(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153294
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ヒュージブルリンク
(51)【国際特許分類】
H01H 85/175 20060101AFI20241022BHJP
H01H 85/045 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01H85/175
H01H85/045 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067095
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 光彦
(72)【発明者】
【氏名】小田島 魁
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502BA05
5G502BB03
5G502BC06
5G502CC14
5G502CC15
5G502CC16
5G502CC24
(57)【要約】
【課題】意図せず外れてしまうことを防止することのできるヒュージブルリンクを提供すること。
【解決手段】ヒュージブルリンク1Aは、ヒューズ本体10と、ハウジング20と、カバー30とを備えている。ヒューズ本体10は、一対の端子11と、これらの間に設けられたヒューズ機能部12を有している。ハウジング20は開口部21を有しており、開口部21を通してハウジング20の内部にヒューズ本体10が取り付けられている。カバー30は、ハウジング20に取り付けられており、開口部21を閉じている。ヒュージブルリンク1Aが取り付けられる取付凹部への挿入方向Dに向けて一対の係止腕部31がカバー30から延設されている。一対の係止腕部31の先端には、取付凹部の内面に互いに対向して形成された係止突起と係止する係止爪31aが、それぞれ互いに反対方向に向けて突設されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付凹部に挿入されて当該取付凹部に取り付けられるヒュージブルリンクであって、
一対の端子及び一対の前記端子の間に設けられたヒューズ機能部を有するヒューズ本体と、
開口部を有し、前記開口部を通して内部に前記ヒューズ本体が取り付けられるハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられた、前記開口部を閉じるカバーと、を備えており、
前記ヒュージブルリンクの前記取付凹部への挿入方向に向けて一対の係止腕部が前記カバーから延設されており、
一対の前記係止腕部の先端には、前記取付凹部の内面に互いに対向して形成された係止突起と係止する係止爪が、それぞれ互いに反対方向に向けて突設されている、ヒュージブルリンク。
【請求項2】
一対の前記係止腕部における前記ヒュージブルリンクの前記取付凹部への取付時に前記取付凹部外に露出される部分に、それぞれ互いに反対方向に向けて係止解除用突起が突設されている、請求項1に記載のヒュージブルリンク。
【請求項3】
前記ヒュージブルリンクが前記取付凹部に取り付けられたときの前記係止爪の前記係止突起との接触面が、テーパー面として形成されている、請求項1に記載のヒュージブルリンク。
【請求項4】
前記ハウジングに、前記係止腕部を収納する切欠スリットが形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載のヒュージブルリンク。
【請求項5】
前記ハウジングと前記ヒューズ本体との間に、前記ヒューズ本体の前記ハウジングからの抜け止め機構が設けられており、
前記抜け止め機構が、前記ハウジングの内面に形成された係止段部と、前記ヒューズ本体から突設された、前記係止段部と係止する係止ランスとを備えている、請求項1又は2に記載のヒュージブルリンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒュージブルリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車には様々な電装機器が搭載されており、これらの電装機器の回路に使用されている様々な電子部品を保護するために多くのヒューズ類がヒューズボックスなどに収納されている。なお、自動車に搭載されているヒューズ類に関しては、おおよそ20アンペア以下の容量を持ついわゆるブレードヒューズは単にヒューズと呼ばれ、おおよそ20アンペア以上の容量を持つ箱状パッケージを有するものはヒュージブルリンクと呼ばれることが多い。また、バッテリー端子に取り付けられるヒューズ機能を有するものや、一対のコネクタ間にヒューズ機能を有するワイヤが取り付けられたものもヒュージブルリンクと呼ばれることがある。