(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153338
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
E05F 15/60 20150101AFI20241022BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
E05F15/60
F25D23/02 306L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067159
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 悟
【テーマコード(参考)】
2E052
3L102
【Fターム(参考)】
2E052AA07
2E052BA04
2E052BA10
2E052CA08
2E052DA05
2E052DB05
2E052EA02
2E052EB01
2E052EC02
3L102JA01
3L102KA06
3L102KB14
(57)【要約】
【課題】開き角度が大きい場合に閉扉機能が作用し使用者の使い勝手のよい貯蔵庫を提供する。
【解決手段】本発明の貯蔵庫は、貯蔵室3を含む貯蔵庫本体2と、貯蔵庫本体2の開口を回動によって開閉する扉10と、扉10の開き角度が第1角度範囲AR1にある状態で、扉10を閉めるように作用する第1閉扉装置40と、扉10の開き角度が第2角度範囲AR2にある状態で、扉10を閉めるように作用する第2閉扉装置50と、を備え、第1角度範囲AR1は、扉10の開き角度が第1角度θ1以下の範囲であり、第2角度範囲AR2は、扉10の開き角度が第1角度θ1より大きい第2角度を含む範囲である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の開口を回動によって開閉する扉と、
前記扉の開き角度が第1角度範囲にある状態で、前記扉を閉めるように作用する第1閉扉装置と、
前記扉の開き角度が第2角度範囲にある状態で、前記扉を閉めるように作用する第2閉扉装置と、を備え、
前記第1角度範囲は、前記扉の開き角度が第1角度以下の範囲であり、
前記第2角度範囲は、前記扉の開き角度が前記第1角度より大きい第2角度を含む範囲である、貯蔵庫。
【請求項2】
前記第1閉扉装置は、前記扉の開き角度が前記第1角度から前記第1角度よりも大きい第3角度までの第3角度範囲にある状態で、前記扉を開くように作用し、
前記第2閉扉装置は、前記扉の開き角度が前記第3角度範囲にある状態において、前記第1閉扉装置が前記扉に付与する力よりも大きい力を付与する、請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記第2閉扉装置は、直線状の所定範囲を往復移動可能に設けられた可動体が往復移動の一方向へ移動することによって動力が発生する閉駆動装置と、前記閉駆動装置の動力を前記扉へ伝達可能に前記扉と前記閉駆動装置とを接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、前記閉駆動装置から動力を受けて回転する回転部材を備え、
前記可動体の移動方向と前記閉駆動装置から前記回転部材に動力が伝達される方向とで形成される劣角側の角度が最小となる状態が、前記扉の開き角度が前記第1角度以上にあるときに生じるように前記閉駆動装置と前記接続部とが配置されている、請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記第2閉扉装置は、直線状の所定範囲を往復移動可能に設けられた可動体が往復移動の一方向へ移動することによって動力が発生する閉駆動装置を備え、
前記閉駆動装置は、電流が供給されて磁界が発生する巻線と、前記可動体を覆う可動体被覆部とを備え、前記巻線において発生した前記磁界によって前記可動体を移動させる装置であって、
前記扉が最大限開いたときに比べて前記第3角度範囲内にあるときの方が、前記可動体被覆部が前記可動体を覆う面積が大きくなるように、前記可動体被覆部が設けられている、請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記第2閉扉装置は、直線状の所定範囲を往復移動可能に設けられた可動体が往復移動の一方向へ移動することによって動力が発生する閉駆動装置を備え、
前記閉駆動装置は、電流が供給されて磁界が発生する巻線を備え、発生した前記磁界によって前記可動体を移動させる装置であって、
前記可動体における動力発生時の移動方向前端部が先細形状に設けられている、請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記扉の開扉状態及び閉扉状態を検出する扉検出部を備え、
前記第2閉扉装置を駆動した後、前記扉検出部が引き続き開扉状態を検出した場合、再度、前記第2閉扉装置を駆動する、請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記第2閉扉装置を駆動した後、前記扉検出部が引き続き開扉状態を検出した場合、再度、前記第2閉扉装置を駆動するか否かを設定可能である、請求項6に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記第2閉扉装置は、直線状の所定範囲を往復移動可能に設けられた可動体が往復移動の一方向へ移動することによって動力が発生する閉駆動装置を備え、
前記可動体は、前記扉が開かれることによって、前記扉が閉まった状態における位置から前記一方向の反対方向へ移動する、請求項1に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫などの貯蔵庫では、扉を自動で閉じることのできる閉扉機能を備えた貯蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下記特許文献1では、開き角度が比較的小さい範囲のみで閉扉機能が作用するため、使用者が扉を閉め損ねた場合のように閉扉位置近傍にある扉しか閉じることができず使い勝手がよくない。
【0005】
そこで、本発明では、開き角度が大きい場合に閉扉機能が作用し使用者の使い勝手のよい貯蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の貯蔵庫は、貯蔵室を含む貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の開口を回動によって開閉する扉と、前記扉の開き角度が第1角度範囲にある状態で、前記扉を閉めるように作用する第1閉扉装置と、前記扉の開き角度が第2角度範囲にある状態で、前記扉を閉めるように作用する第2閉扉装置と、を備え、前記第1角度範囲は、前記扉の開き角度が第1角度以下の範囲であり、前記第2角度範囲は、前記扉の開き角度が前記第1角度より大きい第2角度を含む範囲である、ものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図1の冷蔵庫の冷蔵室左扉の下ヒンジの構造を示す分解斜視図
【
図4】
図1の冷蔵庫の機能構成の一部を示すブロック図。
【
図5】(a)~(d)は第1閉扉装置と下扉支持部材の平面図であって、(a)は左扉が作動角度θ3より大きく開いた状態を、(b)は左扉の開き角度が作動角度θ3の状態を、(c)は左扉の開き角度が引き込み開始角度θ1の状態を、(d)左扉が完全に閉じられた状態を示す。
【
図6】左扉の開放端側の端部が冷蔵庫本体の側面よりも幅方向外側に位置する角度に左扉が開かれた状態における冷蔵庫の要部拡大平面図。
【
図7】左扉を全開した状態における冷蔵庫の要部拡大平面図。
【
図9】左扉の開き角度が第1特定角度θs1にある状態の冷蔵庫の要部拡大平面図。
【
