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特開2024-153391画像処理装置、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153391
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像処理装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
H04N1/00 C
H04N1/00 127Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067261
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勇太
(72)【発明者】
【氏名】河谷 大和
(72)【発明者】
【氏名】長越 徳仁
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB10
5C062AB17
5C062AB23
5C062AB32
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC34
(57)【要約】
【課題】利用者の利便性を向上させることが可能な画像処理装置、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置は、利用者により設定された画像読取装置における搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する設定情報、及び、前記設定情報に従って生成されるファイルの保存先を取得する取得部と、前記保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を特定する特定部と、前記設定情報が前記特徴情報に対応するか否かを判定する判定部と、前記設定情報が前記特徴情報に対応しないと判定された場合に、判定結果に関する情報を通知する通知部と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者により設定された画像読取装置における搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する設定情報、及び、前記設定情報に従って生成されるファイルの保存先を取得する取得部と、
前記保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を特定する特定部と、
前記設定情報が前記特徴情報に対応するか否かを判定する判定部と、
前記設定情報が前記特徴情報に対応しないと判定された場合に、判定結果に関する情報を通知する通知部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記既存ファイルが生成されたときの搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する既存ファイル設定情報を、前記特徴情報として特定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記設定情報が前記既存ファイル設定情報に対応しないと判定された場合、前記判定結果として、前記設定情報が適切でない旨を通知する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記既存ファイルに対応する媒体種別を、前記特徴情報として特定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記設定情報が前記媒体種別に対応しないと判定された場合、前記判定結果として、前記保存先が適切でない旨を通知する、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、
前記保存先に存在する複数の既存ファイルのそれぞれの個別特徴情報を特定し、
前記複数の既存ファイルのそれぞれの個別特徴情報の統計に基づいて、前記特徴情報を特定する、請求項1~5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記特定部は、
前記複数の既存ファイルの個別特徴情報のうち相互に近似する個別特徴情報のグループのそれぞれの統計に基づいて、複数の特徴情報候補を生成し、
前記複数の特徴情報候補のうち前記設定情報に最も近似する特徴情報候補を、前記特徴情報として特定する、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記通知部は、前記設定情報において、規定値が設定されている項目、又は、未設定である項目について、前記特徴情報に基づいて推奨値をさらに通知する、請求項1~5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記画像読取装置の搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する能力を示す能力情報をさらに取得し、
前記通知部は、前記特徴情報に基づいて、前記能力情報に示される能力の範囲内で、撮像処理又は画像処理に関する設定の推奨値をさらに通知する、請求項1~5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記特定部は、前記保存先に既存ファイルが存在しない場合、前記保存先に対応する他の保存先に存在する既存ファイルに基づいて、前記特徴情報を特定する、請求項1~5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記特定部は、前記保存先と異なる第2保存先に係る特徴情報をさらに特定し、
前記通知部は、前記設定情報と前記第2保存先に係る特徴情報との適合度合いが、前記設定情報と前記保存先に係る特徴情報との適合度合いより大きい場合、前記第2保存先に関する情報をさらに通知する、請求項1~5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記特定部は、前記保存先の周辺に位置する全ての他の保存先のそれぞれに係る特徴情報をさらに特定し、
前記通知部は、前記設定情報が前記保存先に係る特徴情報及び前記全ての他の保存先に係る特徴情報の何れにも対応しない場合、新たな保存先の作成の提案をさらに通知する、請求項1~5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
利用者により設定された前記画像読取装置と異なる第2画像読取装置における前記設定情報を前記画像読取装置に設定する設定部をさらに有し、
前記第2画像読取装置において設定された前記設定情報が前記特徴情報に対応しない場合、
前記取得部は、他の画像読取装置又は他のソフトウェアの撮像処理又は画像処理に関する能力を示す能力情報をさらに取得し、
前記通知部は、前記他の画像読取装置又は他のソフトウェアのうち、前記特徴情報に対応する能力を有する画像読取装置又はソフトウェアに関する情報をさらに通知する、請求項1~5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
画像処理装置が、
利用者により設定された画像読取装置における搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する設定情報、及び、前記設定情報に従って生成されるファイルの保存先を取得し、
前記保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を特定し、
前記設定情報が前記特徴情報に対応するか否かを判定し、
前記設定情報が前記特徴情報に対応しないと判定された場合に、判定結果に関する情報を通知する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
コンピュータの制御プログラムであって、
利用者により設定された画像読取装置における搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する設定情報、及び、前記設定情報に従って生成されるファイルの保存先を取得し、
前記保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を特定し、
前記設定情報が前記特徴情報に対応するか否かを判定し、
前記設定情報が前記特徴情報に対応しないと判定された場合に、判定結果に関する情報を通知する、
ことを前記コンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、媒体を撮像して画像を生成するスキャナ等の画像読取装置が、様々な用途において、様々な種類の媒体を撮像するために利用されている。画像読取装置に求められる画像の品質は、その用途又は読取対象の媒体の種類等に応じて異なる。一般に、画像読取装置は、用途又は媒体の種類等に応じた適切な画像を生成するために、媒体分離、解像度、色又は補正のように、媒体の搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する多様な設定情報を設定できるように設けられている。また、画像読取装置は、各設定情報に従って生成された画像ファイルが利用者に容易に利用されるように、各画像ファイルの保存先も設定できるように設けられている。しかしながら、各設定に従って生成された画像ファイルの保存先が適切でない場合、利用者は、画像ファイルを適切な保存先に移動させる等の作業を行う必要がある。
【0003】
読取データの保存先フォルダを指定する読取指示を受け付け、保存先フォルダから読取設定情報を取得し、取得した読取設定情報に基づいて設定した読取条件で原稿の読取を行う画像読取装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-134788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置を利用するシステムでは、利用者の利便性を向上させることが求められている。