本発明は、箱状パッケージを有するヒュージブルリンクに関し、この種のヒュージブルリンクもヒューズ機能を有しているため単にヒューズと呼ばれてもよい。下記特許文献1は、箱状パッケージを有するヒューズ、ここに言うヒュージブルリンクを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動車に搭載される電装機器の量は増えており、自動車に搭載されるヒュージブルリンクの数も増加傾向にある。しかし、自動車に確保されるヒューズボックスなどのためのスペースには限りがあり、一つ一つのヒュージブルリンクの小型化が必要になってきている。ヒュージブルリンクは一対の端子と、この一対の端子の間に設けられたヒューズ機能部とを有している。ヒューズ機能部は、例えば、過電流が流れると溶断して電流を遮断する。一対の端子の一方は主電源につながる端子と接続され、他方は電装機器につながる端子と接続される。
【0005】
ヒュージブルリンクを小型化すれば必然的にその一対の端子も小さくせざるを得ず、主電源や電装機器につながる端子との接触荷重、即ち、主電源や電装機器につながる端子の保持力が小さくなる。上記特許文献1に開示されたヒュージブルリンクなどの従来のヒュージブルリンクは、ヒュージブルリンクの端子が主電源や電装機器につながる端子を保持する力でそれ自身を取付位置に保持していた。このため、小型化されたヒュージブルリンクでは振動などによって意図せずその取付位置から外れてしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、意図せず外れてしまうことを防止することのできるヒュージブルリンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るヒュージブルリンクは、取付凹部に挿入されて当該取付凹部に取り付けられる。前記ヒュージブルリンクは、一対の端子及び一対の前記端子の間に設けられたヒューズ機能部を有するヒューズ本体と、開口部を有し、前記開口部を通して内部に前記ヒューズ本体が取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた、前記開口部を閉じるカバーと、を備えている。前記ヒュージブルリンクの前記取付凹部への挿入方向に向けて一対の係止腕部が前記カバーから延設されている。一対の前記係止腕部の先端には、前記取付凹部の内面に互いに対向して形成された係止突起と係止する係止爪が、それぞれ互いに反対方向に向けて突設されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るヒュージブルリンクによれば、その係止爪が取付凹部の係止突起と係止して、ヒュージブルリンクが意図せず外れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態に係るヒュージブルリンクとヒュージブルリンクの取付部であるボックスとを示す分解斜視図である。
【
図2】上記ヒュージブルリンクの分解斜視図である。
【
図3】上記ヒュージブルリンクの断面図(ボックスへの取付状態)である。
【
図4】上記ヒュージブルリンクの一部断面斜視図である。
【
図5】上記ヒュージブルリンクの断面図(ボックスへからの取り外し時)である。
【
図6】第二実施形態に係るヒュージブルリンクの断面図(ボックスへからの取り外し時)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて実施形態に係るヒュージブルリンク1A及び1Bについて詳細に説明する。なお、下記の説明における「上下左右」については説明のための図中の上下左右であり、ヒュージブルリンク1A及び1Bを設置する向きを限定するものではない。
【0011】
まず、
図1~
図5を参照しつつ、第一実施形態に係るヒュージブルリンク1Aについて説明する。
図1に示されるように、ヒュージブルリンク1Aは、その取付部であるボックス4の取付凹部40内に挿入方向Dに挿入されることで、取付凹部40に取り付けられる。ボックス4は、主電源と接続されるバスバー41と、各電装機器に接続される機器端子42とを備えている。バスバー41は、主電源との接続のための接続孔41aと、取付凹部40ごと、即ち、ヒュージブルリンク1Aごとに設けられた複数のバスバー端子41bとを有している。バスバー41及び機器端子42はボックス4の底部に取り付けられ、バスバー端子41b及び機器端子42が取付凹部40内に立設される。各取付凹部40の対向する一対の内面には、それぞれ、ヒュージブルリンク1Aを係止するための係止突起40aが形成されている。なお、ボックス4は、取り付けられた機器端子42を保持する保持部材42a(
図3参照)なども有している。