図10】本発明の変更例1における閉駆動装置の断面図であって、(a)は左扉が全開の状態を、(b)は左扉が第2特定角度θs2よりも大きく開いた状態を、(c)は左扉が第2特定角度θs2にあるときの状態を、(d)左扉が完全に閉じられた状態を示す。
【
図12】本発明の変更例1において左扉を全開した状態における冷蔵庫の要部拡大平面図。
【
図13】本発明の変更例2における閉駆動装置の断面図。
【
図14】本発明の変更例3における閉駆動装置の断面図。
【
図15】本発明の変更例3において左扉を全開した状態における冷蔵庫の要部拡大平面図。
【
図16】本発明の変更例4において左扉を全開した状態における冷蔵庫の要部拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0009】
以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、冷蔵庫を正面から見たときの方向を示し、左右方向は冷蔵庫の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、前、後、奥、背、手前とは、特に規定がない場合には冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示し、冷蔵庫の扉については閉扉状態において冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示す。
【0010】
本実施形態では貯蔵庫として貯蔵室が所定温度に冷却される冷蔵庫1の場合について説明するが、本発明は冷却機能を備えない食品保存庫や、貯蔵室が冷凍温度帯に冷却される冷凍庫などの貯蔵庫に対しても適用することができる。
【0011】
(1)冷蔵庫1の構成
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫1である。冷蔵庫1は、前面に開口する断熱箱体からなる冷蔵庫本体2と、圧縮機や冷却器や送風機を含む冷却装置22とを備え(
図4参照)、冷却装置22が冷蔵庫本体2の内部に設けられた貯蔵室を冷却する。
【0012】
冷蔵庫本体2は、前面に開口する断熱箱体からなり、その内部に形成された貯蔵空間が断熱仕切壁によって上下に区画されている。断熱仕切壁の上方の空間は、冷却装置22によって冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される貯蔵室であり、その内部がさらに仕切壁によって冷蔵室3と野菜室4に区画されている。断熱仕切壁の下方の空間は、自動製氷機を備えた製氷室5と第1冷凍室6とが左右に併設され、その下方に仕切板を介して第2冷凍室7が設けられている。製氷室5、第1冷凍室6及び第2冷凍室7は、いずれも冷却装置22によって冷凍温度帯(例えば、-17℃以下)に冷却される。
【0013】
冷蔵室3の前面開口部は、観音開き式の2枚の扉10、11により閉塞されている。2枚の扉10、11のうち、正面から見て左側の左扉10は、左扉10の左端上部が上扉支持部材16により冷蔵庫本体2に回動可能に支持され、左端下部が下扉支持部材17により冷蔵庫本体2に回動可能に支持されている。
【0014】
図2及び
図3に示すように、上扉支持部材16は、金属板、例えば鋼板を所定形状に成形したもので、左扉10の上部を上側ピン16aの周りに回動可能に支持する。上扉支持部材16は、冷蔵庫本体2の右前端部にネジなどによって固定される固定部16bと、固定部16bから前方に突出し左扉10の上面に配置される突出部16cとを備える。突出部16cは、固定部16bから前方に延びた後、幅方向外側(右側)へ直角に折れ曲がる形状をなしている。突出部16cの先端部には、下方へ突出する上側ピン16aが設けられている。上側ピン16aは、左扉10の上面に設けられた不図示の取付孔に回動可能に挿入される円筒状をなしている。
【0015】
下扉支持部材17は、金属板、例えば鋼板を所定形状に成形したもので、左扉10の下部を下側ピン17aの周りに回動可能に支持する。下扉支持部材17は、冷蔵室3と野菜室4との間にある仕切壁の前端部3aにネジなどによって固定される固定部17bと、固定部17bから前方へ略水平に突出するように折れ曲がった軸支持部17cとを備える。軸支持部17cには上方へ突出する下側ピン17aが固定されている。下側ピン17aは、上扉支持部材16に設けられた上側ピン16aと上下に同軸状に配置され、上側ピン16aとともに左扉10の回転中心を構成する。また、軸支持部17cには、後述する第1閉扉装置40と係合する係合フック17dが前方へ水平に突出し、係合フック17dと軸支持部17cとの間に隙間S1が形成されている。
【0016】
また、
図1に示すように、正面から見て右側の右扉11は、右扉11の右端上部が上扉支持部材16により冷蔵庫本体2に回動可能に支持され、右端下部が下扉支持部材17により冷蔵庫本体2に回動可能に支持されている。なお、右扉11を支持する上扉支持部材16及び下扉支持部材17は、左扉10を支持する上扉支持部材16及び下扉支持部材17と冷蔵庫本体2に対する取付位置が異なっているが、基本的な構成が共通しているため、詳細な説明を省略する。
【0017】
冷蔵室3の前面開口部の周縁部には左扉10の開閉を検出する扉検出部23と右扉11の開閉を検出する扉検出部24が設けられている(
図4参照)。扉検出部23,24は、扉10、11が冷蔵室3の前面開口部を閉塞する閉扉状態と当該前面開口部を開放する開扉状態のいずれの状態にあるのかを検出する。扉検出部23,24は、例えば、押し込み式のスイッチを備え、扉10,11の開き角度が所定角度以下であると扉10,11が閉扉状態にあると判断し、開き角度が所定角度より大きいと扉10,11が開扉状態にあると判断する。
【0018】
左扉10及び右扉11は、開扉装置30によって冷蔵室3の前面開口部を閉塞する閉扉状態から開かれ、第1閉扉装置40及び第2閉扉装置50によって冷蔵室3の前面開口部を開放する開扉状態から閉じられるようになっている。
【0019】
なお、右扉11に対応して設けられた開扉装置30、第1閉扉装置40及び第2閉扉装置50は、左扉10に対応して設けられたものと構成が共通しているため、以下の説明では、左扉10に対応して設けられた開扉装置30、第1閉扉装置40及び第2閉扉装置50について説明し、右扉11に対応して設けられた開扉装置30、第1閉扉装置40及び第2閉扉装置50の詳細な説明を省略する。
【0020】
左扉10には、
図1に示すように冷蔵庫1の運転モードの設定の入力や冷蔵庫1の運転状態等の確認をすることができる操作表示部8が設けられている。操作表示部8は、使用者から冷蔵庫1の操作を受け付ける操作部として機能するとともに、表示装置として機能する。
【0021】
また、左扉10及び右扉11には、使用者から所定動作を受け付ける開扉操作部9が設けられている。開扉操作部9が使用者からの所定操作を受け付けると、操作を受け付けた開扉操作部9が設けられている扉10,11に対応する開扉装置30が動作して扉10,11を開扉する。開扉装置30を動作させる使用者の所定操作としては、例えば、左扉10及び右扉11に設けられた開扉操作部9に触れる使用者の接触操作や、開扉操作部9に使用者の手などの身体を近接させる操作などが含まれる。
【0022】
野菜室4、製氷室5、第1冷凍室6、及び第2冷凍室7の前面開口部は、引き出し式の扉12,13,14、15により開閉される。引き出し式の各扉12,13,14、15の裏側には、不図示の収納容器が設けられている。
【0023】
冷蔵庫本体2の背面上部には、冷蔵庫1を制御する制御部20が設けられている。制御部20には、
図4に示すように、上記した操作表示部8、冷却装置22、扉検出部23、24、開扉装置30及び第2閉扉装置50等が接続され、記憶部21に記憶されているプログラムを実行することにより、冷蔵庫1内に設けられている機能部を制御する。
【0024】
