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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153296
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】姿勢変更装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 7/08 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B65G7/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067097
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 大智
(72)【発明者】
【氏名】筒井 朋洋
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹弥
(57)【要約】
【課題】重量物の姿勢を手動で変更可能な姿勢変更装置を提供する。
【解決手段】姿勢変更装置100は、搭載部1と4節リンク機構部2とを備える。搭載部1は重量物200を搭載し得る。4節リンク機構部2は、第1リンク20aと第2リンク20bと第3リンク20cと第4リンク20dとを有する。第1リンク20aは、搭載部1との相対的な位置が固定されるように搭載部1に接続されている。第2リンク20bは、第1リンク20aおよび第4リンク20dに接続されている。第3リンク20cは、第1リンク20aおよび第4リンク20dに接続されている。4節リンク機構部2は回転軸22を有する。搭載部1の揺動方向が回転軸22に沿った方向に対して垂直な方向である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物を搭載し得る搭載部と、
4節リンク機構部とを備え、
前記4節リンク機構部は、
第1リンクと、第2リンクと、第3リンクと、第4リンクとを有し、
前記第1リンクは前記搭載部との相対的な位置が固定されるように前記搭載部に接続されており、
前記第2リンクは、前記第1リンクおよび前記第4リンクに接続されており、
前記第3リンクは、前記第1リンクおよび前記第4リンクに接続されており、
前記4節リンク機構部は回転軸を有し、
前記搭載部の揺動方向が前記回転軸に沿った方向に対して垂直な方向である、姿勢変更装置。
【請求項2】
前記第1リンクは前記第4リンクよりも短い、請求項1に記載の姿勢変更装置。
【請求項3】
前記4節リンク機構部は、第1伸縮機構部を有し、
前記第1伸縮機構部は、前記第1リンクと前記第2リンクとに接続されており、
前記第1伸縮機構部は、前記第1リンクからみて前記第2リンクが配置されている方向に沿って伸縮可能である、請求項1または請求項2に記載の姿勢変更装置。
【請求項4】
前記4節リンク機構部は、第2伸縮機構部を有し、
前記第2伸縮機構部は、前記第1リンクと前記第3リンクとに接続されており、
前記第2伸縮機構部は、前記第1リンクからみて前記第3リンクが配置されている方向に沿って伸縮可能である、請求項3に記載の姿勢変更装置。
【請求項5】
前記4節リンク機構部は、前記第1リンク、前記第2リンク、前記第3リンクおよび前記第4リンクの相対的な回転運動を抑制する制動力を生じさせるダンパを有する、請求項1または請求項2に記載の姿勢変更装置。
【請求項6】
前記搭載部は、前記重量物を搭載した際に、前記重量物の位置を調整可能な高さ調節機構部を有する、請求項1または請求項2に記載の姿勢変更装置。
【請求項7】
使用者が力を加えることで前記搭載部を揺動できる把持部を備え、
前記把持部は、前記回転軸に沿った方向から見て、前記第1リンク部と前記搭載部とが接続されている点から最も離れた搭載部における点に配置されている、請求項1または請求項2に記載の姿勢変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、姿勢変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンクやドラム缶などの重量物の姿勢を安全に変更させるために、電動の姿勢変更装置が知られている(例えば、特開昭61-174934号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-174934号公報参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような電動の姿勢変更装置は、当該姿勢変更装置を駆動させるために、バッテリーを搭載させるか、電源に接続されていることが必要である。バッテリーを搭載した姿勢変更装置は、作業の際に充電による時間ロスが生じる。また、電源に接続された姿勢変更装置は、姿勢変更装置の運搬性を損なう。このように電動の姿勢変更装置は作業性が悪いため、手動の姿勢変更装置が好ましい。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、本開示の目的は、重量物の姿勢を手動で変更可能な姿勢変更装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った姿勢変更装置は、搭載部と4節リンク機構部とを備える。搭載部は重量物を搭載し得る。4節リンク機構部は、第1リンクと第2リンクと第3リンクと第4リンクとを有する。第1リンクは、搭載部との相対的な位置が固定されるように搭載部に接続されている。第2リンクは、第1リンクおよび第4リンクに接続されている。第3リンクは、第1リンクおよび第4リンクに接続されている。4節リンク機構部は回転軸を有する。搭載部の揺動方向が回転軸に沿った方向に対して垂直な方向である。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、重量物の姿勢を手動で変更可能な姿勢変更装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る姿勢変更装置の斜視図である。
図2】実施の形態1に係る姿勢変更装置の概略側面図である。
図3】実施の形態1に係る姿勢変更装置の概略側面図である。
図4】実施の形態2に係る姿勢変更装置の斜視図である。
図5】実施の形態2に係る姿勢変更装置の概略側面図である。
図6】実施の形態2に係る姿勢変更装置の概略側面図である。
図7】実施の形態3に係る姿勢変更装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
実施の形態1.
