(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153371
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】発光装置、駆動装置及び測距装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/484 20060101AFI20241022BHJP
G01S 17/10 20200101ALI20241022BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067231
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【弁理士】
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】早川 純一朗
(72)【発明者】
【氏名】竹山 慶
(72)【発明者】
【氏名】井口 大介
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BB40
5J084CA03
5J084CA11
5J084CA31
5J084CA70
5J084DA01
5J084DA08
5J084DA09
5J084EA07
(57)【要約】
【課題】パルス発光の持続時間を長くして光出力を増加する場合に比べて、デューティ比を上げても高出力化を可能にする。
【解決手段】個別に発光可能な複数の領域を有する発光部5と、発光部5の複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部2と、発光部5から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部84と、を備え、取得部84が取得する1回の取得において、駆動部2は予め定められている領域のパルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、発光装置91である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に発光可能な複数の領域を有する発光部と、
前記発光部の前記複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、
前記発光部から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、
を備え、
前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、
発光装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記予め定められている領域以外の領域である他の領域を、当該予め定められている領域の前記パルス発光の発光時期と重ならない時期に発光するよう駆動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記時間間隔の間に、前記他の領域について、前記複数回行われるパルス発光のうち少なくとも1回のパルス発光を駆動する、
ことを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記他の領域は、前記予め定められている領域を含む領域を一方向に並べた第1列に対して当該一方向と交差する方向に整列した第2列に含まれる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記第1列及び前記第2列における前記複数回行われるパルス発光が列単位で行われるように駆動する、
ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1列と前記第2列の各々は、前記発光時期に同時に発光する複数の領域と同時に発光しない領域とを有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項7】
前記パルス発光の発光時期が同じである前記予め定められている領域を複数含む領域が予め定められている方向に並べられている場合、複数の当該予め定められている領域同士は、当該予め定められている方向に関して隣り合わない、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記時間間隔は、前記取得部が前記受光結果を取得する時間よりも長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記取得部による前記受光結果の取得は、前記予め定められている領域における前記複数回のパルス発光ごとの発光時間の合計が予め定められている値を超える際に行われるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記予め定められている値は、前記複数の領域ごとに同じである、
ことを特徴とする請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記予め定められている値は、前記複数の領域に応じて定められる、
ことを特徴とする請求項9に記載の発光装置。
【請求項12】
前記複数の領域は、当該領域を一方向に並べた列が当該一方向と交差する方向に整列するように配置され、
前記予め定められている値は、前記列単位で定められる、
ことを特徴とする請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
個別に発光可能な複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、
前記複数の領域から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、
を備え、
前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、
駆動装置。
【請求項14】
個別に発光可能な複数の領域を有する発光部と、
前記発光部の前記複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、
前記発光部から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記受光結果を基に、前記対象物までの距離を算出する算出部と、
を備え、
前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、
測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、駆動装置及び測距装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、投光部と、投光部から投光され、対象物で反射された光を受光して光電変換し、その電気信号を複数の位相信号に分けて取得する位相信号取得部と、複数の位相信号に基づいて取得される対象物までの距離データを出力する距離出力部と、を有し、投光部は、二次元に配列された複数の発光部と、複数の発光部の位置を変更しながら、発光部に複数回の発光をさせる発光制御部と、を有する測距装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、発光部を高出力化すると、より高精度で長距離の測定を行うことが可能になることから、デューティ比を上げたりパルス発光の持続時間を長くしたりして高出力化を図ることが考えられる。しかしながら、パルス発光の持続時間を変えずにデューティ比を上げると、光出力が影響されてしまう熱飽和という現象が発生し易くなる。また、パルス発光の持続時間を長くすると、熱飽和が低電流でも生じてしまう。
本発明の目的は、パルス発光の持続時間を長くして光出力を増加する場合に比べて、デューティ比を上げても高出力化を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、個別に発光可能な複数の領域を有する発光部と、前記発光部の前記複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、前記発光部から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、を備え、前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、発光装置である。