また、制御部20には、機器アダプタ25及び音響ユニット26に接続されている。機器アダプタ25は、冷蔵庫1が設置された宅内に整備された無線LAN等の狭域通信ネットワークを介してインターネットを含む広域通信ネットワークと接続されている。音響ユニット26は、冷蔵庫1の周囲に居る人へ向けて音声や警告音等の音を出力する音出力部と、冷蔵庫1の周囲の音を取得する音取得部とを備える。
【0025】
記憶部21は、冷蔵庫の制御プログラムに加えて、所定の「呼びかけ言葉」、「扉閉操作指示に関する言葉」、「開放制限時間」、等を記憶している。冷蔵庫1に設けられた音響ユニット26は、使用者が冷蔵庫1に向かって発した上記の「呼びかけ言葉」および「扉閉操作指示に関する言葉」を取得する。
【0026】
「呼びかけ言葉」は、使用者からの指示開始を認識する所定のトリガーワードとして予め設定した言葉である。つまり、「呼びかけ言葉」は、制御部20が使用者からの指示を受け付けるための音声認識機能を起動するための条件として予め設定した言葉である。「呼びかけ言葉」としては、例えば、冷蔵庫1の名称や愛称など、冷蔵庫1を表す言葉が挙げられる。
【0027】
また、「扉開閉操作指示に関する言葉」は、使用者からの音声による閉扉指示を認識する予め設定した言葉である。「扉開閉操作指示に関する言葉」としては、例えば「閉じて」、「クローズ」、「開けて」、「オープン」など、使用者の指示内容を示す言葉が挙げられる。
【0028】
機器アダプタ25及び音響ユニット26は、開扉装置30、第1閉扉装置40及び第2閉扉装置50とともに冷蔵庫本体2の冷蔵庫本体2の天井壁上面2aの前側部分に設けられ、カバー部材27によって覆われている。
【0029】
なお、
図4は本実施形態の冷蔵庫が備える機能を概念的に説明するためのものであって、例えば制御部20を複数の制御基板によって実現するなど、
図4における各部と冷蔵庫に搭載された部品や装置とが必ずしも一対一に対応しなくてもよい。
【0030】
(2)開扉装置30
開扉装置30は、左扉10が冷蔵室3の前面開口部を閉じた閉扉状態において、左扉10に開扉力を付与して左扉10を一定角度まで開き、その後、慣性によって左扉10を開扉させる。
【0031】
具体的には、開扉装置30は、左扉10の上端部の後方に配置され、冷蔵庫本体2の天井壁上面2aに設けられている。開扉装置30は、左扉10の上端部後面に接触する押圧片31と、押圧片31を前方へ移動させる駆動装置32とを備える。
【0032】
駆動装置32は、例えば、電磁石が励磁されることで前方に押し出される可動鉄芯32aと、可動鉄芯32aの周囲に設けられた不図示の円筒状巻線(円筒状コイル)と、を有し、円筒状巻線に電流を流すことで得られる電磁力によって円筒状巻線の内側に設置された可動鉄芯32aを前方へ移動させる直進型ソレノイドアクチュエーターを有している。
【0033】
このような駆動装置32では、電力が供給され可動鉄芯32aが前進すると、可動鉄芯32aの先端に設けられた押圧片31が左扉10の上端部後面を前方へ押圧することで、可動鉄芯32aによる動力が左扉10へ伝達される。
【0034】
なお、可動鉄芯32aによる動力が左扉10へ伝達されるのは、左扉10が冷蔵室3の前面開口部を閉じた閉扉状態から所定の開き角度(例えば、5度)に達するまでの範囲にあり、可動鉄芯32aの先端の押圧片31が左扉10に当接している間である。左扉10の開き角度が所定角度を超えると、押圧片31が左扉10から離れ、開扉装置30から左扉10に開扉力が伝達されなくなる。
【0035】
開扉装置30は、左扉10の幅方向(左右方向)中央部より開放端側(上扉支持部材16及び下扉支持部材17に支持された側の反対側)に設けられ、第2閉扉装置50よりも開放端側に設けられている。
【0036】
開扉装置30は、制御部20によって制御され、開扉操作部9が使用者による操作を受け付けた場合や音響ユニット26が所定の音声による指示を受け付けた場合など使用者から開扉指示を受け付けた場合に、可動鉄芯32aを前方に押し出すことで左扉10を開く。
【0037】
なお、開扉装置30は、使用者から開扉指示がなく駆動装置32に電流が供給されていない非通電時に、押圧片31が閉扉状態(冷蔵室3の前面開口部を閉じる状態)の左扉10の後面から離れた位置に配置されてもよい。
【0038】
(3)第1閉扉装置40
第1閉扉装置40は、冷蔵庫本体2に対する左扉10の開き角度が、第1角度θ1(この角度を「引き込み開始角度θ1」ということもある)以下の第1角度範囲AR1にある左扉10を冷蔵庫本体2側に引き込んで閉じる機能を有する。
【0039】
図3及び
図5に示すように、第1閉扉装置40は、ポリプロピレン等の合成樹脂を所定形状に成形したもので、基部41と、下扉支持部材17の係合フック17dと係合するバネ部42とを備える。
【0040】
基部41には固定孔43が設けられており、固定孔43に挿通されたネジ44が左扉10の下面に螺合することで、左扉10の下面に第1閉扉装置40が固定される。また、基部41には上方へ突出し左扉10の下面に設けられた扉穴10aに挿入される筒部45が設けられている。筒部45に設けられた下方に開口する中空部には、下扉支持部材17の下側ピン17aが挿入されている。下側ピン17aの外径は筒部45の内径よりも小さいため、冷蔵庫本体2に固定された下側ピン17aと左扉10に固定された筒部45とが相対的に回動可能となり、左扉10が下扉支持部材17に回転可能に支持されている。
【0041】
バネ部42は、基部41の側面から湾曲しながら延設し、その先端部に下扉支持部材17の係合フック17dと係合する爪部46が設けられている。爪部46は、左扉10に固定された基部41に対して隙間S2をあけてバネ部42によって弾性的に支持される。
【0042】
このような構成の第1閉扉装置40では、
図6及び
図7に示すように左扉10が後述する作動角度θ3より大きく開いた状態にある場合、つまり、左扉10が作動角度θ3(例えば、5°~15°)から最大開放角度θ2(例えば、100°~150°)にあり左扉10が最大限開いた全開状態までの角度範囲にある場合、
図5(a)に示すように、バネ部42の先端に設けられた爪部46が下側ピン17aから離れた位置にある。なお、作動角度θ3は、引き込み開始角度θ1(例えば5°~10°)より大きい角度である。
【0043】
左扉10が大きく開いた状態から下側ピン17aの周りに回転しながら閉じる閉扉動作に伴って、バネ部42の先端に設けた爪部46が、下扉支持部材17の係合フック17dに向かって冷蔵庫本体2の前方から後方へ進む。
【0044】
左扉10の開き角度が作動角度θ3になると、
図5(b)に示すように爪部46が係合フック17dの側面に設けられた傾斜面17d1に接触する。左扉10の開き角度が作動角度θ3から更に小さくなると、隙間S2が広がるようにバネ部42を弾性変形させながら爪部46が傾斜面17d1を摺動して閉扉状態に向かう。このため、左扉10の開き角度が作動角度θ3よりも小さくなると、バネ部42の復元力によって第1閉扉装置40から左扉10に対して開く方向の力が作用する。
【0045】
そして、左扉10の開き角度が引き込み開始角度θ1になると、
図5(c)に示すように爪部46が係合フック17dを越えて隙間S2に嵌まり込み、バネ部42の復元力によって左扉10に対して閉じる方向の力が発生して左扉10が閉じられる。
【0046】
つまり、第1閉扉装置40は、左扉10の開き角度が引き込み開始角度θ1から作動角度θ3までの第3角度範囲AR3にあると、左扉10に対して開く方向の力が作用し、左扉10の開き角度が引き込み開始角度θ1以下の第1角度範囲AR1にあると、左扉10に対して閉じる方向の力が作用する。
【0047】
そして、
図2に示すように左扉10が完全に閉じられた状態では、
図5(d)に示すように第1閉扉装置40の基部41と爪部46との間に形成された隙間S1に下扉支持部材17の係合フック17dが嵌まり込む。係合フック17dが隙間S2に嵌まり込むと、第1閉扉装置40のバネ部42は隙間S2が広がるように弾性変形するように設けられている。この状態の第1閉扉装置40ではバネ部42の弾性変形が戻る方向、すなわち、左扉10を閉じる方向に復元力が生じるので、左扉10は閉じた状態で維持されることになる。このため、