【0012】
図2の分解斜視図に示されるように、ヒュージブルリンク1Aは、ヒューズ本体10とハウジング20とカバー30とを備えている。ヒューズ本体10は、導電体で形成されており、具体的には打ち抜かれた金属板を折り曲げることで形成されている。ヒューズ本体10は、一対の端子11及びこれらの端子11の間に設けられたヒューズ機能部12を有している。各端子11は中空の角筒状に形成されており、
図3に示されるように、ヒュージブルリンク1Aが取付凹部40に挿入されると、取付凹部40の底部から立設されたバスバー端子41b又は機器端子42が角筒状の端子11の内部に挿入される。
【0013】
図3に示されるように、各端子11には、ヒューズ本体10の中央寄りの側壁に弾性変形可能な端子バネ13が形成されると共に、その対向面には内方に膨出された膨出部14が形成されている。端子バネ13は、端子11の下方開口縁から上方に向けて延出されており、その中央部が膨出部14に近づくように屈曲されている。このため、角筒状の端子11にバスバー端子41b又は機器端子42が挿入されると、バスバー端子41b又は機器端子42は端子バネ13に案内されつつ奥まで挿入される。挿入されたバスバー端子41b又は機器端子42は、端子バネ13の屈曲部と接触すると共に、端子バネ13の弾性復元力で対向面に形成された膨出部14に押し付けられる。このようにして、端子11とバスバー端子41b又は機器端子42との電気的接触が形成される。
【0014】
一対の端子11の間には、これらの端子11の上縁をつなぐようにヒューズ機能部12が形成されており、ヒューズ機能部12はその途中に可溶体を有している。ヒューズ機能部12に過剰な電流が流れると、その電流と可溶体の抵抗とにより発生する熱で可溶体が溶けることでヒューズ機能部12が溶断されて電流が遮断される。また、各端子11では、上述した端子バネ13及び膨出部14が形成された一対の対向面ではないもう一対の対向面に、それぞれ係止ランス15が形成されている。各係止ランス15は、その下端で屈曲されてその上端が外方に開くように形成されている。係止ランス15は、ヒューズ本体10のハウジング20からの抜け止め機構の一部であり、抜け止め機構に関しては追って
図4を参照しつつ詳しく説明する。
【0015】
図2に示されるように、ハウジング20は、その上方に開口部21が形成された非導電体の直方体箱状の形状を有している。具体的には、ハウジング20は、樹脂の射出成形によって形成されており、開口部21を通してその内部にヒューズ本体10が挿入されて、ハウジング20の内部にヒューズ本体10が取り付けられる。その後、ハウジング20にカバー30が取り付けられて、開口部21がカバー30によって閉じられる。ハウジング20の正面及び背面(幅の広い面)の上縁には、カバー30を係止するための係止爪22がそれぞれ形成されている。
【0016】
図3中のIV-IV線での断面を有する斜視図である
図4に示されるように、ヒューズ本体10の上述した各係止ランス15の挿入軌跡に沿って、ハウジング20の内部には傾斜面23及び係止段部24が形成されている。ヒューズ本体10の端子11ごとに、一対の傾斜面23が対向して形成されることとなり、それらの間の距離は下方に向けて狭くなっている。そして、各傾斜面23の下方に係止段部24が形成されている。このため、端子11ごとに、一対の係止段部24が対向して形成されることとなり、それらの間の距離は一対の傾斜面23の最下部の最も狭い距離よりも広くなっている。係止段部24は、係止ランス15と共に上述した抜け止め機構を構成している。
【0017】
ハウジング20の内部にヒューズ本体10を挿入すると、端子11に形成された互いに反対方向に広げられた一対の係止ランス15は、一対の傾斜面23によって内方に弾性変形されつつ一対の傾斜面23を通過する。一対の傾斜面23を通過した一対の係止ランス15は、それらの弾性復元力で広がる。この結果、ハウジング20の内部に取り付けられたヒューズ本体10を上方に引っ張っても、抜け止め機構を構成する係止ランス15と係止段部24とが互いに係止することとなり、ヒューズ本体10のハウジング20からの抜けが防止される。なお、ヒューズ本体10は、上述した挿入方向D回りに180度回転させても、ハウジング20に挿入して取り付けることが可能である。
【0018】
また、
図3に示されるように、ハウジング20の底板には、上述したバスバー端子41b及び機器端子42が挿入される一対の挿入孔25が形成されている。各挿入孔25の挿入側はバスバー端子41b及び機器端子42が挿入されやすいようにテーパー状に形成されている。なお、ハウジング20の左右側面(幅の狭い面)には、後述するカバー30の係止腕部31を収納する切欠スリット26がそれぞれ形成されている。切欠スリット26については、後述する係止腕部31と共に追って詳しく説明する。