【0006】
本発明の目的は、利用者の利便性を向上させることが可能な画像処理装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る画像処理装置は、利用者により設定された画像読取装置における搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する設定情報、及び、設定情報に従って生成されるファイルの保存先を取得する取得部と、保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を特定する特定部と、設定情報が特徴情報に対応するか否かを判定する判定部と、設定情報が特徴情報に対応しないと判定された場合に、判定結果に関する情報を通知する通知部と、を有する。
【0008】
本発明の一側面に係る制御方法では、画像処理装置が、利用者により設定された画像読取装置における搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する設定情報、及び、設定情報に従って生成されるファイルの保存先を取得し、保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を特定し、設定情報が特徴情報に対応するか否かを判定し、設定情報が特徴情報に対応しないと判定された場合に、判定結果に関する情報を通知する。
【0009】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、コンピュータの制御プログラムであって、利用者により設定された画像読取装置における搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する設定情報、及び、設定情報に従って生成されるファイルの保存先を取得し、保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を特定し、設定情報が特徴情報に対応するか否かを判定し、設定情報が特徴情報に対応しないと判定された場合に、判定結果に関する情報を通知することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像処理装置、制御方法及び制御プログラムは、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に従った画像処理システム1の概略構成を示す図である。
図2】設定情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図3】種別テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4】(A)は第1記憶装置110及び第1処理回路120の概略構成を示す図であり、(B)は第2記憶装置210及び第2処理回路220の概略構成を示す図である。
図5】判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図6】特定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】他の第2処理回路320の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る画像処理装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、実施形態に従った画像処理システム1の概略構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、画像処理システム1は、一又は複数の画像読取装置100と、一又は複数の情報処理装置200と、一又は複数のサーバ装置Sとを有する。画像読取装置100及び情報処理装置200は、画像処理装置の一例である。画像読取装置100、情報処理装置200及びサーバ装置Sは、ネットワークNを介して、相互に通信接続されている。ネットワークNは、インターネット、イントラネット等である。
【0015】
画像読取装置100は、例えばスキャナ装置である。スキャナ装置は、原稿である媒体を搬送しながら撮像するADF(Auto Document Feeder)タイプのスキャナ装置、又は、媒体を固定して撮像するフラットベッドタイプのスキャナ装置を含む。媒体は、用紙、薄紙、厚紙又はカード等である。媒体は、レシート、名刺、請求書、納品書等、様々な種類の媒体を含む。なお、画像読取装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。また、画像読取装置100は、人物、物体、風景等を撮像する携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ等でもよい。
【0016】
情報処理装置200は、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等である。情報処理装置200は、クラウドネットワークに設けられたサーバでもよい。サーバ装置Sは、クラウドネットワークに設けられたサーバ等である。
【0017】
画像読取装置100は、第1通信装置101と、第1入力装置102と、第1表示装置103と、撮像装置104と、モータ105と、第1記憶装置110と、第1処理回路120とを有する。
【0018】
第1通信装置101は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の所定の通信プロトコルに従って無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する。第1通信装置101は、第1処理回路120からの指示に従って、情報処理装置200と画像データ及び各種の情報を送受信する。なお、第1通信装置101は、有線LAN等の所定の通信プロトコルに従って有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース回路を有してもよい。
【0019】
第1入力装置102は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による操作を受け付け、利用者の操作に応じた信号を第1処理回路120に出力する。
【0020】
第1表示装置103は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、第1処理回路120からの指示に従って、各種の情報をディスプレイに表示する。
【0021】
撮像装置104は、媒体を撮像した入力画像を生成する。撮像装置104は、一次元又は二次元に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。さらに、撮像装置104は、光を照射する光源と、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅してアナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。撮像装置104において、撮像センサは、媒体の表面及び/又は裏面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力し、A/D変換器は、このアナログの画像信号をA/D変換してデジタルの入力画像を生成して第1処理回路120に出力する。なお、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサが用いられてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0022】
モータ105は、第1処理回路120からの制御信号によって、不図示のローラを回転させて媒体を搬送させる。または、モータ105は、第1処理回路120からの制御信号によって、撮像装置104を副走査方向に移動させる。
【0023】
第1記憶装置110は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置110には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置110にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disk read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disk read only memory)等である。また、コンピュータプログラムは、サーバ等から配信されて第1記憶装置110にインストールされてもよい。
【0024】
第1処理回路120は、予め第1記憶装置110に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第1処理回路120は、例えばCPU(Control Processing Unit)である。なお、第1処理回路120として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
【0025】
第1処理回路120は、第1通信装置101、第1入力装置102、第1表示装置103、撮像装置104、モータ105及び第1記憶装置110等と接続され、これらの各部を制御する。第1処理回路120は、第1通信装置101を介した情報処理装置200とのデータ送受信制御、第1入力装置102の入力制御、第1表示装置103の表示制御、撮像装置104の撮像制御、モータ105の駆動制御等を行う。
【0026】
情報処理装置200は、第2通信装置201と、第2入力装置202と、第2表示装置203と、第2記憶装置210と、第2処理回路220とを有する。
【0027】