図2に示すように左扉10を閉じた状態から開く場合には、バネ部42で発生する左扉10を閉じる方向に作用する復元力に抗して左扉10を開くことで、爪部46と係合フック17dとの係合状態が解除され左扉10を開放することができる。
【0048】
このような第1閉扉装置40を備えた冷蔵庫では、左扉10の開き角度が作動角度θ3より大きい角度範囲にある場合、第1閉扉装置40は作動せず、左扉10の開き角度が引き込み開始角度θ1以下の第1角度範囲AR1にある場合、左扉10を冷蔵庫本体2側に引き込んで閉扉する。また、左扉10の開き角度が引き込み開始角度θ1より大きく作動角度θ3以下の第3角度範囲AR3にある場合、第1閉扉装置40のバネ部42を弾性変形させながら左扉10を閉扉することになり、第1閉扉装置40は左扉10を開くように作用し、開き角度が作動角度θ3より大きいときに比べて閉扉に要する力が大きくなる。
【0049】
(4)第2閉扉装置50
第2閉扉装置50は、開かれた左扉10を自動で閉じる装置であって、第1閉扉装置40と別途に設けられている。第2閉扉装置50は、
図2に示すように、冷蔵庫本体2の天井壁上面2aに設けられた閉駆動装置51と、左扉10と閉駆動装置51とを接続する接続部52とを備える。第2閉扉装置50は、開扉装置30よりも左扉10の回転中心側(上側ピン16a側)に設けられている。
【0050】
第2閉扉装置50は、第1閉扉装置40が閉扉することができる開き角度より大きい開き角度にある左扉10を閉扉することができる。つまり、
図6に示すように、第2閉扉装置50の閉駆動装置51は、引き込み開始角度θ1より大きい角度を含む第2角度範囲AR2にある左扉10に接続部52を介して接続され、左扉10に動力を伝達する。閉駆動装置51は、左扉10の開き角度が第3角度範囲AR3にある状態において、第1閉扉装置40が左扉10に付与する開く方向の力よりも大きい力を付与して左扉10を閉じる。
【0051】
具体的には、第2閉扉装置50は、左扉10の開放端側の端部10bが冷蔵庫本体2の側面2bよりも幅方向外側に位置する角度に左扉10が開かれた状態において、閉駆動装置51が接続部52を介して左扉10に接続され左扉10に動力を伝達して左扉10を閉じることができる。好ましくは、
図7に示すように、最大開放角度θ2から引き込み開始角度θ1までの範囲内において、閉駆動装置51が接続部52を介して左扉10に接続され左扉10に動力を伝達して左扉10を閉じることができる。より好ましくは、最大開放角度θ2から左扉10が閉じられるまでの範囲内において、閉駆動装置51が接続部52を介して左扉10に接続され左扉10に動力を伝達して左扉10を閉じることができる。
【0052】
また、第2閉扉装置50は、開扉装置30が左扉10に開扉力を伝達可能な開き角度よりも大きな開き角度において、閉駆動装置51が接続部52を介して接続され左扉10に動力を伝達して左扉10を閉じることができることが好ましい。
【0053】
(5)閉駆動装置51
閉駆動装置51は、直線状の所定範囲を往復移動可能に設けられた可動体51aを往復移動の一方向(この方向を「第1方向」ということもある)X1へ移動させることによって左扉10に付与する動力を発生させる。
【0054】
例えば、閉駆動装置51は、
図8に示すように、上記の可動体51aと、電流が供給されて磁界を発生させる巻線51bとを備えたソレノイドアクチュエーターを有している。
【0055】
可動体51aは磁性材料からなる柱状の可動鉄芯(プランジャ)である。可動体51aは、磁性材料からなる固定鉄芯51cとともに筒体51dの内部に設けられている。可動体51aは筒体51dの内部を軸方向へ直線状に移動し、固定鉄芯51cは筒体51dの軸方向一端部に固定されている。筒体51dは、非磁性材料からなる筒状の部材であり、中空部分に収容された可動体51aの軸方向への移動を案内する。
【0056】
巻線51bは絶縁材料で形成されたボビン51eに銅線を巻き回して円筒状に形成された円筒状コイルからなる。巻線51bは軸方向を前後方向に向けた状態で磁性材料からなる筒状のフレーム51fの内部に収納されている。
【0057】
閉駆動装置51は、巻線51bに電流を流すことで巻線51bにおいて発生した磁界によって可動体51aを第1方向X1へ移動させる。本実施形態の閉駆動装置51は、可動体51aが前後方向に往復移動するように冷蔵庫本体2の天井壁上面2aに配置され、巻線51bに電流を流すことで可動体51aが後方へ移動する。
【0058】
可動体51aにおける第1方向X1の反対方向(この方向を「第2方向」ということもある)X2側の端部は連結部材51hを介して接続部52に連結され、閉駆動装置51で発生させた動力が接続部52に伝達される。
【0059】
連結部材51hは、例えば棒状の部材からなり、一端が可動体51aに連結され、他端が回転部材52aに連結されている。連結部材51hと可動体51aとの連結は相対的に回転可能な連結であり、連結部材51hと回転部材52aとの連結も相対的に回転可能な連結である。連結部材51hは、可動体51aとの連結箇所および回転部材52aとの連結箇所(連結部)52c以外では拘束されておらず、自由に移動することができる。これにより閉駆動装置51は、可動体51aが往復移動する方向(第1方向X1及び第2方向X2)に対して傾斜する方向へ接続部52に動力を伝達可能に構成されている。
【0060】
閉駆動装置51では、筒体51d以外にも可動体51aの左右方向への移動を規制し、可動体51aの軸方向への移動を案内するボールベアリング等の案内部51iを設けても良い。
【0061】
なお、往復移動する可動体を往復移動の一方向に駆動するソレノイド式のアクチュエーターでは、往復移動の一方側に移動した可動体を他方側へ移動させて戻すための戻しバネを設けることが通常であるが、本発明の閉駆動装置51では、可動体を戻すための戻しバネを設けないことが好ましい。仮に戻しバネを設けると、開扉装置30やユーザーの手動により扉を開く動きを妨げることになってしまう。戻しバネを設けなくても、可動体と扉とが接続部で接続されることによって、扉が開かれることに伴って可動体は他方向側に戻る。つまり、閉駆動装置51では、巻線51bに電流が供給されていない非通電時に可動体51aの往復移動が阻害されず、可動体51aが筒体51d内を第1方向X1及び第2方向X2へ自由に移動可能であることが好ましい。また、非通電時において閉駆動装置51は、左扉10が閉まった状態における可動体51aの位置から、左扉10が開かれることに伴って、可動体51aが第2方向X2へ移動し、左扉10が開いた状態における可動体51aの位置から、左扉10が閉じることに伴って、可動体51aが第1方向X1へ移動することが好ましい。
【0062】
(6)接続部52
接続部52は、閉駆動装置51から動力を受けて回転する回転部材52aと、回転部材52aに設けられた扉接続部52bとを備え、閉駆動装置51で発生させた動力を左扉10へ伝達して左扉10を閉扉する。
【0063】
回転部材52aは、左扉10の上方に配置された平板状の部材からなり、冷蔵庫本体2の天井壁上面2aから上方へ突出する回転軸2cに回動可能に支持されている。回転部材52aは、連結部52cによって閉駆動装置51の連結部材51hに連結されている。連結部52cによる連結部材51hと回転部材52aとの連結は相対的に回転可能な連結である。回転部材52aは閉駆動装置51で発生させた動力を連結部材51hを介して受けると回転軸2cを回転中心として回動移動する。
【0064】
扉接続部52bは、回転部材52aから上下方向の少なくとも一方へ突出する柱状の部材からなる。扉接続部52bは、左扉10に設けられた左右方向に延びる溝状の摺動部10cに設けられることで左扉10に接続されている。扉接続部52bは左扉10に対する接続位置が摺動部10cの延びる方向へ移動可能に設けられている。閉駆動装置51が接続部52を介して左扉10に接続されており、回転部材52aが閉駆動装置51から動力を受けて回転軸2cの周りに回動移動すると、扉接続部52bが摺動部10cに沿って移動しながら左扉10を閉じる。