【0019】
カバー30も、樹脂の射出成形によって形成されており、
図2及び
図3に示されるように、その本体である天板の左右側縁からはそれぞれ上述した挿入方向Dに向けて係止腕部31がそれぞれ延設されている。即ち、一対の係止腕部31は、カバー30の本体である天板に対して垂直に延設されている。カバー30は、ハウジング20内部のヒューズ機能部12の状態、即ち、遮断状態であるのか否かを確認しやすいように透明樹脂で形成されている。
【0020】
また、カバー30の本体である天板の前後縁からは挿入方向Dに向けてU字状の係止片32がそれぞれ延設されている。即ち、一対の係止片32も、カバー30の本体である天板に対して垂直に延設されている。各係止片32の中央には係止孔が形成され、この係止片32の係止孔が上述したハウジング20の係止爪22と係止し、カバー30がハウジング20に取り付けられる。ヒュージブルリンク1Aが取付凹部40に取り付けられると、係止片32の下方部分は、取付凹部40の内部に位置しており、取付凹部40の内面との間には最小限の隙間しか形成されない。従って、ヒュージブルリンク1Aの取付凹部40への取付状態では、係止片32の外方への弾性変形による係止爪22との係止解除が防止されている。言い換えれば、ヒュージブルリンク1Aの取付凹部40への取付状態では、カバー30のみが外れて、ハウジング20及びその内部のヒューズ本体10が取付凹部40内に残されてしまうようなことが防止されている。
【0021】
係止腕部31の先端には、ヒュージブルリンク1Aが取付凹部40に取り付けられたときに取付凹部40内に形成された係止突起40aと係止する係止爪31aが突設されている。一対の係止腕部31に形成された一対の係止爪31aは、それぞれ互いに反対方向に向けて外方に突設されている。ヒュージブルリンク1Aの取付凹部40への取付状態では、係止爪31aの係止突起40aとの当接面も、係止突起40aの係止爪31aとの当接面も、上述した挿入方向Dに対して垂直な面となるように形成されている。従って、取付凹部40に取り付けられたヒュージブルリンク1Aを挿入方向Dとは反対方向に引き抜こうとしただけでは、ヒュージブルリンク1Aを取り外すことはできない。即ち、ヒュージブルリンク1Aが取付凹部40から意図せず外れてしまうことが防止される。
【0022】
その一方で、ヒュージブルリンク1Aの取付凹部40への取付時における係止爪31aの係止突起40aとの摺動接触面、及び、係止突起40aの係止爪31aとの摺動接触面は、テーパー面として形成されている。このように摺動接触面をテーパー面として形成することで、ヒュージブルリンク1Aの取付凹部40への取付時に係止腕部31をたわませて係止爪31aが係止突起40aを乗り越えやすくなる。なお、ヒューズ機能部12が溶断した場合などは、ヒュージブルリンク1Aを取り外す必要があり、これを可能にするため、各係止腕部31には、係止解除用突起31bも形成されている。
【0023】
図3に示されるように、各係止解除用突起31bは、ヒュージブルリンク1Aの取付凹部40への取付状態で係止腕部31における取付凹部40外に露出される部分に形成される。一対の係止腕部31に形成された一対の係止解除用突起31bは、それぞれ互いに反対方向に向けて外方に突設されている。この一対の係止解除用突起31bに外方から荷重を加えることで、
図5に示されるように、一対の係止腕部31を内方にたわませることができる。この係止爪31aと係止突起40aとの係止解除状態でヒュージブルリンク1Aを引き抜けば、ヒュージブルリンク1Aを取付凹部40から取り外すことができる。
【0024】
一対の係止解除用突起31bに外方から荷重を加えるには、作業者が指でつまんでもよいし、取り外し用の道具を用いてもよい。車両のヒューズボックスのカバーの内側には、ブレードヒューズ取り外し用の道具が取り付けられていることがよくある。ヒュージブルリンク1Aは、このような道具を用いて取り外されてもよい。なお、ヒュージブルリンク1Aは、
図1に示される挿入方向D回りに180度回転させても、取付凹部40に挿入して取り付けることが可能である。
【0025】
上述したように、ヒュージブルリンク1Aには小型化要求されている。このため、係止腕部31がハウジング20の外側に位置するように形成されると、その分、小型化が阻害される。また、ヒュージブルリンク1Aの取付凹部40への取り付け及び取り外し時には、一対の係止腕部31は内方にたわまなければならない。そこで、本実施形態の小型化されたヒュージブルリンク1Aでは、ハウジング20に上述した切欠スリット26が形成されている。そして、たわんでいない係止腕部31は、その大部分が切欠スリット26内に収納されている。
【0026】