第2通信装置201は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の所定の通信プロトコルに従って無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する。第2通信装置201は、第2処理回路220からの指示に従って、画像読取装置100と画像データ及び各種の情報を送受信する。なお、第2通信装置201は、有線LAN等の所定の通信プロトコルに従って有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース回路を有してもよい。
【0028】
第2入力装置202は、キーボード、マウス等の入力装置及び入力装置から信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者の操作に応じた信号を第2処理回路220に出力する。
【0029】
第2表示装置203は、液晶、有機EL等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、第2処理回路220からの指示に従って、各種の情報をディスプレイに表示する。
【0030】
第2記憶装置210は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。第2記憶装置210には、情報処理装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置210にインストールされてもよい。また、コンピュータプログラムは、サーバ等から配信されて第2記憶装置210にインストールされてもよい。
【0031】
第2記憶装置210には、データとして、設定情報テーブル及び種別テーブル等が予め記憶される。設定情報テーブル及び種別テーブルの詳細については後述する。
【0032】
第2処理回路220は、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第2処理回路220は、例えばCPUである。なお、第2処理回路220として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0033】
第2処理回路220は、第2通信装置201、第2入力装置202、第2表示装置203及び第2記憶装置210等と接続され、これらの各部を制御する。第2処理回路220は、第2通信装置201を介した画像読取装置100とのデータ送受信制御、第2入力装置202の入力制御、第2表示装置203の表示制御等を行う。第2処理回路220は、利用者により設定された設定情報及び保存先を解析して、設定情報が保存先に対応するか否かを判定する。第2処理回路220は、設定情報が保存先に対応しない場合、利用者に警告を通知し、設定情報が保存先に対応する場合、設定情報及び保存先を、第2通信装置201を介して画像読取装置100に設定する。
【0034】
図2は、設定情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0035】
設定情報テーブルには、設定情報で規定される一又は複数の項目毎に、各項目の設定可能な設定値が記憶される。設定情報は、画像読取装置100における搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する情報であり、画像読取装置100が、媒体を撮像する際の動作又は撮像した画像に対して実行する画像処理の内容等を規定するための情報である。設定情報で規定される項目には、解像度、ファイル形式、媒体サイズ、圧縮、色、読取面、マルチイメージ出力、見開き合成、OCR(Optical Character Recognition)、バーコード認識、e文書読取設定、サイズ検出、鮮鋭補正、向き補正、ドロップアウトカラー、地紋除去、モアレ軽減、トーンカーブ調整、タブクロップ、罫線除去、減色処理、媒体分離、重送検出等が含まれる。
【0036】
解像度、媒体サイズ、色、読取面等は、撮像処理に関する設定である。ファイル形式、圧縮、マルチイメージ出力、見開き合成、OCR、バーコード認識、e文書読取設定、サイズ検出、鮮鋭補正、向き補正、ドロップアウトカラー、地紋除去、モアレ軽減、トーンカーブ調整、タブクロップ、罫線除去、減色処理等は、画像処理に関する設定である。媒体分離、重送検出等は、搬送処理に関する設定である。
【0037】
解像度は、生成される画像の解像度の設定であり、解像度の設定値として、150dpi(Dots Per Inch)、200dpi、300dpi、600dpi、1200dpi等が設定される。ファイル形式は、生成される画像のファイルの形式の設定であり、ファイル形式の設定値として、PDF(Portable Document Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等が設定される。媒体サイズは、生成される画像に含まれる媒体のサイズの設定であり、媒体サイズの設定値として名刺サイズ、A4サイズ、A3サイズ等が設定される。圧縮は、生成される画像に対してJPEG等の画像圧縮を実行するための設定であり、圧縮の設定値として、ON、OFF(ONが設定される場合、さらに量子化値)等が設定される。色は、生成される画像の色の設定であり、色の設定値として、二値、グレースケール、カラー等が設定される。
【0038】
読取面は、媒体の撮像される面の設定であり、読取面の設定値として、片面、両面等が設定される。マルチイメージ出力は、一つの媒体に対して相互に色味が異なる複数の画像を生成するための設定であり、マルチイメージ出力の設定値として、ON、OFF等が設定される。見開き合成は、隣り合うページを別個に撮像した二つの画像を並べて一つの画像に合成した見開き画像を生成するための設定であり、見開き合成の設定値として、ON、OFF等が設定される。OCRは、生成された画像に対して文字認識を行うための設定であり、OCRの設定値として、ON、OFF(ONが設定される場合、さらに言語)等が設定される。バーコード認識は、生成された画像に対してバーコード認識を行うための設定であり、バーコード認識の設定値として、ON、OFF等が設定される。e文書読取設定は、e文書を読み取って保存するために定められた設定であり、e文書読取設定の設定値として、ON、OFF等が設定される。
【0039】
サイズ検出は、画像から媒体を切り出すための設定であり、サイズ検出の設定値として、画像から媒体の端部位置を検出し、検出した端部位置で媒体領域を切り出す自動サイズ検出、固定されたサイズで媒体領域を切り出すサイズ固定等が設定される。鮮鋭補正は、アンシャープマスキング処理等の公知の画像処理技術を利用して、生成される画像を鮮鋭化するための設定であり、鮮鋭補正の設定値として、ON、OFF等が設定される。向き補正は、回転処理等の公知の画像処理技術を利用して、生成される画像内に含まれる媒体の向きを補正するための設定であり、傾き補正の設定値として、ON、OFF等が設定される。
【0040】
ドロップアウトカラーは、公知の画像処理技術を利用して、生成される画像内に含まれる特定の色成分を除去するための設定であり、ドロップアウトカラーの設定値として、ON、OFF(ONが設定される場合、さらに除去する色成分)等が設定される。ドロップアウトカラーは、例えば、印鑑等の特定の色成分を有する物を含む媒体が撮像された画像からその物を除去した画像を生成するために利用される。地紋除去は、公知の画像処理技術を利用して、生成される画像内の背景に含まれる地紋(ドット、細線等による連続模様)を除去するための設定であり、地紋除去の設定値として、ON、OFF等が設定される。モアレ軽減は、公知の画像処理技術を利用して、生成される画像に含まれるモアレを軽減するための設定であり、モアレ軽減の設定値として、ON、OFF等が設定される。
【0041】
トーンカーブ調整は、生成される画像の明るさ又はコントラストを調整するための設定であり、トーンカーブ調整の設定値として、ON、OFF等が設定される。タブクロップは、矩形状の媒体が含まれる画像から、矩形からはみ出す、付箋紙、シール等のタブを除去するための設定であり、タブクロップの設定値として、ON、OFF等が設定される。罫線除去は、公知の画像処理技術を利用して、生成される画像から、媒体内の罫線を除去するための設定であり、罫線除去の設定値として、ON、OFF等が設定される。減色処理は、RGB各色の取り得る値の数を制限(低減)するための設定であり、減色処理の設定値として、ON、OFF(ONが設定される場合、さらに各色の取り得る値の数)が設定される。
【0042】
媒体分離は、媒体を搬送する際に媒体を一枚ずつ分離して搬送するか媒体を分離せずに搬送するかの設定であり、媒体分離の設定値として、ON(分離)、OFF(非分離)等が設定される。複数の媒体がまとめて搬送される場合、媒体分離はONに設定され、パスポート等の冊子が搬送される場合、媒体分離はOFFに設定される。重送検出は、媒体の重送が発生した場合に警告を通知し又は搬送を停止するか否かの設定であり、重送検出の設定値として、ON、OFF等が設定される。複数の用紙が搬送される場合、重送検出はONに設定され、封筒、付箋紙が貼付された用紙等が搬送される場合、重送検出はOFFに設定される。
【0043】
図3は、種別テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0044】
種別テーブルには、画像読取装置100で撮像され得る一又は複数の媒体種別毎に、各媒体種別に係る媒体を撮像する際に設定される設定情報(各項目の設定値の組合せ)が記憶される。媒体種別には、請求書、納品書、名刺、レシート等が含まれる。各媒体種別に係る媒体を撮像する際に設定される代表的な設定値が存在しない項目については設定値が設定されない。
【0045】
図4(A)は、第1記憶装置110及び第1処理回路120の概略構成を示す図である。
【0046】
図4(A)に示すように第1記憶装置110には、設定制御プログラム111及び撮像制御プログラム112等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第1処理回路120は、第1記憶装置110に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第1処理回路120は、設定制御部121及び撮像制御部122として機能する。