【0065】
本実施形態では、
図6、
図7に示すように左扉10の開放端側の端部10bが冷蔵庫本体2の側面2bよりも幅方向外側に位置する角度に左扉10が開いた状態で、閉駆動装置51の巻線51bに電流が供給されて可動体51aが後方へ移動すると、回転部材52aが回転軸2cを中心にして回転する。このときに回転部材52aが回転する方向は、回転軸2cを中心にして連結部52cが後方に移動する方向(
図6,7における平面視において反時計回りの方向)に回動する。回転部材52aの回動に伴って扉接続部52bも回転軸2cの周りに反時計回りに回動すると、扉接続部52bが摺動部10cの後側溝壁10c1を押圧しながら摺動部10cを摺動して左扉10を閉扉する。
【0066】
なお、回転部材52aの回転中心を構成する回転軸2cは、左扉10の回転中心を構成する上側ピン16aよりも後方に配置されていることが好ましい。回転軸2cを上側ピン16aよりも後方に配置することで、回転部材52aが冷蔵庫本体2の前方へ飛び出しにくくなり美感を損ねにくい。
【0067】
回転部材52aの回転軸2cは、幅方向(左右方向)における位置が上扉支持部材16と重なる位置、つまり、冷蔵庫1の正面から見て回転軸2cが上側ピン16a、固定部16b及び突出部16cの少なくとも一部と重なる位置に設けられていることが好ましい。このように回転軸2cを配置することで、閉駆動装置51の可動体51aの移動量を小さくしても開き角度の大きい左扉10を閉じることができ、第2閉扉装置50の小型化を図ることができる。
【0068】
回転部材52aの回転軸2cと、回転部材52aにおいて閉駆動装置51が接続され閉駆動装置51から動力が入力される位置である連結部52cと、左扉10に対して回転部材52aから動力が入力される位置である扉接続部52bとの平面視における配置について、回転軸2cから連結部52cまでの距離が、回転軸2cから扉接続部52bまでの距離より短くなるように、回転軸2c、連結部52c及び扉接続部52bが回転部材52aに配置されていることが好ましい。このように回転軸2c、連結部52c及び扉接続部52bを配置することで、閉駆動装置51の可動体51aの移動量を小さくしても開き角度の大きい左扉10を閉じることができ、第2閉扉装置50の小型化を図ることができる。
【0069】
扉接続部52bが左扉10と接続される位置(扉接続部52bが摺動部10cと接触する位置)は、回転部材52aが閉駆動装置51と接続される位置(回転部材52aが連結部52cと接触する位置)よりも上下方向において冷蔵庫本体2に近い位置に配置されることが好ましい。また、扉接続部52bが左扉10と接続される位置と、回転部材52aが閉駆動装置51と接続される位置とが、回転部材52aの上下方向一方側(例えば、回転部材52aの下側)に配置されていることが好ましい。このような配置により、回転部材52aに閉駆動装置51から動力が入力される点(力点)と、回転部材52aが左扉10へ動力を入力する点(作用点)とを上下方向に近接させることができ、扉接続部52bや連結部52cの変形を抑えることができたり、扉接続部52bと左扉10との接続部分や回転部材52aと閉駆動装置51との接続部分のガタつきの発生を抑えることができたりする。
【0070】
図7に示すように平面視において、回転軸2cと上側ピン16aとを結ぶ仮想直線Lを左扉10の開放端側の端部10bが通過するように回転軸2cと上側ピン16aとを配置することによって、左扉10を閉める過程において扉接続部52bが上側ピン16aに近づいてから離れる往復移動をすることが好ましい。つまり、左扉10が最大限開いた状態から左扉10が閉じる方向へ移動して、左扉10の開放端側の端部10bが仮想直線Lに近づくほど上側ピン16aから扉接続部52bまでの距離が短くなり(
図6参照)、左扉10の端部10bが仮想直線Lを通過する時に上側ピン16aから扉接続部52bまでの距離が最も短くなる。そして、左扉10が更に閉じる方向へ移動して左扉10の端部10bが仮想直線Lから離れるほど上側ピン16aから扉接続部52bまでの距離が長くなることが好ましい。
【0071】
また、第2閉扉装置50は、
図7に示すように、回転部材52aの回転軸2cと、上扉支持部材16の上側ピン16aと、扉接続部52bとで囲まれた領域Rの少なくとも一部を上から覆う覆い部52dを備えていることが好ましい。
【0072】
扉接続部52bは左扉10に接続されており、左扉10の開き角度が変化すると扉接続部52bの位置が変化するため、回転軸2cと上側ピン16aと扉接続部52bとで囲まれた領域Rの形状及び位置が変化する。左扉10が最大限開いた状態から完全に閉まった状態までの間(開き角度が最大開放角度θ2から0°までの間)、常に覆い部52dが領域Rの少なくとも一部を覆っていても良いが、左扉10が最大開放角度θ2から0°までの間の一部の区間において覆い部52dが領域Rの少なくとも一部を覆い、他の区間において領域Rが覆い部52dによって覆われていなくてもよい。つまり、覆い部52dは左扉10が閉められる途中で生じる領域Rの少なくとも一部を覆っていてもよい。
【0073】
左扉10が最大開放角度θ2から0°までの間の一部の区間において覆い部52dが領域Rを覆う場合、扉接続部52bが回転軸2cと上側ピン16aとを結ぶ仮想直線Lよりも冷蔵庫幅方向外側に位置する場合に(本実施形態では、左扉10の開き角度が最大開放角度θ2から90°までの区間において)、覆い部52dが領域Rの少なくとも一部を覆うことが好ましい。扉接続部52bが仮想直線Lよりも冷蔵庫幅方向外側に位置する場合、左扉10が閉じられ開き角が小さくなるにつれて、回転軸2cと上側ピン16aと扉接続部52bとで囲まれた領域Rが漸次狭くなるが、覆い部52dが領域Rの少なくとも一部を覆うことで、領域Rに誤って使用者の指などが入り込み挟まれることを防止できる。
【0074】
覆い部52dは、
図7に示すように領域Rの全体を覆うことが好ましいが、領域Rの一部分を覆う場合であってもよい。覆い部52dが領域Rの一部分を覆う場合であっても覆われた部分によって指が挟みこまれる機会が減るのでよい。
【0075】
覆い部52dは、
図7に示すように接続部52を構成する回転部材52aと一体に設けられてもよいが、回転部材52aと別体に設けられ、冷蔵庫本体2の天井壁上面2aや左扉10の上面に取り付けられてもよい。
【0076】
また、
図10に示すように、左扉10を閉じる時に可動体51aが移動する方向(第1方向)X1と、閉駆動装置51から回転部材52aに動力が伝達される方向(連結部材51hが回転部材52aを引っ張る方向)Qとで形成される劣角側の角度φが最小となる時の左扉10の開き角度を第1特定角度θs1とすると、第1特定角度θs1が引き込み開始角度θ1以上の角度範囲において生じるように閉駆動装置51と接続部52とが配置されていることが好ましく、第1特定角度θs1が作動角度θ3以上の角度範囲において生じるように閉駆動装置51と接続部52とが配置されていることが好ましい。
【0077】
また、作動角度θ3よりも所定角度大きい角度(例えば、作動角度θ3よりも15°大きい角度)を第4角度θ4とすると、第1特定角度θs1が第4角度θ4以下の角度範囲において生じるように閉駆動装置51と接続部52とが配置されていることが好ましい。つまり、第1特定角度θs1が、引き込み開始角度θ1から第4角度θ4までの角度範囲(例えば、5°~30°)において生じるように閉駆動装置51と接続部52とが配置されていることが好ましく、作動角度θ3から第4角度θ4までの角度範囲(例えば、15°~30°)において生じるように閉駆動装置51と接続部52とが配置されていることがより好ましい。
【0078】
(7)制御部20による第2閉扉装置50の制御
制御部20は、左扉10や右扉11が開扉状態にあり、かつ、左扉10や右扉11を閉じるための所定の閉扉条件を満たした場合に、第2閉扉装置50をそれぞれ駆動して左扉10や右扉11を閉じる。