<姿勢変更装置の構成>
図1は、実施の形態1に係る姿勢変更装置100の斜視図である。図2および図3は、実施の形態1に係る姿勢変更装置100の概略側面図である。
【0011】
図1から図3に示された姿勢変更装置100は、たとえば、タンクあるいはドラム缶などの重量物200の姿勢を変更する姿勢変更装置100であって、電動によらず手動で重量物200の姿勢を変更できる姿勢変更装置100である。姿勢変更装置100は、基盤3と、搭載部1と、4節リンク機構部2とを主に備える。搭載部1は、重量物200を搭載し得る。搭載される重量物200の形状は、たとえば、縦長の円柱形状である。
【0012】
基盤3は、接地面に対向するように配置されている。接地面は、たとえば、床または地面などである。図1に示されるように、基盤3の平面形状はたとえばU字状である。具体的には、基盤3は、接続部31と一対の側部32とを有する。接続部31は、たとえば一方向に延びる棒状の部材である。接続部31の両端の各々に、側部32が接続されている。側部32は、上記一方向と異なる方向に延びる棒状の部材である。つまり、一対の側部32に挟まれるように接続部31は配置されている。接続部31および一対の側部32の形状は、たとえば断面形状が四角形状の角棒である。なお、基盤3の形状は上述した形状に限られず、搭載部1および4節リンク機構部2を支持できれば任意の形状を採用し得る。
【0013】
姿勢変更装置100は、4つのキャスタ4を備えている。キャスタ4は接地面を転動する。キャスタ4は、基盤3の側面に接続されている。一対の側部32の各々に、2つのキャスタ4が配置されている。キャスタ4が接地面上において転動する方向は、側部32が接続部31から伸びている方向である。このようにキャスタ4が設置されることで、図1に示された姿勢の搭載部1に重量物200を搭載した時に、姿勢変更装置100は搭載部1から見て重量物200が配置されている方向に前進することができる。キャスタ4は、接地面を転動しないためのロック機能を有してもよい。重量物200が搭載部1に搭載されたときに、キャスタ4および基盤3は当該重量物200の荷重に耐えられるように、十分な耐荷重性を有していることが好ましい。
【0014】
搭載部1は、4節リンク機構部2を介して、基盤3と接続されている。後述するように、4節リンク機構部2の動作に伴って、搭載部1の姿勢は、図2に示される垂直状態から図3に示される水平状態に変更され得る。図1に示されるように、搭載部1は、回転ベース板11と、重量物固定部13と、把持部12と、2つの爪15とを含む。後述するように、垂直状態は、図1および図2に示されるように、回転ベース板11の第1主面である第1面11aが接地面に対して垂直な方向に配置されている状態である。水平状態は、図3に示されるように、回転ベース板11の第1面11aが接地面に対して水平な方向に配置されている状態である。
【0015】
図2は、搭載部1に重量物200が搭載されている状態における姿勢変更装置100の側面図である。図2に示されるように、回転ベース板11は、第1面11aと第2面11bと側面11cとを有する。第1面11aは、重量物200を搭載した時に、当該重量物200と対向する面である。第2面11bは、第1面11aの反対側の面である。側面11cは、第1面11aと第2面11bとを接続する面である。2つの爪15は、第1面11aに接続されている。具体的には、図1に示されるように2つの爪15は、回転ベース板11の端部に配置されている。図1に示されているように、2つの爪15が配置されている端部は、たとえば、垂直状態における回転ベース板11において接地面にもっと近い部分である。
【0016】
重量物200を搭載するとき、2つの爪15は、重量物200を支持するパレット300の側面に形成されている孔(図示せず)に挿入され得る。パレット300に形成されている孔に2つの爪15を挿入するために、接地面に対して垂直な方向おける、接地面からの2つの爪15の高さは調整されてもよい。2つの爪15の接地面からの高さは手動で調整できてもよい。爪15の形状は、パレット300に形成された孔に挿入できる形状であればよい。そのため、爪15の先端における形状は、先細りの形状であってもよい。具体的には、例えば、爪15が伸びている方向において、第1面11aから最も離れている爪15の先端の断面積が最も小さくてもよい。例えば、爪15の先端における端面が第1面11aに対して傾斜することで、爪15の先端に向かうほど爪15の延在方向に対して垂直な断面での爪15の断面積が小さくなっていてもよい。このようにすれば、2つの爪15は、パレット300に形成された孔に挿入されやすい。また、爪15は、重量物200が直接爪15に搭載されても塑性変形しないような剛性を有していることが好ましい。あるいは、爪15は、重量物200が直接爪15に搭載されても、当該爪15において重量物200を落下させるような曲げが発生しない程度の剛性を有することが好ましい。
【0017】
重量物固定部13は、第1面11aの端に配置されている。具体的には、重量物固定部13は、回転ベース板11において爪15が配置された端部に連なる2つの縁部に、一対となって構成されている。第1面11aから垂直な方向から見たときに、一対の重量物固定部13は、搭載部1に重量物200が搭載されたとき重量物200を挟むように配置されている。図1に示されるように、第1面11aには4つの重量物固定部13が設置されている。爪15からの距離が相対的に短い位置に2つの重量物固定部13が配置されている。当該2つの重量物固定部13は、2つの爪15が並ぶ方向に互いに間隔を隔てて配置されている。爪15からの距離が相対的に長い位置に他の2つの重量物固定部13が配置されている。当該他の2つの重量物固定部13も、2つの爪15が並ぶ方向に互いに間隔を隔てて配置されている。このようにすれば、搭載部1に重量物200が搭載されたとき、第1面11aに沿った方向であり、回転ベース板11の長手方向に対して垂直な方向(2つの爪15が並ぶ方向)における、当該重量物200の移動が規定される。この結果、重量物200の転倒または回転ベース板11からの重量物200の落下を防止することができる。
【0018】