請求項2に記載の発明は、前記駆動部は、前記予め定められている領域以外の領域である他の領域を、当該予め定められている領域の前記パルス発光の発光時期と重ならない時期に発光するよう駆動する、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項3に記載の発明は、前記駆動部は、前記時間間隔の間に、前記他の領域について、前記複数回行われるパルス発光のうち少なくとも1回のパルス発光を駆動する、ことを特徴とする請求項2に記載の発光装置である。
請求項4に記載の発明は、前記他の領域は、前記予め定められている領域を含む領域を一方向に並べた第1列に対して当該一方向と交差する方向に整列した第2列に含まれる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の発光装置である。
請求項5に記載の発明は、前記駆動部は、前記第1列及び前記第2列における前記複数回行われるパルス発光が列単位で行われるように駆動する、ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第1列と前記第2列の各々は、前記発光時期に同時に発光する複数の領域と同時に発光しない領域とを有する、ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置である。
請求項7に記載の発明は、前記パルス発光の発光時期が同じである前記予め定められている領域を複数含む領域が予め定められている方向に並べられている場合、複数の当該予め定められている領域同士は、当該予め定められている方向に関して隣り合わない、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項8に記載の発明は、前記時間間隔は、前記取得部が前記受光結果を取得する時間よりも長い、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項9に記載の発明は、前記取得部による前記受光結果の取得は、前記予め定められている領域における前記複数回のパルス発光ごとの発光時間の合計が予め定められている値を超える際に行われるように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項10に記載の発明は、前記予め定められている値は、前記複数の領域ごとに同じである、ことを特徴とする請求項9に記載の発光装置である。
請求項11に記載の発明は、前記予め定められている値は、前記複数の領域に応じて定められる、ことを特徴とする請求項9に記載の発光装置である。
請求項12に記載の発明は、前記複数の領域は、当該領域を一方向に並べた列が当該一方向と交差する方向に整列するように配置され、前記予め定められている値は、前記列単位で定められる、ことを特徴とする請求項11に記載の発光装置である。
請求項13に記載の発明は、個別に発光可能な複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、前記複数の領域から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、を備え、前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、駆動装置である。
請求項14に記載の発明は、個別に発光可能な複数の領域を有する発光部と、前記発光部の前記複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、前記発光部から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記受光結果を基に、前記対象物までの距離を算出する算出部と、を備え、前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、測距装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、パルス発光の持続時間を長くして光出力を増加する場合に比べて、デューティ比を上げても高出力化が可能になる。
請求項2の発明によれば、駆動部は、予め定められている領域以外の領域である他の領域を、予め定められている領域のパルス発光の発光時期と重ならない時期に発光するよう駆動する構成を採用しない場合に比べて、発光部の電流密度を高めることができる。
請求項3の発明によれば、駆動部は、時間間隔の間に、他の領域について、複数回行われるパルス発光のうち少なくとも1回のパルス発光を駆動する構成を採用しない場合に比べて、発光から取得までの時間を短縮化することができる。
請求項4の発明によれば、他の領域は、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
請求項5の発明によれば、駆動部は、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
請求項6の発明によれば、第1列と第2列の各々は、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
請求項7の発明によれば、パルス発光の発光時期が同じである予め定められている領域を複数含む領域が予め定められている方向に並べられている場合、複数の当該予め定められている領域同士は、予め定められている方向に関して隣り合わないという構成を採用しない場合に比べて、領域間の熱クロストークを抑制することができる。
請求項8の発明によれば、時間間隔は、取得部が受光結果を取得する時間よりも長いという構成を採用しない場合に比べて、誤点灯を防止することができる。
請求項9の発明によれば、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
請求項10の発明によれば、予め定められている値は、複数の領域ごとに同じであるという構成を採用しない場合に比べて、発光パターン設定の容易化を図ることができる。
請求項11の発明によれば、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
請求項12の発明によれば、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
請求項13の発明によれば、パルス発光の持続時間を長くして光出力を増加する場合に比べて、デューティ比を上げても高出力化が可能になる。
請求項14の発明によれば、パルス発光の持続時間を長くして光出力を増加する場合に比べて、デューティ比を上げても高出力化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態が適用される測距装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施の形態に係る発光部の発光面と、発光部から出射された光が照射される照射面との関係を説明する図である。
【
図3】本実施の形態に係る発光部の一例を示す図である。
【
図4】本実施の形態に係る受光部の受光面と、照射面との関係を説明する図である。
【
図5】本実施の形態における距離画像について説明する図であり、(a)は測距装置と対象物との位置関係を示す図、(b)は制御部が作成する距離画像の例を示す図、(c)は照射面の様子を示す図である。
【
図6】第1動作パターンを説明する図であり、(a)~(c)は、発光区画及び受光区画の各区画の位置を数字で示し、(d)は、第1動作パターンを示す図である。
【
図8】第3動作パターンを説明する図であり、(a)~(f)は、発光区画及び受光区画の各区画の位置を数字で示したものである。
【
図10】本実施の形態が適用される1回の発光期間での発光動作パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明の技術的範囲は、以下に実施の形態として記載する範囲に限定されるものではない。複数の実施例を組み合わせたものや、これらの実施例に種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0009】
(測距装置1)
図1は、本実施の形態が適用される測距装置1の概略構成の一例を示すブロック図である。
測距装置1は、後述する発光部4から出射され対象物で反射された光を後述する受光部5で受光した結果に基づいて対象物の距離を測定する。測距装置1は、例えば、ToF(Time of Flight)法に基づいて、測距装置1から対象物までの距離等を測定する。付言すると、測距装置1は、発光部4から光が出射されたタイミングから、出射された光が対象物で反射し受光部5で受光されるタイミングまでの時間から、測距装置1から対象物までの距離を測定する。なお、距離を測定することを測長または測距と表記する場合がある。ToF法には、放射された光の位相と受光した光の位相との差から時間を測定する間接ToF(iToF:indirect ToF)法と、光の放射から受光までの時間を直接計測する直接ToF(dToF:direct ToF)法とがある。ここでは、間接ToF法と直接ToF法とを区別しないで、ToF法として説明する。
