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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153306
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】機械式駐車設備の入庫システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
E04H6/18 601G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067110
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島津 秀章
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和夫
(57)【要約】
【課題】 入庫車両の認識後に車両が退出しても適切に入庫処理を自動で終了できる機械式駐車設備の入庫システムを提供する。
【解決手段】 入庫車両が機械式駐車設備前の所定エリアに存在していることを検出する第1センサと、入庫前に前記入庫車両が契約車両か否かを識別するための情報を取得する第2センサと、前記第2センサで取得した情報から前記入庫車両が前記契約車両であると認識し、かつ、前記第1センサによる前記入庫車両の存在を検出すればパレットの入庫呼びを行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記パレットの入庫呼びを行った後、前記第1センサによる前記入庫車両の非検出に基づいて前記パレットの入庫呼びを取り消す。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入庫車両が機械式駐車設備前の所定エリアに存在していることを検出する第1センサと、
入庫前に前記入庫車両が契約車両か否かを識別するための情報を取得する第2センサと、
前記第2センサで取得した情報から前記入庫車両が前記契約車両であると認識し、かつ、前記第1センサによる前記入庫車両の存在を検出すればパレットの入庫呼びを行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記パレットの入庫呼びを行った後、前記第1センサによる前記入庫車両の非検出に基づいて前記パレットの入庫呼びを取り消す、
機械式駐車設備の入庫システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記パレットの入庫呼びの完了後、入出庫扉を開いた後、前記第1センサによる前記入庫車両の前記所定エリアにおける非検出に基づいて、前記入出庫室内の安全確認を庫内検出センサの使用により実施した後、前記入出庫扉を閉じる、
請求項1に記載の機械式駐車設備の入庫システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1センサにより存在を検出した前記入庫車両の前記非検出に基づいて、次の入庫車両が誤って入庫することを防ぐために注意喚起する報知部を備えている、
請求項2に記載の機械式駐車設備の入庫システム。
【請求項4】
前記第2センサは、前記入庫車両のナンバープレートを撮影するカメラであり、
前記制御部は、前記第2センサで撮影した前記ナンバープレートの情報を画像処理して前記入庫車両が前記契約車両か否かを識別する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の入庫システム。
【請求項5】
前記入庫車両の前記ナンバープレートの情報を前記契約車両の情報としてあらかじめ登録するための端末装置を有する、
請求項4に記載の機械式駐車設備の入庫システム。
【請求項6】
前記第1センサと前記第2センサは、1つのセンサで兼用されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の入庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、機械式駐車設備の入庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車両を駐車させるための機械式駐車設備がマンションやビジネス街等に設置されている。機械式駐車設備は、箱型循環式、水平循環式、平面往復式、縦横移動パズル式及びエレベータ式等、種々の形式の駐車設備が設置条件等に応じて採用されている。例えば、エレベータ式駐車設備では、車両を載せるパレットが複数設けられ、入庫時に所定のパレットに入庫すると、そのパレットは所定の格納位置に搬送されて格納される。