重量物固定部13は、支持部13aと傾斜部13bとを含む。支持部13aは、第1面11aに対して垂直な方向に延びている。傾斜部13bは、第1面11aと支持部13aとを接続するように配置されている。傾斜部13bが第1面11aと接続されている点は、一対の支持部13aの間に配置されている。図1に示されるように、傾斜部13bは第1面11aに対して傾斜している。2つの爪15の並ぶ方向に沿って並ぶ2つの傾斜部13bは、互いに最も近くなっている位置で第1面11aに接続されている。また、当該2つの傾斜部13bは、互いに離れるにつれて第1面11aからの距離が大きくなるように、第1面11aに対して傾斜している。このため、搭載部1に重量物200を搭載した際に、当該重量物200は一対の傾斜部13bに接触した状態で支持される。傾斜部13bが第1面11aに対して傾斜しているため、重量物200の断面における半径によって、第1面11aに対して垂直な方向における重量物200の重心Gの高さH(図7参照)は変化する。
【0019】
把持部12は、側面11c上に配置されている。把持部12は、使用者が力を加えることで搭載部1を揺動できる。具体的には、把持部12は、第1面11aを挟むように配置された2つの側面11cそれぞれに形成されている。2つの側面11cに形成された一対の把持部12の形状は、円柱状である。なお、把持部12の形状は把持可能であれば他の任意の形状であってもよい。把持部12は、側面11cに対して垂直な方向に延びるように形成されている。一対の把持部12は、たとえば、図1および図2に示される垂直状態における回転ベース板11において、接地面から最も離れた点に配置されている。図2に示される側面視において、把持部12は、4節リンク機構部2と搭載部1とが接続されている点から離れていることが好ましい。具体的には、把持部12は、上記側面視において、第1リンク20aと搭載部1とが接続されている点から最も離れた搭載部1上の部分に配置されていることが好ましい。このようにすれば、力点としての把持部12を第1リンク20aと搭載部1とが接続されている点(支点)から十分離れた位置に設定できる。このため、てこの原理によって、搭載部1の姿勢を変更するときに、把持部12に力を加える使用者の負荷が低減される。その結果、搭載部1の姿勢は、手動によって容易に変更することができる。
【0020】
ここで、本実施の形態1に係る姿勢変更装置100の特徴は、図1から図3に示されるように、当該姿勢変更装置100が4節リンク機構部2を備えた点である。4節リンク機構部2は搭載部1を挟むように2つ配置されている。2つの4節リンク機構部2は同一の構成を有している。具体的には、4節リンク機構部2は、第1リンク20aと、第2リンク20bと、第3リンク20cと、第4リンク20dと、回転軸22とを有する。回転軸22は、第1回転軸22aと、第2回転軸22bと、第3回転軸22cと、第4回転軸22dとを含む。第1回転軸22aと、第2回転軸22bと、第3回転軸22cと、第4回転軸22dとは、それぞれ回転ベース板11の第1面11aに沿った方向であって、2つの爪15が並ぶ方向(または回転ベース板11の延在方向と垂直な方向)に沿って延びている。第1リンク20a、第2リンク20b、および第3リンク20cの各々は、棒状である。第1リンク20a、第2リンク20b、および第3リンク20cの各々の両端には貫通孔(図示せず)が形成されている。第4リンク20dは、基盤3の側部32に対応する。側部32の一部である第4リンク20dの両端部には回転軸22を挿入する貫通孔が形成された突起部が形成されている。第1リンク20aは、第4リンク20dより短い。第2リンク20bと第3リンク20cとの長さは互いに等しい。つまり、第1リンク20aが接地面に対して水平である場合、姿勢変更装置100の側面視において、4節リンク機構部2の形状は等脚台形となる。
【0021】
第2リンク20bは、第1リンク20aおよび第4リンク20dに接続されている。第3リンク20cは、第1リンク20aおよび第4リンク20dに接続されている。具体的には、第2リンク20bは第1回転軸22aを介して第4リンク20dと接続されている。第2リンク20bの貫通孔および第4リンク20dの一方の端部における突起部の貫通孔に第1回転軸22aが挿入されている。第3リンク20cは第2回転軸22bを介して第4リンク20dと接続されている。第3リンク20cの貫通孔および第4リンク20dの他方の端部における突起部の貫通孔に第2回転軸22bが挿入されている。第4リンク20dの上記突起部は、接地面と対向する下面の反対側の上面から突出するように形成されている。第3リンク20cは第3回転軸22cを介して第1リンク20aと接続されている。第3リンク20cの貫通孔および第1リンク20aの貫通孔に第3回転軸22cが挿入されている。第2リンク20bは第4回転軸22dを介して第1リンク20aと接続されている。第2リンク20bの貫通孔および第1リンク20aの貫通孔に第4回転軸22dが挿入されている。このようにして、第2リンク20bは、第1回転軸22aを中心として回転する。第3リンク20cは、第2回転軸22bを中心として回転する。具体的には、図2に示されるように、第1回転軸22aを中心として第4回転軸22dが第1回転方向R1に沿って移動するように第2リンク20bが回転可能である。また、同時に第2回転軸22bを中心として、第3回転軸22cが第2回転方向R2に沿って移動するように第3リンク20cが回転可能である。その結果、第2リンク20bおよび第3リンク20cの動きに伴って、第1リンク20aが連動して移動する。
【0022】
第1リンク20aは、搭載部1との相対的な位置が固定されるように搭載部1に接続されている。具体的には、搭載部1はブロック14を有する。ブロック14の形状は、たとえば、直方体である。ブロック14は、回転ベース板11の第2面11bに接続されている。ブロック14は、回転ベース板11の長手方向における中央に固定されている。回転ベース板11の長手方向に対して垂直な方向において、ブロック14の幅は回転ベース板11の幅と同じである。なお、ブロック14の幅は、回転ベース板11の幅より小さくてもよいし大きくてもよい。ブロック14の両端には、第3回転軸22cが挿入される孔(図示せず)が形成されている。搭載部1の側面11cには、第4回転軸22dが挿入される孔(図示せず)が形成されている。第1リンク20aは、第4回転軸22dを介して、搭載部1の側面11cと接続されている。第4回転軸22dは、搭載部1の側面11cに形成されている孔に挿入されている。第1リンク20aおよび搭載部1の側面11cはヒンジピンによって固定されている。第1リンク20aは、第3回転軸22cを介して、ブロック14と接続されている。第3回転軸22cは、ブロック14に形成されている孔に挿入されている。第1リンク20aおよびブロック14はヒンジピンによって固定されている。このように第1リンク20aの2カ所がブロック14および回転ベース板11の側面11cに固定されていることで、第1リンク20aが搭載部1に固定されている。図2に示される垂直状態では、姿勢変更装置100の側面視において、ブロック14からみて、第4回転軸22dは、爪15がある領域(ブロック14よりも基盤3側の領域)に配置されている。このように、搭載部1は4節リンク機構部2と固定されているため、搭載部1の移動に関する自由度は1となる。
