内側壁面35と、嵌合凸部34の蓋体外側に位置する外側壁面36と、内側壁面35に設けた上下方向に延びる凹溝状の内側通気路部37と、外側壁面36に設けた上下方向に延びる凹溝状の外側通気路部38と、を備える。
【0029】
天面部31は、図4に示すように、平面視において角部を面取りした長方形状の水平面としてある。
側壁面部32は、天面部31の周縁から下方に向かい垂下乃至傾斜する面としてあり、本実施形態では、図5に示すように、上側と下側とで角度の変わる傾斜面とし、上側が急斜面、下側が緩斜面になる傾斜角度に形成してある。
【0030】
フランジ部33は、図5に示すように、蓋体外側に水平状に張り出すように形成してある。フランジ部33には、下方に突出し、嵌合凹部24に内外嵌合する嵌合凸部34を蓋体3の全周に渡り設けてある。
側壁面部32とフランジ部33との境界には、図5に示すように、下方にU字状に突き出す適下部32aを設けることができ、側壁面部32の内面を伝ってきた水滴が滴り落ちるようにしてある。
【0031】
嵌合凸部34は、図5に示すように、フランジ部33の一部を下向きに突出させ、断面略倒コの字形状に形成してあり、その先端部に、膨らみ形状の嵌合留め部34aを形成し、嵌合受部24aに嵌るようにしてある。これにより、嵌合凸部34が嵌合凹部24に内外嵌合して抜けないようにしてある。
【0032】
嵌合凸部34及び嵌合凹部24のそれぞれの形状は、断面において左右対称形状としてもよいが、嵌合凹部24の内部の空気を抜けやすくするために、左右非対称形状とするのが好ましい。
【0033】
嵌合凸部34の内側壁面35には上下方向に延びる凹溝状の内側通気路部37が形成してある。また、外側壁面36には上下方向に延びる凹溝状の外側通気路部38が形成してある。内側通気路部37及び外側通気路部38は溝状に形成してあればよく、断面半円状、断面正方形乃至長方形状などどのような形状にしてもよい。
なお、本実施形態では、蓋体3の角部と長手縁部中間付近に内側通気路部37及び外側通気路部38を設けてあるが、この位置に限定するものではない。
【0034】
嵌合凸部34を嵌合凹部24に嵌め合わせたときに、図5(B)に示すように、内側壁面35が内側嵌合面27に接し、内側通気路部37がトンネル状になり、容器1内部の空気や蒸気が貯留部25に抜ける通気路となる。また、外側壁面36が外側嵌合面28に接し、外側通気路部38がトンネル状になり、貯留部25内の空気や蒸気が容器1の外側に抜ける通気路となる。
この通気路に容器内部の水分などが浸入したとしても、内側通気路部37を通り貯留部25に貯められるため、容器内部の水分などが容器外側に漏出しにくくなる。
【0035】
また、容器の長手縁部中間付近においては、図6に示すように、内側壁面35が内側嵌合面27に接し、内側通気路部37がトンネル状になるとともに、外側壁面36が外側嵌合面28に接し、外側通気路部38がトンネル状になり、容器内部の空気や蒸気が容器1の外側に抜ける通気路となる。
この通気路に容器内部の水分などが浸入した場合、内側通気路部37を通ってきた水分は、嵌合凹部24の底面に貯まり、この底面を伝い貯留部25まで流れ、貯められることになる。
嵌合凸部34の底面39と嵌合凹部24の底面とは、接するようにしても若干の隙間を設けるようにしてもよい。
底面同士が接するようにすれば、容器2内部の水分などの漏れを防止でき、若干の隙間を設けるようにすれば、嵌合凹部24に浸入した水分などが底面を伝い貯留部25まで流れやすくなる。
【0036】
さらに、蓋体3の長手縁部中間付近において、図7に示すように、嵌合凸部34の底面39に、内側通気路部37と外側通気路部38とを連結する凹溝状の底側通気路部39aを設けてもよい。
これにより、容器内部の空気や蒸気が内側通気路部37から底側通気路部39aを通り、外側通気路部38に抜けやすくなり、蒸気などの排出をスムーズに行うことができる。
なお、本実施形態では、内側通気路部37及び外側通気路部38を対向する位置に配してあるが、これに限定するものではなく、例えば、内側通気路部37及び外側通気路部38が、蓋体3の周方向にずれた位置に配してもよい。
これにより、内側通気路部37と外側通気路部38との距離が長くなるため、両通気路が対向している場合に比べて内側通気路部37に浸入した水分が外側通気路部38に到達しにくくなり、容器外に水分が漏出することを防ぐことができる。
【0037】
また、蓋体3には、図4に示すように、対角上の一対の角部に、蓋体3のフランジ部33を外側に延ばした平面視三角形状の摘み部33aを設け、摘み部33aの中央付近に半球状のポッチ部33bを備えてある。蓋体3を容器本体2に嵌め合わせた状態で、ポッチ部33bが容器本体2の摘み部27に当接するため、図5(B)に示すように、摘み部29,33a同士の間に隙間ができ、開封しやすくなる。
【0038】
以下、包装用容器1の製造方法の一例を説明する。
容器本体2及び蓋体3は、特に限定するものではないが、合成樹脂シートを熱成形して製造することができる。合成樹脂シートは、非発泡樹脂シート、発泡樹脂シートのいずれでもよいが、非発泡樹脂シートが好ましい。容器本体2を発泡樹脂シート、蓋体3を非発泡樹脂シートにするなど相違させてもよい。
【0039】
非発泡樹脂シートの場合には、具体的には、厚みが0.1mm~2.0mmの範囲内、特に0.2mm~1.2mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。
発泡樹脂シートの場合には、厚みが0.5mm~4.0mmの範囲内、特に0.7mm~2.2mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。また、発泡樹脂シートの場合には、発泡倍率を1.05倍~20.0倍、特に1.5倍~15.0倍にするのが好ましい。
【0040】