【0003】
一方、近年、画像処理技術が発達し、機械式駐車設備における入庫時に車両のナンバープレートを撮影し、その撮影した画像から入庫車両が登録車両か否かなどを判定する技術がある。この技術を備えた機械式駐車設備では、車両のナンバープレートの情報が登録車両の情報と一致した場合、自動的にパレットの入庫呼びなどの入庫操作が実行される。
【0004】
この種の先行技術として、例えば、撮像カメラで撮影した画像から画像認識装置でナンバープレートを抽出し、ナンバープレートが登録データと一致するときには入庫指令を出力するようにした機械式駐車装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-168985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した先行技術のように、カメラでナンバープレートを認識することで入庫操作を実行した場合、入庫する意思がなくなって退出した場合や、入庫する意思がなく機械式駐車設備の前に停車した場合などでも機械式駐車設備の入庫操作が実行されてしまう。入庫車両がいない状況で入庫操作が継続されて入出庫扉が開放された場合、機械式駐車設備が第二認証によって入出庫扉を閉鎖する構成の場合には入出庫扉の閉鎖ができず、保守員への要請が必要になる。しかも、保守員による入出庫扉の閉鎖作業が完了するまでの間、機械式駐車設備が停止状態となる。このため、次の入出庫操作を希望する利用者に不要な待ち時間が発生する。
【0007】
そこで、本出願は、入庫車両の認識後に車両が退出しても適切に入庫処理を自動で終了できる機械式駐車設備の入庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の一態様に係る機械式駐車設備の入庫システムは、入庫車両が機械式駐車設備前の所定エリアに存在していることを検出する第1センサと、入庫前に前記入庫車両が契約車両か否かを識別するための情報を取得する第2センサと、前記第2センサで取得した情報から前記入庫車両が前記契約車両であると認識し、かつ、前記第1センサによる前記入庫車両の存在を検出すればパレットの入庫呼びを行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記パレットの入庫呼びを行った後、前記第1センサによる前記入庫車両の非検出に基づいて前記パレットの入庫呼びを取り消す。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「入庫呼び」は、パレットを入出庫室の正規位置に搬送して配置することをいう。
【0009】
この構成により、第1センサによる入庫車両の所定エリア内での検知と、第2センサによる入庫車両の情報取得とから、制御部による入庫車両が契約車両であることの認識と第1センサによる入庫車両の存在とでパレットの入庫呼びを行う。その後、第1センサによって入庫車両が非検出になったことに基づいて、パレットの入庫呼びを取り消す。よって、入庫車両の認識後に車両が退出しても適切に入庫処理を自動で終了することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記パレットの入庫呼びの完了後、入出庫扉を開いた後、前記第1センサによる前記入庫車両の前記所定エリアにおける非検出に基づいて、前記入出庫室内の安全確認を庫内検出センサの使用により実施した後、前記入出庫扉を閉じるようにしてもよい。
【0011】
このように構成すれば、入庫車両の検出によってパレットの入庫呼びが完了した後、入庫車両が所定エリアから出て非検出となった場合、入出庫室の安全確認を実施した後、入出庫扉を自動で閉めるようにできる。
【0012】
また、前記制御部は、前記第1センサにより存在を検出した前記入庫車両の前記非検出に基づいて、次の入庫車両が誤って入庫することを防ぐために注意喚起する報知部を備えていてもよい。
【0013】
このように構成すれば、入庫車両が所定エリアで検知されなくなった後、次の入庫車両が先の入庫車両のパレットに入庫しないように注意喚起するので、誤入庫を適切に防止することができる。
【0014】
また、前記第2センサは、前記入庫車両のナンバープレートを撮影するカメラであり、前記制御部は、前記第2センサで撮影した前記ナンバープレートの情報を画像処理して前記入庫車両が前記契約車両か否かを識別するようにしてもよい。
【0015】
このように構成すれば、第2センサで撮影したナンバープレートの情報を画像処理して入庫車両が契約車両か否かを適切に識別することができる。