【0010】
図1に示すように、測距装置1は、光学装置3と、制御部8とを備えている。
光学装置3は、予め定められた照射範囲に向けて光を出射する発光部4と、発光部4から出射され照射範囲に存在する対象物で反射した光を受光する受光部5と、発光部4を駆動する発光駆動部6及び受光部5を駆動する受光駆動部7を有する駆動部2と、を備えている。
光学装置3の発光部4および受光部5の構成については、後段にて詳細に説明する。
【0011】
制御部8は、光学装置3の発光部4および受光部5の動作を制御する。
また、制御部8は、ToF法により、発光部4が光を出射してから受光部5が受光するまでの時間に基づいて、測距装置1から対象物までの距離に関する情報を取得するものであり、取得部84及び測距部85を備えている。
取得部84は、発光部4から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する。測距部85は、取得部84により取得された受光の結果を基に、対象物までの距離を測定する。
【0012】
図1に示すように、発光装置91は、駆動部2、発光部4、受光部5、及び取得部84を含んで構成されている。また、測距装置1は、発光装置91及び測距部85を含んで構成されている。測距部85は算出部の一例である。
さらに説明すると、駆動装置92は、駆動部2及び取得部84を含んで構成されている。
【0013】
(発光部4)
図2は、本実施の形態に係る発光部4の発光面40と、発光部4から出射された光が照射される照射面60との関係を説明する図である。
図2では、紙面の左方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側方向を+z方向として、各々反対方向を-x,-y,-z方向とする。なお、
図2では、発光面40と照射面60とを紙面の上下方向(±y方向)にずらして示しているが、実際には、発光面40と照射面60とは対向するように配置される。
図2では、紙面の表側方向(-z方向)に発光部4の発光面40が位置し、紙面の裏側方向(+z方向)に照射面60が位置している。つまり、
図2は、照射面60へ光を出射している発光部4を、発光部4が光を出射する側とは反対側から見た様子である。
発光部4は、例えば1枚または複数枚の発光チップにより構成される。発光部4は、発光デバイスの一例である。
【0014】
発光部4は、垂直共振器型面発光レーザVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、後述する
図3において符号43で示す。)が複数配列された発光面40を備える。そして、発光部4は、VCSELの発光により、照射面60に向けて光を出射する。なお、VCSELは、発光素子の一例である。
図2では、VCSELの記載を省略している。
【0015】
発光面40は、少なくとも1つのVCSELを含む複数の発光区画41に分割されている。ここでは、発光面40は、一例として、x方向に4個、y方向に3個の計12個の発光区画41に分割されている。図示するように、各発光区画41について区別が必要な場合は、
図2における左上側(+x方向および+y方向の端)から順に、発光区画A1~A12として区別する。発光区画A1~A12は、複数の領域の一例である。
本実施の形態における発光面40は、12個の発光区画41に分割されているが、これに限られず、他の分割数としてもよい。
なお、本実施の形態の説明では、「~」は、番号によってそれぞれが区別された複数の構成要素を示すもので、「~」の前後に記載されたものおよびその間の番号のものを含むことを意味する。例えば、発光区画A1~A12は、発光区画A1から番号順に発光区画A12までの12個の発光区画41を含む。
【0016】
各発光区画41は、発光駆動部6(
図1参照)により、独立に駆動されて発光動作を行う。発光区画41の駆動とは、発光区画41に含まれるVCSELに電力が供給されて発光することを指し、発光動作とは、発光区画41に含まれるVCSELが予め定められた発光期間の間発光することを指す。また、「独立に駆動」とは、発光区画41毎に駆動され発光することを指す。発光駆動部6は、制御部8(
図1参照)からの制御信号に応じて、各発光区画41を駆動する。
したがって、
図2の例における発光区画A1~A12は、必ずしもすべて同時に発光するものではなく、例えば発光区画A1は発光しているが発光区画A12は発光していない、という状態をとり得る。
【0017】
照射面60は、発光面40の中心40Cから光を出射する方向におけるある距離において光を出射する方向に直交する、発光部4からの光が照射される面である。
図2の例では、発光部4は、z方向に向けて光を放射するため、照射面60は、z方向のある距離においてx方向およびy方向に広がっている。照射面60の中心60Cと発光面40の中心40Cとを通る中心軸Ax(二点鎖線)は、発光面40及び照射面60に対して垂直である。なお、本実施の形態では、発光面40が矩形状であることに対応して、照射面60が矩形状になっている。
【0018】
図示するように、照射面60は、発光面40における発光区画41に対応して、複数の照射区画61に分割される。
図2の例では、x方向に4個、y方向に3個並ぶ12個の照射区画61に分割される。各照射区画61について区別が必要な場合は、
図2における左上側(+x方向および+y方向の端)から順に、照射区画B1~B12として区別する。
なお、ある照射区画Biに対し同じ番号iが付与された発光区画Aiを、「対応する発光区画」と呼ぶ場合がある。例えば、発光区画A1は照射区画B1に対応する発光区画である。反対に、ある発光区画Aiに対し同じ番号iが付与された照射区画Biを、「対応する照射区画」と呼ぶ場合がある。
【0019】
照射区画B1~B12は、発光区画A1~A12とxy平面について面対称な配列を有している。例えば、発光区画A1,A2,A3,A4が-x方向にこの順で配列されるのに対応して、照射区画B1,B2,B3,B4が-x方向にこの順で配列される。
それぞれの発光区画41は、対応する照射区画61に向けて光を出射する。そして、それぞれの照射区画61には、対応する発光区画41から出射された光が照射される。ここで、発光区画41が対応する照射区画61に向けて光を出射するとは、それぞれの発光区画41から出射される光の光軸が対応する照射区画61を向いていることを意味し、発光区画41から出射された光の全てが対応する照射区画61に照射されなくてもよい。詳細については後述するが、本実施の形態では、それぞれの照射区画61から出射される光の範囲は、対応する発光区画41の範囲よりも広くなっている。これにより、それぞれの照射区画61には、対応する発光区画41以外の他の発光区画41から出射された光も照射される場合がある。
【0020】
図3は、本実施の形態に係る発光部4の一例を示す図である。
図3では、発光部4が光を出射する側から見た状態を示している。よって、
図3における紙面の右方向がx方向、紙面の上方向がy方向、紙面の表方向がz方向である。平面図とは、発光部4をz方向側から見た図である。
図3に示すように、発光部4では、基板42と、複数のVCSEL43が配置された発光面40とを有している。より詳しくは、基板42と発光面40とは、光を出射する方向(+z方向、紙面の表方向)に重ねて設けられている。
【0021】
図3は、本実施の形態に係る発光部4の一例を示す図である。
図3では、発光部4が光を出射する側から見た状態を示している。よって、
図3における紙面の右方向がx方向、紙面の上方向がy方向、紙面の表方向がz方向である。平面図とは、発光部4をz方向側から見た図である。
図3に示すように、発光部4では、基板42と、複数のVCSEL43が配置された発光面40とを有している。より詳しくは、基板42と発光面40とは、光を出射する方向(+z方向、紙面の表方向)に重ねて設けられている。
【0022】
上述したように、発光部4は、発光面40にVCSEL43が配列された12個の発光区画41(発光区画A1~A12)を備えている。
図3に示すように、発光区画A1~A12は、すべて同じ面積になっている。また、それぞれの発光区画A1~A12には、互いに同じ数(この例では7個)のVCSEL43が配置されている。
【0023】