【0047】
図4(B)は、第2記憶装置210及び第2処理回路220の概略構成を示す図である。
【0048】
図4(B)に示すように第2記憶装置210には、取得プログラム211、特定プログラム212、設定プログラム213、判定プログラム214及び通知プログラム215等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第2処理回路220は、第2記憶装置210に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第2処理回路220は、取得部221、特定部222、設定部223、判定部224及び通知部225として機能する。
【0049】
図5は、情報処理装置200による判定処理の動作の例を示すフローチャートである。以下、図5に示したフローチャートを参照しつつ、判定処理の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づき主に第2処理回路220により情報処理装置200の各要素と協働して実行される。判定処理は、利用者により画像読取装置100における設定情報及び/又はその設定情報に従って生成されるファイルの保存先が設定された時、警告通知機能が有効に設定された時、又は、媒体の撮像が指示された時等、任意のタイミングで実行される。
【0050】
最初に、取得部221は、利用者により設定された、画像読取装置100における設定情報、及び、その設定情報に従って生成されるファイルの保存先を取得する(ステップS101)。
【0051】
画像読取装置100の設定制御部121は、利用者により第1入力装置102を用いて入力された設定情報及び保存先を取得し、第1通信装置101を介して情報処理装置200に送信する。取得部221は、設定情報及び保存先を、第2通信装置201を介して画像読取装置100から受信することにより取得する。また、取得部221は、利用者により情報処理装置200の第2入力装置202を用いて入力された設定情報及び保存先を取得する。取得部221は、第2通信装置201を介して、設定対象である画像読取装置100と異なる第2画像読取装置から、利用者により設定された、第2画像読取装置における設定情報を受信することにより取得してもよい。第2画像読取装置の設定制御部121は、第1記憶装置110から、第1記憶装置110に既に記憶(設定)されている設定情報を読み出し、第1通信装置101を介して情報処理装置200に送信する。
【0052】
ファイルは、設定情報に従って画像読取装置100により生成された画像を含む画像ファイル(JPEGファイル、PDFファイル等)である。保存先は、例えば情報処理装置200の第2記憶装置210内の特定のアドレス(フォルダ、URL等)である。保存先は、保存先を取得した情報処理装置200と異なる情報処理装置200、画像読取装置100又はサーバ装置Sの記憶装置内のアドレスでもよい。
【0053】
次に、特定部222は、利用者により設定された保存先に、過去に画像読取装置100により生成された既存ファイルが存在するか否かを判定する(ステップS102)。保存先が、自装置と異なる装置の記憶装置である場合、特定部222は、第2通信装置201を介して保存先の装置から、設定された保存先、その周辺に位置する他の保存先、及び、各保存先に存在する既存ファイルに関する情報を受信する。設定された保存先に既存ファイルが存在する場合、特定部222は、特に処理を実行せずに、ステップS105へ処理を移行する。なお、何らかの理由により、設定された保存先にアクセスできない場合、特定部222は、設定された保存先にアクセスできないことを示す警告を利用者に通知し、一連のステップを終了する。
【0054】
一方、設定された保存先に既存ファイルが存在しない場合、特定部222は、設定された保存先に対応する他の保存先が存在するか否かを判定する(ステップS103)。特定部222は、設定された保存先と同一階層に存在する保存先のうち、設定された保存先と同一の規則に基づく名称を有する保存先を抽出する。規則は、例えば、数値と「年」、「月」、「日」等の文字との組み合わせである。即ち、例えば設定された保存先の名称が「2023年」である場合、特定部222は、同一階層に存在する「2021年」、「2022年」等の名称を有する保存先を抽出する。特定部222は、抽出した保存先の中に、既存ファイルが存在する保存先がある場合、その保存先を、設定された保存先に対応する他の保存先として特定する。特定部222は、設定された保存先に対応する他の保存先として複数の保存先が特定された場合、例えば、作成日時が最も新しい保存先を、設定された保存先に対応する他の保存先として特定する。
【0055】
設定された保存先に対応する他の保存先が存在しない場合、設定部223は、利用者により設定された設定情報及び保存先を、対応する画像読取装置100に設定し(ステップS104)、一連のステップを終了する。設定部223は、設定情報及び保存先が指定された設定要求信号を、第2通信装置201を介して対応する画像読取装置100に送信する。画像読取装置100の設定制御部121は、第1通信装置101を介して情報処理装置200から設定要求信号を受信した場合、受信した設定要求信号で指定された設定情報及び保存先を相互に関連付けて第1記憶装置110に記憶する。
【0056】
以降、撮像制御部122は、第1入力装置102から又は第1通信装置101を介して情報処理装置200から、設定情報を指定し且つ媒体の撮像を指示する指示信号を受信した場合、指示信号で指定された設定情報に従って搬送処理、撮像処理及び画像処理を実行する。撮像制御部122は、指定された設定情報に従って撮像装置104及びモータ105を制御して入力画像を取得し、指定された設定情報に従って入力画像に画像処理を実行し、ファイルを生成する。撮像制御部122は、生成したファイル及びその設定情報に関連付けて記憶された保存先を含み且つそのファイルをその保存先に記憶することを要求する要求信号を、第1通信装置101を介してその保存先に対応する装置に送信する。要求信号を受信した装置は、要求信号に含まれるファイルを、要求信号に含まれる保存先に記憶する。なお、保存先が画像読取装置100の第1記憶装置110である場合、撮像制御部122は、生成したファイルを、第1記憶装置110のその保存先に記憶する。
【0057】
一方、設定された保存先に既存ファイルが存在する場合、又は、設定された保存先に対応する他の保存先が存在する場合、特定部222は、特定処理を実行する(ステップS105)。特定部222は、特定処理において、対応する保存先(利用者により設定された保存先又はその保存先に対応する他の保存先)に存在する既存ファイルに基づいて、既存ファイルの特徴情報を特定する。特定部222は、既存ファイルが生成されたときの搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する既存ファイル設定情報を特徴情報として特定する。既存ファイル設定情報で規定される項目は、設定情報で規定される項目と同一である。または、特定部222は、既存ファイルに対応する媒体種別を特徴情報として特定する。特定処理の詳細については後述する。
【0058】
次に、判定部224は、利用者により設定された設定情報が、特定処理で特定された特徴情報に対応するか否かを判定する(ステップS106)。
【0059】
特徴情報が既存ファイル設定情報である場合、判定部224は、既存ファイル設定情報に規定される項目のうち、特定処理で設定値が特定された項目毎に、設定情報における設定値と既存ファイル設定情報における設定値とが一致するか否かを判定する。判定部224は、特定処理で設定値が特定された項目の数に対する、設定情報における設定値と既存ファイル設定情報における設定値とが一致する項目の数の比率を、設定情報と特徴情報の適合度合いとして算出する。判定部224は、設定情報における設定値と既存ファイル設定情報における設定値とが一致する項目の数を、設定情報と特徴情報の適合度合いとして算出してもよい。なお、設定情報において、規定値が設定されている項目、及び/又は、未設定である項目は、適合度合いを算出するための対象から除外されてもよい。判定部224は、算出した適合度合いが予め定められた閾値以上である場合、設定情報が特徴情報に対応すると判定し、算出した適合度合いが予め定められた閾値未満である場合、設定情報が特徴情報に対応しないと判定する。
【0060】
特徴情報が、既存ファイルに対応する媒体種別である場合、判定部224は、利用者により設定された設定情報に対応する媒体種別を特定する。情報処理装置200は、複数の媒体種別毎に、各媒体種別に対応する設定情報の各項目の設定値の組合せを第2記憶装置210に予め記憶しておく。判定部224は、複数の媒体種別のうち、設定された設定情報と設定値が一致する項目の数が最も多い媒体種別を、設定された設定情報に対応する媒体種別として特定する。なお、設定情報に対応する媒体種別は、設定情報とともに利用者により設定され、取得部221により取得されてもよい。判定部224は、特定した媒体種別が、既存ファイルに対応する媒体種別と同一である場合、設定情報が特徴情報に対応すると判定し、特定した媒体種別が、既存ファイルに対応する媒体種別と同一でない場合、設定情報が特徴情報に対応しないと判定する。
【0061】
なお、判定部224は、媒体種別毎に、異なる項目に基づいて、設定情報が特徴情報に対応するか否かを判定してもよい。その場合、情報処理装置200は、複数の媒体種別毎に、各媒体種別の特徴を強く示す設定情報の項目を第2記憶装置210に予め記憶しておく。例えば、名刺の特徴を強く示す項目は、媒体サイズ及びOCR等であり、請求書の特徴を強く示す項目は、媒体サイズ及び色等である。判定部224は、設定情報に対応する媒体種別の特徴を強く示す項目毎に、設定情報における設定値と既存ファイル設定情報における設定値とが一致するか否かを判定し、設定情報と特徴情報の適合度合いを算出する。判定部224は、算出した適合度合いが予め定められた閾値以上であるか否かにより、設定情報が特徴情報に対応するか否かを判定する。