【0023】
このように、姿勢変更装置100は4節リンク機構部2を備えることで、重量物200が搭載された搭載部1の姿勢を変更する時に、重量物200の重心Gの位置の変位量を小さくすることができる。つまり、図2に示される垂直状態から図3に示される水平状態に重量物200の姿勢を変更しても、当該重量物200の重心Gの位置エネルギーの変化量が少ない。また、搭載部1の移動に関する自由度が1であるため、搭載部1の姿勢が垂直状態から水平状態に変更される時の動作が一意に決まる。その結果、重量物200の姿勢を変更する際に、電動の姿勢変更装置を用いなくても、当該姿勢変更装置100であれば、手動で重量物200の姿勢を容易に変更することができる。
【0024】
前述したように第1リンク20aは、第4リンク20dよりも短い。具体的には、第3回転軸22cと第4回転軸22dとの間の距離は、第1回転軸22aと第2回転軸22bとの間の距離よりも短い。このようにすれば、接地面に対して垂直方向における重量物200の重心Gの位置の変位量が小さくなる。その結果、手動で重量物200の姿勢を変更する時に、より小さい力で重量物200の姿勢を変更することができる。ただし、第1リンク20aが短すぎると、たとえば、水平状態のときに第3リンク20cの延在方向は接地面に対して垂直な方向にならない。そのため、第1リンク20aの長さは、水平状態のときに第3リンク20cの延在方向は接地面に対して垂直な方向になる程度の長さであればいい。同様の観点から、第1リンク20aが短すぎると、垂直状態のときに第2リンク20bの延在方向は接地面に対して垂直な方向にならない。そのため、第1リンク20aの長さは、垂直状態のときに第2リンク20bの延在方向は接地面に対して垂直な方向になる程度の長さであればいい。
【0025】
4節リンク機構部2は、ストッパ21を有する。ストッパ21は平板である。具体的には、ストッパ21は、第1ストッパ21aと第2ストッパ21bとを含む。第1ストッパ21aは、第3リンク20cに接続されている。図2に示される垂直状態では、第1ストッパ21aは、第3リンク20cにおいて、姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して反対側の面に接続されている。第1リンク20aおよび第3リンク20cは第3回転軸22cを介して接続されている。第3回転軸22cが伸びる方向において、第1ストッパ21aの幅は第1リンク20aの幅と第3リンク20cの幅とを足し合わせた幅以上である。つまり、図3に示されるように水平状態において、第1ストッパ21aは第1リンク20aと接触可能である。この結果、第1ストッパ21aによって第3回転軸22cを中心とした第3リンク20cに対する第1リンク20aの回転可能範囲が制限される。第2ストッパ21bは、第2リンク20bに接続されている。図3に示される水平状態において、第2ストッパ21bは、第2リンク20bにおいて、姿勢変更装置100が前進する方向X側の面に接続されている。第1リンク20aおよび第2リンク20bは第4回転軸22dを介して接続されている。第4回転軸22dが伸びる方向において、第2ストッパ21bの幅は第1リンク20aの幅と第2リンク20bの幅とを足し合わせた幅以上である。つまり、図2に示されるように垂直状態において、第2ストッパ21bは第1リンク20aと接触可能である。この結果、第1リンク20aは第2ストッパ21bによって第4回転軸22dを中心とした第2リンク20bに対する第1リンク20aの回転可能範囲が制限される。このようにして、ストッパ21は4節リンク機構部2の動きを制御する。
【0026】
次に、姿勢変更装置100の動作について説明する。
図1および図2に示されるように、姿勢変更装置100において、垂直状態は、2つ爪15が接地面に対して平行な方向(水平な方向)を向いている状態である。回転ベース板11の長手方向は接地面に対して垂直な方向である。第4リンク20dの延在方向は、接地面に対して平行な方向である。垂直状態において、第3リンク20cの延在方向は接地面に対して垂直な方向である。第2リンク20bは、姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して、第1回転軸22aを中心として135°後方に傾いている。異なる観点から言うと、第2リンク20bと第4リンク20dとのなす角の内、鈍角となる角度が135°である。第1リンク20aは、姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して第3回転軸22cを中心として45°下方に傾いている。つまり、第1リンク20aは、第2リンク20bと同じ方向に延びるように傾いている。このため、姿勢変更装置100の側面視において、図2に示された垂直状態では、4節リンク機構部2の形状は、第1回転軸22a、第2回転軸22b、第3回転軸22cをそれぞれ頂点とした直角三角形となる。このとき、姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して135°以上後方に第2リンク20bが傾かないように、当該第2リンク20bは第2ストッパ21bによって第1リンク20aとの相対的な位置が固定されている。
【0027】