なお、発光部4のそれぞれの発光区画41から出射された光は、不図示の拡散部により、出射方向(中心軸Axの軸方向)に垂直な面に広げられて照射面60に照射される。付言すると、この例では、発光部4のそれぞれの発光区画41から出射された光は、光を拡散する拡散部により、対応する照射区画61よりも広い範囲に広げられて照射面60に照射される。拡散部としては、光の光路上に設けられ、散乱等により光を拡散する拡散板、入射する光の角度を変更して出射する回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)又は/及びレンズ等の光学部材を用いうる。
【0024】
(受光部5)
図4は、本実施の形態に係る受光部5の受光面50と、上述した照射面60との関係を説明する図である。
図4では、
図2と同様に、紙面の左方向を+x方向、紙面の上方向を+y方向、紙面の裏側方向をz方向として、各々反対方向を-x,-y,-z方向とする。なお、
図4では、受光面50と照射面60とを紙面の上下方向(±y方向)にずらして示しているが、実際には、受光面50と照射面60とは対向するように配置される。
図4では、紙面の表側方向(-z方向)に受光部5(受光面50)が位置し、紙面の裏側方向(+z方向)に照射面60が位置している。つまり、
図4は、照射面60から反射してきた光を受光している受光部5を、受光部5が光を受光する側とは反対側から見た様子である。
【0025】
受光部5は、x方向及びy方向に広がり、不図示の受光素子が複数配列された受光面50を備える。そして、受光部5は、それぞれの受光素子により、発光部4から出射され照射面60に存在する対象物で反射した光を受光する。
照射面60の中心60Cと受光面50の中心50Cとを通る中心軸Bx(二点鎖線)は、照射面60及び受光面50に対して垂直である。なお、本実施の形態では、発光面40(
図2参照)及び照射面60と同様に、受光面50が矩形状になっている。
【0026】
受光面50は、発光面40(
図2参照)の発光区画41(
図2参照)及び照射面60の照射区画61に対応して、複数の受光区画51に分割される。
図4の例では、x方向に4個、y方向に3個ずつ並ぶ12個の受光区画51に分割される。各受光区画51について区別が必要な場合は、
図4における左上側(+x方向及び+y方向の端)から順に、受光区画C1~C12として区別する。
なお、ある発光区画Ai又はある照射区画Biに対し同じ番号iが付与された受光区画Ciを、「対応する受光区画」と呼ぶ場合がある。例えば、受光区画C1は、発光区画A1又は照射区画B1に対応する受光区画である。反対に、ある受光区画Ciに対し同じ番号が付与された発光区画Aiを、「対応する発光区画」と呼び、ある受光区画Ciに対し同じ番号が付与された照射区画Biを、「対応する照射区画」と呼ぶ場合がある。
【0027】
受光区画C1~C12は、照射区画B1~B12とxy平面について面対称な配列を有している。例えば、
図4では、照射区画B1,B2,B3,B4が-x方向にこの順で配列されるのに対応して、受光区画C1,C2,C3,C4が-x方向にこの順で配列される。
それぞれの受光区画51は、発光部4から出射され、対応する照射区画61に存在する対象物で反射した光を受光する。
【0028】
それぞれの受光区画51は、規則的に配列される複数の受光素子を有する。それぞれの受光素子は、発光部4から出射され照射面60に存在する対象物で反射した光を受光し、受光した光に応じて電気信号を出力可能である。受光素子としては、フォトダイオードやフォトトランジスタを例示することができる。
【0029】
各受光区画51は、受光駆動部7(
図1参照)により独立に駆動されて受光動作を行う。ここで、受光区画51の駆動とは、受光区画51を受光素子の受光に応じた電荷の蓄積が可能な状態にすることを指し、受光動作とは、受光区画51の受光素子が受光に応じて電荷の蓄積を行うことを指す。また、「独立に駆動」とは、受光区画51毎に駆動して、受光に応じた電荷の蓄積が可能な状態にすることを指す。受光駆動部7は、制御部8(
図1参照)からの制御信号に応じて、各受光区画51を駆動する。
また、受光部5は、制御部8の読み出し動作(詳細は後述する。)に応じて、受光区画51にて蓄積した電荷、すなわち受光区画51における受光の結果に対応する電気信号を制御部8へと出力する。
【0030】
(制御部8)
図1に戻り、制御部8は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83により構成されている。
CPU81は、プロセッサの一例であって、ROM82等に記憶された各種プログラムをRAM83にロードして実行することにより、後述する各機能を実現する。RAM83は、CPU81の作業用メモリ等として用いられるメモリである。ROM82は、CPU81が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
CPU81は、プログラムにより実現される取得部84及び測距部85を備える。取得部84は、発光部4から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する。測距部85は、取得部84により取得された受光結果を基に、対象物までの距離を測定する。
【0031】
ここで、CPU81によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供しうる。また、CPU81によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて提供してもよい。
【0032】
また、本実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
また、本実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0033】
上述したように、制御部8は、駆動部2の発光駆動部6を通じて発光部4の動作を制御し、駆動部2の受光駆動部7を通じて受光部5の動作を制御する。
また、制御部8の取得部84は、受光駆動部7を通じて受光部5に対する読み出し動作を行う。ここで、「読み出し動作」とは、制御部8が受光駆動部7を通じて受光部5を制御し、受光区画51における受光素子の受光の結果に対応する電気信号を出力させて、取得することをいう。なお、本実施の形態に係る制御部8は、受光区画51毎に独立して読み出し動作を行うことができる。例えば、ある受光区画Ciと他の受光区画Cjとが受光動作を行って電荷を蓄積している場合に、受光区画Ciおよび受光区画Cjの両方に対する読み出し動作を行うだけでなく、受光区画Ciに対する読み出し動作のみを行うこともできる。
【0034】
ところで、一般に、間接ToF法では、光の出射に対して複数の位相差で受光を行い、各位相差における受光の結果から、出射された光の位相と受光した光の位相との差を求めて測距を行う。また、一般に、外来光(環境光)による測距の精度の低下を抑制するため、1つの位相差について複数回受光を行う。このため、n個の位相差φ(φ1,φ2,…,φn)でそれぞれk回の受光を行う場合、光の出射と、ある位相差φにおける受光と、受光の結果の読み出しとを、n×k回分繰り返すことになる。
本実施の形態が適用される測距装置1は、光の出射に対して0度、180度の2個の位相差φでそれぞれ2回の受光を行った結果から、間接ToF法に基づく測距を行う。したがって、測距装置1では、例えばある照射区画Biの測距を行う場合、対応する発光区画Aiにおける発光動作と、対応する受光区画Ciにおける受光動作と、制御部8による受光区画Ciに対する読み出し動作と、をそれぞれ4回繰り返す。より詳しくは、測距装置1では、各発光区画41における4回の発光動作、各受光区画51における4回の受光動作、各受光区画51に対する4回の読み出し動作が、予め定められた動作パターンに従って行われる。この予め定められた動作パターンについては後述する。
【0035】
制御部8は、各受光区画51における受光の結果に基づいて、各照射区画61の測距を行う。そして、各照射区画61における測距の結果をまとめ、測距装置1と対象物との距離を表した距離画像を作成する。より詳しくは、制御部8の測距部85は、各受光区画51における4回の受光の結果として受光部5から取得した4つの電気信号に、予め定められた演算処理を施すことで、照射面60の各照射区画61における測距装置1と対象物との距離を算出(測距)し、距離画像を作成する。
【0036】
<距離画像100>
図5は、本実施の形態における距離画像100について説明する図であり、(a)は測距装置1と対象物S1,S2との位置関係を示す図、(b)は制御部8が作成する距離画像100の例を示す図、(c)は照射面60の様子を示す図である。
図5(b)に示す距離画像100は、照射面60におけるすべての照射区画61について測距を行うことで、結果として作成されたものである。なお、