【0079】
ここで閉扉条件としては、音響ユニット26を通じて使用者から音声による閉扉指示(以下、音声指示ともいう)を取得した場合、及び、左扉10や右扉11が開放された状態で所定時間を経過した場合のうちの少なくとも一つを含む。
【0080】
例えば、制御部20は、音響ユニット26を通じて使用者から所定の「呼びかけ言葉」を検出して、その後に続く使用者からの閉扉指示を取得した場合に、第2閉扉装置50の閉駆動装置51を駆動させて左扉10や右扉11を閉じる。
【0081】
また、制御部20は、左扉10及び右扉11が開放された後、左扉10及び右扉11が開放されている時間(開放経過時間)を計測し、記憶部21に予め記憶されている所定の扉開放時間を経過した場合に、第2閉扉装置50を駆動させて左扉10や右扉11を閉じる。
【0082】
なお、制御部20は、左扉10及び右扉11のそれぞれが上記した閉扉条件を満たすか否かを判断する。左扉10及び右扉11のいずれか一方が開扉状態にあり、かつ、所定の閉扉条件を満たす場合、開扉状態にある一方の扉に対応する第2閉扉装置50を動作させて当該一方の扉を閉じる。
【0083】
左扉10及び右扉11の両方が開扉状態にあり、かつ、所定の閉扉条件を満たす場合、制御部20は、第2閉扉装置50を駆動して左扉10及び右扉11の両方を閉じた状態にする。その際、左扉10及び右扉11のいずれの扉を閉めるのか指定がない場合には、左扉10及び右扉11のいずれか一方の扉に対応する第2閉扉装置50を動作させて当該一方の扉を閉じ、その後、他方の扉に対応する第2閉扉装置50を動作させて当該他方の扉を閉じる。
【0084】
左扉10及び右扉11のいずれの扉を閉めるのか指定がある場合には、指定された一方の扉に対応した第2閉扉装置50を駆動して一方の扉を閉じ、その後、指定されていない他方の扉に対応した第2閉扉装置50を駆動して他方の扉を閉じてもよい。
【0085】
また、制御部20は、第2閉扉装置50を駆動して左扉10や右扉11を閉じる前に音響ユニット26から所定の音声等を出力することによって、扉を閉じることを使用者に報知してもよい。
【0086】
制御部20は、閉駆動装置51の通電によって第2閉扉装置50の駆動した後、扉検出部23,24によって駆動した第2閉扉装置50に対応する扉10,11が開扉状態及び閉扉状態のいずれの状態であるのか検出する。
【0087】
第2閉扉装置50の駆動後、扉検出部23,24が閉扉状態を検出した場合、制御部20は、閉駆動装置51への通電を終了し第2閉扉装置50を停止する。一方、扉検出部23,24が引き続き開扉状態を検出した場合、制御部20は、閉駆動装置51の通電時間が所定時間を経過すると、閉駆動装置51への通電を終了した後、再度、第2閉扉装置50を駆動する再試行制御を実行してもよい。
【0088】
このような再試行制御を実行するか否かについて、操作表示部8や冷蔵庫1と連携された使用者端末から設定可能としてもよい。再試行制御を実行する場合に、閉駆動装置51に供給する電流量を増加して閉駆動装置51で発生する動力を増加してもよい。また、再試行制御を実行する場合に、再試行制御を繰り返す回数や、再試行制御を所定回数繰り返しても扉検出部23,24が引き続き開扉状態を検出した場合に実行する制御を操作表示部8や冷蔵庫1と連携された使用者端末から設定可能としてもよい。
【0089】
(8)効果
本実施形態では、左扉10の開放端側の端部10bが冷蔵庫本体2の側面2bよりも幅方向外側に位置する角度に左扉10が開かれた状態において、接続部52が閉駆動装置51の動力を左扉10へ伝達可能に左扉10と閉駆動装置51とを接続するため、左扉10の開き角度が大きい場合であっても、第2閉扉装置50によって左扉10を閉じることができる。
【0090】
最大開放角度θ2から引き込み開始角度θ1までの範囲内において、接続部52が左扉10と閉駆動装置51とを接続する場合、開き角度が角度θ2から角度θ1までの範囲では第2閉扉装置50によって左扉10を閉じ、開き角度が角度θ1よりも小さい角度範囲では、第2閉扉装置50から動力を受けて閉じる扉の慣性及び第1閉扉装置40によって左扉10を閉じることができる。
【0091】
最大開放角度θ2から左扉10が完全に閉じられるまでの範囲内において、接続部52が左扉10と閉駆動装置51とを接続する場合、任意の開き角度の左扉10を第2閉扉装置50によって閉じることができる。
【0092】
しかも、左扉10の開き角度に関係無く左扉10と閉駆動装置51とが接続部52によって常に接続されるため、接続部52における不具合が起こりにくい。つまり、全開状態に近い開き角度では接続部と扉とが接続されておらず分離していて、閉扉状態に近い開き角度になったら扉と接続部とが接続されるという構成であると、扉を閉める途中において、接続部の位置や向きが想定と異なるなど頻繁に起こり得る事象に起因して扉と接続部との接続の失敗が懸念される。一方、本発明では左扉10がどのような開き角度であっても、左扉10と接続部52とが常に接続されているので、上記のような不具合は生じない。
【0093】
本実施形態において、左扉10に対する扉接続部52bの接続位置が移動可能に設けられている場合、回転部材52aの回転軸2cを上側ピン16aと異なる位置に配置しても左扉10を滑らかに回動することができ、第2閉扉装置50の配置の自由度が向上する。
【0094】
本実施形態において、回転軸2cと上側ピン16aとを結ぶ仮想直線Lを左扉10の開放端側の端部10bが通過するように、回転軸2cと上側ピン16aとを配置することにより、左扉10を閉める過程において扉接続部52bが上側ピン16aに近づいてから離れる往復移動をするので、摺動部10cを短くすることができる。
【0095】
本実施形態において、回転部材52aの回転軸2cと上扉支持部材16の上側ピン16aと扉接続部52bとで囲まれた領域Rの少なくとも一部を上から覆う覆い部52dを備えている場合、領域Rに誤って使用者の指などが入り込み挟まれることを防止できる。
【0096】
本実施形態において、閉駆動装置51の可動体51aが直線状の所定範囲を往復移動し、回転部材52aを回転可能に支持する回転軸2cが幅方向において上扉支持部材16と重なる位置に設けられている場合、接続部52を小型化することができるとともに、閉駆動装置51の可動体51aの移動量を小さくしても開き角度の大きい左扉10を閉じることができ、第2閉扉装置50の小型化を図ることができる。
【0097】
本実施形態において、第1閉扉装置40や第2閉扉装置50に加え、左扉10を開く開扉装置30が設けられている場合、開扉装置と閉扉装置とを一つの装置で構成する場合に比べて簡易な機構で左扉10を開閉することができる。
【0098】
また、第2閉扉装置50と開扉装置30とが別個に設けられているため、左扉10に対して第2閉扉装置50と開扉装置30とをそれぞれ適切な位置に配置することができる。すなわち、第2閉扉装置50が開扉装置30よりも上側ピン16a側に設けられている場合、左扉10を閉じるために必要な可動体51aの移動距離を短くなり第2閉扉装置50を小型化することができる。また、開扉装置30は左扉10の回転中心から離れた位置に左扉10を開く力を付与することができるため、出力の小さい開扉装置30によって左扉10を開扉することができる。
【0099】
また、本実施形態において、左扉10が開かれた状態において、開扉装置30が左扉10から離れている場合、第1閉扉装置40や第2閉扉装置50が左扉10を閉じる際に左扉10の閉じる方向への移動を阻害せず左扉10が閉じやすくなる。
【0100】
また、本実施形態において、第1閉扉装置40は開き角度が引き込み開始角度θ1以下にある左扉10を閉じるように作用し、第2閉扉装置50は引き込み開始角度θ1より大きい角度を含む範囲にある左扉10を閉じるように作用する。第2閉扉装置50は、第1閉扉装置40より開き角度が大きい左扉10であってもこれを閉じるように作用することができ、開き角度に応じた機構を採用することができる。