一方、図3に示されるように、姿勢変更装置100において、水平状態は、2つの爪15の延在方向が接地面に対して垂直な方向となっている状態である。回転ベース板11の長手方向は接地面に対して水平な方向となる。第4リンク20dの延在方向は、接地面に対して平行な方向である。水平状態において、第2リンク20bの延在方向は接地面に対して垂直な方向である。第3リンク20cの延在方向は、第2回転軸22bを中心として姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して45°前方に傾いている。異なる観点から言うと、第3リンク20cと第4リンク20dとのなす角の内、鈍角となる角度が135°である。第1リンク20aの延在方向は、姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して、第4回転軸22dを中心として135°下方に傾いている。つまり、第1リンク20aは、第3リンク20cと同じ方向に延びるように傾いている。このため、姿勢変更装置100の側面視において、図3に示された水平状態では、4節リンク機構部2の形状は、第1回転軸22a、第2回転軸22b、第4回転軸22dをそれぞれ頂点とした直角三角形となる。このとき、姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して135°以上後方に第3リンク20cが傾かないように、当該第3リンク20cは第1ストッパ21aによって第1リンク20aとの相対的な位置が固定されている。
【0028】
姿勢変更装置100を使用する際、まず、垂直状態において、パレット300に形成されている孔に、2つの爪15を挿入する。重量物200はパレット300上に搭載されている。このようにして、図2に示されるように、2つの爪15に重量物200が搭載される。次に、把持部12を把持して、図2に示されるように姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して反対方向に力F1を加える。この時、姿勢変更装置100が接地面に対して動かないように、キャスタ4はロックされていることが好ましい。
【0029】
上記の様に把持部12に対して力F1が加えられることで、第4回転軸22dが第1回転方向R1に沿って移動するように、第2リンク20bが第1回転軸22aを中心として動く。具体的には、半径が第1回転軸22aと第4回転軸22dとの間の距離であり、第1回転軸22aを中心とした円軌道上を第4回転軸22dが移動する。を中心として、第3回転軸22cが第2回転方向R2に沿って移動するように、第3リンク20cが第2回転軸22bを中心として動く。具体的には、半径が第2回転軸22bと第3回転軸22cとの間の距離であり、第2回転軸22bを中心とした円軌道上を第3回転軸22cは移動する。第1回転軸22aと第4回転軸22dとの間の距離と、第2回転軸22bと第3回転軸22cとの間の距離とが同じである。また、4節リンク機構部2は閉リンク構造である。そのため、第2リンク20bおよび第3リンク20cの回転量は同じである。第1リンク20aの回転量は、第2リンク20bおよび第3リンク20cの回転量の2倍である。第1リンク20aおよび搭載部1はヒンジピンによって固定されている。そのため、搭載部1、および搭載部1に固定されている部品の回転量は、第1リンク20aの回転量と同期する。
【0030】
搭載部1が揺動(回転)する際に発生する慣性力によって搭載部1が90°以上回転しないように、第3リンク20cは第1ストッパ21aによって第1リンク20aとともに移動が制御される。このようにして、図2に示された垂直状態から図3に示された水平状態へ重量物200を搭載した搭載部1は揺動する。その結果、重量物200の姿勢は垂直状態から水平状態に変更される。
【0031】
その後、キャスタ4のロックを解除すれば、重量物200の姿勢を水平状態に維持したまま、重量物200を搬送することができる。
【0032】
一方、重量物200の姿勢を水平状態から垂直状態に変更する場合、把持部12を把持して、図3に示されるように第2面11bから第1面11aに向かう方向(接地面に対して垂直な方向)に力F2を加える。このようにすることで、重量物200を搭載した搭載部1は図3に示された状態から図2示された状態へ揺動する。その結果、重量物200の姿勢は水平状態から垂直状態に変更される。この時、搭載部1が揺動(回転)する際に発生する慣性力によって搭載部1が90°以上回転しないように、第2リンク20bは第2ストッパ21bによって第1リンク20aとともに移動が制御される。
【0033】
<作用効果>
本開示に従った姿勢変更装置100は、搭載部1と4節リンク機構部2とを備える。搭載部1は重量物200を搭載し得る。4節リンク機構部2は、第1リンク20aと第2リンク20bと第3リンク20cと第4リンク20dとを有する。第1リンク20aは、搭載部1との相対的な位置が固定されるように搭載部1に接続されている。第2リンク20bは、第1リンク20aおよび第4リンク20dに接続されている。第3リンク20cは、第1リンク20aおよび第4リンク20dに接続されている。4節リンク機構部2は回転軸22を有する。搭載部1の揺動方向が回転軸22に沿った方向に対して垂直な方向である。
【0034】
このようにすれば、搭載部1の移動に関する自由度は1となり、搭載部1に搭載された重量物200の重心Gの位置の変位量を小さくできる。その結果、電動の姿勢変更装置を使用しなくても、本実施の形態1に係る姿勢変更装置100によって手動で重量物200の姿勢を変更することができる。
【0035】
上記姿勢変更装置100について、第1リンク20aは第4リンク20dよりも短い。このようにすれば、接地面に対して垂直方向における、重量物200の重心Gの位置の変位量が小さくなる。その結果、手動で重量物200の姿勢を変更する時に、より小さい力で重量物200の姿勢を変更することができる。
【0036】
上記姿勢変更装置100は、把持部12を備える。把持部12は、使用者が力を加えることで搭載部1を揺動できる。把持部12は、回転軸22に沿った方向から見て、第1リンク20a部と搭載部1とが接続されている点から最も離れた搭載部1における点に配置されている。このようにすれば、てこの原理によって、搭載部1の姿勢を変更する時に、使用者の負荷が低減される。その結果、手動で重量物200の姿勢を変更する時に、より小さい力で重量物200の姿勢を変更することができる。
【0037】
実施の形態2.