【0016】
また、前記入庫車両の前記ナンバープレートの情報を前記契約車両の情報としてあらかじめ登録するための端末装置を有するようにしてもよい。
【0017】
このように構成すれば、利用者は、機械式駐車設備に入庫する契約車両の情報を、端末装置を用いて容易に登録することができる。
【0018】
また、前記第1センサと前記第2センサは、1つのセンサで兼用されていてもよい。
【0019】
このように構成すれば、1つのセンサにより、入庫車両が機械式駐車設備前の所定エリアに存在していることの検出と、入庫車両が契約車両か否かを識別するための情報とを取得するので、センサの数を減らして設備費用を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本出願によれば、ナンバープレートの認識後に車両が退出しても適切に入庫処理を自動で終了することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本出願の一実施形態に係るエレベータ式の機械式駐車設備における入庫システムの構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す機械式駐車設備における入庫システムの制御部を示すブロック図である。
図3図3は、図2に示す端末装置においてナンバープレート情報を登録する画面例を示す図面である。
図4図4は、図1に示す機械式駐車設備の入庫システムにおける入庫時の検出状態を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示す検出状態に続く検出状態を示す斜視図である。
図6図6は、図5に示す検出状態から入庫車両が非検出となった状態を示す斜視図である。
図7図7は、図5に示す検出状態とは異なる状態から入庫車両が非検出となった状態を示す斜視図である。
図8図8は、図5に示す検出状態とはさらに異なる状態から入庫車両が非検出となった状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本出願の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車設備の一例としてエレベータ式の機械式駐車設備1を例に説明する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、図1に示す前後左右方向の概念と一致するものとする。
【0023】
<機械式駐車設備の入庫システムの構成>
図1は、一実施形態に係るエレベータ式の機械式駐車設備1における入庫システム5の構成を示す斜視図である。機械式駐車設備1の内部構成は限定されるものではなく、公知のエレベータ式の機械式駐車設備1の構成であるため、内部の図示は省略する。
【0024】
この実施形態の機械式駐車設備1は、地上1階に入出庫室10が設けられており、入出庫室10の入出庫口11には入出庫扉12が設けられている。車両Vは、入出庫扉12が開放した状態で入出庫口11から入出庫室10に出入りする。入出庫扉12の前方には、所定の大きさの車両停車枠20が設定されている。車両停車枠20は、最も入出庫口11に近い位置に停止線24が設けられている。入出庫扉12の斜め上方には、車両停車枠20に進入する車両Vを撮影する第2センサたるカメラ15が設けられている。カメラ15は、車両停車枠20の前方部分を含む範囲が撮影範囲21となっている。カメラ15は、画像処理によってナンバープレート70の情報を認識できる解像度を有している。図示する二点鎖線が撮影範囲21の一例である。カメラ15の設置個所は、機械式駐車設備1の構造及びその周辺の環境次第で異なる。
【0025】
また、入出庫扉12の中央部上方には第1センサ16が設けられている。第1センサ16は、車両停車枠20の前方部分を含む範囲に設定された所定エリア22において車両Vの有無を検出する。図示する一点鎖線の範囲が、所定エリア22の一例であり、停止監視範囲である。第1センサ16は、例えば、赤外線センサの機能で所定エリア22の車両Vを検出する。所定エリア22は、車両Vが車両停車枠20内に停車していると判断するために設けられている。また、この第1センサ16は、車両停車枠20の前部に設定された車両検知位置23において入庫する車両Vを検出する。第1センサ16は、例えば、マイクロ波(図示する破線)センサの機能で車両検知位置23に進入した車両Vを検出する。上記第2センサであるカメラ15は、機械式駐車設備1の前の車両停車枠20に進入する車両Vを、第1センサ16が車両検知位置23で検出することで撮影を開始する。
【0026】