【0062】
設定情報が特徴情報に対応すると判定された場合、設定部223は、設定された設定情報及び保存先を、対応する画像読取装置100に設定し(ステップS104)、一連のステップを終了する。
【0063】
一方、設定情報が特徴情報に対応しないと判定された場合、通知部225は、利用者により設定された設定情報が、利用者により設定された保存先と対応しないことを示す警告を利用者に通知する(ステップS107)。この警告は、判定結果に関する情報の一例である。通知部225は、警告を、第2表示装置203に表示することにより、又は、第2通信装置201を介して画像読取装置100又は他の情報処理装置200に送信して各装置で表示させることにより、利用者に通知する。
【0064】
特徴情報が既存ファイル設定情報である場合、即ち設定情報が既存ファイル設定情報に対応しないと判定された場合、通知部225は、警告として、設定情報が適切でない旨を通知する。設定情報における個々の項目が既存ファイル設定情報に対応しない場合、利用者により設定された設定情報の個々の項目が誤っている可能性が高い。この場合、情報処理装置200は、利用者に個々の項目が適切でない旨を通知することにより、設定情報の設定誤りを抑制することができる。なお、この場合、通知部225は、警告として、保存先が適切でない旨、又は、設定情報及び保存先の少なくとも一方が適切でない旨を通知してもよい。
【0065】
一方、特徴情報が既存ファイルに対応する媒体種別である場合、即ち設定情報が既存ファイルに対応する媒体種別に対応しないと判定された場合、通知部225は、警告として、保存先が適切でない旨を通知する。設定情報に対応する媒体種別と、既存ファイルに対応する媒体種別とが対応しない場合、設定全体が対応しておらず、保存先の設定が誤っている可能性が高い。この場合、情報処理装置200は、利用者に保存先が適切でない旨を通知することにより、保存先の設定誤りを抑制することができる。なお、この場合、通知部225は、警告として、設定情報が適切でない旨、又は、設定情報及び保存先の少なくとも一方が適切でない旨を通知してもよい。
【0066】
次に、通知部225は、利用者により設定された設定情報において、規定値が設定されている項目、及び/又は、未設定である項目を抽出する(ステップS108)。
【0067】
次に、取得部221は、画像読取装置100の搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する能力を示す能力情報を取得する(ステップS109)。能力情報で規定される項目は、設定情報で規定される項目と同一である。能力情報では、規定される項目毎に、画像読取装置100が実行可能な設定値、即ち画像読取装置100において設定可能な設定値の一覧が示される。
【0068】
次に、通知部225は、搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する設定の推奨値を決定し、ステップS107の処理と同様にして、利用者に通知する(ステップS110)。撮像処理又は画像処理に関する設定の推奨値は、判定結果に関する情報の一例である。
【0069】
通知部225は、特定処理で特定された特徴情報に基づいて、推奨値を決定する。例えば、通知部225は、特定処理で特定された既存ファイル設定情報の各項目の設定値を推奨値として決定する。これにより、利用者は、設定した保存先に存在する既存ファイルに対応する設定情報を認識でき、設定した設定情報を適切に修正できる。したがって、情報処理装置200は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0070】
通知部225は、少なくとも、ステップS108で抽出した、設定情報において規定値が設定されている項目及び/又は未設定である項目について、推奨値を決定する。これにより、利用者は、設定情報において規定値が設定されている項目及び/又は未設定である項目について適切な設定値を認識でき、設定した設定情報を適切に更新できる。したがって、情報処理装置200は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0071】
また、通知部225は、特定処理で特定された特徴情報に基づいて、ステップS109で取得された能力情報に示される能力の範囲内で、推奨値を決定してもよい。例えば、通知部225は、複数の項目のうち、既存ファイル設定情報における設定値が、能力情報において実行可能な設定値として示されていない項目を抽出する。通知部225は、抽出した項目について、能力情報に示されている設定値のうち、最も高い能力が求められる設定値を推奨値として決定する。例えば、項目が解像度である場合、解像度が高いほど高い能力が求められ、項目が媒体サイズである場合、サイズが大きいほど高い能力が求められ、項目が色である場合、カラー、グレースケール、二値の順に高い能力が求められる。これにより、利用者は、画像読取装置100が実行できる範囲内で設定情報を修正できる。したがって、情報処理装置200は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0072】
次に、取得部221は、設定対象の画像読取装置100と異なる他の画像読取装置、又は、設定対象の画像読取装置100にインストールされたソフトウェアと異なる他のソフトウェアの能力情報を取得する(ステップS111)。ソフトウェアは、画像読取装置100に各処理を実行させるドライバソフトウェア等である。画像処理システム1が有する各画像読取装置又は各ソフトウェアの能力情報は、情報処理装置200の第2記憶装置210又はサーバ装置Sの記憶装置等に予め記憶される。取得部221は、各画像読取装置又は各ソフトウェアの能力情報を、第2記憶装置210から読み出すことにより、又は、第2通信装置201を介してサーバ装置Sから受信することにより取得する。
【0073】
次に、通知部225は、他の画像読取装置又は他のソフトウェアのうち、特定処理で特定された特徴情報に対応する能力を有する画像読取装置又はソフトウェアに関する情報を特定し、利用者に通知する(ステップS112)。通知部225は、特徴情報に対応する能力を有する画像読取装置又はソフトウェアに関する情報を、ステップS107の処理と同様にして、利用者に通知する。特徴情報に対応する能力を有する画像読取装置又はソフトウェアに関する情報は、判定結果に関する情報の一例であり、例えば各画像読取装置又は各ソフトウェアを示す情報である。
【0074】
通知部225は、ステップS111で能力情報が取得された他の画像読取装置又は他のソフトウェアのうち、既存ファイル設定情報における全ての項目の設定値が、能力情報において実行可能な設定値として示されている画像読取装置又はソフトウェアを抽出する。通知部225は、抽出した各画像読取装置又は各ソフトウェアを示す情報を利用者に通知する。これにより、利用者は、設定した保存先に対応するファイルを生成可能な画像読取装置又はソフトウェアを認識でき、その画像読取装置又はソフトウェアを用いて所望のファイルを取得できる。したがって、情報処理装置200は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0075】
次に、特定部222は、利用者により設定された保存先と異なる第2保存先を抽出する(ステップS113)。例えば、特定部222は、設定された保存先の周辺に位置する全ての他の保存先を第2保存先として抽出する。特定部222は、設定された保存先から所定回数以内の階層移動で到達する全ての保存先のうち、既存ファイルが存在する保存先を第2保存先として抽出する。特定部222は、設定された保存先と同一階層に位置する保存先を第2保存先として抽出してもよい。
【0076】
次に、特定部222は、抽出した各第2保存先に対して、特定処理を実行する(ステップS114)。特定部222は、この特定処理において、各第2保存先に存在する既存ファイルに基づいて、各第2保存先に係る特徴情報、即ち各第2保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を特定する。
【0077】
次に、判定部224は、設定された設定情報が、特定処理で特定された各第2保存先に係る特徴情報に対応するか否かを判定する(ステップS115)。判定部224は、ステップS106の処理と同様にして、設定情報と各第2保存先に係る特徴情報との適合度合いを算出する。判定部224は、設定情報と第2保存先に係る特徴情報との適合度合いが、ステップS106で算出された設定情報と利用者により設定された保存先に係る特徴情報との適合度合いより大きい場合、設定情報がその第2保存先に係る特徴情報に対応すると判定する。判定部224は、設定情報と第2保存先に係る特徴情報との適合度合いが、予め定められた閾値より大きい場合に、設定情報がその第2保存先に係る特徴情報に対応すると判定してもよい。
【0078】
設定情報が何れかの第2保存先に係る特徴情報に対応する場合、通知部225は、ステップS107の処理と同様にして、特徴情報が設定情報に対応する第2保存先に関する情報を通知し(ステップS116)、一連のステップを終了する。例えば、通知部225は、特徴情報が設定情報に対応する全ての第2保存先を示す情報を通知する。通知部225は、特徴情報が設定情報に対応する第2保存先のうち、設定情報との適合度合いが最も大きい第2保存先を示す情報を通知してもよい。これらにより、利用者は、設定した設定情報により適した保存先を認識でき、保存先を適切に修正できる。したがって、情報処理装置200は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0079】