<姿勢変更装置100の構成>
図4は、実施の形態2に係る姿勢変更装置100の斜視図である。図4図1に対応する。図5は、実施の形態2に係る姿勢変更装置100の概略側面図である。図5図2に対応する。図6は、実施の形態2に係る姿勢変更装置100の概略側面図である。図6図3に対応する。図4から図6に示された姿勢変更装置100は、基本的には図1から図3に示された姿勢変更装置100と同様の構成を備えるが、4節リンク機構部2が伸縮機構部25およびダンパ24を有する点で異なる。伸縮機構部25は、たとえば、ガススプリングである。ガススプリングは圧縮されたガスを利用したバネである。ダンパ24は、たとえば、ロータリダンパであり、第1リンク20a、第2リンク20b、第3リンク20cおよび第4リンク20dの相対的な回転運動を抑制する制動力を生じさせる。
【0038】
伸縮機構部25は、第1伸縮機構部25aと第2伸縮機構部25bとを含む。第1伸縮機構部25aは、第1回転軸22aと第3回転軸22cとを接続する。第2伸縮機構部25bは、第2回転軸22bと第4回転軸22dとを接続する。図5に示されるように、垂直状態においては、第1伸縮機構部25aは自然長より伸びているため、復元力Ta1が働く。一方、第2伸縮機構部25bは自然長より縮んでいるため、復元力Tb1が働く。復元力Ta1,Tb1は、いずれも重量物200の姿勢を垂直状態から水平状態へ変更するための動作を補助する。
【0039】
図6に示されるように、水平状態においては、第1伸縮機構部25aは自然長より縮んでいるため、復元力Ta2が働く。一方、第2伸縮機構部25bは自然長より伸びているため、復元力Tb2が働く。復元力Ta2,Tb2は、いずれも重量物200の姿勢を水平状態から垂直状態へ変更するための動作を補助する。
【0040】
伸縮機構部25の取り付け角度は、全方向に対応する機能を有していることが好ましい。また、伸縮機構部25の圧縮比は1.2以上1.4以下であることが好ましい。特に、圧縮比は小さければよい。また、伸縮機構部25は、当該伸縮機構部25が伸縮しないようにロック機能を有するものが好ましい。
【0041】
ダンパ24は、第1ダンパ24aと第2ダンパ24bとを含む。第1ダンパ24aは第1回転軸22aに固定されている。第2ダンパ24bは第2回転軸22bに固定されている。ダンパ24は、搭載部1が回転する際に発生する慣性力を緩和させる。そのため、ストッパ21と併用して4節リンク機構部2の動きを制御する。
【0042】
ダンパ24は回転方向の可動範囲に制限がある。そのため、ダンパ24の回転方向の可動範囲は第2リンク20bおよび第3リンク20cの回転方向の可動範囲以上であることが好ましい。例えば、第2リンク20bおよび第3リンク20cの回転方向の可動範囲が45°である場合、第1ダンパ24aおよび第2ダンパ24bの回転方向の可動範囲は45°以上であることが好ましい。
【0043】
次に、姿勢変更装置100の動作について説明する。
図5に示されるように、垂直状態において、2つの爪15に重量物200が搭載される。次に、使用者が把持部12を把持して、姿勢変更装置100が前進する方向Xに対して反対方向に力F1を加える。この時、姿勢変更装置100が接地面に対して動かないように、キャスタ4はロックされていることが好ましい。
【0044】
前述したように、垂直状態においては、第1伸縮機構部25aは自然長より伸びているため、復元力Ta1が働く。一方、第2伸縮機構部25bは自然長より縮んでいるため、復元力Tb1が働く。図5に示された姿勢変更装置100の側面視において、4節リンク機構部2の形状は、第1回転軸22a、第2回転軸22b、第3回転軸22cをそれぞれ頂点とした直角三角形となっている。第2伸縮機構部25bの復元力Tb1は、第1回転軸22aと第3回転軸22cとを結んだ斜辺に対して垂直な方向に働く。復元力Ta1、Tb1は、いずれも重量物200の姿勢を垂直状態から水平状態へ変更する動作を補助する。
【0045】
第1回転軸22aと第3回転軸22cとの間の距離が、第2回転軸22bと第4回転軸22dとの間の距離と同じになった状態において、第1伸縮機構部25aの復元力Taと第2伸縮機構部25bの復元力Tbとは一致する。その後、重量物200の姿勢が垂直状態から水平状態へ変更していく過程において、伸縮機構部25の復元力Ta,Tbは、重量物200の姿勢を水平状態から垂直状態へ変更する動作を補助する方向に働く。この状態において、把持部12に対して使用者が力F1を加え続けることで、重量物200を搭載した搭載部1は揺動(回転)を継続する。その結果、重量物200の姿勢は垂直状態から水平状態に変更される。
【0046】
図6に示されるように、水平状態においては、第1伸縮機構部25aは自然長より縮んでいるため、復元力Ta2が働く。第2伸縮機構部25bは自然長より伸びているため、復元力Tb2が働く。姿勢変更装置100の側面視において、4節リンク機構部2の形状は、第1回転軸22a、第2回転軸22b、第4回転軸22dをそれぞれ頂点とした直角三角形となる。第1伸縮機構部25aの復元力Ta2は、第2回転軸22bと第4回転軸22dとを結んだ斜辺に対して垂直な方向に働く。