また、この実施形態の機械式駐車設備1は、第1センサ16の上方に、利用者に対して情報を発信する報知部たる表示灯17が備えられている。表示灯17は、入庫しようとする車両V及び次に入庫しようとする車両Vの利用者に注意喚起を実施する。表示灯17は、例えば、LEDなどで文字情報を発信できるものを利用できる。表示灯17は、この実施形態では利用者に対して「撮影中」、「次の入庫車両は進入不可」などの情報を発信する。表示灯17は、現在の入庫車両Vが退出し、次の入庫車両Vが誤って異なる利用者番号で入庫を防ぐために注意喚起を実施する報知部でもある。報知部は、表示灯17の他にマイクなどによる音声でもよい。
【0027】
また、入出庫室10には、第1センサ16による検出、第2センサであるカメラ15による入庫車両Vの検出及び撮影、表示灯17によるメッセージの表示などを制御する制御部30が設けられている。また、入出庫室10の内部には、人や物が残されていないかを検出するための庫内検出センサ18が設けられている(図2参照)。
【0028】
<制御部の構成>
図2は、図1に示す機械式駐車設備1における入庫システム5の制御部30を示すブロック図である。この実施形態の制御部30は、第1センサ16、第2センサであるカメラ15、庫内検出センサ18及び表示灯17が接続されている。制御部30は、第2センサであるカメラ15によって撮影された車両Vの画像データからナンバープレート70を認識する画像処理部31を有する。画像処理部31は、撮影したナンバープレート70の情報を読み取る画像処理ソフトを用いることができる。画像処理ソフトとしては、例えば、ナンバープレート70をOCR (Optical character recognition;光学文字認識)で読み取り、ナンバープレート70の情報を読み取るものを用いることができる。
【0029】
また、制御部30は、予め契約した入庫車両Vのナンバープレート70の情報が登録されている車両登録部32を有する。制御部30は、カメラ15で撮影したナンバープレート70の情報と登録されているナンバープレート70の情報とを照合する照合部33を有する。照合部33は、カメラ15で撮影した車両Vが契約車両であるか否かをナンバープレート70の情報照合で識別する。また、制御部30は、第1センサ16によって所定エリア22における車両Vの有無を常時確認する車両検出部34を有する。この実施形態は、第1センサ16とカメラ15の第2センサとを異なる構成としているが、第1センサ16と第2センサのカメラ15を1つの構成としてもよい。例えば、1つのセンサとしてのカメラで撮影範囲21に進入した車両Vを画像処理で検出し、その車両Vのナンバープレート70を撮影し、車両Vが所定エリア22に停車したことを画像処理で検出するようにしてもよい。
【0030】
制御部30は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。制御部30は、第1センサ16による所定エリア22での車両Vの検出状態を監視する。制御部30は、第2センサであるカメラ15による車両Vの撮影データからナンバープレート70の情報の認識と、そのナンバープレート70の情報と登録情報との照合を行う。制御部30は、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。この実施形態の制御部30は、機械式駐車設備1の各可動部を制御する駐車装置制御システム40を含めた構成としている。駐車装置制御システム40は、制御部30とは別の構成でもよい。
【0031】
また、この実施形態の制御部30は、入庫車両Vのナンバープレート70の情報を登録する端末装置50がネットワーク60を介して接続可能となっている。端末装置50は、例えば、スマートフォン、パソコンなどの端末が利用できる。制御部30は、端末装置50から登録されたナンバープレート70の情報を車両登録部32に登録する。
【0032】
<端末装置の例>
図3は、図2に示す端末装置50においてナンバープレート70の情報を登録する画面例を示す図面である。この実施形態の端末装置50は、あらかじめ専用のアプリケーションをインストールしたスマートフォンの例である。この実施形態の端末装置50は、画面51にナンバープレート70の情報について番号が付され、それぞれの番号の情報を、各入力枠52に入力するようになっている。この実施形態における情報は、ナンバープレート70の、地名(○○)、車両Vの区分の分類番号(△△△)、用途の区分の分類番号(あ)、一連指定番号(12-34)の4つを登録するようになっている。入力した情報は、最下部の矢印53を押すことで制御部30に送信される端末装置50は、パーソナルコンピュータなどでもよく、この実施形態で限定されない。ナンバープレート70の情報の登録は、この例に限定されるものではない。ナンバープレート70の情報の登録は、利用者が契約している管理会社に伝え、管理会社が代行登録するようにしてもよい。