図5の例において、対象物S1,S2(区別せずに対象物Sと表記する場合がある。)は、少なくとも、測距装置1において距離画像100の作成に必要な測距が開始してから完了するまでの間は静止しており、測距装置1に対する位置を変化させなかったものとする。
【0037】
図5(c)に示すように、距離画像100は、発光面40の発光区画41、照射面60の照射区画61および受光面50の受光区画51(
図2、
図4参照)に対応する、複数の画像区画101を有する。
図5(c)の例では、距離画像100は、照射面60および受光面50の±x方向に対応する図の左右方向に4個、±y方向に対応する図の上下方向に3個並ぶ12個の画像区画101を有している。各画像区画101について区別が必要な場合は、
図5(c)における左上側から順に、画像区画D1~D12として区別する。
距離画像100における画像区画Diは、発光面40の発光区画Aiにて出射され、照射面60の照射区画Biにて対象物により反射され、受光面50の受光区画Ciで受光された光に基づいて得られた画像である。なお、発光区画Ai、照射区画Biおよび受光区画Ciに対し同じ番号iが付与された画像区画Diを、「対応する画像区画」と呼ぶ場合がある。反対に、画像区画Diに対し同じ番号iが付与された発光区画Aiを「対応する発光区画」と呼び、画像区画Diに対し同じ番号iが付与された照射区画Biを「対応する照射区画」と呼び、画像区画Diに対し同じ番号が付与された受光区画Ciを「対応する受光区画」と呼ぶ場合がある。
【0038】
距離画像100のそれぞれの画像区画101は、対応する受光区画51が有する複数の受光素子に対応付けられた複数の画素(不図示)を有している。距離画像100では、画像区画101のそれぞれの画素の画素値が、受光区画51のそれぞれの受光素子からの電気信号から算出された、測距装置1から対象物までの距離に対応している。
【0039】
図5(a)に示す例では、測距装置1からある距離だけ離れた位置に、対象物S1,S2が存在している。
図5(b)に示すように、この例における対象物S1は、照射面60の照射区画B1,B5,B9に亘る範囲に存在し、対象物S2は、照射区画B2,B6に亘る範囲に存在する。また、測距装置1から対象物S1までの距離(例えば1m程度)は、測距装置1から対象物S2までの距離(例えば3m程度)と比べて小さい。
【0040】
そして、
図5(c)に示すように、距離画像100には、各画像区画101に含まれる画素により、対象物S1を表す像S1´および対象物S2を表す像S2´(区別せずに像S′と表記する場合がある。)が描写されている。より詳しくは、距離画像100のうち照射区画B1,B5,B9に対応する画像区画D1,D5,D9に亘って像S1´が描写され、距離画像100のうち照射区画B2,B6に対応する画像区画D2,D6に亘って像S2´が描写されている。
この例では、距離画像100において像S1´および像S2´を構成する画素の画素値(図では網掛けで表現する。)によって、測距装置1から対象物S1までの距離、および測距装置1から対象物S2までの距離に係る情報を得ることができる。
【0041】
なお、距離画像100は、対象物Sの表面上の各地点と、測距装置1との距離の情報を含むので、対象物Sの三次元形状の情報を含むものと捉えることもできる。したがって、本実施の形態が適用される測距装置1は、三次元測定にも利用可能である。
【0042】
<動作パターン>
次に、制御部8の制御による種々の動作パターンとして、第1動作パターン、第2動作パターン及び第3動作パターンを説明する。
なお、動作パターンは、各発光区画41の発光期間が500μsである場合を例にして説明する。すなわち、各発光区画41は、発光動作として、発光駆動部6(
図1参照)により駆動されVCSELを500μs発光させて光を出射し、対応する照射区画61を照射する。なお、発光期間は500μsに限定されるものではなく、測距の精度を確保する上で必要な光量等に応じて予め定められる。
【0043】
以下説明する動作パターンは、各発光区画41が、予め定められた複数回である予定回数が4回の発光期間を有するものとして説明する。ここにいう予定回数は限定されるものではなく、例えば間接ToF法においては、光の出射に対して0度、90度、180度、270度の4個の位相差φでそれぞれ2回の受光を行った結果から、測距を行う場合もある。この場合、測距装置1では、例えばある照射区画Biの測距を行う場合、対応する発光区画Aiにおける発光動作と、対応する受光区画Ciにおける位相差φでの受光動作と、制御部8による受光区画Ciに対する読み出し動作と、をそれぞれ8回繰り返す。より詳しくは、各発光区画41における8回の発光動作と、各受光区画51における8回の受光動作と、各受光区画51に対する8回の読み出し動作とを行うことになる。
【0044】
<第1動作パターン>
まず、第1動作パターンについて
図6を用いて説明する。
図6は、第1動作パターンを説明する図であり、(a)~(c)は、発光部4の発光区画A1~A12(
図3参照)及び受光部5の受光区画C1~C12(
図4参照)の各区画の位置を数字で示したものであり、(d)は、露光、待機及び読み出しのタイミングを示す第1動作パターンを示す図である。
【0045】
なお、
図6(a)~(c)では、同時に発光するブロックに斜線を付している。また、同図(d)では、露光期間を同図(a)~(c)と同じ種類の斜線で示し、待機期間をドットで示し、読み出し期間を太い線の斜線で示す。
また、
図6(d)に示される0.5msごとに区切られる期間をセルと表現することがあり、また、露光期間、待機期間及び読み出し期間の単位として、1セルで説明することがある。
【0046】
図6(a)~(c)では、発光部4の発光区画A1~A12(
図3参照)及び受光部5の受光区画C1~C12(
図4参照)をy方向に3段に分け、上段ブロック、中段ブロック及び下段ブロックで示している。すなわち、上段ブロックは、発光区画A1~A4及び受光区画C1~C4であり、中段ブロックは、発光区画A5~A8及び受光区画C5~C8であり、下段ブロックは、発光区画A9~A12及び受光区画C9~C12である。以下、上段ブロックを「上段ブロック1~4」、中段ブロックを「中段ブロック5~8」、下段ブロックを「下段ブロック9~12」という。上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の各々は、予め定められている領域の一例である。
なお、
図6(a)~(c)に示すように、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12は、左右方向すなわち一方向に並んでおり、列状である。
図6では、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12を示し、上下方向や左右方向を用いて説明するが、これに限られず、上向き又は下向き等に設置されることも考えられる。
【0047】
以下説明する動作パターンでは、駆動部2の露光期間、待機期間及び読み出し期間について説明する。
ここにいう露光期間とは、発光駆動部6による駆動で受光部5がパルス発光を受光する期間をいい、発光動作が行われる期間ないしパルス発光の持続時間に相当する。
また、ここにいう読み出し期間とは、受光駆動部7による駆動で受光部5が受光したパルス発光の電気信号を出力する期間をいう。
さらに、ここにいう待機期間とは、発光駆動部6による駆動及び受光駆動部7による駆動のいずれも行われない期間であり、発光部4が冷却される期間である。
このように、
図6に示す上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12は、発光部4の発光区画と受光部5の受光区画を併せて表すものであることから、発光部4における「発光」を受光部5側で行われる「露光」で説明することがある。
本書におけるパルス発光とは、予め定められている周期をもって繰り返し発光されるパルス群をいう。
【0048】
第1動作パターンの露光は、
図6(a)に示す上段ブロック1~4が露光する状態と、同図(b)に示す中段ブロック5~8が露光する状態と、同図(c)に示す下段ブロック9~12が露光する状態のいずれかで行われる。
【0049】
図6(d)に示す第1動作パターンでは、経過時点を0ms、0.5ms、1msというように0.5ms単位で13.5msまで表している。また、0度、90度、180度及び270度の4つに分けた位相差において、位相差0度が0~3ms、位相差90度が3.5~6.5ms、位相差180度が7~10ms、位相差270度が10.5~13.5msである。
【0050】