【0101】
特に、第1閉扉装置40としてバネ部42で発生する弾性力を左扉10に作用させて左扉10を閉じる機構を採用し、第2閉扉装置50として可動体51aが往復移動の一方向へ移動することによって発生する動力を左扉10に作用させて左扉10を閉じる機構を採用することで、第2閉扉装置50によって左扉10を閉じる場合に、左扉10が完全に閉じる前にバネ部42の弾性力によって左扉10を開く方向の力が作用するため、第2閉扉装置50から動力を受けて閉じる扉の慣性によって左扉10が勢いよく閉じるのを避けることができる。
【0102】
本実施形態において、閉駆動装置51の非通電時に左扉10が開閉されることに伴って、閉駆動装置51の可動体51aが第2方向X2及び第1方向X1へ移動可能であると、使用者による左扉10の開閉動作が阻害されず、左扉10を容易に開閉することができる。
【0103】
本実施形態において、第1特定角度θs1が引き込み開始角度θ1以上において生じるように閉駆動装置51と接続部52とが配置することで、第1閉扉装置40のバネ部42の弾性力によって左扉10を開く方向へ力が作用する引き込み開始角度θ1付近において、左扉10を閉じる時に可動体51aが移動する方向Pと、閉駆動装置51から回転部材52aに動力が伝達される方向Qとで形成される劣角側の角度φを小さくすることができる。これにより、閉駆動装置51で発生した動力を効率的に回転部材52aへ伝達することができ、第1閉扉装置40のバネ部42の弾性力による左扉10を開く方向への力が大きい場合であっても、この力に抗して左扉10を閉じることができる。
【0104】
本実施形態において、第2閉扉装置50を駆動して左扉10や右扉11を閉じる前に音響ユニット26から所定の音声等を出力するため、使用者に左扉10や右扉11が移動することを報知することができ、使用者が左扉10や右扉11に衝突するのを防ぐことができる。
【0105】
本実施形態において、制御部20は、扉検出部23,24によって扉10,11が閉扉状態にあることを検出すると、閉駆動装置51への通電を終了し第2閉扉装置50を停止するため、簡易な構成によって任意の開き角度の扉10,11について適切なタイミングで閉駆動装置51への通電を終了することができる。
【0106】
本実施形態において、第2閉扉装置50の駆動後、扉検出部23,24が引き続き開扉状態を検出した場合、制御部20は、閉駆動装置51の通電時間が所定時間を経過すると閉駆動装置51への通電を終了するため、扉10,11が正常に閉じることができない場合に閉駆動装置51への通電状態が長時間継続することがなく、第2閉扉装置50の故障や抑制することができる。
【0107】
本実施形態において、第2閉扉装置50の閉駆動装置51を駆動した後、扉検出部23,24が引き続き開扉状態を検出した場合、再度、第2閉扉装置50の閉駆動装置51を駆動する再試行制御を実行することで、扉10,11が閉じるまで繰り返し第2閉扉装置50を駆動することができ、より確実に扉10,11を閉じることができる。
【0108】
なお、扉10,11が正常に閉じられたか否か判断する検出部を第2閉扉装置50に設けてもよいが、本実施形態では、第2閉扉装置50とは別の場所に設けられた扉検出部23,24によって扉10,11が正常に閉じられたか否か判断するため、冷蔵庫を制御するために従来から冷蔵庫に設けられている扉検出部を流用して第2閉扉装置50を制御することができる。
【0109】
(9)変更例
以下では複数の変更例について説明するが、上記実施形態に対して、複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、複数の変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用してもよい。
【0110】
【0111】
本変更例では、第2閉扉装置150は、左扉10が全開の状態から左扉10を閉める途中であって、左扉10が少なくとも第3角度範囲AR3にあるときに作用する特別構成を備える。
【0112】
具体的には、
図10(a)に示すように、本変更例における第2閉扉装置150の閉駆動装置151では、巻線51bの中空部分に可動体被覆部151gが設けられている。可動体被覆部151gは、磁性材料からなる筒状の補助ヨーク(継鉄)であり、可動体51aを覆うように設けられている。可動体被覆部151gの内側には可動体51a及び固定鉄芯51cを収納した筒体51dが設けられている。
【0113】
可動体被覆部151gは、
図11に示すように、可動体51aの外側を覆う円筒状をなし、可動体被覆部151gの周面に1つ又は複数の切欠部151g1が設けられている。切欠部151g1は、可動体被覆部151gの第2方向X2側に開口し、その開口から第1方向X1へ所定距離にわたって設けられた切れ込みである。
【0114】
切欠部151g1の形状は任意の形状とすることができ、例えば、
図11に示すような矩形状の切れ込みの第1方向X1側に半円状の切れ込みを組み合わせた切れ込みや、第1方向X1へ向かうほど可動体被覆部151gの周方向の長さが漸次短くなる三角形状の切れ込みとすることができる。
【0115】
可動体被覆部151gの第1方向X1側には、切欠部が設けられておらず環状に繋がった環状部151g2が設けられている。可動体被覆部151gは、可動体51aに対する位置が変化することで、可動体51aを覆う範囲が変化する。
【0116】
このような可動体被覆部151gを備えた閉駆動装置151では、左扉10の開き角度が最大開放角度θ2の時、
図10(a)に示すように、可動体51aがフレーム51fから第2方向X2へ大きく突出し、可動体被覆部151gは切欠部151g1を設けた部分において可動体51aの第1方向側端部51a1を覆う。
【0117】
そして、巻線51bに電流を流して磁界を発生させると、可動体51aに作用する電磁力によって可動体51aを第1方向X1へ移動させて左扉10を閉める。
図12に示すように、左扉10を閉める過程で左扉10が開き角度が後述する第2特定角度θs2よりも大きい場合、
図10(b)に示すように、可動体被覆部151gは切欠部151g1を設けた部分において可動体51aを覆う。
【0118】
そして、更に可動体51aを第1方向X1へ移動させて左扉10の開き角度が第2特定角度θs2に達すると、
図10(c)に示すように、可動体被覆部151gは環状部151g2において可動体51aの第1方向側端部51a1を覆う。
【0119】
ここで、作動角度θ3よりも所定角度大きい角度(例えば、作動角度θ3よりも15°大きい角度)を第4角度θ4とすると、第2特定角度θs2を作動角度θ3以上であって第4角度θ4以下の角度範囲内に設定することが好ましい。つまり、左扉10が開き角度が作動角度θ3から第4角度θ4までの角度範囲(例えば、15°~30°)にあるときに、可動体被覆部151gが環状部151g2において可動体51aの第1方向側端部51a1を覆い始めることが好ましい(
図11(c)参照)。
【0120】
そして、更に可動体151aを第1方向X1へ移動させて左扉10の開き角度を第2特定角度θs2から更に小さくし、固定鉄芯51cに当接するまで可動体51aを第1方向X1へ移動させ、左扉10を完全に閉扉する。本変更例では、左扉10の開き角度が第2特定角度θs2から0°までの間、可動体被覆部151gは、環状部151g2において可動体51aの第1方向側端部51a1を覆っている(
図11(d)参照)。
【0121】
以上のような本変更例では、左扉10が最大限開いた状態から第2特定角度θs2に達するまでの間、可動体被覆部151gは切欠部151g1を設けた部分において可動体51aを覆い、第2特定角度θs2から左扉10が完全に閉じるまでの間、可動体被覆部151gは環状部151g2において可動体51aの第1方向側端部51a1を覆う。
【0122】