【0033】
<入庫システムの構成>
図4は、図1に示す機械式駐車設備1の入庫システム5における入庫時の検出状態を示す斜視図である。図5は、図4に示す検出状態に続く検出状態を示す斜視図である。図6は、図5に示す検出状態から入庫車両Vが非検出となった状態を示す斜視図である。
【0034】
図4に示すように、利用者は、入庫車両Vを入庫するために契約している機械式駐車設備1の前方まで移動する。機械式駐車設備1は、入庫可能な状態であれば、表示灯17に「入庫可能」などの表示がなされている。利用者は、表示灯17の内容を確認し、車両停車枠20に向かって前進する。第2センサであるカメラ15は、車両Vが第1センサ16によって車両検知位置23で検知されると撮影を開始する。表示灯17は、カメラ15による撮影が開始されると、「撮影中」などの表示となって利用者に撮影中であることを報知する。制御部30は、カメラ15で撮影されたナンバープレート70の画像データを画像処理部31で処理し、ナンバープレート70の情報を抽出する。車両検知位置23が所定エリア22よりも前方に設けられていることによって、車両Vが停車する前に、画像処理部31においてナンバープレート70の画像データの処理が始められる。これにより、制御部30は、車両停車枠20内で停車した車両Vの待ち時間を少なくさせることができる。制御部30は、カメラ15で撮影したナンバープレート70から得られた情報と、車両登録部32に登録されているナンバープレート70の情報とを照合部33で照合する。これにより、入庫車両Vが契約した車両Vか否かを入庫前に識別する。この例は、制御部30が、カメラ15で撮影したナンバープレート70の情報と車両登録部32に登録されている情報とを照合し、入庫車両Vが登録車両であることを確認したものとする。
【0035】
図5に示すように、制御部30は、入庫車両Vが登録車両であれば、例えば、表示灯17に「停止線まで進んで下さい」などの情報を発信する。制御部30は、第1センサ16によって機械式駐車設備前の所定エリア22に入庫車両Vが進入したことを検出した後、所定エリア22における入庫車両Vの在車状態を常時確認する。制御部30は、照合部33での照合による登録車両であることの確認と、第1センサ16における入庫車両Vの検出とによって、駐車装置制御システム40によるパレット13の入庫呼びを開始する。入庫呼びは、登録されている車両Vのパレット13を格納位置から入出庫室10の所定位置に搬送して配置する動作である。制御部30は、パレット13の入庫呼び後も、第1センサ16によって所定エリア22に入庫車両Vが停車していることを常時確認している。
【0036】
その後、図6に示すように、制御部30は、入庫車両Vが所定エリア22から退出し、第1センサ16が所定エリア22において入庫車両Vの在車状態を所定時間検出できなくなったことに基づいて、パレット13の入庫呼びの取り消しを実行する。すなわち、制御部30は、パレット13を入出庫室10に搬出する途中において、入庫車両Vが所定エリア22から退出して第1センサ16で非検出となり、その状態が所定時間続いたことに基づいて、入庫呼びの取り消しを実行する。所定時間は、例えば、20秒乃至40秒程度にできる。これにより、入庫処理が自動で終了する。
【0037】
<入庫システムの異なる制御例>
図7は、図5に示す検出状態とは異なる状態から入庫車両Vが非検出となった状態を示す斜視図である。この制御例は、図4に示すように、入庫車両Vのナンバープレート70の情報と車両登録部32に登録されているナンバープレート70の情報とを照合して一致を確認する。その後、図5に示すように、第1センサ16で所定エリア22において入庫車両Vの在車状態を検出し、パレット13が入庫呼びされた後を説明する。
【0038】
図7に示すように、この制御例は、パレット13が入庫呼びによって入出庫室10の所定位置に配置され、入出庫扉12を開放できる状態となっている例である。制御部30は、パレット13が入出庫室10に配置された状態で、第1センサ16が所定エリアにおいて入庫車両Vの在車状態を検出できなくなると、入出庫扉12を開けずにその状態を所定時間保つ。所定時間は、例えば、20秒乃至40秒程度にできる。そして、制御部30は、入庫車両Vの非検出の状態が所定時間続いたことに基づいて、入庫呼びの取り消しを実行する。制御部30は、入庫呼びの取り消しにより、入出庫扉12は開放しない。制御部30は、入庫処理が自動で終了しているので、表示灯17に「次の入庫車両は停止線まで進んで下さい」などの情報を表示して、次の利用者に報知する。