【0047】
水平状態において、回転ベース板11の長手方向が水平であることを確認した後、伸縮機構部25にロックをかける。これによって、ストッパ21と伸縮機構部25とによって搭載部1の姿勢を水平状態に固定させる。
【0048】
キャスタ4のロックを解除すれば、重量物200の姿勢を水平状態に維持したまま、重量物200を搬送することができる。
【0049】
一方、重量物200の姿勢を水平状態から垂直状態に変更する場合、図6に示されるように把持部12を把持して、第2面11bから第1面11aに向かう方向に力F2を加える。水平状態においては、第2伸縮機構部25bは自然長より伸びているため、復元力Tb2が働く。第1伸縮機構部25aは自然長より縮んでいるため、復元力Ta2が働く。このようにすることで、搭載部1は上述した図5の状態から図6の状態となる動きと逆の動きをする。すなわち、重量物200を搭載した搭載部1は揺動する。その結果、重量物200の姿勢は水平状態から垂直状態に変更される。
【0050】
<作用効果>
上記姿勢変更装置100において、4節リンク機構部2は、第1伸縮機構部25aを有する。第1伸縮機構部25aは、第1リンク20aと第2リンク20bとに接続されている。第1伸縮機構部25aは、第1リンク20aからみて前記第2リンク20bが配置されている方向に沿って伸縮可能である。
【0051】
このようにすれば、第1伸縮機構部25aによる復元力Taが重量物200の姿勢を変更する方向に働く。その結果、手動で重量物200の姿勢を変更する時に、より小さい力で重量物200の姿勢を変更することができる。
【0052】
上記姿勢変更装置100について、4節リンク機構部2は、第2伸縮機構部25bを有する。第2伸縮機構部25bは、第1リンク20aと第3リンク20cとに接続されている。第2伸縮機構部25bは、第1リンク20aからみて第3リンク20cが配置されている方向に沿って伸縮可能である。
【0053】
このようにすれば、第2伸縮機構部25bによる復元力Tbが重量物200の姿勢を変更する方向に働く。その結果、手動で重量物200の姿勢を変更する時に、より小さい力で重量物200の姿勢を変更することができる。
【0054】
上記姿勢変更装置100について、4節リンク機構部2は、第1リンク20a、第2リンク20b、第3リンク20cおよび第4リンク20dの相対的な回転運動を抑制する制動力を生じさせるダンパ24を有する。このようにすれば、搭載部1が回転する際に発生する慣性力をダンパ24によって緩和させることができる。
【0055】
実施の形態3.
<姿勢変更装置100の構成>
図7は、実施の形態3に係る姿勢変更装置100の平面図である。図7に示された姿勢変更装置100は、基本的には図1から図3に示された姿勢変更装置100と同様の構成を備えるが、搭載された重量物200の高さHを変更できる点で異なる。搭載部1は、高さ調節機構部を有する。高さ調節機構部は、重量物200を搭載した際に、重量物200の高さを調節可能である。具体的には、高さ調節機構部は、円形ハンドル13eと、伸縮部材13cと、スライドテーブル13fと、おねじ13dとを含む。
【0056】
回転ベース板11の把持部12近傍に、回転ベース板11の長手方向に対して垂直な方向、かつ、第1面11aに沿った方向におねじ13dが配置されている。スライドテーブル13fはおねじ13dと移動可能に接続されている。スライドテーブル13fにはスライドテーブル13fを貫通するねじ穴が形成されている。おねじ13dは当該ねじ穴に挿入されている。スライドテーブル13fは、おねじ13d上において、図8の第1方向Dに移動可能である。重量物固定部13の傾斜部13bは、伸縮部材13cを介してスライドテーブル13fに接続されている。伸縮部材13cは、たとえば、ばねである。傾斜部13bには、当該傾斜部13bに対して垂直な方向に伸縮部材13cによる張力が働いている。傾斜部13bは、支持部13aと第5回転軸13gを介して接続されている。第5回転軸13gは、回転ベース板11の長手方向に沿って伸びている。つまり、第5回転軸13gを中心として、傾斜部13bは回転され得る。円形ハンドル13eは、把持部12近傍に配置されている。円形ハンドル13eは、図7に示されるように、使用者が把持して第3回転方向r1に沿って回転させることができる。円形ハンドル13eとおねじ13dとはギアなどを介して回転動力を伝達可能に接続されている。円形ハンドル13eを手動によって第3回転方向r1に回転させることで、おねじ13dを回転させることができる。この結果、スライドテーブル13fの位置を調節することができる。スライドテーブル13fの位置を調節することで、伸縮部材13cの張力の大きさが変化する。たとえば、円形ハンドル13e近傍にスライドテーブル13fを移動させると、傾斜部13bに働く張力は低減する。一方、円形ハンドル13eから離れた位置にスライドテーブル13fを移動させると、傾斜部13bに働く張力は増加する。このようにすれば、搭載部1に重量物200を搭載した際に、重量物200の高さHを変更することができる。重量物200の高さHは、第1面11aに対して垂直な方向における第1面11aと重量物200の重心Gとの距離である。