また、設定情報との適合度合いが最も大きい第2保存先が複数存在する場合、即ち設定情報との適合度合いが最大且つ同一である複数の第2保存先が存在する場合、通知部225は、アクセス日時又は更新日時が最新である第2保存先を示す情報を通知してもよい。一般に、同一種別の画像ファイルが、日時毎に異なる保存先(フォルダ)に分類して保存されている場合がある。このような場合に、アクセス日時又は更新日時が最新である第2保存先が通知されることにより、利用者は、設定した設定情報により適した保存先を認識でき、保存先を適切に修正できる。したがって、情報処理装置200は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0080】
一方、設定情報が何れの第2保存先に係る特徴情報にも対応しない場合、通知部225は、ステップS107の処理と同様にして、新たな保存先の作成の提案を利用者に通知し(ステップS117)、一連のステップを終了する。即ち、通知部225は、設定情報が、保存先に係る特徴情報及び全ての第2保存先に係る特徴情報の何れにも対応しない場合、新たな保存先の作成の提案を利用者に通知する。これにより、利用者は、設定した設定情報に対応する保存先がまだ存在しない場合に、その設定情報に従って生成されたファイルを新たな保存先に保存させることができる。したがって、情報処理装置200は、各ファイルを適切に区分して管理することができる。
【0081】
なお、ステップS103の処理は省略され、利用者により設定された保存先に既存ファイルが存在しない場合、設定部223は、ステップS104へ処理を移行し、設定された設定情報及び保存先を、対応する画像読取装置100に設定してもよい。また、ステップS107の処理は省略されてもよい。また、ステップS108又はS109の処理は省略されてもよい。また、ステップS108、S109及びS110の処理は省略されてもよい。また、ステップS111及びS112の処理は省略されてもよい。また、ステップS116及び/又はS117の処理は省略されてもよい。ステップS116及びS117の両方の処理が省略される場合、ステップS113~S115の処理も省略されてもよい。
【0082】
また、ステップS106で設定情報が特徴情報に対応すると判定された場合にも、ステップS113~S116の処理が実行されてもよい。その場合、設定情報が利用者により設定された保存先に係る特徴情報に対応する場合でも、通知部225は、利用者により設定された保存先より、設定情報との適合度合いが大きい第2保存先に関する情報を通知する。これにより、利用者は、設定した設定情報に対して、適合度合いがより高い保存先の存在を認識でき、設定した保存先が適切であるかについて改めて検討することができる。
【0083】
また、利用者により設定された保存先のフォルダが存在しない場合も、ステップS113~S116の処理が実行されてもよい。その場合、ステップS115において、判定部224は、設定情報と第2保存先に係る特徴情報との適合度合いが、予め定められた閾値より大きい場合に、設定情報がその第2保存先に係る特徴情報に対応すると判定する。これにより、利用者は、設定した設定情報に対して、適合度合いが最も高い保存先を認識できる。
【0084】
図6は、特定処理の動作の例を示すフローチャートである。以下、図6に示す特定処理は、図5のステップS105及びS114で実行される。
【0085】
最初に、特定部222は、対象の保存先に存在する一又は複数の既存ファイルのそれぞれの個別特徴情報を特定する(ステップS201)。
【0086】
特定部222は、設定情報で規定される一又は複数の項目毎に、各既存ファイルが生成されたときの各項目の設定値を個別特徴情報として特定する。
【0087】
特定部222は、既存ファイルに含まれるメタ情報を参照し、既存ファイルに含まれる画像の解像度、媒体サイズ、ファイル形式、圧縮の有無、量子化値及び色の設定値を特定する。特定部222は、メタ情報に含まれる媒体サイズ又は解像度と既存ファイルに含まれる画像の画素数とから、解像度又は媒体サイズを特定してもよい。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像の空間周波数に基づいて、解像度を推定してもよい。その場合、空間周波数の最大値と解像度との関係を示す式又はテーブルが予め第2記憶装置210に設定され、特定部222は、予め設定された式又はテーブルを参照し、空間周波数に対応する解像度を特定する。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像の各画素ブロック内の各画素の階調値の最大差を閾値と比較することにより、圧縮の有無及び/又は量子化値を推定してもよい。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像の色値及び/又は輝度値の分布(範囲)に基づいて、色の設定値(二値、グレースケール、カラー)を特定してもよい。
【0088】
特定部222は、名称又は作成日時が相互に隣り合う二つの既存ファイルに含まれる二つの画像にページ番号等の通し番号が含まれるか否か、又は、各画像の類似度合いが閾値以上であるか否かにより、読取面の設定値が両面であるか片面であるかを判定する。類似度合いは、例えば正規化相互相関値である。
【0089】
特定部222は、複数の既存ファイルにそれぞれ含まれる画像内の各画素の輝度値の類似度合いが第1閾値以上であり且つ色値の類似度合いが第2閾値以下である場合、マルチイメージ出力の設定値がONであると判定する。
【0090】
特定部222は、複数の既存ファイルのうち、所定サイズ(例えばA3サイズ)の画像を含むファイルの数が、その所定サイズの半分のサイズ(例えばA4サイズ)の画像を含むファイルの数の1/2である場合、見開き合成の設定値がONであると判定する。
【0091】
特定部222は、既存ファイルに含まれるメタ情報にOCRで認識された文字が含まれるか否かにより、OCRの設定値がONであるかOFFであるかを判定し、メタ情報に含まれる文字に基づいて、OCRの言語を特定する。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像に、OCR認識に利用される所定の基準マークが含まれる場合に、OCRの設定値がONであると判定してもよい。また、特定部222は、既存ファイルに含まれる画像に手書き文字が含まれる場合に、OCRの設定値がONであると判定してもよい。その場合、特定部222は、画像が入力された場合に、画像に手書き文字が含まれるか否かを出力するように事前学習された識別器により、画像に手書き文字が含まれるか否かを判定する。この識別器は、例えばディープラーニング等により、様々な手書き文字を含む複数の画像を用いて事前学習され、予め第2記憶装置210に記憶される。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像を識別器に入力し、識別器から出力された情報に基づいて、既存ファイルに含まれる画像に手書き文字が含まれるか否かを判定する。
【0092】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像に、バーコードが含まれる場合、バーコード認識の設定値がONであると判定する。
【0093】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像が、e文書読取設定時に特有の色味調整及び/又はトーン調整が実施されている画像であるか否かにより、e文書読取設定の設定値がONであるかOFFであるかを判定する。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像の色味の分布パターン及び/又は階調値の分布パターンと、e文書読取設定時に補正される画像に特有の分布パターンとして予め定められた分布パターンとの類似度合いを算出する。類似度合いは、例えば正規化相互相関値である。特定部222は、類似度合いが閾値以上であるか否かにより、e文書読取設定の設定値がONであるかOFFであるかを判定する。
【0094】
特定部222は、公知の画像処理技術を利用して、既存ファイルに含まれる画像から媒体の端部位置を検出し、端部位置の外側の領域に余白(無地領域)が存在するか否かにより、サイズ検出の設定値が固定サイズであるか自動サイズ検出であるかを判定する。
【0095】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像内の相互に隣接する画素の階調値の差の最大値が閾値以上であるか否かにより、鮮鋭補正の設定値がONであるかOFFであるかを判定する。
【0096】
特定部222は、公知の画像処理技術を利用して、既存ファイルに含まれる画像内で媒体領域を検出し、検出した媒体領域の傾きが閾値以上である場合、向き補正が行われておらず、向き補正の設定値がOFFであると判定する。特定部222は、既存ファイルのExif情報に含まれる向き情報を参照して、向き補正が行われているか否かを判定し、向き補正の設定値がONであるかOFFであるかを判定してもよい。
【0097】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像内で印鑑を検出した場合、印鑑の除去が行われておらず、ドロップアウトカラーの設定値がOFFであると判定する。特定部222は、例えば赤色を有し且つ相互に隣接する画素を連結させた画素群が印鑑とみなされる所定の大きさを有する場合、その画素群に印鑑が含まれると判定する。
【0098】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像内で地紋を検出した場合、地紋の除去が行われておらず、地紋除去の設定値がOFFであると判定する。特定部222は、例えば所定範囲の階調値を有する細線又はドットを検出し、検出した細線又はドットが画像内で所定間隔毎に連続して存在する場合、画像内に地紋が含まれると判定する。