ただし、係止爪31aは、係止突起40aとの係止のために切欠スリット26からは突出されている。また、係止解除用突起31bも、係止爪31aと係止突起40aとの係止を解除する際に操作されなければならないため、切欠スリット26からは突出されている。切欠スリット26は、ハウジング20の内部空間と連通しているため、係止腕部31が内方にたわまされる際にハウジング20と係止腕部31との干渉も解消する。言い換えれば、切欠スリット26を形成することでヒュージブルリンク1Aのさらなる小型化が実現されている。
【0027】
次に、
図6を参照しつつ、第二実施形態に係るヒュージブルリンク1Bについて説明する。本実施形態に係るヒュージブルリンク1Bは、上述した第一実施形態のヒュージブルリンク1Aの係止腕部31の係止爪31a及び係止解除用突起31bとは異なる構成を有している。より具体的には、本実施形態の係止爪31aは、第一実施形態の係止爪31aとはその形状が異なり、また、本実施形態では係止解除用突起31bは設けられない。以下には、上述した第一実施形態とは異なる構成のみを説明する。なお、本実施形態を示す
図6は、第一実施形態を示す
図5相当図である。
【0028】
本実施形態でも、係止腕部31の先端には、ヒュージブルリンク1Aが取付凹部40に取り付けられたときに取付凹部40内に形成された係止突起40aと係止する係止爪31aが突設されている。一対の係止腕部31に形成された一対の係止爪31aは、それぞれ互いに反対方向に向けて外方に突設されている。しかし、第一実施形態の係止爪31aは直角三角形の断面を有し、逆爪状の形状に形成された。これに対して、本実施形態の係止爪31aは等脚台形の断面を有している。即ち、ヒュージブルリンク1Bの取付凹部40への取付状態における係止爪31aの係止突起40aとの当接面は、挿入方向Dに対して傾斜するテーパー面として形成されている。
【0029】
より詳しくは、この当接面、即ち、テーパー面と係止腕部31の表面とが鈍角を形成するように、当該テーパー面が形成されている。このため、取付凹部40に取り付けられたヒュージブルリンク1Bを挿入方向Dとは反対方向に引っ張れば、係止爪31aのテーパー面と係止突起40aとの当接によって係止腕部31を内方にたわます力が生じる。この結果、係止爪31aと係止突起40aとの係止が解除されて、ヒュージブルリンク1Bを取付凹部40から取り外すことができる。従って、第一実施形態の係止解除用突起31bを形成する必要がなくなる。
【0030】
係止解除用突起31bを有する係止腕部31を備えたカバー30を射出成形で形成しようとすると、係止解除用突起31b形成するために成形金型にスライドコア構造を採用する必要が生じる。スライドコア構造を採用した成形金型は構造が複雑になるため、製造コストが増加する。しかし、本実施形態の係止解除用突起31bを有しないカバー30は、成形金型にスライドコア構造を採用する必要がない。従って、カバー30を容易に射出成形でき、製造コストの増加を抑止できる。
【0031】
なお、ここで、本実施形態のヒュージブルリンク1Bが取り付けられる取付凹部40の係止突起40aの形状も第一実施形態の係止突起40aの形状とは異なっている。係止突起40aも等脚台形の断面を有している。即ち、ヒュージブルリンク1Bの取付凹部40への取付状態における係止突起40aの係止爪31aとの当接面も、挿入方向Dに対して傾斜するテーパー面として形成されている。このように、係止爪31aの当接面だけでなく係止突起40aの当接面もテーパー面とすることで、ヒュージブルリンク1Bの取付凹部40からの取り外し時に二つの当接面が互いに面接触で摺動接触するので、ヒュージブルリンク1Bを取り外しやすくできる。
【0032】
なお、本実施形態においてヒュージブルリンク1Bの取付凹部40への取付時における係止爪31aの係止突起40aとの摺動接触面も、係止突起40aの係止爪31aとの摺動接触面もテーパー面として形成されているのは、第一実施形態と同様である。
【0033】
上記実施形態に係るヒュージブルリンク1A又は1Bは、取付凹部40に挿入されて当該取付凹部40に取り付けられる。ヒュージブルリンク1A又は1Bは、ヒューズ本体10と、ハウジング20と、カバー30と、を備えている。ヒューズ本体10は、一対の端子11と、一対の端子11の間に設けられたヒューズ機能部12を有している。ハウジング20は開口部21を有し、開口部21を通してハウジング20の内部にヒューズ本体10が取り付けられている。カバー30は、ハウジング20に取り付けられており、開口部21を閉じている。ヒュージブルリンク1A又は1Bの取付凹部40への挿入方向Dに向けて一対の係止腕部31がカバー30から延設されている。一対の係止腕部31の先端には、取付凹部40の内面に互いに対向して形成された係止突起40aと係止する係止爪31aが、それぞれ互いに反対方向に向けて突設されている。
【0034】