つまり、本変更例では、左扉10が最大限開いた状態から第2特定角度θs2までの角度範囲にあるときに比べて、左扉10の開き角度が引き込み開始角度θ1から作動角度θ3までの第3角度範囲にあるときの方が、可動体被覆部151gが可動体51aを覆う面積が大きくなっている。これにより、左扉10が引き込み開始角度θ1から作動角度θ3までの角度範囲にある間、可動体51aに作用する電磁力が高めることができ、第1閉扉装置40のバネ部42の弾性力による左扉10を開く方向への力が大きい場合であっても、この力に抗して左扉10を閉じることができる。
【0123】
(9-2)変更例2
上記した実施形態の変更例2について、主に
図13を参照して説明する。
なお、
図13において、
図8と同じ部分には
図8と同じ符号を付してある。
【0124】
変更例2では、閉駆動装置の可動体が上記した実施形態と異なっている。本変更例では、
図13に示すように、閉駆動装置251の可動体251aは、動力発生時の可動体251aの移動方向側の端部(つまり、第1方向X1側の端部)251a1が先端に向かうほど外形が小さくなる先細形状に設けられている。
【0125】
本変更例では、可動体251aの移動方向側の端部251a1が先細形状に設けられているため、左扉10の開き角度が引き込み開始角度θ1付近において閉駆動装置251で発生する動力を高めることができる。そのため、引き込み開始角度θ1付近において第1閉扉装置40のバネ部42の弾性力によって左扉10を開く方向へ力が作用しても左扉10を閉じることができる。
【0126】
(9-3)変更例3
上記した実施形態では、第2閉扉装置50において動力は発生する閉駆動装置51として、可動体51aが直線状の所定範囲を往復移動する直進型ソレノイドアクチュエーターを用いた場合について説明したが、所定の角度範囲を正逆方向に回転可能に設けられた可動体351aが正逆方向の一方へ移動する回転型ソレノイドアクチュエーターを閉駆動装置に用いてもよい。
【0127】
本変更例の閉駆動装置351は、
図14に示すように、磁性材料からなる可動体351aと、電流が供給されて磁界を発生させる巻線351bと、巻線351bを収納するフレーム351fと、可動体351aに固定されたシャフト351jと、可動体351aとフレーム351fとの間に設けられた円弧状に延びる傾斜溝351kと、傾斜溝351kに収納されたベアリングボール351mとを備える。
【0128】
シャフト351jは軸周りの回転と軸方向への移動が可能なように筒状の固定鉄芯351cの内部に収納されている。シャフト351jに固定された可動体351aは、傾斜溝351kに収納されたベアリングボール351mによって、所定の角度範囲を正逆方向に回転可能に設けられている。
【0129】
閉駆動装置351では、巻線351bに電流が供給されると可動体351aに対してシャフト351jの軸方向への動力が発生すると、傾斜溝351kに収納されたベアリングボール351mによって一定角度の回転運動に変換され、シャフト351jを回転中心として可動体351aが正逆方向の一方へ所定角度移動する。
【0130】
このような閉駆動装置351では、
図15に示すように、可動体351aの回転中心を構成するシャフト351jが左扉10の回転中心を構成する上側ピン16aに同軸上に固定され、固定鉄芯351c及びフレーム351fが左扉10に固定されている。
【0131】
閉駆動装置351は、巻線351bに電流を流すことで巻線351bにおいて発生した磁界によって、可動体351aをフレーム351fに近づくようにシャフト351jの軸方向一方側へ移動させる。これにより、可動体351aとともにシャフト351jが、固定鉄芯351c及びフレーム351fに対して所定角度回転する。シャフト351jは上側ピン16aに同軸上に固定され冷蔵庫本体2に対して固定されているため、シャフト351jが固定鉄芯351c及びフレーム351fに対して所定角度回転すると、固定鉄芯351c及びフレーム351fに固定された左扉10が所定角度回転して左扉10を閉じる。つまり、本変更例では、固定鉄芯351c及びフレーム351fが、左扉10と閉駆動装置351とを接続し、閉駆動装置351の動力を左扉10へ伝達可能に接続する接続部を兼ねている。
【0132】
(9-4)変更例4
上記した変更例3では、閉駆動装置351に設けられた可動体351aの回転中心を左扉10の回転中心と同軸上に設ける場合について説明したが、変更例4では、
図16に示すように、閉駆動装置451の可動体451aの回転中心が左扉10の回転中心よりも後方に設けられている。
【0133】
閉駆動装置451は、例えば、変更例3の閉駆動装置351と同様の回転型ソレノイドアクチュエーターからなり、所定の角度範囲を正逆方向に回転可能に設けられた可動体451aを備える。閉駆動装置451は、可動体451aの回転中心を構成するシャフト451jが、左扉10の回転中心を構成する上側ピン16aよりも後方に位置するように、冷蔵庫本体2の天井壁上面2aに設けられている。
【0134】
閉駆動装置451は、接続部452を介して左扉10に接続され、閉駆動装置451で発生させた動力が接続部452に伝達される。接続部452は、閉駆動装置451から動力を受けて回転する回転部材452aと、回転部材452aに設けられた扉接続部452bとを備え、閉駆動装置451で発生させた動力を左扉10へ伝達して左扉10を閉扉する。
【0135】
回転部材452aは左扉10の上方に配置された平板状の部材からなる。回転部材452aは、閉駆動装置451のシャフト451jに固定されており、閉駆動装置451の巻線451bが通電されるとシャフト451jとともに所定角度回転する。
【0136】
扉接続部452bは、回転部材452aから上下方向の少なくとも一方へ突出する柱状の部材からなる。扉接続部452bは、左扉10に設けられた左右方向に延びる溝状の摺動部10cに設けられることで左扉10に接続されている。扉接続部452bは左扉10に対する接続位置が摺動部10cの延びる方向へ移動可能に設けられている。閉駆動装置451が接続部452を介して左扉10に接続されており、回転部材452aが閉駆動装置451から動力を受けてシャフト451jの周りに回動移動すると、扉接続部452bが摺動部10cに沿って移動しながら左扉10を閉じる。
【0137】
(9-5)変更例5
上記した変更例3では、巻線351bに電流を供給して発生したシャフト351jの軸方向への動力を回転運動に変換する回転型ソレノイドアクチュエーターを閉駆動装置351に用いたが、2つのヨークとコイルを有する固定側のステータ部と、所定の角度範囲を正逆方向に回転可能に設けられた可動体とで構成され、コイルの通電方向を切り替えコイルの極性を切り替えることで、可動体が正逆方向の一方へ移動して動力が発生する閉駆動装置を閉駆動装置に用いてもよい。
【0138】
(9-6)変更例6
上記した変更例1では、可動体被覆部151gが巻線51bと筒体51dとの間に設けた筒状の補助ヨークの場合について説明したが、巻線51bの外側に配置されるフレーム51fを可動体被覆部としてもよい。つまり、磁性材料からなるフレーム51fに対して扉10の開き角度に応じて可動体51aを覆う面積が変化する形状部分を設けてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、2a…天井壁上面、2b…側面、2c…回転軸、3…冷蔵室、10…左扉、10b…端部、10c…摺動溝、11…右扉、16…左上扉支持部材、16a…上側ピン、16b…固定部、16c…突出部、17…左下扉支持部材、17a…下側ピン、17b…固定部、17c…軸支持部、17d…係合フック、27…カバー部材、30…開扉装置、40…第1閉扉装置、41…基部、42…バネ部、43…固定孔、44…筒部、45…ネジ、46…爪部、50…第2閉扉装置、51…閉駆動装置、51a…可動体、51b…巻線、51c…固定鉄芯、51d…筒体、51e…ボビン、51f…フレーム、51g…可動体被覆部、51g1…切欠部、51h…連結部材、51i…案内部、52…接続部、52a…回転部材、52b…扉接続部、52c…連結部