【0039】
<入庫システムのさらに異なる制御例>
図8は、図5に示す検出状態とはさらに異なる状態から入庫車両Vが非検出となった状態を示す斜視図である。この制御例は、図4に示すように、入庫車両Vのナンバープレート70の情報と車両登録部32に登録されているナンバープレート70の情報とを照合して一致を確認する。その後、図5に示すように、第1センサ16で所定エリア22において入庫車両Vの在車状態を検出し、パレット13が入庫呼びされて、入出庫扉12が開放された後を説明する。
【0040】
図8に示すように、この制御例は、パレット13が入庫呼びによって入出庫室10の所定位置に配置され、入出庫扉12が開放されて入庫呼び完了状態となっている例である。制御部30は、パレット13が入出庫室10に配置されて入出庫扉12を開放した状態で、第1センサ16が所定エリアにおいて入庫車両Vの在車状態が第1センサ16で非検出となり、その状態が所定時間続いたことに基づいて、入庫の取り消しを実行する。所定時間は、例えば、50秒乃至70秒程度にできる。制御部30は、入庫の取り消しにより、入出庫室10の内部の安全確認を実施して人や物が残されていないかを確認後、自動で入出庫扉12を閉める。入出庫室10の内部における安全確認の実施は、入出庫室10に備えられた庫内検出センサ18を使用する。庫内検出センサ18は、例えば、センサ、カメラなどを用いた公知の技術を利用した安全確認装置を利用でき、人の確認動作を要することなく安全確認がなされる。制御部30は、入出庫扉12が閉鎖されて入庫処理が自動で終了するまで、表示灯17に「次の入庫車両は進入不可」などの情報を表示して、次の利用者に注意喚起する。
【0041】
以上のように、上記機械式駐車設備1の入庫システム5は、入庫車両Vのナンバープレート70の情報を予め登録されている情報と照合し、所定エリア22での在車状態の検出によりパレット13の入庫呼びを実行する。その後、入庫車両Vが入庫を取りやめて所定エリア22から退出してしまったことに基づいて、機械式駐車設備1の入庫取消操作を実行する。よって、入庫システム5は、入庫車両Vの認識後に車両Vが退出しても適切に入庫処理を自動で終了することが可能となる。
【0042】
<その他の変形例>
機械式駐車設備1は、上記した実施形態における形式に限定されない。機械式駐車設備1は、例えば、水平循環式、平面往復式、縦横移動パズル式、垂直循環式、多段式、及び平面駐車移動式等、他の形式でもよく、上記した実施形態に限定されない。
【0043】
また、上記した実施形態は一例を示しており、本出願の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本出願は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0044】
<総括>
以上のように、上記機械式駐車設備1の入庫システム5によれば、登録している入庫車両Vを検出してパレット13の入庫呼びを開始したとしても、その後、入庫車両Vが非検出になったことに基づいて入庫呼びを自動で終了することが可能となる。しかも、入出庫室10の入出庫扉12を開放した後でも、入庫車両Vの非検出によって入出庫室10の内部の安全確認と入出庫扉12の閉鎖とを自動で行って入庫操作を終了することが可能となる。
【0045】
よって、登録している入庫車両Vの所定エリア22内での検出により自動で入庫呼びを行う機械式駐車設備1において、入庫車両Vが所定エリア22から退出してしまったとしても、入庫呼びの取り消しや入庫の取り消しを自動で実行することが可能となる。これにより、機械式駐車設備1は、次の入出庫動作を行うことができ、保守員への要請をなくすことが可能となる。
【0046】
このような機械式駐車設備1への操作をなくした入庫システム5は、保守員への要請の削減と負担軽減、機械式駐車設備1の利用者への利便性向上が可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 機械式駐車設備
5 入庫システム
10 入出庫室
12 入出庫扉
13 パレット
15 カメラ(第2センサ)
16 第1センサ
17 表示灯(報知部)
18 庫内検出センサ
20 車両停車枠
21 撮影範囲
22 所定エリア
23 車両検知位置
30 制御部
31 画像処理部
32 車両登録部
33 照合部
34 車両検出部
40 駐車装置制御システム
50 端末装置
60 ネットワーク
70 ナンバープレート
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8