このため、上記実施形態に係るヒュージブルリンク1A又は1Bによれば、取付凹部40に取り付けられると、ヒュージブルリンク1A又は1Bの係止腕部31の係止爪31aが取付凹部40内に形成された係止突起40aと係止される。取付凹部40に取り付けられたヒュージブルリンク1A又は1Bは、係止爪31aの係止突起40aとの係止によってその取付状態がしっかりと保持される。従って、ヒュージブルリンク1A又は1Bが意図せず取付凹部40から外れてしまうことが防止される。
【0035】
上述したように、ヒュージブルリンク1A又は1Bには小型化が要望されており、小型化されたヒュージブルリンク1A又は1Bでは、端子11によるバスバー端子41bや機器端子42の保持力が低下する。より詳しくは、端子11における端子バネ13及び膨出部14で挟止されるバスバー端子41bや機器端子42の保持力が低下する。これは、取付凹部40内に取り付けられたヒュージブルリンク1A又は1Bの保持力が低下することと同義である。従って、この保持力だけでは振動などでヒュージブルリンク1A又は1Bが意図せず取付凹部40から外れてしまうことが懸念される。しかし、本実施形態では、係止爪31aの係止突起40aとの係止によってヒュージブルリンク1A又は1Bの取付状態がしっかりと保持されるので、そのような懸念は解消される。
【0036】
また、上記第一実施形態に係るヒュージブルリンク1Aによれば、一対の係止腕部31におけるヒュージブルリンク1Aの取付凹部40への取付時に取付凹部40外に露出される部分に、それぞれ互いに反対方向に向けて係止解除用突起31bが突設されている。このため、一対の係止解除用突起31bに互いに向かい合う外力を作用させて係止腕部31をたわませることで係止爪31aの係止突起40aとの係止を解除することができ、ヒュージブルリンク1Aを取付凹部40から容易に取り外すことができる。
【0037】
一方、上記二実施形態に係るヒュージブルリンク1Bによれば、ヒュージブルリンク1Bが取付凹部40に取り付けられたときの係止爪31aの係止突起40aとの接触面が、テーパー面として形成されている。このため、取付凹部40に取り付けられたヒュージブルリンク1Bを引っ張れば、テーパー面として形成された係止爪31aの係止突起40aとの接触面と係止突起40aとの接触によって係止腕部31をたわませる力が発生する。このため、係止爪31aの係止突起40aとの係止が解除されて、ヒュージブルリンク1Bを取付凹部40から容易に取り外すことができる。
【0038】
また、上記実施形態に係るヒュージブルリンク1A又は1Bによれば、ハウジング20に、係止腕部31を収納する切欠スリット26が形成されている。これにより、小型化されたヒュージブルリンク1A又は1Bの幅をより狭めることができ、ヒュージブルリンク1A又は1Bのさらなる小型化が実現されている。
【0039】
また、上記実施形態に係るヒュージブルリンク1A又は1Bによれば、ハウジング20とヒューズ本体10との間に、ヒューズ本体10のハウジング20からの抜け止め機構が設けられている。具体的には、抜け止め機構が、ハウジング20の内面に形成された係止段部24と、ヒューズ本体10から突設された、係止段部24と係止する係止ランス15とを備えている。このため、ヒューズ本体10がハウジング20から外れてしまうことが防止される。例えば、ヒュージブルリンク1A又は1Bを取付凹部40に挿入すると、ヒューズ本体10の一対の端子11には、バスバー端子41b及び機器端子42がそれぞれ挿入される。このとき、ヒューズ本体10がハウジング20の内部で上述した挿入方向Dとは反対方向にズレると、端子11とバスバー端子41b及び機器端子42の電気的接続が不十分となるおそれがある。しかし、上記実施形態によれば、抜け止め機構によってこのようなハウジング20内でのヒューズ本体10の位置ズレが防止されるので、端子11とバスバー端子41b及び機器端子42の電気的接続が正常に確立され得る。
【0040】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ヒュージブルリンク1A及び1Bの端子11がメス端子であり、主電源につながるバスバー端子41b及び電装機器につながる機器端子42がオス端子であった。しかし、ヒュージブルリンクがオス端子を有し、主電源や電装機器につながる端子がメス端子であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1A,1B ヒュージブルリンク
10 ヒューズ本体
11 端子
12 ヒューズ機能部
15 係止ランス(抜け止め機構)
20 ハウジング
21 開口部
24 係止段部(抜け止め機構)
26 切欠スリット
30 カバー
31 係止腕部
31a 係止爪
31b 係止解除用突起
40 取付凹部
40a 係止突起
D 挿入方向