図6(a)の上段ブロック1~4に着目すると、位相差0度の場合、同図(d)に示すように、露光期間が0ms及び1.5msの各セルに設定され、読み出し期間が3msのセルに設定されている。そして、待機期間は0.5ms、1ms、2ms及び2.5msの各セルに設定されている。
【0051】
このように、第1動作パターンでは、1つの読み出し期間が到来する前に複数の露光期間を設け、また、複数の露光期間の間には、待機期間が設けられている。上段ブロック1~4における露光は、0.5msを2回行うもので、露光の積算時間は1msであり、1msの露光を1回行う場合と同じにすることができる。
【0052】
ところで、上述したように、パルス発光の持続時間を長くするにつれて熱飽和が低電流で生じる。すなわち、発光区画A1~A12の点灯を1ms連続して行う場合、最大電流に到達する前に熱飽和してしまい、放熱設計等の熱的対策が必要になる。
そこで、第1動作パターンでは、露光を2回に分けて行い、その間に待機期間を設けることで、冷却の期間が付加される。これにより、冷却の期間が設けられ、熱飽和する前に冷却される。このため、2回目の露光を開始する際の温度を、1回目の露光を開始する際の温度又はそれに近い温度に戻すことができる。第1動作パターンを採用することで、発光部4の各発光区画41が最大電流に到達する前に熱飽和してしまうという事態が回避される。
なお、
図6に示す例では、露光を2回に分割しているが、これに限られず、3回又はそれ以上の回数例えば10回や100回としてもよい。
【0053】
ここで、
図6(d)に示すように、露光期間として2セル分の時間(1ms)を1セル分の時間(0.5ms)に分け、1回目の露光期間と2回目の露光期間との間に2セル分(1ms)の時間間隔をあけている。このように、上段ブロック1~4のパルス発光は、2セル分の時間間隔をあけ2回行われる。
【0054】
また、
図6(d)に示すように、読み出し期間は、1セル分の時間(0.5ms)である。このように、1回目の露光期間と2回目の露光期間との間の時間間隔は、2セル分(1ms)であり、読み出し期間よりも長い。すなわち、1回目の発光と2回目の発光との間で、読み出し期間よりも長く休止した後に2回目の発光を行う。このため、誤点灯が防止される。
【0055】
次に、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12に着目すると、中段ブロック5~8は、位相差0度の場合、露光期間が0.5ms及び2msの各セルに設定され、読み出し期間が3msのセルに設定されている。そして、待機期間は、1ms、1.5ms及び2.5msの各セルに設定されている。
また、下段ブロック9~12は、位相差0度の場合、露光期間が1ms及び2.5msの各セルに設定され、読み出し期間が3msのセルに設定されている。待機期間は、1.5ms及び2msの各セルに設定されている。
【0056】
上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の露光に着目すると、
図6(a)~(c)に示すように、これらの露光は同時には行われない。すなわち、同図(d)に示すように、位相差0度の場合、上段ブロック1~4では0ms及び1.5msの各セル、中段ブロック5~8は0.5ms及び2msの各セル、下段ブロック9~12は1ms及び2.5msの各セルというタイミングでそれぞれ露光する。
このように、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の露光は、位相ごとに時間差で順次行われる。言い換えると、発光駆動部6(
図1参照)は、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12を、上段ブロック1~4のパルス発光の発光時期と重ならない時期に発光するように駆動する。
【0057】
また、
図6(d)に示すように、上段ブロック1~4は、0ms及び1.5msの各セルで露光し、中段ブロック5~8は、0.5ms及び2msの各セルで露光する。すなわち、上段ブロック1~4が露光する0msのセルと1.5msのセルとの間にある0.5msのセルで、中段ブロック5~8が露光する。言い換えると、発光駆動部6(
図1参照)は、上段ブロック1~4が発光する0msのセル及び1.5msのセルという時間間隔の間である0.5msのタイミングで、中段ブロック5~8について2回行われるパルス発光のうち1回のパルス発光を駆動する。
【0058】
ここで、
図6(a)~(c)に示すように、それぞれ左右方向に列状に並ぶ上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12において、中段ブロック5~8は、上段ブロック1~4の列に対して左右方向と交差する上下方向に整列している。同様に、下段ブロック9~12は、上段ブロック1~4の列に対して上下方向に整列している。
そして、上述したように、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12は、列単位で複数回のパルス発光を行う。言い換えると、発光駆動部6(
図1参照)は、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12について、複数回行われるパルス発光が列単位で行われるように駆動する。
【0059】
さらに説明すると、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の露光時期が互いに重ならないようにする第1動作パターンの場合、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12を同時に露光する場合に比べて、最大電流を高めることができる。このため、第1動作パターンの場合には、高い電流密度を流すことができ、光出力密度が増加する。測距装置1(
図1参照)としては、より高精度で、より長距離の測距が可能になる。
【0060】
なお、同じ位相差において上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の露光を行う順番は、第1動作パターン以外の動作パターンであってもよく、例えば上段ブロック1~4の次に下段ブロック9~12、その後に中段ブロック5~8という順番でもよい。また、下段ブロック9~12、中段ブロック5~8及び上段ブロック1~4という順番でもよい。
【0061】
ここで、読み出し期間に着目すると、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12で2回の露光期間が経過した後に、3msのセルで上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の1回の読み出しが行われる。このため、広角かつ望遠の測距が可能になる。
【0062】
上述したように、第1動作パターンによれば、1回の読み出しに対応する発光の積算時間を複数回に分けて、冷却する期間を設けている。これにより、各回の積算時間が短くなり、温度上昇を抑制して熱飽和が抑制される。
さらには、第1動作パターンによれば、例えば上段ブロック1~4を冷却している期間に、他のブロックすなわち中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12が順次他の領域の照射を行う。これにより、測定時間の短縮化が図られ、モーションアーチファクト(motion artifact)が抑制される。
【0063】
なお、第1動作パターンのように積算時間を複数回に分けた場合、4つの位相差で1回の測定が終了するタイミングは、積算時間を複数回に分けない場合と同じであり、長くならない。
また、第1動作パターンでは、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の露光の回数は、いずれも2回であり、露光時間は同じである。
【0064】
<第2動作パターン>
次に、第2動作パターンについて
図7を用いて説明する。
図7は、第2動作パターンを説明する図であり、露光、待機及び読み出しのタイミングを示す。
なお、第2動作パターンは、第1動作パターンの場合(
図6(a)~(c)参照)と同じく、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12を単位として、露光、待機及び読み出しが行われることから、その図示は省略する。
図7に示す第2動作パターンは、経過時間を0.5ms単位で示し、また、0度、90度、180度及び270度という4つの位相差に分け、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12という3段に分けている点で、上述した第1動作パターンの場合と同じである。