非発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂シート・ポリプロピレン系樹脂シートなどのポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シート・耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどのポリエステル系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートを用いることができる。また、電子レンジの加熱に耐え得るもの、例えば、耐熱性ポリスチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートを用いてもよい。
【0041】
発泡樹脂シートとしては、例えば、発泡ポリオレフィン系樹脂シート、発泡ポリスチレン系樹脂シート、発泡ポリエチレンテレフタレートなどの発泡ポリエステル系樹脂シートを用いることができる。
合成樹脂シートを積層した積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば、非発泡樹脂シート又は発泡樹脂シートに樹脂フィルムを熱ラミネートした積層シート、共押出法による積層シート、押出ラミネート法による積層シートなどを挙げることができる。
【0042】
非発泡樹脂シート、発泡樹脂シート及び積層シートとして、バイオマスプラスチックを用いてもよい。
バイオマスプラスチックとは、原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み,化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料をいう。バイオマスプラスチックは、石油由来の樹脂と比して、大気中への二酸化炭素の排出量を抑えることができ、環境への負荷を低減できる。
バイオマスプラスチックとしては、例えば、ポリ乳酸樹脂、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0043】
熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などを挙げることができる。
【0044】
容器本体2は、黒色や白色などの有色であるのが好ましいが、内部が視認できるように透明乃至半透明にしてもよい。蓋体3は透明であるのが好ましい。また、容器本体2及び蓋体3の表面に、透明乃至半透明の場合は視認性を妨げない程度に、文字、絵柄などの印刷や刻印を施してもよい。
さらには、補強のためのリブを適宜位置に設けることや滑り止めのためのシボ加工を施してもよい。また、容器本体2及び蓋体3の適宜位置に、立方体乃至直方体状などに膨出させたスタック用突起を設けることもできる。
【0045】
以下、包装用容器1の使用方法の一例を説明する。
包装用容器1を、例えば、以下のように閉蓋することができる。
容器本体2の載置面21aに食料品などの収容物を載せ、蓋体3を容器本体2に被せ、嵌合凸部34を嵌合凹部24に挿入し、嵌合凸部34を上方から下方へ押圧することにより、嵌合留め部34aが嵌合受部24aに係止して、嵌合凸部34が嵌合凹部24に内外嵌合する。図5(B)又は図6(B)に示すように、内側通気路部37及び外側通気路部38がトンネル状の通気路となり、容器内部の空気が排出されるので、嵌合時に天面部21が膨れることを防ぐことができる。また、収容物を加温するため電子レンジで温めても蒸気がこの通気路から排出され、蓋3が外れることを防止できる。
【0046】
また、容器1が転倒したとしても、収容物から滲出した水分が内側通気路部37を通り、貯留部25に貯まるため容器外に漏出することを防ぐことができる。
【0047】
脚部26の下端部と貯留部25の下端部よりも下方に突き出させておけば、嵌合凸部34を嵌合凹部24に挿入する際、撓んで貯留部25の下端部が接地し、脚部26及び貯留部25の両方で容器本体2が支持されて安定するため、嵌め合わせ作業がより一層しやすくなる。
【0048】
さらには、嵌合留め部34aが嵌まる嵌合受部24aの位置を高さ方向に変化させることにより、嵌合凸部34の嵌る深さを調整することができる。そのため、フランジ部23,33同士が適宜隙間を有して容器本体2及び蓋体3を嵌め合わせることができ、開封操作をしやすくなる。
【0049】
包装用容器1を、例えば、以下のように開蓋することができる。
右手の親指と人差し指で容器本体2の摘み部29を摘み、左手の親指と人差し指で蓋体3の摘み部33aを摘み、本体2側を下方に引きつつ、蓋体3側を上方に引くことにより嵌合凸部34を嵌合凹部24から外すことができる。
【0050】
包装用容器1の容器本体2及び蓋体3は、本発明の趣旨を超えない範囲で変形することができる。
例えば、図8には、容器本体2の変形例の容器本体2Aを示す。
容器本体2Aは、貯留部25を長手縁部中間付近にも設けた点で容器本体2とは異なる。
容器本体2Aに蓋3を嵌合したときに、図9に示すように、長手縁部中間付近に設けた内側通気路部37及び外側通気路部38の下方にも貯留部25があるため、容器内の水分が容器外に漏出しにくくなる。
【0051】
また、包装用容器1では、嵌合凸部24の内側壁面35及び外側壁面36に、上下方向に延びる凹溝状の内側通気路部37及び外側通気路部38を設けたが、嵌合凹部24の内側嵌合面27及び外側嵌合面28に、上下方向に延びる凹溝状の通気路部を設けてもよい。
【0052】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にする限り変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【符号の説明】
【0053】
1 包装用容器
2 容器本体
21 底面部
21a 載置面
21b 溝部
21c 凸条部
21d 微小凹部
22 周壁面部
22a リブ部
23 フランジ部
24 嵌合凹部
24a 嵌合受部
25 貯留部
26 脚部
27 内側嵌合面
28 外側嵌合面
29 摘み部
3 蓋体
31 天面部
32 側壁面部
32a 滴下部
33 フランジ部
33a 摘み部
33b ポッチ部
34 嵌合凸部
34a 嵌合留め部
35 内側壁面
36 外側壁面
37 内側通気路部
38 外側通気路部
39 底面
39a 底側通気路部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9