【0099】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像がモアレの原因となる画像特徴を有する場合、利用者がモアレの軽減を所望する可能性が高く、モアレ軽減の設定値がONであると判定する。特定部222は、例えば印字点(ドット)が所定間隔毎に連続して存在する場合、画像がモアレの原因となる画像特徴を有すると判定する。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像が新聞記事を含む場合、モアレの原因となる画像特徴を有すると判定してもよい。例えば、特定部222は、画像が入力された場合に、画像がモアレの原因となる画像特徴を有するか否かを示す情報を出力するように事前学習された識別器により、画像がモアレの原因となる画像特徴を有するか否かを判定する。この識別器は、例えばディープラーニング等により、モアレの原因となる画像特徴を有する複数の画像を用いて事前学習され、予め第2記憶装置210に記憶される。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像を識別器に入力し、識別器から出力された情報に基づいて、画像がモアレの原因となる画像特徴を有するか否かを判定する。
【0100】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像内の各画素の階調値のばらつき度合いが閾値以上である場合、その画像に対してトーンカーブ調整が実行されており、トーンカーブ調整の設定値がONであると判定する。ばらつき度合いは、例えば分散又は標準偏差等である。
【0101】
特定部222は、公知の画像処理技術を利用して、既存ファイルに含まれる画像内で媒体を含む矩形領域を検出し、検出した矩形領域の外側に隣接する所定サイズの物体が存在する場合、タブが除去されておらず、タブクロップの設定値がOFFであると判定する。
【0102】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像内に所定の符号が含まれ且つ罫線が含まれない場合、罫線が除去されており、罫線除去の設定値がONであると判定する。所定の符号は、例えばアンケート用紙又はテスト用紙のような罫線を含む媒体に含まれる可能性が高い丸印、×印又はチェック印等の符号である。特定部222は、OCR技術を利用して、画像内に所定の符号が含まれるか否かを判定する。
【0103】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像に対してカラークラスタリング処理を実行し、分類された色のグループの数に基づいて、減色処理の設定値がONであるかOFFであるかを判定する。特定部222は、分類された色のグループの数が第1閾値以下である場合、その画像に対して減色処理が実行されており、減色処理の設定値がONであると判定する。一方、特定部222は、分類された色のグループの数が、第1閾値以上である第2閾値以上である場合、その画像に対して減色処理が実行されておらず、減色処理の設定値がOFFであると判定する。
【0104】
特定部222は、既存ファイルのファイル形式がPDFであり且つ一つの既存ファイルに複数の画像が含まれる場合、複数の媒体がまとめて搬送されたと判定し、媒体分離の設定値がONであると判定する。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像にMRZ(Machine Readable Zone)が含まれる場合、パスポートが搬送されたと判定し、媒体分離の設定値がOFFであると判定する。特定部222は、OCR技術を利用して、画像内にMRZが含まれるか否かを判定する。
【0105】
特定部222は、既存ファイルのファイル形式がPDFであり且つ一つの既存ファイルに複数の画像が含まれる場合、複数の媒体がまとめて搬送されたと判定し、重送検出の設定値がONであると判定する。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像に郵便番号記入枠又は付箋紙が含まれる場合、封筒又は付箋紙が貼付された用紙が搬送されたと判定し、重送検出の設定値がOFFであると判定する。特定部222は、公知の画像処理技術を利用して画像内から矩形領域を検出し、検出した矩形領域のサイズが郵便番号記入枠又は付箋紙とみなされる大きさである場合に、画像に封筒又又は付箋紙が含まれると判定する。また、特定部222は、OCR技術を利用して画像内から「料金後納」、「〆(封字)」等の封筒に特有の文字を検出した場合に、画像に封筒が含まれると判定する。
【0106】
特定部222は、各既存ファイルに対応する媒体種別を個別特徴情報として特定してもよい。
【0107】
例えば、特定部222は、上記のようにして特定した、各既存ファイルが生成されたときの各項目の設定値に基づいて、各既存ファイルに対応する媒体種別を特定する。特定部222は、種別テーブルに規定された媒体種別のうち、種別テーブルで規定された設定値が、特定した設定値と一致する項目が最も多い媒体種別を、各既存ファイルに対応する媒体種別として特定する。
【0108】
特定部222は、既存ファイルに含まれる画像を解析して既存ファイルに対応する媒体種別を特定してもよい。情報処理装置200は、複数の媒体種別毎に、各媒体種別に対応する色味成分及び/又は罫線、文字、図等のオブジェクトの配置位置等を第2記憶装置210に予め記憶しておく。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像から、各画素の色値の分布に基づいて色味成分を検出し、且つ/又は、パターンマッチング技術を利用してオブジェクトを検出する。特定部222は、予め記憶された媒体種別のうち、その色味成分及び/又は各オブジェクトの配置位置が、検出した色味成分及び/又は各オブジェクトの配置位置と最も近似する媒体種別を、既存ファイルに対応する媒体種別として特定する。
【0109】
または、特定部222は、画像が入力された場合に、画像に含まれる媒体の種別を示す情報を出力するように事前学習された識別器により、既存ファイルに対応する媒体種別を特定してもよい。この識別器は、例えばディープラーニング等により、様々な種類の媒体を含む複数の画像を用いて事前学習され、予め第2記憶装置210に記憶される。特定部222は、既存ファイルに含まれる画像を識別器に入力し、識別器から出力された情報に示される種別を、既存ファイルに対応する媒体種別として特定する。
【0110】
なお、特定部222は、既存ファイルに含まれる画像から特定した個別特徴情報をその既存ファイルのメタ情報に格納してもよい。または、特定部222は、既存ファイルに含まれる画像から特定した個別特徴情報が記憶されたリストを生成してもよい。これにより、以降、他の情報処理装置200又は画像読取装置100は、その既存ファイルの個別特徴情報を特定する必要がある場合に、より簡易且つ短期間に個別特徴情報を特定できる。
【0111】
次に、特定部222は、各既存ファイルの個別特徴情報を一又は複数のグループに分類する(ステップS202)。特定部222は、各既存ファイルの個別特徴情報のうち相互に近似する個別特徴情報を一つのグループにまとめる。例えば、特定部222は、各個別特徴情報のうち、所定数以上の項目の設定値が相互に一致する個別特徴情報を、相互に近似する個別特徴情報とみなして一つのグループにまとめる。なお、特定部222は、各個別特徴情報のうち、予め定められた項目(例えば媒体サイズ)の設定値が相互に一致する個別特徴情報を相互に近似する個別特徴情報とみなして一つのグループにまとめてもよい。また、特定部222は、各既存ファイルに対応する媒体種別を特定し、媒体種別が同一である既存ファイルの個別特徴情報を、相互に近似する個別特徴情報とみなして一つのグループにまとめてもよい。
【0112】
次に、特定部222は、分類したグループ毎に、各グループに属する個別特徴情報の統計に基づいて、特徴情報候補を生成する(ステップS203)。
【0113】
個別特徴情報が、各既存ファイルが生成されたときの各項目の設定値である場合、特定部222は、各グループに属する個別特徴情報について、複数の項目毎に、度数が最大である設定値、即ち設定値の最頻値を抽出する。特定部222は、項目毎に抽出された最頻値の組合せを特徴情報候補として生成する。特定部222は、全ての項目でなく、予め定められた一又は複数の項目のみに着目して特徴情報候補を生成してもよい。各グループが媒体種別に応じて分類されている場合、媒体種別毎に、着目する項目が予め設定されていてもよい。また、特定部222は、個別特徴情報における値が最頻値と同一である項目が最も多い既存ファイルの個別特徴情報を特徴情報候補として抽出してもよい。
【0114】
個別特徴情報が、各既存ファイルに対応する媒体種別である場合、特定部222は、個別特徴情報として特定された媒体種別のうち、最も多く特定された媒体種別を特徴情報候補として特定する。
【0115】
このように、特定部222は、複数の既存ファイルの個別特徴情報のうち相互に近似する個別特徴情報のグループのそれぞれの統計に基づいて、複数の特徴情報候補を生成する。これにより、特定部222は、対象の保存先に様々な種類の既存ファイルが保存されている場合でも、各既存ファイルの異なる特徴を混合させることなく、各既存ファイルに対応する特徴情報を高精度に特定することができる。
【0116】
次に、特定部222は、生成した複数の特徴情報候補のうち、設定情報に最も近似する特徴情報候補を、対象の保存先に存在する既存ファイルの主流の特徴情報として特定し(ステップS204)、一連のステップを終了する。
【0117】
個別特徴情報(特徴情報候補)が、各既存ファイルが生成されたときの各項目の設定値である場合、特定部222は、複数の項目毎に、各特徴情報候補における設定値が設定情報における設定値と一致するか否かを判定する。特定部222は、複数の特徴情報候補のうち、設定値が一致する項目の数が最も多い特徴情報候補を、設定情報に最も近似する特徴情報候補として特定する。
【0118】
個別特徴情報(特徴情報候補)が、各既存ファイルに対応する媒体種別である場合、特定部222は、種別テーブルを参照し、各特徴情報候補に係る媒体種別について、複数の項目毎に種別テーブルで規定された設定値を特定する。特定部222は、複数の項目毎に、各特徴情報候補に係る設定値が設定情報における設定値と一致するか否かを判定する。特定部222は、複数の特徴情報候補のうち、設定値が一致する項目の数が最も多い特徴情報候補(媒体種別)を、設定情報に最も近似する特徴情報候補として特定する。