また、第2動作パターンは、1回の読み出しを行うまでの間に複数回に分けて露光し、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の露光がずれたタイミングで行われる点も、上述した第1動作パターンの場合と同じである。
【0065】
その一方で、
図7に示す第2動作パターンは、露光期間の回数が多く設定されていることから、25.5msまで示している点で、13.5msまで示す第1動作パターンの場合とは異なる。
【0066】
さらに説明すると、第2動作パターンでは、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12ごとに違う露光回数に設定されている点で、同じ露光回数の第1動作パターンとは異なる。
すなわち、位相差0度の場合を参照すると、上段ブロック1~4の露光は、0ms、1.5ms、3ms、4ms、5ms及び5.5msの各セルで行われ、計6回である。中段ブロック5~8では、0.5ms、2ms、3.5ms、4.5msの各セルで露光が行われ、計4回である。下段ブロック9~12は、1ms及び2.5msの各セルで露光が行われ、計2回である。
【0067】
このように、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の各露光回数が互いに異なることから、総点灯時間が違う3つの領域群が設定される。
総点灯時間の違いは、測定精度に反映される。すなわち、上段ブロック1~4は、中段ブロック5~8よりも露光時間が長いことから、中段ブロック5~8に比べて測定精度が高くなる。その一方で、下段ブロック9~12は、中段ブロック5~8よりも露光時間が短いことから、中段ブロック5~8に比べて測定精度が低くなる。
上段ブロック1~4による測定精度は、他のブロックである中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12に比べて向上する。対象物が例えば低反射率物体や長距離物体等である場合にも測定可能になる。
【0068】
<第3動作パターン>
次に、第3動作パターンについて
図8及び
図9を用いて説明する。
図8及び
図9は、第3動作パターンを説明する図であり、
図8(a)~(f)は、発光区画A1~A12(
図3参照)及び受光区画C1~C12(
図4参照)の各区画の位置を数字で示したものである。
図8には、同時に発光するブロックに斜線を付している。
図9は、露光、待機及び読み出しのタイミングを示す第3動作パターンを示す図である。
【0069】
第3動作パターンは、
図8(a)~(f)に示すように、上述した第1動作パターン(
図6参照)や第2動作パターン(
図7参照)とは異なり、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12を単位として露光、待機及び読み出しを行うものではない。すなわち、第3動作パターンでは、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の各々の一部を単位として露光、待機及び読み出しが行われる。
【0070】
より詳細には、
図8(a)では、上段ブロック1~4のうちブロック1、3が同時に点灯するものであり、点灯時期が同じである。
また、
図8(b)では、中段ブロック5~8のうちブロック5、7が同時に点灯し、同図(c)では、下段ブロック9~12のうちブロック9、11が同時に点灯する。さらに、同図(d)では、上段ブロック1~4のうちブロック2、4が同時に点灯し、同図(e)では、中段ブロック5~8のうちブロック6、8が同時に点灯し、(f)では、下段ブロック9~12のうちブロック10、12が同時に点灯する。
【0071】
このように、第3動作パターンは、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12のうちいずれかが点灯し他は点灯しない点で、第1動作パターン(
図6参照)及び第2動作パターン(
図7参照)と同じである。
しかしながら、第3動作パターンは、同時に点灯するブロックは、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の一部である点で、第1動作パターン及び第2動作パターンと異なる。
すなわち、第3動作パターンでは、例えば
図8(a)に示すパターンAでは、上段ブロック1~4において、ブロック1、3の発光時期に他のブロック2、4は発光しない。このように、上段ブロック1~4は、ある発光時期に同時に発光するブロック1、3と同時に発光しないブロック2、4とを有する。
【0072】
また、同時に点灯するブロックは、上下方向及び左右方向に関して互いに隣り合う位置関係ではない。例えば、
図8(a)のブロック1、3に着目すると、ブロック1とブロック3との間には、同時に点灯しないブロック2が位置し、同時に点灯するブロック1、3同士は、左右方向に互いに隣り合っていない。同じく、(b)のブロック5、7の間にブロック6が位置し、(c)のブロック9、11の間にブロック10が位置する。また、(d)のブロック2、4の間にブロック3が位置し、(e)のブロック6、8の間にブロック7が位置し、(f)のブロック10、12の間にブロック11が位置する。
このため、第3動作パターンによれば、ブロック間の熱クロストークが抑制される。
なお、上段ブロック1~4において、1から4へと並ぶ方向である左右方向は、予め定められている方向の一例である。
【0073】
図9に示すA~Fは、
図8(a)~(f)に示すパターンA~Fに対応するものであり、例えば
図9に示すDは、
図8(d)に示すパターンDに対応するものである。
図9に示す第3動作パターンにおいて1回の読み出しに対して行う露光の回数は、ブロック1~12のいずれも2回である。
【0074】
上述した第1動作パターン、第2動作パターン及び第3動作パターンにおいて、読み出し期間は、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12における複数回のパルス発光ごとの発光時間が予め定められている値を超える際に行われるように設定されている。
すなわち、第1動作パターン(
図6参照)の例えば上段ブロック1~4に対する読み出しを行う前の0.5msのセル2つ分の露光2回の合計は1msである。このため、発光時間の合計が閾値として例えば0.5msを設定し、閾値を超える際に読み出しが行われるようにすることができる。この場合の閾値0.5msは、予め定められている値の一例である。
また、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12についての閾値は、上述した上段ブロック1~4の閾値と同じである。
上述した閾値は、列単位で定められている。
【0075】
付言すると、第3動作パターン(
図8、
図9参照)における閾値は、パターンA~パターンFのいずれも同じである点で第1動作パターンと同じであるものの、列単位ではない点で、第1動作パターンとは異なる。
【0076】
また、第2動作パターン(
図7参照)の例えば上段ブロック1~4に対する読み出しを行うまでの0.5msの露光6回の合計は3msであり、発光時間の合計が例えば2.5msを超える際に読み出しが行われるように設定することができる。この場合の閾値2.5msは、予め定められている値の一例である。
さらに説明すると、第2動作パターンでは、上述したように、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の各露光回数は互いに違うように設定されている。このため、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12の閾値は、上述した上段ブロック1~4の閾値とは異なり、中段ブロック5~8の閾値と下段ブロック9~12の閾値とは互いに異なる。
第2動作パターンのように、上段ブロック1~4、中段ブロック5~8及び下段ブロック9~12に応じて閾値を定めることができる。また、閾値は、列単位で定められている。
【0077】
上述した第1動作パターン、第2動作パターン及び第3動作パターンについては、測距条件や測距環境等に応じていずれかを選択することができる。
また、駆動部2の発光駆動部6は、取得部84により取得された受光の結果を基に発光制御を行うようにしてもよく、例えば、各動作パターンの精度に応じて、第1動作パターン、第2動作パターン及び第3動作パターンのいずれかの動作パターンに変更するように制御してもよい。かかる動作パターンの変更は、機械学習モデルを利用して行っても良い。かかる場合の機械学習モデルは、受光の結果を基に、対象物の測距に最も適した動作パターンを推測するように各週されたものである。より詳細には、機械学習モデルは、受光の結果が入力され、中間層を介して、動作パターンの選択結果が出力される。