【0057】
重量物200の形状が円柱であり、かつ傾斜部13bが第1面11aに固定されている場合は、図7に示される重量物200の延在方向から見た重量物200の半径に応じて、傾斜部13bと重量物200との接する点の位置が異なる。その結果、重量物200の半径によって、当該重量物200の重心Gと第1面11aとの距離が異なる。たとえば、重量物200の半径が小さければ、当該重量物200の重心Gは第1面11aに相対的に近くなる。一方、重量物200の半径が大きければ、当該重量物200の重心Gは第1面11aから相対的に離れる。このため、たとえば、複数の重量物200をコンベアに搬送する際に姿勢変更装置100を用いる場合、複数の重量物200の半径の各々が異なると、第1面11aから重量物200の重心Gまでの距離がそれぞれ異なる。その結果、重量物200を姿勢変更装置100からコンベアに移し替える際の作業性が悪化する恐れがある。
【0058】
実施の形態3に係る姿勢変更装置100であれば、第1面11aから重量物200の重心Gまでの距離を調節することができる。その結果、半径が各々異なる複数の重量物200をコンベアに移し替える際の作業性が改善される。
【0059】
<作用効果>
上記姿勢変更装置100について、搭載部1は高さ調節機構部を有する。高さ調節機構部は、重量物200を搭載した際に、重量物200の位置を調節可能である。このようにすれば、第1面11aから重量物200の重心Gまでの距離を調節することができる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【0061】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
重量物を搭載し得る搭載部と、
4節リンク機構部とを備え、
前記4節リンク機構部は、
第1リンクと、第2リンクと、第3リンクと、第4リンクとを有し、
前記第1リンクは前記搭載部との相対的な位置が固定されるように前記搭載部に接続されており、
前記第2リンクは、前記第1リンクおよび前記第4リンクに接続されており、
前記第3リンクは、前記第1リンクおよび前記第4リンクに接続されており、
前記4節リンク機構部は回転軸を有し、
前記搭載部の揺動方向が前記回転軸に沿った方向に対して垂直な方向である、姿勢変更装置。
(付記2)
前記第1リンクは前記第4リンクよりも短い、付記1に記載の姿勢変更装置。
(付記3)
前記4節リンク機構部は、第1伸縮機構部を有し、
前記第1伸縮機構部は、前記第1リンクと前記第2リンクとに接続されており、
前記第1伸縮機構部は、前記第1リンクからみて前記第2リンクが配置されている方向に沿って伸縮可能である、付記1から付記3のいずれか1項に記載の姿勢変更装置。
(付記4)
前記4節リンク機構部は、第2伸縮機構部を有し、
前記第2伸縮機構部は、前記第1リンクと前記第3リンクとに接続されており、
前記第2伸縮機構部は、前記第1リンクからみて前記第3リンクが配置されている方向に沿って伸縮可能である、付記3に記載の姿勢変更装置。
(付記5)
前記4節リンク機構部は、前記第1リンク、前記第2リンク、前記第3リンクおよび前記第4リンクの相対的な回転運動を抑制する制動力を生じさせるダンパを有する、付記1から付記4のいずれか1項に記載の姿勢変更装置。
(付記6)
前記搭載部は、前記重量物を搭載した際に、前記重量物の位置を調整可能な高さ調節機構部を有する、付記1から付記5のいずれか1項に記載の姿勢変更装置。
(付記7)
使用者が力を加えることで前記搭載部を揺動できる把持部を備え、
前記把持部は、前記回転軸に沿った方向から見て、前記第1リンク部と前記搭載部とが接続されている点から最も離れた搭載部における点に配置されている、付記1から付記6のいずれか1項に記載の姿勢変更装置。
【符号の説明】
【0062】
1 搭載部、2 4節リンク機構部、3 基盤、4 キャスタ、11 回転ベース板、11a 第1面、11b 第2面、11c 側面、12 把持部、13 重量物固定部、13a 支持部、13b 傾斜部、13c 伸縮部材、13d おねじ、13e 円形ハンドル、13f スライドテーブル、13g 第5回転軸、14 ブロック、15 爪、20a 第1リンク、20b 第2リンク、20c 第3リンク、20d 第4リンク、21 ストッパ、21a 第1ストッパ、21b 第2ストッパ、22 回転軸、22a 第1回転軸、22b 第2回転軸、22c 第3回転軸、22d 第4回転軸、24 ダンパ、24a 第1ダンパ、24b 第2ダンパ、25 伸縮機構部、25a 第1伸縮機構部、25b 第2伸縮機構部、31 接続部、32 側部、100 姿勢変更装置、200 重量物、300 パレット、D 第1方向、F1,F2 力、G 重心、H 高さ、R1 第1回転方向、R2 第2回転方向、Ta,Ta1,Ta2,Tb,Tb1,Tb2 復元力、X 前進する方向、r1 第3回転方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7