【0119】
特定部222は、全ての項目に着目するのでなく、予め定められた一又は複数の項目のみに着目して特徴情報を特定してもよい。各グループが媒体種別に応じて分類されている場合、媒体種別毎に、着目する項目が予め設定されていてもよい。また、特定部222は、対象の保存先に保存された既存ファイルが一つである場合、その既存ファイルの個別特徴情報を特徴情報として特定する。
【0120】
このように、特定部222は、既存ファイルが生成されたときの搬送処理、撮像処理又は画像処理に関する既存ファイル設定情報を、個別特徴情報として特定し、特徴情報として特定する。これにより、情報処理装置200は、既存ファイルの特徴をより詳細に示す特徴情報を用いて、利用者による設定が適切であるか否かを判定することができる。
【0121】
また、特定部222は、既存ファイルに対応する媒体種別を、個別特徴情報として特定し、特徴情報として特定する。これにより、情報処理装置200は、既存ファイルの全体の特徴を適切に示す特徴情報を用いて、利用者の設定が適切であるか否かを判定することができる。
【0122】
図5のステップS105において特定処理が実施される場合、利用者により設定された保存先、又は、利用者により設定された保存先に対応する他の保存先が、対象の保存先となる。即ち、特定部222は、利用者により設定された保存先に既存ファイルが存在しない場合、その保存先に対応する他の保存先に存在する既存ファイルに基づいて、特徴情報を特定する。これにより、特定部222は、作成日時毎に異なる保存先にファイルが保存される場合のように、利用者により設定された保存先がまだ存在していない場合でも、利用者により設定された設定情報又は保存先が適切であるか否かを良好に判定することができる。
【0123】
一方、図5のステップS114において特定処理が実施される場合、利用者により設定された保存先と異なる第2保存先、特に利用者により設定された保存先の周辺に位置する全ての他の保存先が、対象の保存先となる。即ち、特定部222は、第2保存先に係る特徴情報、特に利用者により設定された保存先の周辺に位置する全ての他の保存先のそれぞれに係る特徴情報を特定する。
【0124】
なお、ステップS202及びS203の処理が省略され、特定部222は、各個別特徴情報をグループ化することなく、主流の特徴情報を特定してもよい。その場合、特定部222は、ステップS201で特定された、複数の既存ファイルのそれぞれの個別特徴情報の統計に基づいて、ステップS203で特徴情報候補を生成する場合と同様にして、主流の特徴情報を特定する。個別特徴情報が、各既存ファイルが生成されたときの各項目の設定値である場合、特定部222は、各既存ファイルの個別特徴情報について、複数の項目毎に設定値の最頻値を抽出し、各項目の最頻値の組合せを主流の特徴情報として生成する。また、特定部222は、個別特徴情報における値が最頻値と同一である項目が最も多い既存ファイルの個別特徴情報を主流の特徴情報として抽出してもよい。個別特徴情報が、各既存ファイルに対応する媒体種別である場合、特定部222は、個別特徴情報として特定された媒体種別のうち、最も多く特定された媒体種別を主流の特徴情報として特定する。これらの場合も、特定部222は、各既存ファイルの特徴を示す特徴情報を精度よく特定することができる。
【0125】
また、図5のステップS106において、判定部224は、設定された設定情報が、特徴情報に対応するか否かを判定するだけでなく、ステップS203で生成された特徴情報候補のそれぞれに対応するか否かを判定してもよい。その場合、通知部225は、利用者により設定された設定情報に対応しない特徴情報候補が存在する場合、その旨を示す警告を利用者に通知する。
【0126】
以上詳述したように、情報処理装置200は、利用者により設定された設定情報が、利用者により設定された保存先に存在する既存ファイルから特定される特徴情報と合致しない場合、利用者に通知する。これにより、情報処理装置200は、利用者による設定情報又は保存先の設定誤りを抑制することが可能となり、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0127】
特に、利用者の画像読取処理に関する知識又はスキルが低い場合であっても、情報処理装置200は、利用者に設定誤りを通知することにより、誤った設定情報に従って画像ファイルが生成されることを未然に防ぐことができる。また、利用者の手元に読取対象の媒体がない場合であっても、情報処理装置200は、利用者に設定誤りを通知することにより、誤った設定情報に従って画像ファイルが生成されることを未然に防ぐことができる。これらにより、情報処理装置200は、画像読取装置100の画像読取処理における手戻りの発生を抑制でき、利用者の作業効率又は作業品質の低減を抑制できる。
【0128】
画像読取装置100が業務で又は私的に利用される場合、画像読取装置100により生成される画像ファイルが保存される保存先のフォルダに対して、明示的又は暗黙的に役割又は目的が割り当てられている可能性が高い。例えば、家計に関わる原稿(レシート、料金表等)、名刺、注文書等は、それぞれまとめて管理されるように、同一の保存先に保存される可能性が高い。情報処理装置200は、保存先のフォルダに、そのフォルダに割り当てられた役割又は目的に対応する画像ファイルを保存させることができ、画像読取装置100により生成される画像を適切に管理することができる。
【0129】
また、情報処理装置200は、複数の利用者により画像読取装置100の設定情報が設定される場合であっても、各保存先のフォルダに保存される画像ファイルの統一性を向上させることができる。また、情報処理装置200は、各保存先のフォルダに保存される画像ファイルの統一性を向上させることにより、画像ファイルの検索性を向上させることができる。また、保存先のフォルダに保存された画像ファイルが同一の設定情報に従って生成されていることにより、情報処理装置200は、画像ファイルに対する後処理において処理の共通化を図ることができ、後処理の効率化を図ることができる。また、情報処理装置200は、所定の設定情報に従って生成された画像ファイルを適切な保存先に確実に保存させることができるため、見読性の向上及び改竄防止を図ることができ、e文書法等に良好に準拠して画像ファイルを管理することができる。
【0130】
図7は、他の実施形態に係る情報処理装置における第2処理回路320の概略構成を示すブロック図である。
【0131】
第2処理回路320は、第2処理回路220の代わりに用いられ、判定処理等を実行する。第2処理回路320は、取得回路321、特定回路322、設定回路323、判定回路324及び通知回路325等を有する。
【0132】
取得回路321は、取得部の一例であり、取得部221と同様の機能を有する。取得回路321は、第2通信装置201又は第2入力装置202から設定情報及び保存先を受信し、第2記憶装置210に記憶する。
【0133】
特定回路322は、特定部の一例であり、特定部222と同様の機能を有する。特定回路322は、第2記憶装置210から保存先を読み出し、保存先に存在する既存ファイルの特徴情報を抽出し、第2記憶装置210に記憶する。
【0134】
設定回路323は、設定部の一例であり、設定部223と同様の機能を有する。設定回路323は、第2記憶装置210から設定情報及び保存先を読み出し、設定情報及び保存先が指定された設定要求信号を、第2通信装置201を介して対応する画像読取装置100に送信する。
【0135】
判定回路324は、判定部の一例であり、判定部224と同様の機能を有する。判定回路324は、第2記憶装置210から設定情報及び特徴情報を読み出し、設定情報が特徴情報に対応するか否かを判定し、判定結果を通知回路325に出力する。
【0136】
通知回路325は、通知部の一例であり、通知部225と同様の機能を有する。通知回路325は、判定回路324から設定情報が特徴情報に対応するか否かの判定結果を受信し、判定結果に関する情報を第2通信装置201又は第2表示装置203に出力する。
【0137】
以上詳述したように、情報処理装置は、第2処理回路320を用いる場合も、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0138】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、判定処理は、情報処理装置200でなく、画像読取装置100により実行されてもよい。その場合、画像読取装置100の第1記憶装置110が、情報処理装置200の第2記憶装置210が記憶する各情報及び各プログラムを記憶する。第1処理回路120は、取得部221、特定部222、設定部223、判定部224及び通知部225と同様の取得部、特定部、設定部、判定部及び通知部として機能する。
【0139】
その場合、図5のステップS101で、取得部は、利用者により第1入力装置102を用いて入力された設定情報及び保存先を取得する。または、取得部は、利用者により情報処理装置200の第2入力装置202を用いて入力された設定情報及び保存先を、第1通信装置101を介して情報処理装置200から受信することにより取得する。ステップS105、S110、S112、S116及びS117において、通知部は、各情報を第1表示装置103に表示することにより又は第1通信装置101を介して情報処理装置200に送信して情報処理装置200で表示させることにより利用者に通知する。また、設定制御部121は、設定部として機能する。
【0140】
これにより、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【符号の説明】
【0141】
1 画像処理システム、100 画像読取装置、200 情報処理装置、221 取得部、222 特定部、223 設定部、224 判定部、225 通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7