【0078】
ここで、本実施の形態が適用される1回の発光期間での発光動作パターンを説明する。
図10は、本実施の形態が適用される1回の発光期間での発光動作パターンを示す図であり、その一例として、第3動作パターンにおけるパターンA(
図8または
図9参照)の場合を示す。
本実施の形態に係る各発光区画41(
図2または
図3参照)は、発光動作として、発光駆動部6(
図1参照)により駆動され、発光期間500μsの間にVCSELを、10ns~100ns程度の幅を有するパルスを多数回発光させて光を出射し、対応する照射区画61(
図2、
図4または
図5参照)を照射する。
【0079】
より具体的には、
図10に示すように、上段ブロック1~4のうちブロック1の発光期間(符号911~914で示す)の各々は、多数回のパルス900により構成されている。同様に、ブロック3の発光期間(符号921~924で示す)の各々は、多数回のパルス900により構成されている。
1回の発光期間を構成するパルス900の回数は、発光期間の長さやパルス900の幅によっても異なるが、数十~数百回程度を例示することができる。本実施の形態に係る発光区画41は、1回の発光期間内に例えば1万回のパルス発光を行う。
【0080】
なお、発光部4(
図2参照)の発光チップに駆動の機能の一部を持たせても良い。例えば、発光面40(同図参照)と同じ面にスイッチングとして機能するサイリスタなどを配置してもよい。また、発光部40と発光駆動部6(
図1参照)を一体に構成してもよい。
【0081】
<付記>
(((1)))
個別に発光可能な複数の領域を有する発光部と、
前記発光部の前記複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、
前記発光部から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、
を備え、
前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、
発光装置。
(((2)))
前記駆動部は、前記予め定められている領域以外の領域である他の領域を、当該予め定められている領域の前記パルス発光の発光時期と重ならない時期に発光するよう駆動する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の発光装置。
(((3)))
前記駆動部は、前記時間間隔の間に、前記他の領域について、前記複数回行われるパルス発光のうち少なくとも1回のパルス発光を駆動する、
ことを特徴とする(((2)))に記載の発光装置。
(((4)))
前記他の領域は、前記予め定められている領域を含む領域を一方向に並べた第1列に対して当該一方向と交差する方向に整列した第2列に含まれる、
ことを特徴とする(((2)))又は(((3)))に記載の発光装置。
(((5)))
前記駆動部は、前記第1列及び前記第2列における前記複数回行われるパルス発光が列単位で行われるように駆動する、
ことを特徴とする(((4)))に記載の発光装置。
(((6)))
前記第1列と前記第2列の各々は、前記発光時期に同時に発光する複数の領域と同時に発光しない領域とを有する、
ことを特徴とする(((4)))に記載の発光装置。
(((7)))
前記パルス発光の発光時期が同じである前記予め定められている領域を複数含む領域が予め定められている方向に並べられている場合、複数の当該予め定められている領域同士は、当該予め定められている方向に関して隣り合わない、
ことを特徴とする(((1)))乃至(((6)))のいずれか1項に記載の発光装置。
(((8)))
前記時間間隔は、前記取得部が前記受光結果を取得する時間よりも長い、
ことを特徴とする(((1)))乃至(((6)))のいずれか1項に記載の発光装置。
(((9)))
前記取得部による前記受光結果の取得は、前記予め定められている領域における前記複数回のパルス発光ごとの発光時間の合計が予め定められている値を超える際に行われるように設定されている、
ことを特徴とする(((1)))に記載の発光装置。
(((10)))
前記予め定められている値は、前記複数の領域ごとに同じである、
ことを特徴とする(((9)))に記載の発光装置。
(((11)))
前記予め定められている値は、前記複数の領域に応じて定められる、
ことを特徴とする(((9)))に記載の発光装置。
(((12)))
前記複数の領域は、当該領域を一方向に並べた列が当該一方向と交差する方向に整列するように配置され、
前記予め定められている値は、前記列単位で定められる、
ことを特徴とする(((11)))に記載の発光装置。
(((13)))
個別に発光可能な複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、
前記複数の領域から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、
を備え、
前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、
駆動装置。
(((14)))
個別に発光可能な複数の領域を有する発光部と、
前記発光部の前記複数の領域のうち予め定められている領域を、パルス発光するように駆動する駆動部と、
前記発光部から対象物に向けて発光された光の反射光を受光した受光結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記受光結果を基に、前記対象物までの距離を算出する算出部と、
を備え、
前記取得部が取得する1回の取得において、前記駆動部は前記予め定められている領域の前記パルス発光が時間間隔をあけ複数回行われるように駆動する、
測距装置。
【0082】
(((1)))の発明によれば、パルス発光の持続時間を長くして光出力を増加する場合に比べて、デューティ比を上げても高出力化が可能になる。
(((2)))の発明によれば、駆動部は、予め定められている領域以外の領域である他の領域を、予め定められている領域のパルス発光の発光時期と重ならない時期に発光するよう駆動する構成を採用しない場合に比べて、発光部の電流密度を高めることができる。
(((3)))の発明によれば、駆動部は、時間間隔の間に、他の領域について、複数回行われるパルス発光のうち少なくとも1回のパルス発光を駆動する構成を採用しない場合に比べて、発光から取得までの時間を短縮化することができる。
(((4)))の発明によれば、他の領域は、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
(((5)))の発明によれば、駆動部は、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
(((6)))の発明によれば、第1列と第2列の各々は、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
(((7)))の発明によれば、パルス発光の発光時期が同じである予め定められている領域を複数含む領域が予め定められている方向に並べられている場合、複数の当該予め定められている領域同士は、予め定められている方向に関して隣り合わないという構成を採用しない場合に比べて、領域間の熱クロストークを抑制することができる。
(((8)))の発明によれば、時間間隔は、取得部が受光結果を取得する時間よりも長いという構成を採用しない場合に比べて、誤点灯を防止することができる。
(((9)))の発明によれば、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
(((10)))の発明によれば、予め定められている値は、複数の領域ごとに同じであるという構成を採用しない場合に比べて、発光パターン設定の容易化を図ることができる。
(((11)))の発明によれば、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
(((12)))の発明によれば、使用条件に応じた領域の設定を行うことができる。
(((13)))の発明によれば、パルス発光の持続時間を長くして光出力を増加する場合に比べて、デューティ比を上げても高出力化が可能になる。
(((14)))の発明によれば、パルス発光の持続時間を長くして光出力を増加する場合に比べて、デューティ比を上げても高出力化が可能になる。
【符号の説明】
【0083】
1…測距装置、2…駆動部、4…発光部、5…受光部、6…発光駆動部、7…受光駆動部、41…発光区画、81…CPU、84…取得部、85…測距部、91…発光装置、92…駆動装置